JP2022061316A - 無線通信装置及び無線通信方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マルチリンク通信においてリンク間の干渉による影響を抑えることができる無線通信装置及び無線通信方法を提供すること。【解決手段】実施形態による無線通信装置は、第1の周波数で、他の無線通信装置から、前記他の無線通信装置が第2の周波数で動作可能であることを識別可能な第1の情報、及び前記他の無線通信装置が前記第2の周波数と第1の周波数間で送信及び受信に制約があることを識別可能な第2の情報を受信し、前記第1の周波数又は前記第2の周波数のいずれか一つを一次周波数と設定したことを前記他の無線通信装置に通知し、前記第1の周波数と前記第2の周波数で前記他の無線通信装置と接続し、前記第2の情報を受信した場合、前記一次周波数を介した通信の送信先アドレスまたは送信元アドレスが前記他の無線通信装置のアドレスを含むか否かに基づいて、前記第1の周波数又は前記第2の周波数の中の前記一次周波数以外の二次周波数での前記他の無線通信装置宛てフレームのアクセス権を獲得する。【選択図】図5

Description

本発明の実施形態は、マルチリンク通信を行う無線通信装置及び無線通信方法に関する。
無線通信装置間で複数の無線リンクで通信を行うマルチリンク通信が知られている。複数の無線リンクの各々で独立して送受信すると、帯域が広がり、スループットが向上する。しかし、無線リンク間の干渉等により、複数の無線リンクの各々で独立して送受信することができない場合がある。
米国特許出願公開第2019/0158385号明細書 米国特許出願公開第2019/0158413号明細書
本発明の目的は、マルチリンク通信においてリンク間の干渉による影響を抑えることができる無線通信装置及び無線通信方法を提供することである。
実施形態による無線通信装置は、
第1の周波数で、他の無線通信装置から、前記他の無線通信装置が第2の周波数で動作可能であることを識別可能な第1の情報、及び前記他の無線通信装置が前記第2の周波数と前記第1の周波数間で送信及び受信に制約があることを識別可能な第2の情報を受信し、
前記第1の周波数又は前記第2の周波数のいずれか一つを一次周波数と設定したことを前記他の無線通信装置に通知し、
前記第1の周波数と前記第2の周波数で前記他の無線通信装置と接続し、
前記第2の情報を受信した場合、前記一次周波数を介した通信の送信先アドレスまたは送信元アドレスが前記他の無線通信装置のアドレスを含むか否かに基づいて、前記第1の周波数又は前記第2の周波数の中の前記一次周波数以外の二次周波数での前記他の無線通信装置宛てフレームのアクセス権を獲得する。
マルチリンク通信で利用される無線リンクの一例を示す図である。 マルチリンク通信を行う無線通信装置の一例を示す図である。 ビーコンフレームのフォーマットの一例を示す図である。 ビーコンフレームのフレームボディに含まれるReduced Neighbor Reportエレメントのフォーマットの一例を示す図である。 マルチリンク通信のための情報を通知する第1の例におけるReduced Neighbor Reportエレメントのフォーマットの一例を示す図である。 マルチリンク通信のための情報を通知する第2の例におけるReduced Neighbor Reportエレメントのフォーマットの一例を示す図である。 マルチリンク通信のための情報を通知する第3の例におけるReduced Neighbor Reportエレメントのフォーマットの一例を示す図である。 TBTT Information Lengthサブフィールドの値と、TBTT Informationサブフィールドに含まれるサブフィールドの種類との関係を示すテーブルである。 マルチリンク通信のための情報を通知する第4の例におけるReduced Neighbor Reportエレメントのフォーマットの一例を示す図である。 Link2とLink3がnon-STRリンクの関係にあり、Link1と他の2つの無線リンクはSTRリンクの関係にある3つの無線リンクの一例を示す図である。 アソシエーションリクエストフレームのフレームボディに含まれるMLエレメントのフォーマットの一例を示す図である。 Link2がLink3とnon-STRリンクの関係にあることに加え、Link2がLink1ともnon-STRリンクの関係にある3つの無線リンクの状態の他の例を示す図である。 MLエレメントのフォーマットの他の例を示す図である。 MLエレメントのフォーマットのさらに他の例を示す図である。 MLエレメントのフォーマットのさらに他の例を示す図である。 MLエレメントのフォーマットのさらに他の例を示す図である。 non-STRとなる無線リンク間の関係とSTRとなる無線リンク間の関係のいくつかの例を示す図である。 non-STRとなる無線リンク間の関係とSTRとなる無線リンク間の関係のいくつかの例を示す図である。 MLエレメントのフォーマットのさらに他の例を示す図である。 無線リンクの一例を示す図である。 AP MLDがSTA MLDへ送信を行う一例を示す図である。 データフレームのフォーマットの一例を示す図である。 RTSフレームのフォーマットの一例を示す図である。 フレームアグリゲーションによるパディングの一例を示す図である。 トリガフレームのフォーマットの一例を示す図である。 第2の実施形態におけるMLエレメントのフォーマットの一例を示す図である。 無線LANの規格におけるチャネルの一例を示す図である。 無線LANの規格におけるStatus Codeの一例を示す図である。 第3の実施形態におけるStatus Codeの一例を示す図である。 第4の実施形態によるAP MLDが作成するテーブルの一例を示す図である。 第4の実施形態によるAP MLDが作成するテーブルの他の例を示す図である。 第4の実施形態によるAP MLDが作成するテーブルのさらに他の例を示す図である。 第4の実施形態におけるAP MLDによるSTA MLDの分類処理の一例を示すフローチャートである。 第6の実施形態におけるStatus Codeの一例を示す図である。 第7の実施形態によるMU EDCAパラメータセットエレメントのフォーマットの一例を示す図である。 第9の実施形態におけるStatus Codeの一例を示す図である。 第10の実施形態におけるStatus Codeの一例を示す図である。 第11の実施形態におけるトリガタイプサブフィールドの一例を示す図である。 第15の実施形態におけるアンテナの第1の実装例を示す図である。 第15の実施形態におけるアンテナの第2の実装例を示す図である。 第15の実施形態におけるアンテナの第3の実装例を示す図である。 第15の実施形態におけるアンテナの第4の実装例を示す図である。
以下、図面を参照して、実施形態を説明する。以下の説明は、実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施形態の技術的思想は、以下に説明する構成要素の構造、形状、配置、材質等に限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各要素のサイズ、厚み、平面寸法又は形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、互いの寸法の関係や比率が異なる要素が含まれることもある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して重複する説明を省略する場合もある。いくつかの要素に複数の呼称を付す場合があるが、これら呼称の例はあくまで例示であり、これらの要素に他の呼称を付すことを否定するものではない。また、複数の呼称が付されていない要素についても、他の呼称を付すことを否定するものではない。なお、以下の説明において、「接続」は直接接続のみならず、他の要素を介して接続されることも意味する。
以下、図面を参照しながら本実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
《マルチリンク通信》
マルチリンク通信では、無線通信装置間で複数の無線リンクを使って通信が行なわれる。マルチリンク通信は、マルチリンクオペレーション(Multi-Link Operation、以下MLOと称される)とも呼ばれる。
無線リンクとは、異なる周波数帯域又は同一周波数帯域内の周波数チャネルに対応する。2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯を利用するIEEE802.11に準拠する無線LANでは、20MHzチャネルを基準として、チャネルボンディング(channel bonding)技術を利用して、周波数チャネルが決められている。すなわち、無線LANのチャネルは、隣り合う20MHzチャネルを2つ用いる40MHzチャネル、隣り合う20MHzチャネルを4つ用いる80MHzチャネル、隣り合う20MHzチャネルを8つ用いる160MHzチャネル、又は隣り合う20MHzチャネル4つの組を2つ用いる80+80MHzチャネルを含む。これらのチャネルが無線リンクの周波数チャネルに該当する。なお、今後、特に6GHz帯においては、無線LANのチャネルとして、320MHzチャネル、160+160MHzチャネル、240MHzチャネル、160+80MHzチャネルも想定される。
無線リンクを別の表現で言うと、一つのMedium Access Control(以下、MACと称される)アドレスを持つアクセスポイント(Access Point、以下、APと称れる)が構成する無線LANシステムの単位であるBasic Service Set(以下、BSSと称される)で用いられる周波数チャネルである。BSSで用いられる周波数チャネルは、APがビーコン(Beacon)フレームやプローブレスポンス(Probe Response)フレームを用いて無線通信装置に通知する。
図1はマルチリンク通信で使われる無線リンクの一例を示す。3つの周波数帯に設けられる無線リンクLink1、Link2、Link3が使われる。例えば、Link1は、2.4GHz帯に設けられ、チャネル幅は20MHzである。Link2は、5GHz帯に設けられ、チャネル幅は80MHzである。Link3は、6GHz帯に設けられ、チャネル幅は160MHzである。
当然、マルチリンクで使われる無線リンクの数は、3つに限らず、2つでもよいし、4つ以上でもよい。複数の無線リンクは、それぞれ異なる周波数帯に設けられるのではなく、同一周波数帯に設けられてもよい。例えば、160MHzチャネルの2つの無線リンクが6GHz帯に設けられてもよい。周波数帯は、2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯に限らず、無線システムが利用可能な周波数帯が増えれば、当然それらを含んでもよい。
なお、2.4GHz帯については、実質干渉の影響なく利用できるチャネル番号がch.1、ch.6、ch.11である。チャネル番号は、5MHz間隔で付されるので、これらの3チャネルは、25MHz間隔である。そのため、IEEE802.11規格では40MHzチャネルの利用が認められているが、チャネルボンディングの利用は適当ではない。従って、2.4GHz帯では1つの20MHzチャネルが選択される利用形態が多くなると考えられる。
《AP MLD,STA MLD》
一般に、マルチリンク通信を行う場合、各無線リンクでAPの役割を果たす側の無線通信装置はAP Multi-link Device (以下、AP MLDと称される)と呼ばれ、各無線リンクで非AP(端末(STA)として動作する無線通信装置はnon-AP MLDと呼ばれる。IEEE802.11規格に準拠する無線LANでは、APもSTAの一種であるということから、APでないSTAはnon-APと表現される。しかし、non-AP MLDは、直観的にAPと通信を行う対向の端末としてSTAと表現することもできるため、この明細書では、便宜的にnon-APはSTAと称され、non-AP MLDはSTA MLDと称される。
《無線通信装置》
図2は、マルチリンク通信を行う無線通信装置の一例を示す。
AP MLD22は、複数の無線リンク、例えばLink1とLink2でSTA MLD24A、24Bとマルチリンク通信を行うことができる。STA MLD24A、24Bの数は、2つに限らず、3つ以上でも、単数でもよい。マルチリンク通信を行う無線リンクの数は2つに限らず、3つ以上ででもよい。2つの無線リンクでマルチリンク通信を行う場合、Link1とLink2に限らず、Link1とLink3でもよいし、Link2とLink3でもよい。AP MLD22とSTA MLD24Aとの間の無線リンクの組み合わせは、AP MLD22とSTA MLD24Bとの間の無線リンクの組み合わせと同じでもよいし、異なっていてもよい。
AP MLD22とSTA MLD24A、24Bのマルチリンク通信に関する基本的な構造は概略同じである。図2には示していないが、AP MLD22は、有線のインフラストラクチャーネットワークに接続されていてもよい。また、2つの無線リンクがnon-STRリンクの関係、又はSTRリンクの関係(詳細は後述される)にあるかにより、AP MLD22とSTA MLD24A、24Bの実装は変わる。
マルチリンク通信の一つの実現方法としては、無線リンク毎に無線媒体へのアクセスを制御する処理部と、物理処理部を無線通信装置に設けることがある。AP MLD22とSTA MLD24A、24Bのそれぞれは、Link1用の第1の物理処理部(PHY1)32と第1の下位MAC処理部(LowerMAC1)36と、Link2用の第2の物理処理部(PHY2)34と第2の下位MAC処理部(LowerMAC2)38を備え、さらに、上位MAC処理部40と、管理エンティティ44を備える。下位MAC処理部36、38が無線媒体へのアクセスを制御する処理部に対応する。AP MLD22とSTA MLD24A、24B双方の下位MAC処理部36と物理処理部32がLink1を用い、下位MAC処理部38と物理処理部34がLink2を用いる。なお第1の物理処理部32と第2の物理処理部34は一部処理を共通にする構成を取ってもよい。
3つ以上の無線リンクによるマルチリンク通信を行う場合は、リンクの数に応じた数の物理処理部と下位MAC処理部が設けられる。
IEEE802.11規格に準拠する無線LANにおいて、媒体アクセス制御(MAC)層は、無線媒体へのアクセスを制御する処理と、上位論理リンク制御(Logical Link Control;以下、LLCと称される)層との間でデータの受け渡しを行ったり、パワーセーブ動作に応じたデータのキューイングを行ったりするなどの処理が規定されている。下位MAC処理部36、38は、前者の処理を実行し、上位MAC処理部40は後者の処理を実行する。なお、上位MAC処理部40と、下位MAC処理部36、38との機能の切り分けは、この例に限定されず、変更されてもよい。
上位MAC処理部40は、上位層から受け取ったデータをそれと付随してデータフレーム(Data frame)に変換する際に必要な情報とともに、MAC Service Data Unit(以下、MSDUと称される)として扱う。さらに、上位MAC処理部40は、管理エンティティ44(MAC層に対応した管理エンティティは、MAC Layer Management Entity(以下、MLMEと称される))の指示により管理フレーム(Management frame)を生成するために必要な情報をMAC Management Protocol Data Unit(以下、MMPDUと称される)として扱う。
下位MAC処理部36、38は、上位MAC処理部40からMSDU及びMMPDUが渡されると、MACフレーム(MAC Protocol Data Unit;以下、MPDUと称される)を生成する。MACフレームは、MACヘッダとFrame Bofy(フレームボディ)とFrame Check Sequence(以下、FCSと称される)から構成される。
MACヘッダは、フレーム種別を表すフィールドを含む。このフィールドは、TypeフィールドとSubtypeフィールドに細分される。
MACフレームの種別としては、大別すると、データフレーム、管理フレーム(Management Frame)、及び制御フレーム(Control frame)がある。これらの種別の識別情報は、Typeフィールドに記載され、さらに細かい種別の識別情報は、Subtypeフィールドに記載される。
MACヘッダは、この他に、データフレーム、又は管理フレームの送信順を示すシーケンス番号が入るフィールドを含む。シーケンス番号は、上位MAC処理部40で割り当てられることが望ましい。データフレームでは、QoS機能をサポートしている場合、シーケンス番号の割当は、トラヒック識別子(Traffic Identifier;以下、TIDと称される)と送信先によって分かれる。管理フレームでも、シーケンス番号の割当は、送信先によって分かれる。従って、シーケンス番号を割り当てるためのsequence number spaceは、複数設けられる。一般に、sequence number spaceは、モジュロ4096計数器(modulo 4096 counter)である。
FCSは、誤り検出のための32ビットのCRC(cyclic redundancy code)を含む。
後述のように、マルチリンク通信においては各下位MAC処理部36、38がMACアドレスを持つため、これまでの規則を踏襲すると、送信先は送信先のリンクの各MACアドレスという分解能となり、それごとにsequence number spaceを設けなくてはならなくなる。しかし、フレームを送信するリンクを柔軟に切り替えられるようにするには、リンク間で同一のシーケンス番号を使う、すなわちリンク間でsequence number spaceを共有することが望ましい。従って、sequence number spaceは、マルチリンク通信では送信先の無線通信装置毎に設けることが望ましい。複数の無線リンクを持つ送信先の無線通信装置を一括りで扱う方法としては、例えば、図2での上位MAC処理部40にMACアドレス(MLD MACアドレスとも称される)を割り当て、それを用いることが考えられる。こうすれば、データの送信元においても、上位層がデータを渡す場合には、上位MAC処理部40のMACアドレスを認識していればよく、上位MAC処理部40で送信に適当な下位MAC処理部36、38にデータを振り分けることができる。別の方法としては、複数の無線リンクのMACアドレスの中でいずれか一つを代表として用いることが考えられる。
下位MAC処理部36、38は、Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance(以下、CSMA/CAと称される)等の無線媒体へのアクセス制御を行った後に、物理処理部32、34を介して無線媒体にMACフレームを送出する。MACフレームは、物理処理部32、34で最終的にPHYパケット(PHY Protocol Data Unit;以下、PPDUとも称される)となり、図示しないアンテナを介して無線媒体に送信される。下位MAC処理部36、38は、各々異なるMACアドレスを有する。下位MAC処理部36、38は、MACフレームを生成する際、MACヘッダの送信元MACアドレス(Transmitting Address;以下、TAと称される)フィールドに各無線リンク別のMACアドレスを記載する。下位MAC処理部36、38は、MACフレームを生成する際、MACヘッダの送信先MACアドレス(Receiving Address;以下、RAと称される)フィールドに、無線リンク上の対向のリンクレベルでのMACアドレスを記載する。ブロードキャストするフレームでは、下位MAC処理部36、38は、RAにブロードキャストアドレスを記載し、マルチキャストするフレームでは、RAにマルチキャストアドレスを記載する。
MACフレームの中の制御フレームは、無線媒体へアクセスする際の動作に深く関わるフレームであるため、下位MAC処理部36、38で生成されることが望ましい。なお、前述のシーケンス番号は制御フレームでは付されない。
MACフレームの中の管理フレームは、ビーコン(Beacon)フレーム、プローブリクエスト(Probe Request)フレーム、プローブレスポンス(Probe Response)フレーム、オーセンティケーション(Authentication)フレーム、アソシエーションリクエスト(Association Request)フレーム、アソシエーションレスポンス(Association Response)フレーム等を含む。
ビーコンフレームは、APから定期的に送信され、BSSの動作情報や用いられる変調符号化方式(Modulation and Coding Scheme;以下、MCSと称される)等をSTAに通知する。ビーコンフレームはAP MLD内のAPからも送信する。AP MLD内のAPがビーコンフレームを送信する場合には後述のようにAP MLDに係る情報も含める。AP MLD内のAPが送信したビーコンフレームをSTA MLD内のSTAが受信すると、STA MLDとしてそのビーコンフレーム内の情報を共有する。
プローブリクエストフレームは、STAがAPに対してビーコンフレームと同様の情報の送信を要求するものである。プローブリクエストフレームはSTA MLD内のSTAからも送信する。また受信先の対象はAP MLD内のAPでもよい。プローブレスポンスフレームは、プローブリクエストフレームを受信したAPが応答としてSTAに送信するものである。プローブレスポンスフレームはAP MLD内のAPからも送信する。また受信先の対象はSTA MLD内のSTAでもよい。プローブレスポンスフレームは、ビーコンフレームと同様の情報を通知する。AP MLD内のAPがプローブレスポンスフレームを送信する場合には後述のようにAP MLDに係る情報も含める。AP MLD内のAPが送信したプローブレスポンスフレームをSTA MLD内のSTAが受信すると、STA MLDとしてそのプローブレスポンスフレーム内の情報を共有する。
オーセンティケーションフレーム、アソシエーションリクエストフレーム、及びアソシエーションレスポンスフレームは、APとSTAが接続する手順で用いられる。AP MLD内のいずれかのAPとそれと同一の無線リンクを用いるSTA MLD内のSTA間でフレームを交換し、AP MLDとSTA MLDの接続全体に適用することができる。オーセンティケーションフレームは相手を認証するために用いられ、APとSTAの双方で送信される。アソシエーションリクエストフレームは、STAからAPに送信され、接続をAPに要求する。STA MLD内のSTAからAP MLD内のAPにアソシエーションリクエストフレームが送信される場合には、STA MLDとAP MLD間で用いる無線リンクの割り当てもアソシエーションリクエストフレームで要求する。アソシエーションレスポンスフレームは、APからSTAに送信され、アソシエーションリクエストに対する受け入れ又は拒否をSTAに通知する。
データフレームは、基本的には上位層から渡されたデータを格納するフレームであるが、IEEE802.11規格に準拠した無線LANでは、MSDUから生成されず、データが空、即ちFrame Bodyがないデータフレームもある。IEEE802.11規格に準拠した無線LANでは、データフレームの具体例は、QoS Nullフレームである。データフレームは、MAC層に閉じた目的で用いられる。特に、QoS Nullフレームは、シーケンス番号をどの値にも設定してよいため、上位MAC処理部40は関与せず、下位MAC処理部36、38に閉じて生成されてもよい。
管理エンティティ44は、IEEE802.11規格では、Service Management Entity(以下、SMEと称される)に相当するものである。MAC層のためのMLMEとPHY層のためのPHY Layer Management Entity(以下、PLMEと称される)に細かくは分かれる。図2では、厳密に表現していないが、MLMEは上位MAC処理部40と情報の受け渡しがあり、PLMEは物理処理部32、34と情報の受け渡しがあるイメージである。
各物理処理部32、34は、マルチリンク通信の各無線リンクで受信したPHYパケットのペイロードを、受信復号で用いたMCS情報などとともに、下位MAC処理部36、38に渡す。下位MAC処理部36、38は、ペイロードからMACフレームを抽出する。各物理処理部32、34は、復号できなかった信号に関しても、その受信レベルや受信タイミング情報を下位MAC処理部36、38に渡す。下位MAC処理部36、38は、キャリアセンスを行うためにこれらの情報を用いる。
下位MAC処理部36、38は、MACフレームを抽出する。下位MAC処理部36、38は、FCSにより誤りがないと判断すると、当該MACフレームが自端末宛てかをMACヘッダのRAフィールドにより判断する。下位MAC処理部36、38は、RAフィールドに当該無線リンクのMACアドレスが記載されていれば、MACフレームからFrame Bodyを抽出するとともに、MACヘッダの情報を用いて応答フレームを送信する必要があるかを判断する。応答フレームを送信する必要があれば、下位MAC処理部36、38は、適切な応答フレームを生成し、物理処理部32、34を介して送信する。なお、RAフィールドがブロードキャストアドレスである場合には、同一BSS内のフレームであれば、当該MACフレームからFrame Bodyを抽出する。同一BSS内のフレームであるかは、APのMACアドレスであるBSS Identifier(以下、BSSIDと称される)を記載したアドレスフィールドによって確認する。APから送信されるMACフレームではTAがBSSIDを表す。RAフィールドがマルチキャストアドレスである場合には、同一BSS内のフレームであり、かつそのマルチキャストアドレスに当該無線リンクのMACアドレスを含むなら、当該MACフレームからFrame Bodyを抽出する。ブロードキャストアドレスとマルチキャストアドレスをまとめてグループアドレスとも言う。MLDとしてグループアドレスを扱う場合には、BSSIDの代わりにAP MLDのMACアドレスを用いるようにしてもよい。
応答フレームは制御フレームであり、AckフレームやBlock Ackフレームを含む。制御フレームではRAは必ずあるが、TAは必ずしもあるとは限らない。応答フレームの場合、RAフィールドが当該無線リンクのMACアドレスである場合、下位MAC処理部36、38はFrame Bodyを抽出する。また応答フレームでRAフィールドがブロードキャストアドレスである場合、又はRAフィールドがマルチキャストアドレスであり当該無線リンクのMACアドレスを含むものである場合、TAに受信対象とするMACアドレスが記載されているなら、下位MAC処理部36、38は、Frame Bodyを抽出する。下位MAC処理部36、38は、Frame Bodyを、MACヘッダから抽出したシーケンス番号、TA、QoSデータフレームではトラヒック識別子、後述のAP MLDではデータの最終アドレス(Destination Address;以下、DAと称される)があるならそれとともに上位MAC処理部40に渡す。
