JP2022151481A - 樹脂シート及び化粧板 - Google Patents

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義昭 根津
Yoshiaki Nezu
雅貴 和田
Masataka Wada
圭佑 風間
Keisuke Kazama
淳一 田向
Junichi Tamuki
結香 阪口
Yuka Sakaguchi
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Abstract

【課題】本発明は、難燃性、及び、火の燃え広がり難さに優れ、且つ、曲げ白化が抑制された樹脂シートを提供する。【解決手段】少なくとも基材シート上に透明性樹脂層を有する樹脂シートであって、(1)前記透明性樹脂層は、ホスフィン酸金属塩系難燃剤を含有し、(2)前記基材シートは、水酸化マグネシウムを含有し、(3)前記透明性樹脂層、及び、前記基材シートは、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、ことを特徴とする樹脂シート。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂シート及び化粧板に関する。
従来、様々な物品の表面には、意匠性を付与するために、樹脂シートが積層されている。例えば、建築物の床面に用いられる化粧板として、基材上に樹脂シートが積層されて用いられている。
このような化粧板は、建築物の表面に積層されるため、火災の際に燃え難いこと、すなわち、難燃性に優れることを示す、不燃認定取得可能要件を満たすことが要求される場合がある。ここで、上記不燃認定取得可能要件とは、日本の建築基準法第2条第9号で規定されている、ISO5660-1に準拠する発熱性試験における、総発熱量、最大発熱速度、亀裂及び穴の発生についての所定の要件である。
上述のような要件を満たす化粧板に使用される樹脂シートとして、基材シート、透明性樹脂層及び表面保護層が順に積層され、それぞれの層の厚みが特定の範囲であり、難燃剤を含有する化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上述の化粧シートも難燃性に優れた樹脂シートであり全く問題なく使用できるが、水平面に施工された基材上の樹脂シートにおいては火災の際に火が燃え広がり難いことが更に避難時間を確保する上で重要な性能であるものの、火の燃え広がり難さについては更に向上する余地がある。そのため、樹脂シートには、上述のISO5660-1による難燃性に加え、火災の際に燃えている樹脂シートの面積の拡大が抑制され、火が燃え広がり難いとの特性も重要である。
化粧シートの構成によっては、上述の難燃性及び火の燃え広がり難さを両立することは困難である。例えば、難燃性を評価するコーンカロリーメーターを用いた発熱性試験において、発熱量を抑えるためには、樹脂シートを薄くして製品中の有機質量を下げる方法が有効である。しかしながら、火の燃え広がり難さを評価する水平燃焼性試験においては化粧シートを薄くすることは必ずしも有効ではない。
また、化粧シートに難燃性を付与するために難燃剤が有用であり、このような難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃剤、金属水酸化物系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤等が用いられている。しかしながら、ハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃剤は環境の観点から好ましくないという問題がある。
難燃剤として金属水酸化物系難燃剤を用いる場合、多量に添加する必要がある。また、リン酸エステル系難燃剤は、燃焼の際に燃焼チャーを形成して燃焼を抑制する。当該リン酸エステル系難燃剤を用いる場合も、燃焼チャーを形成して難燃効果を得るために、多量に添加する必要がある。これらの難燃剤は、粒子径も大きいことから印刷用シートに用いた場合に表面異物になり、印刷抜けが発生し易くなる。また、これらの難燃剤を化粧シートに用いた場合、化粧シートの透明性が損なわれ、着色する場合もあるため、使用できる層が限定される。このため、樹脂シートでは、適切な難燃剤を適切な層構成において用いることが必要である。
更に、樹脂シートは、被着材に積層されて化粧板として用いられることがある。この場合、化粧板を曲げて加工すると樹脂シートも追従して曲げられる。この際、樹脂シート中の難燃剤の選定及び樹脂シートの層を形成する樹脂の構成によっては、曲がった箇所の樹脂シートが曲げ白化を生じるという問題がある。
従って、難燃性、及び、火の燃え広がり難さに優れ、且つ、曲げ白化が抑制された樹脂シートの開発が望まれている。
特開2015-182379号公報
本発明は、難燃性、及び、火の燃え広がり難さに優れ、且つ、曲げ白化が抑制された樹脂シートを提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、少なくとも基材シート上に透明性樹脂層を有する樹脂シートにおいて、透明性樹脂層がホスフィン酸金属塩系難燃剤を含有し、基材シートが水酸化マグネシウムを含有し、透明性樹脂層、及び、前記基材シートがポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有する構成の樹脂シートとすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の樹脂シート及び化粧板に関する。
1.少なくとも基材シート上に透明性樹脂層を有する樹脂シートであって、
(1)前記透明性樹脂層は、ホスフィン酸金属塩系難燃剤を含有し、
(2)前記基材シートは、水酸化マグネシウムを含有し、
(3)前記透明性樹脂層、及び、前記基材シートは、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する、
ことを特徴とする樹脂シート。
2.前記基材シート中の前記水酸化マグネシウムの含有量は、10質量%以上である、項1に記載の樹脂シート。
3.前記ホスフィン酸金属塩系難燃剤は、ホスフィン酸アルミニウム難燃剤である、項1又は2に記載の樹脂シート。
4.前記透明性樹脂層中の前記ホスフィン酸金属塩系難燃剤の含有量は、5質量%以上である、項1~3のいずれかに記載の樹脂シート。
5.前記透明性樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂を含有し、前記ポリオレフィン系樹脂はオレフィン系熱可塑性エラストマーである、項1~4のいずれかに記載の樹脂シート。
6.前記基材シート上に、少なくとも絵柄模様層、及び、前記透明性樹脂層をこの順に有する、項1~5のいずれかに記載の樹脂シート。
7.前記透明性樹脂層の前記基材シートとは反対側に表面保護層を有する、項1~6のいずれかに記載の樹脂シート。
8.前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂層である、項7に記載の樹脂シート。
9.前記透明性樹脂層の前記基材シートとは反対側に凹凸形状を有する、項1~8のいずれかに記載の樹脂シート。
10.基材上に、項1~9のいずれかに記載の樹脂シートを有する化粧板。
本発明の樹脂シートは、難燃性、及び、火の燃え広がり難さに優れ、且つ、曲げ白化が抑制されている。
