JP2022151870A - 揚げ物の保存耐性向上用組成物、揚げ物の食感改良用組成物および揚げ物の製造方法 - Google Patents
揚げ物の保存耐性向上用組成物、揚げ物の食感改良用組成物および揚げ物の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 具材および衣からなる揚げ物の保存時に生じる品質低下を抑制する技術を提供する。【解決手段】 具材および衣からなる揚げ物の保存耐性向上用組成物であって、ソルビトールおよび還元水飴から選択される1以上の糖アルコールを有効成分とし、下記(A)~(C)から選択される1以上の用途で用いられることを特徴とする前記組成物;(A)前記衣の乾燥を抑制する用途、(B)前記衣のもさつきを抑制する用途、(C)前記衣のひきを抑制する用途。本発明によれば、食味に悪影響を与えることなく、揚げ物の保存耐性を向上することができる。【選択図】 図1
Description
本発明は、所定の糖アルコールを有効成分とする、揚げ物の保存耐性向上用組成物、揚げ物の食感改良用組成物ならびにそれを用いる揚げ物の製造方法に関する。
茹でる、揚げる、焼く、蒸すなどの加熱調理をした食品(加熱済み食品)は、非加熱の食品よりも、一般に、喫食する迄の手間が少ない、あるいは保存時の劣化が抑制されているなどの理由から、種々の形態で流通ないし販売されている。例えば、ボイルしたエビ、イカ、アサリなどの魚介類は、下処理が不要で簡単な再加熱調理により喫食できる食品として、冷凍や冷蔵の状態で流通ないし販売されている。
特に、油中で加熱調理した食品である揚げ物は、具体的には、から揚げや天ぷら、コロッケなどが例示されるが、これらは、調理済のものを購入後そのまま喫食できる弁当・惣菜や、家庭で簡便な加熱処理をすることで喫食できる冷凍商品や冷蔵商品など、さまざまな形態で販売されている。
例えば、近年では、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、屋台等において、加温したフードショーケース内にいれた揚げ物が「ホットスナック」として販売されており、手軽に喫食できる温かい軽食として人気が高い。しかし一方で、加温したフードショーケース内にいれた揚げ物は、時間の経過とともに、水分が蒸発してかたくなる、パサつく、あるいは衣のサクサク感が低下するなど、品質が劣化することが問題となっている。
また、冷凍食品や冷蔵食品として流通する揚げ物も、長期保存が可能で電子レンジ等で加熱することにより手軽に喫食できるため、人気がある。しかしながら、これらの製品もまた、冷凍・解凍や再加熱、あるいは低温環境下での保存期間の経過により、衣のもさつきが増大する、衣のひき(噛み切りにくさ)が増大する、中の具材がかたくなる、パサつく、あるいは弾力が低下するなど、品質が劣化することが問題となっている。
そこで、揚げ物の保存時の品質劣化を抑制できる技術が求められている。この点、例えば、特許文献1には、アラビアガム、所定の保水剤、塩および水を含む保水作用を有する溶液に中具を接触させて保水処理した後に衣付けおよび油ちょうすることにより、揚げ物をウォーマーケースで保温した場合であっても、中具のジューシー感の低下や、衣が硬くなり噛み切り難くなるのを抑制する技術が開示されている。
しかしながら、これらの先行技術を鑑みても、揚げ物を保存したときに生じる品質低下を簡便かつ効率的に抑制する技術は十分に供給されている状況とはいえない。本発明は、係る課題を解決するためになされたものであって、揚げ物の保存時に生じる品質低下を抑制する技術、すなわち、揚げ物の保存耐性を向上する技術を提供することを目的とする。また、本発明は、揚げ物の食感を改良することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、加熱前の食材に、ソルビトールおよび還元水飴から選択される1以上の糖アルコール(以下、「所定の糖アルコール」という場合がある。)を接触させるという簡便な操作により、加熱済み食品の保存時ないしは冷凍・解凍や再加熱時に生じる揚げ衣の乾燥や食感の硬化、揚げ衣のもさつきの増大、揚げ衣のひきの増大、揚げ衣のサクミ低下、食材のみずみずしさの低下、食材の弾力の低下、食材の繊維感の低下といった品質低下を効果的に抑制できることを見出した。また、加熱前の食材に所定の糖アルコールを接触させることにより、食材の柔らかさや揚げ衣のサクミ、食材のみずみずしさ、弾力、繊維感といった加熱済み食品の食感を改良できることを見出した。そこで、係る知見に基づいて下記の各発明を完成した。
(1)本発明に係る具材および衣からなる揚げ物の保存耐性向上用組成物は、ソルビトールおよび還元水飴から選択される1以上の糖アルコールを有効成分とし、下記(A)~(C)から選択される1以上の用途で用いられることを特徴とする;
(A)前記衣の乾燥を抑制する用途、
(B)前記衣のもさつきを抑制する用途、
(C)前記衣のひきを抑制する用途。
(A)前記衣の乾燥を抑制する用途、
(B)前記衣のもさつきを抑制する用途、
(C)前記衣のひきを抑制する用途。
(2)本発明に係る具材および衣からなる揚げ物の保存耐性向上用組成物は、さらに下記(ア)~(カ)から選択される1以上の用途で用いられるもであってもよい;
(ア)前記具材の柔らかさを維持する用途、
(イ)前記具材のみずみずしさを維持する用途、
(ウ)前記具材の弾力を維持する用途、
(エ)前記具材の繊維感を維持する用途、
(オ)加温下での保存時における前記衣の乾燥を抑制する用途、
(カ)加温下での保存時における前記衣のサクミを維持する用途。
(ア)前記具材の柔らかさを維持する用途、
(イ)前記具材のみずみずしさを維持する用途、
(ウ)前記具材の弾力を維持する用途、
(エ)前記具材の繊維感を維持する用途、
(オ)加温下での保存時における前記衣の乾燥を抑制する用途、
(カ)加温下での保存時における前記衣のサクミを維持する用途。
(3)本発明に係る具材および衣からなる揚げ物の食感改良用組成物の第1の態様は、ソルビトールおよび還元水飴から選択される1以上の糖アルコールを有効成分とし、下記(D)の用途で用いられることを特徴とする;
(D)衣のもさつきを低減する用途。
(D)衣のもさつきを低減する用途。
(4)本発明に係る具材および衣からなる揚げ物の食感改良用組成物の第2の態様は、五糖以上を50質量%以上含有する糖組成である還元水飴を有効成分とし、下記(E)の用途で用いられることを特徴とする;
(E)衣のひきを低減する用途。
(E)衣のひきを低減する用途。
(5)本発明に係る具材および衣からなる揚げ物の食感改良用組成物は、さらに下記(キ)~(サ)から選択される1以上の用途で用いられるものであってもよい;
(キ)前記具材の柔らかさを向上する用途、
(ク)前記具材のみずみずしさを向上する用途、
(ケ)前記具材の弾力を向上する用途、
(コ)前記具材の繊維感を向上する用途、
(サ)前記衣のサクミを向上する用途。
(キ)前記具材の柔らかさを向上する用途、
(ク)前記具材のみずみずしさを向上する用途、
(ケ)前記具材の弾力を向上する用途、
(コ)前記具材の繊維感を向上する用途、
(サ)前記衣のサクミを向上する用途。
(6)本発明において、還元水飴は、下記(a)または(b)であってもよい;
(a)単糖を1~50質量%、二糖を6~50質量%、三糖を7~25質量%、四糖以上を2~86質量%含有する糖組成である、還元水飴、
(b)デキストロース当量が14以上70以下の水飴を還元してなる、還元水飴。
(a)単糖を1~50質量%、二糖を6~50質量%、三糖を7~25質量%、四糖以上を2~86質量%含有する糖組成である、還元水飴、
(b)デキストロース当量が14以上70以下の水飴を還元してなる、還元水飴。
(7)本発明に係る具材および衣からなる揚げ物の製造方法は、本発明の組成物を、具材に接触させた後に衣付けして油ちょうする工程を有する。
(8)本発明に係る加熱済み食品の保存耐性向上剤は、具材および衣からなる揚げ物、加熱した食肉製品ならびに加熱した魚介類から選択される加熱済み食品の保存耐性向上剤であって、ソルビトールおよび還元水飴から選択される1以上の糖アルコールを有効成分とする。
(9)本発明に係る加熱済み食品の保存耐性向上剤は、下記(ア)~(エ)から選択される1以上の用途で用いられるものであってもよい;
(ア)前記具材、前記食肉または前記魚介類の柔らかさを維持する用途、
(イ)前記具材、前記食肉または前記魚介類のみずみずしさを維持する用途、
(ウ)前記具材、前記食肉または前記魚介類の弾力を維持する用途、
(エ)前記具材、前記食肉または前記魚介類の繊維感を維持する用途。
(ア)前記具材、前記食肉または前記魚介類の柔らかさを維持する用途、
(イ)前記具材、前記食肉または前記魚介類のみずみずしさを維持する用途、
(ウ)前記具材、前記食肉または前記魚介類の弾力を維持する用途、
(エ)前記具材、前記食肉または前記魚介類の繊維感を維持する用途。
(10)本発明に係る加熱済み食品の保存耐性向上剤において、加熱済み食品は、具材および衣からなる揚げ物であってもよく、その場合、下記(オ)または(カ)の用途で用いられることを特徴としてもよい;
(オ)加温下での保存時における前記衣の乾燥を抑制する用途、
(カ)加温下での保存時における前記衣のサクミを維持する用途。
(オ)加温下での保存時における前記衣の乾燥を抑制する用途、
(カ)加温下での保存時における前記衣のサクミを維持する用途。
(11)本発明に係る加熱済み食品の食感改良剤は、具材および衣からなる揚げ物、加熱した食肉製品ならびに加熱した魚介類から選択される加熱済み食品の食感改良剤であって、ソルビトールおよび還元水飴から選択される1以上の糖アルコールを有効成分とし、下記(キ)~(コ)から選択される1以上の用途で用いられることを特徴とする;
(キ)前記具材、前記食肉または前記魚介類の柔らかさを向上する用途、
(ク)前記具材、前記食肉または前記魚介類のみずみずしさを向上する用途、
(ケ)前記具材、前記食肉または前記魚介類の弾力を向上する用途、
(コ)前記具材、前記食肉または前記魚介類の繊維感を向上する用途。
(キ)前記具材、前記食肉または前記魚介類の柔らかさを向上する用途、
(ク)前記具材、前記食肉または前記魚介類のみずみずしさを向上する用途、
(ケ)前記具材、前記食肉または前記魚介類の弾力を向上する用途、
(コ)前記具材、前記食肉または前記魚介類の繊維感を向上する用途。
(12)本発明に係る、具材および衣からなる揚げ物の食感改良剤は、ソルビトールおよび還元水飴から選択される1以上の糖アルコールを有効成分とし、前記衣のサクミを向上する用途で用いられることを特徴とする。
(13)本発明において、還元水飴は、下記(c)~(e)のいずれかであってもよい;
(c)単糖を30~50質量%、二糖を20~50質量%および三糖以上を25質量%以下含有する糖組成である、還元水飴、
(d)単糖を30質量%未満および五糖以上を50質量%未満含有する糖組成である、還元水飴、
(e)五糖以上を50質量%以上含有する糖組成である、還元水飴。
(c)単糖を30~50質量%、二糖を20~50質量%および三糖以上を25質量%以下含有する糖組成である、還元水飴、
(d)単糖を30質量%未満および五糖以上を50質量%未満含有する糖組成である、還元水飴、
(e)五糖以上を50質量%以上含有する糖組成である、還元水飴。
(14)本発明の剤または組成物は、ソルビトールおよび還元水飴から選択される1以上の糖アルコールに加えて、さらに、重曹を有効成分とするものであってもよい。
(15)本発明に係る加熱済み食品の製造方法は、本発明の剤を、具材、食肉または魚介類に接触させた後に加熱する工程を有する。
本発明によれば、加熱済み食品の保存耐性を向上することができる。すなわち、加熱済み食品を保存した時ないしは冷凍・解凍や再加熱した時に生じる品質低下(例えば、食感の硬化、食材のみずみずしさの低下、食材の弾力の低下、食材の繊維感の低下、揚げ物である場合は揚げ衣の乾燥や揚げ衣のもさつき、揚げ衣のひき、揚げ衣のサクミ低下)を抑制することができる。
また、本発明によれば、加熱済み食品の食感を向上することができる。例えば、加熱済み食品の食材の柔らかさ、みずみずしさ、弾力あるいは繊維感を向上し、または、加熱済み食品が揚げ物である場合は揚げ衣のサクサク感を向上、揚げ衣のもさつきを低減あるいは揚げ衣のひき(噛み切りにくさ)を低減することができる。
本発明によれば、所定の糖アルコールを具材、食肉または魚介類に接触させるという簡便な操作により、効果的に、加熱済み食品を保存した時ないしは冷凍・解凍や再加熱した時に生じる品質低下を抑制し、あるいは、加熱済み食品の食感を向上することができる。
所定の糖アルコールは、良質な甘味を有し、その甘味度は砂糖より小さい。このことから、本発明によれば、食味に悪影響を与えることなく、加熱済み食品の保存耐性を向上することができ、あるいは、加熱済み食品の食感を向上することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明では、保存耐性向上用組成物、食感改良用組成物、保存耐性向上剤および食感改良剤をまとめて、あるいはこれらのうちのいずれかを指して「本組成物等」という場合がある。
