JP2022150578A - トリアゾール誘導体の用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫の治療剤および治療方法を提供する。【解決手段】ポサコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、およびラブコナゾールからなる群から選択される1種以上のトリアゾール誘導体を有効成分として含む、がん治療剤による。【選択図】なし
Description
本発明は、トリアゾール誘導体を有効成分とする、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫およびユーイング肉腫の治療剤および治療方法等に関する。
横紋筋肉腫は、小児や若年者に発生する横紋筋へ分化する細胞が悪性化した悪性軟部腫瘍であり、胎児性横紋筋肉腫(Embryonal rhabdomyosarcoma)、多形型横紋筋腫(Leomorphic rhabdomyosarcoma)、胞巣状横紋筋肉腫(Lveo Lar rhabdomyosarcoma)の三種の病理組織型が報告され、骨に付着している、筋肉のまれな癌性の腫瘍である。この腫瘍の最も一般的な位置は、頭頸部の構造、尿生殖路、および腕または脚である。
神経芽細胞腫は、副腎、頸部、胸または脊髄の神経組織において悪性(癌)細胞が形成する疾患である。神経芽細胞腫は、最も一般的な頭蓋外の小児癌であり、乳児期に起こる最も一般的な腫瘍である。それは、神経芽細胞(多能***感神経細胞)から生じる交感神経系の胚性悪性腫瘍である。神経芽細胞腫は、胸から、頸部の脊椎近くの神経組織から、または脊髄から発症することもある。神経芽細胞腫は、最も多くの場合、小児期早期に、通常は5歳未満の子供に発症する。
ユーイング肉腫は、骨または骨の近くで起こる、まれな癌性の腫瘍である。ユーイング肉腫は、典型的に子供および青年が罹患するが、通常は思春期に発生する。ユーイング肉腫は、骨ユーイング腫 瘍(骨ユーイング肉腫)、骨外性ユーイング腫瘍、原始神経外胚葉性腫瘍(末梢性神経上皮腫)、およびアスキン腫瘍を包含する4つの異なるタイプの癌の群である。
一方、特許文献1には、癌の治療に使用される薬用組成物の調製におけるモノベンゾン医薬品の使用が開示されており、特許文献2には脂質二重層コーティングを施したメソポーラスシリカナノ粒子が開示されている。
医療は進歩しているものの、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫およびユーイング肉腫を患う患者には、改善された治療が依然として必要である。
横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫は化学療法が効きにくいという特徴があり、特に胞巣状横紋筋肉腫は悪性度が高く、要望な治療薬および治療方法の開発が待望される。
本発明の課題は、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫の治療剤および治療方法を提供することにある。
本発明者らは、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫の治療剤および治療方法を見出すべく鋭意研究を行ってきた結果、トリアゾール誘導体であるポサコナゾール(Posaconazle)が、横紋筋肉腫細胞の増殖を阻害することを見出し、これらの知見を下にさらに詳細な検討を重ね、本発明を完成するに到った。
本発明は、以下記載の発明を提供することにより上記課題を解決したものである。
〔1〕
トリアゾール誘導体を有効成分として含む、がん治療剤。
〔2〕
トリアゾール誘導体が、ポサコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、およびラブコナゾールからなる群から選択される1種以上である、〔1〕に記載のがん治療剤。
〔3〕
トリアゾール誘導体が、ポサコナゾール、その塩、その溶媒和物、またはそれらのプロドラッグである、〔1〕に記載のがん治療剤。
〔4〕
がんが、固形腫瘍である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のがん治療剤。
〔5〕
がんが、小児固形腫瘍である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のがん治療剤。
〔6〕
小児固形腫瘍が、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、脳腫瘍、肝芽腫、ウイルムス腫瘍、奇形腫群腫瘍、ユーイング肉腫、またはランゲルハンス細胞組織球症である、〔5〕に記載のがん治療剤。
〔7〕
小児固形腫瘍が、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫である、〔5〕に記載のがん治療剤。
〔8〕
他の抗がん剤と組み合わせて投与されることを特徴とする、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のがん治療剤。
〔9〕
他の抗がん剤が、細胞障害性抗がん剤および分子標的薬から選択される1種以上である、〔8〕に記載のがん治療剤。
〔10〕
〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のがん治療剤の治療有効量をがんの治療を必要とする患者に投与することを特徴とする、がん治療方法。
〔11〕
がんが、固形腫瘍である、〔10〕に記載のがん治療方法。
〔12〕
がんが、小児固形腫瘍である、〔10〕に記載のがん治療方法。
〔13〕
小児固形腫瘍が、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、脳腫瘍、肝芽腫、ウイルムス腫瘍、奇形腫群腫瘍、ユーイング肉腫、またはランゲルハンス細胞組織球症である、〔12〕に記載のがん治療方法。
