JP2022057568A - ボールペンチップ - Google Patents

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Abstract

Figure 2022057568000001
【課題】筆記ボールの移動領域におけるボールホルダーの内壁面の放射状の溝の形成位置と周方向に同位置に突起が形成されていることにより、インキの流れが阻害され、筆記ボールの表面にインキが不均一に乗った状態が形成されてしまい、インキが紙面に均一に転写されず、筆跡に濃淡が生じ、所謂、中抜けを生じてしまっていた。
【解決手段】筆記ボール1の移動領域におけるボールホルダー2の内壁面に、横ガタ制御突起15を放射状の溝11の形成位置と周方向に異なる位置に形成配置すると共に、横ガタ制御突起15の頂に、凹状のボール接触面15aを形成したボールペンチップ。
【選択図】図3

Description

本発明は、筆記部材としての筆記ボールと、この筆記ボールを先端開口部から突出させつつ回転自在に抱持するボールホルダーとから少なくともなり、ボールホルダーの貫通孔内に設けた複数の内方突出部を筆記ボールの後方移動を規制するボール受け座とすると共に、隣り合った内方突出部の間に中心孔と連通する放射状の溝を形成してインキ通路としたボールペンチップに関するものである。
従来、ボールペンでは、筆記時にインキの吐出量を確保するため、ボールホルダー内の径方向に筆記ボールが移動可能な距離(横ガタ)をとる必要があり、筆記する際にはボールペンを斜めに傾けながら紙面などの被筆記面にボールを押しつけた状態となるので、ボールホルダーの先端開口部の部分で筆記ボールが偏り、先端開口部の内縁と筆記ボールとの隙間が周全域で均一にはならず、紙面側(下側)では隙間が空いているが、紙面の反対側(上側)では紙面に押し付けられた筆記ボールが偏位して隙間が狭くなる。筆記ボールに乗っているが紙面に転写されなかったインキは、筆記ボールが偏位して狭くなった隙間部分を筆記ボールの回転に伴って通過しようとする際にボールハウス内に回収されずに、ボールホルダーの先端開口部の外周面に乗り上げて留まり続け、所謂、インキ溜まりが発生し、その溜まったインキが筆記中の振動により紙面に落ちて汚れた状態になるボテの問題が発生しやすくなる。
特に、油性インキを用いた油性ボールペンと呼ばれる物や、近年市販されているインキの粘度を少し下げた油性インキを用いた物や、通常低粘度の水性タイプのインキの粘度を中程度にまで上げたり、剪断減粘性を付与するなどしてインキ収容管に直接収容可能としたゲルインキボールペンでは、比較的インキの粘度が高いため、インキがボールホルダーの先端開口部の外周面に乗り上げてインキが留まりやすく、前述のようにボテの問題が発生しやすくなる。
キャップを備えない出没式ボールペンでは、不使用時におけるインキ漏れを防ぐ必要があるため、ボールホルダーの先端開口部のカシメ部の内縁にシール面を形成し、筆記ボールを後方から前方に押し付けるコイルスプリングを備えることによって、常に筆記ボールを前方へ付勢し、筆圧が解除されると同時に筆記ボールがボールホルダーの先端開口部にほど近いシール面に接触しようとするため、筆記ボールに乗っているが紙面に転写されなかったインキが再びボールホルダー内に回収されにくくなり、ボールホルダーの先端開口部の外周面に乗り上げて留まり続け、その溜まったインキが筆記中の振動により紙面に落ちて汚れた状態になるボテの問題が発生しやすくなる。
特許文献1には、筆記に際して、筆記ボールが回転し、径方向に移動する領域であるボールホルダーの内壁面に周方向に複数の内方突起を設けることにより、ボールホルダー内の径方向における筆記ボールの移動可能な距離(横ガタ)を抑えると共に、ボールホルダーの先端開口部と筆記ボールとの隙間を確保して筆記ボールに乗っているが紙面に転写されなかったインキが、再びボールハウス内に回収されるようにすることが可能となり、ボテを抑制できるボールペンチップが開示されている。
