JP2022130226A - 積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法 - Google Patents

積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエステルフィルムの表面に機能層を備える積層ポリエステルフィルムから、機能層を除去する積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法を提案することを課題とする。【解決手段】ポリエステルフィルムの表面に機能層を備える積層ポリエステルフィルムFから、搬送式研磨機11で機能層を除去する研磨工程を備える、積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。【選択図】図1

Description

本発明は、積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法に関する。
従来、廃プラスチックは、埋め立て、海洋投棄、焼却等の処理がなされていたが、埋め立て場所の確保が困難になりつつあり、海洋投棄はプラスチックが分解しないために環境面で問題になっている。また、焼却によって熱として利用することはできるが、炭酸ガスの排出により、地球温暖化につながるという問題がある。
そこで、昨今の環境問題の高まりから、廃プラスチックの再利用、再生等のリサイクルが必要とされており、そのための研究開発が盛んに行われている。また、プラスチックはその多くが化石燃料により生産されており、資源の有効利用の点からも、リサイクル方法の構築が求められている。
ところで、プラスチックフィルムの一種であるポリエステルフィルムは、基材フィルムとして有用であり、片面又は両面に種々の機能層が積層された、積層ポリエステルフィルムとして使用されることが多い。機能層としては、ハードコート層、粘接着層、離型層、加飾層、遮光層、紫外線遮蔽層、易接着層など、様々な機能層があり、機能層に応じた材料をポリエステルフィルムに積層した積層ポリエステルフィルムが使用されている。
このような積層ポリエステルフィルムは、使用後にほとんど再利用されておらず、廃棄、焼却等がなされている。
機能層が積層された積層ポリエステルフィルムをそのまま再溶融してリサイクルしようとしても、機能層を構成する材料が溶融ポリマー中に混入するため、押し出し時に異臭を発生したり、ポリマーの溶融粘度が低下したりしてフィルム製膜時の破断の原因となる。
また、仮に製膜できたとしても得られたフィルムの着色や、異物混入などによる品質の劣化が避けられない。
積層ポリエステルフィルムのリサイクル方法として、例えば、特許文献1に開示される技術がある。この技術は、基材フィルムの少なくとも片面に易溶解性樹脂層と表面機能層をこの順に積層してなる積層ポリエステルフィルムである。このような構成としたうえで、使用後に、易溶解性樹脂層のみ溶解可能であって、基材フィルムを溶解しない溶媒で洗浄することにより、積層ポリエステルフィルムから基材フィルムを分離回収しようというものである。分離回収したものは再溶融され、基材フィルムを構成していた樹脂組成物を再生することを可能としたものである。
特開2004-169005号公報
特許文献1に開示される方法は、上述のように、基材フィルムの表面に易溶解性樹脂層と表面機能層とをこの順に積層してなる積層ポリエステルフィルムを前提としており、易溶解性樹脂層を溶解させることによって、機能層を除去しようとするものである。
すなわち、易溶解性樹脂層を有さない、大部分の積層ポリエステルフィルムに用いることはできず、汎用性のない技術である。
本発明は、上記実情に鑑みて、易溶解性樹脂層を有さない積層ポリエステルフィルムであっても、機能層を剥離できる積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法を提案することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、搬送式研磨機を用いることで、ポリエステルフィルムの表面に機能層を備える積層ポリエステルフィルムから機能層を容易に除去できることを見出した。本発明は係る知見に基づき完成したものである。すなわち、本発明は、以下の態様を有するものである。
[1]ポリエステルフィルムの表面に機能層を備える積層ポリエステルフィルムから、搬送式研磨機で機能層を除去する研磨工程を備える、積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
[2]前記研磨工程が、湿式方式で行われる、上記[1]に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
[3]前記研磨工程における研磨材が、バフロールである、上記[1]又は[2]に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
[4]前記バフロール自体が横振動する、上記[3]に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
[5]前記バフロールの回転方向が、積層ポリエステルフィルムの搬送方向に対して逆方向である、上記[3]又は[4]に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
[6]前記機能層が、シリコーン離型層である、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
[7]さらに、(a)アルカリ性化剤を含有する洗浄剤で洗浄する洗浄工程を含む、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
[8]前記洗浄剤が、さらに、(b)少なくとも一つの水酸基を有する化合物を含有する、上記[7]に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
[9]前記ポリエステルフィルムに付着した、前記研磨工程で発生した粉塵、及び前記洗浄剤の少なくともいずれかを、洗い流すリンス工程をさらに備える、上記[1]~[8]の少なくともいずれか1つに記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
[10]上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法により再生したポリエステルフィルム原料を少なくとも一部に含むリサイクルポリエステル製品。
[11]上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の機能層除去方法によって、前記機能層を除去したポリエステルフィルムを回収する回収工程と、
前記回収されたポリエステルフィルムを原料としてリサイクルポリエステル製品を製造する製造工程を備える、リサイクルポリエステル製品の製造方法。
[12]ポリエステルフィルムの表面に機能層を備える積層ポリエステルフィルムから、機能層を除去する搬送式研磨機を備えることを特徴とする、積層ポリエステルフィルムの機能層除去装置。
[13](a)アルカリ性化剤を含有する洗浄剤を備え、前記洗浄剤により前記積層ポリエステルフィルムを洗浄する洗浄装置を備える、上記[12]に記載の機能層除去装置。
[14]前記機能層を除去したポリエステルフィルムに付着した粉塵及び洗浄剤の少なくともいずれかを洗い流すリンス装置を備える、上記[12]又は[13]の機能層除去装置。
[15]上記[12]~[14]のいずれか1つに記載の前記機能層除去装置と、前記機能層除去装置によって機能層が除去されたポリエステルフィルムを回収する回収装置と、回収されたポリエステルフィルムを原料として、リサイクルポリエステル製品を製造する製造装置とを備える、リサイクル装置。
