JP2022176826A - 自動運航船の運航方法、リスク解析方法、運航システム、及びリスク解析システム - Google Patents

自動運航船の運航方法、リスク解析方法、運航システム、及びリスク解析システム Download PDF

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Abstract

【課題】自動運航船を安全かつ適切に運航させることができる自動運航船の運航方法及び運航システム、並びに自動運航船に関するリスク解析を適切に行うことができる自動運航船のリスク解析方法及びリスク解析システムを提供すること。【解決手段】自動運航船の運航方法においては、自動運航システム20が正常に作動する運航設計領域を設定し、自動運航船1の自船情報及び周辺情報を取得し、自動運航システム20で航海計画、自船情報、及び周辺情報に基づいて操船計画を策定し、操船計画を陸上制御センター2の陸上職員3の承認を経て自動運航船1に提示するとともに、自動運航船1を操船計画に基づいて運航させ、さらに取得した自船情報及び周辺情報に基づいて運航設計領域を確認し、運航設計領域から逸脱した場合に陸上職員3に警報し、その後の運航を陸上職員3が判断する。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 1.令和2年5月18日,論文集 2.令和2年7月29日,ウェブサイト
本発明は、航海計画に従って運航される自動運航船の運航方法及び運航システム、並びに航海計画に従って運航される自動運航船をモデル化して運航上のリスクを解析する自動運航船のリスク解析方法及びリスク解析システムに関する。
自動運航船の実用化に向けた技術開発は発展途上であり、自動運航船という大規模で複雑な全体システムを構築する際には、設計初期段階において、自動運航船の運用方法とそれを実現する個々のシステムの概念設計が肝要になると考えられる。設計初期段階で、運用上及び全体システムの構想上の重大なハザードがないか確認しておくことで、その後の個別システムの詳細設計段階での手戻りを回避することができる。
同様の考え方は自動車や他の大規模・複雑システムでも見られ、STAMP/STPA(Systems-Theoretic Accident Model and Processes /System-Theoretic Process Analysis)をはじめとするシステム理論的アプローチは、ハードウェア、ソフトウェア及び人間等の様々な要素の集合体を、1つの全体システムとして捉えてリスクを解析する手法として提案されている。
自動運航船のリスク解析を行う上で考慮すべき点として、既存船との主な相違点を考えると、既存船で人間の船員が行っていた船舶の行動計画や制御について、自動運航船ではこれらを代行、補助するソフトウェアが追加的に導入され、船舶の運航におけるソフトウェアのタスクの比重が大きくなる点がある。ソフトウェアはハードウェアと比べて、人間との相互作用がより複雑になると考えられ、自動化システムの導入によって生じうるヒューマンエラー等の人的要素の考慮が重要となる。また、陸上制御センターから自動運航船の遠隔監視や遠隔制御を想定する場合には、陸上制御センターの建物や設備等のハードウェアから、監視・制御・船陸間通信用のソフトウェア、担当の職員まで全てが既存船との相違点となる。
既存船に対するリスク解析では、ハードウェアを中心としたシステム構成図を利用し、機器故障に着目してハザードを同定していた。一方、自動運航船には上述のような既存船との相違点があることから、自動運航船の全体システムについて網羅的にハザードを洗い出すためには、全体システムを構成するハードウェア、ソフトウェア及び人間等の各構成要素が担当するタスク、構成要素間の情報のやり取りや人間による承認が必要なプロセス等を明確に定義する必要がある。
STAMP/STPAは、構成要素間の相互作用に着目した解析手法であり、自動運航船の設計初期段階におけるリスク解析にも適していると考えられるが、各構成要素の保有する情報や内部機能に関連するハザードの解析支援は比較的少ない。
ここで、特許文献1には、多様な非機能要求を設計の根拠として設計に反映可能なソフトウェア設計要件抽出支援方法と、抽出した設計要件を分類整理して採用すべき設計要件を効率的に決定可能なソフトウェア設計要件決定支援方法が開示されている。特許文献1においては、顧客等からの要求は、機能要求項目と非機能要求項目とに分類して入力、記録され、機能要求項目とアーキテクチャ特性項目の各組み合わせについてリスク項目を抽出、記録し、各リスク項目について、全ての非機能要求項目を個別に対比させ、可能性、許容度、対策案を抽出、記録し、対策案を分類整理して、現時点で重要な対策案と重要でない対策案を抽出、記録し、重要な対策案の関係を抽出、記録し、関係に基づいて対策案の取捨選択を行い、採用すべき対策案を決定する。
また、特許文献2には、環境検出部と、リスト生成部と、視線検出部と、リスク評価部と、出力制御部とを有する運転支援装置が開示されている。環境検出部は、運転者が運転する乗り物の周囲の環境を検出し、リスト生成部は、検出された環境に基づいてハザードとする対象物のハザードリストを生成し、視線検出部は、運転者の視線を検出し、リスク評価部は、検出された視線に基づく運転者の視野内にハザードリストに含まれる対象物が含まれる頻度に基いて、ハザードリストに含まれる対象物ごとの運転者の運転にかかるリスクを評価し、出力制御部は、評価されたリスクが閾値以上の対象物に対応する運転支援情報を出力させるものである。
また、特許文献3には、複数の車両の夫々の日時ごとの走行状態を示すデータである走行データと、複数の車両の過去の事故に関する情報とを記憶し、走行データのうち、事故当日前の所定期間の走行データと、事故当日における走行データと、を抽出し、抽出した走行データに基づき、車両の起動から終了までの期間であるトリップ毎の訓練データを生成し、訓練データを用いて事故リスクを診断する機械学習モデルである事故リスク診断モデルを生成し、事故リスクの診断対象となる車両のトリップにおける特徴量を事故リスク診断モデルに入力して事故リスクを診断し、車両に搭載されている車載機に診断結果を送信する事故リスク診断装置が開示されている。
また、特許文献4には、外界情報を取得する複数の外界センサと、車両情報を取得する複数の車両センサと、地図情報と、を備えた車両を制御する、車両制御システムであり、この車両制御システムは、車両情報および地図情報に基づく静的ODD(Operational Design Domain:運行設計領域)ならびに外界情報に基づく動的ODDを規定する規定モジュールと、静的ODDおよび動的ODDに基づいて車両の動作を制御する制御モジュールと、を備えることが開示されている。
また、非特許文献1には、UML(Unified Modeling Language)を拡張したモデリング言語であるSysML(Systems Modeling Language)による飛行船自動航行システム開発において、システムの信頼性分析のための手法であるFMEA(Failure Mode and Effects Analysis)を飛行船自動航行システムのハードウェアとソフトウェアに対して適用し、起こりうる飛行船自動航行システムの故障を予測し、考慮すべき例外を洗い出すこと、また、FMEAを実施する際、2~4人でブレーンストーミングを行うことで故障の抜け漏れを防ぐ、飛行船自動航行システムのモデル駆動開発事例が開示されている。
特開2003-256205号公報 国際公開第2018/220774号 特開2021-12604号公報 特開2021-43896号公報
福田哲志,外9名,"飛行船自動航行システム開発におけるSysMLを用いたモデル駆動開発事例",組込みシステムシンポジウム2011論文集,情報処理学会,2011年10月20日,p14-1~14-8
特許文献1から特許文献4、及び非特許文献1は、全体システムを構成するハードウェア、ソフトウェア及び人間等の各構成要素が担当するタスク、構成要素間の情報のやり取りや人間による承認が必要なプロセス等を考慮し、リスク解析を行って自動運航船を運航させようとするものではない。
そこで本発明は、自動運航船をリスクを低減して適切に運航させることができる自動運航船の運航方法及び運航システム、並びに自動運航船に関するリスク解析を適切に行うことができる自動運航船のリスク解析方法及びリスク解析システムを提供することを目的とする。
請求項1記載に対応した自動運航船の運航方法においては、航海計画に従って運航される自動運航船の運航方法であって、自動運航システムが正常に作動する運航設計領域を設定し、自動運航船の自船情報及び周辺情報を取得し、自動運航システムで航海計画、自船情報、及び周辺情報に基づいて操船計画を策定し、操船計画を陸上制御センターの陸上職員の承認を経て自動運航船に提示するとともに、自動運航船を操船計画に基づいて運航させ、さらに取得した自船情報及び周辺情報に基づいて運航設計領域を確認した結果をもとに、運航設計領域から逸脱したかを判断し、運航設計領域から逸脱した場合に陸上職員に警報し、その後の運航を陸上職員が判断することを特徴とする。
請求項1に記載の本発明によれば、自動運航船をリスクを低減して適切に運航させることができる。
請求項2記載の本発明は、自動運航船に少なくとも操船計画、及び陸上職員の判断結果を提示し、提示された操船計画、及び陸上職員の判断結果を自動運航船の船上職員が確認することを特徴とする。
請求項2に記載の本発明によれば、操船計画及び陸上職員の判断結果を船上職員が確認することで、運航の安全性を高めることができる。
請求項3記載の本発明は、自船情報は、自動運航船の位置、進行方向、及び速度を含む船舶状況情報と、船上貨物の貨物状態情報と、アクチュエータを有する船舶制御システムのシステム状態情報を含むことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明によれば、自動運航船の自船の状況に基づいて、操船計画をより正確に策定し、また、運航設計領域からの逸脱判断をより正確に行うことができる。
請求項4記載の本発明は、船上貨物の状態を船上貨物監視システムで監視し、貨物状態情報を取得することを特徴とする。
