JP2022150914A - カーボンナノチューブ及び熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

カーボンナノチューブ及び熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンナノチューブを含むにも関わらず、カーボンナノチューブを含まない場合と比較して、機械的強度が高い、熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】カーボンナノチューブ及び熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂組成物のカーボンナノチューブの含有率が、0.01質量%以上0.07質量%未満であり、前記カーボンナノチューブの平均外径が3.0nm以下であり、光学顕微鏡を用い、前記熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で10mm×10mmの範囲を観察した場合に、最大径が50μm以上の前記カーボンナノチューブの凝集物が観察されない、熱可塑性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明はカーボンナノチューブ及び熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物に関する。
従来、例えばICチップ、ハードディスク、シリコンウェハなど半導体部品、さらにはこれらを取り扱う部材(例えば、搬送トレー、ICソケット、コネクタ、ウェハピンセット)など、電気部品や電子部品は、静電気を帯びると電気破壊を起こす問題がある。
静電気による電気破壊を抑制した部材としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどの導電性材料を樹脂組成物に添加した制電性成形体が知られている。
例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂と、多重壁カーボンナノチューブと、補強材とを含む樹脂組成物を加工して得られる複合材であって、前記多重壁カーボンナノチューブの平均直径が10nm以上であり、前記多重壁カーボンナノチューブの壁を構成するグラフェンが10層以上であり、前記多重壁カーボンナノチューブのId/Ig比率が1以下であり、前記複合材内に残存するカーボンナノチューブは、下記の数式で定義される長さ残存率が40%以上の値を有する、複合材が開示されている。
長さ残存率(%)=(複合材内に残存するカーボンナノチューブのうち、長さが500nm以上であるカーボンナノチューブの含量)/(複合材内のカーボンナノチューブの含量)×100
特表2017-512847号公報
無機導電性材料を添加した熱可塑性樹脂組成物は、無機導電性材料を添加する前の熱可塑性樹脂と比較して、機械的強度が低下するという問題がある。
このような状況下、本発明は、カーボンナノチューブを含むにも関わらず、カーボンナノチューブを含まない場合と比較して、機械的強度が高い熱可塑性樹脂組成物を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、カーボンナノチューブ及び熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物において、所定の平均外径を有するカーボンナノチューブを用い、熱可塑性樹脂組成物の当該カーボンナノチューブの含有率を所定範囲に設定した上で、さらに、光学顕微鏡を用い、熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で10mm×10mmの範囲を観察した場合に、最大径が50μm以上のカーボンナノチューブの凝集物が観察されないように分散させることにより、得られた熱可塑性樹脂組成物は、カーボンナノチューブを含むにも関わらず、カーボンナノチューブを含まない場合と比較して、機械的強度が高いという予期せぬ知見を取得した。
本開示は、以上のような知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は以下のように記載することができる。
項1. カーボンナノチューブ及び熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
前記熱可塑性樹脂組成物のカーボンナノチューブの含有率が、0.01質量%以上0.07質量%未満であり、
前記カーボンナノチューブの平均外径が3.0nm以下であり、
光学顕微鏡を用い、前記熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で10mm×10mmの範囲を観察した場合に、最大径が50μm以上の前記カーボンナノチューブの凝集物が観察されない、熱可塑性樹脂組成物。
項2. 前記カーボンナノチューブは、共鳴ラマン散乱法で測定した、励起波長532nmにおけるラマンスペクトルにおいて、GバンドとDバンドのピーク強度比G/Dが30以上である、項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
項3. 前記カーボンナノチューブは、以下の測定方法によって測定されるカーボンナノチューブ分散液の粘度が2.0Pa・s以上である、項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
<粘度の測定方法>
カーボンナノチューブ40mgと、ポリカーボネート樹脂の濃度が10質量%のクロロホルム溶液200gとを混合し、濃度0.2質量%のカーボンナノチューブ分散液を調製する。レオメータを用い、30℃環境、せん断速度10s-1、コーンプレート:C60/2の条件で、前記カーボンナノチューブ分散液の粘度を測定する。