上位MAC処理部40は、TAと紐づく送信元の無線通信装置の上位MAC処理部40のMACアドレス又は代表MACアドレスを特定し、トラヒック識別子別にFrame Bodyをシーケンス番号順に並べなおす。つまり、上位MAC処理部40は、リオーダリングバッファ(reordering buffer)を持つ。データフレームの場合で、最終宛先が自無線通信装置であれば、上位MAC処理部40は、Frame Bodyを上位層へ渡す。AP MLD22は、データフレームを受信した場合で、DAが自無線通信装置ではない場合、転送処理を行う。TAからデータの送信元の無線通信装置の上位MAC処理部40のMACアドレス又は代表MACアドレスを導出する手段としては、予めどの無線リンクのMACアドレスがどの上位MAC処理部40アドレス、又は代表アドレス下で使われているかを、無線通信装置間のネゴシエーションで把握しておく方法がある。いずれかの無線リンクで通信を確立する過程において、これらを通知し合う方法もある。さらに、上位MAC処理部40のMACアドレス、又は代表アドレスと各無線リンクのMACアドレスに何らかのアドレスを割り当てる際の規則性を予め設定しておいて、その規則性から判断できるようにしてもよい。
マルチリンク通信を行う無線通信装置間で、一方の無線通信装置が各無線リンクでAP MLDとなり、もう一方の無線通信装置が各無線リンクでSTA MLDとなる関係において、マルチリンク通信を行う複数の無線リンクのいずれか一つを一次リンク又はプライマリリンク(primary link)とし、他の残りの少なくとも1以上の無線リンクを二次リンク又はセカンダリリンク(secondary link)とする方式がある。第1の実施形態では、AP MLDがプライマリリンクを設定するとする。リンクは周波数に関係するので、プライマリリンクは一次周波数又はプライマリ周波数とも称され、セカンダリリンクは二次周波数又はセカンダリ周波数とも称される。
この方式では、STA MLDは、プライマリリンクの無線媒体の状態を見て、プライマリリンクが空いていたら、プライマリリンクのアクセス権を獲得し、セカンダリリンクも同時に空いていたならセカンダリリンクのアクセス権を獲得し、プライマリリンクと同時にセカンダリリンクでも送信を行う。
AP MLDは、STA MLDに信号を送信する場合、STA MLDと同様にプライマリリンクを基準にアクセス権を獲得し、プライマリリンクでSTA MLDに信号を送信する。STA MLDがプライマリリンクで通信を行っている場合、AP MLDが当該STA MLDでのセカンダリリンクで当該STA MLD宛ての送信を行うと、当該STA MLDでプライマリリンクとセカンダリリンクの間で干渉が発生する。
そのため、この方式では、リンク間で干渉が発生する場合、AP MLDは、STA MLDでのセカンダリリンクで当該STA MLD宛ての送信をするべきではない、とされている。
しかし、無線通信装置によって、無線リンク間の干渉が問題になる場合と問題にならない場合が混在する。無線リンク間で干渉が問題にならない場合は、無線通信装置間でマルチリンク通信を行う際、各リンク独立に送信できる。そのため、無線媒体の状態を見てアクセス権を獲得し、セカンダリリンクも同時に空いていたならセカンダリリンクでもプライマリリンクと同時に送信する、というような、プライマリリンクを基準にしたマルチリンク通信を行う必要がない。
プライマリリンクを基準にした上記方式のマルチリンク通信では、セカンダリリンクでは送信が実行できるにも関わらず、プライマリリンクでは送信が実行できない場合、セカンダリリンクでの送信を実行しないように制御されているので、無線通信装置の送信機会が減る。
また、AP MLDは、STA MLDへのデータフレームの送信は、そのプライマリリンクを基準としてプライマリリンクでのみで送信する場合、又はセカンダリリンクも同時に空いていたらプライマリリンクとセカンダリリンクで送信する場合に限られている。だが、STA MLDが送信を実行していなければ、セカンダリリンクでのみ当該STA MLDへのデータフレームの送信は技術的には実行可能である。
しかし、上記方式では、セカンダリリンクのみでデータフレームの送信を実行する手法が検討されていない。これは、AP MLDの送信機会が減ることになる。
さらに、この方式では、STA MLDがプライマリリンクのみでデータフレームを送信している場合、AP MLDは、リンク間の干渉を考慮して、セカンダリリンクで当該STA MLDへデータフレームを送信すべきではないとされている。
しかし、実際の通信では当該STA MLDがデータフレームの受信側で応答フレームを送信する場合にも、その送信時にはセカンダリリンクで当該STA MLDへの送信を実行するべきではないが、この対応が検討されていない。
従って、本実施形態は、AP MLDが、STA MLDの各々で干渉が問題になる無線リンクで干渉を起こさずに送信を行うことを目的とする。また無線リンク間で干渉が起こらないSTA MLDも混在する状況下で無線リンクを共有することを目的とする。さらに、本実施形態は、STA MLDによってプライマリリンクが異なる場合でも、制御の複雑化を防止することも目的とする。
《non-STR MLD,non-STRリンク》
マルチリンク通信を行う無線通信装置の実装方法によっては、無線リンク間で制約が生じることがある。
物理処理部32、34から実際に無線媒体にアンテナを介して信号を発射するには、図示しないアナログ処理部を経ることになる。アナログ処理部は、デジタル信号であるPHYパケットを無線リンクに応じた周波数のアナログ信号に変換し、アンテナから送出する。受信の際は、アナログ処理部は、アンテナにより受信したアナログ信号を物理処理部32、34で処理できるようにデジタル信号に変換する。このアナログ処理部が使うRFフィルタを複数の物理処理部32、34にまたがって共有することが考えられる。RFフィルタは無線リンクに応じた周波数レンジの信号のみを通過させるフィルタであり、複数の物理処理部32、34にまたがって共有する場合、複数の物理処理部32、34が対応する複数の無線リンクの周波数を網羅する幅の周波数レンジを持つことになる。
例えば、図1のLink2のアナログ処理部とLink3のアナログ処理部でRFフィルタを共有する場合、Link2で信号を送信している際にはLink3にその送信信号が漏れ込み、Link3の受信で干渉が生じる。そのような状況で、Link3でLink3のMACアドレスをRAとする(引いては自無線通信装置を宛先とする)フレームを格納するPHYパケットを受信しても、正しく受信かつ復号できない状況が起こりうる。例えばIEEE802.11に準拠する無線LANでは各MCSによって要求される最小受信感度が規定されているが、その最小受信感度以上の受信電力でPHYパケットを受信していても復号できない状況である。その他、隣接チャネル抑圧レベル(Adjacent Channel Rejection)を満たしていてもPHYパケットを復号できない状況等がある。すなわち、通常のPHYパケットの受信に係る要求仕様を満たしていても受信復号できない場合である。
実装方法によっては、物理処理部32、34でのデジタルフィルタで無線リンク毎の利用する周波数レンジを制限する、無線リンク毎に局部発信器(Local Oscillator;以下、LOと称される)を持つ等により、二位相偏移変調(Binary Phase Shift Keying;以下、BPSKと称される)など低い多値化変調を用いたPHYパケットなら復号できることもある。
しかし、単一のリンクでのみ動作しているならば、無線信号の衝突がなければ受信し復号できる受信電力とMCSという同一条件であっても、2つの無線リンクの一方で送信している場合、他方で少なくとも自無線通信装置宛てのMACフレームを受信できない場合がある。いずれか一方で送信している時に他方で同時受信ができない、すなわち同時並行で送受信ができない2つの無線リンクは、non-simultaneous transmission and reception(以下、non-STRと称される)リンクの関係にあると称される。
また、non-STRリンクとは、ある他の無線リンクでの送信によって受信が制限される無線リンク、又はある他の無線リンクと独立に送受信できない無線リンク、と言うことができる。
実装方法によっては、non-STRリンクの関係にある2つ無線リンクにおいて、一方のリンクで送信している時に他方のリンクでキャリアセンスを実施できない場合もある。
図1のLink1のアナログ処理部のRFフィルタをLink2及びLink3のアナログ処理部のRFフィルタとは別とすることにより、Link1の送受信は、Link2及びLink3の送受信により影響を受けない場合、Link1は、Link2、又はLink3と独立に送受信ができる。この場合、通常のPHYパケットの受信に係る要求仕様を満たして正常に受信復号でき、またキャリアセンス規定を満たした待ち受け動作ができるということである。以下の説明では、同時並行で送受信できる2つの無線リンクは、simultaneous transmission and reception(以下、STRと称される)リンクの関係にあると称される。
また、STRリンクとは、ある他の無線リンクでの送信によって受信が制限されない無線リンク、又はある他の無線リンクと独立に送受信できる無線リンク、と言うことができる。
2つの無線リンクの関係がSTRでなければnon-STR、non-STRでなければSTRの関係にある。2つの無線リンクがnon-STRリンクの関係にあるか否かは2つの無線リンクの周波数上の離隔距離に依存すると言うこともできる。
例えば、図1でLink2とLink3は、それらの周波数が十分に離れていれば、ともにSTRリンクになる場合もある。このように無線リンクの組み合わせ方によってはnon-STRリンクとなる無線リンクが発生する可能性がある無線通信装置は、non-STR MLDと称される。
またnon-STR MLDは、1つ以上の無線リンクで通信可能であるが、1つの無線リンクでフレームを送信又は受信している時は、他の無線リンクではフレームを送信又は受信できないMLDとすることもできる。non-STR MLDは、(1)同時には1つの無線リンクでしか他のMLDへデータフレーム/管理フレームを送信又は受信することしかできず、(2)1つ又は多数の無線リンクで待ち受け(listen)することができる。待ち受け動作はイニシャルコントロールメッセージ(例えば、Request to Send(以下、RTSと称される)/Multi-User RTS(以下、MU RTSと称される))を受信することとともに、Clear Channel Access(以下、CCAと称される)を含む。イニシャルコントロールメッセージは、空間(spatial)ストリーム、MCS(データレート)、PPDUタイプ、フレームタイプの1つ、又は多数の限定を含んでもよい。リンク切り替え遅延は、non-AP MLDによって指示されてもよい。
一方、いかなる無線リンクの組み合わせであっても、2つの無線リンクがnon-STRリンク関係にある可能性がなく、どのリンクもSTRリンクとして利用できる無線通信装置は、STR MLDと称される。
なお、無線リンクの選択結果、全ての無線リンクがSTRリンクとして利用できる場合にその無線通信装置がSTR MLDと称され、少なくとも2つの無線リンクがnon-STRリンク関係にある場合、その無線通信装置がnon-STR MLDと称されてもよい。以下の説明では、特に言及しない場合は、STR MLDとnon-STR MLDの定義は前者の定義であるとする。本実施形態では、無線通信装置がnon-STR MLDか、又はSTR MLDかよりも、2つの無線リンクがSTRリンクの関係にあるか、又はnon-STRリンクの関係にあるかがメインの論点である。
本実施形態では、AP MLDは、いかなる無線リンクの組み合わせであっても2つの無線リンクがSTRリンクの関係にあるSTR MLDとする。一方、STA MLDは、non-STR MLDである場合もあるし、STR MLDである場合もあるとする。STA MLDでかつnon-STR MLDの無線通信装置はnon-STR STA MLDと称される。STA MLDでかつSTR MLDの無線通信装置はSTR STA MLDと称される。無線通信システムにnon-STR STA MLDとSTR STA MLDが混在していても、AP MLDとは、non-STR STA MLDとSTR STA MLDの両方ともマルチリンク通信を実行できる。
《AP MLDによるSTA MLD用プライマリリンクの設定と、STA MLDへの通知》
AP MLD22は、各無線リンクでビーコンフレームを送信する際、他の無線リンクの通信状態に関する情報も通知する。例えば、IEEE802.11規格に準拠する無線LANでは、Reduced Neighbor Reportエレメントという、情報エレメントを用いて他のAP MLDの通信状態に関する情報を通知することができる。本実施形態も、このエレメントを用いてプライマリリンクを通知する。
図3は、AP MLD22が送信するビーコンフレームのフォーマットの一例を示す。厳密にはAP MLD22がいずれかの無線リンクを介して送信するビーコンフレームであり、Link1から送信するのであれば下位MAC処理部36のMACアドレスを持つAPから、Link2から送信するのであれば下位MAC処理部38のMACアドレスを持つAPから送信する。ビーコンフレームは、MACヘッダ、Frame Body(オクテット単位の可変長(variable))、及びFCS(4オクテット)を含む。
MACヘッダは、Frame Control(フレームコントロール)フィールド(2オクテット)、Durationフィールド(2オクテット)、Address1(第1のアドレス)フィールド(6オクテット)、Address2(第2のアドレス)フィールド(6オクテット)、Address3(第3のアドレス)フィールド(6オクテット)、Sequence Control(シーケンスコントロール)フィールド(2オクテット)、及びHT Control(HTコントール)フィールド(0、又は4オクテット)を含む。
Frame Controlフィールドは、TypeサブフィールドとSubtypeサブフィールドを含む。AP MLDは、管理フレームの識別情報をTypeサブフィールドに記載し、ビーコンの識別情報をSubtypeサブフィールドに記載して、ビーコンフレームを送信する。
Frame Bodyは、フレームタイプとフレームサブタイプに固有の情報を含む。Frame Bodyは、多数の情報エレメントを含む。
図4は、ビーコンフレームのFrame Bodyに含まれる情報エレメントの一例であるReduced Neighbor Reportエレメントのフォーマットの一例を示す。Reduced Neighbor Reportエレメントは、Element IDフィールド(1オクテット)、Lengthフィールド(1オクテット)、及びNeighbor AP Infomationフィールド(オクテット単位の可変長)を含む。
Neighbor AP Infomationフィールドは、Target Beacon Transmission Time(以下、TBTTと称される) Information Headerサブフィールド(2オクテット)、Operaing Classサブフィールド(1オクテット)、Channel Numberサブフィールド(1オクテット)、及びTBTT Information Setサブフィールド(variable)を含む。
IEEE802.11規格に準拠する無線LANでは、無線リンクの周波数上の中心周波数の位置をチャネル番号で把握できるようになっている。チャネル番号は5MHz間隔で付される。AP MLDは、この値をChannel Numberサブフィールドに記載する。AP MLDは、各国、各地域での利用規則(regulation)(出力の制限等)とチャネル幅を合わせた情報をOperating Classサブフィールドに記載する。
これら2つのサブフィールドによって、STA MLDは、どの周波数位置でどのチャネル幅を用いてAP MLDが動作しているかを把握することができる。
TBTT Information Headerフィールドは、TBTT Information Field Typeサブフィールド(2ビット)、Filtered Neighbor APサブフィールド(1ビット)、Reserved(リザーブド)サブフィールド(1ビット)、TBTT Information Countサブフィールド(4ビット)、及びTBTT Information Lengthサブフィールド(8ビット)を含む。Reservedフィールドは、現状は利用されておらず、将来の利用に残されているフィールドである。
TBTT Information Setサブフィールドは、単数又は複数のTBTT Informationサブフィールドを含む。
各TBTT Informationフィールドは、Neighbor AP TBTT Offsetサブフィールド(1オクテット)、BSS Identifier(以下、BSSIDと称される)サブフィールド(optional)(0オクテット又は6オクテット)、Short-SSIDサブフィールド(optional)(0オクテット又は4オクテット)、及びBSS Parametersサブフィールド(optional)(0オクテット又は1オクテット)を含む。AP MLDは、BSSIDサブフィールドに、BSSの識別子であるBSSIDを記載する。AP MLDは、Short-SSIDサブフィールドに、無線LANシステムのサービス識別子であるSSIDを記載する。BSSIDサブフィールドとShort-SSIDサブフィールドは、必須ではなく、Neighbor AP Infomationフィールドはこれらのサブフィールドを含まなくてもよい。
BSS Paramtersフィールドは、OCT Recommendedサブフィールド(1ビット)、Same SSIDサブフィールド(1ビット)、Multiple BSSIDサブフィールド(1ビット)、Transmitted BSSIDサブフィールド(1ビット)、Member Of ESS With 2.4/5 GHz Co-Located APサブフィールド(1ビット)、Unsolicited Probe Response Activeサブフィールド(1ビット)、Co-Located APサブフィールド(1ビット)、及びReservedサブフィールド(1ビット)を含む。
STA MLDは、図4に示すReduced Neighbor Reportエレメントを含むビーコンフレームを受信することにより、周辺(同一デバイス含めて)のAPがどの周波数位置でどのチャネル幅を用いて動作しているかを把握することができるが、どのAPが当該ビーコンフレームを送信するAPと同一のAP MLD下でマルチリンク動作に関わっているかは把握できない。
Reduced Neighbor Reportエレメントは、追加で情報フィールドを含めることが可能である。そのため、本実施形態によるAP MLDは、Reduced Neighbor Reportエレメントで通知するAPが同一AP MLD下で利用されるか否かを示す情報と、ビーコンフレームを送信する無線リンクがプライマリリンクであるか否かを示す情報を情報フィールドに追加することにより、これらの情報をSTA MLDに通知することができる。
また、AP MLDは、各無線リンクにリンク識別子(Link Identifier;以下、Link IDと称される)を割り当て、リンク識別子も合わせてこの情報フィールドに記載してもよい。
図5は、この情報フィールドが追加されたReduced Neighbor Reportエレメントのフォーマットの一例を示す。図5には示されていないが、TBTT Information Headerフィールドは、図4と同様なサブフィールドを含み、TBTT Information Setフィールドは、図4と同様なサブフィールドを含む。
Neighbor AP Infomationフィールドは、図4と同様に、TBTT Information Headerサブフィールド、Operaing Classサブフィールド、Channel Numberサブフィールド、及びTBTT Information Setサブフィールドを含み、さらにMLOサブフィールド(1オクテット)を含む。
MLOサブフィールドは、STA MLDにマルチリンク通信のための情報を通知するための情報フィールドである。Reduced Neighbor Reportエレメントで通知するAPが同一AP MLD下で利用される場合に追加される。MLOフィールドは、Primary Linkサブフィールド(1ビット)、Link IDサブフィールド(3ビット)、及びReservedサブフィールド(4ビット)を含む。
AP MLDは、Reduced Neighbor Reportエレメントで通知するAPの用いる無線リンクがプライマリリンクであるか否かを示す情報をPrimary Linkサブフィールドに記載する。AP MLDは、当該APの利用する無線リンクのリンク識別子をLink IDサブフィールドに記載する。送信しているビーコンフレームが用いている無線リンクそのものがプライマリリンクである場合にこれを通知するためには、当該ビーコンフレームを送信しているAP自身に関する情報もReduced Neighbor Reportエレメントに含めるべきである。
Primary Linkフィールドのサイズは、1ビットで十分である。当該APの用いる無線リンクがプライマリリンクである場合にはPrimary Linkサブフィールドに“1”を、プライマリリンクでない場合にはPrimary Linkサブフィールドに“0”を設定する。AP MLDで対応できる最大の無線リンク数を制限すれば、Link IDサブフィールドのビット数を制限できる。例えば、最大の無線リンク数を8に制限し、リンク識別子を0から割り当てるようにすれば、Link IDサブフィールドのサイズは、3ビットである。リンク識別子が0の場合を特別な意味を持たせるために使用しない(Reservedにする)とすれば、3ビットでは最大リンク数は7になる。MLOサブフィールドのサイズを図5のように1オクテットとすると、Primary Linkフィールドを1ビットとし、Link IDフィールドを3ビットとすれば、残りの4ビットは将来の利用に残す(Reservedにする)ことができる。
次に、マルチリンク通信のための情報の通知方法の第2、第3の例を説明する。第1の例では、図5に示すようなMLOフィールドのような新たな情報フィールドがReduced Neighbor Reportエレメントに追加されている。第2、第3の例では、新たな情報フィールドが追加されることなく、現行のReduced Neighbor Reportエレメントの中のReservedビットが利用されてマルチリンク通信のための情報が通知される。
図4に示すように、Reduced Neighbor Reportエレメントの中のTBTT Information Headerフィールドは、Reservedビット(B3)を含む。図6は、このビットB3を利用してマルチリンク通信のための情報を通知する第2の例におけるReduced Neighbor Reportエレメントのフォーマットの一例を示す。
第2の例では、AP MLDは、Reduced Neighbor Reportエレメントで通知するAPが同一AP MLD下でマルチリンク動作を行っていることを識別可能なMulti-Link(以下、MLと称される)情報をTBTT Information HeaderフィールドのビットB3に記載する。AP MLDは、当該APが同一AP MLD下で利用される場合、MLビットを“1”とし、同一AP MLD下でマルチリンク動作を行っていない場合、MLビットを“0”とする。
このMLビットを含むビーコンフレームを受信したSTA MLDは、Reduced Neighbor ReportエレメントのMLビットが“1”であれば、そのReduced Neighbor Reportエレメントで通知される無線リンクをビーコンフレームを送信したAP MLDとの間のマルチリンク動作で使用する無線リンクの候補とする。
また、図4に示すように、Reduced Neighbor Reportエレメントの中のTBTT Informationフィールドの中のBSS Paramtersサブフィールドも、Reservedサブフィールド(ビットB7)を含む。図7は、このビットB7を利用してマルチリンク通信のための情報を通知する第3の例におけるReduced Neighbor Reportエレメントのフォーマットの一例を示す。
AP MLDは、第2の例と同様なML情報をBSS ParamtersフィールドのビットB7に記載する。
この図7でのMLサブフィールドの設定方法は図6でのMLサブフィールドと同様である。あるいは図6のMLサブフィールドを使用しつつ、図7の代わりにBSS Parametersフィールドの最後のビットB7をプライマリリンクか否かを示すために使うようにしてもよい。このようにすれば、合わせてどの無線リンクがプライマリリンクとして動作するかを通知することができる。このビットB7は図5のPrimary Linkサブフィールドと同様である。
このように、図6、図7の例では、AP MLDは、Reduced Neighbor Reportエレメントで通知するAPが同一AP MLD下でマルチリンク動作をしているいか否かをMLビットによりSTA MLDへ通知する。図6、図7の例でも、Reduced Neighbor Reportエレメントの最後に、図5のMLOサブフィールドと同様な1オクテットのフィールドを追加して、AP MLDがビーコンフレームを送信する無線リンクをプライマリリンクに設定したか否かをそのフィールドを用いて通知してもよい。図5のMLOサブフィールドはそれが存在するとReduced Neighbor Reportエレメントで通知するAPが同一AP MLD下で利用されることを通知するため、図6や図7のMLサブフィールドに代わる効果があった。一方、図6や図7の例の場合にMLOサブフィールドをさらに追加する場合には、MLフィールドがReduced Neighbor Reportエレメントで通知するAPが同一AP MLD下で利用されるか否かを通知する。このMLサブフィールドが“1”に設定され、Reduced Neighbor Reportエレメントで通知するAPが同一AP MLD下でマルチリンク動作をしている場合にMLOサブフィールドが存在する。このように、MLOサブフィールドとMLサブフィールドの組み合わせは、プライマリリンク情報やLink ID情報を追加で通知するという多段階の通知手段になる。
次に、AP MLDがプライマリリンクに関する情報をSTA MLDへ通知する第4の例を説明する。
Reduced Neighbor Reportエレメント内のTBTT Informationサブフィールドは、サイズが可変である。TBTT Informationサブフィールドのサイズは、TBTT Information Lengthサブフィールドの値により決まっている。そしてTBTT Information Lengthサブフィールドで指定されたTBTT InformationサブフィールドのサイズによってTBTT Informationサブフィールドに含まれるサブフィールドの種類が決まる。