請求項4に記載の本発明によれば、取得した貨物状態情報に基づいて、船上貨物を適切に管理して荷崩れ等を防止することができる。
請求項5記載の本発明は、周辺情報には、気象海象情報、他船又は漂流物を含む障害物情報、及び陸との距離情報を含むことを特徴とする。
請求項5に記載の本発明によれば、自動運航船の置かれた周辺状況に基づいて、操船計画をより正確に策定し、また、運航設計領域からの逸脱判断をより正確に行うことができる。
請求項6記載の本発明は、自動運航船で取得した気象海象情報と、別途取得した広域気象海象情報を気象海象情報提供システムで処理して統合気象海象情報として提示することを特徴とする。
請求項6に記載の本発明によれば、統合気象海象情報を参考に操船計画や航海計画を修正することができる。
請求項7記載の本発明は、統合気象海象情報を自動運航システムにおける操船計画の策定に当たり考慮することを特徴とする。
請求項7に記載の本発明によれば、先の航路を考慮したより正確な操船計画を得ることができる。
請求項8記載の本発明は、運航設計領域には、自動運航船の水域条件、環境条件、及び内部状態を含むことを特徴とする。
請求項8に記載の本発明によれば、運航設計領域をより適切に設定することができる。
請求項9記載の本発明は、自動運航システムには、自動運航船の操船計画策定から離岸、航海、着岸までの一連の運航の流れを、計画時、離着岸時、及び航海中の3つの運航フェーズに分類したとき、3つの運航フェーズに対応する自動運航システムのモードとして、計画モード、離着岸モード、及び航海モードを含むことを特徴とする。
請求項9に記載の本発明によれば、航路全体にわたり自動運航船をより適切に運航させることができる。
請求項10記載に対応した自動運航船のリスク解析方法においては、自動運航船の運航方法により、航海計画に従って運航される自動運航船をモデル化して運航上のリスクを解析する自動運航船のリスク解析方法であって、運航設計領域に関連する運航設計領域確認手段、自動運航システム、自船情報に関連する自船情報取得手段、周辺情報に関連する周辺情報取得手段、及び陸上職員の保有情報と、機能又は役割を明確にして構成要素として設定する構成要素設定ステップと、構成要素間の相互関係を設定する要素関係設定ステップと、構成要素の保有情報と、機能又は役割、及び構成要素間の相互関係を図表として表現する図表化ステップと、図表に基づいて自動運航船の運航上のリスクを解析するリスク解析ステップとを有することを特徴とする。
請求項10に記載の本発明によれば、自動運航船に関するリスク解析を適切に行うことができる。
請求項11記載の本発明は、図表化ステップにおいて図表として表現するに当たり、UML(Unified Modeling Language)のクラス図を応用して構成要素の保有情報と、機能又は役割及び構成要素間の相互関係を表現し、自動運航船及び陸上制御センターをモデル化することを特徴とする。
請求項11に記載の本発明によれば、UMLを応用して各構成要素の保有情報や、機能又は役割、及び相互関係を分解して記述し、自動運航船及び陸上制御センターをモデル化するためリスク解析がしやすくなる。
請求項12記載の本発明は、モデル化された自動運航船及び陸上制御センターのモデルを用いて、仮定の質問を繰り返しブレインストーミングを実行し、ハザードを同定してハザードに関するリスクを解析することを特徴とする。
請求項12に記載の本発明によれば、例えば、専門家チームによるブレインストーミングを行うことで、ハザードに関するリスクを精度よく解析することができる。
請求項13記載の本発明は、ブレインストーミングの実行に当たっては、自動運航船と陸上制御センターに分割したシステム欄と、解析対象の構成要素に関するハザードとその原因、結果、及び対策を記載する原因欄、結果欄、及び対策欄を一覧表にまとめたワークシートを用いることを特徴とする。
請求項13に記載の本発明によれば、ハザードに関するリスクをより精度よく解析することができる。
請求項14記載の本発明は、ワークシートを自動運航船の操船の計画時、離着岸時、及び航海中の3つの運航フェーズ別に作成することを特徴とする。
請求項14に記載の本発明によれば、航路全体にわたり運航フェーズに応じてハザードを精度よく解析することができる。
請求項15記載の本発明は、ワークシートに、ハザードに対する既存の防御手段と、結果の重大性指標(SI)、頻度指標(FI)、及び重大性指標(SI)と頻度指標(FI)より算出されるリスク指標(RI)を含むことを特徴とする。
請求項15に記載の本発明によれば、これらの指標により半定量的にリスクの大きさが評価でき、例えば、現状でのリスク指標(RI)が大きいハザードには、追加の対策の検討と、対策導入後のリスク指標(RI)の推定により、追加の対策の有効性の評価を行うことができる。
請求項16記載に対応した自動運航船の運航システムにおいては、航海計画に従って運航される自動運航船の運航システムであって、設定された自動運航システムが正常に作動する運航設計領域を確認する運航設計領域確認手段と、運航を計画する自動運航システムと、自動運航船の自船情報を取得する自船情報取得手段と、周辺情報を取得する周辺情報取得手段と、航海計画、自船情報、及び周辺情報に基づいて操船計画を策定する自動運航システムの計画策定手段と、操船計画を自動運航船に提示する提示手段と、提示された操船計画に基づいて自動運航船を操船する船舶制御システムと、さらに取得した自船情報及び周辺情報に基づいて運航設計領域を確認した結果をもとに、運航設計領域から逸脱したかを判断し、逸脱した場合に陸上制御センターの陸上職員に警報する判断/警報手段とを備えたことを特徴とする。
請求項16に記載の本発明によれば、自動運航船をリスクを低減して適切に運航させることができる。
請求項17記載の本発明は、提示手段として、操船計画に加え陸上職員の判断結果を表示する表示手段を自動運航船に備えたことを特徴とする。
請求項17に記載の本発明によれば、操船計画及び陸上職員の判断結果を船上職員が確認することで、運航の安全性を高めることができる。
請求項18記載の本発明は、自船情報取得手段は、自動運航船の位置、進行方向、及び速度を取得する船舶状況取得手段と、船上貨物の状態を取得する船上貨物状態取得手段と、船舶制御システムの状態を取得するシステム状態情報取得手段を含むことを特徴とする。
請求項18に記載の本発明によれば、自動運航船の自船の状況に基づいて、操船計画をより正確に策定し、また、運航設計領域からの逸脱判断をより正確に行うことができる。
請求項19記載の本発明は、船上貨物状態取得手段で取得した船上貨物の状態に基づいて、船上貨物の状態を監視する船上貨物監視システムを備えたことを特徴とする。
請求項19に記載の本発明によれば、取得した貨物状態情報に基づいて、船上貨物を適切に管理して荷崩れ等を防止することができる。
請求項20記載の本発明は、周辺情報取得手段は、気象海象情報取得手段と、他船及び漂流物を検出する障害物情報取得手段と、陸との距離情報を取得する距離情報取得手段を含むことを特徴とする。
請求項20に記載の本発明によれば、自動運航船の置かれた周辺状況に基づいて、操船計画をより正確に策定し、また、運航設計領域からの逸脱判断をより正確に行うことができる。
請求項21記載の本発明は、気象海象情報取得手段で取得した気象海象情報と、別途取得した広域気象海象情報に基づいて統合気象海象情報を生成する気象海象情報提供システムを備えたことを特徴とする。
請求項21に記載の本発明によれば、統合気象海象情報を参考に操船計画や航海計画を修正することができる。また、自動運航システムにおいては統合気象海象情報を考慮して操船計画を策定できるため、先の航路を考慮したより正確な操船計画を得ることができる。
請求項22記載の本発明は、自動運航システム、運航設計領域確認手段、及び判断/警報手段を陸上制御センターに備えたことを特徴とする。
請求項22に記載の本発明によれば、上位の意思決定を行う機能を陸上制御センターに備えることで、例えば、陸上職員が迅速に各種情報等を把握して適切な判断を下しやすくなる。
請求項23記載に対応した自動運航船のリスク解析システムにおいては、自動運航船のリスク解析方法を実行する自動運航船のリスク解析システムであって、構成要素としての運航設計領域確認手段、自動運航システム、自船情報取得手段、周辺情報取得手段、及び陸上職員の保有情報と、機能又は役割を設定する構成要素設定手段と、構成要素間の相互関係を設定する要素関係設定手段と、構成要素の保有情報と、機能又は役割、及び構成要素間の相互関係を図表として表現する図表化手段と、表現された図表を提示する図表提示手段とを備え、提示された図表に基づいて自動運航船の運航上のリスクを解析可能とすることを特徴とする。
請求項23に記載の本発明によれば、提示された図表に基づいて自動運航船に関するリスク解析を適切に行うことを可能とすることができる。
請求項24記載の本発明は、図表化手段は、UML(Unified Modeling Language)のクラス図を応用して自動運航船及び陸上制御センターをモデルとしてモデル化することを特徴とする。
請求項24に記載の本発明によれば、UMLを応用して各構成要素の保有情報や、機能又は役割、及び相互関係を分解して記述し、自動運航船及び陸上制御センターをモデル化するためリスク解析がしやすくなる。
請求項25記載の本発明は、図表化手段は、仮定の質問を繰り返しブレインストーミングにより通常からの逸脱を抽出する方法によりハザードを同定し解析するためのワークシートを生成することを特徴とする。
請求項25に記載の本発明によれば、例えば、専門家チームがワークシートに基づいてブレインストーミングを行うことで、ハザードに関するリスクを精度よく解析することができる。
請求項26記載の本発明は、図表化手段としてコンピュータを備え、コンピュータの入力手段を構成要素設定手段及び要素関係設定手段として機能させ、コンピュータの出力手段を図表提示手段として機能させることを特徴とする。
請求項26に記載の本発明によれば、コンピュータによって正確かつ迅速にリスク解析のための図表の提示を行える。
請求項27記載の本発明は、図表提示手段が、予め定めた構成要素及び相互関係のフォーマットを提供することを特徴とする。
請求項27に記載の本発明によれば、フォーマットに基づいて、構成要素及び相互関係を入力できるため作業効率を向上させることができる。
