JP2022064144A - 切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】例えば切削インサートがインサート取付座に傾けて装着される場合などにおいても、切削インサートの着座安定性を安定して確保できること。【解決手段】板状の切削インサート2と、工具本体のインサート取付座と、クランプ部材5と、を備え、切削インサート2は、表面および裏面と、外周面23と、切刃24と、取付孔25と、を有し、取付孔25は、インサート軸方向の表面から裏面側へ向かうに従いインサート径方向の内側に位置する傾斜面部25aと、傾斜面部25aよりもインサート径方向の内側に突出しまたはインサート径方向の外側に窪む回転規制部25bと、を有し、インサート取付座は、裏面と接触する底壁と、外周面23と接触する側壁と、を有し、クランプ部材5は、インサート軸方向において傾斜面部25aと接触する第1押さえ部61と、インサート周方向において回転規制部25bと接触する第2押さえ部62と、を有する。【選択図】図15

Description

本発明は、切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具に関する。
従来の切削インサートの締結構造として、例えば特許文献1に記載のスローアウェイチップのクランプ機構が知られている。特許文献1では、クランプ駒の押圧面がチップの上面に接触し、クランプ駒の突起がチップの取付孔の内壁に接触する。これによりチップは、チップ取付座の底壁に向けて押圧されると同時に側壁に向けて押圧され、固定される。
特開平3-92206号公報
従来の切削インサートの締結構造は、下記の課題を有する。
例えば、ねじ切りインサートを備える刃先交換式バイトにより、被削材にねじ加工を行う場合、ねじのリード角に応じてインサート取付座のシート部材を適宜選択し、このシート部材上にねじ切りインサートを載置することで、ねじ切りインサートをインサート取付座に傾けて装着する。このように、切削インサートをインサート取付座に傾けて装着する場合などにおいては、切削インサートの上面(表面)をクランプ駒(クランプ部材)で安定して押さえることができない。
そこで、切削インサートの上面を押さえる代わりに、例えば、切削インサートの取付孔にテーパ面を形成し、このテーパ面をクランプ駒で上側から押さえる手法が考えられる。この場合、インサート取付座への切削インサートの取り付け姿勢(傾き)に係わらず、クランプ強度を一定以上に確保しやすい。しかしながら、上記ねじ加工など、切削加工時に切刃の刃先にかかる力が大きくなりやすく、切削インサートをインサート中心軸回りに回転させる力が作用しやすい切削加工では、切削インサートの着座安定性を十分に確保する点において未だ改善の余地があった。
本発明は、例えば切削インサートがインサート取付座に傾けて装着される場合などにおいても、切削インサートの着座安定性を安定して確保できる切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具を提供することを目的の一つとする。
本発明の切削インサートの締結構造の一つの態様は、板状の切削インサートと、前記切削インサートが配置される工具本体のインサート取付座と、前記インサート取付座に前記切削インサートを固定するクランプ部材と、を備え、前記切削インサートは、インサート中心軸が延びるインサート軸方向を向く表面および裏面と、前記インサート中心軸と直交するインサート径方向の外側を向く外周面と、前記表面と前記外周面とが接続される稜線部に配置される切刃と、少なくとも前記表面に開口する取付孔と、を有し、前記取付孔は、前記インサート軸方向の前記表面から前記裏面側へ向かうに従い前記インサート径方向の内側に位置する傾斜面部と、前記インサート中心軸回りのインサート周方向において前記傾斜面部とは異なる位置に配置され、前記傾斜面部よりも前記インサート径方向の内側に突出しまたは前記インサート径方向の外側に窪む回転規制部と、を有し、前記インサート取付座は、前記裏面と接触する底壁と、前記外周面と接触する側壁と、を有し、前記クランプ部材は、前記インサート軸方向において前記傾斜面部と接触する第1押さえ部と、前記インサート周方向において前記回転規制部と接触する第2押さえ部と、を有する。
また本発明の一つの態様は、上述の切削インサートの締結構造を備える刃先交換式切削工具であって、前記切削インサートと、前記工具本体と、前記クランプ部材と、を備える。
本発明の切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具では、クランプ部材の第1押さえ部が、切削インサートの取付孔の傾斜面部をインサート軸方向から押さえる。またクランプ部材の第2押さえ部が、切削インサートの取付孔の回転規制部をインサート周方向から押さえる。第1押さえ部が傾斜面部を押さえることにより、切削インサートをインサート軸方向へ押圧する分力と、インサート径方向へ押圧する分力とが得られ、切削インサートをインサート取付座の底壁と側壁とに押し付けることができる。また、第2押さえ部が回転規制部を押さえることにより、切削インサートのインサート周方向への回転が規制される。
本発明のクランプ部材は、切削インサートの取付孔を、互いに異なる2方向から2点(複数箇所)で支持しているので、インサート取付座に対して切削インサートを安定して拘束することができ、切削加工時における切削インサートのがたつき等が抑制される。
このため、例えばねじ加工などのように、切削インサートがインサート取付座に傾けて装着され、かつ工具送りが大きく、切削加工時に切刃の刃先にかかる力が大きくなりやすく、切削インサートをインサート中心軸回りに回転させる力が作用しやすい切削加工であっても、切削インサートのインサート取付座への着座安定性を安定して確保することができる。
上記切削インサートの締結構造において、前記傾斜面部は、前記インサート中心軸を含む縦断面の形状が凸曲線状をなす凸曲面部を有し、前記第1押さえ部は、前記凸曲面部と接触することが好ましい。
この場合、インサート取付座に対する切削インサートの取り付け姿勢つまり傾きの程度などに係わらず、第1押さえ部が安定して凸曲面部と接触する。このため、第1押さえ部により傾斜面部を安定して押さえることができる。
上記切削インサートの締結構造において、前記傾斜面部は、前記凸曲面部の前記インサート軸方向の前記裏面から前記表面側に隣り合って配置され、前記縦断面の形状が凹曲線状をなす凹曲面部を有することが好ましい。
