JP2022049329A - 医療用複合材料 - Google Patents

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【課題】高い形状回復率を有しつつ、耐久性の高い医療用複合材料を提供する。【解決手段】Ni-Ti系合金母相と、当該母相中に分散されたニッケルチタン酸化物と、を有し、酸素量が0.10~0.20重量%であり、前記ニッケルチタン酸化物の平均円相当径が1.00μm以下であり、前記合金母相は、50at%を超え、53at%以下のNiを含有し、かつ、残部がTiおよび不可避的不純物からなる、医療用複合材料。【選択図】図1

Description

本発明は、医療用複合材料に関する。
動脈の狭窄部分を押し広げ、血流を確保させる手法としてステント留置術がある。ステントは金属から構成されるものが多く、ワイヤを編み込んだり、チューブをレーザーカットすることで得られる。ステント素材はステンレスやコバルトクロムなどがあるが、特に下肢動脈においては、歩行とともに血管の伸縮、ねじれ、圧縮が起こることから、変形しても元の形状に戻る特性(形状回復性)と繰り返し受ける変形によるステント破断を防止するため耐久性が求められるため、ステント素材には超弾性合金が用いられている。超弾性合金としては、チタンとニッケルとが等原子比付近のニッケルチタン系形状記憶合金が挙げられる。
一方で、従来、下肢動脈のカテーテル治療は腸骨動脈に穿刺を行い、カテーテルを挿入することで行われてきた。近年では、技術の進歩により、よりリスクを低減することが可能な手首の血管を用いたカテーテル治療が行われるようになっている。手首の血管を用いた場合、血管径が細いために止血が早く、合併症のリスクが低減する。
しかしながら、下肢動脈血管用のニッケルチタン合金ステントは血管を広げるための力(ラジアルフォース)を保つためにステント肉厚が大きいため、手首血管に適応することは難しい。
そこで、ステント肉厚を薄くして手首血管に適応させることへの試みとして、非特許文献1では、Ni量を制御したTi-Ni混合粉末を用いて焼結体を作製し、Ni量が組織構造、相変態温度ならびに力学・超弾性特性に及ぼす影響について解析している。具体的には、Ti粉末およびNi粉末の混合素粉末より作製した焼結体は、TiNi相を母相とし、TiNiO相が母相中に分散している構造を示すこと、Ni量の増加により、超弾性特性の向上に有効なTiNiの析出量が増加すること、Ni量が増加するとともに合金の力学・超弾性特性が向上することが示されている。
非特許文献1では、8%ひずみを与えたときの形状回復率が最大で87.3%であることが示されている。形状回復率は、治療の期間にわたって血管壁を所定の径に維持する点で非常に重要な物性であり、この点において従来の生体複合材料には改良の余地があった。
非特許文献2では、TiNi混合粉末を用いて焼結体を作製し、形状記憶熱処理の温度と条件が相変態温度、組織ならびに力学特性や超弾性特性に及ぼす影響について解析している。ここで、低温かつ短時間の形状記憶熱処理を施すことで、超微細かつ少量の析出物によってすべり変形の抑制効果が得られ、形状回復率が向上するとある。
米澤隆行,外4名,「Ni-rich TiNi形状記憶粉末合金の組成・組織制御と高強度発現機構の解明」,日本機械学会論文集(A稿)79巻808号(2013-12)1695-1704 早場亮一,外4名,「TiNi形状記憶粉末合金の組織および力学的特性に及ぼす形状記憶熱処理の影響」,J.Jpn.Soc.Powder Powder Metallurgy Vol.65,No.2,85-90
自己拡張ステントでは、ステントの自己拡張しようとする力を拘束して縮径し、留置部位まで縮径状態でステントを運搬し、留置部位で拘束を開放して拡張し、血管に留置する。この際、ステントが血管径まで十分に拡張しないと血管への密着性が低下するため、自己拡張ステントの血管への密着を担保する観点から、形状回復率が高いことが求められる。
また、ステントは留置後、さまざまな外力を受け続ける。例えば、下肢ステントの場合、人の随意運動による外力を繰り返し受ける。このような繰り返し変形に対して破断しないように、ステントには耐久性が要求される。
そこで、本発明は、高い形状回復率を有しつつ、耐久性の高い医療用複合材料を提供することを目的とする。
本発明は、Ni-Ti系合金母相と、当該母相中に分散されたニッケルチタン酸化物と、を有し、酸素量が0.10~0.20重量%であり、前記ニッケルチタン酸化物の平均円相当径が1.00μm以下であり、前記合金母相は、50at%を超え、53at%以下のNiを含有し、かつ、残部がTiおよび不可避的不純物からなる、医療用複合材料である。
本発明によれば、高い形状回復率を有しつつ、耐久性の高い医療用複合材料が可能となる。
図1は、医療用具の一例であるステントの展開図である。 図2は医療用具の一例であるステントの拡張時の展開図である。 図2の部分拡大図である。 図4は、実施例のNi量が51.0at%のサンプルの円相当径ヒストグラムである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味し、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。
本発明の第一実施形態は、Ni-Ti系合金母相と、当該母相中に分散されたニッケルチタン酸化物と、を有し、酸素量が0.10~0.20重量%であり、前記ニッケルチタン酸化物の平均円相当径が1.0μm以下であり、前記合金母相は、50at%を超え、53at%以下のNiを含有し、かつ、残部がTiおよび不可避的不純物からなる、医療用複合材料である。
上記形態とすることで、高い形状回復率を有しつつ、耐久性の高い医療用複合材料が可能となる。
本実施形態が上記効果を奏することの詳細なメカニズムは不明であるが以下のように推察される。なお、下記推察は本発明の技術的範囲を制限するものではない。