本発明の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法によれば、機能層を有する積層ポリエステルフィルムから、機能層を容易に除去することができる。
本発明の機能性層除去装置及びリサイクル装置の一例を示す概念図である。 本発明の機能性層除去装置及びリサイクル装置の他の一例を示す概念図である。
本発明の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法(以下、「本機能層除去方法ともいう。」)は、ポリエステルフィルムの表面に機能層を備える積層ポリエステルフィルムから、搬送式研磨機で機能層を除去する研磨工程を備える。
<積層ポリエステルフィルム>
本発明における積層ポリエステルフィルムとは、基材フィルムであるポリエステルフィルムの表面に樹脂層などの機能層が積層されたものをいう。
ポリエステルフィルムは、単層構造であっても多層構造であってもよい。多層構造の場合、2層構造、3層構造などでもよいし、4層又はそれ以上の多層であってもよく、層数は特に限定されない。また、ポリエステルフィルムは、二軸延伸フィルム等の延伸フィルムであっても未延伸フィルムであってもよい。
ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、特に限定されるものではなく、市場に流通しているものを適宜使用できる。具体的には、ジカルボン酸とジオールを重縮合してなるポリエステルが挙げられ、ジカルボン酸としては芳香族ジカルボン酸が好ましく、ジオールとしては脂肪族グリコールが好ましい。
上記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などが挙げられる。上記脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等を挙げることができる。
ポリエステルはホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。また、ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸、グリコール以外の第3成分を共重合体成分として含んでもよい。
ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン-2,6-ナフタレートなどが挙げられ、これらの中ではポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、これらは、共重合体ポリエステルであってもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートは、ジカルボン酸単位の30モル%以下程度でテレフタル酸以外のジカルボン酸単位を有し、また、ジオール単位の30モル%程度でエチレングリコール以外のジオール単位を有してもよい。
機能層は、その構成成分は特に限定されるものではないが、本機能層除去方法によって除去する観点からは、樹脂により構成されていることが好ましい。機能層としては、例えば、ハードコート層、粘接着層、離型層、加飾層、遮光層、紫外線遮蔽層、易接着層(プライマー層)、帯電防止層、屈折率調整層、オリゴマー封止層などが挙げられる。
ハードコート層は、ポリエステルフィルムに耐擦傷性などを付与するために設けられる層であり、ハードコート層を形成する材料としては、特に限定されないが、例えば、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、テトラエトキシシラン等の反応性ケイ素化合物の硬化物などが挙げられる。
粘接着層は、他の機器等に粘接着させるために設けられる層であり、粘接着層を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、公知のアクリル系、ゴム系、シリコーン系等の粘着樹脂を使用することができる。
離型層は、ポリエステルフィルムに離型性を付与するために設けられる層であり、例えば、セラミック電子部品の製造時に使用するグリーンシート成形用工程紙、偏光板、光学フィルター等のフラットパネルディスプレイ製造時に使用する光学部材の粘着セパレータなどに使用される離型フィルムに設けられる層である。離型層を構成する材料としては、特に制限はなく、例えば、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするもの、あるいはウレタン樹脂、エポキシ樹脂等とのグラフト重合等による変性シリコーン樹脂等、長鎖アルキル基含有化合物、フッ素化合物、炭化水素系ワックス等の各種離型剤が挙げられる。
これらの中では、シリコーン離型層が好ましい。シリコーン離型層は、硬化型シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂などのシリコーン樹脂を離型剤として使用した離型層である。
加飾層は、意匠性を付与するために設けられる層であり、加飾層を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂に顔料、染料等が加えられ装飾がなされる。
遮光層又は紫外線遮蔽層は、内容物を紫外線、可視光等から保護するために設けられる層であり、遮光層又は紫外線遮蔽層を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、加飾層で記載した各種樹脂や、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、珪藻土、硫酸バリウム等の無機充填剤、木粉、パルプ粉等、セルロース粉末等の有機充填剤が挙げられる。
易接着層(プライマー層)は、他の層やフィルムをポリエステルフィルム上に接着させるために設けられる層であり、特に限定されないが、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂等や、各種架橋剤、粒子等が挙げられる。
帯電防止層は、他の材質との接触や剥離などにより発生する帯電を防ぐために設けられる層である。帯電防止層に使用される帯電防止剤としては、特に限定されないが、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、両性界面活性剤、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(4-スチレンサルフォネート)等の導電性高分子、SnO(Sbドープ)、In(Snドープ)、ZnO(Alドープ)等の金属酸化物フィラー、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)などのカーボン化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。また、帯電防止層は、帯電防止剤を含む樹脂組成物から形成されてもよい。樹脂組成物に含有される樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂などが挙げられる。
屈折率調整層は、屈折率を調整するために設けられる層であり、屈折率調整層を構成する材料としては、特に限定されないが、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂、フッ素樹脂、酸化ジルコニウムや酸化チタン等の金属酸化物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
