JP2022108434A - 非接触形状・誘電率測定装置、非接触形状・誘電率測定方法及び非接触形状・誘電率測定プログラム - Google Patents

非接触形状・誘電率測定装置、非接触形状・誘電率測定方法及び非接触形状・誘電率測定プログラム Download PDF

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崇裕 花房
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高裕 工藤
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Abstract

【課題】アンテナや周囲環境等の情報を含めない理想的な条件で、目標対象の複素誘電率を推定可能とする。【解決手段】受信アンテナで受信した電磁波から、目標に向けて送信された電磁波の目標で散乱した散乱電界を実験データとして取得するとともに、この実験データとは別に、実験環境をシミュレーションしたシミュレーション環境において散乱電界を計算する。そして、取得された既知の誘電率を持つ目標の散乱電界から得られる実験データと、計算された既知の目標の散乱電界をシミュレーションしたシミュレーションデータとから補正係数を得て、この補正係数を用いて、未知の誘電率を持つ目標の散乱電界から得られる実験データを未知の誘電率を持つ目標のシミュレーションデータに変換し、変換したシミュレーションデータを用いてCSI法により、複素誘電率分布画像を得る。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 2020年総合大会講演論文集 一般社団法人電子情報通信学会刊行 国立大学法人電気通信大学 2020年度情報・通信ネットワーク 工学専攻EIプログラム修士論文中間発表会 国立大学法人電気通信大学主催(遠隔による発表) 国立大学法人電気通信大学 2020年度情報・通信ネットワーク 工学専攻EIプログラム修士論文中間発表予稿 国立大学法人電気通信大学刊行
本発明は、非接触形状・誘電率測定装置、非接触形状・誘電率測定方法及び非接触形状・誘電率測定プログラムに関する。
日本におけるトンネル総長は、鉄道トンネルが23000km以上, 道路トンネルが4100km以上に及び、高速道路などはその数十倍もの長さがある。
その大部分は、1980年代の高度成長期に急速に建設が進められたものであり、近年老朽化が進み、地震等によるトンネルの天板崩落、橋梁崩壊、道路陥没等の危険性が非常に高まっている。このため、道路等の内部を迅速かつ高い欠陥識別率でスクリーニングできる技術が望まれている。
従来の打音検査や超音波計測では、トンネル・道路等の壁面に装置を接触して行う接触型計測のため、トンネル・道路等の大規模な領域を隈なく検査することが困難であった。また、従来の打音検査や超音波計測は、定性的かつ主観的な判断に基づく検査であるため、空洞や腐食等をそれ以外の部分と識別する識別率が不十分であった。
コンクリート、空洞、水、鉄筋、錆等の各目標は、特徴的な複素誘電率値を有することがわかっている。このため、複素誘電率分布を高精度に再構成することで、非接触形状・誘電率測定装置における識別性能が格段に向上すると予測される。
波長が数cm程度となるマイクロ波は、コンクリート等の低損失誘電体に対して、数十cm程度の到達深度を有しており、老朽化した交通インフラの非破壊検査に有望である。すなわち、マイクロ波による検査では、空間減衰が無視できるため、数m離れたところからの非接触計測を可能にし、1~3GHz程度の低周波のマイクロ波であれば、コンクリート内部で最大1m程度の到達深度を実現することができる。
このため、送受信モジュールを車両に搭載し、道路やトンネル内部で走行させながら散乱データを取得することで、大規模な領域を短時間で検査することが可能となる。
マイクロ波画像化法は二つに大別される。一つはレーダ方式であり、もう一つはトモグラフィ方式である。レーダ方式は、目標となる対象物の反射強度分布のみを再現するため、目標の電気的特性を定量的に評価することは難しい。特に、空洞や腐食等の複素誘電率はコンクリートの種類によってかなり異なることが知られている。
一方、トモグラフィ方式は、目標の複素誘電率を定量的に画像化できるので、空洞や鉄筋腐食等の目標の識別に有効である。トモグラフィ方式は、Maxwell方程式から導出される領域積分方程式を解くことにより、複素誘電率の定量的画像化を実現する方法である。しかし、既存のトモグラフィ法では、目標である対象を取り囲む素子配置が不可能であることから、観測方向が制限されてしまうという制約がある。このため、非破壊検査モデルにおいて、観測データ数が未知数に比べて非常に少なくなってしまうという不良設定性が顕著となり、十分な精度が得られない。
すなわち、トンネルや道路の壁面などの一般的な非破壊検査の観測モデルでは、観測方向が制限されるため、極めて劣悪な不良設定逆問題を解く必要がある。この不良設定逆問題を解くには、関心領域ROI(Region of Interest)を狭くして、未知数を大幅に削減する必要がある。
このように、トモグラフィ方式は、誘電率特性を画像化する上で有効な手段であるが、トモグラフィ方式により、目標の誘電率を再構成する問題は、逆散乱問題とも呼ばれ、非線形かつ不良設定問題を解くことが必要になる。非線形問題とは多重散乱を含む問題をいい、不良設定問題とは未知数に比べてデータ数がはるかに少ない問題をいう。非破壊検査では観測領域が制限されるため、この逆散乱問題を解くことが極めて困難であった。
