JP2022129530A - 中綿およびこれを含む繊維製品 - Google Patents

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Tsuyoshi Shibata
義嗣 船津
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【課題】保温性と快適性に優れ、素材として一体性があるため取り扱い性、長期間性能に優れる中綿を提供すること。【解決手段】複合層と合繊綿層とを有する中綿であって、前記複合層は第一の合成繊維を含む繊維層と、前記第一の合成繊維と多孔質体とを含む多孔質体含有繊維層とを有し、前記合繊綿層は第二の合成繊維を含み、前記第一の合成繊維が中空繊維であり、前記複合層における前記繊維層と前記複合層とは少なくとも一部で接し、前記繊維層の厚みXと前記多孔質体含有繊維層の厚みYとの比(X/Y)が0.05~0.20である中綿。【選択図】 なし

Description

本発明は、保温性や快適性と取扱い性とを両立した中綿およびこれを含む繊維製品に関する。
保温性衣料や掛布団等の寝具、寝袋等に用いられる中綿は、保温性と、触感等から感知される快適性とを両立することが必要である。例えば、保温性衣料等に用いる中綿の代表的な素材である羽毛は、嵩高さ、軽量、適度な通気性を有し、微細な構造によってデッドエア保持性が高いことから、保温性に優れている。また、変形回復性、羽毛を構成するダウンボール一つ一つの移動による変形追従性等により、優れた快適性も有している。
ここで、一般的に保温素材として用いられる羽毛は、フェザーの割合が少なく大部分がダウンで構成されており、その形態は個々に独立したダウンボールの集合体である。中綿として一体とはなっていないため取り扱い性には劣り、使用中に移動して羽毛の充填量が減少した箇所は、保温性や快適性などの性能が低下する。羽毛を衣料素材等に用いる際には、側地を用いて袋状構造体を作り、その内部に羽毛を吹き込み、閉じ込めて使用する。しかし、袋状構造体内部で羽毛は移動できるため、やはり性能は低下する。また、デザイン等の製品設計に制限が生じる。さらに、羽毛は生物由来の天然素材であるため、供給安定性にも課題がある。
そこで、羽毛のような保温性と快適性を有し、かつ、羽毛の課題である取扱い性や供給安定性に優れる中綿が望まれている。近年は、合成繊維を用いた中綿(以下、「合繊綿」と称する場合がある)が供給安定性に優れる点で検討されている。
例えば、1層はソフト層、他層はソフト層を構成する繊維の繊度よりも太い繊維が含まれるハード層として、構成繊維の繊度の異なる少なくとも2層が直接積層された防寒衣料用中綿が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、2枚の樹脂層と、それらの樹脂層間に配置された、熱緩衝性物質を含む樹脂塊とを含む保温・保冷性素材と、この素材に繊維基材が積層されている保温・保冷性布帛、およびこれらの素材または布帛を含む衣服が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、厚さ5~30ミクロンの透湿性、防水性を有し、かつ伸縮性を有するポリウレタン重合体を主成分とする無孔質皮膜と、目付が少なくとも40g/m以上のウェッブとを、断続的に接着し、全体の透湿度が3000g/m・24時間以上であることを特徴とする透湿防水性中綿が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
別の技術として、スパイラル状の巻縮を有する繊維を含む不織布に、中空体が含有されていることを特徴とする中入綿が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2013-136858号公報 特開2004-155113号公報 特開平1-121084号公報 特開平10-165670号公報
しかし、特許文献1で開示される中綿は、ハード層、ソフト層いずれも繊維素材を用いており、バインダー樹脂により通気性を抑えたとしてもデッドエア保持性が劣るため、保温性に劣るものであった。
また、特許文献2で開示される保温素材は、素材の厚みが薄く、中綿のデッドエアによる保温性に劣る。
特許文献3で開示される中綿も、保温性を発揮するのは合成繊維からなるウェッブ部分のため、保温性を発現させることには十分ではない。
特許文献1~3では、羽毛で課題となっている取扱い性を向上させるために、複数の合繊綿を予め積層一体化する技術が開示されている。しかし、ニードルパンチやウォータージェットパンチなどの機械的な絡合一体化では、デッドエアを保持するための空孔が潰れ易く、保温性が低下する。他方、特許文献2で開示される技術のように、表面が平滑な場合はバインダー等による接着が必要になるが、そうすると中綿としての重量が増える。また、デッドエアを保持するための空孔にもバインダーが入り込むことで空孔が潰れ、保温性が低下することもある。さらに、洗濯後に乾きにくい場合もある。
一方、特許文献4に開示される中入綿は、保温性に寄与する中空体と、快適性につながる風合いに優れた不織布とを1つの素材としたものである。中空体を保持するために用いられるスパイラル状の巻縮を有する繊維を用いており、このスパイラル状の巻縮を有する繊維は、捲縮数が大きいため嵩高性を高めにくく、デッドエアを保持するための空隙も少ないため、保温性に劣るものであった。また、快適性が低下し易い課題もあった。
