JP2022139260A - 高周波処置具 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電線材の位置によって切開方向を変えることができる高周波処置具を提供する。【解決手段】シャフト5と、シャフト5内に配置されている導電線材20とを有しており、導電線材20は、少なくとも一部においてシャフトの外側に露出している露出区間21を有しており、導電線材20の長手軸方向に垂直な断面による断面図形が短軸および長軸を有しており、長軸の方向は露出区間21の位置により異なっている高周波処置具。【選択図】図2
Description
本発明は、内視鏡を経由して生体内に導入される高周波処置具に関する。
内視鏡的乳頭括約筋切開術(Endoscopic Sphincterotomy:EST)等の内視鏡手術では、手元側から先端側に延びる内視鏡の処置具挿通チャンネルを経由して体腔内で処置を行うための処置具が用いられる。このような処置具として、パピロトミーナイフが挙げられる。
例えば特許文献1~3に開示されている処置具では、先端から手元側まで延びるシース(シャフト)内に導電線材が挿通され、処置具の先端側では導電線材の一部が外に露出している。導電線材に高周波電流を流すことによって導電線材の露出している部分で病変部等の組織を切開することができる。
手技の効率化の観点から、切開方向を変えることができる処置具を提供することは有益である。そこで、本発明は、導電線材の位置によって切開方向を変えることができる高周波処置具を提供することを目的とする。
上記目的を達成し得た本発明の高周波処置具の一実施態様は、シャフトと、シャフト内に配置されている導電線材とを有しており、導電線材は、少なくとも一部においてシャフトの外側に露出している露出区間を有しており、導電線材の長手軸方向に垂直な断面による断面図形が短軸および長軸を有しており、長軸の方向は露出区間の位置により異なっている点に要旨を有する。本発明に係る高周波処置具によれば、使用者は所望の撓み方向を有する導電線材の露出区間での位置によって切開方向を変えることができる。このため、1つの高周波処置具で複数の方向に切開することができ、様々な病変部を処置可能となる。
導電線材は露出区間内に第1位置と、第1位置よりも近位にある第2位置とを有し、高周波処置具をシャフトの長手軸方向の近位側から見たときに、第1位置における断面図形の長軸の方向が、第2位置における断面図形の長軸の方向よりも時計回りに5度以上傾いていてもよい。導電線材は露出区間内に第1位置と、第1位置よりも近位にある第2位置とを有し、高周波処置具をシャフトの長手軸方向の近位側から見たときに、第1位置における断面図形の長軸の方向が、第2位置における断面図形の長軸の方向よりも反時計回りに5度以上傾いていてもよい。
導電線材は、シャフトの第1内腔に配されている非露出区間を有し、導電線材の断面図形の長軸の方向は非露出区間の位置により異なっていてもよい。また、導電線材は、シャフトの第1内腔に配されている非露出区間を有し、導電線材の断面図形の長軸の方向は非露出区間のどの位置でも同じであってもよい。
導電線材は、シャフトの第1内腔に配されている非露出区間を有し、非露出区間は、露出区間よりも遠位にある第1非露出区間と、露出区間よりも近位にある第2非露出区間を含み、導電線材の断面図形の長軸の方向は第1非露出区間ではその位置により異なっており、第2非露出区間ではどの位置でも同じであってもよい。
導電線材は、シャフトの第1内腔に配されている非露出区間を有し、非露出区間は、露出区間よりも遠位にある第1非露出区間と、露出区間よりも近位にある第2非露出区間を含み、シャフトは、導電線材を露出させる第1開口および第2開口を有し、第2開口は第1開口よりも近位に配されており、導電線材の第2非露出区間の遠位端がシャフトの内壁の第2開口の周方向の第1端側に接していてもよい。なお、導電線材の第2非露出区間の遠位端がシャフトの内壁の第2開口の周方向の第2端側に接していてもよい。また、導電線材の第1非露出区間の近位端がシャフトの内壁の第1開口の周方向の第1端側に接していてもよい。
導電線材の露出区間における、シャフトの長手軸方向に垂直な断面で、シャフトの図心と導電線材の図心を結ぶ直線と、導電線材の短軸が平行であってもよい。
導電線材は、シャフトの第1内腔に配されている非露出区間を有し、非露出区間において導電線材の長手軸方向に垂直な断面の断面図形は非円形状であってもよい。シャフトは第1内腔と第2内腔を有し、導電線材の先端部は第1内腔に配されていてもよい。その場合、高周波処置具は、導電線材の先端部に配され、第1内腔の内壁と接している固定具をさらに有していてもよい。
本発明に係る高周波処置具によれば、使用者は所望の撓み方向を有する導電線材の露出区間での位置によって切開方向を変えることができる。このため、1つの高周波処置具で複数の方向に切開することができ、様々な病変部を処置可能となる。
