JP2022137999A - 酸化珪素膜用研磨液組成物 - Google Patents

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Takanao Moriike
哲史 山口
Tetsushi Yamaguchi
大祐 細井
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直樹 久保田
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Abstract

【課題】酸化珪素膜の研磨速度を向上できる酸化珪素膜用研磨液組成物、これを用いた基板の研磨方法及び半導体基板の製造方法の提供【解決手段】本開示は、一態様において、酸化セリウム粒子と水系媒体を含有する酸化珪素膜用研磨液組成物であって、酸化セリウム粒子として、平均粒子サイズが15nm以上50nm以下であり、密度が8g/cm3以上の酸化セリウム粒子(成分A)、及び平均粒子サイズが60nm以上1μm以下である酸化セリウム粒子(成分B)を含有し、pHが、3以上9以下であり、成分Aと成分Bの混合物の、遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において小粒径側からの累積頻度が50%、99%となる粒子径をそれぞれD50、D99としたとき、D50/D99の値が0.32以下である、研磨液組成物に関する。【選択図】なし

Description

本開示は、酸化セリウム粒子を含有する酸化珪素膜用研磨液組成物、これを用いた半導体基板の製造方法及び基板の研磨方法に関する。
ケミカルメカニカルポリッシング(CMP)技術とは、加工しようとする被研磨基板の表面と研磨パッドとを接触させた状態で研磨液をこれらの接触部位に供給しつつ被研磨基板及び研磨パッドを相対的に移動させることにより、被研磨基板の表面凹凸部分を化学的に反応させると共に機械的に除去して平坦化させる技術である。
現在では、半導体素子の製造工程における、層間絶縁膜の平坦化、シャロートレンチ素子分離構造の形成、プラグ及び埋め込み金属配線の形成等を行う際には、このCMP技術が必須の技術となっている。近年、半導体素子の多層化、高精細化が飛躍的に進み、半導体素子の歩留まり及びスループット(収量)の更なる向上が要求されるようになってきている。それに伴い、CMP工程に関しても、研磨傷フリーで且つより高速な研磨が望まれるようになってきている。
例えば、特許文献1は、特定の範囲の一次、二次粒径と密度を有するセリア粒子を使用することで、研磨速度と表面仕上げを両立することを開示する。
特許文献2は、特定の範囲の2種の研磨粒子を混合し、さらに官能化ピリジン、安息香酸、又はアミノ酸を含有することで研磨速度向上・面内均一性を改善できることを開示する。
特表2011-545995号公報 特表2016-538359号公報
近年の半導体分野においては高集積化が進んでおり、配線の複雑化や微細化が求められている。そのため、CMP研磨では、砥粒の粒径を小さくすることで欠陥の低減を図っているが、この場合研磨速度が低下する問題があり、酸化珪素膜の研磨速度の向上が要求されている。
そこで、本開示は、酸化珪素膜の研磨速度を向上できる酸化珪素膜用研磨液組成物、これを用いた基板の研磨方法及び半導体基板の製造方法を提供する。
本開示は、一態様において、酸化セリウム粒子と水系媒体を含有する酸化珪素膜用研磨液組成物であって、酸化セリウム粒子として、平均粒子サイズが15nm以上50nm以下であり、密度が8g/cm3以上の酸化セリウム粒子(成分A)、及び平均粒子サイズが60nm以上1μm以下である酸化セリウム粒子(成分B)を含有し、pHが、3以上9以下であり、成分Aと成分Bの混合物の、遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において小粒径側からの累積頻度が50%、99%となる粒子径をそれぞれD50、D99としたとき、D50/D99の値が0.32以下である、研磨液組成物に関する。
本開示は、その他の態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨膜を研磨する工程を含み、前記被研磨膜は、半導体基板の製造過程で形成される酸化珪素膜である、研磨方法に関する。
本開示は、その他の態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨膜を研磨する工程を含む、半導体基板の製造方法に関する。
本開示によれば、一態様において、酸化珪素膜の研磨速度を向上できる酸化珪素膜用研磨液組成物を提供できる。
本開示は、一態様において、酸化セリウム(以下、「セリア」ともいう)粒子を砥粒として含む研磨液組成物において、密度が高い小径セリアは、大径セリアと所定の条件で混合されることで、研磨速度向上に寄与できるという知見に基づく。
本開示の効果の発現のメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように推察される。
酸化珪素膜の研磨には、一般的に、セリア粒子が使用されている。通常、セリア粒子中のセリウムは4価であり、まれに酸素原子が脱落して3価になる。セリア粒子中の3価のセリウムは、酸化珪素膜のSi-O結合を弱めて、酸化珪素膜が脆弱化し、研磨を促進させると考えられる。
高密度の小径セリア表面には、3価のセリウムの存在量が多いことを示唆するデータが得られている。また、高密度の小径セリアは、比較的高温で研磨速度が顕著に極大することが見出されている。
高密度の小径セリアが、大径セリアと混合されることで、研磨中に摩擦が増大して高温となり、小径セリアの機能が発揮され、研磨速度が向上すると考えられる。