本発明の樹脂シートの層構成の一例を示す模式図である。 本発明の化粧板を構成する基材(被着材)の層構成の一例を示す模式図である。 本発明の化粧板の層構成の一例を示す模式図である。 火の燃え広がり難さの試験方法を示す模式図である。 火の燃え広がり難さの試験方法を示す模式図である。 曲げ白化の試験方法を示す模式図である。
以下、本発明の樹脂シート、及び化粧板について詳細に説明する。なお、本発明の樹脂シートは、樹脂シートの基材と積層される側とは反対側の面がいわゆる「おもて面」であり、床等に施工された際に視認される面である。よって、本明細書では、樹脂シートの基材と積層される側とは反対側の面の方向を「上」と称し、その反対側、すなわち基材と積層される側の面の方向を「裏」又は「下」と称する。同様に、本明細書では、化粧板の樹脂シート側の面の方向を「上」と称し、その反対側、すなわち基材側の面の方向を「裏」又は「下」と称する。
1.樹脂シート
本発明の樹脂シートは、少なくとも基材シート上に透明性樹脂層を有する樹脂シートであって、(1)前記透明性樹脂層は、ホスフィン酸金属塩系難燃剤を含有し、(2)前記基材シートは、水酸化マグネシウムを含有し、(3)前記透明性樹脂層、及び、前記基材シートは、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする。上記特徴を有する本発明の樹脂シートは、少なくとも基材シート上に透明性樹脂層を有する層構成において、上記(1)及び(2)の構成を備えることにより、難燃性、及び、火の燃え広がり難さの両方に優れている。また、本発明の樹脂シートは、更に(3)の構成を備えることにより、透明性樹脂層に含まれる樹脂と、当該透明性樹脂層に含まれる難燃剤との親和性に優れ、曲げ白化が抑制されている。
本発明の樹脂シートは、少なくとも基材シート上に透明性樹脂層を有しており、上記(1)~(3)の要件を満たす限り、層構成については限定されない。本発明の樹脂シートの層構成の一例としては、例えば、基材シート上に、少なくとも絵柄模様層、及び透明性樹脂層をこの順に有する層構成が挙げられる。また、図1に示すように、基材シート12、絵柄模様層13(ベタインキ層及び/又は柄インキ層)、接着剤層(図示せず)、透明性樹脂層14、及び表面保護層15を順に有する層構成であってもよい(ダブリング仕様の樹脂シート)。また、図示しないが、本発明の樹脂シートは、基材シートの透明性樹脂層とは反対側に、合成樹脂製バッカー層を有していてもよい。以下、かかる層構成の樹脂シートを代表例として具体的に説明する。
(基材シート)
本発明の樹脂シートにおいて、基材シートは水酸化マグネシウムを含有する。
水酸化マグネシウムとしては特に限定されず、粒子状のものを用いることができる。水酸化マグネシウムの粒子の形状は特に限定されず、球状、フレーク状、針状等であってもよく、球状のものを好適に用いることができる。
水酸化マグネシウムは、基材シートに含まれる樹脂との親和性がより一層向上する点で、脂肪酸、シランカップリング剤等で表面処理されていてもよい。これらの中でも、脂肪酸で表面処理されたものが好ましい。
水酸化マグネシウムとしては、市販品を用いることができる。水酸化マグネシウムの市販品としては、例えば、マグシーズN、マグシーズS、マグシーズEP、マグシーズW等(神島化学工業株式会社製)、ECOMAG等(タテホ化学工業株式会社製)、キスマ5、キスマ8等(協和化学工業株式会社製)を用いることができ、これらの中でもマグシーズN(マグシーズN-6)(商品名、神島化学工業株式会社製)を好適に用いることができる。
水酸化マグネシウムの平均粒子径は、0.1~5μmが好ましく、0.1~1μmがより好ましい。平均粒子径の下限が上記範囲であることにより、基材シートへの分散性が向上し、難燃性がより一層向上する。下限を超える場合は樹脂との混練時に混練トルクが上昇し凝集しやすくなり分散性が低下する。また、平均粒子径の上限が上記範囲であることにより、樹脂シートの表面性が向上し、樹脂シート表面に形成する印刷絵柄等の意匠品質がより一層向上する。上限を超える場合は粒子及び粒子起因の凝集物がシート表面に生じやすく意匠品質が低下し易い。
基材シート中の水酸化マグネシウムの含有量は、基材シートを100質量%として10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。また、基材シート中の水酸化マグネシウムの含有量は、基材シートを100質量%として50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。水酸化マグネシウムの含有量の下限が上記範囲であることにより、樹脂シートの難燃性がより一層向上する。また、マグネシウムの含有量の上限が上記範囲であることにより、樹脂シートの成膜時の安定性(厚み、巾等)が確保できる。
基材シートは、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましく、樹脂シートの曲げ白化がより一層抑制される点で、オレフィン系熱可塑性エラストマーがより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、より具体的にはポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレンが好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエステル系熱可塑性樹脂を用いることができ、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4-シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET-G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレートが好ましい。
基材シートの厚みは、20~300μmが好ましく、40~200μmがより好ましい。基材シートは、必要に応じて着色されていてもよい。また、表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよいし、隣接する層との密着性を高めるための下地塗料であるプライマーが塗布されていてもよい。
(絵柄模様層)
絵柄模様層は、柄インキ層及び/又はベタインキ層から構成される。絵柄模様層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷法により形成できる。柄インキ層の模様は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様、草花模様、風景、キャラクター等が挙げられる。ベタインキ層は、着色インキのベタ印刷により得られる。絵柄模様層は、柄インキ層及びベタインキ層の片方又は両方から構成される。
絵柄模様層に用いるインキとしては、ビヒクルとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種又は2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものが使用できる。この中でも、環境問題、被印刷面との密着性等の観点より、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種又は2種以上の混合物が好ましい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、層厚は0.1~10μm程度である。
(透明性接着剤層)
透明性接着剤層は、必要に応じて絵柄模様層と透明性樹脂層との間に設けられる。透明性接着剤層は、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤を塗布・乾燥させることにより得られる。
