JP2022153703A - セラミック複合体と、セラミック複合体を備える腕時計又はネームプレート、セラミック複合体の製造方法 - Google Patents

セラミック複合体と、セラミック複合体を備える腕時計又はネームプレート、セラミック複合体の製造方法 Download PDF

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【課題】共晶のラメラ構造を可視光の波長域で目視により肉眼で認識可能となると共に、発光状態でも共晶のラメラ構造を目視により活かす事が可能なセラミック複合体とその製造方法、及びそのセラミック複合体を備える腕時計又はネームプレートの提供。【解決手段】スリットを有すると共に、各々の長手方向が平行に配置された複数のダイを坩堝に収容し、坩堝にセラミック複合体の原料を投入する。次に坩堝を加熱して、原料を坩堝内で溶融して融液を用意する。次に、スリットを介してスリット上部に融液を溜めた融液溜まりを形成し、融液溜まりに種結晶を接触させ、種結晶を引き上げる引き上げ工程により、セラミック複合体の母材を製造する。更にその母材を切断して、2つの酸化物相をラメラ構造として有し、波長380nm以上780nm以下の可視光の照射により2つの酸化物相が白色又は透明であるセラミック複合体を製造する。【選択図】図8

Description

本発明は、セラミック複合体と、セラミック複合体を備える腕時計又はネームプレート、セラミック複合体の製造方法に関する。
現在、光源として青色光を発光する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や半導体レーザを用い、青色光の一部を波長変換部材で黄色光に波長変換して、青色光と黄色光の混色により白色光を照射する照明装置が普及している。このような照明装置では、波長変換部材にYAG(YAl12)系の蛍光体材料を用い、樹脂やガラスに蛍光体粉末を含有させる物が提案されている。
また特許文献1又は2には、YAl12相およびAl相が共晶として連続的に三次元的に相互に絡み合ったラメラ構造を有する、セラミック複合体が提案されている。特許文献1又は2に記載されたセラミック複合体では、YAl12相で青色光を黄色光に波長変換すると共に、YAl12相とAl相の界面で青色光と黄色光が散乱されて混色で白色光を得るとしている。また共晶の少なくとも一つが、蛍光を発する添加物(例えばCe等)で付活された酸化物からなる蛍光体相である。
特許第4609319号公報 特許第5246376号公報
しかし従来のセラミック複合体は、外観色が付活物質により着色される。従って、波長380nm以上780nm以下の可視光の波長域の自然光の下では、外観色全体が付活物質により一色に着色された、所謂べた塗り状態で目視されていた。従って、可視光波長域の自然光では、共晶のラメラ構造を目視により肉眼で認識する事は不可能であった。
また従来のセラミック複合体に於ける発光状態では、波長変換と混色による光が出射されるだけで、共晶のラメラ構造を目視により活かす事が出来なかった。
そこで本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、共晶のラメラ構造を可視光の波長域で目視により肉眼で認識可能となると共に、発光状態でも共晶のラメラ構造を目視により活かす事が可能なセラミック複合体とその製造方法、及びそのセラミック複合体を備える腕時計又はネームプレートの提供を目的とする。
前記課題を解決する為に、本発明のセラミック複合体は、2つの酸化物相をラメラ構造として有し、波長380nm以上780nm以下の可視光の照射により、2つの酸化物相が白色又は透明である事を特徴とする。
また本発明の腕時計又はネームプレートは、前記セラミック複合体を備える事を特徴とする。
また本発明のセラミック複合体の製造方法は、スリットを有すると共に、各々の長手方向が平行に配置された複数のダイを坩堝に収容し、坩堝にセラミック複合体の原料を投入する工程と、坩堝を加熱して、原料を坩堝内で溶融して融液を用意する工程と、スリットを介してスリット上部に融液を溜めた融液溜まりを形成する工程と、融液溜まりに種結晶を接触させ、種結晶を引き上げる引き上げ工程により、セラミック複合体の母材を製造し、更にセラミック複合体の母材を切断して、2つの酸化物相をラメラ構造として有し、波長380nm以上780nm以下の可視光の照射により2つの酸化物相が白色又は透明であるセラミック複合体を製造する事を特徴とする。
本発明のセラミック複合体、そのセラミック複合体を備える腕時計又はネームプレート、及びセラミック複合体の製造方法に依れば、共晶のラメラ構造を可視光の波長域で目視により肉眼で認識可能となるセラミック複合体を実現すると共に、備える事が可能となる。
更にセラミック複合体の発光状態でも、共晶のラメラ構造を目視により肉眼で認識可能となる。従って、セラミック複合体の発光状態でも、共晶のラメラ構造を目視により活かす事が出来る。
