JP2022054393A - ソケットに対する人工歯の適合精度が高い義歯の製作方法 - Google Patents

ソケットに対する人工歯の適合精度が高い義歯の製作方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ソケットに対する人工歯の適合精度を向上させた義歯を提供する。【解決手段】本開示の義歯の製造方法は、人工歯と義歯床とを準備するステップ、ソケットに接着剤を塗布するステップ、接着剤が塗布されたソケットに人工歯を埋入するステップ、を含み、ソケットに埋入される側の前記人工歯の表面とソケットを画定する内面とのうち少なくとも一方に、1つ又は複数の溝が設けられており、1つ又は複数の溝、舌側に延びる溝を有し、ソケットに人工歯を埋入するステップは、舌側に延びる溝の終端を義歯床から露出させることによって接着剤を排出する排出孔を形成すること、排出孔から接着剤を排出すること、を有する。【選択図】図11

Description

本発明は義歯および義歯の製造方法に関し、特に、コンピュータ支援の設計製造方法(CAD/CAM)に拠る有床義歯の製作方法に関する。
特許文献1には、3次元データを元にCAD上で設計され削り出された義歯床に対応する形状を有する人工歯が開示されている。特許文献1に記載の人工歯では、義歯床に接触すべき部位に、歯軸を中心に回転することを規制する手段が設けられており、規制する手段は、歯軸方向において義歯床に係合しない形状を有している。
特許文献2には、床部と、床部に隣接して形成され人工歯が配置される複数のソケットと、複数のソケットの間の隔壁に設けられ隔壁を部分的に低背とする第一切欠部と、を有する義歯床と、義歯床のソケットに固定された人工歯と、を有する有床義歯の製造方法が開示されている。
特許文献3には、義歯床の凹部の入隅部に埋入されるべき凸部を有し、凸部は、入隅部に埋入されたときに該入隅部に接触することなく、入隅部との間に所定の間隙を形成する形態である人工歯が開示されている。
特許文献4には、義歯床と、義歯床に配列される少なくとも2本の人工歯と、を備える義歯を製作するための方法が開示されている。
国際公開第2015/125573号明細書 特開2018-102853号公報 国際公開第2015/194449号明細書 国際公開第2018/069317号明細書
本発明が解決しようとする課題は、ソケットに対する人工歯の適合精度を向上させた義歯を提供することである。
上記課題を解決する本発明について、以下に説明する。ここでは分かり易さのため、明細書、図面に付した参照符号を括弧書きで併せて記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の一態様の義歯の製造方法は、
人工歯(1,1A)と、前記人工歯(1,1A)が埋入される凹状のソケット(2,2A)が設けられた義歯床(3,3A)と、を準備するステップと、
前記ソケット(2,2A)に接着剤(12)を塗布するステップと、
前記接着剤(12)が塗布された前記ソケット(2,2A)に前記人工歯(1,1A)を埋入するステップと、
を含み、
前記ソケット(2,2A)に埋入される側の前記人工歯(1,1A)の表面(5)と前記ソケット(2,2A)を画定する内面(6)とのうち少なくとも一方に、1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)が設けられており、
前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)は、舌側に延びる溝(9,9A,13)を有し、
前記ソケット(2,2A)に前記人工歯(1,1A)を埋入するステップは、
前記舌側に延びる溝(9,9A,13)の終端(9a,9b)側を前記義歯床(3,3A)から露出させることによって前記接着剤(12)を排出する排出孔(11,11A)を形成すること、
前記排出孔(11,11A)から前記接着剤(12)を排出すること、
を有する。
本発明の一態様の義歯は、
人工歯(1,1A)と、
前記人工歯(1,1A)が埋入される凹状のソケット(2,2A)が設けられた義歯床(3,3A)と、
を備え、
前記ソケット(2,2A)に埋入される側の前記人工歯(1,1A)の表面(5)と前記ソケット(2,2A)を画定する内面(6)とのうち少なくとも一方に、1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)が設けられており、
前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)は、舌側に延びる溝(9,9A,13)を有し、
前記舌側に延びる溝(9,9A,13)の終端(9a,9b)側は、前記義歯床(3,3A)から露出しており、
前記人工歯(1,1A)と前記義歯床(3,3A)とは、接着剤(12)によって接着固定されており、且つ前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)には前記接着剤(12)が配置されている。
本発明によれば、ソケットに対する人工歯の適合精度を向上させた義歯を提供することができる。
義歯前頭断面図(実施形態1 代表例) 人工歯斜視図(実施形態2) 下顎義歯の人工歯部右側の咬合面観 下顎犬歯部人工歯基底面図(実施形態3) 義歯前頭断面図(公知技術形態) 義歯前頭断面図(実施形態4) 義歯前頭断面図(実施形態5) 連結人工歯基底面図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯設計工程プログラム概念図 義歯の製造方法のフローチャートの一例を示す図 排出孔の形成工程の一例について説明するための概念図 排出孔から接着剤を排出する工程の一例について説明するための概念図 排出孔の形成工程の一例について説明するための概念図 排出孔から接着剤を排出する工程の一例について説明するための概念図
(本開示に至った経緯)
近年、有床義歯の製作方法として、CAD/CAMの技術を用いてコンピュータ上で義歯を設計し、人工歯が埋入される部分を除いた義歯床をNC工作機械による切削加工や3Dプリント等の方法にて製作し、その義歯床の人工歯埋入部(これをソケットという。)に接着剤を用いて既製の人工歯や3Dプリント等の方法で製作した人工歯を結合する方法が実用化され始めている。また、一般的に義歯床と人工歯との適合に誤差が生じることを考慮して、ソケットは人工歯との間に隙間(オフセット)が形成されるように人工歯の形状より大きな寸法で設けられることが多い。しかし実際には接着剤を塗布する量や粘度の影響もあり、コンピュータ上で設計した位置でソケットに人工歯を精度良く埋入することは困難である。また、1歯ずつの人工歯をソケットに埋入し、接着する操作は手作業となるため、接着剤の厚みにばらつきが生じやすく、義歯全体の咬合接触関係の確立に大きな影響を及ぼし、省力化を損ねる要因にもなっている。
すなわち、コンピュータ上では適切な咬合状態で義歯を設計出来たとしても、実際には生じた誤差による影響を受け、咬合関係の削合調整が生じ、デジタル化による省力化を損ねる大きな原因になることに加えて、精度の高い義歯製作を行うことの大きな妨げとなっている。
本操作において、接着剤の塗布量を制御することは難しく経験の差が生じやすい。接着剤の量が多い場合は、人工歯を埋入する際に人工歯の表面や義歯床の研磨面に接着剤が漏出する。このため、漏出した接着剤を拭い取る操作や、場合によっては切削研磨などの煩雑な作業が生じるなど、省力化を損ねるのみならず、人工歯の審美性や義歯の外観、および本来の設計形状を損ねる要因にもなっている。
特許文献1では、義歯床に接触すべき部位に、歯軸方向において義歯床に係合しない形状の規制手段を設け、規制手段によって歯軸を中心に回転方向への人工歯の流動を防止している。しかし、接着剤の厚みによる垂直方向への人工歯の浮き上がりを制御することは困難である。
特許文献2では、ソケットと人工歯の間からの接着剤の漏出を制御する方法として、義歯床において、隣接して形成され人工歯が配置される複数のソケットの間に設けられ隔壁を部分的に低く設計する方法が開示されている。しかし、ソケットの隔壁を低くすると、人工歯と義歯床との結合強度を補うことができず、口腔内に食物がない状態の人工歯同士の咬合接触、または摂食時の食品を介在した状態での咬合圧や食品を破砕したときの衝撃に耐えられず、人工歯が脱落するなどの懸念がある。
特許文献3では、CAD/CAMにより設計して形成された義歯床に人工歯を排列する際に、確実に義歯床に対して取り付けることができる人工歯を開示している。しかし、義歯床の凹部の入隅部に応じて埋入されるべき人工歯の凸部を設計し、別途、人工歯を造形することは高精度で煩雑な工程が要求される場合がある。また、既製の人工歯の場合、義歯床の設計より先に入隅部の形状が決定されているため、この方法は利用困難である。更に、接着剤の塗布量の影響は考慮していない為、人工歯との安定的な適合精度を確保することが困難である。
