JP2022149865A - ペロブスカイト化合物を用いたメゾスコピック光電変換素子並びにそれを用いた発電システム及びその制御方法 - Google Patents

ペロブスカイト化合物を用いたメゾスコピック光電変換素子並びにそれを用いた発電システム及びその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 出力特性が安定したペロブスカイト化合物を用いたメゾスコピック光電変換素子からなる太陽光発電システム、最適動作点探索の新たな電圧電流特性の計測方法を提供する。【解決手段】透明導電層を積層した透明導電性基板上に、電子輸送層、メソポーラスナノ結晶層、絶縁スペーサー層、多孔質正孔収集層がこの順に積層して構成され、かつ前記メソポーラスナノ結晶層、絶縁スペーサー層、多孔質正孔収集層のいずれにもハライド系ペロブスカイト化合物を充填させたメゾスコピック光電変換素子であって、ハライド系ペロブスカイト化合物を構成する有機カチオン構成比が0.95以上である。光電変換部20の端子間電圧を制御する動作点制御部30を備える太陽光発電システムであって、動作点制御部30は、最大出力動作電圧に付加電圧を付加した安定出力動作電圧で、光電変換部20を動作する。最大出力動作電圧近傍の電圧電流特性による動作点の計測時のスキャン時間を、tA<tBとする計測方法である。【選択図】図2

Description

本願発明は、ペロブスカイト化合物を用いたメゾスコピック光電変換素子、光電変換モジュール、光電変換アレイ、それらを用いた太陽光発電システム、太陽電池システムの制御方法に関する。
環境的に持続可能かつ経済的にも存続可能なエネルギー源に対する需要に応えるため、低コストで製造可能な高効率発電システムの実用化研究が広く行われている。光電変換素子は、光吸収材料を利用して太陽光エネルギーを電気エネルギーに直接変換するデバイスであり、光吸収材料としてペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(以下、「ペロブスカイト化合物」という。)として金属ハロゲン化物を用いた光電変換素子が、比較的高い光電変換効率を達成できるとの研究成果が報告され、注目を集めている。中でも溶液処理が可能な有機無機混成ペロブスカイト化合物を表面積の大きなメソポーラスな金属酸化物に担持させたメゾスコピック光電変換素子が注目されている。
特許文献1には、透明導電層を積層した導電ベース上に、正孔ブロッキング層(電子輸送層)、メソポーラスナノ結晶層、絶縁スペーサー層、正孔収集層を積層し、メソポーラスナノ結晶層に担持させたペロブスカイト化合物に担持させた光電変換機能を付与するペロブスカイト化合物を用いたメゾスコピック光電変換素子、すなわち負極側(導電ベース)を主たる入射面とすることで、前記光電変換層で発生した光生成キャリアを外部に取り出すことで効率的な集電を行うペロブスカイト化合物を用いたメゾスコピック光電変換素子とその製造方法が開示されている。
非特許文献1(特に、図5c参照)、特許文献3(特に、図1D参照)には、ペロブスカイト化合物を用いたメゾスコピック光電変換素子において、放射光照射中に光電変換出力が向上することが開示されている。非特許文献2では、この現象の要因について、光誘起あるいは電場誘起によるイオン移動による構造の再配列と提起されているが、未だ解明に至っていない。
また、非特許文献3(特に、図11参照)には、イオン移動に関して、ペロブスカイト化合物を用いたメゾスコピック光電変換素子中のメチルアンモニウム等の有機カチオンがカーボン電極側に移動する現象が報告されている。しかしながら、光電変換出力の振れ幅との因果関係は解明されていない。
特許文献2には、電圧コンバータを制御して太陽電池から出力される電力を迅速に制御する方法開示されている。最大出力動作電圧を制御する太陽電池出力の安定化については開示されていない。
特許文献3には、電圧コンバータにより最大電力を最大電力点追従法により計測する方法において、最大動作電圧の近傍において計測および計測周期を制御する方法が開示されている。
特表2016-523453号公報 特開2015-207238号公報 特開2012-113639号公報
本願発明は、上記課題に鑑み、放射光照射後の光電変換出力が安定するペロブスカイト化合物を用いたメゾスコピック光電変換素子、それを用いた光電変換モジュールを提供することにある。また、該光電変換モジュールを用いた光電変換アレイの出力を安定化する発電システム及び最適動作点探索のための新たな電圧電流特性の計測方法を提供することにある。
本願発明は、下記記載の(態様1)乃至(態様5)で実施できる。
(態様1) 透明導電層を積層した透明導電性基板上に、電子輸送層、メソポーラスナノ結晶層、絶縁スペーサー層、多孔質正孔収集層がこの順に積層して構成され、かつ前記メソポーラスナノ結晶層、絶縁スペーサー層、多孔質正孔収集層のいずれにも下記一般式(1)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を単独又は2以上混合して構成されたペロブスカイト化合物を充填させたメゾスコピック光電変換素子であって、下記一般式(1)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を構成する[A]において、有機カチオン構成比が0.95以上であり、かつ放射照度(100mWcm-2)の放射光照射後2min以降の規格化出力が1.1以上であることを特徴とするメゾスコピック光電変換素子である。
[A][B][X]3 (1)
ここで、[A]は、メチルアンモニウム(CHNH ),ホルムアミジニウムCH(NH32 2+,R(NH32 2+;Rは炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基もしくは芳香族複素環基から選択される有機カチオンまたは、Cs,Rb,Cu,Pd,Pt,Ag,Au,RhもしくはRuから選択される1以上の無機カチオンであり、[B]は、Pb2+,Sn2+から選択される1以上の2価の無機カチオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iから選択されるハロゲン化物アニオンである。
また、規格化出力とは、暗状態で保管したメゾスコピック光電変換素子に、放射照度(100mWcm-2)の放射光を照射した際の出力(変換効率)を1として規格化した出力(変換効率)をいう。
(態様2) 前記ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を構成する有機カチオンが、下記一般式(2)に示す有機カチオンであることを特徴とする(態様1)に記載するメゾスコピック光電変換素子である。
(5-AVA)(MA)1-x (2)
ここで、5-AVAは5-アミノバレリル酸カチオンを表し、MAはメチルアンモニウムカチオンを表す。
(態様3) メゾスコピック光電変換素子を単体、または複数を直列若しくは並列に接続した光電変換モジュールまたは前記光電変換モジュールを複数配列した光電変換アレイで構成される光電変換部と、前記光電変換部の端子間電圧を制御する動作点制御部を備えるメゾスコピック光電変換素子からなる太陽光発電システムであって、前記動作点制御部は、最大電力点追従法により求めた最大出力動作電圧(Vpm)に付加電圧(Vint)を付加した安定出力動作電圧(Vpm+Vint)で、前記光電変換部を動作することを特徴とするメゾスコピック光電素子からなる太陽光発電システムである。