本発明において、加熱済み食品とは、加熱処理を経た食品をいい、(i)具材および衣からなる揚げ物、(ii)加熱した食肉製品または(iii)加熱した魚介類、の(i)~(iii)のいずれかを指す。なお、「加熱」は、食品に常温以上(例えば40℃~250℃)の熱を加える処理をいい、具体的には、煮る、焼く、蒸す、揚げる、茹でるなどの処理を例示することができる。なお、加熱済み食品は加熱調理を経ていればよく、例えば、中心部など、食品の一部に熱が加わっておらず生の状態であるものも含む。
本発明において、食肉製品とは、食肉、あるいは、食肉を50質量%以上含有する加工食品をいう。ここで、食肉は、食用に供する肉をいい、加熱したものも加熱しないものも含む。食肉の種類としては、例えば、牛肉、馬肉、豚肉、羊肉、山羊肉、兎肉、鶏肉、獣肉などを例示することができる。
本発明において、魚介類とは、水中に住む動物であって食用に供するものをいう。例えば、魚類、貝類、エビやカニなどの節足動物、イカやタコなどの軟体動物、クラゲなどの腔腸動物、ウニやナマコなどの棘皮動物、ホヤなどの原索動物を例示することができる。
本発明において、具材および衣からなる揚げ物(本発明においては、単に「揚げ物」という場合がある。)とは、衣をつけた具材を高温の油中で加熱調理した食品をいう。具材は、例えば、食肉や魚介類、野菜、あるいは、コロッケやメンチカツやシューマイの中具のようなミンチ状ないしマッシュ状食品の混合物などを例示することができる。衣は、具材の表面全体に付着させるものであり、穀粉、あるいは穀粉と水などを混合してなるバッター液が用いられることが多い。
「保存耐性」とは、食品を保存した際に通常起こる品質劣化が生じにくいこと、あるいは生じたとしてもその程度が小さいことをいう。すなわち、この保存耐性が高い場合は、保存した際に当該食品の品質が低下しにくく、その結果、良好な食味ないし食感を維持している時間が長くなるといえる。
「保存耐性」は、冷凍や解凍あるいは再加熱による品質劣化が生じにくいこと、あるいは生じたとしてもその程度が小さいことをいう場合がある。すなわち、保存耐性は、冷解凍耐性あるいは再加熱耐性と交換可能に用いられる場合がある。また、保存耐性は、冷解凍耐性あるいは再加熱耐性を含む場合がある。
食品保存の温度帯は、低温帯、常温帯および高温帯に大別することができるが、本発明では、これらのいずれにおいて保存する場合も保存耐性を向上できる。低温帯の温度は、具体的には、外気温あるいは室温下回る温度であればよいが、具体的には、食品を保存する容器内の温度として、10℃以下、-5℃以上10℃以下、0℃以上10℃以下、-5℃以上5℃以下を例示することができる。常温帯の温度は、外気温と同等程度であればよいが、具体的には、食品を保存する容器内の温度として、5℃以上35℃以下、10℃以上30℃以下、15℃以上25℃以下を例示することができる。高温帯の温度は、外気温あるいは室温を超える温度であればよいが、具体的には、食品を保存する容器内の温度として、35℃以上100℃以下、40℃以上100℃以下、50℃以上100℃未満、60以上100℃未満、60以上90℃以下を例示することができる。
加熱済み食品を保存した際(冷凍や解凍あるいは再加熱した際を含む)に通常起こる品質劣化としては、例えば、(ア)揚げ物においては具材、加熱した食肉製品においては食肉、加熱した魚介類においては魚介類(以下、これらをまとめて、あるいはこれらのうちいずれかを指して「食材」という場合がある。)の柔らかさの低下(すなわち食感の硬化)や、(イ)食材のみずみずしさ(ジューシー感、しっとり感)の低下、(ウ)食材の弾力の低下、(エ)食材の繊維感の低下、などを例示することができる。なお、本発明において「繊維感」とは、食材を噛んだ時に筋肉の繊維がほぐれるような食感をいう。
また、加熱済み食品が揚げ物である場合、これを保存した際に通常起こる品質劣化としては、上記(ア)~(エ)のほか、(A)衣の乾燥や、(B)衣のもさつきの増大、(C)衣のひきの増大を例示することができる。
ここで、揚げ物の衣(「揚げ衣」という場合もある。)の乾燥は、加温下で起こりやすく、それに伴い食感が硬化することもある。また、加温下での保存では、衣のサクサク感の低下も起こることがある。本発明は、これら(オ)加温下での保存時における衣の乾燥を抑制するため、あるいは(カ)加温下での保存時における衣のサクミを維持するために用いることができる。なお、加温下での保存とは、外気温あるいは室温を超える温度になるように加温した環境下での保存をいう。具体的な温度としては、上述の高温帯の温度を例示することができる。
揚げ物の衣のもさつきとは、口中で揚げ物を咀嚼した際に、衣がモサモサしていると感じる食感である。衣のもさつきは、低温下での保存や冷凍・解凍、再加熱に伴って増大しやすい。
本発明において「衣のもさつきを抑制する」とは、本組成物等を用いた揚げ物Xについて、保存前後で衣のもさつきが同等以下である場合のほか、保存後において衣のもさつきが増大していたとしても、その増大幅が比較的小さい場合を含む。また、揚げ物Xと、同条件下で一定時間保存した、本組成物等を用いていない揚げ物Yとを比較して、Xの方が衣のもさつきが小さい場合も含む。また、本組成物等を用いた揚げ物Xについて、本組成物等を用いていない揚げ物Yと比較して、Xの方が衣のもさつきが小さい場合には、本組成物等により「衣のもさつきが低減された」と判断することができる。
揚げ物の衣のひきとは、口中で揚げ物を咀嚼した際に、衣が噛み切りにくいと感じる食感である。衣のひきは、低温帯での保存や冷凍・解凍、再加熱に伴って増大しやすい。
本発明において「衣のひきを抑制する」とは、本組成物等を用いた揚げ物Xについて、保存前後で衣のひきが同等以下である場合のほか、保存後において衣のひきが増大していたとしても、その増大幅が比較的小さい場合を含む。また、揚げ物Xと、同条件下で一定時間保存した、本組成物等を用いていない揚げ物Yとを比較して、Xの方が衣のひきが小さい場合も含む。また、本組成物等を用いた揚げ物Xについて、本組成物等を用いていない揚げ物Yと比較して、Xの方が衣のひきが小さい場合には、本組成物等により「衣のひきが低減された」と判断することができる。
なお、低温下での保存とは、外気温あるいは室温を下回る温度環境下での保存をいう。具体的な温度としては、上述の低温帯の温度を例示することができる。
食品の保存耐性が向上したか否かは、本組成物等を用いた加熱済み食品Xと、本組成物等を用いていない加熱済み食品Yとを同条件下で一定時間保存した後、上記(A)~(C)あるいは(ア)~(カ)の程度を比較することにより確認できる。それにより、食品Xの方が食品Yよりも、(A)揚げ衣からの水分蒸発量が小さい、(B)揚げ衣のもさつきが小さい、(C)揚げ衣のひきが小さい(噛み切りやすい)、(ア)食材が柔らかい、(イ)食材がみずみずしい、(ウ)食材の弾力が大きい、(エ)食材の繊維感が大きい、(オ)揚げ衣からの水分蒸発量が小さい(加温下での保存の場合)、あるいは、(カ)揚げ衣のサクサク感が大きい(加温下での保存の場合)、という比較結果が得られれば、本組成物等により、加熱済み食品の保存耐性が向上したと判断することができる。
このことから、本組成物等は、(ア)食材の柔らかさを維持する用途(食材の柔らかさ維持用組成物)として用いることもできる。なお、本発明において「食材の柔らかさを維持する」とは、本組成物等を用いた加熱済み食品Xについて、保存前後で食材の柔らかさが同等であることのほか、同条件下で一定時間保存した、本組成物等を用いていない加熱済み食品Yと比較して、食材のかたさが小さいことをいう。
また、本組成物等は、(イ)食材のみずみずしさを維持する用途(食材のみずみずしさ維持用組成物)として用いることもできる。なお、本発明において「食材のみずみずしさを維持する」とは、本組成物等を用いた加熱済み食品Xについて、保存前後で食材のみずみずしさが同等であることのほか、同条件下で一定時間保存した、本組成物等を用いていない加熱済み食品Yと比較して、食材のみずみずしさが大きいことをいう。
また、本組成物等は、(ウ)食材の弾力を維持する用途(食材の弾力維持用組成物)として用いることもできる。なお、本発明において「食材の弾力を維持する」とは、本組成物等を用いた加熱済み食品Xについて、保存前後で食材の弾力が同等であることのほか、同条件下で一定時間保存した、本組成物等を用いていない加熱済み食品Yと比較して、食材の弾力が大きいことをいう。
また、本組成物等は、(エ)食材の繊維感を維持する用途(食材の繊維感維持用組成物)として用いることもできる。なお、本発明において「食材の繊維感を維持する」とは、本組成物等を用いた加熱済み食品Xについて、保存前後で食材の繊維感が同等であることのほか、同条件下で一定時間保存した、本組成物等を用いていない加熱済み食品Yと比較して、食材の繊維感が大きいことをいう。
また、本組成物等は、(オ)揚げ物を加温下で保存した時の衣の乾燥を抑制する用途(衣の乾燥抑制用組成物)として用いることもできる。なお、本発明において「揚げ物の衣の乾燥を抑制する」とは、本組成物等を用いた揚げ物Xについて、衣からの水分蒸発を無くすることのほか、同条件の加温環境下で一定時間保存した、本組成物等を用いていない揚げ物Yと比較して、衣からの水分蒸発量が小さいことをいう。
また、本組成物等は、(カ)揚げ物を加温下で保存した時の衣のサクミを維持する用途(衣のサクミ維持用組成物)として用いることもできる。なお、本発明において「揚げ物の衣のサクミを維持する」とは、本組成物等を用いた揚げ物Xについて、加温下での保存前後で衣のサクサク感が同等であることのほか、同条件の加温環境下で一定時間保存した、本組成物等を用いていない揚げ物Yと比較して、衣のサクサク感が大きいことをいう。
本組成物等のうち、食感改良用組成物/食感改良剤の第1の態様では、(D)衣のもさつきを低減する用途で用いられる。また、食感改良用組成物/食感改良剤の第2の態様では、(E)衣のひきを低減する用途で用いられる。
さらに、食感改良用組成物/食感改良剤は、下記(キ)~(サ)から選択される1以上の用途で用いられてもよい;
(キ)食材の柔らかさを向上する用途、
(ク)食材のみずみずしさを向上する用途、
(ケ)食材の弾力を向上する用途、
(コ)食材の繊維感を向上する用途、
(サ)衣のサクミを向上する用途(加熱済み食品が揚げ物である場合)。
(キ)食材の柔らかさを向上する用途、
(ク)食材のみずみずしさを向上する用途、
(ケ)食材の弾力を向上する用途、
(コ)食材の繊維感を向上する用途、
(サ)衣のサクミを向上する用途(加熱済み食品が揚げ物である場合)。
本発明において、食品の食感が改良されたか否かは、本組成物等を用いた加熱済み食品Xと、本組成物等を用いていない加熱済み食品Yとについて、上記(D)もしくは(E)または(キ)~(サ)の程度を比較することにより確認できる。それにより、食品Xの方が食品Yよりも、(D)揚げ衣のもさつきが小さい、(E)揚げ衣のひきが小さい、(キ)食材が柔らかい、(ク)食材がみずみずしい、(ケ)食材の弾力が大きい、(コ)食材の繊維感が大きい、あるいは、(サ)衣のサクサク感が大きい、という比較結果が得られれば、本組成物等により、加熱済み食品の食感が改良されたと判断することができる。
本発明において、糖アルコールは、ソルビトールおよび還元水飴から選択される1以上を用いる。
ソルビトールは、ナナカマドの実やリンゴ、プルーンなどにも元来含まれている、六炭糖の単糖アルコールであり、グルコースの還元体である。
還元水飴は、水飴を還元して得られる糖アルコールである。ここで、水飴は、デンプンを酸や酵素などで糖化して得られる物質であり、単糖(ブドウ糖)および多糖(オリゴ糖やデキストリンなど)の混合物である。よって、還元水飴もまた、単糖の糖アルコールおよび多糖(二糖、三糖または四糖以上)の糖アルコールのうち、2種以上の糖アルコールを含む混合物である。還元水飴の具体的な糖組成としては、例えば、単糖を1~50質量%、二糖を6~50質量%、三糖を7~25質量%、四糖以上を2~86質量%含有する糖組成を例示することができる。
ここで、本発明において、糖組成とは、糖の総質量に占める各糖の質量割合を百分率で示すものをいう。すなわち、糖の総質量を100とした場合の、各糖の質量百分率である。
糖組成は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて確認することができる。すなわち、還元水飴を試料としてHPLCに供してクロマトグラムを得る。当該クロマトグラムにおいて、全ピークの面積の総和が「糖の総質量」に、各ピークの面積が「各糖の質量」に相当する。よって、試料における各糖の質量百分率は、検出された全ピークの面積の総和に対する各ピークの面積の割合として算出することができる。HPLCの条件は、定法に従って適宜設定することができるが、下記条件を例示することができる。
