JP2022096107A - 液晶装置、及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】角シミの発生を抑え、表示特性の高い液晶装置を提供する。【解決手段】素子基板10と対向基板20との間に液晶層15を備える液晶装置100であって、対向基板20は、第一基板としての基板20aと、第一基板20aと液晶層15との間に配置された絶縁層33と、絶縁層33と液晶層15との間に配置された対向電極31と、を備え、素子基板10は、第二基板としての基板10aと、第二基板10aと液晶層15との間に配置された複数の画素電極27と、複数の画素電極27のうち、平面視で隣り合う画素電極27と画素電極27との間に重なる位置に配置された配線層41と、を備え、対向基板20の対向電極31は、平面視で配線層41と重なる位置に第一基板20a側に向けて凹んだ第一凹部としての凹部60を有し、凹部60の深さは、100Å以上1500Å未満である。【選択図】図12
Description
本発明は、液晶装置、及び電子機器に関する。
液晶装置として、画素にスイッチング素子を備えたアクティブ駆動型の液晶装置が知られている。このような液晶装置は、例えば、電子機器としてのプロジェクターのライトバルブとして用いられる。
液晶装置は、例えば、プロジェクターのレーザー光源などから強い光が照射されると、液晶層に含まれる液晶分子が分解され、液晶層の中にイオン性不純物が生成されることがある。このイオン性不純物は、画像表示領域の角に凝集して焼き付き、シミとして視認される、いわゆる角シミを発生させ、液晶装置の表示特性を劣化させる要因となっている。
このようなイオン性不純物に起因する表示特性の劣化を抑制することを目的として、特許文献1では、液晶装置の画素電極ないし対向電極に、深さが150nm以上の凹部を形成している。凹部の形成により、液晶分子の流動が阻害され、イオン性不純物が拡散されることで、表示に影響を及ぼさないようにする技術が開示されている。
また、特許文献2では、液晶装置の対向基板に、深さが数100μm程度の凹部からなる液晶貯留部が設けられている。この液晶貯留部が設けられることで、光変調領域に加えて液晶の封入量を増加させ、液晶全体が劣化するまでの時間を延長させる技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1、及び特許文献2の液晶装置では、形成された凹部の深さが150nm以上、または数100μm程度と深くなっているため、この段差により凹部の内面の側面、および底部に配向膜が成膜できにくい。このため、凹部の形成によって液晶の配向不良が発生し、液晶装置の表示特性を劣化させてしまうという課題があった。
液晶装置は、素子基板と対向基板との間に液晶層を備える液晶装置であって、前記対向基板は、第一基板と、前記第一基板と前記液晶層との間に配置された絶縁層と、前記絶縁層と前記液晶層との間に配置された対向電極と、を備え、前記素子基板は、第二基板と、前記第二基板と前記液晶層との間に配置された複数の画素電極と、前記複数の画素電極のうち、平面視で隣り合う画素電極と画素電極との間に重なる位置に配置された配線層と、を備え、前記対向基板の前記対向電極は、平面視で前記配線層と重なる位置に前記第一基板側に向けて凹んだ第一凹部を有し、前記第一凹部の深さは、100Å以上1500Å未満である。
電子機器は、上述の液晶装置を備える。
1.第1実施形態
1-1.液晶装置100の概略構造
本実施形態にかかる液晶装置100について、図1及び図2を参照して説明する。
本実施形態の液晶装置100は、素子基板10と、素子基板10に対向配置された対向基板20と、一対の素子基板10と対向基板20との間に液晶層15を備える。素子基板10を構成する第二基板としての基板10aと、対向基板20を構成する第一基板としての基板20aは、石英基板、又はガラス基板を用いることができる。本実施形態では、石英基板によって構成されている。
1-1.液晶装置100の概略構造
本実施形態にかかる液晶装置100について、図1及び図2を参照して説明する。
本実施形態の液晶装置100は、素子基板10と、素子基板10に対向配置された対向基板20と、一対の素子基板10と対向基板20との間に液晶層15を備える。素子基板10を構成する第二基板としての基板10aと、対向基板20を構成する第一基板としての基板20aは、石英基板、又はガラス基板を用いることができる。本実施形態では、石英基板によって構成されている。
素子基板10と対向基板20は、対向基板20の外周に沿って配置されたシール材14を介して接合されている。対向して接合された素子基板10と対向基板20の間には、正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されており、液晶層15を構成している。