透明性接着剤層は、乾燥後の厚みが0.1~30μm程度が好ましく、1~5μm程度がより好ましい。
(透明性樹脂層)
本発明の樹脂シートにおいて、透明性樹脂層は、ホスフィン酸金属塩系難燃剤を含有する。
ホスフィン酸金属塩系難燃剤としては、ホスフィン酸金属塩及び/又はジホスフィン酸金属塩(以下、「ホスフィン酸金属塩」とも示す。)が挙げられる。
ホスフィン酸金属塩としては、例えば、下記一般式(1):
Figure 2022151481000001
で表される化合物が挙げられる。
ジホスフィン酸金属塩としては、例えば、下記一般式(2):
Figure 2022151481000002
で表される化合物が挙げられる。
一般式(1)及び(2)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、及び炭素数7~20のアリールアルキル基からなる群から選択される。Rは、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数6~10のアリーレン基、炭素数7~20のアルキルアリーレン基、及び炭素数7~20のアリールアルキレン基からなる群から選択される。Mはカルシウム(イオン)、マグネシウム(イオン)、アルミニウム(イオン)及び亜鉛(イオン)からなる群から選択される少なくとも1種の金属、mは2又は3であり、nは1又は3であり、xは1又は2である。
例えば上記一般式(1)において、mが2の場合、ホスフィン酸金属塩は、下記一般式(1-1)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2022151481000003
また、例えば上記一般式(1)において、mが3の場合、ホスフィン酸金属塩は、下記一般式(1-2)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2022151481000004
また、例えば上記一般式(2)において、mが2、nが1、xが1の場合、ジホスフィン酸金属塩は、下記一般式(2-1)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2022151481000005
また、例えば上記一般式(2)において、mが3、nが3、xが2の場合、ジホスフィン酸金属塩は、下記一般式(2-2)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2022151481000006
上記のアルキル基としては、直鎖又は分岐状飽和脂肪族基が挙げられる。上記のアリール基としては、無置換又は種々の置換基で置換された炭素数6~20の芳香族基を挙げることができる。かかる具体例として、フェニル基、ベンジル基、o-トルイル基、2,3-キシリル基等が挙げられる。
上記のホスフィン酸金属塩としては、欧州特許出願公開第699708号公報や特開平8-73720号公報等に記載されているように、ホスフィン酸と金属炭酸塩、金属水酸化物又は金属酸化物などの金属成分とを用いて、水溶液中で製造することができる。これらは、本質的にモノマー性化合物であるが、反応条件に依存して、環境によっては縮合度が1~3のポリマー性ホスフィン酸金属塩も含まれる。
ホスフィン酸金属塩を形成するホスフィン酸及びジホスフィン酸としては特に制限されず、例えば、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル-n-プロピルホスフィン酸、メタンジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン-1,4-ジ(メチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸等が挙げられる。
ホスフィン酸金属塩を形成する金属成分としては特に限定されず、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン等が挙げられる。
ホスフィン酸金属塩としては特に限定されず、例えば、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ホスフィン酸亜鉛、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル-n-プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル-n-プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル-n-プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル-n-プロピルホスフィン酸亜鉛、メチレンビス(メチルホスフィン酸)カルシウム、メチレンビス(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メチレンビス(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メチレンビス(メチルホスフィン酸)亜鉛、フェニレン-1,4-ビス(メチルホスフィン酸)カルシウム、フェニレン-1,4-ビス(メチルホスフィン酸)マグネシウム、フェニレン-1,4-ビス(メチルホスフィン酸)アルミニウム、フェニレン-1,4-ビス(メチルホスフィン酸)亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、及びジフェニルホスフィン酸亜鉛が挙げられる。これらの中でも、難燃性により一層優れる点で、ホスフィン酸アルミニウム、及び、ホスフィン酸亜鉛が好ましく、ホスフィン酸アルミニウムがより好ましい。
上記ホスフィン酸金属塩系難燃剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
透明性樹脂層中のホスフィン酸金属塩系難燃剤の含有量は、透明性樹脂層を100質量%として、5質量%以上が好ましく、6質量%以上がより好ましい。また、透明性樹脂層中のホスフィン酸金属塩系難燃剤の含有量は、透明性樹脂層を100質量%として、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が特に好ましい。ホスフィン酸金属塩系難燃剤の含有量の下限が上記範囲であることにより、樹脂シートの難燃性及び火の燃え広がり難さがより一層向上する。また、ホスフィン酸金属塩系難燃剤の含有量の上限が上記範囲であることにより、樹脂シートの曲げ白化がより一層抑制される。
透明性樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましく、樹脂シートの曲げ白化がより一層抑制される点で、オレフィン系熱可塑性エラストマーがより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、より具体的にはポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレンが好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエステル系熱可塑性樹脂を用いることができ、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4-シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET-G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレートが好ましい。