図8は、無線LANの規格におけるTBTT Information Lengthサブフィールドの値と、TBTT Informationサブフィールドに含まれるサブフィールドの種類との関係の一例を示すテーブルである。例えば、TBTT Information Lengthサブフィールドの値が1の場合、TBTT Informationサブフィールドは、Neighbor AP TBTT Offsetサブフィールドのみを含むことを示す。TBTT Information Lengthサブフィールドの値が2の場合、TBTT Informationサブフィールドは、Neighbor AP TBTT OffsetサブフィールドとBSS parametersサブフィールドを含むことを示す。TBTT Information Lengthサブフィールドの値が5の場合、TBTT Informationサブフィールドは、Neighbor AP TBTT OffsetサブフィールドとShort-SSIDサブフィールドを含むことを示す。以下、同様に、TBTT Information Lengthサブフィールドの値が12の場合、TBTT Informationサブフィールドは、Neighbor AP TBTT Offsetサブフィールド、BSSIDサブフィールド、Short-SSIDサブフィールド、及びBBS parametersを含むことを示す。
TBTT Information Lengthサブフィールドの値には、現状は利用されていない(Reserved)値がある。TBTT Information Lengthサブフィールドの値がこのいずれかのReserved値になるように、TBTT Informationフィールドに含まれる新たなサブフィールドのサイズを定義すれば、TBTT Informationフィールドに新たなサブフィールドを設けることができる。AP MLDが、Reduced Neighbor Reportエレメントで通知するAPが同一AP MLD下で利用されるか否か、及び当該APの無線リンクがプライマリリンクであるか否かをこのサブフィールドを用いて通知するようにしてもよい。
また、AP MLDが、このサブフィールドにAPが同一AP MLD下で利用されるか否かを識別可能な情報及び当該APの無線リンクのマルチリンク動作におけるリンク識別子を記載し、AP MLDがプライマリリンクに設定した無線リンクのリンク識別子を他の情報エレメント等を用いて通知するようにしてもよい。
このリンク識別子は、例えば図1や図2でLinkXと描いたXに相当するものでもよい。図9は、TBTT Informationフィールド内のBSS Parametersサブフィールドの後に、ML Link IDサブフィールド(1オクテット)が新たに定義されたReduced Neighbor Reportエレメントのフォーマットの一例を示す。AP MLDは、Reduced Neighbor Reportエレメントで通知するAPの無線リンクのリンク識別子をML Link IDサブフィールドに記載する。
ML Link IDサブフィールドがTBTT Informationフィールドに含まれる場合は、BSSIDサブフィールド、Short-SSIDサブフィールド、BSS ParametersサブフィールドもTBTT Informationフィールドに必ず含まれるようにする。この場合は、TBTT Information Lengthサブフィールドの値として、13が設定されればよい。
マルチリンク通信で用いる各無線リンクは必ず同じSSIDとするという規則を設けるならば、ML Link IDサブフィールドは、BSSIDサブフィールド及びBSS Parametersサブフィールドと必ずセットでTBTT Informationフィールドに含まれる。この場合は、TBTT Information Lengthサブフィールドの値として9が設定されればよい。
無線LANの規格の一例では、図8に示すように、TBTT Information Lengthサブフィールドの値の13も9も未使用である。なお、13や9の値が他の用途でTBTT Information Lengthサブフィールドで使用済みになった場合には、引き続きReservedになっているいずれかの値を満たすようにML Link IDサブフィールドの値を調整すればよい。
なお、ここではプライマリリンクという表現が用いられたが、この代わりにアンカーリンク(anchor link)と称されてもよい。
AP MLDは、ML Link IDサブフィールドを用いて、図5に示したMLOサブフィールドと同様に、プライマリリンクに設定した無線リンクをSTA MLDに通知することができる。
例えば、AP MLDは、図1のような3つの無線リンクを設定し、Link2とLink3がマルチリンク通信において利用可能なことと、Link2がプライマリリンクであることをLink1で送信するビーコンフレームを用いて通知する。
AP MLDは、Link1とLink3がマルチリンク通信において利用可能なことと、Link2がプライマリリンクであることをLink2で送信するビーコンフレームを用いて通知する。この場合、Link2は通知している無線リンク自体であるため、Reduced Neighbor ReportエレメントでLink2自身の情報を入れない場合には、Link2がプライマリリンクであることを通知することはできない。その場合はAP MLDは、他の情報エレメント等でLink2がプライマリリンクであることを通知するようすればよい。さらに、AP MLDは、通知している無線リンクの識別子を通知するようにしてもよい。
AP MLDは、Link1とLink2がマルチリンク通信において利用可能なことと、Link2がプライマリリンクであることをLink3で送信するビーコンフレームを用いて通知する。
なお、上記の説明では、これらの情報はビーコンフレーム内の情報エレメントを用いてSTA MLDに通知されると説明したが、プローブレスポンスフレーム内の情報エレメントを用いてSTA MLDに通知されてもよい。プローブレスポンスフレームは、STA MLDがAP MLDに送信したプローブリクエストフレームに応答して、機能情報やサポートされるデータレート等をAP MLDがSTA MLDへ送信する管理フレームの一種である。このプローブレスポンスフレームにビーコンフレームの場合を参照し、MLOに係る情報エレメントを追加すればよい。
またその他の管理フレーム、例えば、アクション(Action)フレームにより同様の情報を通知するようにしてもよい。この場合も、ビーコンフレームの場合を参照し、アクションフレームにMLOに係る情報エレメントを追加すればよい。
また上述に示した情報以外にも、上述の情報エレメントあるいは新規の情報エレメントで通知するようにしてもよい。AP MLDのMACアドレス(6オクテット)は前述のようにSTA MLDでのシーケンス番号処理に必須であるため、何らかの情報エレメントに入れてビーコン等のフレームでSTA MLDに通知する必要がある。
《STA MLDからAP MLDへのnon-STR/STRリンクの通知》
AP MLDが上述のような情報をSTA MLDに通知することにより、STA MLDは、AP MLDにいずれかの無線リンクで接続する前に、いずれか一つの無線リンクでAP MLDからの上述の情報を受信しさえすれば、AP MLDにおいて他のどの無線リンクがマルチリンク通信として利用できるかを把握できる。また、STA MLDは、AP MLDにいずれかの無線リンクで接続する前に、AP MLDとマルチリンク通信ができる無線リンクのうちのどの無線リンクの対が当該STA MLDにおいてnon-STRリンクの関係にある(あるいはどの無線リンクがnon-STRリンクである)のか、又はAP MLDとマルチリンク通信ができる全ての無線リンクの対が当該STA MLDにおいてSTRリンクの関係にある(全ての無線リンクがSTRリンクである)のかを判断することができる。
例えば、AP MLDと同様に、STA MLDもLink1、Link2、Link3を利用してマルチリンク通信を行いたいとする。図10は、Link2とLink3がnon-STRリンクの関係にあり、Link1と他の2つの無線リンクLink2、Link3はSTRリンクの関係にある3つの無線リンクの一例を示す。
図10のような状態において、STA MLDは、AP MLDと通信を確立する際に、マルチリンク通信を行いたい無線リンク間のnon-STRリンクの関係とSTRリンクの関係を、少なくともAP MLD内のいずれか1つのAPに通知する。この場合、AP MLDは、リンク識別子を通知していてもよいし、通知していなくてもよい。
各BSSID、すなわちAP MLD内の各APのMACアドレスが各無線リンクと1対1で対応付いているため、STA MLDは、AP MLDからリンク識別子が通知されていない場合、リンク識別子の代わりにBSSID/AP MLD内のAPのMACアドレスを使うことで問題はない。
AP MLDが各リンク識別子を通知している場合に、STA MLDが無線リンク間のnon-STRリンクの関係とSTRリンクの関係をAP MLDに通知する例を説明する。STA MLDはAP MLDにLink1でLinkの関係を通知するとする。
AP MLDは、Link1ではAP1、Link2ではAP2、Link3ではAP3というMACアドレスを有し、STA MLDは、Link1ではSTA1、Link2ではSTA2、Link3ではSTA3というMACアドレスを有するとする。
先ず、STA MLDは、AP MLDとLink1を介して接続するとする。このとき、MACアドレスSTA1を持つSTAはMACアドレスAP1を持つAPが送信する図5~図9に示す情報エレメントを含むビーコンフレーム等を受信することにより、AP MLDがLink1以外にLink2、Link3でマルチリンク通信を行っていることを把握するとともに、Link2がプライマリリンクであることを把握する。また、MACアドレスSTA1を持つSTAは、AP MLDがLink2ではAP2、Link3ではAP3のMACアドレスを用いることも把握する。その上で、MACアドレスSTA1を持つSTAは、MACアドレスAP1を持つAPに対して、Link1でアソシエーションリクエストフレームを送信し、MACアドレスAP1を持つAPとの接続を試みる。
アソシエーションリクエストフレームは、STA MLDからAP MLDへ送信される管理フレームの一種であり、STA MLDがサポートしているデータレート、接続を希望するネットワークのSSID等を含む。
アソシエーションリクエストフレームは、図3のビーコンフレームと同様に、MACヘッダ、Frame Body、及びFCSを含む。MACヘッダに含まれるFrame ControlフィールドのTypeサブフィールドには管理フレームの識別情報が記載され、Subtypeサブフィールドにはアソシエーションリクエストの識別情報が記載される。
MACアドレスSTA1を持つSTAは、アソシエーションリクエストフレームのFrame Body内の情報エレメントを用いて、STA MLDで利用可能な他のリンク情報(Link Information)もMACアドレスAP1を持つAPに通知する。MACアドレスSTA1を持つSTAは、この情報を、例えばMulti-Link(ML)エレメントと定義される情報エレメントを用いて通知してもよい。MACアドレスSTA1を持つSTAは、Extremely High Throughput(以下、EHTと称される)Capabilitiesエレメントのように無線LANの拡張規格として追加される他の情報エレメントに入れて通知してもよい。
ここでは、アソシエーションリクエストフレームのFrame Body内の情報エレメントの一つとして定義されたMLエレメントを用いて通知する場合を例に説明する。しかし、STA MLD側の通知の方法や、AP MLD側での当該情報の取得方法は、情報エレメントの種類が変わっても基本的に変わらない。そのため、MLエレメントの代わりにEHT Capabilitiesエレメントが用いられても、以下に説明する処理と同様な処理が実行される。
なお、STA MLDが、或るAP MLDから他のAP MLDに接続を移行する際、それらのAP MLDが同一のExtended Service Set(以下、ESSと称される)を構成する場合には、STA MLDは、移行先AP MLDとの間でリアソシエーション(Reassociation)プロセスが使える。ESSとは、OSI参照モデルのデータ・リンク層内のLogical Link Control(以下、LLCと称される)層で単一のBSSとして扱うことができる相互に接続された複数のBSSのことである。
リアソシエーションプロセス中にSTA MLDがAP MLDに送信するリアソシエーションリクエストフレームでも上述のアソシエーションリクエストフレームと同様に通知することができる。リアソシエーションリクエストフレームも管理フレームの一種である。リアソシエーションリクエストフレームの基本的な構成は、図3に示したビーコンフレームと同じである。リアソシエーションリクエストフレームがビーコンフレームと異なる点は、Subtypeと、Frame Bodyに入る情報エレメントである。リアソシエーションリクエストフレームのSubtypeはリアソシエーションリクエストである。
STA MLDは、STA1で送信するアソシエーションリクエストフレーム内のMLエレメントにおいて、AP MLDが設定するLink2とLink3が利用可能であることと、Link2及びLink3の各々が他のリンクとnon-STRリンクの関係にあるか否かをAP MLDに通知する。なお、nonーSTRリンクの関係にない場合はSTRリンクの関係であるため、non-STRリンクの関係にあるか否かはSTRリンクの関係にあるか否かにも読み替えられる。
図10の例では、STA MLDは、Link2はLink1とSTRリンクの関係にあり、Link3とnon-STRリンクの関係にあること、Link3はLink1とSTRリンクの関係にあり、Link2とnon-STRリンクの関係にあることをAP MLDに通知する。
STA MLDは、AP MLDから通知された複数の無線リンクの中の全て、又は部分集合を選択し、選択した無線リンクを使用する無線リンクとしてAP MLDに通知する。なお、この選択に際し、STA MLDは、プライマリリンクとして指定された無線リンクに対してnon-STRになる無線リンクを選択することは良いが、後述する図18(b)のような関係になることを避けるように、無線リンクを選択する。リンク間の周波数の離隔距離の差によってnon-STRかSTRかを判断できる場合にはリンク間の周波数の離隔距離の差が閾値内である場合、STA MLDは、2つのリンクはnon-STRリンクの関係にあると判断する。STA MLDがSTR関係にある無線リンクに関する情報管理データベースを持っている場合、MAC処理層がこの情報管理データベースにアクセスして、情報を引き出して、2つの無線リンクがSTRリンクの関係にあるかを判断してもよい。
図11は、アソシエーションリクエストフレームのFrame Bodyに含まれるMLエレメントのフォーマットの一例を示す。STA MLDは、図11に示すMLエレメントを用いてnon-STRリンクに関する情報とSTRリンクに関する情報をAP MLDに通知することができる。
アソシエーションリクエストフレームの基本的な構成は、図3に示したビーコンフレームと同じである。アソシエーションリクエストフレームがビーコンフレームと異なる点は、Subtypeと、Frame Bodyに入る情報エレメントである。ビーコンフレームのSubtypeはビーコンであるが、アソシエーションリクエストフレームのSubtypeはアソシエーションリクエストである。アソシエーションリクエストフレームのFrame Bodyも多数の情報エレメントを含むことができる。図11は、アソシエーションリクエストフレームのFrame Bodyに含まれる情報エレメントの一例であるMLエレメントのフォーマットの一例を示す。
MLエレメントは、Element IDフィールド(1オクテット)、Lengthフィールド(1オクテット)、Element ID Extensionフィールド(1オクテット)、STA MLDフィールド(6オクテット)、Number Of Link Information Setsフィールド(1オクテット)、及びLink Information Setフィールド(オクテット単位の可変長)を含む。
図11のMLエレメントは、図4のReduced Neighbor Reportエレメントに対して、Lengthフィールドの後に新たにElement ID Extensionフィールドが追加されている点が異なる。これは、802.11規格に準拠する無線LAN規格で情報エレメントを識別するためのElement IDの番号が1オクテットで表現できる数の上限に達したため、このままでは、新たなMLエレメントを定義できないからである。Element IDが最大の“255”という値を取った場合のみ、Element ID Extensionフィールドが追加され、情報エレメントを識別するためのSubelement IDが追加できるようになっている。
Element ID Extension フィールドも1オクテットあり、現行の802.11規格に準拠する無線LAN規格ではそのフィールドが“0”の値はReservedになっており、“1”以上の値がElement IDと同様に情報エレメントを識別するために割り当てられている。ここに、MLエレメントを識別するための固有の値が記載される。
図11のMLエレメントでは、Element ID Extensionフィールドの後に、STA MLDフィールドが配置される。STA MLDフィールドは、STA MLDのMACアドレスを通知する。
STA MLDフィールドの後に、Number Of Link Information Setsフィールドが配置される。Number Of Link Information Setsフィールドは、Link Information Setフィールドを構成するLink Informationサブフィールドの数を通知する。
Number Of Link Information Setsフィールドの後に、Link Information Setフィールドが配置される。Link Information Setフィールドは、単数又は複数のLink Informationサブフィールド(3オクテット)を含む。
Link Informationサブフィールドは、Link IDサブフィールド(1オクテット)と、Non-STR Link 1サブフィールド(1オクテット)と、Non-STR Link 2サブフィールド(1オクテット)から構成される。Link IDサブフィールドは、MLエレメントを通知する無線リンク以外の無線リンクのリンク識別子を通知する。Non-STR Link 1サブフィールドは、Link IDサブフィールドで通知したリンク識別子の無線リンクとnon-STRリンクの関係にある他の第1の無線リンクのリンク識別子を通知する。Non-STR Link 2サブフィールドは、Link IDサブフィールドで通知したリンク識別子の無線リンクとnon-STRリンクの関係にある他の第2の無線リンクのリンク識別子を通知する。non-STRリンクであると通知された以外の無線リンクはSTRリンクになる。
AP MLDにおける無線リンクの状態が図10に示す状態であるとすると、STA MLDは、1つ目のLink InformationフィールドのLink IDサブフィールドにLink2のリンク識別子を記載する。Link2とnon-STRリンクの関係にある他の第1の無線リンクはLink3であるから、STA MLDは、Non-STR Link 1サブフィールドにLink3のリンク識別子を記載する。Link2、Link3のリンク識別子は、例えば、“2”、“3”である。Link2とnon-STRリンクの関係にある無線リンクはLink3だけであるので、STA MLDは、non-STR Link 2サブフィールドにはNot Available(以下、N/Aと称される)を示す情報が記載される。N/Aを示す情報は、例えば“0”である。無線リンクのリンク識別子に0からの数字が割り当てられるのであれば、例えば、このサブフィールドの最大値である“255”をN/Aであることを識別可能な情報としてもよい。
STA MLDは、2つ目のLink InformationフィールドのLink IDサブフィールドにLink3のリンク識別子を記載する。Link3がnon-STRリンクの関係にある他の無線リンクはLink2だけであるから、STA MLDは、Non-STR Link 1サブフィールドにLink2のリンク識別子を記載し、non-STR Link 2サブフィールドにN/Aを示す情報を記載する。
なお、Link3とLink2がnon-STRリンクの関係にあることは、1つ目のLink Informationフィールドで通知済みであるため、STA MLDは、2つ目のLink Informationフィールドではその通知を省略し、Non-STR Link 1サブフィールドとNon-STR Link 2サブフィールドにN/Aを示す情報を記載してもよい。
この例では、STA MLDは、先ずLink2についてのnon-STR/STRリンクの関係を通知し、次にLink3についてのnon-STR/STRリンクの関係を通知するというようにリンク識別子の小さい順に通知した。しかし、Link InformationフィールドはLink IDサブフィールドを含むので、STA MLDは、必ずしもリンク識別子の小さい順又は大きい順に通知する必要はない。ただし、リンク識別子の昇降順に通知するという規則にしておくと、実装的に無線リンクの情報を管理するのに都合がよい。
図12は、3つの無線リンクの他の状態例を示す。ここでは、Link2はLink3とnon-STRリンクの関係にあることに加え、Link2はLink1ともnon-STRリンクの関係にある。
無線リンクの状態が図12のような状態の場合、STA MLDは、図11に示すMLエレメントの1つ目のLink InformationサブフィールドのLink IDサブフィールドにLink2のリンク識別子を記載し、Non-STR Link 1サブフィールドにLink1のリンク識別子を記載し、Non-STR Link 2サブフィールドにLink3のリンク識別子を記載する。
STA MLDは、このMLエレメントを含むアソシエーションリクエストフレームをLink1で送信する。上記通知方法は、Link1と他の無線リンクがnon-STRリンクの関係にあるか否かを明示的に直接は通知していない。しかし、他の無線リンクとLink1がnon-STRリンクの関係にあるか否かをSTA MLDがAP MLDに通知すれば、AP MLDは、その通知の対称性に基づいて、Link1と他の無線リンクがSTRリンクの関係又はnon-STRリンクの関係にあることを自ずと把握することができる。
2つの無線リンクがSTRリンクの関係又はnon-STRリンクの関係にあることの他の通知方法として、MLエレメントを送信しているリンク(図10、図12の例ではLink1)が他のどの無線リンクとSTRリンク、又はnon-STRリンクの関係にあることを通知するフィールドを設けるようにしてもよい。図13は、この通知フィールドが追加されたMLエレメントのフォーマットの一例を示す。Link Informationフィールドは、Link IDサブフィールド(3ビット)とSTR/Non-STR Flagサブフィールド(1ビット)のペアを複数含む。Link Informationフィールドを例えば1オクテットに制限するのであれば、Link Informationフィールドは、Link IDサブフィールド(3ビット)とSTR/Non-STR Flagサブフィールド(1ビット)のペアを最大2セット含むことになる。
Link IDサブフィールド(3ビット)とSTR/Non-STR Flagサブフィールド(1ビット)のペアを1セットしか含まないLink Informationフィールドが生成された場合に残りのフィールドが情報を含まないことを通知する方法を説明する。
無線リンクのリンク識別子として割り当てる値を1以上として0をReservedにしている場合、Link IDサブフィールドに0を設定すれば、そのサブフィールドを含めた以降のサブフィールドは情報を含まないとAP MLDで判断することができ、AP MLDは残るサブフィールドを処理しなくてよい。無線リンクのリンク識別子として割り当てる範囲を0から6として7をReservedにする場合も同様である。
あるいは、図14に示すように、図13の代わりにLink Informationフィールドを1オクテットに制限した上、Link IDサブフィールド(3ビット)とSTR/non-STR Flagサブフィールド(1ビット)のペアを1セットしか入れないようにしてもよい。またここではLink IDサブフィールドを3ビットにしているが、必要な無線リンクの識別子を表現し切れるようにもっと長くしてもよい。1オクテットのうちの残りの領域がReserveとなる。さらに最後のビットB7を、続くLink Informationフィールドがあるかを示すMoreサブフィールドにすれば、図13のようなNumber Of Link Information Setsフィールド(1オクテット)は不要になる。このようにMoreサブフィールド1ビットを設けると、図14のようにReservedフィールドは3ビットとなる。
STA MLDは、MLエレメントを送信している無線リンク(この場合は、Link1)以外の無線リンク(図10、図12の例では、Link2とLink3)のリンク識別子をLink IDサブフィールドに記載する。STA MLDは、MLエレメントを送信している無線リンクとLink IDサブフィールドに記載したリンク識別子の無線リンクがSTRリンクの関係にあるか、又はnon-STRリンクの関係にあるかを示すフラグ情報をSTR/Non-STR Flagサブフィールドに記載する。STA MLDは、Link1とLink IDサブフィールドに記載したリンク識別子の無線リンクがSTRリンクの関係にある場合、フラグ情報を“1”とし、Link1とLink IDサブフィールドに記載したリンク識別子の無線リンクがnon-STRリンクの関係にある場合、フラグ情報を“0”とする。STR/Non-STR FlagサブフィールドはSTR Flagサブフィールドとしてもよい。あるいはLink1とLink IDサブフィールドに記載したリンク識別子の無線リンクがnon-STRの関係にある場合、フラグ情報を“1”とし、Link1とLink IDサブフィールドに記載したリンク識別子の無線リンクがSTRリンクの関係にある場合、フラグ情報を“0”とするようにしてもよい。この場合はSTR/Non-STR Flagサブフィールドの代わりに、Non-STR/STR FlagサブフィールドあるいはNon-STR Flagサブフィールドのようにしてもよい。
Link1とnon-STRリンクの関係にない他の無線リンクが存在した場合、STA MLDは、当該他の無線リンクでのnon-STRリンクの関係を通知するようにしてもよい。その場合、比較元の無線リンクのリンク識別子を明示する必要がある。そこで、例えば、図15に示すように、図13の代わりにLink Informationフィールドは、Link ID1サブフィールド(3ビット)、Link ID2サブフィールド(3ビット)、STR/Non-STR Flagサブフィールド(1ビット)、残り1ビットはReservedにして、Link Informationフィールドが1オクテットになるようにしてもよい。Link ID1サブフィールドには比較元の無線リンクのリンク識別子を、Link ID2サブフィールドには比較する無線リンクのリンク識別子を入れる。STR/Non-STR Flagサブフィールドの使い方は図13と同様で、Link ID2サブフィールドに記載された無線リンクがLink ID1サブフィールドに記載された無線リンクとSTRの関係にあるかnon-STRの関係にあるかを表す。