特開平10-329474号公報
特許文献1に開示されているボールペンチップでは、ボールホルダーの内壁面に設けられた内方突起が、インキが流通する放射状の溝の形成位置と周方向の同位置に形成設置されているため、筆記した時、放射状の溝から出てきたインキの流れが内方突起に衝突し、インキの流れが阻害され、筆記ボールの表面にインキが不均一に乗った状態が形成されてしまい、インキが紙面に均一に転写されず、筆跡に濃淡が生じ、所謂、中抜けを生じてしまっていた。
本発明は、筆記部材としての筆記ボールと、この筆記ボールを先端開口部から突出させつつ回転自在に抱持するボールホルダーとから少なくともなり、ボールホルダーの貫通孔内に設けた複数の内方突出部を筆記ボールの後方移動を規制するボール受け座とすると共に、隣り合った内方突出部の間に中心孔と連通する放射状の溝を形成してインキ通路としたボールペンチップにおいて、前記筆記ボールの移動領域におけるボールホルダーの内壁面に、横ガタ制御突起を放射状の溝の形成位置と周方向に異なる位置に形成配置すると共に、該横ガタ制御突起の頂に、凹状のボール接触面を形成したボールペンチップを第1の要旨とし、前記凹状のボール接触面の凹面の曲率を、前記筆記ボールの曲率と略同じ曲率としたボールペンチップを第2の要旨とする。
本発明のように、横ガタ制御突起を放射状の溝の形成位置と周方向に異なる位置に形成配置することにより、放射状の溝から流れてきたインキが横ガタ制御突起に邪魔されずに、筆記ボールの表面に向かって滑らかに流れ、また、横ガタ制御突起の頂に形成した凹状のボール接触面にボールとの間にインキが保持され易く、筆記ボールの表面に均一にインキ塗膜が形成され、筆記ボールの回転によってインキが紙面に均一に転写され、インキが潤滑油として働き、筆記ボールが回転する際の摩擦力が低減して筆記ボールがスムーズに回転することが出来ると共に、筆跡に濃淡(中抜け)がない、良好な筆跡が得られる。
また、この凹状のボール接触面を筆記ボールの曲率と同じではなく略同じ曲率としたことにより、筆記ボールと凹状のボール接触面とが当接する箇所に、わずかな隙間が生じることで毛細菅現象が発生し、インキがその隙間へ侵入してインキ膜を形成し易くすることができ、インキの潤滑油としての働きを更に顕著なものとして、筆記ボールが回転する際の摩擦力が低減し、筆記ボールがスムーズに回転することが出来、筆記感を損ねる事を極力抑制しつつ、筆跡に濃淡(中抜け)がない、より良好な筆跡を得ることが出来る。
本発明のボールペンチップを使用したボールペンの縦断面図。 本発明のボールペンチップの縦断面図。 図2のI部拡大図。 図3のII-II’断面矢視図。
筆記ボールは、ボールペンチップの先端にあるボールホルダーによって、回転可能に抱持されており、紙面等の被筆記面に押し付けられることにより後方に移動して、後述するボールホルダーの先端開口部との間に形成される隙間よりインキを流出又は筆記ボールの回動に伴い外に搬送して転写するものである。筆記ボールの大きさは、一般的なボールペンで使用されている直径0.18(mm)以上2.0(mm)以下が使用可能であり、書き味やボールホルダーとの耐磨耗性を考慮すると表面の算術平均高さ(Sa)は、2(nm)以上25(nm)以下が好ましい。
筆記ボールの材質としては、炭化タングステンを主成分とした超硬合金や、ステンレス鋼、アルミニウム合金、鉄鋼材料(鋼材)、その他単体金属等の金属や、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂といった樹脂材料(有機材料)や、シリコンカーバイドなどのセラミックスや無機材料、ガラスなどを研磨して製造することができるが、摺動性や耐磨耗性、またインキによる耐食性を考慮するとステンレス鋼、超硬合金、セラミックスが好ましい。
ボールホルダーは、筆記ボールをボールホルダーの先端開口部から突出させつつ筆記ボールを回転自在に抱持し、貫通孔内に複数の内方突出部を設け、隣り合った内方突出部の間に中心孔と連通する放射状の溝を形成してインキ通路としている。