項4. 押出成形体である、項1~3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
項5. 電気部品又は電子部品である、項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
本発明によれば、カーボンナノチューブを含むにも関わらず、カーボンナノチューブを含まない場合と比較して、機械的強度が高い、熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
光学顕微鏡を用い、実施例1Aで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、実施例1Bで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、実施例1Cで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、比較例1で得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、比較例2Aで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、比較例2Bで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、比較例2Cで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、比較例2Dで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、比較例3Aで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、比較例3Bで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、比較例3Cで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、比較例3Dで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、比較例4Aで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、比較例4Bで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、比較例4Cで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 光学顕微鏡を用い、比較例4Dで得られた熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で観察して得られた画像である。 実施例1A~1C、及び比較例1で得られた熱可塑性樹脂組成物のMD方向の引張試験の結果を示すグラフである。 参考例1で得られた熱可塑性樹脂組成物のMD方向の引張試験の結果を示すグラフである。 参考例2で得られた熱可塑性樹脂組成物のMD方向の引張試験の結果を示すグラフである。 参考例3で得られた熱可塑性樹脂組成物のMD方向の引張試験の結果を示すグラフである。
1.熱可塑性樹脂組成物
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、カーボンナノチューブ及び熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物である。本発明の熱可塑性樹脂組成物のカーボンナノチューブの含有率は0.01質量%以上0.07質量%未満であり、カーボンナノチューブの平均外径は3.0nm以下である。さらに、光学顕微鏡を用い、本発明の熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で10mm×10mmの範囲を観察した場合に、最大径が50μm以上の前記カーボンナノチューブの凝集物が観察されない。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、これらの特徴を備えていることにより、カーボンナノチューブを含むにも関わらず、カーボンナノチューブを含まない場合と比較して、機械的強度が高いという特徴を発揮する。以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物について詳述する。
なお、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と上限値を選択し、「~」で結ぶことができるものとする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、カーボンナノチューブの由来(製造方法)は限定されず、本発明の効果を奏することを限度として、カーボンナノチューブは、いかなる製法で製造されたものであってもよい。カーボンナノチューブの製造方法としては、アーク放電法、レーザー蒸発法、化学気相成長法(CVD)法を例示することができ、化学気相成長法(CVD)法であることが好ましい。また、カーボンナノチューブの種類については、特に制限されず、単層カーボンナノチューブであってもよいし、2層カーボンナノチューブであってもよいし、多層カーボンナノチューブであってもよい。本発明の効果を好適に発揮する観点から、カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブであることが好ましい。本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれるカーボンナノチューブは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
