JP2022124384A - 植物細胞で発現した組み換え骨形成タンパク質4およびその製造方法 - Google Patents

植物細胞で発現した組み換え骨形成タンパク質4およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】再生医療用のゼノフリー(Xeno-Free、異種由来成分不含)培地に使用できる品質のBMP4を製造する方法を提供する。【解決手段】特定のアミノ酸配列からなるタンパク質の二量体、別の特定のアミノ酸配列からなるタンパク質の二量体、及び、前記特定のアミノ酸配列からなるタンパク質と前記別の特定のアミノ酸配列からなるタンパク質の二量体からなる群より選択されるいずれか1つの構造を有する骨形成タンパク質4の製造方法であって、工程(1)~(3)を含む:(1)特定のアミノ酸配列からなるヒト骨形成タンパク質4のプレプロタンパク質をコードするDNAを含む発現ベクターが導入されたアグロバクテリウム形質転換体を植物又は植物細胞に感染させる工程、(2)アグロバクテリウム形質転換体が感染した植物を栽培する、又は、植物細胞を培養する工程、及び、(3)植物又は植物培養細胞から骨形成タンパク質4を精製する工程。【選択図】なし

Description

本発明は、植物細胞で発現した組み換え骨形成タンパク質4およびその製造方法に関するものである。
骨形成タンパク質(Bone Morphogenetic Protein、以下「BMP」と記す)はTGF-βファミリーに属するサイトカインの一種であり、胚細胞から骨細胞への分化を誘導に関与する。現在BMPという名前で呼ばれるタンパク質は14種あり、なかでもBMP4は骨や軟骨以外にも肝臓や心筋形成などにも作用することが知られており、多能性幹細胞を中胚葉に分化誘導する際に必要な因子であることが明らかになっている。
再生医療に適用する細胞培養には、病原性物質、毒性物質の混入がない生産システムが望まれている。これまでは、再生医療に関わる増殖因子の生産には動物細胞や大腸菌が用いられてきたが、動物細胞による生産では、ヒトに有害の可能性があるウイルス等の混入の問題があり、大腸菌では糖鎖などの翻訳後修飾が適切に起こらない等の問題があった。
植物によるBMPの製造については、例えば非特許文献1-3などに報告されている。
Suo et al., Plant Cell Reports 25, 689 697 (2006) Queiroz et al., Transgenic Research 28, 213 224 (2019) Gao et al., Acta Genetica Sinica 33, 56 62 (2006)
本発明は、再生医療用のゼノフリー(Xeno-Free、異種由来成分不含)培地に使用できる品質のBMP4を製造する方法を提供することを課題とする。また、天然型ヒトBMP4と異なる構造を有するゼノフリー培地用BMP4を提供することを課題とする。
本願発明は、上記の課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1]配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の二量体、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の二量体、および、配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の二量体からなる群より選択されるいずれか1つの構造を有する骨形成タンパク質4。
[2]さらに植物由来のN型糖鎖が付加された構造を有する、前記[1]に記載の骨形成タンパク質4。
[3]ゼノフリー培地用である、前記[1]または[2]に記載の骨形成タンパク質4。
[4]前記[3]に記載の骨形成タンパク質4の製造方法であって、以下の工程(1)~(3)を含む製造方法:
(1)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるヒト骨形成タンパク質4のプレプロタンパク質をコードするDNAを含む発現ベクターが導入されたアグロバクテリウム形質転換体を植物または植物細胞に感染させる工程、
(2)アグロバクテリウム形質転換体が感染した植物を栽培する、または植物細胞を培養する工程、および
(3)植物または植物培養細胞から骨形成タンパク質4を精製する工程。
[5]工程(3)において、粗抽出、次に陰イオン交換クロマトグラフィー、次に陽イオン交換クロマトグラフィー、次にアフィニティークロマトグラフィーが行われる、前記[4]に記載の製造方法。
[6]工程(3)において用いられる緩衝液が、アルギニンおよび塩化ナトリウムを含むトリス/塩酸緩衝液である、前記[5]に記載の製造方法。
[7]以下の工程(i)~(iv)を含む、植物に発現させた組み換えタンパク質の精製方法:
(i)粗抽出を行う工程、
(ii)陰イオン交換クロマトグラフィーを行う工程、
(iii)陽イオン交換クロマトグラフィーを行う工程、および
(iv)アフィニティークロマトグラフィーを行う工程。
[8]工程(ii)、(iii)および(iv)において用いられる緩衝液が、アルギニンおよび塩化ナトリウムを含むトリス/塩酸緩衝液である、前記[9]に記載の精製方法。
本発明により、再生医療用のゼノフリー培地に使用できる品質のBMP4を製造する方法を提供することができる。また、天然型ヒトBMP4と異なる構造を有するゼノフリー培地用BMP4を提供することができる。
ヒトBMP4プレプロタンパク質のアミノ酸配列(配列番号1)におけるシグナルペプチド、プロペプチドおよび成熟ペプチドの構造を示す図である。 BMP4発現ベクターの構造を示す図である。 精製した組み換えBMP4を確認した結果を示す図であり、(A)がSDS-PAGEのゲルを銀染色した結果、(B)がウエスタンブロッティングの結果である。 精製した組み換えBMP4が二量体を形成していることを確認したSDS-PAGEの結果を示す図である。 精製した組み換えBMP4のIn-gel digestion法によるペプチド断片についてnanoLC-MS/MS解析を行った結果を示す図であり、(A)は30.9-31.1分の溶出位置に出てきたペプチド由来の質量電荷比(m/z)を示し、(B)は27.5-27.9分の溶出位置に出てきたペプチド由来の質量電荷比(m/z)を示す。 精製した組み換えBMP4についてPNGase A処理による糖鎖解析を行った結果を示す図である。 精製した組み換えBMP4を用いて、ヒトiPS細胞を心筋細胞に分化誘導した結果を示す図である。 BMP4を用いずに、ヒトiPS細胞を心筋細胞に分化誘導した結果を示す図である。
〔植物を用いたBMP4の製造方法〕
