JP2022099579A - 多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物、樹脂シート、多層プリント配線板、半導体装置、及び硬化物 - Google Patents

多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物、樹脂シート、多層プリント配線板、半導体装置、及び硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、多層プリント配線板の絶縁層に用いた際に、プリント配線板全体の反りを低減することが可能な樹脂組成物、それを用いた樹脂シート、多層プリント配線板、並びに半導体装置を提供することにある。【解決手段】本発明の多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物は、樹脂組成物の硬化物の、0~30℃の熱膨張係数が、70~150ppm/℃であり、ガラス転移温度が、100℃以下であり、25℃の弾性率が、0.001~1.5GPaである。【選択図】なし

Description

本発明は、多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物、樹脂シート、多層プリント配線板、半導体装置、及び硬化物に関する。
多層プリント配線板の小型化、及び高密度化により、多層プリント配線板に用いられる積層板を薄型化する検討が盛んに行なわれている。薄型化に伴い、多層プリント配線板に積層されている絶縁層についても薄型化が求められている。絶縁層の材料となる樹脂組成物は、熱硬化性樹脂が主流であり、また、絶縁層には、通常、絶縁層間で導通を得るための穴あけが施されている。穴あけは、一般的にレーザー加工にて行われる。
絶縁層に求められる特性は、例えば、低吸水性、吸湿耐熱性、難燃性、低誘電率、低誘電正接、低熱膨張率、耐熱性、耐薬品性、及び高めっきピール強度等が挙げられる。また、これらの物性を有する絶縁層に加えて、多層プリント配線板全体の反りを抑制する(低反りを達成する)ことも、重要な課題となっている。そのため、絶縁層の反りに対しても様々な検討がなされている。例えば、特許文献1には、支持体と接着層とを有し、プリント配線板に適用した際に高温環境下において反りが低減される樹脂シートについての記載がある。
また、レーザー加工による穴あけは、穴数が多い高密度基板になるほど加工時間が長くなるという問題がある。そのため、近年は光線等の照射により露光部が硬化(露光工程)し、未露光部は除去(現像工程)可能な樹脂組成物を用いることにより、露光、及び現像工程で一括穴あけ加工することが可能となる樹脂シートが求められている。露光の方法としては、水銀灯を光源としてフォトマスクを介して露光する方法が用いられており、この水銀灯の光源において好適に露光できる材料が求められている。この水銀灯を光源とした露光方法は、ghi混線(g線の波長436nm、h線の波長405nm、i線の波長365nm)などが用いられており、汎用の光硬化開始剤を選択することができる。
このようなプリント配線板の絶縁層に用いられる感光性の樹脂組成物としては、露光工程での速やかな硬化を可能にするために(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を有する化合物が使用されている。例えば、特許文献2には、ビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させた後、酸無水物を反応させて得られるカルボキシル変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂と、ビフェニル型エポキシ樹脂と、光硬化開始剤と、希釈剤とを含む感光性熱硬化型樹脂組成物が記載されている。
特開2016-179564号公報 特開2010-204298号公報
しかしながら、特許文献1では、絶縁層の熱膨張係数のみに着目して、該熱膨張係数のみを小さくすることで反りの低減を図るため、プリント配線板全体の反りについては、未だ十分に低減できていない。
また、特許文献2に記載の樹脂組成物においても、絶縁層の硬化物における、ガラス転移温度、熱膨張係数、及び弾性率等の特性値が適正でない等の理由から、多層プリント配線板全体の反りを十分に低減できない。
それゆえ、プリント配線板全体の反りの低減に関しては、さらなる改良が望まれている。
そこで、本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、多層プリント配線板の絶縁層に用いた際に、プリント配線板全体の反りを低減することが可能な樹脂組成物、それを用いた樹脂シート、多層プリント配線板、半導体装置、並びに硬化物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討したところ、樹脂組成物の硬化物の、熱膨張係数、ガラス転移温度、及び弾性率をそれぞれ特定の範囲で有する樹脂組成物を、多層プリント配線板における絶縁層に用いることで、プリント配線板全体の反りが低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1]樹脂組成物の硬化物の、0~30℃の熱膨張係数が、70~150ppm/℃であり、ガラス転移温度が、100℃以下であり、25℃の弾性率が、0.001~1.5GPaである、多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物。
[2]光硬化性である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]マレイミド化合物を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記マレイミド化合物が、下記式(1)で表されるマレイミド化合物を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
Figure 2022099579000001
(式(1)中、n1(平均)は、1以上である。)。
[5]前記マレイミド化合物が、下記式(2)で表されるマレイミド化合物を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
Figure 2022099579000002
(式(2)中、Raは、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を表し、Rbは、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を表し、naは、1以上の整数であり、nbは、1以上の整数である。)。
[6]前記マレイミド化合物が、下記式(10)で表されるマレイミド化合物を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
Figure 2022099579000003
(式(10)中、n7は、1以上の整数を示す。)。
[7]支持体と、前記支持体の片面又は両面に配された樹脂層と、を有し、前記樹脂層が、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、樹脂シート。
[8]前記樹脂層の厚さが1~50μmである、[7]に記載の樹脂シート。
[9]絶縁層と、前記絶縁層の片面又は両面に形成された導体層と、を有し、前記絶縁層が、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、多層プリント配線板。
[10][1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、半導体装置。
[11][1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、硬化物。
本発明によれば、多層プリント配線板の絶縁層に用いた際に、プリント配線板全体の反りを低減することが可能な樹脂組成物、それを用いた樹脂シート、多層プリント配線板、並びに半導体装置を提供することができる。
図1は、アミド酸化合物(MA-TMDA)の1H-NMRのチャートである。 図2は、マレイミド化合物(TMDM)の1H-NMRのチャートである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で、適宜に変形して実施できる。
なお、本実施形態において、「樹脂固形分」又は「樹脂組成物中の樹脂固形分」とは、特に断りのない限り、樹脂組成物における、硬化開始剤、有機溶剤、及びその他の成分を除いた成分をいい、「樹脂固形分100質量部」とは、樹脂組成物における、硬化開始剤、有機溶剤、及びその他の成分を除いた成分の合計が100質量部であることをいうものとする。
