JP2022054779A - マスクの使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材と、互いに擦れ合うことで帯電可能である構成樹脂の異なる2種類以上の繊維が混在している不織布とが積層してなるマスク本体部を備えた、マスクの使用方法であって、更に捕集性能に優れたマスクを提供することを課題とする。【解決手段】基材と、互いに擦れ合うことで帯電可能である構成樹脂の異なる2種類以上の繊維が混在している不織布とが積層してなるマスク本体部を備えたマスクにおいて、当該マスク本体部を構成する不織布の周縁部分の少なくとも一部が基材に固定されてなるマスク本体部を備えたマスクである場合には、当該不織布へ力を作用させてから装着するマスクの使用方法により、更に捕集性能に優れたマスクを提供できる。【選択図】図1

Description

本発明は、マスクの使用方法に関するものであり、更に捕集性能が向上したマスクを提供できる。
従来からマスクには、圧力損失が低く通気性に優れると共に、大気塵やPM2.5などの塵埃ならびに花粉などの捕集性能に優れるという性能(以降、併せて濾過性能と称することがある)が求められている。この相反する性能を共に満足するマスクを実現するため、帯電した不織布を備えるマスクが検討されてきた。
このようなマスクとして、特開2008-93501(特許文献1)には、互いに擦れ合うことで帯電可能である構成樹脂の異なる2種類以上の繊維が混在している不織布を、帯電濾材として採用したマスクが開示されている。当該マスクは、洗浄し機械や手等で揉み加工することによって再荷電でき、再使用可能であることが開示されている。なお、帯電濾材に洗浄、水洗、乾燥、摩擦帯電に耐えうる基材を構成させることによって、再生処理時の形状を維持したマスクを提供できることが開示されている。
特開2008-93501(特許請求の範囲、0001、0002、0022、0026、0027など)
本願出願人は、上述したような従来技術にかかるマスクの使用方法について検討を行った。つまり、基材と、互いに擦れ合うことで帯電可能である構成樹脂の異なる2種類以上の繊維が混在している不織布とが積層してなるマスク本体部を備えたマスクに対し、前記不織布へ力を作用させてから装着する、マスクの使用方法について検討を行った。
このような構成のマスク本体部を備えたマスクでは、上述の使用方法によって確かに不織布は帯電したが、その帯電量が期待するほど高くならず、また、洗濯後のマスクではその帯電量が期待するほど回復せず、マスクの捕集性能が不十分であることがあった。
本願出願人は、基材と、互いに擦れ合うことで帯電可能である構成樹脂の異なる2種類以上の繊維が混在している不織布とが積層してなるマスク本体部を備えた、マスクの使用方法に関するものであり、更に捕集性能に優れたマスクを提供することを課題とする。
第一の本発明は、
「基材と、互いに擦れ合うことで帯電可能である構成樹脂の異なる2種類以上の繊維が混在している不織布とが積層してなるマスク本体部を備えたマスクに対し、前記不織布へ力を作用させてから装着する、マスクの使用方法であって、
前記不織布の周縁部分の少なくとも一部が前記基材に固定されている、マスクの使用方法。」
である。
また、第二の本発明は、
「洗濯した後に、前記不織布へ力を作用させてから装着する、請求項1に記載のマスクの使用方法。」
である。
本願出願人は更に検討を続けた結果、本発明にかかる不織布における周縁部分の少なくとも一部が基材に固定されてなるマスク本体部を備えたマスクである場合には、当該不織布へ力を作用させてから装着するマスクの使用方法により、更に捕集性能に優れたマスクを提供できることを見出した。
この理由は完全に明らかにできたものではないが、不織布の周縁部分が基材に固定されていることによって、不織布における直接力を与えた部分以外にも広く力が伝搬し易くなり、不織布の構成繊維(互いに擦れ合うことで帯電可能である構成樹脂の異なる2種類以上の繊維)同士がより擦れ合い、不織布全体が帯電し易くなるためだと考えられる。
また、当該固定されている箇所は通気性が低下していることから、不織布中や不織布と基材の間に存在する空気が、当該力の作用を受けた際に不織布の周縁部分(基材と不織布の間)から逃げ難い状態となる。その結果、当該力の作用を受けた際に不織布を通過する空気の量が増加することで、不織布の構成繊維(互いに擦れ合うことで帯電可能である構成樹脂の異なる2種類以上の繊維)同士がより擦れ合い、不織布の帯電量が増加し易くなるためだと考えられる。
本発明にかかるマスク本体部の一実施態様における、横断面を表した模式図である。
本発明では、例えば以下の構成など、各種構成を適宜選択できる。なお、本発明で説明する各種測定は特に記載や規定のない限り、常圧のもと25℃温度条件下で測定を行った。そして、本発明で説明する各種測定結果は特に記載や規定のない限り、求める値よりも一桁小さな値まで測定で求め、当該一桁小さな値を四捨五入することで求める値を算出した。具体例として、少数第一位までが求める値である場合、測定によって少数第二位まで値を求め、得られた少数第二位の値を四捨五入することで少数第一位までの値を算出し、この値を求める値とした。また、本発明で例示する各上限値および各下限値は、任意に組み合わせることができる。
本発明にかかるマスクについて、本発明にかかるマスク本体部の一実施態様における、横断面を表した模式図である図1を用いて説明する。図1では、不織布(2)の両主面に基材(1)が積層してなるマスク本体部(10)を図示している。