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
本発明の高周波処置具の一実施態様は、シャフトと、シャフト内に配置されている導電線材とを有しており、導電線材は、少なくとも一部においてシャフトの外側に露出している露出区間を有しており、導電線材の長手軸方向に垂直な断面による断面図形が短軸および長軸を有しており、長軸の方向は露出区間の位置により異なっている点に要旨を有する。本発明に係る高周波処置具によれば、使用者は所望の撓み方向を有する導電線材の露出区間での位置によって切開方向を変えることができる。このため、1つの高周波処置具で複数の方向に切開することができ、様々な病変部を処置可能となる。
高周波処置具は、内視鏡の処置具挿通チャンネルを経由して体腔内に導入され、ESTなどの術式に用いられる。以下では高周波処置具を単に処置具と称することがある。図1~図13を参照しながら高周波処置具の構成例について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る高周波処置具の側面図である。図2は図1に示した高周波処置具の遠位端部を拡大した断面図(一部側面図)である。図3は、図2に示したシャフトおよび導電線材のIII-III線における切断部端面図である。図4~図5、図7~図10はそれぞれ図2に示した導電線材の切断部端面図である。図6、図11は導電線材の変形例を示す切断部端面図である。図12は図1に示した高周波処置具の遠位端部を拡大した平面図である。図13は図12に示した高周波処置具の変形例を示す平面図である。なお、図12~図13では第3開口16と第5開口を省略している。処置具1は、シャフト5と、導電線材20と、を有している。
図1において処置具1は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿入される挿入部2と、挿入部2の近位側に接続されたハンドル65とを有している。乳頭などの体腔に挿入しやすいように、挿入部2の遠位端部には湾曲部3が配されてもよい。ハンドル65でシャフト5の遠位部および湾曲部3の湾曲度合いを変更可能であってもよい。処置具1を動かすための手元側の構成については後述する。
処置具1の遠位側とは、シャフト5の長手軸方向xの遠位端側であって処置対象側を指す。処置具1の近位側とは、シャフト5の長手軸方向xの近位端側であって使用者の手元側を指す。各部材をその長手軸方向で二等分割したときの近位側を近位部、遠位側を遠位部と称することがある。シャフト2の内側および外側とは、シャフト5の径方向における内側および外側を指し、シャフト5の径方向の内側とはシャフト5の長手軸中心に近い側を指す。
シャフト5は長手軸方向xと径方向と周方向pを有している長尺な部材である。シャフト5は、長手軸方向xに遠位端と近位端を有している。シャフト5内に導電線材20が配置されるため、シャフト5は好ましくは筒状構造を有している。シャフト5は一または複数の内腔を有していることが好ましく、内腔はシャフト5の長手軸方向xに延在していることが好ましい。
図2~図3ではシャフト5は第1内腔11と第2内腔12とを有している。導電線材20の先端部が第1内腔11に配されている。第2内腔12は、ガイドワイヤの挿通路、または体腔内に注入される液体の流路とすることができる。液体としては、生理食塩水、ヒアルロン酸溶液、造影剤の他に、薬剤や細胞を含む液体が挙げられる。
図3に示すようにシャフト5は第3内腔13を有していてもよい。その場合、第2内腔12をガイドワイヤの挿通路、第3内腔13を体腔内に注入される液体の流路として使用してもよい。第1内腔11は、シャフト5の遠位端から近位端まで延在していてもよく、第1内腔11の遠位端はシャフト5の遠位端よりも近位側に位置していてもよい。
シャフト5は、導電線材20を露出させるための一または複数の開口を有している。開口はシャフト5の内腔と連通している。図1~図2では、シャフト5はその遠位部の外周面に遠位側から順に第1開口14と第2開口15を有しており、第1内腔11は、第1開口14および第2開口15を通じてシャフト5の外と連通している。このように複数の開口を用いて導電線材20を露出させてもよいが、1つの開口から導電線材20を露出させてもよい。例えば、シャフト5はその遠位部の外周面にシャフト5の長手軸方向に延在している開口を有し、その開口から導電線材20が露出していてもよい。
図2では、シャフト5はその遠位端部に、遠位端に向かって外径が小さくなっているテーパー部8を有している。テーパー部8により処置具1を体内で通過させやすくなる。テーパー部8は第1開口14よりも遠位側に位置していることが好ましい。