[多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物]
本実施形態の多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物は、樹脂組成物の硬化物の、0~30℃の熱膨張係数が、70~150ppm/℃であり、ガラス転移温度が、100℃以下であり、弾性率が、0.001~2.5GPaである。本実施形態の樹脂組成物は、多層プリント配線板の絶縁層間での穴あけ加工に関して、活性エネルギー線等の照射により露光部が容易に硬化し、未露光部は容易に除去することが可能であり、一括穴あけ加工を容易に可能にできる等の理由から、光硬化性を有してもよい。なお、本実施形態において、0~30℃の熱膨張係数、ガラス転移温度、及び25℃の弾性率は、波長200~600nmを含む活性エネルギー線を、200mJ/cm2にて照射した後、さらに1000mJ/cm2にて照射し、温度180℃で120分間加熱処理することで、樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物を用いて、測定して得られた値とする。熱膨張係数、ガラス転移温度、及び弾性率についての具体的な測定方法、並びに光硬化の条件については、実施例のとおりである。
本実施形態では、上記の構成を備える樹脂組成物を用いることで、多層プリント配線板の反りを十分に低減することが可能となる。この理由については、本発明者らは、次のように推定している。
すなわち、本発明者らは、異種材料を張り合わせた場合の反り量に関しては、異種材料それぞれが有する、熱膨張係数、ガラス転移温度、及び弾性率で定まると推定している。このような推定によれば、異種材料それぞれの熱膨張係数の差が小さく、プリント配線板全体の応力を緩和できるような(すなわち、ガラス転移温度が低い)材料を用い、かつ、どちらか一方の材料の弾性率が非常に小さいと、プリント配線板全体の反り量は小さくなると考えられる。このような検討結果に基づき、プリント配線板の絶縁層に積層される、被積層物の一般的な熱膨張係数及びガラス転移温度を考慮して、本実施形態の樹脂組成物によれば、被積層体と絶縁層における熱膨張係数との差を小さくでき、プリント配線板全体の応力を緩和でき、かつ、絶縁層とした場合の弾性率を小さくできるので、得られる多層プリント配線板の反りを十分に低減できると推定している。
樹脂組成物の硬化物において、0~30℃の熱膨張係数は、70~150ppm/℃である。熱膨張係数が、上記範囲内であると、導体配線等の異種材料と、絶縁層とを張り合わせた際に熱膨張係数の差を一定の範囲内に収めることができ、その結果、導体配線等の異種材料と、絶縁層との間のデラミネーションやクラックを抑制できる傾向にある。熱膨張係数の上限値は、異種材料と絶縁層との熱膨張係数の差をより抑制できる点から、130ppm/℃以下が好ましい。熱膨張係数の下限値は、異種材料と、絶縁層との間のデラミネーションやクラックをより抑制できる点から、80ppm/℃以上が好ましい。
樹脂組成物の硬化物において、ガラス転移温度は、100℃以下である。ガラス転移温度が、上記範囲内であると、プリント配線板等の製造工程中で加熱される際に、ガラス転移温度を超えて樹脂組成物が加熱されることとなり、樹脂組成物が軟質のゴム状態となってから絶縁層となることで、プリント配線板全体の応力を緩和できると考えられる。そのため、樹脂組成物を多層プリント配線板に用いた際に、反り量を低減することができると考えられる。ガラス転移温度の上限値は、より軟質のゴム状態となりやすいことから、95℃以下が好ましい。ガラス転移温度の下限値は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、熱膨張係数を上記の範囲内に抑制できる点から、20℃以上が好ましい。
樹脂組成物の硬化物において、25℃の弾性率が、0.001~2.5GPaである。弾性率が、上記範囲内であると、異種材料と、絶縁層とを張り合わせた際に発生する応力を緩和できると考えられる。そのため、樹脂組成物を多層プリント配線板の絶縁層に用いた際に、反りを低減できると考えられる。弾性率の上限値は、応力を緩和する効果をより高めることができる点から、2.0GPa以下が好ましい。弾性率の下限値は、機械的強度を確保することで、より信頼性を高めることができる点から、0.005GPa以上が好ましい。
〔樹脂組成物の構成成分〕
(マレイミド化合物)
樹脂組成物には、硬化物とした際の物性を上記範囲内になるように設計しつつ、多層プリント配線板の絶縁層として使用しやすいという点から、マレイミド化合物を含むことが好ましい。
マレイミド化合物は、分子中に一個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されない。その具体例としては、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-アニリノフェニルマレイミド、N-カルボキシフェニルマレイミド、N-(4-カルボキシ-3-ヒドロキシフェニル)マレイミド、6-マレイミドヘキサン酸、4-マレイミド酪酸、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル)プロパン、4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3,5-ジメチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-マレイミドフェニル)メタン、フェニルメタンマレイミド、o-フェニレンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、p-フェニレンビスマレイミド、o-フェニレンビスシトラコンイミド、m-フェニレンビスシトラコンイミド、p-フェニレンビスシトラコンイミド、2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン、1,4-ビスマレイミドブタン、1,5-ビスマレイミドペンタン、1,5-ビスマレイミド-2-メチルペンタン、1,6-ビスマレイミドヘキサン、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、1,8-ビスマレイミド-3,6-ジオキサオクタン、1,11-ビスマレイミド-3,6,9-トリオキサウンデカン、1,3-ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、4,4-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、4,4-ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、2,2-ビス[4-(4-シトラコンイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、式(1)で表されるマレイミド化合物、式(2)で表されるマレイミド化合物、式(3)で表されるマレイミド化合物、ポリフェニルメタンマレイミドなどの式(4)で表されるマレイミド化合物、式(5)で表されるマレイミド化合物、式(6)で表されるマレイミド化合物、式(7)で表されるマレイミド化合物、式(8)で表されるマレイミド化合物、式(9)で表されるマレイミド化合物、式(10)で表されるマレイミド化合物、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン(式(11)で表されるマレイミド化合物)、式(12)で表されるマレイミド化合物、式(13)で表されるマレイミド化合物、式(14)で表されるマレイミド化合物、フルオレセイン-5-マレイミド、及びこれらマレイミド化合物のプレポリマー、又はマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマー等が挙げられる。これらのマレイミド化合物は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
これらのマレイミド化合物の中でも、硬化物とした際により低い弾性率が得られ、多層プリント配線板の反りをより十分に低減できることから、式(1)で表されるマレイミド化合物、式(2)で表されるマレイミド化合物、式(3)で表されるマレイミド化合物、式(10)で表されるマレイミド化合物、式(12)で表されるマレイミド化合物、式(13)で表されるマレイミド化合物、及び式(14)で表されるマレイミド化合物が好ましく、式(1)で表されるマレイミド化合物、式(2)で表されるマレイミド化合物、及び式(10)で表されるマレイミド化合物がより好ましい。
(式(1)で表されるマレイミド化合物)