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、供給安定性と快適性、保温性に優れる中綿およびこれを含む繊維製品を提供することを目的とする。さらには、保温性と快適性を維持した上で、素材としての一体感によって取り扱い性にも優れる中綿およびこれを含む繊維製品を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(1) 複合層と合繊綿層とを有する中綿であって、前記複合層は第一の合成繊維を含む繊維層と、前記第一の合成繊維と多孔質体とを含む多孔質体含有繊維層とを有し、前記合繊綿層は第二の合成繊維を含み、前記第一の合成繊維が中空繊維であり、前記複合層における前記繊維層と前記多孔質体含有繊維層とは少なくとも一部で接し、前記繊維層の厚みXと前記多孔質体含有繊維層の厚みYとの比(X/Y)が0.05~0.20である中綿。
(2) 前記複合層の厚みが5~30mmである(1)に記載の中綿。
(3) 前記第一の合成繊維の単糸繊度が5~20dtexである(1)または(2)に記載の中綿。
(4) 前記多孔質体の平均孔径が50~300μmである(1)~(3)のいずれかに記載の中綿。
(5) 前記複合層の見かけ密度が0.010g/cm以下である(1)~(4)のいずれかに記載の中綿。
(6) 前記合繊綿層の見かけ密度が0.010g/cm以下である(1)~(5)のいずれかに記載の中綿。
(7) 前記中綿がシート状である(1)~(6)のいずれかに記載の中綿。
(8) (1)~(7)のいずれかに記載の中綿を少なくとも一部に含む繊維製品。
本発明の中綿は、優れた保温性と柔軟触感等による快適性とを有し、さらに優れた取り扱い性も有する。このような特徴から、種々の繊維製品、例えばジャケット、パンツ、防寒服、スポーツ衣料等の一般衣料やクッション、布団、寝袋等の衣料資材に好適に用いることができる。
図1は、本発明の中綿の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の複合層における繊維層と多孔質体含有繊維層の厚みを求める際の観察方法を示す概略図である。 図3は、本発明の複合層における繊維層と多孔質体含有繊維層の厚みを求める際に使用する線を示す概略図である。 図4は、本発明の複合層における繊維層と多孔質体含有繊維層の厚みおよび複合層の厚みの一例を示す概略図である。
以下、本発明の中綿について詳細に説明する。
本発明の中綿は、複合層と合繊綿層とを有する。取扱い性の点で、形状はシート状であることが好ましい。本発明の複合層は、後述の通りシート状の構造で形成することが、生産性やコスト等の点で好ましい。また、複合層と合繊綿層の一体性を高めるために、複合層と合繊綿層との接触面は広いほうが好適であり、合繊綿層もシート状であることが好ましい。これらの観点から、中綿としてシート状であることが好適な形態である。また、シート状とすることで洗濯耐久性にも優れたものとなる。複合層は第一の合成繊維からなる繊維層と、第一の合成繊維と多孔質体とを有する多孔質体含有繊維層を含み、合繊綿層は第二の合成繊維を含む。
本発明でいう第一の合成繊維および第二の合成繊維としては、特に限定されず公知のものを使用できる。入手しやすさ、性能と価格のバランス等の点から、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリプロピレンおよびその共重合物、さらにはこれらの混合物が好ましく、変形回復性、経時の性能低下抑制の観点から、ポリエステルがより好ましい。第一の合成繊維の単糸繊度は、嵩高性に優れ、繰り返し圧縮回復等の変形に耐える適度な剛性という点で、5dtex以上であることが好ましく、6dtex以上であることがより好ましく、10dtex以上であることがさらに好ましい。また柔軟性に優れる点で20dtex以下であることが好ましく、18dtex以下であることがより好ましく、15dtex以下であることがさらに好ましい。ここで単糸繊度とは、実施例記載の方法で得られた値を指す。また、第一の合成繊維と第二の合成繊維は同一であっても構わないが、中綿としての柔軟触感を向上させるためには、第二の合成繊維として第一の合成繊維よりも単糸繊度の小さい繊維を用いることも好ましい態様である。この場合、第二の合成繊維の単糸繊度は、5dtex未満であることが好ましく、4dtex以下がより好ましく、3dtex以下であることがさらに好ましい。第二の合成繊維からなる合繊綿層についても、中綿としての嵩高性を保持することが好ましく、この観点から、実質的に採用できる単糸繊度の下限は1dtexである。
本発明における第一の合成繊維は、繊維断面において中空部を有する中空繊維である。これにより、単糸繊度あたりの剛性を高め、かつ軽量化できるため、柔軟触感に寄与する繊維基材の嵩高性を高めることができる。また、中空繊維の中空部に熱伝導率の低い空気を含有しているため、保温性の観点でも好適である。中空繊維は、より空気を多く含むことが保温性向上の点で好適であり、中空率は20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。中空率は高いほど保温性の点では好適であるが、製糸工程や後述する流体加工工程において、中空部がつぶれず安定的に製造可能な点で、中空率は50%以下であることが好ましい。ここで中空率とは断面積における中空部の割合(%)であり、実施例記載の方法で得られた値を指す。
また、第一の合成繊維を含む繊維層とは、第一の合成繊維を含む層状の材料であり、重なりのない1つの層でもよい。例えばシート状の、織物、編物、不織布、等の形状が例示できる。この中では、デッドエアを多く保持して保温性を高めることができる不織布が好ましい。
本発明の中綿が合成繊維を含むことで、繊維そのものの剛性が高いことにより変形回復性に優れ、繰返し洗濯することによる物性低下等、性能の経時での低下を抑制することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の繊維、例えば植物性繊維、獣毛、化学繊維、無機繊維等を含んでも構わない。この観点から、本発明の中綿における合成繊維は、60重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましい。