本発明の実施形態及び実施例に係る、セラミック複合体のEFG法の製造装置を示す概略構成図である。 (a)図1の製造装置に於けるダイの一例を模式的に示す平面図である。(b)同図(a)の正面図である。(c)同図(a)の側面図である。 本発明の実施形態及び実施例に於ける、種結晶と仕切り板との位置関係を模式的に示す斜視図である。 (a)本発明の実施形態及び実施例に於ける、種結晶と仕切り板との位置関係を模式的に示す正面図である。(b)本発明の実施形態に於ける、種結晶の一部を溶融する様子を示す正面図である。 本発明の実施形態及び実施例に係るセラミック複合体の、スプレディング工程を模式的に示す斜視図である。 EFG法により得られる、本発明の実施形態及び実施例に係る複数のセラミック複合体を部分的に示す斜視図である。 EFG法によって得られる、本発明の実施形態に係るセラミック複合体の成長工程の別形態を示す斜視図である。 EFG法によって得られる、本発明の実施形態及び第1の実施例に係るセラミック複合体の表面を示す写真である。 図8のセラミック複合体に、波長315nm以上380nm未満の紫外線光を照射した時の、セラミック複合体の発光状態を示す写真である。 EFG法によって得られる、本発明の実施形態及び第2の実施例に係るセラミック複合体の表面を示す写真である。 図10のセラミック複合体に、波長315nm以上380nm未満の紫外線光を照射した時の、セラミック複合体の発光状態を示す写真である。
本実施の形態の第一の特徴は、2つの酸化物相をラメラ構造として有し、波長380nm以上780nm以下の可視光の照射により、2つの酸化物相が白色又は透明であるセラミック複合体と云う事である。
また第二の特徴は、2つの酸化物相のうち、可視光の照射により第1の酸化物相が透明であると共に第2の酸化物相が白色であり、波長315nm以上380nm未満の紫外線光の照射により第1の酸化物相が有色発光するセラミック複合体と云う事である。
また第三の特徴は、2つの酸化物相のうち、可視光の照射により第1の酸化物相が白色であると共に第2の酸化物相が透明であり、波長315nm以上380nm未満の紫外線光の照射により第1の酸化物相が有色発光するセラミック複合体と云う事である。
また第四の特徴は、第1の酸化物相が(Gd1-x,Tb)AlO相(0<x<1)であり、第2の酸化物相がAl相であり、(Gd1-x,Tb)AlO相が紫外線光の入射により、波長493nm以上624nm以下の有色に発光するセラミック複合体と云う事である。
また第五の特徴は、外形形状が板状であり、少なくとも1つの面を有するセラミック複合体と云う事である。
また第六の特徴は、前記何れかのセラミック複合体を備える腕時計又はネームプレートと云う事である。
また第七の特徴は、スリットを有すると共に、各々の長手方向が平行に配置された複数のダイを坩堝に収容し、坩堝にセラミック複合体の原料を投入する工程と、坩堝を加熱して、原料を坩堝内で溶融して融液を用意する工程と、スリットを介してスリット上部に融液を溜めた融液溜まりを形成する工程と、融液溜まりに種結晶を接触させ、種結晶を引き上げる引き上げ工程により、セラミック複合体の母材を製造し、更にセラミック複合体の母材を切断して、2つの酸化物相をラメラ構造として有し、波長380nm以上780nm以下の可視光の照射により2つの酸化物相が白色又は透明であるセラミック複合体を製造するセラミック複合体の製造方法と云う事である。
また第八の特徴は、原料がGdとTbとAlを含み、2つの酸化物相に於ける第1の酸化物相が(Gd1-x,Tb)AlO相であり、第2の酸化物相がAl相であるセラミック複合体の製造方法と云う事である。
また第九の特徴は、(Gd1-x,Tb)AlO相が透明であると共に、Al相が白色であるセラミック複合体の製造方法と云う事である。
また第十の特徴は、(Gd1-x,Tb)AlO相が白色であると共に、Al相が透明であるセラミック複合体の製造方法と云う事である。
これらの構成又は方法に依れば、共晶のラメラ構造を可視光の波長域で目視により肉眼で認識可能となるセラミック複合体を実現すると共に、備える事が可能となる。
更にセラミック複合体の発光状態でも、共晶のラメラ構造を目視により肉眼で認識可能となる。従って、セラミック複合体の発光状態でも、共晶のラメラ構造を目視により活かす事が出来る。
更に、更に、母材となるセラミック複合体2を切断する方向によって、母材から作製されるセラミック複合体の表面に現れるラメラ構造や酸化物相の界面密度、紫外線光照射時の発光状態を異ならせる事が可能となる。
従って、この様なセラミック複合体を備えた用途品(例えば、腕時計又はネームプレート等)の装飾性向上が図れる。更に暗闇の中でブラックライトによる発光に伴い、セラミック複合体に色変化を発生させる事も出来るので、エンターテインメント用途での演出材料や装飾材料として好適である。或いは、昼夜で印象が変わる事で、時間を問わず総合的に装飾性を向上させる事が可能となる。
更に、2つの酸化物相のうち一方の酸化物相を透明とする事が出来るので、一種のスケルトン材料として様々な用途に使用する事が可能となり、デザインの幅を広げる事が出来ると共に、装飾性の一層の向上を図る事が可能となる。
更に、ラメラ構造と酸化物相は、母材となるセラミック複合体毎にランダムに表出する。従って、その母材から作製される各セラミック複合体表面のラメラ構造と酸化物相も、ランダムで現れる。従って、この様なセラミック複合体を用いた用途品の、製造元や持ち主の特定にも役立てる事が可能となり、模倣品防止やセキュリティ向上を図る事が出来る。また用途品に、所謂ワンオフ生産品と云った付加価値も付与する事が可能となる。
また、セラミック複合体に紫外線光を照射した時に、セラミック複合体を波長493nm以上624nm以下の有色に発光する事が出来る。更に、酸化物相毎の発光の相違(特に、発光の波長の相違)や、母材からの切断方向によっても発光状態や発光強度を変化させる事が出来る。従って、装飾性をより一層向上させる事が可能となる。