カーボンナノチューブの平均外径は、3.0nm以下である。カーボンナノチューブの平均外径は、本発明の効果をより好適に奏する観点から、好ましくは2.5nm以下である。なお、カーボンナノチューブの平均外径は、例えば0.5nm以上、好ましくは1.0nm以上である。カーボンナノチューブの平均外径は、以下の方法により測定された値である。
<カーボンナノチューブの平均外径>
カーボンナノチューブの外径は、ラマン分光装置と透過型電子顕微鏡を使い分けて100本分の測定を行い、平均値を外径とすることができる。
また、カーボンナノチューブの長さは、特に限定されないが、本発明の効果をより好適に奏する観点から、下限については、例えば、0.001mm以上、0.03mm以上、0.06mmm以上、0.1mm以上、0.5mm以上、1.0mm以上、2.0mm以上、5.0mm以上、10mm以上、50mm以上などが挙げられ、また、上限については、例えば、100mm以下である。なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物において、カーボンナノチューブは、相互に凝集されて束になった状態(バンドル状態)で存在してこれらの長さになっていても良いし、単独でこれらの長さになっていてもよい。
また、本発明の効果をより好適に奏する観点から、カーボンナノチューブについて、共鳴ラマン散乱法で測定した、励起波長532nmにおけるラマンスペクトルにおいて、Gバンド(1590cm-1付近)とDバンド(1300cm-1付近)のピーク強度比G/Dは、好ましくは30以上、より好ましくは35以上である。当該ピーク強度比G/Dは、例えば200以下である。カーボンナノチューブのピーク強度比G/D比のが高いほど、カーボンナノチューブの構造における欠陥量が少ないことが示される。従って、上記範囲を満たす場合、光学顕微鏡を用い、熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で10mm×10mmの範囲を観察した場合に、最大径が50μm以上の前記カーボンナノチューブの凝集物が観察されない熱可塑性樹脂組成物を製造する観点で好ましい一例となる。なお、本願における「ピーク強度比」とは「高さ比」のことを意味する。
また、カーボンナノチューブは、以下の測定方法によって測定されるカーボンナノチューブ分散液の粘度が、好ましくは2.0Pa・s以上、より好ましくは2.2Pa・s以上、さらに好ましくは3.0Pa・s以上である。当該粘度の上限は、例えば、10.0Pa・s以下、好ましくは8.0Pa・s以下である。
<粘度の測定方法>
カーボンナノチューブ40mgと、ポリカーボネート樹脂(帝人製パンライトL1225Y)の濃度が10質量%のクロロホルム溶液200gとを混合し、濃度0.2質量%のカーボンナノチューブ分散液を調製する。レオメータ(サーモサイエンティフィック社製、型番「HAAKE MARS III」)を用い、30℃環境、せん断速度10s-1、コーンプレート:C60/2の条件で、前記カーボンナノチューブ分散液の粘度を測定する。
また、カーボンナノチューブは、XPS(X線光光電子分光法)により、以下の測定条件にて、酸素原子の1s軌道に起因するスペクトル(O1s)に基づく官能基導入量(atomic%)が、好ましくは0.8atomic%以下、より好ましくは0.7atomic%以下、さらに好ましくは0.5atomic%以下である。なお、当該官能基導入量の下限については、例えば0atomic%、0.01atomic%以上などが挙げられる。
<カーボンナノチューブのXPSによる官能基導入量の測定>
酸素の官能基導入量は、X線電子分光法(XPS・ESCA)に基づき、KURATOS製 AXIS-ULTRA DLD X線光電子分光装置により、X線源としてAl-Kαを用いてカーボンナノチューブ表面の元素分析を行うことにより求める。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、カーボンナノチューブの含有率は、0.01~0.07質量%である。本発明の効果をより好適に奏する観点から、カーボンナノチューブの含有率は、好ましくは0.011質量%以上、より好ましくは0.012質量%以上であり、また、好ましくは0.055質量%以下、より好ましくは0.050質量%以下である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、光学顕微鏡を用い、熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で10mm×10mmの範囲を観察した場合に、最大径が50μm以上のカーボンナノチューブの凝集物が観察されない。本発明の熱可塑性樹脂組成物において、カーボンナノチューブを含むにも関わらず、カーボンナノチューブを含まない場合と比較して、機械的強度を高くするためには、前記所定のカーボンナノチューブがこのように高度に分散されている必要がある。熱可塑性樹脂組成物において、最大径が50μm以上のカーボンナノチューブの凝集物が観察されないようにするためには、前記所定のカーボンナノチューブを用いた上で、さらに、後述する本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を採用することが好ましい。また、例えば、カーボンナノチューブと熱可塑性樹脂との混合において、せん断速度を小さくして、カーボンナノチューブが切断されることを抑制することが好ましい。カーボンナノチューブの凝集物の観察方法については、実施例に記載の通りである。
