JP2022156293A - 光学材料用重合性組成物の製造方法、光学材料用透明樹脂及びその製造方法、並びにレンズ基材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを用いながらも、ポリチオウレタン系の樹脂組成物の調製時において白濁化ないしはゲル化の発生が抑制された、光学材料用重合性組成物の新規な製造方法等を提供する。【解決手段】芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合して混合物を得る工程、並びに得られた前記混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合する工程、を少なくとも有する、光学材料用重合性組成物の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、光学材料用重合性組成物の製造方法、光学材料用透明樹脂及びその製造方法、並びにレンズ基材及びその製造方法等に関する。
従来、脂環族ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させることにより高屈折率を有するポリチオウレタン系プラスチックレンズが得られることが知られている。この種のプラスチック材料は、無機レンズに比べ軽量で割れ難いため、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。
例えば、特許文献1には、第一成分のイソホロンジイソシアナートと、第二成分の1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパンと、第三成分のヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシナート、シクロヘキシルイソシナート、α,α,α',α'-テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(
2-メルカプトエチル)スルフィド、3,6-ジチアオクタン-1,8-ジメルカプタンの化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物と、からなるプラスチックレンズ用組成物が開示されている。
2-メルカプトエチル)スルフィド、3,6-ジチアオクタン-1,8-ジメルカプタンの化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物と、からなるプラスチックレンズ用組成物が開示されている。
特許文献2には、ジシクロメタン-4,4'-ジイソシアネートや4,4-イソプロピ
リデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の特定構造の脂環族イソシアネート化合物と、1,2-ビス〔(2-メルカプトエチル)チオ〕-3-メルカプトプロパンチオール化合物とを含有するプラスチックレンズ用組成物が開示されている。
リデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の特定構造の脂環族イソシアネート化合物と、1,2-ビス〔(2-メルカプトエチル)チオ〕-3-メルカプトプロパンチオール化合物とを含有するプラスチックレンズ用組成物が開示されている。
特許文献3には、(A)イソホロンジイソシアネートと、(B)ビス(メルカプトエチル)スルフィド、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチエタンから選択される少なくとも一種のチオールと、(C)特定構造の酸性リン酸エステルと、(D)特定構造のスズ化合物と、含む光学材料用重合性組成物が開示されている。
特許文献4には、脂環式ポリイソシアナート(A-1)、非環式脂肪族ポリイソシアナート(A-2)、4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール及び5,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールの混合物であるポリチオール(B-1)、及びトリメチロールプロパントリス(チオグリコラート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)、1,4-ブタンジオールビス(チオグリコラート)及び1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトプロピオナート)からなる群から選択されるポリチオール(B-2)を含むポリチオールと、を含有する重合性組成物が開示されている。
しかしながら、上記の従来技術の重合性組成物は、いずれも、脂環族ポリイソシアネート化合物と脂肪族ないしは脂環族ポリチオール化合物とを組み合わせたものである。ポリイソシアネート化合物としては、脂環族ポリイソシアネート化合物の他に芳香族ポリイソシアネートも知られているが、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネート化合物とを、ポリチオール化合物に併用する試みは何ら報告されていない。
そして、本発明者らの知見によれば、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物との混合物は、相溶性が極めて悪く、そのため混合物の調製時に、粘度の極度な増加と流動性の大幅な低下ないしは消失が生じて白濁化ないしはゲル化し、均一な樹脂組成物が得られないことが判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の一態様は、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを用いながらも、ポリチオウレタン系の樹脂組成物の調製時において白濁化ないしはゲル化の発生が抑制された、光学材料用重合性組成物の新規な製造方法等を提供することにある。
また、本発明の別の一態様は、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを用いた、透明性及び耐熱性に優れる新規な透明樹脂、並びにこれを再現性よく安定して製造可能な新規な製造方法等を提供することにある。
また、本発明の他の一態様は、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを用いた、高屈折率で透明性及び耐熱性に優れる新規なレンズ基材、並びにこれを再現性よく安定して製造可能な新規な製造方法等を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物有機リン系化合物を用いた重合性組成物の調製時の混合条件に着目して鋭意検討した結果、所定の混合条件下であれば、上述した調製時の白濁化ないしはゲル化が抑止され、透明性及び耐熱性に優れる新規な透明樹脂やレンズ基材等を再現性よく安定して得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
〔1〕芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合して混合物を得る工程、並びに得られた前記混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合する工程、を少なくとも有する、光学材料用重合性組成物の製造方法。
〔2〕前記芳香族ポリイソシアネートと前記ポリチオール化合物との配合割合が、20:80~55:45である〔1〕に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
〔3〕前記芳香族ポリイソシアネートと前記脂環族ポリイソシアネートとの配合割合が、25:75~70:30である〔1〕又は〔2〕に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
〔4〕前記混合物を得る前記工程では、重合触媒をさらに混合する〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
〔5〕前記芳香族ポリイソシアネートが、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びキシリレンジイソシアネートよりなる群から選択される1種以上を含む〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
〔6〕前記ポリチオール化合物が、脂肪族ポリチオール化合物を含む〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
〔7〕前記ポリチオール化合物が、ポリオール化合物と、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、チオ乳酸、及びチオサリチル酸よりなる群から選択される1種以上とのエステル化合物を含む〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
〔8〕前記ポリチオール化合物が、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、4-メルカプトメチル-3,6-ジチアオクタン-1,8-ジチオール、ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール(「ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチア-1,11-ウンデカンジチオール」とも呼ばれる;4,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール及び5,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールからなる群から選択される異性体の一種又はこれら異性体の二種もしくは三種の混合物)よりなる群から選択される1種以上を含む〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
〔9〕前記脂環族ポリイソシアネートが、ビス(4-イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ノルボルネンジイソシアネート及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンよりなる群から選択される1種以上を含む〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
