JP2022111598A - 液体吐出装置および気泡除去方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、着脱可能な液体タンクから供給された液体を吐出する液体吐出装置および気泡除去方法に関する。
特許文献1には、インクタンクと記録ヘッドとの間にリザーブタンクを備えたインクジェット記録装置が開示されている。図8は、特許文献1における従来のインクジェット記録装置のインク流路を示した図である。このインクジェット記録装置は、インクを貯留したインクタンク5と、インクタンク5と第1ジョイント8と第2ジョイント9とを介して接続されるリザーブタンク4と、リザーブタンク4と接続された記録ヘッド1とを備えている。インクタンク5はインクジェット記録装置に着脱可能に構成されており、貯留するインクが無くなった場合などに取り外されて、インクを貯留した新たなインクタンクが取り付けられる。
記録ヘッド1とサブタンク4とを接続する供給路2には、開閉弁3が設けられており、供給路2を開閉弁3で遮断することができる。開閉弁3を閉じ、記録ヘッド1のノズル部を覆う不図示のキャップを介して、記録ヘッド1を減圧することで、ノズルからインクと共にゴミや泡等を吸引して除去することができる。
インクタンク5から記録ヘッド1へインクを供給する際には、記録ヘッド1内を負圧にしてインクタンク5からインクを供給する。インクタンク5が装置に取り付けられ、インクタンク5から記録ヘッド1へインクが供給される際には、インクタンク5から第2ジョイント9を介してインクが供給され、サブタンク4から第1ジョイント8を介して空気がインクタンク5に送られる。
インクタンク5を取り付ける際に、第2ジョイント9から気泡が流路6に入ることがある。流路6に入った気泡は、記録ヘッド1に入り込むことがあり、気泡が記録ヘッド1に入り込むと、気泡によって記録ヘッド内の流路が遮断されて吐出の障害となる虞がある。そこで、インクタンク5の装着時には、気泡を除去する気泡除去処理を行っている。気泡除去処理では、インクタンク5の装着後に開閉弁11を閉じ、可撓部材12を変形させることで、供給路6内のインクと共に気泡をインクタンク5へ戻す。このようにして、流路6内の気泡を除去することができる。
しかし、特許文献1の構成では、インクタンクと記録ヘッドとの間にサブタンクが必要であり、更に、インクタンクとサブタンクとの間の流路内およびサブタンクと記録ヘッドとの間の流路内に開閉弁が必要となる。その結果、装置の構成が複雑になるという課題があった。
よって本発明は、簡易な装置構成で気泡除去をすることができる液体吐出装置および気泡除去方法を提供することを目的とする。
そのため本発明の液体吐出装置は、供給流路と接続され、前記供給流路を介して供給された液体を吐出する吐出ヘッドと、前記供給流路の着脱部に対して着脱可能に設けられ、液体を貯留する液体タンクと、前記着脱部と前記吐出ヘッドとの間の前記供給流路に設けられ、可撓部材によって形成された容積変化部と、を備えた液体吐出装置であって、前記容積変化部を含む閉空間を形成する圧力室と、前記圧力室を加圧する加圧手段と、を備え、前記着脱部に前記液体タンクが装着された状態で、前記容積変化部から前記吐出ヘッドまでの第1流路における流路抵抗である第1流路抵抗と、前記容積変化部から前記液体タンクまでの第2流路における流路抵抗である第2流路抵抗とでは、前記第1流路抵抗の方が高いことを特徴とする。
本発明によれば、簡易な装置構成で気泡除去をすることができる液体吐出装置および気泡除去方法を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態を適用可能な液体吐出装置(以下、記録装置ともいう)12の断面図である。記録装置12は、4色のインクを搬送される記録媒体に吐出して画像形成することでカラー印刷を行う。記録装置12は、不図示の記録媒体を積載する給送トレイ13を備え、給紙トレイ13に積載された記録媒体は、給紙ローラ14によって給送され分離部16に搬送される。分離部16では、記録媒体は分離ローラ17と分離パッド18とにより1枚ずつ捌かれ1枚ずつ搬送される。分離部16で捌かれた記録媒体は、搬送部の搬送ベルト19と搬送ローラ21とにより、画像形成部20へ搬送される。
搬送ベルト19には、搬送ベルト19とベルト駆動ローラとの間での滑りによる搬送のズレが生じないように、テンションローラ22によって所定のテンションをかけている。画像形成部20と搬送ローラ21との間には不図示の先端検知センサが設けられており、記録媒体の先端位置を検知することで、画像形成部20における画像形成位置と記録媒体との位置を合わせている。