非特許文献1および2の技術においては、形状回復率および耐久性の観点で、依然改良の余地があった。これらの物性に与える影響として、本発明者は、合金母相中のニッケルチタン酸化物粒子に着目した。粉末冶金法によって得られるNi-Ti系合金母相中にはニッケルチタン酸化物が粒子として存在する。これらの酸化物は、特に粉末冶金法によって合金を製造する際の粉末原料に付着している酸素に起因して形成されるものと考えられる。そして、ニッケルチタン酸化物の多くはTiNiOとなっている。TiNiOと合金母相との界面においては、組織の違いから変形の際に転位が生じやすくなっている。これにより、変形の際に転位がすべり変形を引き起こし、結果として形状回復率の低下を招いていたと考察した。また、TiNiOは硬い酸化物のため、その量が多かったり、粒子径が大きいと母相の変形に追従することが出来ず、酸化物自体にクラックが生じ、その切れ目に応力が集中して割れが伝播する場合がある。一方で、鋳造法のように原料由来の酸素が少ない場合には、TiNiOの量は少なく制御できる。ただし、サイズの制御が難しく、TiNiOが偏在することで破断の起点が大きくなって耐久性が低下する。本発明においては、粉末原料に付着している酸素が均一かつ微細に分散している。
上記より、本発明においては、粒子径が小さいニッケルチタン酸化物粒子が微量存在することにより、形状回復率が高く、また医療用具に加工した場合に変形に対する耐久性を有すると考えられる。
また、また、上記非特許文献に記載の技術ではニッケルチタン酸化物の粒子径が大きく、冷間加工等の加工が難しかった。本発明においては、ニッケルチタン酸化物の粒子径が小さいため、上記記載のようにクラックが生じにくくなり、ワイヤやチューブなどの冷間加工がしやすい。また、その際に繰り返し行われる熱処理において、TiNiOがピン留め効果を示し、ニッケルチタン合金母相の結晶粒成長を抑制し、高強度化を実現することができる。
医療用複合材料は、Ni-Ti系合金母相および母相中に分散されたニッケルチタン酸化物を含む。
合金母相は、50at%を超え、53at%以下のNiを含有し、かつ、残部がTiおよび不可避的不純物からなる。
Ni-Ti系合金母相中のNi量は、50at%を超え、53at%以下である。Ni量がTi量よりも多く存在することで、生体温度で超弾性が発現されやすい材料となる。Ni-Ti系合金母相中のNi量は、好ましくは、50.5at%を超え、52.5at%以下であり、より好ましくは、51~52.5at%である。なお、Ni-Ti系合金母相中のNi量は、下記実施例に記載の方法により測定された値を採用する。
本発明の好ましい一実施形態では、医療用複合材料が、下記式(1)で表わされる組成を有する。
Figure 2022049329000002
前記式(1)において、Aは不可避的不純物であり、w、x、y、およびaは原子(at)%を表し、この際、50<w≦53、0<y≦1.0、および0≦a≦0.5であり、w+x+y+a=100である。Ni量がTi量よりも多く存在することで、生体温度で超弾性が発現されやすい材料となるため、好ましい。より好ましくは、超弾性特性が一層向上することから、50.5<w≦52.5、0<y≦0.7、および0≦a<0.2であり、w+x+y+a=100である。さらにより好ましくは、形状回復率がさらに向上することから、51≦w≦52、0<y≦0.4、および0≦a<0.15であり、w+x+y+a=100である。
本発明の好ましい他の実施形態では、医療用複合材料が、Ni-Ti系合金母相と、当該母相中に分散されたニッケルチタン酸化物と、を有し、0.10~0.20重量%の酸素、および50at%を超え、53at%以下のNiを含有し、かつ、残部がTiおよび不可避的不純物からなり、ニッケルチタン酸化物の平均円相当径が1.00μm以下である。
なお、本明細書において、「不可避的不純物」とは、Ni-Ti系合金母相または医療用複合材料において、原料中に存在したり、製造工程において不可避的に混入したりするものを意味する。当該不可避的不純物は、本来は不要なものであるが、微量であり、Ni-Ti系合金母相等の特性に影響を及ぼさないため、許容されている不純物である。不可避的不純物としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素がある。
(酸素量)
医療用複合材料中の酸素量は0.10~0.20重量%である。酸素量がこのような範囲にあることで、医療用複合材料中のニッケルチタン酸化物量が適切な量となり、高い耐久性を達成することができる。また、酸素量が0.20重量%以下であることで、形状回復率が向上する(例えば、形状回復率が90%以上となる)。酸素量は、0.10~0.15重量%であることが好ましく、0.11~0.12重量%であることがより好ましい。酸素量は、下記実施例に記載の方法により測定された値を採用する。医療用複合材料中の酸素量の制御は、特に限定されるものではないが、製造過程において、用いる材料、製造雰囲気などにおいて酸素含有量を制御することが好ましい。具体的には、例えば、後述するように粉末冶金法にて製造する際に酸素含有量の少ないNi粉末およびTi粉末を用いる、特に酸素含有量の少ないNi粉末の製造方法;カーボニル法などの手法が挙げられる。
(ニッケルチタン酸化物)
ニッケルチタン酸化物は、Ni、TiおよびOから構成される化合物であり、具体的には、TiNiOなどが挙げられる。ニッケルチタン酸化物は、粒子状でNi-Ti系合金母相内に存在する。粒子形状としては特に限定されるものではなく、球状、棒状、針状、板状、柱状、不定形状、燐片状、紡錘状等、いずれの形状であっても構わない。
