JP2022150053A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストでかつ極力制約のないタイミングでヒータ部の劣化の有無を判定できる内燃機関の制御装置を提供する。【解決手段】ECU15は、酸素センサ12で検出する電圧値VHGが何れの空燃比領域に該当するかを判別するためのリッチ側閾値及びリーン側閾値を酸素センサ12のセンサヒータ12bの温度Tを示す第1目盛値G1と対応付けたルックアップテーブルを記憶する記憶部34と、電圧VHGの波高値46v、47vの尖頭46、47が何れの空燃比領域に該当するかを点検する特性点検部40と、この点検結果に基づいて、第1目盛値G1を補正するための温度較正係数Kを導出する較正部41と、温度較正係数Kから得た温度較正係数Kの初期値と最新値との差が予め定めた劣化判定値よりも大きい場合に、センサヒータ12bが劣化していると判定する劣化判定部48とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の高温排気ガス内酸素センサにおけるヒータ部の劣化の有無を判定する機能を有する内燃機関の制御装置に関する。
従来、抵抗加熱を利用したヒータの劣化を検出する装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1の装置では、ヒータの温度を検出するために配備された温度検出用のセンサ及び温度検出器と、ヒータに印加された電圧を検出するための電圧検出器とを用いてヒータの実際の温度と抵抗を計測し、計測した温度と抵抗とから抵抗温度係数を導出し、導出した抵抗温度係数の既定値からの逸脱の程度が一定の限度(閾値)を超えたとき、ヒータ部が劣化したと判定される。
特許文献2の装置では、内燃機関の排気ガス中の酸素濃度に応じた電圧を示す電気信号を出力するセンサ素子と、センサ素子を活性化温度以上の温度になるように加熱するヒータ素子とを有する酸素濃度検出器について、ヒータ素子の劣化の有無が判定される。この判定は、ヒータ素子及び排気ガスの一方又は双方により加熱されて昇温したセンサ素子の温度が酸素濃度検出器の雰囲気温度に収束するに足る所定時間が経過した場合に、ヒータ素子の抵抗値と所定の閾値との大小関係に基づいて行われる。
WO2012/165174号公報 特開2019-94829号公報
しかしながら、上記特許文献1の装置によれば、ヒータの実際の温度を検出するためにヒータに温度検出用のセンサを設ける必要があるので、その分だけ装置のコストが高くなる。
また、上記特許文献2の装置によれば、ヒータ素子に温度検出用のセンサを設ける必要はないが、センサ素子の温度が酸素濃度検出器の雰囲気温度(外気温度)にほぼ収束するまで長時間、例えば一晩(8時間)車両をエンジン停止状態にして待ってから劣化有無の判定を行う必要がある。このため、ヒータ素子の劣化有無を判定できるタイミングがかなり限定され、かつこのタイミングが得られるまでに長時間を要する。
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、低コストでかつ極力制約のないタイミングでヒータ部の劣化の有無を判定できる内燃機関の制御装置を提供することにある。
本発明の内燃機関の制御装置は、
排気脈動を有する内燃機関の排気に接するように設けられ、前記排気のストイキメトリック近傍の酸素濃度において検出部の抵抗値がステップ状に変化する検出部と、前記検出部に隣接するヒータ部とを有し、前記検出部の抵抗値から求める検出値が前記検出部の温度と前記排気脈動とに応じた波高値を有するパルス波状を呈する高温排気ガス内酸素センサと、
前記ヒータ部の抵抗値に基づいて前記ヒータ部の温度を求めるヒータ温度読取部と、
前記ヒータ部の温度に基づいて前記検出部の温度を求める検出部温度推定部と、
複数の空気過剰率値を、前記検出部の温度についての複数の第1目盛値及び前記検出値についての複数の第2目盛値との対応関係を付けて示すデータマップ、並びに前記検出値がリッチ領域、ストイキ領域又はリーン領域の何れの空燃比領域に該当するかを判別するためのリッチ側閾値及びリーン側閾値を前記第1目盛値との対応関係を付けて示すルックアップテーブルを記憶する記憶部と備える内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の作動時に前記波高値を読み取りつつ、読み取った前記波高値の尖頭が前記空燃比領域の何れに該当するかを点検する特性点検部と、
前記点検の結果に基づいて、前記第1目盛値を補正して前記対応関係を較正するための温度較正係数を導出する較正部とを備え、
前記温度較正係数の初期値と最新値との差の絶対値が予め定めた劣化判定値よりも大きい場合には、前記ヒータ部が劣化していると判定する劣化判定部を有することを特徴とする。
本発明において、高温排気ガス内酸素センサ(例えば抵抗型チタニア酸素センサ)のストイキ振幅(ストイキメトリックでの振幅(波高))は、検出部の実際の温度に応じて変化し、振れ幅が変わる。例えば、高温排気ガス内酸素センサが、新品時に可及的に正確に実測した温度値が600degCである際、ストイキ振幅が4voltとなる特性を有するとして、その長期使用過程においてヒータ部に熱劣化(酸化)が生じてヒータ部の抵抗値が高まってくると、そのヒータ部の抵抗値から読み取って求められるヒータ部の温度及び検出部の温度Tは、見かけ上、誤差を含んで実際の温度とは相違する値を示すことになる。
例えば、制御装置のヒータ温度読取部がヒータ部の抵抗値に基づいて読み取るヒータ部の温度Tが実測値600+50degCを示すようなヒータ部の熱劣化を有した高温排気ガス内酸素センサを制御装置の特性点検部を介して観測すると、その高温排気ガス内酸素センサの上記ストイキ振幅特性は、あくまでも上記検出部の実際の温度に沿って変化するので、見かけ上のヒータ部の温度及び検出部の温度値Tが650degCのときにストイキ振幅は4voltとして観測されることになる。すなわち、この場合、見かけ上のヒータ部の温度及び検出部の温度Tとストイキ振幅との対応関係は、ヒータ部が熱劣化していない新品時と比べて+50degCほどずれているように観測される。
而して、上記したようなデータマップのデフォルトでの対応関係からのずれを点検することにより、ヒータ部の抵抗値から読み取って求められるヒータ部の温度Tが検出部の実際の温度値に対してどの程度の温度誤差を有するものであるかを精度良く把握することができる。また、この温度誤差が大きい場合は、ヒータ部が劣化したものと判断することができる。
したがって、本発明によれば、ヒータ部の抵抗値から読み取るヒータ部の温度Tの較正や劣化の判定を行うに際して、従来必要であったヒータ部の実際の温度を測定するための追加の温度センサは不要となる。また、ヒータ素子の劣化有無を判定できるタイミングが来るまで長時間待たされることもない。したがって、低コストでかつ動作制約の少ないヒータ部の劣化有無を判定できる内燃機関の制御装置を提供することができる。
本発明において、前記劣化判定部は、前記温度較正係数の初期値が設定されたか否かを示す状態フラグを記憶するフラグ記憶部を備え、前記状態フラグが前記温度較正係数の初期値が未設定であることを示す場合には、前記温度較正係数の初期値を前記温度較正係数の最新値と同一の値に設定し、前記状態フラグが前記温度較正係数の初期値が設定されたことを示す場合には、前記温度較正係数の初期値の変更を禁止するものであってもよい。
これによれば、フラグ記憶部の状態フラグが温度較正係数の初期値が未設定であることを示す場合には、温度較正係数の初期値と温度較正係数の最新値とが同じ(差がゼロ)となる。したがって、温度較正係数の初期値が未設定である場合には、ヒータ部が劣化したとの判断が成立しないようにしつつ、温度較正係数の初期値を設定することができる。すなわち、所謂イニシャライザとしての機能を果たし、較正(キャリブレーション)された温度較正係数の値によって温度較正係数の初期値が設定される。
