JP2022064277A - 仕上研削工具、雌ねじ部材の研削方法及び雌ねじ部材 - Google Patents

仕上研削工具、雌ねじ部材の研削方法及び雌ねじ部材 Download PDF

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Abstract

【課題】雌ねじ部材の生産性を向上し、かつ、雌ねじ部の良好な性状を確保することのできる仕上げ研削工具を提供する。【解決手段】外周面に、ねじ山を螺旋状に形成してなるねじ部5と、外周面のうちの円周方向複数箇所に、軸方向に伸長するように形成された溝部と、を備え、ねじ部は、軸方向後側に向かう程ねじ山の外径が大きくなるテーパ部7を少なくとも有し、かつ、軸方向全範囲においてねじ山のフランク面に逃げ角を設けておらず、ねじ部の軸方向全長にわたって砥粒が固着されている、仕上研削工具3。【選択図】図1

Description

本発明は、内周面に、ねじ山を螺旋状に形成してなる雌ねじ部を備える雌ねじ部材、並びに、該雌ねじ部材に仕上研削を施すための仕上研削工具及び雌ねじ部材の研削方法に関する。
送りねじ装置は、外周面に雄ねじ部を有するねじ軸と、内周面に前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有するナットとを備える。前記送りねじ装置の使用時には、前記ねじ軸と前記ナットとを相対回転させることで、前記ねじ軸と前記ナットとを軸方向に相対変位させる。
前記ナットの前記雌ねじ部は、内周面に、タップと呼ばれる工具により、切削加工を施すことで形成される。図7及び図8は、実開昭63-140323号公報(特許文献1)に記載のタップを示している。タップ100は、外周面にねじ山101を螺旋状に形成してなるねじ部102と、外周面のうちの円周方向複数箇所(図示の例では円周方向等間隔4箇所)に、軸方向に伸長するように形成された溝部103とを備える。
ねじ部102は、軸方向前側の端部(図7の左側)に配置され、かつ、軸方向後側(図7の右側)に向かう程ねじ山101の外径(タップ100の中心軸Oを中心とするねじ山101の外接円の直径)が大きくなる食いつき部104と、該食いつき部104の軸方向後側に配置され、かつ、軸方向にわたってねじ山101の外径が変化しない完全山部105とを有する。
なお、軸方向前側とは、タップ100により、ナットの内周面に雌ねじ部を形成する際の前記ナットへの挿入方向前側であって、図7の左側をいい、軸方向後側とは、前記ナットへの挿入方向後側であって、図7の右側をいう。
タップ100は、円周方向に隣り合う溝部103同士の間にランド106を有する。ランド106のそれぞれにおいて、ねじ山101の円周方向前側面にすくい面107を有し、かつ、ねじ山101の山の頂の円周方向前側の端部(すくい面107とねじ山101の外周面との接続部)に切れ刃108を有する。さらに、ランド106のそれぞれにおいて、ねじ山101に逃げ角(二番逃げ)を設けている。換言すれば、ねじ山101の逃げ角(二番角)θを、0°よりも大きくしている。すなわち、タップ100の中心軸Oと、ねじ山101の山の頂との間の距離dは、切れ刃108から円周方向後側に向かう程短くなっている。
なお、図示の例は、右ねじを形成するためのタップ100を示している。円周方向前側とは、タップ100により、ナットの内周面に雌ねじ部を形成すべく、タップ100を、前記ナットに対し相対回転させながら前記ナットに挿入する際の回転方向前側であって、図8の反時計方向前側をいい、円周方向後側とは、タップ100を、前記ナットに対し相対回転させながら前記ナットに挿入する際の回転方向後側であって、図8の反時計方向後側をいう。
さらに、タップ100は、ねじ部102のうち、完全山部105におけるねじ山101の表面に砥石層を備える。すなわち、完全山部105におけるねじ山101の表面に、砥粒を固着している。
タップ100により、ナットの内周面に雌ねじ部を形成する際には、タップ100を、図8の反時計方向に回転させながら、ナットの径方向内側に、食いつき部104を先頭にして挿入する。これにより、ナットの内周面を、食いつき部104における切れ刃108により切削し、さらに、完全山部105におけるねじ山101の表面に設けられた砥石層により研削することで、雌ねじ部を形成する。なお、加工により生じた切削屑や研削屑は、溝部103を通して排出される。
タップ100によれば、ナットの内周面にねじ山(ねじ溝)を形成するための切削加工と、表面粗さを向上させるための研削加工とを同一工程内で行うことができて、ナットの製造コストを低減することができる。
実開昭63-140323号公報
実開昭63-140323号公報に記載のタップ100は、ナットの生産性向上の面からは、改良の余地がある。すなわち、実開昭63-140323号公報に記載のタップ100では、ランド106のそれぞれにおいて、ねじ山101に逃げ角を設けている。したがって、ナットの内周面に雌ねじ部を形成する際に、完全山部105におけるねじ山101の表面に設けられた砥石層のうち、雌ねじ部を構成するねじ山のフランク面に接触するのは、ランド106のそれぞれにおいて、ねじ山101の円周方向前側の端部表面を覆う部分に限られる。このため、ねじ山101の円周方向前側の端部表面に固着された砥粒が脱落しやすく、タップ100による研削性能が低下しやすい。タップ100の研削性能が低下した場合には、タップ100を交換するなどのメンテナンスが必要になり、コストや作業時間が増大する。