特許文献4では、人工歯の共通配置支持体が少なくとも2本の人工歯に接続された状態で少なくとも2本の人工歯を製作するステップを含む義歯製作方法が開示されている。特許文献4に記載の義歯制作方法では、複数の人工歯とソケットの適合精度の向上を図っている、しかし、外観に触れる唇面や咬合面など、形態的に重要な機能を司るべき場所に共通支持体を配置しているため、支持体の除去で切削跡が残るため、表面性状の回復や咬合関係の調整など、非常に煩雑な作業をする場合がある。
そこで、上記課題を解決するため、本発明者らは、コンピュータ支援(CAD/CAM)による義歯製作において省力化のメリットを損ねることなく、より効率的な作業が可能であり、ソケットに対する人工歯の適合精度が高く、上下顎の咬合接触関係を高い精度で確立することを検討した。より具体的には、本発明者らは、人工歯とソケットの結合操作において、接着剤をソケット内で均等に充填させ、更に、ソケット外への漏出を必要最小限に止め、余分な調整作業を排除し、接着剤の塗布量による影響を受けにくい、義歯の製作方法を検討した。
その結果、本発明者らは、人工歯とソケットの結合操作において、接着剤をソケット内で均等に充填させ、更に、ソケット外への漏出を必要最小限に止め、余分な調整作業を排除し、接着剤の塗布量による影響を受けにくくなる義歯の制作方法を想到した。すなわち、本発明者らは、コンピュータ支援(CAD/CAM)による義歯製作において省力化のメリットを損ねることなく、より効率的な作業が可能となり、ソケットに対する人工歯の適合精度が高く、上下顎の咬合接触関係を高い精度で確立することが可能となる義歯の制作方法を想到した。
本発明の第1態様の義歯の製造方法は、
人工歯(1,1A)と、前記人工歯(1,1A)が埋入される凹状のソケット(2,2A)が設けられた義歯床(3,3A)と、を準備するステップと、
前記ソケット(2,2A)に接着剤(12)を塗布するステップと、
前記接着剤(12)が塗布された前記ソケット(2,2A)に前記人工歯(1,1A)を埋入するステップと、
を含み、
前記ソケット(2,2A)に埋入される側の前記人工歯(1,1A)の表面(5)と前記ソケット(2,2A)を画定する内面(6)とのうち少なくとも一方に、1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)が設けられており、
前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)は、舌側に延びる溝(9,9A,13)を有し、
前記ソケット(2,2A)に前記人工歯(1,1A)を埋入するステップは、
前記舌側に延びる溝(9,9A,13)の終端(9a,9b)側を前記義歯床(3,3A)から露出させることによって前記接着剤(12)を排出する排出孔(11,11A)を形成すること、
前記排出孔(11,11A)から前記接着剤(12)を排出すること、
を有する。
本発明の第2態様の義歯の製造方法においては、
前記準備するステップは、前記人工歯(1)の基底面(7)から前記舌側の側面(5a)にわたって延びる第1溝(9)と、前記人工歯(1)の基底面(7)から頬側又は唇側の側面(5b)にわたって延びる第2溝(10)と、が設けられた人工歯(1)を準備すること、を有し、
前記舌側の側面(5a)を延びる前記第1溝(9)の終端(9a)は、前記人工歯(1)の舌側の歯頸線(8)よりも歯冠側に位置し、
前記頬側又は唇側の側面(5b)を延びる前記第2溝(10)の終端(10b)は、前記人工歯(1)の頬側又は唇側の歯頸線(8)よりも歯根側に位置していてもよい。
本発明の第3態様の義歯の製造方法においては、
前記準備するステップは、前記人工歯(1,1A)の基底面(7)と面する前記ソケット(2A)の凹底面(6a)から舌側の凹側面(6b)にわたって延びる第3溝(9A)と、前記ソケット(2A)の凹底面(6a)から頬側又は唇側の凹側面(6c)にわたって延びる第4溝(10A)と、が設けられた義歯床(3A)を準備すること、を有し、
前記舌側の凹側面(6b)を延びる前記第3溝(9A)の終端(9b)は、前記義歯床(3A)の前記舌側の外面(6d)に達しており、
前記頬側又は唇側の凹側面(6c)を延びる前記第4溝(10A)の終端(10b)は、前記義歯床(3A)の前記頬側又は前記唇側の外面(6e)に達していなくてもよい。
本発明の第4態様の義歯の製造方法においては、
前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)の延びる方向と直交する方向に切断したときの前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)の断面積は、0.01mm以上10.0mm以下であってもよい。
本発明の第5態様の義歯の製造方法においては、
前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)の延びる方向と直交する方向に切断したときの前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)の断面積は、前記舌側に向かって大きくなっていてもよい。
本発明の第6態様の義歯の製造方法においては、
前記準備するステップは、
コンピュータによって、前記義歯床(3)の義歯床設計データ(D3)を作成すること、
作製装置によって、前記義歯床設計データ(D3)に基づいて前記義歯床(3)を作製すること、
を有し、
前記義歯床設計データ(D3)を作成することは、第1溝(9)及び第2溝(10)が設けられていない人工歯形状データ(D1)に基づいて、凹状のソケット(D2)が設けられた前記義歯床設計データ(D3)を作成してもよい。
本発明の第7態様の義歯の製造方法においては、
前記準備するステップは、
コンピュータによって、前記義歯床(3A)の義歯床設計データ(D3A)を作成すること、
作製装置によって、前記義歯床設計データ(D3A)に基づいて前記義歯床(3A)を作製すること、
を有し、
前記義歯床設計データ(D3A)を作成することは、前記第3溝(9A)及び前記第4溝(10A)の形状に対応する第1凸部(D15)及び第2凸部(D16)を有する人工歯形状データ(D1A)に基づいて、第3溝(D9A)及び第4溝(D10A)が内面に設けられた凹状のソケット(D2A)が設けられた前記義歯床設計データ(D3A)を作成してもよい。
本発明の第8態様の義歯の製造方法においては、
前記人工歯(1、1A)は、中切歯部、側切歯部、犬歯部、第一小臼歯部、第二小臼歯部、第一大臼歯部および第二大臼歯のうち少なくとも隣接する2つ以上の歯部を有していてもよい。
本発明の第9態様の義歯の製造方法においては、
前記人工歯(1)の基底面(7)には、少なくとも隣接する2つ以上の歯部に跨って連続して設けられる連続溝(14)が設けられており、
前記1つ又は複数の溝(9,10,13)は、前記人工歯(1)の前記表面(5)に設けられており、
前記連続溝(14)は、前記1つ又は複数の溝(9,10,13)と連通していてもよい。
本発明の第10態様の義歯は、
人工歯(1,1A)と、
前記人工歯(1,1A)が埋入される凹状のソケット(2,2A)が設けられた義歯床(3,3A)と、
を備え、
前記ソケット(2,2A)に埋入される側の前記人工歯(1,1A)の表面(5)と前記ソケット(2,2A)を画定する内面(6)とのうち少なくとも一方に、1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)が設けられており、
前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)は、舌側に延びる溝(9,9A,13)を有し、
前記舌側に延びる溝(9,9A,13)の終端(9a,9b)側は、前記義歯床(3,3A)から露出しており、
前記人工歯(1,1A)と前記義歯床(3,3A)とは、接着剤(12)によって接着固定されており、且つ前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)には前記接着剤(12)が配置されていてもよい。
本発明の第11態様の義歯においては、
前記1つ又は複数の溝(9,10,13)は、前記人工歯(1)の基底面(7)から前記舌側の側面(5a)にわたって延びる第1溝(9)と、前記人工歯(1)の基底面(7)から頬側又は唇側の側面(5b)にわたって延びる第2溝(10)と、を有し、
前記舌側の側面(5a)を延びる前記第1溝(9)の終端(9a)は、前記人工歯(1)の舌側の歯頸線(8)よりも歯冠側に位置し、
前記頬側又は唇側の側面(5b)を延びる前記第2溝(10)の終端(10a)は、前記人工歯(1)の頬側又は唇側の歯頸線(8)よりも歯根側に位置していてもよい。
