JP2022085086A - レトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルム、およびその積層体 - Google Patents

レトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルム、およびその積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐低温衝撃性に優れ、さらに耐ユズ肌発生性やシール強度や耐ブロッキング性や耐屈曲白化性等にも優れた大型のレトルト包装袋や包装袋の薄膜化としてハイレトルト包装袋用途に広く使用できるレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムおよびそれを用いた積層体を提供する。【解決手段】少なくともポリマー(a)70~89重量%、ポリマー(b)1~5重量%、ポリマー(c)10~25重量%からなる(但し、ポリマー(a)、(b)、(c)の合計を100重量%とする)樹脂組成フィルムであって、ポリマー(a)、(b)、(c)は特定の特性を有することを特徴とするレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムである。【選択図】なし

Description

本発明はレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムおよびそれを用いた積層体に関する。
従来、120℃~135℃の高温でレトルト殺菌されるレトルト包装用のシーラントフィルムとしては、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分とする無延伸フィルム(以下CPPと称すことがある)が使用されてきた。その主たる使用方法は、ポリエチレンテレフタレート延伸フィルム(以下、PETと称すことがある)、ナイロン延伸フィルム(以下、ONと称すことがある)、アルミニウム箔(以下、AL箔と称すことがある)の他基材と貼合わせ、PET/ON/AL箔/CPP、PET/AL箔/ON/CPP、またはPET/AL箔/CPP構成の積層体とした後、製袋して使用されるというものである。
最内面を構成するCPPは耐低温衝撃性、ヒートシール性、耐ユズ肌発生性、耐ブロッキング性、耐屈曲白化性等の特性が要求される。特に近年は業務用等パウチの大型化や薄膜化が進み、更なる耐低温衝撃性等の要求レベルが高くなってきた。また、パウチ外観の品質要求レベルも高くなってきており、レトルト殺菌後の積層体表面に生じる微細な凹凸状外観、いわゆるユズ肌の発生を極力抑えることが望まれている。
このレトルト包装用フィルムとして用いられるCPPに適する樹脂として、これまで多
くの提案がなされてきた。
耐ブロッキング性、ヒートシール性の良好なフィルムを得るべく、エチレン・プロピレン共重合体部分の成分量を増やし、かつ、該極限粘度を高め、フィルムのキシレン可溶分量と当該極限粘度を特定することも提案(特許文献1)されているが、かかるフィルムを用いた場合、低温衝撃性や耐ブロッキング性は良好になるものの、ゴム成分であるエチレン・プロピレン共重合体部分が比較的大きな島状となるためか、特に油性食品を内封した際の耐ユズ肌性が良くないという問題点があった。
また、耐低温衝撃性、ヒートシール性、耐屈曲白化性、耐ユズ肌発生性、耐ブロッキング性等を高いレベルで満足させるべく、主体となるプロピレン・エチレンブロック共重合体中のゴム成分量とその分子量を調整すると共に、エチレン・α-オレフィン共重合体とポリエチレン系重合体からなる提案(特許文献2)が行われており、非常にバランスの優れたシーラントフィルム及び積層体が提供されるに至ったが、近年では、よりレベルの高い耐低温衝撃性が求められる場合があり、満足されない場合があった。
さらに、耐低温衝撃性、ヒートシール性、耐屈曲白化性、耐ユズ肌発生性、耐ブロッキング性等を高いレベルで満足させるべく、すなわち、プロピレン・エチレンブロック共重合体の20℃キシレン可溶部及び不溶部の極限粘度を調整すると共に、低密度ポリエチレン系重合体からなる提案(特許文献3)がなされたが、現在のラミ構成で主流であるPET/ON/CPPの3層構成から環境対応による包装袋の薄膜化をするにあたり、シーラント材の耐低温衝撃性が非常に強く求められるため、満足されるものでは無かった。
上述した如く、レトルト包装用シーラントに要求される品質は、業務用パウチの大型化に対応するため、近年益々高レベルのものが要望されるようになってきており、これまで開示された構成のものでは、耐低温衝撃性が未だ不十分で、また、耐ユズ肌発生性、耐ブロッキング性、ヒートシール強度等の特性全てを高いレベルでバランスよく満足するものは見出されていなかった。
特開2000-186159号公報 特開2012-172124公報 国際公開第2017/038349号
本発明は、耐低温衝撃性に優れ、さらに、耐ユズ肌発生性、シール強度、耐ブロッキング性、耐屈曲白化性等にも優れた、大型のレトルト包装袋や包装袋の薄膜化として、ハイレトルト包装袋用途に広く使用できる、レトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルム、および、それを用いた積層体を提供することにある。
