JP2022132810A - 硬化性樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

硬化性樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

Info

Publication number
JP2022132810A
JP2022132810A JP2021031485A JP2021031485A JP2022132810A JP 2022132810 A JP2022132810 A JP 2022132810A JP 2021031485 A JP2021031485 A JP 2021031485A JP 2021031485 A JP2021031485 A JP 2021031485A JP 2022132810 A JP2022132810 A JP 2022132810A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
polymer
resin composition
curable resin
polysilsesquioxane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021031485A
Other languages
English (en)
Inventor
隆博 齋藤
Takahiro Saito
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP2021031485A priority Critical patent/JP2022132810A/ja
Publication of JP2022132810A publication Critical patent/JP2022132810A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)
  • Sealing Material Composition (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyethers (AREA)

Abstract

【課題】高い強度を示す硬化物を与え得る硬化性樹脂組成物の提供。【解決手段】反応性シリル基を有し、かつ分岐構造を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)、及び、アルコキシシリル基及び/又はシラノール基を有し、更に、ケイ素原子上に炭素数1~10のアルキル基と炭素数6~12のアリール基を有するポリシルセスキオキサン系重合体(B)、を含有する、硬化性樹脂組成物。ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、重合体骨格に前記分岐構造を有してもよいし、末端構造中に前記分岐構造を有してもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、反応性シリル基を有する重合体を含む硬化性樹脂組成物、及びその硬化物に関する。
ケイ素原子上に水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成し得るケイ素含有基(以下、「反応性シリル基」という)を有する有機重合体は、湿分反応性ポリマーとして知られており、接着剤、シーリング材、コーティング材、塗料、粘着剤などの多くの工業製品に含まれ、幅広い分野で利用されている。このような反応性シリル基含有重合体としては、主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体のものが広く使用されている。
このような反応性シリル基を有する有機重合体を硬化させた後に発現する機械的特性を改善する方法として、該有機重合体にポリシルセスキオキサン系重合体を配合する技術が知られている。ポリシルセスキオキサン系重合体とは、オルガノトリアルコキシシランが加水分解・脱水縮合反応をすることで形成されたシロキサン系の重合体であり、組成式:(RSiO1.5で表される。前記式中、Rはメチル基などの一価の有機基を表す。
例えば、特許文献1では、反応性シリル基を有する重合体と、シルセスキオキサン単位を含むシリコーン樹脂を含有する架橋組成物が開示されている。また、特許文献2では、フェニル基とアルコキシ基を含むシルセスキオキサンと、アルコキシシラン基を含むシリル化ポリマーと、炭酸塩フィラーを含む組成物が開示されている。
特表2014-521819号公報 特表2020-521034号公報
反応性シリル基を有する有機重合体にポリシルセスキオキサン系重合体を配合することによって、硬化後の物性を改善することができるが、物性の更なる改善が求められている。
本発明は、上記現状に鑑み、反応性シリル基を有する有機重合体とポリシルセスキオキサン系重合体を含有し、高い強度を示す硬化物を与え得る硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、反応性シリル基を有し且つ特定の構造を有するポリオキシアルキレン系重合体と、ケイ素原子上に特定の置換基を有するポリシルセスキオキサン系重合体とを併用することによって、前記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、反応性シリル基を有し、かつ分岐構造を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)、及び、アルコキシシリル基及び/又はシラノール基を有し、更に、ケイ素原子上に炭素数1~10のアルキル基と炭素数6~12のアリール基を有するポリシルセスキオキサン系重合体(B)、を含有する、硬化性樹脂組成物に関する。
好ましくは、ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、重合体骨格に前記分岐構造を有する。
好ましくは、ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、末端構造中に前記分岐構造を有する。
好ましくは、ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、後述する一般式(3)で表される末端構造を有する。
好ましくは、ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、前記反応性シリル基を1分子あたり平均して2.0個以上有する。
好ましくは、ポリオキシアルキレン系重合体(A)とポリシルセスキオキサン系重合体(B)の合計のうちポリシルセスキオキサン系重合体(B)の割合が1~60重量%である。
好ましくは、ポリシルセスキオキサン系重合体(B)における前記アルキル基と前記アリール基のモル比(前記アルキル基:前記アリール基)が、10:90~90:10である。
また本発明は、前記硬化性組成物を含有するシーリング材又は接着剤、あるいは、前記硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物にも関する。
本発明によれば、反応性シリル基を有する有機重合体とポリシルセスキオキサン系重合体を含有し、高い強度を示す硬化物を与え得る硬化性樹脂組成物を提供することができる。
以下に本発明の実施形態を具体的に説明する。
本開示に係る硬化性樹脂組成物は、少なくとも、反応性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)と、ポリシルセスキオキサン系重合体(B)を含有する。
<<反応性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(A)>>
反応性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、複数の繰り返し単位から構成される重合体骨格と、該重合体骨格の末端に結合した末端構造を有する。前記重合体骨格とは、複数の繰り返し単位から構成される重合体主鎖のことをいう。重合体(A)の重合体骨格は、直鎖状のものであってもよいし、分岐鎖状のものであってもよい。直鎖状の重合体骨格は、重合体骨格を形成するための重合方法において、1分子中に1個又は2個の水酸基を有する開始剤を使用することによって形成でき、分岐鎖状の重合体骨格は、1分子中に3個又はそれ以上の水酸基を有する開始剤を使用することによって形成できる。
前記重合体骨格は、互いに連結した複数の繰り返し単位のみから構成される重合体骨格であるか、又は、当該複数の繰り返し単位と、重合時に使用される開始剤に由来する構造とのみから構成される重合体骨格であることが好ましい。前記繰り返し単位とは、オキシアルキレン単位を指し、例えば、炭素数2~6、好ましくは炭素数2~4のオキシアルキレン単位のことをいう。