この場合、前記劣化判定部は、前記温度較正係数の初期値が前記特性点検部による点検の結果に基づいて適正に取得できたと判定した場合に、前記フラグ記憶部の状態フラグを、前記温度較正係数の初期値が設定されたことを示す値に設定してもよい。
これによれば、較正部における較正が、瞬時の観測に基づくいわゆるワンショット学習ではなく、徐々に導出される温度較正係数の増減を繰り返すことによって積分的に行われ、そうして導出される温度較正係数の最新値が飽和状態(サチュレート状態)に至って適正にヒータ部の状態を捕捉できたものと判定されるときに、較正部は状態フラグをオン状態へと設定する。これにより、較正部は温度較正係数の初期値を再現性に優れた値に設定することができる。
あるいは、外部の端末装置からの指令により、前記温度較正係数の最新値、前記温度較正係数の初期値、及び前記状態フラグを所望の値に書き換え可能であってもよい。
これによれば、たとえば、使用過程にある自動車のメンテナンス時に高温排気ガス内酸素センサを劣化品から新品に交換した場合は、OBD診断機による学習値リセットコマンドの発行を行い、温度較正係数や状態フラグなどの各パラメータを初期化することによって劣化判定を解除する必要がある。ECUはこれを行う操作機能を提供するために、外部の端末装置と連携することができる。
本発明において、前記温度較正係数の最新値をK、前記検出部の温度をTとして、次式によりヒータ制御用の温度Tcを求めるヒータ制御用温度導出部と、
Tc=T×(#1/K)
前記ヒータ制御用の温度Tcと、所定の目標温度Ttrgとの差分に応じてパルス幅変調した電圧を印加して前記ヒータ部を発熱させるヒータ発熱制御部とを備えてもよい。
本発明において、検出部からの検出値の波高(振れ幅)は、検出部の実際の温度(真実値)に応じて変化するので、制御装置において、検出値の波高を読み取り、かつ、読み取った波高とヒータ部の抵抗値から読み取って求められる検出部の温度Tとの対応関係が所定のデータマップと適合するか否かを特性点検部により点検する際には、ヒータ部の温度を適温に制御する必要がある。すなわち、ヒータ部の温度が冷えすぎていても熱すぎていても適切な点検ができない。
この点、本発明では、温度較正係数Kの逆数を検出部の温度Tに乗じてヒータ制御用の温度Tcを求め、かつ、ヒータ制御用の温度Tcが目標温度Ttrgとなるようにヒータ部を発熱させるように制御することにより、ヒータ温度を適温に制御することができる。これにより、特性点検部による点検を適切に行い、ひいてはヒータ部の劣化有無の判定を適切に行うことができる。
なお、この場合、目標温度値Ttrgは一定値に限らず、較正部に連動させる形で振動的に動かすように設定してもよい。すなわち、温度条件を変えながら多点的に学習して温度校正係数Kを導出することもできる。
本発明の一実施形態に係る空燃比制御装置を備える内燃機関の主要部の構成を模式的に示す模式図である。 図1の内燃機関のECUにおける主要な構成を示すブロック図である。 図2のECUにおいて過剰率算出部により空気過剰率を算出する過剰率算出処理を示すフローチャートである。 図3の処理において、ストイキ領域における空気過剰率を算出する様子を示すグラフである。 図3の処理において、リーン側閾値LREF及びリッチ側閾値RREFを求めるためのルックアップテーブルに対応するグラフ、及び空気過剰率を算出するためのデータマップを示す図である。 図3の処理によって算出される空気過剰率λの変化の様子を模式的に示すグラフである。 内燃機関を搭載した車両を運転しながら得られた時間経過に伴い、電圧算出部が出力する電圧値の変化を表す電圧波形を示す波形図である。 (a)~(d)は、図2の構成における特性点検部による点検及び較正部による較正の例を示す図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置を備える4サイクル形式の内燃機関の主要部の構成を示す。この内燃機関の制御装置は、内燃機関の排気中の酸素濃度に基づいて得られる空気過剰率と、目標空気過剰率との偏差に基づいて空燃比フィードバック制御を行う機能を有する。
同図に示すように、この内燃機関の機関本体1は、吸入ポートに設けられた吸気管2と、吸気管2内に設けられてエアクリーナ4から吸入ポートに供給される吸気の量を開度に応じて調整するスロットル弁3とを備える。
スロットル弁3には、スロットル弁3の開度を検出するスロットルセンサ5が設けられる。吸気管2の吸入ポート近傍には、燃料を噴射する燃料噴射弁6が設けられる。燃料噴射弁6には、図示しない燃料タンクから燃料ポンプによって燃料が圧送される。
吸気管2には、吸気管2における吸気圧を検出する吸気圧センサ7及び吸気管2内の吸入空気の温度を検出する吸気温センサ8が設けられる。機関本体1の排気ポートに連結された排気管10内には、排気管10の排気中の未燃焼成分を低減させる触媒11及び排気中の酸素濃度を検出する酸素センサ12が設けられる。
機関本体1には、点火装置14に接続された点火プラグ13が固着される。制御装置としてのECU(電子制御ユニット)15が点火装置14に対して点火タイミングの指令を発することにより、機関本体1のシリンダ燃焼室内で火花放電が生じる。
ECU15には、スロットルセンサ5、吸気圧センサ7、吸気温センサ8、酸素センサ12、冷却水温センサ17、及び大気圧を検出する大気圧センサ20のそれぞれの検出値を示すアナログ電圧が入力される。また、ECU15には、上記の燃料噴射弁6が接続される。
ECU15には、さらに、クランク角度センサ19からのクランク軸18の回転角度位置を示す信号が入力される。すなわち、クランク角度センサ19は、クランク軸18に連動して回転するロータ19aの外周に所定角度(例えば、15度)毎に設けられた複数の凸部を、ロータ19aの外周近傍に配置されたピックアップ19bによって磁気的あるいは光学的に検出し、ピックアップ19bからクランク軸18の所定角度の回転毎にパルス(クランク信号)を発生する。
具体的には、クランク角度センサ19は、ピストン9が上死点に至る毎に、又はクランク軸18が360度回転する毎に基準角度を示す信号をECU15に出力する。
図2は、ECU15における主要な構成を示す。同図に示すように、ECU15に排気中の酸素濃度の検出信号を供給する酸素センサ12は、高温排気ガス内酸素センサであり、排気脈動を有する内燃機関の排気に接するように設けられて排気中の酸素濃度を検出する検出部としてのセンサ素子12aと、センサ素子12aに隣接してセンサ素子12aを加熱するヒータ部としてのセンサヒータ12bとを備える。
センサ素子12aは、内燃機関の排気がストイキメトリック近傍の酸素濃度である際に略ステップ状に変化する抵抗値を有し、該抵抗値から求める検出値がセンサ素子12aの温度と前記排気脈動とに応じた波高値を有するパルス波状を呈する。センサ素子12aとしては、本実施形態では、酸素濃度に応じて抵抗値が変化する抵抗型酸素センサであるチタニア酸素センサが用いられる。
ECU15は、センサヒータ12bを制御するヒータ発熱制御部22と、センサ素子12aの温度を示す温度値Tを算出する温度算出部23と、センサ素子12aの出力信号を、排気中の酸素濃度を示す検出値としての電圧値VHGに変換する電圧算出部24とを備える。
ヒータ発熱制御部22によるセンサヒータ12bの温度の制御は、不図示の電源(蓄電池)からセンサヒータ12bに供給される通電電流量IをECU15でパルス幅変調(PWM)制御することにより行われる。また、温度算出部23は、センサヒータ12bの抵抗値に基づいてセンサヒータ12bの温度を求めるヒータ温度読取部23aと、センサヒータ12bの温度に基づいてセンサ素子12aの温度を求める検出部温度推定部23bとで構成される。
温度算出部23による温度値Tの算出は、例えば、センサヒータ12bに印加されたヒータ電圧及び通電電流量Iの各値を読み取ってセンサヒータ12bの抵抗値を求め、該抵抗値に基づいてヒータ温度読取部23aによりセンサヒータ12bの温度を求め、該温度に基づいて検出部温度推定部23bによりセンサ素子12aの温度Tを求めることにより行われる。