オリゴマー封止層は、加熱工程後のフィルム白化・異物防止のために設けられる層であり、特に限定されないが、例えば、オリゴマー封止層を構成する材料としてはアミン系化合物、イオン性樹脂などが挙げられる。また、オリゴマー封止層は、高架橋塗膜等などであってもよい。
これら機能層は単層でもよいし、2種類以上の層が積層されていてもよい。
2種類以上の層が積層されている場合、少なくとも1層が樹脂により構成されている層であることが好ましい。
<研磨工程>
本発明の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法は、搬送式研磨機で、積層ポリエステルフィルムの表面の機能層を研磨する研磨工程によって、機能層を除去する方法である。
搬送式研磨機は、ベルトコンベヤで移動させ、又は巻き出し装置及び巻き取り装置が設けられ、これらの駆動力によって移動させることなどによって所定の研磨位置に積層ポリエステルフィルムを搬送して、研磨位置にある研磨材で積層ポリエステルフィルムの機能層表面を研磨する機械である。
前記研磨工程は、液体を使用しない乾式方式で行っても、液体を使用する湿式方式で行ってもよいが、研磨による抵抗や熱の発生を抑える観点から、湿式方式であることが好ましい。
また、湿式方式で研磨することによって、研磨工程で多量に発生した粉塵の飛散を防ぐことも可能である。
湿式方式での研磨工程において、使用する液体は水、公知の研磨液、後述の洗浄剤等を使用することができるが、使用した液体を回収、循環、排出させる必要性を考慮すると、水を使用することが好ましい。
使用する液体の温度としては、室温(20℃)以上沸点以下であれば、特に制限はない。
前記研磨工程で用いる研磨材としては、例えば、バフ状、ブラシ状、たわし状、ペーパー状、網目状、櫛状等のものを用いることができ、複数の研磨材を併用してもよい。
また、研磨材は、シリコンカーバイド、アルミナなどの金属粒子といった公知の研磨剤を粘着剤で付着させて砥石状にしたものが好ましく、研磨剤を研磨材に広く付着させる観点から、バフ状の研磨材を用いることが好ましい。
なお、研磨剤には、粗さや細かさを表現する「番手」という数字があり、♯240、♯600、♯1500などと表され、数字が小さいほど粗く、大きいほど細かくなる。本発明においては、番手の制限は特になく、市場に流通しているものを適宜使用できる。
かかる研磨材の形態としては、例えば、ロール状、平面状等が挙げられ、研磨材の材質としては、樹脂製や金属製が挙げられる。
それらの中でも、ロール状の積層ポリエステルフィルムに対する研磨効率を向上させる観点から、樹脂製のロール状のバフ(以下、「バフロール」とも呼ぶ。)が好ましい。積層ポリエステルフィルムに接する位置に、回転するバフロールを配置することで、効率的に研磨することが可能となる。なお、配置するバフロールは1個でもよいし、複数個でもよいが、複数個配置することで機能層除去率を向上させることができる。
研磨工程において、積層ポリエステルフィルムは、搬送されながら研磨材により研磨されるとよい。
前記バフロールを用いる場合、バフロールの回転方向は、積層ポリエステルフィルムの搬送方向に対して正方向及び逆方向のいずれでもよいが、逆方向とすることが好ましい。逆方向とすることで、バフロールの周速度が、積層ポリエステルフィルムの搬送速度に相対的に加わるので、正方向の場合より研磨性が強くなる。
前記バフロールを用いる場合、バフロールの周速度(Va)と積層ポリエステルフィルムの搬送速度(Vb)の速度比(Va/Vb)は、大きければ大きいほど研磨効果が大きくなる。
また、バフロールの周速度(Va)及び積層ポリエステルフィルムの搬送速度(Vb)は、特に限定されないが、通常のバフロールの周速度、樹脂フィルムの搬送速度で搬送されればよい。バフロールの周速度(Va)及び搬送速度(Vb)は、公知のとおり一般的には搬送式研磨機のサイズが大きいほど大きくなる。
前記研磨材は、それ自体が横振動していることが好ましい。横にも振動していることで、研磨効率を向上させ、より効率的に機能層を除去することができる。なお、ここでいう「横振動」とは、積層ポリエステルフィルムの搬送方向に対して垂直な方向の振動である。バフロールの場合には、バフロール自体を横振動させればよく、例えばバフロールの軸を軸方向に沿って振動させるとよい。
本発明に係る搬送式研磨機には、研磨材を積層ポリエステルフィルムへどれだけ近づけたか、つまり研磨材と積層ポリエステルフィルムとの密着性を調整する機能を有していてもよい。
上述の密着性は、押し圧(mm)と呼ばれ、押し圧が小さければ小さいほど積層ポリエステルフィルムとの密着性が低く、押し圧が高いほど積層ポリエステルフィルムとの密着性が高い。
押し圧(mm)は、積層ポリエステルフィルムの搬送を妨げることがなく、かつ、積層ポリエステルフィルムに接すれば、特に制限はないが、押し圧が高いほど機能層の除去率は向上する。
なお、研磨工程を行う回数(以下、「パス回数」と呼ぶ。)は、1回でも複数回でもよい。
研磨工程の具体的な態様は、搬送式研磨機の前段に巻き出し装置を設置しておき、該装置から積層ポリエステルフィルムを巻き出して、搬送式研磨機で表面の機能層を研磨することが好ましい。かかる態様であれば、廃材であるロール状の積層ポリエステルフィルムを効率的に研磨できる。
<洗浄工程>
本機能層除去方法は、前記研磨工程に加えて、さらに、(a)アルカリ性化剤を含有する洗浄剤で積層ポリエステルフィルムを洗浄する洗浄工程を有していてもよい。かかる洗浄工程を有することで、機能層の除去率が向上する。研磨工程だけで機能層が十分に除去できている場合には、洗浄工程は省略できるが、基材フィルムとの密着性が特に高い機能層や、膜厚が厚い機能層に対しては、上記洗浄工程を有することが好ましい。
洗浄工程は、研磨工程の前後のどちらで行ってもよいし、研磨工程と同時に行ってもよいが、研磨工程で用いる搬送式研磨機に、後述する洗浄剤がコンタミするのを避ける目的から、研磨工程の後に洗浄工程を有することが好ましい。なお、研磨工程と同時に行うとは、湿式方式での研磨工程において、使用する液体を本発明に係る洗浄剤とすることである。
(アルカリ性化剤)
本発明に係る洗浄剤を構成する(a)アルカリ性化剤は、洗浄剤をアルカリ性とするものであり、アルカリ剤とも呼べる。アルカリ性化剤としては、無機アルカリ性化剤であっても、有機アルカリ性化剤であってもよいが、後述する(b)少なくとも一つの水酸基を有する化合物、及び(c)相溶化剤との組み合わせが好適である点から、無機アルカリ性化剤であることが好ましい。
無機アルカリ性化剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム等のアルカリ金属のリン酸塩;オルソケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のアルカリ金属のケイ酸塩;アンモニアなどが挙げられる。
本洗浄剤における無機アルカリ性化剤のうち、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、入手容易性から水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましく、洗浄性から水酸化カリウムが特に好ましい。
本洗浄剤における無機アルカリ性化剤としては、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。特に、水酸化カリウムと水酸化ナトリウムを組み合わせて使用することが、効果及び取り扱い性の点から好ましい。
有機アルカリ性化剤としては、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-シクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジエチルアミノ)エタノール、1-アミノ-2-プロパノール、トリイソプロパノールアミン等の有機アミン化合物等が挙げられる。