又、実開昭63-140323号公報に記載のタップ100を使用する方法では、ナットの内周面にねじ山を形成するための切削加工と、表面粗さを向上させるための研削加工とを同一工程内(いわゆるワンチャック)で行う。すなわち、ナットの内周面を、食いつき部104における切れ刃108により切削することで、ナットの内周面にねじ山を形成するようにしている。切れ刃108によりナットの内周面を切削する際、切れ刃108のうち、軸方向前側の側縁が軸方向後側の側縁よりもナットの内周面に食いつきやすい。切れ刃108の軸方向前側の側縁がナットの内周面に過度に食いつくと、その反動により、切れ刃108が軸方向後側に押し返されるように弾性変形する。このような弾性変形が繰り返し発生してタップ100が振動すると、完全山部105におけるねじ山101の表面に固着された砥粒の脱落が生じやすくなる可能性がある。又、タップ100が振動し、雌ねじ部のフランク面に対する切れ刃108の食いつきと退避とが繰り返されると、雌ねじ部を構成するねじ山のフランク面にビレ(周期的な高低差)が生じたり、雌ねじ部の精度を十分に確保できなくなったりといった問題を生じる可能性がある。
本発明は、上述のような事情を鑑みて、雌ねじ部の良好な性状を確保することができる雌ねじ部材、該雌ねじ部材の生産性を向上することができる仕上研削工具、及び、該仕上研削工具による雌ねじ部材の研削方法を実現することを目的としている。
本発明の仕上研削工具は、
外周面に、ねじ山を螺旋状に形成してなるねじ部と、
外周面のうちの円周方向複数箇所に、軸方向に伸長するように形成された溝部と、
を備える。
前記ねじ部は、軸方向後側に向かう程前記ねじ山の外径(仕上研削工具の中心軸を中心とする前記ねじ山の外接円の直径)が大きくなるテーパ部を少なくとも有し、かつ、軸方向全範囲において前記ねじ山のフランク面に逃げ角(二番逃げ)を設けていない。
本発明の仕上研削工具では、前記ねじ部の軸方向全長にわたって砥粒が固着されている。
本発明の仕上研削工具では、前記テーパ部における有効径を、軸方向後側に向かう程大きくすることができる。
本発明の仕上研削工具では、前記ねじ部は、前記テーパ部の軸方向後側に隣接して配置され、軸方向にわたって前記ねじ山の外径が変化しない主研削部を有することができる。
本発明の仕上研削工具は、前記溝部同士の間にランドを有することができ、前記ランドのそれぞれにおいて、前記ねじ山の円周方向側面にすくい面を有することができる。この場合、前記すくい面のすくい角を、0°とすることができる。あるいは、前記ランドのそれぞれにおいて、前記ねじ山の円周方向両側の側面に備えられた前記すくい面を円周方向に関して対称することができ、かつ、前記すくい面のすくい角を-10°以上10°以下とすることができる。
本発明の仕上研削工具は、前記ねじ部の軸方向前側に配置され、軸方向に関して外径が変化しないガイド部を備えることができる。
前記ねじ部は、前記テーパ部よりも軸方向後側に配置され、軸方向後側に向かう程前記ねじ山の外径が小さくなるバックテーパ部を有することができる。
本発明の仕上研削工具は、前記バックテーパ部の軸方向後側に配置され、軸方向に関して外径が変化しない小径円筒部を備えることができる。
本発明の雌ねじ部材の研削方法は、本発明の仕上研削工具であって、バックテーパ部を備える仕上研削工具を用いて、雌ねじ部材の内周面に形成された雌ねじ部に仕上研削を施す方法である。
本発明の雌ねじ部材の研削方法においては、前記仕上研削工具と前記雌ねじ部材とを相対回転させつつ、前記仕上研削工具を前記雌ねじ部材の径方向内側に、軸方向前側から、前記バックテーパ部が前記雌ねじ部材の径方向内側に位置するまで挿入し、その後、前記仕上研削工具と前記雌ねじ部材とを逆方向に相対回転させながら、前記仕上研削工具を前記雌ねじ部材の径方向内側から引き抜くことで、前記雌ねじ部に仕上研削を施す。
本発明の雌ねじ部材は、内周面に、ねじ山を螺旋状に形成してなる雌ねじ部を備え、
前記雌ねじ部は、前記ねじ山のフランク面に、該ねじ山の形成方向に沿った研削筋目を有する。
本発明の雌ねじ部材によれば、雌ねじ部の良好な性状を確保することができる。又、本発明の仕上研削工具及び雌ねじ部材の研削方法によれば、本発明の雌ねじ部材の生産性を向上することができる。