検出部温度推定部23bによる温度Tの取得は、センサヒータ12bの温度を、ECU15に予め準備された温度Tとセンサヒータ12bの温度との対応関係を示すテーブルデータあるいは計算式で温度Tに換算することにより行われる。温度算出部23及び電圧算出部24における算出結果は、後述する過剰率算出部25の代替値演算部26に供給される。
また、ECU15は、クランク角度センサ19の検出結果に基づいて内燃機関の回転速度NE及び角速度NETCを算出する回転速度演算部27と、温度算出部23からの温度値T、電圧算出部24からの電圧値VHG、及び回転速度演算部27からの角速度NETCに基づいて空気過剰率λを算出する過剰率算出部25とを備える。
さらに、ECU15は、制御目標値としての空気過剰率λcmdを触媒11における貯蔵酸素量の推定値や内燃機関の作動状態に基づいて算出する目標値設定部としての目標値演算部28と、回転速度演算部27からの回転速度NE、及び吸気圧センサ7からの吸気管2内の圧力PMに基づいて基本噴射量BJを算出する基本噴射量演算部29と、過剰率算出部25により算出された空気過剰率λを目標空気過剰率λcmdに一致させるべく、基本噴射量演算部29が算出した基本燃料噴射量BJを補正するためのフィードバック係数kを求めるフィードバック係数演算部30と、フィードバック係数k及び基本噴射量BJに基づいて噴射量Tiを算出するとともに、燃料噴射弁6を作動させる噴射量演算部31とを備える。
フィードバック係数演算部30においては、空気過剰率λと目標空気過剰率λcmdとの偏差に基づいたPID制御が行われてフィードバック係数kが演算される。噴射量演算部31によりフィードバック係数k及び基本噴射量BJに基づいて算出される噴射量Tiに基づき、これに対応する時間だけ、燃料噴射弁6が開弁される。而して、機関本体1のシリンダ燃焼室内には空気過剰率λと目標空気過剰率λcmdとの比較に基づいた上記PID制御のフィードバック係数kに応じた量の燃料が噴射される。
過剰率算出部25は、温度算出部23からの電圧値VHG及び温度算出部23からの温度値Tに基づき、電圧値VHGを、その温度特性を補償しつつ空気過剰率に対してリニアライズ変換したデータLDを用いて排気の空気過剰率λを算出するものである。ただし、この算出は、後述するように、電圧値VHGがリーン側閾値LREF以下の場合に適用され、電圧値VHGがリーン側閾値LREFより大きいときには、別の方法で空気過剰率λが求められる。
過剰率算出部25は、内燃機関のクランク角速度NETCに基づいて内燃機関のトルク値TQを算出するトルク演算部32と、上述のリニアライズ変換についての変換限界閾値を設定する限界閾値設定部33と、空気過剰率λの代替値Rを算出するのに必要なデータや、後述するデータマップ及びルックアップテーブルを記憶する記憶部34と、代替値Rを算出する代替値演算部26とを備える。
限界閾値設定部33は、変換限界閾値として、リーン側の変換限界域値であるリーン側閾値LREF及びリッチ側の変換限界閾値であるリッチ側閾値RREFを、電圧算出部24からの電圧値VHGについて設定する。ただし、チタニア型のセンサ素子12aは、温度が変化すると、出力値のダイナミックレンジ(センサ出力電圧の線形領域の最小値と最大値の各値)が変化するため、温度算出部23からの温度値Tに応じて変換限界閾値を変化させる必要がある。
図5を併せて参照して、該図5は、温度算出部23が算出する温度値Tに対応する図5において左右方向の第1目盛値G1と、電圧算出部24が算出する電圧値VHGに対応する図5において上下方向の第2目盛値G2とを有するとともに、電圧値VHG及び温度値Tを座標として対応付けられた複数個の前記データLDの数値が設定されているデータマップを掲出したものであり、しかも、リーン側閾値LREF及びリッチ側閾値RREFを求めるためのグラフ35、36に対応するルックアップテーブルの各一例をデータマップ上に夫々重ね合わせた図として示している。
すなわち、データマップは、複数の空気過剰率値を、温度値Tについての複数の第1目盛値G1、及び電圧値VHG(検出値)についての複数の第2目盛値G2との対応関係を付けて示すものである。ルックアップテーブルは、電圧値VHGがリッチ領域、ストイキ領域又はリーン領域の何れの空燃比領域に該当するかを判別するためのリッチ側閾値RREF及びリーン側閾値LREFを第1目盛値G1との対応関係を付けて示すものである。
このようなデータマップと、グラフ35、36に対応するルックアップテーブルとをECU15内の記憶部34に予め記憶しておくことにより、これらを用いて電圧値VHGをリニアライズ変換したデータLDと、リーン側閾値LREF及びリッチ側閾値RREFとを容易に取得して設定することができる。
グラフ35は、例えば、リーン領域とストイキ領域との境界としての空気過剰率λを1.02とし、この値となるような電圧値VHG及び温度値Tを座標とした上記データマップ上の点を複数点求め、これら複数の点の間をそれぞれ線補間で結んだグラフである。またグラフ36は、例えば、ストイキ領域とリッチ領域との境界としての空気過剰率λを0.98とし、この値に対応する電圧値VHG及び温度値Tを座標とした上記データマップ上の複数の点を求め、これら複数の点の相互間をそれぞれ線補間で結んだグラフである。
例えば、限界閾値設定部33は、グラフ35に対応するルックアップテーブルからは、温度算出部23からの温度値Tがt0である場合、その座標t0から導かれる電圧値v0を、リーン領域とストイキ領域との境界についてのリーン側閾値LREFとして設定することができる。同様に、グラフ36に対応するルックアップテーブルからは、温度算出部23からの温度値Tがt0である場合、その座標t0から導かれる電圧値v1を、ストイキ領域とリッチ領域との境界についてのリッチ側閾値RREFとして設定することができる。
また、記憶部34は、代替値Rの算出に必要なデータとして、電圧算出部24からの電圧値VHGが変換限界閾値LREF以下のとき、燃料噴射弁6による燃料噴射の実行時間Ti1、トルク値TQ1、変換限界閾値LREFに関する空気過剰率λbを記憶する。
代替値演算部26は、電圧値VHGが変換限界閾値LREFを超えているとき、直前の燃料噴射の実行時間をTi2、直前のトルク値をTQ2として、次式(1)により代替値Rを算出する。
R=((Ti1÷Ti2)÷(TQ1÷TQ2))×λb (1)
そして、過剰率算出部25は、電圧値VHGが変換限界閾値LREFを超えている場合には、上述のリニアライズ変換したデータLDとしての空気過剰率λに代えて、代替値Rを排気の空気過剰率λとみなす。
図3は、過剰率算出部25における空気過剰率λを算出する過剰率(ラムダ)算出処理を示す。なお、この過剰率算出処理を含むECU15による制御は、クランク角度センサ19からのクランク軸18の回転角度位置を示すパルス信号に基づき、内燃機関の行程に同期して実行される。
過剰率算出処理が開始されると、ステップS1において、トルク演算部32により、回転速度演算部27からのクランク角速度NETCに基づいて内燃機関のトルクTQを算出する。
なお、トルクTQの算出に際しては、内燃機関における吸気、圧縮、燃焼膨張、排気の各行程を有する内燃機関の連続する2つの行程の各々に対応した内燃機関のクランク軸の2つの角速度が算出され、これに基づき、内燃機関が発生する発生トルクが精度よく算出される(特許第6254633号公報参照)。
次に、ステップS2において、温度算出部23からの温度値Tに基づき、限界閾値設定部33により、図5のグラフ35、36に対応するルックアップテーブルを用いて、リーン側閾値LREF及びリッチ側閾値RREFを設定する。
次に、ステップS3において、電圧算出部24から電圧値VHGを取得し、該電圧値VHGを後述する電圧差確認部43で得られる偏差VDにより補正して、制御用の電圧値(検出値)VHGconを設定する。