前記末端構造とは、重合体骨格を構成する繰り返し単位を含まない部位であって、前記重合体骨格の末端に結合した部位を指す。前記末端構造は、酸素原子を介して、前記重合体骨格の端に位置するオキシアルキレン単位に結合していることが好ましい。また、重合体(A)が有する反応性シリル基は、末端構造中に含まれていることが好ましい。この時、各末端構造がそれぞれ反応性シリル基を含むものであってもよいし、反応性シリル基を含む末端構造と、反応性シリル基を含まない末端構造が併存してもよい。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、分岐構造を有するものである。ポリオキシアルキレン系重合体(A)が分岐構造を有することによって、ポリシルセスキオキサン系重合体(B)の配合による硬化物の強度向上効果を享受することができる。当該分岐構造は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)の重合体骨格中に存在する場合(重合体骨格が上述した分岐鎖状のものである場合)と、ポリオキシアルキレン系重合体(A)の末端構造中に存在する場合がある。末端構造中の分岐構造については後述する。
<反応性シリル基>
ポリオキシアルキレン系重合体(A)は反応性シリル基を有するものである。該反応性シリル基とは、ケイ素原子上に水酸基または加水分解性基を有し、加水分解・脱水縮合反応によってシロキサン結合を形成し得るケイ素含有基のことをいい、具体的には、下記一般式(1)で表すことができる。
-Si(R3-a(X) (1)
式(1)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、ヘテロ含有基を有してもよい。Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基を表す。aは1、2、または3である。
は、炭素数1~20の炭化水素基である。前記炭素数は、1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が特に好ましい。該炭化水素基は、無置換の炭化水素基であってもよいし、置換基を有する炭化水素基であってもよい。
としての炭化水素基が置換基として有してもよいヘテロ含有基は、ヘテロ原子を含む基である。ここで、炭素原子および水素原子以外の原子をヘテロ原子とする。
ヘテロ原子の好適な例としては、N、O、S、P、Si、およびハロゲン原子が挙げられる。ヘテロ含有基について、炭素数とヘテロ原子数との合計は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4がさらに好ましい。
ヘテロ含有基の好適な例としては、水酸基;メルカプト基;Cl、Br、I、Fなどのハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基などのアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基などのアルキルチオ基;アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基などのアシル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基などのアシルオキシ基;アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などの置換または非置換のアミノ基;アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基などの置換または非置換のアミノカルボニル基;シアノ基などが挙げられる。
としての炭素数1~20の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチル-n-ヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基などのアルキル基;ビニル基、2-プロペニル基、3-ブテニル基、4-ペンテニル基などのアルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基;フェニル基、ナフタレン-1-イル基、ナフタレン-2-イル基、o-フェニルフェニル基、m-フェニルフェニル基、p-フェニルフェニル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ナフタレン-1-イルメチル基、ナフタレン-2-イルメチル基などのアラルキル基が挙げられる。これらの炭化水素基が、前述のヘテロ含有基で置換された基も、Rとして好ましい。
の好適な例としては、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基;クロロメチル基、メトキシメチル基などのヘテロ含有基を有するアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;などが挙げられる。Rとしては、メチル基、メトキシメチル基、およびクロロメチル基が好ましく、メチル基、およびメトキシメチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
Xとしては、例えば、水酸基、水素、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。これらの中では、加水分解性が穏やかで取扱いやすいことから、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
aは1、2、または3である。aとしては、2または3が好ましい。
前記反応性シリル基の具体例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリス(2-プロペニルオキシ)シリル基、トリアセトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(クロロメチル)ジエトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジエトキシシリル基、(N,N-ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリル基、(N,N-ジエチルアミノメチル)ジエトキシシリル基などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの中では、ジメトキシメチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、および(メトキシメチル)ジメトキシシリル基が良好な機械物性を有する硬化物が得られるため好ましい。活性の観点から、トリメトキシシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、および(メトキシメチル)ジメトキシシリル基がより好ましく、トリメトキシシリル基、および(メトキシメチル)ジメトキシシリル基が特に好ましい。安定性の観点から、ジメトキシメチルシリル基、およびトリエトキシシリル基がより好ましく、ジメトキシメチルシリル基が特に好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の1分子あたりの反応性シリル基の平均数は、1.0個を超えることが好ましく、1.3個以上がより好ましく、1.6個以上がさらに好ましい。特に、ポリシルセスキオキサン系重合体(B)の配合による硬化物の強度向上効果に優れることから、重合体(A)1分子あたりの反応性シリル基の平均数は、2.0個以上であることが好ましく、2.2個以上がより好ましく、2.5個以上が特に好ましい。また、前記平均数の上限は、特に限定されないが、6個以下が好ましく、5個以下がより好ましい。尚、重合体(A)1分子あたりの反応性シリル基の平均数は、NMR測定の結果から算出することができる。
また、ポリオキシアルキレン系重合体(A)1分子における重合体骨格の末端の数に対する反応性シリル基の数の平均比率は、特に限定されず、1.0以下であってもよいし、1.0より多くてもよい。硬化物が高い強度を発揮することができるため、前記平均比率は1.0より多いことが好ましく、1.1以上がより好ましく、1.3以上が更に好ましく、1.5以上が特に好ましい。また、前記平均比率の上限は、特に限定されないが、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。尚、該平均比率の数値は、NMR測定の結果から算出することができる。
本願明細書において、前記重合体骨格の末端の数に対する反応性シリル基の数の平均比率とは、重合体骨格の末端構造1個あたりに平均して含まれる反応性シリル基の数を指し、重合体1分子中の反応性シリル基の平均数/重合体1分子中の重合体骨格の末端の数で表される。重合体1分子中の重合体骨格の末端の数は、重合体骨格が全て直鎖状の場合、2となり、重合体骨格が全て分岐鎖状の場合、3又はそれ以上となる。また、重合体骨格が直鎖状と分岐鎖状の混合物である場合には、2から3の間にもなり得る。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)において、反応性シリル基を有する末端構造は、特に限定されないが、代表的なものとして、下記一般式(2)又は(3)で表される末端構造が挙げられる。
-O-R-CH(R)-CH-Si(R3-a(X) (2)
式(2)中、Rは、直接結合または炭素数1~4の2価の炭化水素基を表し、Rは、水素または炭素数1~6のアルキル基を表す。左端の酸素は、前記重合体骨格の末端に位置する繰り返し単位中の酸素、又は、前記重合体骨格の末端に位置する繰り返し単位に結合した酸素を示す。R、X、及びaは、式(1)について上述したものと同じである。