本発明でいう多孔質体としては、孔を複数有するものであれば特に限定されず公知の素材が使用できる。ここで孔とは、任意の切断面の少なくとも一の断面において、樹脂により形成された空間が存在する状態を意味する。樹脂以外に繊維等の複数の材料により、空間が形成されていてもよい。また、必ずしも閉じた空間である必要はない。樹脂は熱可塑性高分子、熱硬化性高分子等特に限定されず、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、メラミン等の高分子やその共重合体等が例示される。また、多孔質体としては例えば、ウレタン系樹脂やポリアクリロニトリル系樹脂等の湿式凝固により形成した多孔質体、ポリオレフィンやポリウレタン、メラミン樹脂等からなる発泡フォーム、熱で軟化可能な樹脂内部に加熱膨張性物質を封入した熱膨張性マイクロカプセル等の発泡粒子等が挙げられる。この中では相対的に均一で大きい平均孔径を形成し易い点から、湿式凝固により形成した多孔質体や熱膨張性マイクロカプセルが好ましい。また、柔軟性や通気性等による快適性の観点では、多孔質体は連続気泡体または半連続気泡体であることが好ましい。
多孔質体における平均孔径は50μm以上であることが好ましく、70μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることがさらに好ましい。また、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。この範囲とすることで、多孔質体内部の空隙にデッドエアを形成し易く、中綿内を通過する熱移動を抑制して保温性を高めることができ、適度な通気度により快適性も向上することができる。なお、本発明でいう平均孔径は樹脂により形成した孔の平均孔径であり、実施例記載の方法で得られた値を指す。
本発明における多孔質体含有繊維層は、第一の合成繊維と上述した多孔質体とを含む層状の材料であり、重なりのない1つの層でもよい。第一の合成繊維を含むシート状の繊維基材に、多孔質体が含有されたものであることが好ましい。第一の合成繊維の機械的特性等の補強効果により、平均孔径が大きい空隙部であっても柔軟性を有し、低見かけ密度の構造を維持することができる。特に第一の合成繊維がシート状であると、その効果が顕著になる。また、上述した繊維層や多孔質含有繊維層に含まれる第一の合成繊維は一体連続的であることが、取扱い性や製造容易性等の点で好ましい。ここで、一体連続的であるとは、繊維層および多孔質体含有繊維層の両層に渡って、第一の合成繊維の少なくとも1本、好ましくは両層を構成する繊維の1割以上の同一の繊維が存在する状態を指す。多孔質体含有繊維層を有することで、繊維層のみの中綿に対して保温性を向上できる。また、孔を複数有するため、通気性を適切な範囲に制御することができ、肌側からの湿気の放出による快適性と、空気移動に伴う熱移動を抑制することによる保温性の高さを両立することができる。
本発明における複合層においては、繊維層と多孔質体含有繊維層とが少なくとも一部で接する。繊維層と多孔質含有繊維層とが一体となるように、少なくとも1つの面で接していることが好ましい。例えば1cm以上の面積で、かつ、繊維層の1つの面における面積の50%以上が多孔質含有繊維層として接していることがより好ましい。また、合繊綿層と複合層との固定効果がより発現する点で、多孔質体含有繊維層の両面で繊維層と接していることが好ましい。ここで、接するとは、層間が明瞭で2つの層が接している状態だけでなく、層間が明瞭でない場合、例えば上述したように第一の合成繊維が一体連続的に存在している状態であってもよい。また、少なくとも1つの面で接する状態とは、複合層の横断面において上側および/又は下側に繊維層が存在する状態をいう。層間の認定は実施例に記載の方法で確認できる。また、繊維層や多孔質体含有繊維層の枚数は特に限定されない。
このとき、繊維層の厚みXと多孔質体含有繊維層の厚みYとの比(X/Y)は、0.05~0.20である。0.05以上とすることにより、繊維層が合繊綿層を固定する効果を発揮し、中綿としての一体性、すなわち取り扱い性が向上する。一方で、合繊綿層の側地内への充填を阻害しない範囲として0.20以下であり、好ましくは0.15以下である。また、合繊綿層を吹き込み充填する場合には、0.10以下とすることが好ましい。厚みの比は、実施例記載の方法で得られた値を指す。なお、繊維層や多孔質体含有層が複数ある場合は、合繊綿層と接しうる複合層の外層にある少なくとも1つの繊維層の厚みをXとし、その繊維層に接する少なくとも1つの多孔質体含有繊維層の厚みをYとして、厚みの比(X/Y)を求める。厚みの比(X/Y)を複数とりうる場合は、そのうち少なくとも1つにおいて、本発明の範囲とする。例えば、繊維層La/多孔質体含有繊維層Lb/繊維層Lc/多孔質含有繊維層Ldの4層構造の場合、合繊綿層と接しうる繊維層Laの厚みをXとし、多孔質含有繊維層Lbの厚みをYとする。本発明においては複合層が、繊維層Le/多孔質含有繊維層Lf/繊維層Lgの3層構造であると、中綿として合繊綿層がない場合にも繊維層により柔軟な着用感が得られるため好ましい。このとき、繊維層Leと繊維層Lgの少なくとも一方の厚みをXとするが、それぞれにおいて本発明の厚みとすることで、柔軟な着用感が得られやすく好ましい。
繊維層が厚みのバラツキ、すなわち凹凸を有すると、合繊綿層を保持する効果を向上できるため好ましい。