〔10〕芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合して混合物を得る工程、得られた混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合して重合性組成物を得る工程、並びに得られた重合性組成物を重合する工程を少なくとも有する、光学材料用透明樹脂の製造方法。ここで上記〔10〕の製造方法においては、上記〔2〕~〔9〕のいずれか一項に記載の技術的特徴をさらに有することが好ましい。
〔11〕芳香族ポリイソシアネート、メルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物、及び脂環族ポリイソシアネートを少なくとも含有する重合性組成物の硬化物であり、0.30%以下のヘイズ値(肉厚1.8mm換算)を有し、125℃以上160℃以下の熱変形開始温度(TMAペネトレーション法)を有する光学材料用透明樹脂。
〔12〕芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合して混合物を得る工程、得られた混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合して重合性組成物を得る工程、並びに得られた重合性組成物を注型重合する工程を少なくとも有する、レンズ基材の製造方法。ここで上記〔12〕の製造方法においては、上記〔2〕~〔9〕のいずれか一項に記載の技術的特徴をさらに有することが好ましい。
〔13〕芳香族ポリイソシアネート、メルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物、及び脂環族ポリイソシアネートを少なくとも含有する重合性組成物の硬化物であり、1.650以上1.680以下の屈折率(肉厚1.8mm換算)を有し、0.30%以下のヘイズ値(肉厚1.8mm換算)を有し、125℃以上160℃以下の熱変形開始温度(TMAペネトレーション法)を有する、レンズ基材。
本開示の一態様によれば、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを用いながらも、ポリチオウレタン系の樹脂組成物の調製時において白濁化ないしはゲル化の発生が抑制された、光学材料用重合性組成物の新規な製造方法等を提供することができる。これにより、透明性及び耐熱性に優れる新規なポリチオウレタン系透明樹脂や高屈折率で透明性及び耐熱性に優れる新規なポリチオウレタン系レンズ基材等を、再現性よく安定して製造することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本開示の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、本明細書において、例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
[光学材料用重合性組成物の製造方法]
本実施形態の光学材料用重合性組成物の製造方法は、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合して混合物を得る工程(以降において、単に「プレ混合工程S1」と称する場合がある。)、並びに得られた前記混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合する工程(以降において、単に「混合工程S2」と称する場合がある。
本実施形態の光学材料用重合性組成物の製造方法は、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合して混合物を得る工程(以降において、単に「プレ混合工程S1」と称する場合がある。)、並びに得られた前記混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合する工程(以降において、単に「混合工程S2」と称する場合がある。
本発明者らの知見によれば、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物との混合物は、相溶性が極めて悪く、そのため混合物の調製時に、粘度の極度な増加と流動性の大幅な低下ないしは消失が生じて、得られる樹脂組成物が白濁化ないしはゲル化し、均一な樹脂組成物が得られないことが見出された。
さらに検討を進めると、(a)芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとの相溶性は極めて悪く、また、(b)脂環族ポリイソシアネートとポリチオール化合物との相溶性も両ことは言えず、いずれも白濁化ないしはゲル化が生じやすいことが見出された。脂環族ポリイソシアネートは比較的に疎水性が高くまた嵩高い立体構造を有するものが多いためと推察される。これに対し、(c)芳香族ポリイソシアネートとポリチオール化合物との相溶性は比較的に良好であり、白濁化ないしはゲル化が生じ難い傾向にあることを見出された。そしてさらに、芳香族ポリイソシアネートとポリチオール化合物とを予め混合するプレ混合工程S1を行った後に、脂環族ポリイソシアネートをさらに混合する混合工程S2を行えば、上述の(a)及び(b)に起因する白濁化ないしはゲル化も生じ難い傾向にあることが見出された。プレ混合工程S1において芳香族ポリイソシアネートとポリチオール化合物が一部反応してプレポリマー化し、これにより混合工程S2での脂環族ポリイソシアネートとの相溶性が高められているものと推察される。
以上のとおり、上記のプレ混合工程S1及び混合工程S2の2段混合を採用することで、ポリチオウレタン系の樹脂組成物の調製時において白濁化ないしはゲル化の発生を抑制でき、これにより均一な新規組成の樹脂組成物を得ることができる。これにより、透明性及び耐熱性に優れる新規組成のポリチオウレタン系透明樹脂、高屈折率で透明性及び耐熱性に優れる新規組成のポリチオウレタン系レンズ基材等を、再現性よく安定して製造することができる。また、脂環族ポリイソシアネートを用いた従来技術のプラスチックレンズ等は、比較的に耐熱性が高いものでは屈折率が1.600以下に留まり、屈折率が1.600を超えるもので耐熱性が高いプラスチックレンズを実現できていない。これに対して、上記方法で得られる新規組成のプラスチックレンズ等では、高屈折率モノマーとして芳香族ポリイソシアネートを併用しているため、高い屈折率、透明性及び耐熱性を兼ね備えることができる。なお、本発明及び本明細書において、「ポリチオウレタン系」とは、ポリイソシアネートが有するイソシアネート基とポリチオールが有するチオール基との反応(チオウレタン化反応)により形成されるチオウレタン結合を有するものを意味する。以下、各構成について、詳述する。
<プレ混合工程S1>
このプレ混合工程S1では、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合する。なお、光学材料用重合性組成物の成分として使用可能な化合物の中には、二種以上の異性体を有するものがあるが、そのような化合物については、二種以上の異性体の混合物を使用してもよく、二種以上の異性体のうちの一種を単独で使用してもよい。
このプレ混合工程S1では、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合する。なお、光学材料用重合性組成物の成分として使用可能な化合物の中には、二種以上の異性体を有するものがあるが、そのような化合物については、二種以上の異性体の混合物を使用してもよく、二種以上の異性体のうちの一種を単独で使用してもよい。
(芳香族ポリイソシアネート)
芳香族ポリイソシアネートは、1分子あたり1以上の芳香族環と1分子あたり2以上のイソシアネート基(-NCO)とを有する多官能イソシアネートである。芳香族ポリイソシアネートが有する芳香族環の数は、1分子あたり1以上であり、好ましくは1~3であり、より好ましくは1又は2である。芳香族ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の数は、1分子あたり2以上であり、好ましくは2~4であり、より好ましくは2又は3である。なお、イソシアネートはイソシアナートと呼ばれることもある。芳香族ポリイソシアネートは、透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
芳香族ポリイソシアネートは、1分子あたり1以上の芳香族環と1分子あたり2以上のイソシアネート基(-NCO)とを有する多官能イソシアネートである。芳香族ポリイソシアネートが有する芳香族環の数は、1分子あたり1以上であり、好ましくは1~3であり、より好ましくは1又は2である。芳香族ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の数は、1分子あたり2以上であり、好ましくは2~4であり、より好ましくは2又は3である。なお、イソシアネートはイソシアナートと呼ばれることもある。芳香族ポリイソシアネートは、透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,2-ジイソシアナトベンゼン、1,3-ジイソシアナトベンゼン、1,4-ジイソシアナトベンゼン、2,4-ジイソシアナトトルエン、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、4,4'-メチレンビス(2-メチルフェニルイソシアネート)、ビベンジルー4,4'-ジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン等の芳香族ポリイソシアネート;
キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α,α',α'-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、ビス(イソシアナトメチルフェニル)エーテル等の芳香環化合物を有するポリイソシアネート;
2-イソシアナトフェニル-4-イソシアナトフェニルスルフィド、ビス(4-イソシアナトフェニル)スルフィド、ビス(4-イソシアナトメチルフェニル)スルフィド等の芳香族スルフィド系ポリイソシアネート;
ビス(4-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(2-メチル-5-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3-メチル-5-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3-メチル-6-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4-メチル-5-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3-メトキシ-4-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4-メトキシ-3-イソシアナトフェニル)ジスルフィド等の芳香族ジスルフィド系イソシアネート等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
