JP2022142457A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】長時間、大気中に曝された場合にも、帯電防止性能の低下を抑制できる積層ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】ポリエステルフィルムと、前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、(A)ポリビニルアルコール、(B)イソシアネート化合物及びエポキシ化合物から選択される少なくとも一種の化合物、並びに(C)電子導電性化合物を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層と、を備え、該硬化樹脂層の表面弾性率が、7.7GPa以下である、積層ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、積層ポリエステルフィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れ、かつコストパフォーマンスに優れるため、各種用途に使用されている。
しかしながら、ポリエステルフィルムは、プラスチックフィルム共通の問題として、静電気が発生して帯電しやすいという特徴があり、摩擦、粘着層剥離等の際に帯電しやすく、異物や塵埃の付着、静電気放電障害等の問題が発生する。
また、加工現場において、静電気による異物等の付着あるいは巻き込みによる不具合を生じる場合がある。
このため種々の帯電防止対策が講じられている。一般的には、表面に帯電防止性を有する機能層を設ける方法がある。ポリエステルフィルムに塗工される帯電防止剤としては、四級アンモニウム基に代表されるカチオン性の基を含むカチオン性化合物、スルホネート基やホスホネート基に代表されるアニオン性の基を含むアニオン性化合物が主に用いられる。
しかしながら、これらはイオン導電性で帯電防止能が周囲の湿気や水分の影響を受けやすく、特に低湿度下では導電性が低下し、所望の帯電防止能が得られなくなる欠点がある。アニオン系の帯電防止剤においてこの傾向がより顕著となることが多い。
また、近年、環境問題への関心が高まり、一緒に組み込まれる他部材への影響の懸念等からポリエステルフィルムにハロゲンの不使用を求められることが多い。
しかし、カチオン系の帯電防止剤の場合、四級アンモニウム基の対アニオンが塩化物イオンの化合物が一般的である。対アニオンをモノアルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン等とした帯電防止剤も有るが、イオンの移動度が低くなり帯電防止性能が劣るといった問題がある。
そこで、注目されているのが電子導電性化合物である。電子導電性化合物は、上記イオン導電性化合物に比べると、より優れた帯電防止性を発現することが可能であり、湿度による影響も受けにくい。
電子導電性化合物としては、種々の導電性有機ポリマー化合物、中でもポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物が提案されている。
これらの中でもアルコキシ置換ポリアニリンスルホン酸は、優れた導電性、分散性を持ち、工業的に比較的安価に入手できるため、導電材料として好適であるが、着色が強く、単独で塗膜とした場合には強度が弱く、耐水性が劣るといった問題があった。
例えば、特許文献1には、スルホン酸基含有共重合ポリエステル樹脂との併用が、特許文献2にはアクリル変性樹脂との併用が提案されているが、導電性と着色のバランスが不十分であった。
そこで、特許文献3には、上記課題を解決した導電性、耐水性、耐溶剤性、透明性が優れた帯電防止フィルムが開示されている。
特開平10-334729号公報 特開平11-300903号公報 特開2013-199052号公報
しかしながら、特許文献3に記載された帯電防止フィルムは、電子導電性化合物を含む硬化樹脂層が長時間、大気中に曝された場合、例えば電子導電性化合物を含む硬化樹脂層を備えた帯電防止フィルムを加工工程で使用している際に、何らかの予期せぬ製造設備のトラブル等で生産ラインが停止した場合等、大気中に曝されたことにより帯電防止性能が著しく低下する場合があった。
そこで、本発明は、上記実情に鑑みて、長時間、大気中に曝された場合にも、帯電防止性能の低下を抑制できる積層ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、ポリビニルアルコール、イソシアネート化合物及びエポキシ化合物から選択される少なくとも一種の化合物、並びに電子導電性化合物を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層の表面弾性率を7.7GPa以下とすることで、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき完成したものであり、以下の態様を有する。
[1]ポリエステルフィルムと、
前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、(A)ポリビニルアルコール、(B)イソシアネート化合物及びエポキシ化合物から選択される少なくとも一種の化合物、並びに(C)電子導電性化合物を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層と、
を備え、
該硬化樹脂層の表面弾性率が、7.7GPa以下である、積層ポリエステルフィルム。
[2]温度23℃、50%RH、蛍光灯照射下で、14日間暴露させたときの暴露前後における前記硬化樹脂層の表面抵抗値(Ω/□)の変化率((暴露後の表面抵抗値)/(暴露前の表面抵抗値))が、2.6以下である、上記[1]に記載の積層ポリエステルフィルム。
[3]23℃、50%RHの雰囲気で30分間調湿した後に測定される、前記硬化樹脂層の表面抵抗値が、5.0×1010(Ω/□)以下である、上記[1]又は[2]に記載の積層ポリエステルフィルム。
[4]前記硬化樹脂層の表面硬度が、350MPa以上である、上記[1]~[3]の何れか1つに記載の積層ポリエステルフィルム。
[5]前記樹脂組成物は、さらに、(D)バインダー樹脂を含む、上記[1]~[4]の何れか1つに記載の積層ポリエステルフィルム。
[6]前記電子導電性化合物が、導電性高分子化合物を含む、上記[1]~[5]の何れか1つに記載の積層ポリエステルフィルム。
本発明によれば、長時間、大気中に曝された場合にも、帯電防止性能の低下を抑制できる積層ポリエステルフィルムを提供することができる。
以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
ただし、本発明は次に説明する実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本明細書において、「(メタ)アクリル」という表現を用いる場合、「アクリル」及び「メタクリル」の一方又は両方を意味するものとし、他の類似表現も同様である。「RH」は相対湿度を意味する。また、本明細書において、数値の記載に関する「A~B」という用語は、「A以上B以下」を意味する。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムと、前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、(A)ポリビニルアルコール、(B)イソシアネート化合物及びエポキシ化合物から選択される少なくとも一種の化合物、並びに(C)電子導電性化合物を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層と、を備え、該硬化樹脂層の表面弾性率が、7.7GPa以下である。
以下、各構成要件について、詳細に説明する。
<ポリエステルフィルム>
本発明の積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムは、単層構造であっても多層構造であってもよい。
前記ポリエステルフィルムが多層構造の場合、前記ポリエステルフィルムは2層構造、3層構造等でもよいし、本発明の要旨を逸脱しない限り、4層又はそれ以上の多層であってもよく、層数は特に限定されない。
また、ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましい。その中でも、力学特性のバランス、平面性及び薄膜化の観点から、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。
前記ポリエステルフィルムの原料であるポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール及び1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。