あるいは、図16に示すように、図13の代わりにLink Informationフィールドは、Link IDサブフィールド(3ビット)とSTR/Non-STR Flag Bitmapサブフィールド(5ビット)にしてもよい。比較元の無線リンクのリンク識別子をLink IDサブフィールドに入れ、他の比較する無線リンクのリンク識別子は省略し、Link ID順に比較元の無線リンクとSTRの関係にあるか、又はnon-STRの関係にあるかをSTR/Non-STR Flag Bitmapサブフィールドの各ビットで表す。STR/Non-STR Flag BitmapサブフィールドB3-B7のB3がLink1、B4がLink2、B5がLink3を表すことになる。例えば、Link1がLink IDサブフィールドに設定されている場合、図12のようにLink2がLink1とnon-STRの関係、Link3がLink1とSTRの関係にある場合には、B4にはnon-STRの関係を示す“0”が、B5にはSTRの関係を示す“1”が入る。比較する無線リンクが比較元の無線リンクである場合には、該当するビットに“0”を入れる、存在しない無線リンクの識別子(上述の例ではLink5までこのビットマップで表現できるが使うのはLink3まで)に割り当てられたビットには“0”を入れるなど、ルールを設けておく。STR/Non-STR Flag BitmapサブフィールドをB3-B6にし、B7を残しておけば、Link4まで表現可能で、かつ上述のようにB7をMoreサブフィールドに割り当て、図13のようなNumber of Link Information Setsフィールド(1オクテット)は不要にすることができる。
AP MLDは、STA MLDが対応可能な無線リンクと、それらの無線リンクの中のどの2つの無線リンクがnon-STRリンクの関係にあるかを把握できればよい。
このように、AP MLDがSTA MLDにリンク識別子をビーコン/プローブレスポンスフレームで通知している方が、通知していない場合よりも、STA MLD側で無線リンク間の関係を通知する際、効率的である。無線リンクを表すためにフィールドにMACアドレスを入れる場合には、6オクテット必要となるが、AP MLDがリンク識別子をビーコン/プローブレスポンスフレームにより予め通知していれば、STA MLD側で無線リンク間の関係を通知する際、無線リンクを表すフィールドの長さを1オクテット、又はそれ以下に削減することができる。その結果、STA MLDからの通知に用いる情報エレメントを、引いてはフレーム長を短くすることができる。
一方、BSSID/MACアドレスで無線リンクを表す際にも、通常は6オクテットであるが、AP MLDがマルチリンク通信を行っている等の条件を満たす場合に限れば、マルチリンク通信下のAP MLD内の他のAPと識別するために、例えば、末尾の1オクテット等の一部領域を抽出して用いる等、表現する値を省略する工夫なども考えられる。
上記の説明では、STA MLDは、AP MLDが使える無線リンクと同じ無線リンクを全て使えるとしたが、必ずしも全てに対応できない場合もある。その場合には、STA MLDは、対応できる無線リンクに係る情報をMLエレメントを用いてAP MLDに通知する。例えば、STA MLDがLink3に対応できなければ、STA MLDは、Link3のLink InformationをMLエレメントに入れず、Link2ののLink InformationのみをMLエレメントに入れる。この場合、図10をベースにLink3を削除した状態を考えればLink2とnon-STRリンクの関係がある無線リンクはなくなるので、STA MLDは、図11の通知方法に従えばLink2のnon-STR Link1、Non-STR Link2のサブフィールドにはともにN/Aを示す情報を記載する。
また、対応できないという場合以外に、例えば、STA MLDで管理する無線リンク数を最小限に制限するためといった実装的な理由、又はストリームデータ送信のためにDynamic Frequency Selection(以下、DFSと称される)帯を回避するといったQoS等の理由により、STA MLDは、AP MLDが通知する無線リンク全てに対応できたとしても、何らかのアルゴリズムにより使う無線リンクを通知された無線リンクの一部に制限する場合もある。
そのような場合、STA MLDは、制限した(実際にデータ交換を行う予定の)無線リンクのLink InformationのみについてMLエレメントに入れてAP MLDに通知すればよい。
《non-STRリンク関係の制約》
図11のMLエレメントでは、Link IDサブフィールドに後続するサブフィールドをNon-STR Link1サブフィールドとNon-STR Link2サブフィールドの2つにしている。これは、1つの無線リンクとnon-STRリンクの関係にある無線リンクの数を2つまでに制限していることになる。
《プライマリリンクの役割》
次に、non-STRの無線リンク同士の関係とプライマリリンクについて説明する。
プライマリリンクはnon-STRリンクの関係にある複数の無線リンクの中のアクセス権を獲得する(チャネルアクセスする)ために用いられるリンクである。non-STRリンクの関係にある複数対の無線リンクがある場合も、それらのうちの一つがプライマリリンクとなり、それ以外の無線リンクがセカンダリリンクとなる。
本実施形態では、AP MLDがプライマリリンクを決定する。STA MLDは、AP MLDが利用可能であるとSTA MLDに通知した複数の無線リンクの把握と、AP MLDが決定したプライマリリンクの把握を行い、把握した結果に応じてSTA MLD自身が利用する無線リンクを決定し、AP MLDに通知の上、AP MLDに接続が許可されるとAP MLDとの間でマルチリンク通信を行う。
STA MLDは、その際に、AP MLDからのこれらの通知情報と、STA MLD自身が利用する候補とする無線リンクと他の無線リンクのnon-STR/STR関係とを加味して、STA MLD自身が利用する無線リンクを決定し、AP MLDに利用する無線リンクとそれらの間のSTR/non-STRの関係を通知する。
STA MLDは、non-STRリンクの関係にある無線リンクに係る制約条件に基づいて、自身が利用する無線リンクを決定する。制約条件の一つは、ある無線リンクとnon-STRリンクの関係にある無線リンクの数を上限値内に抑えることである。上述したように、図11のMLエレメントの構成に基づけば、ある無線リンクとnon-STRリンクの関係にある無線リンクの数を2つまでに制限されている。STA MLDは、受信したMLエレメントが図11のMLエレメントのように構成されていれば、ある無線リンクとnon-STRリンクの関係にある無線リンクの数を2つまでに制限されていることが分かる。なお、この上限値は予めAP MLDからビーコンフレーム等により明示的に通知されていてもよいし、あるいは規格で予め規定されていてもよい。
STA MLDがマルチリンク通信上でデータフレーム、又は管理フレームを送信するためには、少なくともプライマリリンクでアクセス権を獲得できることが必要である。例えばSTA MLDがプライマリリンクでCSMA/CAによりアクセス権を獲得できる場合、STA MLDは、例えばそのプライマリリンクでのみフレームを送信する。なお、STA MLDがアソシエーションリクエストフレームの送信を行う等、マルチリンク通信の設定を行う前の状態では、プライマリリンクに関係なく、チャネルアクセスすることができるが、その場合はいずれか一つの無線リンクに限る。前述の例では、Link1でアソシエーションリクエストフレームを送信している。
STA MLDがセカンダリリンクでもプライマリリンクと同時にアクセス権を獲得可能な場合、又はSTA MLDが幾らかの送信開始の時間差を許容してプライマリリンクでのアクセス権獲得期間(Transmission Opportunity;以下、TXOPと称される)に合わせてセカンダリリンクでも送信ができる場合、STA MLDはセカンダリリンクでも送信を行うようにしてもよい。なお、non-STRリンクの関係にない独立した無線リンクではこの制約はない。
ここで、STA MLDの送信について考察する。
STA MLDの通信をプライマリリンクに限定する場合には、他の無線リンクで通信するSTA MLDとの公平さは問題にならない。
一方、STA MLDがプライマリリンクを基準にセカンダリリンクでも通信可能ならプライマリリンクとセカンダリリンクで同時に通信する場合を想定する。この場合、セカンダリリンクでCSMA/CAでのチャネルアクセスの手法としてNAV(後述)やランダムバックオフを取るとすると、STA MLDのセカンダリリンクでの通信機会は少ないと考えられる。
一方、チャネルボンディングの場合のように、セカンダリリンクでPIFSアクセス(後述)を許すとすると、どの2つの無線リンクもSTRリンクの関係にあるSTA MLDでのチャネルアクセスが不利になるし、Overlapping BSS(以下、OBSSと称される)STAに対しても当然不公平になる。
また、AP MLDが、プライマリリンクでの通信状態を確認しさえすれば、AP MLDが、non-STRリンクの関係にある他の無線リンクを含めて当該STA MLDでの通信状態を把握できるようにするためには、STA MLDは、プライマリリンクでアクセス権の獲得に失敗したならば、セカンダリリンクでアクセス権が獲得できたとしても、多少の時間差は許容してもよいが、即刻セカンダリリンクで獲得したアクセス権をリリースする。
このようにすることで、AP MLDは、STA MLDに送信を行う前に、プライマリリンクのみの通信状態を観測すれば、当該STA MLDが通信を行っているか(すなわち、TXOPホルダ(holder)かTXOPレスポンダ(responder)になっているか)を把握することができる。このため、AP MLDの送信がSTA MLDの通信を妨害することを回避することができる。
TXOPホルダとは送信アクセス権を獲得した側であり、TXOPレスポンダはTXOPホルダの通信相手である。ここでの前提は、STA MLDの通信相手はAP MLDである。APが中心となって構成されるインフラストラクチャーBSSでは、STAの通信形態としてはこれ以外にSTA同士での通信(ダイレクトリンク(Direct Link)通信)もあるが、これに関する考察は別の実施形態で行う。
《non-STR/STRリンクの関係の例》
図17、図18にnon-STRリンクの関係にある2つの無線リンクと、STRリンクの関係にある2つの無線リンクのいくつかの例を示す。
図17(a)は、上述の無線リンクの関係と若干異なり、プライマリリンクがLink1であり、STA MLDでは、Link1とLink2がnon-STRリンクの関係であり、Link3は他の2つの無線リンクLink1とLink2とはSTRリンクの関係にある場合を示す。
AP MLDは、例えば使用する無線リンクのうちの周波数間の離隔距離が近い2つの無線リンクの一方をプライマリリンクに設定する。例えばLink3がLink1、Link2とも十分に離れている場合には、AP MLDは、Link1、又はLink2をプライマリリンクに設定する。図17(a)の例では、AP MLDは、例えば3つの無線リンクを周波数順に並べた時の一方の端にある無線リンク(Link1)をプライマリリンクに設定している。
図17(b)は、3つの無線リンクの周波数間の離間距離が比較的近い場合を示す。この場合、AP MLDは、3つの無線リンクを周波数順に並べた時の中央の無線リンク(Link2)をプライマリリンクに設定する。中央のLink2は、non-STRリンクの関係にある無線リンクの数が一番多く(non-STRリンクの関係にある無線リンクの数が2つ)なりそうなリンクであることから、プライマリリンクとして選択される。
この場合、STA MLDでは、Link1とLink2はnon-STRリンクの関係であり、Link2とLink3はnon-STRリンクの関係にある。一方、Link1とLink3は、周波数間の離隔距離が長く、STRリンクの関係にある。
但し、3つの無線リンクがある場合で、図17(c)のように、中央のLink2が左右のLink1、Link3とnon-STRリンクの関係にあり、左右のLink1とLink3もnon-STRリンクの関係にある場合でも、中央の一つ、この図ではLink2がプライマリリンクに設定されれば、STA MLDは、プライマリリンクを基準に送信を行なうことができる。
AP MLDは、プライマリリンクの通信状態さえ観測すれば、STA MLDがTXOPホルダ又はTXOPレスポンダになっているか否かを把握することができる。
図17の例では、3つの無線リンクがある場合を示してきたが、4つある場合でも、同様である。例えば、図18(a)に示すように、Link1とLink2がnon-STRリンクの関係にあり、Link3とLink4がnon-STRリンクの関係にあり、他のLink間は全てSTRリンクの関係にある場合を想定する。このような場合、Link1とLink2のnon-STRリンクセット1と、Link3とLink4のnon-STRリンクセット2とを独立に扱えるため、各リンクセットを構成する2つリンクの一方をプライマリリンクに設定すると、AP MLDは、プライマリリンクの通信状態さえ観測すれば、STA MLDがTXOPホルダ又はTXOPレスポンダになっているか否かを把握することができる。
リンクセットを構成するリンクの数は2つに限定する必要はなく、3つ以上でもよい。例えば図17(a)、(b)、(c)に示すように、non-STRリンクの関係にある3つの無線リンクが各々独立にリンクセットを構成できる場合も同様である。AP MLDは、3つ以上の無線リンクからなる独立なリンクセット内でいずれか一つをプライマリリンクに設定すればよい。AP MLDは、各無線リンクの周波数間の離隔距離に基づいて無線リンクセットとなりうる無線リンクを予め想定し、個々のセットでプライマリリンクを設定すればよい。
一方、図18(b)のように、お互いにnon-STRリンクの関係にある2つの無線リンク、Link2とLink3、がさらにnon-STRリンクの関係にあるお互いに異なる別のリンクを各々、Link1、Link4のように有するような設定になる場合を想定する。例えば、Link2がプライマリリンクに設定されており、STA MLDがLink1~Link4の全ての4つの無線リンクをAP MLDとの間で使おうとする場合を仮定する。
この場合、Link4はLink2とはSTRリンクの関係にあるので、前述のプライマリリンクのルールに従えば、Link4は、Link2とは関係なく本来は独立に送信できるはずである。しかし、Link4はLink3とnon-STRリンクの関係にあり、そのLink3がLink2とnon-STRリンクの関係にあるため、Link2、Link3の影響を受ける。そのため、STA MLDがLink4で送信を行おうとする場合には、Link3に加えてLink2の通信状態も確認しなければならないことになる。またSTA MLDがそうしなければ、AP MLDにおいてプライマリリンクを設定したらnon-STRリンクの関係を持つSTA MLDの通信状態をプライマリリンク上でだけ確認すれば当該STA MLDの送信への干渉を回避できるよいという本来の簡易な確認動作ができなくなる。
Link3がプライマリリンクに設定されている場合も、同様な問題が生じる。
そのため、図18(b)の場合は、プライマリリンクを設定するメリットがない。図18(a)に示すように、non-STRのリンクセット1とnon-STRのリンクセット2が周波数的に離れていると、それぞれにプライマリリンクを1つ設定できるが、相互にるnon-STRリンクの関係にあるnon-STRのリンクセット1とnon-STRのリンクセット2ではプライマリリンクが設定できない。
この問題をシンプルに解決するには、STA MLDは、図17(a)や(b)のような関係にあるような無線リンクを選択すればよい。例えば、STA MLDは、Link2がプライマリリンクに設定されていれば、Link1、Link3、又はLink4のいずれかを使わないようにする。このように、STA MLDは、non-STRリンクの関係にある2つのリンク(図18(b)のLink2とLink3)がお互いに各々異なる別のリンクとさらにnon-STRリンクの関係にならないように無線リンクを選択すればよい。なお、以上の例ではある無線リンクがnon-STRリンクの関係にある他の無線リンクは最大2つまでとなる。
なお、一部STRリンクの関係にある無線リンクについても間接的にnon-STRリンクの関係がプライマリリンクと発生する場合には、アクセス権獲得の判断でnon-STRリンクの関係にする、という別の解決手段もある。この場合には、図18(b)の場合を除外する必要はない。
なお、プライマリリンクを設定する目的は、AP MLDが他の無線リンクでの送信を行おうとした場合に、non-STRリンクの関係を持つSTA MLDの通信状態についてプライマリリンクの通信状態さえ観測すれば、当該STA MLDの他の無線リンクでの通信の有無を担保できるようにすることである。従って、この担保ができるのであれば、non-STRリンクの関係にある無線リンクの条件を緩和してもよい。
例えば、AP MLDがプライマリリンクの通信状態のみを観測すればSTA MLDへの送信可否を判断できるのであれば、non-STRリンクの関係にある無線リンクの数は2つまでという条件を緩和し、non-STRリンクの関係にある無線リンクの数を、例えば3つまでとしてもよい。この場合、図11に示すSTA MLDがAP MLDに送信するMLエレメントにおいて、non-STRリンク関係を通知するサブフィールドの数が2つから3つに増える。すなわち、図11に示すnon-STR Link2サブフィールドの後ろにnon-STR Link3サブフィールドが追加される。
《STA MLDの無線リンク選択》
STA MLDは、AP MLDが設定したプライマリリンクを把握し、それとnon-STRリンクの関係にあって、かつ動作可能な無線リンクを選択して、選択結果をMLエレメントを用いてAP MLDに通知してもよい。STA MLDは、AP MLDが設定したプライマリリンクを把握し、プライマリリンクとSTRリンクの関係にある無線リンクを選択して、選択結果をMLエレメントを用いてAP MLDに通知してもよい。
《STA MLDのnon-STR/STRリンク関係の通知の変形例》
図11のMLエレメントでは、non-STRリンクの関係を通知するnon-STR Linkサブフィールドの数を2つに固定していた。しかし、先に説明したように、non-STRリンクの関係にあるリンクの情報を他のリンクで通知済みのためその通知を省略する場合や、non-STRリンクの関係にある無線リンクがなく、non-STR LinkサブフィールドにN/Aを示す情報が記載される場合の通知の変形例を説明する。
図19は、第1の変形例に係るMLエレメントのフォーマットを示す。
Link Informationサブフィールドは、Link IDサブフィールド(1オクテット)、Number Of Non-STR Linksサブフィールド(1オクテット)、及びNon-STR Linkサブフィールド(オクテット単位の可変長)(図19ではNon-STR Link 1、…、Non-STR Link n)から構成される。
Number Of Non-STR Linksサブフィールドは、Non-STRリンクの関係にあるリンク数を通知する。Non-STR Linkサブフィールドの個数は、Number Of Non-STR Linksサブフィールドの値である。
このようにすれば、例えば3枠など状況に応じてnon-STRリンクの関係を持つ他の無線リンク数が増えた場合、STA MLDは、Number Of Non-STR Linksサブフィールドに3を記載し、Number Of Non-STR Linksサブフィールドの後に3つのNon-STR Linkサブフィールドを配置することにより、柔軟に対応することができる。non-STRリンクの関係にあるリンク数が0であれば、STA MLDは、Number Of Non-STR Linksサブフィールドに0を記載し、Non-STR Linkサブフィールドを一つも配置しない。
効率化の第2の変形例を説明する。STA MLDが、AP MLDと同様にLink1、Link2、Link3を利用するとし、いずれのリンク間もnon-STRリンクの関係にならない、すなわち全てSTRリンクの関係にある場合を想定する。この場合には、STA MLDは、図19のLink Informationフィールドの例えばLink IDサブフィールドに特別な値を設定する等により、Number Of Non-STR LinksサブフィールドとNon-STR Linkサブフィールドを省略することが可能である。
第3の変形例を説明する。マルチリンク通信で利用する無線リンクの数が制限されれば、図11、及び図19に示すMLエレメントのNumber Of Link Information Setsサブフィールドとして1オクテットの全てのビットが必要とされる訳ではなくなり、そのうちの一部のビットを別の目的に使うことができる。
例えば、無線リンクの数が8に制限された場合、Number Of Link Information Setsサブフィールドの3ビットのみを無線リンクの数を表すのに割り当て、無線リンクのセット数はNumber Of Link Information Setsサブフィールドの値+1となるように規定しておけば、Number Of Link Information Setsサブフィールド長としては3ビットで足り、残りの5ビットは別の目的に使用できる。例えば、Number Of Link Information Setsサブフィールドの値が0なら無線リンクのセット数は1、この値が1なら無線リンクのセット数は2、この値が7(3ビットで表現できる最大値)なら無線リンクのセット数は8である。そのため、例えば、そのうちの1ビットを、使用する無線リンク全てがSTRリンクの関係にある場合を識別するための情報として使用してもよい。その場合、Non-STR Linkサブフィールドを省略することができる。このようにすることでMLエレメントの通知フィールド長を短くして効率化を図れる。
《AP MLDでSTA MLDのnon-STRリンクの関係にある無線リンクを把握》
上記のようなMLエレメントを含むアソシエーションリクエストフレームを受信したAP MLDの処理は、基本的に通常の802.11規格に準拠する無線LANでのアソシエーション過程と同様である。
AP MLDでは、MACアドレスAP1を持つAPが上位MAC処理部40にアソシエーションリクエストフレームのFrame Bodyの情報と、STAのMACアドレスSTA1を渡す。上位MAC処理部40は、これらの情報をMLMEに渡す。MLMEは、アソシエーションレスポンスフレームを生成するための指示を上位MAC処理部40に通知する。上位MAC処理部40は、アソシエーションレスポンスフレームのFrame Bodyの情報と、送信先MACアドレスとしてのSTA1の情報を用意し、これらをMACアドレスAP1を持つAPに渡す。MACアドレスAP1を持つAPは、アソシエーションレスポンスフレームを第1の物理処理部32を経由して送信する。
AP MLDがMACアドレスSTA1を持つSTAからのアソシエーションリクエストをそのまま受ける場合には、MLMEは、アソシエーションレスポンスフレームが含むMLエレメントのStatus Codeを“SUCCESS”とする。AP MLDがMACアドレスSTA1を持つSTAからのアソシエーションリクエストを拒絶する場合には、MLMEは、Status Codeを“REFUSED”とするか、又は拒絶する理由を表す情報とする。
なお、マルチリンク通信に係る拒絶理由を新たに定義してもよい。リアソシエーションプロセスにおけるリアソシエーションレスポンスフレームの送信に関しても同様である。
AP MLDは、MLエレメントを含むアソシエーションレスポンスフレームを受信することにより、STA MLDのMACアドレスも把握する。なお、図11のMLエレメントは、STA MLDのMACアドレスを直接通知しているが、直接通知を省略してもよい。
例えば、AP MLDが各無線リンクのMACアドレスと何らかの規則性がある情報、例えばSTA1のMACアドレスを把握すること、又はSTA1等のMACアドレスと付加的な情報とを組み合わせることにより、STA MLDのMACアドレスを取得できるのであれば、MACアドレスの直接通知は省略可能である。
AP MLDは、当該取得したSTA MLDのMACアドレスを、上位MAC処理部40、又はMLME、すなわちAP MLDとして共通にアクセスできるメモリに保持する。
また、AP MLDは、MLエレメントにより取得した、プライマリリンクとnon-STRリンクの関係にあるSTA MLDで使用する無線リンクも少なくとも同様に保持する。
AP MLDがLink2をプライマリリンクに設定し、STA MLDが、図10のようにLink3がLink2(プライマリリンク)とnon-STRリンクの関係にあることをAP MLDに通知する場合、AP MLDは、そのことを少なくとも保持し、以下のAP MLDでの動作が可能になるようにする。
《STA MLDの通信状態を考慮したAP MLDの送信》
図20及び図21を用いて、AP MLDがSTA MLDへのダウンリンク(Down Link;以下、DLと称される)送信を行う動作を説明する。図20はnon-STRリンクの関係にある2つの無線リンクの一例を示す。ここでは、AP MLDは、Link1がプライマリリンクであることをSTA MLDに通知し、STA MLDは、Link2とLink1はnon-STRリンクの関係にあることをAP MLDに通知するとする。
AP MLDは、上記したSTA MLDの他に、Link1とLink2がSTRリンクの関係にある複数の他のSTA MLDも収容しているものとする。ここでは、便宜的にLink1とLink2がnon-STRリンクの関係にあるSTA MLDはnon-STR MLD1と称され、Link1とLink2がSTRリンクの関係にある他の複数のSTA MLDはSTR MLDsと称される。STR MLDsはAP MLD自身を含んでいてもよい。
non-STR MLD1のLink1でのMACアドレスはSTA1、Link2でのMACアドレスはSTA2、AP MLDのLink1でのMACアドレスはAP1、Link2でのMACアドレスはAP2である。
AP MLDはnon-STR MLD1に送信するデータを有しているとする。例えば図21に示すように、STR MLDsがLink1でTXOPを獲得しており(図21の“TXOP between STR MLDs”)、Link2が空いているとする。