ニッケルチタン酸化物の平均円相当径は、1.00μm以下である。平均円相当径が1.00μm以下であることで、高い耐久性および高い形状回復率となる。ニッケルチタン酸化物の平均円相当径は、0.90μm以下であることがより好ましい。なお、ニッケルチタン酸化物の平均円相当径の下限は特に限定されるものではないが、例えば、粉末冶金法で製造した場合、0.10μm以上となる。ニッケルチタン酸化物の平均円相当径の制御は、特に限定されるものではないが、用いる材料、製造雰囲気などにおいて酸素含有量を制御することが好ましい。具体的には、例えば、後述するように粉末冶金法にて製造する際に酸素含有量の少ないNi粉末およびTi粉末を用いる、特に酸素含有量の少ないNi粉末を用いるなどの手法が挙げられる。または、ニッケルチタン酸化物の平均円相当径の制御は、特に限定されるものではないが、例えば、ボールミルによる粉末の均一混合などの手法が挙げられる。
ニッケルチタン酸化物の円相当径および平均円相当径は下記実施例に記載の方法により測定することができる。また、円相当径は小数第2位まで算出し、その平均を小数第3位まで算出し、小数第3位を四捨五入して、平均円相当径とする。
ニッケルチタン酸化物の比表面積は、形状回復率、耐久性の観点から、1.5~3.0%であることが好ましく、2.0~2.5%であることがより好ましい。ここで、比表面積とは、医療用複合材料全体に対するニッケルチタン酸化物の面積が占める割合を指す。
ニッケルチタン酸化物の比表面積は下記実施例に記載の方法により測定することができる。なお、走査電子顕微鏡(SEM)によって観察される画像の中で、母相とのコントラストの差からニッケルチタン酸化物と判断する。
ニッケルチタン酸化物の比表面積は通常、合金中の酸素量に比例する。よって、ニッケルチタン酸化物の比表面積の制御は、上記酸素量の記載と同様となる。
(その他の化合物)
Ni-Ti系合金中には、ニッケルチタン酸化物以外の化合物が含まれていてもよい。ニッケルチタン酸化物以外の化合物としては、チタン、ニッケル、酸素、および炭素からなる化合物などが挙げられる。ニッケルチタン酸化物以外の化合物の比表面積は、0.1~0.4%であることが好ましく、0.1~0.35%であることがより好ましい。なお、ニッケルチタン酸化物以外の化合物は、Ni-Ti系合金母相内に粒子形状で存在する。このため、粒子の比表面積は、ニッケルチタン酸化物粒子の比表面積を求める際と同様の方法にて求めることができる。ここで、上記判別方法においてニッケルチタン酸化物であると同定された粒子以外の粒子がニッケルチタン酸化物以外の化合物の粒子となる。なお、ニッケルチタン酸化物以外の化合物は、SEM画像のコントラストの差からニッケルチタン酸化物と区別をつけることができる。
<製造方法>
本実施形態の医療用複合材料の製造方法としては特に限定されるものではないが、合金中のニッケル、チタン、および酸素の量を制御しやすいことから、粉末冶金法を用いることが好ましい。すなわち、第一実施形態の医療用複合材料は、粉末冶金法によって得られる。
粉末冶金法で製造する際に用いられるニッケル粉末中の酸素量は、特に制限されるものではないが、0.30重量%以下であることが好ましく、0.05~0.30重量%であることがより好ましく、0.10~0.20重量%であることがさらにより好ましい。粉末冶金法で製造する際に用いられるニッケル粉末中の酸素量がこのような範囲にあることで、得られる合金中の酸素量が第一実施形態の特定の範囲に制御しやすいため、好ましい。なお、ニッケル粉末中の酸素量は、ICPなどの手法を用いて測定することができる。
粉末冶金法で製造する際に用いられるチタン粉末中の酸素量は、特に制限されるものではないが、0.30重量%以下であることが好ましく、0.05~0.30重量%であることがより好ましい。粉末冶金法で製造する際に用いられるチタン粉末中の酸素量がこのような範囲にあることで、得られる合金中の酸素量が第一実施形態の特定の範囲に制御しやすいため、好ましい。なお、チタン粉末中の酸素量は、ICPなどの手法を用いて測定することができる。
本発明の好適な形態は、酸素量が0.30重量%以下であるニッケル粉末および酸素量が0.30重量%以下であるチタン粉末を用いて粉末冶金法によりNi-Ti系合金を得る、医療用複合材料の製造方法である。
粉末冶金法においては、通常、チタン粉末およびニッケル粉末を、ボールミル等を用いて混合した後、焼結を行う。
(焼結)
混合粉末の焼結は、粉末冶金の分野において従来用いられている各種方法が採用できる。焼結の方法としては、具体的には、放電プラズマ焼結(SPS)、ホットプレス焼結、熱間静水圧焼結(HIP)、ミリ波焼結、およびマイクロ波焼結等が例示できる。合金形成が促進されやすいことから、好ましくは、焼結は放電プラズマ焼結である。
焼結は、真空雰囲気、またはアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
焼結温度は特に限定するものではなく、サンプルサイズ等によって適宜調整されるが、例えば、900~1200℃であり、好ましくは950~1100℃である。また、焼結時間は、サンプルサイズ等によって適宜調整されるが、例えば、30~120分であり、好ましくは45~90分である。焼結は加圧下で行うことが好ましく、その際の条件としては、例えば、10~1000MPa、好ましくは10~50MPaである。
(均質化処理)
均質化処理は、合金中のTiとNiとの拡散を促進し、これらの元素が合金中に均質に分布するように、金属材料を所定の温度に加熱して一定時間保持する工程である。均質化処理は下記押出加工の前に行っても押出加工の後に行ってもよい。
均質化処理は、真空雰囲気、またはアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
均質化処理における加熱温度は特に限定するものではないが、例えば、900~1150℃であり、好ましくは950~1100℃である。また、加熱時間はサンプルサイズ等によって適宜調整されるが、例えば、4~18時間であり、好ましくは8~14時間である。
(押出加工)
さらに、上記の方法によって得られた焼結体を押出加工することができる。焼結体の押出加工によってロッドを得、当該ロッドを材料として医療用具を製造する。
