JP2022070105A - 流体移送装置 - Google Patents

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Takayuki Oba
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Abstract

【課題】電源不要でサイフォン現象を発生可能であって、かつその構成がコンパクトである流体移送装置を提供する。【解決手段】流体を貯留する貯留部3から移送先50へ向けて延びる移送管10と、移送管10に接続され移送管10内でサイフォンを起動させる水位まで貯留部3内の流体を吸い上げるための圧を発生させる圧発生手段20と、を有する流体移送装置1であって、圧発生手段20は、貯留部3側となる上流側移送管11と移送先50側となる下流側移送管12との間に配設される負圧発生部41を備えており、負圧発生部41は、上流側移送管11に接続される流入口(枝管部44a)と、下流側移送管12に接続される流出口(直管部44bの下端部)とを備えていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、流体移送装置に関する。
近年、ゲリラ豪雨や台風など、一度に集中して大量に降った雨に起因する、浸水被害が問題になってきている。例えば、建物の例では、河川の氾濫による浸水があるが、床下浸水が起こった後は、水が引いたとしてもその基礎部に泥水が残ってしまう。その際、早期に泥水を排水できればよいが、大規模災害時には避難指示が解除されるまで放置せざるを得ず、また、帰宅できたとしても、電気が不通の場合や、ポンプ自体の調達が困難な場合には排水ポンプ等を利用できない。そのため、手作業での排水が必要となるが、居住者が高齢の場合には排水作業自体が出来ない、といった状況が問題視されている。泥水が長期に放置されたことで、カビの繁殖や支柱の腐食が起き、建物がダメージを受ける。そのため、基礎部に溜まった泥水の早期排水が可能な装置の開発が喫緊の課題となっている。
ところで、所定の空間内に溜まった水を排水できる装置として、サイフォンを利用するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。サイフォンを利用して貯水槽内に溜まった水を排水する場合には、例えば、逆U字状の管路の一端を取水孔として貯水槽側に設置し、多端を排水孔として排水槽側に設置しておく。この状態で、管路内の空気を取り除く(管路内を満水にする)ことにより、サイフォンの原理が働き、貯水槽側の水が排水槽側に排水される。特許文献1においては、サイフォン管の流路出口部において、空気吸引管とサイフォンの頂部とを連通管を介して連通させた構成により、サイフォン管の頂部内の残留空気を、ポンプ等を用いずに排除し、サイフォンの形成時間を短縮した装置が開示されている。
その他の構成としては、基礎の底面に排水管に繋がる排水孔を設けた排水装置がある。この場合、排水管からの水の逆流を防止するために、排水孔には蓋が設けられており、排水時に蓋を取り外すようになっている。
特開平5-231397号公報
特許文献1のサイフォン装置では、装置構成が大掛かりであり、建物の構造によっては設置が困難となるのが現状の課題として浮上している。一方、基礎の底面に排水管を設けた排水装置では、氾濫時に排水孔の蓋を取り外すのが非常に困難であり、排水が行われ難いという問題があった。
さらに、サイフォン装置を利用した排水装置は、建物の基礎部からの排水のみならず、例えば、貯水槽やプールに貯められた水等の流体を移送することに利用することが要求されている。
そこで、本発明は、前記の問題を解決するために案出されたものであり、電源不要でサイフォン現象を発生可能であって、かつその構成がコンパクトである流体移送装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための本発明は、流体を貯留する貯留部から移送先へ向けて延びる移送管と、前記移送管に接続され前記移送管内でサイフォンを起動させる水位まで前記貯留部内の流体を吸い上げるための圧を発生させる圧発生手段と、を有する流体移送装置であって、前記圧発生手段は、前記貯留部側となる上流側の前記移送管と前記移送先側となる下流側の移送管との間に配設される負圧発生部を備えており、前記負圧発生部は、上流側の前記移送管に接続される流入口と、下流側の前記移送管に接続される流出口とを備えていることを特徴とする。
本発明の流体移送装置によれば、圧発生手段にて貯留部の流体を移送管で所定の水位まで吸い上げると、移送管内でサイフォンが起動して、貯留部内の水が自動で移送される。したがって、かかる排水装置は、電源不要であるとともに構成がコンパクトとなる。さらに、流体移送装置の設置が容易であるので、貯水槽やプールに貯められた水等の流体を移送することができる。
本発明の流体移送装置においては、前記圧発生手段は、さらに負圧発生部に流体を噴流させる噴流部を備えているものが好ましい。このような構成によれば、移送管内で貯留部内の流体を吸い上げ易くなるので、サイフォンを効率的に起動させることができる。
本発明の流体移送装置においては、前記噴流部は、下流端が前記負圧発生部の内部に開口する噴流管に供給する液体を溜める液貯留槽をさらに備えているものが好ましい。このような構成によれば、噴流管に安定して流体を供給できる。
本発明の流体移送装置においては、前記噴流部は、下流端が前記負圧発生部の内部に開口する噴流管からの噴流を停止させる栓部材をさらに備えているものが好ましい。このような構成によれば、圧発生手段の噴流管を栓部材で閉塞することで、噴流部から移送管内へ空気が流入するのを防止できるので、移送管内のサイフォンが途切れることなく安定して継続される。
本発明の流体移送装置においては、前記噴流部は、前記噴流管からの噴流を停止させる栓部材をさらに備え、前記栓部材は、前記噴流管または前記噴流管に繋がる流路の上流端開口を閉塞可能な形状であるものが好ましい。このような構成によれば、栓部材が噴流管に繋がる流路の上流端開口を閉塞するので、噴流管からの液体の噴流を停止させることができる。
本発明の流体移送装置においては、前記噴流部は、前記噴流管からの噴流を停止させる栓部材をさらに備え、前記栓部材は、開閉弁 にて構成されているものが好ましい。このような構成によれば、開閉弁を閉弁すると、サイフォンを継続させながら上流側噴流管と液貯留槽を取り外すことができる。