図1は、本発明の実施の形態の第1例に係る仕上研削工具を示す側面図である。 図2は、図1のX-X断面図である。 図3は、本発明の実施の形態の第1例に係る仕上研削工具により、雌ねじ部材の雌ねじ部に仕上研削を施す様子を示す側面図である。 図4(A)(a)は、仕上研削を施す前のナットを、軸方向から見た図であり、図4(A)(b)は、図4(A)(a)の部分拡大図であり、図4(B)(a)は、仕上研削を施した後のナットを、軸方向から見た示す図であり、図4(B)(b)は、図4(B)(a)の部分拡大図である。 図5は、本発明の実施の形態の第2例に係る仕上研削工具を示す、部分拡大側面図である。 図6は、本発明の実施の形態の第3例に係る仕上研削工具を示す、図2に相当する図である。 図7は、従来のタップを示す断面図である。 図8は、図7のY-Y断面図である。
[実施の形態の第1例]
本発明の実施の形態の第1例について、図1~図4(B)(b)により説明する。本例は、本発明の仕上研削工具により、滑り式の送りねじ装置を構成する、雌ねじ部材であるナット1の内周面に備えられた雌ねじ部2に仕上研削を施す例である。
本例の仕上研削工具3は、外周面に、ねじ山4を螺旋状に形成してなるねじ部5と、外周面のうちの円周方向複数箇所に、軸方向に伸長するように形成された溝部6とを備える。
ねじ部5は、テーパ部7と、主研削部8と、バックテーパ部9とを有する。
テーパ部7は、ねじ部5の軸方向前側部分(図1及び図3の左側部分)に備えられ、軸方向後側(図1及び図3の右側)に向かう程ねじ山4の外径(呼び径)が大きくなっている。本例では、テーパ部7においては、軸方向後側に向かう程ねじ山4の高さが高くなっている(外径と谷径との差が大きくなっている)。すなわち、テーパ部7の軸方向後側の端部におけるねじ山4の高さは、主研削部8におけるねじ山4の高さと同じになっている。一方、テーパ部7の軸方向前側の端部は、ねじ山4が途切れている。なお、図示の例では、テーパ部7の軸方向前側の端部は、仕上研削工具3の中心軸に直交する平坦面部により構成されているが、本発明を実施する場合、テーパ部の軸方向前側の端部を、リード角の方向に沿って途切れた部分を含む構成とすることもできる。
主研削部8は、ねじ部5の軸方向中間部に備えられ、軸方向にわたってねじ山4の外径が変化しない。換言すれば、主研削部8においては、ねじ山4の高さを、軸方向にわたり一定としている。
バックテーパ部9は、ねじ部5の軸方向後側部分に備えられ、軸方向後側に向かう程ねじ山4の外径が小さくなっている。本例では、バックテーパ部9においては、軸方向後側に向かう程ねじ山4の高さが低くなっている(外径と谷径との差が小さくなっている)。すなわち、バックテーパ部9の軸方向前側の端部におけるねじ山4の高さは、主研削部8におけるねじ山4の高さと同じになっている。一方、バックテーパ部9の軸方向後側の端部は、ねじ山4が途切れている。なお、図示の例では、バックテーパ部9の軸方向後側の端部は、仕上研削工具3の中心軸に直交する平坦面部により構成されているが、本発明を実施する場合、バックテーパ部の軸方向後側の端部を、リード角の方向に沿って途切れた部分を含む構成とすることもできる。
テーパ部7と主研削部8とバックテーパ部9との軸方向寸法(長さ)は、被加工物である雌ねじ部材や加工装置(研削盤)に応じて適切に決定される。なお、本例のように、滑り式の送りねじ装置を構成するナット1を加工対象とする場合には、例えば、次のように規制することができる。
主研削部8の軸方向寸法Lは、ナット1の軸方向寸法Lの0.5倍以上2.0倍以下(0.5L≦L≦2L)とすることができる。主研削部8の軸方向寸法Lがナット1の軸方向寸法Lの0.5倍よりも短い(L<0.5L)と、ナット1の雌ねじ部2のフランク面を十分に研削できない可能性がある。主研削部8の軸方向寸法Lがナット1の軸方向寸法Lの2.0倍よりも長くした(L>2L)としても、雌ねじ部2のフランク面の表面粗さ向上効果をそれ以上得ることができない。ただし、主研削部8の軸方向寸法Lをナット1の軸方向寸法Lの2.0倍よりも長くすることもできる(L>2L)。
テーパ部7の軸方向寸法Lは、主研削部8の軸方向寸法Lの1.0倍以上3.0倍以下(L≦L≦3L)、好ましくは1.5倍以上2.5倍以下(1.5L≦L≦2.5L)とすることができる。テーパ部7の軸方向寸法Lが主研削部8の軸方向寸法Lよりも短い(L<L)と、後述するように、仕上研削工具3を使用してナット1の雌ねじ部2に仕上研削を施す工程の初期段階で、仕上研削工具3を回転させるために必要なトルクが徒に大きくなる可能性がある。テーパ部7の軸方向寸法Lが主研削部8の軸方向寸法Lの3倍よりも長い(L>3L)と、仕上研削工具3の軸方向寸法が徒に長くなってしまう可能性がある。
バックテーパ部9の軸方向寸法Lは、主研削部8の軸方向寸法Lの0.5倍以上1.5倍以下とする(0.5L≦L≦1.5L)ことができる。バックテーパ部9の軸方向寸法Lが主研削部8の軸方向寸法Lの0.5倍よりも短い(L<0.5L)と、後述するように、仕上研削工具3をナット1の径方向内側から引き抜く際に、仕上研削工具3を回転させるために必要なトルクが徒に大きくなる可能性がある。バックテーパ部9の軸方向寸法Lが主研削部8の軸方向寸法Lの1.5倍よりも長い(L>1.5L)と、仕上研削工具3の軸方向寸法が徒に長くなってしまう可能性がある。なお、主研削部8の軸方向寸法Lが、ナット1の軸方向寸法Lの3.0倍以上の場合、バックテーパ部9を省略することもできる。