また母材を切断、研削、研磨して得られるセラミック複合体の外形形状は、板状で、少なくとも1つの面(主面となる表面)を有する事が望ましい。その理由は、セラミック複合体の外形形状を板状とする事で、主面となる表面を比較的大面積とする事が出来る為である。よって、その表面の面積に亘ってラメラ構造や酸化物相を表出する事が出来るので、ラメラ構造や酸化物相の視認性向上に伴い装飾性、製造元や持ち主の特定、ワンオフ生産品と云った付加価値を、より一層向上させる事が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図1から図10を適宜参照して、詳細に説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
最初に、本実施形態に係る製造方法で使用される製造装置について、図1から図7を参照して説明する。図1から図7は、本発明の実施形態に係るセラミック複合体及びその製造方法について説明する図である。
図1に示すように、セラミック複合体の製造装置1は、セラミック複合体2を育成する育成容器3と、育成したセラミック複合体2を引き上げる引き上げ容器4とから構成され、EFG(Edge-defined Film-fed. Growth)法によりセラミック複合体2を結晶育成成長して製造する。
育成容器3は、坩堝5、坩堝駆動部6、ヒータ7(金属またはカーボン)、電極8、ダイ9、及び断熱材10(酸化物またはカーボン)を備える。坩堝5はモリブデン(Mo)製又はタングステン(W)製であり、原料を溶融する。坩堝駆動部6は、坩堝5をその鉛直方向を軸として回転させる。ヒータ7は坩堝5を加熱する。また、電極8はヒータ7を通電する。ダイ9は坩堝5内に設置され、セラミック複合体2を引き上げる際の原料融液(以下、必要に応じて単に「融液」と表記)21の液面形状を決定する。また断熱材10は、坩堝5とヒータ7とダイ9を取り囲んでいる。
更に育成容器3は、雰囲気ガス導入口11と排気口12を備える。雰囲気ガス導入口11は、雰囲気ガスとして例えばアルゴンガスや還元性ガス(1.0%水素など)を育成容器3内に導入する為の導入口であり、坩堝5やヒータ7、及びダイ9の酸化消耗を防止する。一方、排気口12は育成容器3内を排気する為に備えられる。
引き上げ容器4は、シャフト13、シャフト駆動部14、ゲートバルブ15、及び基板出入口16を備え、種結晶17から育成成長した複数の平板形状のセラミック複合体2を引き上げる。シャフト13は種結晶17を保持する。またシャフト駆動部14は、シャフト13を坩堝5に向けて昇降させると共に、その昇降方向を軸としてシャフト13を回転させる。ゲートバルブ15は育成容器3と引き上げ容器4とを仕切る。また基板出入口16は、種結晶17を出し入れする。
なお製造装置1は図示されない制御部も有しており、この制御部により坩堝駆動部6及びシャフト駆動部14の回転を制御する。
次に、ダイ9について説明する。ダイ9はモリブデン製であり、図2に示すように多数の仕切り板18を有する。図2ではダイの一例として、仕切り板18が30枚であり、ダイ9が15個形成されている場合を示している。仕切り板18は同一の平板形状を有し、微小間隙(スリット)19を形成するように互いに平行に配置されて、1つのダイ9を形成している。スリット19は、ダイ9のほぼ全幅に亘って設けられる。また複数のダイ9は同一形状を有すると共に、その長手方向が互いに平行となるように所定の間隔で並列に配置されている為、複数のスリット19が設けられる事となる。図2及び図3内の記号tは、ダイ9の厚みを指す。また図2内の記号Dは、各ダイ9間の間隙を指す。また図3の記号Tは、種結晶17の厚みを指す。
各仕切り板18の上部は斜面30が形成されており、互いの斜面30が向かい合わせで配置される事で、鋭角の開口部20が形成されている。またスリット19は融液21を毛細管現象によって、各ダイ9の下端から開口部20に上昇させる役割を有している。
坩堝5内に投入されるセラミック複合体の原料は、坩堝5の温度上昇に基づいて溶融(原料メルト)し、融液21となる。この融液21の一部は、ダイ9のスリット19に浸入し、前記のように毛細管現象に基づいてスリット19内を上昇し開口部20から露出して、開口部20で原料融液溜まり22が形成される(図4(a)参照)。
EFG法では、原料融液溜まり(以下、必要に応じて「融液溜まり」と表記)22で形成される融液面の形状に従って、セラミック複合体2が成長する。図2に示したダイ9では、融液面の形状は細長い長方形となるので、平板形状のセラミック複合体2が製造される。
次に、種結晶17について説明する。図1、図3から図6に示すように本実施形態では、種結晶17として平板形状のセラミック複合体製の基板を用いる。更に、種結晶17の平面方向とダイ9の長手方向は、互いに90°の角度で以て直交となるように、種結晶17が配置される。また、種結晶17とセラミック複合体2も90°の角度で以て直交するので、図1ではセラミック複合体2の側面を示している。なお、図3と図4の引き出し番号28は、種結晶17の結晶面である。
種結晶17は、シャフト13の下部の基板保持具(図示せず)との接触面積が大きいと、熱膨張率の差による応力の為に変形し、場合によっては破損してしまう。反対に熱膨張率の差により種結晶17の固定が緩む場合もある。従って、種結晶17と基板保持具との接触面積は小さい方が好ましい。また、種結晶17は基板保持具に確実に固定できる基板形状の必要がある。