本発明の流体移送装置においては、圧発生手段は、前記噴流管と前記液貯留槽との間において、前記噴流管に一定の速度で所定量の流体を供給可能な供給部をさらに備えるものが好ましい。このような構成によれば、噴流管へ安定して流体を供給することが可能であり、これにより安定して減圧を得ることができる。
本発明に係る流体移送装置によれば、電源不要でサイフォン現象を発生することができるとともに、構成をコンパクトとすることができる。
本発明の第一実施形態に係る流体移送装置を住宅で使用しいた場合を示した断面図である。 本発明の実施形態に係る流体移送装置を示した図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。 (a)~(d)は、本発明の実施形態に係る流体移送装置によるサイフォン起動に向けた動作の一部を示した断面図である。 (a)~(c)は、本発明の実施形態に係る流体移送装置によるサイフォン起動状態を示した断面図である。 実施例1における負圧測定の概要を示した図である。 実施例1における水の移送量測定の概要を示した図である。 本発明の第一実施形態の変形例1に係る流体移送装置を示した断面図である。 本発明の第一実施形態の変形例2に係る流体移送装置を示した断面図である。 (a)、(b)は、本発明の第二実施形態に係る流体移送装置を示した断面図である。 本発明の第三実施形態に係る流体移送装置を示した断面図である。 (a)、(b)は、本発明の第四実施形態に係る流体移送装置を示した断面図である。
本発明の第一実施形態に係る排水装置およびサイフォン装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、図1に示すように、住宅の基礎2の内部に溜まった水Wを排水する流体移送装置1を例に挙げて説明する。本実施形態に係る流体移送装置1は、移送管10と、圧発生手段20とを備えている。本実施形態では、圧発生手段20は、屋外で、基礎2の高さよりも高い位置に設置されている。
移送管10は、流体(本実施形態では水W)を貯留する貯留部3(基礎2の内部空間)から移送先へ向けて延びる配管である。移送管10は、圧発生手段20より上流側に位置する上流側移送管11と下流側に位置する下流側移送管12とを備えている。上流側移送管11は、貯留部3の内部に挿入された揚水管13と、揚水管13に連続し外部の水平管14とを備えて構成されている。本実施形態では、揚水管13は、宅内のフローリングなどの床面に設けられた床下点検口4から貯留部3に挿入されている。水平管14は、フローリングなどの床面に敷設され、勝手口5などを渡して屋外に設置された圧発生手段20に接続されている。
下流側移送管12は、屋外に配置され、圧発生手段20の後記する負圧発生部41に連続し下方に向かって所定長さ延在する流下部を構成している。下流側移送管12の下端部には、L字型継手15が設けられており、流路が屈曲されている。L字型継手15を設けることで、下流側移送管12を流下する水の流れを阻害する。つまり、L字型継手15は、下流側移送管12内の水の流れを阻害する抵抗部となる。
圧発生手段20は、移送管10に接続されており、移送管10内でサイフォンを起動させる水位まで貯留部3内の流体を吸い上げるための圧を発生させるものである。図2にも示すように、圧発生手段20は、注水部21と、供給部31と、負圧発生部41とを備えている。
注水部21は、負圧発生部41に供給する水を溜める部分であり、上部が開口した円筒形である注水槽22(液貯留槽)を有している。注水槽22は、上方から注水しやすい形状かつ後記する第1の弁23を設置しやすい形状となっている。第1の弁23は、負圧発生部41への水の噴流を停止させる栓部材である。注水部21の下端部には、縮径部24が形成されている。縮径部24は、下方に向かうにつれて径が小さくなる。縮径部24の下端には、L字型継手25が接続されている。L字型継手25の下流端は供給部31に接続されている。なお、本実施形態では、L字型継手25は、縮径部24と直接接続されているが、間に別途の管などを介して接続してもよい。
第1の弁23は、水に浮かべることができるように、例えばゴム素材や軟質ポリ塩化ビニル素材などにて構成された中空状の球形を呈している。第1の弁23は、注水槽22の内径より小さく、注水槽22内に挿入可能である。また、第1の弁23は、縮径部24の下部の内径より大きく、縮径部24で係止される。このような構成の第1の弁23は、注水槽22内の水に浮かび、水位が下がると、縮径部24の傾斜部に当接して水流を閉塞する。なお、第1の弁23は、中空に限定されるものではなく、発泡スチロールやポリエチレン、ポリプロピレン等の水に浮く比重の小さい素材であれば中実であってもよい。また、第1の弁23の形状についても球形に限定されるものではなく、縮径部24と第1の弁23とが密着し弁としての機能を果たせる形状であればよい。
供給部31は、負圧発生部41へ水を供給する役割を担っており、注水部21と合わさって、負圧発生部41に、注水部21に注水した水を噴流させる噴流部を構成している。供給部31は、内筒32と、外筒33と、キャップ34と、L字型継手35とを備えている。注水部21のL字型継手25と供給部31のL字型継手35とはU字状に接続されており、内筒32と外筒33は、L字型継手35の上に立ち上がるように接続されている。なお、本実施形態では、L字型継手25とL字型継手35とは直接接続されているが、間に別途の管などを介して接続してもよい。
内筒32は、上下が開放された円筒形状を呈しており、縦方向に延在している。内筒32の下端部は、L字型継手35の屈曲部に貫通し、下方に突出している。内筒32の上端は、外筒33の上端より若干低い高さとなるように設置されている
外筒33はL字型継手35の上に、上方に向けて接続され、内筒32の上部を覆って着る。外筒33は、上下が開放された円筒形状を呈しており、上端をキャップ34で蓋をすることにより外部と区画された供給部31が構成される。
以上のような構成の噴流部の注水部21に水が注水されると、L字型継手25、L字型継手35を経由して外筒33に水が供給される。さらなる注水により、注水部21の水位が内筒32の上端高さを超え、さらにキャップ34の高さを超えると、外筒33より内筒32へ水が浸入し、内筒32の下端から水が流出する。これによって、供給部31内でサイフォンが起動し、負圧発生部41へ水が供給される。