本発明の効果をより一層好適に発揮する観点から、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、光学顕微鏡を用い、熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で10mm×10mmの範囲を観察した場合に、最大径が40μm以上のカーボンナノチューブの凝集物が観察されないことが好ましく、最大径が30μm以上のカーボンナノチューブの凝集物が観察されないことがより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂としては、特に制限されない。本発明の効果をより好適に奏する観点から、熱可塑性樹脂の標準成形加工温度が200℃以上、好ましくは、220℃以上、より好ましくは230℃以上である。熱可塑性樹脂の標準成形加工温度は、一般の樹脂成形において経験的に見出された、成形機に設定される温度であって、例えば、ポリスチレンでは210℃であり、ポリエチレンテレフタレートでは240℃であり、ポリエチレンでは200℃であり、ポリプロピレンでは210℃であり、ポリブチレンテレフタレートでは240℃であり、ポリカーボネートでは280℃であり、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)では230℃であり、そしてポリアミドでは250℃である。
好ましい熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル-スチレン(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、酢酸セルロース樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリケトン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂およびカーボンナノチューブの合計含有率は、例えば、90.0質量%以上100質量%以下であり、97.0質量%以下であってもよく、95.0質量%以下であってもよい。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、実質的にカーボンナノチューブ及び熱可塑性樹脂のみを含む熱可塑性樹脂組成物であってもよい。
また、本発明の効果を損なわない限り、他の配合剤を含有してもよく、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、架橋剤、顔料、着色剤、発泡剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、軟化剤、粘着付与剤、可塑剤、離型剤、防臭剤、香料など、本発明の押出成形体の用途に応じて公知のものから適宜選択することができる。熱可塑性樹脂組成物に含まれる添加剤の含有率は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて形成したフィルムの表面抵抗値は、好ましくは106~1013Ω/sq.、より好ましくは106~1012Ω/sq.、さらに好ましくは106~1010Ω/sq.である。表面抵抗値の測定方法は、以下に示す方法である。
(表面抵抗値測定)
標準条件(23℃、50%RH)において、熱可塑性樹脂組成物により形成されたフィルムの表面に対して、高抵抗抵抗率計(例えば、ハイレスタ-UX MCP-HT800(三菱ケミカルアナリティック社製))を用いてプローブ(例えば、USRプローブMCP-HTP14)を1kgの荷重で押し当て、定電圧印可/漏洩電流測定法にて表面抵抗値を測定する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の形状は、特に制限されない。例えば、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、押出成形により成形された押出成形体とすることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、特に制限されないが、後述の本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法によって、好適に製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の用途としては、特に制限されず、例えば、半導体部品(例えばICチップ、ハードディスク、シリコンウェハなど)、半導体部品を取り扱う部材(例えば、搬送トレー、ICソケット、コネクタ、ウェハピンセットなど)などの電気部品又は電子部品が挙げられる。
2.熱可塑性樹脂組成物の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、以下の工程を備える方法により製造することができる。
工程1:平均外径が3.0nm以下のカーボンナノチューブ及び熱可塑性樹脂を含むマスターバッチを用意する。
工程2:工程1で用意したマスターバッチと熱可塑性樹脂とを、カーボンナノチューブの含有率が0.01質量%以上0.07質量%未満となるように混合し、熱可塑性樹脂の融点以上の温度で混練して、溶融した熱可塑性樹脂組成物を調製する。
工程3:溶融した熱可塑性樹脂組成物を溶融押出装置で成形する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を採用することにより、前述した本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造することができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法において、カーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂等については、前記の「1.熱可塑性樹脂組成物」の欄で説明した通りである。