(態様4) 前記メゾスコピック光電変換素子が、(態様1)または(態様2)のいずれかに記載のメゾスコピック光電変換素子であることを特徴とする(態様3)に記載するメゾスコピック光電素子からなる太陽光発電システムである。
(態様5) メゾスコピック光電変換素子を単体、または複数を直列若しくは並列に接続した光電変換モジュールまたは前記光電変換モジュールを複数配列した光電変換アレイで構成される光電変換部を備えるメゾスコピック光電変換素子からなる太陽光発電システムの電圧電流特性による動作点の計測方法であって、前記最大出力動作電圧(Vpm)の近傍における電圧電流特性による動作点の計測時のスキャン時間を、t<tとすることを特徴とするメゾスコピック光電変換素子からなる太陽光発電システムの電圧電流特性による動作点の計測方法である。ここで、tは、最大動作電圧(V)未満におけるスキャン時間であり、t は、最大動作電圧(V)以上におけるスキャン時間である。
本願発明によれば、ペロブスカイト化合物の有機カチオン構成比を0.95以上としたメゾスコピック光電変換素子は、放射光照射後の光電変換出力が安定する。また、太陽光発電システムに動作点制御部を設けることで、光電変換部の端子間電圧(Vat)を最大出力動作電圧(Vpm)以上で保持することができ、出力特性が安定したメゾスコピック光電変換素子からなる太陽光発電システムを提供できる。さらに、電圧電流特性の計測による動作点の計測を、最大出力動作電圧(Vpm)未満となる電圧電流特性領域におけるスキャン時間(t)と最大出力動作電圧(Vpm)以上となる電圧電流特性領域におけるスキャン時間(t)を、t<t とすることで、電圧電流特性曲線における動作点の計測精度を向上できる。
本願発明の実施態様に係るメゾスコピック光電変換素子の断面模式図である。 本願発明の太陽光発電システムの構成を示す模式図である。 太陽電池の電圧電流特性を示す説明図である。 太陽電池の電圧電力特性を示す説明図である。 最大電力点追従方式(インクリメンタルコンダクタンス法)の制御フローチャートである。 本願発明の太陽電池システムの動作点制御部における動作電圧制御フローチャートである。おt 本願発明におけるメゾスコピック光電変換素子の光電変換性能を示すグラフである。 本願発明におけるメゾスコピック光電変換素子からなる太陽電池モジュールの光電変換性能を示すグラフである。 太陽電池モジュールの端子間電圧の制御方法の説明図である。 本願発明の太陽電池モジュールのスキャン時間と電圧電流曲線を示すグラフである。
1.メゾスコピック光電変換素子
本願発明のメゾスコピック光電変換素子の実施態様について、図1を用いて説明する。なお、本願発明のメゾスコピック光電変換素子は、これらの実施態様に適用を限定されるものではない。
図1は、本願発明の第1実施態様に係るメゾスコピック光電変換素子の断面模式図である。メゾスコピック光電変換素子1は、透明導電性基板11に透明導電層12を積層した透明導電性基板13上に、電子輸送層14、メソポーラスナノ結晶層15、絶縁スペーサー層16、多孔質正孔収集層17をこの順で積層した多層構造で構成されている。また、メソポーラスナノ結晶層15、絶縁スペーサー層16、多孔質正孔収集層17には、ペロブスカイト化合物(図示せず)が充填されている。
(1)透明導電性基板
本願発明に用いる透明導電性基板13は、透明導電層12を透明基板11上に積層したものである。透明基板11としては、透明樹脂、光学ガラス、サファイヤ、透光性セラミックスがあり、本願発明のメゾスコピック光電変換素子を構成するに値するものであれば、利用することができる。
透明樹脂としては、耐熱性が高く、耐薬品性及びガス遮断性に優れ、かつ低コストの材料が好適である。例えば、ポリエステル類、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)など、スチレン類、例えば、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)など、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)、シクロオレフィンコポリマー(商品名:アートン)など、脂環式ポリオレフィン(商品名:ゼオノア)など、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、フッ素化環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、セルローストリアセテートがある。
光学ガラスとしては、光学器械用のレンズ,プリズム等に用いられるガラスで,屈折率,アッベ数,および均一性を厳密に制御して作られたものであり、成分中に酸化鉛(PbO)を含まないクラウンガラス系と,酸化鉛(PbO)を含むフリントガラス系の古典的組成のものがある。例えば、クラウン系(SiO-B-RO R=Na,K),フリント系(SiO-B-PbO),バリウムフリント系(SiO-BaO-PbO),バリウムクラウン系(SiO-B-BaO)があり,ほかに希土類とくにランタンを多く含有するランタン系,さらにリン酸塩系,フッ化物含有系などの特殊組成もある。
透光性セラミックスとしては、透光性アルミナ(Al)、透光性マグネシア(MgO)、PLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O)がある。
(2)透明導電層
本願発明の透明導電層12の素材としては、導電性金属類、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン、導電性炭素や導電性高分子に代表される導電性有機材料、具体的には導電性炭素として、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭素繊維、フラーレンがあり、導電性高分子として、ポリアセチレン、PEDOTポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリスチレンスルフォン酸との、オリゴチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレンがある。導電性金属酸化物、例えば、酸化スズ、酸化亜鉛、導電性複合金属酸化物、例えば、インジウム‐スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、Agナノワイヤ、金ナノ粒子、銀ナノ粒子などがある。高い光学的透明性を有するという点で、導電性金属酸化物、導電性複合金属酸化物が好ましく、耐熱性と化学安定性に優れるという点で、インジウム‐スズ複合酸化物(ITO)やインジウム‐亜鉛酸化物(IZO)が特に好ましい。透明導電層を構成する素材においては、その組成内容は他の素材との混合でもよく、また形態なども限定されるものではない。