一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸及びオキシカルボン酸等から選択される1種又は2種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4-シクロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコール等から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えば、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物等が挙げられる。
オリゴマー成分の析出量を抑えるために、オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステルを原料としてフィルムを製造してもよい。オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステルの製造方法としては、種々公知の方法を用いることができ、例えばポリエステル製造後に固相重合する方法等が挙げられる。
また、ポリエステルフィルムを3層以上の構成とし、ポリエステルフィルムの最外層を、オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステル原料を用いた層とすることで、オリゴマー成分の析出量を抑えてもよい。
なお、ポリエスエルは、エステル化又はエステル交換反応をした後に、さらに反応温度を高くして減圧下で溶融重縮合して得てもよい。
ポリエステルフィルム中にはフィルムの耐候性の向上、被着体(例えば液晶)等の劣化防止のために、紫外線吸収剤を含有させるもよい。紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する化合物で、ポリエステルフィルムの製造工程で付加される熱に耐えうるものであれば特に限定されない。
紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤があるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、環状イミノエステル系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等が挙げられる。耐久性の観点からは環状イミノエステル系、ベンゾトリアゾール系がより好ましい。
また、紫外線吸収剤を2種以上併用して用いることも可能である。
ポリエステルフィルム中には、易滑性の付与及び各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合してもよい。配合する粒子の種類は、易滑性を付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。
さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。
また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
粒子の平均粒径は、例えば5μm以下、好ましくは3μm以下であり、そして、好ましくは0.01μm以上である。5μm以下であると、フィルムの表面粗度を適度なものとすることができ、後工程において各種の表面機能層を形成させる場合等に影響を与えることがなく、好適である。
粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡によって、10個の粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。
さらに、ポリエステルフィルム中の粒子の含有量は、例えば5質量%以下、好ましくは3質量%以下であり、そして、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0003質量%以上である。粒子が無い場合あるいは少ない場合は、フィルムの透明性が高くなり、良好なフィルムとなるが、滑り性が不十分となる場合があるため、硬化樹脂層中に粒子を入れることにより、滑り性を向上させる等の工夫が必要な場合がある。
また、粒子含有量が5質量%以下であると、フィルムの透明性が十分担保できる。
粒子を含有させる場合、例えば、表層と中間層を設けて、表層に粒子を含有させることが好ましい。この場合、より好ましくは、粒子を含有する表層、中間層及び粒子を含有する表層をこの順に有する多層構造とするとよい。
ポリエステルフィルム中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、多層のポリエステルフィルムであれば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化又はエステル交換反応終了後、添加するのがよい。
なお、ポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
ポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、機械的強度、ハンドリング性及び生産性等の観点から、例えば10μm以上、好ましくは25μm以上、さらに好ましくは38μm以上であり、そして、例えば350μm以下、好ましくは250μm以下、より好ましくは125μm以下である。
次に、ポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。例えば、二軸延伸フィルムを製造する場合、先に述べたポリエステル原料の乾燥したペレットを、押出機を用いてダイから溶融シートとして押し出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法及び/又は液体塗布密着法が好ましく採用される。
得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する。
延伸温度は、例えば70~120℃、好ましくは80~110℃であり、延伸倍率は例えば2.5~7倍、好ましくは3.0~6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は例えば70~170℃であり、延伸倍率は例えば3.0~7倍、好ましくは3.5~6倍である。
そして、引き続き例えば180~270℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸延伸フィルムを得る。
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、同時二軸延伸法を採用することもできる。
同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを例えば70~120℃、好ましくは80~110℃で温度コントロールされた状態で機械方向及び幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で例えば4~50倍、好ましくは7~35倍、さらに好ましくは10~25倍である。
そして、引き続き、例えば170~250℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式及びリニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
<硬化樹脂層>
本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に硬化樹脂層を有する。
前記硬化樹脂層は、(A)ポリビニルアルコール、(B)イソシアネート化合物及びエポキシ化合物から選択される少なくとも一種の化合物、並びに(C)電子導電性化合物を含む樹脂組成物を硬化させて形成される。
[(A)ポリビニルアルコール]
本発明に係る硬化樹脂層形成用の樹脂組成物には、後述する電子導電性化合物との相溶性及び暴露耐性改善の両立を目的として、(A)ポリビニルアルコール(以下、「PVA」とも称する)を含有する必要がある。
また、大気中に曝された際に帯電防止性能が悪化する機構については、以下のように推定している。大気中に曝された際、硬化樹脂層へ酸素が侵入し、電子導電性化合物の酸化が起きることで、帯電防止性能が悪化すると推定している。
PVAは、ビニルエステル系モノマーを重合して得られるポリビニルエステル系樹脂を、さらにケン化して得られるビニルアルコール構造単位を主体とする樹脂であり、ケン化度相当のビニルアルコール構造単位とビニルエステル構造単位から構成されることを特徴とする。
前記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、中でも酢酸ビニルが好ましい。
PVAは、未変性PVAを使用してもよいし、変性PVAを使用してもよい。
前記変性PVAとしては、上記ビニルエステル系モノマーと共重合性を有するモノマーを共重合させて得たものが挙げられる。
