JP2022071927A - ロボットアームの状態判断方法、ロボットシステム、及び、コンピュータープログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】ロボットアームの複数の関節の状態が正常か否かの判断を短時間で行なう。【解決手段】(a)ロボットアームの複数の関節の全てが同時に動作している状態となるように動作させる。(b)工程(a)によって前記複数の関節の全てが同時に動作している状態において、前記ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられ、前記ロボットアームの振動を検出可能なセンサーから出力されるセンサー信号を取得する。(c)取得したセンサー信号の表す波形と、前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、前記ロボットアームの状態は正常であると判断する。【選択図】図3
Description
本開示は、ロボットアームの状態判断方法、ロボットシステム、及び、コンピュータープログラムに関する。
特許文献1には、ロボットの動作診断方法が開示されている。このロボット動作診断方法では、ロボットの初期状態において、設定したロボットの診断動作パターンで動作させて、センサーを制御するための入出力信号と、駆動軸を制御するための入出力信号と、を判定データとし、ロボットの動作診断のために新たに計測した判定データを診断データとする。そして、統計的パターン認識方法により診断データが判定データに含まれるかを判別することにより、ロボット動作が正常か判定する。
従来技術のロボットの動作診断方法では、駆動軸(関節に対応)毎にその動作が正常か判断しているので、ロボット全体の動作が正常か判断するには、全ての関節について、順に、それぞれの動作が正常か調べる必要がある。このため、ロボット全体の動作の診断には、備える関節の数に応じた時間を要することになる。この結果、このようなロボットを利用した生産現場では、ロボットを稼働できない診断時間が長くなることによる生産性の低下を招く可能性がある。
本開示の第1の形態によれば、ロボットアームの状態判断方法が提供される。この状態判断方法は、(a)前記ロボットアームの複数の関節の全てが同時に動作している状態となるように動作させる工程と、(b)前記工程(a)によって前記複数の関節の全てが同時に動作している状態において、前記ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられ、前記ロボットアームの振動を検出可能なセンサーから出力されるセンサー信号を取得する工程と、(c)取得したセンサー信号の表す波形と、前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、前記ロボットアームの状態は正常であると判断する、工程と、を含む。
本開示の第2の形態によれば、ロボットシステムが提供される。このロボットシステムは、複数の関節を有するロボットアームと、前記ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられ、前記ロボットアームの振動を検出可能なセンサーと、前記ロボットアームを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、(a)前記ロボットアームの複数の関節の全てが同時に動作している状態となるように動作させる処理と、(b)前記処理(a)によって前記複数の関節の全てが同時に動作している状態において、前記ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられ、前記ロボットアームの振動を検出可能なセンサーから出力されるセンサー信号を取得する処理と、(c)取得したセンサー信号の表す波形と、前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、前記ロボットアームの状態は正常であると判断する、処理と、を実行する。
本開示の第3の形態によれば、ロボットアームの状態判断をプロセッサーに実行させるコンピュータープログラムが提供される。このコンピュータープログラムは、(a)前記ロボットアームの複数の関節の全てが同時に動作している状態となるように動作させる処理と、(b)前記処理(a)によって前記複数の関節の全てが同時に動作している状態において、前記ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられ、前記ロボットアームの振動を検出可能なセンサーから出力されるセンサー信号を取得する処理と、(c)取得したセンサー信号の表す波形と、前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、前記ロボットアームの状態は正常であると判断する、処理と、を前記プロセッサーに実行させる。
A.実施形態:
図1は、一実施形態におけるロボットシステムの一例を示す説明図である。このロボットシステムは、ロボットアーム100と、ロボットアーム100を制御する制御装置200と、情報処理装置300と、を備える。
図1は、一実施形態におけるロボットシステムの一例を示す説明図である。このロボットシステムは、ロボットアーム100と、ロボットアーム100を制御する制御装置200と、情報処理装置300と、を備える。
ロボットアーム100は、基台110と、アーム120とを備えている。アーム120の先端であるアームエンド122には、エンドエフェクター130が装着されている。また、アームエンド122には、アーム120の振動を検出可能なセンサー400が設置されている。なお、エンドエフェクター130にセンサー400を設置してもよい。
アーム120は、6つの関節J1~J6で順次接続されている。これらの関節J1~J6のうち、3つの関節J2,J3,J5は曲げ関節であり、他の3つの関節J1,J4,J6はねじり関節である。本実施形態では6軸のロボットアームを例示しているが、2個以上の複数の関節を有する任意のアーム機構を有するロボットアームを用いることが可能である。また、本実施形態のロボットアーム100は、垂直多関節ロボットであるが、水平多関節ロボットを使用してもよい。なお、以下では関節を「軸」とも呼ぶ。
センサー400は、ロボットアーム100の振動を検出可能なセンサーである。一般に、振動は、位置と速度と加速度のいずれかの時系列的な変化を測定することによって検出することができる。センサー400としては、例えば、位置センサーや、ジャイロセンサー、加速度センサー、慣性計測装置(Inertial Measurement Unit)、力覚センサーなど、センサー設置位置における振動を検出可能な種々のセンサーを使用することができる。なお、本実施形態では、センサー400として慣性計測装置を使用している。慣性計装置は、直交3軸方向の並進運動として加速度センサーによる加速度を検出するとともに、回転運動としてジャイロセンサーによる角速度を検出するものである。