この場合、傾斜面部に凹曲面部が設けられることで、切削インサートの取付孔周囲、特に取付孔の開口部周囲の肉厚が確保される。このため、取付孔による機能が安定して得られつつ、切削インサートの剛性についても確保される。
上記切削インサートの締結構造において、前記第1押さえ部は、前記インサート中心軸を含む縦断面の形状が凸曲線状をなすことが好ましい。
この場合、インサート取付座に対する切削インサートの取り付け姿勢つまり傾きの程度などに係わらず、第1押さえ部が安定して傾斜面部と接触する。このため、第1押さえ部により傾斜面部を安定して押さえることができる。
上記切削インサートの締結構造において、前記回転規制部は、前記インサート周方向を向く一対の側面を有し、一対の前記側面は、前記インサート径方向において前記傾斜面部から離れるに従い、前記インサート周方向において互いに近づく傾斜面状であり、前記第2押さえ部は、前記側面と接触することが好ましい。
この場合、回転規制部の一対の側面が、インサート径方向において傾斜面部から離れるに従い、インサート周方向において互いに近づくように傾斜しているので、第2押さえ部が回転規制部を押さえることにより、切削インサートをインサート周方向へ押圧する分力と、インサート径方向の外側へ押圧する分力とが得られ、切削インサートの回転を規制しつつ、切削インサートをインサート取付座の側壁に押し付けることができる。このため、インサート取付座に対して切削インサートを安定して拘束することができ、切削加工時における切削インサートのがたつき等が抑制される。また、回転規制部が傾斜面部からインサート径方向の内側に突出する場合には、上記構成により回転規制部の肉厚を確保しやすくなり、剛性が高められる。
上記切削インサートの締結構造において、前記側面は、前記インサート中心軸と垂直な横断面の形状が凹曲線状をなし、前記第2押さえ部は、前記横断面の形状が凸曲線状をなすことが好ましい。
この場合、回転規制部の凹曲面状の側面と、凸曲面状の第2押さえ部との接触面積を大きく確保しやすくなり、切削インサートの着座安定性がより高められる。
上記切削インサートの締結構造において、前記回転規制部は、前記傾斜面部よりも前記インサート径方向の内側に突出し、前記クランプ部材は、前記取付孔の内部に配置される押圧部を有し、前記押圧部は、前記インサート軸方向の前記表面から前記裏面側へ向かうに従い前記インサート径方向の内側に位置するテーパ面部と、前記インサート周方向において前記テーパ面部とは異なる位置に配置され、前記テーパ面部よりも前記インサート径方向の内側に窪む凹部と、を有し、前記凹部には、前記回転規制部が挿入され、前記第1押さえ部は、前記テーパ面部に配置され、前記第2押さえ部は、前記凹部に配置されることが好ましい。
例えば本発明と異なり、取付孔に傾斜面部が形成されているが回転規制部が形成されていない切削インサートに対して、クランプ部材の押圧部の凹部が干渉することはないため、本発明のクランプ部材を共通品として使用することが可能である。すなわち、本発明の切削インサートの締結構造は、一般的な切削インサートに対しても適用可能である。
上記切削インサートの締結構造において、前記切刃は、V字状のねじ切り刃を含み、前記切削インサートは、被削材をねじ加工するねじ切りインサートであることが好ましい。
ねじ切りインサートを用いたねじ加工では、被削材に加工するねじのリード角に応じて、ねじ切りインサートをインサート取付座に傾けて装着する。本発明によれば、インサート取付座へのねじ切りインサートの取り付け姿勢(傾き)に係わらず、クランプ強度が安定して確保される。またねじ加工の場合、切削インサートに対してインサート周方向への回転力が大きく作用しやすいが、本発明によれば、切削インサートの着座安定性が良好に維持される。
上記切削インサートの締結構造において、前記インサート取付座は、板状のシート部材を有し、前記シート部材は、前記インサート軸方向を向く一対の板面同士が互いに平行ではなく、前記一対の板面のうち1つが、前記インサート取付座の前記底壁とされることが好ましい。
この場合、一対の板面同士の間に形成される角度(傾斜角)が互いに異なる複数のシート部材をあらかじめ用意し、切削加工するねじのリード角に応じて、所定のシート部材を適宜選択し使用することにより、インサート取付座に対する切削インサートの傾きを調整して、所望のねじ加工を行うことができる。
本発明の一つの態様の切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具によれば、例えば切削インサートがインサート取付座に傾けて装着される場合などにおいても、切削インサートの着座安定性を安定して確保できる。
図1は、本実施形態の切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具を示す斜視図である。 図2は、本実施形態の切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具を示す分解斜視図である。 図3は、本実施形態の切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具を示す上面図である。 図4は、本実施形態の切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具を示す正面図である。 図5は、本実施形態の切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具を示す側面図である。 図6は、切削インサートを示す斜視図である。 図7は、切削インサートを示す平面図である。 図8(a)は、切削インサートを示す背面図であり、図8(b)は、切削インサートを示す正面図である。 図9(a)は、切削インサートを示す左側面図であり、図9(b)は、切削インサートを示す右側面図である。 図10は、切削インサートを示す底面図である。 図11は、クランプ部材を示す斜視図である。 図12は、クランプ部材を示す斜視図である。 図13は、本実施形態の切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具の一部を示す上面図であり、インサート取付座および工具本体、ならびにネジ部材の図示は省略している。 図14は、本実施形態の切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具の一部を示す正面図であり、インサート取付座および工具本体、ならびにネジ部材の図示は省略している。 図15は、図14のXV-XV断面を示す横断面図である。 図16は、図15のXVI-XVI断面を示す縦断面図である。 図17は、図15のXVII-XVII断面を示す縦断面図である。 図18は、図16のXVIII部を拡大して示す断面図である。 図19は、図17のXIX部を拡大して示す断面図である。 図20は、図15のXX部を拡大して示す断面図である。