本発明において複合層の厚みは、5~30mmであることが好ましい。複合層や多孔質体含有繊維層が複数ある場合でも、すべての和が5~30mmであることが好ましい。厚みが5mm以上であることで、繊維基材の露出する厚みも大きくなるため、手で圧縮した場合に柔軟性を感じ易くなり、かつ中綿として十分な保温性が得られる。一方で、中綿として使いやすい等の観点からは、複合層の厚みは30mm以下であることが好ましく、20mm以下とすることがより好ましく、15mm以下とすることがさらに好ましい。なお、本発明でいう複合層の厚みとは、実施例記載の方法で得られた値を指す。
本発明における複合層は、優れた保温性と快適性との両立という観点から、見かけ密度が0.010g/cm以下であることが好ましい。低密度であるほど快適性が向上するため、0.009g/cm以下がより好ましく、0.006g/cm以下がさらに好ましい。下限は特に限定されないが、現実的な範囲として0.001g/cm以上である。
本発明においては、複合層と合繊綿層とを有することにより、多孔質体の優れた保温性と、合繊綿の柔軟触感等による快適性とを両立した中綿とすることができる。合繊綿層としては、公知のものが使用でき、例として短繊維不織布からなるシート綿、短繊維からなる粒綿や粒綿をバインダー等で接着したシート成型品、長繊維の嵩高加工糸およびそのカットヤーン、スパンレイドまたはスパンボンド不織布等が挙げられる。この中でシート綿、粒綿やそのシート成型品および長繊維嵩高加工糸が低密度で嵩高く、かつ柔軟触感や圧縮回復等の点で好ましい。また、側地内に充填する際や縫製時の取り扱い性の点では、シート綿、粒綿のシート成型品がより好ましく、繰返し洗濯すること等による性能低下を抑制する観点でシート綿であることがさらに好ましい。
本発明の合繊綿層は、主に触感に関して効果を発現する部分となるため、複合層の全面にムラなく配置することが好適である。また、一般の綿の見かけ密度は0.003~0.020g/cmの範囲であるが、本発明における合繊綿層は、見かけ密度が0.010g/cm以下であることが触感等の快適性の観点で好ましい。また、合繊綿層としても多孔質体含有繊維層と同様、密度の低いことが好適であり、見かけ密度が0.009g/cm以下がより好ましく、0.006g/cm以下がさらに好ましい。下限は特に限定されないが、現実的な範囲として0.001g/cm以上である。なお、本発明でいう多孔質体含有繊維層と合繊綿層の見かけ密度とは、実施例記載の方法で得られた値を指す。
本発明の繊維製品は、上記した中綿を少なくとも一部に含むものであり、上記した中綿を含むことで変形回復性、保温性、性能低下の抑制に優れる繊維製品とすることができる。中綿を含む繊維製品については、例えば側地でできた袋状構造体に中綿を充填したもの、側地と中綿を縫製したもの、側地と中綿を積層し絡合もしくは接着したもの等が挙げられる。繊維製品の例として、一般衣料から、スポーツ衣料、衣料用の資材、掛布団や敷布団、薄地ブランケット等の寝具や寝袋、カーペット、ソファー、カーテンなどのインテリア製品、カーシート等の車輌内装品等が挙げられる。中でも衣料や寝具が好適である。
本発明の中綿においては、繊維層と合繊綿層とを機械的絡合やバインダー等で接着することによる一体化を行うこともできるが、必ずしも必要としない。すなわち、本発明においては、複合層と合繊綿層を上下に重なるように配置したり、同時に吹き込み充填して混在させたりする等によって、一体化することができる。これにより、繊維製品とする際の取り扱い性や、製品の使用による経時での性能低下を抑制できる点で好ましい。また、縫製等に制限がないため、デザインの自由度が高まる効果も期待できる。機械的絡合やバインダー等の一体化を減らし、実質的にない方がより好ましい。本発明においては、繊維層が合繊綿層との一体性を高めることができるため、繊維層を介して多孔質体含有繊維層と合繊綿層が一体化した中綿となる。この一体化は、必ずしも中綿の製造時から存在する場合に限定されず、例えば繊維製品とする際や繊維製品を使用中に形成しても良い。
次に、本発明の中綿における多孔質体含有繊維層の製造方法の好ましい一例を説明するが、これに限定されるものではない。
合繊綿層として例示される、短繊維不織布からなるシート綿、短繊維からなる粒綿や粒綿をバインダー等で接着したシート成型品、長繊維の嵩高加工糸およびそのカットヤーン、スパンレイドまたはスパンボンド不織布等、についてはそれぞれ公知の手法で製造することができる。
多孔質体含有繊維層は、織物、編物、不織布等に例示される繊維基材に、多孔質体を形成する樹脂を含浸して製造することが好ましい。繊維基材は従来公知の方法で製造することができる。また、含浸させる方法としては、繊維基材に対して発泡成分を含有した樹脂溶液を吹き付けて発泡させる、または含浸させた後に熱処理して発泡させる、ウレタン系樹脂やポリアクリロニトリル系樹脂溶液を含浸させた後に貧溶媒で凝固させた後、熱処理することで多孔質体を形成する等の方法を採用できる。
本発明の中綿における、繊維層の厚みXと多孔質体含有層の厚みYの厚みの比(X/Y)や、複合層の厚みは、上記の繊維層に用いる第一の合成繊維の単糸繊度や繊維基材の見かけ密度の増減により調整可能である。また、第一の合成繊維の捲縮程度や繊維層の交絡を少なくすることで厚みを増加することができる。
本発明の中綿における各層の見かけ密度は、例えば上述した繊維基材の密度を下げることや、多孔質体を形成する樹脂の濃度および繊維基材に対する含有量を下げることにより、低くすることができる。
本発明の中綿における多孔質体の平均孔径の調整は、孔の形成方法により異なるが、例えば多孔質体を形成する樹脂の濃度や繊維基材に対する含有量、発泡剤の含有量、発泡温度等の熱処理条件による発泡倍率、等により調整することができる。また、凝固浴の溶媒濃度を段階的に低下させる等によって緩やかに凝固させることで、平均孔径を小さくすることもできる。この方法により、急激な凝固により発生し易い粗大孔の発生も抑制することができるため、比較的均一な孔径を有する多孔質体を形成できる。