本発明は、植物を用いたBMP4の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と記す)を提供する。本発明の製造方法は、以下の工程(1)~(3)を含むものであればよい。
(1)配列番号1で示されるヒトBMP4のプレプロタンパク質をコードするDNAを含む発現ベクターが導入されたアグロバクテリウム形質転換体を植物または植物細胞に感染させる工程、
(2)アグロバクテリウム形質転換体が感染した植物を栽培する、または植物細胞を培養する工程、および
(3)植物または植物培養細胞からBMP4を精製する工程。
工程(1)は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるヒトBMP4のプレプロタンパク質をコードするDNAを含む発現ベクターが導入されたアグロバクテリウム形質転換体を植物または植物細胞に感染させる。配列番号1で示されるアミノ酸配列は、ヒトBMP4の前駆体であり、シグナルペプチドとプロペプチドを含むアミノ酸配列である(例えば、NCBIアクセッション番号:NP_001334843.1)。配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列は、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列であれば特に限定されないが、例えば、NCBIアクセッション番号:NM_001347914.2として登録されている塩基配列(配列番号2)の128位~1354位などが挙げられる。
発現ベクターは、植物細胞内で発現を可能とするプロモーターと、上記配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードするDNAを含むように構築する。本発明の製造方法では、発現ベクターをアグロバクテリウムに導入するため、アグロバクテリウムのTiプラスミドやRiプラスミド由来のT-DNAを含むバイナリーベクターまたは中間ベクターを用いることができる。T-DNAを含むバイナリーベクターはpBI系のバイナリーベクターであってもよい。pBI系のバイナリーベクターとしては、例えば、pBIG、pBIN19、pBI101、pBI121等が挙げられる。
植物細胞内で導入した遺伝子を発現させることが可能なプロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(CaMV35S)、各種アクチン遺伝子プロモーター、各種ユビキチン遺伝子プロモーター、ノパリン合成酵素遺伝子プロモーター、タバコPR1a遺伝子プロモーター、ナピン遺伝子プロモーター、オレオシン遺伝子プロモーター等が挙げられる。
発現ベクターは、さらに他のDNAセグメントを含んでいてもよい。他のDNAセグメントは特に限定されるものではないが、例えば、ターミネーター、選別マーカー、エンハンサー等を挙げることができる。転写ターミネーターは転写終結部位としての機能を有していれば特に限定されるものではなく、公知のものを好適に用いることができる。例えば、HSP(Heat Shock Protein)遺伝子由来のターミネーターなどが挙げられる。形質転換体選別マーカーとしては、例えば薬剤耐性遺伝子を用いることができる。具体的には、例えば、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、クロラムフェニコール等に対する薬剤耐性遺伝子が挙げられる。
アグロバクテリウムへの発現ベクターの導入には、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法等の公知の方法を用いることができる。アグロバクテリウム形質転換体を植物に感染させる方法は特に限定されないが、例えば、アグロインフィルトレーションが挙げられる。アグロインフィルトレーションには、発現ベクターが導入されたアグロバクテリウム形質転換体を、植物組織への浸潤に適した緩衝液に懸濁したものを用いることができる。アグロバクテリウム形質転換体の懸濁液の濁度は、OD600が0.05~5であってもよく、0.1~2であってもよく、0.2~1であってもよい。アグロバクテリウム形質転換体の懸濁液は、適宜成分等が検討された緩衝液等を含む溶液から成り立っていてもよい。
使用する植物は、アグロバクテリウムに感染し得る植物であり、BMP4を発現し得る植物であれば、特に限定されない。例えば、タバコ、ジャガイモ、トマト等のナス科植物、ルッコラ、コマツナ、ミズナ、カラシナ、シロイズナズナ等のアブラナ科植物、チコリ、エンダイブ、アーティチョーク等のキク科植物、アルファルファ、リョクトウ、ダイズ等のマメ科植物、ホウレンソウ、テンサイ等のアカザ科植物、シソ、バジル等のシソ科植物、ミツバ等のセリ科植物、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ等のイネ科植物などが挙げられる。
中でも、ナス科植物が好ましく、タバコがより好ましい。タバコとしては、タバコ(Nicotiana tabacum)、ベンサミアナタバコ(N. benthamiana)、ハナタバコ(N. alata)、キダチタバコ(N. glauca)、ナガバナタバコ(N. longiflora)、ニコチアナ・ペルシア(N. persica)、ニコチアナ・ルスチカ(N. rustica)、ニコチアナ・シルベストシス(N. sylvestris)などが挙げられ、好ましくはベンサミアナタバコ(N. benthamiana)である。より好ましくは糖鎖修飾機能改変型ベンサミアナタバコである(Strasser R et al., Plant Biotechnol J. 2008 May;6(4):392-402)。
アグロインフィルトレーション法は当該技術分野において周知であり、本発明の製造方法では、公知のアグロインフィルトレーション法から適宜選択して用いることができる。
植物培養細胞は、上記の植物から公知の方法によって調製した培養細胞を用いることができる。公知の方法としては、例えば「植物培養細胞の変異と選抜(バイオテクノロジーシリーズ)、1985/4/1、山田康之:編、講談社、ISBN-10: 4061390058」に記載の方法、「植物バイオテクノロジー(現代化学・増刊5)、1986/4/25、山田 康之・岡田吉美:編、東京化学同人、ISBN-10: 4807902644」に記載の方法などが挙げられる。