シール材14は、例えば、熱硬化性又は紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材14には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサーが混入されている。
液晶装置100は、シール材14が配置された内側に、表示に寄与する複数の画素Pが配列された表示領域Eが設けられている。表示領域Eの周囲には、表示に寄与しない周辺回路などが設けられた周辺領域E1が配置されている。
素子基板10は、平面視において対向基板20よりも大きく、一辺部がせり出している。素子基板10の一辺部側に設けられたシール材14と一辺部との間には、データ線駆動回路22が設けられている。
また、一辺部に対向する他の一辺部に沿ったシール材14と表示領域Eとの間には、検査回路25が設けられている。さらに、一辺部と直交し互いに対向する他の二辺部に沿ったシール材14と表示領域Eとの間には、走査線駆動回路24が設けられている。一辺部と対向する他の一辺部に沿ったシール材14と検査回路25との間には、2つの走査線駆動回路24を繋ぐ複数の配線29が設けられている。
対向基板20側における額縁状に配置されたシール材14の内側には、同じく額縁状に遮光膜18が設けられている。遮光膜18は、例えば、光反射性を有する金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光膜18の内側が複数の画素Pを有する表示領域Eとなっている。遮光膜18としては、例えば、タングステンシリサイド(WSi)を用いることができる。
これらデータ線駆動回路22、走査線駆動回路24に繋がる配線は、一辺部に沿って配列された複数の外部接続用端子70に接続されている。以降、一辺部に沿った方向をX方向とし、一辺部と直交し互いに対向する他の二辺部に沿った方向をY方向として説明する。また、Z方向から対象物を見ることを平面視という。
図2に示すように、素子基板10は、基板10aと液晶層15との間に配置された複数の画素電極27と、スイッチング素子である複数の薄膜トランジスター30と、図示しないデータ線と、これらを覆う第1配向膜28とが配置されている。素子基板10は、基板10aから第1配向膜28までを含むものである。
画素電極27は、基板10aと液晶層15との間において画素Pごとに設けられている。また、画素電極27は電気伝導性を有し、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜で形成されている。
対向基板20は、基板20aの液晶層15側の面に、遮光膜18と、これを覆うように成膜された絶縁層33と、絶縁層33を覆うように設けられた対向電極31と、対向電極31を覆う第2配向膜32とが設けられている。対向基板20は、基板20aから第2配向膜32までを含むものである。
遮光膜18は、図1に示すように表示領域Eを取り囲むと共に、平面的に走査線駆動回路24、検査回路25と重なる位置に設けられている。これにより対向基板20側からこれらの駆動回路を含む周辺回路に入射する光を遮光して、周辺回路が光によって誤動作することを防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮光して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
絶縁層33は、例えば、光透過性を有する酸化シリコンなどの無機材料からなり、基板20aと液晶層15との間に配置されている。
図示は省略するが、絶縁層33と基板20aとの間には、SiON膜で形成されたマイクロレンズアレイ34が形成されている。マイクロレンズアレイ34は複数の画素Pに対応する複数の凸レンズ(図8参照)からなり、画素Pごとに透過する光を集光する。
図示は省略するが、絶縁層33と基板20aとの間には、SiON膜で形成されたマイクロレンズアレイ34が形成されている。マイクロレンズアレイ34は複数の画素Pに対応する複数の凸レンズ(図8参照)からなり、画素Pごとに透過する光を集光する。
絶縁層33と液晶層15との間には対向電極31が配置されている。対向電極31は、例えば、ITOなどの透明導電膜からなり、絶縁層33を覆うと共に、図1に示す対向基板20の四隅に設けられた上下導通部26により素子基板10側の配線に電気的に接続されている。
画素電極27を覆う第1配向膜28、及び対向電極31を覆う第2配向膜32は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。第1配向膜28及び第2配向膜32としては、気相成長法を用いてSiOx(酸化シリコン)などの無機材料を成膜して、負の誘電異方性を有する液晶分子に対して略垂直配向させた無機配向膜が挙げられる。
このような液晶装置100は、透過型であって、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が電圧印加時の透過率よりも大きいノーマリーホワイトや、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が電圧印加時の透過率よりも小さいノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。