本発明者らは種々検討の結果、特定組成のポリマーを混練製膜したフィルムにより、前記課題を解決した。
すなわち、本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムは、少なくとも次のポリマー(a)70~89重量%、ポリマー(b)1~5重量%、ポリマー(c)10~25重量%からなるフィルム(但し、ポリマーの全重量を100重量%とする)であることを特徴とする。
ポリマー(a):20℃キシレン不溶部の割合(a1)が75~85重量%で、20℃キシレン可溶部の割合(a2)成分の含有量が15~25重量%であり(但し、a1成分とa2成分の合計を100重量%とする)、かつa2成分の極限粘度([η]a2)とa1成分の極限粘度([η]a1)の比([η]a2/[η]a1)が1.5を超えるプロピレン・エチレンブロック共重合体。
ポリマー(b):密度が0.940~0.970g/cm、かつメルトフローレートが0.5~20g/10分の高密度ポリエチレン。
ポリマー(c):密度が0.920~0.935g/cm、かつメルトフローレートが1~10g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン。
また、本発明は、上記レトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムが、単層または2層以上のフィルムが積層された他基材層の片面に積層された積層体である。
本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムは、耐低温衝撃性、及び耐ユズ肌発生性を非常に高いレベルで兼備し、また、シール強度や耐ブロッキング性、耐屈曲白化性にも優れており、レトルト包装用に好適なシーラントフィルムとして使用できる。また、本発明の積層体は、非常に落袋強度に優れており、環境対応のため薄膜化した業務用等のパウチの大型化にも好ましく対応でき、また、油性食品を包装してもユズ肌等が生じ難く、外観良好でシール強度等に優れたレトルト用包装袋を提供できる。
以下に、本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムおよびそれを用いた積層体について説明する。
本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系フィルムは、下記ポリマー(a)70~89重量%、ポリマー(b)1~5重量%、ポリマー(c)10~25重量%、(但し、前記3種のポリマーの合計量を100重量%とする)を含有する組成物からなる必要がある。ポリマー(a)の量が70重量%未満ではフィルムのヒートシール強度が不足し、89重量%を越えると耐低温衝撃性が悪くなる。ポリマー(b)を1~5重量%含有することにより、耐低温衝撃性が飛躍的に向上する。1重量%未満では耐低温衝撃性が向上せず、5重量%を越えると耐低温衝撃性が悪くなる。ポリマー(c)が10重量%未満ではフィルムの耐低温衝撃性が不足し、25重量%を越えるとシール性、耐ブロッキング性が悪くなる。
ポリマー(a)は、エチレン・プロピレンブロック共重合体であり、製法としては、第1工程で不活性溶剤の不存在下にプロピレンを主体としたモノマーを重合して重合体部分(20℃キシレン不溶部:a1成分)を生成し、ついで第2工程で気相中での重合によりエチレン・プロピレン共重合体部分(20℃キシレン可溶部:a2成分)を生成して得られる方法が例示される。
前記第1工程で使用されるモノマー中のプロピレンの含有量は98~100重量%が好ましい。ポリマー(a)の製造のための重合には、触媒としてチ-グラー・ナッタ型触媒やメタロセン触媒などを用いることができ、例えば、特開平07-216017号公報に挙げられるものを好適に用いることができる。
具体的には、(1)Si-O結合を有する有機ケイ素化合物およびエステル化合物の存在下に、一般式Ti(OR4-a(式中、Rは炭素数が1~20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、aは0<a≦4の数を表し、好ましくは2≦a≦4、特に好ましくはa=4である。)で表されるチタン化合物を有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物を、エステル化合物で処理したのち、エーテル化合物と四塩化チタンの混合物、もしくは、エーテル化合物と四塩化チタンとエステル化合物の混合物で処理することにより得られる三価のチタン化合物含有固体触媒、(2)有機アルミニウム化合物、(3)電子供与性化合物(ジアルキルジメトキシシラン等が好ましく用いられる)よりなる触媒系が挙げられる。
ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性溶剤を媒体とした重合を行った場合にはフィルムは低温衝撃性に劣る場合がある。第1工程として具体的には、液状のプロピレンを媒体とした重合法、または気体のプロピレン中での重合法などを挙げることができる。これら重合時に触媒を重合槽に導入する目的に限り、ごく少量の不活性溶剤を用いることは例外的に可能である。