シャフト5は、導電線材20の露出以外を目的とする開口を有していてもよい。シャフト5は第1内腔11と連通している第3開口16、第2内腔12と連通しガイドワイヤを突出させる第4開口17、第3内腔13と連通し体腔内に流体を放出する第5開口の少なくともいずれか1つを有していてもよい。第3開口16、第4開口17、第5開口の少なくともいずれか1つはテーパー部8に配されていてもよい。第3開口16、第4開口17、第5開口の少なくともいずれか1つは、第1開口14より遠位側に位置していることが好ましい。
シャフト5は可撓性を有していることが好ましい。これにより体腔形状に沿ってシャフト5を変形させることができる。形状保持のため、シャフト5は弾性を有していることが好ましい。シャフト5は樹脂、金属、または樹脂と金属の組み合わせから構成されていることが好ましい。シャフト5としては、樹脂チューブ;金属管;線材を所定のパターンで配置することで形成された中空体;上記中空体の内面または外面の少なくともいずれか一方に樹脂をコーティングしたもの;またはこれらを組み合わせたもの、例えばこれらを長手方向に接続したものが挙げられる。樹脂チューブは、例えば押出成形によって製造することができる。線材が所定のパターンで配置された中空体としては、線材が単に交差される、または編み込まれることによって網目構造を有する筒状体や、線材が巻回されたコイルが挙げられる。線材は、一または複数の単線であってもよく、一または複数の撚線であってもよい。線材の断面の形状は、例えば、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらを組み合わせた形状であってもよい。長円形状には楕円形状、卵形状、角丸長方形状が含まれ、以降の説明でも同様である。網目構造の種類は特に制限されず、コイルの巻き数や密度も特に制限されない。網目構造やコイルは、シャフト5の長手軸方向xの全体に亘って一定の密度で形成されてもよく、シャフト5の長手軸方向xの位置によって密度が異なるように形成されてもよい。金属管の可撓性を高めるために、金属管の外側表面には切込みや溝が形成されていてもよい。切込みや溝の形状は、直線状、円弧状、環状、らせん状やこれらの組み合わせとすることができる。シャフト5が筒状の樹脂チューブである場合、シャフト5は単層または複数層から構成することができ、長手軸方向xまたは周方向pの一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。
シャフト5の長手軸方向xに垂直な断面形状は特に限定されず、例えば円形状、長円形状、多角形状、またはこれらを組み合わせた形状にすることができる。
導電線材20は、シャフト5内に配置されている。導電線材20に高周波電流を流すことによって導電線材20を高周波ナイフのナイフ部として用いることができる。これにより生体組織を切開可能であり、病変部等の組織を切除することができる。導電線材20はその長手軸方向において先端と基端を有している。導電線材20は、全体としてシャフト5の遠位側から近位側に延在している。導電線材20の先端部はシャフト5に固定されて、手技中に導電線材20がシャフト5から抜けないようになっている。導電線材20の先端部とシャフト5との詳細な固定方法については後述する。導電線材20の基端部は電気的導通性が確保された状態となるように高周波電源に接続されている。また、導電線材20の基端部はハンドル65に接続されている。
導電線材20は、少なくとも一部においてシャフト5の外側に露出している露出区間21を有している。露出区間21は、導電線材20の先端と基端の間に配される。図2では、シャフト5の第1開口14と第2開口15から露出している部分が露出区間21である。露出区間21は導電線材20の先端部の一部であることが好ましい。ハンドル65を操作して導電線材20を進退させることにより露出区間21の長さや撓み度合いを変えることができ、手技に応じたナイフの形状変更が可能となる。露出区間21における導電線材20の形状は特に限定されないが、例えばループ形状や半ループ形状であってもよい。
図2において、導電線材20はシャフト5の第1内腔11に配されている非露出区間22を有している。非露出区間22は、露出区間21よりも遠位にある第1非露出区間221と、露出区間21よりも近位にある第2非露出区間222を含んでいてもよい。露出区間21は、非露出区間22よりも短くてもよい。導電線材20は、電気的な絶縁性を保つために、表面に絶縁層が配されていてもよい。導電線材20の絶縁層は、内視鏡や意図しない組織への通電および切開を防ぐために、導電線材20の非露出区間22だけでなく、露出区間21の一部にも絶縁層が配されていてもよい。露出区間21の絶縁層のない部分は、ナイフ部として機能する。