本発明の第12態様の義歯においては、
前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)は、前記人工歯(1,1A)の基底面(7)と面する前記ソケット(2A)の凹底面(6a)から舌側の凹側面(6b)にわたって延びる第3溝(9A)と、前記ソケット(2A)の凹底面(6a)から頬側又は唇側の凹側面(6c)にわたって延びる第4溝(10A)と、を有し、
前記舌側の凹側面(6b)を延びる前記第3溝(9A)の終端(9b)は、前記義歯床(3A)の前記舌側の外面(6d)に達しており、
前記頬側又は唇側の凹側面(6c)を延びる前記第4溝(10A)の終端(10b)は、前記義歯床(3A)の前記頬側又は前記唇側の外面(6e)に達していなくてもよい。
本発明の第13態様の義歯においては、
前記人工歯(1、1A)は、中切歯部、側切歯部、犬歯部、第一小臼歯部、第二小臼歯部、第一大臼歯部および第二大臼歯のうち少なくとも隣接する2つ以上の歯部を有していてもよい。
本発明の第14態様の義歯においては、
前記人工歯(1)の基底面(7)には、少なくとも隣接する2つ以上の歯部に跨って連続して設けられる連続溝(14)が設けられており、
前記1つ又は複数の溝(9,10,13)は、前記人工歯(1)の前記表面(5)に設けられており、
前記連続溝(14)は、前記1つ又は複数の溝(9,10,13)と連通しており、
え接着剤(12)が配置されていてもよい。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。尚、図面は分かりやすさの為、最も効果的な例を示しているが、本発明はこれに限定するものではない。
図1は義歯20の代表例の前頭断面図を示す。義歯20は、人工歯1と、人工歯1を埋入するソケット2が設けられた義歯床3と、を備える。ソケット2には接着剤12のスペース4が設けられている。スペース4は、人工歯1と義歯床3の嵌め合い公差を考慮して設けられた隙間である。図中では義歯20の左側が頬側、右側が舌側を示す。なお、図1に示す例では、人工歯1として臼歯を説明している。また、接着剤12の材質は特に限定されるものでは無く、公知の接着剤の他、アクリル系の常温重合レジンや、義歯床3を3Dプリンタ等で造形する場合にはその液材も利用可能である。
義歯20では、人工歯1の基底面7から舌側の歯頸線8の上まで延伸する溝9と、人工歯1の基底面7から唇側または頬側の歯頸線8の下まで延伸する溝10と、が人工歯1の埋入部分の表面5に設けられている。但し、本発明はこれに限定することなく、溝9,10は義歯床3のソケット2の内面6、またはその両方に設けられていてもよい。なお、本明細書では、溝9を「第1溝9」と称し、溝10を「第2溝10」と称する場合がある。
なお、人工歯1の埋入部分の表面5とは、人工歯1のうちソケット2に配置される側の表面を意味する。例えば、表面5は、人工歯1においてソケット2の内面6と面する面であり、義歯20を側方から見て、人工歯1の基底面7及び側面5a,5bを有する。側面5aは人工歯1の舌側の側面であり、側面5bは人工歯1の頬側の側面である。また、歯頸線8とは、人工歯1において歯冠と歯根の境界線を意味する。例えば、歯頸線8はソケット2に人工歯1が埋入される深さを示していてもよい。
人工歯1の形状や材質、製作手段は特に限定されるものではなく、公知の技術によるものを用いてもよい。たとえば金型によって大量生産されたアクリルレジン製の既製人工歯や、歯科用CAD/CAMの技術を用いて、患者個々の要望を満たす形状に設計され、切削加工または積層造型されたものを用いてもよい。人工歯1の形状は1つ1つの部位が独立した単独歯を用いてもよいし、2歯以上の部位が連結されていてもよい。例えば、人工歯1は、中切歯部、側切歯部、犬歯部、第一小臼歯部、第ニ小臼歯部、第一大臼歯部及び第二大臼歯部のうち少なくとも1つを備える。
義歯床3は、人工歯1が配置される土台である。義歯床3には、人工歯1を埋入するためのソケット2が形成されている。義歯床3の材質は特に限定されるものではなく、例えばPMMA(ポリメチルメタクリレート)やPC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)など、公知の技術によるものを用いてもよい。
ソケット2は、義歯床3の表面において凹状に窪んだ部分である。ソケット2には、人工歯1の基部が挿入される。人工歯1の基部とは、人工歯1の基底面7側の部分であり、義歯床3に接着される部分である。ソケット2は、人工歯1の基部の外形形状に合わせて凹状に形成されている。即ち、ソケット2は、人工歯1の基部の少なくとも一部を囲う凹状に窪んで形成されている。ソケット2は、人工歯1の排列方向に沿って形成されている。
人工歯1は、接着剤12によって義歯床3と接着され、固定されている。接着剤12は、人工歯1の表面5とソケット2の内面6との間のスペース4に設けられている。
図1に示す例では、人工歯1の基底面7側に、溝9,10が設けられている。溝9は、人工歯1の基底面7と人工歯1の舌側の側面5aとに形成されている。具体的には、溝9は、人工歯1の側方から見て、基底面7において人工歯1の中央付近から舌側に向かって延び、且つ人工歯1の舌側の側面5aを咬頭側(歯冠側)に向かって延びている。例えば、溝9は、人工歯1の中央付近から舌側に向かって直線状に形成されている。人工歯1の舌側の側面5aに形成される溝9の終端9a側は、義歯床3から露出している。具体的には、人工歯1の舌側の側面5aに形成される溝9の終端9aは、人工歯1の歯頸線8よりも歯冠側に位置する。歯頸線8は、人工歯1においてソケット2に埋入される高さを示すラインである。このため、人工歯1の舌側の側面5aにおいて人工歯1の基底面7から溝9の終端9aまでの距離は、ソケット2の深さよりも大きい。これにより、人工歯1がソケット2に埋入された状態において、溝9の終端9a側が、義歯床3から露出し、排出孔11を形成する。排出孔11は、人工歯1をソケット2に接着固定する際に、人工歯1の表面5とソケット2の内面6との間に設けられた余剰の接着剤12を排出する。排出孔11の大きさは特に限定されるものではないが、開口面積において0.01mm以上10.0mm以下であり、好ましくは0.1mm以上4.0mm以下である。
溝10は、人工歯1の基底面7と人工歯1の頬側の側面5bとに形成されている。具体的には、溝10は、人工歯1の側方から見て、基底面7において人工歯1の中央から頬側に向かって延び、且つ人工歯の頬側の側面5bを咬頭側(歯冠側)に向かって延びている。例えば、溝10は、人工歯1の中央付近から頬側に向かって直線状に形成されている。溝10は、義歯床3から露出していない。具体的には、人工歯1の頬側の側面5bに形成される溝10の終端10aは、人工歯1の歯頸線8よりも歯根側に位置しており、人工歯1の歯頸線8よりも歯冠側に位置していない。このため、人工歯1の頬側の側面5bにおいて人工歯1の基底面7から溝10の終端10aまでの距離は、ソケット2の深さよりも小さい。これにより、人工歯1がソケット2に埋入された状態において、溝10は義歯床3から露出しない。
溝9及び溝10の断面積は、0.01mm以上10.0mm以下であり、好ましくは0.1mm以上4.0mm以下である。ここで、溝9及び溝10の断面積とは、溝9及び溝10の延びる方向に直交する方向に切断した断面の面積を意味する。溝9及び溝10の断面の形状は特に限定されることは無く、例えば半円形や楕円形、台形又は三角形などであってもよい。溝9,10により、接着剤12を舌側方向、あるいは唇側や頬側方向へ容易に流動させ、充填量に過不足が生じることなく制御することが可能となる。また、溝9,10は、直線状に形成される例について説明したが、これに限定されない。例えば、溝9,10は、曲線状に形成されていてもよい。また、溝9及び溝10の断面積は、溝9及び溝10の延びる方向に変化してもよい。例えば、溝9及び溝10の断面積は、頬側から舌側に向かって大きくなってもよい。あるいは、溝9及び溝10の断面積は、一定であってもよい。
また、図1に示す例では、基本的な要件を示すため、溝9と溝10とはそれぞれ独立した溝を示しているが、本発明はこれに限定されない。図2にも後述するとおり、舌側の歯頸線8の上から基底面7を経由して唇側または頬側の歯頸線8の下まで横断する1つの溝が形成されていてもよい。即ち、溝9と溝10が繋がって、1つの溝を形成していてもよい。
図2は義歯20における人工歯1の一例を示す。図2に示す例では、人工歯1は犬歯である。図2に示す例では、基底面7から舌側の歯頸線8の上まで延伸する溝9と、基底面7から唇側または頬側の歯頸線8の下まで延伸する溝10は1つの溝13で形成されている。すなわち、溝13は、舌側の歯頸線8の上から基底面7を経由して唇側または頬側の歯頸線8の下まで横断している。但し、本発明はこれに限定することなくそれぞれ独立した溝であってもよい。