請求項28記載の本発明は、コンピュータが記憶手段を備え、図表提示手段が、記憶手段に記憶された構成要素の保有情報と、機能又は役割の設定例及び構成要素間の相互関係の設定例、又は自動運航船のリスク解析の解析例の少なくとも一方を提示することを特徴とする。
請求項28に記載の本発明によれば、提示された例を参照しながら必要事項の入力や自動運航船の概念を構想することができるため、作業効率を向上させることができる。
請求項29記載の本発明は、コンピュータ、入力手段、及び出力手段を、情報通信網を介して別の場所に設置したことを特徴とする。
請求項29に記載の本発明によれば、入力から出力までを一つのコンピュータで完結させずともリスク解析を行うことが可能となり、リスク解析システムの導入負担を軽減することができ、例えば、情報通信網を介して複数の利用者が利用することが可能となる。
本発明の自動運航船の運航方法によれば、自動運航船をリスクを低減して適切に運航させることができる。
また、自動運航船に少なくとも操船計画、及び陸上職員の判断結果を提示し、提示された操船計画、及び陸上職員の判断結果を自動運航船の船上職員が確認する場合には、操船計画及び陸上職員の判断結果を船上職員が確認することで、運航の安全性を高めることができる。
また、自船情報は、自動運航船の位置、進行方向、及び速度を含む船舶状況情報と、船上貨物の貨物状態情報と、アクチュエータを有する船舶制御システムのシステム状態情報を含む場合には、自動運航船の自船の状況に基づいて、操船計画をより正確に策定し、また、運航設計領域からの逸脱判断をより正確に行うことができる。
また、船上貨物の状態を船上貨物監視システムで監視し、貨物状態情報を取得する場合には、取得した貨物状態情報に基づいて、船上貨物を適切に管理して荷崩れ等を防止することができる。
また、周辺情報には、気象海象情報、他船又は漂流物を含む障害物情報、及び陸との距離情報を含む場合には、自動運航船の置かれた周辺状況に基づいて、操船計画をより正確に策定し、また、運航設計領域からの逸脱判断をより正確に行うことができる。
また、自動運航船で取得した気象海象情報と、別途取得した広域気象海象情報を気象海象情報提供システムで処理して統合気象海象情報として提示する場合には、統合気象海象情報を参考に操船計画や航海計画を修正することができる。
また、統合気象海象情報を自動運航システムにおける操船計画の策定に当たり考慮する場合には、先の航路を考慮したより正確な操船計画を得ることができる。
また、運航設計領域には、自動運航船の水域条件、環境条件、及び内部状態を含む場合には、運航設計領域をより適切に設定することができる。
また、自動運航システムには、自動運航船の操船計画策定から離岸、航海、着岸までの一連の運航の流れを、計画時、離着岸時、及び航海中の3つの運航フェーズに分類したとき、3つの運航フェーズに対応する自動運航システムのモードとして、計画モード、離着岸モード、及び航海モードを含む場合には、航路全体にわたり自動運航船をより適切に運航させることができる。
また、本発明の自動運航船のリスク解析方法によれば、自動運航船に関するリスク解析を適切に行うことができる。
また、図表化ステップにおいて図表として表現するに当たり、UML(Unified Modeling Language)のクラス図を応用して構成要素の保有情報と、機能又は役割及び構成要素間の相互関係を表現し、自動運航船及び陸上制御センターをモデル化する場合には、UMLを応用して各構成要素の保有情報や、機能又は役割、及び相互関係を分解して記述し、自動運航船及び陸上制御センターをモデル化するためリスク解析がしやすくなる。
また、モデル化された自動運航船及び陸上制御センターのモデルを用いて、仮定の質問を繰り返しブレインストーミングを実行し、ハザードを同定してハザードに関するリスクを解析する場合には、例えば、専門家チームによるブレインストーミングを行うことで、ハザードに関するリスクを精度よく解析することができる。
また、ブレインストーミングの実行に当たっては、自動運航船と陸上制御センターに分割したシステム欄と、解析対象の構成要素に関するハザードとその原因、結果、及び対策を記載する原因欄、結果欄、及び対策欄を一覧表にまとめたワークシートを用いる場合には、ハザードに関するリスクをより精度よく解析することができる。
また、ワークシートを自動運航船の操船の計画時、離着岸時、及び航海中の3つの運航フェーズ別に作成する場合には、航路全体にわたり運航フェーズに応じてハザードを精度よく解析することができる。
また、ワークシートに、ハザードに対する既存の防御手段と、結果の重大性指標(SI)、頻度指標(FI)、及び重大性指標(SI)と頻度指標(FI)より算出されるリスク指標(RI)を含む場合には、これらの指標により半定量的にリスクの大きさが評価でき、例えば、現状でのリスク指標(RI)が大きいハザードには、追加の対策の検討と、対策導入後のリスク指標(RI)の推定により、追加の対策の有効性の評価を行うことができる。
また、本発明の自動運航船の運航システムによれば、自動運航船をリスクを低減して適切に運航させることができる。
また、提示手段として、操船計画に加え陸上職員の判断結果を表示する表示手段を自動運航船に備えた場合には、操船計画及び陸上職員の判断結果を船上職員が確認することで、運航の安全性を高めることができる。
また、自船情報取得手段は、自動運航船の位置、進行方向、及び速度を取得する船舶状況取得手段と、船上貨物の状態を取得する船上貨物状態取得手段と、船舶制御システムの状態を取得するシステム状態情報取得手段を含む場合には、自動運航船の自船の状況に基づいて、操船計画をより正確に策定し、また、運航設計領域からの逸脱判断をより正確に行うことができる。
また、船上貨物状態取得手段で取得した船上貨物の状態に基づいて、船上貨物の状態を監視する船上貨物監視システムを備えた場合には、取得した貨物状態情報に基づいて、船上貨物を適切に管理して荷崩れ等を防止することができる。
また、周辺情報取得手段は、気象海象情報取得手段と、他船及び漂流物を検出する障害物情報取得手段と、陸との距離情報を取得する距離情報取得手段を含む場合には、自動運航船の置かれた周辺状況に基づいて、操船計画をより正確に策定し、また、運航設計領域からの逸脱判断をより正確に行うことができる。
また、気象海象情報取得手段で取得した気象海象情報と、別途取得した広域気象海象情報に基づいて統合気象海象情報を生成する気象海象情報提供システムを備えた場合には、統合気象海象情報を参考に操船計画や航海計画を修正することができる。また、自動運航システムにおいては統合気象海象情報を考慮して操船計画を策定できるため、先の航路を考慮したより正確な操船計画を得ることができる。
また、自動運航システム、運航設計領域確認手段、及び判断/警報手段を陸上制御センターに備えた場合には、上位の意思決定を行う機能を陸上制御センターに備えることで、例えば、陸上職員が迅速に各種情報等を把握して適切な判断を下しやすくなる。
また、本発明の自動運航船のリスク解析システムによれば、提示された図表に基づいて自動運航船に関するリスク解析を適切に行うことを可能とすることができる。
また、図表化手段は、UML(Unified Modeling Language)のクラス図を応用して自動運航船及び陸上制御センターをモデルとしてモデル化する場合には、UMLを応用して各構成要素の保有情報や、機能又は役割、及び相互関係を分解して記述し、自動運航船及び陸上制御センターをモデル化するためリスク解析がしやすくなる。
また、図表化手段は、仮定の質問を繰り返しブレインストーミングにより通常からの逸脱を抽出する方法によりハザードを同定し解析するためのワークシートを生成する場合には、例えば、専門家チームがワークシートに基づいてブレインストーミングを行うことで、ハザードに関するリスクを精度よく解析することができる。
また、図表化手段としてコンピュータを備え、コンピュータの入力手段を構成要素設定手段及び要素関係設定手段として機能させ、コンピュータの出力手段を図表提示手段として機能させる場合には、コンピュータによって正確かつ迅速にリスク解析のための図表の提示を行える。
また、図表提示手段が、予め定めた構成要素及び相互関係のフォーマットを提供する場合には、フォーマットに基づいて、構成要素及び相互関係を入力できるため作業効率を向上させることができる。
また、コンピュータが記憶手段を備え、図表提示手段が、記憶手段に記憶された構成要素の保有情報と、機能又は役割の設定例及び構成要素間の相互関係の設定例、又は自動運航船のリスク解析の解析例の少なくとも一方を提示する場合には、提示された例を参照しながら必要事項の入力や自動運航船の概念を構想することができるため、作業効率を向上させることができる。
また、コンピュータ、入力手段、及び出力手段を、情報通信網を介して別の場所に設置した場合には、入力から出力までを一つのコンピュータで完結させずともリスク解析を行うことが可能となり、リスク解析システムの導入負担を軽減することができ、例えば、情報通信網を介して複数の利用者が利用することが可能となる。
本発明の実施形態による自動運航船の運航システムの構成図 同自動運航船の運航方法を示す図 同運航設計領域の設定例を示す図 同自動運航船のリスク解析システムの構成図 同自動運航船のリスク解析方法を示す図 同リスク解析システムの分散設置例を示す図 同作成された図表の例を示す図(計画モード時) 同作成された図表の例を示す図(離着岸モード時) 同作成された図表の例を示す図(航海モード時) 同ワークシートの例を示す図 本発明の他の実施形態による自動運航船の運航システムの構成図
本発明の実施形態による自動運航船の運航方法、リスク解析方法、運航システム、及びリスク解析システムについて説明する。
図1は本実施形態による自動運航船の運航システムの構成図、図2は自動運航船の運航方法を示す図である。本実施形態において自動運航船の運航方法(以下、単に「運航方法」ともいう)は、図1に示す自動運航船の運航システム(以下、単に「運航システム」ともいう)を利用する。