本発明にかかるマスクは、主として外気を濾過して人体へ提供する役割、および、呼気を濾過して外気へ放出する役割を担う部材として、不織布(2)と基材(1)とが積層してなるマスク本体部(10)を備えている。そして、マスク本体部(10)では、不織布(2)の周縁部分(3)の少なくとも一部が基材(1)に固定されている。なお、図1では、不織布(2)の両主面において周縁部分(3)の少なくとも一部が基材(1)と融着一体化されており固定されている態様を図示しており、当該周縁部分(3)において不織布(2)が基材(1)に固定されている箇所(4、以降、固定されている箇所と称することがある)を理解し易いよう太線で表し図示している。
本発明にかかる基材(1)の種類は適宜選択できる。一例として、布帛(ウェブ、不織布、織物、編物)や多孔フィルムなどを採用できる。特に、通気性に富み呼吸し易いマスクを提供できることから、基材(1)として布帛(特に、ウェブや不織布)を採用するのが好ましい。また、基材(1)を構成する素材は、不織布(2)の周縁部分(3)が固定可能であるように適宜選択する。特に、基材(1)と不織布(2)とがバインダや接着ウェブあるいは接着繊維によって接着一体化して固定されている箇所(4)が形成されるように、あるいは、ヒートシールや超音波溶着などによって基材(1)と不織布(2)とが融着一体化して固定されている箇所(4)が形成されるように、基材(1)を構成する素材と不織布(2)を構成する素材は共に熱可塑性樹脂を含有しているのが好ましい。
基材(1)が布帛である場合、布帛の構成繊維は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をニトリル基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の樹脂を用いて構成できる。
なお、これらの樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、多成分の樹脂を混ぜ合わせたものでも良い。
構成繊維は、一種類の樹脂から構成されてなるものでも、複数種類の樹脂から構成されてなるものでも構わない。複数種類の樹脂から構成されてなる繊維として、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、バイメタル型などの態様であることができる。
布帛が構成繊維として熱融着性繊維を含んでいる場合には、繊維同士を熱融着することによって、布帛に強度と形態安定性を付与でき好ましい。このような熱融着性繊維は、全融着型の熱融着性繊維であっても良いし、上述した複合繊維のような態様の一部融着型の熱融着性繊維であっても良い。熱融着性繊維において熱融着性を発揮する成分(樹脂)として、例えば、低融点ポリオレフィン系樹脂や低融点ポリエステル系樹脂を含む熱融着性繊維などを適宜選択して使用できる。
これらの構成繊維は、略円形の繊維や楕円形の繊維以外にも異形断面繊維を含んでいてもよい。なお、異形断面繊維として、中空形状、三角形形状などの多角形形状、Y字形状などのアルファベット文字型形状、不定形形状、多葉形状、アスタリスク形状などの記号型形状、あるいはこれらの形状が複数結合した形状などの繊維断面を有する繊維であってもよい。
構成繊維の繊度は特に限定するものではないが、剛性に優れるマスクを提供できるように、0.1dtex以上であるのが好ましく、1dtex以上であるのがより好ましく、2dtex以上であるのがより好ましい。他方、上限は適宜調整可能であるが、100dtex以下であるのが現実的であり、50dtex以下であるのがより現実的であり、30dtex以下であるのがより現実的である。なお、「繊度」はJIS L1015:2010、8.5.1(正量繊度)に規定されているA法により得られる。
また、構成繊維の繊維長も特に限定するものではないが、剛性に優れるマスクを提供できるように、20mm以上であるのが好ましく、25mm以上であるのがより好ましく、30mm以上であるのが更に好ましい。また、基材(1)の構成繊維においては、より剛性に優れるマスクを提供できるように、繊維長がより長いため繊維長を測定困難である連続長を有する繊維であるのがより好ましい。なお、「繊維長」は、JIS L1015(2010)、8.4.1c)直接法(C法)に則って測定した値をいう。
構成繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
布帛が繊維ウェブや不織布である場合、例えば、上述の繊維をカード装置やエアレイ装置などへ供することで繊維を絡み合わせる乾式法、繊維を溶媒に分散させシート状に抄き繊維を絡み合わせる湿式法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、紡糸原液と気体流を平行に吐出して紡糸する方法(例えば、特開2009-287138号公報に開示の方法)など)を用いて繊維の紡糸を行うと共にこれを捕集する方法、などによって調製できる。
調製した繊維ウェブの構成繊維を絡合および/または一体化させて不織布を調製できる。構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法として、例えば、ニードルや水流によって絡合する方法、繊維ウェブを加熱処理へ供するなどしてバインダや接着ウェブあるいは接着繊維によって構成繊維同士を接着一体化あるいは溶融一体化させる方法などを挙げることができる。あるいは、直接紡糸法を用いて紡糸した繊維を捕集することで不織布を調製してもよい。
加熱処理の方法は適宜選択できるが、例えば、ロールにより加熱または加熱加圧する方法、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機などの加熱機へ供し加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して含まれている樹脂を加熱する方法などを用いることができる。