〔14〕
小児固形腫瘍が、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫である、〔12〕
に記載のがん治療方法。
〔15〕
他の抗がん剤と組み合わせて投与されることを特徴とする、〔10〕
~〔14〕のいずれかに記載のがん治療方法。
〔16〕
他の抗がん剤が、細胞障害性抗がん剤および分子標的薬から選択される1種以上である、〔15〕に記載のがん治療方法。
〔17〕
前記投与が、経口投与、非経口投与またはこれらの組合せを含む、〔10〕
~〔16〕のいずれかに記載のがん治療方法。
〔1〕
トリアゾール誘導体を有効成分として含む、がん治療剤。
〔2〕
トリアゾール誘導体が、ポサコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、およびラブコナゾールからなる群から選択される1種以上である、〔1〕に記載のがん治療剤。
〔3〕
トリアゾール誘導体が、ポサコナゾール、その塩、その溶媒和物、またはそれらのプロドラッグである、〔1〕に記載のがん治療剤。
〔4〕
がんが、固形腫瘍である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のがん治療剤。
〔5〕
がんが、小児固形腫瘍である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のがん治療剤。
〔6〕
小児固形腫瘍が、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、脳腫瘍、肝芽腫、ウイルムス腫瘍、奇形腫群腫瘍、ユーイング肉腫、またはランゲルハンス細胞組織球症である、〔5〕に記載のがん治療剤。
〔7〕
小児固形腫瘍が、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫である、〔5〕に記載のがん治療剤。
〔8〕
他の抗がん剤と組み合わせて投与されることを特徴とする、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のがん治療剤。
〔9〕
他の抗がん剤が、細胞障害性抗がん剤および分子標的薬から選択される1種以上である、〔8〕に記載のがん治療剤。
〔10〕
〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のがん治療剤の治療有効量をがんの治療を必要とする患者に投与することを特徴とする、がん治療方法。
〔11〕
がんが、固形腫瘍である、〔10〕に記載のがん治療方法。
〔12〕
がんが、小児固形腫瘍である、〔10〕に記載のがん治療方法。
〔13〕
小児固形腫瘍が、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、脳腫瘍、肝芽腫、ウイルムス腫瘍、奇形腫群腫瘍、ユーイング肉腫、またはランゲルハンス細胞組織球症である、〔12〕に記載のがん治療方法。
〔14〕
小児固形腫瘍が、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫である、〔12〕
に記載のがん治療方法。
〔15〕
他の抗がん剤と組み合わせて投与されることを特徴とする、〔10〕
~〔14〕のいずれかに記載のがん治療方法。
〔16〕
他の抗がん剤が、細胞障害性抗がん剤および分子標的薬から選択される1種以上である、〔15〕に記載のがん治療方法。
〔17〕
前記投与が、経口投与、非経口投与またはこれらの組合せを含む、〔10〕
~〔16〕のいずれかに記載のがん治療方法。
本発明によれば、トリアゾール誘導体またはその塩を使用して、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫の治療剤および治療方法を提供することができる。
本発明によれば、トリアゾール誘導体と他の抗がん剤の併用療法の臨床応用が可能となり、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫およびユーイング肉腫等の難病に有効な治療剤および治療法を提供できる。
特に言及しない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いた用語は以下に述べる意味を有する。
一般に、本明細書に使用される命名法ならびに本明細書に記載の有機化学、薬化学、および薬理学における実験手法は、周知のものであり、かつ当該技術分野において一般に使用されるものである。別に定義しない限りは、本明細書において使用される技術用語および科学用語はすべて、概して本開示が属する技術分野の当業者に通常理解される意味と同じ意味を有する。
用語「対象」とは、霊長類(例えばヒト)、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラットおよびマウスを含むが、これらに限定されるものではない動物をいう。用語「対象」および「患者」は、本明細書において、例えば、ヒトなどの哺乳動物の対象に関して、一実施態様においてはヒトに関して、互換的に使用される。
用語「治療する」、「治療している」および「治療」とは、障害、疾患もしくは状態または障害、疾患もしくは状態に関連した1つ以上の症状を軽減または抑止すること;または障害、疾患もしくは状態の原因自体を軽減もしくは根絶することを含むことを意味する。
用語「予防する」、「予防している」および「予防」とは、障害、疾患、もしくは状態および/またはその随伴症状の開始を遅延および/または排除する方法;障害、疾患もしくは状態を獲得することを妨害する方法;または障害、疾患もしくは状態を獲得するリスクを減らす方法を含むことを意味する。