なお、有機アルカリ性化剤として、少なくとも一つの水酸基を有する化合物が含まれる場合があるが、該化合物の酸性度定数(pKa)が30以上であれば、アルカリ性化剤として取り扱う。
本洗浄剤における有機アルカリ性化剤のうち、汎用性からモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましく、入手容易性からモノエタノールアミン、ジエタノールアミンがより好ましく、洗浄性からモノエタノールアミンが特に好ましい。
また、本洗浄剤全体における(a)アルカリ性化剤の含有量は1~20質量%であることが好ましく、2~15質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、洗浄剤として充分な効果が得られる。
(少なくとも一つの水酸基を有する化合物)
本発明に係る洗浄剤は、(a)成分に加えて、(b)少なくとも一つの水酸基を有する化合物を含有していることが好ましい。
上述の(a)成分と(b)成分を併用することで、機能層を効果的に除去することができる機構については、定かではないが、以下のように推定している。
基材であるポリエステルフィルム及び/又は機能層の界面で以下に記載の反応が進行し、積層ポリエステルフィルムから効率的に機能層を剥離することが可能になると推定している。
加水分解を受ける機能層、例えばアクリル系粘着層やアクリル系ハードコート層を有する積層ポリエステルフィルムを洗浄した場合、(b)少なくとも一つの水酸基を有する化合物の水酸基から生成するアルコキシドによって機能層及び/又は基材のエステル結合部でエステル交換反応が起こり、低分子量化合物を得る。次いで、上記低分子量化合物のエステル結合に対し、(a)アルカリ性化剤から電離したヒドロキシル基が求核攻撃することで鹸化反応が進行してカルボキシラートを得る(イオン化)。これにより、機能層が溶出すると推定している。
加水分解を受けない機能層、例えばシリコーン離型層を有する積層ポリエステルフィルムを洗浄した場合でも、基材であるポリエステルフィルムが上述の反応機構によって、エステル交換反応による低分子量化、鹸化、及び溶出が起こるので、フィルム上に積層した機能層が剥離され、除去することができる。
したがって、(a)成分と(b)成分の組み合わせによって、積層ポリエステルフィルムから効率的に機能層を剥離することが可能になったと考えられる。
前記(b)少なくとも一つの水酸基を有する化合物としては、アルコール類、フェノール類などが挙げられる。
アルコール類としては、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の単価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の多価アルコール等を挙げることができる。
フェノール類としては、フェノール、キシレノール、サリチル酸、ピクリン酸、ナフトール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール、ジブチルヒドロキシトルエン、ビスフェノールA、クレゾール、エストラジール、オイゲノール、没食子酸、グアイアコール、フェノールフタレイン、セロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン、チモール、チロシン、ヘキサヒドロキシベンゼン等を挙げることができる。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
また、これらの中でも、洗浄剤のアルカリ性を損なわず、洗浄性を維持する観点からアルコール類が好ましい。
洗浄性の観点から、アルコール類の酸性度定数(pKa)が8.0以上、20.0以下の範囲であることが好ましく、8.0以上、18.0以下がより好ましく、9.0以上、16.0以下がさらに好ましく、9.3以上、15.6以下の範囲が特に好ましく、14.0以上、15.4以下が最も好ましい。
アルコール類の酸性度定数(pKa)が上記範囲内であれば、洗浄剤のアルカリ性を損ねることなく、アルコキシドが生成されるため、洗浄剤の洗浄能力が向上する。
一部アルコールの酸性度定数(pKa)を次に示す。ヘキサフルオロ-2-プロパノール(pKa=9.3)、ベンジルアルコール(pKa=15.4)、メタノール(pKa=15.5)、エタノール(pKa=16.0)、1-プロパノール(pKa=16.1)、2-プロパノール(pKa=17.1)、1-ブタノール(pKa=16.1)、tert-ブタノール(pKa=18.0)。
上記アルコール類の中でも、洗浄性の観点から、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール及びベンジルアルコールがより好ましい。これらの中でも、低揮発性及び使用可能な温度範囲の観点から、ベンジルアルコールの使用がさらに好ましい。これらのアルコール類は、プロトンが電離してアルコキシドが生成しやすく、高い洗浄性を有する。
なお、上記の好適なアルコール類に、2価アルコールや多価アルコールを併用してもよい。
洗浄剤において、(b)少なくとも一つの水酸基を有する化合物の含有量は、10~99質量%が好ましく、20~98質量%がより好ましく、30~97質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば、(a)アルカリ性化剤の量が適当となるため、ポリエステルフィルムを回収した際にアルカリ性化剤成分の析出による異物混入等が抑制され、リサイクルポリエステルフィルムの品質を維持できる。
また、洗浄剤において、(a)、(b)成分に加えて、さらに(c)成分を併用する場合や、洗浄剤を水系洗浄剤とする場合には、洗浄剤における(b)成分の含有量は、好ましくは10~90質量%、より好ましくは20~75質量%、さらに好ましくは30~65質量%、特に好ましくは35~50質量%である。上記範囲内であれば、(a)アルカリ性化剤に加えて相溶化剤の量も適当にできる。また、水系とする場合には、一定量以上の水を含有させることもできる。
(相溶化剤)
本発明に係る洗浄剤は、さらに、(c)相溶化剤を含有していることが好ましい。
(c)相溶化剤は、前記(a)及び(b)成分と併用することで、積層ポリエステルフィルムからの機能層の溶出を助ける働きを有するとともに、上記(a)成分と(b)成分、及びその他任意に添加される添加剤等を可溶化する機能を有する。
また、(c)相溶化剤を含有することで、洗浄剤が一成分として水を含む場合でも、(a)成分と(b)成分の相溶性が良好となる。
(c)相溶化剤としては、特に制限はなく、アニオン系相溶化剤、カチオン系相溶化剤、ノニオン系相溶化剤、両性相溶化剤のいずれも使用することができる。
なお、相溶化剤には、上記アルカリ性化剤にも相当する化合物が含まれることから、本発明の洗浄剤において、(c)相溶化剤は、上記(a)及び(b)成分と併用するに際し、(a)及び(b)成分とは異なるものを用いる。
アニオン系相溶化剤としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルカルボン酸、芳香族カルボン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、α-スルホン化脂肪酸、N-メチル-N-オレイルタウリン、石油スルホン酸、アルキル硫酸、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、これらの塩等が挙げられる。
