JP2022065984A - 重合性化合物及びその硬化層を備える楕円偏光板 - Google Patents

重合性化合物及びその硬化層を備える楕円偏光板 Download PDF

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鈴鹿 住吉
Suzuka Sumiyoshi
啓貴 中田
Hiroki Nakata
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Abstract

【課題】液晶硬化層の光学特性の低下を抑制するのに有用な硬化層を形成し得る化合物、及びその硬化層を提供する。【解決手段】式(1):TIFF2022065984000042.tif1543[式(1)中、P1及びP2は、それぞれ独立に、重合性基を表し、Arは芳香環を含む2価の基を表し、Arに含まれる芳香環のπ電子の合計数は、8以上32以下であり、kは、1又は2である]で表され、分子量は300以上1000以下である化合物。【選択図】なし

Description

本発明は、重合性化合物、該重合性化合物を含む組成物、及び該組成物の硬化物からなる硬化層、並びに該硬化層を備える楕円偏光板、及び表示装置に関する。
近年、有機EL表示パネルに用いられる位相差フィルムとして、重合性液晶化合物を配向状態で硬化させて形成された液晶硬化層からなる位相差フィルムが用いられている(特許文献1)。
特開2019-56727号公報
液晶硬化層は、紫外線により劣化し、光学特性が低下する場合がある。特に特許文献1に記載されているような逆波長分散性を示す液晶硬化層は、該液晶硬化層を形成する重合性液晶化合物が、近紫外線領域(例えば300~400nmの波長領域)に極大吸収波長を有していることが多く、紫外線による光学特性の低下が生じやすい。
そのため、液晶硬化層を含んで構成される位相差フィルムを備える表示パネルでは、液晶硬化層の紫外線による光学特性の低下を抑制する目的で紫外線吸収剤を含む層を設ける場合があったが、光学特性の低下を抑制する効果は必ずしも十分満足し得るものではなかった。
したがって、本発明は、紫外線による液晶硬化層の光学特性の低下を抑制するために有用な硬化層を形成し得る化合物、及びその硬化層を提供することを目的する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
〔1〕式(1):
Figure 2022065984000001
[式(1)中、
及びPは、それぞれ独立に、重合性基を表し、
Arは芳香環を含む2価の基を表し、Arに含まれる芳香環のπ電子の合計数は、8以上32以下であり、
kは、1又は2である]
で表され、分子量は300以上1000以下である重合性化合物。
〔2〕Arは5員環と6員環との縮合環構造を含む、〔1〕に記載の重合性化合物。
〔3〕P及びPの少なくとも一方は、(メタ)アクリロイルオキシ基である、〔1〕又は〔2〕に記載の重合性化合物。
〔4〕Arは式(2):
Figure 2022065984000002
[式(2)中、
*は、P、P又はArとの結合手を表し、
、Q、Q、及びQは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表し、Q及びQ、又はQ及びQは、それぞれ、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい]
で表される、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の重合性化合物。
〔5〕Arは、式(3-1)、式(3-2)及び式(3-3):
Figure 2022065984000003
[式(3-1)~式(3-3)中、
*は、P、P又はArとの結合手を表し、
、A、A、及びAは、それぞれ独立に、-O-、-NR-、-S-、又は-CO-を表し、
Xは、=O、=S、=NR、又は=CRを表し、
及びYは、芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子に置換されていてもよく、
及びQは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表し、Q及びQは、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよく、
、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表し、
Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す]
のいずれかで表される、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の化合物。
〔6〕〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の重合性化合物と、重合開始剤、前記重合性化合物以外の多官能モノマー、溶媒、重合禁止剤及びレベリング剤からなる群から選択される少なくとも1つとを含む組成物。
〔7〕前記〔1〕に記載の組成物の硬化物からなる硬化層。
〔8〕前記〔7〕に記載の硬化層と、位相差フィルムと、偏光子とを備え、前記位相差フィルムは、重合性液晶化合物を含む組成物の硬化物からなる液晶硬化層を含む、楕円偏光板。
〔9〕前記重合性液晶化合物は、式(4-1)、式(4-2)及び式(4-3):
Figure 2022065984000004
[式(4-1)~式(4-3)中、
*は、結合手を表し、
、A、A、及びAは、それぞれ独立に、-O-、-NR-、-S-、又は-CO-を表し、
Xは、=O、=S、=NR、又は=CRを表し、
及びYは、芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子に置換されていてもよく、
及びQは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表し、Q及びQは、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよく、
、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表し、
Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す]
のいずれかで表される2価の基を有する化合物である、〔8〕に記載の楕円偏光板。
〔10〕前記硬化層を形成する式(1)で表される重合性化合物に含まれるArは、前記重合性液晶化合物のコア部構造と同じ構造を含む、〔8〕又は〔9〕に記載の楕円偏光板。
〔11〕前記液晶硬化層は、式(5)~(7):
Re(450)/Re(550)≦1.00 (5)
1.00≦Re(650)/Re(550) (6)
100nm≦Re(550)≦180nm (7)
[式中、Re(λ)は、液晶硬化層の波長λnmにおける面内位相差値を表し、
Re=(nx(λ)-ny(λ))×dであり、
dは、液晶硬化層の厚みを表し、
nxは、液晶硬化層が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化層の平面に平行な方向の波長λnmにおける主屈折率を表し、
nyは、液晶硬化層が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化層の平面に対して平行であり、且つ、前記nxの方向に対して直交する方向の波長λnmにおける屈折率を表す]
で表される光学特性を有する、〔8〕~〔10〕のいずれかに記載の楕円偏光板。
〔12〕前記〔8〕~〔11〕のいずれかに記載の楕円偏光板を備え、前記硬化層は前記位相差フィルムに対して視認側に配置された表示装置。
本発明は、紫外線による液晶硬化層の光学特性の低下を抑制するのに有用な硬化層を形成し得る化合物、及びその硬化層を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
〔式(1)で表される重合性化合物〕
本発明の重合性化合物は、式(1)で表される重合性化合物(以下、「重合性化合物(1)」ともいう)である。
Figure 2022065984000005
式(1)中、P及びPは、それぞれ独立に、重合性基を表す。本発明の重合性化合物(1)は、その分子内にP及びはPで表される重合性基を有するため、重合性化合物(1)、及び場合により重合性化合物(1)に加えて重合性化合物(1)以外の多官能モノマーを用いて硬化層を形成した場合に、重合性化合物(1)の重合性基同士、又は重合性化合物(1)中の重合性基と重合性化合物(1)以外の多官能モノマーの官能基とが化学反応により結合して、重合性化合物(1)が硬化層中に保持されやすくなることにより、得られる硬化層から重合性化合物(1)がブリードアウトしにくくなる。その結果、硬化層中の重合性化合物(1)の含有量を増加できるため、前記硬化層による液晶硬化層の光学特性の低下を抑制する効果を高めやすい。また、硬化層から重合性化合物(1)のブリードアウトが生じにくいため、前記硬化層による液晶硬化層の光学特性の低下を抑制する効果が長期にわたり持続しやすい。
式(1)中のP又はPで表される重合性基としては、エポキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、オキシラニル基、及びオキセタニル基等が挙げられる。なかでも、ラジカル重合しやすい観点から、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましい。本発明の一実施形態において、P及びPの少なくとも一方は、(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましい。P及びPは互いに同一であっても異なってもよいが、P及びPが互いに同一であることが好ましい。なお、本発明において(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する
式(1)中、Arは芳香環を含む2価の基を表す。Arに含まれる芳香環は、重合性化合物(1)の主鎖を構成する構造として含まれていても、重合性化合物(1)の側鎖として含まれていてもよい。
本発明において、芳香環を含む2価の基とは、平面性を有する環状構造を含む2価の基であり、該環構造が有するπ電子数がヒュッケル則に従い[4n+2]個(nは整数を表す)であるものをいい、-N=や-S-等のヘテロ原子を含んで環構造を形成している場合、これらヘテロ原子上の非共有結合電子対を含めてヒュッケル則を満たし、芳香族性を有するものを含む。
式(1)中のArに含まれる芳香環としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、及び置換基を有していてもよい芳香族複素環であってよく、前記芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられ、前記芳香族複素環としては、フラン環、ベンゾフラン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、トリアジン環、ピロリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、及びフェナンスロリン環等が挙げられる。なかでも、Arに含まれる前記芳香環は、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、又はベンゾフラン環を有することが好ましく、ベンゾチアゾール基を有することがさらに好ましい。また、Arに窒素原子が含まれる場合、当該窒素原子はπ電子を有することが好ましい。
本発明の一実施形態において、式(1)中のArは、分子構造の平面性を高めやすい観点、及びArに含まれる芳香環のπ電子の合計数Nπを所望の範囲に調整しやすい観点から、5員環と6員環との縮合環構造を含むことが好ましい。前記縮合環構造を形成する5員環としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選択される少なくとも2つのヘテロ原子を含む芳香族複素環であることが好ましく、前記6員環としては、ベンゼン環であることが好ましい。本発明の一実施形態において、前記5員環と6員環との縮合環構造としては、例えばベンゾチアゾール環、1,3-ベンゾジチオール環等であることが好ましい。
式(1)中、Arに含まれる芳香環のπ電子の合計数Nπは、8以上32以下である。前記π電子の合計数Nπが上記下限未満であると、紫外線領域、特に近紫外線領域の波長を重合性化合物(1)が吸収しにくく、紫外線による液晶硬化層の光学特性の低下を抑制しにくくなる。また、上記上限を超えると、重合性化合物(1)が吸収し得る波長(例えば極大吸収波長)が長波長側になる傾向があり、重合性化合物(1)が紫外線領域の波長を十分に吸収しにくくなる。また、前記π電子の合計数Nπは、重合性化合物(1)が所望の波長領域(例えば紫外線領域、特に300~400nmの波長領域)に吸収波長を有しやすい観点から、好ましくは10以上、より好ましくは14以上、さらに好ましくは16以上であり、また、重合性化合物(1)が所望の波長領域に吸収波長を有しやすい観点から、好ましくは30以下、より好ましくは26以下、さらに好ましくは24以下である。
式(1)中、kは1又は2であり、好ましくは1である。kが2である場合、式(1)中の2つのArは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
本発明の一実施形態において、式(1)中のArは式(2)で表されることが好ましい。
Figure 2022065984000006
式(2)中、*は、P、P又はArとの結合手を表す。
式(2)中、Q、Q、Q、及びQは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。炭素数1~20の有機基としては、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、炭素数1~6のアルキルスルファニル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基又は炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基が挙げられる。Q及びQ、又はQ及びQは、それぞれ、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよく、例えば互いに結合して芳香環または芳香族複素環を形成してもよい。
本発明の一実施形態において、式(1)中のArは、式(3-1)~(3-3)のいずれかで表される基であることが好ましい。
Figure 2022065984000007
式(3-1)~式(3-3)中、*は、P、P又はArとの結合手を表す。
式(3-1)中、A及びAは、それぞれ独立に、-O-、-NR-、-S-、又は-CO-を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表し、前記炭素数1~20の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基が挙げられる。式(3-1)中、好ましいA及びAは、-O-、-NR-、-S-であり、より好ましくは-S-である。A及びAは、互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
式(3-1)中、Xは、=O、=S、=NR、又は=CRを表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表す。炭素数1~20の有機基としては、例えば上記Rにおいて例示の炭素数1~20の有機基と同様の基が挙げられる。なかでも、式(3-1)中、好ましいXは、=S、=CRであり、より好ましくは=CR、さらに好ましくはR及びRの少なくとも一方がシアノ基である=CRである。
本発明の一実施形態において、式(3-1)中のXとしては、具体的に、以下の基が挙げられる。下記式(X-1)~(X-5)中の*は、結合手を表す。
Figure 2022065984000008
式(3-1)中、Q及びQは、式(2)中の上記Q及びQと同様の原子及び基が挙げられ、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基である。
本発明の一実施形態において、式(3-1)で表される基としては、具体的に以下の基が挙げられる。下記式(3-1-1)及び(3-1-2)中の*はP、P又はArとの結合手を表す。
Figure 2022065984000009
式(3-2)中、Aは、-O-、-NR-、-S-、又は-CO-を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表す。炭素数1~20の有機基としては、式(3-1)中のA及びAにおいて記載の炭素数1~20の有機基と同様の基が挙げられる。式(3-2)中、好ましいAは、-O-、-NR-、-S-であり、より好ましくは-S-である。