情報処理装置300は、プロセッサー310と、記憶部320と、インターフェイス回路330と、インターフェイス回路330に接続された入力デバイス340及び表示部350と、を有するコンピューターである。情報処理装置300としては、パーソナコンピューターや専用のコンピューター等が利用される。
インターフェイス回路330は、制御装置200と接続されている。制御装置200には、センサー400が接続されている。本実施形態では、センサー400の計測結果は、制御装置200を介して情報処理装置300に供給される。
プロセッサー310は、ロボットアーム100の状態を検査する異常診断部312として機能する。異常診断部312は、記憶部320に格納されたコンピュータープログラムをプロセッサー310が実行することによって実現される。但し、異常診断部312をハードウェア回路で実現してもよい。プロセッサー310は、本開示の「制御部」に相当する。
異常診断部312は、後述するように、記憶部320の記憶領域324には格納された学習モデルを用いてロボットアーム100の異常診断を実行し、その診断結果を記憶部320の記憶領域326に蓄積する。
図2は、ロボットアーム100の関節の軸Jnを構成する軸構成部品500の説明図である。ここで、nは軸を区別する序数であり、図1の例ではnは1~6である。この例では、軸構成部品500は、モーター510と、ブレーキ520と、減速機530とを含む。軸構成部品500のいずれかに異常が発生すると、軸Jnの動作に不具合が生じる。このような軸構成部品500の異常が、ロボットアーム100の異常の典型例である。なお、軸構成部品500のうち、ブレーキ520及び減速機530は省略可能である。また、軸構成部品500としては、図2に示したもの以外の部品を含むものとしてもよい。
なお、各軸Jnの軸構成部品500のモーター510、ブレーキ520、及び、減速機530は、制御装置200によって制御されて、制御内容に従って動作する。
図3は、ロボットアーム100の異常診断の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、異常診断部312によって実行される。なお、この処理の実行タイミングは、例えば、ロボットシステムの稼働開始前や、稼働終了時、一定時間経過の稼働終了時等、あらかじめ定めたタイミングに設定される。
まず、異常診断部312は、ステップS110において、制御装置200に対して、第1段階の異常診断のための動作として予め定めた複合動作の実行を指示し、ロボットアーム100に指示した複合動作を実行させる。
図4及び図5は、ロボットアーム100の複合動作の一例を示す説明図である。複合動作は、図4に示すように、x,y,zの直交する3軸に対して、複数の軸の全てを動かして、予め定めた一定の姿勢から、異なった姿勢に変化させる動作である。なお、図4の例は一例であって、これに限定されるものではない。図5に示すように、全ての軸が同時に動作している状態の計測期間tpを有するように、複数の軸の全てを動かして、予め定めた一定の姿勢から、異なった姿勢に変化させる動作であればよい。なお、この計測期間tpの長さは、センサー400から出力されるセンサー信号から、後述する異常度の算出のために用いられる複数の信号データを、一定のサンプリング周期で取得可能な長さや、複合動作周期以上の長さに設定される。
図3のステップS120では、異常診断部312は、複合動作中の計測期間tpにおいて、センサー400の計測によりセンサー400から出力され、制御装置200を介して供給されるセンサー信号の信号データを一定のサンプリング周期で取得する。
図6は、複合動作中の計測期間tpにセンサー400により取得された角速度ωの一例を示す説明図である。横軸は時間[sec]、縦軸はx軸,y軸,z軸を回転の中心とする角速度ωx,ωy,ωz[rad/sec]の時間変化を示している。図6に示すように、センサー400の設置位置では、複合動作中において直交3軸x,y,zの角速度ωx,ωy,ωzに変動、すなわち、複合動作による姿勢変化に応じた振動が発生する。そして、複合動作による姿勢変化に応じた振動は、各軸の動作状態の変化が反映されて、振動の大きさや、振動の周波数、振動の時間等が変化した状態となる。従って、複合動作による姿勢変化に応じた振動の状態を、正常な動作状態の場合の振動の状態と比較すれば、いずれかの軸すなわち関節の異常を検知することが可能である、と考えられる。
そこで、異常診断部312は、以下で説明するように、図3のステップS130において、取得した信号データを用いて異常度Satを算出し、ステップS140において、異常度Satと閾値Stthとの大小関係により、ロボットアーム100の軸の動作状態が正常であるか否か判断する。そして、異常診断部312は、ステップS150において、ステップS130で算出した異常度Satを、記憶部320の診断結果用の記憶領域326に時系列順に格納して、異常度Satの時系列データ及びそのグラフを更新する。
ステップS130における異常度Satの算出は、以下で説明するように、ニューラルネットワークの一つであるオートエンコーダーを利用することによって実行される。
図7は、オートエンコーダーを利用した異常度算出の手順を示す説明図である。まず、ステップS132では、異常診断部312は、センサー信号から取得した信号データX=[x(1),x(2),・・・,x(i),・・・,x(n)](iはデータの番号であり、i=1,2,・・・n)を入力データとして、オートエンコーダーを用いて出力データXd=[xd(1),xd(2),・・・,xd(i),・・・,xd(n)]を生成する。そして、ステップS134では、入力データX及び出力データXdから出力データXdの再構成誤差eを算出し、ステップS136では、算出した再構成誤差eから、入力データXと出力データXdとの不一致度を示す異常度Saを算出する。
ここで、オートエンコーダーは、入力層と中間層と出力層の三層構造を有しており、入力層から中間層の過程はエンコーダーに相当し、時系列の入力データXの次元削減及び特徴抽出を行なう。また、中間層から出力層の過程はデコーダーに相当し、エンコーダーで生成された低次元の情報をソースとして、時系列の出力データXdの生成を行なう。なお、入力データX及び出力データXdは、それぞれ、ベクトルである。
そして、オートエンコーダーは、出力層において入力層のデータを再構成するように、正常な入力データを用いて機械学習させた学習モデルによって構成されるものとした場合、正常な入力データに対する出力データは正しく再構成され、異常な入力データに対する出力データは再構成されないことになる。このため、入力データXと、出力データXdとの差分を表す再構成誤差eが大きいほど、入力データXの異常の度合いは大きくなる。