非特許文献1には、トモグラフィ方式であるDBIM(Distorted Born Iterative Method)とレーダ方式を統合した手法が提案されており、数値計算モデルに対する有効性が示されている。しかし、DBIM法は最適化において、計算コストの高い電磁界解析を繰り返し実施する必要がある。また、アンテナや目標の周囲環境の全ての複素誘電率分布を事前に与える必要があるため、実用上の問題がある。
また、特許文献1には、距離点マイグレーション法としてのRPM(Range Point Migration)法とエリプトメトリ法を統合することにより、非接触で形状などを測定する非接触・誘電率測定装置が記載されている。
特許文献1に記載の非接触・誘電率測定装置は、超広帯域無線信号(UWB:Ultra Wide Band)をパルス状の電磁波にして目標に送信し、目標からの反射波を受信して、受信波の2つの偏波の反射計数比から算出した誘電率に基づいて、各散乱点で形成される画像を色分けして表示している。例えば、算出した誘電率が金属などの物質と推定される箇所と、空洞と推定される箇所と、水が充填されたと思われる箇所とをそれぞれ別の色で区分けした画像を生成している。
特開2019-148510号公報
S. Takahashi and S. Kidera, URSI AP-RASC2019, New Delhi, India, march, 2019
トモグラフィ方式の一つであるCSI(Contrast Source Inversion)法は、領域積分方程式の積分核(ROI)内の全電界と複素誘電率分布を同時に最適化することが可能である。発明者らは、このCSI法を用いて順問題という複雑な計算を行うことを極力少なくして、目標となる対象物の複素誘電率分布を推定する方法を見出した。
一方、CSI法では、アンテナや背景及び周囲の媒質に関する複素誘電率の情報が必要となる。そのため、実験データからトモグラフィ法により複素誘電率分布を推定するためには、実環境とシミュレーション環境の間を埋める較正法が必要になる。そこで、発明者らは、まず既知の誘電率分布を有する較正目標に対して、実験で得られた散乱電界を取得し、既知の散乱電界を用いて、実環境に近いシミュレーション環境を作ることを試行した。
CSI法では、状態方程式とデータ方程式と呼ばれる二つの領域積分方程式に対するコスト関数が導入される。このコスト関数を導入することで、関心領域ROI内部の全電界を含めて最適化問題を解くことができる。これにより、計算コストを飛躍的に低減することが可能になる。
本発明の目的は、上述したCSI法を用いて電磁シミュレーションによりデータ生成を行うことにより、アンテナや周囲環境等の情報を含めない理想的な条件で、目標対象の複素誘電率を推定可能とする非接触形状・誘電率測定装置、非接触形状・誘電率測定方法及び非接触形状・誘電率測定プログラムを提供することにある。
本発明の非接触形状・誘電率測定装置は、送信アンテナから誘電率を測定する目標に向けて送信された電磁波を受信アンテナで受信し、受信した電磁波から前記目標の形状及び誘電率を得る非接触形状・誘電率測定装置であって、受信アンテナで受信した電磁波から、目標に向けて送信された電磁波の目標で散乱した散乱電界を実験データとして取得する散乱電界取得部と、実験データとは別に、実験環境をシミュレーションしたシミュレーション環境において散乱電界を計算する電磁界計算データ出力部と、を備える。
さらに、本発明の非接触形状・誘電率測定装置は、散乱電界取得部で取得された既知の誘電率を持つ目標の散乱電界から得られる実験データと、電磁界計算データ出力部で計算された既知の目標の散乱電界をシミュレーションしたシミュレーションデータとから補正係数を得る較正係数計算部と、散乱電界取得部で取得された未知の誘電率を持つ目標の散乱電界から得られる実験データを、較正係数計算部で得た補正係数で除算することにより、未知の誘電率を持つ目標のシミュレーションデータに変換するシミュレーションデータ変換部と、シミュレーションデータ変換部で変換したシミュレーションデータを用いてCSI法により、複素誘電率分布画像を得る誘電率画像取得部と、を備える。
本発明の非接触形状・誘電率測定方法は、以下のステップ(a)~(j)を含む。
(a)送信アンテナから電磁波を送信し、目標を含まない、誘電率が既知の背景媒質からの反射波または透過波を受信アンテナで受信して実験による散乱電界信号を得るステップ、
(b)送信アンテナから電磁波を送信し、背景媒質内に誘電率が既知の目標を含む対象物からの反射波または透過波を受信アンテナで受信して実験による散乱電界信号を得るステップ、
(c)目標を含む実験による散乱電界信号から目標を含まない実験による散乱電界信号を減算して差分信号を得るステップ、
(d)シミュレーションにより、目標を含まない誘電率が既知の背景媒質の散乱電界信号を計算するステップ、
(e)シミュレーションにより、背景媒質内に誘電率が既知の目標を含む対象物の散乱電界信号を計算するステップ、
(f)目標を含むシミュレーションによる電磁界信号から前記目標を含まないシミュレーションによる電磁界信号を減算して差分信号を得るステップ、
(g)実験による目標有りと目標無しの差分信号をシミュレーションによる目標有りと目標無しの差分信号で除算して補正係数を得るステップ、
(h)送信アンテナから電磁波を送信し、誘電率が未知の目標を含む対象物からの反射波または透過波を受信アンテナで受信して実験による散乱電界信号を得るステップと、
(i)誘電率が未知の目標を含む対象物から得た実験による散乱電界信号を、補正係数を用いて、シミュレーションデータに変換するステップ、