透明導電層12を透明基板11上に形成する方法は特に限定されるものではない。スパッタ法、蒸着法さらには分散物を塗布する方法などが選定できる。本願発明の透明導電性基板13の光透過率(測定波長:550nm)は、30%以上が好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、60%以上が最も好ましく、特には75%以上が好ましい。透明導電性基板の導電性と透明性は、透明導電層の形成方法を最適化することで、例えば、蒸着時間、分散液塗布量などを最適化することで、両立させることができる。
(3)電子輸送層
本願発明のメゾスコピック光電変換素子1は、透明導電性基板13上に、電子輸送層14を有している。
電子輸送層14は、ペロブスカイト化合物(図示せず)を担持した光電変換機能層で発生した電子を、透明導電性基板13と輸送する機能を有する。電子輸送層14は、この機能を発揮することができる電子輸送材料で形成される。電子輸送材料としては、有機材料(有機電子輸送材料)と無機材料(無機電子輸送材料)がある。有機電子輸送材料としては、[6,6]-Phenyl-C61-Butyric Acid Methyl Ester(PC61BM)等のフラーレン化合物、ペリレンテトラカルボキシジイミド(PTCDI)等のペリレン化合物、その他、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の低分子化合物、又は、高分子化合物等が挙げられる。無機電子輸送材料としては、チタン、スズ、亜鉛、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ガリウム、ネオジウム、パラジウム又はカドミウムの酸化物(TiO、SnO、ZnO、Nb、Ta、WO、W、In、Ga、Nd、PbO、CdO)がある。
本願発明の本願発明のメゾスコピック光電変換素子1は、焼成工程を経て形成されることから無機材料(無機電子輸送材料)が好ましい。電子輸送層14は、無機電子輸送材料をスパッタ法、蒸着法さらには分散物を塗布する方法などで形成できる。
電子輸送層14の膜厚は、特に限定されず、0.001~10μmが好ましく、0.01~1μmがより好ましい。なお、短絡防止層ともいい、光電変換層と導電性基板の間に設けることで、光電変換層と導電性基板とが電気的に接続した場合に生じる逆電流を防止する機能を果たす。
(4)メソポーラスナノ結晶層
本願発明のメソポーラスナノ結晶層15は、光電変換機能を有するペロブスカイト化合物を担持して光電変換層を形成する機能を担う。メソポーラスナノ結晶層15は、この機能を発揮できるメソポーラス金属酸化物で形成される。ここで、本願発明のメソポーラス材料及びナノ結晶材料などは本分野の普通の定義に満たすものである。すなわち、メソポーラス材料とは孔径が2~100nmにある多孔材料、ナノ結晶材料とは寸法が1~100nmにあり、結晶体構成のあるナノ材料のことである。
メソポーラス金属酸化物としては、TiO、SnO、ZnO、Nb、Ta、WO、W、In、Ga、Nd、PbO、CdO、BaSnO、BaTiO、(NaBi1-x)TiO等がある。
本願発明のメソポーラスナノ結晶15の結晶顆粒径は、20~100nm、好ましくは20~50nmであり、メソポーラスナノ結晶層15の厚みは、後述する絶縁スペーサー層16との関係で適宜選択できる。例えば、メソポーラスナノ結晶層15(500nm~700nm)とし絶縁スペーサー層16(1000nm~3000nm)とする場合と、メソポーラスナノ結晶層15(1000nm~3000nm)とし絶縁スペーサー層16(10nm~50nm)とする場合がある。
メソポーラスナノ結晶層15(500nm~700nm)とし絶縁スペーサー層16(1000nm~3000nm)とする場合は、メソポーラスナノ結晶層15と絶縁スペーサー層16は、グラビア塗布法、バー塗布法、印刷法、スプレー法、スピンコーティング法、ディップ法、ダイコート法等で成膜することができる。
メソポーラスナノ結晶層15(1000nm~3000nm)とし絶縁スペーサー層16(10nm~50nm)とする場合は、メソポーラスナノ結晶層15は、印刷プロセスで形成した微多孔質構造であるが、絶縁スペーサー層16は、真空蒸着法で形成したアモルファス構造となる。
なお、絶縁スペーサー層16(10nm~50nm)とするのは、本願発明のメゾスコピック光電変換素子(1)では、メソポーラスナノ結晶層15に多孔質正孔収集層17側からペロブスカイト化合物を構成し得る前駆体を含む溶液を滴下充填するためには、アモルファス構造となる絶縁スペーサー層16の膜厚を10nm~50nmの薄膜とする必要があるからである。
(5)絶縁スペーサー層
本願発明の絶縁スペーサー層16は、光電変換機能を有するペロブスカイト化合物を担持した光電変換層で生じた光生成キャリア(正孔)を多孔質正孔収集層17へ輸送する正孔輸送機能を担う。
本願発明の絶縁スペーサー層16は、メソポーラス金属酸化物で構成される。メソポーラス金属酸化物としては、ZrO、SiO、Al、CaTiO、BaTiO、PbZrO、BaTiO、PbTiO、PbZrO、ZnTiO、BaZrO、Pb(Zr1-xTix) O、(LaPb1-y)(Zr1-xTi)O、(1-x)[Pb(Mg1/3Nb2/3)O]・x[PbTiO]、BiFeO、Pb(Zn1/3Nb2/3)O、Pb(Mg1/3Nb2/3)O、(Na1/2Bi1/2)TiO、TiO、(K1/2Bi1/2)TiO、LiNbO、KNbO、KTaO等がある。
本願発明の絶縁スペーサー層16の粒径は、10~100nm、好ましくは10~50nmであり、前述したメソポーラスナノ結晶15に比べて小さい。絶縁スペーサー層16の緻密度は、メソポーラスナノ結晶15の緻密度に比べて大きいことが好ましいからである。
本願発明の絶縁スペーサー層16の膜厚は、前述したメソポーラスナノ結晶層15との関係で適宜選択できる。例えば、メソポーラスナノ結晶層15(500nm~700nm)とし絶縁スペーサー層16(1000nm~3000nm)とする場合と、メソポーラスナノ結晶層15(1000nm~3000nm)とし絶縁スペーサー層16(10nm~50nm)とする場合がある。
(6)多孔質正孔収集層
本願発明の多孔質正孔収集層17は、正極としての機能を担う多孔質導電性物資で構成される。具体的には多孔性金属類(白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン)、多孔性導電性炭素(カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭素繊維、フラーレン)、多孔性導電性高分子(ポリアセチレン、PEDOTポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリスチレンスルフォン酸との、オリゴチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン)、多孔性金属酸化物(酸化スズ、酸化亜鉛)、多孔性導電性複合金属酸化物(インジウム‐スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO))、Agナノワイヤ、金ナノ粒子、銀ナノ粒子などがある。耐熱性と化学安定性に優れるという点で、多孔性金属類、多孔性導電性炭素、多孔性金属酸化物、多孔性導電性複合金属酸化物が特に好ましい。
本願発明の多孔質正孔収集層17は、の粒径は、20~100nm、好ましくは20~50nmであり、膜厚は、50nm~10000nmである。
(7)ペロブスカイト化合物