共重合モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオレフィン類;3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール、3,4-ジヒドロキシ-1-ブテン等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類及びそのアシル化物等の誘導体;アセト酢酸ビニル、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート等のアセトアセチル基含有単量体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等のカルボン酸類等の不飽和酸類、その塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、モノエステル、あるいはジアルキルエステル;ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(1-(メタ)アクリルアミド-1,1-ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等のポリオキシアルキレン基含有モノマー;N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N-アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N-アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2-アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2-メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3-ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有モノマー等;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類;ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩;アルキルビニルエーテル類;ジメチルアリルビニルケトン、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2-ジアルキル-4-ビニル-1,3-ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル等のビニル化合物;酢酸イソプロペニル、1-メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類;塩化ビニリデン、1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、ビニレンカーボネート、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパン、1,3-ジプロピオニルオキシ-2-メチレンプロパン、1,3-ジブチロニルオキシ-2-メチレンプロパン等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート等が挙げられる。
かかる共重合モノマーの含有量は、重合体全量を基準として、例えば10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは1モル%以下である。
ビニルエステル系モノマー及び共重合モノマーを重合する方法に関しては特に限定されるわけではなく、従来から公知の手法を採用することができる。具体的には、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合又は乳化重合等が例示される。
PVAのケン化度は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは75モル%以上、さらに好ましくは78モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であり、そして、例えば99モル%以下、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下である。PVAのケン化度が70モル%以上であると、硬化樹脂層の水素結合形成が起こり、硬化樹脂層表面弾性率を向上させることができる。
一方、PVAのケン化度が98モル%以下であると、水素結合形成に由来する結晶性向上が抑制され、硬化樹脂層の表面弾性率を低下させることができる。
PVAのケン化度は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
PVAの粘度は、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは2mPa・s以上、さらに好ましくは5mPa・s以上であり、そして、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下、さらに好ましくは40mPa・s以下である。PVAの粘度が1mPa・sが以上であると、水素結合形成によって表面弾性率が向上する。
一方、PVAの粘度が40mPa・sが以下であると、塗工性が良好となる。
PVAの粘度は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
樹脂組成物中の全不揮発成分に占めるPVAの割合としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。PVAの含有量が上限値以下であると、電子導電性化合物との相溶性及び表面弾性率が良好となる。
一方、PVAの含有量が下限値以上であると、表面弾性率を向上させることができる。
[(B)イソシアネート化合物、エポキシ化合物]
本発明に係る硬化樹脂層形成用の樹脂組成物には、硬化樹脂層の耐久性向上、特に帯電防止性能の耐久性を目的として、架橋剤を含有する必要がある。その中でも、大気中に曝された際の帯電防止性の低下を抑制する観点から、(B)イソシアネート化合物及びエポキシ化合物から選択される少なくとも一種の化合物を必須成分とするものである。
イソシアネート化合物及びエポキシ化合物から選択される少なくとも一種の化合物を含有することで、硬化樹脂層に含まれる(C)電子導電性化合物の分子緩和による酸化反応の抑制と、(C)電子導電性化合物及びPVAとの相溶性改善による性能発現の両立が可能となる。
(イソシアネート化合物)
イソシアネート化合物とは、例えば、イソシアネートあるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物、前駆体であるイソシアネート化合物のイソシアネート基を活性メチレン化合物で保護した構造を有する活性メチレンブロックイソシアネート化合物のことである。
イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート及びナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート;メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)及びイソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族イソシアネート等が例示される。
また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物及びカルボジイミド変性体等の重合体や誘導体も挙げられる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
上記イソシアネートの中でも、紫外線による黄変を避けるために、芳香族イソシアネートよりも脂肪族イソシアネート又は脂環族イソシアネートがより好ましい。
ブロックイソシアネートの状態で使用する場合、そのブロック剤としては、例えば、重亜硫酸塩類、フェノール、クレゾール及びエチルフェノール等のフェノール系化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール及びエタノール等のアルコール系化合物;イソブタノイル酢酸メチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトン等の活性メチレン系化合物;ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のメルカプタン系化合物;ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム等のラクタム系化合物;ジフェニルアニリン、アニリン及びエチレンイミン等のアミン系化合物;アセトアニリド、酢酸アミド等の酸アミド化合物;ホルムアルデヒド、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム及びシクロヘキサノンオキシム等のオキシム系化合物が挙げられ、これらは単独でも2種以上の併用であってもよい。