式(3-2)中、Yは、芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子に置換されていてもよく、Yは好ましくは置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基または多環系芳香族複素環基である。「多環式芳香族炭化水素基」は、少なくとも2個の芳香環を有する芳香族炭化水素基を意味し、2個以上の芳香環が縮合して形成される縮合芳香族炭化水素基および2個以上の芳香環が結合して形成される芳香族炭化水素基が挙げられる。「多環式芳香族複素環基」は、少なくとも1個の複素芳香環を有し、芳香環および複素芳香環からなる群から選ばれる少なくとも1個の環を有する芳香族複素環基を意味し、1個以上の芳香族複素環と芳香環および複素芳香環からなる群から選ばれる1個以上の環とが縮合して形成される芳香族複素環基および少なくとも1個の複素芳香環と芳香環および複素芳香環からなる群から選ばれる少なくとも1個の環とが結合して形成される芳香族複素環基が挙げられる。
多環式芳香族炭化水素基および多環式芳香族複素環基は無置換であってもよいし、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルスルファニル基、炭素数1~4のN-アルキルアミノ基、炭素数2~8のN,N-ジアルキルアミノ基、スルファモイル基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基および炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基が挙げられる。
は、例えば、下記式(Y-1)~式(Y-7)で表されるいずれかの基であることが好ましく、式(Y-1)又は式(Y-4)で表されるいずれかの基であることがより好ましい。
Figure 2022065984000010
式(Y-1)~式(Y-7)中、*部は連結部を表す。
式(Y-1)~式(Y-7)中、Zは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表し、ハロゲン原子及び炭素数1~20の有機基としては、式(2)中のQ、Q、Q、及びQのハロゲン原子及び炭素数1~20の有機基として例示のものと同様のものが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、シアノ基、ニトロ基、スルホン基、ニトロキシキド基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、チオメチル基、N,N-ジメチルアミノ基、N-メチルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が特に好ましい。
式(Y-1)~式(Y-7)中、V及びVは、それぞれ独立に、-CO-、-S-、-NR-、-O-、-Se-又は-SO-を表し、-S-、-NR-又は-O-であることが好ましい。Rは、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す。
式(Y-1)~式(Y-7)中、W~Wは、それぞれ独立に、-C=または-N=を表す。
式(Y-1)~式(Y-7)中、V、V及びW~Wのうち少なくとも1つは、S、N又はOを含む基を表すことが好ましい。
式(Y-1)~式(Y-7)中、aは、それぞれ独立に、0~3の整数を表し、0または1であることが好ましい。bは、それぞれ独立に、0~2の整数を表し、0であることが好ましい。
式(Y-1)~式(Y-7)で表されるいずれかの基は、下記式(Y12-1)~式(Y12-16)で表されるいずれかの基であることが好ましく、下記式(Y13-1)~式(Y13-6)で表されるいずれかの基であることがより好ましく、式(Y13-1)で表される基であることがさらに好ましい。なお、*部は連結部を表す。
Figure 2022065984000011
Figure 2022065984000012
式(Y12-1)~式(Y12-16)及び式(Y13-1)~式(Y13-6)中、Z、a、b、V、VおよびWは、(Y-1)~式(Y-7)中のZ、a、b、V、V及びW~Wと同じ意味を表す。
の具体例としては、例えば、特開2019-003177号公報に記載の式(ar-1)~式(ar-840)で表される基が挙げられる。式(ar-1)~式(ar-840)のなかでも、式(ar-284)で表される基が好ましい。
Figure 2022065984000013
式(3-2)中、Q及びQは、式(2)中の上記Q及びQと同様の基が挙げられ、それぞれ、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基が好ましい。
本発明の一実施形態において、式(3-2)は、例えば下記式(3-2-1)~式(3-2-18)で表されることが好ましい。式(3-2-1)~式(3-2-18)中、*は結合手を表し、Yは式(3-2)中のYと同じ意味を表す。
Figure 2022065984000014
Figure 2022065984000015
Figure 2022065984000016
Figure 2022065984000017
Figure 2022065984000018
本発明の一実施形態において、式(3-2)で表される芳香環を含む2価の基として、具体的には、下記式(3-2-21)~(3-2-92)で表される基が挙げられる。
Figure 2022065984000019
Figure 2022065984000020
Figure 2022065984000021
式(3-3)中、Aは、-O-、-NR-、-S-、又は-CO-を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表す。炭素数1~20の有機基としては、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数3~12のシクロアルケニル基、芳香族炭化水素基(該芳香族炭化水素基の任意の炭素原子はヘテロ原子に置換されていてもよい)を有する炭素数2~20の有機基を表す。前記アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基および芳香族炭化水素基は、それぞれ、無置換であるかまたは1つ以上の置換基Xによって置換されていてもよく、前記アルキル基は、前記シクロアルキル基または前記シクロアルケニル基によって置換されていてもよい。前記アルキル基中の1個の-CH-または隣接していない2個以上の-CH-は、それぞれ独立に、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-に置き換えられてもよく、前記シクロアルキル基またはシクロアルケニル基中の1個の-CH-または隣接していない2個以上の-CH-は、それぞれ独立に-O-、-CO-、-COO-、-OCO-またはO-CO-O-に置き換えられてもよい。置換基Xとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、または、1個の-CH-または隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-に置き換えられてもよい炭素数1~20の直鎖状または分岐状アルキル基を表し、該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよい。これらのなかでも、Aは、-O-、-S-、又は-NR-であることが好ましい。
式(3-3)中、Yは、芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子に置換されていてもよく、Yは、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選択される少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基である。該芳香族炭化水素基は、1つ以上の前記置換基Xによって置換されていてもよい。
は、炭素原子の1つ以上がヘテロ原子に置換されている、芳香族複素環を有する有機基であることが好ましく、5員環と6員環との縮合環である芳香族複素環を有する有機基であることがより好ましい。
具体的なYとしては、以下の式で表される基を有するものであることが好ましい。なお、下記式においてこれらの基は任意の位置にAとの結合手を有している。
Figure 2022065984000022
式(3-3)中、Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。該アルキル基は、1つ以上の前記置換基Xによって置換されていてもよい。
式(3-3)中の式(D)で表される構造としては、好ましくは式(D-1)~(D-47)のいずれかで表されることが好ましい。
Figure 2022065984000023
Figure 2022065984000024
Figure 2022065984000025
式(3-3)中、Q及びQは、式(2)中の上記Q及びQと同様の基が挙げられ、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基が好ましく、Q及びQの少なくとも一方は水素原子であることがより好ましい。
本発明の一実施形態において、式(3-3)で表されるArとして、具体的に下記式(3-3-1)~(3-3-20)のような基が挙げられる。式(3-3-1)~(3-3-20)中、*は結合手を表す。
Figure 2022065984000026
Figure 2022065984000027
本発明の一実施形態において、式(1)中のArは、式(3-1)~式(3-3)のなかでも、式(3-1)又は式(3-2)で表されることが好ましい。
本発明の重合性化合物(1)の分子量は、300以上1000以下であり、好ましくは330以上900以下、より好ましくは350以上800以下、さらに好ましくは400以上700以下である。重合性化合物(1)の分子量が上記下限以上、上限以下であると、重合性化合物(1)が溶媒に溶解しやすく、液晶硬化層の光学特性の低下を抑制し得る硬化層を形成しやすい。
本発明の一実施形態において、本発明の重合性化合物(1)は、極大吸収波長(λmax)を紫外線領域、特に近紫外線領域に有することが好ましく、より好ましくは波長300~400nmの範囲、より好ましくは320~380nmの範囲、さらに好ましくは330~370nmの範囲に有することが好ましい。前記極大吸収波長(λmax)は、溶媒中で紫外可視分光光度計を用いて測定できる。該溶媒は重合性化合物(1)を溶解し得る溶媒であり、例えばテトラヒドロフラン等が挙げられる。
本発明の重合性化合物(1)は、紫外線領域、特に300~400nmの波長領域に吸収を示すため、本発明の重合性化合物(1)は、液晶硬化層の光学特性の低下を抑制する硬化層の製造に好適である。本発明の一実施形態において、本発明の重合性化合物(1)は近紫外線領域、特に300~400nmの波長領域に極大吸収波長を有し得るため、逆波長分散性を示す液晶硬化層等の近紫外線領域に極大吸収波長を有する重合性液晶化合物により形成される液晶硬化層の光学特性の低下を抑制する硬化層の製造に特に有用である。
本発明の重合性化合物(1)の製造方法は特に制限されず、Methoden der Organischen Chemie、Organic Reactions、OrganicSyntheses、Comprehensive Organic Synthesis、新実験化学講座等に記載されている公知の有機合成反応(例えば、縮合反応、エステル化反応、ウイリアムソン反応、ウルマン反応、ウイッティヒ反応、シッフ塩基生成反応、ベンジル化反応、薗頭反応、鈴木-宮浦反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、ブッフバルト-ハートウィッグ反応、フリーデルクラフト反応、ヘック反応、アルドール反応等)を、その構造に応じて、適宜組み合わせることにより、製造することができる。
例えば、式(1)中のP及びPがアクリロイルオキシ基であり、kが1である、下記式(A):
Figure 2022065984000028
で表される重合性化合物(1)は、
式(B):
HO-Ar-OH (B)
で表されるアルコール化合物(B)と、アクリル酸及び/又はその誘導体(C)とのエステル化反応を行うことにより製造することができる。なお、アクリル酸の誘導体としては、アクリル酸エステル、アクリル酸無水物、アクリル酸ハロゲン化物等が挙げられる。
また、前記式(A)及び(B)におけるArは、上記式(1)で規定されたものと同一であり、式(A)で表される重合性化合物(1)の構造に対応して決定される。
アルコール化合物(B)としては、所望する重合性化合物(1)におけるArに対応する芳香環を含む2価の基Arに対して2つのヒドロキシル基が結合した化合物であればよい。Arとしては、先に規定したものと同じであり、例えば前記式(3-1)~(3-3)において2つの*部がヒドロキシル基である化合物が挙げられる。
アルコール化合物(B)とアクリル酸及び/又はその誘導体(C)とのエステル化反応は、好ましくは縮合剤の存在下において行われる。縮合剤の存在下でエステル化反応を行うことにより、エステル化反応を効率良く迅速に行うことができる。
縮合剤としては、例えば、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミドメト-パラ-トルエンスルホネート、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(水溶性カルボジイミド:WSCとして市販)、ビス(2、6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドおよび、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド等のカルボジイミド化合物、2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物、2,2’-カルボニルビス-1H-イミダゾール、1,1’-オキサリルジイミダゾール、ジフェニルホスフォリルアジド、1(4-ニトロベンゼンスルフォニル)-1H-1、2、4-トリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート、N-(1,2,2,2-テトラクロロエトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、N-カルボベンゾキシスクシンイミド、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、2-ブロモ-1-エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムクロリド、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスフェート、2-クロロ-1-メチルピリジニウムアイオダイド、2-クロロ-1-メチルピリジニウム パラ-トルエンスルホネート、2-フルオロ-1-メチルピリジニウム パラ-トルエンスルホネートおよびトリクロロ酢酸ペンタクロロフェニルエステル等が挙げられる。
〔組成物〕
本発明は、本発明の重合性化合物(1)と、重合開始剤、前記重合性化合物(1)以外の多官能モノマー、溶媒、重合禁止剤及びレベリング剤からなる群から選択される少なくとも1つとを含む組成物も包含する。
本発明の組成物は、上述のように紫外線領域に吸収を示す重合性化合物(1)を含むことにより、液晶硬化層の光学特性の低下を抑制し得る硬化層の形成に有用である。本発明の組成物に含まれる重合性化合物(1)は、1種単独であっても、2種以上の組合せであってもよい。
本発明の組成物中の重合性化合物(1)の含有量は、本発明の組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1~70質量部、より好ましくは1~50質量部、さらに好ましくは10~30質量部である。重合性化合物(1)の含有量が上記範囲内であると、本発明の組成物を用いて硬化層を形成する場合において、得られる硬化層から重合性化合物(1)がブリードアウトすることを抑制しやすい。なお、本発明において、組成物の固形分とは、組成物から溶剤などの揮発性成分を除いた全ての成分を意味する。