本願発明のメゾスコピック光電変換素子1の光電変換機能層は、下記一般式(1)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を単独又は2以上混合して構成されたペロブスカイト化合物をメソポーラス金属酸化物に担持することで形成される。
[A][B][X]3 (1)
ここで、[A]は、メチルアンモニウム(CHNH ),ホルムアミジニウムCH(NH32 2+,R(NH32 2+;Rは炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基もしくは芳香族複素環基から選択される有機カチオンまたは、Cs,Rb,Cu,Pd,Pt,Ag,Au,RhもしくはRuから選択される1以上の無機カチオンであり、[B]は、Pb2+,Sn2+から選択される1以上の2価の無機カチオンであり、[X]は、F,Cl,Br,Iから選択されるハロゲン化物アニオンである。
本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物としては、[A]成分の有機カチオン構成比が0.95以上のものを好適に用いることができる。特に、[A]成分が有機カチオンのみで、5-アミノ吉草酸(5-AVA)カチオン及びメチルアンモニウム(MA)カチオンの構成比が(5-AVA)(MA)1-xとなるものをより好適に用いることができる。
このようなハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物をメソポーラス金属酸化物に担持することで、放射照度(100mWcm-2)の放射光照射後2min以降の規格化出力が1.1以上であることを特徴とするメゾスコピック光電変換素子を実現できるからである。これは、メソポーラス金属酸化物の構造体でのハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物の充填密度が高くなるからである。これにより、放射光を照射時に開放電圧及び曲線因子が向上するからである。
本願発明に用いるハライド系ペロブスカイト化合物前駆体溶液を調製するための溶剤としては、ハライド系ペロブスカイト化合物前駆体を溶解できるものであれば特に限定するものではない。エステル類(例、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等)、ケトン類(例、γ-ブチロラクトン、Nメチル-2-ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等)、アルコール類例、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-メチル-2-ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール等)、グリコールエーテルセロソルブ類(例、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)、アミド系溶剤例、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等)、ニトリル系溶剤例、アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等)、カーボート系剤(例、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ハロゲン化炭化水素(例、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等)、炭化水素(例、n-ペンタン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ジメチルスルホキシドがある。これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の官能基即ち、-O-、-CO-、-COO-、-OH)のいずれかを二つ以上有していてもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。
本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物は、前駆体溶液を用いた自己組織化反応により合成することができる。本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物の薄膜は、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を有機溶剤に溶解した後、グラビア塗布法、バー塗布法、スクリーン印刷法、スプレー法、スピンコーティング法、ディップ法、ダイコート法等の塗布方法によって形成できる。また、真空蒸着法により被膜を形成できる。本願発明の光電変換層の膜厚は、1~500nmが好ましい。
2.メゾスコピック光電素子からなる太陽光発電システム
本願発明のメゾスコピック光電素子からなる太陽光発電システム(以下、「太陽光発電システム」という。)は、メゾスコピック光電変換素子を単体、または複数を直列若しくは並列に接続した光電変換モジュールまたは前記光電変換モジュールを複数配列した光電変換アレイで構成される光電変換部と、前記光電変換部の端子間電圧を制御する動作点制御部を備える太陽光発電システムである。本願発明の太陽光発電システムの実施態様について、図2を用いて説明する。なお、本願発明の太陽光発電システムは、これらの実施態様に適用を限定されるものではない。
図2は、本願発明の太陽光発電システムの構成を示す模式図である。太陽光発電システム2は、光電変換部20と負荷装置39との間に設けられた光電変換部20の端子間電圧を制御する動作点制御部30、インバータ回路31およびインバータ制御部32を備えている。
光電変換部20は、メゾスコピック光電変換素子1に集電配線、ガラスコーティングを施して発電機能を持たせた光電変換モジュール21を複数配列して集合配線22により相互に連結、接続することにより集合構成された光電変換アレイ23からなる。光電変換モジュール21を複数配列した光電変換アレイ23とすることで、メゾスコピック光電変換素子1の光入射側の面を大面積化することにより、光電変換効率を向上させることができる。ただし、光電変換アレイ23でなく、光電変換モジュール21単独または光電変換モジュール21を直列に配線した光電変換ストリングであっても問題はない。また、集電配線を接続する集合配線22の接続形態は、光電変換アレイ23として所望する電圧、電流に従い任意に決定することができ、直列、並列、これらの組み合わせた形態であってもよい。
動作点制御部30は光電変換部20の端子間電圧を最大出力動作電圧(Vpm)以上の安定出力動作電圧(Vpm+Vint)で保持して太陽光発電システムの出力を安定化する役割を担う。光電変換部20の端子間電圧を電圧電流特性の最適動作点(最大電力点(MMP;Maximum Power Point)ともいう。以下、「最適動作点」とする。)における最大出力動作電圧(Vpm)以上の電圧で動作することで、光電変換部20から負荷装置39への出力特性を安定化することができる。