内筒32の径と、外筒33の径とは、サイフォンが起動しやすいバランスに適宜設定される。内筒32の外径に対して外筒33の内径が近接していると、内筒32への水の供給量が不足しサイフォンを得ることができない場合がある。また、内筒32の外径と外筒33の内径とが適切なバランスであっても内筒32の内径が小さすぎる場合には、サイフォンが起動しても十分な水を後述する負圧発生部41に供給することができず、十分な負圧を得ることができない。これらの場合にならないように、内筒32の径と、外筒33の径とを、それぞれ設定する。
内筒32と外筒33の長さ、すなわち供給部31の高さについても適宜設定できるが、供給部31の高さが注水部21の縮径部24の縮径部分より低くなると、後述する第1の弁23を投入することができずにサイフォンが起動してしまう。また、供給部31の高さが注水部21の注水槽22の高さより高くなると、注水を行っても外筒33に流入した水が内筒32を越流することができずサイフォンが起動しない。そのため、供給部31の高さは、縮径部24の縮径部分の高さと注水槽22の上端部の間にあることが望ましく、安定した揚水を得ることができる水量を負圧発生部41に供給することができる高さに設定するのがよい。
負圧発生部41は、供給部31から流される水流を利用して負圧を発生させる部分であって、貯留部3側となる上流側移送管11と、移送先側となる下流側移送管12との間に配設されている。負圧発生部41は、縮径部42と、縮径管43と、T字型継手44とを備えている。縮径部42は、供給部31の内筒32の下端に接続されている。縮径部42の下端部は、T字型継手44に配置された縮径管43に接続可能な構造となっている。縮径部42は、流路を狭めることで、内筒32から流れた水の流速を速め、縮径管43から噴流を発生させる。縮径部42と縮径管43とは、負圧発生部41に流体を噴流させる噴流部の一部を構成している。
T字型継手44は、枝管部44aと、直管部44bとから構成される。枝管部44aは、基礎2などで覆われた貯留部3への揚水管13を含む上流側移送管11が接続可能な形状となっており、負圧発生部41に水を流入させる流入口を構成している。枝管部44aは、直管部44bの長手方向中間部に直交して接続されている。T字型継手44は、直管部44bが鉛直方向に延在するように、配置されている。
直管部44bは、移送先50へ延在する下流側移送管12が接続可能な形状となっており、移送先50へ水を流出させる流出口を構成している。直管部44bの内側上部には、T字型継手44の内径よりも細い縮径管43が設けられている。縮径管43は、負圧発生部41の内部に開口し、負圧発生部41に流体を噴流させる噴流管を構成している。縮径管43は、縮径部42の下端部に接続されており、上流側移送管11からの流入を阻害しない程度の長さに形成されている。具体的には、縮径管43の下端部(噴流管の下端部)が枝管部44aの延長線部分(負圧発生部41の流入口)と干渉しないように、縮径管43の下端高さが、枝管部44aの上縁部の高さと略同等となっている。なお、縮径管43の下端高さは、枝管部44aの上縁部の高さに対して若干上方に位置してもよい。
負圧発生部41から移送先50への水Wの移送は、負圧発生部41のT字型継手44より下方に向かって接続された下流側移送管12、および移送管11の下端部に接続されたL字型継手15を通じて行われる。L字型継手15の排出口の上端部は、揚水管13の下端部より、低い位置に設置されている。
このように、上流側移送管11の上流端よりも、L字型継手15の排出口の上端部を低く設定することで、貯留槽3の底近辺に設置される揚水管13の上流端から、貯留槽3内底部まで導水流路が形成でき、貯留槽3内の底部にある水までを最大限に移送先50へ移送できる。
上述した流体移送装置1における第1の弁23以外の各部材には、硬質ポリ塩化ビニルにより製造された管、継手などを好適に使用することができる。ただし、前記材質は、硬質ポリ塩化ビニルに限定されるものではなく、他の樹脂により製造された管、継手でもよいし、金属製のものなど樹脂以外の素材を用いてもよい。また、管、継手などは断面円形状であるが、その形状は、円形状に限定されるものではない。
次に、図3および図4を参照しながら、本実施形態に係る流体移送装置1のサイフォンの起動状態を説明する。図3の(a)は、流体移送装置1の使用前の初期状態を示す。なお、図示はしていないが、負圧発生部41の枝管部44aには、水Wが貯留されている貯留部3側の上流側移送管11が接続され、直管部44bには、移送先50側の下流側移送管12が接続されている。
流体移送装置1のサイフォンを起動させるに際しては、まず、図3の(b)に示すように、注水部21へ注水を行う。注水初期の時点では注水部21の水位と供給部31の水位は同一となるが、縮径部24の縮径部分より高く、かつ供給部31の内筒32の上端より低い範囲で注水を停止する。
図3の(c)に示すように、注水部21の注水槽22へ第1の弁23を投入する。この際、第1の弁23は、縮径部24の縮径部分より高い位置で水に浮いた状態となる。
図3の(d)に示すように、注水部21への注水を再開する。注水部21の水位が供給部31の内筒32の上端高さを超えると、内筒32への水の流入が開始される。
図3の(d)から図4の(a)に示すように、供給部31の内筒32への水の流入量より多くの水を、注水槽22へ注水し続けることで、供給部31の外筒33が満水となりサイフォン現象が発生する。このサイフォン現象により、注水部21の水が供給部31の内筒32を通じ、負圧発生部41へ勢いよく供給され、その後下流側移送管12に供給される。その際、本図では図示していないが、図1に示すように下流側移送管12の下端部に接続されたL字型継手15により水の流れが阻害されることで、下流側移送管12は満水状態を得やすくなっている。一方、負圧発生部41の縮径部42および縮径管43を水が通過する際に、流路が狭まることで流速が向上し、ベンチュリ効果によりT字型継手44の枝管部44aに接続された上流側移送管11内に負圧が発生する。
図4の(b)に示すように、供給部31から負圧発生部41への水の供給が継続されると、上流側移送管11の揚水管13より貯留部3に貯留された水Wの揚水が開始され、やがて上流側移送管11内が揚水された水Wで満水となり、下流側移送管12を経由して移送先50へ排出される。ここで、注水部21への注水は、貯留部3の水Wが移送先50へ排出されたのを確認できるまで継続する。なお、注水部21への注水は、第1の弁23が注水部21の縮径部24を閉塞するまでの間に、貯留部3の水Wが移送先50へ排出される量の水を注水部21へ注水しておいてもよい。