導電線材20の長手軸方向に垂直な断面図形の形状は特に限定されず、円形状、長円形状、多角形状またはこれらを組み合わせた形状にすることができるが、非円形状であることが好ましい。導電線材20の長手軸方向に垂直な断面による断面図形は、導電線材20の長手軸方向全体に亘って同じであってもよく、露出区間21または非露出区間22の位置により異なっていてもよい。断面図形は、直線部25のみを有していてもよく、曲線部26のみを有していてもよく、図4に示すように直線部25と曲線部26を有していてもよい。
導電線材20は弾性変形可能な材料から構成されることが好ましい。導電線材20は、導電性材料から構成されていればよく、例えば、Ni-Ti系合金などの超弾性合金、SUS303、SUS304、SUS316等のステンレスから構成することができる。導電線材20は、1つの部材から形成されていてもよく、複数の部材を長手軸方向の途中で接合することにより形成されていてもよい。接合方法としては、複数の部材の端部を金属管等のリング部材でかしめる方法のほか、溶着、接着等を用いることができる。導電線材20は、単線であってもよく、単線を撚り合わせた撚線であってもよい。
図4~図5に示すように、導電線材20の長手軸方向に垂直な断面による断面図形が短軸23および長軸24を有しており、断面図形の長軸24の方向は露出区間21の位置により異なっている。処置具1によれば、使用者は所望の撓み方向を有する導電線材20の露出区間21での位置によって切開方向を変えることができる。このため、1つの処置具1で複数の方向に切開することができ、様々な病変部を処置可能となる。
本発明において、導電線材20の断面図形の長軸24の方向が露出区間21の位置によって異なっているとは、導電線材20の長手軸方向において異なる位置にある2箇所の断面図形を観察したときに、2つの断面図形の長軸24の方向が非平行であることを意味する。後述する導電線材20の断面図形の長軸24の方向が非露出区間22の位置によって異なっているとの記載も同様に解釈することができる。
導電線材20は、露出区間21内に第1位置41と、第1位置41よりも近位にある第2位置42とを有している。第1位置41における導電線材20の断面図形は図4に、第2位置42における導電線材20の断面図形は図5に示されている。第1位置41と第2位置42は露出区間21内の任意の2箇所の位置に設定することができる。シャフト5の長手軸方向において導電線材20の露出区間21を二等分割したときに遠位側にある区間を第1露出区間211、近位側にある区間を第2露出区間212とする。その場合、第1位置41が第1露出区間211に位置し、第2位置42が第2露出区間212に位置していてもよい。また、第1位置41と第2位置42が第1露出区間211に位置していてもよく、第1位置41と第2位置42が第2露出区間212に位置していてもよい。
第1位置41における断面図形の長軸24の方向が、第2位置42における断面図形の長軸24の方向と異なっていればよい。第2位置42での長軸24の方向に対する第1位置41での長軸24の方向の傾斜角度は特に限定されない。例えば、図4~図5に示すように、処置具1をシャフト5の長手軸方向xの近位側から見たときに、第1位置41における断面図形の長軸24の方向が、第2位置42における断面図形の長軸24の方向よりも時計回りに5度以上傾いていることが好ましい。近位側からみて時計回りに捻じれるように導電線材20を配置することで、切開が行いやすくなる。なお、図4では図5に比べて長軸24の方向が時計回りに40度傾いている。
処置具1をシャフト5の長手軸方向xの近位側から見たときに、第1位置41における断面図形の長軸24の方向が、第2位置42における断面図形の長軸24の方向よりも時計回りに10度以上傾いていてもよく、20度以上傾いていてもよく、また、180度以下傾いていてもよく、150度以下傾いていてもよく、120度以下傾いていてもよい。
図6は、第2位置42における断面図形の変形例である。図6に示すように、処置具1をシャフト5の長手軸方向xの近位側から見たときに、第1位置41における断面図形の長軸24の方向が、第2位置42における断面図形の長軸24の方向よりも反時計回りに5度以上傾いていることが好ましい。近位側からみて反時計回りに捻じれるように導電線材20を配置することによっても切開方向を調整することができる。なお、図4では図6に比べて長軸24の方向が反時計回りに20度傾いている。
処置具1をシャフト5の長手軸方向xの近位側から見たときに、第1位置41における断面図形の長軸24の方向が、第2位置42における断面図形の長軸24の方向よりも反時計回りに10度以上傾いていてもよく、20度以上傾いていてもよく、また、180度未満傾いていてもよく、150度以下傾いていてもよく、120度以下傾いていてもよい。なお、本明細書では、第1位置41における断面図形の長軸24の方向が、第2位置42における断面図形の長軸24の方向よりも0度超180度以下傾いている場合には時計回りで表し、180度超360度未満で傾いている場合には反時計回りで表している。したがって、時計回りに181度傾くことと反時計回りに179度傾くことは同義であるが、この場合は反時計回りで表すものとする。