そこで、ステップS132でオートエンコーダーにより、入力データXに対応する出力データXdを生成する。そして、ステップS134で再構成誤差eを算出し、ステップS136で異常度Saを算出する。このようにすれば、算出した異常度Saの大きさから入力データXの異常を検知することができる。
なお、再構成誤差eは、例えば、下式(1)に示すように、入力データXと出力データXdとの差分の絶対値を求める式を用いて算出することができる。但し、これに限定されるものではなく、入力データXと出力データXdとの差分のノルムの2乗を求める式を用いて、再構成誤差eを算出するようにしてもよい。
e=|X―Xd| ・・・(1)
e=|X―Xd| ・・・(1)
異常度Saは、例えば、下式(2)に示すように、算出した再構成誤差eのマハラノビス距離を用いて算出することができる。
Sa=(e―μ)TΣ-1(e-μ) ・・・(2)
ここで、μは、再構成誤差を正規分布とみなした場合の平均値ベクトルであり、Σは再構成誤差を正規分布とみなした場合の分散共分散行列であり、μ,Σは最尤法を用いて推定することができる。
Sa=(e―μ)TΣ-1(e-μ) ・・・(2)
ここで、μは、再構成誤差を正規分布とみなした場合の平均値ベクトルであり、Σは再構成誤差を正規分布とみなした場合の分散共分散行列であり、μ,Σは最尤法を用いて推定することができる。
図8は、オートエンコーダーを用いて算出される異常度の例を示す説明図である。図8の例は、入力データが異常の場合と、軽度異常の場合と、重度異常の場合との比較を容易に示すため、1つのモーターのシャフトに配置されたベアリングにセンサーを設置して、シャフトに発生する振動の状態を示す角速度のデータを取得し、上記の手順に従って異常度を算出した結果を、比較して示している。図8では、説明の便宜上、x,y,zの直交3軸のうちの1つの軸、例えば、x軸を回転の中心とする角速度のデータについてのみを示しており、他の軸については省略しているが、他の軸の角速度のデータについても、大きさや同様である。なお、入力データX及び出力データXdのグラフは、横軸がデータの時系列の番号で縦軸が加速度の値を示しており、異常度Saのグラフは横軸がデータの時系列の番号で縦軸が異常度の値を示している。
図8からわかるように、算出された異常度Saは、異常の度合いが大きいほど大きくなっており、上記したオートエンコーダーによる異常度算出の手順を用いて算出した異常度の大きさから、入力データの異常を検知することが可能であることを確認した。
なお、上記した異常度Saを算出する手順は、時系列の入力データXのそれぞれについて算出されるものとして説明したが、時系列の入力データXのうちの複数の入力データ毎に算出されるようにしてもよい。
以上説明したように、図2のステップS130では、異常診断部312は、上記したオードエンコーダーによる異常度算出の手法を用いて、複合動作中に取得した信号データ(本例では、角速度ωのデータ)を入力データとして、複合動作による異常度Satを算出する。そして、ステップS140では、異常診断部312は、算出した異常度Satが予め設定した閾値Stth未満である場合には、ロボットアーム100の全ての軸、すなわち、全ての関節の動作状態が正常であると判断し、異常度Satが閾値Stth以上の場合には、少なくとも一つの関節の動作状態が正常でなく、故障の前兆が現れたものと判断し、故障の発生を予測する。なお、少なくとも一つの関節の動作状態が正常でない場合には、既に故障が発生している場合も含まれる。なお、ステップS130における異常度Satの算出、及び、ステップS140における正常か否かの判断は、具体的には、ステップS120で取得した直交3軸x,y,zの角速度ωx,ωy,ωzのデータに対して実行される。
図9は、複合動作により算出された異常度の変化の一例を示すグラフである。横軸は複合動作の回数を示しており、縦軸は複合動作ごとに算出した異常度Satの値を示している。なお、この異常度Satには、1回の複合動作中の計測期間において取得された角速度[ωx,ωy,ωz]の時系列の信号データで算出した異常度の平均値が用いられている。これは、1回の複合動作中の計測期間に取得されるいずれの信号データも、関節の動作状態の異常の度合いに応じた変化が反映されているので、取得した時系列の信号データのそれぞれで算出した異常度の値を平均することにより、より安定に高精度に異常度を算出することを目的としたものである。
図9には、23回の複合動作による計測が行なわれ、23回目に故障が発生した場合の異常度Satの変化の様子が示されている。19回目以降に異常度Satの上昇がみられ、その後23回目で故障が発生している。このことから、19回目の異常度Satの上昇は、ロボットアーム100の少なくとも一つの関節の軸の動作状態が正常ではなくなり、故障の前兆が現れたものと考えることができる。そこで、異常度Satの正常か否かの判断に用いる閾値Stthは、この異常度Satの上昇を検知するように設定すればよい。例えば、閾値Stthは、ロボットアーム100の全ての関節の軸の動作状態が正常な場合の異常度Satを求め、その平均値μと、再構成誤差eを正規分布とみなしたときの標準偏差σと、から設定することができる。例えば、正常と考えられる異常度Satの分布の範囲を±3σの範囲とすると、閾値Stthは、Stth=(μ+3σ)のように設定することができる。図9の例では、Stth=0.01とされている。
図3のステップS160では、第2段階の異常診断として、単軸診断を実施するか否か判断する。ここで、ステップS140で正常と判断された場合には、異常診断部312は、単軸診断を実行しないと判断し(ステップS160:NO)、ステップS170において、診断結果として、例えば、ロボットアーム100は正常である旨のメッセージや、異常度Satのグラフ(図9参照)を表示して、異常診断の処理を終了する。ユーザーは、表示された異常度Satのグラフにより、故障の前兆が発生するまでの変化を視覚的に捉えることができる。なお、ステップS170の処理は省略可能である。これに対して、ステップS140で正常でないと判断された場合、すなわち、故障の発生が予測された場合には、異常診断部312は、異常診断の処理を終了せず、ステップS210の処理を実行する。
ステップS210において、異常診断部312は、制御装置200に対して、第2段階の異常診断のための動作として、複数の軸のなかから一つの軸を選択し、予め設定した複数の姿勢のなかから一つの姿勢を選択し、単一姿勢で単一軸の単一動作の実行を指示し、ロボットアーム100に指示した単一動作を実行させる。
軸の選択は予め設定した順に実行される。例えば、第1軸J1、第2軸J2、第3軸J3、第4軸J4、第5軸J5、第6軸J6の順に選択される。