本発明の組成物は、重合性開始剤を含み得る。重合開始剤は、熱又は光の寄与によって反応活性種を生成し、重合性基を有する重合性化合物(1)等の重合反応を開始し得る化合物である。反応活性種としては、ラジカル又はカチオン又はアニオン等の活性種が挙げられる。なかでも反応制御が容易であるという観点から、光照射によってラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンジルケタール化合物、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩が挙げられ、市販品を用いてもよい。具体的には、イルガキュア(Irgacure、登録商標)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア127、イルガキュア2959、イルガキュア754、イルガキュア379EG(以上、BASFジャパン株式会社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、精工化学株式会社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬株式会社製)、カヤキュアーUVI-6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP-152、アデカオプトマーSP-170、アデカオプトマーN-1717、アデカオプトマーN-1919、アデカアークルズNCI-831、アデカアークルズNCI-930(以上、株式会社ADEKA製)、TAZ-A、TAZ-PP(以上、日本シイベルヘグナー社製)及びTAZ-104(三和ケミカル社製)等が挙げられる。
組成物に含まれる光重合開始剤は、少なくとも1種類であり、2種以上を組み合わせて用いてもよく、組成物に含まれる重合性化合物(1)との関係において適宜選択すればよい。
光重合開始剤は、光源から発せられるエネルギーを十分に活用でき、生産性に優れるため、極大吸収波長が300nm~400nmの範囲に存在するものが好ましく、300nm~380nmの範囲に存在するものがより好ましく、なかでも、α-アセトフェノン系重合開始剤、オキシム系光重合開始剤が好ましい。
α-アセトフェノン化合物としては、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オンおよび2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-(4-メチルフェニルメチル)ブタン-1-オン等が挙げられ、より好ましくは2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン及び2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オンが挙げられる。α-アセトフェノン化合物の市販品としては、イルガキュア369、379EG、907(以上、BASFジャパン(株)製)及びセイクオールBEE(精工化学社製)等が挙げられる。
オキシムエステル系光重合開始剤は、光が照射されることによってフェニルラジカルやメチルラジカル等のラジカルを生成させる。このラジカルにより重合性化合物(1)及び場合により含まれる重合性モノマーの重合が好適に進行するが、なかでもメチルラジカルを発生させるオキシムエステル系光重合開始剤は重合反応の開始効率が高い点で好ましい。また、重合反応をより効率的に進行させるという観点から、波長350nm以上の紫外線を効率的に利用可能な光重合開始剤を使用することが好ましい。波長350nm以上の紫外線を効率的に利用可能な光重合開始剤としては、オキシムエステル構造を含むトリアジン化合物やカルバゾール化合物が好ましい。オキシムエステル構造を含む光重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤の市販品としては、イルガキュアOXE-01、イルガキュアOXE-02、イルガキュアOXE-03(以上、BASFジャパン株式会社製)、アデカオプトマーN-1919、アデカアークルズNCI-831(以上、株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
本発明の組成物が重合性開始剤を含む場合において、重合開始剤の含有量は、重合性化合物(1)100質量部に対して、又は組成物が重合性モノマーを含む場合には重合性化合物(1)及び重合性モノマーの総量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは7質量部以下である。上記範囲内であれば、重合性基の反応が十分に進行しやすい。
本発明の組成物は、本発明の組成物を用いて硬化層を形成する場合に、重合性化合物(1)と結合して、重合性化合物(1)を硬化層中に保持しやすい観点から、本発明の重合性化合物(1)に加えて、前記重合性化合物(1)以外の多官能モノマーを含むことが好ましい。多官能モノマーとは、2つ以上の重合性基を有し、重合性化合物(1)と重合し得る化合物を意味し、例えば、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物等が挙げられる。これらの重合性モノマーは単独であっても2種以上の組合せであってもよい。
前記ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性基を有する化合物である。前記ラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、炭素-炭素不飽和二重結合を含む基等が挙げられ、具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。なお、前記ラジカル重合性化合物が2個以上のラジカル重合性基を有する場合、これらのラジカル重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。前記ラジカル重合性化合物が1分子中に有するラジカル重合性基の数は、本発明の組成物から形成される硬化層の硬度を向上する点から、好ましくは2以上である。前記ラジカル重合性化合物としては、反応性の高さの点から、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられ、具体的には1分子中に2~6個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートと称される分子内に数個の(メタ)アクリロイル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーが挙げられる。
前記カチオン重合性化合物は、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基等のカチオン重合性基を有する化合物である。前記カチオン重合性化合物が1分子中に有するカチオン重合性基の数は、本発明の組成物から形成される硬化層の硬度を向上する点から、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上である。
また、前記カチオン重合性化合物としては、なかでも、カチオン重合性基としてエポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を有する化合物が好ましい。エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さいという点から好ましい。また、環状エーテル基のうちエポキシ基を有する化合物は多様な構造の化合物が入手し易く、得られた硬化層の耐久性に悪影響を与えず、ラジカル重合性化合物との相溶性もコントロールし易いという利点がある。また、環状エーテル基のうちオキセタニル基は、エポキシ基と比較して重合度が高くなりやすく、低毒性であり、得られた硬化層のカチオン重合性化合物から得られるネットワーク形成速度を早め、ラジカル重合性化合物と混在する領域でも未反応のモノマーを膜中に残さずに独立したネットワークを形成する等の利点がある。
エポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又は、シクロヘキセン環、シクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化する事によって得られる脂環族エポキシ樹脂;脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマー等の脂肪族エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFや水添ビスフェノールA等のビスフェノール類、又はそれらのアルキレンオキサイド付加体、カプロラクトン付加体等の誘導体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、及びノボラックエポキシ樹脂等でありビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の組成物が本発明の重合性化合物(1)以外の多官能モノマーを含む場合において、前記多官能モノマーの含有量は、本発明の組成物を用いて硬化層を形成する場合に、重合性化合物(1)と多官能モノマーとが結合して重合ネットワークを形成し、重合性化合物(1)を硬化層中に保持しやすい観点から、重合性化合物(1)100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは100質量部以上、さらに好ましくは300質量部以上である。また、前記多官能モノマーの含有量は、本発明の組成物を用いて硬化層を形成する場合に、液晶硬化層の光学特性の低下を抑制するという重合性化合物(1)の機能を十分に発揮させやすい観点から、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは800質量部以下、さらに好ましくは700質量部以下である。
本発明の組成物は、通常、溶媒に溶解した状態で基材等に塗布されるため、溶媒を含むことが好ましい。溶媒としては、重合性化合物(1)を溶解し得る溶媒が好ましく、また、重合性化合物(1)及び場合により含まれる重合性モノマーの重合反応に不活性な溶媒であることが好ましい。溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、2-ブトキシエタノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン及びメチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;ペンタン、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル溶媒;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素含有溶媒;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルミアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等のアミド系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの中でも、アルコール溶媒、エステル溶媒、ケトン溶媒、塩素含有溶媒、アミド系溶媒及び芳香族炭化水素溶媒が好ましい。
本発明の組成物が溶媒を含む場合において、溶媒の含有量は、組成物全体100質量%に対して、好ましくは40~98質量%、より好ましくは60~90質量%である。したがって、組成物全体100質量%に対して、組成物の固形分は好ましくは2~60質量%、より好ましくは10~40質量%である。
本発明の組成物は、重合性禁止剤を含み得る。重合禁止剤を配合することにより、重合性化合物(1)及び場合により含まれる重合性モノマーの重合反応をコントロールすることができる。重合禁止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、キノン系酸化防止剤、ニトロソ系酸化防止剤等の一次酸化防止剤;リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤等の二次酸化防止剤等が挙げられる。これらの重合禁止剤は単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、4、4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、(テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tet-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス((4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ベンゼンプロパン酸、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ、C7-C9側鎖アルキルエステル、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、Irganox(登録商標)3125(BASF社製)、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ3’,5’-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、3,9-ビス(2-(3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ジブチルヒドロキシトルエン(2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、BHTと称する場合がある)、スミライザー(登録商標)BHT(住友化学(株)製)、スミライザー(登録商標)GA-80(住友化学(株)製)、スミライザー(登録商標)GS(住友化学(株)製)、シアノックス(登録商標)1790((株)サイテック製)及びビタミンE(エーザイ(株)製)等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、1-ナフチルアミン、フェニル-1-ナフチルアミン、p-オクチルフェニル-1-ナフチルアミン、p-ノニルフェニル-1-ナフチルアミン、p-ドデシルフェニル-1-ナフチルアミン、フェニル-2-ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤;N,N’-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジイソブチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-β-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-1,3-ジメチルブチル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、ジオクチル-p-フェニレンジアミン、フェニルヘキシル-p-フェニレンジアミン、フェニルオクチル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系酸化防止剤;ジピリジルアミン、ジフェニルアミン、p,p’-ジ-n-ブチルジフェニルアミン、p,p’-ジ-tert-ブチルジフェニルアミン、p,p’-ジ-tert-ペンチルジフェニルアミン、p,p’-ジオクチルジフェニルアミン、p,p’-ジノニルジフェニルアミン、p,p’-ジデシルジフェニルアミン、p,p’-ジドデシルジフェニルアミン、p,p’-ジスチリルジフェニルアミン、p,p’-ジメトキシジフェニルアミン、4,4’-ビス(4-α,α-ジメチルベンゾイル)ジフェニルアミン、p-イソプロポキシジフェニルアミン、ジピリジルアミン等のジフェニルアミン系酸化防止剤;フェノチアジン、N-メチルフェノチアジン、N-エチルフェノチアジン、3,7-ジオクチルフェノチアジン、フェノチアジンカルボン酸エステル、フェノセレナジン等のフェノチアジン系酸化防止剤が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリフェニルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)フォスファイト、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(モノ-およびジノニルフェニルミックスド)フォスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)フォスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)フルオロフォスファイト、フェニルジイソデシルフォスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)フォスファイト、トリス(イソデシル)フォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジ-フォスフォナイト、4,4’-イソプロピリデンジフェニルテトラアルキル(C12-C15)ジフォスファイト、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニル)-ジトリデシルフォスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリトリトールジフォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリトリトール-ジ-フォスファイト、シクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-フォスファイト)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジトリデシルフォスファイト-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4’-ビフェニルエンジフォスフォナイト、トリ-2-エチルヘキシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリステアリルフォスファイト、フェニルジイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジフォスファイト、トリス(ノニルアテドフェニル)フォスファイトトリス[2-[[2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフィン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、ビス(2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、アデカスタブ(登録商標)329K((株)ADEKA製)、アデカスタブ(登録商標)PEP36((株)ADEKA製)、アデカスタブ(登録商標)PEP-8((株)ADEKA製)、Sandstab(登録商標)P-EPQ(クラリアント社製)、ウェストン(登録商標)618(GE社製)、ウェストン(登録商標)619G(GE社製)、ウルトラノックス(登録商標)626(GE社製)、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン)等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート化合物;テトラキス[メチレン(3-ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等のポリオールのβ-アルキルメルカプトプロピオン酸エステル化合物等が挙げられる。