ねじ部5は、フランク面(歯面)と山の頂(先端面)とを有するねじ山4と、軸方向に関してねじ山4の間同士に存在する谷底とを備える。本例では、ねじ部5の軸方向全範囲においてねじ山4のフランク面に逃げ角(二番逃げ)を設けていない、すなわち逃げ角(二番角)θを0°としている。したがって、図2に示すように、主研削部8におけるねじ山4の山の頂は、仕上研削工具3の中心軸Oに直交する断面において、中心軸Oを中心とする同一円周上に位置している。
又、ねじ部5の軸方向全長にわたって砥粒が固着されている。具体的には、本例では、ねじ部5の軸方向前側の端部から軸方向後側の端部にかけての軸方向全範囲で、ねじ部5の表面全体、すなわち、ねじ山4のフランク面及び山の頂、並びに、谷底全体に、砥粒を固着している。すなわち、ねじ部5の表面の軸方向全範囲を、ナット1の雌ねじ部2を研削するための研削面としている。砥粒としては、例えばダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(CBN)、炭化ホウ素(BC)、シリカ(SiO)、タングステンカーバイト(WC)、アルミナ(Al)などの高硬度の砥粒を使用することができる。又、砥粒をねじ部5の表面に固着する方法としては、例えば電着、レジン、金属粉と砥粒とを混合して焼結するメタルボンドなどを採用することができる。あるいは、ビトリファイドなどの結合剤により、ねじ部5を構成する金属材料と砥粒とを結合することもできる。
溝部6は、仕上研削工具3の外周面の円周方向複数箇所に軸方向に伸長するように形成されている。本例では、溝部6は、仕上研削工具3の外周面のうち、軸方向前側の端部から、後述する小径円筒部10の軸方向中間部にかけての軸方向範囲の円周方向等間隔4箇所に、軸方向と平行に形成されている。すなわち、溝部6は、ねじ部5を軸方向に横切るように形成されている。なお、溝部6を、ねじ山4のうちで溝部6が横切る部分におけるリード角に対し直交する方向に伸長するように形成することもできる。ただし、ねじ部5の外径が小さい(外径が10mm以下程度)場合には、溝部6は、軸方向と平行に形成することが好ましい。又、溝部6の本数を、3本以下あるいは5本以上とすることもできる。なお、図1及び図3は、溝部6を省略して示している。
又、本例では、溝部6の円周方向幅W及び径方向深さDを規制することにより、4本の溝部6の総容積を、ねじ山4の総体積よりも小さくしている。具体的には、溝部6の円周方向幅Wを、溝部6の円周方向幅Wと円周方向に隣り合う溝部6同士の間に存在するランド11の円周方向幅W11との和(W+W11)の1/50以上1/2以下((W+W11)/50≦W≦(W+W11)/2)、好ましくは1/10以上1/8以下((W+W11)/10≦W≦(W+W11)/8)とし、かつ、溝部6の径方向深さDを、ねじ山4の高さHの1.1倍以上2.5倍以下(1.1H≦D≦2.5H)、好ましくは1.3倍以上1.7倍以下(1.3H≦D≦1.7H)としている。ただし、溝部6の総容積は、好ましくは、ねじ部5の表面に固着した砥粒の総体積の1.5倍以上とすることが好ましい。
又、仕上研削工具3は、ランド11のそれぞれにおいて、ねじ山4の円周方向両側の側面にすくい面14を有し、かつ、すくい面14のすくい角φを0°としている。換言すれば、すくい面14に、すくい角φを設けていない。このために、本例では、溝部6の円周方向両側の内側面を、互いに平行な平坦面により構成している。
本例の仕上研削工具3は、ガイド部12と、小径円筒部10と、シャンク部13とをさらに備える。
ガイド部12は、ねじ部5の軸方向前側(テーパ部7の軸方向前側)に配置され、軸方向に関して外径が変化しない。すなわち、ガイド部12の外周面のうち、溝部6から円周方向に外れた部分は、同一の円筒面上に存在している。
本例では、ガイド部12の軸方向寸法L12を、ナット1の内径d以上としている。又、ガイド部12を、被加工物であるナット1にがたつきの小さい隙間嵌で内嵌できるように、ガイド部12の外径を、ナット1の内径d、すなわち雌ねじ部2を構成するねじ山2aの内接円の直径とほぼ同じにしている。具体的には、ガイド部12の外径を、ナット1の内径dよりも小さく、かつ、ガイド部12をナット1に抜き差しする際に、ガイド部12の外周面が、ねじ山2aの山の頂に干渉しない範囲でできる限り大きくしている。
小径円筒部10は、バックテーパ部9の軸方向後側に配置され、軸方向に関して外径が変化しない。すなわち、小径円筒部10の外周面のうち、溝部6から円周方向に外れた部分は、同一の円筒面上に存在している。小径円筒部10の外径は、ねじ部5の谷径とほぼ同じにしている。
シャンク部13は、仕上研削工具3の軸方向後側の端部に備えられ、円形の断面形状を有する。シャンク部13は、仕上研削工具3を、研削盤に支持するための部分である。すなわち、研削盤は、チャックによりシャンク部13を把持することにより、仕上研削工具3を支持する。