また、本開示では、遠心沈降法により得られる粒度分布におけるD50/D99が0.32以下であることで、小径セリアの機能と大径セリアの物理的切削の双方が作用することで研磨速度が向上すると考えられる。なお、通常、粒度分布は、遠心沈降法や動的光散乱法等によって測定できることが知られているが、本開示では、セリアの粒度分布は、動的光散乱法に比べて分解能が高い遠心沈降法を採用している。
但し、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
[酸化セリウム(セリア)粒子]
本開示の研磨液組成物は、研磨砥粒として成分Aの酸化セリウム粒子と、成分Bの酸化セリウム粒子を含有する。成分A及び成分Bは、それぞれ、1種類でもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
[成分A]
成分Aは、平均粒子サイズが15nm以上50nm以下であり、密度が8g/cm3以上の酸化セリウム粒子、好ましくは焼成酸化セリウム粒子である。
ここで、「焼成酸化セリウム粒子」とは、セリウム化合物を焼成して得られる酸化セリウム粒子(セリア粒子)である。焼成酸化セリウム粒子としては、例えば、セリウム化合物を焼成、粉砕して得られる焼成粉砕酸化セリウムが挙げられる。焼成酸化前のセリウム化合物としては、例えば、炭酸セリウムや硝酸セリウム等が挙げられる。なお、焼成酸化セリウム粒子は、一又は複数の実施形態において、焼成セリアと呼ばれることもある。焼成粉砕セリウム粒子は、一又は複数の実施形態において、焼成粉砕セリアとも呼ばれることもある。
成分Aの形状としては、例えば、略球状、多面体状、ラズベリー状が挙げられる。
成分Aの平均粒子サイズは、研磨速度向上の観点から、15nm以上であり、20nm以上が好ましく、22nm以上がより好ましく、同様の観点から、50nm以下であり、40nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましい。成分Aの平均粒子サイズは、同様の観点から、15nm以上50nm以下であり、20nm以上50nm以下が好ましく、20nm以上40nm以下がより好ましく、22nm以上30nm以下が更に好ましい。
本開示において、「平均粒子サイズ」は、遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において小径側からの累積頻度が50%となる粒径をいう。
本開示において、遠心沈降法は、一又は複数の実施形態において、粒子を沈降速度差によってサイズごとに分級して検出する方法(ディスク遠心沈降光透過法)である。遠心沈降法による粒度分布は、例えば、ディスク遠心式粒子径分布測定装置(CPS Disc Centrifuge)を用いて測定できる。以下の説明において、遠心沈降法による粒度分布は、「CPS測定による粒度分布」ということもある。平均粒子サイズは、実施例に記載の測定方法により算出できる。
成分Aの密度は、研磨速度向上の観点から、8g/cm3以上であり、8.5g/cm3以上が好ましく、8.7g/cm3以上がより好ましく、同様の観点から、10g/cm3以下が好ましく、9.8g/cm3以下がより好ましい。成分Aの密度は、同様の観点から、8g/cm3以上10g/cm3以下が好ましく、8.5g/cm3以上10g/cm3以下がより好ましく、8.7g/cm3以上9.8g/cm3以下が更に好ましい。
本開示において、「密度」は、ピクノメーターで測定される値をいう。密度は、実施例に記載の方法により測定されうる。
成分Aは、一又は複数の実施形態において、4価のセリアを用いて製造できる。例えば、4価のセリア前駆体よりナノ結晶セリアを生成し、これを焼成により結晶成長させることで単結晶セリア(小径セリア)を得て、この単結晶セリアを粉砕することにより、小径で高密度の焼成セリア(成分A)を製造できる。成分Aの平均粒子サイズ及び密度は、ナノ結晶セリアのサイズ、焼成条件、粉砕条件により制御できる。例えば、密度を増加させるためには、焼成時の温度を高温にすればよい。
本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量は、研磨速度向上の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.07質量%以上が更に好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、0.4質量%以下が更に好ましい。本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量は、同様の観点から、0.01質量%以上2質量%以下が好ましく、0.05質量%以上1質量%以下がより好ましく、0.07質量%以上0.5質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以上0.4質量%以下が更に好ましい。成分Aが2種以上の酸化セリウム粒子の組合せである場合、成分Aの含有量はそれらの合計含有量をいう。
[成分B]
成分Bは、平均粒子サイズが60nm以上1μm以下の酸化セリウム粒子である。成分Bは、成分Aよりも平均粒子サイズが大きい。
成分Bの製造方法、形状、及び表面状態については特に限定されなくてもよい。成分Bとしては、例えば、コロイダルセリア、不定形セリア、セリアコートシリカ等が挙げられる。
コロイダルセリアは、例えば、特表2010-505735号公報の実施例1~4に記載の方法で、ビルドアッププロセスにより得ることができる。コロイダルセリアは、一又は複数の実施形態において、湿式酸化セリウム(以下、「湿式セリア」ともいう)の一例である。