布帛を構成する繊維同士を接着するため、バインダを用いても良い。使用可能なバインダの種類は適宜選択するが、例えば、ポリオレフィン(変性ポリオレフィンなど)、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体などのエチレン-アクリレート共重合体、各種ゴムおよびその誘導体(スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)など)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF-HFP)、アクリル系樹脂(アクリル酸エステル樹脂、アクリロニトリルスチレン共重合体樹脂など)、ポリウレタン樹脂などを使用できる。
布帛に含まれるバインダの目付は適宜選択でき、1g/m以上であることができる。また、50g/m以下であることができ、30g/m以下であることができ、10g/m以下であることができる。また、バインダは上述した樹脂以外にも、例えば、難燃剤、香料、顔料、抗菌剤、抗黴材、光触媒粒子、乳化剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤などの添加剤を含有していてもよい。
布帛が織物や編物である場合、上述のようにして調製した繊維を織るあるいは編むことで、織物や編物を調製できる。
なお、繊維ウェブ以外にも不織布あるいは織物や編物など布帛を、上述した構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法へ供しても良い。
基材(1)の、例えば、厚さや目付、通気度などの諸構成は、特に限定されるべきものではなく適宜調整する。
基材(1)の厚さは、0.1~10mmであることができ、0.2~5mmであることができ、0.3~3mmであることができる。なお、本発明における「厚さ」は、主面に対して、面積5cmあたり厚さ方向へ0.98N(=100gf)を荷重して行う荷重領域における厚さの測定を、無作為に選択した5カ所で実施し、それら厚さを算術平均した値を意味する。このような厚さの測定は、例えば、高精度デジタル測長機(株式会社ミツトヨ社製、ライトマチック(登録商標))により実施できる。
基材(1)の目付は、例えば、10~500g/mであることができ、50~300g/mであることができ、80~250g/mであることができる。また、「目付」は1mあたりの質量であり、JIS L1085:1998、6.2「単位面積当たりの質量」に規定する方法により得られる。
また、基材(1)の通気度は、通気性に富み呼吸し易いマスクを提供できるように、30cm/cm・sec.以上であるのが好ましく、50cm/cm・sec.以上であるのが好ましく、100cm/cm・sec.以上であるのがより好ましい。なお、通気度の上限は特に限定するものではないが、500cm/cm・sec.以下であるのが現実的であり、400cm/cm・sec.以下であるのがより現実的であり、300cm/cm・sec.以下であるのがより現実的である。この通気度はJIS L1913:2010「一般不織布試験方法」に規定される6.8.1(フラジール形法)に準じて測定される値をいう。つまり、フラジール形試験機を用い、採取した測定対象を、フラジール形試験機へ供する試験片として用いて測定される値をいう。
基材(1)の大きさは適宜調整できるが、後述するように、不織布(2)における周縁部分(3)以外が基材(1)に固定されていないマスク本体部(10)を調製できるよう、主面から見た際の形状は、不織布(2)以上の大きさであって直径40mmの円形よりも大きい形状であるのが好ましい。
本発明にかかる不織布(2)は、互いに擦れ合うことで帯電可能である構成樹脂の異なる2種類以上の繊維が混在している不織布である。ここでいう「構成樹脂の異なる2種類以上の繊維」とは、不織布(2)中に2種類以上の繊維が混在しており、当該2種類以上の繊維において、1種類目の繊維の表面(両端部を除く)を構成する樹脂と、他の繊維の表面(両端部を除く)を構成する樹脂とが異なっていることを意味する。そして、当該2種類以上の繊維が互いに擦れ合うことで、当該1種類目の繊維の表面を構成する樹脂と、他の繊維の表面を構成する樹脂とが互いに擦れ合い、その結果、当該2種類以上の繊維は帯電できる。以降、本発明にかかる不織布(2)を構成する当該繊維を、摩擦帯電繊維と称することがある。
また、ここでいう「混在」しているとは、上述した2種類以上の摩擦帯電繊維同士が互いに絡み合って存在していることを意味する。例えば、2種類以上の摩擦帯電繊維を混ぜ合わせカード機へ供することで調製されたウェブでは、構成樹脂が異なる2種類以上の繊維が混在しており、当該ウェブを用いることで摩擦帯電繊維が混在している不織布(2)を調製できる。
摩擦帯電繊維が混在している不織布(2)では、構成繊維同士がランダムに存在している。そのため、当該不織布(2)を採用することによって、空隙率が高く孔径が均一となり、濾過性能に優れたマスクを提供できる。