上述のような仕上研削工具3は、例えば金属製の円柱素材に、切削加工や転造加工を施した後、焼き入れや焼き戻し、必要に応じてサブゼロ処理などの熱処理を施して、中間部材を得て、該中間部材に、研削加工などを施して、ねじ部5の形状を整え、さらに、ねじ部5の表面に砥粒を固着することで得られる。なお、本例では、ねじ部5は、ねじ部5を形成すべき部分の軸方向にわたって有効径が一定となるように、切削加工又は転造加工を行い、熱処理及び研削加工を施した後、テーパ部7及びバックテーパ部9を形成すべき部分のそれぞれのねじ山4の山の頂に研削加工を施すことで、テーパ部7及びバックテーパ部9を形成している。あるいは、研削加工を施す前に、テーパ部7及びバックテーパ部9を形成すべき部分のそれぞれのねじ山4の山の頂に切削加工を施すこともできる。いずれの方法でも、ねじ部5の谷径は、軸方向にわたって一定となる。ただし、後述する実施の形態の第2例のように、テーパ部7及びバックテーパ部9におけるねじ部5の有効径を、軸方向に関して変化させることもできる。
本例の仕上研削工具3を使用して、ナット1の雌ねじ部2に仕上研削を施す方法の1例について、図3により説明する。
被加工物であるナット1は、内周面に、ねじ山2aを螺旋状に形成してなる雌ねじ部2を備える。ナット1は、円筒形状を有するワークの内周面に、ねじ山2aを形成するための切削加工又は塑性加工を施して、雌ねじ部2を形成することで得られる。ワークの内周面に、ねじ山2aを形成するための切削加工又は転造加工の具体的な方法については、従来から知られている各種方法を採用することができる。いずれにしても、雌ねじ部2を形成し、仕上研削を施す前の段階では、図4(A)に示すように、雌ねじ部2を構成するねじ山2aのフランク面には、放射状の筋目が形成されており、該フランク面の表面は粗い(表面粗さが大きい)。なお、ねじ山2aを転造加工により形成する場合、ねじ山2aの外径が小さく、リード角が大きいほど、工具の移動速度が速く、うねりが大きくなるため、工具の刃が往復運動してねじ山2aを形成する際に、放射状の筋目が形成されやすくなる。一方、ねじ山2aの外径が大きく、リード角が小さい場合には、放射状の筋目は形成されにくい。ただし、ねじ山2aを切削加工により形成する場合には、切削工具やワークに撓みが生じるため、ねじ山2aの外径やリード角にかかわらず、ねじ山2aのフランク面にうねりが残りやすい。
ナット1の雌ねじ部2に仕上研削を施す際には、まず、ナット1を、研削盤の固定バイスにより、軸方向変位を可能に、かつ、回転を不能に支持(フローティング支持)する。次に、図3に実線で示すように、仕上研削工具3のガイド部12を、ナット1の径方向内側に挿入する。これにより、ナット1と仕上研削工具3との軸合わせを行う。次いで、仕上研削工具3を所定方向(図3の矢印αの方向(右回り))に回転させる。そして、仕上研削工具3を、軸方向前側に向けてわずかに変位させ、仕上研削工具3のねじ部5とナット1の雌ねじ部2とをわずかに螺合させる。すると、仕上研削工具3のねじ部5とナット1の雌ねじ部2との螺合に基づいて、ナット1がねじ部5に対して軸方向後側に向けて移動しながら、ねじ部5の表面により、雌ねじ部2の表面が研削される。なお、雌ねじ部2の表面を研削することに伴って生じる研削屑は、溝部6を通じて外部に排出される。そして、図3に二点鎖線で示すように、ナット1の軸方向前側の端部が、ねじ部5のうち、バックテーパ部9の周囲に位置するまで、ねじ部5に対するナット1の位置を軸方向後側に向けて移動させる。ナット1がバックテーパ部9の周囲に位置するまで移動すると、ナット1の雌ねじ部2と仕上研削工具3のねじ部5との間に隙間が生じることに伴って雌ねじ部2とねじ部5との間に存在する研削屑が排出されやすくなる。
その後、仕上研削工具3を前記所定方向と逆方向(図3の矢印βの方向(左回り))に回転させる。すると、ねじ部5と雌ねじ部2との螺合に基づいて、ナット1がねじ部5に対して軸方向前側に向けて移動しながら、ねじ部5の表面により、雌ねじ部2の表面が研削される。雌ねじ部2の表面を研削することに伴って生じる研削屑は、溝部6を通じて外部に排出される。その後、仕上研削工具3を前記所定方向と逆方向にさらに回転させ、ねじ部5と雌ねじ部2との螺合を外し、仕上研削工具3をナット1の径方向内側から引き抜く。
以上のようにして、仕上研削工具3により、ナット1の雌ねじ部2に仕上研削を施す。このようにして得られるナット1の雌ねじ部2は、図4(B)に示すように、ねじ山2aのフランク面に、該ねじ山2aの形成方向に沿った研削筋目を有する。
仕上研削工具3により、ナット1の雌ねじ部2に仕上研削を施す際に、雌ねじ部2の表面の研削、特に雌ねじ部2の谷底の研削は、仕上研削工具3のねじ部5のうち、主に主研削部8により行われる。なお、仕上研削工具3による仕上研削は、上述の方法に限られず、適宜変更することができる。
本例の研削方法では、雌ねじ部2の表面を研削して表面粗さを向上させる仕上研削を、ナット1の内周面に切削加工又は転造加工を施して雌ねじ部2を形成する加工とは別の工程で(独立に)行っている。このため、本例の研削方法では、実開昭63-140323号公報に記載のタップ100を使用する場合のように、切れ刃108による切削の際に、切れ刃108の軸方向前側の側縁がナットの内周面に食いつき、切れ刃108が弾性変形することも基づいて、タップ100が振動するといった問題は生じない。したがって、本例の研削方法によれば、雌ねじ部2の表面に固着された砥粒が脱落するといった問題は生じにくく、仕上研削工具3のメンテナンスにかかるコストや作業時間を低減できて、ナット1の生産性を向上することができる。