図4より、種結晶17の上部には切り欠き部23が設けられている。この切り欠き部23を利用して、例えば2カ所の切り欠き部23の下側からU字形の基板保持具を差し込んで、接触面積を小さくしつつ確実に種結晶17を保持する事が可能となる。
次に、前記製造装置1を使用したセラミック複合体2の製造方法を説明する。最初にセラミック複合体の原料である、造粒された原料粉末(一例として酸化アルミニウム(Al)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化テルビウム(Tb)をそれぞれ所望量含み混合された粉末)をダイ9が収納された坩堝5に所定量投入して充填する。原料粉末には、製造しようとするセラミック複合体の純度又は組成に応じて、上記以外の化合物や元素が含まれていても良い。
続いて、坩堝5やヒータ7若しくはダイ9を酸化消耗させない為に、育成容器3内をアルゴンガスで置換し、酸素濃度を所定値以下とする。
次に、ヒータ7で加熱して坩堝5を所定の温度とし、原料粉末を坩堝内で溶融する。坩堝5の加熱温度は、全ての原料種別の融点以上の温度(前記一例の原料粉末の場合、例えば2500℃)に設定する。
加熱後しばらくすると原料粉末が溶融して、原料の融液21が用意される。更に融液21の一部はダイ9のスリット19を毛細管現象により上昇してダイ9の表面に達し、スリット19上部に融液21を溜めた融液溜まり22が形成される。
次に図3及び図4に示すように、スリット19上部の融液溜まり22の長手方向に対して垂直な角度に種結晶17を保持しつつ降下させ、種結晶17を融液溜まり22の融液面に接触させる。なお種結晶17は、予め基板出入口16から引き上げ容器4内に導入しておく。図3ではスリット19や開口部20の見易さを優先する為、融液21と融液溜まり22の図示を省略している。
図3及び図4は、種結晶17と仕切り板18との位置関係を示した図である。前記の通り、種結晶17の平面方向を仕切り板18の長手方向と直交させる事により、種結晶17と融液21との接触面積を小さくする事が可能となる。従って、種結晶17の接触部分が融液21となじみ、育成成長されるセラミック複合体2に結晶欠陥が生じにくくなる。
種結晶17を融液面に接触させる際に、種結晶17の下部を仕切り板18の上部に接触させて溶融しても良い。図4(b)は、種結晶17の一部を溶融する様子を示した図である。このように種結晶17の一部を溶融する事で、種結晶17と融液21との温度差を速やかに解消する事ができ、セラミック複合体2での結晶欠陥の発生を更に低減する事が可能となる。
続いて基板保持具を所望の引き上げ速度で引き上げて、種結晶17の引き上げを開始する。具体的にはシャフト13により、基板保持具及び種結晶17を所望の引き上げ速度で上昇させる。
基板保持具を所望の引き上げ速度で上昇させ、種結晶17を中心に図5に示すようにセラミック複合体2をダイ9の長手方向に拡幅するように結晶成長させる(スプレディング)。セラミック複合体2が、ダイ9の全幅(仕切り板18の端)まで拡幅すると(フルスプレッド)、ダイ9の全幅と同程度の幅を有する、面積の広い平板形状のセラミック複合体2が育成される(直胴工程)。図5は、スプレディング工程によりセラミック複合体2の幅が広がる様子を示した模式図である。幅の広いセラミック複合体2が得られる事により、セラミック複合体製品の歩留まりが向上する。
スプレディング工程により、ダイ9の全幅までセラミック複合体2を成長させる。その後、図6に示すようにダイ9の全幅と同程度の一定幅を有する、平板形状の直胴部分26を所望の引き上げ速度で所望の長さ(直胴長さ)まで引き上げて、平板形状のセラミック複合体2を得る。
引き上げ工程中には、スリット19の上部に形成されている融液溜まり22での融液21の界面温度が一定となるように、ヒータ7等を用いて温度制御する。セラミック複合体2は、融液溜まり22まで上昇してきた融液21が種結晶17と接触して引き上げられながら冷却される事で成長する。従って、融液溜まり22の温度を一定に管理する事で、セラミック複合体2の成長期間において結晶の成長条件を同等に保つ事ができ、セラミック複合体2の全域に亘って、2つの酸化物相から成るラメラ構造を形成する事が出来る。
この後、得られたセラミック複合体2を放冷し、ゲートバルブ15を空け、引き上げ容器4側に移動して、基板出入口16から取り出す。得られた平板形状のセラミック複合体2の外観を図6に示す。直胴長さは特に限定されないが、10mm以上1500mm以下が好ましい。
また図7に示すように、ダイ9の全幅と種結晶17の幅を同一とし、種結晶17の全幅と同じ幅でセラミック複合体2を育成成長させても良い。なお図7でもスリット19の見易さを優先する為、融液21と融液溜まり22の図示を省略している。
次に、図6の各セラミック複合体2を種結晶17から分離し、それぞれのセラミック複合体2を切断、研削、研磨を施して、図8又は図10に示す様な、所望の縦横寸法と厚みを有するセラミック複合体を、セラミック複合体2を母材として得る。図8と図10のセラミック複合体は、共に2つの酸化物相から成るラメラ構造を形成している。
以上説明したような製造装置1、種結晶17、及びダイ9を用いる事により、共通の種結晶17から複数のセラミック複合体2を同時に製造する事が出来る。従って、一枚当たりのセラミック複合体2の製造コストを下げる事が可能となる。
