JP2022042361A - イネ病害の防除剤、イネ病害の防除方法、容器入り防除剤 - Google Patents

イネ病害の防除剤、イネ病害の防除方法、容器入り防除剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、イネ病害に対して有効な、新たな防除剤、及び防除方法を提供することを第1の課題とする。本発明は、安定性が高く、使用時における継ぎ足し、又は交換が不要な防除剤を提供することを第2の課題とする。【解決手段】次亜塩素酸水からなる、イネ病害の防除剤。【選択図】図1

Description

本発明は、イネ病害の防除剤、イネ病害の防除方法、及び容器入り防除剤に関する。
主なイネの病害として、もみ枯細菌病、いもち病、褐条病、ばか苗病、苗立枯細菌病、及びごま葉枯病等の糸状菌、細菌(微生物)に起因する種子伝染性病害が良く知られている。
イネの育苗工程として、上述した病害を防除する目的で、播種前の種子(種籾)の消毒、殺菌が一般的に行われている。消毒、殺菌の手法としては、化学農薬あるいは微生物防除資材の塗抹、粉衣、浸漬、又は温湯殺菌が知られている。
近年、消費者の食の安全性への関心の高さから、残留性に懸念がある化学農薬の使用よりも、安全性の高い微生物防除資材の利用、あるいは温湯殺菌が好まれる傾向にある。
しかし、イネの種子消毒において、微生物防除資材、温湯消毒では充分な防除効果を得ることはできなかった。
したがって、薬害が無く、イネ病害に対して充分な防除効果を有する防除剤が望まれている。
このような事情のもと、化学農薬を用いた殺菌、及び温湯殺菌以外の殺菌方法として、特許文献1には、酸性電解水を適用することによる、糸状菌性植物病害の防除方法について記載されている。
また、特許文献2には、温湯または残効性のない低農薬を用いた種籾の殺菌後に、浸種又は催芽工程で、浸漬液として次亜塩素酸水(実質的に、酸性電解水)を使用して、種籾が浸漬液を通して感染することを防止する種籾の殺菌・感染防止方法について記載されている。
特開平11-302117号公報 特開2019-62826号公報
次亜塩素酸水は、平成26年3月に特定防除資材(特定農薬)としての使用が認められ、薬害が無くクリーンな特定農薬として、注目を集めている。
しかし、特定防除資材として認められている次亜塩素酸水は、特許文献1、及び特許文献2に記載されている、塩酸、又は塩化カリウム水溶液を電気分解したもの、すなわち、酸性電解水のみであり、酸性電解水以外の次亜塩素酸水のイネ病害に対する防除効果については、知られていない。
したがって、本発明は、イネ病害に対して有効な、新たな防除剤、及び防除方法を提供することを第1の課題とする。
また、酸性電解水は、安定性が低いため、経時的に有効塩素濃度が低下するという問題があった。イネ病害の防除剤として適用している間に、有効塩素濃度を保つためには、特許文献1では、酸性電解水が10時間に1回交換されるように、酸性電解水をかけ流す手法を採用している。特許文献2においても、次亜塩素酸水を全量交換するか、次亜塩素酸水を継ぎ足すか、もしくは回収して再生する方法を採用している。
このように、酸性電解水を植物病害の防除剤として使用するには、次亜塩素酸水を適宜交換するという手間があり、多量の酸性電解水を使用する必要があった。
したがって、本発明は、使用時における交換等の手間がなく、少量であっても充分な防除効果を得ることができる防除剤、及び防除方法を提供することを第2の課題とする。
本発明者らは、特定の製造方法により生成された次亜塩素酸水が、使用時において交換の必要がなく、少量であっても充分な防除効果を有することを見出し、本発明を完成させた。
前記課題を解決する本発明は、次亜塩素酸水からなる、イネ病害の防除剤である。
本発明の防除剤は、種々のイネ病害に対して有効である。
本発明の好ましい形態では、イネ病害が、もみ枯細菌病、いもち病、褐条病、ばか苗病、及び苗立枯細菌病からなる群から選択される1種又は2種以上である。
本発明の防除剤は、特に上記のイネ病害に対して有効である。
本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸水の電気伝導度が350μS/cm以下である。
このような防除剤は、交換等が不要で長時間使用することができ、少量であっても十分な防除効果を得ることができる。
本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸水の有効塩素濃度が、50ppm以上である。
