JP2022115637A - 重合性液晶組成物、偏光膜、偏光フィルム、円偏光板ならびに表示装置 - Google Patents

重合性液晶組成物、偏光膜、偏光フィルム、円偏光板ならびに表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】黄変抑制効果に優れる偏光膜を形成するのに適した重合性液晶組成物を提供すること。【解決手段】重合性液晶化合物、有機二色性色素および硫黄系酸化防止剤を含む重合性液晶組成物であって、前記重合性液晶化合物が少なくとも1つのラジカル重合性基を有し、前記硫黄系酸化防止剤が、芳香環構造と、チオール構造またはチオエーテル構造とを有する、重合性液晶組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、重合性液晶組成物、前記重合性液晶組成物の硬化膜からなる偏光膜、前記偏光膜を含む偏光フィルムおよび円偏光板ならびに表示装置に関する。
従来、偏光板は、液晶表示パネルや有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示パネル等の各種画像表示パネルにおいて、液晶セルや有機EL表示素子等の画像表示素子に貼合されて用いられている。近年、画像表示パネル等のディスプレイに対して薄型化の継続的な要求が存在しており、その構成要素の1つである偏光板や偏光子に対してもさらなる薄型化が要求されている。このような要求に対して、例えば、重合性液晶化合物と二色性を示す化合物とからなる薄型のコーティングタイプの偏光膜が提案されている(特許文献1)。
特開2019-008683号公報
近年、薄型偏光板の用途の広がりとともに、より向上した耐光性を有する偏光膜の開発が求められるなか、本発明者等は、経時的に偏光膜が黄変することにより有機発光ダイオード(OLED)の青色発光が阻害されるという問題が生じ得ることを見出した。
そこで、本発明は、黄変抑制効果に優れる偏光膜を形成するのに適した重合性液晶組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
[1]重合性液晶化合物、有機二色性色素および硫黄系酸化防止剤を含む重合性液晶組成物であって、
前記重合性液晶化合物が少なくとも1つのラジカル重合性基を有し、
前記硫黄系酸化防止剤が、芳香環構造と、チオール構造またはチオエーテル構造とを有する、重合性液晶組成物。
[2]硫黄系酸化防止剤が、芳香環を有するチオール化合物、芳香環を有するスルフィド化合物および芳香環を有する環状スルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、前記[1]に記載の重合性液晶組成物。
[3]重合性液晶化合物がスメクチック液晶性を示す液晶化合物である、前記[1]または[2]に記載の重合性液晶組成物。
[4]有機二色性色素がアゾ色素である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[5]有機二色性色素が芳香環構造を有する、前記[1]~[4]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[6]硫黄系酸化防止剤の含有量が、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.1~3質量部である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[7]前記[1]~[6]のいずれかに記載の重合性液晶組成物の硬化膜からなる偏光膜。
[8]X線回折測定においてブラッグピークを示す、前記[7]に記載の偏光膜。
[9]膜厚が0.5~4μmの範囲である、前記[7]または[8]に記載の偏光膜。
[10]前記[7]~[9]のいずれかに記載の偏光膜と透明フィルムとを含む偏光フィルム。
[11]前記[7]~[9]のいずれかに記載の偏光膜と位相差フィルムとを含む円偏光板。
[12]位相差フィルムが、式(1)および(2):
100nm ≦ Re(550) ≦ 150nm (1)
Re(450)/Re(550)<1 (2)
〔式中、Re(λ)は波長λnmの光に対する正面位相差値を表す〕
を満たす、前記[11]に記載の円偏光板。
[13]前記[7]~[9]のいずれかに記載の偏光膜、前記[10]に記載の偏光フィルムまたは前記[11]若しくは[12]に記載の円偏光板を含む、表示装置。
本発明によれば、黄変抑制効果に優れる偏光膜を形成するのに適した重合性液晶組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
<重合性液晶組成物>
本発明の重合性液晶組成物は、少なくとも1つのラジカル重合性基を有する重合性液晶化合物を含む。前記重合性液晶化合物は、少なくとも1つのラジカル重合性基を有し、かつ、液晶性を有する化合物である。ラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、例えば、炭素-炭素不飽和二重結合を有する基、具体的にはビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基が好ましく、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基がより好ましく、アクリロイルオキシ基がさらに好ましい。
本発明において、重合性液晶化合物はスメクチック液晶性相を示す液晶化合物であることが好ましい。スメクチック液晶相を示す重合性液晶化合物を用いることにより、配向秩序度の高い偏光膜を形成することができる。より高い配向秩序度を実現し得る観点から、重合性液晶化合物の示す液晶状態は、高次スメクチック相(高次スメクチック液晶状態)であることがより好ましい。ここで、高次スメクチック相とは、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相およびスメクチックL相を意味し、これらの中でも、スメクチックB相、スメクチックF相およびスメクチックI相がより好ましい。液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック性液晶でもよいが、緻密な膜厚制御が可能な点でサーモトロピック性液晶が好ましい。また、重合性液晶化合物はモノマーであってもよく、重合性基が重合したオリゴマーであってもポリマーであってもよい。
重合性液晶化合物としては、少なくとも1つのラジカル重合性基を有する液晶化合物であれば特に限定されず、公知の重合性液晶化合物を用いることができる。そのような重合性液晶化合物としては、例えば、下記式(A)で表される化合物(以下、「重合性液晶化合物(A)」ともいう)が挙げられる。
-V-W-(X-Y-X-W-V-U (A)
[式(A)中、
およびXは、互いに独立して、2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を表し、ここで、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子または硫黄原子または窒素原子に置換されていてもよい。ただし、XおよびXのうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基または置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基である。
は、単結合または二価の連結基である。
nは1~3であり、nが2以上の場合、複数のXは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。Xは、複数のXのうちのいずれかまたは全てと同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、nが2以上の場合、複数のYは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。液晶性の観点からnは2以上が好ましい。
は、水素原子または重合性基を表わす。
は、重合性基を表わす。
およびWは、互いに独立して、単結合または二価の連結基である。
およびVは、互いに独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-、-CO-、-S-またはNH-に置き換わっていてもよい。]
重合性液晶化合物(A)において、XおよびXは、互いに独立して、好ましくは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基であり、XおよびXのうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基であり、トランス-シクロへキサン-1,4-ジイル基であることが好ましい。置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロへキサン-1,4-ジイル基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基およびブチル基などの炭素数1~4のアルキル基、シアノ基および塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子が挙げられる。好ましくは無置換である。
また、重合性液晶化合物(A)は、式(A)中、式(A1):
-(X-Y-X- (A1)
〔式中、X、Y、Xおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を示す。〕
で示される部分〔以下、部分構造(A1)ともいう〕が非対称構造であることが、スメクチック液晶性を発現し易い点で好ましい。
部分構造(A1)が非対称構造である重合性液晶化合物(A)としては、例えば、nが1であり、1つのXとXとが互いに異なる構造である重合性液晶化合物が挙げられる。また、nが2であり、2つのYが互いに同じ構造である化合物であって、2つのXが互いに同じ構造であり、1つのXはこれら2つのXとは異なる構造である重合性液晶化合物、2つのXのうちのWに結合するXが、他方のXおよびXとは異なる構造であり、他方のXとXとは互いに同じ構造である重合性液晶化合物も挙げられる。さらに、nが3であり、3つのYが互いに同じ構造である化合物であって、3つのXおよび1つのXのうちのいずれか1つが他の3つの全てと異なる構造である重合性液晶化合物が挙げられる。