としては、炭素数1~3の2価の炭化水素基が好ましく、炭素数1~2の2価の炭化水素基がより好ましい。該炭化水素基としては、アルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基を使用することができる。メチレン基が特に好ましい。
としては、水素または炭素数1~4のアルキル基が好ましく、水素または炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。Rとしては、水素、メチル基、エチル基が好ましく、水素、メチル基がより好ましい。
Figure 2022132810000001
式(3)中、Rは、直接結合または炭素数1~6の2価の結合基を表す。Rは、水素または炭素数1~10の炭化水素基を表す。nは1から10の整数である。左端の酸素は、前記重合体骨格の末端に位置する繰り返し単位中の酸素、又は、前記重合体骨格の末端に位置する繰り返し単位に結合した酸素を示す。R、R、R、X、及びaは、式(1)及び(2)について上述したものと同じである。
は、炭素数1~6の2価の有機基であってよい。該有機基は、炭化水素基、又は、酸素原子を含む炭化水素基が好ましい。前記炭素数は1~4が好ましく、1~3がより好ましく、1~2がさらに好ましい。Rとしては、-CHOCH-、-CHO-、-CH-が好ましく、-CHOCH-がより好ましい。
としては、水素または炭素数1~5の炭化水素基が好ましく、水素または炭素数1~3の炭化水素基がより好ましく、水素または炭素数1~2の炭化水素基がさらに好ましい。特に好ましくは、水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
一般式(3)で表される末端構造は、上述した末端構造中の分岐構造の一例を示すものであり、重合体骨格の1個の末端に結合した1個の末端構造を表すものである。式(3)中には2以上の反応性シリル基が示されているが、式(3)は、2以上の末端を示すものではなく、1個の末端構造の中に、2以上の反応性シリル基が存在していることを示すものである。また、式(3)中には、左端の酸素を除いて、重合体骨格中の繰り返し単位は含まれていない。つまり、式(3)中にn個存在するカッコ内の構造は、重合体骨格中の繰り返し単位に該当するものではない。
<重合体骨格>
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の重合体骨格としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシプロピレン-ポリオキシブチレン共重合体などが挙げられる。各重合体はブロック状、グラフト状などに混在していてもよい。これらの中でも、ポリオキシプロピレンが特に好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、重合体骨格中に前記のポリオキシアルキレンの繰り返し単位を50重量%以上含有することが好ましく、70重量%以上含有することがより好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、いずれか1種の重合体骨格を有する重合体であってもよいし、異なる重合体骨格を有する2種以上の重合体の混合物でもよい。また、混合物については、それぞれ別々に製造された重合体の混合物でもよいし、任意の混合組成になるように同時に製造された混合物でもよい。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量は、特に限定されないが、GPCにおけるポリスチレン換算分子量として、3,000~100,000が好ましく、3,000~50,000がより好ましく、3,000~30,000が特に好ましい。数平均分子量が上記の範囲内であると、反応性シリル基の導入量が適度であることにより、製造コストを適度な範囲内に抑えつつ、扱いやすい粘度を有し作業性に優れるポリオキシアルキレン系重合体(A)を比較的容易に製造することができる。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の分子量としては、反応性シリル基導入前の重合体前駆体を、JIS K 1557の水酸基価の測定方法と、JIS K 0070に規定されたよう素価の測定方法の原理に基づいた滴定分析により、直接的に末端基濃度を測定し、重合体の構造(使用した重合開始剤によって定まる分岐度)を考慮して求めた末端基換算分子量で示すこともできる。ポリオキシアルキレン系重合体(A)の末端基換算分子量は、重合体前駆体の一般的なGPC測定により求めた数平均分子量と上記末端基換算分子量の検量線を作成し、ポリオキシアルキレン系重合体(A)のGPCにより求めた数平均分子量を末端基換算分子量に換算して求めることも可能である。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、狭いことが好ましい。具体的には2.0未満が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下がより特に好ましく、1.2以下が最も特に好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(A)の分子量分布はGPC測定により得られる数平均分子量と重量平均分子量から求めることができる。
<反応性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(A)の製造方法>
次に反応性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(A)を製造する方法について説明する。反応性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、反応性シリル基を導入することが可能な前駆重合体に対し、反応性シリル基を導入することで製造できる。具体的には、ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体(P)に対し、水酸基の反応性を利用して炭素-炭素不飽和結合を導入して、炭素-炭素不飽和結合を有する前駆重合体を得た後、該前駆重合体に、該炭素-炭素不飽和結合との反応性を有する反応性シリル基含有化合物を反応させて反応性シリル基を導入することで製造できる。
(重合)
ポリオキシアルキレン系重合体の重合体骨格は、従来公知の方法によって、水酸基を有する開始剤にエポキシ化合物を重合させることで形成することができ、これによって末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体(P)が得られる。具体的な重合方法としては特に限定されないが、分子量分布(Mw/Mn)の小さい水酸基末端重合体が得られることから、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体等の複合金属シアン化物錯体触媒を用いた重合方法が好ましい。
水酸基を有する開始剤としては特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、低分子量のポリオキシプロピレングリコール、低分子量のポリオキシプロピレントリオール、ブタノール、アリルアルコール、低分子量のポリオキシプロピレンモノアリルエーテル、低分子量のポリオキシプロピレンモノアルキルエーテルなどが挙げられる。このうち、1分子中に3個又はそれ以上の水酸基を有する開始剤を使用することによって、分岐鎖状の重合体骨格を有するポリオキシアルキレン系重合体を形成することができる。
前記エポキシ化合物としては特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド類、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類等が挙げられる。好ましくはプロピレンオキサイドである。
(アルカリ金属塩との反応)
末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体(P)に対し炭素-炭素不飽和結合を導入するにあたっては、まず、ポリオキシアルキレン系重合体(P)に対しアルカリ金属塩を作用させて末端の水酸基をメタルオキシ基に変換することが好ましい。また、アルカリ金属塩の代わりに、複合金属シアン化物錯体触媒を用いることもできる。以上によって、メタルオキシ基末端ポリオキシアルキレン系重合体(D)が形成される。
前記アルカリ金属塩としては特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、水酸化リチウム、リチウムアルコキシド、水酸化セシウム、セシウムアルコキシド等が挙げられる。アルカリ金属塩は溶剤に溶解した状態で反応に供してもよい。
(求電子剤(E)との反応)
次いで、メタルオキシ基末端ポリオキシアルキレン系重合体(D)に対し、炭素-炭素不飽和結合を有する求電子剤(E)を作用させることで、メタルオキシ基を、炭素-炭素不飽和結合を含む構造に変換することができる。これにより、末端構造中に炭素-炭素不飽和結合を有するポリオキシアルキレン系重合体(F)が形成される。