本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸水が、次亜塩素酸塩溶液を、弱酸性イオン交換体と接触させることで生成されたものである。
このように生成された次亜塩素酸水からなる防除剤は、使用時において交換等の必要がなく、少量であっても充分な防除効果を得ることができる。
また、前記課題を解決する本発明は、上述したイネ病害の防除剤を用いるイネ病害の防除方法であって、前記防除剤とイネ種子を接触させる接触工程を含む。
本発明の好ましい形態では、前記接触工程が、前記防除剤に、イネ種子を浸漬させる工程である。
本発明の防除剤によれば、使用時において防除剤を交換等しなくとも、十分な防除効果を得ることができる。
本発明の好ましい形態では、前記接触工程が、イネ種子の催芽時の工程である。本発明の防除方法によれば、特にイネ種子の催芽時に防除剤を接触させることで、優れた防除効果を発揮する。
また、前記課題を解決する本発明は、電気伝導度が350μS/cm以下の次亜塩素酸水からなる防除剤を容器に収容してなる、容器入り防除剤である。
本発明の容器入り防除剤は、使用性に優れ、長時間置いた場合であっても、十分な防除効果を得ることができる。
本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸水の有効塩濃度が、200ppm以上である。
本発明の防除剤、及び防除方法によれば、種々のイネ病害に対して、交換等の手間がなく、かつ少量で優れた防除効果を有する。
また、本発明の容器入り防除剤は、使用性に優れる。
試験例1(いもち病)の結果をまとめた図である。 試験例1(ばか苗病)の結果をまとめた図である。 試験例1(もみ枯細菌病)の結果をまとめた図である。 試験例1(苗立枯細菌病)の結果をまとめた図である。 試験例1(褐条病)の結果をまとめた図である。
(1)防除剤
本発明の防除剤は、次亜塩素酸水からなる。
ここで、一般に次亜塩素酸水として用いられる酸性電解水は、電解法により製造されるものであるが、この酸性電解水を防除剤として用いて、優れた防除効果を得る場合には、使用中に新たな酸性電解水に交換したり、継ぎ足しする必要がある。
したがって、本発明の防除剤に用いる次亜塩素酸水は、酸性電解水以外の次亜塩素酸水であることが好ましい。
本発明の防除剤に用いる次亜塩素酸水としては、緩衝法により製造された次亜塩素酸水を挙げることができる。
ここで、『緩衝法により製造された次亜塩素酸水』とは、国際公開第2011/136091号公報に記載された方法により製造された次亜塩素酸水を意味する。
具体的には、次亜塩素酸塩溶液を、弱酸性イオン交換樹脂カラム等の弱酸性イオン交換体と接触させることで得られる次亜塩素酸水であり、より具体的には、次亜塩素酸塩溶液を、弱酸性イオン交換体を充填した容器を通過させることで得られる次亜塩素酸水である。
この方法により製造された次亜塩素酸水からなる防除剤は、使用中において交換する必要がなく、結果として少量であっても、十分な防除効果を得ることができる。
このようにして得られた次亜塩素酸水のpHは好ましくは5~6.5であり、より好ましくは5.5~6.5であり、さらに好ましくは5.8~6.5である。
また、このようにして得られた次亜塩素酸水の電気伝導度は、350μS/cm以下であり、より好ましくは300μS/cm以下であり、さらに好ましくは250μS/cm以下であり、特に好ましくは200μS/cm以下である。
さらに、このようにして得られた次亜塩素酸水の有効塩素濃度は、好ましくは50ppm以上であり、より好ましくは60ppm超であり、さらに好ましくは80ppm以上であり、さらに好ましくは100ppm以上であり、特に好ましくは150ppm以上であり、最も好ましくは200ppm以上である。
本発明の防除剤の適用対象であるイネ科植物は、イネ、ムギ、トウモロコシ、アワ、ヒエ、サトウキビ、タケ等を含む。
本発明の防除剤の対象病害は、特に限定されるものではないが、イネ病害として主要なもの、すなわち、もみ枯細菌病、いもち病、褐条病、ばか苗病、及び苗立枯細菌病からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
(2)容器入り防除剤
また、本発明は、上述した防除剤を容器に収容してなる、容器入り防除剤に関する。
容器入り防除剤とすることで、使用時の利便性が向上する。