又、本例の仕上研削工具3は、上述のように、切れ刃による切削に伴う振動の発生といった問題を生じないため、ねじ部5を構成するねじ山4のフランク面を、雌ねじ部2を構成するねじ山2aのフランク面に安定して接触(摺接)させることができる。さらに、本例では、ねじ部5の軸方向前側の端部から軸方向後側の端部にかけての軸方向全範囲で、ねじ部5の表面全体、すなわち、ねじ山4のフランク面及び山の頂、並びに、谷底全体に、砥粒を固着している。したがって、本例の仕上研削工具3を使用する方法では、仕上研削の際に、ねじ部5の表面のうちで砥粒を固着した部分と、ナット1の雌ねじ部2の表面との接触量(摺接長さ)を十分に確保することができて、雌ねじ部2を構成するねじ山2aのフランク面及び山の頂の表面粗さを良好にしやすく、かつ、ねじ山2aの形状精度を良好に確保しやすい。
本例の仕上研削工具3を使用する方法では、図4(B)に示すように、仕上研削後のナット1の雌ねじ部2を構成するねじ山2aのフランク面には、該ねじ山2aの形成方向(螺旋方向)に沿った研削筋目が形成される。要するに、前記研削筋目の形成方向を、ナット1とねじ軸と組み合わせて送りねじ装置を構成した場合の、ナット1の雌ねじ部2を構成するねじ山2aのフランク面と、ねじ軸の雄ねじ部を構成するねじ山のフランク面との摺接方向とすることができる。この面からも、ナット1の雌ねじ部2の性状を良好にすることができる。
又、本例では、雌ねじ部2の表面を研削して表面粗さを向上させる仕上研削を、ナット1の内周面に切削加工又は転造加工を施して雌ねじ部2を形成する加工とは別の工程で行っている。したがって、仕上研削工具3による仕上研削により生じる研削屑は、それほど多くない。このため、溝部6の総容積を、ねじ山4の総体積よりも小さくできる。すなわち、溝部6の円周方向幅Wを小さく抑えることができる。換言すれば、ランド11の円周方向幅W11を十分に確保することができる。この面からも、ナット1の雌ねじ部2の表面に対するねじ部5の表面の接触量を確保することができて、雌ねじ部2を構成するねじ山2aのフランク面及び山の頂の表面粗さを良好にしやすく、かつ、ねじ山2aの形状精度を良好に確保しやすい。
本例の仕上研削工具3は、ねじ部5の軸方向全範囲において、ねじ部5を構成するねじ山4のフランク面に逃げ角(二番逃げ)を設けていない。このため、ナット1の雌ねじ部2に仕上研削を施す際に、ねじ山4の表面の円周方向全範囲を、雌ねじ部2の表面(フランク面及び谷底)に接触させることができる。要するに、本例の仕上研削工具3によれば、実開昭63-140323号公報に記載の従来のタップ100(図7及び図8)のように、ねじ山101の円周方向前側の端部表面に固着された砥粒が脱落して、タップ100による研削性能が低下するといった問題が生じにくい。したがって、仕上研削工具3のメンテナンスにかかるコストや作業時間の増大を抑えることができて、ナット1の生産性を向上させることができる。
さらに、本例の仕上研削工具3では、ねじ部5の軸方向全範囲においてねじ山4のフランク面に逃げ角を設けていないため、ねじ山4の断面形状が、ねじ部5のうちで主研削部8において、ねじ山4の形成方向(螺旋方向)にわたって一定となっている。このため、雌ねじ部2の表面に対する主研削部8におけるねじ山4の表面の当たり方を、仕上研削工具3の回転方向にかかわらず、同じとすることができて、雌ねじ部2の性状の悪化を防止することができる。
又、本例の仕上研削工具3は、ランド11のそれぞれにおいて、ねじ山4の円周方向両側の側面に備えられたすくい面14のすくい角φを0°としている。このため、ランド11のそれぞれにおいて、ねじ山4のすくい面14の雌ねじ部2の表面に対する当たり方を、仕上研削工具3の回転方向にかかわらず、同じとすることができる。この面からも、雌ねじ部2の性状の悪化を防止することができる。さらに、雌ねじ部2に仕上研削を施す際に、すくい面14(の軸方向両側の側縁)の径方向全範囲を同時に、雌ねじ部2の表面に接触させることができる。この面からも、ねじ部5の表面に固着された砥粒の脱落を防止することができる。
これに対し、従来のタップ100は、ランド106のそれぞれにおいて、ねじ山101の円周方向前側面に備えられたすくい面107のすくい角φ(図8参照)を0°よりも大きくしている。このため、ナットの内周面に雌ねじ部を形成すべく、タップ100を、ナットに対し相対回転させながら前記ナットに挿入すると、すくい面107(の軸方向両側の側縁)のうち、径方向内側部分よりも径方向外側部分が先に、前記ナットの内周面に形成された雌ねじ部の表面に接触する。このため、すくい面107の径方向外側部分に固着された砥粒が脱落しやすく、タップ100による研削性能が低下しやすいといった問題を生じる。