本発明の一実施形態の切削インサートの締結構造10、およびこれを備える刃先交換式切削工具1について、図面を参照して説明する。本実施形態の刃先交換式切削工具1は、旋削加工(ターニング)に用いられる刃先交換式バイトであり、図示しない旋盤などの工作機械の刃物台等に着脱可能に装着される。具体的にこの刃先交換式切削工具1は、被削材にねじ加工を施す刃先交換式ねじ切り工具である。
図1から図5に示すように、切削インサートの締結構造10は、板状の切削インサート2と、切削インサート2が配置される工具本体3のインサート取付座4と、インサート取付座4に切削インサート2を固定するクランプ部材5と、クランプ部材5を工具本体3に取り付けるネジ部材6と、を備える。
また刃先交換式切削工具1は、切削インサート2と、工具本体3と、クランプ部材5と、ネジ部材6と、を備える。
工具本体3は、略角柱状であり、図示しない工具中心軸に沿って延びる。インサート取付座4は、工具本体3の両端部(第1端部3aおよび図示しない第2端部)のうち、第1端部3aに配置される。工具本体3は、互いに反対方向を向く頂面31および底面、互いに反対方向を向く一対の横面32,33、ならびに、第1端部3aの端面に位置する先端面34を有する。
〔方向の定義〕
本実施形態では、工具本体3の工具中心軸が延びる方向を、工具軸方向と呼ぶ。工具軸方向のうち、工具本体3の第2端部から第1端部3aへ向かう方向を先端側と呼び、第1端部3aから第2端部へ向かう方向を後端側と呼ぶ。
工具中心軸と直交する方向のうち、工具本体3の一対の横面32,33が向く方向を、工具幅方向(左右方向)と呼ぶ。工具幅方向は、切削加工時に被削材に対して刃先交換式切削工具1が送られる方向、つまり工具送り方向に相当する。工具幅方向のうち、一方の横面32から他方の横面33へ向かう方向を左側と呼び、他方の横面33から一方の横面32へ向かう方向を右側と呼ぶ。
工具中心軸と直交し、かつ工具幅方向と直交する方向を上下方向(高さ方向)と呼ぶ。上下方向は、工具本体3の頂面31および底面が向く方向である。上下方向のうち、切削インサート2の後述するすくい面26が向く方向を上側と呼び、すくい面26が向く方向とは反対方向を下側と呼ぶ。
なお本実施形態において、左側、右側、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係以外の配置関係等であってもよい。
図6から図10に示すように、切削インサート2は、インサート中心軸Aを中心とする板状であり、互いに反対方向を向く一対の板面21,22を有する。一対の板面21,22のうち一方の板面21は、表面21であり、他方の板面22は、裏面22である。
本実施形態では、切削インサート2のインサート中心軸Aが延びる方向を、インサート軸方向と呼ぶ。インサート軸方向のうち、表面21から裏面22へ向かう方向をインサート軸方向の表面21から裏面22側、または単にインサート軸方向の裏面22側と呼ぶ。インサート軸方向のうち、裏面22から表面21へ向かう方向をインサート軸方向の裏面22から表面21側、または単にインサート軸方向の表面21側と呼ぶ。
インサート中心軸Aと直交する方向をインサート径方向と呼ぶ。インサート径方向のうち、インサート中心軸Aに近づく方向をインサート径方向の内側と呼び、インサート中心軸Aから離れる方向をインサート径方向の外側と呼ぶ。
インサート中心軸A回りに周回する方向をインサート周方向と呼ぶ。
〔切削インサート〕
切削インサート2は、例えば超硬合金製である。本実施形態では切削インサート2が、多角形板状であり、具体的には三角形板状である。切削インサート2は、インサート中心軸Aを中心として60°回転対称形状である。切削インサート2は、略正三角形板状である。切削インサート2は、3つのコーナ部を有する。切削インサート2は、片面タイプであり、つまり表裏反転対称形状ではない。本実施形態の切削インサート2は、被削材をねじ加工するねじ切りインサート2である。
切削インサート2は、インサート軸方向を向く表面21および裏面22と、インサート径方向の外側を向く外周面23と、表面21と外周面23とが接続される稜線部に配置される切刃24と、少なくとも表面21に開口する取付孔25と、を有する。
表面21は、三角形状であり、具体的には略正三角形状である。表面21は、すくい面26を有する。すくい面26は、切刃24と接続される。すくい面26は、切刃24のインサート径方向の内側に配置される。すくい面26は、各コーナ部にそれぞれ配置される。つまりすくい面26は、表面21にコーナ部の数と同数設けられ、本実施形態では、インサート周方向に互いに間隔をあけて3つ設けられる。
裏面22は、三角形状であり、具体的には略正三角形状である。裏面22は、着座面27を有する。着座面27は、インサート中心軸Aと垂直な方向に拡がる平面状である。
外周面23は、インサート中心軸Aを中心とする環状である。外周面23は、インサート周方向に延びる。外周面23は、逃げ面28を有する。逃げ面28は、切刃24と接続される。逃げ面28は、切刃24のインサート軸方向の裏面22側に配置される。逃げ面28は、各コーナ部にそれぞれ配置される。つまり逃げ面28は、外周面23にコーナ部の数と同数設けられ、本実施形態では、インサート周方向に互いに間隔をあけて3つ設けられる。
切刃24は、各コーナ部にそれぞれ配置される。つまり切刃24は、表面21と外周面23とが接続される稜線部に、コーナ部の数と同数設けられ、本実施形態では、インサート周方向に互いに間隔をあけて3つ設けられる。すなわち切刃24は、切削インサート2に複数設けられる。複数の切刃24は、互いに同一の構成を有する。切刃24は、すくい面26と逃げ面28とが接続される稜線部に配置される。