またEFG法では、複数のセラミック複合体2を育成成長する。従って、複数のセラミック複合体2が均一に冷却及び放冷される事で、ばらつきが抑制されたラメラ構造を得る事が出来る。
種結晶17、及び仕切り板18を含めたダイ9は、精密に位置決めする必要がある。図1に示したように製造装置1は、ダイ9を設置する坩堝5を回転する坩堝駆動部6、及びその回転を制御する制御部(図示せず)が設けられている。またシャフト13に関しても、シャフト13を回転するシャフト駆動部14、及びその回転を制御する制御部(図示せず)が設けられている。即ち、ダイ9に対する種結晶17の位置決めは、制御部によりシャフト13又は坩堝5を回転させて調整する。
なお、種結晶17とダイ9との精密な位置決めについては、各仕切り板18の斜面30の一部を切り欠いたダイ9を使用する事によっても行う事が出来る。
セラミック複合体2の平面方向の形状やサイズは限定されないが、セラミック複合体2への作業性の悪化防止の点から、幅が0.5mm以上300mm以下で長さが10mm以上1500mm以下の方形状が望ましい。幅が0.5mm未満では、セラミック複合体2の生産性劣化を招く。一方、幅が300mmを超えると、ダイ9の先端(ダイトップ)の均熱性が悪化して、厚みのムラなどが発生しやすくなり、セラミック複合体2の育成が困難になる。また前記長さは、セラミック複合体2への作業性の悪化防止の点で、10mm以上1500mm以下が望ましい。
本実施形態のセラミック複合体2はEFG法を用いて製造される為、ダイ9の幅と引き上げる長さを大きくする事で、容易に大面積のセラミック複合体2を得る事が可能である。
また、セラミック複合体2の厚みは限定されないが、0.2mm以上5.0mm以下の範囲が好ましい。セラミック複合体2の厚みが0.2mm未満である場合には、EFG法では結晶育成制御が困難になり、製造誤差による厚みの影響や、面内での厚みムラの影響が大きくなる為、セラミック複合体2の面内全域で反射光を均一に得る事が困難になる。
次に、以上の製造方法で得られたセラミック複合体について、図8と図10を参照して説明する。
本発明の実施形態に係るセラミック複合体は、図8又は図10に示す様に、2つの酸化物相をラメラ構造として有して構成される。
図8又は図10は、上述したEFG法によって得られたセラミック複合体の表面を示す写真である。本実施形態のセラミック複合体は、第1の酸化物相と、第2の酸化物相が共晶として存在しており、2つの酸化物相(第1の酸化物相と第2の酸化物相)が相互に立体的に絡み合ったラメラ構造を有している。また、第1の酸化物相と第2の酸化物相は、島状に独立して分離した領域や、二次元方向又は三次元方向に連続した領域も有している。
図8と図10の各セラミック複合体は、母材となるセラミック複合体2を切断する方向によって、表面に現れるラメラ構造が異なる。図8はセラミック複合体2の板面が、そのまま各セラミック複合体の表面となる様に、セラミック複合体2を切断、研削、研磨して作製されたサンプルである。一方で図10は、セラミック複合体2の直胴部分26の長さ方向(育成方向)に対して垂直な断面を、各セラミック複合体の表面となる様に、セラミック複合体2を切断、研削、研磨して作製されたサンプルである。
図8と図10のセラミック複合体の写真は、波長380nm以上780nm以下の可視光波長域の光を出射する蛍光灯の下で撮影されたものである。図8及び図10より、波長380nm以上780nm以下の可視光の照射により、2つの酸化物相が白色又は透明である事が目視により肉眼で認識可能となる。なお透明な酸化物相とは、図8及び図10では何れも比較的暗色で灰色に撮影されている領域の酸化物相であり、紙面に印刷された文字が図8及び図10の各セラミック複合体越しに、透過されて肉眼で判読可能である。
本発明に於いて可視光とは、380nm以上780nm以下の波長域の光であり、蛍光灯から出射される光も、380nm以上780nm以下の波長域を有する光ならば、含むものとする。
図8の各セラミック複合体は、可視光の照射により、2つの酸化物相のうち第1の酸化物相が透明であると共に第2の酸化物相が白色な状態を示すものである。一方、図10の各セラミック複合体は、可視光の照射により、2つの酸化物相のうち第1の酸化物相が白色であると共に第2の酸化物相が透明な状態を示すものである。この様に、前記母材から切断されて形成される表面の面方向により、2つの酸化物相が目視により肉眼で認識される状態が異なって現れる。
可視光の照射により、目視で認識される白色と透明な酸化物相を有するセラミック複合体の一例として、本発明では第1の酸化物相を(Gd1-x,Tb)AlO相(0<x<1)とし、第2の酸化物相をAl相とする。図8では(Gd1-x,Tb)AlO相が透明でAl相が白色、図10では(Gd1-x,Tb)AlO相が白色でAl相が透明なセラミック複合体を示している。なお(Gd1-x,Tb)AlO相は、ペロブスカイト相で酸化物相でもある。
この様な(Gd1-x,Tb)AlO相とAl相の共晶は、酸化アルミニウム(Al)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化テルビウム(Tb)を含む原料粉末で製造されたセラミック複合体で実現される。即ち、Al相以外のもう一方の酸化物相に、Gd及びTbを付活する事で、可視光の照射時に目視により白色又は透明な酸化物相が認識可能となる。
