JP2022148399A - 防食フィルム、フィルム貼り付け装置および防食方法 - Google Patents

防食フィルム、フィルム貼り付け装置および防食方法 Download PDF

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Abstract

【課題】防食施工において直接的な人手を介さずに施工しやすく、移動体を用いて行う防食施工における効率向上を可能にする。【解決手段】耐食性防食層12と、粘接着層14と、を有する防食フィルムであって、耐食性防食層12および粘接着層14のうちの少なくともいずれか一方が、磁石の磁力に引き付けられる性質を有している防食フィルム10を用いる。あるいは、耐食性防食層12と、粘接着層14と、強磁性体12と、を有する防食フィルム10を用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、防食フィルム、移動してフィルムを貼り付けるフィルム貼り付け装置および前記防食フィルムを構造体表面に貼り付けて防食する防食方法に関し、詳細には、直接的な人手を介さずに施工しやすい防食フィルム、該防食フィルムの貼り付けに好適に使用可能なフィルム貼り付け装置および防食方法に関する。
ドローン等の空中移動体を用いて、直接的な人手を介さずに、構造物に対する塗装等の被覆作業を行うことが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術で用いる被覆材はいずれも液状であり、鋼製橋梁や海洋鋼構造物などの構造体で用いる重防食塗装の性能に匹敵する被覆を行うためには、何度も液状の塗料等の被覆材を積み替えて施工をする必要があるため、効率が悪くなる。
特開2019-89470号公報 特許第6676846号公報
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、構造体表面に防食施工を行う場合でも直接的な人手を介さずに施工しやすく、移動体を用いて行う防食施工における効率向上を可能にする防食フィルム、フィルム貼り付け装置および防食方法を提供することを課題とする。
本発明は前記課題を解決する発明であり、例えば、以下の防食フィルム、フィルム貼り付け装置および防食方法である。
即ち、本発明に係る防食フィルムの第1の態様は、耐食性防食層と、粘接着層と、を有する防食フィルムであって、前記耐食性防食層および前記粘接着層のうちの少なくともいずれか一方は、磁石の磁力に引き付けられる性質を有していることを特徴とする防食フィルムである。
ここで、本発明に係る防食フィルムは、フィルムという文字通りの薄いものから、板状体と言えるようなある程度厚さのあるものまで含む。また、剛性の観点で言えば、一端を把持したときに自重を支えられずに屈曲してしまうような剛性の小さいものから、一端を把持したときでも形状を保持できるような剛性を有するものまで含む。
本発明に係る防食フィルムの第2の態様は、耐食性防食層と、粘接着層と、強磁性体と、を有することを特徴とする防食フィルムである。
前記耐食性防食層は、ステンレス鋼で構成されていることが好ましい。
前記ステンレス鋼は、二相系ステンレス鋼またはフェライト系ステンレス鋼であってもよい。
前記粘接着層は、第1粘接着層と第2粘接着層を含み、前記第1粘接着層と前記第2粘接着層との間に、伸長可能な伸長可能層が設けられているようにしてもよい。
前記伸長可能層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能樹脂層、もしくはガラス繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能不織布であるか、もしくはウレタンフォーム、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ふっ素ゴムよりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成されているようにしてもよい。
前記耐食性防食層の面のうち、前記粘接着層が配置された側とは反対側の面は、塗装が施されているか、あるいは樹脂フィルムで被覆されているようにしてもよい。
本発明に係る防食フィルムの第3の態様は、強磁性体である鉄板と、前記鉄板の一方の面に設けられた粘接着層と、前記鉄板の他方の面に設けられた耐食性樹脂フィルムまたは重防食塗装と、を有することを特徴とする防食フィルムである。
前記粘接着層は、水中で硬化するエポキシ樹脂を含んで構成されているようにしてもよい。
本発明に係るフィルム貼り付け装置は、外部と接着可能な接着面が露出した、磁石の磁力に引き付けられる性質を有しているフィルムを構造体表面に貼り付けるためのフィルム貼り付け装置であって、装置本体部と、前記装置本体部に備えられ、前記装置本体部を移動させるための駆動手段と、前記装置本体部に備えられ、前記フィルムを磁力により磁着させるフィルム磁着部と、前記フィルム磁着部における磁力を制御する磁力制御部と、を有し、前記フィルムの前記構造体表面への貼り付けは、前記フィルム磁着部へ磁着した前記フィルムを、前記駆動手段で前記装置本体部を移動させることで前記フィルムの前記接着面を前記構造体表面に押し付けた後、前記フィルム磁着部へ磁着した前記フィルムの磁着を前記磁力制御部により解除することで行うことを特徴とするフィルム貼り付け装置である。
前記フィルム磁着部は前記装置本体部から外側に突出したアーム部であって、該アーム部の先端部領域に電磁石が取り付けられた構成であり、前記磁力制御部は、前記アーム部に加わる圧力が所定値以上の場合に、前記フィルム磁着部での前記フィルムの磁着を解除するように電磁石の磁力を制御する、ように構成してもよい。
ここで、「該アームの先端部領域」とは、該アームの先端およびその近傍の領域のことである。
前記駆動手段は、前記装置本体部を空中移動させることが可能なように構成されていてもよい。
前記駆動手段は、前記装置本体部が前記構造体の表面上を移動できるように転動可能な車輪を備えており、前記フィルム磁着部は、前記車輪の内部に電磁石が内蔵されていて、前記車輪の外周面に前記電磁石の磁力により前記フィルムが磁着するように構成されており、前記磁力制御部は、前記車輪の転動によって前記構造体表面の所望位置に達するまで前記車輪の外周面に前記フィルムを磁着させ、前記所望位置で前記フィルム磁着部による前記フィルムの磁着を解除するように前記電磁石の磁力を制御する、ように構成してもよい。
本発明に係る防食方法は、前記いずれかの防食フィルムの外面を、前記いずれかのフィルム貼り付け装置の前記電磁石の磁力によって該フィルム貼り付け装置に磁着させる磁着工程と、前記磁着工程で前記防食フィルムを前記フィルム貼り付け装置に磁着させた後、目標地点まで前記フィルム貼り付け装置を移動させる移動工程と、前記防食フィルムの前記粘接着層を、前記フィルム貼り付け装置により対象構造体に押し付けて、前記防食フィルムを前記対象構造体の所定の部位に接着する接着工程と、前記接着工程で前記防食フィルムを前記所定の部位に接着させた後、前記電磁石による前記フィルムの磁着を解除して、前記フィルム貼り付け装置を前記目標地点から離脱させる離脱工程と、を有することを特徴とする防食方法である。
ここで、防食フィルムの外面とは、粘接着層が配置されている側とは反対側の面のことであり、前記防食フィルムを前記粘接着層により対象構造体に貼り付けた状態において、該対象構造体とは反対の側に向く面のことである。
前記フィルム貼り付け装置は空中を移動可能であり、前記移動工程では空中を移動するようにしてもよい。
前記フィルム貼り付け装置は地上を移動可能であり、前記移動工程では地上を移動するようにしてもよい。