詳細に説明すると、図2に示す例では、溝9及び溝10が一体で形成されることによって、1つの溝13が形成されている。溝13は、人工歯1の基底面7において人工歯1の唇側の側面5bから舌側の側面5aに向かって連続して設けられている。例えば、溝13は、人工歯1の基底面7において人工歯1の唇側の側面5bから舌側の側面5aに向かって直線状に形成されている。また、溝13の断面積は、人工歯1の唇側の側面5bから舌側の側面5aに向かって変化している。ここで、溝13の断面積とは、溝13の延びる方向に直交する方向に切断した断面の面積を意味する。例えば、溝13の断面積は、人工歯1の唇側の側面5bから舌側の側面5aに向かって連続して大きくなってもよいし、段階的に大きくなってもよい。これにより、舌側へ接着剤12を流動させやすくなる。溝13の断面積は、0.01mm以上10.0mm以下であり、好ましくは0.1mm以上4.0mm以下である。溝13の断面の形状は、特に限定されることは無く、例えば半円形や楕円形、台形又は三角形などであってもよい。
図3aは例示的な下顎義歯20Aの人工歯部右側の咬合面観であり、図3bは図3aのZ1部分で示す下顎犬歯部TL3を基底面7側から見た拡大図を示す。なお、図3aに示す下顎義歯20Aは、左右両側に、下顎中切歯部TL1、下顎側切歯部TL2、下顎犬歯部TL3、下顎第一小臼歯部TL4、下顎第二小臼歯部TL5、下顎第一大臼歯部TL6及び下顎第二大臼歯部TL7を有する。下顎中切歯部TL1、下顎側切歯部TL2、下顎犬歯部TL3、下顎第一小臼歯部TL4、下顎第二小臼歯部TL5、下顎第一大臼歯部TL6及び下顎第二大臼歯部TL7は、歯列弓形状、即ちU字状に配列されている。下顎中切歯部TL1、下顎側切歯部TL2及び下顎犬歯部TL3は前歯部に含まれ、下顎第一小臼歯部TL4、下顎第二小臼歯部TL5、下顎第一大臼歯部TL6及び下顎第二大臼歯部TL7は臼歯部に含まれる。
図3aに示すとおり、唇側とは前歯部が開口時に外観に触れる側、頬側とは臼歯部が口腔内の頬粘膜に触れる側を示し、いづれも歯列弓より外側を指す。また、舌側とは舌に接触する側であり、歯列弓より内側を指す。本明細書の記載においては便宜上、人工歯1またはソケット2に設けられる溝9,10の延伸方向の範囲を明確に規定するため、唇側とは前歯部を唇舌方向に2分する切縁を境界線L1とし、開口時に外観に触れる側の全領域を指す。頬側とは臼歯部頬側咬頭頂を連ねる咬合縁を境界線L2として開口時に外観に触れる側の領域を指す。舌側とは前歯部、臼歯部の各境界線L1,L2より舌に接触する側の領域を指す。また、上顎においては通常、下顎の舌側に相当する側を口蓋側ともいうが、本明細書においては舌側に呼称を統一する。
図3bの下顎犬歯部TL3の例では、下顎犬歯部TL3の舌側において、溝9は遠心側に設けられている。また、下顎犬歯部TL3の基底面7の中央から舌側の側面5aまで延伸する溝9は、下顎犬歯部TL3の遠心側で、境界線L1と交差する方向に延びている。具体的には、溝9の延伸方向A1は、下顎犬歯部TL3の基底面7の中央で境界線L1と直交する方向に対し、より遠心寄りになっている。これにより舌側において接着剤12の排出孔11が外観上目立たなくなる。また、下顎犬歯部TL3の唇側においても、溝10が遠心寄りに設けられている。また、基底面7の中央から唇側の側面5bまで延伸する溝10は、下顎犬歯部TL3の遠心側で、境界線L1と交差する方向に延びている。具体的には、溝10の延伸方向A2は、下顎犬歯部TL3の基底面7の中央で境界線L1と直交する方向に対し、より遠心寄りになっている。これにより、透過性の有る義歯床を使用する場合は、義歯を正面から見て下顎犬歯部TL3の側面5bが溝10の部分で欠けて見えることを防ぐことができるため、審美性に優れた義歯を製作することが可能となる。なお、図3bに示す溝9及び溝10の延伸方向A1,A2は、一例であって、これに限定されるものではない。例えば、溝9及び溝10の延伸方向A1,A2は、基底面7より前頭断面に平行であってもよく、矢状断面に平行な方向であってもよい。なお、図3bにおいては、下顎犬歯部3bの例を用いて説明したが、これに限定されない。図3bに示す構成は、他の人工歯に適用されてもよい。
図4は公知のCAD/CAM技術を用いて製作した義歯100において、ソケット102の内面106に接着剤112等を塗布し人工歯101を埋入したときに、舌側と頬側の間で接着剤112のスペース104に偏りが生じる例を前頭断面で示す。図中の破線矢印は、人工歯101が本来の埋入位置からずれる方向を表したものである。公知の技術によれば、ソケット102と人工歯101の間は接着剤112のスペース104が設けられている。
しかし、手作業で接着剤112の量を適切に規定し、人工歯101を正確にソケット102の中心位置に固定することは実際には不可能であり、図4に示すとおり頬側又は舌側の隔壁に沿う形で固定せざるを得ない。その結果、舌側と頬側の間で接着剤112のスペース104の偏りが生じる。
図4で示すように、人工歯101が設計上の目標とする位置より頬側寄りでソケット102に埋入された場合、頬側の歯冠軸面において接着剤112のスペース104は想定より薄くなるため、接着剤112の充填量が過剰となる。これにより、頬側面では接着剤112がソケット102を超えて漏出し、拭き取る作業が生じる場合がある他、人工歯101の基底面107では接着剤112の被膜も増し、咬合高径が高くなる。その一方で、舌側においては、人工歯101とソケット102の空間に設けられる接着剤112の量が不足し、舌側の歯冠軸面では接着剤112が歯頸線108の高さまで満たされず、歯周ポケット状の空洞を生じる可能性が高くなる。こうした場合、接着剤112の追加充填という煩雑な作業を行うか、接着剤112の追加充填をせずにそのまま完成させた場合にはプラークの宿巣となるため、不衛生な義歯となる。その他、基底面107では接着剤112の被膜が薄くなり、咬合高径が低くなるため、設計上の咬合接触は確立できなくなる。基底面107では、頬側と舌側の間において接着剤112のスペース104が遮断される部分が生じるため、スペース104の狭い側から広い側へ接着剤112を流動させることは困難といえる。
即ち、図4に示す例では、人工歯101の埋入時の2次元的な偏りは、3次元的な偏りにまで発展し、義歯製作工程の煩雑さを助長し、衛生面および機能面の品質にも影響を与えている。なお、図4に示す例では、人工歯101がソケット102の内面106において頬側に偏った場合を示しているが、舌側に偏った場合も同様のことがいえる。
図5は例示的な義歯20を前頭断面で示す。図5に示す例では、人工歯1が頬側寄りでソケット2に埋入されている。図中の破線矢印はスペース4の偏りにより人工歯1が設計上の埋入位置からずれる方向を示したものである。図5に示す例では、人工歯1の表面5には舌側の歯頸線8の上まで延伸する溝9と、唇側または頬側の歯頸線8の下まで延伸する溝10が設けられている。これにより、溝9,10を通じて接着剤12を舌側方向、あるいは唇側や頬側方向へ容易に流動させ、充填量の過不足が生じることを制御することが可能となる。更に、溝10は唇側または頬側の歯頸線8の下までとする一方、溝9は舌側の歯頸線8の上まで開口させ排出孔11とすることにより、余剰な接着剤12が生じた場合は、舌側に限定して排出されることとなり、接着剤12を拭き取る作業の煩雑さを軽減することが可能となる。
図6は義歯20Aにおいて、溝9Aと溝10Aを義歯床3Aのソケット2Aの内面6に設けた例を示す。図6に示す例では、義歯床3Aのソケット2Aの内面6に人工歯1Aの基底面7から、義歯床3の外部に露出する溝9Aと、唇側または頬側の歯頸線8の下まで延伸する溝10Aを備える。前述のとおり、2つの溝9A,10Aは独立していてもよいが、一本化してもよい。なお、本明細書では、溝9Aを「第3溝9A」と称し、溝10Aを「第4溝10A」と称する場合がある。
更に、義歯20の構成としては、図1で示した溝9,10を付与した人工歯1と、図5に示す溝9A,10Aを付与したソケット2Aを備える義歯床3Aを組み合わせてもよい。いずれの場合も効果は同様であり、溝9,10,9A,10Aを通じて接着剤12を容易に舌側方向、あるいは唇側や頬側方向へ流動させ、充填量の過不足を制御することが可能となる。
詳細に説明すると、図6に示す例では、義歯20Aは、人工歯1Aと、人工歯1Aが埋入される凹状のソケット2Aが設けられた義歯床3Aと、を備える。人工歯1Aは、表面5に溝9,10が設けられていない。人工歯1Aは、例えば、既製品の人工歯を用いることができる。義歯床3Aには、ソケット2Aを画定する内面6に第3溝9A及び第4溝10Aが設けられている。第3溝9Aは、人工歯1Aの基底面7と面するソケット2Aの凹底面6aから舌側の凹側面6bにわたって延びている。第4溝10Aは、ソケット2Aの凹底面6aから頬側の凹側面6cにわたって延びている。舌側の凹側面6bを延びる第3溝9Aの終端9bは、義歯床3Aの舌側の外面6dに達している。これにより、第3溝9Aの終端9bは、義歯床3Aから露出し、排出孔11Aを形成している。頬側の凹側面6cを延びる前記第4溝10Aの終端10bは、義歯床3Aの頬側の外面6eに達していない。