押出加工は、熱間押出、冷間押出、または温間押出のいずれであってもよいが、加工性の観点から、好ましくは熱間押出が採用される。押出加工における押出比は、例えば5~50であり、押出ラム速度は1~10mm/秒である。熱間押出の条件は特に制限されないが、例えば、予備加熱温度が100~400℃であり、予備加熱時間が1~30分である。
(溶体化処理)
溶体化処理は、均質化処理により粗大成長した析出物を母相に再固溶するように、合金中のTiとNiとの拡散を促進し、これらの元素が合金中に均質に分布するように、金属材料を所定の温度に加熱して一定時間保持した後、急冷する工程である。
溶体化処理における加熱温度は特に限定するものではないが、例えば、900~1150℃であり、好ましくは950~1100℃である。また、加熱時間は例えば、10~180分であり、好ましくは0.5~1.5時間である。
(形状記憶熱処理)
形状記憶熱処理は、TiNi等の析出を促進し、機械的特性を向上させるように、金属材料を所定の温度に加熱する工程である。なお、TiNi等の析出は、後述のニッケルチタン酸化物を観察するための走査電子顕微鏡(SEM)では観察が難しい場合があり、TEMなどの観察手段によって観察される。なお、第一実施形態の医療用複合材料は、形状記憶熱処理を経て得れられることが好ましく、また、第一実施形態の医療用複合材料は、TiNiを含むことが好ましい。
形状記憶熱処理における加熱温度は特に限定するものではないが、例えば、350~600℃であり、好ましくは450~550℃である。また、加熱時間はサンプルサイズ等によって適宜調整されるが、例えば5~180分であり、好ましくは0.5~1.5時間である。
(加工)
上記の方法のようにして得られた合金のロッドを、任意に加工し、所望の医療用具を製造する。例えば、ステントであれば、機械加工によりロッドの中心部を繰り抜き、パイプ形状にする。これをレーザー加工によりステントのパターンにカットし、さらに化学研磨、電解研磨を施しステントを作製することができる。
<医療用具>
本発明の他の実施形態は、第一実施形態の複合材料を含む医療用具である。
医療用具としては、例えば、ステント、ステントグラフト、ガイドワイヤー、カテーテル等を例示できる。具体的には、留置針、IVHカテーテル、薬液投与用カテーテル、サーモダイリューションカテーテル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カテーテルおよびダイレーター若しくはイントロデューサー等の血管内に挿入若しくは留置されるカテーテル;または、これらのカテーテル用のガイドワイヤー、スタイレット等;胃管カテーテル、栄養カテーテル、経管栄養用(ED)チューブ、尿道カテーテル、導尿カテーテル、バルーンカテーテル、気管内吸引カテーテルをはじめとする各種の吸引カテーテルや排液カテーテル等の血管以外の生体組織に挿入若しくは留置されるカテーテル類;が例示できる。好ましくは、本発明に係る医療用具は、ステントである。
ステントとしては、好適には、線状構成要素により環状に形成され、複数の一端側屈曲部および複数の他端側屈曲部を有する環状体が、軸方向に複数配列するとともに、隣り合う環状体が連結部により連結されており、さらに、前記連結部として、隣り合う一端側の前記環状体の一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部と他端側の前記環状体の一端側屈曲部の頂点間を連結するとともに少なくとも1つの一端側屈曲部および他端側屈曲部を有する中央部頂点間屈曲連結部と、隣り合う一端側の前記環状体の他端側屈曲部の頂点と他端側の前記環状体の一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部とを連結するとともに少なくとも1つの一端側屈曲部および他端側屈曲部を有する頂点中央部間屈曲連結部とからなる2種類の連結部を備えている。
図1は、医療用具の一例であるステントの一例を表す。図1のステント1は、生体内への留置操作時に変形することにより生体内組織に密着する生体内留置用ステントである。
ステント1は、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には縮径され、生体内留置時には縮径前の形状に復元可能なステント、いわゆる自己拡張型ステントである。図1は、ステント1の圧縮時(生体内挿入時)の外観形状を示している。なお、本発明のステントは、自己拡張型ステントに限定されるものではない。例えば、略管状体に形成され、生体内の管腔への挿入のための直径を有し、管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能なバルーン拡張型ステントであってもよい。
図2は、拡張時のステントを示す。図2に示されるように、ステント1は、線状構成要素により環状に形成され、複数の一端側屈曲部2aおよび複数の他端側屈曲部2bを有する環状体(波線状環状体)2が、軸方向に複数配列するとともに、隣り合う環状体が連結部により連結されている。
ステント1を形成する波線状環状体2の数としては、ステントの長さによって相違するが、3~90が好ましく、特に、5~80が好ましい。
図2に示すように、ステント1の一端に位置する環状体には、さらに一端側に突出する一端部屈曲線状部21,22,23,24が設けられており、ステント1の一端部は、これら一端部屈曲線状部により形成されている。そして、一端部屈曲線状部21は、環状体2の一端側屈曲部の頂点と環状体2の他の一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部とを連結するとともに、2つの一端側屈曲部と1つの他端側屈曲部を有している。そして、一端部屈曲線状部21の1つの一端側屈曲部には、開口部7が設けられ、また、開口部7には造影用マーカー8が装着されている。また、一端部屈曲線状部22は、環状体2の一端側屈曲部の頂点と他の一端側屈曲部の頂点とを連結するとともに、2つの一端側屈曲部と1つの他端側屈曲部を有している。そして、一端部屈曲線状部22の1つの一端側屈曲部には、開口部7が設けられ、また、開口部7には造影用マーカー8が装着されている。一端部屈曲線状部23は、環状体2の一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部と他の一端側屈曲部の頂点とを連結するとともに、2つの一端側屈曲部と1つの他端側屈曲部を有している。そして、一端部屈曲線状部23の1つの一端側屈曲部には、開口部7が設けられ、また、開口部7には造影用マーカー8が装着されている。そして、一端部屈曲線状部24は、環状体2の一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部と他の一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部とを連結するとともに、1つの一端側屈曲部を有している。