図4の(c)に示すように、注水部21への注水を停止すると、供給部31で生じているサイフォン現象により注水部21の水位は供給部31の水位以下に低下していく。注水部21の水位が縮径部24の縮径部に到達すると、第1の弁23が縮径部24の内周面に密着し、縮径部24を閉塞する。ここで供給部31から負圧発生部41への水の供給は停止するが、上流側移送管11および下流側移送管12の内部は満水となっている為、貯留部3から移送先50にかけて新たなサイフォン現象が発生している。また、この新たなサイフォン現象により、供給部31内が負圧方向となるが、第1の弁23により縮径部24が閉塞されている為、供給部31内の水は移動することない。さらに、第1の弁23は、供給部31側に引っ張られて、縮径部24を閉塞した状態を維持する。
次に、下流側移送管12およびL字型継手15についての作用効果を説明する。
下流側移送管12およびL字型継手15は、流体移送装置1の負圧発生部41での負圧を発生させやすくする役割、および貯留部3の水Wを移送先50へ移送する役割を担っている。負圧発生部41で効率よく負圧を発生させるためには、下流側移送管12の内部を水で充満させることが重要である。下流側移送管12の内部が十分に充満されないと負圧の低下、もしくは負圧が発生しないことに繋がる虞がある。
下流側移送管12の内部を水で充満させる方法としては、下流側移送管12の上端から下端のいずれの箇所を縮径し流路を狭めることが考えられるが、下流側移送管12は、貯留部3からの水Wの移送も兼ねている為、下流側移送管12の縮径は、貯留部3からの水Wの移送量を減少させることに繋がる為、好ましくない。
貯留部3からの水Wの移送を阻害せずに、下流側移送管12の内部を水Wで充満させやすくするためには、下流側移送管12の下端部を屈曲させる(下流側移送管12の下端部にL字型継手15を取り付けた)ことが望ましい。
これによって、供給部31から負圧発生部41を通過した水は下流側移送管12を流下するが、L字型継手15を設け、水の流れを変えることで下流側移送管12の満水を得やすくなり、かつ、貯留部3からの水Wの移送量の減少を最小限に収めることが可能である。
以上説明したように、流体移送装置1を用いることで、貯留部3から移送先50への新たなサイフォンを構築することができ、かつ、第1の弁23により新たなサイフォンへ空気が浸入することなく水の移送を継続することができる。水の移送は貯留部3の水位減少により、上流側移送管11に空気が浸入するまで継続する。
つまり、本実施形態の流体移送装置1によれば、圧発生手段20の注水部21に注水するだけで、貯留部3の水Wを移送管10で所定の水位まで吸い上げることができる。これによって、移送管10内でサイフォンが起動して、貯留部3内の水Wが自動で移送先50へ移送される。したがって、かかる流体移送装置1は、電源不要であるとともに構成がコンパクトとなる。
また、本実施形態では、圧発生手段20は、注水槽22を備えているので、負圧発生部41に安定して水を供給することができる。注水槽22には、水に浮かぶ第1の弁23(栓部材)が投入されているので、注水槽22内の水位の低下によって、注水部21が自動で閉塞される。注水部21の閉塞によって、注水部21から移送管10内へ空気が流入するのを防止できるので、移送管10内のサイフォンが途切れることなく安定して継続される。
さらに、本実施形態では、下流側移送管12の下流端部に、水の流速を低下させるL字型継手15(抵抗部)が形成されているので、下流側移送管12の下流端部の内部に水による栓が形成される。これによって、下流側移送管12の下流端から空気が流入しない。したがって、負圧発生部41内の圧力が減圧し易くなり、貯留部3から流体を吸い上げ易くなる。さらに、移送管10内に空気が流入し難いので、移送管10内のサイフォンを安定して継続することができる。
また、圧発生手段20が、移送管10が貯留部3の周壁を乗り越える部分に設けられているので、貯留部3から圧発生手段20までの上流側移送管11の長さが短くて済む。これによって、貯留部3から水を吸い上げ易くなる。さらに、圧発生手段20が、貯留部3の周壁の上端よりも高い位置に設けられているので、圧発生手段20から下流側移送管12の下端部までの距離を一定以上得ることができる。これによって、負圧発生部41内の減圧量が大きくなるため、貯留部3から水を吸い上げ易くなる。したがって、サイフォンが起動し易くなる。
また、縮径管43の下端部が、負圧発生部41の枝管部44a(流入口)と干渉しない位置に配置されているため、縮径管43が移送管10内の水の流れを阻害することが無いため、水の移送量を最大化することができる。
さらに、下流側移送管12が負圧発生部41に連続して下方に向かって所定長さ延在しているので、下流側移送管12内の水の流速が速くなり、負圧発生部41内の圧力が減圧し易くなる。
次に本発明の第一実施形態に係る流体移送装置1の圧発生手段20について、以下の実施例を参照しながら詳細に説明するが、各実施例で流体移送装置1を構成する主な各部品は前澤化成工業株式会社製の製品を用いており、同社の製品名を用いて説明する。
<実施例1>
<注水部21>
先ず、実施例1として、縮径部24としてのVUインクリーザーVUIN100×50の呼び径100の受口に、注水槽22としての長さ300mmの直管VU100を挿入する。次に、VUIN100×50の呼び径50の受口に、長さ50mmの直管VU50を挿入し、さらにVU50の他端部にL字型継手25としてのVUエルボVUL50を挿入し、注水部21とした。
<供給部31>
次に、VUL50の片側の受口に対して、直管VP25を中心かつ平行に貫通、固定できるよう、VUL50の外側湾曲部にVP25の外径と同径の穴あけ加工を行う。長さ290mmのVP25を穴あけ加工を行ったVUL50の加工穴に挿入し、VP25の上端部が後述する外筒33の上端近傍の位置となるように、接着剤などを用いて固定し、内筒32とする。VP25貫通側のVUL50受口に長さ190mmのVU50を挿入し外筒33とする。さらに外筒33であるVU50の上端面にDVキャップDVC50を挿入し、供給部31とした。
<負圧発生部41>