本発明において、繊維層と多孔質体含有繊維層からなる複合層は、一体として製造することが好ましい。すなわち、多孔質体含有繊維層を製造する際に、少なくとも一方の面に繊維を露出させて繊維層とすることが好ましい製造方法である。例えば、繊維基材に樹脂溶液を含浸させた後に、吊り下げる等によって非接触の状態として、多孔質体形成樹脂の粘性を利用して繊維基材内部に凝集さる。その後、熱処理して多孔質体を形成させることにより、複合層を製造することができる。湿式凝固を用いた連続プロセスにおいては、含浸浴等で樹脂溶液を含浸した後、例えば、繊維基材を非接触で上下方向に走行させる区間を設けることで、繊維基材内部に凝集させ、多孔質体の配置を制御することができる。この製造方法を採用する場合、繊維基材としては見かけ密度が0.009g/cm以下のものが好ましく採用される。また、多孔質体形成樹脂については、樹脂溶液の粘度を1~20Pa・sの範囲に調整した樹脂溶液を用いることが好ましい。
本発明の中綿における複合層を連続プロセスで製造する際は、樹脂溶液の粘度が高いほど、含浸工程通過中に繊維基材の形態が崩れやすくなるため、繊維基材の両側に基布を配置して繊維基材を挟み込む等の工程通過性を安定させる方法も採用できる。この場合、樹脂を含浸した後に基布を外してから、樹脂溶液を凝集させるプロセスを通過させると良い。
樹脂含浸した繊維基材は熱処理して孔を形成させることもできるが、繊維基材を構成する繊維の機械的特性が低下しない範囲の温度で適宜調整することが好ましい。また、熱処理後の複合層は、多孔質体を潰さないように回収することが好ましく、例えば、シート状の綿として出てきた複合層をつづら折りして折り畳んで回収する、一定長さ分をカットして積み重ねて回収する等の方法が、好ましい製造方法として挙げられる。
繊維製品とするには、複合層と合繊綿層を上下に重なるように配置して充填した後縫製する方法、複合層を先に側地内に充填しておき、その上に合繊綿を吹き込み充填して縫製する方法、複合層をカットして、粒状綿等と同時に吹き込み充填して縫製する方法等を採用できる。合繊綿層と併せた中綿として充填した後、縫製して繊維製品を得ることができる。
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。ただし、本発明はこれらの実施例の記載のみに限定されるものではない。
A.繊維の特性評価:単糸繊度、繊維長、捲縮数、中空率
第一の合成繊維および第二の合成繊維の各種繊維特性については、以下の方法で測定した。
・単糸繊度(dtex)
JIS L 1015:2010の8.5.1記載の方法に準じて測定し、単糸あたりの繊度を算出した。
・繊維長(mm)
JIS L 1015:2010の8.4.1記載のA法(ステープルダイヤグラム法)に準じて測定した。
・捲縮数(山/25mm)
JIS L 1015:2010の8.12.1記載の方法に準じて測定した。
・中空率(%)
繊維断面が観察できるように切削した試料を用意し、その繊維断面を電子顕微鏡(SEM)で10本以上の繊維の断面が観察できる倍率で撮影した。撮影した画像から無作為に選定した10本の繊維を抽出して、画像処理ソフトを用いて繊維及び中空部分の円相当径を測定し、そこから中空部の面積比率を算出して中空率(%)とした。
B.繊維層の厚みXと多孔質体含有繊維層の厚みYとの比(X/Y)および複合層の厚み
複合層の横断面を切り出し、垂直面を有した試料台(図2の6)に、横断面を観察方向(図2の矢印7の方向)に向けて設置した。その後、複合層を試料台垂直面に指で軽く押し当て、30分放置し、複合層の形状を回復させた。この試料を株式会社キーエンス製マイクロスコープSEM(“VHX-6000”、“VHX-D510”組み込み)にて観察倍率30倍で撮像した。装置の計測モードで平行線の線間距離計測を選択し、撮影した画像において、試料台垂直面に線(L0)を引き、ここから試料台反対側の複合層における繊維層の最も外層に突出した単繊維の先端(横断面における最上部)に平行線を引き、基準線(L1)を設定した。この基準線(L1)から最も外層(すなわち横断面における最上部)に位置する多孔質体表面まで、平行移動させた線(L2)を設定し、L1とL2の平行線間距離を繊維層の厚みとして計測した。もう一方の面についても同様に繊維層の厚みを計測して、この操作を切り出し面5箇所について同様に実施し、合計10点の平均値を算出して整数にまとめ、繊維層の厚みXとした。また、横断面における多孔質体の最上部と最下部の平行線間距離を多孔質体含有繊維層の厚みとした。切り出し面5箇所の平均値を算出して整数にまとめ、多孔質体含有繊維層の厚みYとした。
このようにして求めた繊維層の厚みXと多孔質体含有繊維層の厚みYから、XとYの比(X/Y)を算出し、小数点第2位までの値にまとめた。また、複合層の厚み(mm)を整数でもとめた。
C.複合層および合繊綿層の見かけ密度
10cm角で切り出した試料について、Bの測定方法にて求めた複合層の厚みと、試料の重量を測定して見かけ密度(g/cm)を求め、小数点第3位までの値にまとめた。
合繊綿層は、シート状の試料については、JIS L 1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の「8.4 厚さ」の「a)A法(JIS法)」に準じ、複合層の厚み方向が垂直となるように無荷重で置き、側面からノギスを用いて繊維層や多孔質体含有繊維層を押しつぶさないように厚み(mm)を計測し、見かけ密度の算出に用いた。
また、合繊綿層が粒状綿のような不定形な試料である場合は、φ10cmのアクリル筒に試料5gを充填し、荷重が0.15g/cmとなるよう調整した円盤を載せて1分放置後の試料高さ(cm)を計測して試料の体積(cm)を求め、充填した試料重量と体積とから見かけ密度を算出した。