上記ポリマー(a)のa1成分としては、プロピレンのみの重合により得られたプロピレン単独重合体が好ましく、耐熱性の観点から融点が160℃以上であるプロピレン単独重合体が好ましい。また、融点が155℃以上であれば、少量のエチレンやブテン-1などが共重合されていてもよい。ポリマー(a)のエチレン・プロピレン共重合体部分(a2成分)に含まれるエチレンの含有量としては、耐低温衝撃性の観点から、好ましくは15~60重量%である(但し、エチレン・プロピレン共重合体部分(a2成分)に含有されるプロピレンの含有量とエチレンの含有量の合計を100重量%とする)。
ポリマー(a)のうち、a2成分の割合は15~25重量%である(但し、a1成分とa2成分の合計を100重量%とする)。a2成分の割合が15重量%未満であると耐低温衝撃性が劣ることがあり、25重量%を超えると耐ブロッキング性が劣ることがある。a2成分の割合の調整方法としては、重合時の各工程の重合温度や滞留時間を制御する方法が挙げられる。
ここで、上記ポリマー(a)のキシレン不溶部及び可溶部の極限粘度、及びメルトフローレート(以下MFRと略称することがある)の調整方法としては、上記ポリマー(a)の重合時の各工程で水素ガスや金属化合物などの分子量調整剤を加える方法、パウダー状で得られた重合体を溶融混練しペレタイズする際に添加剤を添加する方法、パウダーで得られた重合体を溶融混練しペレタイズする際の混練条件を調整する方法等を挙げることができる。
上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)の該不溶部の極限粘度([η]a1)は1.6~2.0dl/gであることが好ましく、可溶部の極限粘度([η]a2)は2.5~3.4dl/gであることが好ましい。
該不溶部の極限粘度([η]a1)が1.6dl/gより小さいと、海成分のポリプロピレンの分子量が小さいことで耐低温衝撃性、耐屈曲白化性が不十分となることがあり、2.0dl/gより大きければ、逆にポリプロピレンの分子量が大きくなりすぎ、キャスト成形が困難になることがある。
該キシレン可溶部の極限粘度([η]a2)が2.5dl/gより小さければフィルムがベタつくなど耐ブロッキング性が悪化することがあり、3.4dl/gより大きければ、ポリエチレンおよびエチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分の分散粒子径が大きくなり、油性食品を包装した場合、ユズ肌現象が生じ易くなることがある。
また、上記20℃のキシレンの可溶部の極限粘度[η]a2と不溶部の極限粘度[η]a1の比[η]a2/[η]a1が1.5を超えている必要があり、好ましくは1.6~2.0の範囲である。[η]a2/[η]a1が1.5以下では、ヒートシール強度の低下や包装材製造工程の汚れが起こることがある。また、[η]a2/[η]a1が2.0を超えると、フィルム内に小さなゲル状の欠点ができてフィルム突起となることがあり、他基材とのラミネート時に界面に空気を噛み込んでラミネート強度が低下したり、また、ヒートシール強度が低下して内容物の液漏れを生じることがある。
また、本発明におけるポリマー(a)の230℃、荷重21.18Nでのメルトフローレート(単位g/10分)は、透明性、製膜時の流動安定性、耐低温衝撃性の観点から、1.0~4.0が好ましく、2.0~3.5が特に好ましい。
ポリマー(a)のa1成分およびa2成分の極限粘度、およびMFRの調整方法としては、重合時の各工程で水素ガスや金属化合物などの分子量調節剤を加える方法、パウダー状で得られた重合体を溶融混練する際に添加剤を添加する方法、パウダー状で得られた重合体を溶融混練する際の混練条件を調整する方法等が挙げられる。
ポリマー(b)は、密度が0.940~0.970g/cm、かつ190℃、荷重21.18NでのMFRが0.5~20g/10分の高密度ポリエチレン(以下、HDPEと称すことがある。)であり、好ましくは密度が0.950~0.970g/cmのエチレン単独またはエチレンと炭素数3以上のα-オレフィン、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンとの共重合体であり、一般的に知られている方法によって製造され市販されているものが使用できる。共重合体の場合のエチレン由来の単位は、95重量%以上である。
該高密度ポリエチレンの密度が0.940g/cmを下回る場合は、耐ブロッキング性が悪化する場合があり、0.970g/cmを超える場合は、耐衝撃性が悪化する場合がある。
また、該高密度ポリエチレンのMFRは、低い程フィルムの平滑性が良くなる傾向にあるが、0.5g/10分未満になると逆に分散性が悪化して平滑性が悪化する場合があり、一方、MFRが25g/10分を超えると、耐ブロッキング性が悪くなり易いことから、1~20g/10分の範囲が好ましい。
次に、本発明に用いるポリマー(c)は、密度が0.920~0.930g/cmの範囲の直鎖状低密度ポリエチレン(以下、L-LDPEと称すことがある。)である。直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン単独またはエチレンと炭素数3以上のα-オレフィン、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4―メチルペンテン-1、1-ヘキセン、1-オクテンとの共重合体であり、一般的に知られている方法によって製造されているものが使用できる。上記の直鎖状低密度ポリエチレンは、高圧法低密度ポリエチレンより衝撃強度が強く、シール強度が強いので好ましい。かかる直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.920g/cm未満では耐ブロッキング性やシール強度が低下し、0.930g/cmより高い場合は耐低温衝撃性が低下することがある。また、メタロセン系触媒により製造されるものを用いた方がシール強度の観点から好ましい。