内方突出部には筆記ボールと略同じ曲率の凹状のボール受け座を備える。このボール受け座は、内方突出部に筆記ボールを押しつけることによって形成されている。この筆記ボールの押しつけの際に、若干ではあるが、スプリングバック現象が発生して、ボール受け座の曲率が筆記ボールの曲率と同一とはならず、加工時の接触境界部分ほどスプリングバックが大きくなり、この筆記ボールの曲率に対してボール受け座の曲率が略同じの曲率であることによって、インキの介在するわずかな隙間を形成している。
このボール受け座は、筆記ボールを押しつけることによる塑性変形に拠らずに、切削加工などで形成することもできる。
また、ボールホルダーの先端開口部の縁部分は、カシメ加工などにより筆記ボールの直径よりも小径に形成されて、筆記ボールが抜けてしまうことを防止すると共に、カシメ加工による塑性変形の際に縁部分の内壁を筆記ボールに押し当てるなどして筆記ボールと略同じ曲率をもたせ、コイルスプリングなどの弾撥部材によって筆記ボールを弾性的に前方に付勢して、ボールホルダーの先端開口部と筆記ボールが周状に当接する非筆記時のインキ漏れを防止するシール面を形成している。
ボールホルダーの材質としては、ステンレス鋼や、黄銅、洋白などの銅合金が使用でき、筆記時の耐磨耗性やインキの耐食性を考慮すると錆や腐食に強いステンレス鋼が好ましく、オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304、フェライト系ステンレス鋼であるSUS430が使用できる。また、加工のし易さを有しつつボールホルダー先端部の打痕や摩耗などの変形等を抑制する為にビッカース硬さ(HV)を150以上300以下とすることが好ましい。また、自然環境への悪影響を低減させる目的で、鉛を含まないものとすることが好ましいが、材料の加工のし易さを維持するために、鉛の変わりにビスマス(元素記号:Bi)を用いることが好ましい。また、金属粉末を合成樹脂中に分散させて用いた射出成形品や金属粉末射出成形品などを使用することもできる。
ボールホルダー内の軸心方向に筆記ボールが移動可能な距離(縦ガタ)は、筆記ボールの直径に対して1%~8%程度とすることで、筆記時のインキの消費量に対して、ボールホルダー内に一定量のインキを溜める役目をすると共に、ボールホルダー内を良好にインキが通過でき、安定したインキの吐出ができる。
インキ通路である放射状の溝は、隣り合った内方突出部の間に形成配置されていて、ブローチ工具を打込む事で形成できる。放射状の溝の幅や本数は、筆記ボールの大きさやインキの種類によって適宜選択される。
放射状の溝の幅と本数は、インキ通路を確保しつつ筆記時の筆圧と筆記ボールの回転による摩耗を考慮すると、放射状の溝の幅を0.07(mm)~0.20(mm)程度、放射状の溝の本数としては3本~6本程度が好ましく、インキの流れに偏りがないように等間隔で放射状に形成配置することが好ましい。
筆記ボールの後方への移動を規制するボール受け座を形成する前の内方突出部のボール側の面がなす角度は、90°以上120°以下とすることで筆記ボールが内方突出部に楔のように挟まるようなこともなく、ボールとの摩擦による摩耗が生じてもボールの前後移動量に対する影響が少なく、また、インキの通路である放射状の溝を塞いでしまう可能性も極力少ないものとすることができるので好ましい。
本発明のボールペンチップは、筆記ボールの移動領域におけるボールホルダーの内壁面に、横ガタ制御突起を放射状の溝の形成位置と周方向に異なる位置に形成配置している。
横ガタ制御突起は、ボールホルダーの内壁面に3箇所以上形成することが好ましく、周方向における形成位置が、放射状の溝と異なる位置に設けている。或いは、ボールホルダー内のインキの通り道である隙間を均一としながら、横ガタ制御突起の形成位置を、周方向に等間隔で放射状の溝の間の中間位置を基準として、両角で20°以下に配置させることで、放射状の溝から出たインキが横ガタ制御突起に阻害されずにボールホルダー内を良好に通過することができ、より安定したインキの吐出ができるようになる。