インバータ回路31は、インバータ制御部32によって制御され、光電変換部20の出力電圧を直流から交流に変換する直交変換機能と、光電変換部20の出力電圧及び出力電流を調整する動作点調整機能を担う。ここで、動作点とは、光電変換部20の出力特性を、縦軸に電流、横軸に電圧をとって表現する電圧電流曲線上の座標成分(位置)をいう。
本願発明の動作点制御について説明する。図3は、太陽電池の電圧電流特性を示す説明図である。電圧電流特性は、太陽電池の出力電圧と、太陽電池の正極端子から流出する出力電流との関係を示し、縦軸に電流、横軸に電圧をとって表現する。ここでは、インピーダンスが変化する負荷装置が太陽電池に接続されているものとする。
太陽電池が開放状態とされ、太陽電池の出力電流がゼロであるときは太陽電池における電圧降下はなく、出力電圧は最大となる。開放電圧(Voc)である。このときの出力電力はゼロである。太陽電池に対する負荷インピーダンスを変化させて出力電流が増加すると、太陽電池における電圧降下が大きくなる。太陽電池の出力電力は、電圧電流特性曲線上の座標点における出力電圧と出力電流との積であり、ハンチングを施した長方形の面積(S)で表される。この面積(S)が最大となる電圧電流特性曲線上の座標点(最適動作点)で、太陽電池の出力電力が最大となる。最適動作点における電圧値を最大出力動作電圧(Vpm)、最適動作点における電流値を最大出力動作電流(Apm)という。なお、出力電流が最大出力動作電流(Apm)より大きくなると、出力電圧はゼロまで減少し、太陽電池の出力電力はゼロとなる。
このように、太陽電池には内部抵抗があり、太陽電池に電流が流れると電圧降下によって太陽電池の出力電圧は減少する。電圧電流特性曲線上には、出力電力が最大となる最適動作点が存在し、出力電圧および出力電流が最適動作点における値にとなるように太陽電池に対する負荷インピーダンスを調整することで、太陽電池から最大出力電力が得られる。
図4は、太陽電池の負荷インピーダンスを変化させて、出力電圧に対する出力電力の特性(電圧電力特性)を示す説明図である。横軸は出力電圧、縦軸は出力電力を示す。出力電力は、出力電圧の増加に伴って増加し(dP/dV>0)、最適動作点において極大値(dP/dV=0)に達した後、減少し(dP/dV<0)、ゼロに達する。
本願発明の太陽電池システムでは、動作点制御部30の最適動作点探索部33が、本願発明の最大電力点追従(MPPT)方式の制御方法(以下、「制御A」という。)を用いて最適動作点を特定する。制御Aとしては、インクリメンタルコンダクタンス法を好適に用いることができる。最適動作点に達すると電圧値が一定となり、本願発明の太陽電池システムを安定して動作できるからである。ここで、インクリメンタルコンダクタンス法とは、コンダクタンス(電圧電流特性曲線上の任意の座標点の接線傾き;dI/dV)をその最適値に追従するよう制御する方法である。下記の式(3)に示すように電圧電力特性において、最適動作点での傾きは(dP/dV=0)ゼロとなり、コンダクタンスは負となる。この特性を利用して、最適動作点での電流(I)、電圧(V)の振幅を調節することで追従特性を向上させる方法である。インクリメンタルコンダクタンス法の制御フローチャートを図5に示す。
なお、最大出力動作電圧(Vpm)より大きな電圧で動作可能な制御方法であれば、インクリメンタルコンダクタンス法に限定されるものではない。
Figure 2022149865000002
本願発明の太陽電池システムは、電圧電力特性において、最適動作点における最大出力動作電圧(Vpm)を超える電圧(以下、「安定出力動作電圧」という。)において、光電変換出力が安定化するという特徴を有する。このため、制御Aで求めた最大出力動作電圧(Vpm)に付加する電圧(以下「付加電圧(Vint)」という。)をシステム上設定し、制御Aで求めた最大出力動作電圧(Vpm)に付加電圧(Vint)を付加した安定出力動作電圧(Vpm+Vint)を光電変換部20の動作電圧値とする制御を備えることで太陽電池システムの安定化を実現できる。
図6は、本願発明の太陽電池システムの動作点制御部30における動作電圧制御のフローチャートである。最適動作点探索制御部34は、負荷装置39により出力電圧を変化させながら最適動作点探索部33に制御Aにより最適動作点を探索させる(S01)。付加電圧設定部35は、最適動作点探索制御部34の情報に基づき付加電圧(Vint)を設定する(S02)。動作電圧出力部36は、最適動作点探索部33の情報に基づく最大出力動作電圧(Vpm)を読み取り(S03)、付加電圧(Vint)を加えて安定出力動作電圧(Vpm+Vint)をインバータ制御部32に出力する(S04)。
なお、入力電流センサ37は、光電変換部20から動作点制御部30に流れる電流を検出し、入力電圧センサ38は、光電変換部20から動作点制御部30に出力される電圧を検出する。
3.動作点計測方法
本願発明の太陽電池システムは、電圧電流特性の計測による動作点の計測を、最大出力動作電圧(Vpm)未満となる電圧電流特性領域におけるスキャン時間(t)と最大出力動作電圧(Vpm)以上となる電圧電流特性領域におけるスキャン時間(t)を、t<t とする。電圧電流特性曲線における動作点の計測精度は、スキャン時間に依存する。したがって、動作点の計測精度を高めるためには、最適動作点近傍の計測頻度を高める必要があるからである。
ここで、最大出力動作電圧(Vpm)未満となる電圧電流特性領域とは、印加電圧(Vap)が最適動作点の電圧値(最大出力動作電圧(Vpm)値)より小さい領域をいい、最大出力動作電圧(Vpm)以上となる電圧電流特性領域とは、印加電圧(Vap)が最適動作点の電圧値(最大出力動作電圧(Vpm)値)以上の領域をいう。
ここで、スキャン時間とは、計測時間をいい、電圧電流特性の計測において、印加電圧(Vap)をゼロから開放電圧値までの複数点で測定するのに要する時間である。10sec~30secである。
最大出力動作電圧(Vpm)未満となる領域におけるスキャン時間(t)が長いと、光電変換部20の電位差が低い時間が長くなり、電位差に起因する電圧特性の向上を享受できないため、電圧電流特性曲線に歪が生じるからである。このため、電圧電流特性の計測による動作点の計測の精度が低下する。
1.メゾスコピック光電変換素子
本願発明の効果を奏するメゾスコピック光電変換素子の実施態様を表1、図7及び実施例として以下に示す。なお、本願発明におけるメゾスコピック光電変換素子の評価は、以下の<実施例1>に記載した評価方法に従って実施した。
Figure 2022149865000003
<実施例1>
(1)機能層形成工程
(1-1)透明導電性基板の作製
ホウケイ酸ガラス基板(Soda Glass)上に、CVD法により、膜厚1μm、シート抵抗10Ω/cm□のFTO(フッ素ドープ酸化錫)膜が形成されたFTO基板を用意した。このFTO基板を、水、アセトン及びエタノールで洗浄し、乾燥した後、紫外オゾンランプ照射により有機物除去して、成膜基材(FTO基板)を作製した。
(1-2)電子輸送層の成膜と焼成
酸化チタン前駆体を含む前駆体溶液(TIAAの2プロパノール溶液、アルドリッチ製)を、ホットプレート上にて550℃に加熱した上記成膜基材(FTO基板)上にスプレー塗布した。塗布された溶液は、空気中の水分と反応すると共に、有機分がCOとして排出されることで、50nm厚程度の酸化チタン層(電子輸送層)が基材上に形成された。その後、45分間500℃の焼成を行い、酸化チタンからなる電子輸送層を成膜した。
(1-3)メソポーラスナノ結晶層の成膜と焼成