次に、T字型継手44としてのTS異径チーズTT25×20のストレート方向の片側の受口に、縮径部45としてのTS異径ソケットTS25×16の呼び径16の受口を挿入、固定するが、TS25×16の呼び径16の受口にはTS25×16をTT25×20の受口に挿入した際に、TT25×20のストレート部の長さの中央に端部が来るような長さに切断した縮径管43としての直管VP25を挿入しておく。VP16が挿入されたTS25×16をTT25×20に挿入、固定し、負圧発生部41とする。固定する際には、空気が浸入する間隙が無ければよく、接着剤やコーキング剤を用いてもよいし、Oリングやパッキンなどを用いてもよい。
<第一の弁23>
第一の弁23には、ホームセンターなどで市販されているゴム製で外径約60mmの中空状球体を用いた。
<流体移送装置1>
注水部21のVUL50と供給部31のVUL50とを、長さ50mmのVU50を用いて接続する。次に、供給部31のVUL50から貫通している内筒32であるVP25の端部に、負圧発生部41のTS25×16の呼び径25受口を挿入し、流体移送装置1とする。
<負圧測定>
図5に示すように、流体移送装置1の負圧発生部41に用いているTT25×20の呼び径25の下端受口に下流側移送管12として長さ550mmのVP25を接続し、VP25の下端部にはL字型継手15としてTSエルボTL25を2ヶ接続しクランク形状とした。この時、TT25×20の枝管部44aの下端からTL25下端までの高さは600mm程度となる。次に、TT25×20の枝管部44aに上流側移送管11の横引き管として長さ450mmの直管VP20を接続し、VP20の他端部にはTL20を上方に立ち上げるように接続する。さらに、TL20の上方受口には、負圧ゲージ60を接続し、負圧測定を行う装置構成とした。
次に、圧発生手段20の注水部21に注水を行い、負圧発生部41を水が通過する際に発生する負圧を測定するが、その際の注水量は5Lとし、注水速度としては供給部31のサイフォンが起動した後、注水部21の水位を維持する程度の注水を行い、第1の弁23は用いずに負圧発生部41を水が通過している最中の負圧を測定した。
<移送量測定>
図6に示すように、基本的な構成は負圧測定と同様であるが、負圧測定に用いた揚水管13のVP20に接続されたTL20を下方に向けて接続し、さらに揚水管42の立管として長さ480mmのVP20を接続する。この時、揚水管42の横引き管下端から、立管下端までの高さは500mm程度となる。また、揚水管42の立管は、貯留部40を模した内寸W500×D100×H430mm(容量21.5L)の上部が開放しているアクリル容器に内挿されている。
次に貯留部3を模したアクリル容器61に水を貯留し、流体移送装置1を起動させた際の揚水量などを測定する。注水部21へ供給部31の内筒32の上端部を超えない程度の注水を行った後、第1の弁23を注水部21に投入する。その後、注水部21へさらに4Lの水を注水し、流体移送装置1のサイフォンを起動させるが、注水速度としては供給部31のサイフォンが起動した後、注水部21の水位を維持する程度の注水とした。また、測定は、アクリル容器に20L(高さ400mm)の水を貯留し流体移送装置1を起動させたのち、アクリル容器内の水が17Lから12Lまでの5L減少するまでの時間、および、アクリル容器に5L(高さ100mm)の水を貯留し流体移送装置1を起動させた際に、アクリル容器内の水を移送することができるかの測定、観察を行った。
<実施例2>
実施例2では、実施例1の負圧測定、移送量測定における水の注水速度を、注水部21の水位を維持する程度の注水から、注水部21の水位が上昇するほど勢いよく全量の注水に替えている。それ以外は実施例1と同様である。
<実施例3>
実施例3では、実施例1の負圧発生部41の縮径管43に用いているVP16の長さを、TT25×20のストレート部の長さの中央に端部が来るような長さから、揚水管13からの流入を阻害しないような枝管部44aの天面と同等な高さになるような長さに変更している。それ以外は実施例1と同様である。
<実施例4>
実施例4では、実施例2の負圧発生部41の縮径管43の長さを実施例3と同様にした。それ以外は、実施例2と同様である。
<実施例5>
実施例5では、実施例1の負圧発生部41のT字型継手44をTT25×20からTSチーズTT25に替え、縮径管43の長さを実施例3と同様な長さに替え、揚水管13の横引き管、立管をVP20からVP25、TSエルボをTL20からTL25に替えた。それ以外は実施例1と同様である。
<実施例6>
実施例6では、実施例5の負圧測定、移送量測定における水の注水速度を、実施例2と同様にした。それ以外は、実施例5と同様である。
<実施例7>
実施例7では、実施例5の注水部21の注水槽22に用いたVU100の長さを300mmから230mmに替え、供給部31の内筒32に用いたVP25の長さを290mmから180mmに替え、外筒33に用いたVU50の長さを190mmから80mmに替えた。それ以外は、実施例5と同様である。
<実施例8>
実施例8では、実施例7の注水速度を実施例2と同様にした。それ以外は、実施例7と同様である。
<実施例9>
実施例9では、実施例2の負圧発生部41の縮径部42および縮径管43を除き、T字型継手44であるTT25×20を直接供給部31の内筒32の下端に接続した。それ以外は、実施例2と同様である。
<実施例10>
実施例10では、実施例1の負圧発生部41の縮径管43を除いた。それ以外は、実施例1と同様である。
<実施例11>
実施例11では、実施例2の負圧発生部41の縮径管43を除いた。それ以外は、実施例2と同様である。
各実施例における結果を表1に示す。
Figure 2022070105000002
<結果>
実施例1~8はそれぞれ5回の移送量測定の内、全ての測定で揚水を得られた。
実施例1と実施例2、実施例3と実施例4、実施例5と実施例6、実施例7と実施例8をそれぞれ比較すると、注水速度の差によらず同等かつ安定した負圧を得ることができており、また貯留部3の初期水位が低い場合でも揚水することができ、揚水の状況も安定している。
実施例1~2と実施例3~4を比較すると、実施例3~4については、縮径管43の下端の位置を揚水管13からの水の流入を阻害しない程度の上部としたことによっても負圧の発生量に差はなく、かつ揚水管13からの水の流入が阻害されず、流量が向上している。
実施例3~4と実施例5~6を比較すると、実施例5~6については、揚水管13の呼び径を20から25に変更したことにより、管内径が大きくなりさらに流量が向上している。
実施例5~6と実施例7~8を比較すると、実施例7~8については、外筒33の長さを短く、すなわち供給部31の高さを低くしているが、供給部31の高さによらず、同様の効果を得ることができる。