前記磁着工程で前記フィルム貼り付け装置に磁着させる前記防食フィルムは、前記粘接着層が水中で硬化するエポキシ樹脂を含んで構成されている防食フィルムであり、前記フィルム貼り付け装置は水中を移動可能であり、前記移動工程では水中を移動する、ようにしてもよい。
前記フィルム貼り付け装置は、遠隔操作可能であるようにしてもよい。
前記フィルム貼り付け装置は、前記対象構造体の前記所定の部位を自動認識して、前記目標地点に移動し、前記防食フィルムを前記対象構造体の前記所定の部位に接着するようにしてもよい。
前記防食方法は、前記対象構造体の被覆材の補修に好適に用いることができる。
前記対象構造体は鋼構造物であってもよい。
本発明によれば、防食施工において直接的な人手を介さずに施工しやすく、移動体を用いて行う防食施工における効率向上を可能にする防食フィルム、フィルム貼り付け装置および防食方法を提供することができる。
本発明に係る防食フィルムの第1実施形態である防食フィルム10を模式的に示す断面図 本発明に係る防食フィルムの第2実施形態である防食フィルム20を模式的に示す断面図 本発明に係る防食フィルムの第3実施形態である防食フィルム30を模式的に示す断面図 本発明に係る防食フィルムの第4実施形態である防食フィルム40を模式的に示す断面図 本発明に係るフィルム貼り付け装置の第1実施形態であるフィルム貼り付け装置50を模式的に示す側面図 アーム56の先端部領域を拡大して示す拡大図であり、図6(A)は電磁石54に防食フィルム10が磁着した状態を示し、図6(B)は防食フィルム10を構造体100に押し付けている状態を示す。 圧力センサー68を用いた機構についてアーム56の先端部領域を拡大して示す拡大図 本発明に係るフィルム貼り付け装置の第2実施形態であるフィルム貼り付け装置70を模式的に示す縦端面図(フィルム貼り付け方向(進行方向)と平行な平面で電磁石車輪74およびセンサー車輪76を横断するように切断した端面図) 図8のIX-IX線断面図 図8のX-X線断面図
以下、図面を参照して、本発明に係る防食フィルム、フィルム貼り付け装置および防食方法の実施形態を詳細に説明する。
(1)防食フィルムの実施形態
(1-1)防食フィルムの第1実施形態
図1は、本発明に係る防食フィルムの第1実施形態である防食フィルム10を模式的に示す断面図である。
本第1実施形態に係る防食フィルム10は、図1に示すように、ステンレス鋼板12と、ステンレス鋼板12の一方の面に設けられた粘接着層14と、を有してなる。
ステンレス鋼板12は、本第1実施形態に係る防食フィルム10の耐食性および防食性に最も大きく寄与する部位であり、防食フィルム10において耐食性防食層と言える部位である。ステンレス鋼板12は紫外線および水分による劣化に強く、重防食塗装よりも耐食性および防食性が強い。
本第1実施形態に係る防食フィルム10を一般大気中で使用する場合は、ステンレス鋼板12の孔食指数は12以上であればよいが、海洋大気中で使用する場合は、孔食指数を32以上とするのがよく、海水中で使用する場合は、孔食指数を35以上とするのがよい。
ここで、本願において、孔食指数とは、ステンレス鋼中に含有されるCr、Mo、Nの含有量(質量%)を用いて計算される指数であり、孔食指数=Cr+3.3Mo+16Nの式(式中の各元素記号はその元素の含有量を表している)により計算される値(質量%表示の値)のことである。
また、本第1実施形態に係る防食フィルム10で用いるステンレス鋼板12は、二相系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼であり、磁石の磁力に引き付けられる性質を有している。このため、本第1実施形態に係る防食フィルム10は、磁石の磁力に引き付けられる性質を有しているフィルム(以下、磁性フィルムと記すことがある。)であり、防食フィルム10を、例えば、電磁石54を搭載したフィルム貼り付け装置50(後述するフィルム貼り付け装置の第1実施形態に係るフィルム貼り付け装置50)(図5参照)の電磁石54に磁着させた状態で、目標地点までフィルム貼り付け装置50を移動させて、対象物の所定の部位に粘接着層14を押し付けて接着させた後、電磁石54の磁力を所定の値以下に低減もしくは解除するか、または反発力になるようにすることにより、直接的な人手を介さなくても、防食フィルム10を目標とする対象部位に容易に貼り付けることができる。
ステンレス鋼板12に使用可能な鋼種としては、具体的には例えば、二相系ステンレス鋼としては、20wt%以上のクロムを含有する、SUS821L1、SUS323、SUS329J3L、SUS329J4L、SUS327L1、UNS S31260、UNS S32250、UNS S32506、UNS S32520、UNS S32550、UNS S32707、UNS S32750、UNS S32760、UNS S32950、UNS S39274、UNS S33207などを挙げることができ、フェライト系ステンレス鋼としては、16wt%以上のクロムを含有する、SUS430、SUS430LX、SUS430J1L、SUS436、SUS436J1L、SUS443J1、SUS444、SUS445J1、SUS445J2、SUS447J1、SUSXM27などを挙げることができ、マルテンサイト系ステンレス鋼としては、SUS410、SUS410S、SUS403、SUS420J1、SUS420J2、SUS44Cなどを挙げることができる。
ステンレス鋼板12の厚さは、薄くなりすぎると破れやすくなり、また、厚くなりすぎると貼り付ける対象物の形状に追随しにくくなり施工性が悪くなるので、ステンレス鋼板12の厚さは、標準的には0.01mm以上2.0mm以下であり、好ましくは0.02mm以上1.6mm以下である。
粘接着層14は、対象物にステンレス鋼板12を接着する役割を有する部位であり、具体的には例えば、ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘着剤ならびにエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着剤または接着剤を用いて形成することができる。ここでは、粘接着層14に粘着層を用いた場合は、粘接着層14を粘着層14Aと記し、粘接着層14に接着層を用いた場合は、粘接着層14を接着層14Bと記すこととする。
粘接着層14(粘着層14Aまたは接着層14B)の厚さは、ステンレス鋼板12同士をラップさせても、隙間が生じないようにする観点(ラップさせて生じたステンレス鋼板12同士の間の段差を粘接着層14で埋めるようにする観点)および接着対象物の表面の凹凸を吸収する観点から、標準的には0.05mm以上であり、好ましくは0.1mm以上である。一方、粘接着層14に粘着層14Aを用いた場合、粘着層14Aの厚さが厚くなりすぎると、自身の厚さによる段差が大きくなりすぎて未付着部ができる恐れがあり、粘接着層14に接着層14Bを用いた場合、接着層14Bの厚さが厚くなりすぎると、硬化時に過大な応力が生じて割れる恐れがあり、また、硬化時間が非常に長くなる恐れがあるので、粘接着層14(粘着層14Aまたは接着層14B)の厚さは、標準的には2.0mm以下であり、好ましくは1.0mm以下である。したがって、粘接着層14の厚さは、標準的には0.05mm以上2.0mm以下であり、好ましくは0.1mm以上1.0mm以下である。
ステンレス鋼板12の外面(粘接着層14が配置された側とは反対側の面)に、意匠性(色や凹凸等)や耐衝撃性の観点から、樹脂フィルムによる被覆を施してもよく、意匠性(色や凹凸等)の観点から塗装を施してもよい。