は、-CHCH-、-CHO-、-CHCHO-、-COO-、-OCOO-、単結合、-N=N-、-CR=CR-、-C≡C-、-CR=N-または-CO-NR-が好ましい。RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表わす。Yは、-CHCH-、-COO-または単結合であることがより好ましく、複数のYが存在する場合、Xと結合するYは、-CHCH-または-CHO-であることがより好ましい。XおよびXが全て同一構造である場合、互いに異なる結合方式である2以上のYが存在することが好ましい。互いに異なる結合方式である複数のYが存在する場合には、非対称構造となるため、スメクチック液晶性が発現しやすい傾向にある。
は、重合性基である。Uは、水素原子または重合性基であり、好ましくは重合性基である。UおよびUのいずれか一方はラジカル重合性基であり、UおよびUがともに重合性基であることが好ましく、ともにラジカル重合性基であることがより好ましい。重合性基としては、重合性液晶化合物が有する重合性基として先に例示したラジカル重合性基と同様のものが挙げられる。Uで示される重合性基とUで示される重合性基とは、互いに異なっていてもよいが、同じ種類の基であることが好ましく、UおよびUの少なくとも一方が(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましく、両方が(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。また、重合性基は重合している状態であってもよいし、未重合の状態であってもよいが、好ましくは未重合の状態である。
およびVで表されるアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基およびイコサン-1,20-ジイル基等が挙げられる。VおよびVは、好ましくは炭素数2~12のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数6~12のアルカンジイル基である。
該アルカンジイル基が任意に有する置換基としては、シアノ基およびハロゲン原子等が挙げられるが、該アルカンジイル基は、無置換であることが好ましく、無置換の直鎖状アルカンジイル基であることがより好ましい。
およびWとしては、互いに独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-または-OCOO-が好ましく、単結合または-O-がより好ましい。
スメクチック液晶性を示しやすい構造としては、分子構造中に非対称性の分子構造を有することが好ましく、重合性液晶化合物(A)は、具体的には下記(A-a)~(A-i)の部分構造を有する重合性液晶化合物であってスメクチック液晶性を示す重合性液晶化合物であることがより好ましい。高次スメクチック液晶性を示しやすいという観点から(A-a)、(A-b)または(A-c)の部分構造を有することがより好ましい。なお、下記(A-a)~(A-i)において、*は結合手(単結合)を表す。
Figure 2022115637000001
重合性液晶化合物(A)としては、例えば、式(A-1)~式(A-25)で表される化合物が挙げられる。重合性液晶化合物(A)がシクロヘキサン-1,4-ジイル基を有する場合、そのシクロヘキサン-1,4-ジイル基は、トランス体であることが好ましい。
Figure 2022115637000002
Figure 2022115637000003
Figure 2022115637000004
これらの中でも、式(A-2)、式(A-3)、式(A-4)、式(A-5)、式(A-6)、式(A-7)、式(A-8)、式(A-13)、式(A-14)、式(A-15)、式(A-16)および式(A-17)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。重合性液晶化合物(A)として、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
重合性液晶化合物(A)は、例えば、Lub等、Recl.Trav.Chim.Pays-Bas、115、321-328(1996)、または特許第4719156号などに記載の公知の方法で製造できる。
本発明の重合性液晶組成物は、本発明の効果を損なわない限り、重合性液晶化合物(A)以外の他の重合性液晶化合物を含んでいてもよい。配向秩序度の高い偏光膜を得る観点から、重合性液晶組成物における全重合性液晶化合物の総質量に対する重合性液晶化合物(A)の割合は、好ましくは51質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。複数の重合性液晶化合物を組み合わせることにより、液晶-結晶相転移温度以下の温度でも一時的に液晶性を保持することができる場合がある。
本発明の重合性液晶組成物における重合性液晶化合物の含有量は、重合性液晶組成物の固形分に対して、好ましくは40~99.9質量%であり、より好ましくは60~99質量%であり、さらに好ましくは70~99質量%である。重合性液晶化合物の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向性が高くなる傾向がある。
本明細書において、固形分とは、重合性液晶組成物から溶剤等の揮発性成分を除いた成分の合計量をいう。
本発明の重合性液晶組成物は有機二色性色素を含む。ここで、有機二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する有機色素を意味する。本発明において用い得る有機二色性色素は、上記性質を有するものであれば特に制限されず、染料であっても、顔料であってもよい。2種以上の染料または顔料をそれぞれ組み合わせて用いてもよいし、染料と顔料とを組み合わせて用いてもよい。また、二色性色素は、重合性を有していてもよいし、液晶性を有していてもよい。
有機二色性色素としては、300~700nmの範囲に極大吸収波長(λMAX)を有するものが好ましい。
このような有機二色性色素としては、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素およびアントラキノン色素等が挙げられる。
アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素およびスチルベンアゾ色素等が挙げられ、ビスアゾ色素およびトリスアゾ色素が好ましく、例えば、式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」ともいう)が挙げられる。
(-N=N-K-N=N-K (I)
[式(I)中、KおよびKは、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよい安息香酸フェニルエステル基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表わす。Kは、置換基を有していてもよいp-フェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレン-1,4-ジイル基、置換基を有していてもよい4,4’-スチルベニレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表わす。pは0~4の整数を表わす。pが2以上の整数である場合、複数のKは互いに同一でも異なっていてもよい。可視域に吸収を示す範囲で-N=N-結合が-C=C-、-COO-、-NHCO-、-N=CH-結合に置き換わっていてもよい。]
1価の複素環基としては、キノリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、チエノチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾールなどの複素環化合物から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。2価の複素環基としては、前記複素環化合物から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
およびKにおけるフェニル基、ナフチル基、安息香酸フェニルエステル基および1価の複素環基、並びにKにおけるp-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基、4,4’-スチルベニレン基および2価の複素環基が任意に有する置換基としては、炭素数1~20のアルキル基、重合性基を有する炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~4のアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1~20のアルコキシ基;重合性基を有する炭素数1~20のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの炭素数1~4のフッ化アルキル基;シアノ基;ニトロ基;ハロゲン原子;アミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジノ基などの置換または無置換アミノ基(置換アミノ基とは、炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、重合性基を有する炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2~8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基を意味する。無置換アミノ基は-NHである。)等が挙げられる。なお、前記重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