不定形セリアとしては、例えば、粉砕セリアが挙げられる。粉砕セリアの一実施形態としては、例えば、炭酸セリウムや硝酸セリウムなどのセリウム化合物を焼成、粉砕して得られる焼成粉砕酸化セリウムが挙げられる。粉砕セリアのその他の実施形態としては、例えば、無機酸や有機酸の存在下でセリア粒子を湿式粉砕することにより得られる単結晶粉砕セリアが挙げられる。湿式粉砕時に使用される無機酸としては、例えば硝酸が挙げられ、有機酸としては、例えば、カルボキシル基を有する有機酸が挙げられ、具体的には、ピコリン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、アミノ安息香酸及びp-ヒドロキシ安息香酸から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。湿式粉砕方法としては、例えば、遊星ビーズミル等による湿式粉砕が挙げられる。
セリアコートシリカとしては、例えば、特開2015-63451号公報の実施例1~14もしくは特開2013-119131号公報の実施例1~4に記載の方法で、シリカ粒子表面の少なくとも一部が粒状セリアで被覆された構造を有する複合粒子が挙げられ、該複合粒子は、例えば、シリカ粒子にセリアを沈着させることで得ることができる。
成分Bの形状としては、例えば、略球状、多面体状、ラズベリー状が挙げられる。
成分Bの平均粒子サイズは、研磨速度向上の観点から、60nm以上であり、70nm以上が好ましく、80nm以上がより好ましく、90nm以上が更に好ましい。研磨傷低減の観点から、1μm以下であり、500nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましく、125nm以下が更に好ましい。成分Bの平均粒子サイズは、同様の観点から、60nm以上1μm以下であり、70nm以上500nm以下が好ましく、80nm以上250nm以下がより好ましく、90nm以上125nm以下が更に好ましい。
成分Bの密度は、研磨速度向上の観点から、8g/cm3未満が好ましく、7.8g/cm3以下がより好ましく、7.5g/cm3以下が更に好ましい。研磨傷低減の観点から、6g/cm3以上が好ましく、6.3g/cm3以上がより好ましく、6.6g/cm3以上が更に好ましい。成分Bの密度は、同様の観点から、6g/cm3以上8g/cm3未満が好ましく、6.3g/cm3以上7.8g/cm3以下がより好ましく、6.6g/cm3以上7.5g/cm3以下が更に好ましい。上記の方法で得られる成分Bの密度は、通常、8g/cm3未満である。
本開示の研磨液組成物中の成分Bの含有量は、研磨速度向上の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.07質量%以上が更に好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、研磨傷低減の観点から、4質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。本開示の研磨液組成物中の成分Bの含有量は、同様の観点から、0.01質量%以上4質量%以下が好ましく、0.05質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.07質量%以上2質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以上1.5質量%以下が更に好ましい。成分Bが2種以上の酸化セリウム粒子の組合せである場合、成分Bの含有量はそれらの合計含有量をいう。
本開示の研磨液組成物中の成分Aと成分Bの混合物の、遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において小粒径側からの累積頻度が50%、99%となる粒子径をそれぞれD50、D99としたときのD50/D99の値は、研磨速度向上の観点から、0.32以下であり、0.3以下が好ましく、0.3未満がより好ましく、0.25以下が更に好ましい。D50/D99の値は、研磨傷低減の観点から、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.08以上が更に好ましく、0.1以上が更に好ましい。本開示の研磨液組成物中のD50/D99の値は、同様の観点から、0.01以上0.32以下が好ましく、0.05以上0.3以下がより好ましく、0.08以上0.3未満が更に好ましく、0.1以上0.25以下が更に好ましい。
本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量と成分Bの含有量の重量比(A/B)は、研磨傷低減の観点から、1/6以上が好ましく、1/4以上がより好ましく、1/3以上が更に好ましい。研磨速度向上の観点から、4/1以下が好ましく、3/1以下がより好ましく、2/1以下が更に好ましい。本開示の研磨液組成物中の重量比(A/B)は、研磨速度向上の観点から、1/6以上4/1以下が好ましく、1/4以上3/1以下がより好ましく、1/3以上2/1以下が更に好ましい。
本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量と成分Bの含有量の合計は、研磨速度向上の観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましく、0.3質量%以上が更に好ましい。研磨傷低減の観点から、6質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましく、2質量%以下が更に好ましい。本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量と成分Bの含有量の合計は、同様の観点から、0.05質量%以上6質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上3質量%以下が更に好ましく、0.3質量%以上2質量%以下が更に好ましい。