記録装置12は、不図示のホストPCと接続されており、ホストPCから送信される記録情報に基づいて、4つの液体吐出ヘッド(以下、記録ヘッドともいう)(15K、15C、15M、15Y)から記録媒体にインクを吐出することで画像形成を行う。4つの記録ヘッド(15K、15C、15M、15Y)は、記録媒体の搬送方向(矢印X方向)に沿って配置されている。各記録ヘッドは、搬送方向にブラックインク用記録ヘッ ド15K、シアンインク用記録ヘッド15C、マジェンタインク用記録ヘッド15M、イエローインク用記録ヘッド15Yの順で互いに平行に配置されている。記録ヘッド(15K、15C、15M、15Y)は、いわゆるラインヘッドであり、記録媒体の搬送方向と交差する矢印Y方向に沿ってノズルが所定の密度で配置されノズル列が形成されている。
ノズル列における両端のノズルの配置幅は、使用する記録媒体の最大記録幅以上の幅となっており、記録媒体に対してノズル幅を大きくとることで、各記録ヘッドを移動(走査)させることなく、ノズルからインクを吐出して画像形成を行うことができる。また、記録ヘッドは、キャリッジ23によって保持されており、上下方法(矢印Z方向)に移動可能となっている。記録ヘッド15は、キャリッジ23の上下方向の移動により、印刷位置、キャップ位置(待機位置)、クリーニング位置等の位置へ移動することができる。
印刷を行わない待機時、記録ヘッド15は、ノズルの乾燥を防止する不図示のキャップによりノズルを密閉する位置で待機する。印刷、クリーニング動作を行っていない時は、記録ヘッド15は待機位置に位置している。印刷を行う際は、記録ヘッド15は待機位置から移動し、搬送部からの所定の距離をとる印刷位置まで移動する。このとき、記録ヘッド15と記録媒体との距離は、所定の値の範囲内に維持することが重要であり、記録ヘッド15と記録媒体との距離が遠くなると、記録媒体に吐出されたインク滴の挙動がばらつき、吐出された位置もばらつく。このインク滴のばらつきにより、画像は鮮明さがなくなり、ぼやけた画像となってしまう。逆に、記録ヘッド15と記録媒体との距離が近すぎると、記録ヘッド15と記録媒体とが接触するといった問題が発生する。
記録装置12には、記録ヘッド15に供給するインクを貯留する液体タンクであるインクタンク32(32K、32C、32M、32Y)が設けられている。インクタンクと記録ヘッドとは、対応したインク色ごとに不図示のチューブによって接続されており、吐出されたインク消費分は自動で供給されるように、ノズルでの毛管力>水頭差圧になるように記録ヘッドとインクタンクとの高さが設定されて配置されている。
記録ヘッド15内にもインクは貯留されており、各記録ヘッド内のインク量は、不図示のセンサにより検知される。記録ヘッド内のインク量が所定より少ない場合には、不図示のポンプにより、記録ヘッド内を負圧にして、インクをインクタンクから吸引して記録ヘッド内に供給する。
記録ヘッドから吐出されたインクにより、画像が形成された記録媒体は、排出ローラ26により、機外へ排出される。排出ローラ26によって排出された用紙は、排紙トレイ27に積載される。排紙トレイ27は、不図示の駆動手段により、昇降動作可能に保持され、積載された記録媒体の積載枚数に応じて、排紙トレイ27を上下させ、良好な積載状態を保っている。記録装置12は、回転中心33を中心に上枠ユニット34を回転移動させることで、搬送ローラ21および排出ローラ26の搬送ベルト19に対するニップを解除することができる。上枠ユニット34を回転移動させることで、記録媒体が搬送部で詰まった場合でも、ユーザーによって詰まりを解消することができる。
記録装置12には、記録ヘッド15のクリーニングで消費したインクを廃液として処理する廃液タンク24が設けられている。記録ヘッド15のノズルがゴミ等により目詰まりして吐出に支障が出た場合、記録ヘッド15のノズルを不図示のキャップで密閉し、負圧発生手段であるポンプを駆動させて、ノズルからインクを吸引することで吐出状態を回復させるクリーニング動作を行う。このクリーニング動作により、安定したインク吐出が可能となる。このクリーニング動作でノズルから排出されたゴミやインクは、キャップを介して、廃液流路を形成するチューブを通り、廃液タンク24に貯蔵される。その際に、インクが溢れるのを防止するため、廃液タンク24内にはインクを吸収するインク吸収体25が設けられている。
図2は、記録装置12におけるインクの流れを示した流路図である。なお、記録ヘッド、インクタンクおよび記録ヘッドとインクタンクとの間の流路は、前述の通りインクの種類に対応して4個ずつ設けられている。以下では必要に応じて各色に対応した構成を説明する時以外、ブラックインク(K)用の構成について説明し、その他の色に対応した構成は同様であるため説明を省略する。