1-2.液晶装置100の等価回路
液晶装置100の電気的な構成を示す等価回路を図3を示して説明する。
液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する複数の走査線3a及び複数のデータ線6aと、容量線3bとを有する。例えば、走査線3aは、X方向に沿って延在し、データ線6aは、Y方向に沿って延在する。
液晶装置100の電気的な構成を示す等価回路を図3を示して説明する。
液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する複数の走査線3a及び複数のデータ線6aと、容量線3bとを有する。例えば、走査線3aは、X方向に沿って延在し、データ線6aは、Y方向に沿って延在する。
走査線3a、データ線6a、及び容量線3bの信号線と、これらの信号線等により区分された領域に、画素電極27と、薄膜トランジスター30と、容量素子16とが設けられており、これらによって画素Pの画素回路が構成されている。
走査線3aは薄膜トランジスター30のゲートに電気的に接続され、データ線6aは薄膜トランジスター30のソース領域に電気的に接続されている。画素電極27は、薄膜トランジスター30のドレイン領域に電気的に接続されている。
データ線6aは、データ線駆動回路22(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路22から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは、走査線駆動回路24(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路24から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。
データ線駆動回路22からデータ線6aに供給される画像信号D1~Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路24は、走査線3aに対して、走査信号SC1~SCmを所定のタイミングでパルスで線順次に供給する。
液晶装置100は、スイッチング素子である薄膜トランジスター30が走査信号SC1~SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1~Dnが所定のタイミングで画素電極27に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極27を介して液晶層15に書き込まれた所定レベルの画像信号D1~Dnは、液晶層15を介して対向配置された画素電極27と対向電極31との間で一定期間保持される。
保持された画像信号D1~Dnがリークするのを防止するため、画素電極27と対向電極31との間に形成される液晶容量と並列して容量素子16が接続されている。容量素子16は、2つの容量電極の間に容量膜としての誘電体層を有するものである。
1-3.表示領域E、及び周辺領域E1の積層構造
液晶装置100の表示領域E、及び周辺領域E1の積層構造について、図4を示して説明する。
液晶装置100は、素子基板10と、これに対向配置される対向基板20と、を備えている。素子基板10は、基板10aの液晶層15側に、配線絶縁層40及び配線層41と、画素電極27と、第1配向膜28と、を備えている。
液晶装置100の表示領域E、及び周辺領域E1の積層構造について、図4を示して説明する。
液晶装置100は、素子基板10と、これに対向配置される対向基板20と、を備えている。素子基板10は、基板10aの液晶層15側に、配線絶縁層40及び配線層41と、画素電極27と、第1配向膜28と、を備えている。
基板10aと画素電極27との間に配置された配線絶縁層40は、例えば、酸化シリコンで構成されており、第1絶縁層40aと、第2絶縁層40bと、第3絶縁層40cと、第4絶縁層40dと、第5絶縁層40eと、第6絶縁層40fと、第7絶縁層40gと、第8絶縁層40hと、を有する。第1絶縁層40aと第2絶縁層40bとの間には、平面視で四角形の枠状に形成された遮光膜42が配置されている。
配線層41は、走査線を兼ねる遮光膜43と、薄膜トランジスター30と、走査線3aと、容量線3bと、データ線6aと、その他の中継電極を含み、遮光領域となっている。配線層41は、平面視で隣り合う画素電極27と画素電極27との間と、重なる位置に設けられている。
遮光膜43は、薄膜トランジスター30と重なる位置に設けられていることにより、基板10a側から薄膜トランジスター30に入射する光Lを遮光し、薄膜トランジスター30が光Lによって誤動作することを防止する役目を果たしている。