[水系媒体]
本開示の研磨液組成物に含まれる水系媒体としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等の水、又は、水と溶媒との混合溶媒等が挙げられる。上記溶媒としては、水と混合可能な溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)が挙げられる。水系媒体が、水と溶媒との混合溶媒の場合、混合媒体全体に対する水の割合は、本開示の効果が妨げられない範囲であれば特に限定されなくてもよく、経済性の観点から、例えば、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%が更に好ましい。被研磨基板の表面清浄性の観点から、水系媒体としては、水が好ましく、イオン交換水及び超純水がより好ましく、超純水が更に好ましい。本開示の研磨液組成物中の水系媒体の含有量は、成分A、成分B、及び必要に応じて配合される後述する成分C及び任意成分を除いた残余とすることができる。
[添加剤(成分C)]
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、研磨速度向上の観点から、10ppm水溶液をサイクリックボルタンメトリー(Ag/AgCl電極基準)で測定したときの還元電位が0.45V以上0.95V以下となる化合物(成分C)を含有してもよい。
前記還元電位は、研磨速度向上の観点から、0.45V以上が好ましく、0.5V以上がより好ましく、0.55V以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、0.95V以下が好ましく、0.92V以下がより好ましく、0.89V以下が更に好ましい。還元電位は、実施例に記載の方法により測定できる。
成分Cは、一又は複数の実施形態において、研磨速度向上の観点から、複素芳香環骨格を含む還元性化合物であることが好ましい。成分Cとしては、例えば、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基に置換された含窒素複素芳香環骨格を含む、N-オキシド化合物又はその塩が挙げられる。成分Cは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
<N-オキシド化合物>
本開示の研磨液組成物に含まれる成分Cは、一態様において、含窒素複素芳香環の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基に置換された含窒素複素芳香環骨格を含む、N-オキシド化合物又はその塩である。上記の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機アミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。成分Cは、1種類単独で用いてもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
よって、本開示は、一態様において、酸化セリウム粒子(成分A及びB)と、N-オキシド化合物(成分C)と、水系媒体とを含有し、成分Cは、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基に置換された含窒素複素芳香環骨格を含む、N-オキシド化合物又はその塩である、酸化珪素膜用研磨液組成物に関する。
本態様において、N-オキシド化合物とは、一又は複数の実施形態において、N-オキシド基(N→O基)を有する化合物を示す。N-オキシド化合物は、N→O基を1又は2以上有することができ、入手容易性の点からは、N→O基の数は1つが好ましい。
本態様において、「少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基に置換された含窒素複素芳香環骨格」とは、含窒素複素芳香環の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基に置換された構造を示す。
本態様において、成分Cの含窒素複素芳香環骨格に含まれる少なくとも1つの窒素原子がN-オキシドを形成する。成分Cに含まれる含窒素複素芳香環としては、一又は複数の実施形態において、単環又は2環の縮合環が挙げられる。成分Cに含まれる含窒素複素芳香環の窒素原子数としては、一又は複数の実施形態において、1~3個が挙げられ、研磨速度向上の観点から、1又は2個が好ましく、1個がより好ましい。
成分Cに含まれる含窒素複素芳香環骨格としては、一又は複数の実施形態において、ピリジンN-オキシド骨格、キノリンN-オキシド骨格等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。本開示において、ピリジンN-オキシド骨格とは、ピリジン環に含まれる窒素原子がN-オキシドを形成している構成を示す。キノリンN-オキシド骨格とは、キノリン環に含まれる窒素原子がN-オキシドを形成している構成を示す。
成分Cとしては、一又は複数の実施形態において、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基に置換されたピリジン環を有するN-オキシド化合物、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基に置換されたキノリン環を有するN-オキシド化合物、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、研磨速度向上の観点から、成分Cとしては、ピリジン環の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基に置換されたピリジン環を有するN-オキシド化合物又はその塩が好ましい。