透明性樹脂層は、透明性を有する限り、着色されていてもよい。この場合は、熱可塑性樹脂に着色剤を添加すればよい。着色剤としては、絵柄模様層で用いる顔料又は染料が使用できる。
透明性樹脂層には、充填剤、艶消し剤、発泡剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えば、ゴム)等の各種の添加剤を含めてもよい。
充填剤は、透明性樹脂層の透明性を損なわなければ特に限定されず、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー等の無機フィラーが挙げられる。
充填剤は、透明性樹脂層に限定されず、透明性樹脂層及び/又は基材シートに含有されていてもよい。
透明性樹脂層は、更に、表面に極性基を有する無機フィラーを含有することが好ましい。ホスフィン酸金属塩系難燃剤を含有する透明性樹脂層が、表面に極性基を有する無機フィラーを含有することにより、樹脂シートの難燃性、及び、火の燃え広がり難さがより一層向上する。これは、ホスフィン酸金属塩系難燃剤の極性部が極性基を有する無機フィラーの表面の極性基に引き付けられ、表面にホスフィン酸金属塩系難燃剤が存在することにより、分散性が向上するためであると考えられる。表面に極性基を有する無機フィラーとしては、親水性無機フィラーを用いることができ、例えば、表面にシラノール基等の水酸基を有する無機フィラーが挙げられ、より具体的には、親水性シリカを用いることができる。
充填剤として用いられるシリカは、天然品、合成品のいずれであってもよく、結晶性、非晶質性のいずれであってもよい。また、合成非晶質シリカは、湿式法、乾式法のいずれの方法により調製されたものであってもよい。湿式法により調製される合成湿式法シリカを調製する方法としては特に限定されず、沈降法、ゲル法等が挙げられる。乾式法により調製される合成乾式法シリカを調製する方法としては特に限定されず、燃焼法、アーク法等が挙げられる。シリカは、樹脂シートの鮮鋭性がより一層向上する点から平均粒子径の小さいシリカが好ましく、燃焼法により得られるフュームドシリカ、親水性フュームドシリカがより好ましい。
親水性フュームドシリカ等の充填剤のBET比表面積は、50m/g以上が好ましく、130m/g以上がより好ましく、200m/g以上が更に好ましい。充填剤のBET比表面積の下限が上記範囲であることにより、平均粒子径が小さく、親水性フュームドシリカの場合はシラノール量が増加するため、充填剤を添加することによる透明性樹脂層の透明性の低下がより一層抑制され、且つ、ホスフィン酸金属塩系難燃剤の分散性がより一層向上し、樹脂シートの鮮鋭性及び難燃性がより一層向上する。また、充填剤のBET比表面積の下限が上記範囲であることにより、樹脂シートの難燃性が向上し、ホスフィン酸金属塩系難燃剤の含有量を減少させることが可能となる。
本明細書において、BET比表面積は、DIN66131に準拠した測定方法により、窒素吸着法により測定されるBET比表面積である。
充填剤として用いられる親水性フュームドシリカは、市販品を使用することができる。このような市販品としては、例えば、日本アエロジル社製 AEROSIL 50、AEROSIL 130、AEROSIL 200、AEROSIL 300、AEROSIL 380等が挙げられる。
透明性樹脂層がホスフィン酸金属塩系難燃剤及び充填剤を含有する場合、透明性樹脂層中の充填剤の含有量は、透明性樹脂層中のホスフィン酸金属塩系難燃剤の含有量を100質量部として、50質量部以上が好ましく、100質量部以上がより好ましく、200質量部以上が更に好ましい。透明性樹脂層中の充填剤の含有量の下限が上記範囲であることにより、樹脂シートの鮮鋭性がより一層向上する。また、透明性樹脂層中の充填剤の含有量は、透明性樹脂層中の樹脂成分を100質量部として、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。
透明性樹脂層の厚みは、60μm以上が好ましく、80μm以上がより好ましい。また、透明性樹脂層の厚みは、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。透明性樹脂層の厚みの下限が上記範囲であることにより、樹脂シートの耐傷性及び耐摩耗性がより一層向上する。また、透明性樹脂層の厚みの上限が上記範囲であることにより、樹脂シートの火の燃え広がり難さがより一層向上する。
透明性樹脂層の表面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
透明性樹脂層の表面には、プライマー層(表面保護層の形成を容易とするためのプライマー層)が形成されていてもよい。
プライマー層は、公知のプライマー剤を透明性樹脂層に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.1~10μm、好ましくは1~5μm程度である。
(表面保護層)
本発明の樹脂シートは、表面保護層(透明性表面保護層)を有していてもよい。表面保護層は、樹脂シートに要求される耐擦傷性、耐摩耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性を付与するために設けられる。
本発明の樹脂シートは、最表面等の、透明性樹脂層の基材シートとは反対側に表面保護層を有することが好ましい。最表面に表面保護層を有することにより、後述するように表面保護層が硬化型樹脂の少なくとも1種を含むこととあいまって、火災等の際の表面保護層よりも下の層の樹脂分解による燃焼ガスの発生を表面保護層が遅延させ、火の燃え広がり難さががより一層向上する。
表面保護層を形成する樹脂としては、熱硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましい。特に、電離放射線硬化型樹脂は高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。更に、耐候性をより一層向上させることができる観点から、電子線硬化型樹脂が最も好ましい。また、上述のように火災等の際の表面保護層よりも下の層の樹脂分解による燃焼ガスの発生を遅延させる観点から、硬化型樹脂の中でも架橋密度が高い硬化型樹脂である電離放射線硬化型樹脂が好ましく、電子線硬化型樹脂がより好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。溶液の塗布量としては、固形分で概ね5~50μm、好ましくは5~40μm程度である。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線、電子線が好ましく、電子線がより好ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190~380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100~1000keV程度が好ましく、100~300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、20~150KGy程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイド、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル-N,N-ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1~10質量部程度である。