式(1)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000004
式(1)中、n1(平均)は、1以上であり、好ましくは1~10である。
式(1)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもできる。例えば、Designer Molecules Inc.製BMI-1500(商品名、式(1)中のn1が1.3(平均)、官能基当量:754g/eq.)が挙げられる。
(式(2)で表されるマレイミド化合物)
式(2)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000005
式(2)中、Raは、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を表す。Raとしては、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であることが好ましく、優れた光硬化性を示すことから、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
アルキル基の炭素数としては、優れた光硬化性を示すことから、4~12が好ましい。
アルケニル基の炭素数としては、優れた光硬化性を示すことから、4~12が好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、1-エチルプロピル基、n-ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、tert-ペンチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2-メチルペンタン-3-イル基、及びn-ノニル基が挙げられる。これらの中でも、優れた光硬化性を示すことから、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基が好ましく、n-オクチル基がより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、4-ペンテニル基、イソプロペニル基、イソペンテニル基、2-ヘプテニル基、2-オクテニル基、及び2-ノネニル基が挙げられる。これらの中でも、優れた光硬化性を示すことから、2-ヘプテニル基、2-オクテニル基、2-ノネニル基が好ましく、2-オクテニル基がより好ましい。
式(2)中、Rbは、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を表す。Rbとしては、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であることが好ましく、優れた光硬化性を示すことから、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
アルキル基の炭素数としては、優れた光硬化性を示すことから、4~12が好ましい。
アルケニル基の炭素数としては、優れた光硬化性を示すことから、4~12が好ましい。
アルキル基の具体例としては、Raにおけるアルキル基を参照できる。この中でも、優れた光硬化性を示すことから、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基が好ましく、n-オクチル基がより好ましい。
アルケニル基の具体例としては、Raにおけるアルケニル基を参照できる。この中でも、優れた光硬化性を示すことから、2-ヘプテニル基、2-オクテニル基、2-ノネニル基が好ましく、2-オクテニル基がより好ましい。
式(2)中、naは1以上の整数であり、好ましくは2~16であり、より好ましくは、優れた光硬化性を示す観点から、3~14である。
式(2)中、nbは1以上の整数であり、好ましくは2~16であり、より好ましくは、優れた光硬化性を示す観点から、3~14である。naとnbの数は同じであっても、異なっていてもよい。
式(2)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもできる。例えば、Designer Molecules Inc.製BMI-689(商品名、式(15)で表されるマレイミド化合物、官能基当量:346g/eq.)等が挙げられる。
(式(15)で表されるマレイミド化合物)
式(15)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000006
(式(3)で表されるマレイミド化合物)
式(3)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000007
式(3)中、aは、1~10の整数を示す。aは、より好適な粘度が得られ、ワニスの粘度上昇がより制御できる点から、1~6の整数であることが好ましい。
式(3)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもできる。例えば、日本化薬(株)製MIZ-001(商品名、式(3)のマレイミド化合物を含む)が挙げられる。
(式(4)で表されるマレイミド化合物)
式(4)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000008
式(4)中、R1は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。n2は、1以上の整数を表し、好ましくは1~10の整数を表し、より好ましくは1~5の整数を表す。
式(4)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもできる。例えば、大和化成工業(株)社製BMI-2300(商品名)が挙げられる。
(式(5)で表されるマレイミド化合物)
式(5)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000009
式(5)中、R2は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。n3は、1以上の整数を表し、好ましくは1~5の整数を表す。
式(5)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもできる。例えば、日本化薬(株)社製MIR-3000(商品名)が挙げられる。
(式(6)で表されるマレイミド化合物)
式(6)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000010
式(6)中、n4(平均)は1以上であり、好ましくは1~21であり、より好ましくは、優れた光硬化性を示す観点から、1~16である。
式(6)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもできる。例えば、ケイ・アイ化成(株)製BMI-1000P(商品名、式(6)中のn4が13.6(平均))、ケイ・アイ化成(株)社製BMI-650P(商品名、式(6)中のn4が8.8(平均))、ケイ・アイ化成(株)社製BMI-250P(商品名、式(6)中のn4が3~8(平均))、ケイ・アイ化成(株)社製CUA-4(商品名、式(6)中のn4が1)が挙げられる。
(式(7)で表されるマレイミド化合物)
式(7)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000011
式(7)中、xの数は、10~35である。式(7)中、yの数は、10~35である。
式(7)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもできる。例えば、Designer Molecules Inc.製BMI-6100(商品名、式(7)中のxが18、yが18)が挙げられる。
(式(8)で表されるマレイミド化合物)
式(8)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000012
式(8)中、n5(平均)は0.5以上であり、好ましくは0.8~10であり、より好ましくは、優れた光硬化性を示す観点から、1~8である。
式(8)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもできる。例えば、Designer Molecules Inc.製BMI-1500(商品名、式(8)中のn5が1.3(平均)、官能基当量:754g/eq.)が挙げられる。
(式(9)で表されるマレイミド化合物)
式(9)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000013
式(9)中、n6は、1以上の整数を表し、好ましくは1~10の整数を表す。