記録ヘッド15Kは、供給流路42によってインクタンク32Kと接続されており、インクタンク32Kからインクの供給が可能となっている。記録ヘッド15Kのノズルが設けられたノズル面と対向する位置にはキャップ29が設けられている。キャップ29は、記録ヘッド15Kのノズル面と当接して密閉空間を形成する。キャップ29には、大気開放のための大気開放弁30と吸引用の開閉弁31とが接続されている。キャップ29も、インクの種類に対応して4個設けられている。
開閉弁31におけるキャップ29が接続されていない方の端部には、減圧室35が接続されており、減圧室35には、減圧室内の圧力を測定する圧力センサ46と、減圧室内の圧力を開放する大気開放弁36とが設けられている。また、減圧室35にはポンプ37が接続されており、更にポンプ37の先には、ポンプ37から排出された廃液を気液分離する気液分離室38が設けられている。気液分離室38は、圧力伝達路45を介して圧力室44と接続されており、更に気液分離室38は、廃液弁39を介して廃液タンク24と接続されている。ブラックインク(K)に対応した供給流路42には、可撓部材で形成された容積変化部である流路内バッファ43Kが設けられており、圧力室44は、流路内バッファ43Kを覆う閉空間を形成している。流路内バッファ43Kは、気液分離室38を介して圧力室44と接続されたポンプ37によって、圧力室44内の圧力を変えることで可撓部材を変形させることができる。
ここで、インクタンク、流路内バッファ、記録ヘッドおよびキャップは、インクの種類に対応してインクの種類と同数設けられた構成となっている。また、図2における開閉弁31から廃液タンク24までは、インクの種類と対応しておらず、全てのインクで共通で用いる構成となっている。
記録ヘッド15Kへのインクの補充の際は、キャップ29で記録ヘッド15Kのノズル面を覆い、キャップ29の大気開放弁30と、ポンプ37につながる開閉弁31とを閉めることで、キャップ29内の空間を密閉する。一方で、減圧室35と接続された大気開放弁36を閉じ、ポンプ37を用いて減圧室35内を減圧する。この時、圧力センサ46で減圧室35内の圧力を検知しつつポンプ37の駆動を制御することで、減圧室35内を所定圧まで減圧することができる。減圧室35内が所定圧力に達したところで、ポンプ37の駆動を停止し、開閉弁31を開けることで、ノズルを介して記録ヘッド15K内が減圧され、供給流路42を介してインクタンク32Kのインクが記録ヘッド15Kに供給される。
図3は、インクタンク32Kを示した図であり、図3(a)は斜視図、図3(b)は断面図である。インクタンク32Kは、密閉された容器であるケーシング51によりインクの液室50が形成され、液室50内に所定量のインクが充填されている。記録装置12は、ノズルにおけるメニスカスの維持に水頭圧を用いているため、液室50内には、空気も存在している。
ケーシング51には、インク供給口46Kからインクが漏れないようにシールゴム49が設けられている。シールゴム49と隣接してインク供給口46Kの開口部には、吸収体48が設けられており、開口部からのインクの漏れを防いでいる。一方で、記録装置12にインクタンク32Kを装着した際にインクタンク32K内を大気開放する大気連通口47Kがインクタンク32Kには設けられている。大気連通口47Kもインク供給口46Kと同じようにシールゴム49で封止され、大気連通口47Kの開口部には吸収体48が設けられている。大気連通口47Kは、通常は空気が通る開口であり通常使用で液体は流れないが、液室50と連通していることから、吸収体48によって液室50からの液体の漏れを防いでいる。
図4(a)は、接続部61を示した斜視図であり、図4(b)は、ケーシング55を取り除いた接続部61の斜視図である。図5は、図4(a)のV-Vにおける断面図である。接続部61には、各色に対応して、インクタンクのインク供給口と接続されるジョイント(52K、52C、52M、52Y)(着脱部)が設けられている。ジョイント(52K、52C、52M、52Y)は、中空の管部材であり、管内部をインクが流れるようになっている。ジョイント52Kは、可撓部材からなる流路内バッファ43Kと接続され、流路内バッファ43Kと接続されたジョイント54と、チューブを介して記録ヘッド15Kとが接続されている。圧力室44は、流路内バッファ43Kをケーシング55で覆い閉空間を形成している。