次に、図8のセラミック複合体に、波長315nm以上380nm未満の紫外線光(いわゆるブラックライト)を照射した観察結果の写真を、図9に示す。図8と図9の各セラミック複合体の並び順は、それぞれ対応している。また、図10のセラミック複合体に、波長315nm以上380nm未満の紫外線光を照射した観察結果の写真を、図11に示す。図10と図11の各セラミック複合体の並び順は、それぞれ対応している。
図9又は図11の各セラミック複合体では、何れも前記紫外線光の照射により、2つの酸化物相が有色発光する。しかし詳述すると、紫外線光の照射時に、白みがかって比較的明るく発光するように目視で認識される酸化物相と、暗みがかって比較的暗く発光するように目視で認識される酸化物相とに分かれる。この様に、2つの酸化物相は共に紫外線光照射により有色発光するものの、目視により認識される発光状態には相違が生じる。
図9の各セラミック複合体では、可視光の照射時に目視で透明に認識された第1の酸化物相((Gd1-x,Tb)AlO相)が、白みがかって比較的明るく有色発光するように、目視により肉眼で認識される。一方、第2の酸化物相であるAl相は、暗みがかって比較的暗く有色発光するように目視で認識される。
図11の各セラミック複合体では、可視光の照射時に目視で白色に認識された第1の酸化物相((Gd1-x,Tb)AlO相)が、白みがかって比較的明るく有色発光するように、目視により肉眼で認識される。一方、第2の酸化物相であるAl相は、暗みがかって比較的暗く有色発光するように目視で認識される。
以上図8~図11に示す様に、母材の切断方向によって、セラミック複合体の可視光照射時と紫外線光照射時で、酸化物相の目視による認識状態に対する、紫外線光照射時の発光状態が反転する事が確認された。
また、(Gd1-x,Tb)AlO相とAl相の共晶を有するセラミック複合体全体は、紫外線光の照射により、(Gd1-x,Tb)AlO相とAl相共に、波長493nm以上624nm以下の有色に発光する。その発光の際に、493nm以上624nm以下の波長範囲に於いて、図9又は図11の様な酸化物相毎の発光の相違(特に、発光の波長の相違)を呈する。図9又は図11に於いて、比較的白みがかって有色発光している(Gd1-x,Tb)AlO相が、淡い黄緑色~濃い黄緑色~淡い緑色に目視で認識される。一方、比較的暗みがかって有色発光しているAl相は、濃緑色に目視で確認される。
即ち、紫外線光照射時に、第1の酸化物相と第2の酸化物相で発光色の波長が異なる。更に、図9と図11の比較により、第1の酸化物相又は第2の酸化物相毎でも、発光色の波長は異なる。従って、紫外線光照射により発光される色には、複数の波長ピークが有る。
なお、発光色の波長範囲(493nm以上624nm以下)は、可視分光光度計などにより測定可能である。
更に図8と図10の比較により、前記母材からセラミック複合体を形成する際の母材の切断方向によって、ラメラ構造を呈する2つの酸化物相の界面密度が異なって現れる事が分かる。図10及び図11に示す各セラミック複合体の前記界面密度が、図8及び図9の各セラミック複合体の前記界面密度よりも高い。界面密度が高い程、2つの酸化物相の界面で光が散乱され易く、単一面積当たりでより均一に面内全域で光を散乱して、より均一な出射光をより大きな発光強度で得る事が出来る。
またEFG法によるセラミック複合体2の製造では、坩堝5の材料が融液21に溶け出す事を完全に防止する事は不可能であり、MoまたはWの含有量を1mol・ppm未満とする事は非常に困難である。また、MoまたはWの含有量が30000mol・ppmを超えて大きくなると、(Gd1-x,Tb)AlO相やAl相の結晶性が悪化する為、好ましくない。従って、セラミック複合体に含有されるMoまたはWの量は、好ましくは1mol・ppm以上30000mol・ppm以下の範囲である。
MoまたはWの含有量を1mol・ppm以上30000mol・ppm以下に設定すると、これら問題点が解消されると共に、光を均一に散乱可能となる為、最も望ましい。従って、セラミック複合体2に含有されるMoまたはWの含有量を、少なくとも1mol・ppm以上30000mol・ppm以下とする事で、微細なラメラ構造を形成して均一に光散乱を行い、発光強度の均一化を図る事ができる。
前記坩堝5としてMoまたはW以外の材料を用いると、融点が低く坩堝5の材料が融液21に溶け出す量が増加し、セラミック複合体2に含有される坩堝5由来の元素含有量が増加するおそれが生じて、好ましくない。また、坩堝5を構成する材料としてMoまたはW以外の融点が高い材料を用いる事は、原料の融液21との反応性や、坩堝5の成形性等の問題があり好ましくない。従って、EFG法を用いてセラミック複合体2を製造し、(Gd1-x,Tb)AlO相とAl相のラメラ構造を微細化する為には、セラミック複合体2にMoまたはWが上記範囲で含まれている事が重要である。
また、図8~図11のセラミック複合体を備えて、腕時計又はネームプレートを形成する事が出来る。前記セラミック複合体により、腕時計部品(文字盤、時字(インデックス)、ムーブメントフレーム、外装部品のベゼルやケース、見返しリング等)を形成する事が出来る。
以上、本発明に係るセラミック複合体とその製造方法に依れば、共晶のラメラ構造が可視光の波長域で白色及び透明に、目視により肉眼で認識可能となる。従って、共晶のラメラ構造を可視光の波長域で目視により肉眼で認識可能となるセラミック複合体を実現すると共に、備える事が可能となる。
更にセラミック複合体の発光状態でも、共晶のラメラ構造を目視により肉眼で認識可能となる。従って、セラミック複合体の発光状態でも、共晶のラメラ構造を目視により活かす事が出来る。