図10は、ロボットアームの単一動作の一例を示す説明図である。単一動作は、図10に示すように、予め定めた単一姿勢の状態で、予め定めた単一軸についてのみ実行させる予め定めた一定の動作を意味している。図10では、軸J1,J2,J5,J6を一定の状態とした単一姿勢の状態で、x軸に沿った単一の軸J3についてのみ動作させる例を示している。一定の動作としては、例えば、加振動作や等速運動等が用いられる。本例では、加振動作が用いられるものとする。なお、加振動作は、対象軸を、その軸を中心として時計回りあるいは反時計回りに微少に回転させることで、対象物、本例では、ロボットアーム100に振動を発生させる動作である。センサー400は、加振動作によってセンサー400の設置位置に発生する加振応答の残留振動を計測する。この残留振動は、ロボットアーム100の固有振動に起因するものであり、この振動特性の変化を検出することで、対象の軸の異常を検知することが可能である。
図3のステップS220では、異常診断部312は、加振動作の計測期間tpにおいて、センサー400の計測によりセンサー400から出力され、制御装置200を介して供給されるセンサー信号の信号データを一定のサンプリング周期で取得する。
図11は、加振動作中の計測期間tpにセンサー400により取得された角速度ωの一例を示す説明図である。横軸は時間[×103sec]、縦軸は角速度ω[rad/sec]、具体的には、x軸,y軸,z軸を回転の中心とする角速度ωx,ωy,ωz[rad/sec]を示している。図11に示すように、センサー400の設置位置では、直交3軸x,y,zの角速度ωx,ωy,ωzについて、加振動作に応じた残留振動が発生する。上記したように、この残留振動の振動特性の変化を検出することで、対象の軸の異常を検知することが可能である。
そこで、図3のステップS230では、異常診断部312は、取得した信号データ(本例では、角速度ωのデータ)を用いて異常度Sasを算出し、ステップS240において、異常度Sasが閾値Ssth未満の場合、対象軸の動作状態は正常であり、異常度Sasが閾値Ssth以上の場合、対象の軸の動作状態は正常でなく、故障の前兆が現れたものと判断する。なお、対象の軸の動作状態は正常でない場合には、既に故障が発生している場合も含まれる。そして、異常診断部312は、ステップS250において、ステップS230で算出した異常度Sasを、記憶部320の診断結果用の記憶領域326に時系列順に格納して、異常度Sasの時系列データ及びそのグラフを更新する。なお、異常度Sasの算出は、ステップS130における異常度Satの算出と同様に、オートエンコーダーを利用した異常度算出の手法(図7参照)を用いて実行される。また、異常度Sasおよび閾値Ssthとしては、具体的には、ステップS220で取得した直交3軸x,y,zの角速度ωx,ωy,ωzに対して、異常度Sasが算出され、閾値Ssthが利用される。
図12は、軸の動作状態が正常な場合に加振動作により算出された異常度の一例を示すグラフである。また、図13は、軸の動作状態が正常でない場合に加振動作により算出された異常度の一例を示すグラフである。これらは、1秒間の加振動作の間に、サンプリン周波数50Hzで50サンプルのデータを取得した場合の例を示しており、横軸は時系列に取得されたデータの番号であり、縦軸は取得したデータごとに算出した異常度Sasを示している。
複合動作の場合の異常度Satは、1回の複合動作中に取得したデータごとに算出した異常度の平均値としている(図9参照)のに対して、図12および図13に示した異常度Sasは、平均値ではなく、取得したデータごとに算出した異常度で示している。これは、複合動作と比べて計測した回数および取得したデータの数が少ないために、わかりやすく表示するためである。なお、等速運動のように計測期間中に亘って、軸の動作状態に応じた異常度を算出可能な場合には、複合動作の場合と同様に平均値を用いてもよい。
単一動作を行なった対象軸の動作状態が正常な場合、図12に示すように、異常度Sasは小さな値となる。これに対して、対象軸の動作状態が正常でない場合、すなわち、故障につながる前兆の動作状態の場合には、図13に示すように、異常度Sasは大きな値となる。そこで、異常度Sasの正常か否かの判断に用いる閾値Ssthは、複合動作において用いられる閾値Stthと同様に、この異常度Sasの上昇を検知するように設定すればよい。例えば、閾値Ssthは、対象軸が正常な場合の異常度Sasを求めて、その平均値μsと、再構成誤差eを正規分布とみなしたときの標準偏差σsと、から設定することができる。例えば、正常と考えられる異常度Sasの分布の範囲を±3σsの範囲とすると、閾値Ssthは、Ssth=(μs+3σs)のように設定することができる。図13の例では、Ssth=7とされている。
図14は、単一動作により算出された異常度の変化の一例を示すグラフである。横軸は単一動作ごとの時系列データの番号を連番で示しており、縦軸は時系列データごとに算出した異常度Sasの値を示している。
図14の例では、5回の単一動作による計測が行なわれ場合の異常度Sasの変化の様子が示されている。5回目の単一動作において、閾値Ssthを超えるような急激な異常度Sasの上昇がみられ、その軸の動作状態が正常ではなくなり、故障の前兆が現れた状態が示されている。
図3のステップS260では、異常診断部312は、現在選択している軸に対して、予め設定されている複数の姿勢の全ての姿勢での単一動作による診断が完了したか否かの判断を行なう。ここで、異常診断部312は、全ての姿勢での単一動作が完了していない場合(ステップS260:NO)、未実行の姿勢を予め設定された順に選択してステップS210~S250の処理を実行し、全ての姿勢での単一動作が完了した場合には(ステップS260:YES)、ステップS270の判断を実行する。
ステップS270では、異常診断部312は、全ての軸について単一動作による診断が検量したか否かの判断を行なう。ここで、異常診断部312は、全ての軸での単一動作が完了していない場合(ステップS270:NO)、未実行の軸を選択してステップS210~S260の処理を実行し、全ての軸での単一動作が完了した場合には(ステップS270:YES)、ステップS280の処理を実行する。
ステップS280では、ステップS170と同様に、診断結果として、例えば、故障の可能性がある軸を示すメッセージや、各軸についての異常度Sasのグラフ(図14参照)を表示して、異常診断の処理を終了する。ユーザーは、表示された異常度Sasのグラフにより、故障の前兆が発生するまでの変化を視覚的に捉えることができる。表示される異常度Sasのグラフとしては、過去から現在までの異常度の変化を示すグラフ(図14参照)ではなく、今回の診断による異常度のグラフ(図12,図13参照)を表示するようにしてもよい。なお、ステップS280の処理は省略可能である。
以上説明したように、本実施形態の異常診断では、まず、第1段階の異常診断として、ロボットアーム100の全ての関節を同時に動かすように複合動作させる診断を行なっている。具体的には、複合動作させて、全ての関節すなわち軸が同時に動作している期間中に、センサー400の計測により取得されたセンサー信号の信号データについて異常度Satを算出している。そして、算出した異常度Satが閾値Stth未満の場合には、ロボットアーム100の全ての関節の動作状態は正常であると判断している。これにより、関節ごとの単一動作により診断を行なう場合に比べて、少ない取得データで短時間にロボットアーム100の関節の動作状態が正常であるか、いずれかの関節の動作状態が正常でなく異常の可能性があるか、の判断を行なうことができる。