炭素-炭素不飽和結合を有する求電子剤(E)としては、ポリオキシアルキレン系重合体(D)が有する前記メタルオキシ基と反応し、ポリオキシアルキレン系重合体に炭素-炭素不飽和結合を導入できる化合物であれば特に限定されないが、例えば、炭素-炭素不飽和結合を有する有機ハロゲン化物(E1)や、炭素-炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物(E2)等が挙げられる。
前記炭素-炭素不飽和結合を有する有機ハロゲン化物(E1)は、ハロゲンの置換反応によって前記メタルオキシ基と反応してエーテル結合を形成して、ポリオキシアルキレン系重合体の末端構造として炭素-炭素不飽和結合を含む構造を導入することができる。
炭素-炭素不飽和結合を有する有機ハロゲン化物(E1)は、炭素-炭素二重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物であることが好ましい。当該化合物を反応させて得られたポリオキシアルキレン系重合体(G)は、重合体骨格の末端に、炭素-炭素二重結合を有する。前記炭素-炭素二重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物は、限定されるものではないが、下記一般式(7)で表すことができる。
Z-R-C(R)=CH (7)
式(7)中、R及びRは、それぞれ、一般式(2)について上述したR及びRと同じ基である。Zは、ハロゲン原子を表す。当該有機ハロゲン化物(E1)を反応させて得られた、末端構造中に炭素-炭素不飽和結合を有するポリオキシアルキレン系重合体(F)に対して、後に説明する反応性シリル基の導入を行うと、前記一般式(2)で表される末端構造が形成され得る。
前記炭素-炭素二重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物の具体例としては、特に限定されないが、塩化ビニル、塩化アリル、塩化メタリル、臭化ビニル、臭化アリル、臭化メタリル、ヨウ化ビニル、ヨウ化アリル、ヨウ化メタリル等が挙げられる。取り扱いの容易さから、塩化アリル、塩化メタリルが好ましい。また、重合体骨格の末端の数に対する反応性シリル基の数の平均比率が向上することから、塩化メタリル、臭化メタリル、ヨウ化メタリルが好ましい。
前記炭素-炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物(E2)は、エポキシ基の開環付加反応によって前記メタルオキシ基と反応してエーテル結合を形成して、ポリオキシアルキレン系重合体の末端構造として炭素-炭素不飽和結合と水酸基を含む構造を導入することができる。前記開環付加反応においては、前記メタルオキシ基に対するエポキシ化合物(E2)の使用量や反応条件を調節することで、1つのメタルオキシ基に対して、単数又は複数のエポキシ化合物(E2)を付加させることができる。
前記炭素-炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物(E2)は、限定されるものではないが、炭素-炭素二重結合を有するエポキシ化合物が好ましく、下記一般式(8)で表すことができる。
Figure 2022132810000002
式(8)中、R及びRは、それぞれ、一般式(3)について上述したR及びRと同じ基である。
炭素-炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物(E2)の具体例としては、特に限定されないが、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ブタジエンモノオキシドが反応活性の点から好ましく、アリルグリシジルエーテルが特に好ましい。
以上の通りメタルオキシ基末端ポリオキシアルキレン系重合体(D)に対し炭素-炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物(E2)を作用させると、エポキシ基の開環によって新たにメタルオキシ基が生成する。そのため、該エポキシ化合物(E2)を作用させた後、連続的に、炭素-炭素不飽和結合を有する有機ハロゲン化物(E1)を作用させることもできる。この方法は、重合体への炭素-炭素不飽和結合の導入量、および反応性シリル基の導入量をより高めることができるため好ましい。エポキシ化合物(E2)と有機ハロゲン化物(E1)を併用する方法により得られた、末端構造中に炭素-炭素不飽和結合を有するポリオキシアルキレン系重合体(F)に対して、次に説明する反応性シリル基の導入を行うと、前記一般式(3)で表される末端構造が形成され得る。
(反応性シリル基の導入)
以上によって得られた末端構造中に炭素-炭素不飽和結合を有するポリオキシアルキレン系重合体(F)(前駆重合体)に対し、反応性シリル基を有するヒドロシラン化合物(G)をヒドロシリル化反応させることで、重合体に反応性シリル基を導入することができる。これにより、反応性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(A)が製造され得る。ヒドロシリル化反応には、簡便に実施できることに加え、反応性シリル基の導入量の調整が容易であり、また、得られる重合体の物性が安定している利点がある。
前記反応性シリル基を有するヒドロシラン化合物(G)の具体例としては、トリクロロシラン、ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシラン、ジクロロフェニルシラン、(クロロメチル)ジクロロシラン、(ジクロロメチル)ジクロロシラン、ビス(クロロメチル)クロロシラン、(メトキシメチル)ジクロロシラン、(ジメトキシメチル)ジクロロシラン、ビス(メトキシメチル)クロロシランなどのハロシラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシフェニルシラン、エチルジメトキシシラン、メトキシジメチルシラン、エトキシジメチルシラン、(クロロメチル)メチルメトキシシラン、(クロロメチル)ジメトキシシラン、(クロロメチル)ジエトキシシラン、ビス(クロロメチル)メトキシシラン、(メトキシメチル)メチルメトキシシラン、(メトキシメチル)ジメトキシシラン、ビス(メトキシメチル)メトキシシラン、(メトキシメチル)ジエトキシシラン、(エトキシメチル)ジエトキシシラン、(3,3,3-トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、(N,N-ジエチルアミノメチル)ジメトキシシラン、(N,N-ジエチルアミノメチル)ジエトキシシラン、[(クロロメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(クロロメチル)ジエトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(メトキシメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(メトキシメチル)ジエトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(3,3,3-トリフルオロプロピル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン等のアルコキシシラン類;ジアセトキシメチルシラン、ジアセトキシフェニルシラン等のアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランなどのケトキシメートシラン類、トリイソプロペニロキシシラン、(クロロメチル)ジイソプロペニロキシシラン、(メトキシメチル)ジイソプロペニロキシシラン等のイソプロペニロキシシラン類(脱アセトン型)等が挙げられる。
ヒドロシリル化反応は、反応促進のため、ヒドロシリル化触媒の存在下で実施することが好ましい。ヒドロシリル化触媒としては、コバルト、ニッケル、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等の金属や、その錯体等が知られており、これらを用いることができる。具体的には、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金を担持させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコールやアルデヒドやケトン等とからなる塩化白金酸錯体;白金-オレフィン錯体[例えばPt(CH=CH(PPh)、Pt(CH=CHCl];白金-ビニルシロキサン錯体[例えばPt{(vinyl)MeSiOSiMe(vinyl)}、Pt{Me(vinyl)SiO}];白金-ホスフィン錯体[例えばPh(PPh、Pt(PBu];白金-ホスファイト錯体[例えばPt{P(OPh)]等が挙げられる。反応効率の点から、塩化白金酸、白金ビニルシロキサン錯体等の白金触媒が好ましい。
<<ポリシルセスキオキサン系重合体(B)>>