用語「治療有効量」とは、化合物が投与された場合に、治療される障害、疾患、または状態の1つ以上の症状の発症を予防するか、またはある程度軽減するのに十分である化合物の量を含むことを意味する。また、用語「治療有効量」とは、研究者、獣医師、医師または臨床医により探求される、生物学的分子(例えば、タンパク質、酵素、RNAまたはDNA)、細胞、組織、体系、動物もしくはヒトの生物学的または医学的反応を誘起するのに十分である化合物の量をいう。
用語「再発した」とは、治療後に、がんが寛解した対象または哺乳動物が、がん細胞の回復を許した状態をいう。
「トリアゾール誘導体」
本発明に用いられるトリアゾール誘導体の一態様として、米国特許US5661,151 に記載されている化合物が挙げられる。
本発明に用いられるトリアゾール誘導体の一態様として、米国特許US5661,151 に記載されている化合物が挙げられる。
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アル キル基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環、縮合環に おける幾何異性体(E体、Z体、シス体、トランス体)、不斉炭素原子の存在等による光 学異性体(R、S体、α、β配置、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極 性体)、平衡化合物、回転異性体、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。また、本発明においては、互変異性体による異性体をもすべて包含する。
また、本発明における光学異性体は、100%純粋なものだけでなく、50%未満のその他の光学異性体が含まれていてもよい。
本発明に用いられるトリアゾール誘導体としては、例えば、ポサコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ラブコナゾールなどのアゾールが挙げられ、好ましくは、ポサコナゾールであるが、これらに限定されない。
ポサコナゾール(posaconazole)は、下記の構造式を有する化合物である。
ポサコナゾールの化学名は、{4-[4-({(3R,5R)-5-(2,4-Difluorophenyl)-5-[(1H-1,2,4-triazol-1-yl)methyl]tetrahydrofuran-3-yl}methoxy)phenyl]piperazin-1-yl}phenyl)-2-[ (2S,3S)-2-hydroxypentan-3-yl]-2,4-dihydro-3H-1,2,4-triazol-3-oneであり、CAS番号は171228-49-2である。
ポサコナゾールの化学名は、{4-[4-({(3R,5R)-5-(2,4-Difluorophenyl)-5-[(1H-1,2,4-triazol-1-yl)methyl]tetrahydrofuran-3-yl}methoxy)phenyl]piperazin-1-yl}phenyl)-2-[ (2S,3S)-2-hydroxypentan-3-yl]-2,4-dihydro-3H-1,2,4-triazol-3-oneであり、CAS番号は171228-49-2である。
本発明のトリアゾール誘導体の塩は、薬理学的に許容される塩であれば如何なる塩であってもよい。その塩としては、例えば、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩およびリン酸塩等)、有機酸塩(例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、蓚酸塩、メタンスルホン酸塩およびp-トルエンスルホン酸塩等)等の酸付加塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のトリアゾール誘導体の塩は、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても、複数の結晶形の混合物であってもよい。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。
また、トリアゾール誘導体またはその塩は、溶媒和物(例えば、水和物等)であってもよく、溶媒和物および無溶媒和物(例えば、非水和物等)のいずれもトリアゾール誘導体またはその塩に包含される。
本発明のトリアゾール誘導体またはその塩のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸などによる反応により親化合物に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解などを起こして親化合物に変化する化合物、胃酸などにより加水分解などを起こして親化合物に変化する化合物をいう。親化合物のプロドラッグとしては、親化合物のアミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例、親化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、2-ヒドロキシプロピオニル化、2-アセトキシプロピオニル化、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert-ブチル化等された化合物);親化合物のヒドロキシ基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例、親化合物のヒドロキシ基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化等された化合物);親化合物のカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例、親化合物のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化等された化合物);などが挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって、親化合物から製造することができる。