植物培養細胞にアグロバクテリウム形質転換体を感染させる方法は特に限定されず、公知の方法を適宜選択して用いることができる。公知の方法としては、例えば、Sukenikらの方法(International Journal of Molecular Sciences 2018 Apr 16;19(4):1205)、Poborilovaらの方法(Plant Cell Reports https://doi.org/10.1007/s00299-020-02544-w)、Rademacherらの方法(Plant Biotechnology Journal (2019) 17, pp. 1560-1566)などが挙げられる。また、植物培養細胞とアグロバクテリウム形質転換体とを共存培養して感染させる方法を用いてもよい。
工程(2)において、アグロバクテリウム形質転換体が感染した植物を栽培する期間は特に限定されないが、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上であってもよい。また、栽培期間は、10日以下、9日以下、8日以下、7日以下、6日以下、5日以下であってもよい。この栽培期間に、アグロバクテリウム形質転換体が感染した植物内でBMP4が一過性に発現する。
栽培条件は特に限定されず、アグロバクテリウム形質転換体を感染させる前と同じ条件で栽培を行ってもよく、アグロバクテリウム形質転換体を感染させる前と異なる条件で栽培を行ってもよい。通常植物は、温度、照度、湿度、日照時間等が制御された温室内で栽培される。栽培温度は15~28℃であってもよく、20~25℃であってもよい。アグロバクテリウム形質転換体を感染させた後、高窒素濃度の液肥を施用することが好ましく、温度、日照時間、光量子束密度、密植性、光度や蒸散などの制御を変更することが好ましい。
工程(2)において、アグロバクテリウム形質転換体が感染した植物培養細胞を培養する期間は特に限定されないが、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上であってもよい。また、培養期間は、10日以下、9日以下、8日以下、7日以下、6日以下、5日以下であってもよい。この培養期間に、アグロバクテリウム形質転換体が感染した植物培養細胞内でBMP4が一過性に発現する。
培養条件は特に限定されず、アグロバクテリウム形質転換体を感染させる前と同じ条件で培養を行ってもよく、アグロバクテリウム形質転換体を感染させる前と異なる条件で培養を行ってもよい。通常植物培養細胞は、温度、撹拌状態、培地成分等が制御された培養器内で培養される。培養温度は15~28℃であってもよく、20~25℃であってもよい。アグロバクテリウム形質転換体を感染させた後、温度、撹拌状態等を適宜調整する、あるいは変更することが好ましい。
工程(3)は、植物または植物培養細胞からBMP4を精製する工程である。精製工程には、粗抽出、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーが含まれていてもよい。粗抽出、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーはこの順序で行われることが好ましい。
植物を用いた場合、工程(3)では、最初に、工程(2)の栽培期間を経た植物を回収する。回収する植物の部位は特に限定されず、植物全体、葉、茎、根、花のいずれであってもよい。回収した植物に対して、抽出に適した処理を行ってもよい。例えば、細切、破砕、凍結粉砕などが挙げられる。次に、回収した植物を抽出用緩衝液に浸漬して抽出を行い、粗抽出液を得る。抽出用緩衝液は特に限定されず、組織からタンパク質を抽出するために使用される公知の緩衝液から適宜選択することができる。抽出用緩衝液には、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤、グリセロール等が含まれていてもよい。抽出時間は特に限定されず、予備検討等により適宜設定すればよい。
回収した植物を抽出用緩衝液に浸漬して粗抽出液を得る過程において、超音波処理、撹拌処理(例えば、ボルテックスミキサー処理)を行ってもよい。超音波処理を行う際は、粗抽出液の温度上昇を回避するために、冷却しながら行うことが好ましい。
培養細胞を用いた場合、工程(3)では、最初に、工程(2)の培養期間を経た培養細胞を回収する。培養細胞の回収物は、培地を除いたものであってもよく、培地を含んだものであてもよい。回収した培養細胞に対して、抽出に適した処理を行ってもよい。例えば、破砕、凍結粉砕などが挙げられる。次に、回収した培養細胞を抽出用緩衝液に浸漬して抽出を行い、粗抽出液を得る。抽出用緩衝液には、上記と同じものを用いることができる。超音波処理、撹拌処理(例えば、ボルテックスミキサー処理)を行ってもよい。
次に粗抽出液を陰イオン交換クロマトグラフィーに供する。陰イオン交換クロマトグラフィーに用いる担体としては、第四級アンモニウム基を導入した担体、ジエチルアミノエチル基を導入した担体、ジエチルアミノプロピル基を導入した担体などが挙げられる。好ましくは第四級アンモニウム基を導入した担体である。陰イオン交換クロマトグラフィーに用いる担体およびカラムは、市販品を用いることができる。担体は、粗抽出液を流す前に、あらかじめ適切な緩衝液により平衡化しておくとよい。好ましい平衡化緩衝液は、アルギニンおよび塩化ナトリウムを含むトリス/塩酸緩衝液である。各成分の濃度は、適宜設定することができる。陰イオン交換クロマトグラフィーでは、平衡化した担体を充填したカラムに粗抽出液を流し、素通り画分を回収する。
次に陰イオン交換クロマトグラフィーで回収した素通り画分を陽イオン交換クロマトグラフィーに供する。陽イオン交換クロマトグラフィーに用いる担体としては、スルホプロピル基を導入した担体、カルボキシメチル基を導入した担体などが挙げられる。好ましくは、スルホプロピル基を導入した担体である。陽イオン交換クロマトグラフィーに用いる担体およびカラムは、市販品を用いることができる。担体は、サンプルを流す前に、あらかじめ適切な緩衝液により平衡化しておくとよい。好ましい平衡化緩衝液は、アルギニンおよび塩化ナトリウムを含むトリス/塩酸緩衝液である。各成分の濃度は、陰イオン交換クロマトグラフィー担体の平衡化に用いた濃度と同じであってもよい。
陽イオン交換クロマトグラフィーでは、回収した素通り画分(サンプル)と担体を混合し、バッチ法で一定時間接触させることが好ましい。サンプルと担体の接触の際に、サンプルと担体を撹拌してもよい。接触時間は特に限定されないが、例えば、5分以上、10分以上、20分以上、30分以上であってもよく、120分以下、100分以下、80分以下、60分以下であってもよい。サンプルと担体を接触させた後、担体の10~20倍量の平衡化緩衝液で担体を洗浄する。さらに、担体の10~20倍量の洗浄用緩衝液で担体を洗浄する。洗浄用緩衝液は、平衡化緩衝液(アルギニンおよび塩化ナトリウムを含むトリス/塩酸緩衝液)よりアルギニンおよび塩化ナトリウム濃度を高めたトリス/塩酸緩衝液を好ましく用いることができる。その後、溶出緩衝液で担体に結合したタンパク質を溶出させる。溶出緩衝液は、洗浄用緩衝液(アルギニンおよび塩化ナトリウムを含むトリス/塩酸緩衝液)よりアルギニンおよび塩化ナトリウム濃度を高めたトリス/塩酸緩衝液を好ましく用いることができる。タンパク質溶出画分を回収し、アフィニティークロマトグラフィーに供する。