すくい面26のうち切刃24と隣接する部分は、インサート径方向の内側へ向かうに従い、インサート軸方向の裏面22側に位置する傾斜面状である。すなわち、切刃24のすくい角は、ポジティブ角(正角)である。
切刃24は、V字状のねじ切り刃を含む。ねじ切り刃は、被削材の周面にねじ加工を施す刃である。特に図示しないが、切刃24は、ねじ切り刃と隣り合うさらい刃を含んでいてもよい。さらい刃は、ねじ加工されたねじ山の頂部のバリを除去する刃である。
本実施形態では取付孔25が、表面21および裏面22に開口する。つまり取付孔25は、切削インサート2をインサート軸方向に貫通する孔である。取付孔25は、インサート中心軸Aを中心とする略円孔状である。
図6、図7、および図15から図20に示すように、取付孔25は、インサート軸方向の表面21から裏面22側へ向かうに従いインサート径方向の内側に位置する傾斜面部25aと、インサート周方向において傾斜面部25aとは異なる位置に配置され、傾斜面部25aよりもインサート径方向の内側に突出しまたはインサート径方向の外側に窪む回転規制部25bと、傾斜面部25aおよび回転規制部25bのインサート軸方向の裏面22側に配置される円孔部25cと、を有する。
傾斜面部25aは、取付孔25に、インサート周方向に並んで複数設けられる。図16に示すように、傾斜面部25aは、取付孔25のうち少なくともインサート軸方向の表面21側部分に位置する。本実施形態では傾斜面部25aが、取付孔25のうちインサート軸方向の裏面22側の端部以外の部分に配置される。インサート周方向に隣り合う一対の傾斜面部25aの各インサート軸方向の裏面22側の端部同士は、互いに接続される。図15に示すように、傾斜面部25aは、インサート中心軸Aと垂直な横断面の形状が、インサート中心軸Aを中心とする凹円弧状である。
図16および図18に示すように、傾斜面部25aは、インサート中心軸Aを含む縦断面の形状が凸曲線状をなす凸曲面部25dと、凸曲面部25dのインサート軸方向の裏面22から表面21側に隣り合って配置され、前記縦断面の形状が凹曲線状をなす凹曲面部25eと、を有する。
凸曲面部25dは、傾斜面部25aのうちインサート軸方向の裏面22側部分に位置する。凸曲面部25dは、インサート径方向の内側かつインサート軸方向の表面21側へ向けて膨出する凸曲面状であり、インサート周方向に延びる。
凹曲面部25eは、傾斜面部25aのうちインサート軸方向の表面21側部分に位置する。凹曲面部25eは、凸曲面部25dのインサート径方向の外側に配置される。凹曲面部25eは、インサート径方向の外側かつインサート軸方向の裏面22側へ向けて窪む凹曲面状であり、インサート周方向に延びる。
図18に示す縦断面視において、凸曲面部25dのインサート軸方向の表面21側の端部と、凹曲面部25eのインサート軸方向の裏面22側の端部とは、互いに共通の接線を有するように滑らかに接続される。
図6に示すように、本実施形態では回転規制部25bが、傾斜面部25aよりもインサート径方向の内側に突出する。回転規制部25bは、インサート軸方向に延びるリブ状である。回転規制部25bが傾斜面部25aからインサート径方向の内側に突出する突出量は、インサート軸方向の裏面22から表面21側へ向かうに従い大きくなる。回転規制部25bのインサート周方向の幅寸法は、インサート軸方向の裏面22から表面21側へ向かうに従い大きくなる。
回転規制部25bは、取付孔25に、インサート周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。図17に示すように、回転規制部25bは、取付孔25のうち少なくともインサート軸方向の表面21側部分に位置する。本実施形態では回転規制部25bが、取付孔25のインサート軸方向の全長のうち略半分にわたって配置される。回転規制部25bのインサート軸方向の表面21側の端部は、取付孔25のインサート軸方向の表面21側の端部つまり開口部に位置する。
図15および図20に示すように、回転規制部25bは、インサート周方向を向く一対の側面25fを有する。一対の側面25fは、インサート径方向において傾斜面部25aから離れるに従い、インサート周方向において互いに近づく傾斜面状である。具体的に、一対の側面25fは、インサート径方向の内側へ向かうに従いインサート周方向において互いに接近する。図20に示すように、側面25fは、インサート中心軸Aと垂直な横断面の形状が凹曲線状をなしている。つまり側面25fは、凹曲面状である。
図10、図16および図17に示すように、円孔部25cは、インサート中心軸Aを中心とする円孔状であり、インサート軸方向に延びる。円孔部25cは、取付孔25のうちインサート軸方向の裏面22側の端部に配置される。円孔部25cのインサート軸方向の表面21側の端部は、凸曲面部25dのインサート軸方向の裏面22側の端部と、段差なく滑らかに接続される。
〔工具本体およびインサート取付座〕
工具本体3は、例えば鋼材等の金属製である。図5に示すように、工具本体3の外面のうち、頂面31は、上側を向く。頂面31のうち工具本体3の第1端部3aつまり先端部に位置する部分は、第1端部3a以外の部分よりも、上側に突出する。図3に示すように、工具本体3の外面のうち、一方の横面32は、右側を向く。一方の横面32のうち工具本体3の第1端部3aに位置する部分は、第1端部3a以外の部分よりも、右側に突出する。工具本体3の外面のうち、先端面34は、工具軸方向の先端側を向く。先端面34は、工具中心軸と垂直な平面状の部分を有する。
図2に示すように、工具本体3は、切削インサート2が着脱可能に装着されるインサート取付座4と、クランプ部材5の一部が挿入されるクランプ挿入穴7と、ネジ部材6が螺着されるクランプ雌ネジ穴8と、を有する。
またインサート取付座4は、板状のシート部材41を有する。シート部材41は、工具本体3の凹状のシート取付部35に配置される。シート部材41は、図示しないシート固定ネジによりシート取付部35に固定される。つまり工具本体3は、シート部材41と、シート取付部35と、シート固定ネジと、を有する。
本実施形態ではシート部材41が、三角形板状である。シート部材41は、インサート軸方向を向く一対の板面41a,41bと、ネジ挿入孔41cと、を有する。
一対の板面41a,41bのうち、一方の板面(上面)41aは、上側を向く。一方の板面41aは、略三角形の平面状である。一対の板面41a,41bのうち、他方の板面(下面)41bは、下側を向く。他方の板面41bは、略三角形の平面状である。