次に、ステップS4において、ステップS2で取得した温度値T、ステップS3で取得した電圧値VHGconに基づき上述のデータマップ(図5)が走査され、かくして、電圧値VHGconの値をその温度特性を補償しつつ空気過剰率λへとリニアライズ変換したデータLDが取得される。
次に、ステップS5において、ステップS3で取得した電圧値VHGconが、ステップS2で設定したリッチ側閾値RREFよりも小さいか否かを判定する。小さいと判定した場合には、続くステップS6においてフラグF_DETECTをゼロに設定しつつステップS16に進み、上記データLDの値を空気率過剰率λ値LAMBDAとして設定し、図3の過剰率算出処理を終了する。
ステップS5において、電圧値VHGconがリッチ側閾値RREFよりも小さくはないと判定した場合には、ステップS7において、ステップS3で取得した電圧値VHGconが、ステップS2で設定したリーン側閾値LREFよりも大きいか否かを判定する。
ステップS7において、上記電圧値VHGconが大きくはないと判定した場合には、ステップS8において、ステップS2で取得したリーン側閾値LREFの電圧値lref及びリッチ側閾値RREFの電圧値rrefと、電圧値lrefに対応する所定のストイキ領域とリーン領域との境界としての空気過剰率λ値(この実施の形態においては、λ=1.02)と、電圧値rrefに対応する所定のリッチ領域とストイキ領域との境界としての空気過剰率λ値(この実施の形態においては、λ=0.98)と、ステップS3で取得した電圧値VHGとに基づき、電圧算出部24からの電圧値VHGを、酸素センサ12の温度特性を補償しつつ空気過剰率に対してリニアライズ変換したデータLDとしての空気過剰率λを算出し、ステップS9に進む。
図4を併せて参照して、上記ステップS8におけるリニアライズ変換したデータLDとしての空気過剰率λは、前記所定のストイキ領域とリーン領域との境界としての空気過剰率λを予め数値設定することが可能な変数#LLMD(たとえば1.02)、及び、前記所定のリッチ領域とストイキ領域との境界としての空気過剰率λを予め設定することが可能な変数#RLMD(たとえば0.98)であるとすれば、図4に示すようなグラフで表すことができる。該グラフの、図4において左右方向の横軸は電圧値VHGであり、図4において上下方向の縦軸は空気過剰率λである。したがって、例えば電圧値VHGがvhg1である場合、これに対応する空気過剰率λの値λ1は、次式(2)により算出することができる。
λ1=(((vhg1-rref)÷(lref-rref))×(#LLMD-#RLMD))+#RLMD (2)
ステップS9では、燃料噴射弁6による直前の燃料噴射の実行時間Ti、ステップS1で算出したトルクTQをそれぞれTi1、TQ1とし、リーン側閾値LREFに関する空気過剰率λをλbとして記憶部34により記憶する。ほぼ同時に、前記記憶の有効時間を示すカウントダウンタイマー値TIMERをその所定の初期値である#TMINTでリセットする。続いて、フラグF_DETECTを1に設定するとともにステップS16に進み、上記ステップS8で取得したデータLDの値を、空気率過剰率λ値LAMBDAとして設定し、図3の過剰率算出処理を終了する。
このとき、λbとしては、ステップS8で取得したデータLDの値が記憶される。その際に、データLDの値の移動平均をλbとして記憶するのが好ましい。例えば、次式(3)で求められる空気過剰率λ(データLD)の指数移動平均λaがλbとして記憶される。
λa=LD×k1+λab×(1-k1) (3)
ここで、k1は移動平均係数であり、λabは記憶部34が記憶している前回制御周期での移動平均値である。移動平均係数k1としては、例えば0.34が用いられる。
また、このとき、記憶部34は、燃料噴射の実行時間Ti1及び前記トルク値TQ1として、それぞれ移動平均値を記憶するのが好ましい。例えば、燃料噴射の実行時間Tiの指数移動平均TiFLTが次式(4)で求められてTi1として記憶されるとともに、前記トルク値TQの指数移動平均TQFLTが次式(5)で求められてTQ1として記憶される。
TiFLT=Ti×k2+TiFLTb×(1-k2) (4)
TQFLT=TQ×k3+TQFLTb×(1-k3) (5)
ここで、k2、k3は移動平均係数であり、TiFLTb、TQFLTbは記憶部34が記憶している前回制御周期での移動平均値である。この実施の形態においては、移動平均係数k1、k2、及びk3として、それぞれ異なる値を用いることができる。
次に、ステップS7において、ステップS3で取得した電圧値VHGconがリーン側閾値LREFよりも大きいと判定した場合には、ステップS10において、上述のカウントダウンタイマー値TIMERがゼロに到達しているか否かを判定する。そして、TIMERがゼロに到達しているならば、フラグF_DETECTを0にリセットする(ステップS11)。
次に、ステップS12に進み、フラグF_DETECT=1であるか否かを判定する。F_DETECT=1であるならば、記憶部34にリーン側閾値LREFに関する空気過剰率λb、燃料噴射の実行時間Ti1、及び、トルク値TQ1が記憶されていることを示すので、ステップS13に進み、代替値演算部26において、上述の式(1)により代替値Rを算出するとともに、データLDの値を代替値Rに設定する。
次に、ステップS14において、ステップS13で設定したデータLDの値が所定の上限値#LLMTよりも大きいか否かを判定する。ステップS13で設定したデータLDの値が上限値#LLMTよりも大きい場合には、データLDの値を上限値#LLMTに設定する(ステップS15)。この場合、上限値#LLMTとして、例えば1.25を用いることができる。
なお、上記ステップS12において、F_DETECT=0であるならば、記憶部34にリーン側閾値LREFに関する空気過剰率λb、燃料噴射の実行時間Ti1、及び、トルク値TQ1に関する有効な値が記憶されていないことを示すので、代替値Rを算出することができない。この場合も、データLDの値は上記上限値#LLMTに設定される(ステップS15)。
而して、上記ステップS13又はステップS15で設定されたデータLDの値は空気率過剰率λ値LAMBDAとして設定され(ステップS16)、これにより、図3の過剰率算出処理を終了する。
図3の過剰率算出処理が終了すると、ECU15は、図3の過剰率算出処理で算出された空気過剰率λ値LAMBDAを、上述のように、目標値演算部28からの目標とする空気過剰率λcmdに一致させるべく、フィードバック係数演算部30のPID制御により、燃料噴射弁6による燃料の噴射量を制御する。
図6は、図3の過剰率算出処理によって算出される空気過剰率λ値LAMBDAの変化の様子を模式的に示すグラフである。グラフの横軸は時間経過を示す数値であり、縦軸は空気過剰率λである。
図6におけるグラフ37は、図6において左右方向の横軸の、左端側から中央付近までの範囲において、実際の排気の空気過剰率λを一定の変化率で徐々に増加させ、且つ、続く上記横軸の中央付近から右端側までの範囲において、実際の排気の空気過剰率λを一定の変化率で徐々に減少させた場合において、それをECU15の電圧算出部24で読み取った電圧値VHGを、その温度特性を補償しつつ空気過剰率λに対して直接的にリニアライズ変換したデータを用いて空気過剰率λ値を算出した場合の空気過剰率λ値の数値変化を示す。
グラフ38は、同様に、上記横軸の左端から右端まで実際の排気の空気過剰率λを一定の変化率で徐々に増加乃至減少させた場合において、電圧算出部24からの電圧値VHGがリーン側域値LREFの電圧値lref以下であるときは、上述のデータマップ(図5)又は式(2)で電圧値VHGを直接的にリニアライズ変換したデータを用いて空気過剰率λ値を算出しているが、電圧算出部24からの電圧値VHGがリーン側域値LREFの電圧値lref(空気過剰率λの値1.020に対応)を超える場合には、上記電圧値VHGをリニアライズ変換したデータに代えて上述の数式(1)により取得した代替値Rを空気過剰率λ値としたときのその空気過剰率λ値の数値変化を示している。