摩擦帯電繊維の種類は、互いに擦り合せることで帯電する繊維の組み合わせであれば良く適宜選択できる。1種類目の摩擦帯電繊維と2種類目の摩擦帯電繊維との組み合わせとして、例えば、ポリオレフィン系繊維とアクリル系繊維との組合せ;フッ素系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;ウレタン系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;塩化ビニル系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;ポリオレフィン系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;アクリル系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維の組合せ;ビニロン系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;ポリエステル系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;アセテート系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;ポリオレフィン系繊維とポリエステル系繊維との組合せなどを挙げることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン系繊維とアクリル系繊維との組合せであると、摩擦帯電繊維同士を擦り合せることで帯電量を多くすることができ、捕集効率に優れたマスクを提供でき好ましい。
ポリオレフィン系繊維の構成樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、又は、これら樹脂の一部をニトリル基やシアノ基あるいはハロゲンで置換した樹脂などを挙げることができ、ポリオレフィン系繊維はこれら構成樹脂1種類、又は2種類以上からなる複合繊維であることができる。例えば、芯鞘型複合繊維であり、鞘成分がポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系繊維であっても良い。
また、ポリオレフィン系繊維の構成樹脂は、リン系添加剤やイオウ系添加剤を含有しているのが好ましい。リン系添加剤やイオウ系添加剤を含有していることによって帯電量を多くすることができ、初期捕集効率が向上できる。なお、リン系添加剤やイオウ系添加剤に加えて、更に、フェノール系、アミン系などの他の添加剤が含まれていても良い。なお、これら添加剤の合計量が多くなると、紡糸性が悪くなる恐れがあるため、添加剤の合計量がポリオレフィン系繊維の5質量%以下であるのが好ましく、2質量%以下であるのがより好ましく、1質量%以下であるのが更に好ましい。
リン系添加剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6,ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジ-ホスホナイト、ビス(2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)(1,1-ビフェニル)-4,4’-ジイルビスホスフォナイト、ビス(ビス(2,4-ジ-t-ブチル-5-メチルフェノキシ)ホスフィノ)などのリン系酸化防止剤を挙げることができる。このリン系添加剤はポリオレフィン系繊維中、0.01質量%以上含有しているのが好ましく、0.2質量%以上含有しているのがより好ましく、0.3質量%以上含有しているのが更に好ましく、0.6質量%以上含有しているのが更に好ましい。イオウ系添加剤としては、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスなどのイオウ系酸化防止剤などが好適に使用できる。このイオウ系添加剤はポリオレフィン系繊維中、0.01質量%以上含まれているのが好ましく、0.1質量%以上含まれているのがより好ましい。
アクリル系繊維としては、アクリロニトリルを主成分(85%以上)とするポリアクリロニトリル系繊維と、アクリロニトリルを35%以上85%未満含むモダクリル系繊維のいずれであっても使用できる。また、ポリアクリロニトリル系繊維は有機系溶媒を用いて紡糸したものと、無機系溶媒を用いて紡糸したものの2種類があるが、いずれのポリアクリロニトリル系繊維であっても良い。
摩擦帯電繊維は、基材(1)を構成する繊維と同様の繊維形状、また、基材(1)と同様の製造方法を採用し調製できる。特に、後述するように薄手の不織布(2)を提供し易いことから、本発明にかかる不織布(2)は、2種類以上の摩擦帯電繊維を含んだウェブを水流絡合してなる水流絡合不織布であるのが好ましい。また、当該水流絡合不織布であると、ニードルパンチ処理によって絡合してなるニードルパンチ不織布に比べ、不織布(2)の強度を大きく低下させる原因となる、貫通孔などのニードル処理由来の穴が形成されるのを防止できる。そのため、薄手にも関わらず剛性に富むことで、例えば、張力を作用させた状態で打ち抜く、プリーツなど立体形状を有するように加工するなどマスクを調製する際に破断や亀裂が発生して、濾過性能が低下するのが防止されたマスクを提供できる。
摩擦帯電繊維の繊度は、本発明の目的を達成できるのであれば特に限定されるものではないが、濾過性能に優れたマスクを提供できるよう、繊度は0.1~10dtexであるのが好ましく、0.3~7dtexであるのが好ましく、0.6~5dtexであるのが好ましく、0.8~3dtexであるのが最も好ましい。このような摩擦帯電繊維として、具体的には、2.2dtexや1.7dtex、1.0dtexのアクリル系繊維と、2.2dtexや1.7dtexのポリプロピレン繊維の組み合わせを採用できる。
摩擦帯電繊維の繊維長は、本発明の目的を達成できるのであれば特に限定されるものではなく、短繊維や連続繊維であってもよい。しかし、摩擦帯電繊維同士がよりランダムに存在してなる不織布(2)を実現できることで、空隙率が高く孔径が均一となり、より濾過性能に優れたマスクを提供できることから、摩擦帯電繊維は連続長を有していない短繊維であるのが好ましく、繊維長は3~150mmであるのが好ましく、10~100mmであるのが好ましく、30~80mmであるのが好ましい。