導電線材20は第1内腔11内でも捻れていてもよい。例えば図2、図7~図10に示すように、導電線材20は、シャフト5の第1内腔11に配されている非露出区間22を有し、導電線材20の断面図形の長軸24の方向は非露出区間22の位置により異なっていてもよい。このように非露出区間22でも導電線材20を捻れさせることで、露出区間21において切開が行いやすいように導電線材20の撓み方向を調整しやすくなる。
非露出区間22は、露出区間21よりも遠位にある第1非露出区間221と、露出区間21よりも近位にある第2非露出区間222を含む。導電線材20は、第1非露出区間221内に第3位置43と、第3位置43よりも近位にある第4位置44とを有し、第2非露出区間222内に第5位置45と、第5位置45よりも近位にある第6位置46とを有している。第3位置43における導電線材20の断面図形は図7に、第4位置44における導電線材20の断面図形は図8に、第5位置45における導電線材20の断面図形は図9に、第6位置46における導電線材20の断面図形は図10に示されている。
第3位置43と第4位置44は、第1非露出区間221内の任意の2箇所の位置に設定することができる。第3位置43は導電線材20の先端よりも基端側に位置していることが好ましい。また導電線材20の先端部に固定具50が配される場合には、第3位置43は固定具50よりも近位側に位置していることが好ましい。
第5位置45と第6位置46は、第2非露出区間222内の任意の2箇所の位置に設定することができる。第6位置46は導電線材20の基端よりも先端側に位置していることが好ましい。また、第6位置46は、シャフト5の湾曲部3に位置していることが好ましい。
図7~図8に示すように、処置具1をシャフト5の長手軸方向xの近位側から見たときに、第3位置43における断面図形の長軸24の方向が、第4位置44における断面図形の長軸24の方向よりも時計回りに5度以上傾いていてもよく、10度以上傾いていてもよく、20度以上傾いていてもよく、また、90度以下傾いていてもよく、60度以下傾いていてもよく、45度以下傾いていてもよい。なお、図7では図8に比べて長軸24の方向が時計回りに15度傾いている。
処置具1をシャフト5の長手軸方向xの近位側から見たときに、第3位置43における断面図形の長軸24の方向が、第4位置44における断面図形の長軸24の方向よりも反時計回りに5度以上傾いていてもよく、10度以上傾いていてもよく、20度以上傾いていてもよく、また、90度以下傾いていてもよく、60度以下傾いていてもよく、45度以下傾いていてもよい。
導電線材20の断面図形の長軸24の方向は第1非露出区間221のどの位置でも同じであってもよい。例えば、処置具1をシャフト5の長手軸方向xの近位側から見たときに、第3位置43における断面図形の長軸24の方向が、第4位置44における断面図形の長軸24の方向と同じでもよい。
図9~図10に示すように、処置具1をシャフト5の長手軸方向xの近位側から見たときに、第5位置45における断面図形の長軸24の方向が、第6位置46における断面図形の長軸24の方向よりも時計回りに5度以上傾いていてもよく、10度以上傾いていてもよく、20度以上傾いていてもよく、また、90度以下傾いていてもよく、60度以下傾いていてもよく、45度以下傾いていてもよい。なお、図9では図10に比べて長軸24の方向が時計回りに15度傾いている。
処置具1をシャフト5の長手軸方向xの近位側から見たときに、第5位置45における断面図形の長軸24の方向が、第6位置46における断面図形の長軸24の方向よりも反時計回りに5度以上傾いていてもよく、10度以上傾いていてもよく、20度以上傾いていてもよく、また、90度以下傾いていてもよく、60度以下傾いていてもよく、45度以下傾いていてもよい。
導電線材20の断面図形の長軸24の方向は第2非露出区間222のどの位置でも同じであってもよい。例えば、処置具1をシャフト5の長手軸方向xの近位側から見たときに、第5位置45における断面図形の長軸24の方向が、第6位置46における断面図形の長軸24の方向と同じでもよい。
導電線材20は、非露出区間22の一部の区間において捻れており、非露出区間22の残りの区間において捻れていなくてもよい。図11は、第5位置45における断面図形の変形例である。導電線材20の断面図形の長軸24の方向は、第1非露出区間221ではその位置により異なっており、第2非露出区間222ではどの位置でも同じであってもよい。例えば、図7~図8では第3位置43の断面図形の長軸24の方向は、第4位置44の断面図形の長軸24の方向に対して時計回りに15度傾いている。図10および図11に示すように第5位置45と第6位置46での導電線材20の断面図形の長軸24の方向は紙面の上下方向に延びて一致している。この構成によっても、露出区間21において切開が行いやすいように導電線材20の撓み方向を調整することができる。