《HPLCの条件》
カラム;MCI GEL CK04S(10mm ID x 200mm)
溶離液;高純水
流速;0.4mL/分
注入量;20μL
カラム温度;65℃
検出;示差屈折率検出器RI-10A(島津製作所)
《HPLCの条件》
カラム;MCI GEL CK04S(10mm ID x 200mm)
溶離液;高純水
流速;0.4mL/分
注入量;20μL
カラム温度;65℃
検出;示差屈折率検出器RI-10A(島津製作所)
還元水飴は、水飴を還元して製造することから、還元水飴の糖化の程度は、水飴の糖化の程度に準じる。すなわち、原料水飴の糖化の程度が高いほど還元水飴の糖化の程度が高く、原料水飴の糖化の程度が低いほど還元水飴の糖化の程度は低い。
水飴の糖化の程度の指標は、一般に、デキストロース当量(Dextrose Equivalent値;DE)が用いられる。DEは、試料中の還元糖をブドウ糖として測定したときの、当該還元糖の全固形分に対する割合(百分率)である。DEの最大値は100で、固形分の全てがブドウ糖であることを意味し、DEが小さくなるほど少糖類や多糖類が多いことを意味する。
本発明において、還元水飴が原料とする水飴のDEは、揚げ物の食材の種類や所望の食感などに応じて適宜設定することができる。例えば、還元水飴は、DEが14以上70以下の水飴の還元物とすることができるほか、DEが50以上80以下、DEが37以上49以下、またはDEが10以上36以下の水飴の還元物としてもよい。
なお、水飴のDEは、下記の方法により測定することができる。
《DEの測定方法》
試料2.5gを正確に量り、水で溶かして200mLとする。この液10mLを量り、1/25mol/L ヨウ素溶液(注1)10mLと1/25mol/L 水酸化ナトリウム溶液(注2)15mLを加えて20分間暗所に放置する。次に、2mol/L塩酸(注3)を5mL加えて混和した後、1/25mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液(注4)で滴定する。滴定の終点近くで液が微黄色になったら、デンプン指示薬(注5)2滴を加えて滴定を継続し、液の色が消失した時点を滴定の終点とする。水を用いてブランク値を求め、次式1によりDEを求める。
(注1)1/25mol/L ヨウ素溶液:ヨウ化カリウム20.4gとヨウ素10.2gを2Lのメスフラスコに入れ、少量の水で溶解後、標線まで水を加える。
(注2)1/25mol/L 水酸化ナトリウム溶液:水酸化ナトリウム3.2gを2Lのメスフラスコに入れ、少量の水で溶解後、標線まで水を加える。
(注3)2mol/L 塩酸:水750mLに塩酸150mLをかき混ぜながら徐々に加える。
(注4)1/25mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液:チオ硫酸ナトリウム20gを2Lのメスフラスコに入れ、少量の水で溶解後、標線まで水を加える。
(注5)デンプン指示薬:可溶性デンプン5gを水500mLに溶解し、これに塩化ナトリウム100gを溶解する。
《DEの測定方法》
試料2.5gを正確に量り、水で溶かして200mLとする。この液10mLを量り、1/25mol/L ヨウ素溶液(注1)10mLと1/25mol/L 水酸化ナトリウム溶液(注2)15mLを加えて20分間暗所に放置する。次に、2mol/L塩酸(注3)を5mL加えて混和した後、1/25mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液(注4)で滴定する。滴定の終点近くで液が微黄色になったら、デンプン指示薬(注5)2滴を加えて滴定を継続し、液の色が消失した時点を滴定の終点とする。水を用いてブランク値を求め、次式1によりDEを求める。
(注1)1/25mol/L ヨウ素溶液:ヨウ化カリウム20.4gとヨウ素10.2gを2Lのメスフラスコに入れ、少量の水で溶解後、標線まで水を加える。
(注2)1/25mol/L 水酸化ナトリウム溶液:水酸化ナトリウム3.2gを2Lのメスフラスコに入れ、少量の水で溶解後、標線まで水を加える。
(注3)2mol/L 塩酸:水750mLに塩酸150mLをかき混ぜながら徐々に加える。
(注4)1/25mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液:チオ硫酸ナトリウム20gを2Lのメスフラスコに入れ、少量の水で溶解後、標線まで水を加える。
(注5)デンプン指示薬:可溶性デンプン5gを水500mLに溶解し、これに塩化ナトリウム100gを溶解する。
還元水飴は、糖化の程度により高糖化還元水飴(糖組成:単糖アルコール30~50質量%、二糖アルコール20~50質量%、三糖以上の糖アルコール25質量%以下)、中糖化還元水飴(糖組成:単糖アルコール30質量%未満かつ五糖以上の糖アルコール50質量%未満)、および低糖化還元水飴(糖組成:五糖以上の糖アルコール50質量%以上)に分けられる場合がある。本発明においては、これらのいずれも用いることができ、特に、食感改良用組成物の第2の態様では、低糖化還元水飴を用いることが好ましい。
本発明において、糖アルコールは、市販されているものをそのまま用いてもよく、当業者に公知の方法に従って製造して用いてもよい。ソルビトールおよび還元水飴の公知の製造方法としては、原料となるグルコースまたは水飴(原料糖)に水素を添加する還元反応を挙げることができる。
本組成物等は、所定の糖アルコールに加えて重曹を有効成分としてもよい。所定の糖アルコールにと重曹とを併用することにより、保存耐性向上効果あるいは食感改良効果をより大きくすることができる場合がある。
本組成物等は、揚げ物においては具材、加熱した食肉製品においては食肉、加熱した魚介類においては魚介類(食材)に接触させた後に加熱することにより用いる。すなわち、本発明は、本組成物等を食材に接触させた後に加熱する工程を有する加熱済み食品の製造方法、特に、本組成物等を具材に接触させた後に衣付けして油ちょうする工程を有する揚げ物の製造方法をも提供する。
本組成物等と食材とを接触させる方法は、食材の種類や形態(ミンチ状か、塊状かなど)、かたさなどに応じて、当業者に公知の手法を適宜選択して行うことができる。例えば、具材に本組成物等を混合・塗布してもよく、本組成物等を添加した液体に食材を浸漬するなどの方法でもよい。所定の糖アルコールの使用量もまた、食材の種類や形態、かたさ、所望の食感や風味応じて適宜設定することができる。糖アルコールの使用量として具体的には、例えば、食材100重量部に対して0.1~20重量部を例示することができる。
揚げ物の製造方法において、衣付けは、油ちょう前の具材の表面全体に、衣となる食材を付着させることをいう。衣となる食材は、具材の表面全体に付着する形態のものであればよい。係る衣となる食材としては、穀粉やおからパウダー、パン粉、青のり、ゆかり、ごま、あられ、そば米などの粉状、粒状のものや、バッター液などの液体状のもののほか、コーン、砕いたそうめんなどの麺類、湯葉、砕いたあるいはスライスしたナッツ類などを例示することができる。衣付けは、具材および衣となる食材の態様に応じて、常法により行うことができる。
本組成物等と接触させた食材を加熱する方法もまた、食材の種類や形態(ミンチ状か、塊状かなど)、所望の製品形態などに応じて、当業者に公知の手法を適宜選択して行うことができる。例えば、煮る、焼く、蒸す、揚げる(油ちょうする)、茹でるなどの加熱方法を例示することができ、これらのいずれも用いることができる。
加熱済み食品は、食材を本組成物等と接触させた後に加熱する以外は、当業者に公知の手法で製造することができる。また、本方法は、本発明の特徴を損なわない限り他の工程を含むものであってもよい。係る工程としては、例えば、具材のカッティング工程、具材の破砕工程、調味工程、殺菌工程、冷却工程、冷凍工程、液切り工程、包装工程などを例示することができる。
以下、本発明について、各実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
(2)チキンナゲットの製造
具材の全ての材料をミキサーに入れて混合した。これを19~20g/個となるよう成形して具材とし、急速冷凍した。水100重量部に対して、薄力粉を50重量部となるよう加えて混合し、バッター液を作成した。バッター液に凍結状態の具材をくぐらせて衣付けし、175℃で5分間油ちょうした。これを放冷した後、急速冷凍して7日間冷凍保存した。凍結状態のチキンナゲットを、再度、175℃で5分間油ちょう(再油ちょう)してチキンナゲットを製造した。
具材の全ての材料をミキサーに入れて混合した。これを19~20g/個となるよう成形して具材とし、急速冷凍した。水100重量部に対して、薄力粉を50重量部となるよう加えて混合し、バッター液を作成した。バッター液に凍結状態の具材をくぐらせて衣付けし、175℃で5分間油ちょうした。これを放冷した後、急速冷凍して7日間冷凍保存した。凍結状態のチキンナゲットを、再度、175℃で5分間油ちょう(再油ちょう)してチキンナゲットを製造した。
(3)ボイルエビの製造
水100重量部に対して糖アルコール10重量部を添加して浸漬液を調製した。生の無頭エビ(サイズ31/40)の殻を剥いて重量を測定した(剥きエビ重量)。剥きエビ重量と等量の浸漬液に殻を剥いたエビを浸漬し、10℃で18時間置いた。エビをザルに上げて1分間置くことにより液切りし、重量を測定した(浸漬後重量)。続いて、浸漬後重量の10倍量の沸騰水にエビを入れ、1分半茹でた。これを水道水(流水)に1分間さらして冷却した後、ザルに上げて1分間置くことにより液切りしてボイルエビを製造し、重量を測定した(ボイル後重量)。
水100重量部に対して糖アルコール10重量部を添加して浸漬液を調製した。生の無頭エビ(サイズ31/40)の殻を剥いて重量を測定した(剥きエビ重量)。剥きエビ重量と等量の浸漬液に殻を剥いたエビを浸漬し、10℃で18時間置いた。エビをザルに上げて1分間置くことにより液切りし、重量を測定した(浸漬後重量)。続いて、浸漬後重量の10倍量の沸騰水にエビを入れ、1分半茹でた。これを水道水(流水)に1分間さらして冷却した後、ザルに上げて1分間置くことにより液切りしてボイルエビを製造し、重量を測定した(ボイル後重量)。
(4)エビフライの製造
水に食塩等を添加して浸漬液を調製した。凍結状態のエビを解凍した後、殻を剥いて伸ばしエビにした。伸ばしエビ重量と等量の浸漬液に伸ばしエビを浸漬し、10℃で一晩置いた。エビをザルに上げて1分間置くことにより液切りし、薄力粉を薄くまぶした。水100重量部に対して、薄力粉を50重量部となるよう加えて混合し、バッター液を作成した。バッター液にエビをくぐらせた後、パン粉をまぶして衣付けした。衣付けしたエビを急速冷凍して7日間冷凍保存した。凍結状態のエビを175℃で3分20秒間油ちょうしてエビフライを製造した。
水に食塩等を添加して浸漬液を調製した。凍結状態のエビを解凍した後、殻を剥いて伸ばしエビにした。伸ばしエビ重量と等量の浸漬液に伸ばしエビを浸漬し、10℃で一晩置いた。エビをザルに上げて1分間置くことにより液切りし、薄力粉を薄くまぶした。水100重量部に対して、薄力粉を50重量部となるよう加えて混合し、バッター液を作成した。バッター液にエビをくぐらせた後、パン粉をまぶして衣付けした。衣付けしたエビを急速冷凍して7日間冷凍保存した。凍結状態のエビを175℃で3分20秒間油ちょうしてエビフライを製造した。
(5)エビ天ぷらの製造
水に食塩等を添加して浸漬液を調製した。凍結状態のエビを解凍した後、殻を剥いて伸ばしエビにした。伸ばしエビ重量と等量の浸漬液に伸ばしエビを浸漬し、10℃で一晩置いた。エビをザルに上げて1分間置くことにより液切りし、市販の天ぷら粉を薄くまぶした。水100重量部に対して、天ぷら粉を50重量部となるよう加えて混合し、バッター液を作成した。バッター液にエビをくぐらせて衣付けし、175℃で1分間油ちょうした。これを放冷した後、急速冷凍して7日間冷凍保存した。凍結状態のエビ天ぷらを、再度、175℃で2分40秒間油ちょう(再油ちょう)してエビ天ぷらを製造した。
水に食塩等を添加して浸漬液を調製した。凍結状態のエビを解凍した後、殻を剥いて伸ばしエビにした。伸ばしエビ重量と等量の浸漬液に伸ばしエビを浸漬し、10℃で一晩置いた。エビをザルに上げて1分間置くことにより液切りし、市販の天ぷら粉を薄くまぶした。水100重量部に対して、天ぷら粉を50重量部となるよう加えて混合し、バッター液を作成した。バッター液にエビをくぐらせて衣付けし、175℃で1分間油ちょうした。これを放冷した後、急速冷凍して7日間冷凍保存した。凍結状態のエビ天ぷらを、再度、175℃で2分40秒間油ちょう(再油ちょう)してエビ天ぷらを製造した。
(6)鶏唐揚げの製造