芳香族ポリイソシアネートの中でも、得られる硬化物の屈折率や耐熱性や透明性、さらには素材の入手容易性及びコスト等の観点から、好ましくはトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、及びキシリレンジイソシアネート(XDI)であり、より好ましくはトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、であり、さらに好ましくはトリレンジイソシアネート(TDI)である。
なお、芳香族ポリイソシアネートとして、上述した例示化合物の、塩素置換体や臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化反応生成物、或いはトリマー化反応生成物等も使用できる。これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
芳香族ポリイソシアネートの使用量は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、得られる混合物の樹脂固形分の総量に対して、合計で20~55質量%が好ましく、より好ましくは合計で25~50質量%、さらに好ましくは合計で30~45質量%である。なお、本発明及び本明細書において、樹脂固形分の総量とは、溶媒を含む場合には溶媒を除く総質量を意味する。
(メルカプト基を3個以上有するポリチオール)
メルカプト基を3個以上有するポリチオールは、1分子内に3以上のメルカプト基(-SH)を有する多官能チオールである。メルカプト基を3個以上有するポリチオールは、透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
メルカプト基を3個以上有するポリチオールは、1分子内に3以上のメルカプト基(-SH)を有する多官能チオールである。メルカプト基を3個以上有するポリチオールは、透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
メルカプト基を3個以上有するポリチオールの具体例としては、1,2,3-プロパントリチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、2,3-ジメルカプトコハク酸(2-メルカプトエチルエステル)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(2-メルカプトアセテート)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(3-メルカプトアセテート)、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン等の脂肪族ポリチオール;
1,2,3-トリメルカプトベンゼン、1,2,4-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン等の芳香族ポリチオール;
1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、およびこれらの核アルキル化物等のチオール基(「メルカプト基」とも呼ばれる。)以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール;
1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド等、およびこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、チオジグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、4-メルカプトメチル-3,6-ジチアオクタン-1,8-ジチオール、ビス(1,3-ジメルカプト-2-プロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール(「ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチア-1,11-ウンデカンジチオール」とも呼ばれる;4,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、および5,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールよりなる群から選択される異性体の一種またはこれら異性体の二種もしくは三種の混合物)等のチオール基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール等が挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上を任意の組み合わせで使用することができる。
メルカプト基を3個以上有するポリチオールは、一態様では、脂肪族化合物であることができる。また、一態様では、メルカプト基を3個以上有するポリチオールは、エステル結合含有化合物であることができる。エステル結合を含有するポリチオールは、例えば、エステル結合を1分子あたり2つ以上含むことができ、例えば2~5つ含むことができる。メルカプト基を3個以上有するポリチオールは、一態様では、エステル結合含有脂肪族化合物であることができる。メルカプト基を3個以上有するポリチオールの中でも、屈折率を高める等の観点から、メルカプト基を1分子内に3個有するポリチオール、メルカプト基を1分子内に4個有するポリチオール、メルカプト基を1分子内に5個有するポリチオールが好ましい。
また、メルカプト基を3個以上有するポリチオールは、脂肪族ポリチオールが好ましい。具体的には、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)(PETMA)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PETMP)、4-メルカプトメチル-3,6-ジチアオクタン-1,8-ジチオール、ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール及び5,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールからなる群から選択される異性体の一種又はこれら異性体の二種もしくは三種の混合物が好ましく、4,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール及び5,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールからなる群から選択される異性体の一種又はこれら異性体の二種もしくは三種の混合物がより好ましい。
芳香族ポリイソシアネートの使用量は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、得られる混合物の樹脂固形分の総量に対して、合計で45~80質量%が好ましく、より好ましくは合計で50~75質量%、さらに好ましくは合計で55~70質量%である。
ここで、プレ混合工程S1における芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオールの配合割合は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、芳香族ポリイソシアネート対ポリチオール化合物の固形分換算で、20:80~55:45が好ましく、より好ましくは25:75~50:50、さらに好ましくは30:70~45:55である。
(その他の成分)
プレ混合工程S1では、上述した必須成分である芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物の他に、必要に応じて、当業界で公知の各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、重合触媒、紫外線吸収剤、離型剤、着色抑制剤としての有機リン系化合物、抗酸化剤、着色防止剤、蛍光増白剤、ブルーイング剤、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、油溶染料、充填剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。各添加剤の使用量は適宜設定することができる。
プレ混合工程S1では、上述した必須成分である芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物の他に、必要に応じて、当業界で公知の各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、重合触媒、紫外線吸収剤、離型剤、着色抑制剤としての有機リン系化合物、抗酸化剤、着色防止剤、蛍光増白剤、ブルーイング剤、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、油溶染料、充填剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。各添加剤の使用量は適宜設定することができる。
(重合触媒)
重合触媒は、芳香族ポリイソシアネートと、メルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とのチオウレタン化反応を触媒する。チオウレタン化反応により、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物との反応が促進され、一部がプレポリマー化すると考えられる。チオウレタン化反応を触媒する重合触媒は、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。好ましくは有機スズ化合物である。具体的には、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド、モノメチル錫トリクロライド、トリメチル錫クロライド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫フロライド、ジメチル錫ジブロマイド等のアルキル錫ハライド化合物;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等のアルキル錫化合物が挙げられるが、これらに特に限定されない。重合触媒は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。これらの中でも、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレートが好ましい。重合触媒の投入タイミングは、特に限定されない。重合触媒剤の不存在下でプレ混合工程S1を行ってもよい。プレポリマー化による相溶性の向上等の観点から、重合触媒剤の存在下でプレ混合工程S1を行ってもよい。