更に、母材となるセラミック複合体2を切断する方向によって、セラミック複合体の表面に現れるラメラ構造や酸化物相の界面密度、紫外線光照射時の発光状態を異ならせる事が可能となる。
従って、この様なセラミック複合体を備えた用途品(例えば、腕時計又はネームプレート等)の装飾性向上が図れる。更に暗闇の中でブラックライトによる発光に伴い、セラミック複合体に色変化を発生させる事も出来るので、エンターテインメント用途での演出材料や装飾材料として好適である。或いは、昼夜で印象が変わる事で、時間を問わず総合的に装飾性を向上させる事が可能となる。
更に、2つの酸化物相のうち一方の酸化物相を透明とする事が出来るので、一種のスケルトン材料として様々な用途に使用する事が可能となり、デザインの幅を広げる事が出来ると共に、装飾性の一層の向上を図る事が可能となる。
更に、前記ラメラ構造と酸化物相は、母材となるセラミック複合体2毎にランダムに表出する。従って、その母材から作製される各セラミック複合体表面のラメラ構造と酸化物相も、図8及び図10よりランダムで現れる。従って、この様なセラミック複合体を用いた用途品の、製造元や持ち主の特定にも役立てる事が可能となり、模倣品防止やセキュリティ向上を図る事が出来る。また用途品に、所謂ワンオフ生産品と云った付加価値も付与する事が可能となる。
また、セラミック複合体に紫外線光を照射した時に、セラミック複合体を波長493nm以上624nm以下の有色に発光する事が出来る。更に、酸化物相毎の発光の相違(特に、発光の波長の相違)や、母材からの切断方向によっても発光状態や発光強度を変化させる事が出来る。従って、前記装飾性をより一層向上させる事が可能となる。
また母材を切断、研削、研磨して得られるセラミック複合体の外形形状は、図8から図11に示す様な板状で、少なくとも1つの面(主面となる表面)を有する事が望ましい。その理由は、セラミック複合体の外形形状を板状とする事で、主面となる表面を比較的大面積とする事が出来る為である。よって、その表面の面積に亘ってラメラ構造や酸化物相を表出する事が出来るので、ラメラ構造や酸化物相の視認性向上に伴い前記装飾性、前記製造元や持ち主の特定、ワンオフ生産品と云った付加価値を、より一層向上させる事が可能となる。なお、このような効果を得る為には、図8から図11に示す各セラミック複合体の縦寸法及び横寸法は、共に10mm以上が望ましい。
なおセラミック複合体からの発光強度は、励起光である紫外線光の強度に比例している。また、セラミック複合体内部に照射される紫外線光は、セラミック複合体の厚みの指数で減少する。更に セラミック複合体からの発光は、吸収があると減少する(自己吸収)。
また、母材からの切断方向が異なるセラミック複合体を組み合わせて、用途品に用いても良い。個々のセラミック複合体には、前記の通りラメラ構造と酸化物相がランダムで現れる為、組み合わせのランダム性も付加する事により、前記装飾性、前記製造元や持ち主の特定、ワンオフ生産品と云った付加価値を、より一層向上させる事が可能となる。
なお、(Gd1-x,Tb)AlO相のx数値のより好ましい範囲は、0.01≦x≦0.5である。xを0.01以上とする事により、(Gd1-x,Tb)AlO相の有色発光を強める事が可能となる。また、xを0.5以下とする事により、Tbの酸化物形成が抑制され、セラミック複合体の製造コスト高騰を防止する事が出来る為、好ましい。
以下に本発明に係る実施例を説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
本実施例のセラミック複合体を、図1から図6に示すEFG法による製造装置を用いて、前記実施形態の各製造工程を経て作製した。以下、前記実施形態と重複する説明は省略又は簡略化すると共に同一の引き出し番号を用いる。更に、新たに説明が必要な箇所を重点的に説明する。
坩堝5はMo製とし、原料粉末(酸化アルミニウム(Al)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化テルビウム(Tb)をそれぞれ所望量含み混合された粉末)をダイ9が収納された坩堝5に所定量投入し、加熱して融液21及び融液溜まり22を用意した。
次に、セラミック複合体製の種結晶17を融液溜まり22に接触させ、引き上げてセラミック複合体2を作製した。作製されたセラミック複合体2を母材とし、その母材の板面が、そのままセラミック複合体の表面となる様に、セラミック複合体2を切断、研削、研磨して図8に示す2枚のセラミック複合体を作製した。図8の各セラミック複合体の母材は、直胴長さ6.0mm×幅25mmの板状であった。また、2枚のセラミック複合体の硬さ(Hv)は1200~1300であった。
図8の各セラミック複合体は、縦横が共に20mmの角形平面形状を有し、厚みは図8の左側のサンプルを1.5mm、図8の右側のサンプルを1.0mmに整厚した。
また、母材であるセラミック複合体2の直胴部分26の長さ方向(育成方向)に対して垂直な断面を、セラミック複合体の表面となる様に、セラミック複合体2を切断、研削、研磨して、図10に示す3枚のセラミック複合体を作製した。図10の各セラミック複合体の母材は、ブロック状であった。また、3枚のセラミック複合体の硬さ(Hv)は1200~1300であった。
図10の各セラミック複合体は、縦16mm×横12mmの角形平面形状を有し、厚みは図10の中央のサンプルを1.0mm、図10の左右のサンプルを0.7mmに整厚した。