電離放射線硬化型樹脂で保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂の溶液をグラビアコート法、ロールコート法等の塗布法で塗布すればよい。溶液の塗布量としては、固形分として概ね10~50μm、好ましくは15~40μm程度である。
表面保護層の厚みは4μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましく、12μm以上が特に好ましい。また、表面保護層の厚みは50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、20μm以下が特に好ましい。表面保護層の厚みの下限が上記範囲であることにより、樹脂シートの耐傷性及び耐摩耗性がより一層向上する。また、表面保護層の厚みの上限が上記範囲であることにより、樹脂シートの難燃性がより一層向上し、且つ、適度な剛性が得られ、樹脂シートの取扱い性が向上する。
なお、本明細書において、表面保護層の厚みは、図1においてtsとして示されるように、微粒子16が表面保護層の表面から頭出ししている場合には、当該頭出しした微粒子16以外の箇所を表面保護層の表面として測定する。また、図1のように、樹脂シートにエンボス加工により凹凸形状が形成されている場合は、凹凸形状以外の箇所において表面保護層の厚みを測定する。
表面保護層に耐擦傷性、耐摩耗性をさらに付与する場合や、艶を低減させる場合には、図1に示すように、微粒子16を配合すればよい。微粒子としては、無機充填材、有機充填剤等が挙げられる。無機充填材としては、例えば、雲母、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイアモンド、金剛砂、ガラス繊維等が挙げられる。また、有機充填剤としては、例えば、アクリルビース、セルロース等が挙げられる。
微粒子の平均粒子径は特に限定されず、表面保護層に耐擦傷性、耐摩耗性をさらに付与する場合は、表面保護層の厚みよりも大きいことが好ましい。微粒子の平均粒子径が表面保護層の厚みよりも大きいことにより、微粒子の頭出しにより樹脂シートの耐擦傷性及び耐摩耗性がより一層向上する。表面保護層に耐擦傷性、耐摩耗性をさらに付与するための微粒子の平均粒子径は、15μmを超え、50μm以下が好ましく、16~35μmがより好しく、16~20μmが最も好ましい。
表面保護層の艶を低減させる艶消し剤として用いる微粒子の平均粒子径は、3~15μmが好ましく、4~15μmがより好ましく、8~15μmが最も好ましい。艶消し剤として用いる微粒子の平均粒子径が上記範囲であることにより、表面保護層の艶をより一層低減することができる。
また、表面保護層に耐擦傷性を付与する場合には、更に平均粒子径が小さい微粒子を用いてもよい。表面保護層に耐擦傷性を付与するための微粒子の平均粒子径は、1~5μmが好ましく、3~5μmがより好ましく、3~4μmが更に好ましい。表面保護層に耐擦傷性を付与するための微粒子の平均粒子径が上記範囲であることにより、表面保護層の硬さがより一層硬くなり、表面保護層の耐擦傷性がより一層向上する。
本明細書において、微粒子の平均粒子径は、モード径である。なお、モード径とは、粒子径分布の極大値を示す粒子径であり、出現比率が最も大きい粒子径である。
無機充填材の添加量としては、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して1~80質量部程度である。
表面保護層は、上記ホスフィン酸金属塩系難燃剤を含有することが好ましい。表面保護層が上記ホスフィン酸金属塩系難燃剤を含有することにより、本発明の樹脂シートの表面から加わる熱に対して、チャー形成、燃焼ガスの捕捉により難燃性をより一層向上させることができる。
表面保護層中の上記ホスフィン酸金属塩系難燃剤の含有量は、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して1~20質量部が好ましく、3~10質量部がより好ましい。
以上説明した各層の積層は、例えば、基材シートの一方の面に絵柄模様層(ベタインキ層、柄インキ層)を印刷により形成後、絵柄模様層上に2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤を介して透明性樹脂層をドライラミネーション法、Tダイ押出しラミネート法等で積層し、さらに表面保護層を形成する方法により行うことができる。
樹脂シートの総厚みは110μm以上が好ましく、120μm以上がより好ましい。また、樹脂シートの総厚みは400μm以下が好ましく、250μm以下がより好ましい。樹脂シートの総厚みの下限が上記範囲であることにより、樹脂シートの耐傷性及び耐摩耗性がより一層向上する。また、樹脂シートの総厚みの上限が上記範囲であることにより、樹脂シートの火の燃え広がり難さがより一層向上する。
なお、本明細書において、樹脂シートの総厚みは、図1においてtdとして示されるように、微粒子16が表面保護層の表面から頭出ししている場合には、当該頭出しした微粒子16以外の箇所を樹脂シートの表面として測定する。また、図1のように、樹脂シートにエンボス加工により凹凸形状が形成されている場合は、凹凸形状以外の箇所において樹脂シートの総厚みを測定する。
樹脂シートには、透明性樹脂層側(樹脂シートの上側)からエンボス加工を施すことにより凹凸形状(エンボス形状)を形成してもよい。例えば、本発明の樹脂シートは、透明性樹脂層の基材シートとは反対側に凹凸形状を有していてもよい。凹凸形状は、加熱プレス、ヘアライン加工等により形成できる。凹凸形状としては、木目導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が挙げられる。
(合成樹脂製バッカー層)
上記樹脂シート及び化粧シートは、難燃性を阻害しない範囲で合成樹脂製バッカー層を有していてもよい。合成樹脂製バッカー層を有することにより、上記樹脂シート及び化粧シートの耐衝撃性がより一層向上する。
合成樹脂製バッカー層を構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4-シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET-G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS等が挙げられる。これらの樹脂は単独又は2種以上で使用できる。
合成樹脂製バッカー層は透明性樹脂層と同様に、着色されていてもよい。この場合は、合成樹脂に着色剤を添加すればよい。着色剤としては、絵柄模様層で用いる顔料又は染料が使用できる。
また合成樹脂製バッカーは透明性樹脂層と同様に、充填剤、艶消し剤、発泡剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えば、ゴム)、難燃剤等の各種の添加剤を含めてもよい。
充填剤としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー等の無機フィラーが挙げられる。
難燃剤としては、特に限定されず、無機系や有機系を問わず使用することが可能である。
合成樹脂製バッカー層の厚みは、0.1~0.6mmが好ましく、0.15~0.45mmがより好ましく、0.20~0.40mmが更に好ましい。合成樹脂製バッカー層の厚みの下限が上記範囲であることにより、樹脂シート及び化粧シートの耐衝撃性がより一層向上する。また、合成樹脂製バッカー層の厚みの上限が上記範囲であることにより、樹脂シート及び化粧シートの反りがより一層抑制される。