重合触媒は、芳香族ポリイソシアネートと、メルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とのチオウレタン化反応を触媒する。チオウレタン化反応により、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物との反応が促進され、一部がプレポリマー化すると考えられる。チオウレタン化反応を触媒する重合触媒は、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。好ましくは有機スズ化合物である。具体的には、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド、モノメチル錫トリクロライド、トリメチル錫クロライド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫フロライド、ジメチル錫ジブロマイド等のアルキル錫ハライド化合物;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等のアルキル錫化合物が挙げられるが、これらに特に限定されない。重合触媒は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。これらの中でも、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレートが好ましい。重合触媒の投入タイミングは、特に限定されない。重合触媒剤の不存在下でプレ混合工程S1を行ってもよい。プレポリマー化による相溶性の向上等の観点から、重合触媒剤の存在下でプレ混合工程S1を行ってもよい。
重合触媒の添加量は、プレ混合工程S1で得られる混合物中の樹脂固形分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上1質量部以下であり、より好ましくは0.005質量部以上0.5質量部以下であり、さらに好ましくは0.005質量部以上0.1質量部以下である。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、好ましくは、クロロホルム溶液中において、345nm以上の極大吸収波長を有する。紫外線吸収剤としては、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。具体的には、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホニックアシッド、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシベンゾフェノン及び2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール及び2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;ジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4'-メトキシベンゾイルメタン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。紫外線吸収剤は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。紫外線吸収剤の投入タイミングは、特に限定されない。紫外線吸収剤の存在下でプレ混合工程S1を行ってもよく、紫外線吸収剤の不存在下でプレ混合工程S1を行ってもよい。
紫外線吸収剤は、好ましくは、クロロホルム溶液中において、345nm以上の極大吸収波長を有する。紫外線吸収剤としては、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。具体的には、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホニックアシッド、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシベンゾフェノン及び2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール及び2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;ジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4'-メトキシベンゾイルメタン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。紫外線吸収剤は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。紫外線吸収剤の投入タイミングは、特に限定されない。紫外線吸収剤の存在下でプレ混合工程S1を行ってもよく、紫外線吸収剤の不存在下でプレ混合工程S1を行ってもよい。
紫外線吸収剤の添加量は、プレ混合工程S1で得られる混合物中の樹脂固形分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上3質量部以下であり、さらに好ましくは0.1質量部以上2質量部以下であり、特に好ましくは0.3質量部以上2質量部以下であり、よりさらに好ましくは0.5質量部以上2質量部以下であり、最も好ましくは0.8質量部以上2質量部以下である。
(離型剤)
離型剤は、成形型からの離形性を高めるものである。離型剤は、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。変性シリコーンオイル等のシリコーン系化合物、リン酸エステル化合物が好ましく、より好ましくはリン酸エステル化合物である。リン酸エステル化合物の具体例としては、イソプロピルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート、オクチルアシッドフォスフェート、ノニルアシッドフォスフェート、デシルアシッドフォスフェート、イソデシルアシッドフォスフェート、イソデシルアシッドフォスフェート、トリデシルアシッドフォスフェート、ステアリルアシッドフォスフェート、プロピルフェニルアシッドフォスフェート、ブチルフェニルアシッドフォスフェート、ブトキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられるが、これらに特に限定されない。リン酸エステル化合物は、リン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物のいずれであってもよいが、リン酸モノエステル化合物、及びリン酸ジエステル化合物の混合物が好ましい。離型剤の投入タイミングは、特に限定されない。離型剤の存在下でプレ混合工程S1を行ってもよく、離型剤の不存在下でプレ混合工程S1を行ってもよい。
離型剤は、成形型からの離形性を高めるものである。離型剤は、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。変性シリコーンオイル等のシリコーン系化合物、リン酸エステル化合物が好ましく、より好ましくはリン酸エステル化合物である。リン酸エステル化合物の具体例としては、イソプロピルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート、オクチルアシッドフォスフェート、ノニルアシッドフォスフェート、デシルアシッドフォスフェート、イソデシルアシッドフォスフェート、イソデシルアシッドフォスフェート、トリデシルアシッドフォスフェート、ステアリルアシッドフォスフェート、プロピルフェニルアシッドフォスフェート、ブチルフェニルアシッドフォスフェート、ブトキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられるが、これらに特に限定されない。リン酸エステル化合物は、リン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物のいずれであってもよいが、リン酸モノエステル化合物、及びリン酸ジエステル化合物の混合物が好ましい。離型剤の投入タイミングは、特に限定されない。離型剤の存在下でプレ混合工程S1を行ってもよく、離型剤の不存在下でプレ混合工程S1を行ってもよい。
離型剤の添加量は、プレ混合工程S1で得られる混合物中の樹脂固形分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上1.00質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上0.50質量部以下である。
(着色抑制剤)
着色抑制剤としての有機リン系化合物は、分子内にリンを含有する化合物であり、ポリチオウレタン系樹脂の着色を抑制するものである。有機リン系化合物は、ポリチオウレタン系樹脂透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
着色抑制剤としての有機リン系化合物は、分子内にリンを含有する化合物であり、ポリチオウレタン系樹脂の着色を抑制するものである。有機リン系化合物は、ポリチオウレタン系樹脂透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
有機リン系化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィノベンゼン-3-スルホン酸ナトリウム、ジメチルアミノフェニルジフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィノ安息香酸、トリス(メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(メチルフェニル)ホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィンオキシド等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
有機リン系化合物の中でも、得られる硬化物の透明性、さらには素材の入手容易性及びコスト等の観点から、トリフェニルホスフィン、トリス(1,3-ジクロロプロパン-2-イル)ホスファート、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスファートが好ましく、トリフェニルホスフィンがより好ましい。