不織布(2)が含有している2種類以上の摩擦帯電繊維について、各摩擦帯電繊維の混合比率は適宜調整するものである。例えば、不織布(2)が2種類の摩擦帯電繊維(摩擦帯電繊維Aと摩擦帯電繊維B)を含有している場合、摩擦帯電繊維Aと摩擦帯電繊維Bの混合比率は5質量%:95質量%~95質量%:5質量%であることができ、15質量%:85質量%~85質量%:15質量%であることができ、25質量%:75質量%~75質量%:25質量%であることができる。
不織布(2)は摩擦帯電繊維以外の繊維を含有していても良い。不織布(2)を構成している繊維の質量に占める、摩擦帯電繊維の質量の百分率は適宜調整できるが、より濾過性能に優れたマスクを提供できるよう、50質量%以上であるのが好ましく、65質量%以上であるのがより好ましく、80質量%以上であるのがより好ましく、不織布(2)を構成している繊維が摩擦帯電繊維のみであるのが最も好ましい。
不織布(2)を構成している摩擦帯電繊維などの繊維は、バインダや繊維接着によって繊維同士が一体化されている状態であっても良い。しかし、摩擦帯電繊維同士が効率良く擦れ合うことで帯電量の多い不織布(2)を備えたより濾過性能に優れたマスクを提供できるように、また、不織布(2)を気体が通過する際に不織布(2)の構成繊維同士が効率良く擦れ合うことで摩擦帯電繊維の帯電が維持され、より濾過性能に優れたマスクを提供できるように、マスク本体部(10)の調製のため採用する不織布(2)は、その構成繊維はバインダや繊維接着によって繊維同士が一体化されておらず、繊維同士がただ絡合してなる不織布(2)であるのが好ましい。また、繊維同士がただ絡合してなる不織布(2)であると、コンタミネーションが発生し難く、また、風合いが劣化し難いマスクを提供でき好ましい。
不織布(2)の目付は特に限定するものではないが、濾過性能と剛性が優れる不織布(100)を調製できるよう、15~300g/mであるのが好ましく、30~200g/mであるのがより好ましく、50~180g/mであるのが更に好ましい。
本発明にかかる不織布(2)の厚さは適宜調整できるが、厚さや形状などが様々であるマスクのニーズに応えることができるように、厚さは3.0mm以下であるのが好ましく、2.5mm以下であるのが好ましく、2.0mm以下であるのが好ましく、1.5mm以下であるのが好ましく、1.0mm以下であるのが好ましい。例えば、厚い不織布(2)を備えるマスクが求められている場合であっても、薄い不織布(2)を実現できれば、当該薄い不織布(2)を複数積層することでニーズに応えることができる。下限値も適宜調整できるものであるが、0.1mm以上であるのが現実的である。
また、不織布(2)の通気度は、通気性に富み呼吸し易いマスクを提供できるように、通気度は50cm/cm・sec.以上であるのが好ましく、80cm/cm・sec.以上であるのが好ましく、100cm/cm・sec.以上であるのがより好ましい。なお、通気度の上限は特に限定するものではないが、300cm/cm・sec.以下であるのが現実的であり、250cm/cm・sec.以下であるのがより現実的であり、220cm/cm・sec.以下であるのがより現実的である。
不織布(2)の大きさは適宜調整できるが、後述するように、不織布(2)における周縁部分(3)以外が基材(1)に固定されていないマスク本体部(10)を調製できるよう、主面から見た際の形状が、直径40mmの円形よりも大きい形状であるのが好ましい。
本発明にかかるマスク本体部(10)では、基材(1)と不織布(2)とが積層している。ここでいう積層とは、基材(1)の主面と不織布(2)の主面とが対面する態様(より好ましくは対面し当該対面している主面同士が接触可能な状態)で、基材(1)と不織布(2)とが重なり合っていることを指す。
そして、本発明にかかるマスク本体部(10)では、不織布(2)の周縁部分(3)の少なくとも一部が基材(1)に固定されていることを特徴とする。ここでいう、不織布(2)の周縁部分(3)が基材(1)に固定されているとは、不織布(2)の主面を当該主面と垂直を成す方向から見た際の、不織布(2)の外周から不織布(2)の中央へ向かう幅20mmまでの範囲(具体例として、不織布(1)の外周と接する接線と直角をなし不織布(1)の存在している側へ向かう直線における、前記接線から20mmまでの範囲)において、どこか1箇所以上で、不織布(2)と基材(1)が一体化していることを指す。そして、不織布(2)を基材(1)に一体化させる方法は適宜選択できるが、バインダや接着ウェブあるいは接着繊維によって、ヒートシールや超音波溶着などによる基材(1)および/または不織布(2)の融着によって、構成繊維同士の絡合によって、糸による縫製によって、基材(1)に接する当該不織布(2)の周縁部分(3)を基材(1)と一体化できる。
なお、不織布(2)における直接力を与えた部分以外にもより広く力が伝搬し易くなるように、また、力の作用を受けた際に不織布(2)を通過する空気の量がより増加するように、不織布(2)における周縁部分(3)以外は基材(1)に固定されていないのが好ましい。
当該範囲の全てにおいて、あるいは、当該範囲の一部において不織布(2)と基材(1)が一体化していても良い。不織布(2)の周縁部分(3)のどの程度が基材(1)に固定されているかは、濾過性能に優れたマスクを提供できるよう適宜調整できる。不織布(2)の一方の主面あるいは両主面の各々において、上述した周縁部分(3)の全面積に占める0.01%以上の面積が基材(1)に固定されていることができ、0.1%以上が基材(1)に固定されていることができ、1%以上が基材(1)に固定されていることができ、5%以上が基材(1)に固定されていることができ、10%以上が基材(1)に固定されていることができ、20%以上が基材(1)に固定されていることができ、30%以上が基材(1)に固定されていることができ、40%以上が基材(1)に固定されていることができ、50%以上が基材(1)に固定されていることができ、60%以上が基材(1)に固定されていることができ、70%以上が基材(1)に固定されていることができ、80%以上が基材(1)に固定されていることができ、90%以上が基材(1)に固定されていることができ、不織布(2)の周縁部分(3)全てが基材(1)に固定されている(100%)ことができる。当該百分率が高いほど、捕集性能に優れたマスクを提供できる傾向があり好ましい。