式(9)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもできる。例えば、Designer Molecules Inc.製BMI-1700(商品名)が挙げられる。
(式(10)で表されるマレイミド化合物)
式(10)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000014
式(10)中、n7は、1以上の整数を表し、好ましくは1~10の整数を表す。
式(10)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもできる。例えば、Designer Molecules Inc.製BMI-3000(商品名)、Designer Molecules Inc.製BMI-5000(商品名)、Designer Molecules Inc.製BMI-9000(商品名)が挙げられる。
(式(11)で表されるマレイミド化合物)
式(11)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000015
式(11)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもできる。例えば、大和化成工業株式会社製BMI-TMH(商品名)が挙げられる。
(式(12)で表されるマレイミド化合物)
式(12)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000016
式(12)中、R3は各々独立に水素原子、メチル基又はエチル基を示し、R4は各々独立に水素原子又はメチル基を示す。)
式(12)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもできる。例えば、ケイ・アイ化成(株)製BMI-70(商品名)が挙げられる。
(式(13)で表されるマレイミド化合物)
式(13)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物である。
Figure 2022099579000017
式(13)中、n8は、1~5の整数である。
式(13)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもできる。例えば、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名)が挙げられる。
(式(14)で表されるマレイミド化合物)
式(14)で表されるマレイミド化合物は、次の化合物であり、本実施形態では、「TMDM」とも称す。
Figure 2022099579000018
樹脂組成物において、マレイミド化合物の含有量は、樹脂組成物の樹脂固形分100質量部に対して、25~100質量部であることが好ましい。マレイミド化合物の含有量が、樹脂組成物の樹脂固形分100質量部に対して、100質量部とは、樹脂分が全てマレイミド化合物であることを意味する。
(硬化開始剤)
本実施形態の樹脂組成物には、硬化開始剤を含むことが好ましい。樹脂組成物が硬化開始剤を含むと、硬化速度を調整でき、プリント配線板の反りを好適に抑制できる樹脂組成物を得ることができる。硬化開始剤は、熱硬化及び光硬化に用いられる公知の開始剤を用いることができ、例えば、熱硬化開始剤、及び光硬化開始剤が挙げられる。これらの硬化開始剤は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
本実施形態において、硬化開始剤の含有量は、良好な硬化速度が得られる点から、樹脂組成物の樹脂固形分100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましい。
(熱硬化開始剤)
熱硬化開始剤は、熱により、例えば、マレイミド化合物におけるマレイミド基を重合させることができる活性物質(ラジカル)を放出する化合物であれば特に限定されず、公知の開始剤を用いることができる。熱硬化開始剤は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
このような熱硬化開始剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ(2-tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキサイド、及びシクロヘキサノンパーオキサイドのケトンパーオキサイド;1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、及び2,2-ジ(4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパンのパーオキシケタール;tert―ブチルハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、及びt-ブチルハイドロパーオキサイドのハイドロパーオキサイド;ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-へキシルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、及びジ-t-ブチルパーオキサイドのジアルキルパーオキサイド;ジベンゾイルパーオキサイド、及びジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイドのジアシルパーオキサイド;ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、及びジイソプロピルパーオキシジカーボネートのパーオキシジカーボネート;2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-へキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノネートのパーオキシエステル等の有機過酸化物;2,2'-アゾビスブチロニトリル(以下、「AIBN」とも称す)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、及び2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物などが挙げられる。
(光硬化開始剤)
光硬化開始剤は、種々の活性エネルギー線により、例えば、マレイミド化合物におけるマレイミド基を重合させることができる活性物質(ラジカル)を放出する化合物であれば特に限定されず、公知の開始剤を用いることができる。光硬化開始剤は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
光硬化開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、及びジ-tert-ブチル-ジ-パーフタレート等で例示される有機過酸化物;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド類;アセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシンクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン、及び2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1等のアセトフェノン類;2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、及び2-アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、及び2-クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、及びベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、及び4,4’-ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、及び1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタノン-1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類等のラジカル型光硬化開始剤や、