本発明の容器入り防除剤は、次亜塩素酸水の電気伝導度が350μS/cm以下である。
容器入り防除剤の有効塩素濃度は、特に限定されないが、好ましくは200ppm以上であり、より好ましくは300ppm以上であり、さらに好ましくは400ppm以上である。また、有効塩素濃度は、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは800ppm以下であり、さらに好ましくは600ppm以下である。
本発明の容器入り防除剤は、高濃度であっても安定性が高く、流通過程において有効塩素濃度がほとんど低下しない。
容器としては、特に限定されないが、遮光性の容器を用いることが好ましい。次亜塩素酸は、紫外線により分解しやすい性質を有しているため、遮光性の容器を用いることで、防除剤をより安定して流通させることができる。
本発明の容器入り防除剤は、希釈せずそのまま使用してもよく、目的の濃度に併せて適宜希釈をして使用してもよい。
(3)防除方法
本発明の防除方法は、上述した防除剤とイネ種子を接触させる接触工程を含む。
防除剤を種子消毒に用いる場合には、浸種前処理、浸種時、催芽時の何れか、又は全てのタイミングで適用し得るが、本発明の防除剤は、特に催芽時における種子消毒に適している。
催芽時における、催芽時間、及び温度は、一般的なイネ種子の催芽工程に準じて適宜設定することができる。
催芽時間は、およそ10~32時間とすることができ、催芽時の温度は、およそ25~32℃とすることができる。
接触工程は、前記防除剤に、イネの種子を浸漬させる工程であることが好ましい。
本発明の防除方法によれば、防除剤にイネの種子を浸漬させる場合において、消毒中における防除剤の交換が不要である。本発明の防除剤は、新しいものに交換しなくとも有効塩素濃度を保ち、十分な防除効果を得ることができる。
接触工程において、イネ種子に対する防除剤の浴比は、好ましくは1:8以下であり、さらに好ましくは1:6以下であり、特に好ましくは1:4以下である。また、イネ種子に対する防除剤の浴比は、好ましくは1:1以上であり、より好ましくは1:2以上である。
本発明の一態様によれば、好ましくは有効塩素濃度が50~200ppmの次亜塩素酸水からなる防除剤を、イネ種子に対して1:1~1:8(種子:防除剤)の浴比で、12時間~36時間浸漬させる。より好ましくは有効塩素濃度が100~200ppmの次亜塩素酸水からなる防除剤を、イネ種子に対して1:1~1:4の浴比で、18~30時間浸漬させる。さらに好ましくは、有効塩素濃度が100~200ppmの次亜塩素酸水からなる防除剤を、イネ種子に対して1:2~1:3の浴比で、20~26時間浸漬させる。
また、本発明の防除方法において、一般的な種子消毒の手法として採用される温湯処理や、化学農薬等の他の防除剤を併用する必要はなく、催芽時において防除剤とイネ種子を接触させるのみで、十分な防除効果を得ることができる。したがって、本発明の防除方法においては、温湯処理、及び化学農薬処理を行わないことが好ましい。
<試験例1>各イネ病害原因菌に対する次亜塩素酸水の殺菌能確認試験
いもち病、ばか苗病、もみ枯細菌病、苗立枯細菌病、褐条病の原因菌に対する、次亜塩素酸水の殺菌能を調べた。
次亜塩素酸水としては、国際公開第2011/136091号公報に記載された方法に準拠して生成した。当該次亜塩素酸水のパラメーターは、以下の通りである。
(パラメーター)
pH:5~6.5
電気伝導度:200μS/cm
有効塩素濃度:200ppm
上記次亜塩素酸水を、遮光性の容器に詰めて、容器入り防除剤として使用した。濃度は、200ppmのものはそのまま使用し、100ppm、50ppmのものは水道水で希釈した。
いもち病、ばか苗病については、人工的に形成させた胞子を、もみ枯細菌病、苗立枯細菌病、褐条病については、それぞれの菌液を、図1~図5の濃度となるように次亜塩素酸水で調製し、30℃で24時間静置して、それぞれの試料を得た。
いもち病、ばか苗病については、ジャガイモ煎汁培地を充填した90cmシャーレに、もみ枯細菌病、苗立枯細菌病、褐条病については、PPGA培地を充填した90cmシャーレに試料を100μLずつ塗布し、翌日以降に形成したコロニー数を計測した。
また、比較のため、次亜塩素酸水を含まない試料、イプコナゾール・銅水和剤、及び醸造酢液剤を含む試料を同様に調製し、コロニー数を計測した。
結果を図1~図5に示す。なお、図中の「測定不能」という箇所は、目的外の菌の増殖により、測定が不能であった部分を示している。