また、上記ポリマー(c)の190℃でのMFRは、耐低温衝撃性、ヒートシール性の観点から1~10g/10分の範囲である。好ましくは、1~5g/10分の範囲が例示される。MFRが1未満では、メルトフラクチュアーによる流れムラが発生し易くなり、逆に、MFRが10を越えると耐低温衝撃性やシール強度が悪化することがある。
ポリマー(c)を添加し、ポリプロピレンよりも低いガラス転移点の成分を増やすことで耐低温衝撃性を向上させることができ、またポリエチレン成分をより多く均一にポリプロピレン中に微分散させることで耐ユズ肌発生性を向上させることができる。
ポリマー(c)は、本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムにおける組成割合として、10~25重量%を含有することが必要である。該ポリエチレン系重合体が10重量%未満の場合、耐低温衝撃性及び耐ユズ肌発生性、耐折り曲げ白化性の改善効果が十分では無く、逆に25重量%を超える場合は、シール強度や耐ブロッキング性が低下し、加工性や袋の開口性が悪化することがある。
本発明のフィルムは、さらに他の成分として、エチレン・α-オレフィンエラストマーを3~15重量%含有させてもよく、かかるエチレン・α-オレフィンエラストマーを含有させることにより、更に低温での耐低温衝撃性を向上させることができる。含有量が3重量%未満では追添の効果は見られない場合があり、逆に15重量%より多い場合は、耐ブロッキング性、シール性が低下する場合があるので、要求特性のバランスを調整しつつ配合割合を最適化するのが好ましい。
かかるエチレン・α-オレフィンエラストマーは、低結晶性もしくは非晶性の共重合体エラストマーであり、主成分としての50~90重量%のエチレンと、共重合モノマーとしてのα-オレフィンとのランダム共重合体であり、具体的にはメタロセン系触媒により製造されるものが好ましい。
なお、α-オレフィンとしては、炭素数が3~10のプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどのものが使用でき、具体的なα-オレフィンエラストマーとしては、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・ブテンランダム共重合体、エチレン・オクテンランダム共重合体を挙げることができ、なかでもエチレン・プロピレンランダム共重合体或いはエチレン・ブテンランダム共重合体を好ましく用いることができる。
また、該エチレン・α-オレフィンエラストマーのMFRとしては、190℃、荷重21.18N下で、プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)との混和性の観点及び耐ブロッキング性の観点から、0.3~6g/10分の範囲が好ましい。
本発明のフィルムは、エチレン・α-オレフィンエラストマーの代わりに、水添スチレン系熱可塑性エラストマーも用いても良い。水添スチレン系熱可塑性エラストマーは、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなる構造を有しており、例えばA-B-A、B-A-B-A、B-A-B-A-B及びこれらの混合物からなる水添ブロック共重合体が挙げられる。該水添ブロック共重合体はビニル芳香族化合物を10~40重量%含むのが望ましい。
重合体ブロックAを構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α-メチルスチレンが挙げられ、特にスチレンが好ましい。また、重合体ブロックBを構成する水素添加された共役ジエン化合物の水添前の共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、1、3-ペンタジエンが挙げられ、特にブタジエン、イソプレンが好ましい。ビニル芳香族化合物-共役ジエン化合物ブロック共重合体において、共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合の80%、好ましくは90%以上が水素添加され、オレフィン系化合物重合体ブロックBとしたものが好ましい。