本発明の組成物が重合禁止剤を含む場合において、重合禁止剤の含有量は、重合性化合物(1)100質量部に対して、又は組成物が重合性モノマーを含む場合には重合性化合物(1)及び重合性モノマーの総量100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.1~5質量部、さらに好ましくは0.1~3質量部であってよい。
本発明の組成物はレベリング剤を含み得る。レベリング剤とは、組成物の流動性を調整し、組成物を塗布して得られる塗膜をより平坦にする機能を有する添加剤であり、例えば、シリコーン系、ポリアクリレート系及びパーフルオロアルキル系のレベリング剤が挙げられる。レベリング剤として市販品を用いてもよく、具体的には、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22-161A、KF6001(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF-4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製)、フロリナート(fluorinert)(登録商標)FC-72、同FC-40、同FC-43、同FC-3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)R-08、同R-30、同R-90、同F-410、同F-411、同F-443、同F-445、同F-470、同F-477、同F-479、同F-482、同F-483、同F-556(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S-381、同S-382、同S-383、同S-393、同SC-101、同SC-105、KH-40、SA-100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM-1000、BM-1100、BYK-352、BYK-353及びBYK-361N(いずれも商品名:BM Chemie社製)等が挙げられる。レベリング剤は単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の組成物がレベリング剤を含む場合において、レベリング剤の含有量は、重合性化合物(1)100質量部に対して、又は組成物が重合性モノマーを含む場合には重合性化合物(1)及び重合性モノマーの総量100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、0.05~3質量部がさらに好ましい。レベリング剤の含有量が、上記範囲内であると、得られる硬化層がより平滑となる傾向にあるため好ましい。
本発明の組成物は、さらに、増感剤を含んでもよく、増感剤を用いることにより、光重合開始剤を高感度化することができる。光増感剤としては、例えば、キサントン、チオキサントン等のキサントン類;アントラセンおよびアルキルエーテル等の置換基を有するアントラセン類;フェノチアジン;ルブレンが挙げられる。本発明の組成物がさらに光増感剤を含む場合において、光増感剤の含有量は、重合性化合物(1)100質量部に対して、又は組成物が重合性モノマーを含む場合には重合性化合物(1)及び重合性モノマーの総量100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.05~5質量部、さらに好ましくは0.1~3質量部であってよい。
本発明の組成物は、重合性化合物(1)と、重合開始剤、重合性モノマー、溶媒、重合禁止剤及びレベリング剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分、及び場合により含まれる光増感剤とを、撹拌等することにより得ることができる。
〔硬化層〕
本発明は、本発明の組成物の硬化物からなる硬化層も包含する。本発明の硬化層は、上述のように紫外線領域に吸収を示す重合性化合物(1)を含む本発明の組成物の硬化物からなるため、紫外線による液晶硬化層の光学特性の低下を抑制し得る。
本発明の一実施形態において、本発明の硬化層は、極大吸収波長(λmax)を紫外線領域、特に近紫外線領域に有することが好ましい。前記極大吸収波長(λmax)は、紫外可視分光光度計を用いて吸収スペクトルを測定することにより決定できる。
本発明の一実施形態において、硬化層の厚さは特に制限されないが、例えば0.1~20μm、好ましくは1~10μm、より好ましくは3~8μmであってよい。本発明の硬化層は、分子内にP及びPで表される重合性基を有する重合性化合物(1)を用いて形成されるため、硬化層から重合性化合物(1)がブリードアウトしにくく、硬化層中に多量の重合性化合物(1)を含有できるため、薄くても液晶硬化層の光学特性の低下を抑制する効果を高めやすい。
本発明の硬化層は、例えば、
本発明の組成物の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥する工程、及び
塗膜中の重合性化合物(1)及び場合により含まれる重合性モノマーを重合させ、硬化する工程
を含む方法により製造することができる。
前記組成物の塗膜は、基材上に本発明の組成物を塗布することにより形成することができる。
基材としては、例えば、ガラス基材やフィルム基材等が挙げられるが、加工性の観点から樹脂フィルム基材が好ましい。フィルム基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びノルボルネン系ポリマーのようなポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、及びセルロースアセテートプロピオネートのようなセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド及びポリフェニレンオキシドのようなプラスチックが挙げられる。このような樹脂を、溶媒キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜して基材とすることができる。基材表面には、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等から形成される保護層を有していてもよく、シリコーン処理のような離型処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。
基材として市販の製品を用いてもよい。市販のセルロースエステル基材としては、例えば、フジタックフィルムのような富士写真フィルム株式会社製のセルロースエステル基材;「KC8UX2M」、「KC8UY」、及び「KC4UY」のようなコニカミノルタオプト株式会社製のセルロースエステル基材などが挙げられる。市販の環状オレフィン系樹脂としては、たとえば、「Topas(登録商標)」のようなTicona社(独)製の環状オレフィン系樹脂;「アートン(登録商標)」のようなJSR株式会社製の環状オレフィン系樹脂;「ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)」、及び「ゼオネックス(ZEONEX)(登録商標)」のような日本ゼオン株式会社製の環状オレフィン系樹脂;「アペル」(登録商標)のような三井化学株式会社製の環状オレフィン系樹脂が挙げられる。市販されている環状オレフィン系樹脂基材を用いることもできる。市販の環状オレフィン系樹脂基材としては、「エスシーナ(登録商標)」及び「SCA40(登録商標)」のような積水化学工業株式会社製の環状オレフィン系樹脂基材;「ゼオノアフィルム(登録商標)」のようなオプテス株式会社製の環状オレフィン系樹脂基材;「アートンフィルム(登録商標)」のようなJSR株式会社製の環状オレフィン系樹脂基材が挙げられる。
本発明の組成物を基材に塗布する方法としては、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法等の塗布法、フレキソ法などの印刷法等の公知の方法が挙げられる。
次いで、基材上に形成された塗膜から溶媒を乾燥等により除去することにより、乾燥塗膜が形成される。乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法等が挙げられる。溶媒の除去は、組成物に含まれる重合性化合物(1)及び場合により含まれる重合性モノマーが重合しない条件で行うことが好ましい。乾燥温度は、好ましくは0~250℃、より好ましくは20~150℃、さらに好ましくは50~130℃である。乾燥時間は、好ましくは10秒間~10分間、より好ましくは30秒間~5分間である。
次いで、得られた乾燥塗膜において、重合性化合物(1)及び場合により含まれる重合性モノマーを重合させて硬化することにより、硬化層が得られる。重合方法としては、通常、光重合法が用いられる。光重合において、乾燥塗膜に照射する光としては、当該乾燥塗膜に含まれる光重合開始剤の種類、重合性化合物(1)及び重合性モノマーの種類(特に、該重合性化合物(1)及び重合性モノマーが有する重合性基の種類)及びその量に応じて適宜選択される。その具体例としては、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線及びγ線からなる群より選択される1種以上の光や活性電子線が挙げられる。なかでも、重合反応の進行を制御し易い点や、光重合装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましく、紫外光によって、光重合可能なように、重合性液晶組成物に含有される重合性液晶化合物や光重合開始剤の種類を選択しておくことが好ましい。
また、重合時に、適切な冷却手段により乾燥塗膜を冷却しながら光照射することで、重合温度を制御することもできる。このような冷却手段の採用により、より低温で重合性化合物(1)及び重合性モノマーの重合を実施すれば、基材が比較的耐熱性が低いものを用いたとしても、適切に硬化層を形成できる。また、光照射時の熱による不具合(基材の熱による変形等)が発生しない範囲で重合温度を高くすることにより重合反応を促進することも可能である。光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた硬化層を得てもよい。
前記活性エネルギー線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380~440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線照射強度は、通常、10~3,000mW/cmである。紫外線照射強度は、好ましくは光重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。光を照射する時間は、通常0.1秒~10分であり、好ましくは0.1秒~5分、より好ましくは0.1秒~3分、さらに好ましくは0.1秒~1分である。このような紫外線照射強度で1回又は複数回照射すると、その積算光量は、10~3,000mJ/cm、好ましくは50~2,000mJ/cm、より好ましくは100~1,000mJ/cmである。
〔楕円偏光板〕
本発明は、本発明の硬化層と、位相差フィルムと、偏光子とを備える楕円偏光板も包含する。本発明の楕円偏光板において、前記位相差フィルムは、重合性液晶化合物を含む組成物の硬化物からなる液晶硬化層を含む。
本発明の楕円偏光板は、本発明の硬化層を備えているため、楕円偏光板における液晶硬化層は紫外線により光学特性が低下しにくい。
本発明の楕円偏光板における位相差フィルムは、重合性液晶化合物を含む組成物(以下、重合性液晶組成物ともいう)の硬化物からなる液晶硬化層を含む。前記液晶硬化層は、重合性液晶組成物の硬化物であり、該重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物が配向した状態で硬化している。
重合性液晶組成物は、少なくとも1種の重合性液晶化合物を含む。重合性液晶化合物としては、所望する光学特性を有する液晶硬化層を形成し得るものであれば特に限定されず、光学フィルムの分野において従来公知の重合性液晶化合物を用いることができる。
本発明において重合性液晶化合物は、重合性基を有する液晶化合物を意味する。重合性液晶化合物としては、一般に、該重合性液晶化合物を単独で特定方向に配向した状態で重合することにより得られる重合体(硬化物)が、正波長分散性を示す重合性液晶化合物と逆波長分散性を示す重合性液晶化合物とが挙げられる。本発明においては、どちらか一方の種類の重合性液晶化合物のみを使用してもよく、両方の種類の重合性液晶化合物を混合して用いてもよい。一般に光学特性に優れる液晶硬化層が得られやすく、液晶硬化層としての光学特性を向上させやすい観点から、本発明において重合性液晶組成物は、硬化して得られる液晶硬化層が逆波長分散性を有するように重合性液晶化合物を選択することが好ましい。
逆波長分散性を示す液晶硬化層は、光学特性に優れる傾向がある一方、硬化して得られる液晶硬化層が逆波長分散性を有するような重合性液晶化合物は、300~400nmの波長領域に極大吸収波長を有していることが多いため、得られる液晶硬化層は紫外線により光学特性の低下が生じやすい傾向にある。このような紫外線により光学特性が低下しやすい逆波長分散性を示す液晶硬化層であっても、紫外線領域に吸収を示す本発明の硬化層を備える本発明の楕円偏光板は、液晶硬化層の紫外線による光学特性の低下を抑制しやすく、高い光学特性を維持し得る。
本発明においては、逆波長分散性を示す液晶硬化層を得やすい観点から、重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物のうちの少なくとも1種は、一方向に配向した状態で重合させたときに逆波長分散性の複屈折率を発現し得る重合性液晶化合物(以下、「重合性液晶化合物(A)」ともいう)であることが好ましい。本発明において、重合性液晶化合物(A)は、対象とする重合性液晶化合物を単独で配向した状態で重合することにより得られる単独重合体(液晶硬化層)が逆波長分散性を示す。逆波長分散性とは、短波長での面内位相差値の方が長波長での面内位相差値よりも小さくなる光学特性である。本発明において逆波長分散性を示す重合性液晶化合物(A)とは、具体的には、対象とする重合性液晶化合物を、塗工面に対して水平方向に配向した状態で単独重合させて得られる液晶硬化層が、下記式:
Re(450)<Re(550)<Re(650)
[式中、Re(λ)は波長λでの液晶硬化層の面内位相差値を表す]
を満たし得る化合物を意味する。なお、本明細書における「逆波長分散性を示す重合性液晶化合物」、「逆波長分散性を発現し得る重合性液晶化合物」などは、すべて上記と同様に、対象とする重合性液晶化合物を、塗工面に対して水平に配向した状態で単独重合させて得られる硬化膜が逆波長分散性を示す、すなわち、上記式を満たし得る化合物を意味する。