図1~図5に示す通り、次亜塩素酸水は、50、100、200ppmにおいて、いもち病、ばか苗病、もみ枯細菌病、苗立枯細菌病、褐条病の原因菌に対して、殺菌能を有することが明らかになった。
<試験例2>もみ枯細菌病(苗腐敗症)防除効果確認試験
表1に、実施例1の試験条件をまとめた。
Figure 2022042361000002
まず、表1に記載のイネ種子に、4日間浸種処理(水道水)を施した。次いで、水道水を表1に記載の防除剤(次亜塩素酸水)に交換した後、イネ種子を防除剤に浸漬させ、催芽処理を1日行った。催芽処理後、イネ種子を直ちに播種した。播種したイネ種子を3日間出芽処理し、緑化後、無加温ビニールハウスで管理した。また、催芽工程を水道水で行った以外は同一の方法で、無処理区を作成した。播種日から13日後に、各区の全苗について発病を程度別に調査し、発病苗率、および発病度を算出した。また、発病度から、防除価を求めた。無処理区は、催芽時に水道水を用いた以外は実施例1と同様の処理で作成した。
さらに、比較のため、既存の薬剤として醸造酢液剤を用いて、実施例2と同様に育苗した(試験例1)。さらに、イプコナゾール・銅水和剤を用いて、浸種前処理を24時間(浴比1:2)行い、催芽時において水道水を用いた以外は、実施例2と同様に育苗した(試験例2)。次亜塩素酸水からなる防除剤を、既存の薬剤に置き換えて、薬剤の既定の濃度、既定の適用方法に従って育苗し、発病苗率、発症度、防除価を算出した。発症度は、以下の式(1)により算出した。
緑化時、播種日から1週間後、播種日から13日後(調査時)に、薬害の有無を肉眼で観察した。
結果を表2に示す。
Figure 2022042361000003
Figure 2022042361000004
表2に示す通り、催芽時にイネ種子を次亜塩素酸水に浸漬させた実施例1は、もみ枯細菌病に有効であることが知られている、醸造酢液剤、イプコナゾール・銅水和剤と比して、優れた防除効果があることが示された。なお、実施例1において、緑化時、播種日から1週間後、播種日から13日後のいずれにおいても、薬害は認められなかった。
<試験例3>いもち病(苗いもち)防除効果確認試験
表3に、実施例2の試験条件をまとめた。実施例1と同一の方法で処理し、播種日から13日後に各区とも全苗について、枯死苗数、鞘葉および第1本葉の葉鞘の発病苗数を調査し、苗いもち発生率を求めた。薬害は、播種日から1週間後、2週間後、13日後(調査時)に肉眼で観察した。無処理区は、催芽時に水道水を用いた以外は実施例2と同様の処理で作成した。
また、比較のため、次亜塩素酸水を用いて、浸種前処理を24時間(浴比1:2)行い、催芽時において水道水を用いた以外は、実施例2と同様に育苗した(実施例3)。さらに、イプコナゾール・銅水和剤を用いて、浸種前処理を24時間(浴比1:2)行い、催芽時において水道水を用いた以外は、実施例2と同様に育苗した(試験例3)。結果を表4に示す。
Figure 2022042361000005
Figure 2022042361000006
表4に示す通り、催芽時、及び浸種前処理として、イネ種子を次亜塩素酸水に浸漬させた実施例2、及び実施例3は、いもち病に有効であることが知られているイプコナゾール・銅水和剤と比して、優れた防除効果があることが示された。なお、実施例2、及び実施例3の何れにおいても、薬害は認められなかった。
<試験例4>褐条病防除効果確認試験
表5に、実施例4の試験条件をまとめた。緑化まで実施例1と同一の方法で処理し、緑化後、人工光形グロースキャビネット(「KG-206SHL-D」、小糸工業社製)内で管理し、以下の条件で管理した。
(条件)
最大照度:50000LX
明期:15時間(4:00~19:00)
温度:9:00~11:00 15℃
11:00~13:00 20℃
13:00~15:00 25℃
15:00~17:00 20℃
17:00~19:00 15℃
19:00~9:00 10℃
播種日から21日後に、各区の全苗について発病を程度別に調査し、発病苗率、および発病度を算出した。発病度は、前記式(1)により算出した。また、発病度から、防除価を求めた。薬害は、緑化時、播種日から1週間後、21日後(調査時)に肉眼で観察した。無処理区は、催芽時に水道水を用いた以外は実施例4と同様の処理で作成した。