カチオン系相溶化剤としては、四級アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、アルキルピリジニウム、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム、N,N-ジアルキルモルホリニウム、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウム及びこれらの塩等が挙げられる。
ノニオン系相溶化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、脂肪酸ジエタノールアミド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジエチルアミノ)エタノール、1-アミノ-2-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミンオキサイド等の有機アミン化合物が挙げられる。
両性相溶化剤としては、N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N,N-トリアルキル-N-スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N-ジアルキル-N,N-ビスポリオキシエチレンアンモニウム硫酸エステルベタイン、2-アルキル-1-カルボキシメチル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のベタイン類、N,N-ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩等のアミノカルボン酸類が挙げられる。
なお、相溶化剤としては、前記(b)少なくとも一つの水酸基を有する化合物が含まれる場合があるが、アルカノールアミン化合物、アルカノールアミド化合物、及び下記に該当する炭素数12以上のヒドロキシ化合物については、(c)相溶化剤として取り扱う。
アルカノールアミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられ、アルカノールアミド化合物としては、モノエタノールアミド、ジエタノールアミド及びトリエタノールアミド等が挙げられる。
また、炭素数12以上のヒドロキシ化合物としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、チオエーテル系、ポリオキシアルキレングリコール系、アセチレングリコール系、エステル系及びグリコシド系の炭素数12以上のヒドロキシ化合物が挙げられる。
本洗浄剤における(c)相溶化剤のうち、相溶性及び取り扱い性の観点から、芳香族スルホン酸塩及び水酸基含有のアミン化合物の使用が好ましい。具体的な化合物としては、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。これらの中でも、洗浄剤の加温上限を上げる観点から、沸点が高い上記芳香族スルホン酸塩の使用がより好ましい。
なお、ここでは上述のように、(a)アルカリ性化剤とは異なる化合物を用いることが前提である。
(a)アルカリ性化剤と(c)相溶化剤の組み合わせの具体例としては、アルカリ性化剤として無機アルカリ性化剤を使用する場合には、(c)相溶化剤としては、アニオン系相溶化剤、カチオン系相溶化剤、ノニオン系相溶化剤、及び両性相溶化剤のいずれか少なくとも1つを使用すればよい。また、(a)アルカリ性化剤として、有機アルカリ性化剤を使用する場合には、(c)相溶化剤としては、アニオン系相溶化剤、カチオン系相溶化剤、有機アミン化合物以外のノニオン系相溶化剤、及び両性相溶化剤のいずれか少なくとも1つを使用すればよい。
また、本洗浄剤においては、(a)アルカリ性化剤として無機アルカリ性化剤を使用し、かつ(c)相溶化剤として芳香族スルホン酸塩及び水酸基含有のアミン化合物から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
なかでも、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの少なくとも1種の無機アルカリ性化剤と、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の芳香族スルホン酸塩との組み合わせが好ましい。また、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの少なくとも1種の無機アルカリ性化剤と、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジエチルアミノ)エタノール、1-アミノ-2-プロパノール、トリイソプロパノールアミンから選択される少なくとも1種の水酸基含有アミン化合物の組み合わせが好ましく、これらの中でも、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択される少なくとも1種の無機アルカリ性化剤と、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンから選択される少なくとも1種の水酸基含有アミン化合物を併用した組み合わせが特に好ましい。
また、洗浄剤中の様々な添加剤を包括的に相溶させる観点から、前記相溶化剤を2種類以上併用してもよい。
また、洗浄剤中の相溶化剤の含有量としては、1~30質量%の範囲であることが好ましい。上記範囲内であると十分な洗浄性が得られる。以上の観点から、洗浄剤中の相溶化剤の含有量5~25質量%の範囲であることがより好ましく、8~20質量%の範囲であることがさらに好ましい。
本発明に係る洗浄剤は、水系洗浄剤であることが好ましい。水系洗浄剤は、上記(a)~(c)成分等を水に溶解させ、また、希釈させたものである。水系洗浄剤は引火点を上げることができるため比較的安全性が高く、また、後述するリンス工程において、水を使用できる点でも有利である。
本発明に係る洗浄剤は、上記(a)~(c)成分以外にも種々の添加剤を配合することができ、例えば、酸化防止剤、防錆剤、pH調整剤、防腐剤、粘度調整剤、消泡剤などを添加することができる。
本発明に係る洗浄工程は、前記洗浄剤を用いて、積層ポリエステルフィルムの機能層を除去する工程の一つである。洗浄工程は、例えば、洗浄剤の入った洗浄槽に浸漬する浸漬法、溶液状態の洗浄剤を塗布する塗布法、溶液状態の洗浄剤又は気化した洗浄剤を吹き付ける吹き付け法などを用いることができる。これらのうち、機能層への洗浄剤の浸透性の点から、浸漬法が好ましい。
浸漬法における洗浄剤の温度としては、室温(20℃)以上であることが好ましい。室温(20℃)以上であると、洗浄剤の粘度が低く、機能層へ浸透しやすいため良好な洗浄性が得られる。以上の観点から、浸漬法における洗浄剤の温度としては40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましく、60℃以上であることが特に好ましい。
また、洗浄剤の温度の上限値としては、洗浄剤を溶液状態で用いる場合には、沸点以下の温度が好ましい。本願の好適な態様である水系洗浄剤の場合は、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。
なお、浸漬法以外においても洗浄時の洗浄剤の温度は、上記と同様である。また、浸漬法における剥離洗浄では、加水分解反応を進める目的として、マイクロ波照射を行ってもよい。
洗浄剤のpHは、洗浄性の観点から12以上が好ましく、13以上がより好ましい。
浸漬時間については、洗浄対象物の種類によって、以下のように適宜調整することが好ましい。