圧力室44内には4色に対応した流路内バッファ(43K、43C、43M、43Y)が配置され、ポンプ37を駆動して圧力室44内を加圧することで、一度に4色に対応した流路内バッファ(43K、43C、43M、43Y)を加圧することができる。加圧された流路内バッファ(43K、43C、43M、43Y)は、可撓部材が変形して潰れる。圧力室44のケーシング55には、圧力室44にポンプ37(図2参照)からの圧力を伝達するためのジョイント56が設けられ、チューブによって、気液分離室38を介してポンプ37に接続されている。更に、接続部61には、各色に対応して、インクタンクの大気連通口と接続されるジョイント(53K、53C、53M、53Y)が設けられている。ジョイント(53K、53C、53M、53Y)は、中空の管部材であり、管内部を空気が流れるようになっている。ジョイント53Kは、大気開放口59Kと接続されている。
なお、本実施形態では4色のインクに対応した構成となっているがこれに限定するものではなく、単一種類の液体または複数種類の液体に対応した構成であればよい。また、圧力室44が一種類の液体ごとに個別に設けられる構成であっても良い。
図6は、接続部61と接続されたインクタンク32Kを示した断面図である。図6(a)は圧力室44内が加圧されていない状態であり、図6(b)は、圧力室44内が加圧された状態を示している。接続部61とインクタンク32Kとが接続されると、インク供給口46Kとジョイント52Kとが接続され、大気連通口47Kとジョイント53Kとが接続される。インクタンク32Kを密閉しているシールゴム49は、中央にスリットが設けられており、接続部61とインクタンク32Kとが接続される際には、シールゴム49のスリットをジョイント52K、53Kが貫通することで流路が形成される。ジョイント52K、53Kの貫通前後において、シールゴム49のゴム弾性力によってインクタンク32K内の密閉を保つようになっている。
インクタンク32Kにおけるインクを貯留する液室50には、インク供給口46Kへつながる流路の一部である液柱部63が設けられている。ここで、液柱部63の先端部46aからシールゴム49までの流路を接続流路と呼ぶ。また、インクタンク32Kには、液室50の上部である開放部65を大気と連通する大気連通口47Kが設けられており、大気連通口47Kと接続させる大気連通部64と、その先端である先端部47aとが設けられている。
記録装置12とインクタンク32Kとの接続時に、気泡がシールゴム49のスリットを介してインクタンク32K内に入ることがある。インクタンク32K内に入った気泡は、液柱部63の先端部46aまで到達しないとインクタンク32Kの液室50に入らず、接続流路に留まることになる。接続流路に留まった気泡は、記録ヘッド15Kへのインク供給の際に、流路内バッファ43Kを経て記録ヘッド15Kに到達する虞がある。記録ヘッド15Kに気泡が到達すると、記録ヘッド15K内の流路を気泡が塞いで吐出の障害となる虞がある。そこで、インクタンク32Kを記録装置12に装着した際には、気泡を除去する気泡除去処理を行う。
本実施形態では、気泡除去処理にあたり、ポンプ37(図2参照)を駆動して圧力室44内を加圧することで流路内バッファ43Kを変形させる。流路内バッファ43Kを変形させて、流路内バッファ43Kからインクタンク32Kへとインクを戻すことで、インクタンク32Kの液柱部63の先端部46aから気泡を排出する。排出された気泡は液室50に入り、液室50に入った気泡は、浮力によって液面58まで上昇し、大気開放された開放部65に到達して大気開放される。
図7は、記録装置12における気泡除去処理を示したフローチャートである。以下、このフローチャートを用いて本実施形態における気泡除去処理を説明する。図7で示される一連の処理は、記録装置12のCPUがプログラムメモリに記憶されているプログラムコードをデータメモリに展開し実行することにより行われる。あるいはまた、図7におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。なお、各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する。
気泡除去処理が開始されると、S1で記録装置12のインクタンク装着部のカバーであるインクタンクカバーが閉じられたか否かを判定し、閉じられたと判定(Y)すると、S2で、インクタンクが交換されたか否かを判定する。インクタンクには個別のIDやインク残量などを書き込んだ不図示のROMが設けられており、記録装置12は、インクタンクのIDが変わったことを検出できるため、インクタンクの交換の有無を判定することができる。インクタンクが交換されていなければ(N)、インクタンクに気泡は入っていないため、気泡除去処理は不要であり気泡除去処理は終了となる。インクタンクが交換されていれば(Y)、S3に移行して、廃液弁39(図2参照)を閉じる。