化合物(I)の中でも、以下の式(I-1)~式(I-8)のいずれかで表される化合物が好ましい。
Figure 2022115637000005
[式(I-1)~(I-8)中、
~B30は、互いに独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルケニル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換または無置換のアミノ基(置換アミノ基および無置換アミノ基の定義は前記のとおり)、塩素原子またはトリフルオロメチル基を表わす。
n1~n4は、互いに独立に0~3の整数を表わす。
n1が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n2が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n3が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n4が2以上である場合、複数のB14は互いに同一でも異なっていてもよい。]
前記アントラキノン色素としては、式(I-9)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022115637000006
[式(I-9)中、
~Rは、互いに独立して、水素原子、-R、-NH、-NHR、-NR 、-SRまたはハロゲン原子を表わす。
は、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表わす。]
前記オキサジン色素としては、式(I-10)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022115637000007
[式(I-10)中、
~R15は、互いに独立して、水素原子、-R、-NH、-NHR、-NR 、-SRまたはハロゲン原子を表わす。
は、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表わす。]
前記アクリジン色素としては、式(I-11)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022115637000008
[式(I-11)中、
16~R23は、互いに独立して、水素原子、-R、-NH、-NHR、-NR 、-SRまたはハロゲン原子を表わす。
は、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表わす。]
式(I-9)、式(I-10)および式(I-11)において、Rの炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基等が挙げられ、炭素数6~12のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基およびナフチル基等が挙げられる。
前記シアニン色素としては、式(I-12)で表される化合物および式(I-13)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022115637000009
[式(I-12)中、
およびDは、互いに独立に、式(I-12a)~式(I-12d)のいずれかで表される基を表わす。
Figure 2022115637000010
n5は1~3の整数を表わす。]
Figure 2022115637000011
[式(I-13)中、
およびDは、互いに独立に、式(I-13a)~式(1-13h)のいずれかで表される基を表わす。
Figure 2022115637000012
n6は1~3の整数を表わす。]
有機二色性色素の重量平均分子量は、通常、300~2000であり、好ましくは400~1000である。
本発明の重合性液晶組成物は、偏光膜を形成した際に偏光膜中の二色性色素の光劣化を抑制する効果に優れているため、太陽光における紫外線等の光に弱く、光劣化を生じやすい有機二色性色素を用いる場合に、本発明の効果を特に顕著に発揮し得る。したがって、本発明の重合性液晶組成物は、光劣化を生じやすい有機二色性色素を用いる場合に特に有利である。
上記有機二色性色素の中でも、アゾ色素は直線性が高いため偏光性能に優れる偏光膜の作製に好適である。したがって、本発明の一実施態様において、重合性液晶組成物に含まれる有機二色性色素は、好ましくはアゾ色素である。
さらに、後述する硫黄系酸化防止剤との関係において、有機二色性色素は、芳香環構造を有することが好ましい。本発明の一実施態様において、重合性液晶組成物は、有機二色性色素として、芳香環構造を有するアゾ色素であることがより好ましい。
本発明の重合性液晶組成物における有機二色性色素の含有量は、用いる有機二色性色素の種類などに応じて適宜決定し得るが、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは0.1~50質量部であり、より好ましくは0.1~20質量部であり、さらに好ましくは0.1~12質量部である。有機二色性色素の含有量が、上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向を乱し難く、高い配向秩序度を有する偏光膜を得ることができる。
本発明の重合性液晶組成物は、硫黄系酸化防止剤として、芳香環構造と、チオール構造またはチオエーテル構造とを有する硫黄系酸化防止剤を含む。当該硫黄系酸化防止剤は、いわゆる二次酸化防止剤として機能し、光照射によりラジカルから生じる過酸化物を分解する作用を有する。本発明の重合性液晶組成物は硫黄系酸化防止剤を含むことにより、得られる偏光膜において経時的な黄変に対する高い抑制効果を発揮し得る。
本発明の重合性液晶組成物から、黄変抑制効果に優れる偏光膜を得ることができる機構としては、以下のように推測される。すなわち、上記重合性液晶組成物において、芳香環構造を有する硫黄系酸化防止剤は、重合性液晶化合物と有機二色性色素とを含んで構成される液晶状態においてより協調的に混和した状態で存在することができるので、有機二色性色素との分子間距離が近くなる。このため、該硫黄系酸化防止剤は、酸化防止剤としてより作用しやすく、有機二色性色素の光劣化を抑制するだけでなく、液晶硬化膜中で経時的に生じるラジカル分解機能を長期間にわたり発揮し得る。上記機構は、本発明において有機二色性色素が芳香環構造を有する場合に、より黄変抑制効果に優れる偏光膜を得ることができることより推測される。更に、一般に、秩序高く配向した重合性液晶化合物に有機二色性色素が協調的に配向することにより、偏光性能に優れる偏光膜を得ることができるところ、硫黄系酸化防止剤が有機二色性色素と構造的に類似している場合、重合性液晶化合物と有機二色性色素による協調的な配向を乱すことなく硫黄系酸化防止剤を液晶中に存在させることが可能となる。これにより、重合性液晶化合物および有機二色性色素の高い配向秩序を維持したまま、有機二色性色素の光劣化抑制効果を期待できるため、偏光性能に優れる偏光膜を得ることができる。
したがって、重合性液晶組成物が有機二色性色素として芳香環構造を有する化合物、例えば、先に例示したような芳香環構造を有する有機二色性色素を含む場合に、特に本発明のより顕著な効果が期待できる。
芳香環構造と、チオール構造またはチオエーテル構造とを有する硫黄系酸化防止剤(以下、「硫黄系酸化防止剤(S)」ともいう)は、芳香環構造と、チオール構造またはチオエーテル構造とを有するものである限り、特に限定されない。硫黄系酸化防止剤(S)は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硫黄系酸化防止剤(S)が含む芳香環構造としては、芳香族炭化水素環および複素芳香族環が挙げられる。これらの芳香環構造は、それぞれ、単環構造であっても、縮合環構造であってもよい。芳香環構造は、複素芳香族環であることが好ましく、窒素、硫黄および酸素の少なくとも1つを有する複素芳香族環であることがより好ましく、窒素および硫黄の少なくとも1つを有する複素芳香族環がさらに好ましい。芳香環構造が縮合環構造である場合、2環からなる縮合環であってもよいし、3環以上の環からなる縮合環であってもよい。芳香環構造としては、ベンゼン環、ナフタレン環、キノリン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環等が挙げられる。前記芳香環に含まれる水素原子は、置換されていてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基およびニトロ基等が挙げられる。
耐光性および黄変抑制効果、並びに、高い偏光特性を得やすい観点から、硫黄系酸化防止剤(S)として、芳香環を有するチオール化合物、芳香環を有するスルフィド化合物および芳香環を有する環状スルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
硫黄系酸化防止剤(S)として、式(S1)で表される構造を有する化合物や式(S2)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2022115637000013
式(S1)中、mは1若しくは2であり、好ましくは1である。
式(S1)中、Xは-N-または-CH-であり、Yは、-NH-、-N(Me)-〔Meはメチル基を意味する〕、-S-、-O-、-C(=O)-、-CH-または-CH=CH-である。XおよびYの少なくとも一方は、少なくとも1つ以上の上記記載のヘテロ原子を含むことが好ましく、XおよびYが、それぞれ、上記記載のヘテロ原子を含むことがより好ましく、Xが-N-、Yが-NH-であることがさらに好ましい。
式(S1)中、Rは水素原子または炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のアルキル基であり、好ましくは水素原子または炭素原子1~4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子またはメチル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