なお、ランド11のそれぞれにおいて、ねじ山4の円周方向両側の側面に備えられたすくい面14は円周方向に関して対称(ランド11のそれぞれにおいて、ねじ山4の円周方向中央位置及び仕上研削工具3の中心軸Oを含む面に関して面対称)となっている。具体的には、本例では、ランド11のそれぞれにおいて、ねじ山4の円周方向両側の側面に備えられたすくい面14のすくい角φを0°としている。ただし、ねじ山4の円周方向両側の側面に備えられたすくい面14のすくい角φを-10°以上10°以下の範囲で設定することもできる。いずれにしても、ランド11のそれぞれにおいて、ねじ山4の円周方向両側の側面に備えられたすくい面14を円周方向に関して対称とすることにより、ランド11のそれぞれにおいて、ねじ山4のすくい面14の雌ねじ部2の表面に対する当たり方を、仕上研削工具3の回転方向にかかわらず、同じとすることができる。
又、本例の仕上研削工具3は、ねじ部5の軸方向後側部分に、軸方向後側に向かう程ねじ山4の外径が小さくなるバックテーパ部9を有する。このため、仕上研削工具3をナット1の径方向内側から引き抜くべく、仕上研削工具3を前記所定方向と逆方向に回転させ始める際のトルクが徒に大きくなることを防止でき、仕上研削工具3の送りを円滑にすることができる。この面からも、雌ねじ部2の性状を良好にできる。
本例の仕上研削工具3は、軸方向前側の端部に、ガイド部12を有する。このため、ガイド部12をナット1の径方向内側に挿入することで、ナット1の雌ねじ部2と、仕上研削工具3のねじ部5とを螺合することなく、ナット1と仕上研削工具3とのおおよその軸合わせを行うことができる。要するに、ナット1と仕上研削工具3とのおおよその軸合わせ作業を容易化できて、作業を効率化することができる。さらに、ガイド部12とテーパ部7とは、軸方向前側を向いた段差面により接続されているため、特にねじ部5の始点を探すことなく、仕上研削工具3を回転させるだけで、雌ねじ部2に対してねじ部5を容易に螺合させ始めることができる。このような効果は、仕上研削工具3によるナット1の研削加工を自動化する際に顕著に得ることができる。
さらに、本例では、ガイド部12の外径を、被加工物であるナット1の内径dとほぼ同じにしている。このため、仕上研削初期のナット1の中心軸に対する仕上研削工具3の中心軸の傾きを防止することができ、仕上研削初期に、研削位置がずれることを防止できる。この面からも、雌ねじ部2を構成するねじ山2aの形状精度を良好に確保しやすい。
なお、本例では、本発明の雌ねじ部材の研削方法を、滑り式の送りねじ装置を構成するナットの研削方法に適用した場合について説明したが、本発明の雌ねじ部材の研削方法は、これに限らず、例えばボールねじ装置のボールナットの研削方法に適用することもできる。また、本発明の雌ねじ部材の研削方法を適用して製造したナットは、例えば、ステアリングホイールの前後位置を調節するためのテレスコピック機構、および/または、ステアリングホイールの上下位置を調節するためのチルト機構を備える、ステアリングホイールの電動位置調節装置用のナットとして使用することができる。
又、本発明の対象となる雌ねじ部材の雌ねじ部を構成するねじ山の形状は、特に限定されず、例えば三角形、台形、凹円弧形など、従来から知られた各種形状を採用することができる。さらに、前記雌ねじ部材の雌ねじ部の条数についても、特に問わない。
本発明の仕上研削工具を実施する場合、主研削部を省略することもできる。この場合、軸方向後側に向かう程ねじ山の外径が大きくなるテーパ部の軸方向寸法を十分に確保する。これにより、被加工物の雌ねじ部の研削代が多い場合にも、仕上研削の際に、仕上研削工具の回転トルクの急激な増大を抑えることができる。なお、この場合、テーパ部のテーパ角度(中心軸を含む仮想平面に関する断面において、ねじ山の頂部を結ぶ線の、中心軸に対する傾斜角度)を、途中で変更することもできる。
[実施の形態の第2例]
本発明の実施の形態の第2例について、図5により説明する。本例の仕上研削工具3bでは、テーパ部7aにおいて、軸方向後側に向かう程有効径(ねじ山4の幅とねじ溝の幅とが等しくなる点を通る直径)が大きくなっている。
また、バックテーパ部9aにおいて、軸方向後側に向かう程有効径が小さくなっている。
本例の仕上研削工具3bによれば、仕上研削工具3bのねじ部5aがナット1(図3及び図4(B)参照)の雌ねじ部2に螺合し始める初期段階、すなわちテーパ部7aと雌ねじ部2とが螺合している状態で、雌ねじ部2とねじ部5aとの間に隙間が形成される。このため、仕上研削工具3bにより仕上研削を行う際に、仕上研削工具3bの回転トルクを徐々に大きくすることができる。換言すれば、仕上研削工具3bの回転トルクの急激な増大を防止することができる。その他の部分の構成及び作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第3例]