また、全ての関節の動作状態が正常な場合の信号データを用いて予め学習させた学習モデルで構成されるオートエンコーダーを用いて、オードエンコーダーに入力された信号データと、オードエンコーダーから出力された信号データとの不一致度を表す再構成誤差から、異常度Satを算出している。これにより、ロボットアーム100の関節の動作状態が正常であるか、いずれかの関節の動作状態が正常でなく異常の可能性があるかの判断を、高速かつ高精度に行なうことができる。
そして、第1段階の異常診断で、いずれかの関節の動作状態が正常でなく異常の可能性があると判断した場合、第2段階の異常診断で、軸毎に単一動作させる診断を行なっている。具体的には、選択した軸毎に、設定した姿勢で単一動作を実行させている期間中に、センサー400の計測により取得されたセンサー信号の信号データの異常度Sasを算出している。そして、算出した異常度Sasが閾値Ssth未満の場合、対象軸すなわち対象関節の動作状態は正常であると判断し、異常度Sasが閾値Ssth以上の場合、対象関節の動作状態は正常でなく、故障の前兆が表されたものと判断している。これにより、いずれの関節の動作状態が正常で、いずれの関節の動作状態が正常でなく異常の可能性があるかを、関節毎に個別に判断することができる。
また、単一動作による診断においても、複合動作の場合と同様に、予め学習された学習モデルによって構成されたオードエンコーダーに入力された信号データと、オードエンコーダーから出力された信号データとの不一致度を表す再構成誤差eから、異常度Sasを算出している。これにより、いずれの関節の動作状態が正常で、いずれの関節の動作状態が正常でなく異常の可能性があるかを、関節毎に個別に高精度に判断することができる。
従って、第1段階の複合動作による診断により、少ない取得データで短時間にロボットアーム100の関節の動作状態が正常であるか、関節のいずれかの動作状態が正常でなく異常の可能性があるか、の判断を行なうことができる。そして、第2段階の単一動作による診断により、いずれの関節の動作状態が正常で、いずれの関節の動作状態が正常でなく異常の可能性があるかを、関節毎に個別に高精度に判断することができる。これにより、ロボットアーム100を利用した生産現場において、ロボットアーム100の診断により稼働できなくなる診断時間を可能な限り短くして、生産性の低下の抑制することが可能である。
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態では、第2段階の単一動作による異常診断において、第1軸J1、第2軸J2、第3軸J3、第4軸J4、第5軸J5、第6軸J6の関節の順に選択するものとして説明した。しかしながら、関節の選択の順番に特に限定はなく、予め設定した順に選択されればよい。
(B1)上記実施形態では、第2段階の単一動作による異常診断において、第1軸J1、第2軸J2、第3軸J3、第4軸J4、第5軸J5、第6軸J6の関節の順に選択するものとして説明した。しかしながら、関節の選択の順番に特に限定はなく、予め設定した順に選択されればよい。
また、例えば、6軸のロボットアームの場合、第3軸J3や第4軸J4の関節が故障しやすいので、これらの関節を優先して選択するようにしてもよい。
(B2)上記実施形態では、第2段階の単一動作による異常診断において、全ての関節で単一動作による診断を実行するものとして説明したが、異常の可能性があると判断した時点で、異常診断を終了するようにしてもよい。この場合に、(B1)に記載のように、故障の可能性が高い軸に関して優先的に単一動作による診断動作を実行させるようにしておけば、異常の発生の可能性が複数の軸ではなく1つの軸で発生する可能性が高い場合に、比較的短時間で異常の検出及び修復を行なうことができる。
(B3)上記実施形態では、第2段階の単一動作による異常診断において、選択した軸で実行する単一動作を、予め設定した複数の姿勢のうちの一つを予め設定した順に選択して実行する場合を例に説明したが、あらかじめ設定した1つの姿勢のみとして、図3のステップ260の判断を省略してもよい。この場合、複数の姿勢のうち最も効果的に診断可能な姿勢を用いて、短時間で選択した軸の状態が正常か否か判断することができる。
(B4)上記実施形態で、第1段階の複合動作による診断のために、オートエンコーダーの学習に用いられる、ロボットアームの状態が正常であった場合のセンサー信号のデータには、例えば、ロボットアームの製造工程において予め取得して、記憶部に格納されているデータを用いるようにすればよい。また、例えば、メンテナンスにおいて、修理等によってロボットアームの関節の全てが正常な状態にリセットされた場合に、ユーザーの指示によって複合動作を実行させて取得したセンサー信号のデータを記憶部に格納し、格納したデータをオートエンコーダーの学習に用いるようにしてもよい。
また、第2段階の単一動作の診断のために、オートエンコーダーの学習に用いられる、対象関節の状態が正常であった場合のセンサー信号のデータも、ロボットアームの製造工程において予め取得して、記憶部に格納されているデータを用いるようにすればよい。また、例えば、メンテナンスにおいて、修理等によってロボットアームの対象関節が正常な状態にリセットされた場合に、ユーザーの指示によって、その対象関節を単一動作させて取得したセンサー信号のデータを記憶部に格納し、格納したデータをオートエンコーダーの学習に用いるようにしてもよい。
(B5)上記実施形態では、第1段階の異常診断において、オートエンコーダーのように機械学習によって設定された学習モデルによって、取得したセンサー信号の表す波形と、ロボットアームの状態が正常であった場合のセンサー信号の表す波形との不一致度を示す異常度を算出している。しかしながら、これに限定されるものではなく、取得した信号データの表す波形の特徴点と、予め用意されたロボットアームの状態が正常であった場合のセンサー信号の波形の特徴点とを比較することにより、不一致度を示す異常度を算出するようにしてもよい。第2段階の異常診断においても同様である。
(B6)上記実施形態では、第1段階の複合動作による異常診断の後、第2段階の単一動作による異常診断を実行するものとして説明したが、第2段階の異常診断の前に、あるいは、第2段階の異常診断に替えて、以下の診断を行なうようにしてもよい。
第1段階の異常診断で、ロボットアームの動作状態は正常でないと判断した場合に、複数の関節を、2以上の関節を1つの群として複数の群に区分し、複数の群のうち1つを選択して、選択した対象群に含まれる関節の全てが同時に動作している状態となるように動作させる。そして、第1段階の複合動作による診断と同様に、対象群に含まれる関節の状態が正常であるか否か判断するようにしてもよい。このようにすれば、群ごとに複合動作による診断を実行することにより、異常の可能性のある関節を含む群を絞り込むことができる。そして、絞り込んだ群に含まれる関節について順に単一動作による診断を実行すれば、全ての関節を順に診断する場合に比べて短時間で異常の可能性のある関節を特定することが可能である。