図8と図10のサンプルを比較すると、共晶のラメラサイズは図8の方がより大きくなっており、酸化物相の界面密度は図10のサンプルの方が高い事が、目視により確認された。
図8と図10の各セラミック複合体に、それぞれ紫外線光を照射した結果が、図9又は図11であった。
次に得られたサンプルに、波長365nm以上375nm以下を有する紫外線光(ブラックライト)をセラミック複合体2に入射し、色変化動作を確認した。なお、ブラックライトを入射する前のセラミック複合体は、図8又は図10に示す様に波長380nm以上780nm以下の可視光を出射する蛍光体により、2つの酸化物相が白色又は透明であった。
ブラックライト入射後のセラミック複合体は、全体が図9又は図11に示す様に波長493nm以上624nm以下の有色に発光した。(Gd0.92,Tb0.08)AlO相が、比較的白みがかって有色発光し、淡い緑色又は濃い黄緑色に目視で認識された。一方、Al相は比較的暗みがかって有色発光し、濃緑色に目視で確認された。
また、図8と図9のサンプルでは、波長380nm以上780nm以下の可視光の照射により透明であった(Gd0.92,Tb0.08)AlO相が比較的白みがかって有色発光したのに対し、図10と図11のサンプルでは、波長380nm以上780nm以下の可視光の照射により白色であった(Gd0.92,Tb0.08)AlO相が比較的白みがかって有色発光した。以上から、図9と図11を比較すると、母材のセラミック複合体に対する切断方向により、作製されるセラミック複合体の発光状態が反転する事が確認された。
また、図9の左右のサンプルの発光強度を比較すると、厚みが大きい左側サンプルの方が、より強い発光強度で有色発光する事が確認された。同様に図11の3つのサンプルの発光強度を比較すると、厚みが大きい中央のサンプルが、より強い発光強度で有色発光する事が確認された。即ち、発光強度に関しては厚みが厚い程、発光強度が高い事が確認された。
図9と図11の各サンプルでは、有色発光に於いて複数の波長ピークが現れ、493nm付近、543nm付近、590nm付近、624nm付近の4か所に波長ピークがあった。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
1…製造装置
2…セラミック複合体
3…育成容器
4…引き上げ容器
5…坩堝
6…坩堝駆動部
7…ヒータ
8…電極
9…ダイ
10…断熱材
11…雰囲気ガス導入口
12…排気口
13…シャフト
14…シャフト駆動部
15…ゲートバルブ
16…基板出入口
17…種結晶
18…仕切り板
19…スリット
20…開口部
21…融液
22…融液溜まり
23…切り欠き部
26…直胴部分
28…種結晶の結晶面
30…斜面

Claims (10)

  1. 2つの酸化物相をラメラ構造として有し、
    波長380nm以上780nm以下の可視光の照射により、2つの酸化物相が白色又は透明であるセラミック複合体。
  2. 前記2つの酸化物相のうち、
    前記可視光の照射により第1の酸化物相が透明であると共に第2の酸化物相が白色であり、
    波長315nm以上380nm未満の紫外線光の照射により第1の酸化物相が有色発光する請求項1に記載のセラミック複合体。
  3. 前記2つの酸化物相のうち、
    前記可視光の照射により第1の酸化物相が白色であると共に第2の酸化物相が透明であり、
    波長315nm以上380nm未満の紫外線光の照射により第1の酸化物相が有色発光する請求項1に記載のセラミック複合体。
  4. 前記第1の酸化物相が(Gd1-x,Tb)AlO相(0<x<1)であり、前記第2の酸化物相がAl相であり、
    (Gd1-x,Tb)AlO相が前記紫外線光の入射により、波長493nm以上624nm以下の有色に発光する請求項2又は3に記載のセラミック複合体。
  5. 外形形状が板状であり、少なくとも1つの面を有する請求項1~4の何れかに記載のセラミック複合体。
  6. 請求項1~5の何れかの前記セラミック複合体を備える腕時計又はネームプレート。
  7. スリットを有すると共に、各々の長手方向が平行に配置された複数のダイを坩堝に収容し、坩堝にセラミック複合体の原料を投入する工程と、
    坩堝を加熱して、原料を坩堝内で溶融して融液を用意する工程と、
    スリットを介してスリット上部に融液を溜めた融液溜まりを形成する工程と、
    融液溜まりに種結晶を接触させ、種結晶を引き上げる引き上げ工程により、セラミック複合体の母材を製造し、
    更にセラミック複合体の母材を切断して、2つの酸化物相をラメラ構造として有し、波長380nm以上780nm以下の可視光の照射により2つの酸化物相が白色又は透明であるセラミック複合体を製造するセラミック複合体の製造方法。
  8. 前記原料がGdとTbとAlを含み、
    前記2つの酸化物相に於ける第1の酸化物相が(Gd1-x,Tb)AlO相(0<x<1)であり、第2の酸化物相がAl相である請求項7に記載のセラミック複合体の製造方法。
  9. 前記(Gd1-x,Tb)AlO相が透明であると共に、前記Al相が白色である請求項8に記載のセラミック複合体の製造方法。
  10. 前記(Gd1-x,Tb)AlO相が白色であると共に、前記Al相が透明である請求項8に記載のセラミック複合体の製造方法。
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