機能層としてアクリル系粘着層を設けたポリエステルフィルムが洗浄対象の場合、1秒以上、30分以下が好ましい。1秒以上であると、洗浄剤が機能層へ充分に浸透し、洗浄性が発揮できる。一方、30分以内であると、基材であるポリエステルフィルムが過度に溶解することなく、回収した際に得られるポリエステルの量を確保できる。以上の観点から、15秒以上、20分以下であることがより好ましく、30秒以上、15分以下であることがさらに好ましく、1分以上、10分以下であることが特に好ましい。
機能層としてアクリル系ハードコート層を設けたポリエステルフィルムが洗浄対象の場合、1秒以上、30分以下が好ましい。1秒以上であると、洗浄剤が機能層へ充分に浸透し、洗浄性が発揮できる。一方、30分以内であると、基材であるポリエステルフィルムが過度に溶解することなく、回収した際に得られるポリエステルの量を確保できる。以上の観点から、15秒以上、30分以下であることがより好ましく、30秒以上、25分以下であることがさらに好ましく、1分以上、20分以下であることが特に好ましい。
機能層としてシリコーン離型層を設けたポリエステルフィルムが洗浄対象の場合1秒以上、30分以下が好ましい。1秒以上であると、洗浄剤が機能層へ充分に浸透し、洗浄性が発揮できる。一方、30分以内であると、基材であるポリエステルフィルムが過度に溶解することなく、回収した際に得られるポリエステルの量を確保できる。以上の観点から、15秒以上、20分以下であることがより好ましく、30秒以上、10分以下であることがさらに好ましく、1分以上、5分以下であることが特に好ましい。
洗浄工程は、洗浄剤を入れた洗浄槽に浸漬させて機能層を除去する工程である。洗浄工程の具体的な態様は、研磨工程との順番による。研磨工程の後に洗浄工程を行う場合、研磨工程、洗浄工程と順にロールトゥロール方式で機能層を除去していくことが好ましい。
一方、研磨工程の前に洗浄工程を行う場合は、搬送式研磨機の前段にある巻き出し装置から積層ポリエステルフィルムを巻き出して、洗浄工程、研磨工程と順にロールトゥロール方式で機能層を除去していくことが好ましい。
上記の各態様であれば、廃材であるロール状の積層ポリエステルフィルムから効率的に機能層を除去することができ、機能層除去にかかる工程を最小限にすることが可能となる。
<回収工程>
本機能層除去方法を用いて、積層ポリエステルフィルムから機能層を除去した後は、基材フィルムであるポリエステルフィルムを回収する、回収工程があってもよい。また、機能層除去方法は、回収工程の前段で、後述するリンス工程及び乾燥工程を有していてもよく、ロールトゥロールで連続的に行い、適宜研磨工程、洗浄工程、リンス工程及び乾燥工程を経て、巻き取ることで効率的に回収することができる。
上述のようにして回収されたポリエステルフィルムは、回収後、ペレット状にすることが、取り扱いの点で有利である。
<リンス工程>
本発明では、機能層を除去した後、回収工程の前に、研磨工程で発生した粉塵及び/又は洗浄剤を洗い流すリンス工程を有していてもよい。本工程は、リンス液により、機能層を除去したポリエステルフィルムに付着した粉塵及び/又は洗浄剤を洗い流す工程である。リンス液としては水が好ましいが、粉塵及び/又は洗浄剤を洗い流す必要がない場合には、リンス工程は省略可能である。
リンス工程において、粉塵及び/又は洗浄剤とともに、ポリエステルフィルムから剥離した機能層も同時に洗い流される場合がある。水と機能層を構成していた材料はその後分離され、水はリンス工程で再利用することができる。また、機能層を構成していた材料も再利用することが可能である。
リンス工程は、上記した研磨工程及び洗浄工程の少なくともいずれか一方の後に行うとよいが、研磨工程及び洗浄工程の両方を行った後に行うことが好ましい。したがって、研磨工程、洗浄工程、及びリンス工程の順で行うことがより好ましい。研磨及び洗浄の両工程の後にリンス工程を行うと、リンス工程において粉塵、及び洗浄剤の両方を効率よく除去することが可能である。
ただし、工程順は、特に限定されず、洗浄工程、研磨工程、及びリンス工程の順で行ってもよいし、研磨工程、リンス工程、及び洗浄工程の順で行ってもよい。また、リンス工程を2回又はそれ以上行ってもよく、例えば、研磨工程、リンス工程、洗浄工程、及びリンス工程の順で行ってもよい。
また、洗浄工程が省略される場合には、研磨工程及びリンス工程の順に行うとよい。
<乾燥工程>
リンス工程の後には、乾燥工程があってもよい。乾燥工程の条件としては、特に限定されず、通常70~150℃で、1~30分程度の時間乾燥される。乾燥方法としては、赤外線ヒーターやオーブン等による加熱乾燥、熱風乾燥機等による熱風乾燥やマイクロ波加熱乾燥など、一般的な方法を用いることができる。なお、リンス工程が省略される場合には、乾燥工程は、洗浄工程の後に行われるとよい。
また、上記のとおり、リンス工程を複数回行う場合には、乾燥は、各リンス工程の後に行ってもよいが、各リンス工程の後に乾燥を行う必要はなく、例えば最後のリンス工程の後のみにおいて乾燥工程を行ってもよい。
<リサイクルポリエステル製品及びその製造方法>
本発明の機能層除去方法によって得られたポリエステルフィルムは、ポリエステル原料として、いわゆるリサイクルポリエステル製品の製造に再利用することができる。具体的には、回収したポリエステルはペレット化して、ペレット状のポリエステル(ポリエステル製品)として保管することができる。また、回収されたポリエステルは、溶融押出し等によってポリエステルフィルムなどの各種のポリエステル製品に成形することもできる。なお、回収されたポリエステルは、その製造容易性から、一旦ペレット化した後に、各種製品に成形することが好ましい。
用途としては、通常のポリエステル製品と同様の用途に用いることができ、例えば、基材フィルムであるポリエステルフィルムとして使用することができる。当該基材フィルムに、機能層を形成することで、積層ポリエステルフィルムとして再利用することも可能である。
リサイクルポリエステルは、従来の方法で製造されたポリエステルと混合して使用することもでき、また、リサイクルポリエステルと従来の方法で製造されたポリエステルを用いた多層フィルムとすることもできる。
リサイクルポリエステル製品としては、フィルム以外にも、各種用途に使用可能であり、例えばペットボトル、ポリエステル繊維、ポリエステルシート、ポリエステル容器などを製造することもできる。なお、剥離した機能層に関しても、必要に応じて回収し、再利用することも可能である。
<積層ポリエステルフィルムの機能層除去装置>
次に、積層ポリエステルフィルムの機能層除去装置について図1を参照しつつ説明する。なお、図1に示す装置は、実施形態を説明するために模式的に示す一例であり、図1の構成に限定されない。例えば、図1の構成は、ロール状の積層ポリエステルフィルムを巻き出して、さらには、巻き取りもロールで行う、いわゆるロールトゥロール方式である態様が示されるが、その他の方式で行ってもよい。
(搬送式研磨機)
機能層除去装置10は、搬送式研磨機11を有する。搬送式研磨機11の前段に巻き出し装置12を設置し、装置12から積層ポリエステルフィルムFを巻き出して、上記の通りベルトコンベヤで移動させ、又は巻き出し装置12及び巻き取り装置17が設けられ、これらの駆動力により移動させることなどにより、所定の研磨位置に積層ポリエステルフィルムを搬送させればよい。
巻き出し装置12は、ロール状の積層ポリエステルフィルムFをシート状に巻き出して搬送式研磨機11に供給する。搬送式研磨機11は、所定の研磨位置に、研磨材11Aを有する。研磨材11Aは、積層ポリエステルフィルムFに接する位置に配置していればよく、配置する研磨材11Aは1個でも複数個でもよい。
搬送式研磨機11は、上記のとおり、湿式方式、又は乾式方式のいずれでもよいが、湿式方式の場合には、図1に示すとおり、上述した水などの液体を積層ポリエステルフィルムFに対して吹き付けるための吹付装置11Bを有すればよい。