遮光膜43は、薄膜トランジスター30と重なる位置に設けられていることにより、基板10a側から薄膜トランジスター30に入射する光Lを遮光し、薄膜トランジスター30が光Lによって誤動作することを防止する役目を果たしている。
配線絶縁層40の対向基板20側には、画素電極27が配置されている。画素電極27の対向基板20側には、酸化シリコンなどの無機材料を画素電極面に対して鉛直方向から蒸着した垂直蒸着膜と、さらに、その上に画素電極面に対して斜め方向から蒸着した斜方蒸着膜を積層した2層構造の第1配向膜28が設けられている。第1配向膜28の対向基板20側には、シール材14により囲まれた領域に液晶等が封入された液晶層15が配置されている。
一方、対向基板20は、基板20aの液晶層15側に、絶縁層33と、対向電極31と、第2配向膜32と、を備えている。対向電極31は、例えば、ITO等の透明導電性膜からなる。第2配向膜32は、第1配向膜28と同様に、酸化シリコンなどの無機材料を画素電極面に対して鉛直方向から蒸着した垂直蒸着膜と、さらに、その上に画素電極面に対して斜め方向から蒸着した斜方蒸着膜を積層した2層構造からなる。
液晶層15は、画素電極27と対向電極31との間で電界が生じていない状態で第1配向膜28、第2配向膜32によって所定の配向状態をとる。後述するプロジェクター1000の光Lは、素子基板10側から入射する。
また、液晶装置100の表示領域Eには、配線絶縁層40に図示しない凹部50が形成され、絶縁層33に図示しない凹部60が形成されている。凹部50,60は、液晶層15で発生したイオン性不純物が凝集されるイオントラップとして機能する。
1-4.凹部の構成
次に、表示領域Eに設けられた凹部50、および凹部60について図5~図9を参照して説明する。
まず、素子基板10の表示領域Eの構成について説明する。図5は液晶層15側から素子基板10を見た概略平面図であり、図6は、図5のA-A線断面図である。図5、図6においては、第1配向膜28の図示を省略する。
図5に示すように、素子基板10の表示領域Eでは、画素Pを構成する複数の画素電極27を備え、画素電極27の角部にはコンタクトホール27cが形成されている。隣り合う画素電極27と画素電極27との間には、図示しない配線層41と、第二凹部としての凹部50が配置されている。凹部50は、コンタクトホール27cを避けた位置において、平面視が略L字型となるように形成されている。
次に、表示領域Eに設けられた凹部50、および凹部60について図5~図9を参照して説明する。
まず、素子基板10の表示領域Eの構成について説明する。図5は液晶層15側から素子基板10を見た概略平面図であり、図6は、図5のA-A線断面図である。図5、図6においては、第1配向膜28の図示を省略する。
図5に示すように、素子基板10の表示領域Eでは、画素Pを構成する複数の画素電極27を備え、画素電極27の角部にはコンタクトホール27cが形成されている。隣り合う画素電極27と画素電極27との間には、図示しない配線層41と、第二凹部としての凹部50が配置されている。凹部50は、コンタクトホール27cを避けた位置において、平面視が略L字型となるように形成されている。
図6に示すように、第8絶縁層40hは、TEOS(Tetraethoxysilane)膜である絶縁層40h1と、BSG(Borosilicate Glass)膜である絶縁層40h2との積層膜である。隣り合う画素電極27と画素電極27との間に設けられた凹部50は、第8絶縁層40hの絶縁層40h1に形成されている。
凹部50の製造方法としては、例えば、TEOS膜である絶縁層40h1を成膜した後、フォトリソグラフィーにより絶縁層40h1に凹部501を形成する。その後、絶縁層40h1にBSG膜である絶縁層40h2を成膜し凹部50が形成される。画素電極27は、絶縁層40h2にITO膜を成膜した後、フォトリソグラフィー等により形成される。
BSG膜に形成された凹部50の深さH1は、例えば、100Å以上であればよく、1000Åが好ましい。また、画素電極27間における、凹部50の幅W1は、例えば、0.5μm~0.8μmが好ましい。
BSG膜に形成された凹部50の深さH1は、例えば、100Å以上であればよく、1000Åが好ましい。また、画素電極27間における、凹部50の幅W1は、例えば、0.5μm~0.8μmが好ましい。
次に、対向基板20の表示領域Eの構成について説明する。図7は液晶層15側から対向基板20を見た概略平面図である。また、図8は、図7のB-B線断面図であり、図9は、図8のC部を示す部分断面図である。図8においては、第2配向膜32の図示を省略する。
図7に示すように、対向基板20には、対向電極31と、第一凹部としての凹部60と、が設けられている。凹部60は、平面視で遮光膜43と重なる位置の絶縁層33に、マス目状に形成され、一つに繋がっている。
図8に示すように絶縁層33は、第一絶縁層としての絶縁層331と、絶縁層331に積層され、凹部60が設けられた第二絶縁層としての絶縁層332とからなる。