成分Cは、一又は複数の実施形態において、2-ヒドロキシピリジンN-オキシドが挙げられる。
本開示の研磨液組成物中の成分Cの含有量は、研磨速度向上の観点から、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.006質量%以上が更に好ましく、0.01質量%以上がより更に好ましく、そして、同様の観点から、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましく、0.06質量%以下がより更に好ましい。本開示の研磨液組成物中の成分Cの含有量は、0.0001質量%以上1質量%以下が好ましく、0.001質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.006質量%以上0.1質量%以下が更に好ましく、0.01質量%以上0.06質量%以下がより更に好ましい。成分Cが2種以上の組合せである場合、成分Cの含有量はそれらの合計の含有量をいう。
本開示の研磨液組成物中における成分Aと成分Bの合計と成分Cとの質量比(A+B)/C(成分A及び成分Bの合計含有量/成分Cの含有量)は、研磨速度向上の観点から、0.1以上が好ましく、10以上がより好ましく、25以上が更に好ましく、50以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、6000以下が好ましく、600以下がより好ましく、300以下が更に好ましく、200以下が更に好ましい。本開示の研磨液組成物中における質量比A/Bは、0.1以上6000以下が好ましく、10以上600以下がより好ましく、25以上300以下が更に好ましく、50以上200以下が更に好ましい。
[任意成分]
本開示の研磨液組成物は、pH調整剤、界面活性剤、増粘剤、分散剤、防錆剤、防腐剤、塩基性物質、研磨速度向上剤、窒化珪素膜研磨抑制剤、ポリシリコン膜研磨抑制剤、カウンターイオン等の任意成分をさらに含有することができる。本開示の研磨液組成物が任意成分をさらに含有する場合、本開示の研磨液組成物中の任意成分の含有量は、研磨速度向上の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.0025質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、そして、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。本開示の研磨液組成物中の任意成分の含有量は、0.001質量%以上1質量%以下が好ましく、0.0025質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、官能化ピリジン、安息香酸、アミノ酸又はそれらの組合せを含まないものとすることができる。
[研磨液組成物]
本開示の研磨液組成物は、例えば、成分A、成分B及び水系媒体、並びに、所望により上述した成分C及び任意成分を公知の方法で配合する工程を含む製造方法によって製造できる。例えば、本開示の研磨液組成物は、少なくとも成分A、成分B及び水系媒体を配合してなるものとすることができる。成分A及び/又は成分Bが複数種類の酸化セリウム粒子の組合せである場合、成分A及び/又は成分Bは、複数種類の酸化セリウム粒子をそれぞれ配合することにより得ることができる。成分Cが複数種類のN-オキシド化合物の組合せである場合、成分Cは、複数種類のN-オキシド化合物をそれぞれ配合することにより得ることができる。
本開示において「配合する」とは、成分A、成分B及び水系媒体、並びに必要に応じて上述した成分C及び任意成分を同時に又は順に混合することを含む。混合する順序は特に限定されない。前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。本開示の研磨液組成物の製造方法における各成分の配合量は、上述した本開示の研磨液組成物中の各成分の含有量と同じとすることができる。
本開示の研磨液組成物の実施形態は、全ての成分が予め混合された状態で市場に供給される、いわゆる1液型であってもよいし、使用時に混合される、いわゆる2液型であってもよい。2液型の研磨液組成物の一実施形態としては、成分Aを含む第1液と、成分Bを含む第2液とから構成され、使用時に第1液と第2液とが混合されるものが挙げられる。第1液と第2液との混合は、研磨対象の表面への供給前に行われてもよいし、これらは別々に供給されて被研磨基板の表面上で混合されてもよい。第1液及び第2液はそれぞれ必要に応じて上述した成分C及び任意成分を含有することができる。
本開示の研磨液組成物のpHは、研磨速度向上の観点から、3以上であって、3.5以上が好ましく、4以上がより好ましく、4.5以上が更に好ましく、そして、9以下であって、8.5以下が好ましく、8以下がより好ましく、8未満が更に好ましく、7以下が更に好ましく、6以下が更に好ましい。本開示の研磨液組成物のpHは、3以上9以下であって、3.5以上9以下が好ましく、4以上8.5以下がより好ましく、4.5以上8以下が更に好ましく、4.5以上8未満が更に好ましく、4.5以上7以下が更に好ましく、4.5以上6以下が更に好ましい。本開示において、研磨液組成物のpHは、25℃における値であって、pHメータを用いて測定でき、実施例に記載の方法で測定できる。