代表的な水添スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の耐候性、耐熱性を向上させるために二重結合に水素を添加した水素添加物であるスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、同じくスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素添加物であるスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体などが挙げられ、特にスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体が好ましい。スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体の中でも、スチレン含有量が低く、エチレンとブチレン含有量が高いものが、ポリプロピレンからなる海成分とポリエチレンおよびエチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分への相溶性に優れ、具体的にはJSR(株)製“ダイナロン”8601Pや旭化成(株)製“タフテック”H1062やクレイトンポリマージャパン(株)製のG1660などが好適に使用でき、スチレンに対しエチレンとブチレン合計の重量比が12/88から67/33の範囲のものが好ましい。
本発明において、水添スチレン系熱可塑性エラストマーを添加することで、耐低温衝撃性を向上させることができるとともに、ポリエチレンおよびエチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分の分散性を向上させ、分散粒子径を小さくすることで耐ユズ肌性を向上させることができる。本発明のフィルムにおける水添スチレン系熱可塑性エラストマーの組成割合は3~15重量%の範囲であることが重要であり、該水添スチレン系熱可塑性エラストマーが3重量%未満の場合は、レトルト処理後の耐低温衝撃性、及び耐ユズ肌性の改善効果が小さくなる。逆に15重量%を越える場合はレトルト処理での耐熱性が不十分となり、耐ブロッキング性も低下する。かかる水添スチレン系熱可塑性エラストマーのメルトフローレート(MFR)は、耐低温衝撃性の点で5g以下/10分が好ましく、さらに好ましくは0.2~5g/10分である。
本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムは、上記のポリマー(a)、(b)、(c)の3成分を、通常の方法で混合して、得られた混合物を通常の方法でフィルムに成形することによって得られる。溶融製膜法としては、インフレーション法、ダイ法、カレンダー法などがあり、特にダイ法を好ましく採用できる。例えば、1軸または2軸の溶融押出機で、ポリマー(a)、(b)、(c)のペレットまたはパウダーを必要量溶融混練したのち、得られた混練物をフィルターで濾過して、フラットダイ(例えばTダイ)または環状のダイからフィルム状に押し出すことによって製造できる。溶融押出機から押出す溶融ポリマーの温度は通常200~300℃が適用できるが、ポリマーの分解を防ぎ良好な品質のフィルムを得るためには、220~270℃が好ましい。Tダイから押出す場合は、押出されたフィルムは20~65℃の一定温度に設定した冷却ロールに接触させて、冷却・固化させた後巻き取る。環状ダイから押出す場合は、一般にインフレーション法と呼ばれる方法でバブルを形成し、これを冷却・固化させた後、巻き取る。
本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムは冷却固化の後に延伸を行うこともできるが、好ましくは実質的に延伸を行わない無延伸フィルムであることが好ましい。実質的に延伸を行わない無延伸フィルムの方が、引き裂き強さに優れ、かつ、ヒートシールする際のヒートシール温度を過度に高める必要がない、つまり、比較的低温でヒートシールできることから好ましい。また、本発明において、無延伸フィルムとは、押出キャストフィルムを指すが、実際の製膜工程においては、フィルムの長手方向または幅方向に若干配向したフィルムとなる場合もあるため、本発明における無延伸フィルムの複屈折率(フィルムの長手方向と幅方向の屈折率の差)は0.005以下を指す。また、複屈折率(Δn)は、コンペンセーター法を用い、サンプルのリターデーションR(nm)を測定し、該測定部のフィルムの厚みd(nm)より、Δn=R/dとして求めることもできる。
このようにして得られた本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムの厚さは20~300μm、より好ましくは40~100μmである。
本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムのフィルムの長手方向のヤング率は300~800Mpaが好ましく、幅方向は300~800Mpaが好ましい。ヤング率の測定方法はJIS-K-7127に準ずる。
また、更に好ましくは、0℃雰囲気下でのヤング率においても長手方向のヤング率は400~700Mpaが好ましく、幅方向は300~700Mpaが低温衝撃強度において優位であり好ましい。
本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムのヘイズは耐ブロッキング性、生産性の観点から35~80%が好ましく、ヘイズの測定方法はJIS-K-7136に準ずる。
本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムの破断強度は耐低温衝撃強度から長手方向は15Mpa以上が好ましく、幅方向は10Mpa以上が好ましい。破断強度の測定方法はJIS-K-7127に準ずる。