式(S1)中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子、-OH、-NH、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のアルキル基、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のアルコキシ基、または、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のチオアルキル基である。R、RおよびRの全てが水素原子であり、Rが水素原子、-OH、-NH、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のアルキル基、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のアルコキシ基、または、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のチオアルキル基であることが好ましく、R~Rの全てが水素原子であることがより好ましい。
式(S2)中、nは1若しくは2であり、好ましくは1である。
式(S2)中の2つのベンゼン環は、連結基Zを介して結合していてもよい。式(S2)における--Z--は、連結基Zが任意の結合であることを意味する。連結基Zとしては、単結合、-NH-、-N(Me)-〔Meはメチル基を意味する〕、-S-、-O-、-C(=O)-、-CH-などが挙げられる。2つのベンゼン環が連結基Zを介して結合していない場合、その非連結部位は、それぞれ独立して、水素原子、-NH、-OH、-NO、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のアルキル基、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のアルコキシ基、または、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のチオアルキル基である。
式(S2)において、2つのベンゼン環は連結基Zを介して結合していることが好ましく、連結基Zが-NH-、-N(Me)-、-S-または-O-であることがより好ましく、連結基Zが-NH-または-N(Me)-であることがさらに好ましい。
式(S2)中、R~R13は、それぞれ独立して水素原子、-OH、-NH、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のアルキル基、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のアルコキシ基、または、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のチオアルキル基である。
連結基Zが-NH-である場合、R、R~R11およびR13の全てが水素原子であり、RおよびR12が、それぞれ独立して水素原子、-OH、-NH、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のアルキル基、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のアルコキシ基、または、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のチオアルキル基であることが好ましく、Rも水素原子であることがより好ましい。
連結基Zが-N(Me)-である場合、R、R~R11およびR13の全てが水素原子であり、RおよびR12が、それぞれ独立して水素原子、-OH、-NH、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のアルキル基、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のアルコキシ基、または、炭素数1~12の分枝若しくは非分枝のチオアルキル基であることが好ましく、Rも水素原子であることがより好ましく、R~R13の全てが水素原子であることがさらに好ましい。
芳香環を有するチオール化合物、芳香環を有するスルフィド化合物および芳香環を有する環状スルフィド化合物としては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。
Figure 2022115637000014
硫黄系酸化防止剤(S)の重量平均分子量は、好ましくは600以下、より好ましくは400以下、さらに好ましくは250以下である。重合平均分子量が前記上限以下であると、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく液晶分子中に配向しやすくなり、有機二色性色素の近傍に存在することができるため、有機二色性色素の光劣化抑制効果および偏光膜の黄変抑制効果をより向上させることができる。硫黄酸化防止剤(S)の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、通常、50以上であり、好ましくは100以上である。
中でも、分子構造として立体障害が小さく直線性が高い硫黄系酸化防止剤は、重合性液晶化合物とともに配向しやすく、有機二色性色素の光劣化抑制効果および偏光膜の黄変抑制効果に優れる傾向にあるので好ましい。本発明における硫黄系酸化防止剤(S)としては、これに限定されるものではないが、2-メルカプトベンズイミダゾール等のベンズイミダゾール環を有する硫黄化合物;10-メチルフェノチアジン、2-メトキシフェノチアジン、2-エチルチオフェノチアジン等の置換基を有するチオフェノチアジン;等が好ましい。
硫黄系酸化防止剤(S)の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは0.1~3質量部であり、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、より好ましくは2.5質量部以下であり、さらに好ましくは2質量部以下である。硫黄系酸化防止剤(S)の含有量が上記下限値以上であると、有機二色性色素の光劣化および得られる偏光膜の黄変を効果的に抑制することができる。また、硫黄系酸化防止剤(S)の含有量が上記上限値以下であると、重合性液晶化合物の配向を乱し難く、かつ、有機二色性色素の光劣化および得られる偏光膜の黄変に対する高い抑制効果を期待できる。
重合性液晶組成物は、硫黄系酸化防止剤(S)以外の酸化防止剤を含んでいてもよい。硫黄系酸化防止剤(S)以外の酸化防止剤としては、例えば、芳香環構造を有しない硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の二次酸化防止剤の他、発生したラジカルを捕捉する作用を有する、フェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤等の一次酸化防止剤などが挙げられる。
重合性液晶組成物が硫黄系酸化防止剤(S)以外の酸化防止剤を含む場合、重合性液晶化合物の高い配向秩序を維持したまま、十分に高い黄変抑制効果を発揮する観点から、硫黄系酸化防止剤(S)の含有量が、重合性液晶組成物が含むすべての酸化防止剤の総量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
本発明の重合性液晶組成物は、更に重合開始剤を含んでいてもよい。
重合開始剤は、重合性液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物であり、より低温条件下で、重合反応を開始できる点で、光重合開始剤が好ましい。具体的には、光の作用により活性ラジカルまたは酸を発生できる光重合開始剤が挙げられ、中でも、光の作用によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。重合開始剤は単独または二種以上組み合わせて使用できる。
重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩等が挙げられる。
ベンゾイン化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等が挙げられる。
アルキルフェノン化合物としては、ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1,2-ジフェニル-2,2-ジメトキシエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(1-メチルビニル)フェニル〕プロパン-1-オンのオリゴマー等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドおよびビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
トリアジン化合物としては、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチ_ル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジンおよび2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
重合開始剤には、市販のものを用いることができる。市販の重合開始剤としては、例えば、“イルガキュア(Irgacure)(登録商標)907”、“イルガキュア(登録商標)184”、“イルガキュア(登録商標)651”、“イルガキュア(登録商標)819”、“イルガキュア(登録商標)250”、“イルガキュア(登録商標)369”(チバ・ジャパン(株));“セイクオール(登録商標)BZ”、“セイクオール(登録商標)Z”、“セイクオール(登録商標)BEE”(精工化学(株));“カヤキュアー(kayacure)(登録商標)BP100”(日本化薬(株));“カヤキュアー(登録商標)UVI-6992”(ダウ社製);“アデカオプトマーSP-152”、“アデカオプトマーSP-170”((株)ADEKA);“TAZ-A”、“TAZ-PP”(日本シイベルヘグナー社);および“TAZ-104”(三和ケミカル社)等が挙げられる。