常温に冷却した後、酸化チタンナノ粒子(平均粒子径:20nm程度)を含むペースト(日揮触媒化成社製TiOゾル)を電子輸送層の上にスクリーン印刷し、150℃で6分間加熱乾燥した後に、オーブンにて最高500℃にて焼結することで、500nm厚の酸化チタンからなるメソポーラス酸化チタンナノ結晶層を成膜した。
(1-4)絶縁スペーサー層の成膜と焼成
常温に冷却した後、二酸化ジルコニウムナノ粒子(平均粒子径:20nm程度)を含むペースト(SOLARONIX社製 Zr-Nanoxideペースト,インク媒体としてテルピネオールを使用)をメソポーラスナノ結晶層の上にスクリーン印刷し、150℃で6分間加熱乾燥した後に、オーブンにて最高500℃にて焼結することで、1000nm厚の二酸化ジルコニウム多孔質体からなる絶縁スペーサー層を成膜した。
(1-5)多孔質正孔収集層の成膜と焼成
常温に冷却した後、炭素電極ペースト(粒子径:1~20nm程度)を含むペースト(SOLARONIX社製 エルコカーブB/SP)を絶縁スペーサー層の上にスクリーン印刷し、オーブンにて400℃にて焼結することで、15000nm厚の多孔質炭素からなる多孔質正孔収集層を成膜した。
以上のようにして、多孔質正孔収集層/絶縁スペーサー層/メソポーラス酸化チタンナノ結晶層/電子輸送層/FTO基板、からなるメゾスコピック光電変換素子の機能層を形成した。
(2)光電変換機能層形成工程
(2-1)ハライド系ペロブスカイト化合物前駆体溶液の調製
以下に、実施例、比較例で採用するハライド系ペロブスカイト化合物前駆体溶液を調製した。
<C-1>
スクリューバイアル瓶内に、溶質としてヨウ化鉛〔PbI〕(東京化成工業社製)0.6mmol、ヨウ化メチルアンモニウム〔CH3NH3I〕(GreatCell Solar社製)0.6mmol、ヨウ化ルビジウム〔RbI〕(シグマアルドリッチ社製)0.0075mmol、5-アミノ吉草酸よう化水素酸塩〔NH(CHCOH〕(GreatCell Solar社製)0.03mmol、ヨウ化セシウム〔CsI〕(富士フイルム和光純薬社製)0.0075mmolを入れ、かつ、溶媒としてγブチロラクトン〔C〕およびジメチルスルホキシド〔COS〕を96:1の比率で混合し、溶質が43wt%の濃度となるように溶液を調製した。温度を60℃に設定し、マグネッチックスターラーにより3時間撹拌した。
<C-2>
スクリューバイアル瓶内に、溶質としてヨウ化鉛〔PbI〕(東京化成工業社製)0.6mmol、ヨウ化メチルアンモニウム〔CH3NH3I〕(GreatCell Solar社製)0.51mmol、ヨウ化ルビジウム〔RbI〕(シグマアルドリッチ社製)0.027mmol、5-アミノ吉草酸よう化水素酸塩〔NH(CHCOH〕(GreatCell Solar社製)0.03mmol、ヨウ化セシウム〔CsI〕(富士フイルム和光純薬社製)0.028mmolを入れ、かつ、溶媒としてγブチロラクトン〔C〕およびジメチルスルホキシド〔COS〕を26:1の比率で混合し、溶質が43wt%の濃度となるように溶液を調製した。温度を60℃に設定し、マグネッチックスターラーにより3時間撹拌した。
<C-3>
スクリューバイアル瓶内に、溶質としてヨウ化鉛〔PbI〕(東京化成工業社製)0.6mmol、ヨウ化メチルアンモニウム〔CH3NH3I〕(GreatCell Solar社製)0.48mmol、ヨウ化ルビジウム〔RbI〕(シグマアルドリッチ社製)0.027mmol、5-アミノ吉草酸よう化水素酸塩〔NH(CHCOH〕(GreatCell Solar社製)0.044mmol、ヨウ化セシウム〔CsI〕(富士フイルム和光純薬社製)0.045mmolを入れ、かつ、溶媒としてγブチロラクトン〔C〕およびジメチルスルホキシド〔COS〕を15:1の比率で混合し、溶質が43wt%の濃度となるように溶液を調製した。温度を60℃に設定し、マグネッチックスターラーにより3時間撹拌した。
<C-4>
スクリューバイアル瓶内に、溶質としてヨウ化鉛〔PbI〕(東京化成工業社製)0.6mmol、ヨウ化メチルアンモニウム〔CH3NH3I〕(GreatCell Solar社製)0.57mmol、5-アミノ吉草酸よう化水素酸塩〔NH(CHCOH〕(GreatCell Solar社製)0.03mmolを入れ、かつ、溶媒としてγブチロラクトン〔C〕用い、溶質が43wt%の濃度となるように溶液を調整した。温度を60℃に設定し、マグネッチックスターラーにより3時間撹拌した。
(2-2)光電変換機能層形成
機能層形成工程で製作した多孔質正孔取集層/絶縁スペーサー層/メソポーラス酸化チタンナノ結晶層/電子輸送層/FTO基板、からなるメゾスコピック光電変換素子の機能層に、調製したハライド系ペロブスカイト化合物前駆体溶液(40wt%)を多孔質正孔取集層側からインクジェット方式印刷装置により(1cm当たり4μl)滴下し、30min放置してメソポーラス酸化チタンナノ結晶層/電子輸送層の界面までハライド系ペロブスカイト化合物前駆体溶液を浸透させ、50℃に加熱してハライド系ペロブスカイト化合物前駆体皮膜をメソポーラス酸化チタンナノ結晶層に光電変換機能層を形成した。
(3)減圧加熱アニール処理工程
メソポーラス酸化チタンナノ結晶層に光電変換機能層を形成したメゾスコピック光電変換素子を加熱機能付き減圧チャンバーに入れ、減圧加熱下(80℃、100Pa)で、5min、減圧加熱アニール処理を行った。
(4)光エイジング処理工程
太陽光標準スペクトル(A.M.1.5G)とのスペクトル合致度としてAクラスの白色光(100mW/cm)を照射可能な擬似太陽光源(ソーラーシミュレータ、ペクセル・テクノロジーズ社製、PEC-L15)を使用して、100mW/cmの擬似太陽光を5min照射した。
放射光強度は、アモルファスシリコンフォトダイオード検知器(分光計器社製、BS-250BK)により出力電流値を確認し、光源の電流値を増減させることで調整した。
(4)光電変換機能評価
太陽光標準スペクトル(A.M.1.5G)とのスペクトル合致度としてAクラスの白色光(100mW/cm)を照射可能な擬似太陽光源(ソーラーシミュレータ、ペクセル・テクノロジーズ社製、PEC-L15)を使用して、100mW/cmの擬似太陽光を照射し、0min、1min、2min、7min、10min、30min毎に、電圧電流特性を計測した。
メゾスコピック光電変換素子が光照射中に温度が上昇し、格子間が膨張することで歪が緩和することや、ペロブスカイト化合物の結晶化が促進すること等の温度に起因する性能の変動を排除するため、ペルチェ素子(冷却モジュール)、冷却ファン、エアコンディショナにより温度調整を行い、光照射中のメゾスコピック光電変換素子の温度を34±0.5℃に維持した。
なお、光照射中のメゾスコピック光電変換素子の温度は、デジタルサーモテープ(日油技研工業社製、型式D-16)を光照射面に貼り付けて監視した。
光照射強度は、白色光(100mW/cm)照射時の電流値が既知のSi系フォトダイオード検出器(分光計器社製BS-520BK)により光照射強度の値を定量化した。
<実施例2>
光エイジング処理及び光電変換機能評価における放射光光源を、0.1mW/cmの室内光(分光計器社製、BLD-100)を用いて、JEITA規格ET-9101「屋内光での太陽電池の性能評価方法」に準ずるものに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてメゾスコピック光電変換素子の光電変換性能評価を行った。