吹付装置11Bは、上記液体を、研磨材11Aが積層ポリエステルフィルムFに接する位置、又はその前段の位置に吹き付けできるように配置すればよい。
また、搬送式研磨機は、ベルトコンベヤで移動させながら、例えばベルトコンベヤ上で積層ポリエステルフィルムを研磨材に接触させて、積層ポリエステルフィルムを研磨するとよい。
また、巻き出し装置及び巻き取り装置が設けられるロールトゥロール方式で、積層ポリエステルフィルムを研磨材に接触させて、研磨してもよい。さらに、ロールトゥロール方式であり、研磨剤11Aがバフロールである場合には、バフロールとは反対側、すなわち積層ポリエステルフィルムの機能層とは反対面側に、バックアップロール及び/又はガイドロールが設けられ、積層ポリエステルフィルムがバフロールとバックアップロール及び/又はガイドロールの間を通されつつ研磨されるとよく、バックアップロール上で研磨されることが好ましい。ただし、前記バックアップロールはバフロールに対向した位置に、前記ガイドロールは対向していない位置に設けられるものである。前記バックアップロール及び/又はガイドロールを1つ又は複数設けることで、積層ポリエステルフィルムの機能層をバフロールに押し当てることができ、機能層の除去率が向上する。
なお、図1では、研磨材11Aがバフロールを想定して示されるが、研磨材11Aは上記のとおりバフロール以外でもよい。
本発明に係る機能層除去装置には、さらに、洗浄装置13を有していてもよい。
(洗浄装置)
洗浄装置13は、上述の化合物を含有する洗浄剤を備え、洗浄剤で積層ポリエステルフィルムFを洗浄する装置である。典型的には、図1に示すとおり、洗浄槽に上記洗浄剤を満たした洗浄槽が挙げられ、ここに廃材である積層ポリエステルフィルムFを導入し、浸漬して洗浄する。その他、溶液状態の洗浄剤を塗布する塗布装置、溶液状態又は気化した洗浄剤や、洗浄剤のミストを形成してミストを吹き付ける吹付装置などがある。
洗浄剤は上記の通りであり、洗浄剤としては、水系洗浄剤が好ましい。水系洗浄剤を用いることで、後述するリンス装置14で水によるリンスを行うことができ、好ましい。
さらに、本発明に係る機能層除去装置は、適宜、以下で詳述するリンス装置14、及び乾燥装置15と併用することが好ましい。
(リンス装置)
リンス装置14は、搬送式研磨機11及び洗浄装置13で機能層を除去した後に、ポリエステルフィルムに付着した粉塵及び/又は洗浄剤を洗い流すための装置である。具体的には、リンス液を吹き付ける吹付装置、リンス液に浸漬させる浸漬装置などが挙げられる。上述のように、洗浄剤として水系洗浄剤を用いることで、リンス工程で水を用いることができ、安全性が高く、また防爆装置などが不要であることからコスト面でも好ましい。
また、機能層除去装置は、リンス装置14で使用されたリンス液を、機能層を構成していた材料と、水とに分離する分離装置(図示しない)を備えてもよい。分離装置は、いかなる方式でもよく、フィルターでろ過して分離する装置、遠心分離機などの固液分離装置、油水分離装置、蒸留器などの水を気化させて分離する装置でもよい。また、分離装置は、1種単独で使用してもよいし、2種以上の分離装置を組み合わせてもよい。機能層除去装置は、分離装置を備えることで、リンス液として使用された水、及び機能層を構成していた材料を再利用できる。
リンス装置14は、図1に示すとおり、搬送式研磨機11及び洗浄装置13のいずれよりも後段に配置されることが好ましく、したがって、前段から搬送式研磨機11、洗浄装置13、及びリンス装置14の順に配置されることが好ましい。
ただし、リンス装置14は、搬送式研磨機11及び洗浄装置13の少なくともいずれか一方よりも後段に配置されればよい。したがって、前段から搬送式研磨機11、リンス装置14、及び洗浄装置13の順に配置されてよい。また、リンス装置14が複数設けられ、搬送式研磨機11、リンス装置14、洗浄装置13、及びリンス装置14の順に配置されてもよい。
さらに、リンス装置14は省略されてもよい。
(乾燥装置)
乾燥装置15は、機能層が除去され、洗浄剤がリンス装置14で洗い流されたポリエステルフィルムFを乾燥するためのものであり、乾燥条件については、前述の通りである。乾燥装置15としては、赤外線ヒーター、オーブン、熱風乾燥機、及びマイクロ波加熱乾燥機などが挙げられる。乾燥装置における乾燥工程を経て、ポリエステル基材は回収される。なお、リンス装置14が省略される場合には、乾燥装置15は、洗浄装置13の後段に設けられ、洗浄剤による洗浄後のポリエステルフィルムを乾燥するとよい。
また、リンス装置14が複数設けられる場合、乾燥装置も複数設けられ、各リンス装置14の後段それぞれに乾燥装置が設けられてもよいが、乾燥装置は1つでもよく、最も後段側のリンス装置14のさらに後段に乾燥装置15が設けられるとよい。
<リサイクル装置>
上記した機能層除去装置は、リサイクル装置において使用されるとよい。リサイクル装置16は、上記した機能層除去装置10と、機能層を除去したポリエステルフィルムを回収する装置(回収装置)を備える。ポリエステルフィルムを回収する装置は、特に限定されないが、機能層を除去したポリエステルフィルムをロール状に回収する巻き取り装置17であるとよい。
リサイクル装置16は、さらにペレット製造装置18を有することも好ましく、回収されたポリエステルフィルムは、取り扱い性を容易にするために、ペレット製造装置18でペレット化することが好ましい。ポリエステルフィルムは、ペレット化することで取扱い性をより一層良好にできる。
また、リサイクル装置16は、ペレット製造装置18の代わりに、押出機などのペレット製造装置以外の製造装置を備えてもよく、回収されたポリエステルフィルムは、上記のとおりペレット以外の形態でポリエステル製品とされてもよく、例えばフィルム状などの形態でリサイクルポリエステル製品とされてもよい。リサイクル装置16は、ペレット製造装置と、ペレット製造装置以外の製造装置の両方を備えてもよく、ペレット製造装置で製造されたペレットが、それ以外の製造装置で各種のリサイクルポリエステル製品とされてもよい。
なお、以上で説明した図1に示す機能層除去装置10では、前段から搬送式研磨機11及び洗浄装置13の順に配置されるが、洗浄装置13及び搬送式研磨機11の順に配置されてもよい。
この場合には、前段から洗浄装置13、搬送式研磨機11及びリンス装置14の順に配置されることが好ましいが、前段から洗浄装置13、リンス装置14、及び搬送式研磨機11の順に配置されてよいし、リンス装置14が複数設けられ、洗浄装置13、リンス装置14、搬送式研磨機11、及びリンス装置14の順に配置されてもよい。
また、機能層除去装置10は、図2に示すとおり、洗浄装置13を省略してもよい。洗浄装置を省略する場合には、リンス装置14は、ポリエステルフィルムに付着した粉塵を洗い流す装置となる。
また、上記のとおり、洗浄工程と研磨工程を同時に行ってもよく、その場合、吹付装置11Bからは上記した洗浄剤を吹き付けるとよい。したがって、搬送式研磨機11に備えられる吹付装置11Bは、洗浄装置として使用されることになる。その場合にも、図2に示すとおり、搬送式研磨機11の後段の洗浄装置を省略してもよい。
なお、図2に示す機能層除去装置10、リサイクル装置16のその他の構成は上記で説明したとおりであり、図2に示す機能層除去装置10においても、リンス装置14、乾燥装置15は適宜省略してもよい。
<<語句の説明>>
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
次に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
(1)極限粘度