ネジ挿入孔41cは、一対の板面41a,41bに開口する。すなわち、ネジ挿入孔41cは、シート部材41を上下方向に貫通する。ネジ挿入孔41cの内径は、上側へ向かうに従い大きくなる。ネジ挿入孔41c内には、図示しない皿ネジ等のシート固定ネジのネジ頭部、およびネジ軸部の上端部が配置される。
特に図示しないが、シート部材41は、互いに形状が異なる複数種類が用意される。複数種類のシート部材41には、一対の板面41a,41b同士が互いに平行ではないものが含まれる。詳しくは、複数種類のシート部材41には、一対の板面41a,41b同士の間に形成される角度(傾斜角)が互いに異なる複数のシート部材41が含まれる。一対の板面41a,41b同士の間の傾斜角は、例えば、1.5~4.5°の間で適宜設定される。なお複数種類のシート部材41には、一対の板面41a,41b同士が互いに平行であるものが含まれていてもよい。切削加工時にはあらかじめ、複数種類のシート部材41の中から、被削材に成形するねじのリード角に適合する傾斜角を有する所定のシート部材41を選択し、シート取付部35に取り付けておく。
図1および図5に示すように、シート部材41の複数(3つ)のコーナ部のうち、最も工具軸方向の先端側に位置するコーナ部は、工具本体3の先端面34よりも先端側に突出し、かつ切削インサート2の切刃24よりは工具軸方向の後端側に配置される。
図2に示すように、シート取付部35は、インサート取付座4の下側に配置される。シート取付部35の形状は、略三角形凹状である。シート取付部35は、上側を向くシート載置面35aと、シート載置面35aに開口するシート雌ネジ穴35bと、を有する。
シート載置面35aは、上下方向と垂直な方向に拡がる平面状である。シート載置面35aには、シート部材41の他方の板面(下面)41bが接触する。
シート雌ネジ穴35bは、上下方向に延びる。シート雌ネジ穴35bは、その内周面に雌ネジ部を有する。シート雌ネジ穴35bの雌ネジ部には、図示しないシート固定ネジのネジ軸部の雄ネジ部が螺着する。
特に図示しないが、シート固定ネジは、シート部材41の上側からネジ挿入孔41cに挿入され、シート雌ネジ穴35bに螺着される。これにより、シート部材41は、シート取付部35に固定される。なお、シート固定ネジのネジ頭部は、ネジ挿入孔41c内に収容され、シート部材41の一方の板面(上面)41aから上側には突出しない。
インサート取付座4は、工具本体3の第1端部3aつまり先端部において、頂面31、一方の横面32および先端面34に開口する。インサート取付座4は、工具本体3の頂面31、一方の横面32および先端面34から窪む凹状である。インサート取付座4の形状は、切削インサート2の形状と対応しており、本実施形態では略三角形凹状である。
インサート取付座4は、切削インサート2の裏面22と接触する底壁4aと、切削インサート2の外周面23と接触する側壁4b,4cと、を有する。
底壁4aは、シート部材41の一方の板面(上面)41aにより構成される。すなわち本実施形態では、シート部材41の一対の板面41a,41bのうち1つが、インサート取付座4の底壁4aとされる。本実施形態では、シート部材41の一対の板面41a,41b同士が互いに平行ではなく、一対の板面41a,41b同士の間に傾斜角が付与されているため、底壁4aは、上下方向と垂直な仮想平面(図示省略)に対して傾斜した傾斜面となる。なお、シート部材41の一対の板面41a,41b同士が互いに平行である場合には、底壁4aは、上下方向と垂直な仮想平面に対して平行な面となる。
側壁4b,4cは、複数設けられる。本実施形態ではインサート取付座4が、一対の側壁4b,4cを有する。
図2および図3に示すように、一対の側壁4b,4cのうち、一方の側壁4bは、工具軸方向の先端側かつ右側を向く壁面である。一方の側壁4bは、上下方向の寸法よりもインサート周方向の寸法が大きい長方形状である。一方の側壁4bのうち上端部は、上端部以外の部位よりも、切削インサート2の外周面23に向けて突出する。一方の側壁4bの上端部は、インサート周方向に延びる細長い長方形状である。一方の側壁4bの上端部の少なくとも一部は、切削インサート2の外周面23と接触する。本実施形態では、一方の側壁4bの上端部が、インサート周方向つまり側壁4bが延在する方向の略全域にわたって、切削インサート2の外周面23と接触する。
一対の側壁4b,4cのうち、他方の側壁4cは、工具軸方向の後端側かつ右側を向く壁面である。他方の側壁4cは、上下方向の寸法よりもインサート周方向の寸法が大きい長方形状である。他方の側壁4cのうち上端部は、上端部以外の部位よりも、切削インサート2の外周面23に向けて突出する。他方の側壁4cの上端部は、インサート周方向に延びる細長い長方形状である。他方の側壁4cの上端部の少なくとも一部は、切削インサート2の外周面23と接触する。本実施形態では、他方の側壁4cの上端部が、インサート周方向つまり側壁4cが延在する方向の一部(具体的には、工具軸方向の前端部)において、切削インサート2の外周面23と接触する。
クランプ挿入穴7は、工具本体3の第1端部3aつまり先端部に配置される。クランプ挿入穴7は、インサート取付座4と隣り合って配置される。クランプ挿入穴7は、インサート取付座4の後端側に位置する。クランプ挿入穴7は、工具本体3の頂面31に開口し、上下方向に延びる。クランプ挿入穴7には、クランプ部材5の下端部が挿入される。
クランプ挿入穴7は、円穴部7aと、溝部7bと、を有する。
円穴部7aは、頂面31に開口する円穴状である。円穴部7aは、上下方向に延びる。
溝部7bは、円穴部7aの内周面の一部から窪み、上下方向に延びる溝状である。溝部7bは、頂面31に開口する。溝部7bは、円穴部7aの内周面のうち、円穴部7aの中心軸を間に挟んでインサート取付座4とは反対側に位置する部分に配置される。
図2に示すように、クランプ雌ネジ穴8は、クランプ挿入穴7の円穴部7aの底面に開口し、上下方向に延びる。クランプ雌ネジ穴8は、その内周面に雌ネジ部を有する。
〔クランプ部材〕
図1、図2、図11および図12に示すように、本実施形態のクランプ部材5は、いわゆるクランプ駒である。クランプ部材5は、筒部51と、リブ部52と、延出部53と、押圧部54と、を有する。
また押圧部54は、図16および図18に示すように、インサート軸方向において傾斜面部25aと接触する第1押さえ部61と、図15および図20に示すように、インサート周方向において回転規制部25bと接触する第2押さえ部62と、を有する。つまりクランプ部材5は、第1押さえ部61と、第2押さえ部62と、を有する。