例えば、第3溝9A及び第4溝10Aは、直線状に形成されている。第3溝9A及び第4溝10Aの断面積は、0.01mm以上10.0mm以下であり、好ましくは0.1mm以上4.0mm以下である。ここで、第3溝9A及び第4溝10Aの断面積とは、それぞれ、第3溝9A及び第4溝10Aの延びる方向に直交する方向に切断した断面の面積を意味する。第3溝9A及び第4溝10Aの断面の形状は特に限定されることは無く、例えば半円形や楕円形、台形又は三角形などであってもよい。第3溝9A及び第4溝10Aにより、接着剤12を舌側方向、あるいは唇側や頬側方向へ容易に流動させ、充填量に過不足が生じることなく制御することが可能となる。また、第3溝9A及び第4溝10Aは、直線状に形成される例について説明したが、これに限定されない。例えば、第3溝9A及び第4溝10Aは、曲線状に形成されていてもよい。また、第3溝9A及び第4溝10Aの断面積は、第3溝9A及び第4溝10Aの延びる方向に変化してもよいし、一定であってもよい。例えば、第3溝9A及び第4溝10Aの断面積は、舌側に向かって連続的に又は段階的に大きくなっていてもよい。
図7は義歯20Bに接着する人工歯1の例を基底面7より見た図で示す。上段は上顎、下段は下顎を示す。このとき、人工歯1は、左右両側の中切歯部、側切歯部、犬歯部、第一小臼歯部、第二小臼歯部、第一大臼歯部および第二大臼歯部の14種類の少なくとも隣接する2歯以上が連結されている。図7に示す例では、人工歯1の埋入部分の表面5には、人工歯1の基底面7から、舌側の歯頸線8の上まで延伸する溝9と、人工歯1の基底面7から、唇側または頬側の歯頸線8の下まで延伸する溝10と、が設けられている。図3の説明にも記載のとおり、溝9と溝10はそれぞれ遠心側で、境界線L1と交差する方向に延びて設けられる例に限定されるものではなく、基底面7より前頭断面に平行な方向に設けてもよく、矢状断面に平行な方向に設けてもよい。2歯以上された人工歯1を用いることにより、ソケット2も1歯1歯の隔壁が無くなり、接着剤12の塗布量を均等に分散することが可能となる。結果、咬合高径の狂いを制御することが可能となるため、舌側の歯頸線8の上まで延伸する溝9による排出効果に加えて接着剤12の余剰による誤差を低減することが可能となる。
詳細に説明すると、義歯20Bは、上顎人工歯1U及び下顎人工歯1Lを有する。上顎人工歯1Uは、左右両側において、中央から上顎中切歯部TU1、上顎側切歯部TU2、上顎犬歯部TU3、上顎第一小臼歯部TU4、上顎第二小臼歯部TU5、上顎第一大臼歯部TU6および上顎第二大臼歯部TU7を有する。上顎中切歯部TU1、上顎側切歯部TU2、上顎犬歯部TU3、上顎第一小臼歯部TU4、上顎第二小臼歯部TU5、上顎第一大臼歯部TU6および上顎第二大臼歯部TU7は、基底面7側から見て、歯列弓形状、即ちU字状に配列されている。上顎人工歯1Uにおいては、上顎中切歯部TU1、上顎側切歯部TU2、上顎犬歯部TU3、上顎第一小臼歯部TU4、上顎第二小臼歯部TU5、上顎第一大臼歯部TU6および上顎第二大臼歯部TU7の基底面7にわたって形成される連続溝14が設けられている。溝14は、基底面7側から見て、U字状に形成されている。溝9,10は溝14と連通している。図7に示す例では、溝9,10は、上顎中切歯部TU1、上顎犬歯部TU3、上顎第一小臼歯部TU4、上顎第二小臼歯部TU5及び上顎第一大臼歯部TU6に設けられているが、上顎側切歯部TU2及び上顎第二大臼歯部TU7には設けられていない。
下顎人工歯1Lは、左右両側において、中央から下顎中切歯部TL1、下顎側切歯部TL2、下顎犬歯部TL3、下顎第一小臼歯部TL4、下顎第二小臼歯部TL5、下顎第一大臼歯部TL6および下顎第二大臼歯部TL7を有する。下顎中切歯部TL1、下顎側切歯部TL2、下顎犬歯部TL3、下顎第一小臼歯部TL4、下顎第二小臼歯部TL5、下顎第一大臼歯部TL6および下顎第二大臼歯部TL7は、基底面7側から見て、歯列弓形状、即ちU字状に配列されている。下顎人工歯1Lにおいては、下顎中切歯部TL1、下顎側切歯部TL2、下顎犬歯部TL3、下顎第一小臼歯部TL4、下顎第二小臼歯部TL5、下顎第一大臼歯部TL6および下顎第二大臼歯部TL7の基底面7にわたって形成される溝14が設けられている。溝14は、基底面7側から見て、U字状に形成されている。溝9,10は溝14と連通している。図7に示す例では、溝9,10は、下顎中切歯部TL1、下顎犬歯部TL3、下顎第二小臼歯部TL5及び下顎第一大臼歯部TL6に設けられているが、下顎側切歯部TL2、下顎第一小臼歯部TL4及び下顎第二大臼歯部TL7には設けられていない。
図8a~8fは例示的な義歯20の製作方法の概念図である。図8a~8fは、舌側の歯頸線8の上まで延伸する溝9と、唇側または頬側の歯頸線8の下まで延伸する溝10が含まれない人工歯の仮想形状データD1を用いて義歯床3の仮想形状データD3の歯肉部を削除し、ソケットD2を形成するコンピュータ支援設計プログラムに基づいて義歯床3の仮想形状データD3を作成し、仮想形状データD3に基づいて義歯床3を製作し、各溝9,10が含まれる人工歯1を義歯床3のソケット2に埋入することで、各溝9,10及び排出孔11が形成される工程の一例を示す。なお、図8a~8cはコンピュータ支援設計プログラム(CAD)による設計工程を示し、図8dはコンピュータ支援製作システム(CAM)による製作工程を示し、図8e及び8fは、義歯組み立て工程を示す。
先ず、図8aに示すように、コンピュータ支援設計プログラム中の人工歯排列及び歯肉形成工程として、患者の上下顎の口腔粘膜形状とその相対的な位置関係を記録した咬合床等の形状を仮想空間中に読み込み、人工歯排列と歯肉形成を行う。この段階において、人工歯の仮想形状データD1には溝9と、溝10が含まれていない。
次に、図8bに示すように、ソケット形成工程として、義歯床3の仮想形状データD3の歯肉部から、人工歯の仮想形状データD1を差し引き、削除する。人工歯の仮想形状データD1には各溝9,10が含まれないため、ソケットD2が溝の無い形状となる。最終的に、図8cに示すように、ソケットD2が形成された義歯床3の3次元形状データD3をコンピュータ支援製造システム(CAM)に出力する。なお、データの形式は特に限定されることは無く、公知のものを用いる事が出来る。一般的にはSTL形式が使われる。
次に、図8dに示すように、義歯床製作工程として、義歯床3の3次元形状データD3から、コンピュータ支援製造システム(CAM)による義歯床3の製作を実行する。なお、コンピュータ支援製造システム(CAM)による義歯床3の製作工程は、公知の技術が利用可能であり、例えばNC切削加工機を用いたミリング法や3Dプリンタ-など積層造型法など公知の技術が利用可能である。
次に、図8eに示すように、義歯床3のソケット2に接着剤12を塗布し、人工歯1の埋入を行う。ここで、人工歯1はコンピュータ支援設計プログラムの仮想形状データD1とは異なり、各溝9,10が含まれる人工歯1を埋入する。
これにより、図8fに示すように、人工歯1と義歯床3の間には各溝9,10及び排出孔11が形成されるため、人工歯1の埋入時に唇側、頬側または舌側方向の偏りが生じても、接着剤12を容易に流動させ、充填量を制御する事が可能となる。
図9a~9fは例示的な義歯20Aの製作方法の概念図である。図9a~9fは、舌側の歯頸線8の上まで延伸する溝9と、唇側または頬側の歯頸線8の下まで延伸する溝10を外側に反転したリブ形状の凸部D15,D16が含まれた人工歯の仮想形状データD1Aを用いて義歯床3Aの仮想形状データD3Aの歯肉部を削除し、ソケットD2Aを形成するコンピュータ支援設計プログラムに基づいて義歯床3Aの仮想形状データD3Aを作成し、仮想形状データD3Aに基づいて義歯床3Aを製作し、各溝9,10が含まれない人工歯1Aを義歯床3Aのソケット2Aに埋入することで各溝9A,10Aおよび排出孔11Aが形成される工程の一例を示す。なお、図9a~9cはコンピュータ支援設計プログラム(CAD)による設計工程を示し、図9dはコンピュータ支援製作システム(CAM)による製作工程を示し、図9e及び9fは、義歯組み立て工程を示す。
図9a~9fに示す工程は図8a~8fに示す工程と略同じであるが、人工歯の仮想形状データD1Aには溝9,10を外側に反転したリブ形状の凸部D15,D16が含まれており、凸部D15,D16を用いて義歯床3Aの仮想形状データD3Aの歯肉部から、人工歯の仮想形状データD1Aを差し引くことにより、溝D9A,D10AのあるソケットD2Aが形成され、更に、実際の製作工程では、溝のない人工歯1Aを埋入する点が、図8a~8fに示す工程とは異なる。