アフィニティークロマトグラフィーとしては、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーまたは抗BMP抗体によるアフィニティークロマトグラフィーを好適に用いることができる。ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーに用いる担体およびカラム、抗BMP抗体によるアフィニティークロマトグラフィーに用いる担体、抗体およびカラムは、市販品を用いることができる。担体は、サンプルを流す前に、あらかじめ適切な緩衝液により平衡化しておくとよい。好ましい平衡化緩衝液は、アルギニンおよび塩化ナトリウムを含むトリス/塩酸緩衝液である。各成分の濃度は、陰イオン交換クロマトグラフィー担体および陽イオン交換クロマトグラフィー担体の平衡化に用いた濃度と同じであってもよい。
アフィニティークロマトグラフィーでは、回収した溶出画分(サンプル)と担体を混合し、バッチ法で一定時間接触させることが好ましい。サンプルと担体の接触の際に、サンプルと担体を撹拌してもよい。接触時間は特に限定されないが、例えば、5分以上、10分以上、20分以上、30分以上であってもよく、120分以下、100分以下、80分以下、60分以下であってもよい。サンプルと担体を接触させた後、担体の10~20倍量の平衡化緩衝液で担体を洗浄する。さらに、担体の10~20倍量の洗浄用緩衝液で担体を洗浄する。洗浄用緩衝液は、平衡化緩衝液(アルギニンおよび塩化ナトリウムを含むトリス/塩酸緩衝液)よりアルギニンおよび塩化ナトリウム濃度を高めたトリス/塩酸緩衝液を好ましく用いることができる。その後、溶出緩衝液で担体に結合したタンパク質を溶出させる。溶出緩衝液は、洗浄用緩衝液(アルギニンおよび塩化ナトリウムを含むトリス/塩酸緩衝液)よりアルギニンおよび塩化ナトリウム濃度を高めたトリス/塩酸緩衝液を好ましく用いることができる。回収したタンパク質溶出画分中の精製BMP4は、例えば電気泳動(SDS-PAGE等)、ウエスタンブロッティング等で確認することができる。
本発明の製造方法により、高純度の組み換えBMP4を大量かつ安価に製造することができる。本発明の製造方法により製造したの組み換えBMP4は、再生医療に適用する細胞を培養するためのゼノフリー培地に添加するBMP4として好適である。
また、一般に植物で発現させた組み換えタンパク質を精製する場合、植物由来の不純物(例えば、細胞壁、葉緑体等)を除去するために透析や大容量希釈を行う必要がある。しかし、本発明の製造方法における精製工程(工程(3))では、透析や大容量希釈を行う必要がない点で、非常に優れた精製方法である。
〔新規な構造を有する骨形成タンパク質4〕
図1にヒトBMP4前駆体(プレプロタンパク質)のアミノ酸配列(配列番号1)におけるシグナルペプチド、プロペプチドおよび成熟ペプチドの構造を示す。ヒトBMP4は408アミノ酸から成る前駆体で発現された後、小胞体でシグナルペプチド(19アミノ酸)が切断され、372Cysを介したジスルフィド結合で前駆体同士の二量体になる(Huang et al., Biotechnol Appl Biochem Mar-Apr 2014;61 (2):175-183)。その後、ゴルジ体でFurinやProprotein convertase 6(PC6)といったセリンプロテアーゼでプロペプチドが切断され、各116アミノ酸から成る活性型のダイマーになる(Sopory et al., J Biol Chem 2006 Nov 10;281 (45):34021-34031、Wilbers et al., Plant Biotechnol J 2016 Aug;14 (8):1695-1704、Neugebauer et al., Proc Natl Acad Sci U S A 2015 May 5;112 (18):E2307-2316)。
本発明の製造方法により発現された組み換えBMP4の成熟ペプチドは、nanoLC-MS/MS解析によるペプチド解析により、天然型ヒトBMP4を構成する成熟ペプチド(116アミノ酸、配列番号1の293位~408位)と異なり、配列番号3で示されるアミノ酸配列(132アミノ酸、配列番号1の277位~408位)からなるペプチドと、配列番号4で示されるアミノ酸配列(125アミノ酸、配列番号1の284位~408位)からなるペプチドであることが明らかになった。さらに、本発明の製造方法により発現された組み換えBMP4は、二量体を形成していること、植物由来のN型糖鎖が付加された構造を有すること、iPS細胞を心筋細胞に分化誘導する生物活性を有することが確認された。したがって、本発明の製造方法により発現された組み換えBMP4は、天然型ヒトBMP4と異なる構造を有する新規なBMP4であることが明らかになった。
本発明は新規なBMP4(以下、「本発明のBMP4」と記す)を提供する。本発明のBMP4は、配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の二量体、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の二量体、および、配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の二量体からなる群より選択されるいずれか1つの構造を有するものであればよい。本発明のBMP4は、さらに植物由来のN型糖鎖が付加された構造を有するものであってもよい。
本発明のBMP4は、植物または植物細胞により組み換えタンパク質として製造することができる。本発明のBMP4の製造方法としては、上記本発明の製造方法を好適に用いることができる。本発明のBMP4は、ヒトBMP4プレプロタンパク質からプロセシングされたペプチドにより構成されており、植物または植物細胞により製造されるので、再生医療用のゼノフリー培地に好適に使用することができる。
〔植物に発現させた組み換えタンパク質の精製方法〕
本発明は、植物に発現させた組み換えタンパク質の精製方法(以下、「本発明の精製方法」と記す)を提供する。本発明の精製方法は、以下の工程(i)~(iv)を含むものであればよい。
(i)粗抽出を行う工程、
(ii)陰イオン交換クロマトグラフィーを行う工程、
(iii)陽イオン交換クロマトグラフィーを行う工程、および
(iv)アフィニティークロマトグラフィーを行う工程。