運航システムは、航海計画に従って運航される自動運航船1に適用されるものであり、設定された運航設計領域を確認する運航設計領域確認手段10と、自動運航船1の運航を計画する自動運航システム20と、自動運航船1の自船情報を取得する自船情報取得手段30と、自動運航船1の周辺情報を取得する周辺情報取得手段40と、表示手段51を有する提示手段50と、舵や機関等のアクチュエータ61を有する船舶制御システム60と、判断/警報手段70と、船上貨物監視システム80と、気象海象情報提供システム90と、制御手段100と、伝送部110を備える。
このうち、運航設計領域確認手段10、自動運航システム20、判断/警報手段70、船上貨物監視システム80、及び気象海象情報提供システム90は陸上制御センター2に設けられている。また、自船情報取得手段30、周辺情報取得手段40、提示手段50、船舶制御システム60、制御手段100、及び伝送部110は自動運航船1に設けられている。なお、航海計画は、運航会社から入手した所与の航海計画が基本ではあるが、陸上制御センター2又は自動運航船1で策定することも可能である。
陸上制御センター2には陸上職員3が配置され、自動運航船1には船上職員4が配置されている。陸上職員3は、運航を行うかどうかを含め、運航の全般に関する意思決定を行う責任者(船長)であり、自動化した機能(タスク)が滞りなく実行されているかの確認や、不測の事態への対応において、上位の意思決定を担う。船上職員4は、例えばシャドー要員としての航海士であり、船上の運航システムの状態監視等の役割(タスク)を担い、非常時には手動操船に切り替えることで運航システムの機能(タスク)を代行する。
自動運航システム20は、計画策定手段21を有する。計画策定手段21は、航海計画と、自船情報と、周辺情報に基づいて操船計画を策定し、策定した操船計画を提示手段50へ送信する。
提示手段50は、計画策定手段21が策定した操船計画を自動運航船1に提示する。提示された操船計画は、モニターやディスプレイ等の表示手段51に表示される。また、提示手段50に送信された操船計画は船上職員4の確認を経て制御手段100に入力され、制御手段100は操船計画に基づいて船舶制御システム60を制御する。船舶制御システム60は、制御手段100による制御のもと自動運航船1を操船する。これにより、自動運航船1の運航が行われる。
自船情報取得手段30が取得した自船情報は、伝送部110を介して、自動運航システム20と運航設計領域確認手段10に伝送される。
本実施形態における自船情報取得手段30は、船舶状況情報として自動運航船1の位置、進行方向、及び速度を取得する船舶状況取得手段31と、船上貨物の貨物状態情報として船上貨物の状態を取得する船上貨物状態取得手段32と、船舶制御システム60のシステム状態情報として船舶制御システム60の状態を取得するシステム状態情報取得手段33を有しており、自船情報には、船舶状況情報と、船上貨物の貨物状態情報と、船舶制御システム60のシステム状態情報が含まれる。自船情報に、船舶状況情報、船上貨物の貨物状態情報、及び船舶制御システム60のシステム状態情報を含めることにより、自動運航船1の自船の状況に基づいて、操船計画をより正確に策定し、また、運航設計領域からの逸脱判断をより正確に行うことができる。
周辺情報取得手段40が取得した周辺情報は、伝送部110を介して、自動運航システム20と運航設計領域確認手段10に伝送される。
本実施形態における周辺情報取得手段40は、気象海象情報を取得する気象海象情報取得手段41と、障害物情報として他船及び漂流物を検出する障害物情報取得手段42と、陸との距離情報を取得する距離情報取得手段43を有しており、周辺情報には、気象海象情報と、障害物情報と、陸との距離情報が含まれる。周辺情報に、気象海象情報、障害物情報、及び陸との距離情報を含めることにより、自動運航船1の置かれた周辺状況に基づいて、操船計画をより正確に策定し、また、運航設計領域からの逸脱判断をより正確に行うことができる。
自船情報取得手段30が取得した自船情報のうち船上貨物の貨物状態情報は、伝送部110を介して、船上貨物監視システム80にも伝送される。
船上貨物監視システム80は、船上貨物の状態に基づいて、船上貨物の状態を監視する。また、船上貨物監視システム80は、取得した情報を貨物状態情報として陸上職員3へ提示する。これにより、取得した貨物状態情報に基づいて、船上貨物を適切に管理して荷崩れ等を防止することができる。
周辺情報取得手段40が取得した周辺情報のうち気象海象情報は、伝送部110を介して、気象海象情報提供システム90にも伝送される。
気象海象情報提供システム90は、気象海象情報取得手段41で取得した気象海象情報と、契約先やインターネット等から別途取得した広域気象海象情報に基づいて統合気象海象情報を生成する。また、気象海象情報提供システム90は、生成した統合気象海象情報を陸上職員3に提示するとともに、自動運航システム20へ送信する。これにより、統合気象海象情報を参考に操船計画や航海計画を修正することができる。また、自動運航システム20においては統合気象海象情報を考慮して操船計画を策定できるため、先の航路を考慮した、より正確な操船計画を得ることができる。
運航設計領域確認手段10は、自動運航システム20が正常に作動するように設定された運航設計領域(ODD:Operational Design Domain)から自動運航船1が逸脱していないかを監視する。陸上職員3は、運航設計領域確認手段10を用いて運航設計領域を確認することができる。
判断/警報手段70は、取得した自船情報及び周辺情報に基づいて、運航設計領域から逸脱したかを判断し、逸脱したと判断した場合は陸上職員3に警報する。
警報を受けた陸上職員3は、その後の自動運航の中止を判断し、判断結果を船上職員4に伝達する。自動運航中止の連絡を受けた船上職員4が手動操船に切り替えて操船することで運航の安全性を高めることができる。
船舶の運航においては、置かれた状況によって実施すべき機能(タスク)が異なり、同一の入力情報を受信した場合でも、受信時の状況によって、判断のベースとして使用するデータや、対応の導出方法が異なる場合がある。例えば、周囲に障害物が観測された際の対応方法は、離着岸時と航海中では異なると考えられる。
このような作業を運航システムが分担する場合、置かれた状況と整合したデータや導出方法が選定され使用される必要がある。そこで、この条件を整理するため、運航の状況に応じた運航フェーズを定義することが好ましい。
本実施形態における自動運航システム20は、モードとして、計画モード、離着岸モード、及び航海モードを有する。これらのモードは、操船計画策定から離岸、航海、着岸までの一連の操船の流れを、計画時、離着岸時、及び航海中の3つの運航フェーズに分類したときの各運航フェーズに対応する。これにより、航路全体にわたり自動運航船1をより適切に運航させることができる。
「計画時」とは、出港前の状態である。「離岸時」とは、自動運航船1が停泊していた岸壁から離れようとしている状態であり、岸壁から水路中央までの範囲である。「航海時」とは、自動運航船1が離岸を終えて航路を航行しており、着岸を始めるまでの状態である。「着岸時」とは、船舶が岸壁に接岸しようとしている状態であり、水路中央から岸壁に接岸するまでの範囲である。
計画モードにおける自動運航システム20の機能(タスク)は、「航海計画の修正」と「モード切替」である。
このうち、航海計画の修正は、以下のサブタスクにより構成される。
・気象海象情報取得手段41からの情報の取得
・船舶状況取得手段31からの自動運航船1の位置の取得
・情報の統合と陸上職員3への提示
・陸上職員3が入力した所与の航海計画の修正(必要時)
・修正結果と修正意図を陸上職員3へ提示
・陸上職員3による承認後の航海計画と、統合情報等を自動運航船1へ送信
また、モード切替は、以下のサブタスクにより構成される。
・航海計画の承認後に、離着岸モードへの切替
・モード切替情報の陸上職員3への提示と自動運航船1への送信
離着岸モードにおける自動運航システム20の機能(タスク)は、「離着岸のための操船計画の策定・修正」と「モード切替」である。
このうち、離着岸のための操船計画の策定・修正は、以下のサブタスクにより構成される。
・気象海象情報取得手段41からの情報の取得
・船舶状況取得手段31からの自動運航船1の位置の取得、距離情報取得手段43からの陸との距離情報の取得、障害物情報取得手段42からの障害物情報の取得、アクチュエータ61(舵や機関等)の制御情報の取得
・情報の統合と、離着岸のための操船計画の策定
・操船計画と実際の船位の偏差計算
・上記偏差の計算結果に基づく離着岸のための操船計画の修正
・統合情報と、離着岸のための操船計画(初期/修正)を陸上職員3へ提示
・陸上職員3による承認後の離着岸のための操船計画と、統合情報等を自動運航船1へ送信
また、モード切替は、以下のサブタスクにより構成される。
・離岸完了確認後に、航海モードへの切替
・モード切替情報の陸上職員3への提示と自動運航船1への送信
航海モードにおける自動運航システム20の機能(タスク)は、「避航のための操船計画の策定・修正」と「モード切替」である。
このうち、避航のための操船計画の策定・修正は、以下のサブタスクにより構成される。
・気象海象情報取得手段41からの情報の取得
・船舶状況取得手段31からの自動運航船1の位置の取得、障害物情報取得手段42からの障害物情報の取得、アクチュエータ61(舵や機関等)の制御情報の取得
・情報の統合と、避航のための操船計画の策定
・操船計画と実際の船位の偏差計算
・上記偏差の計算結果に基づく避航のための操船計画の修正
・統合情報と、避航のための操船計画(初期/修正)を陸上職員3へ提示
・陸上職員3による承認後の避航のための操船計画と、統合情報等を自動運航船1へ送信
また、モード切替は、以下のサブタスクにより構成される。
・目的地周辺への到着確認後に、着岸モードへの切替
・モード切替情報の陸上職員3への提示と自動運航船1への送信
各モードにおける気象海象情報提供システム90の機能(タスク)は、「気象海象情報及び気象海象予測情報の取得と提示」であり、以下のサブタスクで構成される。
・気象海象情報取得手段41から自動運航船1の現在地における気象海象情報の取得
・経由地/目的地の現在の気象海象情報の取得
・現在地/経由地/目的地の気象海象予測情報の取得
・情報の統合と蓄積
・自動運航システム20への情報送信
・陸上職員3への情報提示