ステンレス鋼板12の外面を被覆する樹脂フィルムは、劣化しにくいものがよく、その観点から、具体的には、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサイファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリフッ化ビニル(PFV)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)等の樹脂フィルムが好ましく、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフッ化ビニル(PFV)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の樹脂フィルムがより好ましい。
また、ステンレス鋼板12の外面を被覆する樹脂フィルムの厚さは、耐衝撃性の観点から、標準的には0.01mm以上であり、好ましくは0.02mm以上である。一方、ステンレス鋼板12の外面を被覆する樹脂フィルムの厚さが厚くなりすぎると、ラップさせた際に隙間が生じやすくなるので、その厚さは標準的には0.5mm以下であり、好ましくは0.3mm以下である。したがって、ステンレス鋼板12の外面を被覆する樹脂フィルムの厚さは、標準的には0.01mm以上0.5mm以下であり、好ましくは0.02mm以上0.3mm以下である。
また、前記樹脂フィルムの耐食性をさらに向上させるために、前記樹脂フィルムに酸化防止剤や紫外線吸収剤を添加してもよい。添加する酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、アミン系、リン系、イオン系の酸化防止剤を用いることができ、添加する紫外線吸収剤としては、例えば、カーボンブラックや、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤を用いることができる。
(1-2)防食フィルムの第2実施形態
図2は、本発明に係る防食フィルムの第2実施形態である防食フィルム20を模式的に示す断面図である。
本第2実施形態に係る防食フィルム20は、図2に示すように、ステンレス鋼板12と、第1粘接着層22と、伸長可能層24と、第2粘接着層26と、を有してなる。第1実施形態に係る防食フィルム10では、粘接着層は1つの粘接着層14のみ設けていたが、本第2実施形態に係る防食フィルム20では、粘接着層を2つに分け、2つに分けた粘接着層(第1粘接着層22、第2粘接着層26)の間に伸長可能層24を配置している。本第2実施形態に係る防食フィルム20で用いるステンレス鋼板12は、第1実施形態に係る防食フィルム10で用いたステンレス鋼板12と同様であるので、本第2実施形態に係る防食フィルム20のステンレス鋼板12についての説明は、原則として、第1実施形態に係る防食フィルム10でのステンレス鋼板12の説明で代えることとする。
伸長可能層24は、外力を受けて伸長可能な層であり、防食フィルム20を対象物に貼り付けた後に何らかの衝突物が衝突した際の衝撃を和らげる役割を有するとともに、2つに分けた粘接着層(第1粘接着層22、第2粘接着層26)の間に配置されることで粘接着層をシート状に成型しやすくするという役割を有する。
伸長可能層24は、伸長可能な樹脂層である伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能な不織布である伸長可能不織布24Bを用いて形成することができ、具体的には例えば、伸長可能樹脂層24Aは、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いて形成することができ、伸長可能不織布24Bは、ガラス繊維、ナイロン繊維、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート)繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いて形成することができる。また、伸長可能層24は、ウレタンフォーム、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ふっ素ゴムを用いて形成することもできる。
伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)の厚さは、衝突物が衝突した際の衝撃を和らげる観点から、標準的には20μm以上であり、30μm以上にすることが好ましい。一方、伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)の厚さが厚くなりすぎると、ハンドリング性が悪くなるおそれがあることから、伸長可能層24に伸長可能樹脂層24Aを用いた場合の厚さは、標準的には150μm以下であり、100μm以下にすることが好ましく、伸長可能層24に伸長可能不織布24Bを用いた場合の厚さは、300μm以下にすることが標準的であり、200μm以下にすることが好ましい。したがって、伸長可能層24に伸長可能樹脂層24Aを用いた場合の厚さは、20μm以上150μm以下とすることが標準的であり、30μm以上100μm以下とすることが好ましく、伸長可能層24に伸長可能不織布24Bを用いた場合の厚さは、20μm以上300μm以下とすることが標準的であり、30μm以上200μm以下とすることが好ましい。
第1粘接着層22は、伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)をステンレス鋼板12に貼り付ける役割を有し、具体的には例えば、ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘着剤ならびにエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着剤または接着剤を用いて形成することができる。ここでは、第1粘接着層22に粘着層を用いた場合は、第1粘接着層22を粘着層22Aと記し、第1粘接着層22に接着層を用いた場合は、第1粘接着層22を接着層22Bと記すこととする 。
第1粘接着層22(粘着層22Aまたは接着層22B)の厚さは、伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)同士をラップさせ、かつ、ステンレス鋼板12同士をラップさせても、隙間が生じないようにする観点(ラップさせて生じた伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)同士の間の段差およびラップさせて生じたステンレス鋼板12同士の間の段差を埋めるようにする観点)から、25μm以上にすることが標準的であり、50μm以上にすることが好ましい。一方、第1粘接着層22(粘着層22Aまたは接着層22B)の厚さが厚くなりすぎると、エッジ部へのつきまわり性が悪くなるおそれがあり、また、収縮時に過大な応力が生じて割れが生じるおそれがあることから、第1粘接着層22の厚さは、1000μm以下にすることが標準的であり、500μm以下にすることが好ましい。したがって、第1粘接着層22の厚さは、25μm以上1000μm以下とすることが標準的であり、50μm以上500μm以下とすることが好ましい。
第2粘接着層26は、本第2実施形態に係る防食フィルム20を対象物に貼り付ける役割を有し、具体的には例えば、ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘着剤ならびにエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着剤または接着剤を用いて形成することができる。ここでは、第2粘接着層26に粘着層を用いた場合は、第2粘接着層26を粘着層26Aと記し、第2粘接着層26に接着層を用いた場合は、第2粘接着層26を接着層26Bと記すこととする 。