(j)変換されたシミュレーションデータを用いてCSIを実行し、未知の目標を含む対象物の複素誘電率分布を得るステップ。
本発明の非接触形状・誘電率測定プログラムは、非接触形状・誘電率測定方法の(a)~(j)の手順をコンピュータに実行させるプログラムである。
本発明によれば、特にコンクリート非破壊検査において、目標対象物の複素誘電率の空間分布を高精度かつ高分解能で測定することができるので、空洞、含水率、土砂化及び腐食等を客観的かつ定量的に評価することが可能になる。
したがって、コンクリート内部構造の解明や腐食の時間的発展、コンクリート強度変化等に関する定量的な画像情報を解析するための確度の高いセンシング情報を提供することができる。
本発明の実施の形態例に係る非接触形状・誘電率測定装置の全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態例に係る非接触形状・誘電率測定装置において、送信アンテナから送信した電波が目標対象物から反射して受信アンテナで受信される様子を模式的に示した図である。 本発明の実施の形態例に係る非接触形状・誘電率測定装置が適用される、実験環境とシミュレーション環境の違いを説明するための図である。 本発明の実施の形態例に係る非接触形状・誘電率測定装置において、実験データをシミュレーションデータに変換する方法を模式的に示した図である。 本発明の実施の形態例に係る非接触形状・誘電率測定装置が適用される実験モデルにおいて、誘電率が既知の背景媒質のコンクリート内に1個の空洞が存在する場合の例を示す図である。 本発明の実施の形態例に係る非接触形状・誘電率測定装置が適用される実験モデルにおいて、誘電率が既知の背景媒質内に誘電率が未知の空洞が4個存在する場合の例を示す図である。 本発明の実施の形態例に係る非接触形状・誘電率測定方法の手順を示すフローチャートである。
まず、本発明の実施の形態例である非接触形状・誘電率測定装置を説明する前に、本発明の非接触形状・誘電率測定装置に適用される逆散乱解析法の一種であるCSI手法について説明する。
<CSIに基づく逆散乱解析法>
トモグラフィ方式を用いた画像化法には、DBIMとCSIがあるが、本発明ではCSIを用いている。
数1式は、トモグラフィ方式により、各アンテナ素子における散乱電界データから誘電コントラスト関数を推定するために一般的に用いられるヘルムホルツ型積分方程式である。
Figure 2022108434000002
ここで、E(ω,rt,rr)は目標(ターゲット)からの散乱電界、Et(ω,rt,rr)は目標からの散乱電界E(ω.rt,rr)と入射電界Ei(ω;rt,rr)を加えた全電界、ωは角周波数、kは背景媒質における電磁波の波数である。χは背景媒質に対するコントラスト関数(または目的関数)と呼ばれる関数であり、以下の式が成り立つ。
χ(r’)≡{ε(r’)-εb(r’)}/εb(r’)
ここで、ε(r’)は目標を含む全体の複素誘電率、εb(r’)は背景媒質の複素誘電率である。また、数1式のGb(ω,rt,r)は背景媒質のグリーン関数、Ωは関心領域(ROI)を示している。r’は関心領域(ROI)内の位置ベクトルである(r’∈Ω)、rrは受信アンテナの位置ベクトル、rtは送信アンテナの位置ベクトルである。
CSIは、数1式に示されるヘルムホルツ型積分方程式を解くことで解析領域内の複素誘電率と全電解の分布を求める方式である。CSIはDBIMと異なり、順問題を解く必要がないという利点を有する。このため、一般にDBIMよりも計算コストが低い。すなわち、CSIは、観測データに関する条件式であるデータ方程式と、関心領域(ROI)内の全電界に対する条件式である状態方程式という2つの方程式によって定まるコスト関数を最小化する手法である。
数2式はデータ方程式であり、位置ベクトルrは、観測領域(r∈Ω)内にある。これに対して、数3式は状態方程式であり、位置ベクトルrは、関心領域ROI(r∈Ω)内にある。ここで、観測領域とは、複数の送信アンテナと受信アンテナで囲まれた領域であり、この観測領域内に対象である目標(ターゲット)が存在する関心領域であるROIが含まれる。数2式と数3式の違いはヘルムホルツ型積分方程式を実施する範囲が異なるだけである。
CSIでは、数2式と数3式を用いることで、FDTD法(Finite-difference time-domain method)などによる順問題を解かずに全電界Et(r)とコントラスト関数χ(r)の両方を推定することができる。FDTD法とは、有限差分を用いてマクスウェルの方程式から解析的に電磁界を求める手法であり、「時間領域差分法」または「有限差分時間領域法」などと呼ばれている。FDTD法により求めた電磁界の値が真値となる。
ここで、後述するように、順問題とは、電界に対する状態方程式、測定データに関するデータ方程式から真値を求める問題である。つまり、誘電率の分布が与えられたときに、どのようなシミュレーションデータが得られるかを求めるのが順問題である。FDTDは、シミュレーションデータを取得するための一つの手法である。
逆に、シミュレーションデータが与えられたときに、元の誘電率を求めるのが逆散乱問題である。この逆散乱問題を解く場合には、順問題を解くためのFDTD法は使わないので、その分、計算量が大幅に削減される。
数2式と数3式において、未知数はコントラスト関数χ(r)と全電界Et(r)である。一方、既知の値は、入射電界Ei(r)、背景媒体(例えばコンクリート)を伝わる背景媒質における電磁波の波数k、測定データGb(r)・χ(r)・E(r)、関心領域Ωである。
ここで、コントラスト関数χ(r)と全電界Et(r)は、積の形で現れるので、数4式で示されるコントラストソースw(r)が導入される。