重合性液晶化合物(A)は、重合性基を有する液晶化合物である。重合性基は、重合開始剤から発生した反応活性種、例えば活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいい、例えばビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。本発明において重合性液晶化合物(A)は、分子内に2つ以上の重合性基を有することが好ましい。また、重合性液晶化合物(A)に含まれる重合性基の少なくとも1つが(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、重合性液晶化合物(A)に含まれる全ての重合性基が(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。なお、本明細書において(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
本発明において、重合性液晶化合物(A)が示す液晶性はサーモトロピック性液晶であってもよいし、リオトロピック性液晶であってもよいが、緻密な膜厚制御が可能な点でサーモトロピック性液晶が好ましい。また、サーモトロピック性液晶における相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。重合性液晶化合物(A)として、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性液晶化合物(A)としては、例えば、下記(ア)~(エ)の特徴を有する化合物が挙げられる。
(ア)ネマチック相又はスメクチック相を形成し得る化合物である。
(イ)該重合性液晶化合物の長軸方向(a)上にπ電子を有する。
(ウ)長軸方向(a)に対して交差する方向〔交差方向(b)〕上にπ電子を有する。
(エ)長軸方向(a)に存在するπ電子の合計をN(πa)、長軸方向に存在する分子量の合計をN(Aa)として下記式(i)で定義される重合性液晶化合物の長軸方向(a)のπ電子密度:
D(πa)=N(πa)/N(Aa) (i)
と、交差方向(b)に存在するπ電子の合計をN(πb)、交差方向(b)に存在する分子量の合計をN(Ab)として下記式(ii)で定義される重合性液晶化合物の交差方向(b)のπ電子密度:
D(πb)=N(πb)/N(Ab) (ii)
とが、式(iii)
0≦〔D(πa)/D(πb)〕<1 (iii)
の関係にある〔すなわち、交差方向(b)のπ電子密度が、長軸方向(a)のπ電子密度よりも大きい〕。また、上記記載のように長軸及びそれに対して交差方向上にπ電子を有する重合性液晶化合物は、一般にT字型の分子構造となりやすい。いわゆるT字型またはH型の分子構造を有する重合性液晶化合物は逆波長分散性を発現しやすく、T字型の分子構造を有する重合性液晶化合物はより強い逆波長分散性を発現する傾向にある。
上記(ア)~(エ)の特徴において、長軸方向(a)及びπ電子数Nは以下のように定義される。
・長軸方向(a)は、例えば棒状構造を有する化合物であれば、その棒状の長軸方向である。
・長軸方向(a)上に存在するπ電子数N(πa)には、重合反応により消失するπ電子は含まない。
・長軸方向(a)上に存在するπ電子数N(πa)には、長軸上のπ電子及びこれと共役するπ電子の合計数であり、例えば長軸方向(a)上に存在する環であって、ヒュッケル則を満たす環に存在するπ電子の数が含まれる。
・交差方向(b)に存在するπ電子数N(πb)には、重合反応により消失するπ電子は含まない。
上記を満たす重合性液晶化合物は、長軸方向にメソゲン構造を有している。このメソゲン構造によって、液晶相(ネマチック相、スメクチック相)を発現する。
上記(ア)~(エ)を満たす重合性液晶化合物は、基材又は配向膜上に塗布し、相転移温度以上に加熱することにより、ネマチック相やスメクチック相を形成することが可能である。この重合性液晶化合物が配向して形成されたネマチック相又はスメクチック相では通常、重合性液晶化合物の長軸方向が互いに平行になるように配向しており、この長軸方向がネマチック相の配向方向となる。このような重合性液晶化合物を膜状とし、ネマチック相又はスメクチック相の状態で重合させると、長軸方向(a)に配向した状態で重合した重合体からなる重合体膜を形成することができる。この重合体膜は、長軸方向(a)上のπ電子と交差方向(b)上のπ電子により紫外線を吸収する。ここで、交差方向(b)上のπ電子により吸収される紫外線の吸収極大波長をλbmaxとする。λbmaxは通常300nm~400nmである。π電子の密度は、上記式(iii)を満足していて、交差方向(b)のπ電子密度が長軸方向(a)のπ電子密度よりも大きいので、交差方向(b)に振動面を有する直線偏光紫外線(波長はλbmax)の吸収が、長軸方向(a)に振動面を有する直線偏光紫外線(波長はλbmax)の吸収よりも大きな重合体膜となる。その比(直線偏光紫外線の交差方向(b)の吸光度/長軸方向(a)の吸光度の比)は、例えば1.0超、好ましくは1.2以上、通常30以下であり、例えば10以下である。
上記特徴を有する重合性液晶化合物は、一般に、一方向に配向した状態で重合させたときにその重合体の複屈折率が逆波長分散性を示すものであることが多い。
そのような重合性液晶化合物(A)として、具体的には例えば、下記式(A1):
Figure 2022065984000029
で表される化合物が挙げられる。
式(A1)中、Arは置換基を有していてもよい芳香環を含む2価の基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、芳香環を含む2価の基又は2価の脂環式炭化水素基を表す。ここで、該芳香環を含む2価の基又は二価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよく、該芳香環を含む2価の基又は二価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子に置換されていてもよい。
及びLは、それぞれ独立に、エステル構造を有する二価の連結基である。
及びBは、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基である。
k、lは、それぞれ独立に0~3の整数を表し、1≦k+lの関係を満たす。ここで、2≦k+lである場合、B及びB、G及びGは、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
及びEは、それぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基を表し、ここで、炭素数4~12のアルカンジイル基がより好ましい。また、アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-SiH-、-C(=O)-で置換されていてもよい。
及びPは、それぞれ独立に、光重合性基又は水素原子を表し、少なくとも1つは(メタ)アクリロイル基である。
式(A1)中のArとしては、好ましい態様も含め、重合性化合物(1)における式(1)中のArと同様の基が挙げられる。
式(A1)中、G及びGは、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子及び炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-フェニレンジイル基、ハロゲン原子及び炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-シクロヘキサンジイル基であり、より好ましくはメチル基で置換された1,4-フェニレンジイル基、無置換の1,4-フェニレンジイル基、又は無置換の1,4-trans-シクロヘキサンジイル基であり、特に好ましくは無置換の1,4-フェニレンジイル基、又は無置換の1,4-trans-シクロへキサンジイル基である。
また、複数存在するG及びGのうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、また、L又はLに結合するG及びGのうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
式(A1)中、L及びLは、それぞれ独立に、好ましくは-Ra1COORa2-(Ra1及びRa2はそれぞれ独立に単結合又は炭素数1~4のアルキレン基を表す)であり、より好ましくは-COORa2-1-(Ra2-1は単結合、-CH-、-CHCH-のいずれかを表す)であり、さらに好ましくは-COO-又は-COOCHCH-である。
式(A1)中、B及びBは、それぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra3ORa4-、-Ra5COORa6-、-Ra7OCORa8-、又は-Ra9OC=OORa10-である。ここで、Ra3~Ra10はそれぞれ独立に単結合、又は炭素数1~4のアルキレン基を表す。B及びBはそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa4-1-、-CH-、-CHCH-、-COORa6-1-、又は-OCORa8-1-である。ここで、Ra4-1、Ra6-1、Ra8-1はそれぞれ独立に単結合、-CH-、-CHCH-のいずれかを表す。B及びBはそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CHCH-、-COO-、-COOCHCH-、-OCO-又は-OCOCHCH-である。
式(A1)中、k及びlは、逆波長分散性発現の観点から2≦k+l≦6の範囲が好ましく、k+l=4であることが好ましく、k=2かつl=2であることがより好ましい。k=2かつl=2であると対称構造となるため好ましい。
式(A1)中、P又はPで表される光重合性基としては、エポキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基、オキシラニル基、及びオキセタニル基等が挙げられる。P又はPのうち、少なくとも1つは(メタ)アクリロイル基であり、P及びPはいずれも(メタ)アクリロイル基が好ましく、アクリロイル基がより好ましい。
本発明の一実施形態において、重合性液晶化合物は、式(4-1)、式(4-2)及び式(4-3)のいずれかで表される2価の基を有することが好ましい。
Figure 2022065984000030
[式(4-1)~式(4-3)中の*、A、A、A、A、X、Y、Y、Q、Q、R、R、R、R及びRは、式(3-1)~式(3~3)の*、A、A、A、A、X、Y、Y、Q、Q、R、R、R、R及びRと同じ意味を表す]
また、本発明の一実施形態において、重合性液晶化合物は、式(A1)中のArは式(4-1)、式(4-2)及び式(4-3)のいずれかで表されることが好ましい。式(4-1)~式(4-3)で表される2価の基としては、好ましい態様も含め、重合性化合物(1)における式(3-1)~式(3~3)で表される基と同様の基が挙げられる。
本発明において、式(A1)で表される重合性液晶化合物としては、特開2019-003177号公報、特開2019-073496号公報等に記載されるような化合物が挙げられる。
上記重合性液晶化合物(A)の他に、重合性液晶組成物に用い得る重合性液晶化合物としては、例えば、特開2010-31223号公報、特開2010-270108号公報、特開2011-6360号公報及び特開2011-207765号公報に記載されるような重合性液晶化合物、正波長分散性を示す重合性液晶化合物等が挙げられる。このような重合性液晶化合物を単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物の含有量は、重合性液晶組成物の固形分100質量部に対して、例えば70~99.5質量部であり、好ましくは80~99質量部であり、より好ましくは85~98質量部であり、さらに好ましくは90~95質量部である。重合性液晶化合物の含有量が上記範囲内であれば、得られる液晶硬化層の配向性の観点から有利である。なお、本明細書において、重合性液晶組成物の固形分とは、重合性液晶組成物から有機溶媒等の揮発性成分を除いた全ての成分を意味する。
重合性液晶組成物は重合開始剤を含んでよい。重合開始剤としては、重合性化合物(1)を含む組成物に含まれ得る重合開始剤と同様のものが挙げられる。
重合性液晶組成物が重合開始剤を含む場合、重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは7質量部以下である。上記範囲内であれば、重合性基の反応が十分に進行し、かつ、重合性液晶化合物の配向を乱し難い。
重合性液晶組成物は、通常、溶媒に溶解した状態で基材等に塗布されるため、溶媒を含むことが好ましい。溶媒としては、重合性化合物(1)を含む組成物に含まれ得る溶媒と同様のものが挙げられる。
重合性液晶組成物が溶媒を含む場合において、溶媒の含有量は、重合性液晶組成物全体100質量%に対して、好ましくは50~98質量%、より好ましくは70~95質量%である。したがって、組成物全体100質量%に対して、組成物の固形分は好ましくは2~50質量%、より好ましくは5~30質量%である。固形分が50質量%以下であると、重合性液晶組成物の粘度が低くなることから、膜の厚みが略均一になり、ムラが生じ難くなる傾向がある。上記固形分は、製造しようとする液晶硬化層の厚みを考慮して適宜定めることができる。
重合性液晶組成物はレベリング剤を含んでよい。レベリング剤としては、重合性化合物(1)を含む組成物に含まれ得るレベリング剤と同様のものが挙げられる。
重合性液晶組成物がレベリング剤を含む場合において、レベリング剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.001~5質量部が好ましく、0.05~3質量部がさらに好ましい。レベリング剤の含有量が、上記範囲内であると、重合性液晶化合物を配向させることが容易であり、かつ得られる液晶硬化層がより平滑となる傾向にあるため好ましい。
また、重合性液晶組成物は光増感剤を含んでよく、光増感剤を用いることにより、光重合開始剤を高感度化することができる。光増感剤としては、重合性化合物(1)を含む組成物に含まれ得る光増感剤と同様のものが挙げられる。
重合性液晶組成物が光増感剤を含む場合において、光増感剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.01~10質量部であり、好ましくは0.05~5質量部であり、さらに好ましくは0.1~3質量部である。
重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物と、必要に応じて含まれる重合開始剤、溶媒、レベリング剤等の重合性液晶化合物以外の成分とを所定温度で撹拌等することにより得ることができる。
本発明の一実施形態において、液晶硬化層は、重合性液晶組成物の硬化物であり、式(5)~(7)で表される光学特性を有することが好ましい。該液晶硬化層は、通常、重合性液晶化合物が該液晶硬化層平面に対して水平方向に配向した状態で硬化してなる硬化物(以下、「水平配向液晶硬化層」ともいう)である。
Re(450)/Re(550)≦1.00 (5)
1.00≦Re(650)/Re(550) (6)
100nm≦Re(550)≦180nm (7)
[式中、Re(λ)は、液晶硬化層の波長λnmにおける面内位相差値を表し、
Re=(nx(λ)-ny(λ))×dであり、
dは、液晶硬化層の厚みを表し、
nxは、液晶硬化層が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化層の平面に平行な方向の波長λnmにおける主屈折率を表し、
nyは、液晶硬化層が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化層の平面に対して平行であり、且つ、前記nxの方向に対して直交する方向の波長λnmにおける屈折率を表す]
水平配向液晶硬化層が式(5)及び(6)を満たす場合、当該水平配向液晶硬化層は、短波長での面内位相差値が長波長での面内位相差値よりも小さくなる、いわゆる逆波長分散性を示す。逆波長分散性が向上し、液晶硬化層(位相差フィルム)の光学特性がより向上することから、Re(450)/Re(550)は、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.78以上であり、また、好ましくは0.92以下、より好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.88以下、特に好ましくは0.87以下、より特に好ましくは0.86以下である。また、Re(650)/Re(550)は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.01以上であり、さらに好ましくは1.02以上である。
上記面内位相差値は、水平配向液晶硬化層の厚さdによって調整することができる。面内位相差値は、上記式Re(λ)=(nx(λ)-ny(λ))×dによって決定されることから、所望の面内位相差値(Re(λ):波長λ(nm)における水平配向液晶硬化層の面内位相差値)を得るには、3次元屈折率と厚さdとを調整すればよい。