AP MLDは、non-STR MLD1がLink1で通信していない(non-STR MLD1がTXOPホルダ/レスポンダでない)か否かを判断する。non-STR MLD1がLink1で通信していないことを確認後、AP MLDは、non-STR MLD1宛てフレームを含むDL送信(図21の“DL including non-STR MLD1”)をLink2で行う。フレームは例えばデータフレームやRTSフレームなどである。RTSフレームは、制御フレームの一種である。
もし、non-STR MLD1がLink1で通信している場合、non-STR MLD1がLink1で通信しなくなるまで、AP MLDは、non-STR MLD1宛てフレームを含むDL送信をLink2で行わない。
なお、non-STR MLD1宛てデータフレームを含むDL送信としたが、non-STR MLD1宛てフレームのみのDL送信でもよいし、他のSTA MLD宛てフレームも含むDLマルチユーザ(Multi-user;以下、MUと称される)送信でもよい。
Link2でのDL送信では、non-STR MLD1宛てフレームのRAは当然STA1である。DL MUでは、PHYパケットにおいて、STA1以外のSTA2に割り当てられたアソシエーション識別子(Association Identifier;以下、AIDと称される)がPHYヘッダを用いて通知される。PHYヘッダは、各STAが受信復号するストリーム、リソースユニット(Resource Unit;以下、RUと称される)、又はストリームかつその中のRUが識別できるように構成されており、受信復号されたデータフレーム内のRAに各STA MLDのMACアドレスが指定されている。
DL送信が他のSTA MLD宛てのフレームを含み、他のSTA MLDでもLink2とLink1はnon-STRリンクの関係になる場合には、当該non-STR MLD1と同様、そのSTA MLDがLink1で通信していないことがDL送信を実行する条件である。他のSTA MLDでLink2とLink1がSTRリンクの関係になる場合には、この条件は不要である。
上述したように、AP MLDが、Link2でnon-STR MLD1を含むDL送信(図21の“DL including non-STR MLD1”)を開始する直前まで、non-STR MLD1がLink1で通信しているか否かを判断し、通信している送信が有ることを確認した場合には、DL送信を延期することができるのであれば、干渉は発生しない。
しかし、AP MLDによるLink1とLink2の制御に実装の影響により時差が発生する場合がある。この場合には、例えば、non-STR MLD1を含むDL送信をLink2で開始する時よりPriority Interframe Space(以下、PIFSと称される)前にnon-STR MLD1がLink1で通信していなければDL送信を実行してよい、というようにする。
このようにすることで、PIFS時間内でnon-STR MLD1が通信する場合の干渉の発生は回避できないが、干渉を最小化することができる。PIFSは802.11規格に準拠する無線LANで限定された条件でのみ利用可能なフレーム間隔(Interframe Space)である。PIFSは、Short Interframe Space(以下、SIFSと称される)+Slotで規定される。SIFSは受信したデータフレームに対する応答フレームを送信する際に用いられる最小のフレーム間隔であり、キャリアセンス状態を把握する必要がない。Slotはバックオフを行うための最小単位であり、キャリアセンスが要求される。2.4GHz帯では典型的な場合、SIFSは10us、Slotは20usであり、PIFSは30usとなる。5GHz帯では典型的な場合、SIFSは16us、Slotは9usであり、PIFSは25usとなる。
BSSでダイレクトリンク通信が行われていないのであれば、non-STR MLD1がLink1で通信していない(TXOPホルダ/レスポンダでない)ことの判断は、AP MLDが、自身が送信するフレームのRAにnon-STR MLD1のLink1でのMACアドレス、すなわちSTA1が含まれていないか、又は自身宛てフレームのTAがあるならそのTAにnon-STR MLD1のLink1でのMACアドレス、すなわちSTA1が含まれていないかを判断することで足りる。これは、STR MLDsのLink1での通信相手は必ずAP MLDとなるためである。
基本的にダイレクトリンク通信はオプション機能であり、使用頻度が低いことを考えれば、DL送信の可否は上記判断基準で十分と言える。
また、接続するSTA MLDが利用するアプリケーションの用途を把握することで、ダイレクトリンク通信の利用の可能性を判断し、それに基づいてDL送信の可否判断基準を変更してもよい。例えばダイレクトリンク通信が利用されていると判断すれば、AP MLDは、自身宛てフレーム以外のLink1で受信する全てのフレームも対象に、そのTAにnon-STR MLD1のLink1でのMACアドレスが含まれていないかを判断するようにする。
なお、AP MLDは、フレームのアドレスによりnon-STR MLD1がLink1で通信していると判断した場合、当該フレームのMACヘッダ内のDurationフィールドにより設定されるNetwork Allocation Vector(以下、NAVと称される)により、TXOPの終了を把握し、その終了時刻まではLink1とnon-STRリンクの関係にある無線リンク、ここではLink2でのnon-STR MLD1への送信は行わない。
AP MLDがnon-STR MLD1にDL送信する代表的なフレームの一例としてデータフレームがある。図22は、データフレームの基本的な構成の一例を示す。データフレームは、図3に示したビーコンフレームと同様に、MACヘッダ、Frame Body(オクテット単位の可変長)、及びFCS(4オクテット)を含む。
MACヘッダは、Frame Controlフィールド(2オクテット)、Durationフィールド(2オクテット)、Address 1(第1のアドレス)フィールド(6オクテット)、Address 2(第2のアドレス)フィールド(6オクテット)、Address 3(第3のアドレス)フィールド(6オクテット)、Sequence Controlフィールド(2オクテット)、Address 4(第4のアドレス)フィールド(0、又は6オクテット)、QoS Controlフィールド(0、又は2オクテット)、及びHT Control(HTコントール)フィールド(0、又は4オクテット)を含む。
Frame Controlフィールドは、TypeサブフィールドとSubtypeサブフィールドを含む。AP MLDは、Typeサブフィールドをデータフレームの識別情報とし、Subtypeサブフィールドを例えばQoS Dataとする。
Frame Bodyには、上位層から受け取ったデータが入る。
AP MLDがnon-STR MLD1にDL送信する代表的なフレームの他の例としてRTSフレームがある。図23は、RTSフレームの基本的な構成の一例を示す。RTSフレームは、MACヘッダとFCS(4オクテット)を含む。
MACヘッダは、Frame Controlフィールド(2オクテット)、Durationフィールド(2オクテット)、RAフィールド(6オクテット)、及びTAフィールド(6オクテット)を含む。RAフィールドは、本RTSフレーム送信後に送信を予定している単独宛先のデータフレーム、管理フレーム、あるいは制御フレームの受信先STAのアドレスである。TAフィールドは、RTSフレームを送信するSTAのアドレスである。
Frame Controlフィールドは、TypeサブフィールドとSubtypeサブフィールドを含む。AP MLDは、Typeサブフィールドを制御フレームの識別情報とし、SubtypeサブフィールドをRTSフレームの識別子とする。
上記のように、AP MLDは、non-STR MLD1がLink1で通信していないと判断し、non-STR MLD1宛てにLink2でDL送信を行っても、non-STR MLD1は、Link2でのみ受信復号できればよい。従って、non-STR MLD1でLink1にLink2の干渉が漏れこんだとしても、Link1での動作はnon-STR MLD1の動作に影響を与えない。
図21に示すように、STR MLDsによるTXOP(図21の“TXOP between STR MLDs”)が終了しても、non-STR MLD1宛てデータフレームを含むDL送信がLink2で続いている(図21の“DL including non-STR MLD1”)場合には、そのDL送信の干渉成分がLink1に漏れ込み、non-STR MLD1では、Link1でCCAがビジーになると考えられる。しかし、non-STR MLD1では、Link1では受信復号する必要がないので、影響は生じない。
なお、この状況では、non-STR MLD1がLink1でアクセス権を獲得する動作には、支障が出る可能性がある。その場合の対処法については後述する。
なお、non-STR MLD1がLink1で通信しておらず、かつLink1が空いているなら、AP MLDは、non-STR MLD1宛てフレームを含むDL送信をLink1でも当然行ってよい。DL送信するフレームは、データフレームに限らず、non-STR MLD1宛てRTSフレームでもよいし、non-STR MLD1を宛て先に含むMU RTSフレーム(トリガフレームの一種)でもよい。この場合、AP MLDは、Link1でのTXOPがLink2でのTXOPの終了と同時、又はLink2でのTXOPの終了より後に終了するように調整してもよい。調整の一例として、AP MLDは、Link2でのDL送信するフレームにパディング(Padding)ビットを含めてもよい。
図24は、フレームアグリゲーションにより生成されたA-MPDUのフォーマットの一例を示す。A-MPDUは、n(nは1又は複数)個のA-MPDU subframeのシーケンスと、オクテット単位の可変長の1つのEOF Paddingからなる。
各A-MPDU subframeは、MPDU delimiter(4オクテット)を含み、任意のMPDU(オクテット単位の可変長)がMPDU delimiterに続く。A-MPDUの最後以外のA-MPDU subframeは、A-MPDU subframeの長さを4nオクテットにするためのPadding(0-3オクテット)を含む。
EOF Paddingは、EOF Padding subframe(4nオクテット)とEOF Padding octet(0-3オクテット)からなる。
AP MLDは、A-MPDU内のこれらのパディング用のフィールドを用いてフレームの長さを調整することができる。
また、non-STR MLD1が応答フレームをLink1及びLink2で送信するタイミングを考慮すると、AP MLDは、DL送信するデータフレームの送信終了時刻をLink1とLink2で揃え、non-STR MLD1の応答フレーム長も揃えてもよい。こうすると、DL送信されるデータフレームとUL送信される応答フレームを同期させることができる。
《AP MLDのトリガフレームのDL送信》
図21の説明では、AP MLDは、宛先にnon-STR MLD1を含むフレームをLink2でDL送信した(図21の“DL including non-STR MLD1”)。これはDLシングルユーザ(DL SU)送信またはDLマルチユーザ(DL MU)送信を想定している。しかし、AP MLDは、non-STR MLD1あるいはnon-STR MLD1を含む複数のSTA MLDにUL送信を許可するトリガフレームを送信してもよい。
AP MLDがMACアドレスSTA2宛てフレームをLink2で送信し、MACアドレスSTA2を持つSTAがそれを受信すると、MACアドレスSTA2を持つSTAは、SIFS後にAck又はBlockAckといった応答フレームをMACアドレスAP2を持つAPにUL送信する。MACアドレスAP2を持つAPがLink2で行うDL送信がMACアドレスSTA2宛てフレームを含むDL MUであり、宛先のSTA MLDからの応答フレームを要求する場合には、MACアドレスAP2を持つAPは、応答フレームのUL MU送信を指示するトリガフレームをそのDL MU送信に含めてもよい。このトリガフレームは、Multi-user Block Ack Request(MU-BARと称される)という種別のものになる。MU-BARを受信したことにより、各STAでは応答フレームをUL MUで送信する。
図21ではこのような場合も含めて、“UL including non-STR MLD1”と記載している。なお、Link2でMACアドレスSTA2を持つSTAが応答フレームをUL送信している際には、同じnon-STR MLD1内でのMACアドレスSTA1を持つSTAは、Link1で正常に無線媒体のキャリアセンス(Carrier Sense;以下、CSと称される)ができない(図21の“non-STR MLD1 can’t CS”)と考えられる。
しかし、802.11規格に準拠する無線LANのCSは、2種類ある。一つは、無線媒体の直接のビジー/アイドルを行うもので、物理的CSである。もう一つは、受信したフレームのDurationフィールドで通知された時間長等を基に、そのフレームを含むPHYパケットの終了時刻から起算して通知された時間長が終わる終了時刻までNAVを設定する、仮想的CSである。一方の無線リンクで送信している場合に他のnon-STRリンクの関係にある無線リンクで正常なCSができない場合のCSとは、物理的CSのことである。物理的CSではCCAの状態がビジーかアイドルを調べる。
トリガフレームは制御フレームの一種である。トリガフレームは、アップリンク(Up Link;以下、ULと称される) MU送信をSTA MLDに指示する。UL MU送信を複数の端末に指示する時に、AP MLDが最初に送信するフレームがトリガフレームである。AP MLDは、トリガフレームにより、どのSTA MLDがUL MU送信してよいか、UL MU送信のパケット長をどのくらいの長さにするか、各STA MLDが用いるMCSは何を使うか等をSTA MLDに指示する。
トリガフレーム送信後にUL MU送信する際、ULチャネルをアクセスして占有するアクセス権を獲得することは、AP MLDがトリガフレームにより行っているので、Link2でアクセス権を獲得してよいかの判断はAP MLDが行うことは前述のDLフレームの送信の場合と同様である。STA MLDがAP MLDにUL送信要求があることを、予めAP MLDに通知していればAP MLDは当該STA MLDへのトリガフレームの送信をスケジュールできる。さらにSTA MLDがどの無線リンクでトリガフレームを受けたいかを予めAP MLDに要求あるいはどの無線リンクでトリガフレームを受けるかを予めAP MLDとネゴシエーションしておいてもよい。その場合、図21は、どのリンクを使うかが決まった後の状態である。
図25は、トリガフレームのフォーマットを示す。トリガフレームは、MACヘッダ、Common Infoフィールド(8オクテット、又はそれ以上)、User Info Listフィールド(オクテット単位の可変長)、Padding(パディング)フィールド(オクテット単位の可変長)、及びFCSフィールド(4オクテット)を含む。
MACヘッダフィールドは、Frame Controlサブフィールド(2オクテット)、Durationサブフィールド(2オクテット)、RAサブフィールド(6オクテット)、及びTAサブフィールド(6オクテット)を含む。Common Infoフィールドは、UL Lengthサブフィールドを含む。User Info Listフィールドは、0以上のUser Infoサブフィールドを含み、各User InfoサブフィールドはAID12サブフィールドやUL HE-MCSサブフィールド等を含む。なお、フレーム種別によってはMACヘッダに入るAIDサブフィールドは、Durationフィールドと同じ2オクテットあり、Durationフィールドの代わりに入れられるが、実際にAPがSTAに割り当てるAIDの範囲は1~2007であるため、このトリガフレームのUser InfoサブフィールドでSTAのAIDを表すためのAID12サブフィールドは12ビットで十分であり、12ビットとされている。
AP MLDは、AID12サブフィールドで各STA MLDのAIDを指定し、UL HE-MCSサブフィールドでUL MU送信時に用いるMCSを指定し、UL LengthサブフィールドでPHYパケット長を指定する。
User Infoフィールドがトリガフレームを送る宛先の端末として一つの端末を指定している場合、RAは一つの端末のアドレスになる。User Infoフィールドがトリガフレームを送る宛て先の端末として複数の端末を指定している場合、RAはブロードキャストアドレスとなる。
AID12サブフィールドには、STA MLDに割り当てているアソシエーションIDが入る。アソシエーションIDは、MACアドレスの代わりにSTA MLD、従来では厳密にはSTA MLDの該当するリンクのSTAを指定するものである。STA MLDがアソシエーションリクエストフレームをAP MLDへ送った後、AP MLDがアソシエーションレスポンスフレームをSTA MLDへ送る時、AP MLDはアソシエーションIDをSTA MLDに割り当てる。このアソシエーションIDはSTA MLDでは全ての使用する無線リンクで共通に利用する。
AP MLDは、データフレームを送信する際と同様に、non-STR MLD1がプライマリリンクで通信していないことを確認してからnon-STR MLD1にトリガフレームを送信する。
トリガフレームを受信したSTA MLDは、AP MLDからアソシエーションIDが割り当てられていて、自分のアソシエーションIDがAID12サブフィールドに入っている場合、自分がUL MU送信の対象になっていることを把握し、トリガフレームを収納するPHYパケットの終了時刻のSIFS後にUL MU送信を行う
なお、トリガフレームの送信方法として、AP MLDは個別のSTA MLDを指定せずに送信してもよい。この場合、トリガフレームの受信側のSTA MLDは、乱数を用いて送信可否を決めてもよい。この送信方法は、UL OFDMA(Orthogonal Frequency DivisionMultiple Access) based Random Access(以下、UORAと称される)と称される。この場合には、例えば、non-STR MLD1がLink1で通信していなければ、UORAを指定するトリガフレームを受信したSTA2はUL送信できる。
《non-STR MLD1のLink1でのCS resume例》
non-STR MLD1がLink1で無線媒体のCCAが不明な状態のためにCSが十分に機能せず、他のSTAの送信と衝突する可能性を回避する方法としては、例えば、Link2の干渉あるいはLink2のTXOPが終了した時刻から固定時間はLink1でのCCAの状態がアイドルであると判定されてもCSMA/CAの実行を保留し、固定時間経過後に通常のCSMA/CAを実行するという方法がある。
802.11規格に準拠する無線LANでは、パワーセーブを実施する端末がドーズ(doze)状態からアウェイク(awake)状態に移行した際やチャネルを切り替えた際などで上記と同様に既に他のSTAによりTXOPが獲得されているにも関わらず、それを物理的CSでは認識せずに、送信してしまう場合があるため、NAVSyncDelayという固定時間が定義されている。第1の方法は、このNAVSyncDelayと概念が同様であり、これを利用してもよい。
NAVSyncDelayはAP(マルチリンク通信にこれを適用する場合にはAP MLD)、またSTA(マルチリンク通信にこれを適用する場合にはSTA MLD)が個々に指定でき、指定によっては極端に短くもできてしまうため、衝突を回避するには不適切な場合もある。またBSS内で共通の時間として共有することはできない。第2の方法として、無線LAN規格として値まで含めた別のパラメータを定義してもよい。あるいはこの新たなパラメータの値についてはAP MLDが設定し、ビーコンフレーム等によって周辺のSTA MLDに通知するようにしてもよい。AP MLDがこの固定時間長をビーコン等で通知する際には、例えば前述のMLエレメントやEHT Capabilitiesエレメント、あるいは新規の情報エレメントを用いればよい。
この固定時間を待っている間に、他のフレーム受信を検出し、NAVを取得できれば、無線媒体の使用状態について他のSTAと同期が取れたということで目的を果たしたことになるため、固定時間を待つことは解除してよい。
第3の方法として、Link2からの干渉が終了した時刻からCSMA/CAを再開する場合に、従来のCSレベルよりも感度を上げる、すなわちCSの閾値を従来よりも下げるようにしてもよい。従来、802.11規格に準拠する無線LANでは、802.11規格に準拠する無線LANのPHYパケットを検知するCSレベルは-82dBm/20MHzと規定され、その他の雑音を含む信号を検知するCSレベルは-62dBm/20MHzと規定されている。しかし、Link2からの干渉が終了した時刻からLink1でCSMA/CAを再開する場合に、物理的CSレベルを一律に、例えば-82dBm/20MHzにしてもよい。この際もLink1でMACフレームを受信するなどしてCSが正常に行えている他の端末と同じようにCS状態が把握できたと判断した場合には、即通常のCSの閾値を用いたCSMA/CAの動作に戻ってよい。
これらの例では、Link2でのSTA2の送信終了時刻をMACアドレスSTA1を持つSTAで把握する必要がある。そのため、例えば、Link2でMACアドレスSTA2を持つSTAが送信するPHYパケットの占有長又はその終了時刻をLink1のMACアドレスSTA1を持つSTAに共有させればよい。
MACアドレスSTA2を持つSTAは、応答フレームを送信する際、MACアドレスAP2を持つAPがMACアドレスSTA2を持つSTAとの間で取得したTXOP長、あるいはすなわちNAV情報(後述)からTXOPの終了時刻をLink2で取得することができる。これを利用して、第4の方法では、そのTXOP長又はTXOPの終了時刻をLink1のMACアドレスSTA1を持つSTAに共有させる。これによれば、MACアドレスSTA1を持つSTAはその終了時刻から固定時間待つ動作又はその終了時刻からCS感度を上げる動作をすることができる。例えばLink2のアクセス制御を処理する下位MAC処理部38からLink1のアクセス制御を処理する下位MAC処理部36に当該情報を共有する。
MACアドレスSTA1を持つSTAがLink1でのCS状態を正確に把握できないところから復帰する第5の方法としては、AP MLDがLink2でMACアドレスSTA2宛てに送信するフレーム内でLink1でのNAV状態をMACアドレスSTA2を持つSTAに通知するようにしてもよい。これは、AP MLDではLink1とLink2の間でnon-STRリンクの関係の問題がないからである。STA MLDはそのLink1でのNAV情報によってLink1でのTXOPが終了するタイミングを把握し、例えば、その終了タイミングがCCAを把握できない状況よりも早い場合には上述の固定時間を待たずにCCAが把握できるようになった時点から通常のCSMA/CAを実施し、その終了タイミングがCCAを把握できない状況よりも遅い場合にはその終了タイミングを待って通常のCSMA/CAを実施する。
《AP MLDからnon-STR MLD1へのDL送信の延期》
図21は、AP MLDが、次にnon-STR MLD1宛てデータフレームを送信する際に、non-STR MLD1がLink1で通信しているか否かを判断したところ、non-STR MLD1がLink1でUL送信している(図21の“UL from non-STR MLD1”)ことを確認した場合を示す。
その場合のAP MLDの対応はいくつかある。第1の例は、Link1でMACアドレスSTA1を持つSTAへの送信が可になるまで、AP MLDは、Link2での送信自体を行わないことである。この結果、non-STR MLD1宛ての送信は延期される。
AP MLDの対応の第2の例は、AP MLDが他のSTA宛てのデータを持っているとしたら、Link2で他のSTAに管理フレーム又はデータフレームを送ることである。これによっても、non-STR MLD1のSTA宛て送信は延期される。
他のSTAとは、(1)Link1で送信していない他のnon-STR MLDのSTA、(2)Link1とLink2がSTRリンクの関係にある他のnon-STR MLDのSTA、(3)そもそも全ての無線リンクでSTRリンクの関係を維持できるSTR MLDのSTA、又は(4)Link2でのみAP2と接続しているSTAである。
第2の例の適用には、条件がある。non-STR MLD1がPHYパケットのPHYヘッダをnon-STRリンクの関係にある2つの無線リンクの一方で受信してAutomatic Gain Control(以下、AGCと称される)を取得でき、受信と復号のための同期が取得できた状態で、Link1でフレーム交換が継続可能であるような場合に第2の例は適用できる。なお、Link1でフレーム交換が継続可能であるか否かは、信号対干渉電力比(Signal-to-Interference Ratio;以下、SIRと称される)の条件による。
ただし、実装によっては、一方のリンクのTXOP関与時に他のリンクに干渉する恐れがある。例えば、ブルートゥース(登録商標)規格の電波も送受信できる無線LANチップにおいて、無線LANのアンテナを介してブルートゥース信号が回りこみ、ブルートゥース信号が歪むことが考えられる。この場合は、ブルートゥース電波の送信時に、無線LAN側のLow Noise Amplifier(以下、LNAと称される)をオフにすればよい。これと同様の対応をLink1で送受信している際にはLink2で行えばよい。つまりLink1で送受信している際にはLink2のLNAをオフにすればよい。
STA-MLDは、このような対応ができるかどうかを、AP MLDに予め通知するようにしてもよい。STA-MLDは、2つの無線リンクがnon-STRリンクの関係にあることをMLエレメント等を用いて通知する際にこの情報も併せて通知するようにしてもよい。STA-MLDは、STA MLDの能力(capability)としてこの情報も纏めて通知してもよい。纏めて通知するエレメントの一例は、EHT Capabilitiesエレメントである。EHT Capabilitiesエレメントもアソシエーションリクエストフレームやリアソシエーションリクエストフレームに入れられる。
non-STR MLD1のLink1での通信に干渉を与えずに、non-STR MLD1にLink2で送信する方法として、AP MLDがLink2での送信に送信ビームフォーミングを適用し、non-STR MLD1のLink1での通信に対してヌル(null)が向けるようにする(ヌルステアリング)ことがある。あるいは、802.11ax規格のSpatial Reuse(以下、SRと称される)を適用してもよい。SRは、自端末の送信電力に合わせてCS感度を調整する手法である。また、SRは、受信フレームから取得した情報から他端末の自送信の干渉への耐性を判断し、耐性が十分(SIRとして問題がない)と判断した場合に、受信フレームと時間を重複させて送信できる手法でもある。
《STA MLDでプライマリリンクとSTRリンクの関係にある無線リンクの送信》