各モードにおける運航設計領域確認手段10及び判断/警報手段70の機能(タスク)は、「運航設計領域からの逸脱の監視」であり、以下のサブタスクで構成される。
・自動運航船1が備える各手段等の状態の監視
・自動運航船1が備える各手段等が取得した情報と運航設計領域の各種条件値の比較
・運航設計領域からの逸脱を陸上職員3に知らせる警報発令
各モードにおける船上貨物監視システム80の機能(タスク)は、「船上貨物の状態の監視 」であり、以下のサブタスクで構成される。
・船上貨物の貨物状態情報の取得
・陸上職員3への提示
各モードにおける気象海象情報取得手段41の機能(タスク)は、「気象海象情報の取得」と「自己診断」である。
このうち、各モードにおける気象海象情報の取得は、以下のサブタスクで構成される。
・風向風速計及び波高計からの気象海象情報の取得と統合
・各種情報を陸上制御センター2へ送信
また、各モードにおける自己診断は、以下のサブタスクで構成される。
・自身及びセンサの状態の診断
・陸上制御センター2への診断結果送信
各モードにおける船舶状況取得手段31の機能(タスク)は、「船舶状況情報の取得」と「自己診断」である。
このうち、各モードにおける船舶状況情報の取得は、以下のサブタスクで構成される。
・GPS、ジャイロコンパス、対地/対水速度計、及びドップラーソナー等からの自動運航船1の位置(自船位置)、進行方向、及び速度等の情報の取得と統合
・船舶状況情報を陸上制御センター2へ送信
また、各モードにおける自己診断は、以下のサブタスクで構成される。
・自身及びセンサの状態の診断
・陸上制御センター2への診断結果送信
各モードにおける船上貨物状態取得手段32の機能(タスク)は、「貨物状態情報の取得 」と「自己診断」である。
このうち、各モードにおける貨物状態情報の取得は、以下のサブタスクで構成される。
・貨物監視カメラ等による貨物状態情報取得
・貨物状態情報を陸上制御センター2へ送信
また、各モードにおける自己診断は、以下のサブタスクで構成される。
・自身及びセンサの状態の診断
・陸上制御センター2への診断結果送信
障害物情報取得手段42の機能(タスク)は、計画モードにおいては「自己診断」であり、離着岸モード及び航海モードにおいては、「障害物情報の取得」と「自己診断」である。
このうち、離着岸モード及び航海モードにおける障害物情報の取得は、以下のサブタスクで構成される。
・船舶自動識別装置(AIS:Automatic Identification System)による他船情報の取得
・レーダーによる他船又は漂流物等の検出
・船上搭載カメラの映像処理による他船又は漂流物等の検出
・陸上制御センター2へ情報の送信
また、各モードにおける自己診断は、以下のサブタスクで構成される。
・自身及びセンサの状態の診断
・陸上制御センター2への診断結果送信
距離情報取得手段43の機能(タスク)は、計画モード及び航海モードにおいては「自己診断」であり、離着岸モードにおいては、「陸との距離情報の取得」と「自己診断」である。
このうち、離着岸モードにおける陸との距離情報の取得は、以下のサブタスクで構成される。
・LiDAR(Light Detection and Ranging)又は距離測計から陸との距離情報を取得(船首、船尾)
・陸上制御センター2へ情報の送信
また、各モードにおける自己診断は、以下のサブタスクで構成される。
・自身及びセンサの状態の診断
・陸上制御センター2への診断結果送信
船舶制御システム60の機能(タスク)は、計画モードにおいては「自己診断」であり、離着岸モード及び航海モードにおいては、「船舶運動制御」と「自己診断」である。
このうち、離着岸モードにおける船舶運動制御は、以下のサブタスクで構成される。
・陸上制御センター2からの離着岸のための操船計画(初期/修正)の取得
・アクチュエータ61(舵や機関等)の制御による離着岸操船の実行
・アクチュエータ61(舵や機関等)の状態情報の取得
・陸上制御センター2へのアクチュエータ61(舵や機関等)情報の送信
また、航海モードにおける船舶運動制御は、以下のサブタスクで構成される。
・陸上制御センター2からの避航のための操船計画(初期/修正)の取得
・アクチュエータ61(舵や機関等)の制御による避航操船の実行
・アクチュエータ61(舵や機関等)の状態情報の取得
・陸上制御センター2へのアクチュエータ61(舵や機関等)情報の送信
また、各モードにおける自己診断は、以下のサブタスクで構成される。
・自身及びアクチュエータ61(舵や機関等)の状態の診断
・陸上制御センター2への診断結果送信
提示手段50の機能(タスク)は、計画モードにおいては「航海計画等の提示」であり、離着岸モードにおいては「離着岸のための操船計画等の提示」であり、航海モードにおいては「避航のための操船計画等の提示」である。
このうち、航海計画等の提示は、以下のサブタスクで構成される。
・陸上制御センター2からの航海計画等の各種情報の取得
・シャドー要員等の船上職員4への情報の提示
また、離着岸のための操船計画等の提示は、以下のサブタスクで構成される。
・陸上制御センター2からの離着岸のための操船計画等の各種情報の取得
・シャドー要員等の船上職員4への情報の提示
また、避航のための操船計画等の提示は、以下のサブタスクで構成される。
・陸上制御センター2からの避航のための操船計画等の各種情報の取得
・シャドー要員等の船上職員4への情報の提示
次に、運航方法について説明する。
図2に示すように、まず、陸上制御センター2において、陸上職員3は、ウェイポイント(Way Point)と時刻を含む航海計画を自動運航システム20に入力する。これにより、自動運航システム20は所与の航海計画を取得する(ステップS1)。自動運航システム20は、気象海象情報提供システム90から取得した情報や自動運航船1の位置情報、危険物船等の航行計画、工事情報等に基づき、必要に応じて航海計画を修正する。所与の航海計画、又は陸上職員3によって承認された修正後の航海計画は、自動運航システム20から提示手段50に送信される。
また、自動運航システム20が正常に作動する運航設計領域の各種条件値は、予め運航設計領域確認手段10に設定される(ステップS2)。ここで、図3は運航設計領域の設定例を示す図である。運航設計領域は、図3に示すように、自動運航船1の水域条件、環境条件、及び内部状態を含めて設定することが好ましい。水域条件とは、航行区域や障害物等に関する条件であり、環境条件とは、気象海象や時刻等に関する条件であり、内部状態とは、運航に必要な機器の稼働状態や船体動揺の状態等である。これにより、運航設計領域をより適切に設定することができる。
一方、自動運航船1においては、自船情報取得手段30により自動運航船1の自船情報を取得し(ステップS3)、周辺情報取得手段40により周辺情報を取得する(ステップS4)。取得した自船情報及び周辺情報は、伝送部110を介して自動運航システム20等に伝送される(ステップS5)。
自動運航システム20は、航海計画、自船情報、及び周辺情報に基づいて操船計画を策定し(ステップS6)、陸上職員3に承認を求める(ステップS7)。陸上職員3の承認を得た操船計画は、自動運航システム20から提示手段50に送信される(ステップS8)。
提示手段50は、自動運航システム20から受信した操船計画を船上職員4に提示(表示)し、確認を求める(ステップS9)。
船上職員4の承認を得た操船計画は、提示手段50から制御手段100に送信される。船舶制御システム60は、操船計画に基づいて制御手段100を制御して自動運航船1を運航する(ステップS10)。
自動運航システム20から受信した操船計画は、船上職員4の確認を経ずに船舶制御システム60に入力されるが、本実施形態のように操船計画を船上職員4が確認し、自動運航の中止が必要な場合には手動操船に切り替えることで、運航の安全性を高めることができる。
運航中の自動運航船1においては、自船情報取得手段30により自船情報を取得し(ステップS11)、周辺情報取得手段40により周辺情報を取得する(ステップS12)。取得した自船情報及び周辺情報は、伝送部110を介して運航設計領域確認手段10等に伝送される(ステップS13)。
運航設計領域確認手段10は、受信した自船情報及び周辺情報に基づいて運航設計領域から逸脱したか否かを確認する(ステップS14)。また、判断/警報手段70は、自動運航船1が運航設計領域から逸脱した場合に、陸上職員3に警報を発出する(ステップS15)。
ステップS15において逸脱していない(NO)と判断された場合は、自動運航が継続される。
一方、ステップS15において逸脱した(YES)と判断した場合、判断/警報手段70は陸上職員3に警報する。
警報を受けた陸上職員3は、自動運航を継続するか、手動操船に切り替えるかなど、その後の運航を判断し、判断結果を船上職員4に伝達する(ステップS16)。なお、その伝達方法は、陸上職員3から船上職員4に対して、電話やVHF等により判断結果を直接連絡する。
自動運航船1は、陸上職員3の判断結果に基づいて運航が行われる。ここで、判断結果が、自動運航の中止だった場合は、船上職員4の手動操船による運航が行われる(ステップS17)。
なお、提示手段50が、受信した陸上職員3の判断結果を船上職員4に提示して確認を求めるようにしてもよい。陸上職員3の判断結果を船上職員4が確認することで、運航の安全性を高めることができる。
また、船上職員4が自動運航船1上に駐在しない運航方法も考えられる。この場合は、例えば、陸上職員3の判断結果が、自動運航の中止だった場合は、船上職員4の手動操船の代わりに、陸上職員3の判断結果を制御信号により船舶制御システム60に伝え、遠隔操船による運航が行われる。
このように、本発明の運航システム又は運航方法を用いることで、自動運航船1をリスクを低減して適切に運航させることができる。
また、自動運航システム20、運航設計領域確認手段10、及び判断/警報手段70という上位の意思決定を行う機能を、自動運航船1ではなく陸上制御センター2に備えることで、例えば、陸上職員3が迅速に各種情報等を把握して適切な判断を下しやすくなる。
次に、リスク解析方法、及びリスク解析システムについて説明する。
図4は自動運航船のリスク解析システムの構成図、図5は自動運航船のリスク解析方法を示す図、図6はリスク解析システムの分散設置例を示す図である。