重合性液晶組成物が重合開始剤を含む場合、その含有量は、該重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物の種類およびその量に応じて適宜決定すればよいが、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、0.5~8質量部がさらに好ましい。重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく重合させることができる。
重合性液晶組成物が光重合開始剤を含む場合、光増感剤をさらに含んでいてもよい。光増感剤を用いることにより重合性液晶化合物の重合反応をより促進させることができる。
光増感剤としては、キサントン、チオキサントンなどのキサントン化合物(2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントンなど);アントラセン、アルコキシ基含有アントラセン(ジブトキシアントラセンなど)などのアントラセン化合物;フェノチアジンおよびルブレン等が挙げられる。光増感剤は単独または2種以上組み合わせて使用できる。
本発明の重合性液晶組成物における光増感剤の含有量は、光重合開始剤および重合性液晶化合物の種類およびその量に応じて適宜決定すればよいが、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、0.5~8質量部がさらに好ましい。
本発明の重合性液晶組成物は、更にレベリング剤を含んでいてもよい。レベリング剤は、重合性液晶組成物の流動性を調整し、該重合性液晶組成物を塗布することにより得られる塗膜をより平坦にする機能を有し、具体的には、界面活性剤が挙げられる。レベリング剤としては、ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤およびフッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。レベリング剤は単独または2種以上組み合わせて使用できる。
ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤としては、“BYK-350”、“BYK-352”、“BYK-353”、“BYK-354”、“BYK-355”、“BYK-358N”、“BYK-361N”、“BYK-380”、“BYK-381”および“BYK-392”(BYK Chemie社)等が挙げられる。
フッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤としては、“メガファック(登録商標)R-08”、同“R-30”、同“R-90”、同“F-410”、同“F-411”、同“F-443”、同“F-445”、同“F-470”、同“F-471”、同“F-477”、同“F-479”、同“F-482”および同“F-483”(DIC(株));“サーフロン(登録商標)S-381”、同“S-382”、同“S-383”、同“S-393”、同“SC-101”、同“SC-105”、“KH-40”および“SA-100”(AGCセイミケミカル(株));“E1830”、“E5844”((株)ダイキンファインケミカル研究所);“エフトップEF301”、“エフトップEF303”、“エフトップEF351”および“エフトップEF352”(三菱マテリアル電子化成(株))等が挙げられる。
本発明の重合性液晶組成物におけるレベリング剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.05~5質量部が好ましく、0.05~3質量部がより好ましい。レベリング剤の含有量が前記範囲内であると、重合性液晶化合物を水平配向させやすく、かつ、ムラが生じ難く、より平滑な偏光膜を得られる傾向がある。
本発明の重合性液晶組成物は、更に、重合開始剤、光増感剤およびレベリング剤以外の他の添加剤を含んでいてよい。他の添加剤としては、例えば、離型剤、安定剤、ブルーイング剤等の着色剤、難燃剤および滑剤などが挙げられる。重合性液晶組成物が他の添加剤を含む場合、他の添加剤の含有量は、重合性液晶組成物の固形分に対して、0%を超えて20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0%を超えて10質量%以下である。
本発明の重合性液晶組成物は、更に溶剤を含んでいてもよい。例えば、一般にスメクチック液晶性を示す化合物は粘度が高いため、重合性液晶組成物に溶剤を加えることにより塗布が容易となり、結果として偏光膜の形成がし易くなる場合が多い。溶剤は、重合性液晶化合物および有機二色性色素の溶解性に応じて適宜選択することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤;アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤;および、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤;などが挙げられる。
これらの溶剤は、単独または2種以上組み合わせて使用できる。溶剤の含有量は、重合性液晶組成物を構成する固形成分100質量部に対して、好ましくは100~1900質量部であり、より好ましくは150~900質量部であり、さらに好ましくは180~600質量部である。
本発明の重合性液晶組成物は、通常、重合性液晶化合物、有機二色性色素および硫黄系酸化防止剤、並びに必要に応じて上述の添加剤および溶剤等を混合、撹拌することにより調製することができる。
本発明の重合性液晶組成物は、経時的な黄変が生じ難い液晶硬化膜を得ることができるため、偏光膜の製造に好適に用いることができる。したがって、本発明は、本発明の重合性液晶組成物の硬化膜からなる偏光膜を対象とする。
本発明の重合性液晶組成物により配向秩序度の高い偏光膜を製造することができる。
配向秩序度の高い偏光膜は、X線回折測定においてヘキサチック相やクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークが得られる。
ブラッグピークとは、分子配向の面周期構造に由来するピークを意味する。したがって、本発明の重合性液晶組成物から形成される偏光膜において、重合性液晶化合物またはその重合体が、X線回折測定において該偏光膜がブラッグピークを示すように配向していることが好ましく、光を吸収する方向に重合性液晶化合物の分子が配向する「水平配向」であることがより好ましい。本発明においては分子配向の面周期間隔が3.0~6.0Åである偏光膜が好ましい。ブラッグピークを示すような高い配向秩序度は、用いる重合性液晶化合物の種類、酸化防止剤の種類やその量、有機二色性色素の種類やその量等を制御することにより実現し得る。
本発明の偏光膜は、例えば、本発明の重合性液晶組成物の塗膜を形成すること、
前記塗膜から溶剤を除去すること、
重合性液晶化合物が液体相に相転移する温度以上まで昇温した後に降温して、該重合性液晶化合物を液晶相(スメクチック液晶状態)に相転移させること、および、
前記液晶相(スメクチック液晶状態)を保持したまま重合性液晶化合物を重合させること
を含む方法により製造することができる。
重合性液晶組成物の塗膜の形成は、基材上や後述する配向膜上などに重合性液晶組成物、特に、溶剤を加えて粘度を調整した重合性液晶組成物(以下、「偏光膜形成用組成物」ともいう)を塗布することにより行うことができる。本発明の偏光板を構成する位相差フィルムやその他の層上に重合性液晶組成物を直接塗布してもよい。
基材は、通常、透明基材である。基材が表示素子の表示面に設置されないとき、例えば偏光膜から基材を取り除いた積層体を表示素子の表示面に設置する場合は、基材は透明でなくてもよい。透明基材とは、光、特に可視光を透過し得る透明性を有する基材を意味し、透明性とは、波長380~780nmにわたる光線に対しての透過率が80%以上となる特性をいう。具体的な透明基材としては、透光性樹脂基材が挙げられる。透光性樹脂基材を構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ノルボルネン系ポリマーなどの環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィドおよびポリフェニレンオキシド等が挙げられる。入手のしやすさや透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸エステル、セルロースエステル、環状オレフィン系樹脂またはポリカーボネートが好ましい。セルロースエステルは、セルロースに含まれる水酸基の一部または全部が、エステル化されたものであり、市場から容易に入手することができる。また、セルロースエステル基材も市場から容易に入手することができる。市販のセルロースエステル基材としては、“フジタックフィルム”(富士写真フィルム(株));“KC8UX2M”、“KC8UY”および“KC4UY”(コニカミノルタオプト(株))などが挙げられる。
基材に求められる特性は、偏光膜の構成によって異なるが、通常、位相差性ができるだけ小さい基材が好ましい。位相差性ができるだけ小さい基材としては、ゼロタック(コニカミノルタオプト株式会社)、Zタック(富士フィルム株式会社)等の位相差を有しないセルロースエステルフィルム等が挙げられる。未延伸の環状オレフィン系樹脂基材も好ましい。偏光膜が積層されていない基材の面には、ハードコート処理、反射防止処理、帯電防止処理等がなされてもよい。
基材の厚みは、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向があるため、通常5~300μmであり、好ましくは20~200μm、より好ましくは20~100μmである。
偏光膜形成用組成物を基材等に塗布する方法としては、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法が挙げられる。