本開示において「研磨液組成物中の各成分の含有量」とは、研磨時、すなわち、研磨液組成物の研磨への使用を開始する時点での前記各成分の含有量をいう。本開示の研磨液組成物は、その安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存および供給されてもよい。この場合、製造・輸送コストを低くできる点で好ましい。そしてこの濃縮液は、必要に応じて水で適宜希釈して研磨工程で使用することができる。希釈割合としては5~100倍が好ましい。
[被研磨膜]
本開示の研磨液組成物を用いて研磨される被研磨膜としては、例えば、酸化珪素膜が挙げられる。したがって、本開示の研磨液組成物は、酸化珪素膜の研磨を必要とする工程に使用できる。すなわち、本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、酸化珪素膜の研磨に用いられる研磨液組成物(酸化珪素膜用研磨液組成物)である。一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物は、半導体基板の素子分離構造を形成する工程で行われる酸化珪素膜の研磨、層間絶縁膜を形成する工程で行われる酸化珪素膜の研磨、埋め込み金属配線を形成する工程で行われる酸化珪素膜の研磨、又は、埋め込みキャパシタを形成する工程で行われる酸化珪素膜の研磨に好適に使用できる。その他の一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物は、3次元NAND型フラッシュメモリ等の3次元半導体装置の製造に好適に使用できる。
[研磨液キット]
本開示は、その他の態様において、本開示の研磨液組成物を製造するためのキット(以下、「本開示の研磨液キット」ともいう)に関する。
本開示の研磨液キットとしては、例えば、成分A、成分B及び水系媒体を含む研磨砥粒分散液と、その他の成分(成分C又は任意成分)を含む水溶液と、を相互に混合されない状態で含む、研磨液キット(2液型研磨液組成物)が挙げられる。前記研磨砥粒分散液と前記添加剤水溶液とは、使用時に混合され、必要に応じて水系媒体を用いて希釈される。前記研磨砥粒分散液に含まれる水系媒体は、研磨液組成物の調製に使用する水系媒体の全量でもよいし、一部でもよい。前記添加剤水溶液には、研磨液組成物の調製に使用する水系媒体の一部が含まれていてもよい。前記研磨砥粒分散液及び前記添加剤水溶液にはそれぞれ必要に応じて、上述した任意成分が含まれていてもよい。
本開示の研磨液キットによれば、研磨速度を確保しつつ、研磨選択性の向上が可能な研磨液組成物が得られうる。
[研磨方法]
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨膜を研磨する工程を含み、前記被研磨膜は、半導体基板の製造過程で形成される酸化珪素膜である、研磨方法(以下、「本開示の研磨方法」ともいう)に関する。本開示の研磨方法を使用することにより、酸化珪素膜の研磨速度向上が可能であるため、品質が向上した半導体基板の生産性を向上できるという効果が奏されうる。本開示の研磨方法における研磨の方法及び条件は、後述する本開示の半導体基板の製造方法と同じようにすることができる。
[半導体基板の製造方法]
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を用いて酸化珪素膜を研磨する工程(研磨工程)を含む、半導体基板の製造方法に関する。
本開示は、一態様において、本開示の研磨方法を用いて酸化珪素膜を研磨する工程(研磨工程)を含む、半導体基板の製造方法に関する。
本開示において「本開示の半導体基板の製造方法」という場合には、上記二態様を指しうる。
本開示の半導体基板の製造方法によれば、酸化珪素膜の研磨速度向上が可能であるため、品質が向上した半導体基板を効率よく製造できるという効果が奏されうる。
本開示の半導体基板の製造方法の一又は複数の実施形態としては、まず、シリコン基板を酸化炉内で酸素に晒すことよりその表面に二酸化シリコン層を成長させ、次いで、当該二酸化シリコン層上に窒化珪素(Si34)膜又はポリシリコン膜等の研磨ストッパ膜を、例えばCVD法(化学気相成長法)にて形成する。次に、シリコン基板と前記シリコン基板の一方の主面側に配置された研磨ストッパ膜とを含む基板、例えば、シリコン基板の二酸化シリコン層上に研磨ストッパ膜が形成された基板に、フォトリソグラフィー技術を用いてトレンチを形成する。次いで、例えば、シランガスと酸素ガスを用いたCVD法により、トレンチ埋め込み用の被研磨膜である酸化珪素(SiO2)膜を形成し、研磨ストッパ膜が被研磨膜(酸化珪素膜)で覆われた被研磨基板を得る。酸化珪素膜の形成により、前記トレンチは酸化珪素膜の酸化珪素で満たされ、研磨ストッパ膜の前記シリコン基板側の面の反対面は酸化珪素膜によって被覆される。このようにして形成された酸化珪素膜のシリコン基板側の面の反対面は、下層の凸凹に対応して形成された段差を有する。次いで、CMP法により、酸化珪素膜を、少なくとも研磨ストッパ膜のシリコン基板側の面の反対面が露出するまで研磨し、より好ましくは、酸化珪素膜の表面と研磨ストッパ膜の表面とが面一になるまで酸化珪素膜を研磨する。本開示の研磨液組成物は、このCMP法による研磨を行う工程に用いることができる。酸化珪素膜の下層の凹凸に対応して形成された凸部の幅は、例えば、0.5μm以上5000μm以下であり、凹部の幅は、例えば、0.5μm以上5000μm以下である。
CMP法による研磨では、被研磨基板の表面と研磨パッドとを接触させた状態で、本開示の研磨液組成物をこれらの接触部位に供給しつつ被研磨基板及び研磨パッドを相対的に移動させることにより、被研磨基板の表面の凹凸部分を平坦化させる。