導電線材20は第1内腔11内では捻れていなくてもよい。導電線材20の断面図形の長軸24の方向は非露出区間22のどの位置でも同じであってもよい。この構成によっても、導電線材20の撓み方向を調整することができる。詳細には、導電線材20の断面図形の長軸24の方向は、第1非露出区間221のどの位置でも同じであり、かつ第2非露出区間222のどの位置でも同じであってもよい。
第1露出区間211における導電線材20の断面図形の長軸24の方向が、第1非露出区間221における導電線材20の断面図形の長軸24の方向と異なっていてもよい。また、第2露出区間212における導電線材20の断面図形の長軸24の方向が、第2非露出区間222における導電線材20の断面図形の長軸24の方向と異なっていてもよい。
第1露出区間211における導電線材20の断面図形の長軸24の方向が、第1非露出区間221における導電線材20の断面図形の長軸24の方向と同じであってもよい。また第2露出区間212における導電線材20の断面図形の長軸24の方向が、第2非露出区間222における導電線材20の断面図形の長軸24の方向と同じであってもよい。
少なくとも露出区間21において導電線材20が捻れていることにより、導電線材20が開口においてシャフト5の内壁6と接していることが好ましい。例えば、図12に示すように、シャフト5は、導電線材20を露出させる第1開口14および第2開口15を有し、第2開口15は第1開口14よりも近位に配されている。シャフト5の周方向pにおいて第1開口14は第1端141と第2端142を有しており、第2開口15も第1端151と第2端152を有している。その場合、導電線材20の第2非露出区間222の遠位端がシャフト5の内壁6の第2開口15の周方向pの第1端151側に接していることが好ましい。このように導電線材20を配置することによって、露出区間21において切開が行いやすいように導電線材20の撓み方向を調整することができる。
露出区間21での導電線材20の撓み方向を調整するために、シャフト5の周方向pにおいて第1開口14の長さと第2開口15の長さが異なっていてもよい。また、シャフト5の周方向pにおいて第1開口14の第1端141と第2開口15の第1端151が異なる位置にあってもよい。同様に、シャフト5の周方向pにおいて第1開口14の第2端142と第2開口15の第2端152が異なる位置にあってもよい。
図12に示すように、導電線材20の第1非露出区間221の近位端がシャフト5の内壁6の第1開口14の周方向pの第1端141側に接していてもよい。このように導電線材20を配置することによって、露出区間21において切開が行いやすいように導電線材20の撓み方向を調整することができる。
図13に示すように、導電線材20の第2非露出区間222の遠位端がシャフト5の内壁6の第2開口15の周方向pの第2端152側に接していることが好ましい。このように導電線材20を配置することによっても、導電線材20の撓み方向を調整することができる。
シャフト5が第2開口15を有しておらず、第1開口14のみから導電線材20が露出している場合、導電線材20の非露出区間22の遠位端または近位端が以下のようにシャフト5の内壁6に接していてもよい。導電線材20の第2非露出区間221の遠位端がシャフト5の内壁6の第1開口14の周方向pの第1端141側に接していてもよい。導電線材20の第2非露出区間222の遠位端がシャフト5の内壁6の第1開口14の周方向pの第2端142側に接していてもよい。導電線材20の第1非露出区間221の近位端がシャフト5の内壁6の第1開口14の周方向pの第1端141側に接していてもよい。
図3に示すように、導電線材20の露出区間21における、シャフト5の長手軸方向xに垂直な断面で、シャフト5の図心19と導電線材20の図心27を結ぶ直線と、導電線材20の短軸23が平行であることが好ましい。このような断面を有する導電線材20を用いることで、シャフト5から遠ざかる方向に導電線材20を配置することができる。なお、図心とは、重量が均一に作用するとして、その位置を支点にしたとき、図形が釣り合う点をいう。図心は、長手軸方向xに垂直な断面の形状を均一な板とした場合の、重心と一致する。
導電線材20の露出区間21の中点で、シャフト5の長手軸方向xに垂直な断面で、シャフト5の図心19と導電線材20の図心27を結ぶ直線と、導電線材20の短軸23が平行であることが好ましい。なお、露出区間21の中点とは、露出部分が最長となるように導電線材20をシャフト5から露出させたときの導電線材20の長手軸方向の中点を意味している。例えば、導電線材20の長さがシャフト5よりも長く、シャフト5の内腔内で導電線材20が湾曲している場合、自然状態での導電線材20の露出部分の長さは、露出部分が最長となるように、導電線材20を径方向へ引くなどして導電線材20をシャフト5から露出させたときの導電線材20の長さより短くなる場合がある。