D.多孔質体の平均孔径
複合層の横断面を切り出し、株式会社キーエンス製マイクロスコープSEM(“VHX-6000”、“VHX-D510”組み込み)にて観察倍率300倍で撮像した。得られた横断面写真において、多孔質体含有繊維層における多孔質体を形成する樹脂により囲まれた空孔に対して画像解析にて内接円を描き、内接円の直径を求めた。この空孔観察を1断面あたり10箇所行い、この操作を切り出し面5箇所について実施して、合計50箇所の内接円直径の平均を平均孔径(μm)とし、整数にまとめた。
E.保温性
多孔質体含有繊維層と合繊綿層を併せた中綿として、10cm角に切り取り、10cm角の充填スペースを設けた厚み15mmの発泡スチロール製の充填枠(充填スペース下面にPETスクリーン紗を貼ったもの)に入れた。その後、合繊綿層を上に重ねて、充填スペースの上面側もPETスクリーン紗を貼って閉じ、保温性評価用の試料を調整した。
この試料をカトーテック株式会社製の“KES-F7サーモラボ試験機”を用い、風洞部分の風速30cm/sec、環境温度25℃、熱板温度40℃の条件で保温性を評価した。具体的には、熱板部分(10cm角)に、前記試料の充填スペース部(10cm角)を合せて設置して15分放置した後、試料を介して放散された熱量(a)と、試料をセットしない状態で放散された熱量(b)を求め、下記の式に従い保温率(%)を算出した。
・保温率(%)=(1-a/b)×100
続いて、各実施例の中綿重量に合わせてASTM D4522-14に準じて測定されたフィルパワーが640inch/30gの羽毛(ダウン90%/フェザー10%)を秤量して同様に評価を行い、同寸法、同重量における羽毛の保温率を本発明において保温性100%とし、これに対する相対比較で保温性(%)を算出して整数にまとめた。
F.中綿の触感
44dtexのナイロンタフタを側地(表地および裏地)として用い、10cm角で切り出した中綿を充填、縫製して小座布団を作製した。この小座布団を手でゆっくりと圧縮した時の指を包み込むような圧縮変形挙動と、手を離した時の回復時の戻りの柔らかさ(緩慢な回復変形挙動)から、下記の3段階で評価した。
・○(良) :しなやかで柔軟性が良好な風合い。
・△(可) :しなやかで柔軟性を感知できる風合い。
・×(不可):しなやかで柔軟性に乏しい風合い(反発感)。
G.中綿の取り扱い性(中綿の一体性)
上記Fの評価で用いた小座布団について、手で圧縮しながら横方向に擦るように触った時の触感および触った後の小座布団の外観から、中綿の一体性について評価し、これを中綿の取り扱い性として、下記の3段階で評価した。
・〇(良) :中綿を構成する層の剥離感や外観変化がなく、一体性を保持。
・△(可) :中綿を構成する層の剥離感はなく、触った後に綿の偏りは見られるが、元の形態に戻る。
・×(不可):中綿を構成する層の剥離感があり、触った後に元の形態に戻らない。
[実施例1]
極限粘度(IV)が0.65dl/gのポリエチレンテレフタレートを用いて、紡糸温度285℃、引取り速度1350m/分、紡糸口金直下で公知の非対称冷却処理を行なって紡糸した。引き続いて延伸した後、市販のジメチルポリシロキサンを主成分とするシリコン樹脂液を噴霧器で均一に付着させ、熱処理、固着させて撥水性樹脂を付与された繊維を製造し、これをカットして短繊維(F1)を得た。得られた短繊維は、繊維長64mm、単糸繊度14dtexの中空繊維(中空率34%)であり、捲縮数は2~3山/25mmの比較的大きな捲縮を有するものであった。
この短繊維(F1)をカード機により開綿した後、クロスレイヤーによって不織布の長さ方向に対して交差させた基材を供給し、ニードルパンチを行って見かけ密度0.007g/cmの短繊維不織布のシート(S1)を得た。
多孔質体含有繊維層の多孔質体を形成する樹脂として、三洋化成工業株式会社製“サンプレンLQ-T1508”を用い、ポリウレタン樹脂濃度が5wt%となるようにジメチルスルホキシドを加えて希釈し、ポリウレタン樹脂溶液を調整した。
このポリウレタン樹脂溶液に先に得たシート(S1)を20cm角で切り出した試料を浸漬して樹脂を含浸した後、ジメチルホルムアミド(以下、DMF)濃度70wt%の凝固溶液に浸漬してから、クリップで挟んで3分吊り下げて放置した。続いてDMF濃度30wt%の凝固溶液に浸漬し、次に水に浸漬して凝固させた。
このようにして得られた試料を120℃で熱風乾燥し、繊維層と多孔質体含有繊維層からなる複合層(C1)を作製した。
この複合層(C1)の見かけ密度は0.008g/cm、厚みは8mmであり、嵩高く、軽量なものであった。繊維層の厚みXと多孔質体含有繊維層の厚みYの比(X/Y)は0.11で、表層には繊維基材がループ状に露出した部分が多く見られた。また、多孔質体の平均孔径は115μmで、半連続気泡を形成していた。
先に作成したシート(S1)を合繊綿層として用い、これと複合層(C1)とを併せて中綿とした。保温性は109%であり、羽毛を超える保温性を有していた。
また、触感については、しなやかで柔軟性が良好な風合いであった。さらに、中綿の取り扱い性については、中綿を構成する層の剥離感や外観変化がなく、一体性を保持していたことから、取り扱い性に優れるものであった。評価の結果を表1に示す。
[実施例2]
合繊綿層として単糸繊度3dtex、繊維長32mmの短繊維を粒綿加工機に通して得た粒綿(見かけ密度0.006g/cm)を用い、これと実施例1で得た複合層(C1)を組み合わせて、中綿を作製して評価した。