本発明のトリアゾール誘導体またはその塩のプロドラッグは、自体公知の方法、例えば、米国特許US5661,151に記載の製造法あるいはそれに準じる方法に従って製造することができる。
本発明の他の抗がん剤は、腫瘍細胞に対し増殖抑制効果、細胞傷害効果、または薬剤に対する細胞の感受性を増強する効果を示す化合物であればいずれを用いることもできる。例えば細胞障害性抗がん剤、分子標的薬、それ以外の抗がん剤を例示できるが、これらに限定されない。
本発明において、細胞障害性抗がん剤とはがん細胞のDNA合成や細胞***などを阻害 することによりがん細胞に障害を与える作用を持つ抗がん剤を意味する。
細胞障害性抗がん剤の例としては、アルキル化剤、抗がん性抗生物質、代謝拮抗薬、植 物アルカロイドおよび白金製剤が挙げられる。
アルキル化剤の例としては、イホスファミド、シクロホスファミド、ダカルバジン、ブ スルファン、プロカルバジン、ベンダムスチン、メルファラン、ラニムスチン、カルムス チン(Carmustine)、クロラムブシル(Chlorambucil)、ロムス チン(Lomustine)、メクロレタミン(Mechlorethamine)、ニ ムスチン、カルボコン、またはチオテパが挙げられる。
抗がん性抗生物質の例としては、イダルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ドキ ソルビシン、ピラルビシン、ブレオマイシン、ミトキサントロン、アクラルビシン、マイ トマイシンC、アクラシノン、ジノスタチンスチマラマー、ネオカルチノスタチン、また はペプレオマイシンが挙げられる。
代謝拮抗薬の例としては、アザシチジン、エノシタビン、クラドリビン、ゲムシタビン、シタラビン、チオグアニン、ネララビン、ヒドロキシウレア、フルダラビン、ペントスタチン、メトトレキサート、ペメトレキセド、メルカルトプリン、デシタビン(Decitabine)、グアデシタビン、CPX-351、クロファラビン、ヒドロキシカルバミド、カペシタビン、カルモフール、テガフール、TS-1、ドキシフルリジン、フルオロウラシルが挙げられる。
植物アルカロイドの例としては、イリノテカン、エトポシド、ソブゾキサン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンブラスチン、ドセタキセル、ノギテカン、パクリタキセル、またはビノレルビンが挙げられる。
白金製剤の例としては、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチンまたはオキサリプラチンが挙げられる。
本発明において、分子標的薬とはがん細胞の増殖、浸潤、転移に係る分子を標的とする抗がん剤を意味する。
分子標的薬の例としては、EGFR阻害剤、Bcr-Abl阻害剤、VEGFR阻害剤、mTOR阻害剤、ALK阻害剤、PARP阻害剤、BRAF阻害剤、MEK阻害剤、CDK阻害剤、HER2阻害剤、マルチキナーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、Bcl-2阻害剤、またはHDAC阻害剤等が挙げられる。
EGFR阻害剤の例としては、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、セツキシマブ、ダコミチニブまたはバニツムマブが挙げられる。
Bcr-Abl阻害剤の例としては、イマチニブが挙げられる。
VEGFR阻害剤の例としては、ベバシズマブ、またはバゾバニブが挙げられる。
mTOR阻害剤の例としては、エベロリムス、またはテムシロリムスが挙げられる。
ALK阻害剤の例としては、セリチニブ、またはアレクチニブが挙げられる。
PARP阻害剤の例としては、オラパリブ、ルカパリブ(Rucaparib)、またはニラパリブ(Niraparib)が挙げられる。
BRAF阻害剤の例としては、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、またはエンコラフェニブ(Encorafenib)が挙げられる。
MEK阻害剤の例としては、トラメチニブ、セルメチニブ(Selumetinib)、ビニメチニブ(Binimetinib)、またはCH4987655が挙げられる。
CDK阻害剤の例としては、パルボシクリブ、またはディナシクリブ(Dinaciclib)が挙げられる。
HER2阻害剤の例としては、ラパチニブ、またはトラスツズマブが挙げられる。
マルチキナーゼ阻害剤の例としては、レゴラフェニブ、スニチニブ、バンデタニブ、クリゾチニブ、またはソラフェニブが挙げられる。なお、スニチニブ、ソラフェニブは前記FLT3阻害剤の例としても挙げられる。
プロテアソーム阻害剤の例としては、ボルテゾミブが挙げられる。
HDAC阻害剤の例としては、パノビノスタットが挙げられる。
本発明のがん治療剤を医薬製剤として患者に投与する場合、トリアゾール誘導体を単独で製剤化してもよいし、他の抗がん剤および薬学的に許容される担体等と混合して製剤化してもよい。医薬製剤中のトリアゾール誘導体の含有割合は通常0.1~100%(w/w)である。また、医薬製剤に、併用剤を配合する場合、トリアゾール誘導体の含有割合は通常0.1~99.9%(w/w)である。
本発明で使用されるがん治療剤には、活性成分が有効な量で、即ち、治療される症状に対して、治療的および/または予防的目的を達成するために有効な量で存在する組成物が含まれる。