なお、当該百分率は以下の方法で算出できる。
(1)不織布(2)の主面を当該主面と垂直を成す方向から観察できるよう、マスクあるいはマスク本体部(10)から不要な部材を取り除き、本発明にかかる不織布(2)の主面を露出させる。
(2)不織布(2)の主面を当該主面と垂直を成す方向から見た際の、不織布(2)の外周から不織布(2)の中央へ向かう幅20mmまでの範囲の面積(A)を算出する。
(3)当該範囲のうち、不織布(2)が基材(1)に固定されていた部分の面積(B)を算出する。なお、糸により不織布(2)が基材(1)に縫い付けられ固定されていた場合には、当該固定を担っていた糸の面積(糸の太さと主面上に露出する糸の長さから算出可能)を当該面積(B)とし算出できる。
(4)面積Bを面積Aで割り100をかけることで、百分率(C、単位:%)を算出する。
そして、
・面積Bが0である場合には、観察した当該不織布(2)の主面において、不織布(2)の外周は基材(1)に固定されていない(0%)と判断する。
・算出された百分率C%が0%より多く100%未満である場合には、観察した当該不織布(2)の主面において、不織布(2)における周縁部分(3)の一部分が基材(1)に固定されている(C%)と判断する。
・面積Bが面積Aと同じである場合には、観察した当該不織布(2)の主面において、不織布(2)の周縁部分(3)全てが基材(1)に固定されている(100%)と判断できる。
なお、不織布(2)の両主面の各々に基材(1)に固定されている場合には、上述した算出を両主面ごとに対し行う。
また、不織布(2)における直接力を与えた部分以外にもより広く力が伝搬し易くなり、また、力の作用を受けた際に不織布(2)を通過する空気の量がより増加する傾向があると考えられることから、不織布(2)の周縁部分(3)全てが基材(1)に固定されていない場合には、不織布(2)の周縁部分(3)において、基材(1)に固定されている箇所(4)は均等に分布して存在しているのが好ましい。具体的には、不織布(2)の周縁部分(3)において、固定されている箇所(4)と固定されていない箇所とが交互に存在しており、各固定されている箇所(4)は、大きさと形状が同じで等しい離間距離を有して分布しているのが好ましい。
図1では不織布(2)の両主面に基材(1)を備えたマスク本体部(10)を例示しているが、不織布(2)の一方の主面にのみ基材(1)を備えたマスク本体部(10)であってもよい。しかし、力の作用を受けた際に不織布(2)を通過する空気の量が効果的に増加するように、また、不織布(2)の両主面における力の伝わり方や気体の通過態様が均一となり、更に濾過性能に優れたマスクを提供できるよう、不織布(2)の両主面に基材(1)を備えたマスク本体部(10)であるのが好ましい。
また、不織布(2)の両主面に同一の基材(1)を備えたマスク本体部(10)であっても良く、両主面に異なる基材(1、例えば、口元側に来る主面には肌触りを良い組成や構成を有する基材を採用し、外気側に来る主面には防汚効果を発揮する基材を採用するなど)を備えたマスク本体部(10)であっても良い。
また、マスク本体部(10)は基材(1)と不織布(2)のみで構成されていてもよいが、マスク本体部(10)における基材(1)側や不織布(2)側に、別の布帛や多孔フィルムなどの層を設けても良い。
本発明にかかるマスクは、マスク本体部(10)以外にマスク本体部(10)の左右両端側に設けられたゴム紐などの耳掛け部材を備えている。更に、マスク本体部(10)における鼻梁上部側に設けられた鼻金、マスク本体部(10)の口に当たる部分に設けられるマスクのふくらみ形状を保つマスクキーパー、呼気をマスク外へ排出可能な通気弁など、耳掛け部材以外の付加部材を備えていても良い。なお、不織布(2)を構成する摩擦帯電繊維同士を効率よく擦り合せることができるよう、上述した耳掛け部材以外の付加部材を少なく備えるマスクであるのが好ましく、上述した耳掛け部材以外の付加部材を備えていないマスクであるのがより好ましい。
また、本発明にかかるマスクの外形は適宜調整でき、特に限定するものではなく、例えば、二次元的なシート形状のマスク、三次元的なコルゲート形状やプリーツ形状のマスク、二つ折り形状のマスク、カップ型形状のマスクであることができるが、不織布(2)を構成する摩擦帯電繊維同士を効率よく擦り合せることができるよう、二次元的なシート形状のマスク、三次元的なコルゲート形状やプリーツ形状のマスク、二つ折り形状のマスクであるのが好ましい。
本発明にかかるマスクの使用方法では、マスクのマスク本体部(10)を構成する不織布(2)へ力を作用させてから、マスクを装着する。ここでいう不織布(2)へ力を作用させるとは、例えば、機械や手で不織布(2)を揉む、ローラなどの加圧装置へ供することであるいは手で叩き不織布(2)をその厚さ方向へ加圧しその後圧力を開放させる、不織布(2)に気体を通過させる、機械や手を用いて不織布(2)へ振動を与えるなどして、不織布(2)の厚さ方向や主面と平行を成す方向などから不織布(2)へ力を作用させることを指す。不織布(2)へ力を作用させることで、2種類以上の摩擦帯電繊維同士が擦れ合い帯電して、帯電した不織布(2)の層を備えるマスクを提供できる。