その後、S4で、不図示のポンプモータを駆動することでポンプ37(図2参照)を作動させる。これによって、ポンプ37から気液分離室38を介して図2の矢印E方向に空気を送り、圧力室44内を加圧する。この加圧動作によりポンプ37につながるチューブ57(図6参照)から図6(b)の矢印B方向に空気が送り込まれて圧力室44内が加圧される。圧力室44内が加圧され、図6(b)に示すように流路内バッファ43Kの可撓部材が変形しつぶれることで、流路内バッファ43K内のインクが図6(b)の矢印C方向に押し戻されて液室50に入る。
ここで、流路内バッファ43Kのインクが矢印C方向に流れて、矢印G方向に流れないのは、記録ヘッド側(矢印G方向)の流路抵抗に対し、インクタンク32K側(矢印C方向)の流路抵抗が圧倒的に小さいためである。インクタンク32Kは大気開放されており、インクタンク32Kの液室50内のインクには水頭差圧がかかる状態にあり、流路内バッファ43Kと液室50との間で抵抗となるようなものは存在しない。そのため、流路内バッファ43Kから液室50への液体の流入では、インクはほとんど流路抵抗を受けること無く液室50へ流入することができる。また、記録ヘッドには、異物が記録ヘッド15K内に侵入しないように不図示のフィルタが設けられており、流路内バッファ43Kから記録ヘッドへの流路における流れではフィルタによる流路抵抗が生じる。このように流路内バッファ43Kからの流出においては、記録ヘッド側と比べて、流路抵抗が圧倒的にインクタンク側の方が小さいため、流路内バッファ43Kのインクは記録ヘッド側ではなくインクタンク側(矢印C方向)に移動する。
流路内バッファ43K内のインクが矢印C方向に押し戻される際、インク中に気泡があった場合は、気泡はインクと共に液柱部63の先端部46aから押し出され、液室50内に戻される。液室50に入った気泡は、図中矢印D方向に移動し、大気開放口59Kから機外へ排出される。
その後、S5で、ポンプモータを駆動して所定時間経過したか否かを判定する。加圧動作を行うポンプ37を駆動する時間は、流路内バッファ43Kが完全に潰れるまでの時間としている。また、流路内バッファ43Kの容積は、接続流路の流路内容積より大きく設定されている。このため、流路内バッファ43Kが潰れることで、接続流路のインクは、流路内バッファ43K内のインクと完全に入れ替わり、インクタンク32K装着時に混入した気泡は、インクと共に確実に液室50に戻される。また、圧力室44は、4色同時に加圧することが可能な構成となっており、4色まとめて交換された際にも、それぞれの流路内バッファを同時に加圧して、気泡をそれぞれのインクタンクに戻すことができる。なお、4色のインクタンクうち交換されていないインクタンクがあっても、流路内バッファからインクがインクタンクに戻るだけで、記録装置12の動作には影響がない。
S5で、所定時間が経過していなければ、S4に戻りポンプモータの駆動を継続する。所定時間が経過していれば、S6に移行してポンプモータの駆動を停止する。その後、S7で廃液弁(圧力開放手段)39を開く。廃液弁39の先には、廃液タンク24があり、廃液タンク24は大気開放されているため、廃液タンク24と気液分離室38を介して接続されている圧力室44は減圧される。圧力室44内が減圧されることで、潰れていた流路内バッファ43Kの可撓部材も図6(a)のように元の形状に戻る。
可撓部材が元の形状に戻ることで、流路内バッファ43K内の容積が増え、その容積変化分のインクがインクタンクから、図中矢印F方向(図6(a)参照)に移動し供給される。その際も、加圧時と同様に記録ヘッド側の流路抵抗に対し、インクタンク側の流路抵抗が圧倒的に小さい。そのため、記録ヘッド側から流路内バッファ43K内にインクが流入するのではなく、大気開放口59Kから空気を取り込み、インクタンク32K内の液面58が下がり、インクがインクタンク32K側から流路内バッファ43Kに移動する。廃液弁39を開くと気泡除去処理は終了となる。
なお、本実施形態では圧力室内の加圧量をポンプの回転時間で制御しているが、圧力室や流路内に圧力センサを設け圧力を制御する方法や、流路内バッファの変位量を管理する方法やインクタンクの液面を検出する検出手段で液面を管理する方法でもよい。また、本実施形態では、圧力室内の加圧を行うポンプを、記録ヘッドとキャップとを当接させた際に形成される密閉空間を減圧するポンプと共用で使用しているが、圧力室内の加圧を行う専用のポンプを設けて、専用のポンプで加圧する方法でもよい。また、圧力室の加圧動作を複数回行ってもよい。