ボールホルダーの長手方向における横ガタ制御突起の形成位置は、筆記ボールがボール受け座に着座した状態での筆記ボールの中心から、筆記ボールの直径の2%以上12%以下後方の範囲に位置させることで、横ガタ制御突起の形成加工が容易であると共に、筆記ボールがボールホルダーの先端内辺に密着しやすく確実にインキの流出を遮断でき、インキの円滑な流通を確保しつつ径方向の移動(横ガタ)を制御してインキのボテ現象を抑制することができる。
横ガタ制御突起のボールホルダーの内壁面からボールホルダーに軸心に向かう方向の突出高さを5(μm)以上25(μm)以下とすることで、インキがボールホルダー内を良好に通過でき、安定したインキの吐出が得られる。特に、直径が0.7(mm)以下の筆記ボールを使用する場合は、この横ガタ制御突起のボールホルダーの内壁面からの突出高さを10(μm)以上15(μm)以下とすることがより好ましい。横ガタ制御突起の配置する個数は3個~6個が好ましい。
ボールホルダーの内壁面に横ガタ制御突起を形成させる方法としては、ボールホルダーの外側面より外力を加えてボールハウス内壁に突出させる方法や、ボールハウス内を切削する方法などが採用出来る。
ボールホルダーの外側面より外力を加える手段として、ポンチによる衝撃打を付与する工程をボールホルダーの加工機械の中に組み込むことで、ボールホルダーの位置が加工機械の治具により、あらかじめ固定された状態での加工となるので、横ガタ制御突起の形成位置を、放射状の溝の位置と周方向に異なる位置に調整し易く、効率的である。
また、ボールホルダー内に筆記ボールを挿入して、筆記ボールを内包突出部に押し付けて凹状のボール受け座を形成し、筆記ボールがボール受け座に着座した位置で上記ポンチ打ちを施し、形成される横ガタ制御突起の頂を筆記ボールに押し付けて該部に凹状のボール接触面を形成することができる。
ポンチ打ちすることによって横ガタ制御突起の頂に凹状のボール接触面を形成すると、加工面にスプリングバック現象が発生して、凹状のボール接触面の曲率が筆記ボールの曲率と同一とはならず、加工時の接触境界部分ほどスプリングバックが大きくなり、筆記ボールと凹状のボール接触面とが当接する箇所にわずかな隙間が生じることで毛細菅現象によるインキ膜が形成され易く、インキが潤滑油として働き、筆記ボールが回転する際の摩擦力が低減して筆記ボールがスムーズに回転することが出来、より良好な筆記感が得られる。
曲率は、曲率=1/曲率半径の式で求められる。筆記ボールの曲率と凹状のボール接触面の凹面の曲率との差の範囲が0.01(1/mm)以上0.50(1/mm)以下とすることで、凹面にインキが蓄えられ易いものと推察され、良好な筆跡と良好な滑らかな書き味が得られる点で好ましい。
横ガタ制御突起の形状は、筆記ボールのボールホルダー内での径方向の移動可能な距離(横ガタ)を制御すると共に、横ガタ制御突起の頂に、凹状のボール接触面が形成していれば、円錐(円錐台)形状、三角錐(三角錘台)形状、四角錐(四角錘台)形状、多角錐(多角円錐台)形状、楕円錘(楕円錘台)形状、長方錘(長方錘台)形状にしても良く、筆記ボールの回転による耐摩耗性、形状的加工容易性を考慮すると、角部がなく筆記ボールの回転方向にも偏りがない、円錐(円錐台)形状がより好ましい。
ポンチ工具の材質は、超硬合金製が好ましく使用できる。ポンチ打ちの際、ボールホルダーの材質は筆記ボールより軟らかいので、ポンチ打ちによって***したボールホルダーの内壁面は筆記ボールに当接し、更に、数(μm)押込むことで横ガタ制御突起の頂に、筆記ボールの曲率と略同じ曲率の凹状のボール接触面が形成することが出来る。押しすぎるとポンチが破損する懸念があるので、スプリングパックを考慮して弾性的に押圧力を付与することが好ましく、横ガタ制御突起一つに対して1kgf~5kgfが適切である。また、各横ガタ制御突起は同時に加工することが加工時間の短縮につながり効率的である。