水に食塩および日持向上剤(「センドA-6」甲陽化学工業)等を添加して調味液を調製した。鶏胸肉を15~20g/個の大きさにカットした。肉重量の30質量%に相当する重量の調味液と、カットした肉とを合わせて真空タンブラー(「フレーバーメーカー F-15」平井カンパニー)に入れ、圧力71kPa、回転数8回転/分の条件下で50分間タンブリング処理を行った。水160重量部に対して薄力粉を100重量部となるよう加えて混合し、バッター液を作成した。バッター液に肉をくぐらせた後、片栗粉をまぶして衣付けした。これを175℃で4分間油ちょうして鶏唐揚げを製造した。
水に食塩および日持向上剤(「センドA-6」甲陽化学工業)等を添加して調味液を調製した。鶏胸肉を15~20g/個の大きさにカットした。肉重量の30質量%に相当する重量の調味液と、カットした肉とを合わせて真空タンブラー(「フレーバーメーカー F-15」平井カンパニー)に入れ、圧力71kPa、回転数8回転/分の条件下で50分間タンブリング処理を行った。水160重量部に対して薄力粉を100重量部となるよう加えて混合し、バッター液を作成した。バッター液に肉をくぐらせた後、片栗粉をまぶして衣付けした。これを175℃で4分間油ちょうして鶏唐揚げを製造した。
試料1~6の衣と具材とを切り分け、衣を60℃のスチームコンベクションオーブンにて6時間保存した。保存開始時(0時間目)および保存後(6時間目)に衣の重量を測定した。下記の式2および式3により、衣重量の減少量および保存後の重量百分率を求めた。その結果を図1および図2に示す。
式2:衣重量の減少量(g)=0時間目の衣重量(g)-6時間目の衣重量(g)
式3:保存後の重量百分率(%)={6時間目の衣重量(g)/0時間目の衣重量(g)}×100
式2:衣重量の減少量(g)=0時間目の衣重量(g)-6時間目の衣重量(g)
式3:保存後の重量百分率(%)={6時間目の衣重量(g)/0時間目の衣重量(g)}×100
図1に示すように、衣重量の減少量は、試料2(ソルビトール)、試料3(高糖化還元水飴)、試料4(中糖化還元水飴)、試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)のいずれも、試料1(糖アルコール無し)よりも小さかった。また、図2に示すように、保存後の重量百分率は、試料2、試料3、試料4、試料5および試料6のいずれも、試料1よりも大きかった。すなわち、具材に糖アルコールを添加したチキンナゲットの衣は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、保温環境下での長時間保存による重量の減少量が小さかった。ここで、加温環境下での保存による重量減少は、衣からの水分蒸発、すなわち乾燥によるものと考えられる。この結果から、から揚げの中の具材に糖アルコールを接触させることにより、加温下での保存時における衣の乾燥を抑制し、衣がかたくなるのを抑制できることが明らかになった。
<実施例2>食感改良効果:具材の柔らかさの向上
試験方法(2)に記載の方法により試料1~6(具材の配合は表2と同じ)のチキンナゲットを製造した。これらについて、応力測定試験および官能試験により食感(かたさ/柔らかさ)を評価した。
試験方法(2)に記載の方法により試料1~6(具材の配合は表2と同じ)のチキンナゲットを製造した。これらについて、応力測定試験および官能試験により食感(かたさ/柔らかさ)を評価した。
(1)応力測定試験
試料1~6のチキンナゲットの上下の衣を切り落とし、中の具肉の部分について、クリープメーターRE2-33005C(山電)の直径0.5cm円柱形プランジャーを用いて、圧縮速度1.0mm/秒で50体積%圧縮変形するまで圧縮し、歪率が50体積%となった時点の荷重(N)を測定した。各試料につき6検体を行い、荷重の平均値を算出した。すなわち、当該荷重の値が大きいほど試料が「かたい」といえ、値が小さいほど試料が「柔らかい」といえる。その結果を図3に示す。
試料1~6のチキンナゲットの上下の衣を切り落とし、中の具肉の部分について、クリープメーターRE2-33005C(山電)の直径0.5cm円柱形プランジャーを用いて、圧縮速度1.0mm/秒で50体積%圧縮変形するまで圧縮し、歪率が50体積%となった時点の荷重(N)を測定した。各試料につき6検体を行い、荷重の平均値を算出した。すなわち、当該荷重の値が大きいほど試料が「かたい」といえ、値が小さいほど試料が「柔らかい」といえる。その結果を図3に示す。
図3に示すように、荷重は、試料2(ソルビトール)、試料3(高糖化還元水飴)、試料4(中糖化還元水飴)、試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)のいずれも、試料1(糖アルコール無し)よりも小さかった。すなわち、具材に糖アルコールを添加したチキンナゲットの中の具肉は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して柔らかかった。この結果から、から揚げの中の具材に糖アルコールを接触させることにより、具材の食感を柔らかくできることが明らかになった。
(2)官能試験
試料1~6のチキンナゲットを30分間放冷した後、評価項目を「肉のかたさ/柔らかさ」として、3名(A~C)の分析型パネルにより官能試験を行った。試料1(糖アルコール無し)を基準の5点として、1点(柔らかい)~10点(かたい)の10段階で各パネルが採点した。採点結果は、試料ごとに全パネルによる評点の平均値を求め、小数点第3位を四捨五入して評価点とした。すなわち、評価点の値が大きいほどかたく、小さいほど柔らかいことを示す。その結果を図4に示す。
試料1~6のチキンナゲットを30分間放冷した後、評価項目を「肉のかたさ/柔らかさ」として、3名(A~C)の分析型パネルにより官能試験を行った。試料1(糖アルコール無し)を基準の5点として、1点(柔らかい)~10点(かたい)の10段階で各パネルが採点した。採点結果は、試料ごとに全パネルによる評点の平均値を求め、小数点第3位を四捨五入して評価点とした。すなわち、評価点の値が大きいほどかたく、小さいほど柔らかいことを示す。その結果を図4に示す。
図4に示すように、評価点は、試料2(ソルビトール)、試料3(高糖化還元水飴)、試料4(中糖化還元水飴)、試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)のいずれも、試料1(糖アルコール無し)よりも小さかった。すなわち、具材に糖アルコールを添加したチキンナゲットの中の具肉は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して柔らかかった。この結果から、から揚げの中の具材に糖アルコールを接触させることにより、具材の食感を柔らかくできることが明らかになった。
<実施例3>食感改良効果(具材の柔らかさの向上)および保存耐性効果(具材の柔らかさの維持)
試験方法(2)に記載の方法により試料1~4のチキンナゲットを製造した。その具材の配合を表3に示す。試料2~4には、従来より肉を柔らかくする目的で用いられている重曹を添加した。また、試料3および試料4には糖アルコールを添加した。表3において、括弧内に添加した糖アルコールの種類を示す。
試験方法(2)に記載の方法により試料1~4のチキンナゲットを製造した。その具材の配合を表3に示す。試料2~4には、従来より肉を柔らかくする目的で用いられている重曹を添加した。また、試料3および試料4には糖アルコールを添加した。表3において、括弧内に添加した糖アルコールの種類を示す。
(1)加温下での保存
製造したチキンナゲットを60℃のスチームコンベクションオーブンにて6時間保存した。保存開始時(0時間目)、保存開始から3時間目および6時間目に一部を取り出し、下記[1-1]および[1-2]の方法により食感(かたさ/柔らかさ)を評価した。
製造したチキンナゲットを60℃のスチームコンベクションオーブンにて6時間保存した。保存開始時(0時間目)、保存開始から3時間目および6時間目に一部を取り出し、下記[1-1]および[1-2]の方法により食感(かたさ/柔らかさ)を評価した。
[1-1]応力測定試験
0時間目、3時間目および6時間目のチキンナゲットの具肉部分について、実施例2(1)に記載の方法により荷重(歪率が50体積%となった時点の荷重)を測定した。その結果を図5に示す。
0時間目、3時間目および6時間目のチキンナゲットの具肉部分について、実施例2(1)に記載の方法により荷重(歪率が50体積%となった時点の荷重)を測定した。その結果を図5に示す。
図5に示すように、試料2(糖アルコール無し・重曹有り)の荷重は、0時間目では試料1(糖アルコール無し・重曹無し)よりもやや大きく、3時間目および6時間目では試料1よりも小さかった。すなわち、具材に重曹を添加したチキンナゲットの中の具肉は、重曹を添加しなかったものと比較して、製造直後では同等程度のかたさを有していたが、保温環境下での長時間保存によるかたさの増加量が小さかった。この結果から、重曹は、加温環境下での長時間保存による硬化を抑制できることが明らかになった。
一方、試料3(重曹+高糖化還元水飴)および試料4(重曹+低糖化還元水飴:エスイー30)の荷重は、0時間目、3時間目および6時間目の全て時点で、試料1および試料2のいずれよりも小さかった。すなわち、具材に重曹と糖アルコールとを添加したチキンナゲットの中の具肉は、重曹も糖アルコールも添加しなかったものおよび重曹のみを添加したものと比較して、製造直後および保存環境下での長時間保存後のいずれの時点でも柔らかかった。この結果から、から揚げの中の具材に重曹と糖アルコールとを併用して接触させることにより、具材の食感を柔らかくするとともに、加温環境下で長時間保存しても柔らかさを維持できることが明らかになった。
[1-2]官能試験
0時間目、3時間目および6時間目のチキンナゲットについて、実施例2(2)に記載の方法により官能試験を行った。ただし、0時間目および3時間目は5名(A~E)のパネルにより、6時間目は3名(A~C)のパネルにより、評価した。各パネルの採点結果を図6に、評価点の棒グラフを図7に、それぞれ示す。
0時間目、3時間目および6時間目のチキンナゲットについて、実施例2(2)に記載の方法により官能試験を行った。ただし、0時間目および3時間目は5名(A~E)のパネルにより、6時間目は3名(A~C)のパネルにより、評価した。各パネルの採点結果を図6に、評価点の棒グラフを図7に、それぞれ示す。
図6および図7に示すように、0時間目、3時間目および6時間目のいずれの時点でも、試料3(重曹+高糖化還元水飴)および試料4(重曹+低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点は、試料1(糖アルコール無し・重曹無し)および試料2(糖アルコール無し・重曹有り)よりも小さかった。すなわち、具材に重曹と糖アルコールとを添加したチキンナゲットの中の具肉は、重曹も糖アルコールも添加しなかったものおよび重曹のみを添加したものと比較して、製造直後および加温環境下での長時間保存後のいずれの時点でも柔らかかった。この結果から、から揚げの中の具材に重曹と糖アルコールとを併用して接触させることにより、具材の食感を柔らかくするとともに、加温環境下で長時間保存しても柔らかさを維持できることが明らかになった。
(2)低温下での保存
製造したチキンナゲットを4℃の冷蔵庫にて6時間保存した。保存開始時(0時間目)、保存開始から3時間目および6時間目に一部を取り出し、本実施例3(1)[1-2]の方法により食感(かたさ/柔らかさ)を評価した。その結果、0時間目、3時間目および6時間目のいずれの時点でも、試料3(重曹+高糖化還元水飴)および試料4(重曹+低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点は、試料1(糖アルコール無し・重曹無し)および試料2(糖アルコール無し・重曹有り)よりも小さかった。すなわち、具材に重曹と糖アルコールとを添加したチキンナゲットの中の具肉は、重曹も糖アルコールも添加しなかったものおよび重曹のみを添加したものと比較して、製造直後および低温環境下での長時間保存後のいずれの時点でも柔らかかった。この結果から、から揚げの中の具材に重曹と糖アルコールとを併用して接触させることにより、具材の食感を柔らかくするとともに、低温環境下で長時間保存しても柔らかさを維持できることが明らかになった。
製造したチキンナゲットを4℃の冷蔵庫にて6時間保存した。保存開始時(0時間目)、保存開始から3時間目および6時間目に一部を取り出し、本実施例3(1)[1-2]の方法により食感(かたさ/柔らかさ)を評価した。その結果、0時間目、3時間目および6時間目のいずれの時点でも、試料3(重曹+高糖化還元水飴)および試料4(重曹+低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点は、試料1(糖アルコール無し・重曹無し)および試料2(糖アルコール無し・重曹有り)よりも小さかった。すなわち、具材に重曹と糖アルコールとを添加したチキンナゲットの中の具肉は、重曹も糖アルコールも添加しなかったものおよび重曹のみを添加したものと比較して、製造直後および低温環境下での長時間保存後のいずれの時点でも柔らかかった。この結果から、から揚げの中の具材に重曹と糖アルコールとを併用して接触させることにより、具材の食感を柔らかくするとともに、低温環境下で長時間保存しても柔らかさを維持できることが明らかになった。