これにより、人工歯1Aと義歯床3Aの間には各溝9A,10A及び排出孔11Aが形成されるため、人工歯1Aの埋入時に唇側、頬側または舌側方向の偏りが生じても、接着剤12を容易に流動させ、充填量を制御する事が可能となる。また、別の利点として、ソケット2A側に各溝9A,10A及び排出孔11Aを形成することになるため、人工歯1Aに溝9,10を付与する必要は無く、公知の形状の人工歯を利用する事が可能である。
図10a~10fは例示的な義歯20Cの製作方法の概念図である。図10a~10fは、舌側の歯頸線8の上まで延伸する溝9と、唇側または頬側の歯頸線8の下まで延伸する溝10を外側に反転したリブ形状の凸部D15,D16が含まれた人工歯の仮想形状データD1Aを用いて義歯床3Aの仮想形状データの歯肉部を削除し、ソケットD2を形成するコンピュータ支援設計プログラムに基づいて義歯床3Aの仮想形状データD3Aを作成し、仮想形状データD3Aに基づいて義歯床3Aを製作し、各溝9,10が含まれる人工歯1を義歯床3Aのソケット2Aに埋入することで、各溝9,10,9A,10A及び排出孔11,11Aが形成される工程の一例を示す。なお、図10a~10cはコンピュータ支援設計プログラム(CAD)による設計工程を示し、図10dはコンピュータ支援製作システム(CAM)による製作工程を示し、図10e及び10fは、義歯組み立て工程を示す。
義歯床3Aには溝9A,10Aが含まれるソケットD2Aを形成するため、図10a~10cに示すコンピュータ支援設計プログラム及びコンピュータ支援製作システムの内容は図9a~9dに示す工程と同じであるが、人工歯1は図8e及び8fに示す工程と同じ、各溝9,10が含まれる人工歯1を埋入する。
人工歯1とソケット2Aの両面に溝9,10,9A,10Aを付与することにより、人工歯1と義歯床3Aの間には図8a~8f及び図9a~9fに示す工程よりも大きな断面積の溝が形成されるため、容易に接着剤12を流動させ、充填量を制御する事が可能となる。このため、接着剤12の種類としても、粘度の低いものを選択する事が可能となり、硬化時間が短く、被膜が厚くなりやすい即時重合レジンなどを使用することが可能となる。
また、溝9,10,9A,10Aの延伸方向は人工歯1側と義歯床3A側で同一方向にする必要は無く、それぞれ異なる方向に開口させて、接着剤12の分布を多方向に分散する事が可能となる。
図11を用いて義歯20の製造方法の一例について説明する。図11は、図1に示す義歯20を製造する工程のフローチャートの一例を示す。図11に示すように、義歯20の製造方法は、ステップST1~ST3を含む。
ステップST1は、人工歯1と義歯床3とを準備する工程である。具体的には、ステップST1は、人工歯1と、人工歯1が埋入される凹状のソケット2が設けられた義歯床3と、を準備する工程である。
人工歯1は、人工歯1の基底面7から舌側の側面5aにわたって延びる第1溝9と、人工歯1の基底面7から頬側の側面5bにわたって延びる第2溝10と、が設けらている。また、人工歯1において、舌側の側面5aを延びる第1溝9の終端9aは、人工歯1の舌側の歯頸線8よりも歯冠側に位置し、頬側の側面5bを延びる第2溝10の終端10aは、人工歯1の頬側の歯頸線8よりも歯根側に位置している。また、第1溝9の延びる方向と直交する方向に切断したときの第1溝9の断面積は、0.01mm以上10.0mm以下であってもよく、好ましくは0.1mm以上4.0mm以下であってもよい。第2溝10の延びる方向と直交する方向に切断したときの第2溝10の断面積は、0.01mm以上10.0mm以下であってもよく、好ましくは0.1mm以上4.0mm以下であってもよい。また、第1溝9及び第2溝10の断面積は、舌側に向かって大きくなっていてもよい。
義歯床3は、例えば、コンピュータ支援設計プログラム(CAD)による設計工程及びコンピュータ支援製作システム(CAM)による製作工程を実施することによって取得される。
ステップST1は、義歯床3を準備する工程として、ステップST11及びST12を有する。
ステップST11は、コンピュータによって、義歯床3の義歯床設計データD3を作成する工程である。ステップST11は、図8a~8cに示すコンピュータ支援設計プログラム(CAD)による設計工程である。
具体的には、図8aに示すように、コンピュータ上で、ソケットが設けられていない歯肉部で形成された義歯床設計データD3に、人工歯形状データD1を配置する。人工歯形状データD1は、基底面に溝が設けられていない人工歯の形状データである。人工歯形状データD1は、義歯床設計データD3の歯肉部に重なるように配置される。
次に、図8bに示すように、コンピュータ上で、義歯床設計データD3において人工歯形状データD1と重なる歯肉部を削除する。義歯床設計データD3において、歯肉部が削除された部分がソケットD2となる。
次に、図8cに示すように、コンピュータ上で、人工歯形状データD1を削除し、ソケットD2が設けられた義歯床設計データD3を取得する。義歯床設計データD3は、義歯床3を作製する作製装置に出力される。
ステップST12は、義歯床設計データD3に基づいて義歯床3を作製する工程である。ステップST12は、図8dに示すはコンピュータ支援製作システム(CAM)による製作工程である。
具体的には、図8dに示すように、作製装置によって、義歯床設計データD3に基づいて義歯床3を作製する。なお、作製装置は、NC工作機械による切削加工装置や3Dプリンタ等であってもよい。これにより、人工歯1が埋入される凹状のソケット2が設けられた義歯床3を取得する。
ステップST2は、ソケット2に接着剤12を塗布する工程である。ステップST2は、図8eに示す義歯組み立て工程である。ステップST2では、図8eに示すように、ソケット2に接着剤12を塗布する。
ステップST3は、接着剤12が塗布されたソケット2に人工歯1を埋入する工程である。ステップST3は、図8fに示す義歯組み立て工程である。ステップST3では、図8fに示すように、接着剤12が塗布されたソケット2に人工歯1を埋入する。ステップST3は、ステップST31及びST32を有する。
ステップST31は、排出孔11を形成する工程である。図12は、排出孔11の形成工程の一例について説明するための概念図である。図12に示す例では、説明を容易にするため、接着剤12の図示を省略している。図12に示す例では、人工歯1を接着剤12が塗布されたソケット2に埋入する。ソケット2の深さは、人工歯1の歯頸線8と略等しい。人工歯1においては、舌側の側面5aを延びる第1溝9の終端9aは、歯頸線8よりも歯冠側に位置している。このため、人工歯1をソケット2に埋入すると、第1溝9の終端9a側は、義歯床3から露出する。言い換えると、第1溝9の終端9a側は、義歯床3のソケット2の凹側面6bによって塞がれない。これにより、人工歯1の舌側の側面5aに余剰の接着剤12を排出する排出孔11を形成することができる。
ステップST32は、排出孔11から接着剤12を排出する工程である。図13は、排出孔11から接着剤12を排出する工程の一例について説明するための概念図である。図13に示す例では、接着剤12が塗布されたソケット2に人工歯1を埋入すると、余剰の接着剤12が第1溝9を通って排出孔11から排出される。
また、接着剤12が塗布されたソケット2に人工歯1を埋入するとき、人工歯1の頬側の側面5bをソケット2の凹側面6bに接触させながら、人工歯1をソケット2に埋入してもよい。これにより、頬側から接着剤12が漏出することを抑制し、舌側に形成された排出孔11から接着剤12が排出されやすくなる。
排出孔11から排出された余剰の接着剤12を除去し、接着剤12が硬化すると、図8fに示す義歯20が完成する。
別例として、図6に示す義歯20Aの製造方法の一例について説明する。義歯20Aの製造方法の各工程は、図11に示すフローチャートと同様である。
図11に示すように、義歯20Aの製造方法は、ステップST1~ST3を含む。
ステップST1は、人工歯1Aと義歯床3Aとを準備する工程である。具体的には、ステップST1は、人工歯1Aと、人工歯1Aが埋入される凹状のソケット2Aが設けられた義歯床3Aと、を準備する工程である。