実施例1~8に総じていることは供給部31で生じるサイフォンにより、注水速度によらず負圧発生部41に安定した水量を供給することができ、かつ、負圧発生部41により負圧を安定して発生させることができるため、貯留部3の水位によらず安定した揚水を得る事ができることである。
一方、実施例1~2、および実施例9を比較すると、実施例9では負圧発生部41の縮径部42および縮径管43を除いたことにより、発生する負圧が小さくなり、かつ、負圧ゲージ60が示す指針も大きく変動した。揚水速度も遅く安定しないが、第1の弁23が縮径部24を閉塞した際に瞬間的に発生する大きな負圧により急激な揚水が生じ、水の移送が開始された。そのため、一度水の移送が開始されれば、実施例1~2と同等の流量は得られ、一定の作用効果を得ることができるものの、特に貯留部3の初期水位が低い場合には揚水できない可能性があることが考えられた。
実施例1~2、実施例9、および実施例10~11を比較すると、実施例10~11では負圧発生部41の縮径部42は残したものの、縮径管43は除いた為、実施例1と比較すると大きな負圧が発生したが実施例1~2には及ばず、また実施例9と比較すると負圧ゲージ60の指針の変動は小さいが実施例1~2のような指針の安定は得られなかった。実施例9と比較すると実施例10~11は安定した揚水が得られ、一定の作用効果を得ることができるものの、水の揚水、移送をより安定させるためには縮径管43が存在する実施例1~2の方がより好適である。
以上説明したように、本実施形態に係る流体移送装置1によれば、電源を用いることなく、注水部21への水の注水などの簡単な操作で貯留部3の水の揚水、移送を行うことが可能である。
<変形例1>
次に、図7を参照しながら変形例1に係る流体移送装置1aの構成を説明する。変形例1の流体移送装置1aは、図2の流体移送装置1に対して供給部31を省略し、注水部21と負圧発生部41とを直接接続したものである。つまり、注水部21が供給部31も兼ねた例である。
変形例1の流体移送装置1では、注水部21への水の注水と同時に負圧発生部41へ水が供給される。負圧発生部41により発生する負圧により貯留部から揚水された水が負圧発生部41のT字型継手44に到達するまで注水を行う事により、水の移送が可能となる。第1の弁23は、注水部21への水の注水中に投入してもよいし、注水完了と同時に投入してもよい。その他の構成については図2の構成と同様であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
次に、本発明の第一実施形態に係る流体移送装置の変形例1について、以下の実施例を参照しながら詳細に説明する。
<実施例12>
実施例12では、注水部21の縮径部24に用いているVUIN100×50の下端側呼び径50の受口とTS異径ソケットTS50×25の呼び径50の受口を接続する。TS50×25の呼び径25の受口と負圧発生部41とを接合し、供給部31を省略した流体移送装置1aとした。その他の構成、試験方法などは実施例1と同様である。
<実施例13>
実施例13では、実施例12の負圧測定、移送量測定における水の注水速度を実施例2と同様とした。それ以外は、実施例12と同様である。
<実施例14>
実施例14では、実施例12の負圧発生部41の縮径管43に用いているVP16の長さを、実施例3と同様にした。それ以外は、実施例12と同様である。
<実施例15>
実施例15では、実施例13の負圧発生部41の縮径管43の長さを実施例3と同様にした。それ以外は、実施例13と同様である。
<実施例16>
実施例16では、実施例13の負圧発生部41の縮径部42および縮径管43を除き、T字型継手44であるTT25×20を直接注水部21の下端に接続した。それ以外は、実施例13と同様である。
<実施例17>
実施例17では、実施例12の負圧発生部41の縮径管43を除いた。それ以外は、実施例12と同様である。
<実施例18>
実施例18では、実施例13の負圧発生部41の縮径管43を除いた以外は、実施例13と同様である。
各実施例における結果を表2に示す。
Figure 2022070105000003
<結果>
実施例12は5回の移送量測定の内、3回の測定で揚水できなかった。実施例13は5回の移送量測定の内、すべての測定で揚水を得られた。変形例1では、注水部21への注水開始と同時に負圧発生部41への水の供給が開始されるが、実施例12のように注水部21の水位を維持するように注水操作を行う事が難しく、作業者の加減により負圧の発生量、すなわち揚水の可否が左右されるが、実施例13のように所定量全量を投入するような注水操作を行うと実施例2と同等の効果を得ることができる。
実施例14は5回の移送量測定の内、3回の測定で揚水できなかった。実施例15は5回の移送量測定の内、すべての測定で揚水を得られた。これは実施例12,13と同様に注水速度により結果に差を生じたものである。
実施例16は実施例9と同様に縮径部を有しない為、発生する負圧が小さい。
実施例17,18は注水速度による影響を受けるが、発生する負圧は実施例11と同等である。
実施例12~15に総じていることは、負圧発生部41に適切に水を供給することができれば揚水が得られ、実施例1~4と同等の効果を得られることである。本変形例1において、負圧発生部41に適切に水を供給するためには、例えば、注水部21の縮径部24の下端に、ボールバルブなどを設けバルブを閉じた状態で注水を行う方法や、トイレタンクなどに使用する半球状のフロートバルブを設け注水を行う事で、あらかじめ十分な量の水を注水部21に貯留しておき、ボールバルブの開操作、レバーによるフロートバルブの開操作などを行うことにより解決することができる。ボールバルブを用いる場合の水の移送には、注水後に第1の弁23を投入し、ボールバルブの開操作を行う方法や、第1の弁23は使用せずにボールバルブの開操作を行った後に注水部21の水位と揚水のバランスを見極めながらボールバルブの閉操作を行う方法が挙げられる。フロートバルブを用いる場合には、一度フロートバルブを開とすると、水位の低下と共にフロートバルブが閉となる為、第1の弁23は不要となる。
実施例16~18についても同様なことが言えるが、負圧発生部41に適切に水を供給しても実施例9~11と同様な結果となり、安定した水の移送を得るためには縮径管43が存在することが好適である。
<変形例2>