本発明にかかるマスクでは、不織布(2)の周縁部分(3)の少なくとも一部が基材(1)に固定されているため、上述した不織布(2)へ作用させる力によって効率よく2種類以上の摩擦帯電繊維同士が擦れ合わせることができる。そのため、不織布(2)へ力を作用させることで、更に捕集性能に優れたマスクを提供できる。
そして、マスクを洗濯したために不織布(2)の帯電が低下した状態や不織布(2)が帯電していない状態となった後でも、不織布(2)へ力を作用させることで、帯電量を復活させて捕集性能に優れたマスクを提供できる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、本実施例で用いた測定方法は次の通りである。
(通気抵抗と捕集効率の測定方法)
マスク本体部から試験片を採取した。そして、採取した試験片を柴田科学株式会社製の測定装置「AP-9000」に装着して、通気抵抗および捕集効率を測定した。
まず、試験片の有効ろ過面積44cmあたり毎分40リットルとなるよう試験流量を調整(例えば、有効ろ過面積が4.4cmの試験片へ供給する試験流量は毎分4リットル)し、試験片における上流と下流との差圧を測定し、測定された差圧から試験片の通気抵抗(単位:Pa)を求めた。なお、通気抵抗の値が低いマスク本体部(10)であることによって、通気性に優れるマスクを提供できる。
次いで、試験片の有効ろ過面積44cmあたり毎分30リットルとなるよう試験流量を調整(例えば、有効ろ過面積が4.4cmの試験片へ供給する試験流量は毎分3リットル)すると共に、塩化ナトリウム粒子(粒径分布の中央値:0.06~0.10μm、幾何標準偏差:1.8以下)が、濃度50mg/m以下(濃度変動:±15%以下)含有されている試験気流を、試験片の上流側へ供給した。試験気流を1分間供給した後の、試験片における上流側と下流側に存在する当該塩化ナトリウム粒子の濃度を、光散乱式粉じん濃度計を用いて測定し、測定された両濃度から試験片に捕集されている塩化ナトリウム粒子の濃度を算出した。
そして、試験片の上流側へ供給された塩化ナトリウム粒子の濃度に占める、試験片に捕集されている塩化ナトリウム粒子の濃度の百分率を算出し、その値を試験片の捕集効率(単位:%)とした。なお、捕集効率の値が高いマスク本体部(10)であることによって、捕集効率に優れるマスクを提供できる。
(ニードルパンチ不織布の準備)
ポリプロピレン繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:51mm)40質量%と、アクリル系繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:51mm)60質量%を均一に混ぜ合わせ、カード機へ供することで繊維ウェブを調製した。
そして、繊維ウェブの一方の主面側から、針密度50本/cmの条件下でニードルパンチ処理を施した。なお、裏面へニードルが突き出るようニードルパンチ処理を施した。このようにして、バインダや繊維接着によって構成繊維同士が一体化されておらず、構成繊維同士がただ絡合してなるニードルパンチ不織布(目付:120g/m、厚さ:1.8mm)を調製した。
(参考例1)
ニードルパンチ不織布単体をマスク本体部とした。
マスク本体部を洗濯し乾燥させた後、ニードルパンチ不織布に力を作用させることなく、当該マスク本体部から、通気抵抗と捕集効率の測定へ供する試験片を採取した。
(参考例2)
ニードルパンチ不織布単体をマスク本体部とした。
マスク本体部を洗濯し乾燥させた後、手で30回叩きニードルパンチ不織布の厚さ方向へ力を作用させた。次いで、当該マスク本体部から、通気抵抗と捕集効率の測定へ供する試験片を採取した。
(比較例1)
ニードルパンチ不織布の両主面に、各々ポリエステル繊維のニットA(目付:150g/m、厚さ:0.8mm、見掛け密度:190kg/m、通気度:135cm/cm・s)をただ重ね合わせマスク本体部を調製した。
マスク本体部を洗濯し乾燥させた後、手で30回叩きニードルパンチ不織布の厚さ方向へ力を作用させた。次いで、当該マスク本体部から、通気抵抗と捕集効率の測定へ供する試験片を採取した。
(実施例1)
ニードルパンチ不織布の両主面に、各々ポリエステル繊維のニットAをただ重ね合わせた後、超音波溶着機を用いて、ニードルパンチ不織布の両主面における周縁部分全てが両ニットに融着一体化して固定されているマスク本体部(図1に図示されているマスク本体部と同様)を調製した。
マスク本体部を洗濯し乾燥させた後、手で30回叩きニードルパンチ不織布の厚さ方向へ力を作用させた。次いで、当該マスク本体部における中央部分(ニードルパンチ不織布の両主面にニットがただ重なっている部分)から、通気抵抗と捕集効率の測定へ供する試験片を採取した。
上述のようにして製造した、各マスク本体部の諸物性を表1にまとめた。
Figure 2022054779000002
参考例1と参考例2とを比較した結果から、2種類以上の摩擦帯電繊維が混在している不織布は、力を受けることで帯電し捕集性能が向上するものであった。
参考例1と比較例1とを比較した結果から、比較例1で調製したマスク本体部もまた、当該不織布を備えているため、力を受けることで帯電し捕集性能が向上するものであった。しかし、比較例1で測定された捕集効率の値は、参考例2で測定された捕集効率の値よりも高い値とはならなかった。そのため、基材を備えているからといって、マスク本体部の帯電量が向上するものではないと考えられた。
一方、比較例1と実施例1とを比較した結果から、本発明にかかる構成を満足するマスク本体部は、力を受けることで更に帯電し捕集性能が向上するものであった。この理由として、不織布の周縁部分の少なくとも一部が基材に固定されているためだと考えられた。