ポリシルセスキオキサン系重合体とは、組成式が(RSiO1.5で表されるシロキサン系の重合体であり、少なくともオルガノトリアルコキシシランを含むアルコキシシラン成分の加水分解縮合物である。本開示におけるポリシルセスキオキサン系重合体(B)は、ケイ素原子に結合した炭素数1~10のアルキル基と、ケイ素原子に結合した炭素数6~12のアリール基の双方を有するものである。これにより、ポリオキシアルキレン系重合体(A)とポリシルセスキオキサン系重合体(B)の相溶性を向上させると共に、両重合体の硬化速度を近づけて共縮合性を向上させ、高い強度を示す硬化物を形成することが可能になる。
前記炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。前記アルキル基の炭素数は、1~4が好ましく、1~3がより好ましく、1~2がさらに好ましく、1が特に好ましい。前記アルキル基は、置換基を持たないものであっても良いし、ハロゲン原子やアルコキシ基、アシル基等のヘテロ含有基を置換基として有するものであっても良い。前記アルキル基は1種類のみであってもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記炭素数6~12のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。前記アリール基の炭素数は、6~10が好ましく、6~8がより好ましく、6~7がさらに好ましく、6が特に好ましい。前記アリール基は、置換基を持たないものであっても良いし、ハロゲン原子やアルコキシ基、アシル基等のヘテロ含有基を置換基として有するものであっても良い。前記アリール基は1種類のみであってもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリシルセスキオキサン系重合体(B)がケイ素原子上に有する前記アルキル基と前記アリール基のモル比(アルキル基:アリール基)は、前記硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物の強度の観点から、10:90~90:10であることが好ましく、20:80~80:20がより好ましく、30:70~70:30がさらに好ましい。
前記ポリシルセスキオキサン系重合体(B)は、更に、アルコキシシリル基及び/又はシラノール基を有するものである。これらアルコキシシリル基及び/又はシラノール基を有することで、ポリシルセスキオキサン系重合体(B)は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)と共に、加水分解及び脱水縮合反応による硬化性を示すことができる。
前記ポリシルセスキオキサン系重合体(B)が有し得るアルコキシシリル基は、原料たるオルガノトリアルコキシシランに含まれていた一部のアルコキシ基がポリシルセスキオキサン系重合体(B)の製造時に未反応で残留したものである。当該アルコキシシリル基は、例えば、炭素数1~3のアルコキシシリル基であってよい。具体的には、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基が挙げられ、メトキシシリル基、エトキシシリル基が好ましく、メトキシシリル基がより好ましい。前記アルコキシシリル基は1種類のみであってもよいし、2種以上が混在していてもよい。
前記ポリシルセスキオキサン系重合体が有し得るシラノール基(-SiOH)は、原料たるオルガノトリアルコキシシランに含まれていた一部のアルコキシ基がポリシルセスキオキサン系重合体(B)の製造時に加水分解反応を受けた後、脱水縮合反応は進行せず、即ちシロキサン結合を形成せずに残留したものである。
前記ポリシルセスキオキサン系重合体(B)の原料として用いる前記オルガノトリアルコキシシランとは、ケイ素原子に結合した1個の有機基と、ケイ素原子に結合した3個のアルコキシ基を有するシラン化合物を指し、式:RSi(OR’)で表される。式中、Rが前記有機基を表し、OR’がアルコキシ基を表す。前記有機基とは、アルコキシ基以外の有機基を指し、少なくとも、前述した炭素数1~10のアルキル基と、前述した炭素数6~12のアリール基の双方を含む。
ケイ素原子に結合した前記アルコキシ基:OR’は、ポリシルセスキオキサン系重合体(B)が有し得るアルコキシシリル基中のアルコキシ基と同一の基であり、具体的には、炭素数1~3のアルコキシ基であってよい。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。前記アルコキシ基は1種類のみであってもよいし、2種以上が混在していてもよい。
前記オルガノトリアルコキシシランとしては、少なくとも、有機基がアルキル基であるオルガノトリアルコキシシランと、有機基がアリール基であるオルガノトリアルコキシシランの双方を用いる。
前記有機基がアルキル基であるオルガノトリアルコキシシランの具体例としては特に限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリイソプロポキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリイソプロポキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、メチルトリアルコキシランが好ましく、メチルトリメトキシシランが特に好ましい。
前記有機基がアリール基であるオルガノトリアルコキシシランの具体例としては特に限定されないが、例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、トリルトリプロポキシシラン、キシリルトリメトキシシラン、キシリルトリエトキシシラン、キシリルトリプロポキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、ナフチルトリプロポキシシラン等が挙げられる。なかでも、フェニルトリアルコキシランが好ましく、フェニルトリメトキシシランが特に好ましい。
前記アルコキシシラン成分中、有機基がアルキル基であるオルガノトリアルコキシシランと、有機基がアリール基であるオルガノトリアルコキシシランのモル比(アルキル基:アリール基)は、前記硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物の強度の観点から、10:90~90:10であることが好ましく、20:80~80:20がより好ましく、30:70~70:30がさらに好ましい。
前記アルコキシシラン成分において、有機基がアルキル基であるオルガノトリアルコキシシランと有機基がアリール基であるオルガノトリアルコキシシランの合計が占める割合は、ポリシルセスキオキサン系重合体(B)が示す物性の観点から、80~100モル%が好ましく、90~100モル%がより好ましく、95~100モル%がさらに好ましく、99~100モル%が特に好ましい。有機基がアルキル基であるオルガノトリアルコキシシランと有機基がアリール基であるオルガノトリアルコキシシラン以外のアルコキシシランとしては、有機基が前記アルキル基と前記アリール基のいずれにも該当しないオルガノトリアルコキシシランや、ジオルガノジアルコキシシラン、トリオルガノモノアルコキシシラン、テトラアルコキシシランが挙げられる。
ポリシルセスキオキサン系重合体(B)の数平均分子量は、400~10,000であることが好ましく、500~5,000がより好ましい。ポリシルセスキオキサン系重合体(B)の数平均分子量は、GPCによって測定することができる。
ポリシルセスキオキサン系重合体(B)の製造は、前記オルガノトリアルコキシシランを含むアルコキシシラン成分を、水と、必要に応じて縮合触媒の存在下で、加水分解及び脱水縮合反応させることによって実現できる。当該反応時に、前記アルコキシシラン成分に含まれていた一部のアルコキシ基が未反応で残留し、及び/又は、該アルコキシ基が加水分解反応を受けた後、脱水縮合反応は進行せずに残留することで、製造されたポリシルセスキオキサン系重合体は、アルコキシシリル基及び/又はシラノール基を有することになる。
前記加水分解及び脱水縮合反応は水を添加して実施することが好ましい。この時、水の使用量を調節することによって、得られるポリシルセスキオキサン系重合体が有するアルコキシシリル基及び/又はシラノール基の量や、該ポリシルセスキオキサン系重合体の分子量を制御することができる。この観点から、水の使用量は、アルコキシシラン成分に含まれるケイ素原子上のアルコキシ基の合計モル数100%に対して、30モル%以上50モル%以下であることが好ましく、32モル%以上49モル%以下がより好ましく、35モル%以上45モル%以下がさらに好ましい。
前記加水分解及び脱水縮合反応は、反応促進のため、縮合触媒の存在下で行うことが好ましい。縮合触媒としては公知のものを使用することができる。具体的には、塩基性触媒、酸性触媒、中性塩等が挙げられる。得られるポリシルセスキオキサン系重合体の貯蔵安定性が向上するため、縮合触媒としては、酸性触媒、中性塩が好ましく、中性塩がより好ましい。
酸性触媒としては、アルコキシシラン成分との相溶性から、有機酸が好ましく、リン酸エステルやカルボン酸がより好ましい。有機酸の具体例としては、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルピロホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ギ酸、酢酸、酪酸、イソ酪酸等が挙げられる。