次に、図8を参照しながら変形例2に係る流体移送装置1bの構成を説明する。変形例2の流体移送装置1bは、図2の流体移送装置1に対して、内筒32および外筒33を備えた供給部31に代えて、直管とL字型継手を組み合わせたSトラップ構造28に替えた点で構成が異なる。
流体移送装置1bでは、図8に示すように、注水部21の縮径部24の下端からL字型継手、直管により上方に向けて立ち上げられ、Sトラップ構造28の頂部から、さらにL字型継手、直管により下方に下ろし負圧発生部41に接続される。この時、Sトラップ構造28の頂部は、図2に示した実施形態と同様に、縮径部24の縮径部分の高さと注水槽22の上端部の間に設定する。負圧発生部41との接続部はSトラップ構造28の下端と同じ、または低い位置となるように設定する。その他の構成については図2の構成と同様であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
次に本発明の第一実施形態に係る流体移送装置の変形例2について、以下の実施例を参照しながら詳細に説明する。
<実施例19>
実施例19では、注水部21の縮径部24に用いているVUIN100×50の下端側呼び径50の受口とTS異径ソケットTS50×25の呼び径50の受口を接続する。TS50×25の呼び径25の受口に、TL25を2ヶU字状に接続する。U字状部他端部に長さ290mmのVP25を接続し、さらにTL25を2ヶ逆U字状に接続する。逆U字状部他端部に長さ340mmのVP25を接続し、流体移送装置1bにおける供給部であるSトラップ構造28とした。Sトラップの終端部に負圧発生部41を接続し、流体移送装置1bとした。その他の構成、試験方法などは実施例1と同様である。
<実施例20>
実施例20では、実施例19の負圧測定、移送量測定における水の注水速度を実施例2と同様とした以外は、実施例19と同様である。
<実施例21>
実施例21では、実施例19の負圧発生部41の縮径管43に用いているVP16の長さを、実施例3と同様にした以外は、実施例19と同様である。
<実施例22>
実施例22では、実施例20の負圧発生部41の縮径管43の長さを実施例3と同様にした以外は、実施例20と同様である。
<実施例23>
実施例23では、実施例20の負圧発生部41の縮径部42および縮径管43を除き、T字型継手44であるTT25×20を直接Sトラップ構造28の終端部に接続した以外は、実施例20と同様である。
<実施例24>
実施例24では、実施例19の負圧発生部41の縮径管43を除いた以外は、実施例19と同様である。
<実施例25>
実施例25では、 実施例20の負圧発生部41の縮径管43を除いた以外は、実施例20と同様である。
各実施例における結果を表3に示す。
Figure 2022070105000004
<結果>
実施例19~22はそれぞれ5回の移送量測定の内、全ての測定で揚水を得られた。
本変形例2では、注水部21に注水された水がSトラップ構造28で発生するサイフォンにより負圧発生部41に供給される。負圧発生部41で発生する負圧により貯留部3からの揚水が可能となっている。
同様にサイフォン現象により負圧発生部41に水を供給している実施例1~4と比較するとやや不安定な結果となっているが、これは、実施例1~4と比較し、実施例19~22における供給部31の呼び径25の流路が長く、負圧発生部41へ水を供給するまでに、流速の減少、圧力損失などが生じていることが挙げられ、実施例1~4と比較すると、実施例16~22では僅かな負圧の減少、負圧ゲージ指針の変動が生じていることからも窺える。
実施例23~25は、実施例9~11と同様な結果であり、水の揚水、移送をより安定させるためには縮径管43が存在する方がより好適である。
以上、変形例1、2について説明したように、これらのような流体移送装置1a、1bにおいても、前記流体移送装置1と同様に水の移送を行う事が可能である。
次に、図9を参照しながら、第二実施形態に係る流体移送装置1cについて説明する。
第一実施形態の流体移送装置1による貯留部3からの水の移送量をより増やすためには、流体移送装置1を構成する各部品、移送管10の径を大きくすることが挙げられるが、その他にも流体移送装置1の揚水経路を追加することが挙げられる。
このような思想のもと、第二実施形態の流体移送装置1cでは、図9の(a)に示すように、注水部21の下端をT字型継手29で分岐し、その両端に供給部31と負圧発生部41をそれぞれ接続した。
その他、第二実施形態の変形例の流体移送装置1dとして、図9の(b)に示すように、供給部31の下端をT字型継手36で分岐し、その両端に負圧発生部41をそれぞれ接続してもよい。
このような構成によれば、注水部21への注水により2系統からの揚水を得ることができるので、水の移送量を増大させることができる。
次に図10を参照しながら、第三実施形態に係る流体移送装置1eについて説明する。
前記同様、貯留部3からの水の移送量を増やそうとするためには、装置構成の大型化、装置の分岐による揚水経路の追加が挙げられるが、その他にも流体移送装置1の注水部21と供給部31を取り外し、別途の場所で使用することが挙げられる。
図10に示すように、第三実施形態の流体移送装置1eは、供給部31と負圧発生部41の間にバルブ70が設けられている。供給部31とバルブ70(第2の弁)とは、接着接合等行わず、分離可能な構成となっている。
このような構成によれば、バルブ70(第2の弁)が開の状態で注水部21に注水を行う事で、負圧発生部41に水を供給でき、流体移送装置1と同様に貯留部3からの水Wの移送が行われる。そして、移送管10内で水の移送が行われている最中に、バルブ70(第2の弁)を閉とすることで、移送管10内のサイフォンを維持しながら、注水部21および供給部31を取り除くことができる。つまり、貯留部3から移送先50への移送経路に空気が浸入することなく、水の移送を継続することが可能である。
さらに、取り除いた注水部21および供給部31を、新たに設置した負圧発生部41、バルブ70(第2の弁)および移送管10に、接続すれば、新たな流体移送装置とすることができる。移送管10等の設置スペースが許す限り、水の移送経路を追加することができ、水の移送量を増やすことができる。
次に、図11を参照しながら、第四実施形態に係る流体移送装置1fについて説明する。