活性メチレンブロックイソシアネート化合物の前駆体であるイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族系イソシアネート化合物、脂環族系イソシアネート化合物、芳香族系イソシアネート化合物等が挙げられる。これらのイソシアネート化合物はより高度に反応が可能である点において、複数個のイソシアネート基を有する化合物、すなわちポリイソシアネート化合物を用いて活性メチレンブロックポリイソシアネート化合物とすることが好ましい。
前記脂肪族系ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート化合物、リジントリイソシアネート、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタメチレンジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)2-イソシアナトグルタレート、あるいはこれらイソシアネート化合物から誘導される化合物等を挙げることができる。その中でも工業的入手のしやすさからヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
前記脂環族系ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)-シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、あるいはこれらイソシアネート化合物から誘導される化合物等を挙げることができる。その中でも、耐候性、工業的入手の容易さから、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
前記芳香族系ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、あるいはこれらイソシアネート化合物から誘導される化合物等を挙げることができる。
これらのポリイソシアネート化合物の中でも、脂肪族系ポリイソシアネート化合物及び脂環族系ポリイソシアネート化合物が耐候性に優れるため、好ましい。さらに、脂肪族系ポリイソシアネート化合物の中では、脂肪族系ジイソシアネートから誘導される脂肪族系ポリイソシアネート化合物が好ましい。その中でも、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
また、これらのイソシアネート化合物は、単独で使用してもいいし、2種以上を併用しても構わない。
活性メチレンブロックポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、活性メチレン系ブロック剤と反応させて合成することができる。
活性メチレン系ブロック剤としては、例えば、イソブタノイル酢酸エステル、n-プロパノイル酢酸エステル、n-ブタノイル酢酸エステル、n-ペンタノイル酢酸エステル、n-ヘキサノイル酢酸エステル、2-エチルヘプタノイル酢酸エステル、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、アセチルアセトン等を挙げることができる。その中でも、低温硬化性及び水存在下の貯蔵安定性に優れるという点で、イソブタノイル酢酸エステル、n-プロパノイル酢酸エステル、n-ブタノイル酢酸エステル、n-ペンタノイル酢酸エステル、n-ヘキサノイル酢酸エステル、2-エチルヘプタノイル酢酸エステルが好ましく、より好ましくは、イソブタノイル酢酸エステル、n-プロパノイル酢酸エステル、n-ペンタノイル酢酸エステルであり、さらに好ましくは、イソブタノイル酢酸エステルである。より具体的には、イソブタノイル酢酸エステルとしては、例えば、イソブタノイル酢酸メチル、イソブタノイル酢酸エチル、イソブタノイル酢酸n-プロピル、イソブタノイル酢酸イソプロピル、イソブタノイル酢酸n-ブチル、イソブタノイル酢酸イソブチル、イソブタノイル酢酸t-ブチル、イソブタノイル酢酸n-ペンチル、イソブタノイル酢酸n-ヘキシル、イソブタノイル酢酸2-エチルヘキシル、イソブタノイル酢酸フェニル、イソブタノイル酢酸ベンジル等が挙げられる。その中でも、イソブタノイル酢酸メチル、イソブタノイル酢酸エチルが好ましい。n-プロパノイル酢酸エステルとしては、例えば、n-プロパノイル酢酸メチル、n-プロパノイル酢酸エチル、n-プロパノイル酢酸イソプロピル、n-プロパノイル酢酸n-ブチル、n-プロパノイル酢酸t-ブチル等が挙げられる。その中でも、n-プロパノイル酢酸メチル、n-プロパノイル酢酸エチルが好ましい。n-ペンタノイル酢酸エステルとしては、例えば、n-ペンタノイル酢酸メチル、n-ペンタノイル酢酸エチル、n-ペンタノイル酢酸イソプロピル、n-ペンタノイル酢酸n-ブチル、n-ペンタノイル酢酸t-ブチル等が挙げられる。その中でも、n-ペンタノイル酢酸メチル、n-ペンタノイル酢酸エチルが好ましい。
本発明においては、上記に示した活性メチレン系ブロック剤を単独で用いることもできるし、2種以上を併用して使用することもできる。併用する活性メチレン系ブロック剤としては、低温硬化性に優れ、形成した硬化樹脂層の耐熱性に優れるという点で、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルが好ましい。
また、活性メチレンブロックイソシアネート化合物は、既存のブロック剤、例えば、オキシム系、ピラゾール系、アルコール系、アルキルフェノール系、フェノール系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、アミン系、イミン系、重亜硫酸塩ブロック剤等をブロック化反応時に併用して使用することもできる。併用する既存のブロック剤は、単独あるいは2種以上使用してもよい。
さらに、活性メチレンブロックイソシアネート化合物は、樹脂組成物の好ましい形態である塗布液における配合性を高めるため、親水性部位を含有することが好ましく、ブロックイソシアネート系化合物に親水部位を付加する方法としては、例えば、前駆体であるイソシアネート化合物のイソシアネート基と活性水素を有する親水性化合物を反応させる方法が挙げられる。
前記活性水素を有する親水性化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール系化合物、カルボン酸含有化合物、スルホン酸含有化合物、アミン含有化合物等が挙げられる。これらの親水性化合物は、単独で用いてもいいし、2種以上を併用して用いてもよい。
使用する活性メチレンブロックポリイソシアネート化合物の有効イソシアネート基(NCO)含有率(質量%)は、保存安定性及び架橋構造形成の観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは12質量%以下である。
また、イソシアネート化合物は単体で用いてもよいし、各種ポリマーとの混合物や結合物として用いてもよい。イソシアネート化合物の分散性や架橋性を向上させるという意味において、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂との混合物や結合物を使用することが好ましい。
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えば、エピクロロヒドリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、イソシアヌル酸トリス(2-ヒドロキシエチル)及びビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物や、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物並びにグリシジルアミン化合物等がある。
ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル及びフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
グリシジルアミン化合物としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。易接着性向上の観点から、ポリエーテル系のエポキシ化合物が好ましい。
また、エポキシ基の量としては、3官能以上の多官能であるポリエポキシ化合物が好ましい。
本発明においては、(B)イソシアネート化合物及びエポキシ化合物から選択される少なくとも一種の化合物以外の架橋剤を組み合わせて使用してもよい。イソシアネート化合物及びエポキシ化合物以外の架橋剤としては、種々公知の架橋剤が使用でき、例えば、メラミン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、シランカップリング化合物等が挙げられる。
(B)イソシアネート化合物及びエポキシ化合物から選択される少なくとも一種の化合物以外の架橋剤の全架橋剤に占める割合は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。下限値は、0質量%であり、架橋剤の全てが(B)イソシアネート化合物及びエポキシ化合物から選択される少なくとも一種の化合物であってもよい。