本発明の精製方法の工程(i)、(ii)、(iii)および(iv)は、上記本発明の製造方法の工程(3)に含まれる粗抽出、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィーおよびアフィニティークロマトグラフィーの各工程に相当し、上記本発明の製造方法の工程(3)の説明に従って実施することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1:Nicotiana benthamianaを用いた組み換えBMP4の製造〕
1.材料および方法
1-1 BMP4発現ベクターの構築
(1)ヒトBMP4遺伝子のテンプレートDNA合成
以下の2種類のヒトBMP4遺伝子のテンプレートDNAの合成をジーンデザインに委託した。
ヒトBMP4 DNA断片 1(配列番号5)
CATGTTGATAACTAGTAAGATGATTCCTGGTAACCGAATGCTGATGGTCGTTTTATTATGCCAAGTCCTGCTAGGAGGCGCGAGCCATGCTAGTTTGATACCTGAGACGGGGAAGAAAAAAGTCGCCGAGATTCAGGGCCACGCGGGAGGACGCCGCTCAGGGCAGAGCCATGAGCTCCTGCGGGACTTCGAGGCGACACTTCTGCAGATGTTTGGGCTGCGCCGCCGCCCGCAGCCTAGCAAGAGTGCCGTCATTCCGGACTACATGCGGGATCTTTACCGGCTTCAGTCTGGGGAGGAGGAGGAAGAGCAGATCCACAGCACTGGTCTTGAGTATCCTGAGCGCCCGGCCAGCCGGGCCAACACCGTGAGGAGCTTCCACCACGAAGAACATCTGGAGAACATCCCAGGGACCAGTGAAAACTCTGCTTTTCGTTTCCTCTTTAACCTCAGCAGCATCCCTGAGAACGAGGCGATCTCCTCTGCAGAGCTTCGGCTCTTCCGGGAGCAGGTGGACCAGGGCCCTGATTGGGAAAGGGGCTTCCACCGTAT
ヒトBMP4 DNA断片 2(配列番号6)
GGGCTTCCACCGTATAAACATTTATGAGGTTATGAAGCCCCCAGCAGAAGTGGTGCCTGGGCACCTCATCACACGACTACTGGACACGAGACTGGTCCACCACAATGTGACACGGTGGGAAACTTTTGATGTGAGCCCTGCGGTCCTTCGCTGGACCCGGGAGAAGCAGCCAAACTATGGGCTAGCCATTGAGGTGACTCACCTCCATCAGACTCGGACCCACCAGGGCCAGCATGTCAGGATTAGCCGATCGTTACCTCAAGGGAGTGGGAATTGGGCCCAGCTCCGGCCCCTCCTGGTCACCTTTGGCCATGATGGCCGGGGCCATGCCTTGACCCGACGCCGGAGGGCCAAGCGTAGCCCTAAGCATCACTCACAGCGGGCCAGGAAGAAGAATAAGAACTGCCGGCGCCACTCGCTCTATGTGGACTTCAGCGATGTGGGCTGGAATGACTGGATTGTGGCCCCACCAGGCTACCAGGCCTTCTACTGCCATGGGGACTGCCCCTTTCCACTGGCTGACCACCTCAACTCAACCAACCATGCCATTGTGCAGACCCTGGTCAATTCTGTCAATTCCAGTATCCCCAAAGCCTGTTGTGTGCCCACTGAACTGAGTGCCATCTCCATGCTGTACCTGGATGAGTATGATAAGGTGGTACTGAAAAATTATCAGGAGATGGTAGTAGAGGGATGTGGGTGCCGCTAACTAGTTACCGGTACC
(2)ライゲーション
In-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)を使用した。以下の表1に記載の組成で、50℃で15分間反応させ、反応物を4℃で保存した。なお、pAt-GC-HSPベクターは、本発明者らの研究室で作製された植物発現ベクターである(Limkul et al., Plant Sci. 2015 Nov; 240: 41-49.)。
Figure 2022124384000001
BMP4発現ベクターの構造を図2に示した。図2中、CaMV 35S Promoterはカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター、AtADH 5'UTR はArabidopsis thaliana アルコールデヒドロゲナーゼ5'非翻訳領域、HSP terminatorはArabidopsis thaliana 由来ヒートショックプロテインターミネーター、NOS promoterはノパリンシンターゼ(nopaline-synthase)遺伝子プロモーター、BipRはビアラホス(Bialaphos)耐性遺伝子、gene 7 terminatorはアグロバクテリウム gene 7 ターミネーター、LBはleft border、RBはright borderを示す。
1-2 アグロバクテリウム形質転換体の作製
Agrobacterium tumefaciens LBA4404を2xYT培地で28℃、2日間培養した後、シングルコロニーをリファンピシン(50 mg/l)、ストレプトマイシン(20 mg/l)を含む1.5 mlの2×YT培地に植菌し、28℃、2日間振盪培養した。培養後の菌懸濁液の全量を、500 mlバッフル付きフラスコに入れたリファンピシン、ストレプトマイシンを含む200 mlの2×YT培地に植菌し、OD600が0.5~0.6になるまで28℃で振盪培養した。菌体を氷中で10分間冷却した後、5,000 rpm、4℃で10分間遠心分離して上清を除いた。沈殿に氷冷した滅菌水200 mlを加えて懸濁し、5,000 rpm、4℃で10分間遠心分離して上清を除いた。沈殿に氷冷した10%(v/v)グリセロール(Wako)溶液を11 ml加えて懸濁した。3,000 rpm、4℃で10分間遠心分離して上清を除いた。沈殿に氷冷した10%(v/v)グリセロール溶液1.2 mlを加えて懸濁し、40μlずつ分注し、液体窒素で凍結した後、-80℃で保存したものをコンピテントセルとして使用した。コンピテントセル40μlにBMP4発現ベクターのDNA溶液1μlを加え、氷冷した0.2 cmキュベット(BIO-RAD #165-2086)に移した。Gene Pulser(BIO-RAD)を使用して、電気パルス(2.5 kV、25μF、400オーム)を与えた。2×YT培地 200μlを混合し、1.5 mlチューブに移した後、28℃で1時間振盪培養した。カナマイシン(30 mg/l)、リファンピシン(50 mg/l)、ストレプトマイシン(20 mg/l)を含む2×YT培地平板培地に塗布し、28℃、2日間培養した。形質転換の確認は、BMP4断片のPCR増幅、PCR増幅産物のシーケンス解析によって行った。