p-メトキシフェニルジアゾニウムフロロホスホネート、及びN,N-ジエチルアミノフェニルジアゾニウムヘキサフロロホスホネート等のルイス酸のジアゾニウム塩;ジフェニルヨードニウムヘキサフロロホスホネート、及びジフェニルヨードニウムヘキサフロロアンチモネート等のルイス酸のヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフロロホスホネート、及びトリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート等のルイス酸のスルホニウム塩;トリフェニルホスホニウムヘキサフロロアンチモネート等のルイス酸のホスホニウム塩;その他のハロゲン化物;トリアジン系開始剤;ボーレート系開始剤;その他の光酸発生剤等のカチオン系光硬化開始剤が挙げられる。
(有機溶剤)
本実施形態の樹脂組成物には、必要に応じて、有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤を用いると、樹脂組成物の調製時における粘度を調整することができる。有機溶剤の種類は、樹脂組成物中の樹脂の一部又は全部を溶解可能なものであれば、特に限定されない。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等のケトン類;シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン等の脂環式ケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ系溶媒;乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシイソ酪酸メチル、及びγ―ブチロラクトン等のエステル系溶媒;ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミド等のアミド類などの極性溶剤類;トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素等の無極性溶剤が挙げられる。
これらの有機溶剤は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
(その他の成分)
本実施形態の樹脂組成物には、本実施形態の特性が損なわれない範囲において、これまでに挙げられていない熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及びそのオリゴマー、並びにエラストマー類等の種々の高分子化合物;添加剤等の併用も可能である。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されない。添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、表面調整剤、光沢剤、重合禁止剤、熱硬化促進剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物は、例えば、マレイミド化合物と、硬化開始剤と、必要に応じて、有機溶剤、その他の成分を適宜混合することにより調製される。樹脂組成物は、後述する本実施形態の樹脂シートを作製する際のワニスとして、好適に使用することができる。なお、ワニスの調製に使用する有機溶媒は、特に限定されず、その具体例は、前記したとおりである。
樹脂組成物の製造時には、必要に応じて、各成分を均一に溶解又は分散させるための公知の処理(攪拌、混合、及び混練処理等)を行うことができる。具体的には、適切な攪拌能力を有する攪拌機を付設した攪拌槽を用いて攪拌分散処理を行うことにより、樹脂組成物における各成分の分散性を向上させることができる。攪拌、混合、及び混練処理は、例えば、超音波ホモジナイザー等の分散を目的とした攪拌装置、三本ロール、ボールミル、ビーズミル、及びサンドミル等の混合を目的とした装置、並びに、公転又は自転型の混合装置等の公知の装置を用いて適宜行うことができる。また、樹脂組成物の調製時においては、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。有機溶剤の種類は、樹脂組成物中の樹脂を溶解可能なものであれば、特に限定されず、その具体例は、前記したとおりである。
樹脂組成物は、後述する本実施形態の樹脂シートを作製する際のワニスとして、好適に使用することができる。ワニスは、公知の方法により得ることができる。例えば、ワニスは、本実施形態の樹脂組成物中の有機溶媒を除く成分100質量部に対して、有機溶剤を10~900質量部加えて、前記の公知の混合処理(攪拌、混練処理等)を行うことで得ることができる。
〔用途〕
本実施形態の樹脂組成物は、多層プリント配線板の反りを十分に低減可能であるため、例えば、多層プリント配線板の絶縁層として好適に用いられる。
[硬化物]
硬化物は、本実施形態の樹脂組成物を硬化させてなる。
硬化物は、例えば、波長200~600nmを含む活性エネルギー線を、10mJ/cm2~1000mJ/cm2照射し、さらに120~220℃で20~180分間で加熱することで、樹脂組成物を硬化させて得られる。具体的には、硬化物は、樹脂組成物を溶融又は溶媒に溶解させた後、型内に流し込み、5.0hPa以下に真空引きした状態で60℃~220℃で3~20分間加熱して溶媒を除去した後に、前記の条件によって光照射、及び通常の条件によって加熱し、硬化することで得られる。光照射量は、200mJ/cm2~1000mJ/cm2であることが好ましい。加熱温度は、160~200℃であることが好ましい。
また、硬化物は、加熱温度170~220℃で、かつ加熱時間15~200分間にて、樹脂組成物を硬化させて得られてもよい。加熱温度としては、180~200℃であることが好ましい。加熱時間としては、120~180分であることが好ましい。このような硬化物は、通常の加熱手段にて得られ、加熱手段としては、例えば、乾燥機が挙げられる。
[樹脂シート]
本実施形態の樹脂シートは、支持体と、支持体の片面又は両面に配された樹脂層と、を有し、樹脂層が、樹脂組成物を含む、支持体付き樹脂シートである。樹脂シートは、樹脂組成物を支持体上に塗布、及び乾燥して製造することができる。樹脂シートを多層プリント配線板の絶縁層に用いることで、プリント配線板全体の反りが十分に低減される。
樹脂層の厚さは、1~50μmであることが好ましい。
支持体は、公知のものを使用することができるが、樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、及びトリアセチルアセテートフィルム等が挙げられる。
樹脂フィルムは、樹脂層からの剥離を容易にするため、剥離剤を表面に塗布してあることが好ましい。樹脂フィルムの厚さは、5~100μmの範囲であることが好ましい。
また、本実施形態における樹脂シートにおいて、その樹脂層は、保護フィルムで保護されていてもよい。
樹脂層側を保護フィルムで保護することにより、樹脂層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。保護フィルムとしては、樹脂フィルムと同様の材料により構成されたフィルムを用いることができる。保護フィルムの厚さは、1~50μmの範囲であることが好ましい。
本実施形態の樹脂シートの製造方法は、例えば、本実施形態の樹脂組成物をPETフィルム等の支持体に塗布して、乾燥することにより有機溶剤を除去することで、樹脂シートを製造する方法等が挙げられる。
塗布方法は、例えば、ロールコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ダイコーター、バーコーター、リップコーター、ナイフコーター、及びスクイズコーター等を用いた公知の方法で行うことができる。乾燥は、例えば、60~200℃の乾燥機中で、1~60分加熱させる方法等により行うことができる。
[多層プリント配線板]
本実施形態の多層プリント配線板は、絶縁層と、絶縁層の片面又は両面に形成された導体層とを有し、絶縁層が、樹脂組成物を含む。絶縁層は、例えば、樹脂シートを1枚以上重ねて硬化して得ることもできる。絶縁層と導体層のそれぞれの積層数は、特に限定されず、目的とする用途に応じて適宜積層数を設定することができる。また、絶縁層と導体層の順番も特に限定されない。導体層としては、各種プリント配線板材料に用いられる金属箔であってもよく、例えば、銅、及びアルミニウム等の金属箔が挙げられる。銅の金属箔としては、圧延銅箔、及び電解銅箔等の銅箔が挙げられる。導体層の厚みは、通常、1~100μmである。多層プリント配線板は、公知の方法にて製造することができる。
[半導体装置]
本実施形態の半導体装置は、樹脂組成物を含む。具体的には、以下の方法により製造することができる。多層プリント配線板の導通箇所に、半導体チップを実装することにより半導体装置を製造することができる。ここで、導通箇所とは、多層プリント配線板における電気信号を伝える箇所のことであって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもよい。また、半導体チップは、半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能すれば、特に限定されない。具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、及び非導電性フィルム(NCF)による実装方法等が挙げられる。