有機リン系化合物の添加量は、プレ混合工程S1で得られる混合物中の樹脂固形分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上3質量部以下であり、さらに好ましくは0.1質量部以上2質量部以下である。
プレ混合工程S1において、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物との混合は、常法にしたがって行えばよく、特に限定されない。このとき、当業界で公知の混合機、分散機、撹拌機等を用いることができる。また、混合時間は、使用する各成分の組成や配合割合等に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。生産効率等の観点から、好ましくは0.5~600分、より好ましくは5~300分、さらに好ましくは15~180分が目安となるが、この条件に特に限定されるものではない。また、混合の際に、溶媒を添加せずに調製してもよく、任意の量の溶媒を添加して調製してもよい。溶媒としては、重合性組成物に使用可能な溶媒として公知の溶媒の一種以上を用いることができる。
<混合工程S2>
この混合工程S2では、プレ混合工程S1で得られた混合物に、脂環族ポリイソシアネートをさらに混合する。プレ混合工程S1の後に続くこの混合工程S2で脂環族ポリイソシアネートを混合することにより、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物と脂環族ポリイソシアネートの3成分を少なくとも含み、透明性及び耐熱性に優れる重合性組成物等が再現性よく安定して得られる。
この混合工程S2では、プレ混合工程S1で得られた混合物に、脂環族ポリイソシアネートをさらに混合する。プレ混合工程S1の後に続くこの混合工程S2で脂環族ポリイソシアネートを混合することにより、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物と脂環族ポリイソシアネートの3成分を少なくとも含み、透明性及び耐熱性に優れる重合性組成物等が再現性よく安定して得られる。
脂環式ポリイソシアネートは、1分子内に1以上の脂肪族環と1分子内に2以上のイソシアネート基(-NCO)を有する多官能イソシアネートである。脂環式ポリイソシアネートが有する脂肪族環の数は、1分子あたり1以上であり、好ましくは1~3であり、より好ましくは1又は2である。脂環式ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の数は、1分子あたり2以上であり、好ましくは2~4であり、より好ましくは2又は3である。脂環式ポリイソシアネートは、透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、ビス(4-イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HMDI)、ジイソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HXDI)、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
脂環式ポリイソシアネートの中でも、得られる硬化物の屈折率や耐熱性や透明性、さらには素材の入手容易性及びコスト等の観点から、好ましくはビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートである。
なお、脂環式ポリイソシアネートとして、上述した例示化合物の、塩素置換体や臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化反応生成物、或いはトリマー化反応生成物等も使用できる。これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
脂環式ポリイソシアネートの使用量は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、得られる光学材料用重合性組成物の固形分の総量に対して、合計で10~50質量%が好ましく、より好ましくは合計で15~45質量%、さらに好ましくは合計で20~40質量%である。
一方、上述した芳香族ポリイソシアネートと脂環式ポリイソシアネートの配合割合は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、芳香族ポリイソシアネート対脂環式ポリイソシアネートの固形分換算で、25:75~70:30が好ましく、より好ましくは30:70~65:35、さらに好ましくは35:65~60:40である。
(その他の成分)
混合工程S2では、プレ混合工程S1で得られた混合物と上述した芳香族ポリイソシアネートと脂環式ポリイソシアネートの他に、必要に応じて、当業界で公知の各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、重合触媒、紫外線吸収剤、離型剤、着色抑制剤としての有機リン系化合物、抗酸化剤、着色防止剤、蛍光増白剤、ブルーイング剤、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、油溶染料、充填剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。各添加剤の使用量は適宜設定することができる。これらの添加剤の具体例や使用量は、上記プレ混合工程S1で述べたとおりであり、ここでの重複した説明は省略する。
混合工程S2では、プレ混合工程S1で得られた混合物と上述した芳香族ポリイソシアネートと脂環式ポリイソシアネートの他に、必要に応じて、当業界で公知の各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、重合触媒、紫外線吸収剤、離型剤、着色抑制剤としての有機リン系化合物、抗酸化剤、着色防止剤、蛍光増白剤、ブルーイング剤、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、油溶染料、充填剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。各添加剤の使用量は適宜設定することができる。これらの添加剤の具体例や使用量は、上記プレ混合工程S1で述べたとおりであり、ここでの重複した説明は省略する。
なお、混合工程S2では、プレ混合工程S1で得られた混合物に上述した脂環式ポリイソシアネートを混合する限り、脂環式ポリイソシアネート以外のポリイソシアネート(以降において、単に「他のポリイソシアネート」と称する場合がある。)を併用してもよい。他のポリイソシアネートは、1分子内に2以上のイソシアネート基(-NCO)を有する、直鎖或いは分岐鎖の非脂環式の脂肪族ポリイソシアネート、分子内に2以上のイソシアネート基(-NCO)を有する、複素環式ポリイソシアネート等であることができる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせで使用することができる。
直鎖或いは分岐鎖の非脂環式の脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタンジイソシアネート、2,2-ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアナト-4-イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
複素環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソシアナトメチル-2-メチル-1,3-ジチオラン等の含硫脂環族ポリイソシアネート;4,5-ジイソシアナト-1,3-ジチオラン、4,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,3-ジチオラン、4,5-ビス(イソシアナトメチル)-2-メチル-1,3-ジチオラン等の等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
なお、上述した他のポリイソシアネートとして、上述した例示化合物の、塩素置換体や臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化反応生成物、或いはトリマー化反応生成物等も使用できる。これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
混合工程S2において、上述した混合物への脂環式ポリイソシアネートの混合は、常法にしたがって行えばよく、特に限定されない。このとき、当業界で公知の混合機、分散機、撹拌機等を用いることができる。また、混合時間は、使用する各成分の組成や配合割合等に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。生産効率等の観点から、好ましくは0.5~600分、より好ましくは5~300分、さらに好ましくは15~180分が目安となるが、この条件に特に限定されるものではない。また、混合の際に、溶媒を添加せずに調製してもよく、任意の量の溶媒を添加して調製してもよい。溶媒としては、重合性組成物に使用可能な溶媒として公知の溶媒の一種以上を用いることができる。
上述したプレ混合工程S1及び混合工程S2を少なくとも経ることで、芳香族ポリイソシアネート、メルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物、及び脂環族ポリイソシアネートを少なくとも含有する、目的とする重合性組成物が得られる。上述したプレ混合工程S1及び混合工程S2を少なくとも経ることで、白濁化ないしはゲル化が抑制されるため、得られるこの重合性組成物は、透明で均一な樹脂組成物となる。
[透明樹脂]
本実施形態の透明樹脂は、上述した光学材料用重合性組成物を重合させることで得ることができる。本実施形態の透明樹脂は、上述した方法で光学材料用重合性組成物を調製しているため、光学材料用重合性組成物の調製時の白濁化やゲル化の発生が抑制され、これにより安定して透明樹脂を得ることができる。そして、この透明樹脂は、芳香族ポリイソシアネート、メルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物、及び脂環族ポリイソシアネートを含むポリチオウレタン系樹脂であるため、これを重合して得られる透明樹脂は、高屈折率で透明性及び耐熱性に優れたものとなる。
本実施形態の透明樹脂は、上述した光学材料用重合性組成物を重合させることで得ることができる。本実施形態の透明樹脂は、上述した方法で光学材料用重合性組成物を調製しているため、光学材料用重合性組成物の調製時の白濁化やゲル化の発生が抑制され、これにより安定して透明樹脂を得ることができる。そして、この透明樹脂は、芳香族ポリイソシアネート、メルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物、及び脂環族ポリイソシアネートを含むポリチオウレタン系樹脂であるため、これを重合して得られる透明樹脂は、高屈折率で透明性及び耐熱性に優れたものとなる。