導電線材20の先端部とシャフト5との詳細な固定方法について説明する。導電線材20の先端部は、シャフト5に直接固定されていてもよく、他の部材を介して間接的に固定されていてもよい。図2では、導電線材20の先端部に固定具50が配されている。その場合、固定具50はシャフト5の第1内腔11の内壁と接していることが好ましい。固定具50が第1内腔11の内壁に当接することで摩擦抵抗が生じるため、導電線材20を進退させたときにシャフト5から導電線材20が抜けることを防ぐことができる。
固定具50は、先端と基端を有している。固定具50の先端は導電線材20の先端側に位置しており、固定具50の先端から基端に向かう方向は、導電線材20の先端から基端に向かう方向と一致している。固定具50の形状は特に限定されず、例えば、角柱状、円柱状、長円柱状、またはこれらを組み合わせた形状であってもよい。固定具50はその外径が先端側に向かって小さくなっている部分を有していてもよい。そのような形状としては、例えば、角錐台形状、円錐台形状、長円錐台形状、角丸錐台形状等の錐台形状を挙げることができる。
固定具50はシャフト5と同様の樹脂または導電線材20と同様の金属から構成することができる。また、固定具50は、X線不透過性材料を含むことができる。固定具50の導電線材20への固定方法は特に限定されないが、かしめ、溶着、溶接、接着等の方法を用いることができる。
導電線材20が第1内腔11に配されている非露出区間22を有している場合、例えば図7~図10に示すように非露出区間22において導電線材20の長手軸方向に垂直な断面の断面図形は非円形状であることが好ましい。詳細には、第1非露出区間221において導電線材20の長手軸方向xに垂直な断面の断面図形は非円形状であることが好ましい。このような断面形状にすることで導電線材20とシャフト5または固定具50との間に摩擦抵抗が生じるため、導電線材20がシャフト5または固定具50に対して回転することを防ぐことができる。なお、露出区間21と非露出区間22とで導電線材20の断面図形は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
図1では、ハンドル65は、導電線材20の基端部に接続されている第1ハンドル66と、シャフト5の近位側に接続されている第2ハンドル68と、を有している。第1ハンドル66は第2ハンドル68の外側に配されているが、第2ハンドル68が第1ハンドル66の外側に配されてもよい。第1ハンドル66は第2ハンドル68に対して移動可能に構成されている。第1ハンドル66を移動させると露出区間21の長さや撓み度合いを変えることができる。シャフト5と第2ハンドル68は接続用のチューブ60を介して接続されており、チューブ60はガイドワイヤを挿入するための第1導入口61を有している。第2ハンドル68はシャフト5の第2内腔12または第3内腔13に液体を導入するための第2導入口67を有している。第1ハンドル66は高周波電源との接続部69を有している。シャフト5と第2ハンドル68、または導電線材20と第1ハンドル66は、互いに直接接続されていてもよく、チューブ60のような別の部材を介して接続されていてもよい。これらは、熱圧着、接着剤による接着等の方法で接続することができる。
1:高周波処置具
5:シャフト
20:導電線材
21:露出区間
22:非露出区間
23:短軸
24:長軸
41:第1位置
42:第2位置
50:固定具
x:シャフトの長手軸方向
p:シャフトの周方向
5:シャフト
20:導電線材
21:露出区間
22:非露出区間
23:短軸
24:長軸
41:第1位置
42:第2位置
50:固定具
x:シャフトの長手軸方向
p:シャフトの周方向
Claims (13)
- シャフトと、該シャフト内に配置されている導電線材とを有しており、
該導電線材は、少なくとも一部において前記シャフトの外側に露出している露出区間を有しており、前記導電線材の長手軸方向に垂直な断面による断面図形が短軸および長軸を有しており、該長軸の方向は前記露出区間の位置により異なっている高周波処置具。 - 前記導電線材は前記露出区間内に第1位置と、前記第1位置よりも近位にある第2位置とを有し、
前記高周波処置具を前記シャフトの長手軸方向の近位側から見たときに、前記第1位置における前記断面図形の長軸の方向が、前記第2位置における前記断面図形の長軸の方向よりも時計回りに5度以上傾いている請求項1に記載の高周波処置具。 - 前記導電線材は前記露出区間内に第1位置と、前記第1位置よりも近位にある第2位置とを有し、