第2粘接着層26(粘着層26Aまたは接着層26B)の厚さは、伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)同士をラップさせ、かつ、ステンレス鋼板12同士をラップさせても、隙間が生じないようにする観点(ラップさせて生じた伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)同士の間の段差およびラップさせて生じたステンレス鋼板12同士の間の段差を埋めるようにする観点)および接着対象物の表面の凹凸を吸収する観点から、25μm以上にすることが標準的であり、50μm以上にすることが好ましい。一方、第2粘接着層26(粘着層26Aまたは接着層26B)の厚さが厚くなりすぎると、エッジ部へのつきまわり性が悪くなるおそれがあり、また、収縮時に過大な応力が生じて割れが生じるおそれがあることから、第2粘接着層26の厚さは、1000μm以下にすることが標準的であり、500μm以下にすることが好ましい。したがって、第2粘接着層26の厚さは、25μm以上1000μm以下とすることが標準的であり、50μm以上500μm以下とすることが好ましい。
前述したように、本第2実施形態に係る防食フィルム20で用いるステンレス鋼板12は、第1実施形態に係る防食フィルム10で用いたステンレス鋼板12と同様であり、二相系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼であり、磁石の磁力に引き付けられる性質を有している。このため、本第2実施形態に係る防食フィルム20は、磁石の磁力に引き付けられる性質を有している磁性フィルムであり、防食フィルム20を、例えば、電磁石54を搭載したフィルム貼り付け装置50(後述するフィルム貼り付け装置の第1実施形態に係るフィルム貼り付け装置50)(図5参照)の電磁石54に磁着させた状態で、目標地点までフィルム貼り付け装置50を移動させて、対象物の所定の部位に第2粘接着層26を押し付けて接着させた後、電磁石54の磁力を解除することにより、直接的な人手を介さなくても、防食フィルム20を目標とする対象部位に容易に貼り付けることができる。
また、第1実施形態に係る防食フィルム10と同様に、本第2実施形態に係る防食フィルム20で用いるステンレス鋼板12の外面(第1粘接着層22および第2粘接着層26が配置された側とは反対側の面)を、意匠性(色や凹凸等)や耐衝撃性の観点から、樹脂フィルムで被覆してもよく、意匠性(色や凹凸等)の観点から塗装してもよい。用いる樹脂フィルムとして好ましい具体例や、当該樹脂フィルムに添加してもよい酸化防止剤や紫外線吸収剤の例は、第1実施形態に係る防食フィルム10についての説明で挙げたものと同様である。
(1-3)防食フィルムの第3実施形態
図3は、本発明に係る防食フィルムの第3実施形態である防食フィルム30を模式的に示す断面図である。
本第3実施形態に係る防食フィルム30は、図3に示すように、鉄板32と、粘接着層14と、樹脂フィルム34と、を有してなる。第1実施形態に係る防食フィルム10および第2実施形態に係る防食フィルム20では、ステンレス鋼板12が、防食フィルム10、20の耐食性に最も大きく寄与する部位であったが、本第3実施形態に係る防食フィルム30では、一方の面を樹脂フィルム34で被覆した鉄板32を、ステンレス鋼板12に替えて用いており、耐食性および防食性の発揮を主に樹脂フィルム34に担わせており、樹脂フィルム34が耐食性防食層と言える部位である。本第3実施形態に係る防食フィルム30で用いる粘接着層14は、第1実施形態に係る防食フィルム10で用いた粘接着層14と同様であるので、本第3実施形態に係る防食フィルム30の粘接着層14についての説明は、原則として、第1実施形態に係る防食フィルム10での粘接着層14の説明で代えることとする。
鉄板32の外面(粘接着層14が配置される側とは反対側の面)には、耐食性の発揮を主に担わせている樹脂フィルム34を配置しているので、鉄板32の耐食性については特には考慮する必要がなく、本第3実施形態に係る防食フィルム30では、鉄板32として、磁石の磁力に引き付けられる性質を有している純鉄、炭素鋼および低合金鋼等を用いており、本第3実施形態に係る防食フィルム30は磁石の磁力に引き付けられる性質を有しており、磁性フィルムである。このため、本第3実施形態に係る防食フィルム30は、例えば、電磁石54を搭載したフィルム貼り付け装置50(後述するフィルム貼り付け装置の第1実施形態に係るフィルム貼り付け装置50)(図5参照)の電磁石54に磁着させることができ、電磁石54に磁着させた状態で、目標地点までフィルム貼り付け装置50を移動させて、対象物の所定の部位に粘接着層14を押し付けて接着させた後、電磁石54の磁力を解除することにより、直接的な人手を介さなくても、防食フィルム30を目標とする対象部位に容易に貼り付けることができる。
鉄板32の厚さは、薄くなりすぎると磁着する力が小さくなりすぎ、また、厚くなりすぎると貼り付ける対象物の形状に追随しにくくなり施工性が悪くなるので、鉄板32の厚さは、標準的には0.01mm以上2.0mm以下であり、好ましくは0.02mm以上1.6mm以下である。
樹脂フィルム34には耐食性に優れた樹脂フィルムを用いる必要があり、具体的には、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサイファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリフッ化ビニル(PFV)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)等の樹脂フィルムを用いることができ、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフッ化ビニル(PFV)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の樹脂フィルムを用いることが好ましい。
また、樹脂フィルム34の厚さは、防食性および耐衝撃性の観点から、標準的には0.01mm以上であり、好ましくは0.02mm以上である。一方、樹脂フィルム34の厚さが厚くなりすぎると、ラップさせた際に隙間が生じやすくなるので、その厚さは標準的には0.5mm以下であり、好ましくは0.3mm以下である。したがって、樹脂フィルム34の厚さは、標準的には0.01mm以上0.5mm以下であり、好ましくは0.02mm以上0.3mm以下である。
また、樹脂フィルム34の耐食性をさらに向上させるために、樹脂フィルム34に酸化防止剤や紫外線吸収剤を添加してもよい。添加する酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、アミン系、リン系、イオン系の酸化防止剤を用いることができ、添加する紫外線吸収剤としては、例えば、カーボンブラックや、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤を用いることができる。
なお、樹脂フィルム34に替えて、耐食性に優れる重防食塗装を用いてもよい。
(1-4)防食フィルムの第4実施形態
図4は、本発明に係る防食フィルムの第4実施形態である防食フィルム40を模式的に示す断面図である。