本発明に係る流体移送装置1を用いて、プールや貯水槽等の貯留部からの水の移送により、仮設トイレなどの仮設部へ用水を供給することが可能である。この場合、貯留部3の水の水位が、貯留部3内に設置されている揚水管13の下端を下回るまでサイフォンが維持され水の移送が継続されるため、移送先での溢水等を生じる虞がある。
そこで、第四実施形態では、水の移送を所望の状態で停止できるように構成した流体移送装置1fを案出した。かかる流体移送装置1fは、図11の(a)に示すように、下流側移送管12の下端部にバルブ71を設けている。バルブ71を開いておけば、前記各実施形態と同様に、注水部21への注水により水の移送が可能であるが、本実施形態では、貯留部からの水の移送が行われている最中に、バルブ71を閉じることで水の移送を停止することが可能となる。この時、移送管10の内部は水で満たされている為、サイフォン現象を待機している状態となり、再度バルブ71を開けることでサイフォン現象すなわち水の移送が再開される。このような構成によれば、任意の量の水を移送することが可能であり、移送先での溢水等を防止することができる。
その他、第四実施形態の変形例の流体移送装置1gとして、図11の(b)に示すように、図11の(a)の下流側移送管12の下端部に設けたバルブに代えて、ボールタップ76を設けた例である。ボールタップ76は、移送先の貯留槽75に設けられたフロート77と、フロート77の昇降に伴って開閉する弁部78とを備えている。
このような構成の流体移送装置1gによれば、前記各実施形態と同様に、注水部21への注水により水の移送が可能であるが、移送先に設けた貯留槽75の水位の上昇と共にフロート77が上昇し、弁部78の弁を閉じることで水の移送が停止する。この時、移送管10の内部は水で満たされている為、サイフォン現象を待機している状態となる。貯留槽75の水位が下降すると、フロート77も下降して弁が開き水の移送が再開される。このような構成によれば、移送先の貯留槽75の水位の変動に応じて水を移送することが可能であり、移送先での溢水等を防止することができる。
以上、本発明を実施する形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。記実施形態では、住宅の基礎内部に貯留された水、すなわち床下浸水の移送や、プールや貯水槽からの水の移送を例に挙げて説明したが、本発明は床下浸水の移送に限定されるものではない。例えば、地下部の排水困難な箇所に貯留された水の移送や、仮設施設などへの一時的な用水の供給など、種々の目的での使用が可能である。
また、前記実施形態では、下流側移送管12の下端部にL字型継手15を設けて水の流速を低下させる抵抗部を形成したが、これに限定されるものではない。縮径した配管を設けてもよいし、U字状の配管を設けてもよいし、分岐した配管を設けてもよい。また、抵抗部の位置は適宜変更してもよく、下流側移送管の下流端部以外にも中間部としてもよい。これらの場合において、上流側移送管の上流端部に比して下流側移送管の下流端部の頂上部が下方にいればサイフォン現象を誘発できる。
そして、上述の上流側移送管の上流端部および下流側移送管の下流端部の位置関係値を維持しつつ、上流側移送管の上流端部を貯留槽内底部にまで延設することにより、貯留部内の底部にある水までを最大限で移送先に移送させることができる。
また、前記実施形態では、第1の弁と第2の弁とは、それぞれ独立して備える機構を説明したが、2つを同時に設置してもよい。この場合、注水後に、貯留部からの移送が開始された後、先ずは、第1の弁が起動し、その後に第2の弁を閉じることができる。第2の弁だけを使用する場合に、注水後に時間の経過によっては、注水持続による注水部21・供給部31内の水が枯れの恐れがあったが、第1の弁はそれを防止できる。すなわち、不意のサイフォン停止を防止できる。加えて、第2の弁を利用できることで、上述の第2の弁にかかる機能も発揮させることができる。
1 流体移送装置
2 基礎
3 貯留部
4 床下点検口
5 勝手口
10 移送管
11 上流側移送管
12 下流側移送管
13 揚水管
15 L字型継手(抵抗部)
20 圧発生手段
21 注水部
22 注水槽
23 第1の弁(栓部材)
24 縮径部
31 供給部
32 内筒
33 外筒
34 キャップ
41 負圧発生部
42 縮径部(噴流部)
43 縮径管(噴流部)
44 T字型継手
44a 枝管部(流入口)
44b 直管部(流出口)

Claims (7)

  1. 流体を貯留する貯留部から移送先へ向けて延びる移送管と、前記移送管に接続され前記移送管内でサイフォンを起動させる水位まで前記貯留部内の流体を吸い上げるための圧を発生させる圧発生手段と、を有する流体移送装置であって、
    前記圧発生手段は、前記貯留部側となる上流側の前記移送管と前記移送先側となる下流側の前記移送管との間に配設される負圧発生部を備えており、
    前記負圧発生部は、上流側の前記移送管に接続される流入口と、下流側の前記移送管に接続される流出口とを備えている
    ことを特徴とする流体移送装置。
  2. 前記圧発生手段は、さらに負圧発生部に流体を噴流させる噴流部を備えている
    ことを特徴とする請求項1に記載の流体移送装置。
  3. 前記噴流部は、下流端が前記負圧発生部の内部に開口する噴流管に供給する液体を溜める液貯留槽をさらに備えている
    ことを特徴とする請求項2に記載の流体移送装置。
  4. 前記噴流部は、下流端が前記負圧発生部の内部に開口する噴流管からの噴流を停止させる栓部材をさらに備えている
    ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の流体移送装置。
  5. 前記噴流部は、前記噴流管からの噴流を停止させる栓部材をさらに備え、
    前記栓部材は、前記噴流管または前記噴流管に繋がる流路の上流端開口を閉塞可能な形状である
    ことを特徴とする請求項3に記載の流体移送装置。
  6. 前記噴流部は、前記噴流管からの噴流を停止させる栓部材をさらに備え、
    前記栓部材は、開閉弁にて構成されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の流体移送装置。
  7. 圧発生手段は、前記噴流管と前記液貯留槽との間において、前記噴流管に一定の速度で所定量の流体を供給可能な供給部をさらに備える
    ことを特徴とする請求項3に記載の流体移送装置。
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