Figure 2022108434000003
Figure 2022108434000004
なお、数2式、数3式の位置ベクトルrとr’は、いずれも関心領域Ω内の位置ベクトルである。すなわち、r,r’∈Ω(ROI)である。
次に、数4式で表されるコントラストソースw(r)を定義する。コントラストソースw(r)は、コントラスト関数χ(r)と全電界E(r)の両方が最適化変数に設定された値である。
Figure 2022108434000005
さらに、このコントラストソースw(r)を用いて、数5式で表されるコスト関数Fを導入する。
Figure 2022108434000006
数5式に示すように、CSIではコスト関数Fが定義される。そして、コスト関数Fが最小となるようにコントラストソースw(r)、全電界Et(r)及びχ(r)が復元される。
すなわち、CSIでは、直接全電界Et(r)を推定せず、コントラストソースw(r)を求めた後に、数4式から全電界Et(r)が計算される。
このコスト関数F(w(r),χ(r))を用いることにより、全電界Et(r)(r∈Ω)を含めた最適化問題を解くことができるので、計算コストが低くなる。
数5式において、Ωは観測領域、Ωは関心領域(ROI)である。また、コスト関数Fの第一項は、数2式のデータ方程式の左辺から右辺を減算したものを正規化した値であり、第二項は数3式の状態方程式の両辺にコントラスト関数χ(r)を乗算して右辺から左辺を減算したものを正規化した値である。
数5式の第一項は観測領域Ωの全体にわたって全アンテナ素子の和を取っているが、第二項の状態方程式の方は、関心領域Ωの中のデータであることを示している。記号Σは全てのアンテナの加算値であることを示す。なお、分母、分子に記載されたものは、複素数の絶対値の2乗を示したものでノルムと呼ばれている。
<非接触形状・誘電率測定装置の全体構成>
次に、図1~図7を参照して、本発明の実施形態例(以下、「本例」と称する)の非接触形状・誘電率測定装置10の構成及び機能を説明する。
図1は、本例の非接触形状・誘電率測定装置10の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、非接触形状・誘電率測定装置10は、送信信号として中心周波数3GHz、帯域幅1GHz、波長100mm程度のレーダを使って、1~3m程度の比較的近距離の対象物である目標の形状と誘電率を取得する装置である。
非接触形状・誘電率測定装置10は、送信アンテナと受信アンテナを含む、例えば25個の複数のアンテナA1~A25を用いて近距離の対象物にマイクロ波を供給し、対象物からの反射光を受信する。用意した25個のアンテナのうち、4個のアンテナA1,A5,A21,A25は送信アンテナと受信アンテナを兼ね、他の21個のアンテナA2~A4,A6~A20,A22~A24は受信アンテナである。
非接触形状・誘電率測定装置10は、マイクロ波送信処理部11、マイクロ波受信処理部12、ベースバンド処理部13及びフィルタ処理部14を備える。
また、非接触形状・誘電率測定装置10は、実験データ差分信号取得部15、電磁界計算データ出力部16、シミュレーションデータ差分信号取得部17、キャリブレーション用の較正係数計算部18、シミュレーションデータ変換部19、誘電率画像取得部20及び画像出力部21を備える。
マイクロ波送信処理部11は、生成されたマイクロ波信号の送受信切替器SW1~SW4を介して送受信兼用のアンテナA1、A5、A21、A25に供給する。送受信兼用のアンテナA1、A5、A21、A25は、供給されるマイクロ波信号に基づいて、パルス状の電磁波を送信する。ここで、マイクロ波信号は、例えば、中心周波数3GHz、帯域幅1GHzとする。3GHz帯を使うことで、中心波長λが約100mmのレーダとなる。なお、マイクロ波送信処理部11は、ベースバンド処理部13から供給される信号に基づいて、送信信号であるマイクロ波信号を生成する。
送受信兼用の4個のアンテナA1、A5、A21、A25から送信された電磁波は、対象物である目標から反射し、その反射波は、全てのアンテナA1~A25で受信される。そして、全アンテナA1~A25で受信された受信信号は、マイクロ波受信処理部12に供給される。マイクロ波受信処理部12は、受信信号の復調処理を行い、ベースバンド信号を出力する。
マイクロ波受信処理部12で得られたベースバンド信号は、ベースバンド処理部13に供給される。ベースバンド処理部13は、上述したようにマイクロ波送信処理部11にベースバンド信号を供給するとともに、ベースバンド信号から得られるベースバンドの受信信号をフィルタ処理部14に供給する。フィルタ処理部14は、受信信号に含まれる電磁波の反射波の成分を抽出する。
マイクロ波送信処理部11、マイクロ波受信処理部12、ベースバンド処理部13及びフィルタ処理部14は、実験による目標(ターゲット)無しの、コンクリートなどの背景媒質だけの反射波の成分である電磁界信号と、同じく実験による背景媒質内に目標有りの対象物の反射波の成分である電磁界信号を得る。なお、これらの目標なしと目標ありの2つの電磁界信号は、フィルタ処理部14に接続されている不図示の記憶部に記録される。
以上説明したマイクロ波送信処理部11、マイクロ波受信処理部12、ベースバンド処理部13及びフィルタ処理部14における処理は、上述したCSI手法で用いる目標(ターゲット)からの散乱電界を得るための処理部であり、ここではこれらの各処理部をまとめて「散乱電界取得部」ということにする。ここでは、散乱電界取得部は目標からの反射波の成分を取得するとしているが、目標を透過する透過波にも同様に適用されると考えてよい。