塩基性触媒としては、例えば、N-エチルモルホリン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-n-ブチルジエタノールアミン、N-t-ブチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、n-ブチルアミン、ヘキシルアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン、アンモニア等のアミン系化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物等が挙げられる。
中性塩とは、強酸と強塩基からなる正塩のことであり、例えば、カチオンとして第一族元素イオン、第二族元素イオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、グアニジウムイオンよりなる群から選ばれるいずれかと、アニオンとしてフッ化物イオンを除く第十七族元素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオンよりなる群から選ばれるいずれかとの組合せからなる塩のことである。特に、アニオンとしては、求核性が高いため、第十七族元素イオンが好ましく、カチオンとしては、求核作用を阻害しないように、嵩高くないイオンとして、第一族元素イオン、第二族元素イオンが好ましい。
中性塩の具体的な化合物は特に限定されないが、好ましい具体例として、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ラビジウム、塩化セシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ラビジウム、臭化セシウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化ストロンチウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ラビジウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化ストロンチウム等が挙げられる。
縮合触媒の添加量は適宜調節できるが、例えば、アルコキシシラン成分に対して50ppm~3重量%程度であってよい。しかし、ポリシルセスキオキサン系重合体(B)の安定性を向上させるため、縮合触媒による反応時間短縮の効果が達成される範囲内で、縮合触媒の使用量は少ないほど好適である。
前記加水分解及び脱水縮合工程を実施する際の反応温度は当業者が適宜設定できるが、例えば反応液を50~110℃の範囲に加熱することが好ましい。また、前記加水分解及び脱水縮合工程を実施する際の反応時間は、当業者が適宜設定できるが、例えば10分間~12時間程度であってよい。
本開示に係る硬化性樹脂組成物中のポリシルセスキオキサン系重合体(B)の含有量は、該組成物の硬化性や、得られる硬化物の強度などを考慮して適宜決定することができるが、ポリオキシアルキレン系重合体(A)とポリシルセスキオキサン系重合体(B)の合計のうちポリシルセスキオキサン系重合体(B)の割合が1~60重量%となる量が好ましく、5~50重量%がより好ましく、10~45重量%がより更に好ましく、15~40重量%が特に好ましい。
ポリシルセスキオキサン系重合体(B)を製造した後において、その製造時にアルコキシシラン成分の加水分解によって発生したアルコールを除去する工程を実施してもよい。この工程は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)と、前記アルコールを含むポリシルセスキオキサン系重合体(B)を混合した後に、実施することが好ましい。これによって、ポリオキシアルキレン系重合体(A)とポリシルセスキオキサン系重合体(B)を均一に混合しながら、アルコール等の揮発成分の含有量を低減した混合物を得ることができる。当該アルコールの除去工程は、混合液を減圧蒸留に付してアルコールを留去することで実施できる。減圧蒸留の条件は当業者が適宜設定することが可能であるが、温度は、例えば、60~160℃程度であってよい。
<<硬化触媒>>
本開示に係る硬化性樹脂組成物は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)及びポリシルセスキオキサン系重合体(B)が有する反応性シリル基を加水分解・脱水縮合させる反応、即ち硬化反応を促進する目的で、硬化触媒を含有することが好ましい。
硬化触媒としては、従来公知のものを使用することができ、具体的には、有機錫化合物、カルボン酸金属塩、アミン化合物、カルボン酸、アルコキシ金属、無機酸等を使用することができる。
有機錫化合物の具体例としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクタノエート、ジブチル錫ビス(ブチルマレエート)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ビス(エチルマレエート)、ジオクチル錫ビス(オクチルマレエート)、ジオクチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジオクチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物などが挙げられる。近年の環境への関心の高まりから、ジオクチル錫化合物が好ましい。
カルボン酸金属塩の具体例としては、カルボン酸錫、カルボン酸ビスマス、カルボン酸チタン、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸鉄、カルボン酸カリウム、カルボン酸セシウムなどが挙げられる。カルボン酸基としては下記のカルボン酸と各種金属を組み合わせることができる。
アミン化合物の具体例としては、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、などのアミン類;ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン-5(DBN)、などの含窒素複素環式化合物;グアニジン、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジンなどのグアニジン類;ブチルビグアニド、1-o-トリルビグアニドや1-フェニルビグアニドなどのビグアニド類;アミノ基含有シランカップリング剤;ケチミン化合物などが挙げられる。
カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ネオデカン酸、バーサチック酸などが挙げられる。
アルコキシ金属の具体例としては、テトラブチルチタネートチタンテトラキス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトセテート)などのチタン化合物や、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどのアルミニウム化合物類、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)などのジルコニウム化合物類が挙げられる。
その他の硬化触媒として、フッ素アニオン含有化合物、光酸発生剤や光塩基発生剤も使用できる。
硬化触媒は、異なる2種類以上の触媒を併用してもよく、例えば、前記のアミン化合物とカルボン酸や、アミン化合物とアルコキシ金属を併用することで、反応性が向上する効果が得られる可能性がある。
硬化触媒の配合量としては、硬化反応速度の向上と硬化時の作業性を両立する観点から、ポリオキシアルキレン系重合体(A)とポリシルセスキオキサン系重合体(B)の合計100重量部に対して、0.01~20重量部が好ましく、0.1~15重量部がより好ましく、0.1~10重量部が特に好ましい。
<<硬化性樹脂組成物>>
本開示に係る硬化性樹脂組成物は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)、ポリシルセスキオキサン系重合体(B)、及び、硬化触媒以外に、必要に応じて、種々の添加剤を含んでよい。当該添加剤としては、充填剤、接着性付与剤、可塑剤、タレ防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、物性調整剤、エポキシ基を含有する化合物、光硬化性物質、酸素硬化性物質、および、ポリオキシアルキレン系重合体(A)以外の有機樹脂などが挙げられる。
また、硬化性樹脂組成物または硬化物の諸物性の調整を目的として、硬化性樹脂組成物には、必要に応じて上記以外の他の添加剤が添加されてもよい。このような他の添加剤の例としては、例えば、粘着付与樹脂、溶剤、希釈剤、エポキシ樹脂、表面性改良剤、発泡剤、硬化性調整剤、難燃剤、シリケート、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、防かび剤などが挙げられる。