保温性は、106%であり、羽毛を超える保温性を有していた。また、触感については、しなやかで柔軟性が良好な風合いであり、実施例1よりも触感の柔らかいものであった。さらに、中綿の取り扱い性については、中綿を構成する層の剥離感はなく、触った後に綿の偏りは見られたものの、元の形態に戻っており、粒綿が複合層(C1)の上に安定して固定されていた。評価の結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1のシート(S1)において、短繊維(F1)の代わりに繊維長64mm、単糸繊度6dtexの中空繊維(中空率32%)であり、捲縮数4山/25mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(F2)を用い、見かけ密度0.007g/cmの短繊維不織布からなるシート(S2)を得た。このシート(S2)を多孔質体含有繊維層の繊維基材として用い、実施例1と同様の方法で繊維層と多孔質体含有繊維層からなる複合層(C2)を作製した。
この複合層(C2)の見かけ密度は0.009g/cm、厚みは6mmであり、実施例1と比較して嵩高性は低下していたが、多孔質体の微細孔の平均孔径は124μmであり半連続気泡を形成していた。この複合層(C2)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で中綿を作製して評価した。
保温性は、102%であり、羽毛を超える保温性を有していた。また、触感については、繊維層の厚みが小さいため、多孔質体含有繊維層の触感を感じ易いものであったが、しなやかで柔軟性を感知できる風合いであった。さらに、中綿の取り扱い性については、中綿を構成する層の剥離感や外観変化がなく、一体性を保持していたことから、取り扱い性に優れるものであった。評価の結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1で用いた短繊維(F1)をカード機により開綿する際に、時間当たりの短繊維投入重量を実施例1に対して2/3に減らし、クロスレイヤーによって不織布の長さ方向に対して交差させた基材を供給し、ニードルパンチを行って見かけ密度0.004g/cmの短繊維不織布のシート(S3)を得た。このシート(S3)を多孔質体含有繊維層の繊維基材として用い、実施例1と同様の方法で繊維層と多孔質体含有繊維層からなる複合層(C3)を作製した。
この複合層(C3)の見かけ密度は0.006g/cm、厚みは10mmであり、実施例1と比較して嵩高性が高いものであった。また、多孔質体の微細孔の平均孔径は144μmであり半連続気泡を形成していた。この複合層(C3)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で中綿を作製して評価した。
保温性は、105%であり、羽毛を超える保温性を有していた。また、触感については、繊維層の厚みも大きく、しなやかで柔軟性が良好な風合いであった。さらに、中綿の取り扱い性については、中綿を構成する層の剥離感や外観変化がなく、一体性を保持していたことから、取り扱い性に優れるものであった。評価の結果を表1に示す。
[比較例1]
ASTM D4522-14に準じて測定されたフィルパワーが640inch/30gの羽毛(ダウン90%/フェザー10%)のみを中綿として用い、実施例1と同様の方法で各評価を行った。保温性は100%であり、触感については、しなやかで柔軟性が良好な風合いであった。また、中綿の取り扱い性については、中綿に層が無いため剥離感は無かったが、触った後、そのまま放置した状態では元の形態に戻らなかったため、×と評価した。評価の結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1の多孔質体含有繊維層に用いたシート(S1)のみを中綿として用い、実施例1と同様の方法で各評価を行った。保温性は76%で、羽毛よりも低いものであった。一方、触感については、しなやかで柔軟性が良好な風合いであった。また、中綿の取り扱い性については、中綿を構成する層の剥離感や外観変化がなく、一体性を保持していたことから、取り扱い性に優れるものであった。評価の結果を表1に示す。
[比較例3]
水系ポリウレタン樹脂エマルジョン(日華化学株式会社製“エバファノールHA-107C”)と、熱膨張性マイクロカプセル(松本油脂株式会社製“マツモトマイクロスフェアーFN-105D”)を2.5wt%となるように混合した樹脂溶液を調整し、実施例1と同様の方法で得たシート(S1)に含浸させた。続いて、120℃で熱処理を行うことで、熱膨張性マイクロカプセルを繊維基材内に固定した後、180℃で熱処理を行って発泡させ、多孔質体含有繊維層を作製した。この際、多孔質体含有繊維層から繊維は露出しておらず、繊維層にあたる部分は見られなかった。次に、合繊綿層として、実施例1と同様の方法で得たシート(S1)を用い、実施例1と同様の方法で各評価を行った。この中綿の保温性は101%で、羽毛より優れていた。触感については、合繊綿層の柔軟性はあるものの、多孔質体含有繊維層に至ったところで硬く、反発感があり、中綿としてはしなやかで柔軟性に乏しい風合いであった。また、中綿の取り扱い性については、中綿を構成する層が剥離する感触があり、触った後に剥離して浮いた状態のまま元の形態に戻らない部分があり、×と評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1のシート(S1)において、短繊維(F1)の代わりに繊維長64mm、単糸繊度3dtexの中空繊維(中空率30%)であり、捲縮数6山/25mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(F3)を用い、見かけ密度0.013g/cmの短繊維不織布からなるシート(S4)を得た。このシート(S4)を多孔質体含有繊維層の繊維基材として用い、実施例1と同様の方法で繊維層と多孔質体含有繊維層からなる複合層(C4)を作製した。