本発明で使用されるがん治療剤は、経口投与用剤形として提供される。本明細書において提供されるがん治療剤は、経口投与のために、固形、半固形または液状投与剤形で提供され得る。本明細書で用いられる場合、経口投与には、口内投与および舌下投与も含まれる。適切な経口投与剤形には、錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ、薬用キャンディー、芳香製剤、カシェ剤、ペレット剤、薬物添加チューインガム、顆粒剤、原末、発泡製剤または非発泡粉末もしくは顆粒剤、溶液、エマルジョン、懸濁液、溶液、ウェハ、スプリンクル(sprinkles)、エリキシル剤およびシロップ剤が含まれるが、これらに限定されない。活性成分に加え、医薬組成物は、1種または複数種の薬学的に許容される添加物をさらに含む。添加物としては、担体、賦形剤、結合剤、充填材、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤、着色剤、色素遊走阻止剤、甘味剤および香味料等が挙げられるが、これらに限定されない。
がん治療剤のトリアゾール誘導体の量は、例えば、約1mg~約2,000mg、約10mg~約2,000mg、約20mg~約2,000mg、約50mg~約1,000mg、約100mg~約500mg、約150mg~約500mgまたは約150mg~約250mgの範囲であってもよい。
本発明のトリアゾール誘導体を腫瘍の治療剤として用いる場合、その有効投与量は、腫瘍の性質、腫瘍の進行程度、治療方針、転移の程度、腫瘍体積、体重、年齢、性別および患者の(遺伝的)人種的背景等に依存して適宜選択できるが、薬学的有効量は一般に、臨床上観察される症状、腫瘍の進行度合い等の要因に基づいて決定される。一日あたりの投与量は、例えば、ヒトに投与する場合は、約0.01mg/kg~約10mg/kg(体重60kgの成人では、約0.5mg~約500mg)、好ましくは約0.05mg/kg~約5mg/kg、より好ましくは約0.1mg/kg~約2mg/kgである。投与は、1回で投与しても複数回に分けて投与してもよい。
トリアゾール誘導体を含むがん治療剤は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば、日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。
本発明のトリアゾール誘導体と他の抗がん剤とを組み合わせる場合、トリアゾール誘導体および他の抗がん剤の投与時期は限定されず、両者を、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。トリアゾール誘導体と他の抗がん剤とは別々に製剤化されていてもよいし、両者が混合された合剤であってもよい。併用剤の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患および組み合わせ等により適宜選択することができる。併用剤の投与量は、例えば、当該併用剤を単剤として使用する時の投与量の3分の1から3倍量とすればよい。
本発明のトリアゾール誘導体および他の抗がん剤の投与形態は、特に限定されず、投与時に、トリアゾール誘導体および他の抗がん剤が組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)トリアゾール誘導体と他の抗がん剤とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)トリアゾール誘導体と他の抗がん剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)トリアゾール誘導体と他の抗がん剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)トリアゾール誘導体と他の抗がん剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)トリアゾール誘導体と他の抗がん剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、まず他の抗がん剤、次にトリアゾール誘導体の順序での投与またはその逆の順序での投与)等が挙げられる。
本発明のトリアゾール誘導体と他の抗がん剤とを組み合わせることにより、以下のような優れた効果を得ることができる。
(1)トリアゾール誘導体または他の抗がん剤を単独で投与する場合に比べて、その投与量を減量することができる、
(2)患者の症状(軽症、重症等)に応じて、併用剤の種類を選択することができる、
(3)トリアゾール誘導体と作用機序が異なる他の抗がん剤を選択することにより、治療期間を長く設定することができる、
(4)トリアゾール誘導体と作用機序が異なる他の抗がん剤を選択することにより、治療効果の持続を図ることができる、
(5)トリアゾール誘導体と他の抗がん剤とを併用することにより、治療効果における相乗効果が得られる。
(1)トリアゾール誘導体または他の抗がん剤を単独で投与する場合に比べて、その投与量を減量することができる、
(2)患者の症状(軽症、重症等)に応じて、併用剤の種類を選択することができる、
(3)トリアゾール誘導体と作用機序が異なる他の抗がん剤を選択することにより、治療期間を長く設定することができる、
(4)トリアゾール誘導体と作用機序が異なる他の抗がん剤を選択することにより、治療効果の持続を図ることができる、
(5)トリアゾール誘導体と他の抗がん剤とを併用することにより、治療効果における相乗効果が得られる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
RMS組織のSMOタンパク質の発現
RMS組織内のSMO発現を検出するために、免疫組織化学染色によってRMS術後10例の臨床サンプルを収集して研究した(臨床倫理委員会承認済み、インフォメーション署名済み)。その結果、RMS組織内でSMOタンパク質を高発現したことが認められた(図1)。