なお、本開示の半導体基板の製造方法において、シリコン基板の二酸化シリコン層と研磨ストッパ膜との間に他の絶縁膜が形成されていてもよいし、被研磨膜(例えば、酸化珪素膜)と研磨ストッパ膜(例えば、窒化珪素膜)との間に他の絶縁膜が形成されていてもよい。
前記研磨工程において、研磨パッドの回転数は、例えば、30~200r/分、被研磨基板の回転数は、例えば、30~200r/分、研磨パッドを備えた研磨装置に設定される研磨荷重は、例えば、20~500g重/cm2、研磨液組成物の供給速度は、例えば、10~500mL/分以下に設定できる。研磨液組成物が2液型研磨液組成物の場合、第1液及び第2液のそれぞれの供給速度(又は供給量)を調整することで、被研磨膜及び研磨ストッパ膜のそれぞれの研磨速度や、被研磨膜と研磨ストッパ膜との研磨速度比(研磨選択性)を調整できる。
前記研磨工程において、被研磨膜(酸化珪素膜)の研磨速度は、生産性向上の観点から、50nm/分以上が好ましく、80nm/分以上がより好ましく、90nm/分以上が更に好ましい。
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。
1.各パラメータの測定方法
(1)研磨液組成物のpH
研磨液組成物の25℃におけるpH値は、pHメータ(東亜電波工業社製、「HM-30G」)を用いて測定した値であり、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して1分後の数値である。
(2)遠心沈降法(CPS測定)による酸化セリウム粒子のD50及びD99の測定方法
酸化セリウム粒子をイオン交換水で希釈し、酸化セリウム粒子を0.4質量%含有する分散液を調製して試料とし、下記測定装置を用いて遠心沈降法による粒度分布を測定した。遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において小径側からの累積頻度が50%、99%となる粒径をそれぞれD50、D99とした。成分A、成分BのD50をそれぞれの平均粒子サイズとした。
<測定条件>
測定装置:CPS Instruments社製の「CPS DC24000 UHR」測定範囲:0.02~3μm
粒子の消衰係数:0.1
粒子の形状因子:1.2 or 1.0
回転数:17,000rpm
校正用標準粒子径:0.476μm
標準粒子密度:1.0465(13%、34℃)
密度勾配溶液:スクロース水溶液(8%、24%)
溶媒の粘度:1.16cp(13%、34℃)
溶媒の屈折率:1.3592(18%、34℃)
測定温度:15~45℃
測定時間:3~420分
(3)酸化セリウム粒子の密度
酸化セリウム粒子を、ホットスターラー(アズワン製、CERAMIC HOT PLATE CHP-170DF)を用いて400℃で2時間乾燥後、電気炉(フルテック製、FT-101)を用いて650℃で1時間焼成する。次に、サンプルを全自動ピクノメーター(Quantachrome社製、ULTRAPYC 1200e)を用いて密度を測定した。
(4)還元電位及び酸化電位
1)支持電解質として用いる硫酸ナトリウム水溶液が0.1mol/Lになるよう超純水にて調製し、窒素置換を3時間以上行う。
2)ガラスバイアル(20mL)に硫酸ナトリウム水溶液を9.9mL秤量する。
3)ガラス状カーボン(グラッシーカーボン)作用電極の表面を、1μm研磨用ダイヤモンド及びダイヤモンド研磨用パッド(何れもビー・エー・エス社製)を用い、電極を垂直に押し当て、8の字を描くように十分研磨をする。続いて、0.05μmのアルミナ及びアルミナ研磨用パッド(何れもビー・エー・エス社製)を用い、電極表面が鏡面になるまで8の字を描くように十分研磨をする。その後、電極表面を超純水で洗浄し乾燥させる。
4)ガラス状カーボン電極、銀/銀塩化銀参照電極、白金カウンター電極をALS電気化学アナライザー(モデル611D)に接続し、硫酸ナトリウム水溶液に浸漬させて3極式電気化学セルを組み立てる。
5)サイクリックボルタンメトリー変数を高電位1V、低電位1V、スキャン速度0.1V/s、スィープセグメント5wに設定し、電位-電流データポイントをモニターに表示する。
6)ガラスバイアル内にテフロン(登録商標)チューブを通し窒素置換を十分に行った後、支持電解質のみで測定を行う。このとき、窒素置換が不十分であると、溶存酸素由来のピークが検出される。
7)測定サンプル(添加剤:1000ppm)を超純水にて調製し、窒素置換を十分に行った後、該測定サンプル0.1mLをガラスバイアル内の硫酸ナトリウム水溶液9.9mLに添加し、添加剤の10ppm水溶液を得た。
8)Open Circuit Potentialを測定し、サイクリックボルタンメトリー変数の初期電位に設定し、測定を行う。このとき、溶存酸素由来のピークが検出されていないことを確認し、測定サンプル由来のサイクリックボルタモグラムから酸化還元電位を確認する。
2.研磨液組成物の調製(実施例1~7及び比較例1~13)
酸化セリウム粒子(成分A、成分B)、添加剤(成分C)及び水を混合して実施例1~7及び比較例1~13の研磨液組成物を得た。研磨液組成物中の各成分の含有量は、表1~3に示すとおり。水の含有量は、成分A、成分B、及び成分Cを除いた残余である。実施例1~7及び比較例1~13の研磨液組成物のpHは5であった。pH調整はアンモニア若しくは硝酸を用いて実施した。
実施例1~7及び比較例1~13の研磨液組成物の調製に用いた成分A、成分B、並びに成分Cを以下に示す。
[成分A]
酸化セリウム粒子a1:粒径26nm、密度9g/cm3、焼成酸化セリウム
酸化セリウム粒子a2:粒径53nm、密度7.6g/cm3、湿式酸化セリウム(コロイダルセリア)、ソルベイ・スペシャルケム・ジャパン社製の“HC-30”
酸化セリウム粒子a3:粒径76nm、密度7.9g/cm3、焼成酸化セリウム