前記高周波処置具を前記シャフトの長手軸方向の近位側から見たときに、前記第1位置における前記断面図形の長軸の方向が、前記第2位置における前記断面図形の長軸の方向よりも反時計回りに5度以上傾いている請求項1に記載の高周波処置具。 - 前記導電線材は、前記シャフトの第1内腔に配されている非露出区間を有し、
前記導電線材の前記断面図形の前記長軸の方向は前記非露出区間の位置により異なっている請求項1~3のいずれか一項に記載の高周波処置具。 - 前記導電線材は、前記シャフトの第1内腔に配されている非露出区間を有し、
前記導電線材の前記断面図形の前記長軸の方向は前記非露出区間のどの位置でも同じである請求項1~3のいずれか一項に記載の高周波処置具。 - 前記導電線材は、前記シャフトの第1内腔に配されている非露出区間を有し、
前記非露出区間は、前記露出区間よりも遠位にある第1非露出区間と、前記露出区間よりも近位にある第2非露出区間を含み、
前記導電線材の前記断面図形の前記長軸の方向は前記第1非露出区間ではその位置により異なっており、前記第2非露出区間ではどの位置でも同じである請求項1~3のいずれか一項に記載の高周波処置具。 - 前記導電線材は、前記シャフトの第1内腔に配されている非露出区間を有し、
前記非露出区間は、前記露出区間よりも遠位にある第1非露出区間と、前記露出区間よりも近位にある第2非露出区間を含み、
前記シャフトは、前記導電線材を露出させる第1開口および第2開口を有し、前記第2開口は前記第1開口よりも近位に配されており、
前記導電線材の前記第2非露出区間の遠位端が前記シャフトの内壁の前記第2開口の周方向の第1端側に接している請求項1~6のいずれか一項に記載の高周波処置具。 - 前記導電線材は、前記シャフトの第1内腔に配されている非露出区間を有し、
前記非露出区間は、前記露出区間よりも遠位にある第1非露出区間と、前記露出区間よりも近位にある第2非露出区間を含み、
前記シャフトは、前記導電線材を露出させる第1開口および第2開口を有し、前記第2開口は前記第1開口よりも近位に配されており、
前記導電線材の前記第2非露出区間の遠位端が前記シャフトの内壁の前記第2開口の周方向の第2端側に接している請求項1~6のいずれか一項に記載の高周波処置具。 - 前記導電線材の前記第1非露出区間の近位端が前記シャフトの内壁の前記第1開口の周方向の第1端側に接している請求項7または8に記載の高周波処置具。
- 前記導電線材の前記露出区間における、前記シャフトの長手軸方向に垂直な断面で、前記シャフトの図心と前記導電線材の図心を結ぶ直線と、前記導電線材の短軸が平行である請求項1~9のいずれか一項に記載の高周波処置具。
- 前記導電線材は、前記シャフトの第1内腔に配されている非露出区間を有し、
前記非露出区間において前記導電線材の長手軸方向に垂直な断面の断面図形は非円形状である請求項1~10のいずれか一項に記載の高周波処置具。 - 前記シャフトは第1内腔と第2内腔を有し、前記導電線材の先端部は前記第1内腔に配されている請求項1~11のいずれか一項に記載の高周波処置具。
- 前記導電線材の先端部に配され、前記第1内腔の内壁と接している固定具をさらに有している請求項12に記載の高周波処置具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021039554A JP2022139260A (ja) | 2021-03-11 | 2021-03-11 | 高周波処置具 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2021039554A JP2022139260A (ja) | 2021-03-11 | 2021-03-11 | 高周波処置具 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2022139260A true JP2022139260A (ja) | 2022-09-26 |
Family
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Family Applications (1)
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JP2021039554A Pending JP2022139260A (ja) | 2021-03-11 | 2021-03-11 | 高周波処置具 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
2021
- 2021-03-11 JP JP2021039554A patent/JP2022139260A/ja active Pending
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