また、半導体チップや半導体チップを搭載してある基板に樹脂組成物を含む絶縁層を形成することによっても、半導体装置を製造することができる。半導体チップを搭載してある基板の形状はウェハ状でもパネル状でも良い。形成後は多層プリント配線板と同様の方法を用いて製造することができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本実施形態は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[合成例1]マレイミド化合物(TMDM)の合成
次のようにして、式(14)で表されるマレイミド化合物(TMDM)を合成した。
〔アミド酸化合物(以下、MA-TMDAと略記する。)の合成〕
まず、下記式(15)で表されるMA-TMDAを下記の方法にて合成した。
Figure 2022099579000019
アルゴンの吹込み口、ディーンスターク装置、ジムロート冷却管、及び温度計を備えた100mL四ツ口フラスコに、無水マレイン酸5.2g(53mmol)と、N-メチルピロリドン(NMP)20mLと、トルエン20mLとを加え、アルゴン気流下で室温にて攪拌して無水マレイン酸を完全に溶解させた。この溶液にTMDA(日本純良薬品(株)製、5-アミノ-1,3,3-トリメチル-1-(4-アミノフェニル)-インダンと、6-アミノ-1,3,3-トリメチル-1-(4-アミノフェニル)-インダンの混合物)5.0g(19mmol)と、NMP10mLとを加え、室温で17時間攪拌した。
反応溶液を一部分取し、水と、酢酸エチルとを加えて振盪した。その後、有機層を取り出して、硫酸マグネシウムで乾燥した。上澄みを40℃で溶媒留去し、黄色オイルを得た。1H-NMR測定を行い、式(15)で表されるMA-TMDAであることを確認した。
式(15)で表されるMA-TMDAの1H-NMRの帰属を以下に示す。また、1H-NMRチャートを図1に示す。
1H-NMR(300MHz、DMSO-d6)δ(ppm):10.40(m、2H、-COOH)、7.30(m、7H、ArH)、6.33(m、4H、=CH-)、2.11(m、2H、-CH2-)、1.48(d、3H、-CH3)、1.21(d、3H、-CH3)、0.92(d、3H、-CH3
〔TMDMの合成〕
前記の反応溶液に、p-トルエンスルホン酸一水和物0.67g(3.5mmol)を加え、127℃で2.5時間加熱還流した。室温まで冷却した後、冷却後の反応溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mLと、酢酸エチル100mLとの混合溶液に攪拌しながら注いだ。更に、水100mLと、酢酸エチル100mLとを加えて撹拌し、5分間静置した。その後、分液し、水層を酢酸エチル50mLで3回抽出した。有機層を全て合わせて、水100mLで1回、飽和食塩水10mLで1回、飽和食塩水5mLで2回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥して、固体分を濾別した後、40℃で溶媒留去し、黄色固体を得た。
得られた黄色固体をアセトン6.5mLに溶解させ、アセトン溶液を水300mLに注いだ。析出した固体をろ取し、少量のイソプロピルアルコール(IPA)で洗浄した後、50℃で20時間減圧乾燥して黄色固体5.71質量部を得た。1H-NMR測定を行い、式(14)で表されるマレイミド化合物(TMDM)であること確認した。
TMDMの1H-NMRの帰属を以下に示す。また、1H-NMRチャートを図2に示す。
1H-NMR(300MHz、DMSO-d6)δ(ppm):7.19(m、11H、ArH、-CH=CH-)、2.42(m、2H、-CH2-)、1.66(d、3H、-CH3)、1.32(d、3H、-CH3)、1.00(d、3H、-CH3
[実施例1]
(樹脂組成物及び樹脂シートの作製)
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500(商品名、式(1)中のn1が1.3(平均)、官能基当量:754g/eq.)を100質量部と、熱硬化開始剤として、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN、富士フィルム和光純薬(株)製)を10質量部とを混合し、メチルエチルケトンに溶解し、ワニス(樹脂組成物の溶液)を得た。
このワニスを厚さ38μmのPETフィルム(ユニチカ(株)製ユニピール(登録商標)TR1-38、(商品名))上に自動塗工装置(テスター産業(株)製PI-1210(商品名))を用いて塗布し、90℃で5分間加熱乾燥して、PETフィルムを支持体とし樹脂層の厚さが30μmである樹脂シートを得た。
(評価用樹脂の作製)
得られた樹脂シートについて、真空ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製)を用いて、30秒間真空引き(5.0hPa以下)を行った後、圧力10kgf/cm2、温度100℃で30秒間の積層成形を行った。さらに圧力10kgf/cm2、温度100℃で60秒間の積層成形を行った後、温度180℃で120分間加熱処理し、支持体をはがし取って評価用樹脂(硬化物)を得た。
[実施例2]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を50質量部と、ケイ・アイ化成(株)製BMI-70(商品名、式(12)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例3]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を50質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、合成例1で得られたマレイミド化合物(TMDM、式(14)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例4]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-689(商品名、式(15)で表されるマレイミド化合物、官能基当量:346g/eq.)を100質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例5]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-689を50質量部と、ケイ・アイ化成(株)製BMI-70(商品名、式(12)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例6]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-689を50質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、合成例1で得られたマレイミド化合物(TMDM、式(14)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例7]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-3000(商品名)を100質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例8]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-3000を50質量部と、ケイ・アイ化成(株)製BMI-70(商品名、式(12)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例9]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-3000を50質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、合成例1で得られたマレイミド化合物(TMDM、式(14)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例10]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、日本化薬(株)製MIZ-001(商品名、式(3)のマレイミド化合物を含む)を100質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例11]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、日本化薬(株)製MIZ-001(商品名、式(3)のマレイミド化合物を含む)を50質量部と、ケイ・アイ化成(株)製BMI-70(商品名、式(12)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例12]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、日本化薬(株)製MIZ-001(商品名、式(3)のマレイミド化合物を含む)を50質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、合成例1で得られたマレイミド化合物(TMDM、式(14)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例13]