樹脂組成物中の全不揮発成分に占める架橋剤の割合としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。架橋剤の含有量が上限値以下であると、硬化樹脂層の表面弾性率を低下させることができる。
一方、架橋剤の含有量が下限値以上であると、硬化樹脂層の硬化を十分とすることができ、電子導電性化合物の酸化を抑制することができる。
[(C)電子導電性化合物]
本発明に係る硬化樹脂層形成用の樹脂組成物中は、帯電防止性の付与を目的として、(C)電子導電性化合物を含む。
電子導電性化合物としては、種々の導電性有機ポリマー化合物が挙げられるが、中でもポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェン、これらの誘導体、及びこれらとドーパントとの複合体等の導電性高分子化合物や、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ等の炭素材料が好ましい。中でも、導電性や塗料化の容易性の観点から、ポリアニリン化合物が好ましい。
(ポリアニリン化合物)
ポリアニリン化合物としては、主たる繰り返し単位がアルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸であり導電性を有するものが好ましい。
前記アルコキシ基は、低級アルコキシ基であれば、特に制限はないが、メトキシ基がコスト面及び性能面で好ましい。
本発明においては、ポリアニリン骨格中の芳香環の実質的に全てにスルホン酸基とアルコキシ基が含有されることが好ましいが、どちらかあるいは両方の置換基を欠くもの、別の置換基を有するものが含まれることに特に制限はない。
主たる繰り返し単位がアルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸であり導電性を有するポリアニリン化合物の数平均分子量は、特に制限はないが、好ましくは5000~20000である。分子量が高いほど、導電ネットワークを構築するのに有利だが、高すぎると粘度が上がり、塗工が困難となる。
前記主たる繰り返し単位がアルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸であり導電性を有するポリアニリン化合物は、一般に酸性が強いため、塩基性化合物でpHを調整して用いることも可能であり、好ましい。
前記塩基性化合物としては、アンモニア及び有機アミン類が好ましく、なかでもアンモニアがより好ましい。
樹脂組成物中の全不揮発成分に占める電子導電性化合物の割合としては、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。電子導電性化合物の含有量が上限値以下であると、コストダウン及び外観が良好となる。
一方、電子導電性化合物の含有量が下限値以上であると、十分な帯電防止性能が発現できる。
最終的な塗膜中における電子導電性化合物の塗工量は、例えば0.005g/m以上、好ましくは0.01g/m以上、より好ましくは0.02g/m以上であり、そして、例えば30g/m以下、好ましくは20g/m以下、より好ましくは15g/m以下である。電子導電性化合物の塗工量が上限値以下であると、コストダウン及び外観の良化の観点から好ましい。
一方、電子導電性化合物の塗工量が下限値以上であると、十分な性能発現が可能となる。
[(D)バインダー樹脂]
本発明に係る硬化樹脂層形成用の樹脂組成物中には、帯電防止性能の安定化及び外観の良化、硬化樹脂層の耐擦傷性改善を目的として、(D)バインダー樹脂を含むことが好ましい。
バインダー樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂の群から選ばれる1種以上の化合物を好適な例として挙げることができる。
(ポリウレタン樹脂)
ポリウレタン樹脂とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物で、水分散性又は水溶性のものが好ましい。
ポリウレタン樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
水分散性又は水溶性を付与させるために、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホニル基、リン酸基、エーテル基等の親水性基をウレタン樹脂に導入することが一般的であり好ましい。前記親水性基の中でも、硬化樹脂層の物性及び密着性の点からカルボキシル基又はスルホン酸基が好ましい。
ポリウレタン樹脂を作成する方法の一つに、水酸基含有化合物とイソシアネートとの反応によるものがある。原料として用いられる水酸基含有化合物としては、ポリオールが好適に用いられ、例えば、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネート系ポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
ポリエーテルポリオール類としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、例えば、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)又はそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるものが挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオール類としては、例えば、多価アルコール類とジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等とから、脱アルコール反応によって得られるポリカーボネートジオール、例えば、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
これらの中でも、透明な硬化樹脂層を得やすい点でポリエステルポリオール類が好ましく、芳香環を有するポリエステルポリオール類がより好ましい。
ポリウレタン樹脂を得るために使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。これらの中では、透明な硬化樹脂層が得やすい点で芳香族ポリイソシアネートが好ましい。
ポリウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用しても良く、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基又はアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール;キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール;ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。
アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン等の脂肪族ジアミン;1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
また、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等を用いて、ウレタン骨格にカルボキシル基を導入し、後に塩基性化合物で中和してウレタンを親水化する手法も好ましく用いられる。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂とは、主な構成成分として、例えば、下記のような多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物からなるものが挙げられる。
すなわち、多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸及び、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩及びそれらのエステル形成性誘導体等を用いることができる。
多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、p-キシリレングリコール、ビスフェノールA-エチレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウム等を用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
また、上記多価カルボン酸の一部としてスルホイソフタル酸を共重合して、ポリエステル骨格にスルホン酸基を導入し、中和して親水化した物が好ましく用いられる。共重合する量は、多価カルボン酸全体に対し、例えば1モル%以上、好ましくは2モル%以上であり、そして、例えば10モル%以下、好ましくは8モル%以下である。スルホン酸基を適量導入することでさらに水分散安定性を向上させることができる。