人工歯1Aは、ソケット2Aに面する表面5に溝が設けられていない人工歯である。義歯床3Aは、人工歯1Aの基底面7と面するソケット2Aの凹底面6aから舌側の凹側面6bにわたって延びる第3溝9Aと、ソケット2Aの凹底面6aから頬側の凹側面6cにわたって延びる第4溝10Aと、が設けられている。舌側の凹側面6bを延びる第3溝9Aの終端9bは、義歯床3Aの舌側の外面6dに達している。即ち、第3溝9Aの終端9bは、義歯床3Aの外面6dから露出している。頬側の凹側面6cを延びる第4溝10Aの終端10bは、義歯床3Aの頬側の外面6eに達していない。また、第3溝9Aの延びる方向と直交する方向に切断したときの第3溝9Aの断面積は、0.01mm以上10.0mm以下であってもよく、好ましくは0.1mm以上4.0mm以下であってもよい。第4溝10Aの延びる方向と直交する方向に切断したときの第4溝10Aの断面積は、0.01mm以上10.0mm以下であってもよく、好ましくは0.1mm以上4.0mm以下であってもよい。また、第3溝9A及び第4溝10Aの断面積は、舌側に向かって大きくなっていてもよい。
義歯床3Aは、例えば、コンピュータ支援設計プログラム(CAD)による設計工程及びコンピュータ支援製作システム(CAM)による製作工程を実施することによって取得される。
ステップST1は、義歯床3Aを準備する工程として、ステップST11及びST12を有する。
ステップST11は、コンピュータによって、義歯床3Aの義歯床設計データD3Aを作成する工程である。ステップST11は、図9a~9cに示すコンピュータ支援設計プログラム(CAD)による設計工程である。
具体的には、図9aに示すように、コンピュータ上で、ソケットが設けられていない歯肉部で形成された義歯床設計データD3Aに、人工歯形状データD1Aを配置する。人工歯形状データD1は、義歯床設計データD3の歯肉部に重なるように配置される。
ここで、人工歯形状データD1Aは、第3溝9A及び第4溝10Aにそれぞれ対応する第1凸部D15及び第2凸部D16が基底面に設けられた人工歯の形状データである。第1凸部D15は、人工歯形状データD1Aの基底面の中央付近から突出し、舌側の側面にわたって延びている。舌側の側面を延びる第1凸部D15の終端は、歯頸線8よりも歯冠側に位置する。第2凸部D16は、人工歯形状データD1Aの基底面の中央付近から突出し、頬側の側面にわたって延びている。頬側の側面を延びる第2凸部D16の終端は、歯頸線8よりも歯根側に位置する。
次に、図9bに示すように、コンピュータ上で、義歯床設計データD3Aにおいて人工歯形状データD1Aと重なる歯肉部を削除する。義歯床設計データD3Aにおいて、歯肉部が削除された部分がソケットD2A及び第3溝D9A及び第4溝D10Aとなる。
次に、図9cに示すように、コンピュータ上で、人工歯形状データD1Aを削除し、ソケットD2Aが設けられた義歯床設計データD3Aを取得する。義歯床設計データD3は、義歯床3Aを作製する作製装置に出力される。
ステップST12は、義歯床設計データD3Aに基づいて義歯床3Aを作製する工程である。ステップST12は、図9dに示すはコンピュータ支援製作システム(CAM)による製作工程である。
具体的には、図9dに示すように、作製装置によって、義歯床設計データD3Aに基づいて義歯床3Aを作製する。なお、作製装置は、NC工作機械による切削加工装置や3Dプリンタ等であってもよい。これにより、人工歯1Aが埋入される凹状のソケット2A、第3溝9A及び第4溝10Aが設けられた義歯床3Aを取得する。
ステップST2は、ソケット2Aに接着剤12を塗布する工程である。ステップST2は、図9eに示す義歯組み立て工程である。ステップST2では、図9eに示すように、ソケット2Aに接着剤12を塗布する。
ステップST3は、接着剤12が塗布されたソケット2Aに人工歯1Aを埋入する工程である。ステップST3は、図9fに示す義歯組み立て工程である。ステップST3では、図9fに示すように、接着剤12が塗布されたソケット2Aに人工歯1Aを埋入する。ステップST3は、ステップST31及びST32を有する。
ステップST31は、排出孔11Aを形成する工程である。図14は、排出孔11Aの形成工程の一例について説明するための概念図である。図14に示す例では、説明を容易にするため、接着剤12の図示を省略している。図14に示す例では、人工歯1Aを接着剤12が塗布されたソケット2Aに埋入する。ソケット2Aの深さは、人工歯1Aの歯頸線8と略等しい。義歯床3Aにおいては、ソケット2Aの内面6に第3溝9A及び第4溝10Aが設けられている。具体的には、第3溝9Aは、人工歯1Aの基底面7と面するソケット2Aの凹底面6aから舌側の凹側面6bにわたって延びている。第4溝10Aは、ソケット2Aの凹底面6aから頬側の凹側面6cにわたって延びている。また、舌側の凹側面6bを延びる第3溝9Aの終端9bは、義歯床3Aの舌側の外面6dに達しており、頬側の凹側面6cを延びる第4溝10Aの終端10bは、義歯床3Aの頬側の外面6eに達していない。
このため、人工歯1Aがソケット2Aに埋入されると、ソケット2Aの内面6側における第3溝9A及び第4溝10Aが接着剤12を介して人工歯1Aによって塞がれる。このとき、舌側の凹側面6bを延びる第3溝9Aの終端9bは、義歯床3Aの舌側の外面6dに達しており、義歯床3Aの外部と連通しているため、第3溝9Aの終端9bに、余剰の接着剤12を排出する排出孔11Aが形成される。
ステップST32は、排出孔11Aから余剰な接着剤12を排出する工程である。図15は、排出孔11Aから接着剤12を排出する工程の一例について説明するための概念図である。図15に示す例では、接着剤12が塗布されたソケット2Aに人工歯1Aを埋入すると、余剰の接着剤12が第3溝9Aを通って排出孔11Aから排出される。
また、接着剤12が塗布されたソケット2Aに人工歯1Aを埋入するとき、人工歯1Aの頬側の側面5bをソケット2Aの凹側面6bに接触させながら、人工歯1Aをソケット2Aに埋入してもよい。これにより、頬側から接着剤12が漏出することを抑制し、舌側に形成された排出孔11Aから接着剤12が排出されやすくなる。
なお、人工歯1と義歯床3Aを組み合わせた図10a~10fに示す義歯20Cは、上記した義歯20及び義歯20Aの製造方法を組み合わせることによって製造することができる。また、複数の歯部を連結された人工歯1を有する図7に示す義歯20Bについても、上記した義歯20の製造方法と同様の製造方法を実施することによって製造することができる。
また、図11に示すステップST1~ST3は例示であって、義歯20,20A,20B,20Cの製造方法がこれらのステップに限定されるものではない。例えば、製造方法は、追加のステップを含んでよいし、ステップST1~ST3を統合、分割、削除してもよい。
上記の製造方法によって製造された義歯20,20A,20B,20Cは、ソケット2,2Aに対する人工歯1,1Aの適合精度が向上する。また、溝9,10,9A,10Aに接着剤12が配置されるため、人工歯1,1Aとの接着性が向上する。このため、人工歯1,1Aとソケット2,2Aとの適合制度が向上した状態で、人工歯1,1Aと義歯床3.3Aとを精度よく接着固定することができる。
なお、本実施形態では、複数の溝9,10,9A,10Aを人工歯1及び/又は義歯床3Aに形成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、ソケット2,2Aに埋入される側の人工歯1,1Aの表面5とソケット2,2Aを画定する内面6とのうち少なくとも一方に、舌側に延びる1つ又は複数の溝9,9A,13が設けられていればよい。言い換えると、頬側又は唇側に延びる溝10,10Aは必須の構成ではない。
本実施形態では、人工歯1,1Aが主に臼歯部である例について説明しているため、舌側の反対側が頬側である例を説明した。しかし、人工歯1,1Aが中切歯部、側切歯部又は犬歯部である場合、舌側の反対側が唇側に置き換えてもよい。
1,1A 人工歯
2、2A ソケット
3、3A 義歯床
4 接着剤のスペース
5 人工歯の表面
5a 舌側の側面
5b 頬側又は唇側の側面
6 ソケットの内面
6a 凹底面
6b 舌側の凹側面
6c 頬側又は唇側の凹側面
6d 舌側の外面
6e 頬側又は唇側の外面
7 人工歯の基底面
8 歯頸線
9 第1溝
9A 第3溝
10 第2溝
10A 第4溝
11,11A 排出孔
12 接着剤
13 溝
14 連続溝
20,20A,20B,20C 義歯
D1、D1A 人工歯形状データ
D2,D2A ソケット
D3,D3A 義歯床設計データ
D9A 第3溝
D10A 第4溝
D15 第1凸部
D16 第2凸部
101 人工歯
102 ソケット
103 義歯床
104 接着剤のスペース
106 ソケットの内面
108 歯頸線
112 接着剤
120 義歯

Claims (14)

  1. 人工歯(1,1A)と、前記人工歯(1,1A)が埋入される凹状のソケット(2,2A)が設けられた義歯床(3,3A)と、を準備するステップと、
    前記ソケット(2,2A)に接着剤(12)を塗布するステップと、
    前記接着剤(12)が塗布された前記ソケット(2,2A)に前記人工歯(1,1A)を埋入するステップと、
    を含み、