造影用マーカーとしては、X線造影用、超音波造影用などどのようなものであってもよい。マーカーとしては、X線造影性物質、超音波造影性物質などの造影性物質により形成される。マーカーの形成材料としては、例えば、金、白金、タングステン、タンタル、イリジウム、パラジウムあるいはそれらの合金、あるいは金-パラジウム合金、白金-イリジウム、NiTiPd、NiTiAu等が好適である。
ステント1では、図1、図2および図3に示すように、すべての隣り合う環状体間は、頂点間屈曲連結部31と、中央部間屈曲連結部32と、中央部頂点間屈曲連結部33と、頂点中央部間屈曲連結部34の4種類の連結部により連結されている。
ステント1は、図3に示されるように、連結部として、隣り合う一端側の環状体2の他端側屈曲部2bの頂点と他端側の環状体2の一端側屈曲部2aの頂点間を連結するとともに少なくとも1つの一端側屈曲部3aおよび他端側屈曲部3bを有する頂点間屈曲連結部31と、隣り合う一端側の環状体2の一端側屈曲部2aと他端側屈曲部2bを結ぶ線状部の中央部2cと他端側の環状体2の一端側屈曲部2aと他端側屈曲部2bを結ぶ線状部の中央部2c間を連結するとともに少なくとも1つの一端側屈曲部3aおよび他端側屈曲部3bを有する中央部間屈曲連結部32と、隣り合う一端側の環状体2の一端側屈曲部2aと他端側屈曲部2bを結ぶ線状部の中央部2cと他端側の環状体2の一端側屈曲部2aの頂点間を連結するとともに少なくとも1つの一端側屈曲部3aおよび他端側屈曲部3bを有する中央部頂点間屈曲連結部33と、隣り合う一端側の環状体の他端側屈曲部2bの頂点と他端側の環状体2の一端側屈曲部2aと他端側屈曲部2bを結ぶ線状部の中央部2cとを連結するとともに少なくとも1つの一端側屈曲部3aおよび他端側屈曲部3bを有する頂点中央部間屈曲連結部34とからなる4種類の連結部のうち、頂点間屈曲連結部31と中央部間屈曲連結部32を含む少なくとも3種類の連結部を備え、かつ、隣り合う環状体間は、少なくとも2つの異なる種類の連結部により連結されている。
頂点間屈曲連結部31は、図3に示すように、隣り合う一端側の環状体2の他端側屈曲部2bの頂点と他端側の環状体2の一端側屈曲部2aの頂点間を連結するとともに2つの一端側屈曲部3aと2つの他端側屈曲部3bを有している。なお、頂点間屈曲連結部31は、このようにそれぞれ2つの一端側屈曲部3aと他端側屈曲部3bを有することにより、柔軟性と圧縮容易性を確実にステントに付与することができる。また、この頂点間屈曲連結部31は、後述する他の連結部より有する屈曲部の数も多く、長さも長いものとなっている。なお、頂点間屈曲連結部は、それぞれ1つの一端側屈曲部3aと他端側屈曲部3bを有するものであってもよい。そして、屈曲連結部31と連結する環状体2の屈曲部の頂点は、分岐部を構成する。そして、頂点間屈曲連結部31の一端側屈曲部3aは、この連結部31が連結する一端側の環状体2の屈曲部間(他端側屈曲部間)に進入しており、他端側屈曲部3bは、この連結部31が連結する他端側環状体2の屈曲部間(一端側屈曲部間)に進入している。このため、ステントに高い拡張維持力を付与している。
中央部間屈曲連結部32は、図3に示すように、隣り合う一端側の環状体2の一端側屈曲部2aと他端側屈曲部2bを結ぶ線状部の中央部2cと他端側の環状体2の一端側屈曲部2aと他端側屈曲部2bを結ぶ線状部の中央部2c間を連結するとともに1つの一端側屈曲部3aおよび1つの他端側屈曲部3bを有している。また、この中央部間屈曲連結部32は、隣り合う環状体の線状部の中間部同士を連結するため、ある程度の剛性を持ち、ステントの拡張維持力の向上に寄与する。また、中央部2cは、一端側屈曲部2aと他端側屈曲部2bを結ぶ線状部のほぼ中間点であることが好ましい。そして、屈曲連結部32と連結する環状体2の中央部2cは、分岐部を構成する。また、中央部間屈曲連結部32は、上述した頂点間屈曲連結部31とステントの周方向に連続しないように配置されている。また、この実施例のステントでは、中央部間屈曲連結部32は、上述した頂点間屈曲連結部31とステントの中心軸に対してほぼ向かい合うものとなっている。この中央部間屈曲連結部32は、それぞれ1つのみの一端側屈曲部3aおよび他端側屈曲部3bを有するものであることが好ましい。そして、中央部間屈曲連結部32の一端側屈曲部3aも、この連結部32が連結する一端側の環状体2の屈曲部間に進入しており、他端側屈曲部3bも、この連結部32が連結する他端側環状体2の屈曲部間に進入している。このため、ステントに高い拡張維持力を付与している。