<比較例1>
ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物(C-2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のメゾスコピック光電変換素子の光電変換性能評価を行った。
<比較例2>
ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物(C-3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のメゾスコピック光電変換素子の光電変換性能評価を行った。
<まとめ>
有機カチオンの構成比が0.95以上のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物(C-1)を採用したメゾスコピック光電変換素子(実施例1、2)は、放射光照射中に開放電圧および曲線因子が向上し、2min以上放射光を照射することで光電変換特性(規格化出力)が安定した(図7)。一方、有機カチオンの構成比が0.91以下のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物(C-2、C-3)を採用したメゾスコピック光電変換素子(比較例1、2)は、2min以上放射光を照射しても光電変換特性(規格化出力)は向上しなかった。有機カチオンの構成比が0.95以上のペロブスカイト化合物のメソポーラス構造体での充填密度が高く、ビルトインポテンシャルが低くなるための推定できる。
2.太陽電池モジュール
光エイジング条件及び端子間電圧(最大出力動作電圧との差分で表示)が、メゾスコピック光電変換素子からなる太陽電池モジュールの光電変換性能に及ぼす効果を表2、図8に示す。
図9は、太陽電池モジュールの端子間電圧の制御方法の説明図である。開放状態(上段)および短絡状態における太陽電池の等価回路を示す。破線内が太陽電池の等価回路であり、開放電圧では開放電圧が端子間電圧(Vat:Voltage across-terminal)と等しくなり、短絡状態では可変抵抗(Rvr:variable resistor)により端子間電圧(Vat)の値が変動し、可変抵抗(Rvr)がゼロになったとき、配線抵抗は無視できるほど小さい値となるため、端子間電圧(Vat)はゼロとなる。
Figure 2022149865000004
<実施例3>
(1)光電変換モジュールの作製
ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物(C-4)として実施例1と同様に得たメゾスコピック光電変換素子を3枚直列に接続して実施例3のメゾスコピック光電変換素子からなる太陽電池モジュールを作製した。
(2)光電変換機能評価
メゾスコピック光電変換素子モジュールを太陽光標準スペクトル(A.M.1.5G)とのスペクトル合致度としてAクラスの白色光(100mW/cm)を照射可能な擬似太陽光源(ソーラーシミュレータ、ペクセル・テクノロジーズ社製、PEC-L15)を使用して、100mW/cmの放射光(JIS C8904-1に準拠)を5min照射して光エイジング処理を行った後、前記100mW/cmの放射光(JIS C8904-1に準拠)下で、端子間電圧1.2V、0.4V、0V毎に電圧電流特性を計測した。なお、100mW/cmの放射光照射時の最大出力動作電圧は、1.5Vであった。
<比較例3>
実施例3で製作した太陽電池モジュールを実施例3と同様の条件で光エイジング処理を行った後、100mW/cmの放射光(JIS C8904-1に準拠)下で、端子間電圧-0.3V、-0.7V、-1.5V毎に電圧電流特性を計測した。
<比較例4>
暗状態で保管した太陽電池モジュールを、光エイジング処理を行わずに、100mW/cmの放射光(JIS C8904-1に準拠)下で、端子間電圧を-1.5Vで電圧電流特性を計測した。
<比較例5>
暗状態で保管した太陽電池モジュールを、光エイジング処理に替えて、外部電源から1.5Vの順方向バイアス電圧を5min印加した後、100mW/cmの放射光(JIS C8904-1に準拠)下で、端子間電圧を0Vで電圧電流特性を計測した。
<まとめ>
ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物(C-4)を採用したメゾスコピック光電変換素子からなる太陽電池モジュールは、端子間電圧(Vat)を最大出力動作電圧(Vpm)以上で保持した場合(実施例3)は、端子間電圧(Vat)を最大出力動作電圧(Vpm)未満で保持した場合(比較例3)に比べて光電変換特性(光電変換効率)は高い。このことから、最大出力動作電圧(Vpm)以上の電圧で制御するシステムを備える太陽電池発電システムでは、安定的な光電変換性能が得られる。
また、放射光照射により安定化した太陽電池モジュールの光電変換特性(光電変換効率)は、暗状態での保管中に放射光照射前に戻る(比較例4)。これは、暗状態では光起電力が生じないため、太陽電池の電圧値が実質ゼロとなり、出力が低下したものと推定される。一方で、暗状態保管時に外部電源から1.5Vのバイアス電圧を印加した太陽電池モジュールは、放射光照射時と同様の光電変換特性(光電変換効率)の改善がある(比較例5)。この光電変換特性(光電変換効率)の改善は、太陽電池モジュール内の電位差(ビルトインポテンシャル)によって引き起こされ、ビルトインポテンシャルを挿入する方法として、光照射または/および外部電源によるバイアス電圧印加が適用可能である。
光電変換素子の特性パラメータのうち、本願発明で改善する特性パラメータは、開放電圧および曲線因子である。曲線因子は、最適動作点での最大出力(電力値)を開放電圧と短絡電流の積で割った値であり、電圧特性の改善が本発明の奏する効果の要因である。
光電変換素子の電圧特性は、光生成した少数キャリア寿命の関数であり、少数キャリア寿命が長いほど拡散長が長くなり、結果として電圧特性が向上する。具体的には、ペロブスカイト化合物結晶中、電子輸送層/ペロブスカイト化合物層の界面、多孔質正孔収集層/ペロブスカイト化合物層の界面、での欠陥密度が低減するほど拡散長が長くなり、電圧特性が向上する。しかし、これらの要因で電圧特性が向上するのは、不可逆的な特性改善となる。
このため、本願発明の可逆的な電圧特性の向上は、他の要因も含むと推察できる。可逆的な電圧特性の向上を引き起こす要因としては、多孔質正孔収集層/ペロブスカイト化合物層界面の仕事関数の最適化がある。本願発明のメゾスコピック光電変換素子の素子構成では、多孔質正孔収集層がグラファイトであり、ペロブスカイト化合物とのエネルギー準位差(バンドオフセット)を制御(例えば、エネルギー差を小さくする)できれば、電圧特性が向上する。具体的には、有機カチオンの一部がビルトインポテンシャルによりカーボン電極側に移動することで、カーボン電極とペロブスカイトとの間の仕事関数の差が小さくなり、正孔輸送に関わるエネルギーロスを最小化することができる。
3.動作点計測方法
本願発明の効果を奏するメゾスコピック光電変換素子からなる太陽電池システムの動作点計測方法を表3、図10及び実施例として以下に示す。なお、本願発明におけるメゾスコピック光電変換素子の評価は、以下に記載した評価方法に従って実施した。