このように、インクタンク32Kが記録装置12に装着された際に、ポンプ37によって流路内バッファ43Kを含む圧力室44内を加圧することで気泡除去を行う。これによって、簡易な装置構成で気泡除去をすることができる液体吐出装置および気泡除去方法を提供することができる。
12 記録装置
15 記録ヘッド
32 インクタンク
43K 流路内バッファ(ブラックインク用)
44 圧力室
15 記録ヘッド
32 インクタンク
43K 流路内バッファ(ブラックインク用)
44 圧力室
Claims (11)
- 供給流路と接続され、前記供給流路を介して供給された液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記供給流路の着脱部に対して着脱可能に設けられ、液体を貯留する液体タンクと、
前記着脱部と前記吐出ヘッドとの間の前記供給流路に設けられ、可撓部材によって形成された容積変化部と、を備えた液体吐出装置であって、
前記容積変化部を含む閉空間を形成する圧力室と、
前記圧力室を加圧する加圧手段と、を備え、
前記着脱部に前記液体タンクが装着された状態で、前記容積変化部から前記吐出ヘッドまでの第1流路における流路抵抗である第1流路抵抗と、前記容積変化部から前記液体タンクまでの第2流路における流路抵抗である第2流路抵抗とでは、前記第1流路抵抗の方が高いことを特徴とする液体吐出装置。 - 前記圧力室には、複数の液体の種類に対応した、複数の前記容積変化部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
- 前記圧力室の圧力を開放する圧力開放手段を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
- 前記液体タンクには、液体を貯留する液室と、前記供給流路との接続において接続部をシールするシールゴムと、前記シールゴムから、前記液室までの間に設けられた接続流路と、が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記容積変化部の容積は、前記接続流路の流路内容積より大きいことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
- 前記吐出ヘッドには、前記吐出ヘッドに異物が入るのを防ぐフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記容積変化部から前記吐出ヘッドまでの第1流路と、前記容積変化部から前記液体タンクまでの第2流路と、では前記第2流路の方が、流路抵抗が低いことを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
- 前記液体タンクには、大気と連通する大気連通口が設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記吐出ヘッドにおける液体は、前記液体タンクにおける液体との水頭圧によって保持されていることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
- 前記液体タンクが前記供給流路に装着された際に、前記加圧手段によって前記閉空間を加圧する制御を行う制御手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 供給流路と接続され、前記供給流路を介して供給された液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記供給流路に対して着脱可能に設けられ、液体を貯留する液体タンクと、
前記供給流路に設けられ、可撓部材によって形成された容積変化部と、を備えた液体吐出装置における気泡除去方法であって、
前記液体タンクが前記供給流路に装着された際に、前記容積変化部を含んで形成された圧力室を加圧手段によって加圧し、
前記加圧手段が前記圧力室を加圧すると、前記容積変化部から前記液体タンクに、液体が移動することを特徴とする気泡除去方法。
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JP (1) | JP2022111598A (ja) |
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2021
- 2021-01-20 JP JP2021007133A patent/JP2022111598A/ja active Pending
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