自動運航船のリスク解析システム(以下、単に「リスク解析システム」ともいう)は、自動運航船のリスク解析方法(以下、単に「リスク解析方法」ともいう)を実行する。リスク解析方法は、自動運航船の運航方法による航海計画に従って運航される自動運航船1をモデル化して、運航上のリスクを解析するものである。
リスク解析システムは、構成要素設定手段211と、要素関係設定手段212と、図表化手段200と、図表提示手段220を備え、提示された図表に基づいて自動運航船1の運航上のリスクを解析する。
本実施形態においては、図表化手段200としてコンピュータを備え、コンピュータ200が備えるマウスやキーボード等の入力手段210を構成要素設定手段211及び要素関係設定手段212として機能させ、コンピュータ200が備える出力手段を図表提示手段220として機能させる。これにより、正確かつ迅速にリスク解析のための図表の提示を行える。
自動運航船1を対象としたリスク解析においては、ソフトウェア、ハードウェア及び人間を全体システムの一部として捉えて包括的に解析する必要がある。そこで、陸上制御センター2及び自動運航船1に配置された運航システムと、それぞれの場所に配置される人間、すなわち船長等の陸上職員3及びシャドー要員等の船上職員4について、これら全てを全体システムの一部(構成要素)として捉えてモデル化を行う。
まず、複数の構成要素を抽出し、構成要素設定手段211を用いて、抽出された各構成要素について、保有情報と、機能又は役割を設定する(構成要素設定ステップS21)。本実施形態において抽出した構成要素は、運航設計領域に関連する運航設計領域確認手段10、自動運航システム20、自船情報に関連する自船情報取得手段30、周辺情報に関連する周辺情報取得手段40、及び陸上職員3である。
次に、要素関係設定手段212を用いて、構成要素間の相互関係を設定する(要素関係設定ステップS22)。
なお、要素関係設定ステップS22においては、図表提示手段220により、予め定めた構成要素及び相互関係のフォーマットを提供することが好ましい。この場合、運航会社等は提供されたフォーマットに基づいて構成要素及び相互関係を入力できるため、作業効率を向上させることができる。
また、コンピュータ200が備える記憶手段240に、構成要素の保有情報と、機能又は役割の設定例、構成要素間の相互関係の設定例、及び自動運航船のリスク解析の解析例を保存しておき、構成要素設定ステップS21又は要素関係設定ステップS22を行おうとする運航会社等に対し、図表提示手段220によりこれらの例を提示することが好ましい。この場合、運航会社等は提示された例を参照しながら必要事項の入力や自動運航船1の概念を構想することができるため、作業効率を向上させることができる。
次に、図表化手段200は、構成要素の保有情報と、機能又は役割、及び構成要素間の相互関係を図表として表現する(図表化ステップS23)。
本実施形態におけるモデル化は、ソフトウェアのモデリング手法を標準化したUML(Unified Modeling Language)のダイアグラムのうち、静的モデルの一つであるクラス図を応用し、以下の手順で実施する。なお、下表1は自動運航船1のモデル化における構成要素の保有情報と、機能又は役割の記載例である。
Figure 2022176826000002
1)図表化手段200を用いて、構成要素設定手段211で抽出された、各運航フェーズで機能する構成要素(当該運航フェーズで使用する手段又はシステム等や、当該運航フェーズにおいて役割のある人間)の名称を表1の上段に記載する。
2)図表化手段200を用いて、抽出された構成要素について、各構成要素が当該運航フェーズで担当する機能(タスク)又は役割を整理し、これを表1の下段に箇条書きで記載する。
3)図表化手段200を用いて、各構成要素が機能(タスク)を実行する際に必要となる保有情報を、表1の中段に箇条書きで記載する。
4)全ての構成要素について1)~3)の作業を行い、図表化手段200を用いて、構成要素どうしの関係が分かるように、情報の送受信等の相互作用を矢印で表現し、矢印に近接した位置に作用の内容や入出力される情報を記載する。
このように、図表化ステップS23において図表として表現するに当たり、UMLのクラス図を応用して構成要素の保有情報と、機能又は役割及び構成要素間の相互関係を表現し、自動運航船1及び陸上制御センター2をモデル化することにより、UMLを応用して各構成要素の保有情報や、機能又は役割、及び相互関係を分解して記述し、自動運航船1及び陸上制御センター2をモデル化するためリスク解析がしやすくなる。なお、運航フェーズによって各構成要素の機能(タスク)が変化することを考慮し、モデルの作成も運航フェーズごとに行う。
図7から図9は作成された図表の例を示す図であり、図7は計画時、図8は離着岸時、図9は航海中のものである。運航システムと、陸上職員3及び船上職員4を全体システムの構成要素として捉えてモデル化している。
それぞれの運航フェーズで使用しない手段等については、 その手段等自身に異常がないか、又は、その手段に接続されているセンサまたはアクチュエータ61に異常がないかを診断し、その診断結果を陸上制御センター2に送信する機能のみが、当該運航フェーズにおける機能(タスク)として記載されている。
図7から図9において、白色のボックスで示されている構成要素は、手段やセンサ、アクチュエータ61等の機器類を表し、灰色のボックスで示されている構成要素は人間を表す。ボックスで示していない要素(運航会社、他船、ポートラジオ等)は、リスク解析の対象外としている。また、センサ及びアクチュエータ61については簡略化して記載している。なお、各構成要素の機能(タスク)のうち、単純なデータの送受信はボックス内では省略し、構成要素間の相互作用の矢印の傍に、送受信される情報を添えることで表現している。
図表提示手段220は、図表化手段200により表現された図表をコンピュータが備えるモニターやディスプレイ等の表示部230を介して提示する。運航会社等は、提示された図表に基づいて自動運航船1の運航上のリスクを解析する(リスク解析ステップS24)。
リスク解析ステップS24においては、モデル化された自動運航船1及び陸上制御センター2のモデルを用いて、仮定の質問を繰り返してブレインストーミングを実行し、ハザード(危険要因)を同定してハザードに関するリスクを解析することが好ましい。これにより、例えば、専門家チームによるブレインストーミングを行うことで、ハザードに関するリスクを精度よく解析することができる。
図10はワークシートの例を示す図である。
図表化手段200は、仮定の質問を繰り返しブレインストーミングにより通常からの逸脱を抽出する方法によりハザードを同定し解析するためのワークシートを生成する。
ブレインストーミングの実行に当たっては、解析対象のシステムを記載するシステム欄と、解析対象の構成要素に関するハザードとその原因、結果、及び対策を記載する原因欄、結果欄、及び対策欄を一覧表にまとめたワークシートを用いることが好ましい。これにより、ハザードに関するリスクをより精度よく解析することができる。
本実施形態では、運航フェーズ別のモデルを参照しながら、図10のようなSWIFT(Structured What IF Technique)ワークシートを利用して仮想の自動運航船1のハザードを同定する。ワークシートは、自動運航船1の操船の計画時、離着岸時、及び航海中の3つの運航フェーズ別に作成することにより、航路全体にわたり運航フェーズに応じてハザードを精度よく解析することができる。
解析上の分類として、全体システムを陸上制御センター2と自動運航船1に分割してそれぞれ「System」欄に記載し、それぞれに属する構成要素を「Sub-system」欄に記載する。「Phase」欄には計画時、離着岸時、又は航海中のいずれかを記載し、全ての構成要素について運航フェーズごとにワークシートを作成する。図表化手段200を用い、各ワークシートで解析対象の構成要素に関するハザードとその原因、結果、対策を一覧表にまとめる。
本実施形態では、さらに、各ハザードに対する既存の防御手段、結果の重大性指標(SI)、頻度指標(FI)、及びリスク指標(RI)をワークシートに記載する。なお、リスク指標(RI)は、結果の重大性指標(SI)と頻度指標(FI)を用いて推定する。これにより、これらの指標により半定量的にリスクの大きさが評価でき、例えば、現状でのリスク指標(RI)が大きいハザードには、追加の対策の検討と、対策導入後のリスク指標(RI)の推定により、追加の対策の有効性の評価を行うことができる。
SWIFTは、従来から使用されているハザード同定手法の一つであり、ワークシートを利用して「もし~だったら」という質問を繰り返し、通常操作からの逸脱を、専門家チームによるブレインストーミング(HAZID (Hazard Identification)会議)で抽出する手法である。開発初期段階から詳細設計段階まで幅広く適用できることや、ハザードの結果を想定してリスク指数(Risk Index: RI)を算出し、半定量的にリスクの大きさの評価ができるという特徴がある。
本発明者らは、従来からSWIFTを網羅的に行うための工夫を行ってきており、特に大規模システムでは、全体システムのリスク解析という観点で、そのシステムの構成要素や要素間の関係を、解析に適したレベルの詳細さ、情報量で定義することにより、HAZID会議を行う場合などにおいても参加する専門家間での意識の共有を促進できることが分かっている。
SWIFTにはシステム構成図の作成・利用等について決められた方法はなく、何を手掛かりにブレインストーミングを行うかは自由である。従来のようにハードウェアの役割が大きいシステムでは、ハードウェアを中心としたシステム構成図等を利用し、各構成要素に対しFMEA(Failure Mode and Effects Analysis)のようにあり得る故障モードを想定してその影響を考えることが解析の中心であった。しかし、ソフトウェアや人間を解析対象に含む場合、従来のようなシステム構成図を利用するだけではシステム全体の理解を促す役割が不十分である。
これに対し、本実施形態のように、UMLのクラス図を応用したモデル図を作成すし、解析時にこれらを参照することで、ソフトウェアや人間の役割が大きいシステムでも、各構成要素の機能や情報の送受信について故障モードを考えることができる。