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂とは、アクリル系のモノマー及びメタアクリル系のモノマーの少なくとも一方を含む重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体、さらにはアクリル系のモノマー、メタアクリル系のモノマー以外の重合性モノマーとの共重合体のいずれでもよい。
また、それら重合体と他のポリマー(例えば、ポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。すなわち、アクリル樹脂は、アクリル変性ポリエステル樹脂や、アクリル変性ポリウレタン樹脂であってもよい。
上記した中では、アクリル系、メタクリル系のモノマーを含む重合性モノマーを重合してなる重合体が好ましく、重合性モノマーがアルキル(メタ)アクリル酸エステル類を含むことがより好ましい。
また、前記硬化樹脂層を形成する樹脂組成物を含む塗布液を水系とした場合に、バインダー樹脂を溶解又は分散しやすくする観点から、重合性モノマーは、水酸基やカルボキシル基等の親水性基を有することが好ましい。
したがって、アクリル樹脂は、アルキル(メタ)アクリル酸エステル類と、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー等の親水性基含有モノマーを含む重合性モノマーを重合してなる重合体も好ましい。
また、アクリル樹脂は、例えば界面活性剤の存在下に重合性モノマーを重合した乳化重合体でもよい。
バインダー樹脂としては、電子導電性化合物との相溶性、及び帯電防止性能の観点から、ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
樹脂組成物中の全不揮発成分に占めるバインダー樹脂の割合としては、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。バインダー樹脂の含有量が上限値以下であると、フィルム表面の白濁を抑制でき、透明性を担保できる。
一方、バインダー樹脂の含有量が下限値以上であると、電子導電性化合物との相溶性が良化し、良好な帯電防止性能を発現できる。
[その他成分]
本発明に係る硬化樹脂層形成用の樹脂用組成物には、本発明の主旨を損なわない範囲において、ブロッキング性や滑り性改良等を目的として粒子を併用することも可能である。
さらに、上記成分以外にも、反応調整剤、密着強化剤、界面活性剤等の添加剤を適宜配合してもよい。
[溶媒]
上記化合物及び成分を含む樹脂組成物は、溶媒により希釈することで塗布液とすることができる。
上記硬化樹脂層形成用の樹脂組成物は、液状の塗布液として使用し、これを前記ポリエステルに塗布し、必要に応じて乾燥、かつ硬化させることで硬化樹脂層を形成することができる。
なお、硬化樹脂層を形成するための上記化合物及び成分を含む樹脂組成物は、溶媒に溶解させてもよいし、溶媒中に分散させてもよい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、水及び有機溶剤のいずれかを使用すればよいが、環境保護の観点から、水を主溶媒(50質量%以上)とする水性塗布液とすることが好ましい。水の含有量に関して、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。水性塗布液には、少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤の具体的な量は、質量基準で水より少なくするとよいが、例えば、溶媒中の30質量%未満、好ましくは20質量%未満、より好ましくは10質量%未満である。
水と併用する有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、エチルセロソルブ、t-ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルエタノールアミン等のアミン類等を例示することができる。これらは単独、もしくは複数を組み合わせて用いることができる。水性塗布液に、必要に応じてこれらの有機溶剤を適宜選択し、含有させることで、塗布液の安定性、塗布性を良好にできる場合がある。
また、上記溶剤として有機溶剤単独で使用する場合、有機溶剤としては、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチルメチルケトン(MEK)、イソブチルメチルケトン等のケトン類、エタノール、2-プロパノール等のアルコール類、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類等を挙げることができる。これらは、溶解性、塗布性や沸点等を考慮して単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。
<硬化樹脂層の形成方法>
以下、本発明に係る硬化樹脂層の形成方法について説明する。
硬化樹脂層の形成方法は特に限定されず、例えば、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等の従来公知の塗工方式を用いることができる。
また、硬化樹脂層の形成方法としては、インラインコーティング及びオフラインコーティングがある。乾燥及び硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、例えばオフラインコーティングにより硬化樹脂層を設ける場合、例えば、80~200℃で3~40秒間、好ましくは100~180℃で3~40秒間を目安として熱処理を行うのがよい。
一方、インラインコーティングにより硬化樹脂層を設ける場合、例えば、70~280℃で3~200秒間を目安として熱処理を行うのがよい。
本発明では、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより形成されるのが好ましい。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押し出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。
例えば、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻き上げ前のフィルムの何れかにコーティングする。
以下に限定するものではないが、例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と硬化樹脂層形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、コーティング後に延伸を行うために、硬化樹脂層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングフィルムに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。
また、延伸前にフィルム上に硬化樹脂層を設けることにより、硬化樹脂層をポリエステルフィルムと共に延伸することができ、それにより硬化樹脂層をポリエステルフィルムに強固に密着させることができる。
さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦及び横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。
それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、硬化樹脂層の造膜性が向上し、硬化樹脂層とポリエステルフィルムをより強固に密着させることができる。
さらには、強固な硬化樹脂層とすることができ、硬化樹脂層上に形成され得る各種の機能層との密着性や耐湿熱性等の性能を向上させることができる。
インラインコーティングによって硬化樹脂層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液又は水分散体として、固形分濃度(全不揮発成分)が0.1~50質量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造することが好ましい。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明の積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
硬化樹脂層の厚みは、好ましくは0.002μm以上、より好ましくは0.005μm以上、さらに好ましくは0.02μm以上であり、そして、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.25μm以下、さらに好ましくは0.10μm以下である。硬化樹脂層の厚みがかかる範囲内であれば、良好な帯電防止性を付与できる。
なお、硬化樹脂層中には、樹脂組成物の各種化合物の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
<積層ポリエステルフィルムの物性>