AP MLDからLink1とLink2がSTRリンクの関係にあるSTA MLDへの送信では、当該STA MLDは、Link1とLink2を独立に送受信できる。従って、AP MLDは、当該STA MLDがLink1で通信しているか否かの判断は不要である。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、AP MLDは、non-STR MLDからnon-STRリンク関係にある無線リンクのリンク情報を取得する。AP MLDは、non-STRリンク関係にある無線リンクのうちの一つをプライマリリンクに設定し、non-STR MLDにプライマリリンクの情報を通知する。AP MLDはnon-STR MLDへプライマリリンク以外のセカンダリリンクで送信する場合、non-STR MLDがプライマリリンクで通信していないか否かを判断する。non-STR MLDがプライマリリンクで通信している場合、当該送信を延期する。
これにより、AP MLDはnon-STR MLDへの送信に際し、プライマリリンクの通信状態だけを確認するだけで、送信可否を判断できる。このため、non-STRリンクの関係にある無線リンク間での衝突を回避でき、non-STR MLDの性能を確保できる。また、non-STR MLDは、non-STR関係にある無線リンクが存在しない場合にはマルチリンクの恩恵をフルに享受できる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ある無線リンクに対してnon-STRリンクの関係にある無線リンクがどれであるかをSTA MLDはAP MLDに直接通知した。第2の実施形態では、ある無線リンクに対してnon-STRリンクの関係にある無線リンクがどれであるかを直接通知する代わりに、STA MLDは、2つの無線リンクがnon-STRリンクの関係になる、又はSTRリンクの関係になる周波数上の離隔距離をAP MLDに通知することにより、non-STRリンクの関係にある2つの無線リンクを間接的に通知する。
STA MLDは、周波数の離隔距離が閾値距離以上である2つの無線リンクはnon-STRリンクの関係にある無線リンクとして扱うようにAP MLDに通知する。AP MLDは、利用する無線リンクのリンクIDとリンク周波数の関係から、どの2つの無線リンクがnon-STRリンクの関係のリンクになるかを判断する。AP MLDが、例えば、図21に示すような送信を実行しようとした時、このSTA MLDにとってLink1とLink2がnon-STRリンクの関係にあるか、又はSTRリンクの関係にあるかをLink1とLink2の周波数の離隔距離に基づいて判断する。STA MLDが閾値距離を通知し、AP MLDが離間距離を閾値距離と比較する。AP MLDは、離間距離が閾値距離以上であれば、2つの無線リンクはnon-STRリンクの関係にあると判断する。
図26は、STA MLDがAP MLDに送るアソシエーションリクエストフレームに含まれるMLエレメントのフォーマットの一例を示す。
MLエレメントは、Element IDフィールド(1オクテット)、Lengthフィールド(1オクテット)、Element ID Extensionフィールド(1オクテット)、STA MLDフィールド(6オクテット)、Max Non-STR Frequency Differenceフィールド(1オクテット)、Number Of Linksフィールド(1オクテット)、及びLink ID Setフィールド(オクテット単位の可変長)を含む。なお、Link ID Setフィールドに含まれるLink IDサブフィールドが固定であり、またLink ID Setフィールド以降に他のフィールドが追随しないことが保証されているならば、Number Of Linksフィールドはなくてもよい。Non-STR Frequency Differenceフィールドの後は残るMLエレメントの最後までの領域をLink ID Setフィールドとし、Link IDサブフィールドの固定長ごとに分割して各々をLink IDサブフィールドとして扱えばよい。
Max Non-STR Frequency Differenceフィールドは、non-STRリンクの関係になる2つの無線リンクの周波数上の最大の離隔距離である閾値距離を通知する。無線リンク間の周波数の離隔距離がこのフィールドで通知された閾値距離以下であれば、AP MLDは、STA MLDでそれらの無線リンクはNon-STRリンクの関係にあると判断する。無線リンク間の周波数の離隔距離が閾値距離より大きければ、AP MLDは、STA MLDでそれらの無線リンクはSTRリンクの関係にあると判断する。
このフィールド名は、「STRリンクの関係になる周波数上の最小の離隔距離である閾値距離を表す」という意味で、Min STR Frequency Differenceというフィールド名に変更されてもよい。その場合、無線リンク間の周波数の離隔距離がこのフィールドで通知された閾値距離以上であれば、AP MLDは、STA MLDでそれらの無線リンクはSTRリンクの関係にあると判断する。無線リンク間の周波数の離隔距離がこのフィールドで通知された閾値距離未満であれば、AP MLDは、STA MLDでそれらの無線リンクはnon-STRリンクの関係にあると判断する。
以降では、Max Non-STR Frequency Differenceフィールド名で説明するが、Min STR Frequency Differenceフィールド名であっても、通知内容の視点が違うだけで、それ以外の内容は同様に適用される。
例えば、STA MLDは、周波数の離隔距離が240MHz以下であれば2つの無線リンクがnon-STRリンクの関係になることをMax Non-STR Frequency DifferenceフィールドでAP MLDに通知する。Max Non-STR Frequency Differenceフィールドは、図26では1オクテット用意されている。例えば、チャンネル幅が80MHzであるとすると、0~255までの値で0~20.4GHzの周波数帯のチャネルを表現できることになる。240MHzを閾値距離として表現したいのであれば、このフィールドの値は3となる。0MHzをこのフィールドで表現することは意味がないため、0HMzを表す数値は他の意図のために使う、又はReservedにしておくのでもよい。
例えば、無線システムとして2.4GHz帯から6GHz帯のみを対象にするのであれば、閾値距離としては5GHzが表現できれば十分である。そのため、5GHzを表す値以外の値は他の意図のために使う、又はReservedにしておく。
80MHz単位の代わりに例えば、20MHz単位のように、他の固定値を単位とする無線システムでもよい。また、このフィールドの一部のビット領域をチャネルの単位を識別するために用い、残りのビット領域を閾値距離を表す値として用いるようにしてもよい。
例えば、最初の3ビットを単位を識別する領域として、0はReserved、1であれば20MHz、2であれば40MHz、3はReserved、4は80MHz、5~7はReservedにし、残りの5ビットで表現される値と単位を掛け合わせて周波数の離隔距離を出すようにしてもよい。
160MHzまでを単位として用いるのであれば、例えば、この3ビットを、0はReserved、1であれば20MHz、2であれば40MHz、3は80MHz、4は160MHz、5~7はReservedというようにする等すればよい。
STA MLDが、周波数上の離隔距離がどの範囲内であれば2つの無線リンクがnon-STRリンクの関係になること、又はどれほど離れていれば無線リンクがSTRリンクの関係になることを保証できるかを、実装上の設計等を加味して、予め把握できれば、このような通知ができる。
前者の把握であれば、Max Non-STR Frequency Differenceフィールドのような通知方法になり、後者の把握であれば、Min STR Frequency Differenceフィールドのような通知方法になる。
図26では、Max Non-STR Frequency Differenceフィールドの後に、Number Of LinksフィールドとLink ID Setフィールドが順次配置されている。これらのフィールドは、Max Non-STR Frequency Differenceフィールドがあることにより、図19のNon-STR Link1サブフィールドとNon-STR Link2サブフィールドを省略できるので、図19のMLエレメントのフィールド名が変更されている。Number Of Linksフィールドは、後続するLink ID Setフィールドに含まれるLink IDサブフィールドの数を表す。Link ID Setサブフィールドは、単数又は複数のLink IDサブフィールドから構成される。Link IDサブフィールドは、図11のLink IDサブフィールドと同様である。
STA MLDは、AP MLDから通知された複数の無線リンクのうち、当該STA MLDで使用する単数又は複数の無線リンクのIDをLink IDサブフィールドを用いてAP MLDに通知する。2つの無線リンクを使用する場合、図11のフォーマットであれば、STA MLDフィールドより後に7オクテット必要であった。しかし、図26のフォーマットであれば、STA MLDフィールドより後は4オクテットで済み、フィールドサイズの短縮が図れる。フィールドサイズの短縮は、無線通信の効率化にも寄与する。
なお、Max Non-STR Frequency Differenceフィールドを用いて通知する周波数の離隔距離は、例えば、各無線リンクが用いるチャネルの中心周波数同士を比較した差である。通知する周波数の離隔距離は、各無線リンクが用いるチャネルの最も近接した端同士の差を表すように変更してもよい。
AP MLDは、図26のようなMLエレメントを含むアソシエーションリクエストフレームをSTA MLDから受信すると、自装置が通知する無線リンク間の周波数の離隔距離と、Max Non-STR Frequency Differenceフィールドで通知される周波数の離隔距離を比較し、STA MLDでどの2つの無線リンクがNon-STRリンクの関係にあるかを把握する。
図27は802.11規格に準拠する無線LANの5GHz帯でのチャネルを示す。80+80MHzチャネルの場合は、図27で隣接していない2つの80MHzチャネルが用いられる。AP MLDが、例えばLink1としてチャネル番号106を、Link2としてチャネル番号138をSTA MLDに通知しているとする。STA MLDは、周波数の離隔距離が240MHz以下であれば2つの無線リンクがnon-STRリンクの関係になることを、Max Non-STR Frequency DifferenceフィールドでAP MLDに通知する。
Max Non-STR Frequency Differenceフィールドは中心周波数の差で表されているとすると、AP MLDは、チャネル番号106の中心周波数が5,530MHzであり、チャネル番号138の中心周波数が5,690MHzであり、その周波数の離隔距離が160MHzで240MHz以下であることから、STR MLDではLink1とLink2がnon-STRリンクの関係にあることを把握する。
当然、この情報を送信するSTA MLDも、Link1とLink2が自装置としてnon-STRリンクの関係にあることを把握している。例えば、第1の実施形態と同様に、AP MLDがLink1をプライマリリンクに設定している場合には、STA MLDはLink1をプライマリリンクとして送信を行う。AP MLDは、当該STA MLDに送信する際には、STA MLDがLink1で通信しているか否かを判断し、それに基づいたアクセス権獲得動作を行う。
第2の実施形態によれば、STA MLDは、non-STR/STRリンクの関係にある無線リンクを間接的にAP MLDに通知するので、通知情報のサイズが小さくなり、通信の効率化が図られる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、AP MLDは、自装置が利用する複数の無線リンクのうちの一つをプライマリリンクに設定し、STA MLDに通知した。本実施形態は、AP MLDは、STA MLDからの接続を要請するためのアソシエーションリクエストをプライマリリンクでのみ受け付けることとすることにより、プライマリリンクを間接的にSTA MLDに通知し、第1の実施形態による直接的な通知を省略する。
具体的には、AP MLDが、アソシエーションリクエストフレームに応答してアソシエーションレスポンスフレームを送信するが、Status Codeが“SUCCESS”を示す値であるアソシエーションレスポンスフレームを送信する条件の一つとして、プライマリリンクでアソシエーションリクエストフレームを受信したことを加える。
アソシエーションリクエストフレームは、図3のビーコンフレームと同様に、MACヘッダ、Frame Body、及びFCSを含む。MACヘッダに含まれるフレームコントロールフィールドのTypeサブフィールドには管理フレームの識別情報が記載され、Subtypeサブフィールドにはアソシエーションレスポンスの識別情報が記載される。アソシエーションリクエストフレームのFrame Bodyは、アソシエーションリクエスト動作が成功したか又は失敗したかを示すStatus Codeを含む。
STA MLDがセカンダリリンクでアソシエーションリクエストフレームを送信した場合、AP MLDは、Status Codeが“NG”を示す値であるアソシエーションレスポンスフレームを送信する。STA MLDは、Status Codeに“NG”を示す値が記載されたアソシエーションレスポンスフレームを受信すると、アソシエーションリクエストフレームを送信した(あるいはアソシエーションレスポンスフレームを受信した)無線リンクはプライマリリンクではないことを認識し、無線リンクを変えてアソシエーションリクエストフレームを再送信し、接続を再び要請する。STA MLDは、Status Codeに“SUCCESS”を示す値が記載されたアソシエーションレスポンスフレームを受信すると、アソシエーションリクエストフレームを送信した(あるいはアソシエーションレスポンスフレームを受信した)無線リンクがプライマリリンクであることを認識する。
このようにすることで、AP MLDからSTA MLDへプライマリリンクを通知するReduced Neighbor Reportエレメントの送信を省略することができ、無線通信の効率化が図れる。
図28は、無線LAN規格のStatus Codeの一例を示す。Status Codeの各コードが各値に割り当てられている。一例としては、成功を意味するSUCCESSコードが0に割り当てられ、失敗及び理由不明の失敗を意味するREFUSED,REFUSED_REASON_UNSPECIFIEDが1に割り当てられ、Tunneled Direct Link Setup(以下、TDLSと称される)ウェイクアップスケジュール拒絶(代わりのスケジュール有)を意味するTDLS_REJECTED_ALTERNATIVE_PROVIDEDが2に割り当てられ、TDLSウェイクアップスケジュール拒絶を意味するTDLS_REJECTEDが3に割り当てられ、セキュリティ不能を意味するSECURITY DISABLEDが4に割り当てられている。現在、何のコードも割り当てられていないReservedの値が幾つかある。例えば、4、8、9、20、21、…には何のコードも割り当てられていない。
図29は、第3の実施形態におけるStatus Codeの一例を示す。プライマリリンクでないため拒否することを意味する“DENIED_NOT_PRIMARY_LINK”というコードが、現在Reservedになっている値のいずれか、ここでは4に割り当てられる。AP MLDは、STA MLDがセカンダリリンクでアソシエーションリクエストフレームを送信した場合、Status Codeに4が記載されたアソシエーションレスポンスフレームを送信する。
なお、AP MLDは、STA MLDにプライマリリンクを通知するために、Status Codeに4が記載されたアソシエーションレスポンスフレームをSTA MLDに送信する際、プライマリリンクの情報(Channel Number等)を入れる情報エレメントをアソシエーションレスポンスフレーム追加してもよい。こうすると、STA MLDは、Status Codeに4が記載されたアソシエーションレスポンスフレームを何度も受信することなく、プライマリリンクを認識することができる。
STA MLDにセカンダリリンクでアソシエーションリクエストフレームを送信させないようにする一つの手段として、AP MLDがプライマリリンクではビーコンフレームを送信するが、セカンダリリンクではビーコンフレームを送信しないようにしてもよい。ビーコンフレームが送信されないと、レガシーSTAも、アソシエーションリクエストフレームを送信しない。例えば、MLOに対応するSTA MLDにのみセカンダリリンクでアソシエーションリクエストフレームの送信を許す場合には、AP MLDは、レガシーSTAでは認識しない種別の管理フレーム(フレームタイプがビーコンフレームとは異なる)をビーコンフレームの代わりにSTA MLDに送信し、アソシエーションリクエストフレームの送信が許可されていることを通知してもよい。
図18(a)のように複数のプライマリリンクがある場合でも、AP MLDは、プライマリリンクであるLink1とLink4でAP MLDからそれぞれアソシエーションリクエストを受け付け、セカンダリリンクであるLink2とLink3ではアソシエーションリクエストを受け付けないようにすればよい。
AP MLDは、プライマリリンクの情報を間接的にLink1とLink4で通知すると、STA MLDは、Link1とLink4がプライマリリンクであるということが分かる。STA MLDは、Link1でアソシエーションリクエストフレームを送信して接続ができれば、Link4でアソシエーションリクエストフレームを送信する必要がない。
第3の実施形態によれば、AP MLDは、プライマリリンクに設定した無線リンクの識別子をSTA MLDに通知せず、代わりにプライマリリンクを間接的に通知するので、通知情報のサイズが小さくなり、通信の効率化が図られる。
(第4の実施形態)
第1の実施形態では、AP MLDは、或るセカンダリリンクでDL MU送信を行う際に、その対象となるSTAが当該セカンダリリンクとプライマリリンクがnon-STRリンクの関係になるSTA MLDを構成しているか否かを個々に判断(図21では、MLD1のみを説明)していた。
第4の実施形態では、AP MLDは、或るセカンダリリンクで、DL MU送信するPHYパケットを構成する際に、DL MU送信の宛先であるSAT MLDが、当該セカンダリリンクとプライマリリンクがSTRリンクの関係になるSTA MLDのみ、又は当該セカンダリリンクとプライマリリンクがnon-STRリンクの関係になるSTA MLDのみになるようにする。すなわち、AP MLDは、セカンダリリンクで送信するPHYパケットの宛先に当該セカンダリリンクとプライマリリンクがSTRリンクの関係になるSTA MLDと当該セカンダリリンクとプライマリリンクがnon-STRリンクの関係になるSTA MLDが混在しないようにする。
これを実現するために、AP MLDは、プライマリリンクとセカンダリリンクがnon-STRリンクの関係になるSTA MLDを示すテーブルをセカンダリリンク毎に予め作成しておく。
STA MLDによってはプライマリリンクとセカンダリリンクがSTRリンクの関係になるし、non-STRリンクの関係にもなる。AP MLDは、セカンダリリンクでDL送信したい時、テーブルを見て、プライマリリンクの通信状態を調べなければならないか否かを判断できる。
図30(a)は、或るセカンダリリンクについて、プライマリリンクとセカンダリリンクがnon-STRリンクの関係になるSTA MLD群のアドレスを示すテーブルの一例を示す。ここでは、アドレスとして、上位MAC処理部40に割り当てられるMLD MACアドレスが利用される。図30(b)は、或るセカンダリリンクについて、プライマリリンクとセカンダリリンクがSTRリンクの関係になるSTA MLD群のMLD MACアドレスを示すテーブルである。
このようにすることで、複数のSTA MLDが宛先となるDL MU送信時に、プライマリリンクの通信状態を一括して調べることができる。AP MLDは、或るセカンダリリンクで、当該セカンダリリンクとプライマリリンクがSTRリンクの関係になるSTA MLDのみを宛先とするPHYパケットのDL MU送信を行う場合には、宛先であるSTA MLDがプライマリリンクで通信しているか否かの判断を省略できる。
図31、図32は、AP MLDが作成するテーブルの他の例を示す。DL MU送信を行う時、MACフレームを生成する際、MACヘッダの送信先MACアドレスRAが必要である。また、DL MU送信を行う時、PHYパケットを生成する際、PHYヘッダにアソシエーション識別子AIDが必要である。そのため、AP MLDは、これらも情報も一緒にテーブル化しておいてもよい。図31(a)は、或るセカンダリリンクについて、プライマリリンクと当該セカンダリリンクがnon-STRリンクの関係になるSTA MLD群のMLD MACアドレスと、セカンダリリンクでのMACアドレスと、AIDを示すテーブルである。図31(b)は、或るセカンダリリンクについて、プライマリリンクと当該セカンダリリンクがSTRリンクの関係になるSTA MLD群のMLD MACアドレスと、セカンダリリンクでのMACアドレスと、AIDを示すテーブルである。STA1-2は、MLD1のMLD MACアドレスを有する端末STA MLDのセカンダリリンク(Link2)におけるMACアドレスを示す。AID1-2は、MLD1のMLD MACアドレスを有する端末STA MLDのセカンダリリンク(Link2)におけるAIDを示す。
さらに、図32は、図31(a)、(b)を一つのテーブルに纏めた例を示す。図32は、或るセカンダリリンクについて、プライマリリンクとセカンダリリンクがnon-STRリンクの関係になるSTA MLD群とSTRリンクの関係になるSTA MLD群を各MLD MACアドレス毎に纏めたテーブルを示す。図32のテーブルは、STA MLDのMLD MACアドレスと、プライマリリンク(Link1)におけるMACアドレスと、プライマリリンク(Link1)におけるAIDと、セカンダリリンク(Link2)におけるMACアドレスと、セカンダリリンク(Link2)におけるAIDと、セカンダリリンクがプライマリリンクに対してnon-STRリンクの関係にあるか否かを示すフラグからなる。
上述の説明では、AP MLDは、或るセカンダリリンクで送信するPHYパケットの宛先に当該セカンダリリンクとプライマリリンクがSTRリンクの関係になるSTA MLDと当該セカンダリリンクとプライマリリンクがnon-STRリンクの関係になるSTA MLDが混在しないようにすることにより、DL送信の可否の判断を簡素化した。
以下、AP MLDは、或るセカンダリリンクで送信するPHYパケットの宛先に当該セカンダリリンクとプライマリリンクがSTRリンクの関係になるSTA MLDと当該セカンダリリンクとプライマリリンクがnon-STRリンクの関係になるSTA MLDが混在した場合でも、DL送信の可否の判断を簡素化する例を説明する。
AP MLDは、当該セカンダリリンクとプライマリリンクがnon-STRリンクの関係になるSTA MLDを構成するSTAを、Multi-Input Multi-Output(以下、MIMOと称される)のストリーム処理順の前半に纏める。
こうすると、AP MLDは、ストリーム処理において、セカンダリリンクとプライマリリンクがnon-STRリンクの関係にあるSTA MLDを構成するSTAの処理からセカンダリリンクとプライマリリンクがSTRリンクの関係にあるSTA MLDを構成するSTAの処理に移ったことを検出すると、AP MLDは、それ以降はプライマリリンクの通信状態を確認する必要が無くなり、処理を簡素化することができる。
例えば、AP MLDが、MU MIMOでDL送信を行う時、ストリーム毎にSTA MLDを割り当てる。この割り当てにおいて、AP MLDは、或るストリームの処理まではnon-STRリンクの関係にあるSTA MLDを割り当て、それ以降のストリームの処理からはSTRリンクの関係にあるSTA MLDを割り当てる。AP MLDは、或るストリームの処理までは、STAが構成するSTA MLDでセカンダリリンクとプライマリリンクがnon-STRリンクの関係にあるのか、STRリンクの関係にあるのかを調べる。そして、セカンダリリンクとプライマリリンクがnon-STRリンクの関係にあることを検出すると、AP MLDは、STA MLDのプライマリリンクでの通信状態を確認しなければならない。
しかし、或るストリームの処理において、セカンダリリンクとプライマリリンクがSTRリンクの関係にあることを検出すると、以降のストリームの処理においては、セカンダリリンクとプライマリリンクがSTRリンクの関係にあるので、セカンダリリンクとプライマリリンクのnon-STR/STRリンクの関係を判断する必要がなく、プライマリリンクでの通信状態も確認する必要がない。
無線通信装置が、周波数で多重するOFDMAを採用する場合も同様である。OFDMAの場合、AP MLDは、周波数の高い順、或いは低い順にRUをSTA MLDに割り当てる。AP MLDは、或る周波数のRUまではnon-STRリンクの関係にあるSTA MLDに割り当て、それ以降の周波数のRUはSTRリンクの関係にあるSTA MLDに割り当てる。AP MLDは、OFDMAのRUの処理を周波数の高い順に、或いは低い順に行う。
こうすると、AP MLDは、OFDMAのRUの処理において、あるRUの処理までは、STAが構成するSTA MLDでセカンダリリンクとプライマリリンクがnon-STRリンクの関係にあるのか、STRリンクの関係にあるのかを調べ、non-STRリンクの関係にあることを検出すると、STA MLDのプライマリリンクでの通信状態を確認しなければならない。しかし、セカンダリリンクとプライマリリンクがSTRリンクの関係にあることを検出すると、以降のRUの処理においては、セカンダリリンクとプライマリリンクがSTRリンクの関係にあるので、セカンダリリンクとプライマリリンクのnon-STR/STRリンクの関係を判断する必要がなく、プライマリリンクでの通信状態も確認する必要がない。
図33は、AP MLDが、STA MLDを、プライマリリンクとセカンダリリンクがnon-STRリンクの関係になるSTA MLDと、プライマリリンクとセカンダリリンクがSTRリンクの関係になるSTA MLDとに分類する際の処理の一例を示すフローチャートである。
AP MLDは、送信するDL MUパケットの宛先が本セカンダリリンクとプライマリリンクがnon-STRリンクの関係にあるSTA MLD群であるか否かを判定する(図33の112)。宛先がnon-STRリンクの関係にあるSTA MLD群ではない場合、AP MLDは、チャネル権を取得後、PHYパケットをDL送信する(図33の120)。
宛先がnon-STRリンクの関係にあるSTA MLD群である場合、AP MLDは、プライマリリンクでTXOPが取得されているか否かを判定する(図33の114)。プライマリリンクでTXOPが取得されていない場合、AP MLDは、チャネル権を取得後、PHYパケットをDL送信する(図33の120)。