1-3 アグロバクテリウム形質転換体の培養およびアグロインフィルトレーション
アグロバクテリウム形質転換体を、カナマイシン、リファンピシンおよびストレプトマイシンを含有する5 mlの2×YT培地に植菌し、30℃、24時間培養した。その後、5 ml全量を上記と同じ種類、濃度の抗生物質を含んだ200 mlの2×YT培地に加え、25℃で一夜培養した。遠心分離によりアグロバクテリウムを回収し、OD600が0.20~0.25になるようにインフィルトレーションバッファー(10 mM MES、10 mM MgSO4、pH 5.8)に再懸濁した。約1か月間、温室内で花がない状態で光にさらされたN. benthamianaに、アグロバクテリウム懸濁液を用いて確実にアグロバクテリウム形質転換体を感染させるために、N. benthamianaの葉に2回のバキュームインフィルトレーションを行い、その後5日間温室で栽培した。
1-4 組み換えBMP4の精製
(1)粗抽出液の調製
感染後5日目に感染させた葉を回収した。回収した葉に液体窒素を加え凍結させた後破砕し、等倍重量分体積の抽出バッファー(100 mM Tris-HCl、0.5 M NaCl、0.5 M Arginine-HCl,pH 8.5)に浸漬した(1:1、w/v)。次に、破砕した葉を浸漬した抽出用緩衝液を10分間ボルテックスミキサーで撹拌し、10分間氷上で冷却し、再度10分間ボルテックスミキサーで撹拌した。遠心分離して上清を回収し、粗抽出液とした。
(2)イオン交換樹脂およびヘパリン系アフィニティー樹脂による精製
(i) 陰イオン交換クロマトグラフィー
カラムにQ sepharose fast flow(陰イオン交換樹脂、Cytiva)を充填し、平衡化バッファー(50 mM Tris-HCl、0.25 M NaCl、0.25 M Arginine-HCl、pH 8.5)で平衡化した。平衡化したQカラムに上記粗抽出液をアプライし、素通り画分を回収した。操作は室温で行った。
(ii) 陽イオン交換クロマトグラフィー
上記平衡化バッファーで平衡化したSP 550(陽イオン交換樹脂、東ソー)と上記素通り画分を混合し、バッチ法で30分間攪拌した。樹脂の10~20倍量の平衡化バッファーで洗浄した後、樹脂の10~20倍量のSP洗浄バッファー(50 mM Tris-HCl、0.35 M NaCl、0.35 M Arginine-HCl、pH 8.5)でカラムを洗浄した。その後、SP溶出バッファー(50 mM Tris-HCl、0.5 M NaCl、0.5 M Arginine-HCl、pH 8.5)で結合したタンパク質を溶出させた。回収した溶出画分を50 mM Tris-HCl(pH 8.5)で2倍希釈した。操作は室温で行った。
(iii) アフィニティークロマトグラフィー
上記平衡化バッファーで平衡化したAF-Heparin HC650(アフィニティークロマトグラフィー用樹脂、東ソー)に、上記2倍希釈した溶出画分を混合し、バッチ法で30分間攪拌した。樹脂の10~20倍量の平衡化バッファーで洗浄した後、樹脂の10~20倍量のHeparin洗浄バッファー(50 mM Tris-HCl、0.30 M NaCl、0.30 M Arginine-HCl、pH 8.5)で洗浄した。その後、Heparin溶出バッファー(50 mM Tris-HCl、0.4 M NaCl、0.4 M Arginine-HCl、pH 8.5)で溶出させた。操作は室温で行った。
1-5 ウエスタンブロッティングおよび銀染色によるタンパク質分析
精製したBMP4を、必要に応じてアセトン沈殿処理し、サンプルバッファー(50 mM Tris-HCl (pH6.8)、 2% SDS、 10% (v/v)グリセロール、6% (v/v)2-メルカプトエタノール、1 mg BPB)に溶解して5分間煮沸した後、15%アクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGEに供した。銀染色には銀染色IIキットワコーを用い、説明書通りに行った。BMP4の存在はウエスタンブロッティングにより分析した。一次抗体には抗ヒトBMP4モノクローナル抗体(ANTI BMP-4 (D-6)、Santa Cruz Biotechnology)を用い、二次抗体にはHRP標識抗マウスIgG抗体(Anti-Mouse IgG, HRP-Linked Whole Ab Sheep、cytiva)を用いた。Luminata Forte Western HRP substrate(Millipore)を膜に添加し、得られた化学発光をX線フィルムに露光して検出した。
1-6 非還元SDS-PAGEによる二量体の確認
精製したBMP4が二量体を形成しているかどうかを確認するために、非還元SDS-PAGEを行った。非還元SDS-PAGEのサンプル処理には、2-メルカプトエタノールを除いたサンプルバッファー(50 mM Tris-HCl (pH6.8)、 2% SDS、 10% (v/v)グリセロール、1 mg BPB)を用い、煮沸せずにSDS-PAGEに供した。対照として還元処理したサンプルをSDS-PAGEに供した。上記1-5と同じ手順でウエスタンブロッティングを行った。
2.結果
2-1 SDS-PAGEおよびウエスタンブロッティング
上記1-4(2)の(iii)で回収した溶出液をサンプルとしてSDS-PAGEを行い、銀染色およびウエスタンブロッティングを行った結果を図3に示した。(A)が銀染色の結果、(B)がウエスタンブロッティングの結果である。図3中、WTはBMP4発現ベクターを導入したアグロバクテリウム形質転換体を感染させていない野生型のN. benthamiana植物の葉からの粗抽出液、CはBMP4発現ベクターを導入したアグロバクテリウム形質転換体を感染させた葉からの粗抽出液である。図3(B)中+は、陽性対照として使用した市販の組み換えヒトBMP4(HEK293細胞で発現させたもの)(H4916, Sigma-Aldrich)である。
アグロバクテリウム形質転換体を感染させていない葉からの粗抽出液(WT)では、抗BMP4抗体に反応するバンドが現れなかったが、アグロバクテリウム形質転換体を感染させた葉からの粗抽出液(C)では、抗BMP4抗体と反応するバンドが確認できた。これは、N. benthamianaの葉でBMP4が生産できたことを示す。粗抽出液(C)を精製後のサンプルでは、市販の組み換えヒトBMP4のバンドとほぼ同じ15kDa~20kDaの間に2本のバンドが出現し、この2つのバンドはペプチド解析によりBMP4であることが確認された。なお、2本のバンドは糖鎖修飾が異なるバンドであると考えられる。