凹部60の製造方法としては、例えば、SiON膜で形成されたマイクロレンズアレイ34の凸レンズ側の面に、二層からなる絶縁層33を成膜する。絶縁層33の二層は酸素添加量が違うことで膜密度が異なっている。絶縁層33の形成方法としては、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて成膜する方法が挙げられる。詳しくは、SiO膜である絶縁層331を成膜した面上に、高密度プラズマによって二酸化ケイ素:SiO2膜である絶縁層332が成膜される。なお、絶縁層331には、マイクロレンズアレイ34の凸レンズ間と重なる部分に、空気を含む空間であるボイド33aが形成される。また、絶縁層33は、三層以上の複数層としてもよい。
その後、絶縁層332に凹部60を形成する。凹部60は、フォトリソグラフィーなどにより形成することができる。絶縁層332に形成された凹部60の深さH2は、例えば、100Å以上1500Å未満であればよく、1000Å程度が好ましい。また、凹部60の幅W2は、例えば、0.8μmが好ましい。絶縁層332の凹部60が形成された面には、ITO膜が成膜され対向電極31が形成される。ITO膜の膜厚は、10~140nm程であり、絶縁層332に形成された凹部60の形状に沿って成膜される。
また、対向基板20は、図9に示すように、対向電極31と、液晶層15と、の間には、第2配向膜32が設けられている。第2配向膜32は、垂直蒸着膜(図示しない)と斜方蒸着膜とからなり、凹部60と液晶層15と、の間には、斜方蒸着した際に蒸着方向の影となる部分に斜方蒸着膜が付いていない部分Nがある。
凹部60では、凹部60の底面の対向電極31には第2配向膜32が形成されているが、凹部60の側面Nにおいては、片側の側面の部分に第2配向膜32が形成されていない。これは斜方蒸着膜が付いていない部分Nである。
凹部60では、凹部60の底面の対向電極31には第2配向膜32が形成されているが、凹部60の側面Nにおいては、片側の側面の部分に第2配向膜32が形成されていない。これは斜方蒸着膜が付いていない部分Nである。
1-5.斜方蒸着膜
次に、斜方蒸着膜について図10、図11を参照して説明する。
図10に示すように、素子基板10、及び対向基板20の対向面には、例えば、酸化シリコンを物理気相成長法の一例である真空蒸着法により、基板面の鉛直方向から蒸着した垂直蒸着膜(図示しない)と、垂直蒸着膜上に基板面に対して斜め方向から蒸着した斜方蒸着膜の2層構造を有する第1配向膜28及び第2配向膜32が形成されている。
次に、斜方蒸着膜について図10、図11を参照して説明する。
図10に示すように、素子基板10、及び対向基板20の対向面には、例えば、酸化シリコンを物理気相成長法の一例である真空蒸着法により、基板面の鉛直方向から蒸着した垂直蒸着膜(図示しない)と、垂直蒸着膜上に基板面に対して斜め方向から蒸着した斜方蒸着膜の2層構造を有する第1配向膜28及び第2配向膜32が形成されている。
第1配向膜28及び第2配向膜32として形成される斜方蒸着膜は、第1方向に傾斜した複数の柱状構造体よりなる。斜方蒸着する蒸着角度θbは、例えば、45°である。蒸着により、素子基板10及び対向基板20の対向面には、第1方向に傾斜した酸化シリコンの結晶体が柱状に成長し、柱状構造体となる。この、柱状構造体をカラム28a,32aと称する。第1配向膜28は、カラム28aの集合体である。第2配向膜32は、カラム32aの集合体である。
カラム28a,32aの成長角度θcは、蒸着角度θbと必ずしも一致せず、例えば、70°となっている。第1配向膜28及び第2配向膜32の表面において、略垂直配向する液晶分子LCのプレチルト角θpは、例えば、85°である。また、素子基板10及び対向基板20の基板面から見た液晶分子LCのプレチルトの方向、即ち方位角方向は、第1配向膜28及び第2配向膜32における斜方蒸着における平面的な蒸着方向と同じである。
図11に示すように、画素電極27と対向電極31との間に駆動電圧を印加して液晶層15を駆動すると、液晶分子LCがプレチルトの方位角方向に倒れる。液晶層15の駆動(ON/OFF)を繰り返すと、液晶分子LCは、プレチルトの方位角方向に倒れたり、初期の配向状態に戻ったりする挙動を繰り返す。
このとき、液晶分子LCの向きが変わることで、液晶層15の中の液晶分子LCが循環される。この循環に伴って、液晶層15に生成されたイオン性不純物を、表示領域Eの全体に亘って分散させ、凹部50,60の中にトラップすることができる。
図12に示すように、素子基板10には、配線絶縁層40の第8絶縁層40hにおいて、隣り合う画素電極27の間に第二凹部としての凹部50が設けられ、対向基板20には、平面視で遮光膜43と重なる位置の絶縁層33に第一凹部としての凹部60が設けられている。凹部50と凹部60は、液晶層15を介して向かいあって配置されており、平面視において、遮光膜43と、凹部50と、凹部60と、は重なって配置される。なお、図12においては、第1配向膜28、第2配向膜32は図示を省略する。