本発明において、積層ポリエステルフィルムの硬化樹脂層の表面弾性率は、7.7GPa以下である。前記表面弾性率を7.7GPa以下とすることで、硬化樹脂層の柔軟性が良好となり、硬化樹脂層の割れ等が起こりにくくなる。硬化樹脂層の割れ等が起こった場合、硬化樹脂層の表面積が拡大し、酸素が侵入して帯電防止性能が低下しやすくなる。かかる観点から、前記表面弾性率は7.6GPa以下であることが好ましく、7.5GPa以下であることがより好ましい。
前記表面弾性率の下限値は、5.0GPa以上であることが好ましく、5.1GPa以上であることがより好ましく、5.2GPa以上であることがさらに好ましく、5.4GPa以上であることがさらに好ましく、5.7GPa以上であることがさらに好ましく、6.0GPa以上であることがさらに好ましい。前記表面弾性率を5.0GPa以上とすることで、硬化樹脂層の硬化が十分なものとなり、酸素との接触頻度を抑制することができる。
表面弾性率を上記範囲にする手法としては、PVAのケン化度、粘度及び含有割合を調整する方法等が挙げられる。
表面弾性率は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
また、硬化樹脂層の表面硬度は、350MPa以上であることが好ましく、370MPa以上であることがより好ましく、390MPa以上であることがさらに好まし、430MPa以上であることがさらに好ましく、460MPa以上であることがさらに好ましく、480MPa以上であることがさらに好ましい。上限値は、900MPa以下であることが好ましく、800MPa以下であることがより好ましい。かかる範囲であれば、硬化樹脂層の柔軟性と硬化性のバランスが取れ、大気暴露後も良好な帯電防止性能が発揮できる。
表面硬度は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
23℃、50%RHの雰囲気で30分間調湿した後に測定される、すなわち暴露前の積層ポリエステルフィルムの硬化樹脂層の表面抵抗値は、5.0×1010(Ω/□)以下であることが好ましく、4.0×1010(Ω/□)以下であることがより好ましく、3.5×1010(Ω/□)以下であることがさらに好ましい。表面抵抗値が5.0×1010(Ω/□)以下であれば、帯電防止性が良好であるといえる。
また、表面抵抗値の下限は特にないが、導電剤のコストを勘案すると、1×10(Ω/□)以上とするのが好ましい。
表面抵抗値は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
本発明において、温度23℃、50%RH、蛍光灯照射下で、14日間暴露させたときの暴露前後における硬化樹脂層の表面抵抗値の変化率は、(暴露後の表面抵抗値)/(暴露前の表面抵抗値)から算出され、2.6以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.1以下であることがさらに好ましく、1.8以下であることがさらに好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
前記変化率が2.6以下であれば、大気中に曝された際の帯電防止性の低下が抑制されているといえる。
なお、下限値は特に制限されないが、低ければ低いほどよく、0倍を超えればよい。
硬化樹脂層中の上記化合物及び成分の分析は、例えば、TOF-SIMS、ESCA、蛍光X線等の分析によって行うことができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない範囲において、以下の実施例に限定されるものではない。
また、本実施例及び比較例で用いた測定法及び評価方法は次のとおりである。
<評価方法>
(1)ポリエステルの固有粘度
ポリエステルに非相溶な成分を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mLを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)粒子の平均粒径
TEM(株式会社日立ハイテク製 H-7650、加速電圧100kV)を使用して硬化樹脂層を観察し、粒子10個の粒径(直径)の平均値を平均粒径とした。
(3)硬化樹脂層の膜厚
硬化樹脂層の表面をRuOで染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuO染色し、硬化樹脂層断面を透過型電子顕微鏡(TEM)(株式会社日立ハイテク製、H-7650、加速電圧100kV)を用いて観察し、硬化樹脂層の膜厚を測定した。
(4)硬化樹脂層の表面弾性率及び表面硬度
測定には、Bruker製のナノインデンター「Triboindenter TI980」を用いた。スライドガラスに東亞合成株式会社製「“アロンアルファ”(登録商標) プロ用耐衝撃」を1滴塗布し、その上に積層ポリエステルフィルムのポリエステルフィルム側をスライドガラス側として、瞬間接着剤を介して積層ポリエステルフィルムを固定し、スライドガラスと装着ステージの固定を目的として、修正液をスライドガラス裏面に塗布し、装置ステージに乗せて固定し、硬化樹脂層側を測定面として表面弾性率及び表面硬度を測定した。
測定モード:荷重制御
最大荷重:各サンプルについて表2に記載の値であった。
最大荷重に達した時の保持時間:2秒
負荷速度、除荷速度:2μN/秒
測定温度:23℃
ナノインデンターの圧子:先端角度142°で三角錐形状のバーコビッチ圧子(Bruker製 型番:TI-0039)
(5)硬化樹脂層の表面抵抗値
超絶縁計(日置電機株式会社製、SM-8213)を使用し、23℃、50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿後、表面抵抗値を測定した。
(6)暴露評価
23℃、50%RHの雰囲気で積層ポリエステルフィルムを30分間調湿した後の表面抵抗値を暴露前の表面抵抗値、温度23℃、50%RH、蛍光灯照射下で14日放置した後の表面抵抗値を暴露後の表面抵抗値とした。
なお、超絶縁計(日置電機株式会社製、SM-8213)を使用し、表面抵抗値を測定した。
また、暴露前後における表面抵抗値の変化率は、(暴露後の表面抵抗値)/(暴露前の表面抵抗値)から算出した。
(7)PVAのケン化度
JIS K 6726:1994 3.5に準拠して、残存酢酸ビニル及び3,4-ジアセトキシ-1-ブテンの加水分解に要するアルカリ消費量にて分析した。
(8)PVAの粘度
JIS K 6726:1994 3.11.2に準拠して、各ポリビニルアルコールの4質量%水溶液の、20℃における溶液粘度を測定した。
(9)有効イソシアネート基(NCO)含有率
活性メチレンブロックポリイソシアネート化合物の有効NCO含有率は、以下に示す式により算出した。ここでいう有効NCO含有率(質量%)とは、ブロック化反応後の活性メチレンブロックポリイソシアネート化合物中に存在する架橋反応に関与しうるブロックイソシアネート基量を定量化するものであり、イソシアネート基の質量%として表される。
なお、以下に示す式において、「S」はブロックポリイソシアネート化合物の不揮発分(質量%)を表す。「W1」は反応に使用したポリイソシアネートの質量(g)を表す。「A」はポリイソシアネートのイソシアネート基含有率(質量%)を表す。「W2」はブロック化反応後のブロックポリイソシアネートの質量(g)を表す。
有効NCO含有率(質量%)= {S×(W1×A)}/W2
<使用した材料>
本実施例及び比較例で用いたポリエステルの製造方法を以下に示す。
[ポリエステル(1)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100質量部とエチレングリコール55質量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.04質量部を使用し、溶媒としてメタノールを使用した。これらを反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.02質量部を添加した後、三酸化アンチモン0.04質量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。このとき、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。
一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.65dL/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、固有粘度0.65dL/gのポリエステル(1)を得た。