図1、図2、図11および図12に示すように、筒部51は、上下方向に延びる円筒状である。筒部51の下端部は、クランプ挿入穴7の円穴部7a内に挿入される。
リブ部52は、筒部51の外周面の一部から突出し、上下方向に延びるリブ状である。リブ部52は、筒部51から延出部53が突出する向きとは反対側へ向けて、筒部51から突出する。本実施形態ではリブ部52が、上下方向において、筒部51の上端部以外の部分に位置する。リブ部52は、クランプ挿入穴7の溝部7bに嵌合する(図3参照)。これにより、クランプ挿入穴7に対してクランプ部材5が、筒部51の中心軸回りに回転することが規制される。
延出部53は、筒部51の外周面の一部から突出し、筒部51の中心軸と直交する方向に延びる。延出部53は、筒部51の上端部から、切削インサート2へ向けて突出する。図16および図17に示すように、延出部53の一部は、切削インサート2の表面21に対して、上側から隙間をあけて対向する。つまり延出部53は、切削インサート2の上側に位置する。
押圧部54は、延出部53の先端部から下側に突出し、切削インサート2の取付孔25内に挿入される。つまり押圧部54は、取付孔25の内部に配置される。押圧部54は、延出部53の下面から突出する突起状である。
押圧部54は、インサート軸方向の表面21から裏面22側へ向かうに従いインサート径方向の内側に位置するテーパ面部54aと、インサート周方向においてテーパ面部54aとは異なる位置に配置され、テーパ面部54aよりもインサート径方向の内側に窪む凹部54bと、を有する。
図12に示すように、テーパ面部54aは、押圧部54の外周面のうち筒部51側を向く部分に配置される。図16および図18に示すように、テーパ面部54aは、押圧部54のうち下端部、すなわちインサート軸方向の裏面22側部分に位置する。テーパ面部54aは、インサート中心軸Aを含む縦断面の形状が凸曲線状をなす。テーパ面部54aは、インサート径方向の外側かつインサート軸方向の裏面22側へ向けて膨出する凸曲面状であり、インサート周方向に延びる。
図12、図15および図17に示すように、凹部54bは、押圧部54の外周面のうち筒部51側を向く部分からインサート径方向の内側に窪む凹状である。本実施形態では凹部54bが、上下方向に延びる溝状であり、押圧部54の下面に開口する。図17および図19に示すように、凹部54bは、上下方向において、押圧部54の上端部以外の部分に配置される。図15および図20に示すように、凹部54bのうちインサート径方向の内端部つまり底部は、インサート中心軸Aと垂直な横断面の形状が凹曲線状をなす。すなわち、凹部54bの底部は、凹曲面状である。また、凹部54bのうちインサート径方向の外端部つまり開口部は、インサート中心軸Aと垂直な横断面の形状が凸曲線状をなす。すなわち、凹部54bの開口部は、凸曲面状である。
凹部54bには、回転規制部25bが挿入される。
図16および図18に示すように、第1押さえ部61は、テーパ面部54aに配置される。第1押さえ部61は、テーパ面部54aの一部を構成する。第1押さえ部61は、インサート軸方向の表面21側(つまり上側)から、かつインサート径方向の内側から、傾斜面部25aに接触する。第1押さえ部61は、インサート中心軸Aを含む縦断面の形状が凸曲線状をなす。つまり第1押さえ部61は、凸曲面状である。第1押さえ部61は、傾斜面部25aのうち凸曲面部25dと接触する。本実施形態では、図18に示す縦断面視で、第1押さえ部61の曲率半径よりも、凸曲面部25dの曲率半径が大きい。
第1押さえ部61は、取付孔25を介して切削インサート2を、インサート取付座4の底壁4aおよび一方の側壁4bへ向けて押圧する。
図15および図20に示すように、第2押さえ部62は、凹部54bに配置される。第2押さえ部62は、凹部54bの一部を構成する。第2押さえ部62は、凹部54bの開口部に位置する。第2押さえ部62は、インサート周方向から、かつインサート径方向の内側から、回転規制部25bに接触する。第2押さえ部62は、インサート中心軸Aと垂直な横断面の形状が凸曲線状をなす。つまり第2押さえ部62は、凸曲面状である。第2押さえ部62は、回転規制部25bのうち側面25fと接触する。本実施形態では、図20に示す横断面視で、第2押さえ部62の曲率半径よりも、側面25fの曲率半径が大きい。
第2押さえ部62は、取付孔25を介して切削インサート2を、インサート取付座4の一方の側壁4bおよび他方の側壁4cへ向けて押圧する。
〔ネジ部材〕
図2に示すように、ネジ部材6は、例えばクランプネジである。ネジ部材6は、ネジ頭部6aと、ネジ軸部6bと、を有する。ネジ部材6は、ネジ軸部6bの外周面に雄ネジ部6cを有する。ネジ部材6は、クランプ部材5の上側から筒部51内に挿入され、クランプ雌ネジ穴8に螺着される。すなわち、ネジ部材6の雄ネジ部6cと、クランプ雌ネジ穴8の雌ネジ部とが、互いに螺着される。これにより、ネジ頭部6aが筒部51の上端面を下側へ押圧し、クランプ部材5の押圧部54が切削インサート2の取付孔25を押圧して、クランプ部材5および切削インサート2が工具本体3に固定される。
〔本実施形態による作用効果〕
以上説明した本実施形態の切削インサートの締結構造10および刃先交換式切削工具1では、クランプ部材5の第1押さえ部61が、切削インサート2の取付孔25の傾斜面部25aをインサート軸方向から押さえる。またクランプ部材5の第2押さえ部62が、切削インサート2の取付孔25の回転規制部25bをインサート周方向から押さえる。第1押さえ部61が傾斜面部25aを押さえることにより、切削インサート2をインサート軸方向へ押圧する分力と、インサート径方向へ押圧する分力とが得られ、切削インサート2をインサート取付座4の底壁4aと側壁4bとに押し付けることができる。また、第2押さえ部62が回転規制部25bを押さえることにより、切削インサート2のインサート周方向への回転が規制される。
本実施形態のクランプ部材5は、切削インサート2の取付孔25を、互いに異なる2方向から2点(複数箇所)で支持しているので、インサート取付座4に対して切削インサート2を安定して拘束することができ、切削加工時における切削インサート2のがたつき等が抑制される。