本発明の樹脂シートの上述の各層に添加される各種添加剤(基材シートが含有する水酸化マグネシウム、透明性樹脂層が含有するホスフィン酸金属塩系難燃剤等)は、当該各種添加剤がベシクル化されていることが好ましい。各種添加剤をベシクル化する方法としては特に限定されず、公知の方法によりベシクル化することができ、中でも超臨界逆相蒸発法が好ましい。
以下、超臨界逆相蒸発法について詳細に説明する。超臨界逆相蒸発法とは、超臨界状態又は超臨界点以上の温度若しくは圧力条件下の二酸化炭素にベシクルの外膜を形成する物質を均一に溶解させた混合物中に、水溶性または親水性の封入物質としての各種添加剤を含む水相を加えて、一層の膜で封入物質としての各種添加剤を包含したカプセル状のベシクルを形成する方法である。なお、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)および臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度若しくは圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度のみ、又は、臨界圧力のみが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味する。当該方法により、直径50~800nmの単層ラメラベシクルを得ることができる。一般に、ベシクルとは、球殻状に閉じた膜構造を有する小胞の内部に液相を含むものの総称であり、特に、外膜がリン脂質等の生体脂質から構成されるものをリポソームと称する。
上記リン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、黄卵レシチン、水添黄卵レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質が挙げられる。
外膜を構成する物質としては、また、ノニオン系界面活性剤や、これとコレステロール類若しくはトリアシルグリセロールの混合物等の分散剤を用いることができる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリグリセリンエーテル、ジアルキルグリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリブタジエン-ポリオキシエチレン共重合体、ポリブタジエン-ポリ2-ビニルピリジン、ポリスチレン-ポリアクリル酸共重合体、ポリエチレンオキシド-ポリエチルエチレン共重合体、ポリオキシエチレン-ポリカプロラクタム共重合体等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記コレステロール類としては、コレステロール、α-コレスタノール、β-コレスタノール、コレスタン、デスモステロール(5,24-コレスタジエン-3β-オール)、コール酸ナトリウム、コレカルシフェロール等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記リポソームの外膜は、リン脂質と分散剤との混合物から形成されていてもよい。本発明の樹脂シートにおいては、外膜をリン脂質から形成したリポソームとすることで、各層の主成分である樹脂組成物と各種添加剤との相溶性を良好なものとすることができる。
(NOR型ヒンダードアミン化合物)
本発明の樹脂シートは、透明性樹脂層及び/又は基材シートに、NOR型ヒンダードアミン化合物を含有することが好ましい。NOR型ヒンダードアミン化合物は、燃焼時に有機物から発生するラジカルをトラップして燃焼を継続し難くすることができるため、上記熱可塑性樹脂層のうち少なくとも1層がヒンダードアミン化合物を含有することで、ISO5660-1に準拠する発熱性試験において、発熱量をより一層低下させることができる。本発明の樹脂シートは、上述の効果がより一層向上する観点から、ホスフィン酸金属塩系難燃剤及びNOR型ヒンダードアミン化合物が同一の層に含まれている構成、すなわち、透明性樹脂層に含まれている構成であることがより好ましい。
NOR型ヒンダードアミン化合物として、例えば、下記一般式(3)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2022151481000007
一般式(3)中、R~Rはそれぞれ水素原子又は下記一般式(4)の有機基を表す。R~Rの少なくとも1つは下記一般式(4)の有機基である。
Figure 2022151481000008
一般式(4)中、Rは炭素数1~17のアルキル基、炭素数5~10のシクロアルキル基、フェニル基又は炭素数7~15のフェニルアルキル基を表し、R10、R11、R12及びR13はそれぞれ炭素数1~4からなるアルキル基を表す。R14は水素原子、又は炭素数1~12の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基を表す。
である炭素数1~17のアルキル基は、メチル基又はオクチル基が好ましい。また、炭素数5~10のシクロアルキル基は、シクロヘキシル基が好ましい。また、フェニル基又は炭素数7~15のフェニルアルキル基は、フェニル基が好ましい。R10~R13である炭素数1~4からなるアルキル基は、メチル基が好ましい。R14である炭素数1~12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基は、n-ブチル基が好ましい。
一般式(3)中、R、R、及びRが一般式(4)の有機基であるもの、又はR、R、及びRが一般式(4)の有機基であるものが好ましい。
NOR型ヒンダードアミン化合物として、具体的には、N,N’,N’’’-トリス{2,4-ビス[(1-ヒドロカルビオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アルキルアミノ]-s-トリアジン-6-イル}-3,3’-エチレンジイミノジプロピルアミン、N,N’,N’’-トリス{2,4-ビス[(1-ヒドロカルビオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アルキルアミノ]-s-トリアジン-6-イル}-3,3’-エチレンジイミノジプロピルアミン及びその架橋型誘導体、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジペート、ビス(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジペート、及びビス(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、及び1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル-オクタデカノエート等が挙げられる。
NOR型ヒンダードアミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
NOR型ヒンダードアミン化合物を含有する熱可塑性樹脂層の各層におけるNOR型ヒンダードアミン化合物の含有量は、当該NOR型ヒンダードアミン化合物を含有する層を100質量%として0.2~5質量%が好ましく、0.5~3質量%がより好ましい。