ポンチ工具の先端は、直径が0.02(mm)以上0.10(mm)以下の円形平面とし、面積にして0.0003(mm2)以上0.00785(mm2)以下としている。ポンチ工具の先端から後方にかけて稜線の傾斜のテーパー角度は20°以上90°以下のものを使用することができる。
本発明のボールペンチップは、インキタンクとなる部材と直接又は接続部材を介して接続され、インキタンク内にインキを充填し、充填したインキの後端界面に接触してインキが消費されることに伴う界面移動に追従する高粘度流動体をインキの逆流防止として充填配置しても良い。
ボールペンとして使用するインキとしては、着色剤として顔料を使用した顔料インキ、染料を使用した染料インキ、主溶剤として水を使用した水性インキ、有機溶剤を使用した油性インキなど、いずれも使用することができ、リン酸エステル化合物などの各種界面活性剤などの潤滑剤を含有することが好ましい。また、インキ粘度は、書き味の軽さに影響するので、筆記時にて数(mPa・s)~1300(mPa・s)程度の比較的低粘度のインキであることが好ましい。
図1に示したものは、筆記部材としての筆記ボール1を、ボールホルダー2の先端開口部2aより一部突出した状態で回転自在に抱持してなるボールホルダー2とインキ収容部3が接合されてなるボールペン4の一例である。外装体に収容されて使用される、所謂リフィルと称されるものとして示してあるが、外装についての図示及び説明は省略する。
筆記ボール1と、ボールホルダー2と、後述するコイルスプリング5とを備えるボールペンチップ6は、その後端の小径部を、ポリプロピレン樹脂などの押し出し成形パイプであるインキ収容部3の先端に圧入して固定されている。
インキ収容部3内には、油性インキ7が収容されており、油性インキ7の後端界面に接して、インキと相溶しない高粘度流体である逆流防止体組成物8が配置されている。特に、低粘度のインキを使用した場合には、落下などの衝撃でインキが後方に移動することを抑制するために逆流防止体組成物8を配置することは有効である。
図2にも示すように、ボールホルダー2の内部には、コイルスプリング5を配設し、筆記ボール1を前方に付勢してボールホルダー2の先端開口部2aの内縁に周状当接し、インキの漏れを防止している。このコイルスプリング5は、ボールホルダー2に挿入された後に、押し込まれて全長を圧縮された状態で、ボールホルダー2の後端開口部2bを縮径するカシメ加工を施すことによって、筆記ボール1を前方へ付勢した状態で固定されている。コイルスプリング5は、伸縮する巻き部5aと先端直状部5bを備えており、先端直状部5bが、ボールホルダー2のインキ通路である中心孔9を通って筆記ボール1の後端を直接押し、筆記ボール1をボールホルダー2の先端開口部2aの内縁に周状当接させている。
図3に図2のI部拡大図を示すが、説明の都合上、コイルスプリング5の図示は省略し、筆記ボール1は破線で示してある。
ボールホルダー2は、貫通したインキの通路として、先端側よりボールハウス10、放射状の溝11、中心孔9、後穴12を有している。
ボールハウス10と後孔12との間には、内方突出部13が設置されており、この内方突出部13に等間隔で周方向に放射状の溝11が配置してある(本実施例では4本)。放射状の溝11は中心孔9に連通しつつ、ボールハウス10のボールの外側部分にまで開口しており、筆記ボール1が後端に移動した場合にも筆記ボール1で塞がれていない部分を確保しており、ボールハウス10内に油性インキ7を安定的に供給し得る。
内方突出部13には、凹状のボール受け座14を形成してあり、この凹状のボール受け座14は、筆記ボール1をボールホルダー2内に設置後に、ハンマー工具にて筆記ボール1に衝撃力を付与し、筆記ボール1の後方移動を規制する部分である内方突出部13に筆記ボール1を押し付けることによって内方突出部13と筆記ボール1との当接部分を筆記ボール1の形状に変形させ、筆記ボール1の表面が転写された部分として形成する。