そして、散乱電界取得部を構成するフィルタ処理部14は、実験による目標無しの電磁界信号と実験による目標有りの電磁界信号を実験データ差分信号取得部15に供給する。実験データ差分信号取得部15は、目標有りの信号から目標なしの信号の差分信号を出力する。
また、電磁界計算データ出力部16は、上述したマイクロ波送信処理部11、マイクロ波受信処理部12、ベースバンド処理部13及びフィルタ処理部14で求めた実験データをシミュレーションデータに変換する。この電磁界計算データ出力部16におけるシミュレーションデータの変換については、図3で詳述するが、電磁界計算データ出力部16は、実験によって得られた目標有りと目標無しの実験データを、送受信アンテナをモデル化したシミュレーションデータに変換する。ここでも、電磁界計算データ出力部16は、目標なしの実験データと目標有りの実験データの両方をシミュレーションデータに変換し、電磁界計算データ出力部16に接続された不図示の記憶部に記憶するようにしている。
電磁界計算データ出力部16は、目標なしのシミュレーションデータと目標有りのシミュレーションデータをシミュレーションデータ差分信号取得部17に供給する。
シミュレーションデータ差分信号取得部17は、目標有りと目標なしのシミュレーションデータの差分信号を出力する。
そして、実験データ差分信号取得部15からの実験データの差分信号と、シミュレーションデータ差分信号取得部17からのシミュレーションデータの差分信号とが、較正係数計算部18に供給される。
較正係数計算部18は、実験データ差分信号取得部15からの実験データの差分信号と、シミュレーションデータ差分信号取得部17で生成されたシミュレーションデータの差分信号とから、未知の実験データをシミュレーションデータに変換するための補正係数を計算する。この補正係数については、図4で後述する。
較正係数計算部18は、計算によって得られた補正係数をシミュレーションデータ変換部19に供給する。このとき、シミュレーションデータ変換部19には、未知のターゲットを含む実験データの電磁界信号から既知の背景媒体で測定した電磁界信号を減算した実験による電磁界信号が実験データ差分信号取得部15から供給される。
シミュレーションデータ変換部19は、較正係数計算部18で計算された補正係数を使って、実験データ差分信号取得部15から供給された、未知の目標(ターゲット)の誘電率を測定するための実験データをシミュレーションデータに変換する。
シミュレーションデータ変換部19は、変換したシミュレーションデータを誘電率画像取得部20に供給する。誘電率画像取得部20は、変換されたシミュレーションデータを用いて複素誘電率分布画像を得る。このとき、上述したCSI手法が用いられる。
誘電率画像取得部20で取得された複素誘電率分布画像は、画像出力部21に供給され、画像出力部21からカラー表示された複素誘電率分布画像が出力される。なお、画像出力部21は、誘電率画像取得部20で取得された誘電率の情報に加えて、誘電率から推定される物質名を画像に付加することもできる。あるいはまた、画像出力部21は、目標形状を示す画像を、誘電率ごとに色分け等で区別して表示することもできる。
<CSIの実験的検討>
数2式に示されるデータ方程式のうち、観測領域Ωにおける受信アンテナの位置の全電界Et(ω,rt,rr)と入射電界Ei(ω,rt,rr)は、実験的に取得可能であるが、関心領域ROIでは、これらの値を測定するためには実験環境を考慮しなければならない。すなわち、グリーン関数Gb(ω,r,r’)と全電界E(ω,rt,r)は、現実的に計算不可能になる。
図2は、観測領域Ωにおいて、送信アンテナrから送信した電波が目標対象物から反射して受信アンテナrで受信される全電界E(ω,r,r)と、関心領域(ROI)Ωにおける全電界E(ω,r,r’)とを模式的に示した図である。図2において、受信アンテナrで受信される全電界E(ω,r,r)は実験で取得可能であるが、目標対象である関心領域ROI内の全電界全電界E(ω,r,r’)は、正確に計測あるいは計算することができない。
このため、解決策として実験データからシミュレーションデータへの変換が必要になる。
図3は、実際の実験環境とシミュレーション環境の違いを模式的に示した図である。
図3に示すように、実験を行う環境では、アンテナ特性は実特性になるので、送受信機側の特性にはキャリブレーションが必要になる。また、実験を行う環境では、ケーブル損失がある他、支柱や電波暗室の床・壁などの目標となる対象以外の不要波が観測される。さらに、実験環境では、垂直偏波を含む3次元問題を解く必要が生じる。
これに対して、シミュレーション環境では、アンテナ特性は理論特性になるので、送受信機側の特性にはキャリブレーションが不要である。また、ケーブル損失を考慮する必要もなく、完全吸収境界条件が適用されて、目標となる対象以外の不要波はないと考える。さらに、垂直偏波を考慮する必要がないので、TM波だけの2次元問題とすることができる。
図4は、実験データをシミュレーションデータに変換する手順を模式的に示した図である。ここで散乱電界E(ω)とは、目標対象(ターゲット)の全電界E(ω)から入射電界E(ω)を減算したものである。
図4に示すように、まず、誘電率データが既知の較正目標としては、背景媒体であるコンクリート内に空洞のある目標と、空洞を含まないコンクリート(背景媒体)の二つが用意される。図4では、既知の較正目標をES,1 espとして示した。
そして、FDTD法を用いたシミュレーションにより、空洞を含む分布として全電界Et(ω)が取得され、空洞を含まない電界として入射電界Ei(ω)が取得される。このシミュレーション結果をES,1 simで表す。