本実施形態の透明樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、透明樹脂の製造方法として公知の方法を適宜採用することができる。一態様では、本実施形態の透明樹脂の製造方法は、上述した光学材料用重合性組成物を重合する工程を含む。
重合工程後に得られる透明樹脂は、比較的に高屈折率で透明性及び耐熱性にも優れ、無機レンズに比べ軽量で割れ難く、良好な耐候性、耐久性、耐衝撃性をさらに有したものが得られやすい。そのため、本実施形態の透明樹脂は、各種光学部材として好適に用いることができる。光学部材としては、眼鏡レンズ、望遠鏡レンズ、双眼鏡レンズ、顕微鏡レンズ、内視鏡レンズ、各種カメラの撮像系レンズ等の各種レンズや光学素子等を挙げることができ、より好ましくは、眼鏡レンズが挙げられる。なお、本発明及び本明細書における「レンズ」には、一層以上の層が任意に積層される「レンズ基材」が包含されるものとする。そして、本発明及び本明細書における「光学材料用」とは、これらの光学部材を包含した意味である。
例えば、レンズ形状を有する硬化物(「レンズ基材」「プラスチックレンズ」とも呼ばれる。)を製造するためには、注型重合が好ましい。注型重合では、例えば、所定の間隔をもって対向する2つのモールドと、上記間隔を閉塞することにより形成されたキャビティを有する成形型のキャビティへ、上記のとおり調製された光学材料用重合性組成物を、必要に応じて脱泡した後に成形型側面に設けられた注入口から注入し、このキャビティ内で光学材料用重合性組成物を好ましくは加熱により重合(硬化反応)させて硬化物とすることで、キャビティの内部形状が転写された硬化物を得ることができる。成形型には、例えばガラス又は金属製のモールド型が用いられる。成形型内で光学材料用重合性組成物を重合させるときの重合条件は、特に限定されるものではなく、使用する光学材料用重合性組成物の組成等に応じて適宜設定することができる。一例として、光学材料用重合性組成物をキャビティに注入した成形型を、好ましくは0℃以上150℃以下、より好ましくは10℃以上130℃以下、好ましくは3時間以上50時間以下、より好ましくは5時間以上25時間以下の条件下で加熱処理できるが、この条件に限定されるものではない。なお、本発明及び本明細書において、注型重合に関する加熱温度等の温度とは、成形型が配置される雰囲気温度をいう。また、加熱中に、任意の昇温速度で昇温することができ、任意の降温速度で降温(冷却)することができる。重合(硬化反応)終了後、キャビティ内部の硬化物を成形型から離型する。光学材料用重合性組成物を重合させて作製した透明樹脂の成形型からの離型性を良好にするために、成形型の離型面に離型剤を塗布してもよいし、光学材料用重合性組成物に離型剤を添加してもよい。
成形型から離型された硬化物は、必要に応じて後処理を行った後、光学部材として用いることができ、例えば各種レンズ(例えばレンズ基材)として用いることができる。一例として、眼鏡レンズのレンズ基材として用いられる硬化物は、通常、離型後に、アニーリング、染色処理、丸め工程等の研削工程、研磨工程、耐衝撃性を向上させるためのプライマーコート層、表面硬度を上げるためのハードコート層等のコート層形成工程等の後工程に付され得る。さらに、反射防止層、撥水層等の各種機能性層を、レンズ基材上に形成することができる。これらの工程については、いずれも公知技術を適用することができる。例えば、染色処理においては、青色、赤色、緑色、黄色等のいかなる色で染色することができる。本実施形態の透明樹脂(例えばレンズ基材)は、視感透過率が高く、これらの色に染色した場合であっても優れた発色性を示す。こうして、レンズ基材が上記硬化物である眼鏡レンズを得ることができる。さらに、この眼鏡レンズをフレームに取り付けることにより、眼鏡を得ることができる。
かくして得られる透明樹脂の一態様では、0.30%以下のヘイズ値(肉厚1.8mm換算)を有し、125℃以上160℃以下の熱変形開始温度(TMAペネトレーション法)を有する。ここで、ヘイズ値及び熱変形開始温度の測定方法及び条件は、後述する実施例に記載の測定方法及び条件に従うものとする。
また、かくして得られるレンズ基材の一態様では、1.650以上1.680以下の屈折率(肉厚1.8mm換算)を有し、0.30%以下のヘイズ値(肉厚1.8mm換算)を有し、125℃以上160℃以下の熱変形開始温度(TMAペネトレーション法)を有する。ここで、屈折率、ヘイズ値及び熱変形開始温度の測定方法及び条件は、後述する実施例に記載の測定方法及び条件に従うものとする。
本実施形態によれば、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを予め混合して混合物を調製しておき、この混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合する2段混合を採用しているため、調製時の白濁化現象やゲル化現象の発生が抑制され、これにより、高性能なポリチオウレタン系樹脂の光学材料用重合性組成物を安定して得ることができる。そのため、この光学材料用重合性組成物を用いることで、高屈折率で透明性及び耐熱性に優れるポリチオウレタン系樹脂の透明樹脂ないしはレンズ基材を再現性よく安定して製造することが可能となる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。なお、以下に記載の操作及び評価は、特記しない限り、大気中室温下(20~25℃程度)で行った。また、以下に記載の%、部は、特記しない限り質量基準である。
[測定方法及び評価基準]
実施例及び比較例のプラスチックレンズにおける、屈折率、アッベ数、耐熱性、脈理、及びヘイズの測定条件及び評価基準は、以下のとおりである。
実施例及び比較例のプラスチックレンズにおける、屈折率、アッベ数、耐熱性、脈理、及びヘイズの測定条件及び評価基準は、以下のとおりである。
<屈折率及びアッベ数>
カルニュー光学工業(株)製精密屈折率計KPR-2000型を用いて20℃で、F’線488.0nm)、C’線(643.9nm)及びe線(546.1nm)の波長の光についてプラスチックレンズの屈折率を測定した。そして、下記の式からアッベ数を算出した。ここで、neはe線の波長の光で測定した屈折率であり、nF'はF'線の波長の光で測定した屈折率であり、nC'はC'線の光で測定した屈折率である。一態様では、屈折率は1.650以上1.680以下が好ましく、より好ましくは1.655以上1.680以下、さらに好ましくは1.660以上1.680以下である。
アッベ数νe=(ne-1)/(nF'-nC')
カルニュー光学工業(株)製精密屈折率計KPR-2000型を用いて20℃で、F’線488.0nm)、C’線(643.9nm)及びe線(546.1nm)の波長の光についてプラスチックレンズの屈折率を測定した。そして、下記の式からアッベ数を算出した。ここで、neはe線の波長の光で測定した屈折率であり、nF'はF'線の波長の光で測定した屈折率であり、nC'はC'線の光で測定した屈折率である。一態様では、屈折率は1.650以上1.680以下が好ましく、より好ましくは1.655以上1.680以下、さらに好ましくは1.660以上1.680以下である。
アッベ数νe=(ne-1)/(nF'-nC')
〔耐熱性〕
リガク(株)製TAS100TMAペネトレーション法(試験片厚3mm、ピン径0.5mm、加重10g、昇温速度10℃/min)にて熱変形開始温度を測定し、この熱変形開始温度を耐熱性の指標とした。
リガク(株)製TAS100TMAペネトレーション法(試験片厚3mm、ピン径0.5mm、加重10g、昇温速度10℃/min)にて熱変形開始温度を測定し、この熱変形開始温度を耐熱性の指標とした。
〔脈理の評価〕
外観検査装置「オプティカルモデュレックスSX-UI251HQ」(ウシオ電機株式会社製)を用いて、投影検査を行った。光源として、高圧UVランプ「USH-102D」を用いて1mの距離に白色のスクリーンを設置し、被験樹脂を光源とスクリーン間に挿入し、スクリーン上の投影像を観察し、下記の基準により判定を行った。
A : 投影像に線状の不整がまったくない
B : 投影像に線状のごく薄い不整がある
C : 投影像に線状の薄い不整がある
D : 投影像に線状の濃い不整がある
E : 投影像に線状の著しい不整がある
外観検査装置「オプティカルモデュレックスSX-UI251HQ」(ウシオ電機株式会社製)を用いて、投影検査を行った。光源として、高圧UVランプ「USH-102D」を用いて1mの距離に白色のスクリーンを設置し、被験樹脂を光源とスクリーン間に挿入し、スクリーン上の投影像を観察し、下記の基準により判定を行った。
A : 投影像に線状の不整がまったくない
B : 投影像に線状のごく薄い不整がある
C : 投影像に線状の薄い不整がある
D : 投影像に線状の濃い不整がある
E : 投影像に線状の著しい不整がある
〔白濁〕
暗箱内の蛍光燈下で目視観察を行い、下記の基準により判定を行った。
A : 白濁がまったくない
B : ごく薄い白濁がある
C : 薄い白濁がある
D : 濃い白濁がある
E : 著しい白濁がある
暗箱内の蛍光燈下で目視観察を行い、下記の基準により判定を行った。
A : 白濁がまったくない
B : ごく薄い白濁がある
C : 薄い白濁がある
D : 濃い白濁がある
E : 著しい白濁がある
〔ヘイズ〕
ヘイズメーター「MH-150」(株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて、ヘイズ値を測定した。ヘイズ値が0.3%以下の場合は、目視で曇りは確認できないため、目願レンズとして適用可能な光学特性を有すると判断することができる。0.3%を超える場合は不適切と判断した。
ヘイズメーター「MH-150」(株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて、ヘイズ値を測定した。ヘイズ値が0.3%以下の場合は、目視で曇りは確認できないため、目願レンズとして適用可能な光学特性を有すると判断することができる。0.3%を超える場合は不適切と判断した。
(実施例1)