前記硬化性樹脂組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することが可能である。1成分型の硬化性樹脂組成物は水を実質的に含有しないことが好ましく、水の含有量は5重量%以下であることが好ましく、1重量%以下がより好ましい。また、硬化剤として、硬化触媒、充填材、可塑剤、および水などの成分を配合しておき、該硬化剤と、ポリオキシアルキレン系重合体(A)及びポリシルセスキオキサン系重合体(B)を含む主剤を使用前に混合する2成分型として調製することもできる。2成分型の主剤は水を実質的に含有しないことが好ましく、水の含有量は5重量%以下であることが好ましく、1重量%以下がより好ましい。作業性の点からは、1成分型が好ましい。
前記硬化性樹脂組成物は、硬化に先だって、塗布、注型、または充填などの方法によって、所望の形状に整えられる。塗布、注型、または充填され、形状を整えられた前記硬化性樹脂組成物は、常温で硬化させることができ、また、加熱下で硬化させることもできる。加熱硬化条件は特に限定されないが、温度60~220℃、時間1~120分であることが好ましく、温度100~200℃、時間5~60分がより好ましい。
本開示に係る硬化性樹脂組成物は、接着剤、粘着剤、建造物・船舶・自動車・バス・道路・家電製品などにおけるシーリング施工用のシーリング材、型取剤、塗料、吹付剤などに使用できる。また、前記硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、防水材、塗膜防水材、防振材、制振材、防音材、発泡材料などとして好適に使用される。
以下に実施例を掲げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例中の数平均分子量は以下の条件で測定したGPC分子量である。
送液システム:東ソー製HLC-8120GPC
カラム:東ソー製TSK-GEL Hタイプ
溶媒:THF
分子量:ポリスチレン換算
測定温度:40℃
実施例中の末端基換算分子量は、水酸基価をJIS K 1557の測定方法により、ヨウ素価をJIS K 0070の測定方法により求め、有機重合体の構造(使用した重合開始剤によって定まる分岐度)を考慮して求めた分子量である。
実施例に示す重合体(A)の末端1個あたりへのシリル基の平均導入数はNMR測定により算出した。
(合成例1)
数平均分子量が約4,500のポリオキシプロピレントリオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、末端に水酸基を有する数平均分子量24,600(末端基換算分子量17,400)、分子量分布Mw/Mn=1.31のポリオキシプロピレン(P-1)を得た。
得られた水酸基末端ポリオキシプロピレン(P-1)の水酸基に対して1.2モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P-1)の水酸基に対して、さらに1.5モル当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除去した。得られた未精製のポリオキシプロピレンをn-ヘキサンと水を混合攪拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレン(Q-1)を得た。
この重合体(Q-1)500gに対して白金ジビニルジシロキサン錯体溶液(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50μlを加え、撹拌しながら、ジメトキシメチルシラン6.4gをゆっくりと滴下した。100℃で2時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下留去する事により、末端にジメトキシメチルシリル基を有する数平均分子量26,200のポリオキシプロピレン(A-1)を得た。重合体(A-1)はジメトキシメチルシリル基を1つの末端に平均0.7個、1分子中に平均2.2個有することが分かった。重合体(A-1)は重合体骨格に分岐構造を持つ重合体である。
(合成例2)
合成例1で得られた重合体(Q-1)500gに対して白金ジビニルジシロキサン錯体溶液(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50μlを加え、撹拌しながら、トリメトキシシラン6.9gをゆっくりと滴下した。100℃で2時間反応させた後、未反応のトリメトキシシランを減圧下留去する事により、末端にトリメトキシシリル基を有する数平均分子量26,200のポリオキシプロピレン(A-2)を得た。重合体(A-2)はトリメトキシシリル基を1つの末端に平均0.7個、1分子中に平均2.0個有することが分かった。重合体(A-2)は重合体骨格に分岐構造を持つ重合体である。
(合成例3)
数平均分子量が約4,500のポリオキシプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、両末端に水酸基を有する数平均分子量27,900(末端基換算分子量17700)、分子量分布Mw/Mn=1.21のポリオキシプロピレン(P-3)を得た。
続いてこの水酸基末端ポリオキシプロピレン(P-3)の水酸基に対して1.0モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P-3)の水酸基に対して、1.0モル当量のアリルグリシジルエーテルを添加して130℃で2時間反応を行った。その後、0.28モル当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加してメタノールを除去し、さらに1.79モル当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。得られた未精製のポリオキシプロピレンをn-ヘキサンと水を混合攪拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端に複数の炭素-炭素不飽和結合を有するポリオキシプロピレン(Q-3)を得た。重合体(Q-3)は1つの末端に炭素-炭素不飽和結合が平均2.0個導入されていることが分かった。
得られた(Q-3)500gに対し白金ジビニルジシロキサン錯体溶液(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50μlを加え、撹拌しながらジメトキシメチルシラン9.6gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を100℃で2時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下留去する事により、末端に複数のジメトキシメチルシリル基を有する数平均分子量28,500のポリオキシプロピレン(A-3)を得た。重合体(A-3)はジメトキシメチルシリル基を1つの末端に平均1.7個、一分子中に平均3.4個有することが分かった。重合体(A-3)は、前記一般式(3)で表される末端構造を有し、末端構造中に分岐構造を持つ重合体である。
(合成例4)
合成例3で得られた水酸基末端ポリオキシプロピレン(P-3)の水酸基に対して1.2モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P-3)の水酸基に対して、さらに1.5モル当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換し、未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除去した。得られた未精製のポリオキシプロピレンをn-ヘキサンと水を混合攪拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレン(Q-4)を得た。
この重合体(Q-4)500gに対して白金ジビニルジシロキサン錯体溶液(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50μlを加え、撹拌しながら、ジメトキシメチルシラン3.8gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を100℃で2時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下留去する事により、末端にジメトキシメチルシリル基を有する数平均分子量約28,500のポリオキシプロピレン(A-4)を得た。重合体(A-4)はジメトキシメチルシリル基を1つの末端に平均0.6個、1分子中に平均1.2個有することが分かった。重合体(A-4)は分岐構造を持たない重合体である。
(合成例5)
室温でフェニルトリメトキシシラン297.5g、メチルトリメトキシシラン392.3g、水94.3g、及び、10%LiBr水溶液0.4gを加えた後、加温し、メタノールの還流下6時間反応させて、メトキシシリル基及び/又はシラノール基を有し、更に、ケイ素原子上にフェニル基とメチル基を有する、数平均分子量900のポリシルセスキオキサン系重合体(B-1)のメタノール溶液を得た。
合成例1~4で得られた各重合体(A-1)~(A-4)と前記メタノール溶液を、表1に示すように各重合体(A-1)~(A-4):(B-1)の固形分比(重量比)が70:30となるように混合し、140℃でメタノールを留去してポリマー混合物(AB-1)~(AB-4)を得た。
Figure 2022132810000003
(実施例1~3及び比較例1~5)