本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムは、単独で包装用のフィルムとして使用することもできるが、一般のAl箔を含むレトルト食品包装袋用のシーラントフィルムとしても好ましく使用できる。
本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤、帯電防止剤、塩酸吸収剤、アンチブロッキング剤、滑剤、造核剤等を含むことができる。これらの添加剤は1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで酸化防止剤の具体例としては、ヒンダードフェノール系として、2,6-ジ-t-ブチルフェノール(BHT)、n-オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(“イルガノックス”1076、“Sumilizer”BP-76)、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(“イルガノックス”1010、“Sumilizer”BP-101)、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(“イルガノックス”3114、Mark AO-20)、
また、ホスファイト系(リン系)酸化防止剤として、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(“Irgafos” 168、Mark 2112)、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4-4’-ビフェニレン-ジホスホナイト(“Sandstab”P-EPQ)、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(“Ultranox”626,Mark PEP-24G)、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(Mark PEP-8)が挙げられる。中でもこれらのヒンダードフェノール系とホスファイト系の両機能を合わせ持つ6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフェピン(“Sumilizer”GP)、及び、アクリル酸2[1-2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル]エチル]-4,6-ジ-t-ペンチルフェニル(“Sumilizer”GS)が好ましい。特に、この両者の併用は、フィルム製膜に際し、特に20℃キシレン可溶部の分解抑制に効果を発揮し、耐低温衝撃性と耐ブロッキング性の両立に大きく寄与することから好ましい。かかるキシレン可溶部の分解が促進されると耐ブロッキング性が悪化する。
なお、酸化防止剤の添加量としては、用いる酸化防止剤の種類にもよるが、0.05~0.3重量%の範囲で適宜設定すればよい。
また、中和剤としては、ハイドロタルサイト類化合物、水酸化カルシウムなどがフィルム製膜時の発煙低下に好ましい。
本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムにはポリマー(a)、(b)、(c)やエチレン・α-オレフィンエラストマー、水添スチレン系熱可塑性エラストマー以外の樹脂成分を、本発明の目的を阻害しない範囲で添加することが可能である。例えば、ポリプロピレン・α―オレフィンエラストマーなら、更にゆず肌が発生しにくくなる。
また、本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムは、必要に応じて通常工業的に実施される大気中でのコロナ放電処理、窒素や炭酸ガス雰囲気下でのコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理などの表面処理を施すこともできる。
また、本発明は、本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムを用いた、積層体に関する。本発明の積層体は、特に単層または2層以上の透明なフィルムと、アルミニウム箔とが積層された基材層の片面に、本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルム(ここで本発明フィルムと記載する。)を積層してなるものである。また、単層または2層以上の透明なフィルムからなる基材層の片面に、本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムが積層された積層体である。これらの代表的な構成は、PET/AL箔/本発明フィルム、PET/ON/AL箔/本発明フィルム、PET/AL箔/ON/本発明フィルムで好ましく使用され、また、本発明フィルムを用いた際は、耐低温衝撃性付与のために積層しているONを省いたPET/PET/本発明フィルム、PET/本発明フィルム、PET/AL箔/本発明フィルムの構成として薄膜化して用いることができる。また、ON/本発明フィルムでもさらに好ましく使用できる。
かかる積層体の製造方法は、積層体の構成フィルムに接着剤を用いて貼合わせる通常のドライラミネート法が好適に採用できるが、必要に応じて本発明フィルムと基材層の貼合わせには直接ポリプロピレン系樹脂を押出してラミネートする方法も採用できる。