なお、ブレインストーミングの方法として、SWIFTに代えてHAZOP(HAZard and OPerability studies)等の手法を用いることも可能である。
本実施形態の解析対象には、ハードウェア、ソフトウェア及び人間が全体システムの構成要素として含まれ、ハードウェアに対しては、従来のリスク解析と同様、機器の不具合等に由来するハザードが存在する。一方、ソフトウェアに対しては、未発見のバグの存在や、仕様が要求に合致していないことによるハザード、サイバーセキュリティに関するハザードも考慮する必要がある。また、人間との相互作用として、ハードウェア、ソフトウェアのいずれについても、開発者の意図せぬ使用方法が原因で発生するハザードも考慮すべきである。
さらに、ソフトウェアや人間においてはモードエラーや思い込み、コミュニケーションエラー等、状況認識に関するハザードも、解析時に考慮すべき重要な問題である。
人間やソフトウェアは、状況に応じた判断・行動を行うが、時に実際とは異なる状況であると認識してしまうことがある。また、複数の人間やソフトウェアを含むシステムでは、それらの構成要素間で共有される情報が異なる意味で使用されてしまうことがある。
モードエラーとは、運航フェーズのような想定すべき状況に関して、情報の伝達時に構成要素間で共通の前提条件としてモード切替情報を保持すべきであるが、この前提条件が一致していないために、情報が伝達先で適切に処理されないという問題が起こることを表しており、このような状況をハザードとして意識的に抽出する必要がある。また、本実施形態の解析対象のような、人間によるフォールバックを想定する自動運航船1の運航方法又は運航システムにおいては、運航設計領域からフォールバックが必要な領域への遷移の際に生じうるハザードについても考える必要がある。
計画時、離着岸時、航海中の各運航フェーズにおいて同定されたハザードと、その原因、結果及び考え得る対策の例を示す。ひとつのハザードが複数の原因により生じる場合や、ひとつのハザードから複数の結果が想定される場合には、可能な範囲で集約した形で全て列挙する。
(1)計画時のハザード
一例として、陸上制御センター2の自動運航システム20(計画モード)に関して同定されたハザードと、その原因、結果及び考え得る対策は次の通りである。
<ハザード>
不適切な航海計画が船長等の陸上職員3に承認される。
<原因>
・陸上職員3による注意喚起情報の入力誤り(自動運航システム20が誤った情報を基に航海計画を修正)
・陸上職員3の確認不足や判断誤り
・自動運航システム20による修正後の航海計画の提示の分かりにくさ(陸上職員3の誤解を招く)
<結果>
・計画時に考慮されていなかった工事や危険物船等に、航海中に遭遇し、迂回等の必要が発生して運航に遅延が生じる。
・計画時に考慮されていなかった工事や危険物船等との遭遇に気づくのが遅れ、工事海域に侵入または危険物船等と衝突する。
<対策>
・運航会社からの注意喚起情報の伝達先を陸上職員3と船上職員4とし、航海計画が不適切な場合、船上職員4が気づくようにする。
(2)離着岸時のハザード
一例として、船上の自船情報取得手段30に関して同定されたハザードと、その原因、結果及び考え得る対策は次の通りである。
<ハザード>
誤った自動運航船1の位置情報(自船位置情報)が自動運航システム20(離着岸モード)に送信される。
<原因>
・GPS等のセンサ類の異常
・GPS情報等のスプーフィング(なりすまし、誤った情報へのすり替え)
・センサ類からの情報の受信機能の異常
・自動運航システム20への送信機能の異常
・船陸間通信機器の異常
・陸上に送信した自船位置情報のスプーフィング
<結果>
・誤った自船位置情報に基づく離着岸操船計画が立案され、岸壁等に衝突する。
<対策>
・複数センサ(陸からの距離測計を含む)による自動運航船1の位置の確認を行うことで、異常な位置情報を無視できるようなアルゴリズムを構築する。
(3)航海中のハザード
一例として、陸上制御センター2の自動運航システム20(航海モード)に関して同定されたハザードと、その原因、結果及び考え得る対策は次の通りである。
<ハザード>
船舶制御システム60に不適切な操船計画が送信される。
<原因>
・自動運航船1の制御性能の経年劣化等による、自動運航システム20が保有する情報との差異の発生
・自動運航船1の位置や障害物情報の入力情報の誤り
・船陸間通信機器の異常
・船舶制御システム60に送信される操船計画のスプーフィング
<結果>
・自動運航船1の制御性能を超えた無理な操船指令により、舵や機関に損傷が発生する。
・他船や漂流物等の障害物の避航に失敗し、衝突する。
<対策>
・定期的に自動運航船1の制御性能の確認と自動運航システム20の保有情報の更新を行う。
・センサ類、船上システム及び船陸間通信の信頼性、冗長性の向上により、入力情報の誤りの発生を防止する。
本実施形態のように、自動運航船1を対象に、UMLのクラス図の応用によりシステム構成をモデル化し、そのモデルを用いてSWIFTによりハザードを同定する手法により、人間とソフトウェアの相互作用(人間による承認)や、情報の送受信に関するハザードを同定することができる。また、それらハザードの原因として、従来のリスク解析で扱われていた機器の不具合等に加え、人間によるソフトウェアへの入力の誤りや、確認不足、判断の誤り、自動化システムのヒューマンマシンインターフェイスの問題(誤解を招く情報の提示方法)を抽出できる。
なお、リスク解析ステップにおいては、STAMP/STPAを適用することもできる。STAMP/STPAは、システムの構成要素間の相互作用に潜むハザードを解析するという手法上の特徴から、自動運航船1のリスク解析に適している。リスク解析にSTAMP/STPAを適用する場合は、STAMP/STPA用のワークシートを用いる。
このように、本発明のリスク解析システム又はリスク解析方法を用いることで、提示された図表に基づいて自動運航船1に関するリスク解析を適切に行うことができる。
また、図6に示す例では、A社、B社、研究機関等のC機関、及びホストコンピュータ201が情報通信網で接続されている。
A社及びB社にはノートパソコン等の端末コンピュータ202が設置されており、端末コンピュータ202は、構成要素設定手段211及び要素関係設定手段212として機能する入力手段210と、表示部230を有する他、構成要素設定手段211及び要素関係設定手段212により設定された設定情報を出力する出力部205と、情報通信網を介した通信に用いる通信部203を有する。
サーバー等のホストコンピュータ201は、図表化手段200として機能する。また、ホストコンピュータ201は、出力手段(図表提示手段)220、表示部230、記憶手段240の他に、情報通信網を介した通信に用いる通信部203を有する。また、マウスやキーボード等の入力部204が接続されている。
なお、出力手段(図表提示手段)220からの出力は、情報通信網を介して、少なくとも設定情報が入力された入力手段210に返信し、端末コンピュータ202の表示部230を出力手段(図表提示手段)220として機能させることもできる。
また、ホストコンピュータ201、入力手段210、出力手段(図表提示手段)220は、任意に組み合わせて情報通信網で接続することができる。
このように、リスク解析システムは、コンピュータ200、入力手段210、及び出力手段220を、情報通信網を介して別の場所に設置することができる。これにより、入力から出力までを一つのコンピュータで完結させずともリスク解析を行うことが可能となり、リスク解析システムの導入負担を軽減することができ、例えば、情報通信網を介して複数の利用者が利用することが可能となる。
次に、本発明の他の実施形態による自動運航船の運航システムについて説明する。なお、上記した実施形態と同一機能部材については同一符号を付して説明を省略する。
図11は本実施形態による運航システムを示す図である。
本実施形態においては、運航設計領域確認手段10、自動運航システム20、判断/警報手段70、船上貨物監視システム80、及び気象海象情報提供システム90についても、自動運航船1に設けている。この場合、陸上制御センター2に配置されている陸上職員3は、通信回線を通じて運航システムにアクセスする。
また、運航システムを構成する各手段やシステム等は、図1又は図11に示す配置以外にも、陸上制御センター2と自動運航船1における機能として必須のもの以外は、任意に振り分けて設置することが可能である。
また、本実施形態の運航システム、及びその他の設置態様の運航システムにおいても、上記した実施形態における自動運航船の運航方法、リスク解析方法、及びリスク解析システムを同様に適用することができる。
本発明を適用ことで、自動運航船を安全かつ適切に運航すること、また自動運航船の運航上のリスクを適切に解析することができる。また、本発明は自動運航船への適用を基本とするが、他の自動運航される移動体にも適用が可能であり、その場合は、本発明の技術的な表現を、その移動体に適合した表現に読み替えるものとする。
1 自動運航船
2 陸上制御センター
3 陸上職員
4 船上職員
10 運航設計領域確認手段
20 自動運航システム
21 計画策定手段
30 自船情報取得手段
31 船舶状況取得手段
32 船上貨物状態取得手段
33 システム状態情報取得手段
40 周辺情報取得手段
41 気象海象情報取得手段
42 障害物情報取得手段
43 距離情報取得手段
50 提示手段
51 表示手段
60 船舶制御システム
61 アクチュエータ
70 判断/警報手段
80 船上貨物監視システム
90 気象海象情報提供システム
200 図表化手段(コンピュータ)
210 入力手段
211 構成要素設定手段
212 要素関係設定手段
220 図表提示手段(出力手段)
240 記憶手段
S21 構成要素設定ステップ
S22 要素関係設定ステップ
S23 図表化ステップ
S24 リスク解析ステップ

Claims (29)

  1. 航海計画に従って運航される自動運航船の運航方法であって、自動運航システムが正常に作動する運航設計領域を設定し、前記自動運航船の自船情報及び周辺情報を取得し、前記自動運航システムで前記航海計画、前記自船情報、及び前記周辺情報に基づいて操船計画を策定し、前記操船計画を陸上制御センターの陸上職員の承認を経て前記自動運航船に提示するとともに、前記自動運航船を前記操船計画に基づいて運航させ、さらに取得した前記自船情報及び前記周辺情報に基づいて前記運航設計領域を確認した結果をもとに、前記運航設計領域から逸脱したかを判断し、前記運航設計領域から逸脱した場合に前記陸上職員に警報し、その後の運航を前記陸上職員が判断することを特徴とする自動運航船の運航方法。