<実施例4>食感改良効果(衣のサクミの向上)および保存耐性効果(衣のサクミの維持)
試験方法(2)に記載の方法により試料1~4(具材の配合は表3と同じ)のチキンナゲットを製造した。製造したチキンナゲットについて、60℃のスチームコンベクションオーブンにて6時間保存した。保存開始時(0時間目)および保存開始から6時間目に一部を取り出して30分間放冷した後、官能試験に供した。官能試験は評価項目を「衣のサクサク感/しっとり感」として、5名(A~E:0時間目)または3名(A~C:6時間目)の分析型パネルにより評価した。試料1(糖アルコール無し・重曹無し)を基準の5点として、1点(しっとりしている)~10点(サクサクしている)の10段階で各パネルが採点した。採点結果は、試料ごとに全パネルによる評点の平均値を求め、小数点第3位を四捨五入して評価点とした。すなわち、評価点の値が大きいほどサクサク感が大きく、小さいほどしっとり感が大きいことを示す。その結果を図8に示す。
試験方法(2)に記載の方法により試料1~4(具材の配合は表3と同じ)のチキンナゲットを製造した。製造したチキンナゲットについて、60℃のスチームコンベクションオーブンにて6時間保存した。保存開始時(0時間目)および保存開始から6時間目に一部を取り出して30分間放冷した後、官能試験に供した。官能試験は評価項目を「衣のサクサク感/しっとり感」として、5名(A~E:0時間目)または3名(A~C:6時間目)の分析型パネルにより評価した。試料1(糖アルコール無し・重曹無し)を基準の5点として、1点(しっとりしている)~10点(サクサクしている)の10段階で各パネルが採点した。採点結果は、試料ごとに全パネルによる評点の平均値を求め、小数点第3位を四捨五入して評価点とした。すなわち、評価点の値が大きいほどサクサク感が大きく、小さいほどしっとり感が大きいことを示す。その結果を図8に示す。
図8に示すように、0時間目および6時間目の全ての時点で、試料3(重曹+高糖化還元水飴)および試料4(重曹+低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点は、試料1(糖アルコール無し・重曹無し)および試料2(糖アルコール無し・重曹有り)のいずれよりも大きかった。すなわち、具材に重曹と糖アルコールとを添加したチキンナゲットの衣は、重曹も糖アルコールも添加しなかったものおよび重曹のみを添加したものと比較して、製造直後および保存環境下での長時間保存後のいずれの時点でもサクサク感が大きかった。この結果から、から揚げの中の具材に糖アルコールを接触させることにより、衣のサクミを向上させるとともに、加温環境下で長時間保存してもサクミを維持できることが明らかになった。
<実施例5>食感改良効果(具材のみずみずしさの向上)および保存耐性効果(具材のみずみずしさの維持)
試験方法(2)に記載の方法により試料1~4(具材の配合は表3と同じ)のチキンナゲットを製造した。
試験方法(2)に記載の方法により試料1~4(具材の配合は表3と同じ)のチキンナゲットを製造した。
(1)加温下での保存
製造したチキンナゲットについて、60℃のスチームコンベクションオーブンにて6時間保存した。保存開始時(0時間目)、保存開始から3時間目および6時間目に一部を取り出して30分間放冷した後、官能試験に供した。官能試験は評価項目を「肉のみずみずしさ/パサパサ感」として、5名(A~E:0時間目、3時間目)または3名(A~C:6時間目)の分析型パネルにより評価した。試料1(糖アルコール無し・重曹無し)を基準の5点として、1点(パサパサしている)~10点(みずみずしい)の10段階で各パネルが採点した。採点結果は、試料ごとに全パネルによる評点の平均値を求め、小数点第3位を四捨五入して評価点とした。すなわち、評価点の値が大きいほど肉がみずみずしく、小さいほどパサパサ感が大きいことを示す。その結果を図9に示す。
製造したチキンナゲットについて、60℃のスチームコンベクションオーブンにて6時間保存した。保存開始時(0時間目)、保存開始から3時間目および6時間目に一部を取り出して30分間放冷した後、官能試験に供した。官能試験は評価項目を「肉のみずみずしさ/パサパサ感」として、5名(A~E:0時間目、3時間目)または3名(A~C:6時間目)の分析型パネルにより評価した。試料1(糖アルコール無し・重曹無し)を基準の5点として、1点(パサパサしている)~10点(みずみずしい)の10段階で各パネルが採点した。採点結果は、試料ごとに全パネルによる評点の平均値を求め、小数点第3位を四捨五入して評価点とした。すなわち、評価点の値が大きいほど肉がみずみずしく、小さいほどパサパサ感が大きいことを示す。その結果を図9に示す。
図9に示すように、0時間目、3時間目および6時間目の全ての時点で、試料3(重曹+高糖化還元水飴)および試料4(重曹+低糖化還元水飴)の評価点は、試料1(糖アルコール無し・重曹無し)および試料2(糖アルコール無し・重曹有り)のいずれよりも大きかった。すなわち、具材に重曹と糖アルコールとを添加したチキンナゲットの中の肉は、重曹も糖アルコールも添加しなかったものおよび重曹のみを添加したものと比較して、製造直後および加温環境下での長時間保存後のいずれの時点でもみずみずしかった。この結果から、から揚げの中の具材に糖アルコールを接触させることにより、具材のみずみずしさを向上させるとともに、加温環境下で長時間保存しても具材のみずみずしさを維持できることが明らかになった。
(2)低温下での保存
製造したチキンナゲットを4℃の冷蔵庫にて6時間保存した。保存開始時(0時間目)、保存開始から3時間目および6時間目に一部を取り出し、本実施例5(1)の方法により肉のみずみずしさ/パサパサ感を評価した。その結果、0時間目、3時間目および6時間目の全ての時点で、試料3(重曹+高糖化還元水飴)および試料4(重曹+低糖化還元水飴)の評価点は、試料1(糖アルコール無し・重曹無し)および試料2(糖アルコール無し・重曹有り)のいずれよりも大きかった。すなわち、具材に重曹と糖アルコールとを添加したチキンナゲットの中の肉は、重曹も糖アルコールも添加しなかったものおよび重曹のみを添加したものと比較して、製造直後および低温環境下での長時間保存後のいずれの時点でもみずみずしかった。この結果から、から揚げの中の具材に糖アルコールを接触させることにより、具材のみずみずしさを向上させるとともに、低温環境下で長時間保存しても具材のみずみずしさを維持できることが明らかになった。
製造したチキンナゲットを4℃の冷蔵庫にて6時間保存した。保存開始時(0時間目)、保存開始から3時間目および6時間目に一部を取り出し、本実施例5(1)の方法により肉のみずみずしさ/パサパサ感を評価した。その結果、0時間目、3時間目および6時間目の全ての時点で、試料3(重曹+高糖化還元水飴)および試料4(重曹+低糖化還元水飴)の評価点は、試料1(糖アルコール無し・重曹無し)および試料2(糖アルコール無し・重曹有り)のいずれよりも大きかった。すなわち、具材に重曹と糖アルコールとを添加したチキンナゲットの中の肉は、重曹も糖アルコールも添加しなかったものおよび重曹のみを添加したものと比較して、製造直後および低温環境下での長時間保存後のいずれの時点でもみずみずしかった。この結果から、から揚げの中の具材に糖アルコールを接触させることにより、具材のみずみずしさを向上させるとともに、低温環境下で長時間保存しても具材のみずみずしさを維持できることが明らかになった。
<実施例6>食感改良効果(具材の弾力・繊維感の向上)および保存耐性効果(具材の繊維感の維持)
試験方法(2)に記載の方法により試料1~5(具材の配合は表2と同じ)のチキンナゲットを製造した。製造したチキンナゲットについて、60℃のスチームコンベクションオーブンまたは4℃の冷蔵庫にて6時間保存した。保存開始時(0時間目)、保存開始から3時間目および6時間目に一部を取り出して30分間常温に置いた後、官能試験に供した。官能試験は評価項目を「弾力」および「繊維感」として、実施例5(1)に記載の方法に準じて行った。
試験方法(2)に記載の方法により試料1~5(具材の配合は表2と同じ)のチキンナゲットを製造した。製造したチキンナゲットについて、60℃のスチームコンベクションオーブンまたは4℃の冷蔵庫にて6時間保存した。保存開始時(0時間目)、保存開始から3時間目および6時間目に一部を取り出して30分間常温に置いた後、官能試験に供した。官能試験は評価項目を「弾力」および「繊維感」として、実施例5(1)に記載の方法に準じて行った。
その結果、試料2(ソルビトール)、試料3(高糖化還元水飴)、試料4(中糖化還元水飴)および試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)の弾力の評価点は、0時間目において試料1(糖アルコール無し)よりも大きかった。すなわち、具材に糖アルコールを添加したチキンナゲットの中の具肉は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、製造直後の弾力が大きかった。
また、試料2、試料3、試料4および試料5の繊維感の評価点は、0時間目、3時間目および6時間目のいずれの時点でも試料1よりも大きかった。すなわち、具材に糖アルコールを添加したチキンナゲットの中の具肉は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、製造直後、加温環境下での長時間保存後、および、低温環境下での長時間保存後のいずれの時点でも繊維感が大きかった。
この結果から、から揚げの中の具材に糖アルコールを接触させることにより、具材の弾力および繊維感を向上させるとともに、加温環境下または低温環境下で長時間保存しても繊維感を維持できることが明らかになった。
<実施例7>食感改良効果および保存耐性効果
試験方法(3)に記載の方法により試料1~8のボイルエビを製造した。浸漬液に添加した糖アルコールは、試料1が糖アルコール無し、試料2がソルビトール、試料3が高糖化還元水飴、試料4が中糖化還元水飴、試料5が低糖化還元水飴(エスイー30)、試料6が低糖化還元水飴(エスイー100)、試料7が高糖化還元水飴および試料8が低糖化還元水飴(エスイー30)とした。試料7および試料8の浸漬液には、従来よりエビを柔らかくする目的で用いられている重曹を添加した。製造したボイルエビは、常温(25℃)で6時間保存した。保存開始時(0時間目)、保存開始から3時間目および6時間目に一部を取り出して、下記(1)~(4)の官能試験に供した。
試験方法(3)に記載の方法により試料1~8のボイルエビを製造した。浸漬液に添加した糖アルコールは、試料1が糖アルコール無し、試料2がソルビトール、試料3が高糖化還元水飴、試料4が中糖化還元水飴、試料5が低糖化還元水飴(エスイー30)、試料6が低糖化還元水飴(エスイー100)、試料7が高糖化還元水飴および試料8が低糖化還元水飴(エスイー30)とした。試料7および試料8の浸漬液には、従来よりエビを柔らかくする目的で用いられている重曹を添加した。製造したボイルエビは、常温(25℃)で6時間保存した。保存開始時(0時間目)、保存開始から3時間目および6時間目に一部を取り出して、下記(1)~(4)の官能試験に供した。
(1)食感改良効果(柔らかさの向上)および保存耐性効果(柔らかさの維持)
評価項目を「柔らかさ/かたさ」として、実施例2(2)に記載の方法により官能試験を行った。その結果、いずれの時点でも、試料2~8の評価点は、試料1(糖アルコール無し)よりも小さかった。特に試料4(中糖化還元水飴)および試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点が顕著に小さかった。すなわち、糖アルコールを含有する浸漬液に浸漬したボイルエビは、糖アルコールを用いなかったものと比較して、製造直後および常温環境下での長時間保存後のいずれの時点でも柔らかかった。この結果から、魚介類に糖アルコールを接触させることにより、加熱後の食感を柔らかくするとともに、常温環境下で長時間保存しても柔らかさを維持できることが明らかになった。
評価項目を「柔らかさ/かたさ」として、実施例2(2)に記載の方法により官能試験を行った。その結果、いずれの時点でも、試料2~8の評価点は、試料1(糖アルコール無し)よりも小さかった。特に試料4(中糖化還元水飴)および試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点が顕著に小さかった。すなわち、糖アルコールを含有する浸漬液に浸漬したボイルエビは、糖アルコールを用いなかったものと比較して、製造直後および常温環境下での長時間保存後のいずれの時点でも柔らかかった。この結果から、魚介類に糖アルコールを接触させることにより、加熱後の食感を柔らかくするとともに、常温環境下で長時間保存しても柔らかさを維持できることが明らかになった。