また、水平配向液晶硬化層が式(7)を満たす場合、該水平配向液晶硬化層を含む位相差フィルムを備える楕円偏光板を有機EL表示装置に適用した場合の正面反射色相の向上効果(着色を抑制させる効果)に優れる。面内位相差値のより好ましい範囲は、120nm≦Re(550)≦170nmであり、さらに好ましい範囲は130nm≦Re(550)≦150nmである。
液晶硬化層は、例えば、
重合性液晶組成物の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥し、かつ、該重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物を配向させる工程、及び、
配向状態を保持したまま重合性液晶化合物を重合させ、液晶硬化膜を形成する工程
を含む方法により製造することができる。
重合性液晶組成物の塗膜は、基材上又は後述する配向膜上などに重合性液晶組成物を塗布することにより形成することができる。前記基材としては、重合性化合物(1)を含む組成物からなる硬化層の製造に用い得る基材として先に例示した基材が挙げられる。
得られる楕円偏光板の薄型化、基材の剥離容易性、基材のハンドリング性等の観点から、基材の厚さは、通常、5~300μmであり、好ましくは10~150μmである。
重合性液晶組成物を基材等に塗布する方法としては、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法等の公知の方法が挙げられる。
次いで、溶媒を乾燥等により除去することにより、乾燥塗膜が形成される。乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法等が挙げられる。この際、重合性液晶組成物から得られた塗膜を加熱することにより、塗膜から溶媒を乾燥除去させるとともに重合性液晶化合物を塗膜平面に対して所望の方向(例えば、水平方向)に配向させることができる。塗膜の加熱温度は、用いる重合性液晶化合物及び塗膜を形成する基材等の材質などを考慮して、適宜決定し得るが、重合性液晶化合物を液晶相状態へ相転移させるために、通常、液晶相転移温度以上の温度であることが必要である。重合性液晶組成物に含まれる溶媒を除去しながら、重合性液晶化合物を所望の配向状態とするため、例えば、前記重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物の液晶相転移温度(スメクチック相転移温度又はネマチック相転移温度)程度以上の温度まで加熱することができる。
なお、液晶相転移温度は、例えば、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡や、示差走査熱量計(DSC)、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)等を用いて測定することができる。また、重合性液晶化合物として2種以上を組み合わせて用いる場合、上記相転移温度は、重合性液晶組成物を構成する全重合性液晶化合物を重合性液晶組成物における組成と同じ比率で混合した重合性液晶化合物の混合物を用いて、1種の重合性液晶化合物を用いる場合と同様にして測定される温度を意味する。また、一般に重合性液晶組成物中における重合性液晶化合物の液晶相転移温度は、重合性液晶化合物単体としての液晶相転移温度よりも下がる場合もあることが知られている。
加熱時間は、加熱温度、用いる重合性液晶化合物の種類、溶媒の種類やその沸点及びその量等に応じて適宜決定し得るが、通常、15秒~10分であり、好ましくは0.5~5分である。
塗膜からの溶媒の除去は、重合性液晶化合物の液晶相転移温度以上への加熱と同時に行ってもよいし、別途で行ってもよいが、生産性向上の観点から同時に行うことが好ましい。重合性液晶化合物の液晶相転移温度以上への加熱を行う前に、重合性液晶組成物から得られた塗膜中に含まれる重合性液晶化合物が重合しない条件で塗膜中の溶媒を適度に除去させるための予備乾燥工程を設けてもよい。かかる予備乾燥工程における乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法等が挙げられ、該乾燥工程における乾燥温度(加熱温度)は、用いる重合性液晶化合物の種類、溶媒の種類やその沸点及びその量等に応じて適宜決定し得る。
次いで、得られた乾燥塗膜において、重合性液晶化合物の配向状態を保持したまま、重合性液晶化合物を重合させることにより、所望の配向状態で存在する重合性液晶化合物の重合体である液晶硬化膜が形成される。重合方法としては、通常、光重合法が用いられる。光重合において、乾燥塗膜に照射する光としては、当該乾燥塗膜に含まれる光重合開始剤の種類、重合性液晶化合物の種類(特に、該重合性液晶化合物が有する重合性基の種類)及びその量に応じて適宜選択される。その具体例としては、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線及びγ線からなる群より選択される1種以上の光や活性電子線が挙げられる。中でも、重合反応の進行を制御し易い点や、光重合装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましく、紫外光によって、光重合可能なように、重合性液晶組成物に含有される重合性液晶化合物や光重合開始剤の種類を選択しておくことが好ましい。
また、重合時に、適切な冷却手段により乾燥塗膜を冷却しながら光照射することで、重合温度を制御することもできる。このような冷却手段の採用により、より低温で重合性液晶化合物の重合を実施すれば、基材が比較的耐熱性が低いものを用いたとしても、適切に液晶硬化膜層を形成できる。また、光照射時の熱による不具合(基材の熱による変形等)が発生しない範囲で重合温度を高くすることにより重合反応を促進することも可能である。光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた硬化層を得ることもできる。
前記活性エネルギー線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380~440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線照射強度は、通常、10~3,000mW/cmである。紫外線照射強度は、好ましくは光重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。光を照射する時間は、通常0.1秒~10分であり、好ましくは0.1秒~5分、より好ましくは0.1秒~3分、さらに好ましくは0.1秒~1分である。このような紫外線照射強度で1回又は複数回照射すると、その積算光量は、10~3,000mJ/cm、好ましくは50~2,000mJ/cm、より好ましくは100~1,000mJ/cmである。
液晶硬化層の厚みは、適用される表示装置に応じて適宜選択でき、好ましくは0.2~3μm、より好ましくは0.2~2μmである。
重合性液晶組成物の塗膜は配向膜上に形成されてもよい。配向膜は、重合性液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有するものである。例えば、重合性液晶組成物から、上記式(5)~(7)を満たすような水平配向液晶硬化層を作製する際には、重合性液晶化合物を水平方向に配向させる配向規制力を有する水平配向膜を用いることが好ましい。配向規制力は、配向膜の種類、表面状態やラビング条件等によって任意に調整することが可能であり、配向膜が光配向性ポリマーから形成されている場合は、偏光照射条件等によって任意に調整することが可能である。
配向膜としては、重合性液晶組成物の塗布等により溶解しない溶媒耐性を有し、また、溶媒の除去や重合性液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。配向膜としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜及び表面に凹凸パターンや複数の溝を有するグルブ配向膜、配向方向に延伸してある延伸フィルム等が挙げられ、配向角の精度及び品質の観点から光配向膜が好ましい。
配向性ポリマーとしては、例えば、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸エステル類が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。配向性ポリマーは単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
配向性ポリマーを含む配向膜は、通常、配向性ポリマーが溶媒に溶解した組成物(以下、「配向性ポリマー組成物」ということがある)を基材に塗布し、溶媒を除去する、又は、配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶媒を除去し、ラビングする(ラビング法)ことで得られる。溶媒としては、重合性液晶組成物に用い得る溶媒として先に例示した溶媒と同様のものが挙げられる。
配向性ポリマー組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマー材料が、溶媒に完溶できる範囲であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1~20%が好ましく、0.1~10%程度がさらに好ましい。
配向性ポリマー組成物として、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)、オプトマー(登録商標、JSR(株)製)等が挙げられる。
配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法としては、重合性液晶組成物を基材へ塗布する方法として例示したものと同様のものが挙げられる。
配向性ポリマー組成物に含まれる溶媒を除去する方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法等が挙げられる。
配向膜に配向規制力を付与するために、必要に応じてラビング処理を行うことができる(ラビング法)。ラビング法により配向規制力を付与する方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、配向性ポリマー組成物を基材に塗布しアニールすることで基材表面に形成された配向性ポリマーの膜を接触させる方法が挙げられる。ラビング処理を行う時に、マスキングを行えば、配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を配向膜に形成することもできる。
光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマー又はモノマーと溶媒とを含む組成物(以下、「光配向膜形成用組成物」ともいう)を基材に塗布し、溶媒を除去後に偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜は、照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御することができる点でも有利である。
光反応性基とは、光照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光照射により生じる分子の配向誘起又は異性化反応、二量化反応、光架橋反応もしくは光分解反応等の液晶配向能の起源となる光反応に関与する基が挙げられる。中でも、二量化反応又は光架橋反応に関与する基が、配向性に優れる点で好ましい。光反応性基として、不飽和結合、特に二重結合を有する基が好ましく、炭素-炭素二重結合(C=C結合)、炭素-窒素二重結合(C=N結合)、窒素-窒素二重結合(N=N結合)及び炭素-酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも1つを有する基が特に好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、カルコン基及びシンナモイル基等が挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾンなどの構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基、及び、アゾキシベンゼン構造を有する基等が挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基及びマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基などの置換基を有していてもよい。
中でも、光二量化反応に関与する光反応性基が好ましく、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向膜が得られやすいという点で、シンナモイル基及びカルコン基が好ましい。光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
光配向膜形成用組成物を基材上に塗布することにより、基材上に光配向誘起層を形成することができる。該組成物に含まれる溶媒としては、重合性液晶組成物に用い得る溶媒として先に例示した溶媒と同様のものが挙げられ、光反応性基を有するポリマーあるいはモノマーの溶解性に応じて適宜選択することができる。
光配向膜形成用組成物中の光反応性基を有するポリマー又はモノマーの含有量は、ポリマー又はモノマーの種類や目的とする光配向膜の厚みによって適宜調節できるが、光配向膜形成用組成物の質量に対して、少なくとも0.2質量%とすることが好ましく、0.3~10質量%の範囲がより好ましい。光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、光配向膜形成用組成物は、ポリビニルアルコールやポリイミドなどの高分子材料や光増感剤を含んでいてもよい。
光配向膜形成用組成物を基材に塗布する方法としては、配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法と同様の方法が挙げられる。塗布された光配向膜形成用組成物から、溶媒を除去する方法としては例えば、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法等が挙げられる。
偏光を照射するには、基材上に塗布された光配向膜形成用組成物から、溶媒を除去したものに直接、偏光UVを照射する形式でも、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であると特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマー又はモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250~400nmの範囲のUV(紫外線)が特に好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArFなどの紫外光レーザーなどが挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ及びメタルハライドランプがより好ましい。これらの中でも、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ及びメタルハライドランプが、波長313nmの紫外線の発光強度が大きいため好ましい。前記光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光UVを照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテーラーなどの偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
なお、ラビング又は偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、液晶配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
グルブ(groove)配向膜は、膜表面に凹凸パターン又は複数のグルブ(溝)を有する膜である。等間隔に並んだ複数の直線状のグルブを有する膜に重合性液晶化合物を塗布した場合、その溝に沿った方向に液晶分子が配向する。
グルブ配向膜を得る方法としては、感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像及びリンス処理を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、硬化前のUV硬化樹脂の層を形成し、形成された樹脂層を基材へ移してから硬化する方法、及び、基材に形成した硬化前のUV硬化樹脂の膜に、複数の溝を有するロール状の原盤を押し当てて凹凸を形成し、その後硬化する方法等が挙げられる。