プライマリリンクでTXOPが取得されている場合、AP MLDは、PHYパケットの宛先にプライマリリンクのTXOPホルダ/レスポンダと同じMLDが含まれているか否かを判定する(図33の116)。PHYパケットの宛先にプライマリリンクのTXOPホルダ/レスポンダと同じMLDが含まれていない場合、AP MLDは、チャネル権を取得後、PHYパケットをDL送信する(図33の120)。
PHYパケットの宛先にプライマリリンクのTXOPホルダ/レスポンダと同じMLDが含まれている場合、AP MLDは、PHYパケットの宛先にプライマリリンクのTXOPホルダ/レスポンダと同じMLDが含まれなくなるようDL MU送信するPHYパケットを再生成する、あるいはTXOPホルダ/レスポンダと同じMLDのプライマリリンクでのTXOPが終了するまで、送信を延期する(図33の118)。この処理の完了後、AP MLDは、チャネル権を取得後、PHYパケットをDL送信する(図33の120)。
(第5の実施形態)
本実施形態では、AP MLDは、マルチリンク通信で利用する複数の無線リンクを選択する際に、その無線リンク間の周波数上の離隔距離を加味する。例えば、AP MLDは、接続するSTA MLDの多くにおいて、全ての2つの無線リンクがSTRリンクの関係になるように、周波数上の離隔距離がある固定値以上となるような無線リンクを選択する。固定値は規格で規定してもよい。
例えば、マルチリンクのための無線リンクとして、AP MLDが5.2GHz帯と5.3GHz帯の2つの無線リンクを選択すると、この2つの無線リンクの周波数は近いので、AP MLDに接続する大部分のSTA MLDでは、2つの無線リンクがnon-STRリンクの関係になる。そのため、AP MLDがマルチリンクのための無線リンクを選択する手法として、5.2GHz帯と5.6HGz帯のようにできるだけ周波数が離れている無線リンクを選択する。
第5の実施形態によれば、AP MLDは、周波数上の離隔距離がある程度以上の無線リンクをマルチリンク通信のための選択するので、STA MLDにおいて、無線リンク間がnon-STRリンクの関係になることが少ない。
(第6の実施形態)
本実施形態では、AP MLDがSTA MLDを接続する際に、プライマリリンクとセカンダリリンクがno-STRリンクの関係になるSTA MLDの接続数に上限を設ける。このようなSTA MLDの接続数が上限を超えた場合には、AP MLDは、アソシエーションリクエストフレームを受信しても、STA MLDをそれ以上接続することを許可しない。
AP MLDは、接続を許可しない場合、その理由をアソシエーションレスポンスフレームのStatus Codeを用いてSTA MLDに通知する。図34は、第6の実施形態におけるStatus Codeの一例を示す。プライマリリンクとセカンダリリンクがnon-STRリンクの関係になるSTA MLDの接続数が上限を超えたため拒否することを意味する“DENIED_EXCEED_MAX_VALUE”というコードが、現在Reservedになっている値のいずれか、ここでは8に割り当てられる。AP MLDは、プライマリリンクとセカンダリリンクがno-STRリンクの関係になるSTA MLDの接続数が上限を超えた場合、Status Codeに8が記載されたアソシエーションレスポンスフレームをSTA MLDに送信する。
STA MLDは、アソシエーションリクエストが拒否された理由が分かるので、アソシエーションリクエストフレームを無駄に再送信することを防ぐことができる。
STA MLDによって使うセカンダリリンクが異なることもあるため、STA MLDの接続数の上限は、セカンダリリンク毎に制限してもよい。
(第7の実施形態)
本実施形態では、プライマリリンクとセカンダリリンクがnon-STRリンクの関係にあるSTA MLDは、CSMA/CAで自律分散的にアクセス権を獲得することが抑制されるようになっている。これにより、AP MLDは、そのようなSTA MLDにDL送信を実行しやすくなる。
例えば、802.11ax規格のUL MU時にAP MLDの効率を上げる機構があるが、実施形態ではそれを利用し、STA MLDの自発送信をしにくくする。
その具体例の一つとしては、STA MLDにプライマリリンクにおいて、トリガフレームを受信する迄フレームを送信できにくくさせる。STA MLDがプライマリリンクで送信が抑制されるため、AP MLDは、プライマリリンクの通信状態の判断がしやすくなる。
具体例の他の一つは、管理フレームのFrame Bodyに含まれるMU Enhanced Distributed Channel Access(以下、EDCAと称される)パラメータを調整することがある。図35は、MU EDCAパラメータセットエレメントの一例のフォーマットを示す。
MU EDCAパラメータセットエレメントは、Element ID(1オクテット)、Length(1オクテット)、Element ID Extension(1オクテット)、QoS Info(1オクテット)、MU AC_BE Parameter Record(3オクテット)、MU AC_BK Parameter Record(3オクテット)、MU AC_VI Parameter Record(3オクテット)、及びMU AC_VO Parameter Record(3オクテット)を含む。
MU AC_BE Parameter Record(3オクテット)、MU AC_BK Parameter Record(3オクテット)、MU AC_VI Parameter Record(3オクテット)、及びMU AC_VO Parameter Record(3オクテット)の各々は、ACI/AIFSNFサブフィールド(1オクテット)、ECWmin/ECWmaxサブフィールド(1オクテット)、及びMU EDCA Timerサブフィールド(1オクテット)を含む。
ACI/AIFSNサブフィールドに記録されるAIFSNは、SIFS後に取るスロット数を指定する。このスロット数は、CSMA/CAでランダムバックオフを実施する前の固定時間になる。この固定時間を長くすると、アクセスしづらくなる。そのため、AP MLDがこのAIFSNを長くすることにより、STA MLDはアクセス権を獲得しにくくなる。AIFSNの調整は、自動的に行ってもよいし、ユーザの設定により行ってもよい。
(第8の実施形態)
AP MLDは、プライマリリンクとSTA MLD側でプライマリリンクとnon-STRリンクの関係にあるセカンダリリンクの両方で、第1の実施形態に基づく条件に沿って、そのSTA MLDのSTAにトリガフレームを送信してもよいが、プライマリリンクへのトリガフレームの送信と同時、又は一部重複してトリガフレームを送信する。
図21に基づけば、プライマリリンクはLink1である。プライマリリンクLink1への当該STA MLDを宛先に含むトリガフレーム送信は、当該STA MLDが通信を行っていない際にAP MLDがアクセス権を獲得して送信される。このプライマリリンクLink1で当該STA MLDを宛先に含むトリガフレームを送信している期間と重複して、AP MLDは、当該STA MLDを宛先に含むトリガフレームをセカンダリリンクであるLink2でも送信する。すなわち、AP MLDがプライマリリンクのアクセス権を取った場合、セカンダリリンクが空いていれば、セカンダリリンクも同時に使って、当該STA MLDを宛先に含むトリガフレームを両リンクで送信する。
このトリガフレームの送信に係るアクセス権の獲得方法は、第1の実施形態のDL MU送信と同様である。
UL MU送信であるTrigger-Based PPDUがプライマリリンクとセカンダリリンクで同時に開始するように、トリガフレームの終了時刻がプライマリリンクとセカンダリリンクが同一となるようにする。プライマリリンクのトリガフレーム送信に対してセカンダリリンクでのトリガフレームの送信が遅れる場合にはプライマリリンク側のトリガフレームにパディングビットなど入れてPHYパケット長を調整し、終了時刻が同一になるようにする。加えて、両リンクでのTrigger-Based PPDUが同時に終了するように、両リンクで送信するトリガフレームの中で指示するTrigger-Based PPDU長を同一にする。また両トリガフレーム(あるいはRTSフレームなどでトリガフレームに先行してアクセス権を獲得する場合にはRTSフレーム)のDurationフィールド値は同一にし、TXOPの終了時刻が同一になるようにする。もし、プライマリリンクのTXOPが終了時間が結果的にセカンダリリンクよりも早く終わるような場合にはセカンダリリンクのTXOPもプライマリリンクのTXOPに終了時間に合わせて、又は可能な限り時間差のない範囲で終わらせる。CF-Endを送信してTXOPを終了することができる。
プライマリリンクとセカンダリリンクでトリガフレームを受けて同時に送信され、同時に終了するTrigger-Based PPDUの固定時間(SIFS)後に同期してAP MLDからTrigger-Based PPDUを送信したSTAへプライマリリンクとセカンダリリンクで応答フレームを送信する。このプライマリリンクとセカンダリリンクで送信する応答フレームも時間長は同じである。このようにしてフレーム交換のシーケンスがプライマリリンクとセカンダリリンクで同期して続けられるようにする。そのために、AP MLD内の下位MAC処理部36、38が連携し、Link1側のAP1とLink2側のAP2間で、送信するフレーム自体や送信するフレーム内で指示するタイミングやパケット長、TXOP長に係る連携をする。なおTXOPの最後にこれらの応答フレームを送信する場合には、必ずしもその時間長は同じである必要は無い。これはTXOPが同期して終了しないためにごくずれた期間だけTXOPが早めに終了した無線リンク側で干渉やCSが十分に機能しない事態が発生するものの、その影響は小さいためである。
(第9の実施形態)
本実施形態の目的は第4の実施形態等の目的と同様である。AP MLDは、セカンダリリンクを2種類のセカンダリリンクに分類する。AP MLDは、第1種類のセカンダリリンクは、プライマリリンクと当該セカンダリリンクがnon-STRリンクの関係にあるSTA MLDにしか利用させるようにする。AP MLDは、第2種類のセカンダリリンクは、プライマリリンクと当該セカンダリリンクがSTRリンクの関係にあるSTA MLDしか利用させるようにする。
STA MLDは、利用可能なリンクと、それらの中でnon-STRの関係にあるリンクの組み合わせ、またSTRの関係にあるリンクの組み合わせ(non-STRの関係にあるリンクの組み合わせを通知することでSTRの関係にあるリンクの組み合わせはその他のリンク間となること、あるいは逆にSTRの関係にあるリンクの組み合わせを通知することでnon-STRの関係にあるリンクの組み合わせはその他のリンク間となることが分かるため、いずれか一方でもよい)をアソシエーションリクエストフレームを用いてAP MLDに通知する。AP MLDは、アソシエーションレスポンスフレームを用いてSTA MLDが利用可能なリンクをSTA MLD毎に通知する。例えば、AP MLDがLink1、Link2、Link3をマルチリンク通信に用いており、そのうちのLink2をプライマリリンクとしているとする。あるSTA MLDがLink1、Link2、Link3を利用したいこと、またその上でLink2とLink1、またLink2とLink3がnon-STRリンクの関係にあるとAP MLDにアソシエーションリクエストフレームで通知してきたとする。その場合、AP MLDは当該STA MLDにはアソシエーションレスポンスフレームで、当該STA MLDにLink1の利用を許可しない。言い換えればAP MLDは当該STA MLDのLink1の利用を不可にする。一方、ある別のSTA MLDがLink1、Link2、Link3を利用したいこと、また全ての無線リンクがSTRリンクの関係にあるとAP MLDにアソシエーションリクエストフレームで通知してきたとする。その場合、AP MLDにはアソシエーションレスポンスフレームで、当該STA MLDにLink3の利用を許可しない。言い換えればAP MLDは当該STA MLDのLink3の利用を不可にする。このようにして、あるセカンダリリンクには、プライマリリンクとセカンダリリンクがnon-STRの関係にあるSTA MLDにしか利用させず、他のセカンダリリンクにはプライマリリンクとSTRの関係にあるSTA MLDにしか利用させない。AP MLDが、このようなセカンダリリンクの使用制限をSTA MLDへ通知する手法の一例は、アソシエーションレスポンスフレームのStatus Codeに新たな値を定義することがある。
図36は、第9の実施形態におけるStatus Codeの一例を示す。プライマリリンクとセカンダリリンクがSTRリンクの関係にあるため拒否することを意味する“DENIED_STR_LINK”というコードが、現在Reservedになっている値のいずれか、ここでは、20に割り当てられる。すなわち、“DENIED_STR_LINK”というStatus Codeが通知されるのは、セカンダリリンクとプライマリリンクとの間がnon-STRリンクの関係にあるSTA MLDにしかセカンダリリンクを使わせないルールが決まっている場合に、セカンダリリンクとプライマリリンクとの間がSTRリンクの関係にあるSTA MLDからアソシエーションリクエストフレームが送信された場合である。
さらに、プライマリリンクとセカンダリリンクがnon-STRリンクの関係にあるため拒否することを意味する“DENIED_NON-STR_LINK”というコードが、現在Reservedになっている値のいずれか、ここでは、21に割り当てられる。すなわち、“DENIED_NON-STR_LINK”というStatus Codeが通知されるのは、セカンダリリンクとプライマリリンクとの間がSTRリンクの関係にあるSTA MLDにしかセカンダリリンクを使わせないルールが決まっている場合に、セカンダリリンクとプライマリリンクとの間がnon-STRリンクの関係にあるSTA MLDからアソシエーションリクエストフレームが送信された場合である。
あるいはAP MLDでセカンダリリンクによってこのような制限があることを予めビーコンフレームやプローブレスポンスフレーム等によって通知しておくようにしてもよい。そうすれば、セカンダリリンクの利用ポリシーを知らずに接続要求をして接続を認められないという非効率を避けることができる。
このようにある特定のセカンダリリンクにたけプライマリリンクとnon-STRの関係にあるSTA MLDを集約することで、AP MLDはその特定のセカンダリリンクにアクセスする際にだけnon-STRの関係をケアするためにプライマリリンクの通信状態を確認すればよく、アクセス権を獲得する処理を簡易化することができる。
(第10の実施形態)
上述の実施形態では、AP MLDが独自にプライマリリンクを予め設定した。本実施形態では、AP MLDは、STA MLDからの要求に基づいてプライマリリンクを設定する。、STA MLD毎に要求するプライマリリンクが異なる場合等、AP MLDは、STA MLD毎に異なるプライマリリンクを設定することもできる。
上述したように、AP MLDは、マルチリンク通信で利用できる無線リンクをビーコンフレームのReduced Neighbor Reportエレメントを用いてSTA MLDに或る無線リンクで通知する。STA MLDは、接続要求する他の無線リンクと、希望するプライマリリンクをアソシエーションリクエストフレームのMLエレメントを用いて或る無線リンクでAP MLDに通知する。
AP MLDは、利用するリンクとプライマリリンクを決定し、決定した結果をアソシエーションレスポンスフレームを用いてSTA MLDに通知する。AP MLDは、プライマリリンクの決定時に、制約条件を満たさないSTA MLDの無線リンクの接続要求を拒否することができる。AP MLDは、接続要求を拒否した理由を、アソシエーションレスポンスフレームのStatus Codeに新たな値を定義してSTA MLDに通知する。
図37は、第10の実施形態におけるStatus Codeの一例を示す。制約条件を満たさないために拒否することを意味する“DENIED_NOT_RESTRICTION_CONDITION”というコードが、現在Reservedになっている値のいずれか、ここでは9にが割り当てられる。
AP MLDは、STA MLDの要求に従って異なるプライマリリンクを設定すると、プライマリリンクの数が増え過ぎてしまうことがある。このプライマリリンクの数の増加を抑制するため、AP MLDは、non-STR MLD用のプライマリリンクの数を出来るだけ少なく、例えば1~2個とするよう、プライマリリンクを決定するようにし、場合によってはSTA MLDの接続要求を拒否するようにしてもよい。
第10の実施形態によれば、AP MLD側の処理の負荷が増えるが、自分の要求に応じたマルチリンク通信が実行されうるので、STA MLD側のメリットは大きい。
(第11の実施形態)
本実施形態は、AP MLDがマルチリンク通信で用いる複数の無線リンクの一部の無線リンクの周波数を変更する場合に対応する。
802.11規格に準拠する無線LANでは、BSSで利用するチャネルを他のチャネルに変更するチャネルスイッチ(channel switch)機構が規定されている。例えば、Dynamic Frequency Selection(以下、DFSと称される)動作において、現在利用しているチャネルでレーダ波が検出されると、現在利用している通信チャネルを他のチャネルに移行しなければならない、というのが典型的な例である。
それ以外にも、AP MLDが何らかのアルゴリズムに基づいて周波数チャネルを変更することがある。例えば、他のBSS等から何らかの干渉があり、アクセス権が取りづらい、又は取れてもQoSを満足できない、等の場合、AP MLDは、周波数チャネルを変更することがある。
従来のチャネルスイッチでは、ある周波数で収容(接続)していたSTA MLD、すなわち、接続関係を結んでいたSTA MLDは、そのまま移行先のチャネルでも、再度のアソシエーションプロセスを経ず、収容することができる。しかし、マルチリンクで利用している無線リンクの周波数を変更する場合には、STA MLDによってその無線リンクとプライマリリンクの間の関係がSTRリンクの関係からnon-STRリンクの関係、又はその逆に変わる可能性がある。
そのため、AP MLDがマルチリンクで利用しているある無線リンクの周波数を変更する場合には、STA MLDは、移行先の無線リンクとプライマリリンクがnon-STR/STRリンクの関係になることをAP MLDに通知する必要がある。
例えば、AP MLDは、無線リンクを変更した後、STA MLDからその変更後の無線リンクとプライマリリンクがnon-STR/STRリンクの関係になることを識別可能な情報をSTA MLDから収集する必要がある。そのため、AP MLDは、その情報の送信を要求する新規なタイプのトリガフレームを作成する。トリガフレームのCommon Infoフィールドは、Trigger Typeサブフィールドを含む。
図38は、Trigger Typeサブフィールドの値とトリガフレームのタイプの関係の一例を示す。例えば、Trigger Typeサブフィールドの値は0~15である。例えば、値0は、基本的なタイプ(Basic)を示す。値1は、ビームフォーミングレポートを要求するタイプ(Beamforming Report Poll(BRP))を示す。以下、同様に、値7までが現在のトリガフレームのタイプをそれぞれ示す。値8~15は、現在使用されていないReserved値である。
non-STR/STRリンクの関係を識別可能な情報の送信を要求する新規なトリガフレームのタイプが、このReserved値の何れに割り当てられる。例えば、値8が、リンク情報を要求するタイプ(Link Info Report Poll(LIRP))を示すように定義される。
この新規なタイプのトリガフレームを或る無線リンクでAP MLDから受信した複数(単一の場合も含む)のSTA MLDは、移行先の無線リンクとプライマリリンクがnon-STR/STRリンクの関係になることを識別可能な情報を含むフレームを作成して、AP MLDにUL MU送信する。これにより、AP MLDは、変更後の無線リンクとプライマリリンクがnon-STR/STRリンクの関係になることを識別可能な情報をSTA MLDから効率よく収集することができる。
STA MLDは、移行先の無線リンクの情報(チャネル情報とチャネル幅等)をTrigger Dependent Common Infoサブフレームに入れてUL MU送信してもよい。
STA MLDは、移行先の無線リンクの情報をAP MLDから予め取得すると、移行先の無線リンクとプライマリリンクとのnon-STR/STRリンクの関係をAP MLDに通知することができる。これを実現するためには、AP MLDは、チャネルスイッチでの動作と同様に、予め何回か無線リンクの変更を示す変更情報を予めSTA MLDに通知し、STA MLDに再通知のための時間的な余裕を与えてもよい。具体的には、何回かのビーコンインタバルの前からビーコンフレームで変更情報を通知してもよい。また、AP MLDは、何時以降無線リンクを変更するかをSTA MLDに通知して、STA MLDに変更後の新しい無線リンクに移行するための時間的を余裕を与えてもよい。具体的には、何周期後のビーコンインターバルから無線リンクの周波数が変わるかをSTA MLDに通知してもよい。
AP MLDがマルチリンク通信に対応する無線リンクを新規に追加する場合があるが、この場合も、同様である。STA MLDは、新規に追加された無線リンクとプライマリリンクがnon-STR/STRリンクの関係になることをAP MLDに通知する必要があるので、新規に追加される無線リンクが何時利用可能となるかを把握する必要がある。
AP MLDがプライマリリンク自身を変更する場合にも、他の無線リンクとの関係が変わることがあるので、STA MLDは、AP MLDが変更したプライマリリンクと他の無線リンクとのnon-STR/STRリンクの関係をAP MLDに通知する必要がある。
第11の実施形態によれば、AP MLDがマルチリンク通信で用いる複数の無線リンクの一部の無線リンクの周波数を変更した場合でも、マルチリンク通信を引き続き実行することができる。
(第12の実施形態)
本実施形態は、STA MLDがマルチリンク通信で用いる無線リンクを変更する場合に対応する。STA MLDがAP MLDとアソシエーションした後、使っている無線リンクを変更したいことがある。無線リンクの変更後、STA MLDがAP MLDと再度アソシエーションすることは不要である。
STA MLDによる無線リンクの切り替えの一例は、STA MLDがプライマリリンクとSTRリンクの関係にある無線リンクをプライマリリンクとnon-STRリンクの関係になる無線リンクに変更することである。STA MLDは、プライマリリンクとSTRリンクの関係にある無線リンクを、例えば他システムからの干渉などによって使えない場合がある。この場合、STA MLDは、プライマリリンクとSTRリンクの関係にある無線リンクをプライマリリンクとnon-STRリンクの関係になる無線リンクに敢えて変更する場合がある。
例えば、2.4GHz帯であれば、同じ無線LANの他のBSSからの干渉の他に、ブルートゥース電波や電子レンジからの電磁波等の干渉がある。このような場合、STA MLDは、例えばプライマリリンクが5GHz帯にあり、他のセカンダリリンク候補としてプライマリリンクとnon-STRの関係になる無線リンクがもう一つ5GHz帯で利用可能である場合にこのセカンダリリンク候補に変更する状況である。そこで、STA MLDはAP MLDに移行先の無線リンクがプライマリリンクとnon-STRリンクの関係にあることを通知する必要がある。
STA MLDによる無線リンクの変更の他の例は、STA MLDがプライマリリンクとnon-STRリンクの関係にあるセカンダリリンクを他の無線リンクに変更することである。この場合、プライマリリンクとセカンダリリンクはnon-STRリンクの関係のままの可能性もあるし、STRリンクの関係に変化する可能性がある。
いずれにしても、STA MLDは、無線リンクを変更した場合、新たな無線リンクとプライマリリンクがnon-STR/STRリンクの関係になることをAP MLDに通知する必要がある。しかし、変更されていない他の無線リンクとプライマリリンクとの関係は変わらないため、STA MLDは、変更されていない無線リンクに関する情報は再通知する必要はない。STA MLDは、新たな無線リンクを起点にした他の無線リンクとの関係は、non-STRリンクの関係になるのであれば、AP MLDに通知するようにしてもよい。
STA MLDによる無線リンクの変更の他の例は、STA MLDがもともとプライマリリンクであった無線リンクを他の無線リンクに変更する場合もある。この場合でAP MLDがプライマリリンクを設定している場合は、STA MLDはそのプライマリリンクを利用しないのであるから、他の全ての無線リンクとの関係がSTRリンクの関係になる無線リンクを選択しなければならない。それが担保されることを条件に、STA MLDは、AP MLDへの変更通知でnon-STR/STRリンクの関係の情報を省略してもよい。
AP MLDとSTA MLDの間でプライマリリンクをネゴシエーションにより決定する場合は、その制約条件は不要なので、STA MLDは、再度利用する無線リンク間の関係をAP MLDに再通知する。プライマリリンクは、AP MLDとSTA MLDの間の再度のネゴシエーションにより決定される。
STA MLDが新規に対応する無線リンクを追加する場合もある。例えば、すでにAP MLDが使用可能として挙げていた無線リンクであり、アソシエーションプロセスではSTA MLDから使用すると通知しなかった無線リンクを、その後追加することがある。このような場合も、STA MLDは、新規追加する無線リンクと他の無線リンク(特にプライマリリンクとの)がnon-STR/STRリンクの関係になることをAP MLDに通知する。
上記したいずれの場合も、STA MLDは、無線リンクが変わる時期、又は追加される時期をAP MLDとの間で共通に認識してもよい。non-STRリンクの関係をAP MLDが把握する必要がある場合には、AP MLDはその時期も把握しておく必要がある。また、これらの変更又は新規追加に係る情報を通知するフレームとしては、新たに定義するLink Change Indicatonアクションフレームを用いることができる。このアクションフレームは、図11、図13~図16に示したようなMLエレメントにより情報を通知するようにしてもよい。
なお、元の無線リンクと変更後の無線リンクで、プライマリリンクに対してnon-STRリンクの関係が変わらない場合は、STA MLDからAP MLDへのそのリンクについてのnon-STR/STRリンクの関係の通知を省略してもよい。