(2)食感改良効果(みずみずしさの向上)および保存耐性効果(みずみずしさの維持)
評価項目を「みずみずしさ/パサパサ感」として、実施例5(1)に記載の方法により官能試験を行った。その結果、いずれの時点でも、試料2~8の評価点は、試料1(糖アルコール無し)よりも大きかった。特に試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点が顕著に大きかった。すなわち、糖アルコールを含有する浸漬液に浸漬したボイルエビは、糖アルコールを用いなかったものと比較して、製造直後および常温環境下での長時間保存後のいずれの時点でもみずみずしかった。この結果から、魚介類に糖アルコールを接触させることにより、加熱後のみずみずしさを向上させるとともに、常温環境下で長時間保存してもみずみずしさを維持できることが明らかになった。
評価項目を「みずみずしさ/パサパサ感」として、実施例5(1)に記載の方法により官能試験を行った。その結果、いずれの時点でも、試料2~8の評価点は、試料1(糖アルコール無し)よりも大きかった。特に試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点が顕著に大きかった。すなわち、糖アルコールを含有する浸漬液に浸漬したボイルエビは、糖アルコールを用いなかったものと比較して、製造直後および常温環境下での長時間保存後のいずれの時点でもみずみずしかった。この結果から、魚介類に糖アルコールを接触させることにより、加熱後のみずみずしさを向上させるとともに、常温環境下で長時間保存してもみずみずしさを維持できることが明らかになった。
(3)食感改良効果(弾力の向上)ならびに保存耐性効果(弾力の維持)
評価項目を「弾力(エビを噛む瞬間のプリッと感)」として、実施例5(1)に記載の方法に準じて官能試験を行った。その結果、いずれの時点でも、試料2~8の評価点は、試料1(糖アルコール無し)よりも大きかった。特に試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点が顕著に大きかった。すなわち、糖アルコールを含有する浸漬液に浸漬したボイルエビは、糖アルコールを用いなかったものと比較して、製造直後および常温環境下での長時間保存後のいずれの時点でも弾力が大きかった。この結果から、魚介類に糖アルコールを接触させることにより、加熱後の弾力を向上させるとともに、常温環境下で長時間保存しても弾力を維持できることが明らかになった。
評価項目を「弾力(エビを噛む瞬間のプリッと感)」として、実施例5(1)に記載の方法に準じて官能試験を行った。その結果、いずれの時点でも、試料2~8の評価点は、試料1(糖アルコール無し)よりも大きかった。特に試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点が顕著に大きかった。すなわち、糖アルコールを含有する浸漬液に浸漬したボイルエビは、糖アルコールを用いなかったものと比較して、製造直後および常温環境下での長時間保存後のいずれの時点でも弾力が大きかった。この結果から、魚介類に糖アルコールを接触させることにより、加熱後の弾力を向上させるとともに、常温環境下で長時間保存しても弾力を維持できることが明らかになった。
(4)食感改良効果(繊維感の向上)ならびに保存耐性効果(繊維感の維持)
評価項目を「繊維感」として、実施例5(1)に記載の方法に準じて官能試験を行った。その結果、いずれの時点でも、試料2~8の評価点は、試料1(糖アルコール無し)よりも大きかった。特に試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)の評価点が顕著に大きかった。すなわち、糖アルコールを含有する浸漬液に浸漬したボイルエビは、糖アルコールを用いなかったものと比較して、製造直後および常温環境下での長時間保存後のいずれの時点でも繊維感が大きかった。この結果から、魚介類に糖アルコールを接触させることにより、加熱後の弾力を繊維感させるとともに、常温環境下で長時間保存しても繊維感を維持できることが明らかになった。
評価項目を「繊維感」として、実施例5(1)に記載の方法に準じて官能試験を行った。その結果、いずれの時点でも、試料2~8の評価点は、試料1(糖アルコール無し)よりも大きかった。特に試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)の評価点が顕著に大きかった。すなわち、糖アルコールを含有する浸漬液に浸漬したボイルエビは、糖アルコールを用いなかったものと比較して、製造直後および常温環境下での長時間保存後のいずれの時点でも繊維感が大きかった。この結果から、魚介類に糖アルコールを接触させることにより、加熱後の弾力を繊維感させるとともに、常温環境下で長時間保存しても繊維感を維持できることが明らかになった。
<実施例8>糖アルコールの添加量の検討
試験方法(2)に記載の方法により試料1~4のチキンナゲットを製造した。その具材の配合を表4に示す。試料2~4には、肉100重量部に対して3重量部(対3重量部)、6重量部(対6重量部)および9重量部(対9重量部)となるように糖アルコールを添加した。表4の括弧内に添加した糖アルコールの種類を示す。
試験方法(2)に記載の方法により試料1~4のチキンナゲットを製造した。その具材の配合を表4に示す。試料2~4には、肉100重量部に対して3重量部(対3重量部)、6重量部(対6重量部)および9重量部(対9重量部)となるように糖アルコールを添加した。表4の括弧内に添加した糖アルコールの種類を示す。
製造したチキンナゲットについて、60℃のスチームコンベクションオーブンにて6時間保存した。保存開始時(0時間目)、保存開始から3時間目および6時間目に一部を取り出し、30分間放冷した。これらについて、実施例2(2)に記載の方法により官能試験を行い「肉のかたさ/柔らかさ」を評価した。また、実施例5に記載の方法により官能試験を行い「肉のみずみずしさ/パサパサ感」を評価した。ただし、0時間目および6時間目は5名(A~E)のパネルにより、3時間目は4名(A~D)のパネルにより、評価した。
(1)食感改良効果(具材の柔らかさの向上)および保存耐性効果(具材の柔らかさの維持)
「肉のかたさ/柔らかさ」の官能試験結果のうち、各パネルの採点結果を図10に、評価点の棒グラフを図11に、それぞれ示す。図10および図11に示すように、対3重量部、対6重量部および対9重量部の全てのいずれの場合も、0時間目、3時間目および6時間目の全ての時点で、試料2(高糖化還元水飴)、試料3(中糖化還元水飴)および試料4(低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点は試料1(糖アルコール無し)よりも小さかった。すなわち、肉100重量部に対して3重量部、6重量部および9重量部となるように糖アルコールを添加したチキンナゲットの中の肉は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、製造直後および保存環境下での長時間保存後のいずれの時点でも柔らかかった。この結果から、糖アルコールはその使用濃度を問わず、から揚げの中の具材の食感を柔らかくするとともに、加温環境下で長時間保存しても柔らかさを維持できることが明らかになった。
「肉のかたさ/柔らかさ」の官能試験結果のうち、各パネルの採点結果を図10に、評価点の棒グラフを図11に、それぞれ示す。図10および図11に示すように、対3重量部、対6重量部および対9重量部の全てのいずれの場合も、0時間目、3時間目および6時間目の全ての時点で、試料2(高糖化還元水飴)、試料3(中糖化還元水飴)および試料4(低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点は試料1(糖アルコール無し)よりも小さかった。すなわち、肉100重量部に対して3重量部、6重量部および9重量部となるように糖アルコールを添加したチキンナゲットの中の肉は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、製造直後および保存環境下での長時間保存後のいずれの時点でも柔らかかった。この結果から、糖アルコールはその使用濃度を問わず、から揚げの中の具材の食感を柔らかくするとともに、加温環境下で長時間保存しても柔らかさを維持できることが明らかになった。
(2)食感改良効果(具材のみずみずしさの向上)および保存耐性効果(具材のみずみずしさの維持)
「肉のみずみずしさ/パサパサ感」の官能試験のうち、各パネルの採点結果を図12に、評価点の棒グラフを図13に、それぞれ示す。図12および図13に示すように、対3重量部、対6重量部および対9重量部のいずれの場合も、0時間目、3時間目および6時間目の全ての時点で、試料2(高糖化還元水飴)、試料3(中糖化還元水飴)および試料4(低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点は、試料1(糖アルコール無し)よりも大きかった。すなわち、肉100重量部に対して3重量部、6重量部および9重量部となるように糖アルコールを添加したチキンナゲットの中の肉は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、製造直後および保存環境下での長時間保存後のいずれの時点でもみずみずしさかった。この結果から、糖アルコールはその使用濃度を問わず、から揚げの中の具材のみずみずしさを向上させるとともに、加温環境下で長時間保存してもみずみずしさを維持できることが明らかになった。
「肉のみずみずしさ/パサパサ感」の官能試験のうち、各パネルの採点結果を図12に、評価点の棒グラフを図13に、それぞれ示す。図12および図13に示すように、対3重量部、対6重量部および対9重量部のいずれの場合も、0時間目、3時間目および6時間目の全ての時点で、試料2(高糖化還元水飴)、試料3(中糖化還元水飴)および試料4(低糖化還元水飴:エスイー30)の評価点は、試料1(糖アルコール無し)よりも大きかった。すなわち、肉100重量部に対して3重量部、6重量部および9重量部となるように糖アルコールを添加したチキンナゲットの中の肉は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、製造直後および保存環境下での長時間保存後のいずれの時点でもみずみずしさかった。この結果から、糖アルコールはその使用濃度を問わず、から揚げの中の具材のみずみずしさを向上させるとともに、加温環境下で長時間保存してもみずみずしさを維持できることが明らかになった。
<実施例9>衣の保存耐性効果(エビフライでの検証)
試験方法(4)に記載の方法により試料1~8のエビフライを製造した。その浸漬液の配合を表5に示す。表5の括弧内に、浸漬液に添加した糖アルコールの種類を示す。
試験方法(4)に記載の方法により試料1~8のエビフライを製造した。その浸漬液の配合を表5に示す。表5の括弧内に、浸漬液に添加した糖アルコールの種類を示す。
試料1~8のエビフライの衣を剥がし、剥がした衣を60℃のスチームコンベクションオーブンにて6時間保存した。保存開始時(0時間目)および保存後(6時間目)に衣の重量を測定した。実施例1の式2および式3により、衣重量の減少量および保存後の重量百分率を求めた。その結果を表5の下段ならびに図14および図15に示す。
図14に示すように、衣重量の減少量は、試料3(ソルビトール)、試料4(高糖化還元水飴)、試料5(中糖化還元水飴)、試料6(低糖化還元水飴:スイートNT)、試料7(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料8(低糖化還元水飴:エスイー100)のいずれも、試料1(糖アルコール無し、重曹無し)よりも小さく、また、試料2(糖アルコール無し、重曹有り)よりも小さかった。
図15に示すように、保存後の重量百分率も同様であり、試料3(ソルビトール)、試料4(高糖化還元水飴)、試料5(中糖化還元水飴)、試料6(低糖化還元水飴:スイートNT)、試料7(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料8(低糖化還元水飴:エスイー100)のいずれも、試料1(糖アルコール無し、重曹無し)よりも大きく、また、試料2(糖アルコール無し、重曹有り)よりも大きかった。