配向膜(配向性ポリマーを含む配向膜又は光配向膜)の厚みは、通常10~10000nmの範囲であり、好ましくは10~1000nmの範囲であり、より好ましくは10~500nm以下であり、さらに好ましくは10~300nm、特に好ましい50~250nmの範囲である。
本発明の楕円偏光板において、硬化層の吸収波長と液晶硬化層の吸収波長とは同じであることが好ましい。楕円偏光板において、硬化層の吸収波長と液晶硬化層の吸収波長とが一致、又は近似していると、楕円偏光板が光(紫外線)に曝露された際に、紫外線領域の波長を有する光を硬化層が液晶硬化層より先に吸収し得るため、紫外線による液晶硬化層の光学特性の低下を抑制しやすい。
本発明の一実施形態において、液晶硬化層の光学特性の低下を抑制しやすい観点から、楕円偏光板における硬化層を形成する重合性化合物(1)は、液晶硬化層を形成する重合性液晶化合物の少なくとも一部と同じ構造を有することが好ましい。例えば、液晶硬化層を形成する重合性液晶化合物が上記式(4-1)~式(4-3)のいずれかで表される構造を有する場合には、硬化層を形成する重合性化合物(1)は、式(4-1)~式(4-3)のいずれかで表される構造に対応する構造を有していればよく、重合性化合物(1)中のArが式(3-1)~式(3-3)のいずれかで表される基であってもよい。
本発明の一実施形態において、楕円偏光板における硬化層を形成する重合性化合物(1)に含まれるArは、液晶硬化層を形成する重合性液晶化合物のコア部構造と同じ構造を含むことが好ましい。本発明において、重合性液晶化合物のコア部構造は、該重合性液晶化合物により形成される液晶硬化層において、前記nyを発現し得る部分であり、例えば重合性液晶化合物が式(A1)で表される場合におけるコア部構造は、式(A1)中のArで表される構造を意味する。重合性化合物(1)におけるArに含まれる重合性液晶化合物のコア部構造と同じ構造は、重合性化合物(1)の主鎖を構成する構造として含まれていても、重合性化合物(1)の側鎖として含まれていてもよい。例えば、重合性液晶化合物のコア部構造が式(4-1)で表される構造である場合、重合性液晶化合物のコア部構造と同じ構造とは、結合手を除く式(4-1)で表される構造を意味し、該構造は、重合性化合物(1)の主鎖を構成する構造として含まれていても、重合性化合物(1)の側鎖に含まれていてもよい。重合性化合物(1)中のArが重合性液晶化合物のコア部構造と同じ構造を含む場合、液晶硬化層と硬化層の吸収波長が一致、又は液晶硬化層の吸収波長が硬化層の吸収波長に包含されるため、紫外線による液晶硬化層の光学特性の低下を抑制しやすい。
偏光子は、偏光機能を有するものであり、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムや吸収異方性を有する色素を塗布したフィルム等が挙げられる。吸収異方性を有する色素としては、例えば、二色性色素が挙げられる。
吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムは通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造できる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することによって得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体が用いられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85~100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールも使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000~10,000程度であり、好ましくは1,500~5,000の範囲である。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光子の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、例えば、10~150μm程度とすることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、又は染色の後で行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶媒を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3~8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、例えば、二色性色素を含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法によって行われる。
二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性の有機染料が用いられる。二色性の有機染料としては、C.I.DIRECT RED 39などのジスアゾ化合物からなる二色性直接染料及び、トリスアゾ、テトラキスアゾなどの化合物からなる二色性直接染料等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理前に、水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100質量部あたり、通常、0.01~1質量部程度である。またヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常、0.5~20質量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20~40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20~1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性の有機染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性有機染料の含有量は、水100質量部あたり、通常、1×10-4~10質量部程度であり、好ましくは1×10-3~1質量部であり、さらに好ましくは1×10-3~1×10-2質量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含んでいてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常、20~80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、10~1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬する方法により行うことができる。このホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100質量部あたり、通常2~15質量部程度であり、好ましくは5~12質量部である。二色性色素としてヨウ素を用いた場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましく、その場合のヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常0.1~15質量部程度であり、好ましくは5~12質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常60~1,200秒程度であり、好ましくは150~600秒、さらに好ましくは200~400秒である。ホウ酸処理の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50~85℃、さらに好ましくは60~80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬する方法により行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常5~40℃程度である。また浸漬時間は、通常1~120秒程度である。
水洗後に乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。乾燥処理は例えば、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30~100℃程度であり、好ましくは50~80℃である。乾燥処理の時間は、通常60~600秒程度であり、好ましくは120~600秒である。乾燥処理により、偏光子の水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常5~20質量%程度であり、好ましくは8~15質量%である。水分率が上記範囲内であると、適度な可撓性を有し、かつ、熱安定性に優れる偏光子が得られやすい。
こうしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、ホウ酸処理、水洗及び乾燥をして得られる偏光子の厚さは好ましくは5~40μmである。
吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、液晶性を有する二色性色素を含む組成物又は、二色性色素と重合性液晶とを含む組成物を塗布して得られるフィルム等が挙げられる。当該フィルムは、好ましくは、その片面又は両面に保護フィルムを有する。当該保護フィルムとしては、液晶硬化層の製造に用い得る基材として先に例示した樹脂フィルムと同一のものが挙げられる。
吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムは薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。当該フィルムの厚さは、通常20μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは0.5~3μmである。
前記吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、具体的には、特開2012-33249号公報等に記載のフィルムが挙げられる。
このようにして得られた偏光子の少なくとも一方の面に、接着剤を介して透明保護フィルム等を積層することにより偏光板を作製してもよい。透明保護フィルムとしては、液晶硬化層の製造に用い得る基材として先に例示した樹脂フィルムと同様の透明フィルムを好ましく用いることができる。
本発明の楕円偏光板は、本発明の硬化層と、位相差フィルムと偏光子とを備えるものであり、例えば本発明の硬化層、位相差フィルム(液晶硬化層)及び偏光子を接着剤層又は粘着剤層等を介して積層させることにより本発明の楕円偏光板を得ることができる。
本発明の一実施形態において、水平配向液晶硬化層(位相差フィルム)と偏光子とが積層される場合、水平配向液晶硬化層の遅相軸(光軸)と偏光子の吸収軸との成す角が45±5°となるように積層することが好ましい。
本発明の楕円偏光板は、従来の一般的な楕円偏光板、又は偏光板及び位相差板が備えるような構成を有していてよい。そのような構成としては、例えば、楕円偏光板を有機EL等の表示素子に貼合するための粘着剤層(シート)、偏光フィルムや位相差板(液晶硬化膜)の表面を傷や汚れから保護する目的で用いられるプロテクトフィルム等が挙げられる。
本発明の楕円偏光板は、さまざまな表示装置に用いることができる。したがって、本発明は、本発明の楕円偏光板を備える表示装置も包含する。本発明の表示装置は、本発明の硬化層によって液晶硬化層の劣化を引き起こす紫外線を吸収して、液晶硬化層の光学特性の低下を抑制しやすい観点から、本発明の硬化層は、位相差フィルムに対して視認側に配置されていることが好ましい。
表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子又は発光装置を含む。表示装置としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、タッチパネル表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FED)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置)及び圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置及び投射型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。特に本発明の楕円偏光板は有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に好適に用いることができ、本発明の液晶硬化膜は液晶表示装置及びタッチパネル表示装置に好適に用いることができる。これらの表示装置は、光学特性に優れる本発明の楕円偏光板を備えることにより、良好な画像表示特性を発現することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。なお、例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、それぞれ質量%及び質量部を意味する。
〔実施例1〕
1.光学フィルムの作製
1-1.式(A-1)で表される化合物の合成
下記式(A-1)で表される重合性化合物(以下、「重合性化合物(A-1)」という)を以下のスキームに従い合成した。
Figure 2022065984000031
ジムロート冷却管及び温度計を設置した100mLの四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気とし、特許文献(特開2019-003177)を参考に合成した式(G-1)で表される化合物5.00部、トリエチルアミン(富士フイルム和光純薬工業(株)製)6.93部、ジブチルヒドロキシトルエン(富士フイルム和光純薬工業(株)製)0.17部、及びジメチルホルムアミド(富士フイルム和光純薬工業(株)製)20部を添加し、混合した。その後、前記混合物に、アクリル酸クロリド(東京化成工業(株)製)2.89gを、滴下漏斗を用いてさらに添加し、これらを0℃で一晩反応させた。反応終了後、得られた反応液に10%硫酸水を加えて晶析し、溶解成分を除去した。得られた固体を水洗浄したのち、クロロホルム(関東化学工業(株)製)に溶解させて、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)によって分離した。クロロホルムをエバポレーターにて留去したのち、40℃で減圧乾燥することにより、重合性化合物(A-1)を1.70g得た。重合性化合物(A-1)の収率は、化合物(G-1)基準で26%であった。重合性化合物(A-1)の分子量は436.5であった。
重合性化合物(A-1)1mgを50mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、THF溶液を調製した。光路長1cmの測定用セルに測定用試料として該THF溶液を入れ、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットして吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから吸光度が極大となる波長を読み取ったところ、重合性化合物(A-1)の波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは350nmであった。
1-2.光学フィルム(1)の作製
得られた重合性化合物(A-1)16.7質量部に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート83.3質量部を混合し、混合物(1)(合計100質量部)を得た。
得られた混合物(1)に、重合開始剤、レベリング剤、重合禁止剤及び溶剤を表1に記載の組成に従って仕込み、硬化層形成用組成物(1)を調製した。なお、表1に示す重合開始剤、レベリング剤及び重合禁止剤の量は混合物(1)100質量部に対する仕込み量である。また、溶剤の配合量は組成物(1)の固形分の質量%が組成物(1)全量に対して30質量%となるように設定した。
Figure 2022065984000032
重合開始剤:2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア369;BASFジャパン社製)
レベリング剤:ポリアクリレート化合物(BYK-361N;ビックケミージャパン製)
重合禁止剤:ジブチルヒドロキシトルエン(BHT;富士フイルム和光純薬株式会社製)
溶剤:シクロペンタノン(CYP;関東化学株式会社製)
以下のように光学フィルムを製造した。