このため、例えばねじ加工などのように、切削インサート2がインサート取付座4に傾けて装着され、かつ工具送りが大きく、切削加工時に切刃24の刃先にかかる力が大きくなりやすく、切削インサート2をインサート中心軸A回りに回転させる力が作用しやすい切削加工であっても、切削インサート2のインサート取付座4への着座安定性を安定して確保することができる。
また本実施形態では、第1押さえ部61が、傾斜面部25aの凸曲面部25dと接触する。
この場合、インサート取付座4に対する切削インサート2の取り付け姿勢つまり傾きの程度などに係わらず、第1押さえ部61が安定して凸曲面部25dと接触する。このため、第1押さえ部61により傾斜面部25aを安定して押さえることができる。
また本実施形態では、傾斜面部25aが、凸曲面部25dのインサート軸方向の表面21側に隣り合う凹曲面部25eを有する。
この場合、傾斜面部25aに凹曲面部25eが設けられることで、切削インサート2の取付孔25周囲、特に取付孔25の開口部周囲の肉厚が確保される。このため、取付孔25による機能が安定して得られつつ、切削インサート2の剛性についても確保される。
また本実施形態では、図18に示すように第1押さえ部61は、インサート中心軸Aを含む縦断面の形状が凸曲線状をなす。つまり第1押さえ部61は、凸曲面状である。
この場合、インサート取付座4に対する切削インサート2の取り付け姿勢つまり傾きの程度などに係わらず、第1押さえ部61が安定して傾斜面部25aと接触する。このため、第1押さえ部61により傾斜面部25aを安定して押さえることができる。
また本実施形態では、図20に示すように、回転規制部25bの一対の側面25fが傾斜面状であり、第2押さえ部62は、側面25fと接触する。
この場合、回転規制部25bの一対の側面25fが、インサート径方向において傾斜面部25aから離れるに従い、インサート周方向において互いに近づくように傾斜しているので、第2押さえ部62が回転規制部25bを押さえることにより、切削インサート2をインサート周方向へ押圧する分力と、インサート径方向の外側へ押圧する分力とが得られ、切削インサート2の回転を規制しつつ、切削インサート2をインサート取付座4の側壁4b,4cに押し付けることができる。このため、インサート取付座4に対して切削インサート2を安定して拘束することができ、切削加工時における切削インサート2のがたつき等が抑制される。また本実施形態のように、回転規制部25bが傾斜面部25aからインサート径方向の内側に突出する場合には、上記構成により回転規制部25bの肉厚を確保しやすくなり、剛性が高められる。
また本実施形態では、図20に示すように側面25fは、インサート中心軸Aと垂直な横断面の形状が凹曲線状をなし、第2押さえ部62は、前記横断面の形状が凸曲線状をなす。
この場合、回転規制部25bの凹曲面状の側面25fと、凸曲面状の第2押さえ部62との接触面積を大きく確保しやすくなり、切削インサート2の着座安定性がより高められる。
また本実施形態では、第1押さえ部61が、押圧部54のテーパ面部54aに配置され、第2押さえ部62が、押圧部54の凹部54bに配置される。
例えば本実施形態と異なり、取付孔25に傾斜面部25aが形成されているが回転規制部25bが形成されていない切削インサートに対して、クランプ部材5の押圧部54の凹部54bが干渉することはないため、本実施形態のクランプ部材5を共通品として使用することが可能である。すなわち、本実施形態の切削インサートの締結構造10は、一般的な切削インサートに対しても適用可能である。
また本実施形態では、切削インサート2が、被削材をねじ加工するねじ切りインサート2である。
ねじ切りインサート2を用いたねじ加工では、被削材に加工するねじのリード角に応じて、ねじ切りインサート2をインサート取付座4に傾けて装着する。本実施形態によれば、インサート取付座4へのねじ切りインサート2の取り付け姿勢(傾き)に係わらず、クランプ強度が安定して確保される。またねじ加工の場合、切削インサート2に対してインサート周方向への回転力が大きく作用しやすいが、本実施形態によれば、切削インサート2の着座安定性が良好に維持される。
また本実施形態では、インサート取付座4が、板状のシート部材41を有し、シート部材41は、インサート軸方向を向く一対の板面41a,41b同士が互いに平行ではなく、一対の板面41a,41bのうち1つ(板面41a)が、インサート取付座4の底壁4aとされる。
この場合、一対の板面41a,41b同士の間に形成される角度(傾斜角)が互いに異なる複数のシート部材41をあらかじめ用意し、切削加工するねじのリード角に応じて、所定のシート部材41を適宜選択し使用することにより、インサート取付座4に対する切削インサート2の傾きを調整して、所望のねじ加工を行うことができる。
〔本発明に含まれるその他の構成〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
前述の実施形態では、取付孔25が、切削インサート2をインサート軸方向に貫通し、表面21および裏面22に開口する貫通孔である例を挙げたが、これに限らない。取付孔25は、少なくとも表面21に開口していればよく、例えば有底の止め穴であってもよい。
また切削インサート2は、前述の実施形態で説明した片面タイプに限らず、表裏反転対称形状の両面タイプであってもよい。
前述の実施形態では、クランプ部材5の第1押さえ部61および第2押さえ部62が、押圧部54に各1つ設けられる例を挙げたが、これに限らない。
特に図示しないが、クランプ部材5の押圧部54は、複数のテーパ面部54aと、複数の凹部54bと、を有し、第1押さえ部61が各テーパ面部54aにそれぞれ(つまり複数)設けられ、第2押さえ部62が各凹部54bにそれぞれ設けられてもよい。この場合、複数のテーパ面部54aと複数の凹部54bとは、例えば、インサート周方向に交互に並ぶ。
前述の実施形態では、回転規制部25bが、傾斜面部25aよりもインサート径方向の内側に突出する例を挙げたが、これに限らない。
特に図示しないが、回転規制部は、傾斜面部25aよりもインサート径方向の外側に窪んでいてもよい。この場合、回転規制部は、例えばインサート軸方向に延びる溝状等である。またクランプ部材5の押圧部54は、テーパ面部54aと、インサート周方向においてテーパ面部54aとは異なる位置に配置され、テーパ面部54aよりもインサート径方向の外側に突出する凸部と、を有する。凸部は、回転規制部内に挿入される。そして第2押さえ部は、凸部に配置され、インサート周方向において回転規制部と接触する。