すなわち、エビに糖アルコールを添加したフライの衣は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、保温環境下での長時間保存による重量の減少量が小さかった。この結果から、フライの中の具材に糖アルコールを接触させることにより、加温下での保存時における衣の乾燥を抑制し、衣がかたくなるのを抑制できることが明らかになった。
<実施例10>具材の食感改良効果および保存耐性効果(エビフライ・エビ天ぷらでの検証)
(1)エビフライでの検証
試験方法(4)に記載の方法により試料1~8のエビフライを製造した。浸漬液の配合は表5と同じとした。製造したエビフライについて、常温(18~23℃)にて4時間保存した。保存開始時(0時間目)および4時間目に一部を取り出して官能試験に供した。官能試験は評価項目を「エビの繊維感」および「エビの弾力(噛む瞬間のプリッと感)」として、5名(A~E)の分析型パネルにより評価した。試料1(糖アルコール無し・重曹無し)を基準の5点として、下記の10段階で各パネルが採点した。
エビの繊維感:1点(繊維感が小さい)~10点(繊維感が大きい)
エビの弾力:1点(弾力が小さい)~10点(弾力が大きい)
採点結果は、試料ごとに全パネルによる評点の平均値を求め、小数点第3位を四捨五入して評価点とした。繊維感の結果を図16に、弾力の結果を図17に、それぞれ示す。
(1)エビフライでの検証
試験方法(4)に記載の方法により試料1~8のエビフライを製造した。浸漬液の配合は表5と同じとした。製造したエビフライについて、常温(18~23℃)にて4時間保存した。保存開始時(0時間目)および4時間目に一部を取り出して官能試験に供した。官能試験は評価項目を「エビの繊維感」および「エビの弾力(噛む瞬間のプリッと感)」として、5名(A~E)の分析型パネルにより評価した。試料1(糖アルコール無し・重曹無し)を基準の5点として、下記の10段階で各パネルが採点した。
エビの繊維感:1点(繊維感が小さい)~10点(繊維感が大きい)
エビの弾力:1点(弾力が小さい)~10点(弾力が大きい)
採点結果は、試料ごとに全パネルによる評点の平均値を求め、小数点第3位を四捨五入して評価点とした。繊維感の結果を図16に、弾力の結果を図17に、それぞれ示す。
図16に示すように、エビの繊維感の評価点は、0時間目および4時間目のいずれの時点でも、試料1(糖アルコール無し・重曹無し)および試料2(糖アルコール無し・重曹有り)よりも、試料5(中糖化還元水飴)、試料6(低糖化還元水飴:スイートNT)、試料7(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料8(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を含む浸漬液に浸漬したエビを用いたエビフライは、糖アルコールを含まない浸漬液を用いたものと比較して、製造直後および常温での長時間保存後のいずれの時点でも、繊維感が大きかった。この結果から、揚げ物の中の具材に中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を接触させることにより、具材の繊維感を向上できることが明らかになった。また、揚げ物の中の具材に中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を接触させることにより、常温で長時間保存しても、具材の繊維感を維持できることが明らかになった。
次に、図17に示すように、エビの弾力の評価点は、0時間目では、試料1(糖アルコール無し・重曹無し)および試料2(糖アルコール無し・重曹有り)よりも、試料4(高糖化還元水飴)、試料5(中糖化還元水飴)、試料6(低糖化還元水飴:スイートNT)、試料7(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料8(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、高糖化還元水飴、中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を含む浸漬液に浸漬したエビを用いたエビフライは、糖アルコールを含まない浸漬液を用いたものと比較して、製造直後の時点で、弾力が大きかった。この結果から、揚げ物の中の具材に還元水飴を接触させることにより、具材の弾力を向上できることが明らかになった。
また、エビの弾力の評価点は、4時間目では、試料1(糖アルコール無し・重曹無し)および試料2(糖アルコール無し・重曹有り)よりも、試料5(中糖化還元水飴)、試料6(低糖化還元水飴:スイートNT)、試料7(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料8(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を含む浸漬液に浸漬したエビを用いたエビフライは、糖アルコールを含まない浸漬液を用いたものと比較して、常温での長時間保存後における弾力が大きかった。この結果から、揚げ物の中の具材に中糖化~低糖化還元水飴を接触させることにより、常温で長時間保存しても、具材の弾力を維持できることが明らかになった。
(2)エビ天ぷらでの検証
試験方法(5)に記載の方法により試料1~8のエビ天ぷらを製造した。浸漬液の配合は表5と同じとした。製造したエビ天ぷらについて、常温(18~23℃)にて4時間保存した。保存開始時(0時間目)および4時間目に一部を取り出して官能試験に供した。官能試験は、本実施例10(1)に記載の方法により行った。ただし、4時間目の官能試験は4名(A~D)の分析型パネルにより評価した。繊維感の結果を図18に、弾力の結果を図19に、それぞれ示す。
試験方法(5)に記載の方法により試料1~8のエビ天ぷらを製造した。浸漬液の配合は表5と同じとした。製造したエビ天ぷらについて、常温(18~23℃)にて4時間保存した。保存開始時(0時間目)および4時間目に一部を取り出して官能試験に供した。官能試験は、本実施例10(1)に記載の方法により行った。ただし、4時間目の官能試験は4名(A~D)の分析型パネルにより評価した。繊維感の結果を図18に、弾力の結果を図19に、それぞれ示す。
図18に示すように、エビの繊維感の評価点は、0時間目および4時間目のいずれの時点でも、試料1(糖アルコール無し・重曹無し)および試料2(糖アルコール無し・重曹有り)よりも、試料5(中糖化還元水飴)、試料6(低糖化還元水飴:スイートNT)、試料7(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料8(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を含む浸漬液に浸漬したエビを用いたエビ天ぷらは、糖アルコールを含まない浸漬液を用いたものと比較して、製造直後および常温での長時間保存後のいずれの時点でも、繊維感が大きかった。この結果から、揚げ物の中の具材に中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を接触させることにより、具材の繊維感を向上できることが明らかになった。また、揚げ物の中の具材に中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を接触させることにより、常温で長時間保存しても、具材の繊維感を維持できることが明らかになった。
次に、図19に示すように、エビの弾力の評価点は、0時間目では、試料1(糖アルコール無し・重曹無し)および試料2(糖アルコール無し・重曹有り)よりも、試料3(ソルビトール)、試料4(高糖化還元水飴)、試料5(中糖化還元水飴)、試料6(低糖化還元水飴:スイートNT)、試料7(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料8(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、ソルビトール、高糖化還元水飴、中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を含む浸漬液に浸漬したエビを用いたエビ天ぷらは、糖アルコールを含まない浸漬液を用いたものと比較して、製造直後の時点で、弾力が大きかった。この結果から、揚げ物の中の具材に糖アルコールを接触させることにより、具材の弾力を向上できることが明らかになった。
また、エビの弾力の評価点は、4時間目では、試料1(糖アルコール無し・重曹無し)および試料2(糖アルコール無し・重曹有り)よりも、試料5(中糖化還元水飴)、試料6(低糖化還元水飴:スイートNT)、試料7(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料8(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を含む浸漬液に浸漬したエビを用いたエビ天ぷらは、糖アルコールを含まない浸漬液を用いたものと比較して、常温での長時間保存後における弾力が大きかった。この結果から、揚げ物の中の具材に中糖化~低糖化還元水飴を接触させることにより、常温で長時間保存しても、具材の弾力を維持できることが明らかになった。
<実施例11>具材の柔らかさの向上効果および保存耐性効果(チルド鶏唐揚げでの検証)
試験方法(6)に記載の方法により試料1~6の鶏唐揚げを製造した。調味液の配合を表6に示す。表6において、括弧内に添加した糖アルコールの種類を示す。製造した鶏唐揚げを30分間放冷した後、-40℃に1時間置き、急速冷凍した。続いて、ナイロンポリ袋で包装した後、冷蔵温度帯(4℃)にて1時間~29日間保管した。保管開始から1時間経過時(0日目、Day0)、保管開始から7日目(Day7)、14日目(Day14)、21日目(Day21)および29日目(Day29)に一部を取り出し、電子レンジに入れ、600ワットで2分30秒間/6個あたり、加熱した。20分放冷した後、鶏唐揚げの具肉部分について、実施例2(1)に記載の方法により荷重(歪率が50体積%となった時点の荷重)を測定した。その結果を図20に示す。
試験方法(6)に記載の方法により試料1~6の鶏唐揚げを製造した。調味液の配合を表6に示す。表6において、括弧内に添加した糖アルコールの種類を示す。製造した鶏唐揚げを30分間放冷した後、-40℃に1時間置き、急速冷凍した。続いて、ナイロンポリ袋で包装した後、冷蔵温度帯(4℃)にて1時間~29日間保管した。保管開始から1時間経過時(0日目、Day0)、保管開始から7日目(Day7)、14日目(Day14)、21日目(Day21)および29日目(Day29)に一部を取り出し、電子レンジに入れ、600ワットで2分30秒間/6個あたり、加熱した。20分放冷した後、鶏唐揚げの具肉部分について、実施例2(1)に記載の方法により荷重(歪率が50体積%となった時点の荷重)を測定した。その結果を図20に示す。
図20に示すように、Day0、Day7、Day14およびDay21では、試料1(糖アルコール無し)よりも、試料2(ソルビトール)、試料3(高糖化還元水飴)、試料4(中糖化還元水飴)、試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が荷重が小さかった。Day29では、試料1よりも、試料3、試料4、試料5および試料6の方が荷重が小さかった。Day14、Day21およびDay29では、試料4、試料5および試料6の荷重が特に小さかった。
すなわち、具材に糖アルコールを添加した鶏唐揚げの中の具肉は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、冷凍後の4℃での保存期間が短期間および長期間のいずれの時点でも、柔らかかった。特に、糖アルコールとして還元水飴を用いたものでは29日間の保存後も柔らかかった。また、糖アルコールとして中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を用いたものでは、14~29日間の保存後において顕著に柔らかかった。この結果から、揚げ物の中の具材に糖アルコールを接触させることにより、揚げ物を冷凍後、冷蔵温度帯で長時間保存した後に再加熱しても、具材の柔らかさを向上できることが明らかになった。また、揚げ物の中の具材に還元水飴を接触させることにより、揚げ物を冷凍後、冷蔵温度帯で長時間保存した後に再加熱しても、具材の柔らかさを維持できることが明らかになった。
<実施例12>衣および具材の食感改良効果および保存耐性効果(チルド鶏唐揚げでの検証)
試験方法(6)に記載の方法により試料1~6の鶏唐揚げを製造した。調味液の配合は実施例11の表6に示すとおりとした。続いて、実施例11と同様に、製造した鶏唐揚げを急速冷凍した後、冷蔵温度帯(4℃)にて1時間~29日間保管した。保管開始から1時間経過時(0日目)および保管開始から29日目に一部を取り出し、電子レンジに入れ、600ワットで2分30秒間/6個あたり、加熱した。20分放冷した後、官能試験に供した。