2-2 非還元SDS-PAGE
結果を図4に示した。還元処理した精製BMP4は20kDa付近および37kDa付近のバンドが見られた。一方、非還元処理した精製BMP4は20kDa付近のバンドは見られず、37kDa付近のみにバンドが確認できた。この結果は、精製した組み換えBMP4は、20kDa付近の分子量を持つペプチドが2量体として存在すると考えられる。
〔実施例2:組み換えBMP4の構造解析〕
1.材料および方法
1-1 nanoLC-MS/MS解析によるペプチド解析
(1)In-gel digestion法によるペプチド断片の調製
精製した組み換えBMP4を、15%アクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGEに供し、展開後Coomasie brilliant blue(CCB)染色を行った。染色されたバンドを切り出し、1~2 mm程度の大きさに細切して1.5 mLチューブに入れ、50 mM NH4HCO3/ 50% アセトニトリルを1 mL 加え、インテリミキサー(TOHO)で撹拌しながら脱色する。適宜、100% アセトニトリルで脱水しつつ、50 mM NH4HCO3/ 50% アセトニトリルで完全に脱色できるまで操作を繰り返した。ゲル断片を完全に脱色した後、100% アセトニトリルで脱水し、その後遠心乾燥で乾燥させた。
乾燥後の試料に50 mM NH4HCO3、10 mM CaCl2、0.01% ProteaseMAX surfactant(Promega)を含むキモトリプシン溶液(Chymotrypsin, Sequencing grade, Promegaを1 mM HClで50 ng/μlに溶解したものを終濃度1μg/mlで使用)をゲルが浸る程度に入れ、氷上で15分程度静置し、ゲルを膨潤させた。余分なキモトリプシン溶液を吸い取り、50 mM NH4HCO3、0.01% ProteaseMAX surfactant、10 mM CaCl2を含む溶液を20μl程度追加し、25℃、一夜反応させる。反応後、上清を回収し、終濃度0.01% となるようにトリフルオロ酢酸(TFA)を添加し、反応を停止した。残ったゲルに50 mM NH4HCO3を50μL程度加え、10分間ボルテックスミキサーで撹拌した後、上清を回収した。残ったゲルに対し30%、80%、100%アセトニトリルで順番に同様の操作を繰り返し、すべての溶液を混合した後、遠心乾燥し、完全に溶媒を乾燥させた。その後、ZipTipレジン(Millipore)を使用しペプチドを精製した。ペプチド精製時には洗浄液として0.1% TFA、溶出液として 0.1% TFA/50% アセトニトリルを使用した。精製後の溶出画分を再度遠心乾燥し、乾燥した後、100μlの0.1% ギ酸を加え、組み換えBMP4由来のペプチド溶液とした。
(2)nanoLC-MS/MS解析
上記で調製したペプチド溶液をnanoLC-MS/MS解析に供した。nanoLC部にはAgilent Technologies 1200シリーズnanoLCシステム(Agilent Technologies)、MS部にはmicrOTOF-QII(Bruker Daltonics)を使用した。nanoLCでの分離にはトラッピングカラムに、ZORBAX 300SB-C18(5μm、0.3 mm×5 mm、Agilent Technologies)、分析カラムにZORBAX 300SB-C18(3.5 mm、75μm×150 mm、Agilent Technologies)を使用した。移動相として0.1%ギ酸(溶媒A)と、nanoLC用の0.1%ギ酸を含む100% アセトニトリル(溶媒B)、およびペプチドトラップ用に0.1%トリフルオロ酢酸(溶媒C)を使用した。トラッピングカラムには溶媒C を10μL/分の流速で注入した。組み換えBMP4由来のペプチドは、600 nL / minの流速で30分間にわたって溶媒B濃度を8から30%に直線的に増加させ、続いて95%溶媒Bで5分間洗浄し、初期流量で18分間平衡化することによって分離した。MS/Mとしてパラメータは、スキャン範囲m / z 50-4500、イオン化のパラメータとして、ネブライザーフロー:1 bar、ドライガス流量:5.0 L / minおよびドライ温度:180℃を設定し、Positiveイオンモードでの分析を行った。
(3)データ解析
得られたMSデータから、DataAnalysis version 4.0 SP2(Bruker Daltonics)を用いてBase Peak chromatograph(BPC)を作製し、DataAnalysis version 4.0 SP2に既存のアルゴリズムでBPCから検出されたMSおよびMS/MSシグナルリストをペプチド解析に必要なmgfファイルに変換した。変換したmgfファイルをBioTools version 3.2(mgfファイル上の全MS及びMS/MSデータの解析)とSequence Editor version 3.2(キモトリプシン消化ペプチドの予測)(ともにBruker Daltonics)で解析し、組み合えBMP4由来のペプチドを同定した。
1-2 PNGase Aによる糖鎖解析
精製した組み換えBMP4にGlycoprotein Denaturing Buffer(New England Biolabs)を加え、100℃、10分間処理してタンパク質を変性させた。氷冷し、遠心分離した。PNGase A、10×Glycobuffer 3 およびNP-40(いずれもNew England Biolabs)を加え、37℃で24時間インキュベートした。その後、75℃、10分間処理してPNGase Aを不活化し、ウエスタンブロッティングに供した。市販の組み換えヒトBMP4(HEK293細胞で発現させたもの)(H4916, Sigma-Aldrich)を同様の手順でPNGase Aで処理したものを対照とした。
2.結果
2-1 nanoLC-MS/MS解析によるペプチド解析
結果を図5(A)および(B)に示した。(A)はnanoLC-MS/MS解析で30.9-31.1分の溶出位置に出てきたペプチド由来の質量電荷比(m/z)を示している。このペプチド由来のm/z 1523.93は BMP4のプロペプチド鎖にある配列LTRRRRAKRSPK(配列番号7)の計算分子量1523.96と一致する。(B)はnanoLC-MS/MS解析で27.5-27.9分の溶出位置に出てきたペプチド由来の質量電荷比(m/z)を示している。このペプチド由来のm/z 2254.06は BMP4のプロペプチド鎖にある配列、HDGRGHALTRRRRAKRSPK(配列番号8)の計算分子量2254.29と一致する。これらの結果と、図3(B)のウエスタンブロッティングの結果から、実施例1のN. benthamianaから精製した組み換えBMP4は、本来のヒト成熟BMP4のN末端にプロペプチドのLTRRRRAKRSPK(配列番号7)が付加されたものと、本来のヒト成熟BMP4のN末端にプロペプチドのHDGRGHALTRRRRAKRSPK(配列番号8)が付加されたものの、2種類の組み換えBMP4であると考えられた。