本第4実施形態に係る防食フィルム40は、図4に示すように、粘接着層42と、粒状強磁性体44と、樹脂フィルム34と、を有してなり、粘接着層42中には粒状強磁性体44が分散しており、本第4実施形態に係る防食フィルム40は、磁石に引き付けられる性質を有しており、磁性フィルムである。
本第4実施形態に係る防食フィルム40では、耐食性および防食性の発揮を主に樹脂フィルム34に担わせており、樹脂フィルム34が耐食性防食層と言える部位であり、この点は第3実施形態に係る防食フィルム30と同様であり、本第4実施形態に係る防食フィルム40で用いる樹脂フィルム34は、第3実施形態に係る防食フィルム30で用いた樹脂フィルム34と同様であるので、本第4実施形態に係る防食フィルム40の樹脂フィルム34についての説明は、原則として、第3実施形態に係る防食フィルム30での樹脂フィルム34の説明で代えることとする。また、樹脂フィルム34に添加してもよい酸化防止剤や紫外線吸収剤の例も、第3実施形態に係る防食フィルム30についての説明で挙げたものと同様である。
粘接着層42は、対象物に本第4実施形態に係る防食フィルム40を接着する役割および粒状強磁性体44を分散させて保持する役割を有する部位である。粘接着層42中に粒状強磁性体44を分散させて保持していることにより、本第4実施形態に係る防食フィルム40は、磁石の磁力に引き付けられる性質を有している。このため、本第4実施形態に係る防食フィルム40は、例えば、電磁石54を搭載したフィルム貼り付け装置50(後述するフィルム貼り付け装置の第1実施形態に係るフィルム貼り付け装置50)(図5参照)の電磁石54に磁着させることができ、電磁石54に磁着させた状態で、目標地点までフィルム貼り付け装置50を移動させて、対象物の所定の部位に粘接着層42を押し付けて接着させた後、電磁石54の磁力を解除することにより、直接的な人手を介さなくても、防食フィルム40を目標とする対象部位に容易に貼り付けることができる。
粘接着層42中に分散させる粒状強磁性体44としては、例えば、平均粒径20μm以上200μm以下の鉄粉を用いることができる。ただし、粘接着層42中に分散させる粒状強磁性体44の量が多くなりすぎると、粘接着層42の接着力が小さくなりすぎ、防食フィルム40を対象物に接着させる力が弱くなりすぎる恐れがある。一方、粘接着層42中に分散させる粒状強磁性体44の量が少なくなりすぎると、本第4実施形態に係る防食フィルム40をフィルム貼り付け装置50、70に磁着させる力が弱くなりすぎ、フィルム貼り付け装置50、70を用いての防食フィルム40の接着施工が困難になる恐れがある。したがって、前記した観点を踏まえて、粘接着層42中に分散させる粒状強磁性体44の量を適宜に設定する必要がある。
また、分散させる磁性体としては粒状強磁性体44に代えて、強磁性体繊維(繊維の直径は 0.01~0.2mm程度)を短く切断したものであってもよい。
粘接着層42は、具体的には例えば、ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘着剤ならびにエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着剤または接着剤を用いて形成することができる。ここでは、粘接着層42に粘着層を用いた場合は、粘接着層42を粘着層42Aと記し、粘接着層42に接着層を用いた場合は、粘接着層42を接着層42Bと記すこととする。
粘接着層42(粘着層42Aまたは接着層42B)の厚さは、防食フィルム40同士をラップさせても、隙間が生じないようにする観点(ラップさせて生じた防食フィルム40同士の間の段差を粘接着層42で埋めるようにする観点)および接着対象物の表面の凹凸を吸収する観点から、標準的には0.05mm以上であり、好ましくは0.1mm以上である。一方、粘接着層42に粘着層42Aを用いた場合、粘着層42Aの厚さが厚くなりすぎると、自身の厚さによる段差が大きくなりすぎて未付着部ができる恐れがあり、粘接着層42に接着層42Bを用いた場合、接着層42Bの厚さが厚くなりすぎると、硬化時に過大な応力が生じて割れる恐れがあり、また、硬化時間が非常に長くなる恐れがあるので、粘接着層42(粘着層42Aまたは接着層42B)の厚さは、標準的には2.0mm以下であり、好ましくは1.0mm以下である。したがって、粘接着層42の厚さは、標準的には0.05mm以上2.0mm以下であり、好ましくは0.1mm以上1.0mm以下である。
(1-5)防食フィルムの第1~第4実施形態の変形例
第1、第2、第3、第4実施形態に係る防食フィルム10、20、30、40で用いた粘接着層は大気中で接着力を発揮することを念頭に置いた粘接着層であったが、防食フィルム10、20、30、40で用いる粘接着層を、水中で硬化するエポキシ樹脂を含ませて構成してもよい。このように構成することで、水中での施工も可能な防食フィルムとすることができる。
(2)フィルム貼り付け装置の実施形態
(2-1)フィルム貼り付け装置の第1実施形態
図5は、本発明に係るフィルム貼り付け装置の第1実施形態であるフィルム貼り付け装置50を模式的に示す側面図である。
本第1実施形態に係るフィルム貼り付け装置50は、図5に示すように、装置本体部としての移動体52と、その移動体52に設けられた電磁石54と、を有してなり、電磁石54が移動体52に搭載されてなるフィルム貼り付け装置であり、磁石の磁力に引き付けられる性質を有している磁性フィルムを電磁石54に磁着させて、目標地点まで移動することができる。移動体52は、図5に示すように、空中を移動するための駆動手段としてのプロペラ52Aを備えており、空中を移動可能な移動体である。移動体52は、目標地点までの移動を遠隔操作で可能なように構成にしてもよく、また、目標対象物である構造体100の所定の部位を自動認識して、目標地点に移動するように自動移動可能に構成してもよい。なお、前述したように、本発明に係る防食フィルムの第1~第4実施形態である防食フィルム10、20、30、40はいずれも磁石の磁力に引き付けられる性質を有している磁性フィルムであり、フィルム貼り付け装置50の電磁石54に磁着可能なフィルムである。
本第1実施形態に係るフィルム貼り付け装置50においては、図5に示すように、移動体52から外側に向かってアーム56が突出しており、アーム56の先端部領域には、電磁石54の磁力を制御するための制御部として、第1電極58、第2電極60、スプリング62および支持体64が設けられている。電磁石54、第1電極58および支持体64は、内側に空間を備えるように箱状に組み立てられている。移動体52には、電磁石54に電力を供給する図示せぬ電源部が備えられている。アーム56の先端には第2電極60が固定されており、電磁石54と第2電極60との間にはスプリング62が配置されていて、電磁石54と第2電極60の両者はスプリング62から押圧力を受けている。
図6はアーム56の先端部領域を拡大して示す拡大図であり、図6(A)は電磁石54に防食フィルム10が磁着した状態を示し、図6(B)は防食フィルム10を構造体100に押し付けている状態を示す。防食フィルム10を電磁石54に磁着させる際には、粘接着層14が外面になるように電磁石54に磁着させる。
図6に示すように、第1電極58には、アーム56が貫通する貫通孔58Aが設けられており、アーム56は第1電極58を貫通した状態で、第1電極58と直交する方向に移動自在になっている。電磁石54に磁着した防食フィルム10を構造体100に押し当てるようにアーム56から力を加えると、第1電極58と第2電極60とは離間してスプリング62は圧縮され、スプリング62を介して電磁石54にアーム56からの押圧力が伝達される。