工程1は、カーボンナノチューブ及び熱可塑性樹脂を含むマスターバッチを用意する工程である。本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法においては、当該所定含有率のマスターバッチを用意し、後述する工程2において、カーボンナノチューブの含有率が所定範囲となるようにしてマスターバッチと熱可塑性樹脂とを混合し、溶融する。マスターバッチ中のカーボンナノチューブの含有率は、好ましくは0.1質量%以上70質量%以下とする。カーボンナノチューブが所定含有率に調整されたマスターバッチを用い、かつ、カーボンナノチューブが所定含有率となるように当該マスターバッチと熱可塑性樹脂とを混合して溶融することで、本発明の熱可塑性樹脂組成物中において、カーボンナノチューブが均一に分散され、凝集物の形成を抑制しやすくなる。
本発明の効果をより好適に奏する観点から、マスターバッチのカーボンナノチューブ含有率は、好ましくは0.1~70質量%、より好ましくは0.5~50質量%である。
マスターバッチの製造方法については、特に制限されないが、溶媒(例えば、クロロホルムなどの有機溶媒)に熱可塑性樹脂を溶解させた分散媒に、カーボンナノチューブを分散させることで、目視で視認できるような凝集体がないカーボンナノチューブ分散液を調製することができ、この分散液から溶媒を留去させることで、カーボンナノチューブが均一に分散したマスターバッチを製造することができる。マスターバッチの粒径は、例えば0.01mm~3.0mm程度とすることが好適である。
カーボンナノチューブ分散液の製造方法は、従来公知の分散装置を用いて実施することができ、前記分散媒の粘度、または、カーボンナノチューブ分散液状態にて想定される粘度によって使い分けることができる。分散装置としては、例えば、ホモジナイザー、ビーズミル、ボールミル、バスケットミル、アトリションミル、万能攪拌機、クリアミキサー、超音波、ジェットミル、剪断分散処理等が挙げられる。剪断分散処理は、製品名「ナノジェットパルJN20」(株式会社常光製)、製品名「ナノヴェイタL-ES」(吉田機械興業株式会社製)等を用いることができる。
好ましい分散媒体として、特に限定されないが、例えば水、ハロゲン系溶媒、アルコール類、フェノール類、アミド類、アリル類、ケトン類、ゴム用可塑剤のうち、いずれか1種を含むもの、またはこれらのうち少なくとも2種類以上の混合分散媒が挙げられる。
ハロゲン系溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタンなどが挙げられる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。フェノール類としてはビスフェノール、トリスフェノール、ポリフェノールなどが挙げられる。
アミド類としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。アリル類としてはフタル酸ジアリル、トリメシン酸トリアリル、トリメリット酸トリアリル、1,3,5,7-テトラアリルナフタレン等が挙げられる。
また、ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
ゴム用可塑剤としては、フタル酸誘導体、テトラヒドロフタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、アゼライン酸誘導体、セバシン酸誘導体、ドデカン-2-酸誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、ピロメリット酸誘導体、クエン酸誘導体、オレイン酸誘導体、リシノール酸誘導体、ステアリン酸誘導体、脂肪酸誘導体、スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、グルタール酸誘導体、グリコール酸誘導体、グリセリン誘導体、パラフィン誘導体、エポキシ誘導体、モノエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油、芳香族系鉱物油、植物油系可塑剤、その他可塑剤等が挙げられる。
工程2は、工程1で用意したマスターバッチと熱可塑性樹脂とを、カーボンナノチューブの含有率が0.01質量%以上0.07質量%未満となるように混合し、熱可塑性樹脂の融点以上の温度で混練して、溶融した熱可塑性樹脂組成物を調製する工程である。マスターバッチに使用した熱可塑性樹脂と、マスターバッチと混合される熱可塑性樹脂とが同一であれば、単一の熱可塑性樹脂を含む押出成形体が得られる。一般には、単一の熱可塑性樹脂を含む押出成形体とする。
混錬方法は、特に限定されず、各種材料を混合(混練)することにより製造することができ、混合(混練)方法としては、特に限定されず、例えば、オープンロール、インテシブミキサー、インターナルミキサー、コニーダー、二軸ローター付の連続混練機、押出機等の混和機を用いた溶融混練方法が挙げられる。押出機としては、単軸又は二軸の押出機のいずれを用いることもできる。前記の通り、カーボンナノチューブと熱可塑性樹脂との混合において、せん断速度を小さくして、カーボンナノチューブが切断されることを抑制することが好ましい。
混練によって調製された、溶融した熱可塑性樹脂組成物は、そのまま工程3に供してもよいし、一旦冷却固化してペレットの形態とし、工程3において、熱可塑性樹脂組成物のペレットを改めて溶融して、押出成形に供してもよい。