シクロオレフィンポリマーフィルム(COP)(ZF-14、日本ゼオン株式会社製)を、コロナ処理装置(春日電機株式会社製のAGF-B10)を用いて、出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回処理した。コロナ処理を施したCOP表面に、前記硬化層形成用組成物(1)を、該硬化層形成用組成物(1)の硬化物からなる硬化層の厚さが3~8μmとなるようにバーコーター塗布し、80℃で1分間乾燥し、高圧水銀ランプ(ウシオ電機株式会社製のユニキュアVB-15201BY-A)を用いて紫外線を500mJ/cm照射することにより、前記硬化層形成用組成物(1)の硬化物からなる硬化層とCOPとからなる光学フィルム(1)を作製した。
2.偏光板の作製
2-1.偏光子の作製
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ30μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素:ヨウ素カリウム:水の質量比が0.02:2:100の水溶液に30℃で浸漬してヨウ素染色を行った(以下、ヨウ素染色工程ともいう)。ヨウ素染色工程を経たポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ化カリウム:ホウ酸:水の質量比が12:5:100の水溶液に56.5℃で浸漬してホウ酸処理を行った(以下、ホウ酸処理工程ともいう)。ホウ酸処理工程を経たポリビニルアルコールフィルムを8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子(延伸後の厚さ12μm)を得た。この際、ヨウ素染色工程及びホウ酸処理工程において延伸を行った。かかる延伸におけるトータル延伸倍率は5.3倍であった。
2-2.偏光板(1)の作製
得られた偏光子の両面に、ケン化処理されたトリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ株式会社製 KC4UYTAC 40μm)を、水系接着剤を介してニップロールでそれぞれ貼り合わせた。得られた貼合物の張力を430N/mに保ちながら、60℃で2分間乾燥することにより、両面に保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムを有する、厚さ92μmの偏光板(1)を得た。なお、前記水系接着剤は水100部に、カルボキシ基変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製 クラレポバール KL318)3部、及び水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(田岡化学工業株式会社製 スミレーズレジン650 固形分濃度30%の水溶液)1.5部を添加して調製したものを用いた。
得られた偏光板(1)について、分光光度計(V7100、日本分光株式会社製)を使用して光学特性の測定を行った。偏光板(1)の視感度補正単体透過率は42.1%、視感度補正偏光度は99.996%、単体色相aは-1.1、単体色相bは3.7であった。
3.光学フィルム付き偏光板の作製
偏光板(1)の一方の面に、第1粘着剤層として粘着剤層A(P-3132;リンテック株式会社製)を積層した。この第1粘着剤層を介して、偏光板(1)に光学フィルム(1)のCOP面を積層した。また、さらに偏光板(1)の他方の面に第2粘着剤層として粘着剤層Aを積層し、該第2粘着剤層にセパレートフィルムを積層した。
こうして、光学フィルム(1)、第1粘着剤層、保護フィルム、偏光子、保護フィルム、第2粘着剤層、セパレートフィルムをこの順に含む光学フィルム付き偏光板(1)を作製した。
4.位相差フィルムの作製
4-1.水平配向膜形成用組成物の調製
下記の化学構造を有する光配向性材料5部とシクロペンタノン(溶剤)95部とを混合し、得られた混合物を80℃で1時間撹拌することにより、水平配向膜形成用組成物を得た。下記光配向性材料は、特開2013-33248号公報記載の方法で合成した。
光配向性材料:
Figure 2022065984000033
4-2.重合性液晶化合物を含む組成物の調製
特開2011-207765号公報に記載の方法に準じて、下記の化学構造を有する重合性液晶化合物A合成した。
重合性液晶化合物A:
Figure 2022065984000034
得られた重合性液晶化合物Aの1mg/50mLテトラヒドロフラン溶液を調製し、光路長1cmの測定用セルに測定用試料として該溶液を入れ、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットして吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから吸光度が極大となる波長を読み取ったところ、重合性液晶化合物Aの波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは350nmであった。
重合性液晶化合物A 100質量部に対して、ポリアクリレート化合物(レベリング剤)(BYK-361N;BYK-Chemie社製)0.01質量部、光重合開始剤(イルガキュアOXE-03;BASFジャパン株式会社製)3.0質量部を混合した。さらに、固形分濃度が13%となるように溶剤としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加し、80℃で1時間撹拌することにより、重合性液晶化合物Aを含む重合性液晶組成物を得た。
4-3.位相差フィルム(1)の作製
基材フィルムとしての厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを準備した。この基材フィルムの表面に、バーコーターを用いて上述した水平配向膜形成用組成物を塗布し、80℃で1分間乾燥した後、偏光UV照射装置(ウシオ電機株式会社製の偏光子ユニット付SPOT CURESP-7)を用いて100mJ/cmの積算光量で偏光UV露光を実施して水平配向膜を得た。得られた水平配向膜の膜厚は、122nmであった。
次いで、得られた水平配向膜の表面を、コロナ処理装置を用いてコロナ処理した。コロナ処理を施した水平配向膜上にバーコーターを用いて上述した重合性液晶組成物を塗布した。塗布面を120℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプ(ウシオ電機株式会社製のユニキュアVB-15201BY-A)を用いて、塗布面側から紫外線を800mJ/cm照射することにより、液晶硬化層(位相差層)を形成した。液晶硬化層は、λ/4板であり、逆波長分散性を示した。このようにして、基材フィルム、水平配向膜、液晶硬化層(位相差層)をこの順に備える位相差フィルム(転写型光学機能膜)を得た。
5.楕円偏光板の作製
光学フィルム付き偏光板からセパレートフィルムを剥がし、第2粘着剤層を露出させ、位相差フィルムの液晶硬化層(位相差層)面に、第2粘着剤層を貼り合わせた。この際、液晶硬化層(位相差層)の遅相軸は、偏光子の吸収軸に対して45度であった。次いで、位相差フィルムから基材フィルムを剥離し、水平配向膜面を露出させ、該配向膜面に第3粘着剤層として粘着剤層Aを積層した。このようにして、光学フィルム(1)、第1粘着剤層、保護フィルム、偏光子、保護フィルム、第2粘着剤層、液晶硬化層(位相差層)、水平配向膜、第3粘着剤層をこの順に含む楕円偏光板(1)を作製した。
6.楕円偏光板の耐光性評価
6-1.光学積層体(1)の作製
位相差層の遅相軸が、長辺と平行になるように、楕円偏光板を140mm×70mmの大きさの長方形に裁断した。裁断した楕円偏光板を、第3粘着剤層を介して、厚さ0.7mmのガラス板(EAGLE XG(登録商標);コーニング社製)へ貼り合わせ、光学積層体(1)を得た。
6-2.耐光性評価
得られた光学積層体(1)に対して、卓上キセノンアークランプ式促進耐光性試験機(ATLAS製、SUNTEST XLS+)を用いて、UV露光量が143100kJ/mとなるように紫外線を照射した。紫外線の照射は光学積層体(1)の光学フィルム(1)側から行った。照射前後の光学積層体(1)の波長450nmの光及び550nmの光に対する面内位相差値を、王子計測機器株式会社製のKOBRA-WRを用いて測定した。得られたデータから、各光学積層体のΔRe(550)及びΔαを算出した。結果を表2に示す。
ΔRe(550)=|照射後のRe(550)-照射前のRe(550)|
Δα=|照射後のRe(450)/Re(550)-照射前のRe(450)/Re(550)|
〔実施例2〕
下記式(A-2)で表される重合性化合物(以下、「重合性化合物(A-2)」という)を以下のスキームに従い、式(G-1)で表される化合物の代わりに式(G-2)で表される化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして重合性化合物(A-2)を合成した。重合性化合物(A-2)の分子量は356.4であった。
Figure 2022065984000035
実施例1と同様に、重合性化合物(A-2)の吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから吸光度が極大となる波長を読み取ったところ、重合性化合物(A-2)の波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは352nmであった。
重合性化合物(A-2)を用いた以外は実施例1と同様にして、光学フィルム(2)、光学フィルム付き偏光板を作製した。
特開2016-81035号公報を参考にして、重合性液晶化合物Bを合成した。
重合性液晶化合物B:
Figure 2022065984000036
実施例1と同様に、重合性液晶化合物Bの吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから吸光度が極大となる波長を読み取ったところ、重合性液晶化合物Bの波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは352nmであった。
重合性液晶化合物Aを重合性液晶化合物Bに変更したこと以外は、実施例1と同じ操作を行い、重合性液晶化合物Bを含む重合性液晶組成物を調製した。さらに、重合性液晶化合物Bを含む重合性液晶組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、基材フィルム、水平配向膜、液晶硬化層をこの順に備える位相差フィルム(2)を得た。
光学フィルム(2)及び位相差フィルム(2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、楕円偏光板(2)及び光学積層体(2)を作製し、楕円偏光板(2)の耐光性評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例1〕
光学フィルム(1)及び第1粘着剤層を積層しなかった以外は実施例1と同様にして、楕円偏光板(3)及び光学積層体(3)を作製し、楕円偏光板(3)の耐光性評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2022065984000037
表2に示されるように、本発明による実施例1及び2で作製された光学積層体は、紫外線照射前後の面内位相差値の差が小さく、光学積層体に含まれる液晶硬化層は光学特性を維持していることがわかった。

Claims (12)

  1. 式(1):
    Figure 2022065984000038
    [式(1)中、
    及びPは、それぞれ独立に、重合性基を表し、
    Arは芳香環を含む2価の基を表し、Arに含まれる芳香環のπ電子の合計数は、8以上32以下であり、
    kは、1又は2である]
    で表され、分子量は300以上1000以下である重合性化合物。
  2. Arは5員環と6員環との縮合環構造を含む、請求項1に記載の重合性化合物。
  3. 及びPの少なくとも一方は、(メタ)アクリロイルオキシ基である、請求項1又は2に記載の重合性化合物。
  4. Arは式(2):
    Figure 2022065984000039
    [式(2)中、
    *は、P、P又はArとの結合手を表し、
    、Q、Q、及びQは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表し、Q及びQ、又はQ及びQは、それぞれ、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい]
    で表される、請求項1~3のいずれかに記載の重合性化合物。
  5. Arは、式(3-1)、式(3-2)及び式(3-3):
    Figure 2022065984000040
    [式(3-1)~式(3-3)中、
    *は、P、P又はArとの結合手を表し、
    、A、A、及びAは、それぞれ独立に、-O-、-NR-、-S-、又は-CO-を表し、
    Xは、=O、=S、=NR、又は=CRを表し、
    及びYは、芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子に置換されていてもよく、
    及びQは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表し、Q及びQは、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよく、
    、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表し、
    Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す]
    のいずれかで表される、請求項1~4のいずれかに記載の重合性化合物。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の重合性化合物と、重合開始剤、前記重合性化合物以外の多官能モノマー、溶媒、重合禁止剤及びレベリング剤からなる群から選択される少なくとも1つとを含む組成物。
  7. 請求項6に記載の組成物の硬化物からなる硬化層。
  8. 請求項7に記載の硬化層と、位相差フィルムと、偏光子とを備え、前記位相差フィルムは、重合性液晶化合物を含む組成物の硬化物からなる液晶硬化層を含む、楕円偏光板。
  9. 前記重合性液晶化合物は、式(4-1)、式(4-2)及び式(4-3):
    Figure 2022065984000041
    [式(4-1)~式(4-3)中、
    *は、結合手を表し、
    、A、A、及びAは、それぞれ独立に、-O-、-NR-、-S-、又は-CO-を表し、
    Xは、=O、=S、=NR、又は=CRを表し、
    及びYは、芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子に置換されていてもよく、
    及びQは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表し、Q及びQは、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよく、
    、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~20の有機基を表し、
    Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す]
    のいずれかで表される2価の基を有する化合物である、請求項8に記載の楕円偏光板。
  10. 前記硬化層を形成する式(1)で表される重合性化合物に含まれるArは、前記重合性液晶化合物のコア部構造と同じ構造を含む、請求項8又は9に記載の楕円偏光板。
  11. 前記液晶硬化層は、式(5)~(7):
    Re(450)/Re(550)≦1.00 (5)
    1.00≦Re(650)/Re(550) (6)
    100nm≦Re(550)≦180nm (7)
    [式中、Re(λ)は、液晶硬化層の波長λnmにおける面内位相差値を表し、
    Re=(nx(λ)-ny(λ))×dであり、
    dは、液晶硬化層の厚みを表し、
    nxは、液晶硬化層が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化層の平面に平行な方向の波長λnmにおける主屈折率を表し、
    nyは、液晶硬化層が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化層の平面に対して平行であり、且つ、前記nxの方向に対して直交する方向の波長λnmにおける屈折率を表す]
    で表される光学特性を有する、請求項8~10のいずれかに記載の楕円偏光板。
  12. 請求項8~11のいずれかに記載の楕円偏光板を備え、前記硬化層は前記位相差フィルムに対して視認側に配置された表示装置。
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