[ポリエステル(2)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100質量部とエチレングリコール45質量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.06質量部を使用し、溶媒としてメタノールを使用した。これらを反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.03質量部を添加した後、エチレングリコールに分散させた平均粒径2.7μmのシリカ粒子を0.3質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。このとき、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.65dL/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、固有粘度0.65dL/gのポリエステル(2)を得た。
硬化樹脂層を形成するための樹脂組成物としては下記を用いた。
[(A)ポリビニルアルコール]
(A1):ケン化度88モル%、20℃における4質量%水溶液の粘度5mPa・sのポリビニルアルコール
(A2):ケン化度93モル%、20℃における4質量%水溶液の粘度7mPa・sのポリビニルアルコール
(A3):ケン化度80モル%、20℃における4質量%水溶液の粘度5mPa・sのポリビニルアルコール
(A4):ケン化度99モル%、20℃における4質量%水溶液の粘度32mPa・sの変性ポリビニルアルコール(変性基:カルボン酸)
(A5):ケン化度98.5モル%、20℃における4質量%水溶液の粘度6mPa・sのポリビニルアルコール
[(B)イソシアネート化合物、エポキシ化合物]
(B1):イソシアネート化合物(活性メチレンブロックポリイソシアネート、NCO含有率5.3%)
ヘキサメチレンジイソシアネート1000質量部を60℃で攪拌し、そこへ触媒としてテトラメチルアンモニウム・カプリエート0.1質量部を加えた。4時間後、リン酸0.2質量部を添加して反応を停止させ、イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を得た。得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物100質量部、数平均分子量400のメトキシポリエチレングリコール42.3質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.5質量部を仕込み、80℃で7時間撹拌した。
その後、反応液温度を60℃に保持し、イソブタノイル酢酸メチル35.8質量部、マロン酸ジエチル32.2質量部、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液0.88質量部を添加し、4時間撹拌した。n-ブタノール58.9質量部を添加し、反応液温度80℃で2時間撹拌し、その後、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート0.86質量部を添加し、目的とするブロックイソシアネート(B1)を得た。
(B2):イソシアネート化合物(活性メチレンブロックポリイソシアネート、NCO含有率4.3%、大榮産業株式会社製「ブロネート PMD-MW03」)
(B3):イソシアネート化合物(活性メチレンブロックポリブロックイソシアネート、NCO含有率9.4%、旭化成株式会社製「デュラネート WR80-70P」)
(B4):エポキシ化合物(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル)
[(C)電子導電性化合物]
(C1):メトキシ基置換ポリアニリンスルホン酸水溶液(三菱ケミカル株式会社製「aquaPASS-01X」:濃度5質量%)を濃アンモニア水でpH=5に調整したもの
[(D)バインダー樹脂]
(D1):ポリウレタン樹脂
テレフタル酸282質量部、イソフタル酸282質量部、エチレングリコール62質量部、及びネオペンチルグリコール250質量部を成分とするポリエステルポリオールを(B1a)としたとき、(B1a)876質量部、トリレンジイソシアネート244質量部、エチレングリコール81質量部、及びジメチロールプロピオン酸67質量部を構成成分としたポリエステルポリウレタンをアンモニアで中和して、水分散させたもの(濃度20質量%、25℃での粘度50mPa・s)
[(E)その他成分]
(E1):下記式に示す、側鎖にポリエチレンオキサイドを有する構造のノニオン性界面活性剤
Figure 2022142457000001
上記式中のm、nはエチレンオキサイドの付加モル数を示す整数であり、m+nの平均が10となるものを用いた。
[(G)比較化合物]
(G1):メラミン化合物(ヘキサメトキシメチロールメラミン)
(実施例1)
ポリエステル(1)とポリエステル(2)とを質量比82:18でブレンドしたものをA層、及びポリエステル(1)のみをB層の原料として、押出機にそれぞれを供給し、285℃に加熱溶融し、A層を二分配して最外層(表層)、B層を中間層とする2種三層(A/B/A)の層構成で、押出条件で厚み構成比がA/B/A=5/90/5となるよう共押出し、表面温度40~50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させ、未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作製した。
このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。
この一軸延伸フィルムの片面に、下記表1に示す塗布液1を塗布し、次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、100℃で幅方向に4.3倍延伸し、さらに200℃で熱処理を施した後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、膜厚(乾燥後)が0.08μmの硬化樹脂層を有する、厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(積層ポリエステルフィルム)を得た。
得られた積層ポリエステルフィルムの評価結果を下記表2に示す。
(実施例2~9)
硬化樹脂層を形成する塗布液を表1に示す塗布液2~9にそれぞれ変更する以外は、実施例1と同様に実施して、積層ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
(比較例1~4)
硬化樹脂層を形成する塗布液を表1に示す塗布液10~13にそれぞれ変更する以外は、実施例1と同様に実施して、積層ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
Figure 2022142457000002
Figure 2022142457000003
表2に示すように、実施例の積層ポリエステルフィルムは、表面抵抗値の変化率が低く、長時間、大気中に曝された場合にも表面抵抗値の増加が起きにくいことが理解できる。ここで、表面抵抗値が増加すると、導電性が悪化するため、帯電し易くなり帯電防止性能は低下する。すなわち、実施例の積層ポリエステルフィルムは、温度23℃、50%RH、蛍光灯照射下で、14日間暴露させたときの表面抵抗値の変化率が低いため、長時間、大気中に曝された場合にも、帯電防止性能の低下を抑制できることが理解できる。
以上から、(A)ポリビニルアルコール、(B)イソシアネート化合物及びエポキシ化合物から選択される少なくとも一種の化合物、並びに(C)電子導電性化合物を含む樹脂組成物を硬化させた硬化樹脂層の表面弾性率を7.7GPa以下とすることで、長時間、大気中に曝された場合にも、帯電防止性能の低下を抑制することができる。

Claims (6)

  1. ポリエステルフィルムと、
    前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、(A)ポリビニルアルコール、(B)イソシアネート化合物及びエポキシ化合物から選択される少なくとも一種の化合物、並びに(C)電子導電性化合物を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層と、
    を備え、
    該硬化樹脂層の表面弾性率が、7.7GPa以下である、積層ポリエステルフィルム。
  2. 温度23℃、50%RH、蛍光灯照射下で、14日間暴露させたときの暴露前後における前記硬化樹脂層の表面抵抗値(Ω/□)の変化率((暴露後の表面抵抗値)/(暴露前の表面抵抗値))が、2.6以下である、請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
  3. 23℃、50%RHの雰囲気で30分間調湿した後に測定される、前記硬化樹脂層の表面抵抗値が、5.0×1010(Ω/□)以下である、請求項1又は2に記載の積層ポリエステルフィルム。
  4. 前記硬化樹脂層の表面硬度が、350MPa以上である、請求項1~3の何れか1項に記載の積層ポリエステルフィルム。
  5. 前記樹脂組成物は、さらに、(D)バインダー樹脂を含む、請求項1~4の何れか1項に記載の積層ポリエステルフィルム。
  6. 前記電子導電性化合物が、導電性高分子化合物を含む、請求項1~5の何れか1項に記載の積層ポリエステルフィルム。
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