[成分B]
酸化セリウム粒子b1:粒径97nm、密度7.4g/cm3、焼成酸化セリウム
酸化セリウム粒子b2:粒径111nm、密度6.9g/cm3、湿式酸化セリウム(コロイダルセリア)、ソルベイ・スペシャルケム・ジャパン製の“HC-60”
[成分C]
2-ヒドロキシピリジンN-オキシド(東京化成工業株式会社製、還元電位:0.87V)
焼成酸化セリウムの製造方法
焼成酸化セリウム粒子a1、a3、及びb1は、セリウム化合物を焼成して製造した。また、焼成酸化セリウム粒子a1、a3、及びb1の形状を走査型電子顕微鏡(SEM)観察の結果、粒子a1及びa3が多面体状であり、粒子b1が不定形であった。
湿式酸化セリウム
湿式酸化セリウム粒子a2及びb2の形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察の結果、多面体状であった。
3.研磨液組成物の評価
[研磨速度の測定]
被研磨物として、8インチシリコンウエハ上にSiO2膜が全面に2000nmの膜厚で形成されたベタ膜基板を用意した。
研磨装置(荏原製作所製、F-REX200)、研磨パッド(ニッタハース製、上層:IC1000、下層:SUBA400)を使用した。
研磨条件は、加工圧力:3psi(288gf/cm2)、研磨液組成物流量:200ml/分、研磨ヘッドの回転数:107rpm、プラテン回転数:100rpm、研磨時間:60秒であった。
次に、光干渉式膜厚測定装置(Nano metrics製のNanospec 6100)を用いて、研磨前後での被研磨物の厚みの減少量から、1分間当たりの研磨レート(研磨速度)を求めた。
研磨液組成物中の酸化セリウム粒子(成分A及び成分B)の合計濃度が0.5質量%である研磨液組成物を用いた研磨の結果を表1及び2に示す。
Figure 2022137999000001
Figure 2022137999000002
研磨液組成物中の酸化セリウム粒子(成分A及び成分B)の合計濃度が1.5質量%である研磨液組成物を用いた研磨の結果を表3に示す。
Figure 2022137999000003
表1に示されるように、実施例1及び2の研磨液組成物は、比較例1~6の研磨液組成物に比べて、研磨速度が向上していた。
表2に示されるように、実施例3及び4の研磨液組成物は、比較例7~9の研磨液組成物に比べて、研磨速度が向上していた。
表3に示されるように、実施例5~7の研磨液組成物は、比較例10~13の研磨液組成物に比べて、研磨速度が向上していた。また、添加剤(成分C)を含む実施例6及び7の研磨泳組成物は、添加剤(成分C)を含まない研磨液組成物実施例5の研磨液組成物よりも、研磨速度が向上していた。
本開示の研磨液組成物は、高密度化又は高集積化用の半導体基板の製造方法において有用である。

Claims (11)

  1. 酸化セリウム粒子と水系媒体を含有する酸化珪素膜用研磨液組成物であって、
    酸化セリウム粒子として、
    平均粒子サイズが15nm以上50nm以下であり、密度が8g/cm3以上の酸化セリウム粒子(成分A)、及び
    平均粒子サイズが60nm以上1μm以下である酸化セリウム粒子(成分B)を含有し、
    pHが、3以上9以下であり、
    成分Aと成分Bの混合物の、遠心沈降法により得られる重量換算での粒度分布において小粒径側からの累積頻度が50%、99%となる粒子径をそれぞれD50、D99としたとき、D50/D99の値が0.32以下である、研磨液組成物。
  2. 成分Aは、平均粒子サイズが20nm以上50nm以下であり、密度が8.5g/cm3以上10g/cm3以下の酸化セリウム粒子である、請求項1に記載の研磨液組成物。
  3. 成分Aが、焼成酸化セリウム粒子である、請求項1又は2に記載の研磨液組成物。
  4. 研磨液組成物中の成分Aの含有量と成分Bの含有量の重量比(A/B)が、1/6以上4/1以下である、請求項1から3のいずれかに記載の研磨液組成物。
  5. 成分Bの密度が、6g/cm3以上8g/cm3未満である、請求項1から4のいずれかに記載の研磨液組成物。
  6. 研磨液組成物中の成分Aの含有量と成分Bの含有量の合計が、0.3質量%以上2質量%以下である、請求項1から5のいずれかに記載の研磨液組成物。
  7. D50/D99の値が、0.1以上0.25以下である、請求項1から6のいずれかに記載の研磨液組成物。
  8. さらに、10ppm水溶液をサイクリックボルタンメトリー(Ag/AgCl電極基準)で測定したときの還元電位が0.45V以上0.95V以下となる化合物(成分C)を含有する、請求項1から7のいずれかに記載の研磨液組成物。
  9. 成分Cは、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基に置換されたピリジン環を有するN-オキシド化合物、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基に置換されたキノリン環を有するN-オキシド化合物、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項8に記載の研磨液組成物。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨膜を研磨する工程を含み、前記被研磨膜は、半導体基板の製造過程で形成される酸化珪素膜である、研磨方法。
  11. 請求項1から9のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨膜を研磨する工程を含む、半導体基板の製造方法。
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