仮に、AP MLD配下で全ての候補となり得る無線リンクのnon-STR/STRリンクの関係をSTA MLDがAP MLDに過去に通知していたとしても、STA MLDからAP MLDへ全ての候補となり得る無線リンクのnon-STR/STRリンクの関係の再通知をした方がよい場合もある。これは、STA MLDが実際に用いない(例えば、利用するトラヒックID(Traffic ID;以下、TIDと称される)の割当を行わない無線リンクがある)場合、AP MLDは可能な限り管理する情報量を削減したい等により当面不要な情報を保持しない可能性があるからである。
第12の実施形態によれば、STA MLDがマルチリンク通信で用いる複数の無線リンクの一部の無線リンクの周波数を変更した場合でも、マルチリンク通信を引き続き実行することができる。
(第13の実施形態)
AP下で構成されるBSS(インフラストラクチャーBSS)内で、同一のAPとアソシエーションされている第1のSTAと第2のSTAがAPを介さず直接通信を行うダイレクトリンク通信がある。
図21でAP MLDがプライマリリンクでの通信の可否を判断する時、AP MLDの介在が前提であれば、AP MLDがプライマリリンクで送信している相手、又は受信している端末の相手を確認すると、その相手端末がnon-STRの端末であるか否かを確認出来たが、ダイレクトリンク通信ではAP MLD、厳密にはAP MLD内の該当する無線リンクに対応するAPがフレーム交換に介在しない。そこで、AP MLDは自分が送信しているフレーム、又は受信しているフレーム以外のフレームについても観測しなければならない。すなわちAP MLDは自分が送信しているフレーム、または受信しているフレーム以外のフレームについてもRA、TAを確認してnon-STRの端末であるかを確認しなくてはならない。
対処方法の一例としては、ダイレクトリンク通信を行う場合には、マルチリンク通信の利用を禁止することである。例えば、規格としてこれを禁止する。禁止の方法としては、或るAP MLDの下ではマルチリンク通信している時はSTA MLDはダイレクトリンク通信を実行しないというように、STA MLDが自主的に制限することや、AP MLDがビーコンフレームを用いてダイレクトリンク通信を禁止することがある。禁止を通知する情報エレメント(例えば、EHT Operationエレメントと称される)が新たに定義されてもよい。現状の無線LANの規格で、HT Operationエレメント、VHT Operationエレメント、HE Operationエレメント等が定義されている。これらのOperationエレメントは、APがBSSの動作関連を通知するのに用いられる。新規のEHT Operationエレメントも同様に、APがBSSの動作関連を通知するのに用いられる。なお、EHT Capabilityエレメントは、端末(APもSTAも含む)が端末の能力を通知するためのものであり、EHT Operationエレメントとは異なる。
このようにすれば、STA MLDがプライマリリンクとnon-STRリンク関係にある無線リンクで通信をしているか否かをAP MLDが判断することを簡易化することができる。すなわち、AP MLDは、自装置とプライマリリンクで通信している相手端末(AP MLD宛てフレームのTA、又はAP MLDから送信するフレームのRA)さえ確認すればよい。
一方で、ダイレクトリンク通信でもマルチリンク通信を利用できるようにしてもよい。この場合、STA MLDは、送信先STA MLDに対してAP MLDと同様な確認を行う。すなわち、STA MLD間でマルチリンク通信を行う場合、STA MLDは、マルチリンク通信の対象となる複数の無線リンクがnon-STR/STRリンクの関係にあることを把握する。
AP MLDがダイレクトリンク通信の設定に直接関与しない、TDLSの場合には、ダイレクトリンク通信を行う2つのSTA MLDのうちの第1のSTA MLDのSTAが設定立ち上げのためのTDLSセットアップリクエスト(TDLS Setup Request)フレームを送信する際に、例えば使用する複数の無線リンクに関する情報を、TDLSセットアップリクエストフレームに入れて、AP MLDを介して、ダイレクトリンク通信を行う2つのSTA MLDのうちの第2のSTA MLDのSTAに送信する。AP MLDを経由してTDLSセットアップリクエストフレームを受信した第2のSTA MLDのSTAは、TDLSセットアップレスポンス(TDLS Setup Response)フレームを、AP MLDを介して、第1のSTA MLDのSTAに送信する。第2のSTA MLDのSTAは、ダイレクトリンク通信の接続要求を受け付ける場合には、例えば複数の無線リンクがnon-STR/STRリンクの関係にあることを識別可能な情報をTDLSセットアップレスポンスフレームに入れて、AP MLDを介して、第1のSTA MLDのSTAへ通知する。なお、ダイレクトリンク通信でかつマルチリンク通信を行う場合には、プライマリリンクはAP MLDの設定を踏襲する。プライマリリンクをAP MLDに従うのは、AP MLDがプライマリリンクを観測することで所望のSTA MLDの送信可否を判断できるように担保するためである。また基本的にはAP MLDの使用する無線リンクの部分集合を選択するのがよい。またTDLSセットアップリクエストフレームを送信する第1のSTA MLDは全ての選択した無線リンク間でSTRの関係にあり、第1の実施形態等でのAP MLDのようにふるまえるべきである。プライマリリンクとnon-STRの関係にある無線リンクがあるのであれば、第1のSTA MLDもTDLSセットアップリクエストフレーム内でnon-STR/STRリンクに係る情報を入れる必要がある。あるいはダイレクトリンクの両STA MLDでプライマリリンクで必ずアクセス権を獲得し、他のセカンダリリンクはそれと同期して送信できる場合の利用に限るとすれば、両STA MLDでプライマリリンクに対し他の全てのセカンダリリンクはnon-STRの関係である前提に、互いにnon-STR/STRリンクの関係を通知し合わずに済む。これらの通知の具体例は、例えば、第1の実施形態での通知方法に倣うことができる。すなわち、TDLSセットアップリクエストフレームにビーコンフレームと同様な情報エレメントを入れて、TDLSセットアップレスポンスフレームにアソシエーションリクエストフレームと同様な情報エレメントを入れて、通知してもよい。
レガシーAP MLDは、データフレームは理解できるが、TDLSセットアップリクエストフレームやTDLSセットアップレスポンスフレーム等の管理フレームを理解できない。そのため、レガシーAP MLDがダイレクトリンク通信の設定に関与しないで済むようにするために、TDLSセットアップリクエストフレームやTDLSセットアップレスポンスフレーム等の管理フレームはデータフレームにカプセル化されて送信される。カプセル化とは、データフレームのFrame Body中に管理フレーム全体を入れてデータフレームとすることである。
第1のSTA MLDと第2のSTAの間でダイレクトリンク通信を行う場合、ダイレクトリンク通信の設定前は、STA MLD同士でフレーム送信できない。そのため、第1のSTA MLDは、管理フレームをカプセル化してレガシーAP MLDに送る。管理フレームには送信元としては第1のSTA MLDのアドレスがセットされ、宛先としては第2のSTA MLDのアドレスがセットされる。
レガシーAP MLDは、受信したデータフレームのFrame Bodyから管理フレームを取り出し、管理フレームをデータフレームにカプセル化して、管理フレームの宛先である第2のSTA MLDにデータフレームを送信する。
第2のSTA MLDは受信したデータフレームのFrame Bodyから管理フレームを取り出す。管理フレームには、送信元として第1のSTA MLDのアドレスがセットされているので、第2のSTA MLDは、第1のSTA MLDとダイレクトリンク通信の設定をする。
第1の実施形態では、AP MLDは使用可能な無線リンクの情報をSTA MLDに通知し、STA MLDはそのうちの使用する無線リンクをAP MLDに通知した。本実施形態では、ダイレクトリンク通信を行う2つのSTA MLDの中の第1のSTA MLDからTDLSセットアップリクエストフレームを用いてダイレクトリンク通信で使用する無線リンクを第2のSTA MLDに通知し、第2のSTA MLDからTDLSセットアップレスポンスフレームを用いてnon-STR/STRリンクの関係を第1のSTA MLDに通知してもよい。なお、第2のSTA MLDからnon-STR/STRリンクの関係を第1のSTA MLDに通知しなくてもよい場合がある。さらに、第1のSTA MLDからnon-STR/STRリンクの関係を第2のSTA MLDに通知する場合もある。
AP MLDは、ビーコンフレームを用いて使用可能な無線リンクを各STA MLDに通知している。そのため、各STA MLDは各無線リンクの詳細情報をAP MLDからの通知で把握しているので、それを重複してダイレクトリンク通信を行う相手先に送信する必要はない。ダイレクトリンク通信を行うSTA MLD間で、各無線リンクの情報については、リンク識別子を用いて相互に情報交換すればよい。
AP MLDが使用していない無線リンク(off-channel)を用いてダイレクトリンク通信を行う場合には、AP MLDが通知したように、ダイレクトリンク通信を行うSTA MLD間で、ダイレクトリンク通信に用いる無線リンクの周波数位置などが分かるような情報を通知する必要がある。
TDLSではなく、AP MLDがダイレクトリンク通信の設定に関与する場合には、AP MLDは、ダイレクトリンク通信を設定する2つのSTA MLDのnon-STR/STRリンクの関係を含む能力(capability)を把握している。そのため、各STA MLDがダイレクトリンク通信のための設定情報を送信する際に、non-STR/STRリンクの関係にある無線リンクの情報を管理フレームに入れなくても、APMLDがこの情報を補完してダイレクトリンク通信を設定する2つのSTA MLD双方に通知することもできる。
AP MLDは、プライマリリンク上で送信されている(AP MLDが送信しているか否かに関わらない)フレームのTA、又はRAさえ確認すれば、BSS内でダイレクトリンク通信の通信が混在する場合にも、所望のSTA MLDがプライマリリンクで通信をしているか否かを把握することができる。
第13の実施形態によれば、マルチリンク通信中にダイレクトリンク通信を実行する子もできる。
(第14の実施形態)
上述の実施形態では、AP MLDが、単独で、プライマリリンクを設定していた、又はAP MLDが、AP MLDとSTA MLDとの間のネゴシエーションにより、プライマリリンクを設定していた。この実施形態では、STA MLDは、マルチリンク通信で使用する複数の無線リンクのうちの一つのアクセス権を獲得する、すなわちTXOPを取得し、データ交換を開始すると、アクセス権が獲得された無線リンクをプライマリリンクと設定する。AP MLDは、STA MLDが決定したプライマリリンクを容認した動作を行う。
例えば、Link1とLink2を用いてマルチリンク通信をしている場合に、STA MLDは、Link1で一番早くアクセス権を獲得したら、Link1をプライマリリンクに設定し、Link1でのみフレームを送信する。STA MLDは、Link1に追随してLink2でもアクセス権を獲得したら、Link2でもフレームを送信する。
AP MLDは当該STA MLDにフレームを送信する場合には、そのSTA MLDでnon-STRリンクの関係にある全ての無線リンクでSTA MLDが通信していないか否かを判断し、通信していなければ、一つの無線リンク、又は複数の無線リンクでフレームを送信する。
これを実現するためには、STA MLDは、使用する無線リンク同士のnon-STR/STRリンクの関係をAP MLDに予め通知しておく必要がある。AP MLDはSTA MLD毎にその関係を把握しておく。
このようにすることで、AP MLDでの確認負荷は増えるが、一方でnon-STRリンクの関係になる無線リンクをAP MLDとの間で持つSTA MLDでは送信機会を増やすことができる。ここではこのようなSTA MLDをnon-STR STA MLDとする。ただし、AP MLDがnon-STR STA MLDでのnon-STRリンクの関係になる無線リンクの数を制限すれば、AP MLDで確認すべき無線リンクの対象数を減らすことができる。STRリンクの関係にある無線リンク同士ではこの限りではない。
第14の実施形態では、non-STR STA MLDがnon-STRリンクの関係になるいずれかの無線リンクで最初にアクセス権を取ると、AP MLDはそれをプライマリリンクとする。AP MLDは、少なくともnon-STR STA MLDがnon-STRリンクの関係になると通知した全ての無線リンクでの通信状態を観察し、当該のnon-STR STA MLDのプライマリリンクを逐次把握するようにし、当該プライマリリンクとnon-STRの関係になる他の無線リンクではそのnon-STR STA MLD宛ての送信を止める。第14の実施形態では、第1の実施形態のビーコンフレームなどによるプライマリリンクの通知は不要である。
第14の実施形態によれば、AP MLDでの確認負荷は増えるが、AP MLDとの間でnon-STRリンクの関係になる無線リンクを持つSTA MLDの送信機会が増える。
(第15の実施形態)
上述の実施形態の説明では、アンテナに関する説明を行っていない。第15の実施形態として、アンテナの実装方法を説明する。この実装方法は、上述した全ての実施形態に適用可能である。
図39は、AP MLD22(又はSTA MLD24A、STA MLD24B)が第1の送信アンテナ114、第1の受信アンテナ118、第2の送信アンテナ124、及び第2の受信アンテナ128を使用する第1の実装例を示す。
第15の実施形態では、AP MLD22(又はSTA MLD24A、STA MLD24B)は、図2の構成に対して、第1のアナログ処理部(ANA1)33と第2のアナログ処理部(ANA2)35が付加されている。
第1の送信アンテナ114がAP MLD22の第1の送信アンテナコネクタ112に接続される。第1の受信アンテナ118がAP MLD22の第1の受信アンテナコネクタ116に接続される。第2の送信アンテナ124がAP MLD22の第2の送信アンテナコネクタ122に接続される。第2の受信アンテナ128がAP MLD22の第2の受信アンテナコネクタ126に接続される。
第1のアナログ処理部(ANA1)33が第1の物理処理部32に接続される。第2のアナログ処理部(ANA2)35が第2の物理処理部34に接続される。アナログ処理部33、35の各々は、送信系処理部と受信系処理部を備える。
アナログ処理部33、35の送信系処理部は、物理処理部32、34から出力されるデジタル信号であるPHYパケットを無線リンクに応じた周波数のアナログ信号に変換する。第1のアナログ処理部33の送信系処理部から出力されるアナログ信号は、第1の送信アンテナコネクタ112を介して第1の送信アンテナ114に供給され、アンテナ114から送信される。第2のアナログ処理部33の送信系処理部から出力されるアナログ信号は、第2の送信アンテナコネクタ122を介して第2の送信アンテナ124に供給され、アンテナ124から送信される。
第1の受信アンテナ118により受信したアナログ信号は、第1の受信アンテナコネクタ116を介して第1のアナログ処理部33の受信系処理部に入力される。第2の受信アンテナ128により受信したアナログ信号は、第2の受信アンテナコネクタ126を介して第2のアナログ処理部33の受信系処理部に入力される。アナログ処理部33、35の受信系処理部は、受信アンテナ118、128により受信したアナログ信号を物理処理部32、34で処理できるようにデジタル信号に変換する。
このように、第1の実装例では、第1の送信アンテナ114は、Link1の送信に利用され、第1の受信アンテナ118は、Link1の受信に利用され、第2の送信アンテナ124は、Link2の送信に利用され、第2の受信アンテナ128は、Link2の受信に利用される。
図40は、AP MLD22(又はSTA MLD24A、STA MLD24B)が第1の送受信アンテナ102と第2の送受信アンテナ104を使用する第2の実装例を示す。
第1の送受信アンテナ102は、AP MLD22の第1の送受信アンテナコネクタ98に接続される。第2の送受信アンテナ104は、AP MLD22の第2の送受信アンテナコネクタ100に接続される。
第1のアナログ処理部33の送信系処理部から出力されるアナログ信号は、セレクタ94と第1の送受信アンテナコネクタ98を介して第1の送受信アンテナ102に供給され、アンテナ102から送信される。第2のアナログ処理部35の送信系処理部から出力されるアナログ信号は、セレクタ96と第2の送受信アンテナコネクタ100を介して第2のアンテナ104に供給され、アンテナ104から送信される。
第1の送受信アンテナ102により受信したアナログ信号は、第1の送受信アンテナコネクタ98とセレクタ94を介して第1のアナログ処理部33の受信系処理部に入力される。第2の送受信アンテナ104により受信したアナログ信号は、第2の送受信アンテナコネクタ100とセレクタ96を介して第2のアナログ処理部35の受信系処理部に入力される。
セレクタ94、96は、アナログ処理部33、35に夫々含まれるコントローラにより切り替えられる。セレクタ94は、Link1の送信とLink1の受信を切り替えるように切り替えられる。セレクタ96は、Link2の送信とLink2の受信を切り替えるように切り替えられる。
このように、第2の実装例では、第1の送受信アンテナ102がLink1の送信と受信に利用され、第2の送受信アンテナ104がLink2の送信と受信に利用される。
図41は、AP MLD22(又はSTA MLD24A、STA MLD24B)が1つの送信アンテナ90と1つの受信アンテナ92を使用する第3の実装例を示す。
送信アンテナ90は、AP MLD22の送信アンテナコネクタ86に接続される。受信アンテナ92は、AP MLD22の受信アンテナコネクタ88に接続される。
第1のアナログ処理部33の送信系処理部から出力されるアナログ信号、及び第2のアナログ処理部35の送信系処理部から出力されるアナログ信号は、多重化(MUX)回路82に供給される。多重化回路82は、2つのアナログ信号を単一のアナログ信号に多重化する。多重化回路82の出力アナログ信号は、送信アンテナコネクタ86を介して送信アンテナ90に供給され、アンテナ90から送信される。
受信アンテナ92により受信したアナログ信号は、受信アンテナコネクタ88を介して分離(DEMUX)回路84に入力される。分離回路84は、受信信号をリンク周波数別に分離し、Link1の受信信号を第1のアナログ処理部33の受信系処理部に供給し、Link2の受信信号を第2のアナログ処理部35の受信系処理部に供給する。
このように、第3の実装例では、単一の送信アンテナ90がLink1の送信とLink2の送信に共通に利用され、単一の受信アンテナ92がLink1の受信とLink2の受信に共通に利用される。
図42は、AP MLD22(又はSTA MLD24A、STA MLD24B)が単一の送受信アンテナ80を使用する第4の実装例を示す。送受信アンテナ80は、AP MLD22の送受信アンテナコネクタ78に接続される。
第4の実装例は、第3の実装例に対して、セレクタ76が追加されている。
多重化回路82の出力が、セレクタ76と送受信アンテナコネクタ78を介して送受信アンテナ80に供給され、アンテナ80から送信される。
送受信アンテナ80により受信したアナログ信号は、送受信アンテナコネクタ78とセレクタ76を介して分離(DEMUX)回路84に入力される。
セレクタ76は、アナログ処理部33、35に夫々含まれるコントローラにより切り替えられる。セレクタ76は、Link1とLink2の送信とLink1とLink2の受信を切り替えるように切り替えられる。
このように、第4の実装例では、単一の送信アンテナ90がLink1とLink2の送受信に共通に利用される。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を生成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
22…AP MLD、24A,24B…STA MLD、32,34…物理処理部、36,38…下位MAC処理部、40…上位MAC処理部、44…管理エンティティ

Claims (14)

  1. 第1の周波数で、他の無線通信装置から、前記他の無線通信装置が第2の周波数で動作可能であることを識別可能な第1の情報、及び前記他の無線通信装置が前記第2の周波数と前記第1の周波数間で送信及び受信に制約があることを識別可能な第2の情報を受信し、
    前記第1の周波数又は前記第2の周波数のいずれか一つを一次周波数と設定したことを前記他の無線通信装置に通知し、
    前記第1の周波数と前記第2の周波数で前記他の無線通信装置と接続し、
    前記第2の情報を受信した場合、前記一次周波数を介した通信の送信先アドレスまたは送信元アドレスが前記他の無線通信装置のアドレスを含むか否かに基づいて、前記第1の周波数又は前記第2の周波数の中の前記一次周波数以外の二次周波数での前記他の無線通信装置宛てフレームのアクセス権を獲得する、
    無線通信装置。
  2. 前記第2の情報は、前記第2の周波数で送信を実行している時に前記第1の周波数で受信を実行できないこと、又は前記第1の周波数で送信を実行している時に前記第2の周波数で受信を実行できないことを識別可能である、請求項1記載の無線通信装置。
  3. 前記一次周波数を介した通信の送信先アドレスまたは送信元アドレスが前記他の無線通信装置のアドレスを含む場合、前記二次周波数での前記他の無線通信装置宛てフレームの送信を延期する、請求項1記載の無線通信装置。
  4. 第1の周波数で、第2の周波数で動作可能であることを識別可能な第3の情報、及び前記第1の周波数と第2の周波数間で送信及び受信に制約があることを識別可能な第4の情報を他の無線通信装置に送信し、
    前記他の無線通信装置から、前記第1の周波数又は前記第2の周波数のいずれか一つを一次周波数と設定したことの通知を受信し、
    前記第1の周波数と前記第2の周波数で前記他の無線通信装置と接続し、
    前記第1の周波数と前記第2の周波数間で送信及び受信に制約がある場合、前記一次周波数での前記他の無線通信装置へのアクセス権の獲得後、前記第1の周波数又は前記第2の周波数の中の前記一次周波数以外の二次周波数での前記他の無線通信装置へのアクセス権の獲得する、無線通信装置。
  5. 前記一次周波数を介した通信の送信先アドレスまたは送信元アドレスが前記他の無線通信装置のアドレスを含む場合、前記二次周波数での前記他の無線通信装置宛てフレームの送信を延期する、請求項4記載の無線通信装置。
  6. 前記一次周波数でアクセス権が獲得されたフレームの送信が延期される場合、前記二次周波数でアクセス権が獲得されたフレームの送信を延期する、請求項5記載の無線通信装置。
  7. 前記第1の情報は、前記他の無線通信装置が前記第2の周波数とともに第3の周波数で動作可能であることも識別可能であり、
    前記無線通信装置は、前記第1の周波数、第2の周波数、又は前記第3の周波数のいずれか一つを前記一次周波数と設定したことを前記他の無線通信装置に通知し、
    前記第1の周波数、第2の周波数、又は前記第3の周波数の中の前記一次周波数以外の2つの周波数が前記二次周波数である、請求項1記載の無線通信装置。
  8. 前記第3の情報は、前記第2の周波数とともに第3の周波数で動作可能であることも識別可能であり、
    前記無線通信装置は、前記他の無線通信装置から、前記第1の周波数、第2の周波数、又は前記第3の周波数のいずれか一つを前記一次周波数と設定したことの前記通知を受信し、
    前記第1の周波数、第2の周波数、又は前記第3の周波数の中の前記一次周波数以外の2つの周波数が前記二次周波数である、請求項4記載の無線通信装置。
  9. 前記第1の周波数の信号を送信するための第1のアンテナが接続される第1のコネクタと、
    前記第1の周波数の信号を受信するための第2のアンテナが接続される第2のコネクタと、
    前記第2の周波数の信号を送信するための第3のアンテナが接続される第3のコネクタと、
    前記第2の周波数の信号を受信するための第4のアンテナが接続される第4のコネクタと、
    をさらに具備する、請求項1又は請求項4記載の無線通信装置。
  10. 前記第1の周波数の信号を送信するとももに、前記第1の周波数の信号を受信するための第1のアンテナが接続される第1のコネクタと、
    前記第2の周波数の信号を送信するとももに、前記第2の周波数の信号を受信するための第2のアンテナが接続される第2のコネクタと、
    をさらに具備する、請求項1又は請求項4記載の無線通信装置。
  11. 前記第1の周波数の信号と前記第2の周波数の信号を送信するための第1のアンテナが接続される第1のコネクタと、
    前記第1の周波数の信号と前記第2の周波数の信号を受信するための第2のアンテナが接続される第2のコネクタと、
    をさらに具備する、請求項1又は請求項4記載の無線通信装置。
  12. 前記第1の周波数の信号と前記第2の周波数の信号を送信するとともに、前記第1の周波数の信号と前記第2の周波数の信号を受信するためのアンテナが接続されるコネクタをさらに具備する、請求項1又は請求項4記載の無線通信装置。
  13. 第2の無線通信装置と接続する第1の無線通信装置の無線通信方法であって、
    第1の周波数で、前記第2の無線通信装置から、前記第2の無線通信装置が第2の周波数で動作可能であることを識別可能な第1の情報、及び前記第2の無線通信装置が前記第2の周波数と第1の周波数間で送信及び受信に制約があることを識別可能な第2の情報を受信し、
    前記第1の周波数又は前記第2の周波数のいずれか一つを一次周波数と設定したことを前記第2の無線通信装置に通知し、
    前記第1の周波数と前記第2の周波数で前記第2の無線通信装置と接続し、
    前記第2の情報を受信した場合、前記一次周波数を介した通信の送信先アドレスまたは送信元アドレスが前記第2の無線通信装置のアドレスを含むか否かに基づいて、前記第1の周波数又は前記第2の周波数の中の前記一次周波数以外の二次周波数での前記第2の無線通信装置宛てフレームのアクセス権を獲得する、
    無線通信方法。
  14. 第2の無線通信装置と接続する第1の無線通信装置の無線通信方法であって、
    第1の周波数で、第2の周波数で動作可能であることを識別可能な第3の情報、及び前記第1の周波数と第1の周波数間で送信及び受信に制約があることを識別可能な第4の情報を前記第2の無線通信装置に送信し、
    前記第2の無線通信装置から、前記第1の周波数又は前記第2の周波数のいずれか一つを一次周波数と設定したことの通知を受信し、
    前記第1の周波数と前記第2の周波数で前記第2の無線通信装置と接続し、
    前記第1の周波数と前記第1の周波数間で送信及び受信に制約がある場合、前記一次周波数での前記第2の無線通信装置へのアクセス権の獲得後、前記第1の周波数又は前記第2の周波数の中の前記一次周波数以外の二次周波数での前記第2の無線通信装置へのアクセス権の獲得する、無線通信方法。
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