斯くして、実際の排気の空気過剰率λが1.020以下の場合には、それに応答する電圧算出部24からの電圧値VHGは上記実際の排気の空気過剰率λに対して比例的(線形)に変化するため、実際の排気の空気過剰率λが1.020以下の場合には、グラフ37及びグラフ38は共に、上記実際の排気の空気過剰率λの上記一定変化に追従して直線的に推移しているが、排気の空気過剰率λが1.020を超える場合には、その状況下での非線形性を呈する電圧値VHGが急激に増加方向に変化するため、電圧値VHGを直接的にリニアライズ変換したデータに基づく空気過剰率λ値を示すグラフ37も同じく増加方向へと急峻且つ非線形に変化する。一方、グラフ38では、排気の空気過剰率λが1.020(上記#LLMD)を超える場合にも空気過剰率λ値LAMBDAが排気の空気過剰率λ(空燃比)に対して直線状に変化しており、実際の排気の空気過剰率λと連動している。
したがって、過剰率算出処理により、電圧値VHGがリーン側閾値LREF以下の場合には、上述のリニアライズ変換したデータを用いて空気過剰率λを算出し、電圧値VHGがリーン側閾値LREFを超える場合には、上述の数式(1)で空気過剰率λを算出する(グラフ38)ことにより、過剰率算出部25は、図6のグラフの全範囲にわたって実際の排気の空気過剰率λと連動し比例的に変化する空気過剰率λ値をフィードバック係数演算部30に供給できることがわかる。これにより、フィードバック係数演算部30によるPID制御の中断が抑制される。
ところで、製造公差等によりセンサ素子12a(検出部)やセンサヒータ12b(ヒータ部)の抵抗値がばらつくと、これらの抵抗値に基づいて得られる空気過剰率も不正確なものとなり、空燃比フィードバック制御に支障を来たすおそれがある。
そこで、過剰率算出部25は、上記の抵抗値のばらつきに応じて変化する電圧値VHG(検出値)の特性を点検する特性点検部40と、その点検結果に基づいて上述のデータマップ及びルックアップテーブルを較正する較正部41とを備える。
特性点検部40は、温度Tの基準値からのずれ量TDを確認して制御用の温度Tconを設定する温度差確認部42と、センサ素子12aの電圧値VHGの所定時間内における平均値VHGSTDとリーン側閾値LREFとの偏差VDを確認して制御用の電圧値(検出値)VHGconを設定する電圧差確認部43とを有し、設定した制御用の温度Tcon及び制御用の電圧値(検出値)VHGconとに応じて、ECU15に接続された酸素濃度センサ12の出力特性を点検するように構成される。
温度差確認部42は、内燃機関が停止した状態で、センサ素子12aの温度Tがセンサ素子12aの雰囲気温度に収束するに足る所定時間が経過した場合に、温度Tの基準値からのずれ量TDを取得する。そして、温度差確認部42は、電圧値VHGの特性の点検並びに過剰率算出部25で用いる制御用の温度として、センサ素子12aの温度Tを、ずれ量TDに基づいて補正した値Tcon(この実施の形態においてはTcon=T+TD)を設定する。
上記の温度Tconを設定するための基準値Trefは、例えば、冷却水温センサ17により得られるエンジン温度に吸気温センサ8により得られる吸気温度を加えて2で除する{Tref=(エンジン温度+吸気温度)÷2}ことにより求めることができる。これにより、冷却水温センサ17及び吸気温センサ8の各読取での量子化誤差による影響を軽減して上記制御用の温度Tconを精度よく設定することができる。
この場合、制御用の温度Tconは常温下かつ始動前のエンジン温度及び吸気温度と同じになるように設定される。かくして、温度差確認部42は、上記のデータマップ及びグラフ35、36に対応するルックアップテーブルを、図5において左右方向(第1目盛値G1方向)へと実質的に平行移動させることになる。
続いて、電圧差確認部43は、センサ素子12aの上記制御用の温度Tconが所定値以下(例えば、上記基準値Trefに同じ)の場合に、センサ素子12aの抵抗値から求める電圧値VHGの所定時間内における平均値VHGSTDとリーン側閾値LREFとの偏差VDを取得する。そして、電圧差確認部43は、上述の特性の点検及び過剰率算出部25で用いる制御用の電圧値(検出値)として、前記抵抗値から求める電圧値VHGを偏差VDに基づいて補正した電圧値VHGcon(=VHG+VD)を設定する。
この場合、センサ素子12aの温度Tconが充分に低く酸素濃度センサが不活性となる状況では、電圧値VHGの波高がほぼゼロ(電圧値VHGが動かない状態)になるとともに、標準的な抵抗値を有するセンサ素子12aから読み取り可能な電圧値VHGrefは、上記グラフ35及びグラフ36と同一値になる(電圧値VHGrefとグラフ35、36が重なり合う)。
すなわち、上記制御用の温度Tconが所定値以下の場合に、標準電圧値VHGrefはグラフ35(リーン側閾値LREF)に等しくなるので、制御用の電圧値(検出値)VHGconを設定するための基準値は、グラフ35に対応するルックアップテーブルを上記充分に低い温度Tconで走査することにより、求めることができる。
また、上記の平均値VHGSTDは、例えば、5秒間の期間で多数回読み取った電圧値VHGの相加平均値から求めることができ、これにより、電圧値VHGの読取における量子化誤差による影響を軽減して偏差VDを取得するとともに、制御用の電圧値VHGconを精度よく設定することができる。
斯くして、制御用の電圧値(検出値)VHGconは制御用の温度Tconが所定値以下の場合のグラフ35(リーン側閾値LREF)と同じになるように補正される。これにより、電圧差確認部43は、上記のデータマップを、図5において上下方向(第2目盛値G2方向)へと実質的に平行移動させることになる。
特性点検部40は、実際にECU15に接続された酸素濃度センサ12の点検に際して、目標値演算部28を通じて目標空気過剰率λcmdをストイキメトリック近傍に設定して電圧値VHGconの波高値を取得するとともに、この波高値が空燃比領域の何れかに該当するかを点検する。
また、較正部41による較正に際しては、上記点検の結果を受けて、上記データマップ及びグラフ35、36に対応するルックアップテーブルが較正される。
図7には、特性点検部40により、目標空気過剰率λcmdをストイキメトリック近傍に設定した状態で内燃機関に標準的な抵抗値を有する酸素濃度センサ12を搭載した車両を運転しながら得られた電圧値(検出値)VHGrefについて、その時間経過に伴う変化を表す電圧波形44が示されている。また図7には、検証用として臨時に併設した広帯域(ワイドバンド)空燃比センサの出力信号の波形を示す空燃比波形45が併せて示されている。
4サイクル内燃機関において、排気管内の排気及び当該排気に含まれる酸素濃度は脈動をしているので、図7に示すように、標準的な抵抗値を有する酸素センサ12のセンサ素子12aから読み取られる電圧値(検出値)VHGrefの電圧波形44及び併設された空燃比センサの空燃比波形45は、時間の経過に伴い振動的に遷移する波高を有した波形として観測されるのであるが、特に空燃比波形45が、空気過剰率λが1.0となるレベルを跨ぐ図示の期間Pにおいては、元よりセンサ素子12aの抵抗値はストイキメトリック近傍の酸素濃度においてステップ(階段)状に急峻な変化をする特性を有していることから、電圧波形44の波高M(検出値の波高値)は同期間Pにおける空燃比波形45の波高と比して非常に大きく振動する波形として観測される。そして、このように大きく振動する電圧波形44の波高の遷移に沿うように、上記のグラフ36(リッチ側閾値RREF)及びグラフ35(リーン側閾値LREF)に対応するルックアップテーブルがそれぞれ設定されている。
すなわち、図示の期間Pにおいて、標準的な抵抗値を有する酸素センサ12から得られる電圧波形44での各波高Mの尖頭のうち、図7において下方のリッチ側閾値RREFに近いリッチ側尖頭46は、多数のものがほぼリッチ側閾値RREF上に位置する一方、図7において上方のリーン側閾値LREFに近いリーン側尖頭47は、多数のものがほぼリーン側閾値LREF上に位置する。