なお、既に述べたように、FDTDはシミュレーションデータを求める一手法であり、シミュレーションデータを求める方法には、FDTD以外にもモーメント法や多重極電解法等がある。
次に、実験データとFDTD法によるシミュレーション結果を用いて数6式から補正計数ζ(ω)を求める。
Figure 2022108434000007
次に、未知の目標Es,2 expが用意される。例えば、未知の目標(ターゲット)としては、背景媒体であるコンクリート内に空洞♯1~♯4のある目標が用意される。この未知の目標を実験で測定したデータをES,2 expで表している。
そして、未知の目標である空洞♯1~♯4を測定した実験データES,2 expに数6式で求めた補正計数ζ(ω)を用いて補正することにより、未知の目標のシミュレーションデータES,2 simを得る(数7式参照)。なお、図4では、既知の較正目標とシミュレーション結果に対しては下付き番号「1」を用い、未知の目標とそのシミュレーション結果に対しては下付き番号「2」を用いている。
Figure 2022108434000008
<実験モデルの説明>
発明者らが行った実験では、送受信アンテナとして垂直方向の直線偏波を有するダイポールアンテナを用いた。また、測定器としては、有効周波数帯域が1.0GHz~2.6GHzのVNA(Vector Network Analyzer)を用い、ターゲットを回転させて5°刻みでデータを取得した。目標対象物としては、空洞なし、空洞1つ及び空洞4つについて測定とシミュレーションを行った。
なお、この実験モデルでは、送信アンテナからの電波が目標対象物を透過して、受信アンテナに到達したときの電磁界データを測定した。この点で、図2で説明した送信アンテナrから発信した電波が目標対象物から反射した電波の電磁界データを、受信アンテナrで測定する手法とは異なっている。
図5(a)~(c)は、実験データによる再構成結果(目標となる空洞1つ)の誘電率分布を示した図である。この実験では、MR(Multiplicative Regularized)-CSI法を使用した。使用周波数は1.98GHz、反復回数は2万回として実験した。右側の細長いバーは誘電率の違いを色で示したカラーバーである。カラーバーは上に行くにつれて、誘電率が高くなる明るい色になり、下に行くにつれて、誘電率が低くなる暗い色になっている。
図5(a)で、四角形で囲まれた、円形周囲の黒い濃い部分(誘電率が低い)は、コンクリート円筒の周囲の空気の誘電率推定画像を表し、中央の大きな円形部分は円筒のコンクリートの誘電率推定画像を表している。中央にある小さい円形部分は、背景媒質であるコンクリート内の空洞の誘電率推定画像を示している。図5(a)に示されるように、実験で使われた円筒型のコンクリートの直径は約300mmである。なお、図5(a)において、背景媒質であるコンクリート内の空洞の誘電率推定画像を見る限り、周囲のコンクリートに比較して、有意に小さくなっていることが理解できる。
図5(b)、(c)は、図5(a)の中央の空洞を拡大して示した空洞の再構成分布である。図5(b)は誘電率の真値を示し、図5(c)はシミュレーションによる再構成結果を示す。図5(c)の再構成結果を見る限り、空洞とはいえ、誘電率推定画像はε=6に近い値を示している。図5(c)における再構成結果の真値との誤差の原因は、CSIでのコスト関数最適化において、解が局所的最適解に収束したこと、目標と不要反射物との非線形の相互作用、及びキャリブレーションの補正誤差などに起因していると考えられる。
図6(a)~(c)は、実験データによる再構成結果(目標となる空洞4つ)の誘電率分布を示した図である。
図6(a)は、空洞♯1~♯4を含むコンクリート全体の誘電率推定画像を示す。図6の実験では、仕様周波数を2.21GHzとしたが、それ以外は図5の空洞1個のときの実験と同じである。なお、空洞♯1~♯4は、この実験のために人為的に開けた空洞なので、全てがほぼ直径10mmの空洞になっている。
図6(b)は、図6(a)の空洞♯1~♯4の部分の誘電率分布の真値を示し、図6(c)は同じく空洞♯1~♯4の部分のシミュレーションによる再構成結果、つまりキャリブレーション結果を示している。
図6(b)、(c)に示す空洞♯1~♯4の位置と大きさは、図6(a)に示す空洞♯1~♯4と同じであり、x-y平面上の縦横とも概ね10mm程度の大きさになっている。
<目標形状推定処理及び誘電率取得処理の流れ>
図7は、本例の非接触形状・誘電率測定装置10で目標の位置を推定して誘電率推定画像を得る処理の流れを示すフローチャートである。
本発明の実験モデルでは、誘電率がわかっている既知の材料が2つ用意される。一つは目標(ターゲット)がない、例えばコンクリートだけの背景物質であり、もう一つはコンクリートのような背景物質内に、空洞のような目標(ターゲット)が存在しているものである。
最初に、図1に示す送受信アンテナ、マイクロ波受信処理部12、ベースバンド処理部13、フィルタ処理部14により、既知の誘電率を持つターゲット無しの対象物(コンクリート)に対する電磁界信号が取得される(ステップS1)。続いて、コンクリート内に既知の誘電率を持つ目標(例えば、空洞)がある対象物に対する電磁界信号が取得される(ステップS2)。ステップS1とステップS2が、実験によるターゲット無しの信号取得と実験によるターゲット有りの信号取得である。