工程3は、溶融した熱可塑性樹脂組成物を押出してフィルムを成形する。フィルム成形の具体的な方法としては、例えば、流動状態にある熱可塑性樹脂組成物を型または面に流して固化させる注型成形、押し出し機を使用して熱可塑性樹脂組成物を加熱軟化して押し出す押し出し成形、環状の穴から溶融熱可塑性樹脂組成物を押し出して筒状のフィルムを成形するインフレーション成形、熱可塑性樹脂組成物を2本の加熱したロールの間で圧延するカレンダー成形などが挙げられる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、本発明において、「部」は、「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
<カーボンナノチューブのピーク強度比G/Dの測定>
実施例及び比較例で使用したカーボンナノチューブ(No.1、No.2、No.3、No.4)について、それぞれ、ラマン分光装置を用い、共鳴ラマン散乱法(励起波長532nm)で測定したラマンスペクトルにおいて、Gバンド(1590cm-1付近)とDバンド(1300cm-1付近)のピーク強度比を算出した。結果を表1に示す。
<カーボンナノチューブのXPSによる官能基導入量の測定>
実施例及び比較例で使用したカーボンナノチューブ(No.1、No.2、No.3、No.4)について、それぞれ、XPS(X線光光電子分光法)により、酸素原子の1s軌道に起因するスペクトル(O1s)に基づく官能基導入量(atomic%)を測定した。具体的には、酸素の官能基導入量は、X線電子分光法(XPS・ESCA)に基づき、KURATOS製 AXIS-ULTRA DLD X線光電子分光装置により、X線源としてAl-Kαを用いてカーボンナノチューブ表面の元素分析を行うことにより求めた。結果を表1に示す。
<カーボンナノチューブ分散液の粘度測定>
実施例及び比較例で使用したカーボンナノチューブ(No.1、No.2、No.3、No.4)について、それぞれ、以下の測定方法によってカーボンナノチューブ分散液の粘度を測定した。カーボンナノチューブ40mgと、ポリカーボネート樹脂の濃度が10質量%のクロロホルム溶液200gとを混合し、0.2質量%のカーボンナノチューブ分散液を調製した。レオメータ(サーモサイエンティフィック社製、型番「HAAKE MARS III」)を用い、30℃環境、せん断速度10s-1、コーンプレート:C60/2の条件で、カーボンナノチューブ分散液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
実施例及び比較例で使用したカーボンナノチューブ(No.1、No.2、No.3、No.4)の物性等について下表1に示す。
Figure 2022150914000001
<引張試験>
実施例、比較例、及び参考例の熱可塑性樹脂組成物について、それぞれ、次の方法により引張試験を行った。各熱可塑性樹脂組成物のフィルム(長さ200mm、幅100mm、厚さ50μmのフィルム状)を裁断して、MD(長さ40mm)×TD(幅5mm)の試験片を得た。次に、井元製作所製の引張・圧縮小型材料試験機180E0を用い、引張速度1mm/分、チャック間距離35mmの測定条件にて、引張試験を行った。引張試験で得られたグラフ(MD方向における引張応力とひずみとの関係を示すグラフ(S-S曲線))を図6~図9に示す。
<熱可塑性樹脂組成物の表面観察>
光学顕微鏡(キーエンス社製のデジタルマイクロスコープVHX-6000)を用い、実施例及び比較例の熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で10mm×10mmの範囲を観察した。得られた画像を図1a~図5dに示す。
[実施例1A-1C]及び[比較例1]
(カーボンナノチューブ分散液の調製)
ポリカーボネート樹脂(帝人製、パンライトL-1225Y 標準成形加工温度250℃、ガラス転移温度147℃)10質量%クロロホルム溶液に、カーボンナノチューブとしてNo.1(株式会社大阪ソーダ製のOStube、表1に記載の物性等を有する)を加え、カーボンナノチューブの粗分散液を得た。このとき、粗分散液中のカーボンナノチューブの含有率は、0.1質量%とした。次に、各粗分散液をナノヴェイタL-ES(吉田機械興業株式会社製)を用いて分散処理を行い、目視で視認できる凝集体のないカーボンナノチューブ分散液を製造した。次いで、クロロホルムを留去させ、粉砕し、3mm角のカーボンナノチューブ含有ポリカーボネート樹脂マスターバッチを製造した。このとき、マスターバッチ中のカーボンナノチューブの含有率は、1.0質量%とした。
(カーボンナノチューブ含有ペレットの調製)
カーボンナノチューブ含有ペレットを以下のように製造した。ポリカーボネート樹脂(帝人製、パンライトL-1225Y)と、前記カーボンナノチューブのポリカーボネート樹脂マスターバッチをベント付き2軸押出機(型番「TEM-18SS」、東芝機械株式会社製)にて、280℃で混錬することでカーボンナノチューブ含有ポリカーボネート含有ペレットを作製した。このとき、ペレット中のカーボンナノチューブの含有率は、実施例1Aは0.01質量%、実施例1Bは0.025質量%、実施例1Cは0.05質量%、比較例1は0.1質量%とした。
(押出成形体の製造)
得られた各ポリカーボネート含有ペレットをTダイ押出成形機(型番「GT-20-A」プラスチック工学研究所製)にて280℃で混錬後、厚さ50μmの押出フィルムを作製した。
[比較例2A-2D]
カーボンナノチューブとして、No.2(ゼオンナノテクノロジー社製ZEONANO SG101、表1に記載の物性等を有する)を用いたこと以外は、実施例1A-1Cと同様にしてフィルム状の押出成形体を得た。フィルム中のカーボンナノチューブの含有率は、比較例2Aは0.01質量%、比較例2Bは0.025質量%、比較例2Cは0.05質量%、比較例2Dは0.1質量%である。