換言すると、目標空気過剰率λcmdをストイキメトリック近傍に設定して図示の期間Pの状態を再現する如くに空燃比のフィードバック制御を実施しながら前記実際にECU15に接続された酸素センサ12の電圧値(検出値)VHGconが表出する波高MをECU15で計測するとともに、その波高Mの尖頭がリーン側閾値LREF及びリッチ側閾値RREFと合致しているか否かを点検することにより、上記標準的な抵抗値での電圧値VHGrefの特性からの電圧値VHGconの特性ずれが如何ほどであるかを把握し、取得することができる。
斯くして、特性点検部40は、目標空気過剰率λcmdをストイキメトリック近傍に設定して空燃比フィードバック制御を実施しながら、ECU15に接続された酸素センサ12の電圧値(検出値)VHGconについて波高Mの尖頭値を取得し、該波高Mの尖頭値がリッチ領域、ストイキ領域又はリーン領域の何れかに該当するかを点検するように構成される。また、この点検結果に基づいて、較正部41は、波高Mの尖頭値が前記リッチ側閾値RREF及びリーン側閾値LREFに適合するように、アフィン変換を施して前記データマップ及び前記ルックアップテーブルを較正することができる。
具体的には、較正部41は、所謂アフィン変換の要領で、複数の第1目盛値G1及び複数の第2目盛値G2を拡大又は縮小することによりデータマップ及びルックアップテーブルを較正するための第1較正倍率値C1及び第2較正倍率値C2を備えている。
図8(a)~(d)を併せて参照しつつ詳述すると、較正部41は、時間の経過に伴って変化する制御用の電圧値VHGconのリーン側尖頭値47vとグラフ35(リーン側閾値LREF)に対応するルックアップテーブルとを対比した際に、例えば、リーン側尖頭値47vがリーン領域にある場合には第1較正倍率値C1を増加してデータマップ及びルックアップテーブルを図8において右側方向に向けて拡大し(図8(a)参照)、リーン側尖頭値47vがストイキ領域にある場合には第1較正倍率値C1を減少してデータマップ及びルックアップテーブルを図8において左側方向に向けて縮小する(図8(b)参照)。
すなわち、較正部41は、上記増加又は減少した第1較正倍率値C1をデータマップ及びルックアップテーブルの第1目盛値G1に乗じることにより、所謂アフィン変換の要領でデータマップ及びルックアップテーブルを実質的に拡大又は縮小することで較正をする。なお、第1目盛値G1の拡縮原点には、0ケルビン(マイナス273.15degC;絶対零度)を採用することができる。このとき、記憶部34に記憶されている複数の第1目盛値G1の較正前の値をTk(摂氏温度)とした場合、較正後の制御用第1目盛値Tkcalは、次式(6a)により求められる。
Tkcal=(Tk+273.15)×C1-273.15 (6a)
また、較正部41は、時間の経過に伴って変化する制御用の電圧値VHGconのリッチ側尖頭値46vとグラフ36(リッチ側閾値RREF)に対応するルックアップテーブルとを対比した際に、例えば、リッチ側尖頭値46vがリッチ領域にある場合には第2較正倍率値C2を増加してデータマップ及びルックアップテーブルを図8において下方向に向けて拡大し(図8(d)参照)、リッチ側尖頭値46vがストイキ領域にある場合には第2較正倍率値C2を減少してデータマップ及びルックアップテーブルを図8において上方向に向けて縮小する(図8(c)参照)。
すなわち、較正部41は、上記増加又は減少した第2較正倍率値C2をデータマップ及びルックアップテーブルの第2目盛値G2に乗じることにより、所謂アフィン変換の要領でデータマップ及びルックアップテーブルを実質的に拡大又は縮小することで較正する。なお、第2目盛値G2の拡縮原点には、上述の制御用の温度Tconが所定値以下の場合のグラフ35(リーン側閾値LREF)の値を採用することができる。
このとき、上記制御用の温度Tconが所定値以下の場合のグラフ35の値をLREFanchor、記憶部34に記憶されている複数の第2目盛値G2の較正前の値をVkとした場合、較正後の制御用第2目盛値Vkcalは、次式(7)により求められる。
Vkcal=(Vk-LREFanchor)×C2+LREFanchor
(7)
なお、本実施の形態においては、上記第1較正倍率値C1及び第2較正倍率値C2の増加又は減少を行う場合に、所定の漸増率及び漸減率を介在して第1較正倍率値C1又は第2較正倍率値C2を漸増又は漸減させて徐々に較正完了状態へと移行させる移行処理を含むように較正部41を構成することができる。
一方、酸素センサ12のストイキ振幅(ストイキメトリックでの振幅(波高))は、センサ素子12aの実際の温度に応じて変化し、振れ幅が変わる。例えば、酸素センサ12が、新品時に可及的に正確に実測した温度値が600degCである際、ストイキ振幅が4voltとなる特性を有するとして、その長期使用過程においてセンサヒータ12bに熱劣化(酸化)が生じてセンサヒータ12bの抵抗値が高まってくると、そのセンサヒータ12bの抵抗値から読み取って求められるセンサヒータ12bの温度及びセンサ素子12aの温度Tは、見かけ上、誤差を含んで実際の温度とは相違する値を示すことになる。
例えば、ヒータ温度読取部23aがセンサヒータ12bの抵抗値に基づいて読み取るセンサヒータ12bの温度Tが実測値600+50degCを示すようなセンサヒータ12bの熱劣化を有した酸素センサ12を、特性点検部40を介して観測すると、酸素センサ12のストイキ振幅特性は、あくまでもセンサ素子12aの実際の温度に沿って変化するので、見かけ上のセンサヒータ12bの温度及びセンサ素子12aの温度値Tが650degCのときにストイキ振幅は4voltとして観測されることになる。すなわち、この場合、見かけ上のセンサヒータ12bの温度及びセンサ素子12aの温度Tとストイキ振幅との対応関係は、センサヒータ12bが熱劣化していない新品時と比べて+50degCほどずれているように観測される。
而して、上記したようなデータマップのデフォルトでの対応関係からのずれを点検することにより、センサヒータ12bの抵抗値から読み取って求められるセンサヒータ12bの温度Tがセンサ素子12aの実際の温度値に対してどの程度の温度誤差を有するものであるかを精度良く把握することができる。また、この温度誤差が大きい場合は、センサヒータ12bが劣化したものと判断することができる。
そこで、本実施形態では、このセンサヒータ12bの劣化の有無を判定するために、複数の空気過剰率値を、センサヒータ12bの温度Tについての複数の第1目盛値G1及び電圧値VHGについての複数の第2目盛値G2との対応関係を付けて示す上述のデータマップ、並びに電圧値VHGがリッチ領域、ストイキ領域又はリーン領域の何れの空燃比領域に該当するかを判別するためのリッチ側閾値及びリーン側閾値を第1目盛値G1との対応関係を付けて示す上述のルックアップテーブルが利用される。
また、内燃機関の作動時に前記波高値を読み取りつつ、読み取った波高値の尖頭が前記空燃比領域の何れに該当するかを点検する上述の特性点検部40と、この点検の結果に基づいて、第1目盛値G1を補正して上記の対応関係を較正するための温度較正係数K(第1較正倍率値C1)を導出するために、上述の較正部41が利用される。
そして、温度較正係数Kの初期値と最新値との差の絶対値が、予め定めた劣化判定値よりも大きい場合には、センサヒータ12bが劣化していると判定する劣化判定部48がECU15に設けられる。
劣化判定部48は、温度較正係数Kの初期値を、較正部41による初期段階での較正時又は後述するOBD診断機によるリセットコマンドの発行時に取得し、その後、較正部41が温度較正係数Kの最新値を取得する毎に、初期値と最新値との差の絶対値を所定の劣化判定値と比較し、絶対値が劣化判定値を超えている場合、センサヒータ12bが劣化していると判定する。