2Lフラスコに、トリレンジイソシアネート22.8質量部、重合触媒としてジメチル錫ジクロライド0.01質量部、紫外線吸収剤として2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール0.50質量部、離型剤としてブトキシエチルアシッドフォスフェート0.10質量部を仕込み、室温窒素パージ下で30分撹拌して溶解させた。次いで、4,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、及び5,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールの混合物48.0質量部をさらに投入し、この状態で30分撹拌し、イソシアネートとポリチオールとを一部反応させた。その後、イソホロンジイソシアネート29.2質量部をさらに投入し、0.13kPa(1.0Torr)に減圧し、そのまま20分減圧撹拌を行い、これらを完全に分散又は溶解させて均一液とし、実施例1の無色透明なポリチオウレタン系重合性組成物を調製した。
2Lフラスコに、トリレンジイソシアネート22.8質量部、重合触媒としてジメチル錫ジクロライド0.01質量部、紫外線吸収剤として2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール0.50質量部、離型剤としてブトキシエチルアシッドフォスフェート0.10質量部を仕込み、室温窒素パージ下で30分撹拌して溶解させた。次いで、4,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、及び5,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールの混合物48.0質量部をさらに投入し、この状態で30分撹拌し、イソシアネートとポリチオールとを一部反応させた。その後、イソホロンジイソシアネート29.2質量部をさらに投入し、0.13kPa(1.0Torr)に減圧し、そのまま20分減圧撹拌を行い、これらを完全に分散又は溶解させて均一液とし、実施例1の無色透明なポリチオウレタン系重合性組成物を調製した。
この実施例1のポリチオウレタン系重合性組成物を、1.0μmのポリテトラフルオロエチレンメンブランフィルターを通して、レンズ型に注入し、初期温度25℃から最終温度120℃の温度プログラムにて24時間注型重合を行い、無色透明で中心肉厚1.8mmの実施例1の透明樹脂(プラスチックレンズ)を作製した。得られた実施例1のプラスチックレンズを成形型から離型した後、各種測定及び評価を行ったところ、以下のとおりであった。
得られた実施例1のポリチオウレタン系重合性組成物を、0.60kPaにて1時間脱泡処理した後、孔径5.0μmのPP(ポリプロピレン)フィルターにてろ過を行った。続いて、直径75mm、厚さ1.8mm、及び0.00Dのレンズ形状を有するガラスモールドとガスケットからなる成型型に注入し、重合炉内で初期温度15℃から最終温度120℃の温度プログラムにて24時間注型重合を行った。重合終了後、重合炉から成型型を取り出し、成形型から透明樹脂硬化物を離型して、プラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズを炉内温度120℃のアニール炉で3時間アニール処理を行うことで、無色透明で中心肉厚1.8mmの実施例1のポリチオウレタン系樹脂製プラスチックレンズを得た。各種物性の測定及び評価を行った結果を、表1に示す。
得られた実施例1のポリチオウレタン系重合性組成物を、0.60kPaにて1時間脱泡処理した後、孔径5.0μmのPP(ポリプロピレン)フィルターにてろ過を行った。続いて、直径75mm、厚さ1.8mm、及び0.00Dのレンズ形状を有するガラスモールドとガスケットからなる成型型に注入し、重合炉内で初期温度15℃から最終温度120℃の温度プログラムにて24時間注型重合を行った。重合終了後、重合炉から成型型を取り出し、成形型から透明樹脂硬化物を離型して、プラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズを炉内温度120℃のアニール炉で3時間アニール処理を行うことで、無色透明で中心肉厚1.8mmの実施例1のポリチオウレタン系樹脂製プラスチックレンズを得た。各種物性の測定及び評価を行った結果を、表1に示す。
(実施例2~8)
芳香族ポリイソシアネート、ポリチオール化合物、及び/又は脂環族ポリイソシアネートの種類及び使用割合を表1に記載のとおりに変更する以外は、実施例1と同様に行い、実施例2~8の無色透明なポリチオウレタン系重合性組成物をそれぞれ調製した。ここで使用した各成分は、以下のとおりである。
A1:トリレンジイソシアネート
A2:ジフェニルメタンジイソシアネート
B1:4,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、及び5,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールの混合物
C1:イソホロンジイソシアネート
C2:1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
C3:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
C4:ノルボルネンジイソシアネート
芳香族ポリイソシアネート、ポリチオール化合物、及び/又は脂環族ポリイソシアネートの種類及び使用割合を表1に記載のとおりに変更する以外は、実施例1と同様に行い、実施例2~8の無色透明なポリチオウレタン系重合性組成物をそれぞれ調製した。ここで使用した各成分は、以下のとおりである。
A1:トリレンジイソシアネート
A2:ジフェニルメタンジイソシアネート
B1:4,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、及び5,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールの混合物
C1:イソホロンジイソシアネート
C2:1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
C3:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
C4:ノルボルネンジイソシアネート
実施例1のポリチオウレタン系重合性組成物に代えて、実施例2~8の無色透明なポリチオウレタン系重合性組成物をそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様に行い、無色透明で中心肉厚1.8mmの実施例2~8のポリチオウレタン系樹脂製プラスチックレンズをそれぞれ得た。各種物性の測定及び評価を行った結果を、表1に示す。
(比較例1)
2Lフラスコに、トリレンジイソシアネート22.8質量部、イソホロンジイソシアネート29.2質量部、重合触媒としてジメチル錫ジクロライド0.01質量部、紫外線吸収剤として2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール0.50質量部、離型剤としてブトキシエチルアシッドフォスフェート0.10質量部を仕込み、室温窒素パージ下で30分撹拌して溶解させた。次いで、4,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、及び5,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールの混合物48.0質量部をさらに投入し、0.13kPa(1.0Torr)に減圧し、そのまま20分減圧撹拌を行い、比較例1のポリチオウレタン系重合性組成物を調製した。この重合性組成物の調製時に、粘度の極度な増加と流動性の大幅な低下ないしは消失が見られ、得られたポリチオウレタン系重合性組成物は、白濁した不均一な樹脂組成物であった。
2Lフラスコに、トリレンジイソシアネート22.8質量部、イソホロンジイソシアネート29.2質量部、重合触媒としてジメチル錫ジクロライド0.01質量部、紫外線吸収剤として2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール0.50質量部、離型剤としてブトキシエチルアシッドフォスフェート0.10質量部を仕込み、室温窒素パージ下で30分撹拌して溶解させた。次いで、4,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、及び5,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールの混合物48.0質量部をさらに投入し、0.13kPa(1.0Torr)に減圧し、そのまま20分減圧撹拌を行い、比較例1のポリチオウレタン系重合性組成物を調製した。この重合性組成物の調製時に、粘度の極度な増加と流動性の大幅な低下ないしは消失が見られ、得られたポリチオウレタン系重合性組成物は、白濁した不均一な樹脂組成物であった。
実施例1のポリチオウレタン系重合性組成物に代えて、比較例1のポリチオウレタン系重合性組成物を用いる以外は、実施例1と同様に行い、中心肉厚1.8mmの比較例1のポリチオウレタン系樹脂製プラスチックレンズを得た。得られた比較例1のポリチオウレタン系樹脂製プラスチックレンズは、白濁して不均一なプラスチックレンズであった。各種物性の測定及び評価を行った結果を、表1に示す。
(比較例2~8)
芳香族ポリイソシアネート、ポリチオール化合物、及び/又は脂環族ポリイソシアネートの種類及び使用割合を表1に記載のとおりに変更する以外は、比較例1と同様に行い、比較例2~8のポリチオウレタン系重合性組成物をそれぞれ調製した。比較例2~8のいずれにおいても、重合性組成物の調製時に、粘度の極度な増加と流動性の大幅な低下ないしは消失が見られ、得られたポリチオウレタン系重合性組成物は、いずれも白濁した不均一な樹脂組成物であった。
芳香族ポリイソシアネート、ポリチオール化合物、及び/又は脂環族ポリイソシアネートの種類及び使用割合を表1に記載のとおりに変更する以外は、比較例1と同様に行い、比較例2~8のポリチオウレタン系重合性組成物をそれぞれ調製した。比較例2~8のいずれにおいても、重合性組成物の調製時に、粘度の極度な増加と流動性の大幅な低下ないしは消失が見られ、得られたポリチオウレタン系重合性組成物は、いずれも白濁した不均一な樹脂組成物であった。
比較例1のポリチオウレタン系重合性組成物に代えて、比較例2~8のポリチオウレタン系重合性組成物をそれぞれ用いる以外は、比較例1と同様に行い、中心肉厚1.8mmの実施例2~8のポリチオウレタン系樹脂製プラスチックレンズをそれぞれ得た。得られた比較例2~8のポリチオウレタン系樹脂製プラスチックレンズは、いずれも白濁して不均一なプラスチックレンズであった。各種物性の測定及び評価を行った結果を、表1に示す。
表1から明らかなように、従来技術に相当する比較例1~8では、混合物の調製時に白濁化ないしはゲル化が生じて、均一な樹脂組成物が得られず、そのためヘイズ値が0.3%を超えている。一方、本発明に相当する実施例1~8では、混合物の調製時に白濁化ないしはゲル化が抑制され、均一な樹脂組成物が得られている。また、実施例1~8では、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物と脂環族ポリイソシアネートの3成分を用いることで、屈折率が1.650以上の高屈折率を有しながらも、高い透明性及び耐熱性が得られている。