ボールハウス10の内壁面に周方向に等間隔に4箇所、放射状の溝11の形成位置と周方向に異なる位置に横ガタ制御突起15を形成配置している。具体的には放射状の溝11の間の中間位置に配置し、放射状の溝11から流れてきた油性インキ7が横ガタ制御突起15に邪魔されずに、筆記ボール1の表面に向かって滑らかに流れるようになしてある。
横ガタ制御突起15は、ボールホルダー2の外側面をポンチ打ちする事で外側から内部に塑性変形させて、筆記ボール1と当接して筆記ボール1の表面が横ガタ制御突起15の頂に、筆記ボール1の曲率と略同じ曲率の凹状のボール接触面15aが形成されている。
凹状のボール受け座14が形成された後の断面図である図3と図4に、下記の各所の測定部分を示すが、説明の都合上、コイルスプリングの図示は省略し、筆記ボールは破線で示してある。
筆記ボールの直径を0.3(mm)、0.5(mm)、0.7(mm)、放射状溝の本数を3本、4本、6本、横ガタ制御突起の数を3個、4個、横ガタ制御突起と放射状の溝の周方向の形成位置を放射状の溝の間の中間位置、放射状の溝の形成位置と周方向に同位置、凹状のボール接触面の有無、筆記ボールの曲率と凹状のボール接触面の曲率との差の範囲(1/mm)と設定し、実施例1~実施例4、比較例1~比較例3のボールペンチップを各3本ずつ製作し、ボール付勢力20(gf)となるコイルスプリングを種々設置して、ぺんてる(株)製の0.7(mm)ボールペン(製品符号:XBXM7H)のインキ収容部に固定し、後述の油性インキを充填して、ペン先の方向に遠心力が働くようにして、遠心分離機((株)コクサン製:卓上遠心機H-103N)で遠心処理を施し、筆記具内に存在する気体を除去して筆記試験用ボールペンサンプルとした。各設定値は表1に示す。
筆記試験に使用した油性インキの配合は次の通り。
インキを製造するには、分散した顔料と他の成分、例えば粘度調整用樹脂や溶剤、潤滑剤等を混合し、ホモミキサー等の撹拌機にて均一になるまで溶解・混合することで得られるが、場合によって混合したインキをさらに分散機にて分散したり、得られたインキを濾過や遠心分離機に掛けて粗大粒子や不溶解成分を除いたりすることは何ら差し支えない。
Printex35(カーボンブラック、エポニック デグサ ジャパン(株)製)
5.50重量%
VALIFAST VIOLET 1731(紫色油性染料、オリエント化学工業(株)製) 6.00重量%
OIL BLUE 613(青色油性染料、オリエント化学工業(株)製)
3.00重量%
Aizen Spilon Yellow C-GNH New(黄色油性染料、保土ヶ谷化学工業(製) 3.60重量%
Aizen Spilon Red C-GH(赤色油性染料、保土ヶ谷化学工業(株
)製) 3.00重量%
エチレングリコールイソプロピルエーテル 15.00重量%
エチレングリコールモノフェニルエーテル 15.00重量%
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 25.09重量%
エスレックB BL-1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製)
2.80重量%
エスレックB BH-3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製)
0.30重量%
フォスファノール LB-400(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、活性剤、東邦化学工業(株)製) 1.00重量%
トリイソプロパノールアミン(トリイソプロパノールアミン、三井化学ファイン(株)
製) 0.80重量%
ハイラック901(ケトン樹脂、日立化成工業(株)製) 13.50重量%
DOWSIL L-7002(ポリエーテル変性シリコーンオイル、ダウ・東レ(株)製) 0.40重量%