(水流絡合不織布の準備)
ポリプロピレン繊維(繊度:1.7dtex、繊維長:51mm)70質量%と、アクリル系繊維(繊度:1.0dtex、繊維長:38mm)30質量%を均一に混ぜ合わせ、カード機へ供することで繊維ウェブを調製した。
ウェブの一方の主面側(A)からもう一方の主面側(B)へ向け水流絡合処理(水圧:3MPa、工程搬送速度:5m/min)を施した。その後、同条件で再度、ウェブのもう一方の主面側(B)から一方の主面側(A)へ向け水流絡合処理(水圧:3MPa、工程搬送速度:5m/min)を施した。そして、水流絡合処理を施したウェブをオーブンドライヤー(加熱温度:80℃)へ供することで、ウェブ中に含まれている水を除去した。
このようにして、バインダや繊維接着によって構成繊維同士が一体化されておらず、構成繊維同士がただ絡合してなる水流絡合不織布(目付:80g/m、厚さ:0.9mm、通気度:120cm/cm・s)を調製した。
(参考例3)
水流絡合不織布単体をマスク本体部とした。
マスク本体部を洗濯し乾燥させた後、水流絡合不織布に力を作用させることなく、当該マスク本体部から、通気抵抗と捕集効率の測定へ供する試験片を採取した。
(参考例4)
水流絡合不織布単体をマスク本体部とした。
マスク本体部を洗濯し乾燥させた後、手で30回叩き水流絡合不織布の厚さ方向へ力を作用させた。次いで、当該マスク本体部から、通気抵抗と捕集効率の測定へ供する試験片を採取した。
(比較例2)
水流絡合不織布の両主面に、各々ポリエステル繊維のニットAをただ重ね合わせマスク本体部を調製した。
マスク本体部を洗濯し乾燥させた後、手で30回叩き水流絡合不織布の厚さ方向へ力を作用させた。次いで、当該マスク本体部における、水流絡合不織布の両主面にニットがただ重なっている部分から、通気抵抗と捕集効率の測定へ供する試験片を採取した。
(実施例2)
水流絡合不織布の両主面に、各々ポリエステル繊維のニットAをただ重ね合わせた後、超音波溶着機を用いて、水流絡合不織布の両主面における周縁部分全てが両ニットに融着一体化して固定されているマスク本体部(図1に図示されているマスク本体部と同様)を調製した。
マスク本体部を洗濯し乾燥させた後、手で30回叩き水流絡合不織布の厚さ方向へ力を作用させた。次いで、当該マスク本体部における中央部分(水流絡合不織布の両主面にニットがただ重なっている部分)から、通気抵抗と捕集効率の測定へ供する試験片を採取した。
(実施例3)
水流絡合不織布の両主面に、各々ポリエステル繊維のニットB(目付:100g/m、厚さ:0.4mm、通気度:240cm/cm・s)をただ重ね合わせた後、超音波溶着機を用いて、水流絡合不織布の両主面における周縁部分の一部(両主面とも10%)が両ニットに融着一体化して固定されているマスク本体部を調製した。なお、水流絡合不織布の両主面における周縁部分において、ニットに固定されている箇所と固定されていない箇所とが交互に存在しており、各固定されている箇所の大きさと形状が同じで等しい離間距離を有して分布するように、融着一体化を行った。
マスク本体部を洗濯し乾燥させた後、手で30回叩き水流絡合不織布の厚さ方向へ力を作用させた。次いで、当該マスク本体部における中央部分(水流絡合不織布の両主面にニットがただ重なっている部分)から、通気抵抗と捕集効率の測定へ供する試験片を採取した。
上述のようにして製造した、各マスク本体部の諸物性を表2にまとめた。
Figure 2022054779000003
参考例3と参考例4とを比較した結果から、2種類以上の摩擦帯電繊維が混在している不織布は、力を受けることで帯電し捕集性能が向上するものであった。
参考例4と比較例2とを比較した結果から、比較例2で調製したマスク本体部もまた、当該不織布を備えているため、力を受けることで帯電し捕集性能が向上するものであった。しかし、比較例2で測定された捕集効率の値は、参考例4で測定された捕集効率の値よりも高い値とはならなかった。そのため、基材を備えているからといって、マスク本体部の帯電量が向上するものではないと考えられた。
一方、比較例2と実施例2および実施例3とを比較した結果から、本発明にかかる構成を満足するマスク本体部は、力を受けることで更に帯電し捕集性能が向上するものであった。この理由として、不織布の周縁部分の少なくとも一部が基材に固定されているためだと考えられた。
また、実施例2と実施例3とを比較した結果から、不織布の周縁部分の全てが基材に固定されているマスク本体部である方が、力を受けることで更に帯電し捕集性能が向上するものであった。
以上から、本発明の構成を満足するマスク本体部を備えたマスクに対し、不織布へ力を作用させてから装着するマスクの使用方法によって、更に帯電性能が向上したマスクを提供できることが判明した。
本発明にかかるマスクの使用方法によって、更に捕集性能に優れたマスクを提供できる。
1・・・基材
2・・・不織布
3・・・不織布の周縁部分
4・・・不織布が基材に固定されている箇所
10・・・マスク本体

Claims (2)

  1. 基材と、互いに擦れ合うことで帯電可能である構成樹脂の異なる2種類以上の繊維が混在している不織布とが積層してなるマスク本体部を備えたマスクに対し、前記不織布へ力を作用させてから装着する、マスクの使用方法であって、
    前記不織布の周縁部分の少なくとも一部が前記基材に固定されている、マスクの使用方法。
  2. 洗濯した後に、前記不織布へ力を作用させてから装着する、請求項1に記載のマスクの使用方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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