Figure 2022149865000005
<実施例4>
(1)光電変換モジュールの作製
実施例3と同様に、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物(C-4)として実施例1と同様に得たメゾスコピック光電変換素子を3枚直列に接続して実施例3のメゾスコピック光電変換素子からなる太陽電池モジュールを作製した。
(2)光電変換機能評価
メゾスコピック光電変換素子モジュールを太陽光標準スペクトル(A.M.1.5G)とのスペクトル合致度としてAクラスの白色光(100mW/cm2)を照射可能な擬似太陽光源(ソーラーシミュレータ、ペクセル・テクノロジーズ社製、PEC-L15)を使用して、100mW/cm2の放射光(JIS C8904-1に準拠)を5min照射して光エイジング処理を行った後、前記100mW/cm2の放射光(JIS C8904-1に準拠)下で、電圧電流特性を計測した。このとき、最大出力動作電圧(Vpm)未満におけるスキャン時間(t)を10秒とし、最大出力動作電圧(Vpm)以上におけるスキャン時間(t) を20秒とした
<比較例6>
最大出力動作電圧(Vpm)未満におけるスキャン時間(t)を20秒とし、最大出力動作電圧(Vpm)以上におけるスキャン時間(t)を10秒としたこと以外、実施例4と同様とした。
<まとめ>
ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物(C-4)を採用したメゾスコピック光電変換素子からなる太陽電池モジュールは、最大出力動作電圧(Vpm)の近傍における電圧電流特性による動作点の計測時のスキャン時間をt<tとした場合(実施例4)は、電圧電流特性曲線に歪はない(図10)。一方、最大出力動作電圧(Vpm)の近傍における電圧電流特性による動作点の計測時のスキャン時間をt>tとした場合(比較例6)は、電圧電流特性曲線に歪みが生じる(図10)。これは、最大出力動作電圧(Vpm)未満におけるスキャン時間(t)が長いと、太陽電池モジュール内の電位差が低い時間が長くなり、太陽電池モジュール内の電位差に起因する電圧特性の向上を享受できないことを示している。したがって、最大出力動作電圧(Vpm)の近傍における電圧電流特性による動作点の計測時のスキャン時間をt<tとすることが、メゾスコピック光電変換素子からなる太陽電池モジュールの電圧電流特性を正確に計測するための指導原理となる。
本願発明のメゾスコピック光電変換素子は、光電変換機能に優れかつ出力安定性にも優れる光電変換モジュールを提供できる。
1 メゾスコピック光電変換素子
11 透明基板
12 透明導電層
13 透明導電性基板
14 電子輸送層
15 メソポーラスナノ結晶層
16 絶縁スペーサー層
17 多孔質正孔収集層
18 電流
2 太陽光発電システム
20 光電変換部
21 光電変換モジュール
22 集合配線
23 光電変換アレイ
30 動作点制御部
31 インバータ回路
32 インバータ制御部
33 最適動作点探索部
34 最適動作点探索制御部
35 付加電圧設定部
36 動作電圧出力部
37 電流センサ
38 電圧センサ
39 負荷装置

Claims (5)

  1. 透明導電層を積層した透明導電性基板上に、電子輸送層、メソポーラスナノ結晶層、絶縁スペーサー層、多孔質正孔収集層がこの順に積層して構成され、かつ前記メソポーラスナノ結晶層、絶縁スペーサー層、多孔質正孔収集層のいずれにも下記一般式(1)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を単独又は2以上混合して構成されたペロブスカイト化合物を充填させたメゾスコピック光電変換素子であって、下記一般式(1)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を構成する[A]において、有機カチオン構成比が0.95以上であり、かつ放射照度(100mWcm-2)の放射光照射後2min以降の規格化出力が1.1以上であることを特徴とするメゾスコピック光電変換素子。
    [A][B][X]3 (1)
    ここで、[A]は、メチルアンモニウム(CHNH ),ホルムアミジニウムCH(NH32 2+,R(NH32 2+;Rは炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基もしくは芳香族複素環基から選択される有機カチオンまたは、Cs,Rb,Cu,Pd,Pt,Ag,Au,RhもしくはRuから選択される1以上の無機カチオンであり、[B]は、Pb2+,Sn2+から選択される1以上の2価の無機カチオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iから選択されるハロゲン化物アニオンである。
    また、規格化出力とは、暗状態で保管したメゾスコピック光電変換素子に、放射照度(100mWcm-2)の放射光を照射した際の出力(変換効率)を1として規格化した出力(変換効率)をいう。
  2. 前記ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を構成する有機カチオンが、下記一般式(2)に示す有機カチオンであることを特徴とする請求項1に記載するメゾスコピック光電変換素子。
    (5-AVA)(MA)1-x (2)
    ここで、5-AVAは5-アミノ吉草酸カチオンを表し、MAはメチルアンモニウムカチオンを表す。
  3. メゾスコピック光電変換素子を単体、または複数を直列若しくは並列に接続した光電変換モジュールまたは前記光電変換モジュールを複数配列した光電変換アレイで構成される光電変換部と、前記光電変換部の端子間電圧を制御する動作点制御部を備えるメゾスコピック光電変換素子からなる太陽光発電システムであって、前記動作点制御部は、最大電力点追従法により求めた最大出力動作電圧(Vpm)に付加電圧(Vint)を付加した安定出力動作電圧(Vpm+Vint)で、前記光電変換部を動作することを特徴とするメゾスコピック光電素子からなる太陽光発電システム。
  4. 前記メゾスコピック光電変換素子が、請求項1または請求項2のいずれかに記載のメゾスコピック光電変換素子であることを特徴とする請求項3に記載するメゾスコピック光電素子からなる太陽光発電システム。
  5. メゾスコピック光電変換素子を単体、または複数を直列若しくは並列に接続した光電変換モジュールまたは前記光電変換モジュールを複数配列した光電変換アレイで構成される光電変換部を備えるメゾスコピック光電変換素子からなる太陽光発電システムの電圧電流特性による動作点の計測方法であって、前記最大出力動作電圧(Vpm)の近傍における電圧電流特性による動作点の計測時のスキャン時間を、t<tとすることを特徴とするメゾスコピック光電変換素子からなる太陽光発電システムの電圧電流特性による動作点の計測方法。
    ここで、tは、最大動作電圧(V)未満におけるスキャン時間であり、t は、最大動作電圧(V)以上におけるスキャン時間である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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