これら積層体は本発明フィルムを袋の内面にシール層として、平袋、スタンディングパウチなどに製袋加工され使用される。
また、これら積層体の積層構造は、包装袋の要求特性、例えば包装する食品の品質保持期間を満たすためのバリア性能、内容物の重量に対応できるサイズ・耐低温衝撃性、内容物の視認性などに応じて適宜選択される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。また、本発明の各評価項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)20℃キシレン可溶部(a2)の含有量
ポリプロピレン・エチレンブロック共重合体のペレット5gを沸騰キシレン(関東化学(株)1級)500mLに完全に溶解させた後に、20℃に降温し、4時間以上放置する。その後、これを析出物と溶液とに濾過して、可溶部と不溶部に分離した。可溶部は濾液を減圧下で固化した後、70℃で乾燥し、その重量を測定して含有量(重量%)を求めた。
(2)20℃キシレン不溶部(a1)および可溶部(a2)の極限粘度
上記方法で分離したサンプルを用い、ウベローデ型粘度計を用いて、135℃テトラリン中で測定を行った。
(3)メルトフローレート(MFR)
JIS K-7210-1999に準拠し、プロピレン・エチレンブロック共重合体は温度230℃、ポリエチレン系重合体は温度190℃で、それぞれ荷重21.18Nにて測定した。
(4)密度
JIS K-7112-1999に基づき、密度勾配管による測定方法で測定した。
(5)耐低温衝撃性
厚さ12μmのPETフィルムと、コロナ放電処理を施した本発明のポリプロピレン系シーラントフィルムを、ウレタン系接着剤を用いて通常のドライラミネート法で貼合わせ、次の構成の積層体を作成した。
積層体構成:PET/接着剤/本発明フィルム
この積層体2枚を本発明フィルムが袋の内面になるようにして、富士インパルス社製CA-450-10型ヒートシーラーを使用し、加熱時間1.4秒(シール温度:約220℃)、冷却時間3.0秒で、製袋サイズ150mm×285mmのスタンディングパウチを作成した。この袋に濃度0.1%の食塩水1lを充填した後、135℃で30分レトルト処理する。レトルト処理後の袋を0℃の冷蔵庫で保管した後、1袋ずつ60cmの高さから平らな床面に落下させ(n数20個)、破袋に至るまでの回数を記録する。
本評価法ではn数20個で、破袋に至るまでの回数の平均が、20回以上であれば包装袋の薄膜化に対応した大型のレトルト用途にも良好に使用できる。
(6)ヒートシール強度
(5)項と同じ積層体2枚を、本発明フィルムが袋の内面になるようにして、平板ヒートシーラーを使用し、シール温度180℃、シール圧力1kg/cm、シール時間1秒の条件でヒートシールしたサンプルを、130℃×30分レトルト処理した後、オリエンテック社製テンシロンを使用して300mm/分の引張速度でヒートシール強度を測定した。本測定法でシール強度が60N/15mm 以上であれば、業務用の大型レトルト用途にも良好に使用できる。
(7)耐ユズ肌発生性
(5)項と同じ積層体2枚を、本発明フィルムが袋の内面になるようにして、平板ヒートシーラーを使用し、シール温度180℃、シール圧力1kg/cm、シール時間1秒の条件でヒートシールし、160mm×210mm(内部の寸法)の大きさの3方袋(平袋、シール幅5mm)を作成した。この袋に市販のレトルトカレー(ハウス食品工業社製のレトルトカレー「ククレカレー・辛口」)を充填した後、135℃で30分レトルト処理をした直後の積層体表面の凹凸発生状況を目視判定した。凹凸が全く発生しないものをランク1、僅かに凹凸が発生するものをランク2、軽度に凹凸が発生するものをランク3、明確に凹凸発生するものをランク4、重度に凹凸が発生するものをランク5として評価した。本評価法でランク1、2を耐ユズ肌発生性良好とした。
(8)耐ブロッキング性
幅30mmで長さ100mmのコロナ放電処理を施した本発明フィルムのサンプルを準備し、非コロナ処理面であるシール層どうしを30mm×40mmの範囲を重ね合わせて、500g/12cmの荷重をかけ、80℃のオーブン内で24時間加熱処理した後、23℃、湿度65%の雰囲気下に30分以上放置した後、オリエンテック社製テンシロンを使用して300mm/分の引張速度で剪断剥離力を測定した。 本測定法で剪断剥離力が25N/12cm以下であれば実用範囲とした。
(9)耐屈曲白化性
サンプルを135℃で30分レトルト処理をした後、東洋精機製作所製MIT屈曲試験器を用いて、サンプル幅10mm、屈曲角度135度(左右)、荷重514gの条件で、100回屈曲した後、屈曲部の白化状況を目視判定した(n数5個)。全く白化しないものをランク1、僅かに白化するものをランク2、軽度に白化するものをランク3、明確に白化するものをランク4、白化して屈曲部が白くきつい線状となるものをランク5として評価した。本評価方法でランク1、2を耐屈曲白化性良好とした。
[実施例1~3]
ポリマー(a)、ポリマー(b)、ポリマー(c)は次のものを使用した。
ポリマー(a)
表1に記載のa2成分の含有量、極限粘度比([η]a1)/([η]a2)、230℃でのMFRであり、酸化防止剤として“Sumilizer”GP300ppm及び“Sumilizer”GS750ppmを含有したプロピレン・エチレンブロック共重合体ペレットを使用した。