ステップS1で取得されたターゲット無しの電磁界信号と、ステップS2で取得されたターゲット有りの電磁界信号との差分信号が、図1に示した実験データ差分信号取得部15で計算される(ステップS3)。ここで、実験によるターゲット無しの電磁界信号をEI,1 expとし、実験によるターゲット有りの電磁界信号ET,1 expとすると、ステップS3では、ES,1 exp=ET,1 exp-EI,1 expとが計算される。この式は、数2式に示すデータ方程式に相当し、図4に示す散乱電界を求めたことになる。
次に、ステップS1で取得されたターゲット無しの電磁界信号は、図1に示す電磁界計算データ出力部16において、シミュレーションデータに変換される。すなわち、シミュレーションによってターゲット無しの信号が取得される(ステップS4)。続いて、ステップS2で取得されたターゲット有りの電磁界信号も、電磁界計算データ出力部16によりシミュレーションデータに変換される。すなわち、シミュレーションによってターゲット有りの信号が取得される(ステップS5)。なお、図1に示す電磁界計算データ出力部16におけるシミュレーションは、図3で説明した方法を用いて行われる。
ステップS4で得られたターゲット無しのシミュレーション信号と、ステップS5で得られたターゲット有りのシミュレーション信号は、図1のシミュレーションデータ差分信号取得部17に送られ、ここでターゲット無しのシミュレーション信号とターゲット有りのシミュレーション信号との差分信号が計算される(ステップS6)。ここで、ターゲット無しのシミュレーション信号をEI,1 simとし、ターゲット有りのシミュレーション信号ET,1 simとすると、ステップS6では、ES,1 sim=ET,1 sim-EI,1 simが計算されたことになる。
次に、ステップS3で求めた実験データによるターゲット無しの信号とターゲット有りの信号との差分信号と、ステップS6で求めたシミュレーションによるターゲット無しの信号とターゲット有りの信号との差分信号との比から補正係数ζ(ω)が計算される(ステップS7)。この補正係数ζ(ω)は、数6式で計算されるものである。
ステップS7で補正係数ζ(ω)を求めるまでのステップS1~S6までの処理手順は、誘電率が既知であるターゲット無しのデータとターゲット有りのデータを使ったものである。次に、ステップS7で計算した補正係数ζ(ω)を使って、未知のターゲットの誘電率測定を行う手順を説明する。
最初に、実験データから未知のターゲット(例えば、図6(a)参照)に対する電磁界信号ET,2 expを測定する(ステップS8)。この電磁界信号ET,2 expの測定は、既知のターゲットの測定と同様に、図1のマイクロ波受信処理部12、ベースバンド処理部13、フィルタ処理部14で構成される散乱電界取得部により行われる。そして、ステップS8では、さらに電磁界信号ET,2 expのから、ステップS1で求めた実験によるターゲット無しの背景媒質の電磁界信号EI,1 expが減算された値ES,2 expが計算される。すなわち、ステップS8では、実験データ差分信号取得部15により計算されたES,2 exp=ET,2 exp-EI,1 expが出力される。
ステップS8で求められた未知のターゲットを含む散乱電界信号ES,2 expは、図1に示すシミュレーションデータ変換部19において、シミュレーションデータES,2 simに変換される(ステップS9)。このステップS9のシミュレーションデータの変換においては、数7式に示すように、ステップS7で求められた補正係数ζ(ω)が用いられる。
次に、ステップS9で計算されたシミュレーションデータES,2 simを用いて、CSIが実行される(ステップS10)。このCSIの実行は、図1の誘電率画像取得部20で行われる。
このCSIを実行することで誘電率画像取得部20は、複素誘電率分布χ(ω,r’)を得る(ステップS11)。以上が、未知のターゲットの実験データに対するシミュレーションデータを用いた複素誘電率分布の測定手順である。
以上、本発明の実施の形態例について詳細に説明したが、本発明は、ここで説明した実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨に逸脱しない限りにおいて、その他の応用例および変形例を含むことは言うまでもない。
10…非接触形状・誘電率測定装置、11…マイクロ波送信処理部、12…マイクロ波受信処理部、13…ベースバンド処理部、14…フィルタ処理部、15…実験データ差分信号取得部、16…電磁界計算データ出力部、17…シミュレーションデータ差分信号取得部、18…較正係数計算部、19…シミュレーションデータ変換部、20…誘電率画像取得部、21…画像出力部

Claims (7)

  1. 送信アンテナから誘電率を測定する目標に向けて送信された電磁波の、目標から反射または目標を透過した電磁波を受信アンテナで受信し、受信した電磁波から前記目標の形状及び誘電率を得る非接触形状・誘電率測定装置であって、
    前記受信アンテナで受信した電磁波から、目標に向けて送信された電磁波の目標で散乱した散乱電界を実験データとして取得する散乱電界取得部と、
    前記実験データとは別に、実験環境をシミュレーションしたシミュレーション環境において散乱電界を計算する電磁界計算データ出力部と、
    前記散乱電界取得部で取得された既知の誘電率を持つ目標の散乱電界から得られる実験データと、前記電磁界計算データ出力部で計算された既知の目標の散乱電界をシミュレーションしたシミュレーションデータとから補正係数を得る較正係数計算部と、
    前記散乱電界取得部で取得された未知の誘電率を持つ目標の散乱電界から得られる実験データを、前記較正係数計算部で得た補正係数で除算することにより、未知の誘電率を持つ目標のシミュレーションデータに変換するシミュレーションデータ変換部と、