すなわち、図5を用いて説明すれば、第1目盛値G1に関する温度較正係数Kについて、標準的なセンサヒータ12bの抵抗値(中央値)に対応して設定されているECU15のデフォルトの温度較正係数K値(ここでは第1目盛値G1をデフォルトから変化させない値であり、たとえばK=1.000倍とする)を図5においてラインAで示す一方、ECU15に接続された現実のセンサヒータ12bの抵抗値に対応する温度較正係数Kがその製造公差(特性ばらつき)等によって前記ラインAからずれているラインBで示されるものとすれば、劣化判定部48で取得される上記温度補正係数Kの初期値は、較正部41において上記ラインBに適合された温度較正係数Kの最新値を得て、該最新値を捕捉することにより設定される。この際、劣化判定部48は、後述する温度較正係数Kの初期値が設定されたか否かを例えばビット(1桁の2進数)で示す状態フラグFを温度較正係数Kの初期値が設定されたことを示す「1」に設定し、これにより、以降の温度較正係数Kの初期値の変更を禁止する。このように状態フラグFを「1」に設定した後も、センサヒータ12bの劣化等に因る抵抗値乃至温度値の経時変化にともなって温度較正係数Kの最新値は較正部41で更新されていくため、該更新が累積された温度補正係数Kの最新値は、例えば図5においてラインCやラインDで示されるような温度較正係数Kの初期値(ラインB)から乖離した値を示すようになる。而して劣化判定部48は、ラインBに示す第1目盛値G1に係る上記温度較正係数Kの初期値と、ラインCまたはDに示す温度較正係数Kの最新値との差が上記の劣化判定値を超えて離れた場合に、センサヒータ12bが劣化していると判定することができる。
例えば、劣化判定値が0.3、上記ラインBに係る温度較正係数Kの初期値が1.02、上記ラインCに係る温度較正係数Kの最新値が0.935であるとすれば、温度較正係数Kの初期値と最新値の差は0.085であり、この場合、劣化判定閾値0.3よりも小さいので、劣化していないと判定される。また、例えば、劣化判定値が0.3、上記ラインBに係る温度較正係数Kの初期値が1.03、上記ラインDに係る温度較正係数Kの最新値が1.35であるとすれば、温度較正係数Kの初期値と最新値の差は0.32であり、この場合、劣化判定閾値0.3よりも大きいのでセンサヒータ12bが劣化しているものと判定される。
ここで、劣化判定部48は、上記温度較正係数Kの初期値を適切に設定するために、上記状態フラグFを記憶するフラグ記憶部49を備える。フラグ記憶部49は、例えば、書き換え可能かつ記憶部への電源供給なしに記憶を保持することが可能な不揮発性メモリで形成される。フラグ記憶部49に記憶された状態フラグFが温度較正係数Kの初期値が未設定であることを示す「0(ゼロ)」の場合には、温度較正係数Kの初期値を温度較正係数Kの最新値と同一の値に設定し、状態フラグFが温度較正係数Kの初期値が設定されたことを示す「1」である場合には、温度較正係数Kの初期値の変更を禁止する。
これにより、劣化判定部48は、状態フラグFが温度較正係数Kの初期値が未設定であることを示す「0(ゼロ)」の場合には、温度較正係数Kの初期値と温度較正係数Kの最新値とが同じ値(差がゼロ)に設定されるため、温度較正係数Kの初期値を設定することができる。すなわち、温度較正係数Kについての所謂イニシャライザとしての機能を果たし、較正部41において較正された温度較正係数Kの最新値から温度較正係数Kの初期値が適正に設定される。
また、劣化判定部48は、温度較正係数Kの初期値が特性点検部40による点検の結果に基づいて適正に取得できたと判定した場合に、状態フラグFを、温度較正係数Kの初期値が設定されたことを示す値に設定する。
較正部41における較正は、瞬時の観測に基づくいわゆるワンショット学習ではなく、上述のように、徐々に導出される温度較正係数Kの増減を繰り返すことによって積分的に行われ、そうして導出される温度較正係数Kの最新値が飽和状態(サチュレート状態)に至って適正に取得できた(較正が完了した)と判定されるときに、劣化判定部48は状態フラグFをオン状態である「1」へと設定して、それ以降の温度較正係数Kの初期値の変更を禁止する。これにより、劣化判定部48が導出する温度較正係数Kの初期値は、再現性に優れた値のものとされる。
なお、上記温度較正係数Kの最新値、温度較正係数Kの初期値、及び状態フラグFは、外部の端末装置からの指令により所望の値に書き換え可能であってもよい。この場合、温度較正係数K及び状態フラグFは、外部端末装置としてのOBD診断機を介した操作で書き換えされることが好ましい。
たとえば、使用過程にある自動車のメンテナンス時に酸素センサ12を劣化品から新品に交換した場合は、OBD診断機による操作でECU15の学習値リセットコマンドの発動を行い、温度較正係数Kや状態フラグFなどの各パラメータを初期化することによって劣化判定部48による上記センサヒータ12bが劣化しているとの判定を解除する必要がある。これを行う操作機能を提供するために、ECU15は外部の端末装置と連携することができる。
ただしこの場合、センサ素子12aからの電圧値VHGの波高(振れ幅)は、センサ素子12aの実際の温度(真実値)に応じて変化するので、ECU15において、電圧値VHGの波高を読み取り、かつ、読み取った波高とセンサヒータ12bの抵抗値から読み取って求められるセンサ素子12aの温度Tとの対応関係が上記のデータマップと適合するか否かを特性点検部40により点検する際には、センサヒータ12bの温度を適温に制御する必要がある。すなわち、センサヒータ12bの温度が冷えすぎていても熱すぎていても適切な点検ができない。
そこで、本実施形態では、さらに、ECU15に、温度較正係数Kの逆数をセンサ素子12aの温度Tに乗じることにより、ヒータ発熱制御部22を制御するための温度Tcを求めるヒータ制御用温度導出部50を設け、ヒータ発熱制御部22により、温度Tcが目標温度Ttrgとなるようにセンサヒータ12bを発熱させる。
ヒータ制御用温度導出部50は、温度較正係数Kの最新値をKn、センサ素子12aの温度TをTnとすれば、次式によりセンサヒータ12bを制御するための温度Tcを求める。
Tc=Tn×(#1/Kn)
ヒータ発熱制御部22は、この温度Tcと、目標温度Ttrgとの差分に応じてパルス幅変調した電圧を印加してセンサヒータ12bを発熱させる。
これにより、特性点検部40による点検が適切に行われ、ひいてはセンサヒータ12bの劣化有無の判定が適切に行われる。なお、この場合、目標温度値Ttrgは一定値に限らず、較正部41に連動させる形で振動的に動かすように設定してもよい。すなわち、温度条件を変えながら多点的に学習して温度校正係数Kを導出することもできる。
以上のように、本実施形態によれば、温度較正係数Kの初期値と、較正部41で求める温度較正係数Kの最新値との差の絶対値が予め定めた劣化判定値よりも大きい場合にはセンサヒータ12bが劣化していると判定する劣化判定部48を設けたので、センサヒータ12bの抵抗値から読み取るセンサヒータ12bの温度Tの較正や劣化の判定を行うに際して従来必要であったセンサヒータ12bの実際の温度を測定するための追加の温度センサを不要とすることができる。
また、内燃機関が作動している間に較正部41に連動させる形でセンサヒータ12bの劣化有無を判定できるので、従来の劣化有無を判定できるタイミングが来るまで長時間待たされるといった不都合を回避することができる。したがって、低コストでかつ動作制約の少ないセンサヒータ12bの劣化有無を判定できる内燃機関の制御装置を提供することができる。
また、劣化判定部48は、状態フラグFが温度較正係数Kの初期値が未設定であることを示す場合には、温度較正係数Kの初期値を最新値と同一の値に設定し、状態フラグFが温度較正係数Kの初期値が設定されたことを示す場合には、以降の温度較正係数Kの初期値の変更を禁止したので、較正部で取得された温度較正係数Kの最新値によって温度較正係数Kの初期値を設定することができる。