試験方法(6)に記載の方法により試料1~6の鶏唐揚げを製造した。調味液の配合は実施例11の表6に示すとおりとした。続いて、実施例11と同様に、製造した鶏唐揚げを急速冷凍した後、冷蔵温度帯(4℃)にて1時間~29日間保管した。保管開始から1時間経過時(0日目)および保管開始から29日目に一部を取り出し、電子レンジに入れ、600ワットで2分30秒間/6個あたり、加熱した。20分放冷した後、官能試験に供した。
官能試験は評価項目を「衣のもさつき」、「衣のひき」、「肉のみずみずしさ」、「肉のやわらかさ」および「肉の弾力」として、3名(A~C、0日目)または4名(A~D、29日目)の分析型パネルにより評価した。試料1(糖アルコール無し)を基準の5点として、下記の10段階で各パネルが採点した。
衣のもさつき:1点(衣のもさつきが大きい)~10点(衣のもさつきが小さい)
衣のひき:1点(衣のひきが大きい)~10点(衣のひきが小さい)
肉のみずみずしさ:1点(肉がぱさついている)~10点(肉がみずみずしい)
肉のやわらかさ:1点(肉がかたい)~10点(肉が柔らかい)
肉の弾力:1点(肉の弾力が小さい)~10点(肉の弾力が大きい)
採点結果は、試料ごとに全パネルによる評点の平均値を求め、小数点第3位を四捨五入して評価点とした。各パネルの評点および評価点を図21に、衣のもさつきの結果を図22に、衣のひきの結果を図23に、肉のみずみずしさの結果を図24に、肉の柔らかさの結果を図25に、肉の弾力の結果を図26に、それぞれ示す。
衣のもさつき:1点(衣のもさつきが大きい)~10点(衣のもさつきが小さい)
衣のひき:1点(衣のひきが大きい)~10点(衣のひきが小さい)
肉のみずみずしさ:1点(肉がぱさついている)~10点(肉がみずみずしい)
肉のやわらかさ:1点(肉がかたい)~10点(肉が柔らかい)
肉の弾力:1点(肉の弾力が小さい)~10点(肉の弾力が大きい)
採点結果は、試料ごとに全パネルによる評点の平均値を求め、小数点第3位を四捨五入して評価点とした。各パネルの評点および評価点を図21に、衣のもさつきの結果を図22に、衣のひきの結果を図23に、肉のみずみずしさの結果を図24に、肉の柔らかさの結果を図25に、肉の弾力の結果を図26に、それぞれ示す。
図21および図22に示すように、衣のもさつきの評価点は、0日目では、試料1(糖アルコール無し)よりも、試料2(ソルビトール)、試料3(高糖化還元水飴)、試料4(中糖化還元水飴)、試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、具材に糖アルコールを添加した鶏唐揚げの衣は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、衣のもさつきが小さかった。この結果から、揚げ物の中の具材に糖アルコールを接触させることにより、揚げ物を冷凍後に再加熱しても、衣のもさつきを低減できることが明らかになった。
また、衣のもさつきの評価点は、29日目では、試料1(糖アルコール無し)よりも、試料4(中糖化還元水飴)、試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、具材に中糖化~低糖化還元水飴を添加した鶏唐揚げの衣は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、冷蔵での長期保存後における衣のもさつきが小さかった。この結果から、揚げ物の中の具材に中糖化~低糖化還元水飴を接触させることにより、揚げ物を冷凍後、冷蔵温度帯で長期間保存した後に再加熱しても、衣のもさつきを抑制できることが明らかになった。
次に、図21および図23に示すように、衣のひきの評価点は、0日目では、試料1(糖アルコール無し)よりも、試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、具材に低糖化還元水飴を添加した鶏唐揚げの衣は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、衣のひきが小さかった。この結果から、揚げ物の中の具材に低糖化還元水飴を接触させることにより、揚げ物を冷凍後に再加熱しても、衣のひきを低減できることが明らかになった。
また、衣のひきの評価点は、29日目では、試料1(糖アルコール無し)よりも、試料2(ソルビトール)、試料3(高糖化還元水飴)、試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、具材にソルビトール、高糖化還元水飴または低糖化還元水飴を添加した鶏唐揚げの衣は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、冷蔵での長期保存後における衣のひきが小さかった。この結果から、揚げ物の中の具材にソルビトール、高糖化還元水飴または低糖化還元水飴を接触させることにより、揚げ物を冷凍後、冷蔵温度帯で長期間保存した後に再加熱しても、衣のひきを抑制できることが明らかになった。
次に、図21および図24に示すように、肉のみずみずしさの評価点は、0日目では、試料1(糖アルコール無し)よりも、試料2(ソルビトール)、試料3(高糖化還元水飴)、試料4(中糖化還元水飴)、試料5(低糖化 還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、具材に糖アルコールを添加した鶏唐揚げの中の肉は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、ぱさつきが少なく、肉がみずみずしかった。この結果から、揚げ物の中の具材に糖アルコールを接触させることにより、揚げ物を冷凍後に再加熱しても、具材のみずみずしさを向上できることが明らかになった。
また、肉のみずみずしさの評価点は、29日目では、試料1(糖アルコール無し)よりも、試料4(中糖化還元水飴)、試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、具材に中糖化~低糖化還元水飴を添加した鶏唐揚げの中の肉は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、冷蔵での長期保存後におけるパサつきが少なく、肉がみずみずしかった。この結果から、揚げ物の中の具材に中糖化~低糖化還元水飴を接触させることにより、揚げ物を冷凍後、冷蔵温度帯で長期間保存した後に再加熱しても、具材のみずみずしさを維持できることが明らかになった。
次に、図21および図25に示すように、肉の柔らかさの評価点は、0日目および29日目のいずれの時点でも、試料1(糖アルコール無し)よりも、試料3(高糖化還元水飴)、試料4(中糖化還元水飴)、試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、具材に高糖化還元水飴、中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を添加した鶏唐揚げの中の肉は、冷凍後の4℃での保存期間が短期間および長期間のいずれの時点においても、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、柔らかかった。この結果から、揚げ物の中の具材に還元水飴を接触させることにより、揚げ物を冷凍後に再加熱しても、具材の柔らかさを向上できることが明らかになった。また、揚げ物の中の具材に還元水飴を接触させることにより、揚げ物を冷凍後、冷蔵温度帯で長期間保存した後に再加熱しても、具材の柔らかさを維持できることが明らかになった。
最後に、図21および図26に示すように、肉の弾力の評価点は、0日目では、試料1(糖アルコール無し)よりも、試料2(ソルビトール)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、具材にソルビトールまたは低糖化還元水飴を添加した鶏唐揚げの中の肉は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、弾力が大きかった。この結果から、揚げ物の中の具材にソルビトールまたは低糖化還元水飴を接触させることにより、揚げ物を冷凍後に再加熱しても、具材の弾力を向上できることが明らかになった。
また、肉の弾力の評価点は、29日目では、試料1(糖アルコール無し)よりも、試料4(中糖化還元水飴)、試料5(低糖化還元水飴:エスイー30)および試料6(低糖化還元水飴:エスイー100)の方が大きかった。すなわち、具材に中糖化~低糖化還元水飴を添加した鶏唐揚げの中の肉は、糖アルコールを添加しなかったものと比較して、冷蔵での長期保存後における弾力が大きかった。この結果から、揚げ物の中の具材に中糖化~低糖化還元水飴を接触させることにより、揚げ物を冷凍後、冷蔵温度帯で長期間保存した後に再加熱しても、具材の弾力を維持できることが明らかになった。
Claims (7)
- 具材および衣からなる揚げ物の保存耐性向上用組成物であって、ソルビトールおよび還元水飴から選択される1以上の糖アルコールを有効成分とし、下記(A)~(C)から選択される1以上の用途で用いられることを特徴とする、前記組成物;
(A)前記衣の乾燥を抑制する用途、
(B)前記衣のもさつきを抑制する用途、
(C)前記衣のひきを抑制する用途。 - さらに下記(ア)~(カ)から選択される1以上の用途で用いられることを特徴とする、請求項1に記載の組成物;
(ア)前記具材の柔らかさを維持する用途、
(イ)前記具材のみずみずしさを維持する用途、
(ウ)前記具材の弾力を維持する用途、
(エ)前記具材の繊維感を維持する用途、
(オ)加温下での保存時における前記衣の乾燥を抑制する用途、
(カ)加温下での保存時における前記衣のサクミを維持する用途。 - 具材および衣からなる揚げ物の食感改良用組成物であって、ソルビトールおよび還元水飴から選択される1以上の糖アルコールを有効成分とし、下記(D)の用途で用いられることを特徴とする、前記組成物;
(D)衣のもさつきを低減する用途。 - 具材および衣からなる揚げ物の食感改良用組成物であって、五糖以上を50質量%以上含有する糖組成である還元水飴を有効成分とし、下記(E)の用途で用いられることを特徴とする、前記組成物;
(E)衣のひきを低減する用途。 - さらに下記(キ)~(サ)から選択される1以上の用途で用いられることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の組成物;
(キ)前記具材の柔らかさを向上する用途、
(ク)前記具材のみずみずしさを向上する用途、
(ケ)前記具材の弾力を向上する用途、
(コ)前記具材の繊維感を向上する用途、
(サ)前記衣のサクミを向上する用途。 - 前記還元水飴が下記(a)または(b)である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物;
(a)単糖を1~50質量%、二糖を6~50質量%、三糖を7~25質量%、四糖以上を2~86質量%含有する糖組成である、還元水飴、
(b)デキストロース当量が14以上70以下の水飴を還元してなる、還元水飴。 - 請求項1~6のいずれかに記載の組成物を、具材に接触させた後に衣付けして油ちょうする工程を有する、具材および衣からなる揚げ物の製造方法。
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JP2022050861A Pending JP2022151870A (ja) | 2021-03-26 | 2022-03-25 | 揚げ物の保存耐性向上用組成物、揚げ物の食感改良用組成物および揚げ物の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2023043180A (ja) * | 2021-09-15 | 2023-03-28 | 物産フードサイエンス株式会社 | 揚げ物の具材の食感改良用組成物、衣のもさつきおよび/またはひき抑制用組成物、油ちょう時間および/または油ちょう温度の低減用組成物ならびに揚げ物の製造方法 |
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2022
- 2022-03-25 JP JP2022050861A patent/JP2022151870A/ja active Pending
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JP2023043180A (ja) * | 2021-09-15 | 2023-03-28 | 物産フードサイエンス株式会社 | 揚げ物の具材の食感改良用組成物、衣のもさつきおよび/またはひき抑制用組成物、油ちょう時間および/または油ちょう温度の低減用組成物ならびに揚げ物の製造方法 |
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