    前記シミュレーションデータ変換部で変換したシミュレーションデータを用いてCSI法により、複素誘電率分布画像を得る誘電率画像取得部と、を備える
    非接触形状・誘電率測定装置。
  2. 前記散乱電界取得部で取得される既知の誘電率を有する背景媒質の散乱電界と、既知の誘電率を有する目標を含む対象物からの散乱電界の差分を計算する実験データ差分信号取得部と、
    実験データとは別に、実験環境をシミュレーションしたシミュレーション環境における、既知の誘電率を有する背景媒質の散乱電界と、既知の誘電率を有するターゲットを含む対象物からの散乱電界の差分を計算するシミュレーションデータ差分信号取得部と、を備え、
    前記較正係数計算部には、前記実験データ差分信号取得部で計算された、目標有りと目標無しの実験データの差分信号と、前記シミュレーションデータ差分信号取得部で取得された差分信号取得部で計算された目標有りと目標無しのシミュレーションデータの差分信号とが供給される
    請求項1に記載の非接触形状・誘電率測定装置。
  3. 前記誘電率画像取得部で用いられるCSIでは、下記に示すコスト関数Fが定義され、コスト関数Fが最小となるようにコントラストソースw(r)、全電界Et(r)及びコントラスト関数χ(r)が復元される
    Figure 2022108434000009
    請求項1または2に記載の非接触形状・誘電率測定装置。
  4. 前記コントラストソースw(r)は、コントラスト関数χ(r)と全電界E(r)の両方が最適化変数に設定された値であり、全電界Et(r)とコントラスト関数χ(r)の積となる関数である
    請求項3に記載の非接触形状・誘電率測定装置。
  5. 前記散乱電界取得部は、
    目標からの反射または目標を透過して受信した電磁波を処理する受信処理部と、
    前記受信処理部で得られるベースバンド信号から受信信号成分を得るベースバンド処理部と、
    前記ベースバンド処理部で得られる受信信号成分から反射波または透過波の成分を抽出するフィルタ処理部から、構成される
    請求項1または2に記載の非接触形状・誘電率測定装置。
  6. 送信アンテナから電磁波を送信し、目標を含まない、誘電率が既知の背景媒質からの反射波または透過波を受信アンテナで受信して実験による散乱電界信号を得るステップと、
    送信アンテナから電磁波を送信し、背景媒質内に誘電率が既知の目標を含む対象物からの反射波または透過波を受信アンテナで受信して実験による散乱電界信号を得るステップと、
    前記目標を含む実験による散乱電界信号から前記目標を含まない実験による散乱電界信号を減算して差分信号を得るステップと、
    シミュレーションにより、目標を含まない誘電率が既知の背景媒質の散乱電界信号を計算するステップと、
    シミュレーションにより、背景媒質内に誘電率が既知の目標を含む対象物の散乱電界信号を計算するステップと、
    前記目標を含むシミュレーションによる電磁界信号から前記目標を含まないシミュレーションによる電磁界信号を減算して差分信号を得るステップと、
    実験による目標有りと目標無しの差分信号を前記シミュレーションによる目標有りと目標無しの差分信号で除算して補正係数を得るステップと、
    送信アンテナから電磁波を送信し、誘電率が未知の目標を含む対象物からの反射波または透過波を受信アンテナで受信して実験による電磁界信号を得るステップと、
    誘電率が未知の目標を含む対象物から得た実験による電磁界信号を、前記補正係数を用いて、シミュレーションデータに変換するステップと、
    変換されたシミュレーションデータを用いてCSIを実行して、未知の目標を含む対象物の複素誘電率分布を得るステップと、
    を含む、非接触形状・誘電率測定方法。
  7. 送信アンテナから電磁波を送信し、目標を含まない、誘電率が既知の背景媒質からの反射波または透過波を受信アンテナで受信して実験による電磁界信号を得る手順と、
    送信アンテナから電磁波を送信し、背景媒質内に誘電率が既知の目標を含む対象物からの反射波または透過波を受信アンテナで受信して実験による電磁界信号を得る手順と、
    前記目標を含む実験による電磁界信号から前記目標を含まない実験による電磁界信号を減算して差分信号を得る手順と、
    シミュレーションにより、目標を含まない誘電率が既知の背景媒質の電磁界信号を計算する手順と、
    シミュレーションにより、背景媒質内に誘電率が既知の目標を含む対象物の電磁界信号を計算する手順と、
    前記目標を含むシミュレーションによる電磁界信号から前記目標を含まないシミュレーションによる電磁界信号を減算して差分信号を得る手順と、
    実験による目標有りと目標無しの差分信号を前記シミュレーションによる目標有りと目標無しの差分信号で除算して補正係数を得る手順と、
    送信アンテナから電磁波を送信し、誘電率が未知の目標を含む対象物からの反射波または透過波を受信アンテナで受信して実験による電磁界信号を得る手順と、
    誘電率が未知の目標を含む対象物から得た実験による電磁界信号を、前記補正係数を用いて、シミュレーションデータに変換する手順と、
    変換されたシミュレーションデータを用いてCSIを実行して、未知の目標を含む対象物の複素誘電率分布を得る手順と、
    をコンピュータに実行させる非接触形状・誘電率測定プログラム。
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