本発明の実施の形態の第3例について、図6により説明する。本例の仕上研削工具3aでは、溝部6aを、仕上研削工具3aの外周面のうち、円周方向等間隔の奇数箇所(図示の例では円周方向等間隔3箇所)に、軸方向と平行に形成している。本例によれば、ナット1(図3及び図4(B)参照)の雌ねじ部2を構成するねじ山2aの形状精度をより良好に確保しやすい。
すなわち、仕上研削工具3aにより、ナット1の雌ねじ部2に仕上研削を施す際、溝部6aが位置する部分(位相)には、ねじ山4が存在しないため、ねじ山4のうちで溝部6aの円周方向両側に位置する部分が雌ねじ部2に食いついたり、反対に雌ねじ部2から離れたりし、その後、弾性的に復元しようとして弾性変形する。このような弾性変形が発生すると、雌ねじ部2を構成するねじ山2aを軸方向から見た形状が多角形となる、いわゆる多角形誤差が生じやすい。
本例では、溝部6aの本数を奇数として、1個の溝部6aの径方向反対側に、別の溝部6aが位置しないようにしている、すなわちランド11が位置するようにしている。したがって、ねじ山4のうちで溝部6aの円周方向両側に位置する部分が雌ねじ部2に食いついたり、反対に雌ねじ部2から離れたりしようとする場合に、溝部6aの径方向反対側に位置する部分により、この動き(変形)を抑えることができる。このため、多角形誤差を生じにくくすることができて、雌ねじ部2を構成するねじ山2aの形状精度を良好に確保しやすい。
ただし、溝部の円周方向幅が小さい、換言すればランドの円周方向幅が十分に大きい場合には、溝部の本数を偶数にすることもできる。その他の部分の構成及び作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
1 ナット
2 雌ねじ部
2a ねじ山
3、3a、3b 仕上研削工具
4 ねじ山
5 ねじ部
6、6a 溝部
7、7a テーパ部
8 主研削部
9、9a バックテーパ部
10 小径円筒部
11 ランド
12 ガイド部
13 シャンク部
14 すくい面
100 タップ
101 ねじ山
102 ねじ部
103 溝部
104 食いつき部
105 完全山部
106 ランド
107 すくい面
108 切れ刃

Claims (10)

  1. 外周面に、ねじ山を螺旋状に形成してなるねじ部と、
    外周面のうちの円周方向複数箇所に、軸方向に伸長するように形成された溝部と、
    を備え、
    前記ねじ部は、軸方向後側に向かう程前記ねじ山の外径が大きくなるテーパ部を少なくとも有し、かつ、軸方向全範囲において前記ねじ山のフランク面に逃げ角を設けておらず、
    前記ねじ部の軸方向全長にわたって砥粒が固着されている、
    仕上研削工具。
  2. 前記テーパ部における有効径が、軸方向後側に向かう程大きくなる、
    請求項1に記載の仕上研削工具。
  3. 前記ねじ部は、前記テーパ部の軸方向後側に隣接して配置され、軸方向にわたって前記ねじ山の外径が変化しない主研削部を有する、
    請求項1又は2に記載の仕上研削工具。
  4. 前記溝部同士の間にランドを有し、かつ、前記ランドのそれぞれにおいて、前記ねじ山の円周方向両側の側面にすくい面を有し、
    前記すくい面のすくい角が0°である、
    請求項1~3のいずれかに記載の仕上研削工具。
  5. 前記溝部同士の間にランドを有し、かつ、前記ランドのそれぞれにおいて、前記ねじ山の円周方向両側の側面にすくい面を有し、
    前記ランドのそれぞれにおいて、前記ねじ山の円周方向両側の側面に備えられた前記すくい面が円周方向に関して対称であり、かつ、前記すくい面のすくい角が-10°以上10°以下である、
    請求項1~3のいずれかに記載の仕上研削工具。
  6. 前記ねじ部の軸方向前側に配置され、軸方向に関して外径が変化しないガイド部を備える、
    請求項1~5のいずれかに記載の仕上研削工具。
  7. 前記ねじ部は、前記テーパ部よりも軸方向後側に配置され、軸方向後側に向かう程前記ねじ山の外径が小さくなるバックテーパ部を有する、
    請求項1~6のいずれかに記載の仕上研削工具。
  8. 前記バックテーパ部の軸方向後側に配置され、軸方向に関して外径が変化しない小径円筒部を備える、
    請求項7に記載の仕上研削工具。
  9. 請求項7又は8に記載の仕上研削工具を用いて、雌ねじ部材の内周面に形成された雌ねじ部に仕上研削を施す、雌ねじ部材の研削方法であって、
    前記仕上研削工具を前記雌ねじ部材に対して所定方向に相対回転させつつ、前記仕上研削工具を前記雌ねじ部材の径方向内側に、軸方向前側から、前記バックテーパ部の少なくとも一部が前記雌ねじ部材の径方向内側に位置するまで挿入し、その後、前記仕上研削工具を前記雌ねじ部材に対して前記所定方向と逆方向に相対回転させながら、前記仕上研削工具を前記雌ねじ部材の径方向内側から引き抜くことで、前記雌ねじ部に仕上研削を施す、
    雌ねじ部材の研削方法。
  10. 内周面に、ねじ山を螺旋状に形成してなる雌ねじ部を備え、
    前記雌ねじ部は、前記ねじ山のフランク面に、該ねじ山の形成方向に沿った研削筋目を有する、
    雌ねじ部材。
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