本発明の樹脂シートは、上述の構成であるので、熱伝導率が低い基材上に積層した場合であっても火が燃え広がり難い。このため、熱伝導率が0.1W/(m・K)未満の基材上に積層するための樹脂シートとして用いることができ、当該基材上に積層した場合であっても火が燃え広がり難い。このため、本発明の樹脂シートは、化粧シートとして好適に用いることができ、特に内装材用化粧シート、床用化粧シートとして好適に用いることができる。
2.化粧板
本発明の化粧板は、基材上に、上記樹脂シートを有する化粧板である。
(樹脂シート)
本発明の化粧板を構成する樹脂シートとしては、上記に説明した本発明の樹脂シートを用いることができる。
(基材)
基材の材質としては特に限定されず、亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム板等の金属板等の無機系基材を用いてもよいし、合成樹脂に無機物等の充填剤を含有する樹脂系基材を用いてもよい。例えば、図2のように、床用化粧板等の化粧板に通常用いられる木質板21上に、上記範囲の熱伝導率を示す材質の表面材22を積層した木質基材を用いてもよい。また、図3に、図2の基材を用いた本発明の化粧板の層構成の一例を示す。図3では、基材2の表面材22と、樹脂シート1の基材シート12とが貼り合わされて、基材2上に樹脂シート1が積層されて、化粧板が形成されている。
表面材としては特に限定されず、例えば、コルク、キリ、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)等が挙げられ、更にこれらを組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、化粧板に保温性、クッション性を付与することができる点で、コルクが好適に用いられる。すなわち、上記基材は、樹脂シート側にコルク層を有することが好ましい。
表面材の厚みは特に限定されず、1.0~5.0mmが好ましく、1.0~2.5mmがより好ましい。
木質板としては特に限定されず、例えば、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)、合板等が挙げられる。これらの中でも、合板が好適に用いられる。
木質板の厚みは特に限定されず、4.0~15.0mmが好ましく、5.0~10.0mmがより好ましい。
表面材と木質板とを積層する方法としては特に限定されず、接着剤により積層する等の従来公知の方法により積層することができる。接着剤としては特に限定されず、公知の木工用接着剤が広く使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ウレタン、アクリル、アクリルウレタン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン-アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。また、熱硬化型接着剤として、メラミン系、フェノール系、ユリア系(酢酸ビニル-尿素系など)等の接着剤が挙げられる。
本発明の化粧板を構成する基材は、樹脂シートを貼着する側の熱伝導率が0.1W/(m・K)未満であってもよい。なお、本明細書において、基材の熱伝導率は、以下の測定方法により測定される熱伝導率である。
(基材の熱伝導率の測定方法)
基材の樹脂シートを貼着する側の層を形成する材料を直径40mmサイズの円形に切り出して、測定用試料を作製する。当該測定用試料を厚み方向に積み上げて、厚みが15mmを超えるように、偶数枚積層する。次いで、積層した測定用試料の半分の枚数のところにセンサーを挟み、ISO 22007-2:2008に準拠して、ホットディスク法により熱伝導率を測定する。なお、測定用試料を積層した際に、隣接する測定用試料との間に含まれる空気層については無視できるものとする。
熱伝導率の測定方法の一例を示す。測定用試料として、直径40mm、厚みが1.5mmのコルクを用意し、測定用試料とする。測定用試料を積層した際に厚みの合計が15mmを超えるように、測定用試料を30枚積層する。これにより、45mmの積層体となる。次いで、積層体の厚みの半分の位置である15枚目と16枚目の測定用試料の間(22.5mmの位置)にセンサーを挟み、ISO 22007-2:2008に準拠して、ホットディスク法により熱伝導率を測定する。
また、厚みが2.0mmのコルクを測定用試料とする場合は、20枚積み上げると積層体の厚みが40mmとなるので、10枚目と20枚目の測定用試料の間にセンサーを挟めばよい。
また、厚みが1.0mmのコルクを測定用試料とする場合は、40枚積み上げると積層体の厚みが40mmとなるので、20枚目と21枚目の測定用試料の間にセンサーを挟めばよい。
基材のおもて面に樹脂シートを積層する方法としては特に限定されず、基材のおもて面に接着剤層を形成して樹脂シートを積層する等の従来公知の方法により積層することができる。
接着剤層の厚みは特に限定されず、乾燥後の厚みが0.1~100μmが好ましく、0.1~30μmがより好ましく、1~20μmが更に好ましい。
接着剤層で使用される接着剤としては、水溶性エマルション系接着剤、ポリエステル系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤等が挙げられる。接着剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の化粧板は、上述の構成であるので、難燃性に優れており、且つ、高い鮮鋭性を示すことができる。このため、本発明の化粧板は、内装材用化粧板、特に、床用化粧板として好適に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
(樹脂シートの製造)
基材シートとして、水酸化マグネシウム(製品名;マグシーズN-6(神島化学工業株式会社製))を10質量%含有する60μm厚の不透明着色ポリプロピレンフィルムを用意した。次いで、当該基材シートの両面にコロナ放電処理を施した後、当該基材シート裏面に2液硬化型ウレタン樹脂のプライマー層(厚み2μm)を形成し、当該基材シートのおもて面にアクリルウレタン系樹脂含有硬化型印刷インキでグラビア印刷法により、絵柄模様層を形成した。さらに、当該絵柄模様層の上に2液硬化型ウレタン樹脂の接着剤を塗布することにより、透明性の接着剤層を形成した。さらに、接着剤層上に、Tダイ押出し機で、以下に示すホスフィン酸金属塩系難燃剤を含有する透明性オレフィン系熱可塑性エラストマーを加熱溶融押出しして熱可塑性の透明性樹脂層(厚み80μm)を形成した。
・透明性オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂:93質量%
・ホスフィン酸アルミニウム難燃剤(製品名;Exolit OP-945(クラリアントジャパン株式会社製)):7質量%
次いで、透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、当該透明性樹脂層上に2液硬化型ウレタン樹脂のプライマー層(厚み2μm)を形成した。さらに、当該プライマー層上にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電子線硬化型樹脂組成物をグラビアコート法により、塗布及び乾燥した後、加速電圧165keV及び吸収線量50kGyの条件で電子線を照射することにより、厚みが15μmとなるように表面保護層を形成した。
次いで、表面保護層側を赤外線非接触方式のヒーターで加熱し、基材シート及び透明性樹脂層を柔らかくした後、直ちに表面保護層側から熱圧によるエンボス加工を行うことで凹凸形状を賦形した。以上の製造方法により、実施例1の樹脂シートを製造した。
(化粧板Aの製造)