中央部頂点間屈曲連結部33は、図3に示すように、隣り合う一端側の環状体2の一端側屈曲部2aと他端側屈曲部2bを結ぶ線状部の中央部2cと他端側の環状体2の一端側屈曲部2aの頂点間を連結するとともに1つの一端側屈曲部3aおよび1つの他端側屈曲部3bを有している。また、この中央部頂点間屈曲連結部33は、隣り合う環状体の線状部の中間部と頂点を連結するため、上述した頂点間屈曲連結部31と中央部間屈曲連結部32の中間的な物性を示すものとなっている。そして、この中央部頂点間屈曲連結部33は、ステントの周方向において、頂点間屈曲連結部31と中央部間屈曲連結部32の間となるように配置されている。そして、屈曲連結部33と連結する環状体2の中央部2c、屈曲部2aの頂点は、分岐部を構成する。この中央部頂点間屈曲連結部33は、それぞれ1つのみの一端側屈曲部3aおよび他端側屈曲部3bを有するものであることが好ましい。そして、中央部頂点間屈曲連結部33の一端側屈曲部3aも、この連結部33が連結する一端側の環状体2の屈曲部間に進入しており、他端側屈曲部3bも、この連結部33が連結する他端側環状体2の屈曲部間に進入している。このため、ステントに高い拡張維持力を付与している。
頂点中央部間屈曲連結部34は、図3に示すように、隣り合う一端側の環状体の他端側屈曲部2bの頂点と他端側の環状体2の一端側屈曲部2aと他端側屈曲部2bを結ぶ線状部の中央部2cとを連結するとともに1つの一端側屈曲部3aおよび1つの他端側屈曲部3bを有している。また、この頂点中央部間屈曲連結部34は、隣り合う環状体の線状部の中間部と頂点を連結するため、上述した頂点間屈曲連結部31と中央部間屈曲連結部32の中間的な物性を示すものとなっている。そして、この頂点中央部間屈曲連結部34は、ステントの周方向において、頂点間屈曲連結部31と中央部間屈曲連結部32の間となるように配置されている。また、この実施例のステントでは、頂点中央部間屈曲連結部34は、上述した中央部頂点間屈曲連結部33とステントの中心軸に対してほぼ向かい合うものとなっている。そして、屈曲連結部34と連結する環状体2の中央部2c、屈曲部2bの頂点は、分岐部を構成する。この頂点中央部間屈曲連結部34は、それぞれ1つのみの一端側屈曲部3aおよび他端側屈曲部3bを有するものであることが好ましい。そして、頂点中央部間屈曲連結部34の一端側屈曲部3aも、この連結部34が連結する一端側の環状体2の屈曲部間に進入しており、他端側屈曲部3bも、この連結部34が連結する他端側環状体2の屈曲部間に進入している。このため、ステントに高い拡張維持力を付与している。
そして、隣り合う環状体間の連結部は、頂点間屈曲連結部31の周方向左に中央部頂点間屈曲連結部33が位置し、その左に、中央部間屈曲連結部32が位置し、その左に、頂点中央部間屈曲連結部34が位置し、その左に、上記頂点間屈曲連結部31が位置するものとなっており、頂点間屈曲連結部31、中央部頂点間屈曲連結部33、中央部間屈曲連結部32、頂点中央部間屈曲連結部34が周方向左回りにその順番にて環状となるように配置されている。
そして、図2に示すように、ステント1の他端部20には、他端環状部20aが配置されている。この環状部20aは、上述した環状部2と同様に、それぞれ7個の一端側屈曲部と他端側屈曲部を有する波線状環状体となっている。また、他端環状部20aの7つの他端側屈曲部の一部(具体的には、3つの屈曲部)には、開口部7および開口部7に設けられた造影用マーカー8を備えている。
他端環状部20aと隣り合う環状体2は、複数の他端部連結部により連結されている。この実施例のステント1では、他端環状部20aと隣り合う環状体2との間には、他端部連結部25,26,27,28が設けられている。他端部連結部25は、環状体2の他端側屈曲部2bの頂点と他端環状部20aの一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部とを連結するとともに1つの一端側屈曲部および1つの他端側屈曲部を有している。他端部連結部26は、環状体2の一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部と他端環状部20aの一端側屈曲部の頂点とを連結するとともに屈曲部を持たない直線状のものとなっている。他端部連結部27は、環状体2の一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部と他端環状部20aの一端端側屈曲部の頂点とを連結するとともに1つの一端側屈曲部および1つの他端側屈曲部を有している。他端部連結部28は、環状体2の他端側屈曲部の頂点と他端環状部20aの一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部とを連結するとともに屈曲部を持たない直線状のものとなっている。
他端環状部20aは、図2に示すように、始端および終端がともに他端環状部20aと連結する補強屈曲線状部20b、20cを備えている。補強屈曲線状部20bは、他端環状部20aの一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部間を連結するとともに1つの一端側屈曲部を有している。補強屈曲線状部20cは、他端環状部20aの隣り合う一端側屈曲部の頂点間を連結するとともに2つの一端側屈曲部と1つの他端側屈曲部を有している。ステントの他端部は、上述したような構成を有することにより、高い形状保持性を有する。
上述した頂点間屈曲連結部31は、ステント1の軸方向に対して螺旋的となるように配置されている。同様に、中央部間屈曲連結部32も、ステントの軸方向に対して螺旋的となるように配置されている。このため、頂点間屈曲連結部31、中央部間屈曲連結部32は、ステントの軸方向に直線上に連続しないものとなっている。同様に、中央部頂点間屈曲連結部33,頂点中央部間屈曲連結部34もステントの軸方向に対して螺旋的となるように配置されている。この実施例のステント1では、ステントの軸方向に同じ種類の連結部が直線上に連続しないものとなっている。
また、上述した造影用マーカー8は、開口部7を閉塞するように固定されている。造影用マーカー8としては、例えば、ステントに形成された開口部7に、この開口部7より若干小さい部分と大きい部分を有する造影性物質の円盤状部材を配置し両面より押圧して、リベット状に、かしめることにより取り付けられることが好ましい。
ステントには、ステントおよびステントグラフトが含まれる。