前述の実施形態では、クランプ部材5がクランプ駒である例を挙げたが、これに限らない。クランプ部材は、例えばL字状のクランプレバーであってもよい。この場合、クランプ部材は、切削インサート2の下側から取付孔25内に挿入される。
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態および変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
本発明の切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具によれば、例えば切削インサートがインサート取付座に傾けて装着される場合などにおいても、切削インサートの着座安定性を安定して確保できる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
1…刃先交換式切削工具
2…切削インサート
3…工具本体
4…インサート取付座
4a…底壁
4b,4c…側壁
5…クランプ部材
10…切削インサートの締結構造
21…表面
22…裏面
23…外周面
24…切刃
25…取付孔
25a…傾斜面部
25b…回転規制部
25d…凸曲面部
25e…凹曲面部
25f…側面
41…シート部材
41a,41b…板面
54…押圧部
54a…テーパ面部
54b…凹部
61…第1押さえ部
62…第2押さえ部
A…インサート中心軸

Claims (10)

  1. 板状の切削インサートと、
    前記切削インサートが配置される工具本体のインサート取付座と、
    前記インサート取付座に前記切削インサートを固定するクランプ部材と、を備え、
    前記切削インサートは、
    インサート中心軸が延びるインサート軸方向を向く表面および裏面と、
    前記インサート中心軸と直交するインサート径方向の外側を向く外周面と、
    前記表面と前記外周面とが接続される稜線部に配置される切刃と、
    少なくとも前記表面に開口する取付孔と、を有し、
    前記取付孔は、
    前記インサート軸方向の前記表面から前記裏面側へ向かうに従い前記インサート径方向の内側に位置する傾斜面部と、
    前記インサート中心軸回りのインサート周方向において前記傾斜面部とは異なる位置に配置され、前記傾斜面部よりも前記インサート径方向の内側に突出しまたは前記インサート径方向の外側に窪む回転規制部と、を有し、
    前記インサート取付座は、
    前記裏面と接触する底壁と、
    前記外周面と接触する側壁と、を有し、
    前記クランプ部材は、
    前記インサート軸方向において前記傾斜面部と接触する第1押さえ部と、
    前記インサート周方向において前記回転規制部と接触する第2押さえ部と、を有する、
    切削インサートの締結構造。
  2. 前記傾斜面部は、前記インサート中心軸を含む縦断面の形状が凸曲線状をなす凸曲面部を有し、
    前記第1押さえ部は、前記凸曲面部と接触する、
    請求項1に記載の切削インサートの締結構造。
  3. 前記傾斜面部は、前記凸曲面部の前記インサート軸方向の前記裏面から前記表面側に隣り合って配置され、前記縦断面の形状が凹曲線状をなす凹曲面部を有する、
    請求項2に記載の切削インサートの締結構造。
  4. 前記第1押さえ部は、前記インサート中心軸を含む縦断面の形状が凸曲線状をなす、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の切削インサートの締結構造。
  5. 前記回転規制部は、前記インサート周方向を向く一対の側面を有し、
    一対の前記側面は、前記インサート径方向において前記傾斜面部から離れるに従い、前記インサート周方向において互いに近づく傾斜面状であり、
    前記第2押さえ部は、前記側面と接触する、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の切削インサートの締結構造。
  6. 前記側面は、前記インサート中心軸と垂直な横断面の形状が凹曲線状をなし、
    前記第2押さえ部は、前記横断面の形状が凸曲線状をなす、
    請求項5に記載の切削インサートの締結構造。
  7. 前記回転規制部は、前記傾斜面部よりも前記インサート径方向の内側に突出し、
    前記クランプ部材は、前記取付孔の内部に配置される押圧部を有し、
    前記押圧部は、
    前記インサート軸方向の前記表面から前記裏面側へ向かうに従い前記インサート径方向の内側に位置するテーパ面部と、
    前記インサート周方向において前記テーパ面部とは異なる位置に配置され、前記テーパ面部よりも前記インサート径方向の内側に窪む凹部と、を有し、
    前記凹部には、前記回転規制部が挿入され、
    前記第1押さえ部は、前記テーパ面部に配置され、
    前記第2押さえ部は、前記凹部に配置される、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の切削インサートの締結構造。
  8. 前記切刃は、V字状のねじ切り刃を含み、
    前記切削インサートは、被削材をねじ加工するねじ切りインサートである、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の切削インサートの締結構造。
  9. 前記インサート取付座は、板状のシート部材を有し、
    前記シート部材は、前記インサート軸方向を向く一対の板面同士が互いに平行ではなく、前記一対の板面のうち1つが、前記インサート取付座の前記底壁とされる、
    請求項8に記載の切削インサートの締結構造。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の切削インサートの締結構造を備える刃先交換式切削工具であって、
    前記切削インサートと、
    前記工具本体と、
    前記クランプ部材と、を備える、
    刃先交換式切削工具。
JP2020172706A 2020-10-13 2020-10-13 切削インサートの締結構造および刃先交換式切削工具 Pending JP2022064144A (ja)

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