また、劣化判定部48は、温度較正係数Kの初期値が適正に取得できたと判定した場合に、不揮発性メモリであるフラグ記憶部49の状態フラグFを、「1」(オン状態)に設定するので、温度較正係数Kの最新値が飽和状態へ至って適正にヒータ部の状態を捕捉できたと判定される以降に、状態フラグFをオン状態へと継続的に保持することができる。また、適正に取得された温度較正係数Kの初期値を再現性に優れた値に維持することができる。
また、劣化判定部48は、外部の端末装置からの指令により、前記温度較正係数の最新値、前記温度較正係数の初期値、及び前記状態フラグを所望の値に書き換え可能としたので、使用過程にある自動車のメンテナンス時に酸素センサ12を劣化品から新品に交換した場合に、外部端末装置としてのOBD診断機を介した操作で使用過程にあるセンサヒータ12bが劣化しているとの判定等を解除することができる。
また、ヒータ制御用温度導出部50が求める温度Tcと目標温度Ttrgとの差分に応じてヒータ発熱制御部22によりセンサヒータ12bを発熱させるので、センサヒータ12bの温度を適温に制御し、特性点検部40による点検を適切に行い、ひいてはセンサヒータ12bの劣化有無の判定を適切に行うことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、上述の実施の形態では、第1較正倍率値C1をデータマップ及びルックアップテーブルの複数の第1目盛値G1にそれぞれ乗じることにより、所謂アフィン変換の要領でデータマップ及びルックアップテーブルを実質的に拡大又は縮小することで較正するもの(式(6a))であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、データマップ及びルックアップテーブルを走査する制御用の温度に第1較正倍率値C1を乗じる構成であってもデータマップ及びルックアップテーブルを実質的に拡大又は縮小することが可能であり、このとき、記憶部34に記憶されている複数の第1目盛値G1の較正前の値をTk(摂氏温度)、較正後の制御用第1目盛値をTkcalとした場合に、データマップ及びルックアップテーブルを走査するための走査制御用の温度値Tcon(摂氏温度)は、次式(6b)により求めることができる。
Tkcal=Tk
Tcon=(T+TD+273.15)×(1/C1)-273.15
(6b)
上述の式(6a)あるいは式(6b)いずれを用いる構成であっても、実際に計測した電圧値(検出値)VHGconの波高値がリッチ側及びリーン側閾値に合致する(波高の尖頭が閾値に重なる)ように較正して正確な空気過剰率を算出し、適切な空燃比フィードバック制御を行うことができる。また、特性点検部40による点検を適切に行いつつセンサヒータ12bの劣化有無の判定を適切に行うことができる。
また、上述の実施の形態では、温度Tconを設定するための基準値Trefを、冷却水温センサ17により得られるエンジン温度に吸気温センサ8により得られる吸気温度を加えて2で除する{Tref=(エンジン温度+吸気温度)÷2}ことにより設定しているが、これに限定されることなく、例えば、冷却水温センサ17により得られるエンジン温度又は吸気温センサ8により得られる吸気温度のいずれか一方のみから温度Tconを設定するための基準値Trefを算出するようにしてもよい。
1…機関本体、2…吸気管、3…スロットル弁、4…エアクリーナ、5…スロットルセンサ、6…燃料噴射弁、7…吸気圧センサ、8…吸気温センサ、9…ピストン、10…排気管、11…触媒、12…酸素センサ、12a…センサ素子(検出部)、12b…センサヒータ、13…点火プラグ、14…点火装置、15…ECU(電子制御ユニット)、17…冷却水温センサ、18…クランク軸、19…クランク角度センサ、19a…ロータ、19b…ピックアップ、20…大気圧センサ、22…ヒータ発熱制御部、23…温度算出部、23a…ヒータ温度読取部、23b…検出部温度推定部、24…電圧算出部、25…過剰率算出部、26…代替値演算部、27…回転速度演算部、28…目標値演算部、29…基本噴射量演算部、30…フィードバック係数演算部、31…噴射量演算部、32…トルク演算部、33…限界閾値設定部、34…記憶部、35~38、35b、36b、35c、36c、35d、36d、35e、36e…グラフ、40…特性点検部、41…較正部、42…温度点検部、43…電圧点検部、44…電圧波形、45…空燃比波形、46…リッチ側尖頭、47…リーン側尖頭、46v、47v…尖頭値、48…劣化判定部、49…フラグ記憶部、50…ヒータ制御用温度導出部。

Claims (5)

  1. 排気脈動を有する内燃機関の排気に接するように設けられ、前記排気のストイキメトリック近傍の酸素濃度において検出部の抵抗値がステップ状に変化する検出部と、前記検出部に隣接するヒータ部とを有し、前記検出部の抵抗値から求める検出値が前記検出部の温度と前記排気脈動とに応じた波高値を有するパルス波状を呈する高温排気ガス内酸素センサと、
    前記ヒータ部の抵抗値に基づいて前記ヒータ部の温度を求めるヒータ温度読取部と、
    前記ヒータ部の温度に基づいて前記検出部の温度を求める検出部温度推定部と、
    複数の空気過剰率値を、前記検出部の温度についての複数の第1目盛値及び前記検出値についての複数の第2目盛値との対応関係を付けて示すデータマップ、並びに前記検出値がリッチ領域、ストイキ領域又はリーン領域の何れの空燃比領域に該当するかを判別するためのリッチ側閾値及びリーン側閾値を前記第1目盛値との対応関係を付けて示すルックアップテーブルを記憶する記憶部と備える内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関の作動時に前記波高値を読み取りつつ、読み取った前記波高値の尖頭が前記空燃比領域の何れに該当するかを点検する特性点検部と、
    前記点検の結果に基づいて、前記第1目盛値を補正して前記対応関係を較正するための温度較正係数を導出する較正部とを備え、
    前記温度較正係数の初期値と最新値との差の絶対値が予め定めた劣化判定値よりも大きい場合には、前記ヒータ部が劣化していると判定する劣化判定部を有することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記劣化判定部は、前記温度較正係数の初期値が設定されたか否かを示す状態フラグを記憶するフラグ記憶部を備え、
    前記状態フラグが前記温度較正係数の初期値が未設定であることを示す場合には、前記温度較正係数の初期値を前記温度較正係数の最新値と同一の値に設定し、
    前記状態フラグが前記温度較正係数の初期値が設定されたことを示す場合には、前記温度較正係数の初期値の変更を禁止することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記劣化判定部は、前記温度較正係数の初期値が前記特性点検部による点検の結果に基づいて適正に取得できたと判定した場合に、前記フラグ記憶部の状態フラグを、前記温度較正係数の初期値が設定されたことを示す値に設定することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 外部の端末装置からの指令により、前記温度較正係数の最新値、前記温度較正係数の初期値、及び前記状態フラグを所望の値に書き換え可能であることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記温度較正係数の最新値をK、前記検出部の温度をTとして、次式によりヒータ制御用の温度Tcを求めるヒータ制御用温度導出部と、
    Tc=T×(#1/K)
    前記ヒータ制御用の温度Tcと、所定の目標温度Ttrgとの差分に応じてパルス幅変調した電圧を印加して前記ヒータ部を発熱させるヒータ発熱制御部とを備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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