一方、本第1実施形態に係るフィルム貼り付け装置50は、第1電極58と第2電極60とが接触した状態においては、図示せぬ電源部から電力が供給されて、第1電極58から第2電極60へ電流が流れ、第2電極60からスプリング62を介して電磁石54に電流が流れて電磁石54が磁力を発生するように構成されている。このため、電磁石54に磁着した防食フィルム10を構造体100に押し当てるようにアーム56から力を加えて、図6(B)に示すように、第1電極58と第2電極60とが離間すると、電磁石54に電流が流れなくなり、電磁石54の磁力が自動的に解除され、防食フィルム10は電磁石54との磁着が解除される。他方、電磁石54に磁着した防食フィルム10を構造体100に押し当てるようにアーム56から力を加えることで、防食フィルム10の粘接着層14は構造体100に接着される。したがって、図6(B)に示すように、電磁石54に磁着した防食フィルム10を構造体100の所定の位置に押し当てると、防食フィルム10は電磁石54との磁着が解除される一方、防食フィルム10は構造体100に接着されるので、本第1実施形態に係るフィルム貼り付け装置50を用いることで、直接的に人手を介さなくても、防食フィルム10を構造体100の所定の位置に接着させることができる。
なお、本第1実施形態に係るフィルム貼り付け装置50においては、電磁石54に磁着した防食フィルム10を構造体100に押し当てると、第1電極58と第2電極60が離間して電磁石54に電流が流れなくなるという機械的な機構を用いて、防食フィルム10を構造体100に接着した後に電磁石54による磁着を解除するようにしたが、防食フィルム10を構造体100に接着した後に電磁石54による磁着を解除する機構はこれに限定されるわけではなく、他の機構を用いてもよい。例えば、図7に示すように、圧力センサー68を用いた機構も適用可能である。この機構では、アーム56の先端に支持体66を取り付け、該支持体66に圧力センサー68を取り付けている。そして、スプリング62を介して電磁石54を圧力センサー68に取り付けており、電磁石54に磁着した防食フィルム10を構造体100に押し当てると、圧力センサー68に圧力が加わるように構成している。そして、圧力センサー68に加わる圧力が所定の値を上回ると、電磁石54に流れる電流が遮断されて電磁石54による磁着が自動的に解除されるように構成している。また、磁着による解除は、電流を遮断すること、つまり磁力自体をオフするものには限定されず、構造体100表面に押し付けられているフィルムの接着力の方が磁力による磁着力よりも大きくなるように電流を調整して、磁着を解除するようにしてもよく、また、電磁石54の磁力が反発力になるようにして磁着を解除するようにしてもよい。
また、本第1実施形態に係るフィルム貼り付け装置50においては、移動体52を、空中を移動可能な移動体として構成したが、空中を移動可能な移動体52に替えて、地上を移動可能な移動体で構成してもよく、また、水中を移動可能な移動体で構成してもよい。あるいはまた、空中移動、地上移動、水中移動のうちの複数の移動を可能にした移動体で構成してもよい。
(2-2)フィルム貼り付け装置の第2実施形態
図8は、本発明に係るフィルム貼り付け装置の第2実施形態であるフィルム貼り付け装置70を模式的に示す縦端面図(フィルム貼り付け方向と平行な平面で電磁石車輪74およびセンサー車輪76を横断するように切断した端面図)である。図9は、図8のIX-IX線断面図であり、図10は、図8のX-X線断面図である。図10では、ロール状防食フィルム10Aから引き出された防食フィルム10を破線で描いている。また、本第2実施形態に係るフィルム貼り付け装置70についてのここでの説明では、防食フィルム10を、鋼製構造物である構造体102に貼り付けるものとして説明する。
本第2実施形態に係るフィルム貼り付け装置70は、図8~図10に示すように、移動基体72と、電磁石車輪74と、センサー車輪76と、切断刃78と、永久磁石製車輪80と、を有してなるフィルム貼り付け装置である。
移動基体72は、フィルム貼り付け装置70の各部品を束ねる役割を有する部材であり、電磁石車輪74が連結軸部材72Aを介して回動可能に移動基体72に取り付けられており(図8参照)、センサー車輪76が連結軸部材72Bを介して回動可能に移動基体72に取り付けられており(図8参照)、永久磁石製車輪80が車軸80Aを介して回動可能に移動基体72に取り付けられている(図9、10参照)。また、防食フィルム10をロール状に巻いたロール状防食フィルム10Aを、連結軸部材72Cを介して回動可能に移動基体72に取り付けることができるようになっている(図8参照)。
電磁石車輪74およびセンサー車輪76は構造体102の表面を転動可能な車輪であり、電磁石車輪74の内部には電磁石a~hが内蔵されており、センサー車輪76の内部にはセンサーp~wが内蔵されている。センサーp~wは構造体102までの距離に応じた電気信号を発する機能を有するセンサーである。電磁石車輪74の回動とセンサー車輪76の回動は連動するようになっており、図8に基づいて説明すると、電磁石車輪74の内部の電磁石a~hのそれぞれが、センサー車輪76の内部のセンサーp~wのそれぞれと、構造体102からの距離が同一になるよう連動して回動するように、構成されている。本第2実施形態に係るフィルム貼り付け装置70において、電磁石車輪74が回動する方向は図8中の矢印z1の方向であり、センサー車輪76が回動する方向は図8中の矢印z2の方向であり、ロール状防食フィルム10Aが回動する方向(防食フィルム10が送り出される方向)は図8中の矢印z3の方向である。
本第2実施形態に係るフィルム貼り付け装置70の図示せぬ制御部は、センサー車輪76に内蔵されたセンサーのうち、構造体102からの距離が最も遠くなったセンサー(図8ではセンサーp)に対応する電磁石(図8では電磁石a)に電流を流すように指令を発し、電磁石aに磁力を発生させる。そして、本第2実施形態に係るフィルム貼り付け装置70の図示せぬ制御部は、センサー車輪76に内蔵されたセンサーのうち、構造体102からの距離が最も近くなったセンサー(図8ではセンサーt)に対応する電磁石(図8では電磁石e)に電流を流さないように指令を発し、電磁石eからの磁力の発生を止める。したがって、図8の電磁石車輪74において、右半分の位置にある電磁石は磁力を発生しており、左半分の位置にある電磁石は磁力を発生していない。
このため、磁石の磁力に引き付けられる性質を有している磁性フィルムである防食フィルム10は、図8の電磁石車輪74の右半分の位置にある電磁石a~eの磁力により、電磁石車輪74の右半分の外周面に磁着されて、電磁石車輪74が構造体102の表面を転動するとともにロール状防食フィルム10Aから引き出されていき、構造体102の表面に達したとき(構造体102からの距離が最も近くなったとき)に、粘接着層14の接着力により構造体102の表面に接着するとともに、電磁石eの磁力が自動的に解除されて電磁石車輪74の外周面への磁着が解除され、電磁石車輪74の外周面からの離脱が可能になり、構造体102の表面への接着が完了する。
そして、防食フィルム10の必要な貼り付け長さに応じて、ロール状防食フィルム10Aから引き出された防食フィルム10を切断刃78によって切断する。
図9、10に示すように、本第2実施形態に係るフィルム貼り付け装置70の移動基体72には、車軸80Aを介して永久磁石製車輪80が連結されている。本第2実施形態に係るフィルム貼り付け装置70において、永久磁石製車輪80は図示せぬモーターにより駆動する駆動輪であり、フィルム貼り付け装置70は永久磁石製車輪80の駆動により進行する。構造体102が鋼製の構造物の場合、壁面でも、永久磁石製車輪80の磁力により磁着して昇降可能である。また磁力による磁着により、防食フィルム10を接着する際の反力も確保することができる。