上述したように、第1実施形態の液晶装置100は、素子基板10と対向基板20との間に液晶層15を備える液晶装置であって、対向基板20を構成する第一基板としての基板20aと液晶層15との間に配置された絶縁層33と、絶縁層33と液晶層15との間に配置された対向電極31と、素子基板10を構成する第二基板としての基板10aと液晶層15との間に配置された複数の画素電極27と、平面視で隣り合う複数の画素電極27の間に位置する遮光領域としての遮光膜43と、平面視で遮光膜43と重なる位置の、絶縁層33に設けられた第一凹部としての凹部60と、を備え、凹部60の深さH2は、100Å以上1500Å未満である。
このような液晶装置100では、画素電極27と画素電極27との間の絶縁層40h2に凹部50が設けられ、絶縁層33に凹部60が設けられているため、例えば、液晶層15から生成されたイオン性不純物を凹部50,60の中に留めることが可能となる。言い換えれば、表示領域Eの中に設けられた複数の凹部50,60に、イオン性不純物を留めることができる。よって、イオン性不純物による表示不良、言い換えれば、角シミの発生を抑えることができ、表示特性の高い液晶装置100を提供することができる。
また、上記実施形態の液晶装置100では、凹部60は深さH2が100Å以上1500Å未満であるため、従来の凹部の深さに比べると、凹部60の内面に配向膜が付けやすい。そのため、配向膜に起因した配向不良などを減少させ表示特性を向上させることができる。
さらに、凹部50、または凹部60と、液晶層15と、の間においては、斜方蒸着膜が付いていない部分があるため、凹部50,60にイオン性不純物を留めやすくなり、角シミ発生の減少と、配向不良の減少と、を両立した効果を得ることができる。
また、凹部60は、絶縁層332に設けられているため、凹部60によって絶縁層331のボイド33aを露出させることがない。このため、ボイド33aの露出による透過率、コントラストの低下や配向不良を低減させることができる。また、高密度プラズマで成膜した、二酸化ケイ素からなる絶縁層332は、ITO膜からなる対向電極31のモホロジーを整えるため、透過率を向上させ表示特性の高い液晶装置100を提供することができる。
なお、本発明の凹部60は、上述した形態に限定されない。
上述の実施形態では、絶縁層33に溝状につながる一つの凹部60が設けられていたが、連続しない溝状に形成された複数からなる凹部60であっても良い。複数の凹部60であった場合、一つの凹部60に比べ表面積が増えるため、よりイオン性不純物を留めやすくなり、角シミの発生を減少させることができる。
また、凹部60と凹部50とは、向かい合うことなく設けられていても良く、凹部60のみを設けていても良い。このような構成であっても、同様の効果を得られるため、表示特性の高い液晶装置を提供することができる。
上述の実施形態では、絶縁層33に溝状につながる一つの凹部60が設けられていたが、連続しない溝状に形成された複数からなる凹部60であっても良い。複数の凹部60であった場合、一つの凹部60に比べ表面積が増えるため、よりイオン性不純物を留めやすくなり、角シミの発生を減少させることができる。
また、凹部60と凹部50とは、向かい合うことなく設けられていても良く、凹部60のみを設けていても良い。このような構成であっても、同様の効果を得られるため、表示特性の高い液晶装置を提供することができる。
2.第2実施形態
本実施形態の電子機器としてのプロジェクター1000について、図13を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクター1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投写レンズ1207とを備えている。
本実施形態の電子機器としてのプロジェクター1000について、図13を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクター1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投写レンズ1207とを備えている。
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と、2つの反射ミラー1107,1108と、からなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。
このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投写光学系である投写レンズ1207によってスクリーン1300上に投写され、画像が拡大されて表示される。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。