(B7)上記実施形態では、第2段階の単一動作による異常診断によって、いずれの関節に異常の可能性があるか判断している。このようにして異常の可能性があると判断した関節について、取得した信号データの表す波形パターンと、予め用意された既知の故障パターンの波形と、を比較することにより、故障内容を特定するようにしてもよい。このようにすれば、比較的短時間で修復を行なうことができる。なお、取得した信号データの表す波形パターンと、予め用意された既知の故障パターンの波形との比較による故障パターンの特定には、予め用意された既知の故障パターンを用いて予め機械学習させた学習モデルを利用する手法や、取得した信号データの表す波形パターンの特徴点と、予め用意された既知の故障パターンの波形の特徴点とを比較する手法等の種々の手法を利用することができる。
(B8)上記実施形態では、センサー400をアーム120のアームエンド122に設定していたが、これに限定されるものではない。アームエンド122よりも手元側にセンサー400を設置してもよい。センサー400は、アーム120の手元側よりも手先側、すなわち、アーム120の先端側のいずれかの位置に設置されていればよい。但し、より先端側にセンサー400を設置する方が、複合動作における各関節の状態に応じた振動の変化をより顕著に検出することが可能である。
(B9)上記実施形態では、複合動作による診断の場合と、単一動作による診断の場合とで、同じ角速度を検出するセンサーから出力されるセンサー信号を用いて診断を行なっている。これに対して、複合動作による診断の場合と、単一動作による診断の場合とで、異なるセンサーから出力されるセンサー信号を用いて診断を行なうようにしてもよい。このようにすれば、それぞれの診断に適したセンサーから出力されるセンサー信号を用いて、より適切な診断を行なうことが可能である。
(B10)上記実施形態では、情報処理装置300を、制御装置200とは別の構成として説明したが、制御装置200に情報処理装置300の機能が組み込まれた構成としてもよい。
(B11)上記実施形態えは、6軸のロボットアーム100を例に説明したが、これに限定されるものではなく、2以上の複数の軸を有する多関節ロボットアームに適用可能である。
C.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態(aspect)によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態(aspect)によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
(1)本開示の第1の形態によれば、ロボットアームの状態判断方法が提供される。この状態判断方法は、(a)前記ロボットアームの複数の関節の全てが同時に動作している状態となるように動作させる工程と、(b)前記工程(a)によって前記複数の関節の全てが同時に動作している状態において、前記ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられ、前記ロボットアームの振動を検出可能なセンサーから出力されるセンサー信号を取得する工程と、(c)取得したセンサー信号の表す波形と、前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、前記ロボットアームの状態は正常であると判断する、工程と、を含む。
ロボットアームの全ての関節を同時に動作させている状態におけるセンサー信号の波形には、各関節の動作状態の変化に応じた変化が重ね合わされた状態で含まれる。そこで、このロボットアームの状態判断方法では、複数の関節の全てが同時に動作している状態において、ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられたセンサーから出力されるセンサー信号の波形と、ロボットアームの状態が正常であった場合のセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、ロボットアームの状態は正常であると判断する。これにより、関節毎にその状態を判断する場合に比べて、短時間でロボットアームの状態が正常か否かを判断することができる。
ロボットアームの全ての関節を同時に動作させている状態におけるセンサー信号の波形には、各関節の動作状態の変化に応じた変化が重ね合わされた状態で含まれる。そこで、このロボットアームの状態判断方法では、複数の関節の全てが同時に動作している状態において、ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられたセンサーから出力されるセンサー信号の波形と、ロボットアームの状態が正常であった場合のセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、ロボットアームの状態は正常であると判断する。これにより、関節毎にその状態を判断する場合に比べて、短時間でロボットアームの状態が正常か否かを判断することができる。
(2)上記ロボットアームの状態判断方法において、前記工程(c)において前記ロボットアームの状態は正常でないと判断した場合、(d)前記複数の関節を、2以上の関節を1つの群として複数の群に区分し、前記複数の群のうち1つを選択し、選択した対象群に含まれる関節の全てが同時に動作している状態となるように動作させる工程と、(e)前記工程(d)によって前記対象群に含まれる関節の全てが同時に動作している状態において、前記センサーから出力されるセンサー信号を取得する工程と、(f)取得したセンサー信号の表す波形と、前記対象群に含まれる関節の状態が全て正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた前記対象群用の閾値未満である場合には、前記対象群に含まれる関節の状態は正常であると判断する、工程と、を含むものとしてもよい。
この状態判断方法によれば、関節毎に状態を判断する場合に比べて、異常な関節の絞り込みを短時間で行なうことが可能である。
この状態判断方法によれば、関節毎に状態を判断する場合に比べて、異常な関節の絞り込みを短時間で行なうことが可能である。
(3)上記ロボットアームの状態判断方法において、前記工程(c)において前記ロボットアームの状態は正常でないと判断した場合、(g)前記複数の関節から1つの関節を選択し、選択した対象関節を動作させる工程と、(h)前記工程(g)によって前記対象関節が動作している状態において、前記センサーから出力されるセンサー信号を取得する工程と、(i)取得したセンサー信号の表す波形と、前記対象関節の状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた前記対象関節用の閾値未満である場合には、前記対象関節の状態は正常であると判断する、工程と、を含むものとしてもよい。