表2に示すようにポリマー混合物(AB-1)~(AB-4)又はポリオキシプロピレン(A-1)~(A-4)100重量部、表面処理膠質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名:白艶華CCR)50重量部を混合して充分混練した後、小型3本ペイントロールに3回通した。この後、120℃で2時間減圧脱水を実施し、50℃以下に冷却後、ビニルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、商品名:Silquest A-171)3重量部、接着性付与剤としてγ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、商品名:Silquest A-1120)2重量部、及び、硬化触媒としてジブチル錫ビスアセチルアセトネート(日東化成工業(株)製、商品名:ネオスタンU-220H)0.2重量部、又はオクチル酸スズ(II)(日東化成工業(株)製、商品名:ネオスタンU-28)1.5重量部とラウリルアミン(和光純薬工業(株)製)0.25重量部を加えて混練し、硬化性組成物を得た。
(引張物性)
各硬化性組成物を厚さ3mmのシート状試験体にして23℃、50%RH条件に3日間、さらに50℃乾燥機に4日間入れることで完全に硬化させた。3号ダンベル型に打ち抜いた後、島津製作所(株)製オートグラフを用いて引張速度200mm/分で引張試験を行い、破断強度(TB)を測定した。「(B)成分による破断強度の増加率」は、ポリマー混合物(AB-1)~(AB-4)を用いた実施例1~3及び比較例1の破断強度を、それぞれ対応する重合体(A-1)~(A-4)を用いた比較例2~5の破断強度で割った数値を100倍することで算出した。
Figure 2022132810000004
表2から、分岐構造を有するポリオキシプロピレンと、ポリシルセスキオキサン系重合体を含む実施例1~3では、硬化物の破断強度の数値が大きくなっており、同じポリオキシプロピレンを含むがポリシルセスキオキサン系重合体を含まない比較例2~4を基準とした破断強度の増加率が高いことが分かる。一方、分岐構造を持たないポリオキシプロピレンとポリシルセスキオキサン系重合体を含む比較例1では、ポリシルセスキオキサン系重合体を含まない比較例5と比較して破断強度の数値が小さくなっていることが分かる。

Claims (10)

  1. 反応性シリル基を有し、かつ分岐構造を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)、及び、
    アルコキシシリル基及び/又はシラノール基を有し、更に、ケイ素原子上に炭素数1~10のアルキル基と炭素数6~12のアリール基を有するポリシルセスキオキサン系重合体(B)、を含有する、硬化性樹脂組成物。
  2. ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、重合体骨格に前記分岐構造を有する、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、末端構造中に前記分岐構造を有する、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、一般式(3)で表される末端構造を有する、請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 2022132810000005
    (式中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、ヘテロ含有基を有してもよい。Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基を表す。aは1、2、または3である。Rは、直接結合または炭素数1~4の2価の炭化水素基を表し、Rは、水素または炭素数1~6のアルキル基を表す。Rは、直接結合または炭素数1~6の2価の結合基を表す。Rは、水素または炭素数1~10の炭化水素基を表す。nは1から10の整数である。)
  5. ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、前記反応性シリル基を1分子あたり平均して2.0個以上有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. ポリオキシアルキレン系重合体(A)とポリシルセスキオキサン系重合体(B)の合計のうちポリシルセスキオキサン系重合体(B)の割合が1~60重量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. ポリシルセスキオキサン系重合体(B)における前記アルキル基と前記アリール基のモル比(前記アルキル基:前記アリール基)が、10:90~90:10である、請求項1~6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を含有するシーリング材。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を含有する接着剤。
  10. 請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
JP2021031485A 2021-03-01 2021-03-01 硬化性樹脂組成物及びその硬化物 Pending JP2022132810A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021031485A JP2022132810A (ja) 2021-03-01 2021-03-01 硬化性樹脂組成物及びその硬化物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021031485A JP2022132810A (ja) 2021-03-01 2021-03-01 硬化性樹脂組成物及びその硬化物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022132810A true JP2022132810A (ja) 2022-09-13

Family

ID=83229398

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021031485A Pending JP2022132810A (ja) 2021-03-01 2021-03-01 硬化性樹脂組成物及びその硬化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022132810A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2392600B1 (en) Polymer having a reactive silicon-containing group, methods for its preparation and a curable composition comprising the polymer
JP7249998B2 (ja) 反応性ケイ素基含有重合体、および硬化性組成物
WO2015111577A1 (ja) 硬化性組成物
KR20180135943A (ko) 말단 실란올기 함유 폴리옥시알킬렌계 화합물 및 그 제조 방법, 실온 경화성 조성물, 실링재, 및 물품
KR102138758B1 (ko) 산 무수물기 함유 오르가노실록산 및 그의 제조 방법
JP7285247B2 (ja) 反応性ケイ素基含有重合体、および硬化性組成物
JP2019182885A (ja) 硬化性組成物
JP2024009271A (ja) ポリオキシアルキレン系重合体及び硬化性組成物
JP2022132810A (ja) 硬化性樹脂組成物及びその硬化物
JPH06212077A (ja) 室温硬化性組成物
WO2021200342A1 (ja) ポリオキシアルキレン系重合体の混合物及び硬化性組成物
JP2023173087A (ja) 硬化性組成物及びその硬化物
JP2021075722A (ja) 硬化性組成物
JP2021055013A (ja) 反応性ケイ素基含有重合体及び硬化性組成物
WO2020114771A1 (en) Curable composition comprising polysiloxane polyalkyleneglycol brush copolymers
JP7469875B2 (ja) 硬化性組成物及びその硬化物
WO2021261383A1 (ja) 加熱硬化型の硬化性組成物及びその硬化物
JP7461338B2 (ja) 硬化性組成物、及び硬化物
WO2021162049A1 (ja) 加熱硬化性組成物及びその硬化物
JP2022132809A (ja) 硬化性樹脂組成物及びその硬化物
WO2023162782A1 (ja) 硬化性樹脂組成物の製造方法
JP2021055011A (ja) 硬化性組成物
JP2023066740A (ja) 硬化性組成物
CN117616084A (zh) 多剂型固化性组合物
JP2021055010A (ja) 硬化性組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240110