RMS組織内のSMO発現を検出するために、免疫組織化学染色によってRMS術後10例の臨床サンプルを収集して研究した(臨床倫理委員会承認済み、インフォメーション署名済み)。その結果、RMS組織内でSMOタンパク質を高発現したことが認められた(図1)。
RMS細胞株におけるSMOタンパク質の発現
三種類のRMS細胞株RD、RMS-YM、KYM-1を回収し、プロテアーゼとホスファターゼ阻害剤カクテル(#78410、Thermo Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム、米国)を含む氷***解緩衝液で溶解した。タンパク質サンプルを10%SDS /ポリアクリルアミドゲル(Bio-Rad、Hercules、CA、USA)電気泳動で分離し、ポリフッ化ビニリデン膜に転写した。メンブレンを一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした。その後、メンブレンを3~5回洗浄し、HRP二次抗体と1時間インキュベートした。免疫ブロットは、強化化学発光(ECL)キット(Amersham Pharmacia Biotech、チャンドラー、アリゾナ州、米国)によって視覚化することができた。上記のβ-アクチンは内部参照と見なすことができる。RMS細胞株RD、RMS-YM、KYM-1でSMOタンパク質が発現していることが判明した(図2)。
三種類のRMS細胞株RD、RMS-YM、KYM-1を回収し、プロテアーゼとホスファターゼ阻害剤カクテル(#78410、Thermo Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム、米国)を含む氷***解緩衝液で溶解した。タンパク質サンプルを10%SDS /ポリアクリルアミドゲル(Bio-Rad、Hercules、CA、USA)電気泳動で分離し、ポリフッ化ビニリデン膜に転写した。メンブレンを一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした。その後、メンブレンを3~5回洗浄し、HRP二次抗体と1時間インキュベートした。免疫ブロットは、強化化学発光(ECL)キット(Amersham Pharmacia Biotech、チャンドラー、アリゾナ州、米国)によって視覚化することができた。上記のβ-アクチンは内部参照と見なすことができる。RMS細胞株RD、RMS-YM、KYM-1でSMOタンパク質が発現していることが判明した(図2)。
ポサコナゾールによるヘッジホッグシグナル伝達経路の阻害
三種類のRMS細胞株RD、RMS-YM、KYM-1を6ウェルプレートに播種し、さまざまな濃度(0、10、25μM)のポサコナゾールで24時間処理した。ヘッジホッグシグナル伝達経路は一連のコンポーネントで構成されており、その2つの最も重要なコンポーネントはSMOとGLI1である。図3に示すように、ポサコナゾールは濃度依存的にSMOとGLI1のダウンレギュレーションを効果的に引き起こしていることが認められた。
三種類のRMS細胞株RD、RMS-YM、KYM-1を6ウェルプレートに播種し、さまざまな濃度(0、10、25μM)のポサコナゾールで24時間処理した。ヘッジホッグシグナル伝達経路は一連のコンポーネントで構成されており、その2つの最も重要なコンポーネントはSMOとGLI1である。図3に示すように、ポサコナゾールは濃度依存的にSMOとGLI1のダウンレギュレーションを効果的に引き起こしていることが認められた。
XTT細胞生存率アッセイ
3つのRMS細胞株(RD、RMS-YM、KYM-1)は、24、48、72時間の漸増濃度のポサコナゾールで処理された。結果によると、ポサコナゾールは、3種類のRMS細胞株の細胞生存率を時間および濃度依存的に阻害した。48時間でのRD、RMS-YM、KYM-1のポサコナゾール治療のIC50値は、それぞれ32.48±3.58μM、63.47±5.76μM、76.21±8.51μMを示した。また、RD細胞はRMS-YMおよびKYM-1よりもポサコナゾールに対して感受性が高かった。ポサコナゾールは3つのRMS細胞株の細胞生存率を抑制することが認められた(図4)。
3つのRMS細胞株(RD、RMS-YM、KYM-1)は、24、48、72時間の漸増濃度のポサコナゾールで処理された。結果によると、ポサコナゾールは、3種類のRMS細胞株の細胞生存率を時間および濃度依存的に阻害した。48時間でのRD、RMS-YM、KYM-1のポサコナゾール治療のIC50値は、それぞれ32.48±3.58μM、63.47±5.76μM、76.21±8.51μMを示した。また、RD細胞はRMS-YMおよびKYM-1よりもポサコナゾールに対して感受性が高かった。ポサコナゾールは3つのRMS細胞株の細胞生存率を抑制することが認められた(図4)。
ポサコナゾールによるRMS細胞株における細胞周期の影響
RD、RMS-YM、KYM-1細胞を10μMポサコナゾールで24時間処理した後、細胞周期分布のフローサイトメトリー分析を行った。
ポサコナゾールで処理された3種類の細胞は、すべて S期およびG2/M期ではなくG0/G1期にとどまった。これにより、ポサコナゾールが3つのRMS細胞株でG0/G1期の細胞周期停止を誘発するように見えることを確認した(図5Aおよび定量化表示図5B)。
さらに、ポサコナゾールによる細胞周期停止の分子メカニズムを解明するために、3つのRMS細胞株で10μMおよび25μMのポサコナゾールを処理した後、ウエスタンブロットにより細胞周期関連タンパク質をさらに測定した。結果は、ポサコナゾールがp21 Waf1/Cip1の発現を効果的にアップレギュレートし、c-Myc、CDK4、CDK6を濃度依存的にダウンレギュレートすることを示した(図5C)。
上記のように、ポサコナゾールがRD、RMS-YM、KYM-1細胞でG0/G1期停止を誘発することを示している。