[比較例3A-3D]
カーボンナノチューブとして、No.3(オキシアル社製TUBALL、表1に記載の物性等を有する)を用いたこと以外は、実施例1A-1Cと同様にしてフィルム状の押出成形体を得た。フィルム中のカーボンナノチューブの含有率は、比較例3Aは0.01質量%、比較例3Bは0.025質量%、比較例3Cは0.05質量%、比較例3Dは0.1質量%である。
[比較例4A-4D]
カーボンナノチューブとして、No.4(ナノシル社製NC7000、表1に記載の物性等を有する)を用いたこと以外は、実施例1A-1Cと同様にしてフィルム状の押出成形体を得た。フィルム中のカーボンナノチューブの含有率は、比較例4Aは0.01質量%、比較例4Bは0.025質量%、比較例4Cは0.05質量%、比較例4Dは0.1質量%である。
[参考例1]
カーボンナノチューブを配合しなかったこと以外は、実施例1A-1Cと同様にしてフィルム状の押出成形体を得た。
[参考例2]
(カーボンブラック含有ペレットの調製)
カーボンブラック含有ペレットを以下のように製造した。ポリカーボネート樹脂(帝人製、パンライトL-1225Y)と、「三菱ケミカル社製カーボンブラック、#960」をベント付き2軸押出機(型番「TEM-18SS」、東芝機械株式会社製)にて、280℃で混錬することでカーボンブラック含有ポリカーボネート含有ペレットを作製した。このとき、ペレット中のカーボンブラックの含有率は0.1質量%とした。
(押出成形体の製造)
得られたポリカーボネート含有ペレットをTダイ押出成形機(型番「GT-20-A」プラスチック工学研究所製)にて280℃で混錬後、厚さ50μmの押出フィルムを作製した。フィルム中のカーボンブラックの含有率は、0.1質量%である。
[参考例3]
カーボンブラックの代わりに、「アングストンマテリアル社製グラフェン、N002-PDR」を用いたこと以外は、参考例2と同様にしてフィルム状の押出成形体を得た。フィルム中のグラフェンの含有率は、0.1質量%である。
光学顕微鏡を用い、実施例1A-1C、比較例1のフィルム状押出成形体の表面について、倍率200倍で10mm×10mmの範囲を観察したところ、最大径が50μm以上の前記カーボンナノチューブの凝集物が1つも観察されなかった。さらに、最大径が30μm以上の前記カーボンナノチューブの凝集物についても、1つも観察されなかった。また、実施例1A-1Cのフィルム状押出成形体は、いずれも参考例1(ブランク)と比較して、機械的強度(引張強度)が高かったが、比較例1のフィルム状成形体は、参考例1(ブランク)や実施例1A-1Cと比較して、機械的強度(引張強度)は低かった。
一方、光学顕微鏡を用い、比較例2A-2D、3A-3D、及び4A-4Dのフィルム状押出成形体の表面について、倍率200倍で10mm×10mmの範囲を観察したところ、最大径が50μm以上の前記カーボンナノチューブの凝集物が1つ以上観察された。また、比較例2A-2D、3A-3D、及び4A-4Dのフィルム状押出成形体は、引張試験を行った際に、いずれのフィルムにおいても測定開始直後にカーボンナノチューブの凝集体を起点にフィルムが断裂してしまい、試験を続行することが出来なかった。これより、比較例2A-2D、3A-3D、及び4A-4Dのフィルム状押出成形体は、参考例1(ブランク)と比較して、機械的強度(引張強度)が低いことが予想される結果となった。
なお、カーボンブラック又はグラフェンを配合した参考例2、参考例3のフィルム状押出成形体については、参考例1(ブランク)と比較して、機械的強度(引張強度)が低かった。

Claims (5)

  1. カーボンナノチューブ及び熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記熱可塑性樹脂組成物のカーボンナノチューブの含有率が、0.01質量%以上0.07質量%未満であり、
    前記カーボンナノチューブの平均外径が3.0nm以下であり、
    光学顕微鏡を用い、前記熱可塑性樹脂組成物の表面について、倍率200倍で10mm×10mmの範囲を観察した場合に、最大径が50μm以上の前記カーボンナノチューブの凝集物が観察されない、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記カーボンナノチューブは、共鳴ラマン散乱法で測定した、励起波長532nmにおけるラマンスペクトルにおいて、GバンドとDバンドのピーク強度比G/Dが30以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記カーボンナノチューブは、以下の測定方法によって測定されるカーボンナノチューブ分散液の粘度が2.0Pa・s以上である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    <粘度の測定方法>
    カーボンナノチューブ40mgと、ポリカーボネート樹脂の濃度が10質量%のクロロホルム溶液200gとを混合し、濃度0.2質量%のカーボンナノチューブ分散液を調製する。レオメータを用い、30℃環境、せん断速度10s-1、コーンプレート:C60/2の条件で、前記カーボンナノチューブ分散液の粘度を測定する。
  4. 押出成形体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 電気部品又は電子部品である、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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