本第2実施形態に係るフィルム貼り付け装置70は、その移動や切断刃78による防食フィルム10の切断作業を、無線による遠隔操作で行うように構成してもよい。あるいは構造体102の接着対象部位を自動認識して、目標地点に移動し、必要量の防食フィルム10を構造体102の接着対象部位に接着するように予めプログラムしておき、自動で接着作業をさせるようにしてもよい。
なお、構造体102が鋼製の構造物でない場合は、永久磁石製車輪80に代えて通常のゴム製タイヤを用い、移動基体72に例えばプロペラを装着して、プロペラによって移動の駆動力や接着時の反力を得るように構成すればよい。
(3)防食方法の実施形態
本発明に係る防食フィルムの第1実施形態である防食フィルム10および本発明に係るフィルム貼り付け装置の第1実施形態であるフィルム貼り付け装置50を用いて行う防食方法を、本発明に係る防食方法の実施形態として取り上げて説明する。
次のような手順で防食フィルム10を構造体100に接着する施工を行えばよい。
<ステップ1(磁着工程)>
防食フィルム10の外面、即ちステンレス鋼板12の外面を、フィルム貼り付け装置50の電磁石54に磁着させる。防食フィルム10を電磁石54に磁着させた状態では、防食フィルム10の粘接着層14が外側(フィルム貼り付け装置50の電磁石54とは反対側)を向いた状態になる。
フィルム貼り付け装置50は、第1電極58と第2電極60とが接触した状態において、第1電極58から第2電極60へ電流が流れ、第2電極60からスプリング62を介して電磁石54に電流が流れて磁力を発生するように構成されている。電磁石54に押圧力を加えず第1電極58と第2電極60とが接触した状態にして、フィルム貼り付け装置50の電磁石54に電流を流して磁力を発生させ、電磁石54に防食フィルム10のステンレス鋼板12の外面を磁着させる。前述したように、防食フィルム10のステンレス鋼板12は磁石の磁力に引き付けられる性質を有している。
<ステップ2(移動工程)>
磁着工程で防食フィルム10をフィルム貼り付け装置50の電磁石54に磁着させた後、目標地点までフィルム貼り付け装置50を空中移動させる。フィルム貼り付け装置50の目標地点までの移動は遠隔操作で行ってもよいし、フィルム貼り付け装置50が目標対象物である構造体100の所定の部位を自動認識して目標地点まで移動するようにしてもよい。
<ステップ3(接着工程)>
電磁石54に磁着した防食フィルム10の粘接着層14を構造体100の所定の位置に押し当て、防食フィルム10の粘接着層14を構造体100に接着させる。電磁石54に磁着した防食フィルム10を構造体100の所定の位置に押し当てる力は、フィルム貼り付け装置50のプロペラ52Aから得ることができる。
<ステップ4(離脱工程)>
接着工程で防食フィルム10の粘接着層14を構造体100に接着させた後、フィルム貼り付け装置50を当該地点から離脱させる。
接着工程で防食フィルム10の粘接着層14を構造体100に接着させる際には、電磁石54に磁着した防食フィルム10の粘接着層14を構造体100の所定の位置に押し当てるが、これにより電磁石54に押圧力が加わり、第1電極58と第2電極60とが離間して電磁石54に電流が流れなくなり、電磁石54からの磁力の発生はなくなり、防食フィルム10は、電磁石54による磁着から解放される。
このため、接着工程で防食フィルム10の粘接着層14を構造体100に接着させた後、フィルム貼り付け装置50は、構造体100に接着させた防食フィルム10に引きはがす力を加えることなく、当該地点から離脱することができる。
以上説明したように、電磁石54に磁着した防食フィルム10を構造体100の所定の位置に押し当てると、防食フィルム10は粘接着層14によって構造体100に接着される一方、防食フィルム10は電磁石54との磁着が解除されるので、本実施形態に係る防食方法(防食フィルム10およびフィルム貼り付け装置50を用いて行う防食方法)を用いることで、直接的に人手を介さなくても、防食フィルム10を構造体100の所定の位置に接着させることができる。
本実施形態に係る防食方法は、直接的に人手を介さなくても、防食フィルム10を構造体100の所定の位置に接着させることができるので、足場を設けることが不要であり、構造物の被覆材の補修に好適に用いることができる。また、本実施形態に係る防食方法は、適用対象とする構造物は特には限定されないが、鋼構造物は防食被覆が特に重要な構造物であるので、鋼構造物の防食被覆の補修において特に好適に用いることができる。
また、本実施形態に係る防食方法で用いるフィルム貼り付け装置50においては、移動体52を、空中を移動可能な移動体として構成しているが、防食対象の部位によっては、空中を移動可能な移動体52に替えて、地上を移動可能な移動体で構成して地上移動させるようにしてもよく、また、水中を移動可能な移動体で構成して水中移動させるようにしてもよい。あるいはまた、空中移動、地上移動、水中移動のうちの複数の移動を可能にした移動体で構成して、空中移動、地上移動、水中移動を組み合わせた移動をさせてもよい。ただし、防食対象の部位が水中である場合には、防食フィルム10の粘接着層14を、水中で硬化するエポキシ樹脂を含んで構成することが必要である。
(4)補足
本発明に係るフィルム貼り付け装置の第1実施形態であるフィルム貼り付け装置50および第2実施形態であるフィルム貼り付け装置70の説明に際しては、本発明に係る防食フィルムの第1実施形態である防食フィルム10を構造体100、102に貼り付けるものとして説明したが、本発明に係る防食フィルムの第2、第3、第4実施形態である防食フィルム20、30、40を貼り付けることも可能である。
また、本発明に係るフィルム貼り付け装置の第1実施形態であるフィルム貼り付け装置50の説明に際しては、防食フィルム10を平面状のフィルムの状態で貼り付けるものとして説明したが、貼り付ける構造体の表面形状に合わせた形状の電磁石を作製(例えば、貼り付ける構造体の表面形状が波形の場合はその波形の形状の電磁石を作製)し、作製した電磁石の表面形状に沿わせて本発明に係る防食フィルムを該電磁石に磁着することで、貼り付ける構造体の表面形状が平面でなくても、本発明に係る防食フィルムを貼り付け可能である。貼り付ける構造体の表面形状に合わせた形状の電磁石を作製することで、エッジ部(構造体の面と面との交線部に貼り付ける場合で、この場合は本発明に係る防食フィルムを磁着させる電磁石の外面を当該エッジ部の形状に嵌合するL字状にする。)、コバ部(構造体に板状部があったときにその板状部の端部およびその近傍に貼り付ける場合で、この場合は本発明に係る防食フィルム10を磁着させる電磁石の外面を当該コバ部の形状に嵌合するコの字状にする。)、コーナー部(構造体に直方体の頂点部と同様の頂点部があったときにその頂点部に貼り付ける場合で、この場合は防食フィルム10を磁着させる電磁石の外面を当該コーナー部の形状に嵌合する三角錐状にする。)であっても、本発明に係る防食フィルムを貼り付けることが可能である。
10、20、30、40…防食フィルム
10A…ロール状防食フィルム
12…ステンレス鋼板
14…粘接着層
14A…粘着層
14B…接着層
22…第1粘接着層
22A…粘着層
22B…接着層
24…伸長可能層
24A…伸長可能樹脂層
24B…伸長可能不織布
26…第2粘接着層
26A…粘着層
26B…接着層
32…鉄板
34…樹脂フィルム
42…粘接着層
42A…粘着層
42B…接着層
44…粒状強磁性体
50、70…フィルム貼り付け装置
52…移動体
52A…プロペラ
54、a~h…電磁石