  2. 前記自動運航船に少なくとも前記操船計画、及び前記陸上職員の判断結果を提示し、提示された前記操船計画、及び前記陸上職員の判断結果を前記自動運航船の船上職員が確認することを特徴とする請求項1に記載の自動運航船の運航方法。
  3. 前記自船情報は、前記自動運航船の位置、進行方向、及び速度を含む船舶状況情報と、船上貨物の貨物状態情報と、アクチュエータを有する船舶制御システムのシステム状態情報を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動運航船の運航方法。
  4. 前記船上貨物の状態を船上貨物監視システムで監視し、前記貨物状態情報を取得することを特徴とする請求項3に記載の自動運航船の運航方法。
  5. 前記周辺情報には、気象海象情報、他船又は漂流物を含む障害物情報、及び陸との距離情報を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の自動運航船の運航方法。
  6. 前記自動運航船で取得した前記気象海象情報と、別途取得した広域気象海象情報を気象海象情報提供システムで処理して統合気象海象情報として提示することを特徴とする請求項5に記載の自動運航船の運航方法。
  7. 前記統合気象海象情報を前記自動運航システムにおける前記操船計画の策定に当たり考慮することを特徴とする請求項6に記載の自動運航船の運航方法。
  8. 前記運航設計領域には、前記自動運航船の水域条件、環境条件、及び内部状態を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の自動運航船の運航方法。
  9. 前記自動運航システムには、前記自動運航船の操船計画策定から離岸、航海、着岸までの一連の運航の流れを、計画時、離着岸時、及び航海中の3つの運航フェーズに分類したとき、3つの前記運航フェーズに対応する前記自動運航システムのモードとして、計画モード、離着岸モード、及び航海モードを含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の自動運航船の運航方法。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の自動運航船の運航方法により、航海計画に従って運航される自動運航船をモデル化して運航上のリスクを解析する自動運航船のリスク解析方法であって、前記運航設計領域に関連する運航設計領域確認手段、前記自動運航システム、前記自船情報に関連する自船情報取得手段、前記周辺情報に関連する周辺情報取得手段、及び前記陸上職員の保有情報と、機能又は役割を明確にして構成要素として設定する構成要素設定ステップと、前記構成要素間の相互関係を設定する要素関係設定ステップと、前記構成要素の前記保有情報と、前記機能又は前記役割、及び前記構成要素間の前記相互関係を図表として表現する図表化ステップと、前記図表に基づいて前記自動運航船の運航上の前記リスクを解析するリスク解析ステップとを有することを特徴とする自動運航船のリスク解析方法。
  11. 前記図表化ステップにおいて前記図表として表現するに当たり、UML(Unified Modeling Language)のクラス図を応用して前記構成要素の前記保有情報と、前記機能又は前記役割及び前記構成要素間の前記相互関係を表現し、前記自動運航船及び前記陸上制御センターをモデル化することを特徴とする請求項10に記載の自動運航船のリスク解析方法。
  12. モデル化された前記自動運航船及び前記陸上制御センターのモデルを用いて、仮定の質問を繰り返しブレインストーミングを実行し、ハザードを同定して前記ハザードに関する前記リスクを解析することを特徴とする請求項11に記載の自動運航船のリスク解析方法。
  13. 前記ブレインストーミングの実行に当たっては、前記自動運航船と前記陸上制御センターに分割したシステム欄と、解析対象の前記構成要素に関する前記ハザードとその原因、結果、及び対策を記載する原因欄、結果欄、及び対策欄を一覧表にまとめたワークシートを用いることを特徴とする請求項12に記載の自動運航船のリスク解析方法。
  14. 前記ワークシートを前記自動運航船の操船の計画時、離着岸時、及び航海中の3つの前記運航フェーズ別に作成することを特徴とする請求項13に記載の自動運航船のリスク解析方法。
  15. 前記ワークシートに、前記ハザードに対する既存の防御手段と、結果の重大性指標(SI)、頻度指標(FI)、及び前記重大性指標(SI)と前記頻度指標(FI)より算出されるリスク指標(RI)を含むことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の自動運航船のリスク解析方法。
  16. 航海計画に従って運航される自動運航船の運航システムであって、設定された自動運航システムが正常に作動する運航設計領域を確認する運航設計領域確認手段と、運航を計画する前記自動運航システムと、前記自動運航船の自船情報を取得する自船情報取得手段と、周辺情報を取得する周辺情報取得手段と、前記航海計画、前記自船情報、及び前記周辺情報に基づいて操船計画を策定する前記自動運航システムの計画策定手段と、前記操船計画を前記自動運航船に提示する提示手段と、提示された前記操船計画に基づいて前記自動運航船を操船する船舶制御システムと、さらに取得した前記自船情報及び前記周辺情報に基づいて前記運航設計領域を確認した結果をもとに、前記運航設計領域から逸脱したかを判断し、逸脱した場合に陸上制御センターの陸上職員に警報する判断/警報手段とを備えたことを特徴とする自動運航船の運航システム。
  17. 前記提示手段として、前記操船計画に加え前記陸上職員の判断結果を表示する表示手段を前記自動運航船に備えたことを特徴とする請求項16に記載の自動運航船の運航システム。
  18. 前記自船情報取得手段は、前記自動運航船の位置、進行方向、及び速度を取得する船舶状況取得手段と、船上貨物の状態を取得する船上貨物状態取得手段と、前記船舶制御システムの状態を取得するシステム状態情報取得手段を含むことを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の自動運航船の運航システム。
  19. 前記船上貨物状態取得手段で取得した前記船上貨物の状態に基づいて、前記船上貨物の状態を監視する船上貨物監視システムを備えたことを特徴とする請求項18に記載の自動運航船の運航システム。
  20. 前記周辺情報取得手段は、気象海象情報取得手段と、他船及び漂流物を検出する障害物情報取得手段と、陸との距離情報を取得する距離情報取得手段を含むことを特徴とする請求項16から請求項19のいずれか1項に記載の自動運航船の運航システム。
  21. 前記気象海象情報取得手段で取得した気象海象情報と、別途取得した広域気象海象情報に基づいて統合気象海象情報を生成する気象海象情報提供システムを備えたことを特徴とする請求項20に記載の自動運航船の運航システム。
  22. 前記自動運航システム、前記運航設計領域確認手段、及び前記判断/警報手段を前記陸上制御センターに備えたことを特徴とする請求項16から請求項21のいずれか1項に記載の自動運航船の運航システム。
  23. 請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の自動運航船のリスク解析方法を実行する自動運航船のリスク解析システムであって、前記構成要素としての前記運航設計領域確認手段、前記自動運航システム、前記自船情報取得手段、前記周辺情報取得手段、及び前記陸上職員の保有情報と、機能又は役割を設定する構成要素設定手段と、前記構成要素間の相互関係を設定する要素関係設定手段と、前記構成要素の前記保有情報と、前記機能又は前記役割、及び前記構成要素間の前記相互関係を図表として表現する図表化手段と、表現された前記図表を提示する図表提示手段とを備え、提示された前記図表に基づいて前記自動運航船の運航上のリスクを解析可能とすることを特徴とする自動運航船のリスク解析システム。
  24. 前記図表化手段は、UML(Unified Modeling Language)のクラス図を応用して前記自動運航船及び前記陸上制御センターをモデルとしてモデル化することを特徴とする請求項23に記載の自動運航船のリスク解析システム。
  25. 前記図表化手段は、仮定の質問を繰り返しブレインストーミングにより通常からの逸脱を抽出する方法によりハザードを同定し解析するためのワークシートを生成することを特徴とする請求項24に記載の自動運航船のリスク解析システム。
  26. 前記図表化手段としてコンピュータを備え、前記コンピュータの入力手段を前記構成要素設定手段及び前記要素関係設定手段として機能させ、前記コンピュータの出力手段を前記図表提示手段として機能させることを特徴とする請求項23から請求項25のいずれか1項に記載の自動運航船のリスク解析システム。
  27. 前記図表提示手段が、予め定めた前記構成要素及び前記相互関係のフォーマットを提供することを特徴とする請求項23から請求項26のいずれか1項に記載の自動運航船のリスク解析システム。
  28. 前記コンピュータが記憶手段を備え、前記図表提示手段が、前記記憶手段に記憶された前記構成要素の前記保有情報と、前記機能又は前記役割の設定例及び前記構成要素間の前記相互関係の設定例、又は前記自動運航船の前記リスク解析の解析例の少なくとも一方を提示することを特徴とする請求項23から請求項27のいずれか1項に記載の自動運航船のリスク解析システム。
  29. 前記コンピュータ、前記入力手段、及び前記出力手段を、情報通信網を介して別の場所に設置したことを特徴とする請求項26、又は請求項26を引用する請求項27若しくは請求項28に記載の自動運航船のリスク解析システム。
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