    前記ソケット(2,2A)に埋入される側の前記人工歯(1,1A)の表面(5)と前記ソケット(2,2A)を画定する内面(6)とのうち少なくとも一方に、1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)が設けられており、
    前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)は、舌側に延びる溝(9,9A,13)を有し、
    前記ソケット(2,2A)に前記人工歯(1,1A)を埋入するステップは、
    前記舌側に延びる溝(9,9A,13)の終端(9a,9b)側を前記義歯床(3,3A)から露出させることによって前記接着剤(12)を排出する排出孔(11,11A)を形成すること、
    前記排出孔(11,11A)から前記接着剤(12)を排出すること、
    を有する、
    義歯の製造方法。
  2. 前記準備するステップは、前記人工歯(1)の基底面(7)から前記舌側の側面(5a)にわたって延びる第1溝(9)と、前記人工歯(1)の基底面(7)から頬側又は唇側の側面(5b)にわたって延びる第2溝(10)と、が設けられた人工歯(1)を準備すること、を有し、
    前記舌側の側面(5a)を延びる前記第1溝(9)の終端(9a)は、前記人工歯(1)の舌側の歯頸線(8)よりも歯冠側に位置し、
    前記頬側又は唇側の側面(5b)を延びる前記第2溝(10)の終端(10b)は、前記人工歯(1)の頬側又は唇側の歯頸線(8)よりも歯根側に位置する、
    請求項1に記載の義歯の製造方法。
  3. 前記準備するステップは、前記人工歯(1,1A)の基底面(7)と面する前記ソケット(2A)の凹底面(6a)から舌側の凹側面(6b)にわたって延びる第3溝(9A)と、前記ソケット(2A)の凹底面(6a)から頬側又は唇側の凹側面(6c)にわたって延びる第4溝(10A)と、が設けられた義歯床(3A)を準備すること、を有し、
    前記舌側の凹側面(6b)を延びる前記第3溝(9A)の終端(9b)は、前記義歯床(3A)の前記舌側の外面(6d)に達しており、
    前記頬側又は唇側の凹側面(6c)を延びる前記第4溝(10A)の終端(10b)は、前記義歯床(3A)の前記頬側又は前記唇側の外面(6e)に達していない、
    請求項1又は2に記載の義歯の製造方法。
  4. 前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)の延びる方向と直交する方向に切断したときの前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)の断面積は、0.01mm以上10.0mm以下である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の義歯の製造方法。
  5. 前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)の延びる方向と直交する方向に切断したときの前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)の断面積は、前記舌側に向かって大きくなっている、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の義歯の製造方法。
  6. 前記準備するステップは、
    コンピュータによって、前記義歯床(3)の義歯床設計データ(D3)を作成すること、
    作製装置によって、前記義歯床設計データ(D3)に基づいて前記義歯床(3)を作製すること、
    を有し、
    前記義歯床設計データ(D3)を作成することは、第1溝(9)及び第2溝(10)が設けられていない人工歯形状データ(D1)に基づいて、凹状のソケット(D2)が設けられた前記義歯床設計データ(D3)を作成する、
    請求項2に記載の義歯の製造方法。
  7. 前記準備するステップは、
    コンピュータによって、前記義歯床(3A)の義歯床設計データ(D3A)を作成すること、
    作製装置によって、前記義歯床設計データ(D3A)に基づいて前記義歯床(3A)を作製すること、
    を有し、
    前記義歯床設計データ(D3A)を作成することは、前記第3溝(9A)及び前記第4溝(10A)の形状に対応する第1凸部(D15)及び第2凸部(D16)を有する人工歯形状データ(D1A)に基づいて、第3溝(D9A)及び第4溝(D10A)が内面に設けられた凹状のソケット(D2A)が設けられた前記義歯床設計データ(D3A)を作成する、
    請求項3に記載の義歯の製造方法。
  8. 前記人工歯(1、1A)は、中切歯部、側切歯部、犬歯部、第一小臼歯部、第二小臼歯部、第一大臼歯部および第二大臼歯のうち少なくとも隣接する2つ以上の歯部を有する、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の義歯の製造方法。
  9. 前記人工歯(1)の基底面(7)には、少なくとも隣接する2つ以上の歯部に跨って連続して設けられる連続溝(14)が設けられており、
    前記1つ又は複数の溝(9,10,13)は、前記人工歯(1)の前記表面(5)に設けられており、
    前記連続溝(14)は、前記1つ又は複数の溝(9,10,13)と連通している、
    請求項8に記載の義歯の製造方法。
  10. 人工歯(1,1A)と、
    前記人工歯(1,1A)が埋入される凹状のソケット(2,2A)が設けられた義歯床(3,3A)と、
    を備え、
    前記ソケット(2,2A)に埋入される側の前記人工歯(1,1A)の表面(5)と前記ソケット(2,2A)を画定する内面(6)とのうち少なくとも一方に、1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)が設けられており、
    前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)は、舌側に延びる溝(9,9A,13)を有し、
    前記舌側に延びる溝(9,9A,13)の終端(9a,9b)側は、前記義歯床(3,3A)から露出しており、
    前記人工歯(1,1A)と前記義歯床(3,3A)とは、接着剤(12)によって接着固定されており、且つ前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)には前記接着剤(12)が配置されている、
    義歯。
  11. 前記1つ又は複数の溝(9,10,13)は、前記人工歯(1)の基底面(7)から前記舌側の側面(5a)にわたって延びる第1溝(9)と、前記人工歯(1)の基底面(7)から頬側又は唇側の側面(5b)にわたって延びる第2溝(10)と、を有し、
    前記舌側の側面(5a)を延びる前記第1溝(9)の終端(9a)は、前記人工歯(1)の舌側の歯頸線(8)よりも歯冠側に位置し、
    前記頬側又は唇側の側面(5b)を延びる前記第2溝(10)の終端(10a)は、前記人工歯(1)の頬側又は唇側の歯頸線(8)よりも歯根側に位置する、
    請求項10に記載の義歯。
  12. 前記1つ又は複数の溝(9,10,13,9A,10A)は、前記人工歯(1,1A)の基底面(7)と面する前記ソケット(2A)の凹底面(6a)から舌側の凹側面(6b)にわたって延びる第3溝(9A)と、前記ソケット(2A)の凹底面(6a)から頬側又は唇側の凹側面(6c)にわたって延びる第4溝(10A)と、を有し、
    前記舌側の凹側面(6b)を延びる前記第3溝(9A)の終端(9b)は、前記義歯床(3A)の前記舌側の外面(6d)に達しており、
    前記頬側又は唇側の凹側面(6c)を延びる前記第4溝(10A)の終端(10b)は、前記義歯床(3A)の前記頬側又は前記唇側の外面(6e)に達していない、
    請求項10又は11に記載の義歯。
  13. 前記人工歯(1、1A)は、中切歯部、側切歯部、犬歯部、第一小臼歯部、第二小臼歯部、第一大臼歯部および第二大臼歯のうち少なくとも隣接する2つ以上の歯部を有する、
    請求項10~12のいずれか一項に記載の義歯。
  14. 前記人工歯(1)の基底面(7)には、少なくとも隣接する2つ以上の歯部に跨って連続して設けられる連続溝(14)が設けられており、
    前記1つ又は複数の溝(9,10,13)は、前記人工歯(1)の前記表面(5)に設けられており、
    前記連続溝(14)は、前記1つ又は複数の溝(9,10,13)と連通しており、
    前記連続溝(14)には、前記接着剤(12)が配置されている、
    請求項13に記載の義歯。
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