56…アーム
58…第1電極
58A…貫通孔
60…第2電極
62…スプリング
64、66…支持体
68…圧力センサー
72…移動基体
72A、72B、72C…連結軸部材
74…電磁石車輪
76…センサー車輪
78…切断刃
80…永久磁石製車輪
80A…車軸
100、102…構造体
p~w…センサー
z1、z2、z3…回動方向を示す矢印

Claims (21)

  1. 耐食性防食層と、
    粘接着層と、
    を有する防食フィルムであって、
    前記耐食性防食層および前記粘接着層のうちの少なくともいずれか一方は、磁石の磁力に引き付けられる性質を有していることを特徴とする防食フィルム。
  2. 耐食性防食層と、
    粘接着層と、
    強磁性体と、
    を有することを特徴とする防食フィルム。
  3. 前記耐食性防食層は、ステンレス鋼で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の防食フィルム。
  4. 前記ステンレス鋼は、二相系ステンレス鋼またはフェライト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項3に記載の防食フィルム。
  5. 前記粘接着層は、第1粘接着層と第2粘接着層を含み、前記第1粘接着層と前記第2粘接着層との間に、伸長可能な伸長可能層が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の防食フィルム。
  6. 前記伸長可能層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能樹脂層、もしくはガラス繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能不織布であるか、もしくはウレタンフォーム、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM) 、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ふっ素ゴムよりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の防食フィルム。
  7. 前記耐食性防食層の面のうち、前記粘接着層が配置された側とは反対側の面は、塗装が施されているか、あるいは樹脂フィルムで被覆されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の防食フィルム。
  8. 強磁性体である鉄板と、
    前記鉄板の一方の面に設けられた粘接着層と、
    前記鉄板の他方の面に設けられた耐食性樹脂フィルムまたは重防食塗装と、
    を有することを特徴とする防食フィルム。
  9. 前記粘接着層は、水中で硬化するエポキシ樹脂を含んで構成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の防食フィルム。
  10. 外部と接着可能な接着面が露出した、磁石の磁力に引き付けられる性質を有しているフィルムを構造体表面に貼り付けるためのフィルム貼り付け装置であって、
    装置本体部と、
    前記装置本体部に備えられ、前記装置本体部を移動させるための駆動手段と、
    前記装置本体部に備えられ、前記フィルムを磁力により磁着させるフィルム磁着部と、
    前記フィルム磁着部における磁力を制御する磁力制御部と、
    を有し、
    前記フィルムの前記構造体表面への貼り付けは、前記フィルム磁着部へ磁着した前記フィルムを、前記駆動手段で前記装置本体部を移動させることで前記フィルムの前記接着面を前記構造体表面に押し付けた後、前記フィルム磁着部へ磁着した前記フィルムの磁着を前記磁力制御部により解除することで行うことを特徴とするフィルム貼り付け装置。
  11. 前記フィルム磁着部は前記装置本体部から外側に突出したアーム部であって、該アーム部の先端部領域に電磁石が取り付けられた構成であり、前記磁力制御部は、前記アーム部に加わる圧力が所定値以上の場合に、前記フィルム磁着部での前記フィルムの磁着を解除するように電磁石の磁力を制御することを特徴とする請求項10に記載のフィルム貼り付け装置。
  12. 前記駆動手段は、前記装置本体部を空中移動させることが可能なように構成されていることを特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載のフィルム貼り付け装置。
  13. 前記駆動手段は、前記装置本体部が前記構造体の表面上を移動できるように転動可能な車輪を備えており、
    前記フィルム磁着部は、前記車輪の内部に電磁石が内蔵されていて、前記車輪の外周面に前記電磁石の磁力により前記フィルムが磁着するように構成されており、
    前記磁力制御部は、前記車輪の転動によって前記構造体表面の所望位置に達するまで前記車輪の外周面に前記フィルムを磁着させ、前記所望位置で前記フィルム磁着部による前記フィルムの磁着を解除するように前記電磁石の磁力を制御することを特徴とする請求項10に記載のフィルム貼り付け装置。
  14. 請求項1~9のいずれかに記載の防食フィルムの外面を、請求項10~13のいずれかに記載のフィルム貼り付け装置の前記電磁石の磁力によって該フィルム貼り付け装置に磁着させる磁着工程と、
    前記磁着工程で前記防食フィルムを前記フィルム貼り付け装置に磁着させた後、目標地点まで前記フィルム貼り付け装置を移動させる移動工程と、
    前記防食フィルムの前記粘接着層を、前記フィルム貼り付け装置により対象構造体に押し付けて、前記防食フィルムを前記対象構造体の所定の部位に接着する接着工程と、
    前記接着工程で前記防食フィルムを前記所定の部位に接着させた後、前記電磁石による前記フィルムの磁着を解除して、前記フィルム貼り付け装置を前記目標地点から離脱させる離脱工程と、
    を有することを特徴とする防食方法。
  15. 前記フィルム貼り付け装置は空中を移動可能であり、前記移動工程では空中を移動することを特徴とする請求項14に記載の防食方法。
  16. 前記フィルム貼り付け装置は地上を移動可能であり、前記移動工程では地上を移動することを特徴とする請求項14に記載の防食方法。
  17. 前記磁着工程で前記フィルム貼り付け装置に磁着させる前記防食フィルムは、請求項9に記載の防食フィルムであり、
    前記フィルム貼り付け装置は水中を移動可能であり、前記移動工程では水中を移動することを特徴とする請求項14に記載の防食方法。
  18. 前記フィルム貼り付け装置は、遠隔操作可能であることを特徴とする請求項14~17のいずれかに記載の防食方法。
  19. 前記フィルム貼り付け装置は、前記対象構造体の前記所定の部位を自動認識して、前記目標地点に移動し、前記防食フィルムを前記対象構造体の前記所定の部位に接着することを特徴とする請求項14~18のいずれかに記載の防食方法。
  20. 前記対象構造体の被覆材の補修に用いることを特徴とする請求項14~19のいずれかに記載の防食方法。
  21. 前記対象構造体は鋼構造物であることを特徴とする請求項14~20のいずれかに記載の防食方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116044718A (zh) * 2023-03-06 2023-05-02 西安热工研究院有限公司 一种分布式压缩空气储能***及储能方法

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