この状態判断方法によれば、異常な関節の特定を行なうことが可能である。
この状態判断方法によれば、異常な関節の特定を行なうことが可能である。
(4)上記ロボットアームの状態判断方法において、前記対象関節の動作は、前記ロボットアームを振動させる加振動作であるとしてもよい。
この状態判断方法によれば、対象関節の状態の変化を効果的に検出することができる。
この状態判断方法によれば、対象関節の状態の変化を効果的に検出することができる。
(5)上記ロボットアームの状態判断方法において、前記ロボットアームは、根元側から先端側に向かって6つの関節を有しており、前記根元側を基準として3軸目の関節および4軸目の関節が、前記対象関節として優先して選択されるものとしてもよい。
この状態判断方法によれば、異常が発生する可能性の高い関節から効率良く状態判断を行なうことができる。
この状態判断方法によれば、異常が発生する可能性の高い関節から効率良く状態判断を行なうことができる。
(6)上記ロボットアームの状態判断方法において、前記工程(c)における不一致度の算出は、前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形のデータを用いた機械学習によって設定された学習モデルに従って実行されるものとしてもよい。
この状態判断方法によれば、不一致度の算出を容易かつ高精度に行なうことができる。
この状態判断方法によれば、不一致度の算出を容易かつ高精度に行なうことができる。
(7)上記ロボットアームの状態判断方法において、前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形には、あらかじめ記憶部に格納されたデータの表す波形が用いられるものとしてもよい。
この状態判断方法によれば、予め記憶部に格納された、ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形のデータを基準として、不一致度の算出を実行することができる。
この状態判断方法によれば、予め記憶部に格納された、ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形のデータを基準として、不一致度の算出を実行することができる。
(8)本開示の第2の形態によれば、ロボットシステムが提供される。このロボットシステムは、複数の関節を有するロボットアームと、前記ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられ、前記ロボットアームの振動を検出可能なセンサーと、前記ロボットアームを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、(a)前記ロボットアームの複数の関節の全てが同時に動作している状態となるように動作させる処理と、(b)前記処理(a)によって前記複数の関節の全てが同時に動作している状態において、前記ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられ、前記ロボットアームの振動を検出可能なセンサーから出力されるセンサー信号を取得する処理と、(c)取得したセンサー信号の表す波形と、前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、前記ロボットアームの状態は正常であると判断する、処理と、を実行する。
このロボットシステムによれば、複数の関節の全てが同時に動作している状態において、ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられたセンサーから出力されるセンサー信号の波形と、ロボットアームの状態が正常であった場合のセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、ロボットアームの状態は正常であると判断する。これにより、関節毎にその状態を判断する場合に比べて、短時間でロボットアームの状態が正常か否かを判断することができる。
このロボットシステムによれば、複数の関節の全てが同時に動作している状態において、ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられたセンサーから出力されるセンサー信号の波形と、ロボットアームの状態が正常であった場合のセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、ロボットアームの状態は正常であると判断する。これにより、関節毎にその状態を判断する場合に比べて、短時間でロボットアームの状態が正常か否かを判断することができる。
(9)本開示の第3の形態によれば、ロボットアームの状態判断をプロセッサーに実行させるコンピュータープログラムが提供される。このコンピュータープログラムは、(a)前記ロボットアームの複数の関節の全てが同時に動作している状態となるように動作させる処理と、(b)前記処理(a)によって前記複数の関節の全てが同時に動作している状態において、前記ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられ、前記ロボットアームの振動を検出可能なセンサーから出力されるセンサー信号を取得する処理と、(c)取得したセンサー信号の表す波形と、前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、前記ロボットアームの状態は正常であると判断する、処理と、を前記プロセッサーに実行させる。
このコンピュータープログラムによれば、複数の関節の全てが同時に動作している状態において、ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられたセンサーから出力されるセンサー信号の波形と、ロボットアームの状態が正常であった場合のセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、ロボットアームの状態は正常であると判断する。これにより、関節毎にその状態を判断する場合に比べて、短時間でロボットアームの状態が正常か否かを判断することができる。