RD、RMS-YM、KYM-1細胞を10μMポサコナゾールで24時間処理した後、細胞周期分布のフローサイトメトリー分析を行った。
ポサコナゾールで処理された3種類の細胞は、すべて S期およびG2/M期ではなくG0/G1期にとどまった。これにより、ポサコナゾールが3つのRMS細胞株でG0/G1期の細胞周期停止を誘発するように見えることを確認した(図5Aおよび定量化表示図5B)。
さらに、ポサコナゾールによる細胞周期停止の分子メカニズムを解明するために、3つのRMS細胞株で10μMおよび25μMのポサコナゾールを処理した後、ウエスタンブロットにより細胞周期関連タンパク質をさらに測定した。結果は、ポサコナゾールがp21 Waf1/Cip1の発現を効果的にアップレギュレートし、c-Myc、CDK4、CDK6を濃度依存的にダウンレギュレートすることを示した(図5C)。
上記のように、ポサコナゾールがRD、RMS-YM、KYM-1細胞でG0/G1期停止を誘発することを示している。
ポサコナゾールによるRMS細胞における細胞のオートファジーの影響
細胞を25μMのポサコナゾールを24時間インキュベートした後、細胞を4%ホルムアルデヒドで室温15分間固定、PBSで5分間3回リンスし、免疫染色した。切片を加湿チャンバー内で一次抗体LC3B(1:500、Cell Signaling Technology、#43566)とともに4℃で一晩インキュベートした。PBSで5分間3回洗浄した後、細胞を蛍光標識二次抗体とともに暗室条件でインキュベートした。最後に、核をDAPIで対比染色した後、蛍光顕微鏡で検査および写真撮影を行った。
オートファジーの発生を決定するためのゴールドスタンダードは、透過型電子顕微鏡(TEM)下で超微細構造の形成におけるオートファゴソームを定量化することである。結果は、図6Aに示すように、オートファゴソームの有意な蓄積は、25μMのポサコナゾール処理群で観察できたが、対照群では認めなかった。
LC3Bの免疫蛍光染色をRDおよびRMS-YM細胞で実施した結果、細胞質および核におけるLC3Bの発現が25μMのポサコナゾールの処理で有意に増強されたことが示された(図6B)。オートファジー関連タンパク質の発現を検出するためにウエスタンブロット分析の結果は、ポサコナゾールが用量依存的にAtg5、Beclin-1およびLC3B-IIの発現を上昇させたことを示した(図6C)。
上記のように、ポサコナゾールは3つのRMS細胞で細胞のマクロオートファジーを誘発することが判明した。
細胞を25μMのポサコナゾールを24時間インキュベートした後、細胞を4%ホルムアルデヒドで室温15分間固定、PBSで5分間3回リンスし、免疫染色した。切片を加湿チャンバー内で一次抗体LC3B(1:500、Cell Signaling Technology、#43566)とともに4℃で一晩インキュベートした。PBSで5分間3回洗浄した後、細胞を蛍光標識二次抗体とともに暗室条件でインキュベートした。最後に、核をDAPIで対比染色した後、蛍光顕微鏡で検査および写真撮影を行った。
オートファジーの発生を決定するためのゴールドスタンダードは、透過型電子顕微鏡(TEM)下で超微細構造の形成におけるオートファゴソームを定量化することである。結果は、図6Aに示すように、オートファゴソームの有意な蓄積は、25μMのポサコナゾール処理群で観察できたが、対照群では認めなかった。
LC3Bの免疫蛍光染色をRDおよびRMS-YM細胞で実施した結果、細胞質および核におけるLC3Bの発現が25μMのポサコナゾールの処理で有意に増強されたことが示された(図6B)。オートファジー関連タンパク質の発現を検出するためにウエスタンブロット分析の結果は、ポサコナゾールが用量依存的にAtg5、Beclin-1およびLC3B-IIの発現を上昇させたことを示した(図6C)。
上記のように、ポサコナゾールは3つのRMS細胞で細胞のマクロオートファジーを誘発することが判明した。
In vivoでポサコナゾールの抗横紋期肉腫効果
1x107 RD細胞を50μMハンクス平衡塩類溶液と50μMマトリゲル1:1(356234BDMatrigel(登録商標)基底膜マチルクス)に懸濁し、混合懸濁液をNOD /SCIDマウスの左後部側面に皮下接種した。腫瘍の体積が約100mm3の際にランダムに担癌マウスを2つのグループ(対照群(PBS)とポサコナゾール群)に分け、それぞれコントロール(PBS)またはポサコナゾール(70 mg/kg)(経口投与)を1日1回、2週間投与し、腫瘍体積を3日ごとに記録した。治療開始2週間後動物を安楽死させて、切除した腫瘍組織は免疫組織化学、ヘマトキシリン-エオジン染色など使用した。この動物実験は、動物倫理委員会によって承認された。
In vivo実験の結果として、ポサコナゾール群の腫瘍サイズは、PBS群の腫瘍サイズより有意に縮小した(図7A)。腫瘍の重さは、ポサコナゾール治療群が対照群より有意に低く、対照群では0.598±0.241g、ポサコナゾール群では0.150±0.051gであった(図7B)。さらに、ポサコナゾールは腫瘍の成長速度抑制効果が認められた(図7C)。腫瘍組織のヘマトキシリン-エオジン染色は、対照群と比較して、ポサコナゾール治療による浸潤腫瘍細胞の有意な減少を示した(図7D)。肝臓の変化は、ヘマトキシリン-エオジン染色によって観察され、未処理の対照群と比較して、薬物治療群で顕著な肝臓損傷は認めなかった(図7E)。肝障害と機能不全のバイオマーカーであるグルタミン酸-オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)とグルタミン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)の血清濃度の分析結果によると、ポサコナゾール群と未治療群のGOT(U/L)とGPT(U/L)に統計的差異はないことが判明した(図7F)。