(樹脂組成物及び樹脂シートの作製)
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500(商品名、式(1)中のn1が1.3(平均)、官能基当量:754g/eq.)を100質量部と、光硬化開始剤として、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad(登録商標)819(商品名))を5質量部とを混合し、メチルエチルケトンに溶解し、ワニス(樹脂組成物の溶液)を得た。
このワニスを厚さ38μmのPETフィルム(ユニチカ(株)製ユニピール(登録商標)TR1-38、(商品名))上に自動塗工装置(テスター産業(株)製PI-1210(商品名))を用いて塗布し、90℃で5分間加熱乾燥して、PETフィルムを支持体とし樹脂層の厚さが30μmである樹脂シートを得た。
(評価用樹脂の作製)
得られた樹脂シートについて、真空ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製)を用いて、30秒間真空引き(5.0hPa以下)を行った後、圧力10kgf/cm2、温度100℃で30秒間の積層成形を行った。さらに圧力10kgf/cm2、温度100℃で60秒間の積層成形を行った。その後、200mJ/cm2の紫外線を照射する露光工程、さらに1000mJ/cm2を照射するポスト露光工程を施し、温度180℃で120分間加熱処理するポストベーク工程を施したのち、支持体をはがし取って評価用樹脂(硬化物)を得た。
[実施例14]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を50質量部と、ケイ・アイ化成(株)製BMI-70(商品名、式(12)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例13と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例15]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を50質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、合成例1で得られたマレイミド化合物(TMDM、式(14)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例13と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例16]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-689(商品名、式(15)で表されるマレイミド化合物、官能基当量:346g/eq.)を100質量部用いた以外は、実施例13と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例17]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-689を50質量部と、ケイ・アイ化成(株)製BMI-70(商品名、式(12)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例13と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例18]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-689を50質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、合成例1で得られたマレイミド化合物(TMDM、式(14)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例13と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例19]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-3000(商品名)を100質量部用いた以外は、実施例13と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例20]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-3000を50質量部と、ケイ・アイ化成(株)製BMI-70(商品名、式(12)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例13と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例21]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、Designer Molecules Inc.製BMI-3000を50質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、合成例1で得られたマレイミド化合物(TMDM、式(14)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例13と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例22]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、日本化薬(株)製MIZ-001(商品名、式(3)のマレイミド化合物を含む)を100質量部用いた以外は、実施例13と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例23]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、日本化薬(株)製MIZ-001(商品名、式(3)のマレイミド化合物を含む)を50質量部と、ケイ・アイ化成(株)製BMI-70(商品名、式(12)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例13と同様にして、評価用樹脂を得た。
[実施例24]
マレイミド化合物として、Designer Molecules Inc.製BMI-1500を100質量部用いる代わりに、日本化薬(株)製MIZ-001(商品名、式(3)のマレイミド化合物を含む)を50質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、合成例1で得られたマレイミド化合物(TMDM、式(14)で表されるマレイミド化合物)を25質量部とを用いた以外は、実施例13と同様にして、評価用樹脂を得た。
[比較例1]
(樹脂組成物及び樹脂シートの作製)
マレイミド化合物として、大和化成工業(株)社製BMI-2300(商品名)を50質量部と、ケイ・アイ化成(株)製BMI-70(商品名、式(12)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物)を25質量部と、熱硬化開始剤として、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN、富士フィルム和光純薬(株)製)を10質量部とを混合し、メチルエチルケトンに溶解し、ワニス(樹脂組成物の溶液)を得た。
このワニスを厚さ38μmのPETフィルム(ユニチカ(株)製ユニピール(登録商標)TR1-38、(商品名))上に自動塗工装置(テスター産業(株)製PI-1210(商品名))を用いて塗布し、90℃で5分間加熱乾燥して、PETフィルムを支持体とし樹脂層の厚さが30μmである樹脂シートを得た。
その後、この樹脂シートを用いて、実施例1と同様にして、評価用樹脂を得た。