2-2 PNGase Aによる糖鎖解析
結果を図6に示した。図中、HEKはHEK293細胞で発現させた市販の組み換えヒトBMP4を示し、N.bはN. benthamianaで発現させた本願の組み換えBMP4を示す。また、-はPNGase A処理前、+はPNGase A処理後を示す。どちらのBMP4もPNGase A処理前後でバンドパターンが異なっており、処理前後のサイズの違いがそれぞれヒト、植物でよく見られるN型糖鎖の分子量にほぼ一致した。したがって、N. benthamianaで発現させたBMP4にも糖鎖があることが示された。
〔実施例3:本願の組み換えBMP4の生物活性確認〕
BMP4は多能性幹細胞を中胚葉に分化誘導する際に使用されるので、N. benthamianaで発現させた本願の組み換えBMP4が生物活性を有していることを確認するために、本願の組み換えBMP4を用いてヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導を行った。
1.材料および方法
(1)ヒトiPS細胞
ヒトiPS細胞として201B7株を理研バイオリソースセンターから購入して使用した。
(2)心筋細胞への分化誘導
ヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導は、以下の表2に記載の手順で行った。Day 14以降は、2日に1回培地交換を行って培養を継続した。表2に記載の試薬等は以下のとおりである。AK02: StemFitAK02N(iPS/ES細胞用培地、味の素ヘルシーサプライ)、Y-27632(ROCK阻害剤、Wako)、Matrigel(Corning)、CHIR99021(Wntシグナル活性化剤、Sigma)、Activin A(R&D Systems)、XAV939(Wntシグナル阻害剤、Sigma)、RPMI 1640 plus L-glutamine(Gibco)、B27 supplement minus insulin(Gibco)、B27 supplement(Gibco)。本願の組み換えBMP4は、実施例1で精製した組み換えBMP4を、100 mM NaCl, 0.1% HSA, 0.2 M Arginineを含有する50 mM Tris-HCl (pH 7.5)に懸濁されているものを使用した。対照として、BMP4を添加しない群を設けた。
Figure 2022124384000002
(3)免疫組織学的分析
Day12およびDay25に再播種し、それぞれ4日後、3日後に固定・染色を行った。一次抗体には抗トポロニンTモノクローナル抗体(Thermo Fisher Scientific, #MS-295-P1)を用い、二次抗体にはAlexa Fluor 488 Donkey anti-Mouse IgG (H+L) (Invitrogen, #A-21202)を用いた。Hoechst 33258(Dojindo)で生細胞の核を染色した。標本を蛍光顕微鏡観察し、全細胞数とトポロニンT陽性細胞(心筋細胞)数をカウントした。
2.結果
本願の組み換えBMP4を用いた結果を図7に、BMP4を添加しない対照群の結果を図8に示した。図7および図8とも(A)が免疫組織学的分析の結果、(B)がDay12の細胞の観察結果である。本願の組み換えBMP4を用いた場合のトポロニンT陽性細胞率は、Day12が17%、Day25が47%であった。また、本願の組み換えBMP4を用いたDay12の細胞に拍動が確認された。一方、BMP4を添加しない対照群のトポロニンT陽性細胞率は、Day12が4%、Day25が17%であった。この結果から、本願の植物で製造した組み換えBMP4は、生物活性を有することが示された。
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

Claims (8)

  1. 配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の二量体、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の二量体、および、配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の二量体から選択されるいずれか1つの構造を有する骨形成タンパク質4。
  2. さらに植物由来のN型糖鎖が付加された構造を有する、請求項1に記載の骨形成タンパク質4。
  3. ゼノフリー培地用である、請求項1または2に記載の骨形成タンパク質4
  4. 請求項3に記載の骨形成タンパク質4の製造方法であって、以下の工程(1)~(3)を含む製造方法:
    (1)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるヒト骨形成タンパク質4のプレプロタンパク質をコードするDNAを含む発現ベクターが導入されたアグロバクテリウム形質転換体を植物または植物細胞に感染させる工程、
    (2)アグロバクテリウム形質転換体が感染した植物を栽培する、または植物細胞を培養する工程、および
    (3)植物または植物培養細胞から骨形成タンパク質4を精製する工程。
  5. 工程(3)において、粗抽出、次に陰イオン交換クロマトグラフィー、次に陽イオン交換クロマトグラフィー、次にアフィニティークロマトグラフィーが行われる、請求項4に記載の製造方法。
  6. 工程(3)において用いられる緩衝液が、アルギニンおよび塩化ナトリウムを含むトリス/塩酸緩衝液である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 以下の工程(i)~(iv)を含む、植物または植物細胞に発現させた組み換えタンパク質の精製方法:
    (i)粗抽出を行う工程、
    (ii)陰イオン交換クロマトグラフィーを行う工程、
    (iii)陽イオン交換クロマトグラフィーを行う工程、および
    (iv)アフィニティークロマトグラフィーを行う工程。
  8. 工程(ii)、(iii)および(iv)において用いられる緩衝液が、アルギニンおよび塩化ナトリウムを含むトリス/塩酸緩衝液である、請求項7に記載の精製方法。
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