ステントの厚さは、従来の一般的なものが採用できる。例えば、ステントの厚さは、50~500μm程度であり、支持性と分解時間との関係から、60~300μm程度が好ましく、70~200μm程度がより好ましい。本実施形態に係るステント基体は、優れた力学特性(例えば、拡張保持力)を有するため、ステントを肉薄にできる。
ステントの大きさも、その目的や機能に合わせて適宜調節される。例えば、拡張後におけるステントの外径(直径)は、1~40mm程度が好ましく、1.5~10mm程度がより好ましく、2~5mm程度が特に好ましい。
また、ステントの長さも特に制限されず、処置すべき疾患によって適宜選択が可能であり、例えば5~300mm程度が好ましく、10~50mm程度がより好ましい。
ステントは、上記のステント基体のほか、本発明の目的効果を損なわない範囲において、ステント基体上にコート層を設けてもよい。コート層の構成材料は生分解性材料が好ましく、その生分解性材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリカーボネート、ポリホスファゼン、ポリリン酸エステル、ポリペプチド、多糖、タンパク質、セルロースからなる群から選択される重合体が例示でき、より具体的には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、乳酸-カプロラクトン共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリリンゴ酸、ポリ-α-アミノ酸、コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コンドロイチン硫酸、およびヒアルロン酸、からなる群から選ばれた少なくとも1種またはブレンドであり、生体内で分解することを考慮すると医学的に安全なものが好ましい。ステント外表面(ステント基体外表面)をコーティングする生分解材料の分子量、精製度、結晶化度を調節して分解期間を長くすることができる。例えば、上記の生分解性材料の精製度を高めて未反応のモノマーや低分子量各分を排除したり、結晶化度を高めてステント骨格内部に侵入する水分量を抑制したりすることで、加水分解時間を長くすることができる。また、上記のコート層形成生分解性材料と、上述した薬剤の1種または2種以上とを、任意の割合で、例えば1:99~99:1(w/w)、好ましくは80:20~95:5(w/w)の割合で含有させ、コート層を薬剤コーティング層とすることもできる。コート層の形成方法は、特に制限されず、通常のコーティング方法が同様にしてまたは適宜修飾して適用できる。具体的には、生分解性材料、ならびに必要に応じて上記薬剤および適当な溶剤を混合して混合物を調製し、当該混合物をステント基体に塗布する方法が適用できる。
本発明の他の実施形態は、下記耐久性試験法による耐久性が100,000回以上である、ステント;耐久性試験法:ねじり角度:±30°/10mm、チャック間距離:30mm、周波数:2Hz、温度:37℃である。ステントがかような構成であることで、耐久性に優れたステントとなる。耐久性試験法による耐久性は、200,000回以上であることが好ましく、300,000回以上であることがより好ましい。
また、本発明の他の好適な実施形態は、線状構成要素により環状に形成され、複数の一端側屈曲部および複数の他端側屈曲部を有する環状体が、軸方向に複数配列するとともに、隣り合う環状体が連結部により連結されており、さらに、前記連結部として、隣り合う一端側の前記環状体の一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部と他端側の前記環状体の一端側屈曲部の頂点間を連結するとともに少なくとも1つの一端側屈曲部および他端側屈曲部を有する中央部頂点間屈曲連結部と、隣り合う一端側の前記環状体の他端側屈曲部の頂点と他端側の前記環状体の一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部とを連結するとともに少なくとも1つの一端側屈曲部および他端側屈曲部を有する頂点中央部間屈曲連結部とからなる2種類の連結部を備え、上記耐久性試験法による耐久性が100,000回以上である、ステントである。
上記実施形態のステントは、例えば、第一実施形態の医療用複合材料を用いて得ることができ、また、第一実施形態の医療用複合材料の製造方法を経て、製造することができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「重量部」あるいは「重量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
(実施例)
(1)ニッケル粉末(Type-123,VALE社製)とチタン粉末(TC-450、トーホーテック社製)とを所定の混合比(Ti-51.0、51.5、51.8at%Ni)に秤量後、プラスチック容器に入れ、さらにプラスチック容器に酸化ジルコニウムボール(φ10mm)を粉末重量比10:1(粉末:ボール)で入れ、卓上ボールミル(AV-2、アサヒ理化製作所製)で、回転速度90rpmで、3時間混合した。
(2)焼結処理:(1)で得られた混合粉末をカーボンコンテナに充填し、放電プラズマ焼結装置(SPS-1030S:SPSシンテック製)を用いて、真空度6Pa、焼結圧力30MPa、焼結温度1000℃、焼結時間60分にて、粉末を焼結した。
(3)均質化熱処理:(2)で得られた粉末をアルゴン雰囲気下にて、1000℃、12時間で熱処理をした。
(4)押出加工:(3)で得られた焼結体を押出加工比6(コンテナ内径37mm、ダイス径15mm)、押出ラム速度6mm/s、加熱温度1100℃、金型温度300-400℃で押出加工した。
(5)形状記憶熱処理:得られた加工品を1000℃、1時間の溶体化熱処理(加熱後、急冷)、500℃、1時間の形状記憶熱処理をした。その後、押出材を引張試験片、パイプへ加工した。
(比較例)
非特許文献1、非特許文献2の記載にしたがって、試料を作製した。
[各物性の測定方法]
(酸素量の測定)