[比較例2]
(樹脂組成物及び樹脂シートの作製)
ビフェニルアラルキル型エポキシアクリレート(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標)ZCR-1642H、不揮発分60質量%、酸価:99mgKOH/g)を50質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標)DPHA)を25質量部と、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製XD-1000(商品名)を25質量部と、光硬化開始剤として、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad(登録商標)819(商品名))を5質量部とを混合し、メチルエチルケトンに溶解し、ワニス(樹脂組成物の溶液)を得た。
このワニスを厚さ38μmのPETフィルム(ユニチカ(株)製ユニピール(登録商標)TR1-38、(商品名))上に自動塗工装置(テスター産業(株)製PI-1210(商品名))を用いて塗布し、90℃で5分間加熱乾燥して、PETフィルムを支持体とし樹脂層の厚さが30μmである樹脂シートを得た。
その後、この樹脂シートを用いて、実施例13と同様にして、評価用樹脂を得た。
〔物性測定評価〕
実施例及び比較例で得られた評価用樹脂、及び樹脂シートを以下の方法により測定し、評価した。それらの結果を表1~3に示す。
<熱膨張係数>
得られた評価用樹脂(硬化物)において、熱機械分析装置(TAインスツルメント製)で-60℃から200℃まで毎分10℃で昇温し、0℃から30℃における熱膨張係数(ppm/℃)を測定した。
<ガラス転移温度>
得られた評価用樹脂(硬化物)において、動的粘弾性分析装置(TAインスツルメント製)でDMA法により、-60℃から250℃まで毎分10℃で昇温し、LossModulusのピーク位置をガラス転移温度とした。
<弾性率>
得られた評価用樹脂(硬化物)において、動的粘弾性分析装置(TAインスツルメント製)でDMA法により、-60℃から250℃まで毎分10℃で昇温して測定した貯蔵弾性率を弾性率とした。得られた弾性率の温度依存性データを元に、25℃での弾性率を得た。
<実施例1~12及び比較例1の反り量>
まず、三菱ガス化学(株)製銅張貼積層板CCL-HL832NSA(T/T 0.1mmt、LCA、商品名)(縦55mm×横55mm×高さ0.7mm)において、両面の銅箔を全て除去し、アンクラッド板を得た。次いで、アンクラッド板の樹脂面上に、得られた樹脂シートの樹脂面を重ねて配置し、真空ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製)を用いて、30秒間真空引き(5.0hPa以下)を行った後、圧力10kgf/cm2、温度70℃で30秒間の積層形成を行った。さらに圧力10kgf/cm2、温度70℃で60秒間の積層形成を行った後、温度180℃で120分間加熱処理し、支持体(PETフィルム)をはがし取って、銅張貼積層板由来の樹脂層と、樹脂シート由来の樹脂層とが積層された積層体を得た。次いで、積層体における、樹脂シート由来の樹脂層上の中央に、縦43mm×横43mm×高さ0.625mmのシリコンウェハーを、ダイアタッチ材(信越化学工業(株)製)を用いて張り付けて、評価用積層体を得た。反り量の評価においては、モアレ干渉式反り測定装置を用い、評価用積層体を、25℃から260℃へ、さらに25℃と温度を変化させた後の、評価用積層体の4角の高さを読み取り、高さの最も小さい値と最も大きい値との差を反り量(mm)とした。
<実施例13~24及び比較例2の反り量>
まず、三菱ガス化学(株)社製銅張貼積層板CCL-HL832NSA(T/T 0.1mmt、LCA、商品名)(縦55mm×横55mm×高さ0.7mm)において、両面の銅箔を全て除去し、アンクラッド板を得た。次いで、アンクラッド板の樹脂面上に、得られた樹脂シートの樹脂面を重ねて配置し、真空ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製)を用いて、30秒間真空引き(5.0hPa以下)を行った後、圧力10kgf/cm2、温度100℃で30秒間の積層成形を行った。さらに圧力10kgf/cm2、温度100℃で60秒間の積層成形を行った。その後、200mJ/cm2の紫外線を照射する露光工程、さらに1000mJ/cm2を照射するポスト露光工程を施し、温度180℃で120分間加熱処理するポストベーク工程を施した。その後、支持体をはがし取り、銅張貼積層板由来の樹脂層と、樹脂シート由来の樹脂層とが、積層された積層体を得た。次いで、積層体における、樹脂シート由来の樹脂層上の中央に、縦43mm×横43mm×高さ0.625mmのシリコンウェハーを、ダイアタッチ材(信越化学工業(株)製)を用いて張り付けて、評価用積層体を得た。反り量の評価においては、モアレ干渉式反り測定装置を用い、評価用積層体を、25℃から260℃へ、さらに25℃と温度を変化させた後の、評価用積層体の4角の高さを読み取り、高さの最も小さい値と最も大きい値との差を反り量(mm)とした。
Figure 2022099579000020
Figure 2022099579000021
Figure 2022099579000022
表1~3から明らかなように、本実施形態の樹脂組成物によれば、多層プリント配線板の絶縁層に用いた際に、反りを好適に低減できる。

Claims (11)

  1. 樹脂組成物の硬化物の、
    0~30℃の熱膨張係数が、70~150ppm/℃であり、
    ガラス転移温度が、100℃以下であり、
    25℃の弾性率が、0.001~1.5GPaである、
    多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物。
  2. 光硬化性である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. マレイミド化合物を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記マレイミド化合物が、下記式(1)で表されるマレイミド化合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    Figure 2022099579000023
    (式(1)中、n1(平均)は、1以上である。)。
  5. 前記マレイミド化合物が、下記式(2)で表されるマレイミド化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    Figure 2022099579000024
    (式(2)中、Raは、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を表し、Rbは、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を表し、naは、1以上の整数であり、nbは、1以上の整数である。)。
  6. 前記マレイミド化合物が、下記式(10)で表されるマレイミド化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    Figure 2022099579000025
    (式(10)中、n7は、1以上の整数を示す。)。
  7. 支持体と、
    前記支持体の片面又は両面に配された樹脂層と、を有し、
    前記樹脂層が、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、
    樹脂シート。
  8. 前記樹脂層の厚さが1~50μmである、請求項7に記載の樹脂シート。
  9. 絶縁層と、
    前記絶縁層の片面又は両面に形成された導体層と、を有し、
    前記絶縁層が、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、多層プリント配線板。
  10. 請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、半導体装置。
  11. 請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、硬化物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021192120A (ja) * 2016-02-12 2021-12-16 三菱ケミカル株式会社 着色スペーサー形成用感光性着色組成物、硬化物、着色スペーサー、画像表示装置

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