ポリマー(b)
表1に記載の密度で、MFR、高密度ポリエチレンを使用した。
ポリマー(c)
表1に記載の密度で、MFR、共重合成分が1-ヘキセンである直鎖状低密度ポリエチレンを使用した。
表1の記載の通りの配合量で、前記ポリマー(a)、(b)、(c)を、ペレット状態でブレンダーにより混合して押出機に供給し、溶融混練してフィルターで濾過し、次いで250℃でTダイより60m/分で押出し、45℃の冷却ロールに接触させて冷却・固化させた後、片面をコロナ放電処理して厚さ70μmの無延伸フィルムを得た。得られた無延伸フィルムを用いた積層体は、特に耐低温衝撃性、耐ユズ肌発生性に優れたものであり、また、シール強度、耐ブロッキング性、耐屈曲白化性に優れ、耐衝撃性が非常に優れているため、包装袋の薄膜化した業務用の大型のレトルト用として対応できるものであった。
[比較例1]
ポリマー(a)の20℃キシレン可溶部a2成分の含有量を表1の通り変更する以外は、実施例1と同様にして厚さ70μmnの無延伸フィルムを得た。得られた無延伸フィルムを用いた積層体は、無延伸フィルムのプロピレン・エチレンブロック共重合体の20℃キシレン可溶部a2成分の含有量が少ないため、耐低温衝撃性が低いものであった。
[比較例2]
ポリマー(a)の[η]a2/[η]a1の比を表1の通り変更する以外は、実施例1と同様にして厚さ70μmの無延伸フィルムを得た。得られた無延伸フィルムを用いた積層体は、無延伸フィルムのプロピレン・エチレンブロック共重合体の、[η]a2/[η]a1の比が1.5以下のため、耐低温衝撃性、シール強度が劣るものあった。
[比較例3]
ポリマー(c)として、密度が0.913g/cmで、MFR3.8g/10分の共重合成分が1-ヘキセンを使用した。(c)を変更する以外は、実施例1と同様にして厚さ70μmの無延伸フィルムを得た。得られた無延伸フィルムを用いた積層体は、無延伸フィルム組成の直鎖状低密度ポリエチレンの密度が低いために、シール強度が劣るものであった。
[比較例4]
ポリマー(a)、(b)、(c)の混合比率を表1の通り変更する以外は、実施例1と同様にして厚さ70μmの無延伸フィルムを得た。得られた無延伸フィルムを用いた積層体は、無延伸フィルム組成のポリマーb)の含有量が多いため、耐低温衝撃性が低いものであった。
[比較例5]
ポリマー(a)、(b)、(c)の混合比率を表1の通り変更する以外は、実施例1と同様にして厚さ70μmの無延伸フィルムを得た。得られた無延伸フィルムを用いた積層体は、無延伸フィルム組成のポリマー(b)の含有量を含有していないため、耐低温衝撃性が低いものであった。
[比較例6]
ポリマー(a)、(b)、(c)の混合比率を表1の通り変更する以外は、実施例1と同様にして厚さ70μmフィルムを得た。得られた無延伸フィルムを用いた積層体は、無延伸フィルム組成のポリマー(c)の含有量が少ないため、耐低温衝撃性が低く、耐ユズ肌性と耐屈曲白化性に劣るものであった。
Figure 2022085086000001
本発明のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムは、特に耐低温衝撃性に優れ、耐ユズ肌性、耐ブロッキング性、ヒートシール性、耐屈曲白化性等を兼備し、環境対応のため薄膜化した業務用の大型レトルト包装用途にも好適なシーラントフィルムとして使用できる。
また、本発明の積層体は前記のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムがヒートシール層として積層されているので、この積層体を使用することにより、特に耐低温衝撃性に優れたレトルト用包装袋を提供できる。

Claims (2)

  1. 少なくともポリマー(a)70~89重量%、ポリマー(b)1~5重量%、ポリマー(c)10~25重量%からなる(但し、ポリマー(a)、(b)、(c)の合計を100重量%とする)樹脂組成フィルムであって、ポリマー(a)、(b)、(c)は下記の特性を有することを特徴とするレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルム。
    ポリマー(a):20℃キシレン不溶部の割合(a1)が75~85重量%で、20℃キシレン可溶部の割合(a2)が15~25重量%であり(但し、(a1)と(a2)の合計を100重量%とする)、20℃キシレン可溶部の割合(a2)の極限粘度([η]a2)と20℃キシレン不溶部の割合(a1)の極限粘度([η]a1)の比([η]a2/[η]a1)が1.5を超えるプロピレン・エチレンブロック共重合体。
    ポリマー(b):密度が0.940~0.970g/cm、かつメルトフローレートが0.5~25g/10分の高密度ポリエチレン。
    ポリマー(c):密度が0.920~0.935g/cm、かつメルトフローレートが1~10g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン。
  2. 請求項1に記載のレトルト包装用ポリプロピレン系シーラントフィルムが、単層または2層以上のフィルムが積層された他基材層の片面に積層された積層体。
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