酸素量は、不活性ガス融解-赤外線吸収法、窒素、酸素、水素分析装置 EMGA-930(堀場製作所社製)を用いて測定した。
(Ni-Ti系合金母相中のNi量の測定)
Ni-Ti系合金母相中のNi量は、測定電子線プローブマイクロアナライザ(FE-EPMA) JXA-8530F(日本電子社製)を用いて測定した。
なお、測定には、各実施例および比較例で得られた押出材にワイヤ放電加工を用いて切り出しを行ったパイプ(φ6×t0.2×L50)を用い、研磨、エッチングにより作製した断面試料にPtスパッタコートをして実施し、N=3で測定し、その平均値を算出した。
(ニッケルチタン酸化物の平均円相当径、比表面積の算出)
熱電界放射型走査電子顕微鏡(TFE-SEM、JSM-6500F(日本電子社製))を用いて、反射電子像(BSE)のコントラストから輪郭を決定し、粒子面積を測定した。さらに、撮影箇所における粒子面積の総和をSEM測定面積で割ってニッケルチタン酸化物の比表面積を算出した。さらに、当該粒子面積から円相当径を((4×粒子面積)÷π)1/2の式から算出し、撮影箇所における粒子(おおよそ200個)の円相当径の平均を算出して平均円相当径とした。なお、実施例のNi量が51.0at%のサンプルの円相当径ヒストグラムを図4に載せる。ここでは、円相当径が0μmを超え0.1μm以下の粒子をデータ区間0.1、円相当径が0.1μmを超え0.2μm以下の粒子をデータ区間0.2・・・とし、その個数を頻度として表した。この場合、ニッケルチタン酸化物の円相当径の最頻値においても、1.0μm以下となることが好ましく、0.2~1.0μmとなることがより好ましい。
なお、ニッケルチタン酸化物の平均円相当径、比表面積は、(5)で得られたサンプルにワイヤ放電加工を用いて切り出しを行ったパイプ(φ6×t0.2×L50)を用いた。
[評価]
<引張試験:プラトー応力および8%ひずみ負荷時形状回復率>
得られた押出材に放電、切削加工を用い、丸棒引張試験片(平行部直径3mm、長さ15mm)とした。引張試験は、AUTOGRAPH AG-X 50kN(島津製作所)を用いて、ひずみ速度0.5ks-1にて引張試験を行った。
また、同一条件下においてヒステリシス試験を行い、付与ひずみ8%における形状回復率を測定した。なお、形状回復率は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、96.5%以上であることがさらにより好ましい。
結果を下記表1に示す。
Figure 2022049329000003
<耐久性試験>
以下のステント形状のステントを用いて以下の試験条件にて耐久性試験を行った。試験は3回行い、その平均をとった。結果を下記表2に示す。
(ステント形状)
耐久性データ測定サンプルの形状:ステント(テルモ株式会社、Misago(登録商標)デザイン/特開2011-200705号、φ6×L40)
ステントの製造方法:
(1)得られた押出材にワイヤ放電加工を行い、パイプ(φ6×t0.2×L50)を切り出しする。
(2)パイプにレーザーカット、ブラスト、化学研磨、電解研磨を行い、ステントを得た。
レーザーカット:Rofin SC-18を用いてレーザーカット
ブラスト:モランダム#700J(昭和電工)を用いて表面研磨
化学研磨:MicroClean(RD Chemical Company)に浸漬
電解研磨:10%硫酸メタノールを用いて研磨。
(試験条件)
条件:ねじり角度:±30°/10mm
チャック間距離:30mm
周波数:2Hz
温度:37℃
装置:Electro Force3200 (TA Instruments)
Figure 2022049329000004
上記結果より、本発明の医療用複合材料は、形状回復率が高く、耐久性の高いものであった。
ステント 1、
環状体 2、
一端側屈曲部 2a、
他端側屈曲部 2b、
中央部 2c、
一端側屈曲部3a、
他端側屈曲部3b、
頂点間屈曲連結部 31、
中央部間屈曲連結部 32、
中央部頂点間屈曲連結部 33、
頂点中央部間屈曲連結部 34。

Claims (6)

  1. Ni-Ti系合金母相と、当該母相中に分散されたニッケルチタン酸化物と、を有し、
    酸素量が0.10~0.20重量%であり、
    前記ニッケルチタン酸化物の平均円相当径が1.00μm以下であり、
    前記合金母相は、50at%を超え、53at%以下のNiを含有し、かつ、残部がTiおよび不可避的不純物からなる、医療用複合材料。
  2. 粉末冶金法によって得られる、請求項1に記載の医療用複合材料。
  3. 前記ニッケルチタン酸化物の比表面積が1.5~3.0%である、請求項1または2に記載の医療用複合材料。
  4. 請求項1~3のいずれか1項の記載の医療用複合材料を用いた医療用具。
  5. 下記耐久性試験法による耐久性が100,000回以上である、ステント;
    耐久性試験法:ねじり角度:±30°/10mm、チャック間距離:30mm、周波数:2Hz、温度:37℃。
  6. 線状構成要素により環状に形成され、複数の一端側屈曲部および複数の他端側屈曲部を有する環状体が、軸方向に複数配列するとともに、隣り合う環状体が連結部により連結されており、さらに、
    前記連結部として、隣り合う一端側の前記環状体の一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部と他端側の前記環状体の一端側屈曲部の頂点間を連結するとともに少なくとも1つの一端側屈曲部および他端側屈曲部を有する中央部頂点間屈曲連結部と、隣り合う一端側の前記環状体の他端側屈曲部の頂点と他端側の前記環状体の一端側屈曲部と他端側屈曲部を結ぶ線状部の中央部とを連結するとともに少なくとも1つの一端側屈曲部および他端側屈曲部を有する頂点中央部間屈曲連結部とからなる2種類の連結部を備えている、請求項5に記載のステント。
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