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)機能層の除去率評価:蛍光X線分析
機能層除去後の積層ポリエステルフィルムの表面を、蛍光X線分析装置(XRF、(株)島津製作所製「XRF-1800」)を用いてSi元素の定量分析を行った。
機能層除去前の積層ポリエステルフィルム表面のSi元素量を100%、積層ポリエステルフィルムの機能層が塗工されていないプレーンフィルムのSi元素量を0%とすることで、機能層の除去率を測定した。
(3)研磨実験
全体の寸法や仕様の異なる搬送式研磨機A又はBを用いて、下記表1の条件に従い、A4(300×225mm)サイズの積層ポリエステルフィルムを研磨した。なお、搬送式研磨機A又はBは、いずれもラボ試験機であり、搬送式研磨機Aは全体の寸法が搬送式研磨機Bよりも大きいものであった。搬送式研磨機Aは、押し圧を調整できる機能を有さず、搬送式研磨機Bは有する仕様であった。
なお、搬送式研磨機A及びBを、水温25℃の水を用いた湿式方式にて使用した。
また、研磨材としては、シリコンカーバイドを粘着剤で付着させて砥石状にした、樹脂製のバフロールを用い、搬送する積層ポリエステルフィルムに対して、回転するバフロールを押し当てて機能層を除去した。
(4)洗浄実験
以下の洗浄剤1又は2を30mlの容器に入れ、40×30mmサイズの積層ポリエステルフィルムを浸漬させた。洗浄剤1を用いた場合には、60℃、1分間で浸漬を行い、洗浄剤2を用いた場合には、80℃、1分間で浸漬を行った。
(洗浄剤1)
(a)成分:水酸化カリウム5質量部、水酸化ナトリウム5質量部
(b)成分:ベンジルアルコール37質量部、プロピレングリコール3質量部
(c)成分:モノエタノールアミン18質量部
その他成分:水32質量部
(洗浄剤2)
(a)成分:水酸化カリウム5質量部
(b)成分:ベンジルアルコール41質量部
(c)成分:2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム18質量部
その他成分:水36質量部
<機能層を有する積層ポリエステルフィルム>
下記(I)~(II)の機能層を有する積層ポリエステルフィルムを、試料として用意した。
(I)積層ポリエステルフィルム(シリコーン離型層を有する積層ポリエステルフィルム);市販品(三菱ケミカル(株)製「MRF38」)、ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚み;38μm、該ポリエチレンテレフタレートフィルムの極限粘度;0.57dl/gであった。
(II)積層ポリエステルフィルム(シリコーン離型層を有する積層ポリエステルフィルム);市販品(三菱ケミカル(株)製「MRF19」)、ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚み;19μm、該ポリエチレンテレフタレートフィルムの極限粘度;0.57dl/gであった。
[実施例1]
表1に記載の積層ポリエステルフィルムを用いて、表1に記載の条件で搬送式研磨機による研磨実験を実施した。
研磨実験後、積層ポリエステルフィルム表面のSi元素の定量分析を行い、機能層の除去率を評価した。
[実施例2~11]
表1に記載の積層ポリエステルフィルム及び研磨条件で行った以外は、実施例1と同様にして、研磨実験後の除去率評価を実施した。評価結果を表1に示す。
[実施例12~17]
表1に記載の積層ポリエステルフィルム及び研磨条件で行った以外は、実施例1と同様にして、研磨実験後の除去率評価を実施した。
次に、洗浄剤1及び2を用いて洗浄実験を実施し、洗浄実験後の機能層除去率を算出した。
Figure 2022130226000002
表1に示すように、搬送式研磨機で積層ポリエステルフィルムの表面の機能層を研磨することによって、積層ポリエステルフィルムから機能層を容易に除去することができる。
また、本発明の機能層除去方法は、さらに、洗浄工程を備えることによって、機能層の除去率を向上させることができる。
10 機能層除去装置
11 搬送式研磨機
11A 研磨材
11B 吹付装置
12 巻き出し装置
13 洗浄装置
14 リンス装置
15 乾燥装置
16 リサイクル装置
17 巻き取り装置
18 ペレット製造装置
F 積層ポリエステルフィルム

Claims (15)

  1. ポリエステルフィルムの表面に機能層を備える積層ポリエステルフィルムから、搬送式研磨機で機能層を除去する研磨工程を備える、積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
  2. 前記研磨工程が、湿式方式で行われる、請求項1に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
  3. 前記研磨工程における研磨材が、バフロールである、請求項1又は2に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
  4. 前記バフロール自体が横振動する、請求項3に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
  5. 前記バフロールの回転方向が、積層ポリエステルフィルムの搬送方向に対して逆方向である、請求項3又は4に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
  6. 前記機能層が、シリコーン離型層である、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
  7. さらに、(a)アルカリ性化剤を含有する洗浄剤で洗浄する洗浄工程を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
  8. 前記洗浄剤が、さらに、(b)少なくとも一つの水酸基を有する化合物を含有する、請求項7に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
  9. 前記ポリエステルフィルムに付着した、前記研磨工程で発生した粉塵、及び前記洗浄剤の少なくともいずれかを、洗い流すリンス工程をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法により再生したポリエステルフィルム原料を少なくとも一部に含むリサイクルポリエステル製品。
  11. 請求項1~9のいずれか1項に記載の機能層除去方法によって、前記機能層を除去したポリエステルフィルムを回収する回収工程と、
    前記回収されたポリエステルフィルムを原料としてリサイクルポリエステル製品を製造する製造工程を備える、リサイクルポリエステル製品の製造方法。
  12. ポリエステルフィルムの表面に機能層を備える積層ポリエステルフィルムから、機能層を除去する搬送式研磨機を備えることを特徴とする、積層ポリエステルフィルムの機能層除去装置。
  13. (a)アルカリ性化剤を含有する洗浄剤を備え、前記洗浄剤により前記積層ポリエステルフィルムを洗浄する洗浄装置を備える、請求項12に記載の機能層除去装置。
  14. 前記機能層を除去したポリエステルフィルムに付着した粉塵及び洗浄剤の少なくともいずれかを洗い流すリンス装置を備える、請求項12又は13の機能層除去装置。
  15. 請求項12~14のいずれか1項に記載の前記機能層除去装置と、前記機能層除去装置によって機能層が除去されたポリエステルフィルムを回収する回収装置と、回収されたポリエステルフィルムを原料として、リサイクルポリエステル製品を製造する製造装置とを備える、リサイクル装置。
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