上述のようにして製造した樹脂シートの基材シート側の面と、厚みが0.4mmの亜鉛メッキ鋼板である金属系基材とを、2液硬化型ポリエステル系接着剤を用いて貼り合わせ(接着剤塗布量10g/m)、25℃で10kgf/mの圧力を掛け3日間養生し、所望の化粧板Aを得た。
(化粧板Bの製造)
厚みが7.5mmの合板上に、厚みが1.5mmのコルクシートを接着剤を用いて貼り合わせて、木質基材を調製した。
次いで、木質基材のコルクシート側の表面に、2液硬化型水溶性エマルション系接着剤を介して樹脂シートの基材シート側の面を貼り合わせた。2液硬化型水溶性エマルション系接着剤の塗布量は、130g/mであった。
次いで、25℃で10kgf/mの圧力を掛け3日間養生し、所望の化粧板Bを得た。
実施例2及び3、比較例1~6
透明性樹脂層及び基材シートを構成する樹脂組成物の成分及びその含有量、並びにそれぞれの層の厚み等を表1に示すように変更する以外は、実施例1と同様にして、表1に示す樹脂シート及び化粧板を作製した。
(評価)
上述のようにして製造された実施例及び比較例の樹脂シート及び化粧板について、以下の方法により評価を行った。
(1)発熱性試験
ISO5660-1に準拠した測定方法により、コーンカロリーメーターを用い、燃焼時間20分の条件で燃焼試験を行い、化粧板Aの総発熱量及び最大発熱速度を測定した。下記評価基準に従って評価した。なお、総発熱量及び最大発熱量の両方の評価が+以上であれば実使用において問題ないと評価される。
[総発熱量]
+++:5.20MJ/m2未満
++ :5.20MJ/m2以上5.38 MJ/m2未満
+ :5.38MJ/m2以上5.55MJ/m2未満
- :5.55MJ/m2以上
[最大発熱速度]
+++:133.93KW/m2未満
++ :133.93KW/m2以上153.92KW/m2未満
+ :153.92KW/m2以上173.93KW/m2未満
- :173.93KW/m2以上
(2)水平燃焼性(火の燃え広がり難さ)
化粧板Bを9cm×30cmの大きさに切り出し、試験片とした。図4及び図5のように、市販の家庭用ヒーター101(ザイグルハンサム SJ-100(商品名))の台102の上に金属製の長方形の台103を置き、台の上に設置した金属製の枠104内に試験片105を置いて、ヒーター角45°、ヒーター出力ダイヤル4の条件で火の燃え広がり難さの試験を行った。詳細には、試験片を上記家庭用ヒーターを用いて2分間予熱した。次いで、図4のように、試験片の長手方向のヒーター側の端部106にライター107で1分間加熱して着火して、図5のように試験片105の長手方向に延焼させた。次いで、延焼状態を目視で観察し、以下のように燃焼距離(L1)、及び、燃焼継続時間を評価した。
[燃焼距離(L1)]
試験片に着火してライターの火を除いた、初期着火からの延焼進行距離を測定して延焼距離(L1)とし、下記評価基準に従って評価した。なお、+評価以上であれば、実使用において問題ないと評価される。
++:L1が5cm未満である
+ :L1が5cm以上10cm未満である
- :L1が10cm以上である
[燃焼継続時間]
試験片に着火してライターの火を除いた、初期着火から自己消火する迄の燃焼継続時間を測定し、下記評価基準に従って評価した。なお、+評価以上であれば、実使用において問題ないと評価される。
+++:燃焼継続時間が100秒未満であるか、又は、着火しない
++ :燃焼継続時間が100秒以上300秒未満である
+ :燃焼継続時間が300秒以上600秒未満である
- :燃焼継続時間が600秒以上である(600秒で自己消火しない)
(3)曲げ白化性
化粧板Aを用いて、図6に示す方法により90°V曲げ加工を行った。具体的には、(a)に示すように、化粧板Aの樹脂シート1側がV溝形状のダイス(受け金型)201側の面となるにしてダイス201上に化粧板Aを置いた。次いで、(b)に示すように、鋼板202側から、先端R=2mmの押し込み金型203を押し込み、90°曲げプレスを行った。なお、曲げ加工の装置は、片腕ネジプレス100貫(株式会社盛光製)を用いた。(c)に示すように、樹脂シートの曲げ部1aの面に白化が生じていないかを、目視又はポケットマイクロスコープ(倍率25)により観察した。観察は、樹脂シートの表面保護層側から行い、透明性樹脂層の外観(割れて白化しているか否か)の観点、及び、透明性樹脂層の下に存在する絵柄模様層の視認性の観点から行った。下記評価基準に従って評価した。なお、+評価以上であれば、実使用において問題ないと評価される。
++:白化が見られず、絵柄模様層の柄の意匠が鮮明に視認可能である
+ :若干軽微白化が見られるが、絵柄模様層の柄の意匠が視認可能である
- :白化が大きく、絵柄模様層の柄の意匠が視認できない
結果を表1に示す。なお、表1において、透明性樹脂層の配合の欄の「-」は、透明性樹脂層がホスフィン酸金属塩系難燃剤を含有していないことを示しており、基材シートの配合の欄の「-」は、基材シートが水酸化マグネシウムを含有していないことを示している。
Figure 2022151481000009
1.樹脂シート
12.基材シート
13.絵柄模様層
14.透明性樹脂層
15.表面保護層
16.微粒子
2.被着材
21.木質板
22.表面材
101.家庭用ヒーター
102.家庭用ヒーターの台
103.金属製の長方形の台
104.金属製の枠
105.試験片
106.試験片の長手方向のヒーター側の端部
107.ライター
L1.燃焼距離
201.ダイス(受け金型)
202.亜鉛メッキ鋼板
203.押し込み金型

Claims (10)

  1. 少なくとも基材シート上に透明性樹脂層を有する樹脂シートであって、
    (1)前記透明性樹脂層は、ホスフィン酸金属塩系難燃剤を含有し、
    (2)前記基材シートは、水酸化マグネシウムを含有し、
    (3)前記透明性樹脂層、及び、前記基材シートは、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する、
    ことを特徴とする樹脂シート。
  2. 前記基材シート中の前記水酸化マグネシウムの含有量は、10質量%以上である、請求項1に記載の樹脂シート。
  3. 前記ホスフィン酸金属塩系難燃剤は、ホスフィン酸アルミニウム難燃剤である、請求項1又は2に記載の樹脂シート。
  4. 前記透明性樹脂層中の前記ホスフィン酸金属塩系難燃剤の含有量は、5質量%以上である、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂シート。
  5. 前記透明性樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂を含有し、前記ポリオレフィン系樹脂はオレフィン系熱可塑性エラストマーである、請求項1~4のいずれかに記載の樹脂シート。
  6. 前記基材シート上に、少なくとも絵柄模様層、及び、前記透明性樹脂層をこの順に有する、請求項1~5のいずれかに記載の樹脂シート。
  7. 前記透明性樹脂層の前記基材シートとは反対側に表面保護層を有する、請求項1~6のいずれかに記載の樹脂シート。
  8. 前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂層である、請求項7に記載の樹脂シート。
  9. 前記透明性樹脂層の前記基材シートとは反対側に凹凸形状を有する、請求項1~8のいずれかに記載の樹脂シート。
  10. 基材上に、請求項1~9のいずれかに記載の樹脂シートを有する化粧板。
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