次いで、偏光膜形成用組成物から得られた塗膜中に含まれる重合性液晶化合物が重合しない条件で、溶剤を乾燥等により除去することにより、乾燥塗膜が形成される。乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
さらに、重合性液晶化合物を液体相に相転移させるため、重合性液晶化合物が液体相に相転移する温度以上まで昇温した後に降温し、該重合性液晶化合物を液晶相(スメクチック液晶状態)に相転移させる。かかる相転移は、前記塗膜中の溶剤除去後に行ってもよいし、溶剤の除去と同時に行ってもよい。
重合性液晶化合物の液晶相(スメクチック液晶状態)を保持したまま、重合性液晶化合物を重合させることにより、重合性液晶組成物の硬化膜が偏光膜として形成される。重合方法としては光重合法が好ましい。光重合において、乾燥塗膜に照射する光としては、当該乾燥塗膜に含まれる光重合開始剤の種類、重合性液晶化合物の種類(特に、該重合性液晶化合物が有する重合性基の種類)およびその量に応じて適宜選択される。その具体例としては、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線およびγ線からなる群より選択される1種以上の光や活性電子線が挙げられる。中でも、重合反応の進行を制御し易い点や、光重合装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましく、紫外光によって光重合可能なように重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物や光重合開始剤の種類を選択しておくことが好ましい。また、重合時に、適切な冷却手段により乾燥塗膜を冷却しながら光照射することにより、重合温度を制御することもできる。このような冷却手段の採用により、より低温で重合性液晶化合物の重合を実施すれば、基材が比較的耐熱性が低いものを用いたとしても適切に偏光膜を形成できる。光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた偏光膜を得ることもできる。
前記活性エネルギー線の光源としては、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380~440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線照射強度は、通常、10~3,000mW/cmである。紫外線照射強度は、好ましくは光重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。光を照射する時間は、通常0.1秒~10分であり、好ましくは1秒~5分、より好ましくは5秒~3分、さらに好ましくは10秒~1分である。このような紫外線照射強度で1回または複数回照射すると、その積算光量は、10~3,000mJ/cm、好ましくは50~2,000mJ/cm、より好ましくは100~1,000mJ/cmである。
光重合を行うことにより、重合性液晶化合物は、液晶相、好ましくはスメクチック相、より好ましくは高次のスメクチック相の液晶状態を保持したまま重合し、偏光膜が形成される。重合性液晶化合物がスメクチック相の液晶状態を保持したまま重合して得られる偏光膜は、前記二色性色素の作用にも伴い、従来のホストゲスト型偏光フィルム、すなわち、ネマチック相の液晶状態からなる偏光膜と比較して、偏光性能が高いという利点がある。さらに、二色性色素やリオトロピック液晶のみを塗布したものと比較して、強度に優れるという利点もある。
偏光膜の厚みは、適用される表示装置に応じて適宜選択でき、好ましくは0.5~4μm、より好ましくは0.5~3μmである。
偏光膜は配向膜上に形成されることが好ましい。該配向膜は、重合性液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有するものである。配向膜としては、重合性液晶化合物を含有する組成物の塗布等により溶解しない溶剤耐性を有し、また、溶剤の除去や重合性液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。かかる配向膜としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜および表面に凹凸パターンや複数の溝を有するグルブ配向膜、配向方向に延伸してある延伸フィルム等が挙げられ、配向角の精度および品質の観点から、光配向膜が好ましい。
配向性ポリマーとしては、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミドおよびその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステルが挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。配向性ポリマーは単独または2種以上組み合わせて使用できる。
配向性ポリマーを含む配向膜は、通常、配向性ポリマーが溶剤に溶解した組成物(以下、「配向性ポリマー組成物」ということがある)を基材に塗布し、溶剤を除去する、または、配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶剤を除去し、ラビングする(ラビング法)ことにより得られる。溶剤としては、偏光膜を形成する際に用い得る溶剤として先に例示した溶剤と同様のものが挙げられる。
配向性ポリマー組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマー材料が、溶剤に完溶できる範囲であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1~20%が好ましく、0.1~10%程度がさらに好ましい。
配向性ポリマー組成物として、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)、オプトマー(登録商標、JSR(株)製)などが挙げられる。
配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法としては、偏光膜形成用組成物を基材へ塗布する方法として例示したものと同様のものが挙げられる。
配向性ポリマー組成物に含まれる溶剤を除去する方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
配向膜に配向規制力を付与するために、必要に応じてラビング処理を行うことができる(ラビング法)。
ラビング法により配向規制力を付与する方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、配向性ポリマー組成物を基材に塗布しアニールすることにより基材表面に形成された配向性ポリマーの膜を接触させる方法が挙げられる。
光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーと溶剤とを含む組成物(以下、「光配向膜形成用組成物」ともいう)を基材に塗布し、偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することにより得られる。光配向膜は、照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御できる点でより好ましい。
光反応性基とは、光照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光照射により生じる分子の配向誘起または異性化反応、二量化反応、光架橋反応もしくは光分解反応等の液晶配向能の起源となる光反応に関与する基が挙げられる。中でも、二量化反応または光架橋反応に関与する基が、配向性に優れる点で好ましい。光反応性基として、不飽和結合、特に二重結合を有する基が好ましく、炭素-炭素二重結合(C=C結合)、炭素-窒素二重結合(C=N結合)、窒素-窒素二重結合(N=N結合)および炭素-酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも1つを有する基が特に好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ-ル基、スチルバゾリウム基、カルコン基およびシンナモイル基等が挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾンなどの構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基、および、アゾキシベンゼン構造を有する基等が挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基およびマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリ-ル基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基などの置換基を有していてもよい。
中でも、光二量化反応に関与する光反応性基が好ましく、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向膜が得られやすいという点で、シンナモイル基およびカルコン基が好ましい。光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
光配向膜形成用組成物を基材上に塗布することにより、基材上に光配向誘起層を形成することができる。該組成物に含まれる溶剤としては、偏光膜を形成する際に用い得る溶剤として先に例示した溶剤と同様のものが挙げられ、光反応性基を有するポリマーあるいはモノマーの溶解性に応じて適宜選択することができる。
光配向膜形成用組成物中の光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの含有量は、ポリマーまたはモノマーの種類や目的とする光配向膜の厚みによって適宜調節できるが、光配向膜形成用組成物の質量に対して、少なくとも0.2質量%とすることが好ましく、0.3~10質量%の範囲がより好ましい。光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、光配向膜形成用組成物は、ポリビニルアルコールやポリイミドなどの高分子材料や光増感剤を含んでいてもよい。