このコンピュータープログラムによれば、複数の関節の全てが同時に動作している状態において、ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられたセンサーから出力されるセンサー信号の波形と、ロボットアームの状態が正常であった場合のセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、ロボットアームの状態は正常であると判断する。これにより、関節毎にその状態を判断する場合に比べて、短時間でロボットアームの状態が正常か否かを判断することができる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、ロボットアームとロボットアームの制御装置とを備えたロボットシステム、ロボットアームの制御装置の機能を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した一時的でない記録媒体(non-transitory storage medium)等の形態で実現することができる。
100…ロボットアーム、110…基台、120…アーム、130…エンドエフェクター、200…制御装置、300…情報処理装置、310…プロセッサー、312…異常診断部、320…記憶部、324…学習モデル用の記憶領域、326…診断結果用の記憶領域、330…インターフェイス回路、340…入力デバイス、350…表示部、500…軸構成部品、510…モーター、520…ブレーキ、530…減速機
Claims (9)
- ロボットアームの状態判断方法であって、
(a)前記ロボットアームの複数の関節の全てが同時に動作している状態となるように動作させる工程と、
(b)前記工程(a)によって前記複数の関節の全てが同時に動作している状態において、前記ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられ、前記ロボットアームの振動を検出可能なセンサーから出力されるセンサー信号を取得する工程と、
(c)取得したセンサー信号の表す波形と、前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、前記ロボットアームの状態は正常であると判断する、工程と、
を含む、ロボットアームの状態判断方法。 - 請求項1に記載のロボットアームの状態判断方法であって、
前記工程(c)において前記ロボットアームの状態は正常でないと判断した場合、
(d)前記複数の関節を、2以上の関節を1つの群として複数の群に区分し、前記複数の群のうち1つを選択し、選択した対象群に含まれる関節の全てが同時に動作している状態となるように動作させる工程と、
(e)前記工程(d)によって前記対象群に含まれる関節の全てが同時に動作している状態において、前記センサーから出力されるセンサー信号を取得する工程と、
(f)取得したセンサー信号の表す波形と、前記対象群に含まれる関節の状態が全て正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた前記対象群用の閾値未満である場合には、前記対象群に含まれる関節の状態は正常であると判断する、工程と、
を含む、ロボットアームの状態判断方法。 - 請求項1に記載のロボットアームの状態判断方法であって、
前記工程(c)において前記ロボットアームの状態は正常でないと判断した場合、
(g)前記複数の関節から1つの関節を選択し、選択した対象関節を動作させる工程と、
(h)前記工程(g)によって前記対象関節が動作している状態において、前記センサーから出力されるセンサー信号を取得する工程と、
(i)取得したセンサー信号の表す波形と、前記対象関節の状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた前記対象関節用の閾値未満である場合には、前記対象関節の状態は正常であると判断する、工程と、
を含む、ロボットアームの状態判断方法。 - 請求項3に記載のロボットアームの状態判断方法であって、
前記対象関節の動作は、前記ロボットアームを振動させる加振動作である、
ロボットアームの状態判断方法。 - 請求項3または請求項4に記載のロボットアームの状態判断方法であって、
前記ロボットアームは、根元側から先端側に向かって6つの関節を有しており、
前記根元側を基準として3軸目の関節および4軸目の関節が、前記対象関節として優先して選択される、
ロボットアームの状態判断方法。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のロボットアームの状態判断方法であって、
前記工程(c)における不一致度の算出は、前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形のデータを用いた機械学習によって設定された学習モデルに従って実行される、ロボットアームの状態判断方法。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のロボットアームの状態判断方法であって、
前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形には、あらかじめ記憶部に格納されたデータの表す波形が用いられる、ロボットアームの状態判断方法。 - ロボットシステムであって、
複数の関節を有するロボットアームと、
前記ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられ、前記ロボットアームの振動を検出可能なセンサーと、
前記ロボットアームを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a)前記ロボットアームの複数の関節の全てが同時に動作している状態となるように動作させる処理と、
(b)前記処理(a)によって前記複数の関節の全てが同時に動作している状態において、前記ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられ、前記ロボットアームの振動を検出可能なセンサーから出力されるセンサー信号を取得する処理と、
(c)取得したセンサー信号の表す波形と、前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、前記ロボットアームの状態は正常であると判断する、処理と、
を実行する、ロボットシステム。 - ロボットアームの状態判断をプロセッサーに実行させるコンピュータープログラムであって、
(a)前記ロボットアームの複数の関節の全てが同時に動作している状態となるように動作させる処理と、
(b)前記処理(a)によって前記複数の関節の全てが同時に動作している状態において、前記ロボットアームの先端側のいずれかの位置に設けられ、前記ロボットアームの振動を検出可能なセンサーから出力されるセンサー信号を取得する処理と、
(c)取得したセンサー信号の表す波形と、前記ロボットアームの状態が正常であった場合に取得したセンサー信号の表す波形との不一致度を算出し、算出した不一致度が予め定めた閾値未満である場合には、前記ロボットアームの状態は正常であると判断する、処理と、
を前記プロセッサーに実行させる、コンピュータープログラム。
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