この複合層(C4)の見かけ密度は0.019g/cm、厚みは4mmであり、実施例1と比較して嵩高性は低下していた。多孔質体の微細孔の平均孔径は36μmであり、独立気泡を形成したものであった。また、複合層(C4)は繊維層の厚みXと多孔質体含有繊維層の厚みYの比(X/Y)が0.03と小さく、大部分が多孔質体含有繊維層を形成していた。この複合層(C4)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で中綿を作製して評価した。
保温性は、69%であり、羽毛に大きく劣るものであった。また、触感については、多孔質体含有繊維層の触感を感じ易く反発感があり、しなやかで柔軟性に乏しい風合いであった。さらに、中綿の取り扱い性については、中綿を構成する層が剥離する感触があり、触った後に剥離して浮いた状態のまま元の形態に戻らない部分があり、×と評価した。評価の結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例1のシート(S1)において、短繊維(F1)の代わりに繊維長84mm、単糸繊度22dtexの中空繊維(中空率34%)であり、捲縮数1~2山/25mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(F4)を用い、見かけ密度0.010g/cmの短繊維不織布からなるシート(S5)を得た。このシート(S5)を多孔質体含有繊維層の繊維基材として用い、実施例1と同様の方法で繊維層と多孔質体含有繊維層からなる複合層(C5)を作製した。
この複合層(C5)の見かけ密度は0.012g/cm、厚みは14mmであり、実施例1と比較して嵩高性は向上していたが、シート(S5)の絡合が弱く、形態安定性は低いものであった。多孔質体の微細孔の平均孔径は390μmであり、半連続気泡を形成していたが、部分的に脱落が見られた。また、複合層(C5)は繊維層の厚みXと多孔質体含有繊維層の厚みYの比(X/Y)が0.40と大きいものであった。この複合層(C5)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で中綿を作製して評価した。
保温性は78%であり、羽毛に対して大きく劣るものであった。また、触感については、繊維層を構成する繊維の触感が硬く、この影響による反発感があり、しなやかで柔軟性に乏しい風合いであった。さらに、中綿の取り扱い性については、中綿を構成する層が剥離する感触および複合層(C5)自体が崩れる感触があり、×と評価した。評価の結果を表1に示す。
[比較例6]
実施例1のシート(S1)において、短繊維(F1)の代わりに繊維長64mm、単糸繊度6dtexであり、クリンパーで機械捲縮付与した捲縮数10山/25mmの中空部を持たないポリエチレンテレフタレート短繊維(F5)を用い、見かけ密度0.012g/cmの短繊維不織布からなるシート(S6)を得た。このシート(S6)を多孔質体含有繊維層の繊維基材として用い、実施例1と同様の方法で繊維層と多孔質体含有繊維層からなる複合層(C6)を作製した。
この複合層(C6)の見かけ密度は0.014g/cm、厚みは6mmであり、実施例1と比較して嵩高性が低下していた。多孔質体の微細孔の平均孔径は200μmであり、半連続気泡を形成していたが、樹脂の含有ムラが多いものであった。また、複合層(C6)は繊維層の厚みXと多孔質体含有繊維層の厚みYの比(X/Y)が0.02と小さいものであった。この複合層(C6)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で中綿を作製して評価した。
保温性は80%であり、羽毛に対して大きく劣るものであった。また、触感については、繊維層がほとんどないために触感が硬く、しなやかで柔軟性に乏しい風合いであった。さらに、中綿の取り扱い性については、中綿を構成する層が剥離する感触があり、×と評価した。評価の結果を表1に示す。
Figure 2022129530000001
1 中綿
2 複合層
3 合繊綿層
4 多孔質体含有繊維層
5 繊維層
6 垂直面を有した試料台
7 観察方向
8 試料台垂直面の線(L0)
9 繊維層表層の基準線(L1)
10 多孔質体表層の線(L2)
11 繊維層と多孔質体含有繊維層で構成された複合層の厚み
12 複合層における繊維層の厚みX
13 複合層における多孔質体含有繊維層の厚みY
14 多孔質体
15 第一の繊維

Claims (8)

  1. 複合層と合繊綿層とを有する中綿であって、前記複合層は第一の合成繊維を含む繊維層と、前記第一の合成繊維と多孔質体とを含む多孔質体含有繊維層とを有し、前記合繊綿層は第二の合成繊維を含み、前記第一の合成繊維が中空繊維であり、前記複合層における前記繊維層と前記多孔質体含有繊維層とは少なくとも一部で接し、前記繊維層の厚みXと前記多孔質体含有繊維層の厚みYとの比(X/Y)が0.05~0.20である中綿。
  2. 前記複合層の厚みが5~30mmである請求項1に記載の中綿。
  3. 前記第一の合成繊維の単糸繊度が5~20dtexである請求項1または2に記載の中綿。
  4. 前記多孔質体の平均孔径が50~300μmである請求項1~3のいずれかに記載の中綿。
  5. 前記複合層の見かけ密度が0.010g/cm以下である請求項1~4のいずれかに記載の中綿。
  6. 前記合繊綿層の見かけ密度が0.010g/cm以下である請求項1~5のいずれかに記載の中綿。
  7. 前記中綿がシート状である請求項1~6のいずれかに記載の中綿。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の中綿を少なくとも一部に含む繊維製品。
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