最後に、前述の各態様を総括する。
一態様によれば、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合して混合物を得る工程、並びに得られた前記混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合する工程、を少なくとも有する、光学材料用重合性組成物の製造方法が提供される。
一態様によれば、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合して混合物を得る工程、並びに得られた前記混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合する工程、を少なくとも有する、光学材料用重合性組成物の製造方法が提供される。
一態様では、前記芳香族ポリイソシアネートと前記ポリチオール化合物との配合割合が、20:80~55:45であることができる。
一態様では、前記芳香族ポリイソシアネートと前記脂環族ポリイソシアネートとの配合割合が、25:75~70:30であることができる。
一態様では、前記混合物を得る前記工程では、重合触媒をさらに混合することができる。
一態様では、前記芳香族ポリイソシアネートが、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びキシリレンジイソシアネートよりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
一態様では、前記ポリチオール化合物が、脂肪族ポリチオール化合物を含むことができる。
一態様では、前記ポリチオール化合物が、ポリオール化合物と、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、チオ乳酸、及びチオサリチル酸よりなる群から選択される1種以上とのエステル化合物を含むことができる。
一態様では、前記ポリチオール化合物が、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、4-メルカプトメチル-3,6-ジチアオクタン-1,8-ジチオール、ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールよりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
一態様では、前記脂環族ポリイソシアネートが、ビス(4-イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ノルボルネンジイソシアネート及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンよりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
一態様では、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合して混合物を得る工程、得られた混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合して重合性組成物を得る工程、並びに得られた重合性組成物を重合する工程を少なくとも有する、光学材料用透明樹脂の製造方法が提供される。
一態様では、芳香族ポリイソシアネート、メルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物、及び脂環族ポリイソシアネートを少なくとも含有する重合性組成物の硬化物であり、0.30%以下のヘイズ値(肉厚1.8mm換算)を有し、125℃以上160℃以下の熱変形開始温度(TMAペネトレーション法)を有する光学材料用透明樹脂が提供される。
一態様では、芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合して混合物を得る工程、得られた混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合して重合性組成物を得る工程、並びに得られた重合性組成物を注型重合する工程
を少なくとも有する、レンズ基材の製造方法が提供される。
を少なくとも有する、レンズ基材の製造方法が提供される。
一態様では、芳香族ポリイソシアネート、メルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物、及び脂環族ポリイソシアネートを少なくとも含有する重合性組成物の硬化物であり、1.650以上1.680以下の屈折率(肉厚1.8mm換算)を有し、0.30%以下のヘイズ値(肉厚1.8mm換算)を有し、125℃以上160℃以下の熱変形開始温度(TMAペネトレーション法)を有する、レンズ基材が提供される。
一態様では、上記光学部材ないしは光学材料は、レンズであることができる。
また、上記レンズは、眼鏡レンズないしはレンズ基材であることができる。
また、上記レンズは、眼鏡レンズないしはレンズ基材であることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、本明細書に記載の各種態様は、任意の組み合わせで2つ以上を組み合わせることができる。
本発明の一態様は、透明樹脂、レンズ基材や眼鏡レンズ等の各種光学部材の製造分野において有用である。
Claims (13)
- 芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合して混合物を得る工程、並びに
得られた前記混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合する工程、
を少なくとも有する、
光学材料用重合性組成物の製造方法。 - 前記芳香族ポリイソシアネートと前記ポリチオール化合物との配合割合が、20:80~55:45である
請求項1に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。 - 前記芳香族ポリイソシアネートと前記脂環族ポリイソシアネートとの配合割合が、25:75~70:30である
請求項1又は2に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。 - 前記混合物を得る前記工程では、重合触媒をさらに混合する
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。 - 前記芳香族ポリイソシアネートが、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びキシリレンジイソシアネートよりなる群から選択される1種以上を含む
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。 - 前記ポリチオール化合物が、脂肪族ポリチオール化合物を含む
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。 - 前記ポリチオール化合物が、ポリオール化合物と、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、チオ乳酸、及びチオサリチル酸よりなる群から選択される1種以上とのエステル化合物を含む
請求項1~6のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。 - 前記ポリチオール化合物が、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、4-メルカプトメチル-3,6-ジチアオクタン-1,8-ジチオール、ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールよりなる群から選択される1種以上を含む
請求項1~7のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。 - 前記脂環族ポリイソシアネートが、ビス(4-イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ノルボルネンジイソシアネート及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンよりなる群から選択される1種以上を含む
請求項1~8のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。 - 芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合して混合物を得る工程、
得られた混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合して重合性組成物を得る工程、並びに
得られた重合性組成物を重合する工程
を少なくとも有する、
光学材料用透明樹脂の製造方法。 - 芳香族ポリイソシアネート、メルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物、及び脂環族ポリイソシアネートを少なくとも含有する重合性組成物の硬化物であり、
0.30%以下のヘイズ値(肉厚1.8mm換算)を有し、
125℃以上160℃以下の熱変形開始温度(TMAペネトレーション法)を有する
光学材料用透明樹脂。 - 芳香族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを混合して混合物を得る工程、
得られた混合物に脂環族ポリイソシアネートをさらに混合して重合性組成物を得る工程、並びに
得られた重合性組成物を注型重合する工程
を少なくとも有する、
レンズ基材の製造方法。 - 芳香族ポリイソシアネート、メルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物、及び脂環族ポリイソシアネートを少なくとも含有する重合性組成物の硬化物であり、
1.650以上1.680以下の屈折率(肉厚1.8mm換算)を有し、
0.30%以下のヘイズ値(肉厚1.8mm換算)を有し、
125℃以上160℃以下の熱変形開始温度(TMAペネトレーション法)を有する、
レンズ基材。
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JP2021059893A JP2022156293A (ja) | 2021-03-31 | 2021-03-31 | 光学材料用重合性組成物の製造方法、光学材料用透明樹脂及びその製造方法、並びにレンズ基材及びその製造方法 |
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