光配向膜形成用組成物を基材に塗布する方法としては、配向性組成物を基材に塗布する方法と同様の方法が挙げられる。塗布された光配向膜形成用組成物から、溶剤を除去する方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
偏光を照射するには、基板上に塗布された光配向膜形成用組成物から溶剤を除去したものに、偏光UVを直接照射する形式でも、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。当該偏光は、実質的に平行光であると特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250~400nmの範囲のUV(紫外線)が特に好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArFなどの紫外光レーザーなどが挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプがより好ましい。これらの中でも、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプが、波長313nmの紫外線の発光強度が大きいため好ましい。前記光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光UVを照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテーラーなどの偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
なお、ラビングまたは偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、液晶配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
グルブ(groove)配向膜は、膜表面に凹凸パターンまたは複数のグルブ(溝)を有する膜である。等間隔に並んだ複数の直線状のグルブを有する膜に重合性液晶化合物を塗布した場合、その溝に沿った方向に液晶分子が配向する。
グルブ配向膜を得る方法としては、感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像およびリンス処理を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、硬化前のUV硬化樹脂の層を形成し、形成された樹脂層を基材へ移してから硬化する方法、および、基材に形成した硬化前のUV硬化樹脂の膜に、複数の溝を有するロール状の原盤を押し当てて凹凸を形成し、その後硬化する方法等が挙げられる。
配向膜(配向性ポリマーを含む配向膜または光配向膜)の厚さは、通常10~10000nmの範囲であり、好ましくは10~1000nmの範囲であり、より好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは10~200nm、特に好ましくは50~150nmの範囲である。
本発明は、本発明の偏光膜と透明フィルムとを備えてなる偏光フィルムを包含する。ここでいう透明フィルムは、光、特に可視光を透過し得る透明性を有するフィルムを意味し、透明性とは、波長380~780nmにわたる光線に対しての透過率が80%以上となる特性をいう。本発明の偏光フィルムにおいて、透明フィルムは、例えば、先に記載したような透明基材であってもよく、また、偏光膜を保護するための保護フィルムであってもよい。本発明の偏光フィルムにおいて、透明フィルムは偏光膜の片面のみに積層されていても、両面に積層されていてもよい。本発明の偏光フィルムが複数枚の透明フィルムを含む場合、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。また、偏光膜と透明フィルムは、互いに接していても離れていてもよい。通常、透明フィルムは、接着剤層や粘着剤層を介して偏光膜に貼合することができる。
さらに、本発明は、本発明の偏光膜と位相差フィルムとを含む円偏光板を包含する。本発明の円偏光板において位相差フィルムは、式(1)および式(2)を満たすことが好ましい。なお、位相差フィルムが、基材フィルム上に形成された液晶硬化層から構成される場合など、位相差を発現する層(位相差発現層)以外を含む場合、位相差発現層が式(1)および式(2)で表される光学特性を満たすことが好ましい。
100nm≦Re(550)≦150nm (1)
Re(450)/Re(550)<1 (2)
〔式中、Re(λ)は波長λnmの光に対する正面位相差値を表す〕
位相差フィルムが上記(1)で表される正面位相差値を有すると、いわゆるλ/4板として機能する。前記式(1)は、好ましくは120nm≦Re(550)≦150nmである。
上記式(2)を満たす位相差フィルムは、いわゆる逆波長分散性を有し、優れた偏光性能を示す。Re(450)/Re(550)の値は、好ましくは0.93以下であり、より好ましくは0.88以下、さらに好ましくは0.86以下、好ましくは0.80以上、より好ましくは0.82以上である。
上記正面位相差値は、位相差フィルム(位相差発現層)の膜厚dAによって調整することができる。正面位相差値は、式Re(λ)=(nx(λ)-ny(λ))×dA〔dAは位相差フィルム(位相差発現層)の厚みを表し、nxは、位相差フィルムが形成する屈折率楕円体において、位相差フィルムの平面に平行な方向の波長λnmにおける主屈折率を表し、nyは、位相差フィルムが形成する屈折率楕円体において、位相差フィルムの平面に対して平行であり、且つ、前記nxの方向に対して直交する方向の波長λnmにおける屈折率を表す〕によって決定されることから、所望の正面位相差値(Re(λ):波長λ(nm)における位相差層の面内位相差値)を得るには、3次元屈折率と膜厚dAとを調整すればよい。
前記位相差フィルムは、ポリマーを延伸することによって位相差を与える延伸フィルムであってもよいが、円偏光板の薄層化の観点から、重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物の硬化物であって、前記重合性液晶化合物の配向状態における重合体から構成されることが好ましい。本発明の円偏光板を構成する位相差フィルムは、当該分野で従来公知の材料や方法を適宜選択、採用して製造することができ、位相差フィルムを形成する重合性液晶化合物としては、例えば、特開2011-207765等に記載の液晶化合物を用いることができる。
位相差フィルムの厚みは、適用される表示装置に応じて適宜選択できるが、薄膜化および屈曲性等の観点から、0.1~10μmであることが好ましく、1~5μmであることがより好ましく、1~3μmであることがさらに好ましい。
本発明の円偏光板は、本発明の偏光膜または偏光フィルムと位相差フィルムとを備えてなり、さらにこれら以外の他の層(保護層、粘接着剤層等)を含んでいてもよい。本発明の円偏光板において、本発明の偏光膜または偏光フィルムと位相差フィルムとは接着剤層または粘着剤層を介して貼合されていてもよい。また、本発明の円偏光板において、位相差フィルム形成用組成物を本発明の偏光膜に直接塗布することにより、位相差フィルムが本発明の偏光膜上に直接形成されていてもよい。
本発明の円偏光板において、位相差フィルムの遅相軸と偏光膜の吸収軸との成す角度は、好ましくは実質的に45°である。なお、本発明において「実質的に45°」とは、45°±5°を意味する。
本発明の円偏光板の厚みは、表示装置の屈曲性や視認性の観点から、好ましくは10~300μm、より好ましくは20~200μm、さらに好ましくは25~100μmである。
本発明は、本発明の偏光膜または本発明の円偏光板を備えてなる表示装置を包含する。
本発明の表示装置は、例えば、粘接着剤層を介して本発明の偏光膜または円偏光板を表示装置の表面に貼合することにより得ることができる。
表示装置とは、表示機構を有する装置であり、発光源として発光素子または発光装置を含む。表示装置としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、タッチパネル表示装置、電子放出表示装置(電場放出表示装置(FED等)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置)、プラズマ表示装置、投射型表示装置(グレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置等)および圧電セラミックディスプレイ等が挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置および投写型液晶表示装置等の何れをも含む。これら表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。特に、本発明の表示装置としては、有機EL表示装置およびタッチパネル表示装置が好ましく、特に有機EL表示装置が好ましい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。実施例および比較例中の「%」および「部」は、特記しない限り、「質量%」および「質量部」である。
比較例1
下記の成分を混合し、80℃で1時間攪拌することにより、重合性液晶組成物(1)を得た。重合性液晶化合物及び二色性色素には、特開2013-101328号公報の実施例に記載の重合性液晶化合物及びアゾ色素を用いた。
・重合性液晶化合物:
Figure 2022115637000015
(A-6) 90部
Figure 2022115637000016
(A-7) 10部
・二色性色素:
アゾ色素;
Figure 2022115637000017
(二色性色素 A) 2.5部
Figure 2022115637000018
(二色性色素 B) 2.5部
Figure 2022115637000019
(二色性色素 C) 2.5部
・重合開始剤:
2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア369;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 6部
・レベリング剤:
ポリアクリレート化合物(BYK-361N;BYK-Chemie社製) 1.2部
・溶剤:
o-キシレン 400部
さらに、表1に従い、重合性液晶組成物(1)100質量部に対して、下記記載の酸化防止剤を1部混合した以外は重合性液晶組成物(1)と同様にして、重合性液晶組成物(2)~(10)を得た。
実施例1~4および比較例2~6
重合性液晶組成物(1)において、上述の成分に加え、下記酸化防止剤1質量部を混合する以外は、比較例1と同様の方法で、実施例1~4及び比較例2~6の重合性液晶組成物(重合性液晶組成物(2)~(10))を調製した。
Figure 2022115637000020
(酸化防止剤A:2-メルカプトベンズイミダゾール)
重合性液晶組成物(2)に使用。
Figure 2022115637000021
(酸化防止剤B:10-メチルフェノチアジン)
重合性液晶組成物(3)に使用。
Figure 2022115637000022
(酸化防止剤C:2-メトキシフェノチアジン)
重合性液晶組成物(4)に使用。
Figure 2022115637000023
(酸化防止剤D:2-エチルチオフェノチアジン)
重合性液晶組成物(5)に使用。
Figure 2022115637000024
(酸化防止剤E:4-ブトキシ-4’-ヒドロキシビフェニル)
重合性液晶組成物(6)に使用。
Figure 2022115637000025
(酸化防止剤F:4-エトキシ-4’-ヒドロキシビフェニル)
重合性液晶組成物(7)に使用。
Figure 2022115637000026
(酸化防止剤G:Sumilizer TPL、住友化学株式会社製)
重合性液晶組成物(8)に使用。
Figure 2022115637000027
(酸化防止剤H:Sumilizer TP-D、住友化学株式会社製)
重合性液晶組成物(9)に使用。
Figure 2022115637000028
(酸化防止剤I:DTDPA)
重合性液晶組成物(10)に使用。
さらに、以下の手順で、重合性液晶組成物(1)~(10)を用いて、実施例1~4および比較例1~6の偏光膜等を作製した。
(1)基材上への光配向膜の作製
(i)光配向膜形成用組成物の調製
特開2013-033249号公報記載の下記成分を混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、光配向膜形成用組成物を得た。
・光配向性ポリマー:
Figure 2022115637000029
2部
・溶剤:
o-キシレン 98部
(ii)光配向膜の形成
透明基材としてトリアセチルセルロースフィルム(KC8UX2M、コニカミノルタ(株)製)を用い、膜表面にコロナ処理を施した後に、上記光配向膜形成用組成物を塗布して、120℃で乾燥して乾燥被膜を得た。この乾燥被膜上に偏光UVを照射して光配向膜を形成し、光配向膜付きフィルムを得た。偏光UV処理は、UV照射装置(SPOT CURE SP-7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、波長365nmで測定した強度が100mJである条件で行った。
(2)偏光膜の作製
前記のようにして得た光配向膜付きフィルム上に、重合性液晶組成物(2)をバーコート法(#9 30mm/s)により塗布し、120℃の乾燥オーブンにて1分間加熱乾燥することにより重合性液晶化合物を液体相に相転移させた後、室温まで冷却して該重合性液晶化合物をスメクチック液晶状態に相転移させた。次いで、UV照射装置(SPOT CURE SP-7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、露光量1000mJ/cm(365nm基準)の紫外線を、重合性液晶組成物から形成された層に照射することにより、該乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物を、前記重合性液晶化合物のスメクチック液晶状態を保持したまま重合させ、該乾燥被膜から偏光膜を形成して、透明基材、光配向膜および偏光膜をこの順に積層してなる偏光フィルムを得た。この際の偏光膜の膜厚をレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製 OLS3000)により測定したところ、2.3μmであった。
この偏光膜に対して、X線回折装置X’Pert PRO MPD(スペクトリス株式会社製)を用いて同様にX線回折測定を行った結果、2θ=20.2°付近にピーク半価幅(FWHM)=約0.17°のシャープな回折ピーク(ブラッグピーク)が得られた。また、ラビング垂直方向からの入射でも同等な結果を得た。ピーク位置から求めた秩序周期(d)は約4.4Åであり、高次スメクチック相を反映した構造を形成することを確認した。
(3)積層体の作製
さらに上記で得られた偏光フィルムの偏光膜表面にコロナ処理を施した後、コロナ処理を施した表面に、水100部にカルボキシル基変性ポリビニルアルコール〔(株)クラレ製「クラレポバール KL318」〕7部と、熱架橋剤として水溶性ポリアミドエポキシ樹脂〔住化ケムテックス(株)から入手した「スミレーズレジン650」(固形分濃度30質量%の水溶液)〕3.5部を添加した水溶液(粘度:92cP)をワイヤーバーコーター(#30)にて塗布した。80℃で5分間乾燥することにより、前記水溶液を乾燥させて保護層を形成し、保護層付き偏光フィルムを製造した。さらに、保護層上に、感圧式粘着剤(リンテック株式会社製、膜厚25μm)から形成される粘着層を介して、ガラス(コーニング社製、EagleXG)を貼合して積層体を得た。
<偏光度Pyの測定>
以下のようにして、積層体の偏光度Pyを測定した。波長380nm~780nmの範囲で透過軸方向の透過率(Ta)および吸収軸方向の透過率(Tb)を、分光光度計(島津製作所株式会社製 UV-3150)に偏光子付フォルダーをセットした装置を用いてダブルビーム法で測定した。該フォルダーのリファレンス側に光量を50%カットするメッシュを設置した。
下記(式1)より各波長における偏光度を算出し、さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正偏光度(Py)を算出した。
偏光度Py(%) = (Ta-Tb)/(Ta+Tb)×100 (式1)
<透過方向の吸光度の測定>
上記と同様の方法で透過軸方向の吸光度(A1)を分光光度計(島津製作所株式会社製 UV-3150)に偏光子付フォルダーをセットした装置を用いてダブルビーム法で測定した。
<耐光性の評価>
実施例1~4および比較例1~6の積層体について、以下の方法に従い耐光性を評価した。結果を表1に示す。
上記積層体を基材であるトリアセチルセルロースフィルム面を上にして、耐光性試験機(サンテスト XLS+;ATLAS製)へ投入し、積算光量を96120KJ/mの条件で光照射後、改めて積層体の偏光度Py、透過軸方向の吸光度A1を測定して耐光試験前後における偏光度Pyの変化率量ΔPyと、黄変の抑制基準である、420nmの透過軸方向の吸光度変化を算出し、以下の基準で評価した。
<評価基準>
偏光度変化
A:偏光度変化量の絶対値|ΔPy|が0.8未満
B:偏光度変化量の絶対値|ΔPy|が0.8以上1・2未満
C:偏光度変化量の絶対値|ΔPy|が1.2以上
吸光度変化
A:透過軸方向の吸光度変化が0%以上5%未満
B:透過軸方向の吸光度変化が5%以上10%未満
C:透過軸方向の吸光度変化が10%以上
Figure 2022115637000030
実施例1~4の偏光膜は、各評価において良好な結果が得られた。

Claims (13)

  1. 重合性液晶化合物、有機二色性色素および硫黄系酸化防止剤を含む重合性液晶組成物であって、
    前記重合性液晶化合物が少なくとも1つのラジカル重合性基を有し、
    前記硫黄系酸化防止剤が、芳香環構造と、チオール構造またはチオエーテル構造とを有する、重合性液晶組成物。
  2. 硫黄系酸化防止剤が、芳香環を有するチオール化合物、芳香環を有するスルフィド化合物および芳香環を有する環状スルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
  3. 重合性液晶化合物がスメクチック液晶性を示す液晶化合物である、請求項1または2に記載の重合性液晶組成物。
  4. 有機二色性色素がアゾ色素である、請求項1~3のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
  5. 有機二色性色素が芳香環構造を有する、請求項1~4のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
  6. 硫黄系酸化防止剤の含有量が、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.1~3質量部である、請求項1~5のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の重合性液晶組成物の硬化膜からなる偏光膜。
  8. X線回折測定においてブラッグピークを示す、請求項7に記載の偏光膜。
  9. 膜厚が0.5~4μmの範囲である、請求項7または8に記載の偏光膜。
  10. 請求項7~9のいずれかに記載の偏光膜と透明フィルムとを含む偏光フィルム。
  11. 請求項7~9のいずれかに記載の偏光膜と位相差フィルムとを含む円偏光板。
  12. 位相差フィルムが、式(1)および(2):
    100nm ≦ Re(550) ≦ 150nm (1)
    Re(450)/Re(550)<1 (2)
    〔式中、Re(λ)は波長λnmの光に対する正面位相差値を表す〕
    を満たす、請求項11に記載の円偏光板。
  13. 請求項7~9のいずれかに記載の偏光膜、請求項10に記載の偏光フィルムまたは請求項11若しくは12に記載の円偏光板を含む、表示装置。
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