なお、液晶装置100が搭載される電子機器としては、プロジェクター1000の他、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スマートフォン、EVF(Electrical View Finder)、モバイルミニプロジェクター、電子ブック、携帯電話、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ディスプレイ、車載機器、オーディオ機器、露光装置や照明機器などに用いることができる。
上述したように、本実施形態のプロジェクター1000は、液晶ライトバルブ1210,1220,1230として上記実施形態の液晶装置100を備えている。
この構成によれば、上記に記載の液晶装置100を備えるため、表示品質を向上させることが可能なプロジェクター1000を提供することができる。
3a…走査線、3b…容量線、6a…データ線、10…素子基板、10a…基板、14…シール材、15…液晶層、16…容量素子、18…遮光膜、20…対向基板、20a…基板、22…データ線駆動回路、24…走査線駆動回路、25…検査回路、26…上下導通部、27…画素電極、27c…コンタクトホール、28…第1配向膜、28a…カラム、29…配線、30…薄膜トランジスター、31…対向電極、32…第2配向膜、32a…カラム、33…絶縁層、33a…ボイド、34…マイクロレンズアレイ、40…配線絶縁層、40a…第1絶縁層、40b…第2絶縁層、40c…第3絶縁層、40d…第4絶縁層、40e…第5絶縁層、40f…第6絶縁層、40g…第7絶縁層、40h…第8絶縁層、40h1…絶縁層、40h2…絶縁層、41…配線層、42…遮光膜、43…遮光膜、50…凹部、60…凹部、70…外部接続用端子、100…液晶装置、331…絶縁層、332…絶縁層、501…凹部、1000…プロジェクター、1100…偏光照明装置、1101…ランプユニット、1102…インテグレーターレンズ、1103…偏光変換素子、1104…ダイクロイックミラー、1105…ダイクロイックミラー、1106…反射ミラー、1107…反射ミラー、1201…リレーレンズ、1204…リレーレンズ、1205…リレーレンズ、1206…クロスダイクロイックプリズム、1207…投写レンズ、1210…液晶ライトバルブ、1220…液晶ライトバルブ、1230…液晶ライトバルブ、1300…スクリーン、D1…画像信号、E1…周辺領域、H1…深さ、H2…深さ、W1…幅、W2…幅。
Claims (6)
- 素子基板と対向基板との間に液晶層を備える液晶装置であって、
前記対向基板は、
第一基板と、
前記第一基板と前記液晶層との間に配置された絶縁層と、
前記絶縁層と前記液晶層との間に配置された対向電極と、を備え、
前記素子基板は、
第二基板と、
前記第二基板と前記液晶層との間に配置された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極のうち、平面視で隣り合う画素電極と画素電極との間に重なる位置に配置された配線層と、を備え、
前記対向基板の前記対向電極は、平面視で前記配線層と重なる位置に前記第一基板側に向けて凹んだ第一凹部を有し、
前記第一凹部の深さは、100Å以上1500Å未満である、
ことを特徴とする液晶装置。 - 請求項1に記載の液晶装置であって、
前記対向基板は、
前記対向電極と前記液晶層との間に配置された斜方蒸着膜と、を備え、
前記第一凹部には、前記斜方蒸着膜が付いていない部分があることを特徴とする液晶装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の液晶装置であって、
前記前記第一凹部は、前記絶縁層に設けられた凹部と、前記凹部に沿って配置された対向電極よりなることを特徴とする液晶装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記絶縁層は、複数層からなり、前記複数層のうちの最も前記対向電極側に位置する絶縁層は、二酸化ケイ素からなることを特徴とする液晶装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記素子基板は、
前記遮光層と前記画素電極との間に配置された第ニ絶縁層、を備え、
前記第二絶縁層は、平面視で前記画素電極の間と重なる位置に第二凹部を有し、
前記第一凹部と、前記第二凹部と、は平面視で重なっている
ことを特徴とする液晶装置。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の液晶装置を備えることを特徴とする電子機器。
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JP2020209030A JP2022096107A (ja) | 2020-12-17 | 2020-12-17 | 液晶装置、及び電子機器 |
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