PVP K-90(ポリビニルピロリドン、アシュランド・ジャパン(株)製)
0.50重量%
ニッコールHCO-10(POE硬化ひまし油、日光ケミカルズ(株)製)
3.00重量%
ユニオール D-2000(ポリプロピレングリコール、日油(株)製)
1.50重量%
高純度アルミナ AKP-20(酸化アルミニウム、住友化学工業(株)製)
0.01部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックB BL-1の全量を70(℃)で攪拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからPrintex35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズ製)で直径0.3(mm)のジルコニアビーズを用い10回通しを行い黒色のペーストを得た。
次いで、このペーストに残りの材料の全量を加え、70(℃)で3時間攪拌して、温度25℃、剪断速度100(1/s)における粘度が750(mPa・s)である試験用の黒色の油性インキを得た。
粘度測定は、アントンパール社製(オーストリア)のレオメーター( モジュラーコンパクトレオメータMCR301、ジオメトリーはパラレルプレート25mm)を用いた。
下記に示す筆記試験を実施した。
(筆記試験)
自動筆記機である
(有)精機工業研究所製のPEN WRITING TESTER MODEL TS-4C-10にて上記試験用サンプルを用い筆記試験を実施した。
自動筆記機による筆記条件は、150(gf)荷重とし、60°の低筆記角度とし、筆記速度7(cm/sec)で筆記試験用ボールペンサンプルを自転させながら5(m)螺旋筆記を行った。
各実施例と各比較例の筆記試験用ボールペンサンプルを3本ずつ、前述の条件で筆記試験を実施し、目視にて中抜け箇所の個数を測定した。
各実施例及び比較例としたボールペンチップの各寸法と筆記試験の結果を(表1)に示す。
Figure 2022057568000002
実施例1~実施例3では、横ガタ制御突起が、放射状の溝の形成位置と周方向に異なる位置に形成配置し、凹状のボール接触面を形成させており、筆跡の濃淡(中抜け)がない、良好な筆跡が得られ、実施例4~実施例7では、凹状のボール接触面の凹面の曲率を、筆記ボールの曲率と略同じ曲率としたことで、より良好な筆跡が安定して得られた。
これに対して、比較例1~比較例3では、横ガタ制御突起が放射状の溝の形成位置と周方向に同位置に形成配置し、凹状のボール接触面を形成させておらず、筆跡に濃淡(中抜け)が生じていた。
1 筆記ボール
2 ボールホルダー
2a 先端開口部
2b 後端開口部
3 インキ収容部
4 ボールペン
5 コイルスプリング
5a 巻き部
5b 先端直状部
6 ボールペンチップ
7 油性インキ
8 逆流防止体組成物
9 中心孔
10 ボールハウス
11 放射状の溝
12 後穴
13 内方突出部
14 ボール受け座
15 横ガタ制御突起
15a 凹状のボール接触面

Claims (2)

  1. 筆記部材としての筆記ボールと、この筆記ボールを先端開口部から突出させつつ回転自在に抱持するボールホルダーとから少なくともなり、ボールホルダーの貫通孔内に設けた複数の内方突出部を筆記ボールの後方移動を規制するボール受け座とすると共に、隣り合った内方突出部の間に中心孔と連通する放射状の溝を形成してインキ通路としたボールペンチップにおいて、前記筆記ボールの移動領域におけるボールホルダーの内壁面に、横ガタ制御突起を放射状の溝の形成位置と周方向に異なる位置に形成配置すると共に、該横ガタ制御突起の頂に、凹状のボール接触面を形成したボールペンチップ。
  2. 前記凹状のボール接触面の凹面の曲率を、前記筆記ボールの曲率と略同じ曲率とした請求項1に記載のボールペンチップ。
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