1x107 RD細胞を50μMハンクス平衡塩類溶液と50μMマトリゲル1:1(356234BDMatrigel(登録商標)基底膜マチルクス)に懸濁し、混合懸濁液をNOD /SCIDマウスの左後部側面に皮下接種した。腫瘍の体積が約100mm3の際にランダムに担癌マウスを2つのグループ(対照群(PBS)とポサコナゾール群)に分け、それぞれコントロール(PBS)またはポサコナゾール(70 mg/kg)(経口投与)を1日1回、2週間投与し、腫瘍体積を3日ごとに記録した。治療開始2週間後動物を安楽死させて、切除した腫瘍組織は免疫組織化学、ヘマトキシリン-エオジン染色など使用した。この動物実験は、動物倫理委員会によって承認された。
In vivo実験の結果として、ポサコナゾール群の腫瘍サイズは、PBS群の腫瘍サイズより有意に縮小した(図7A)。腫瘍の重さは、ポサコナゾール治療群が対照群より有意に低く、対照群では0.598±0.241g、ポサコナゾール群では0.150±0.051gであった(図7B)。さらに、ポサコナゾールは腫瘍の成長速度抑制効果が認められた(図7C)。腫瘍組織のヘマトキシリン-エオジン染色は、対照群と比較して、ポサコナゾール治療による浸潤腫瘍細胞の有意な減少を示した(図7D)。肝臓の変化は、ヘマトキシリン-エオジン染色によって観察され、未処理の対照群と比較して、薬物治療群で顕著な肝臓損傷は認めなかった(図7E)。肝障害と機能不全のバイオマーカーであるグルタミン酸-オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)とグルタミン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)の血清濃度の分析結果によると、ポサコナゾール群と未治療群のGOT(U/L)とGPT(U/L)に統計的差異はないことが判明した(図7F)。
作用メカニズムの考察
ヘッジホッグシグナル伝達経路に対するポサコナゾールの阻害効果を証明するだけでなく、細胞周期停止および細胞オートファジーとの関連作用も証明された。図8に示すように、分子メカニズムは、RMSにおけるポサコナゾール誘発性のG0/G1停止とオートファジーのために検討された。ポサコナゾール治療では、SMOとGLI1のレベルが明らかにダウンレギュレートされ、ポサコナゾールがその後細胞周期停止と細胞オートファジーを誘発する可能性が認められた。
ヘッジホッグシグナル伝達経路に対するポサコナゾールの阻害効果を証明するだけでなく、細胞周期停止および細胞オートファジーとの関連作用も証明された。図8に示すように、分子メカニズムは、RMSにおけるポサコナゾール誘発性のG0/G1停止とオートファジーのために検討された。ポサコナゾール治療では、SMOとGLI1のレベルが明らかにダウンレギュレートされ、ポサコナゾールがその後細胞周期停止と細胞オートファジーを誘発する可能性が認められた。
Claims (17)
- トリアゾール誘導体を有効成分として含む、がん治療剤。
- トリアゾール誘導体が、ポサコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、およびラブコナゾールからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載のがん治療剤。
- トリアゾール誘導体が、ポサコナゾール、その塩、その溶媒和物、またはそれらのプロドラッグである、請求項1に記載のがん治療剤。
- がんが、固形腫瘍である、請求項1~3のいずれか1項に記載のがん治療剤。
- がんが、小児固形腫瘍である、請求項1~3のいずれか1項に記載のがん治療剤。
- 小児固形腫瘍が、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、脳腫瘍、肝芽腫、ウイルムス腫瘍、奇形腫群腫瘍、ユーイング肉腫、またはランゲルハンス細胞組織球症である、請求項5に記載のがん治療剤。
- 小児固形腫瘍が、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫である、請求項5に記載のがん治療剤。
- 他の抗がん剤と組み合わせて投与されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のがん治療剤。
- 他の抗がん剤が、細胞障害性抗がん剤および分子標的薬から選択される1種以上である、請求項8に記載のがん治療剤。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のがん治療剤の有効量をがんの治療を必要とする患者に投与することを特徴とする、がん治療方法。
- がんが、固形腫瘍である、請求項10に記載のがん治療方法。
- がんが、小児固形腫瘍である、請求項10に記載のがん治療方法。
- 小児固形腫瘍が、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、脳腫瘍、肝芽腫、ウイルムス腫瘍、奇形腫群腫瘍、ユーイング肉腫、またはランゲルハンス細胞組織球症である、請求項12に記載のがん治療方法。
- 小児固形腫瘍が、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫である、請求項12に記載のがん治療方法。
- 他の抗がん剤と組み合わせて投与されることを特徴とする、請求項10~14のいずれか1項に記載のがん治療方法。
- 他の抗がん剤が、細胞障害性抗がん剤および分子標的薬から選択される1種以上である、請求項15に記載のがん治療方法。
- 前記投与が、経口投与、非経口投与またはこれらの組合せを含む、請求項10~16のいずれか1項に記載のがん治療方法。
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