また、比較のため、既存の薬剤として醸造酢液剤を用いて、実施例4と同様に育苗した(試験例4)。さらに、イプコナゾール・銅水和剤を用いて、浸種前処理を24時間(浴比1:2)行い、催芽時において水道水を用いた以外は、実施例2と同様に育苗した(試験例5)。結果を表6に示す。
Figure 2022042361000007
Figure 2022042361000008
表6に示す通り、催芽時にイネ種子を次亜塩素酸水に浸漬させた実施例3は、褐条病に有効であることが知られている、醸造酢液剤、イプコナゾール・銅水和剤と比して、優れた防除効果があることが示された。なお、実施例4において、緑化時、播種日から1週間後、播種日から21日後のいずれにおいても、薬害は認められなかった。
<試験例5>ばか苗病防除効果確認試験
表7に、実施例5の試験条件をまとめた。実施例2と同一の方法により種子を処理し、播種日から21日後に、各区の全苗について徒長苗数を調査し、発病苗率を求めた。薬害は、緑化時、播種日から1週間後、2週間後、21日後に肉眼で観察した。無処理区は、催芽時に水道水を用いた以外は実施例5と同様の処理で作成した。
また、比較のため、既存の薬剤としてタラロマイセス フラバス水和剤を用いて、実施例4と同様に育苗した(試験例6)。さらに、イプコナゾール・銅水和剤を用いて、浸種前処理を24時間(浴比1:2)行い、催芽時において水道水を用いた以外は、実施例2と同様に育苗した(試験例7)。結果を表8に示す。
Figure 2022042361000009
Figure 2022042361000010
表8に示す通り、催芽時にイネ種子を次亜塩素酸水に浸漬させた実施例4は、ばか苗病に対して十分に有効であることが示された。また、実施例5において、薬害は認められなかった。
<試験例6>苗立枯細菌病防除効果確認試験
表9に、実施例6の試験条件をまとめた。実施例1と同一の方法により種子を処理し、播種日から13日後に、各区の全苗について発病を程度別に調査し、発病苗率、および前記式(1)より発病度を算出した。薬害は、緑化時、播種日から1週間後、13日後に肉眼で観察した。無処理区は、催芽時に水道水を用いた以外は実施例6と同様の処理で作成した。
また、比較のため、既存の薬剤としてタラロマイセス フラバス水和剤を用いて、実施例6と同様に育苗した(試験例8)。結果を表10に示す。
Figure 2022042361000011
Figure 2022042361000012
表10に示す通り、催芽時にイネ種子を次亜塩素酸水に浸漬させた実施例6は、苗立枯細菌病に有効であることが知られている、タラロマイセス フラバス水和剤と同等の防除効果があることが示された。
以上の通り、本願発明の防除剤は、イネ病害、特にもみ枯細菌病、いもち病、褐条病、ばか苗病、苗立枯細菌病に有効であることが示された。
また、本試験例において、次亜塩素酸水からなる防除剤を交換、又は新たな防除剤を継ぎ足す等の操作を一切行わなかったにも関わらず、各病害の発病率を大幅に抑制することができた。交換等を行わなかったため、結果として防除剤の使用量も抑えることができた。
これは、特定の製造方法で生成された次亜塩素水を防除剤として使用したことに起因すると考えらえる。
また、試験例3、及び試験例5においては、生成した次亜塩素酸水を1週間放置したものを使用した。それにも関わらず、優れた防除効果を有するものであった。
この結果から、本発明の防除剤は、長期的な安定性を有しており、使用の直前に生成する必要がないことが示された。したがって、生成した防除剤を容器に入れて容器入り防除剤としておくことが可能である。次亜塩素酸水、特に酸性電解水からなる防除剤は、通常、使用の直前に生成する必要があるが、本発明の容器入り防除剤によれば、使用の直前に生成する必要がなく、利便性に長ける。

Claims (10)

  1. 次亜塩素酸水からなる、イネ病害の防除剤。
  2. イネ病害が、もみ枯細菌病、いもち病、褐条病、ばか苗病、苗立枯細菌病、及びごま葉枯病からなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載の防除剤。
  3. 次亜塩素酸水の電気伝導度が350μS/cm以下である、請求項1又は2に記載の防除剤。
  4. 次亜塩素酸水の有効塩素濃度が、50ppm以上である、請求項1~3の何れか一項に記載の防除剤。
  5. 次亜塩素酸水が、次亜塩素酸塩溶液を、弱酸性イオン交換体と接触させることで生成されたものである、請求項1~4の何れか一項に記載の防除剤。
  6. 請求項1~5の何れか一項に記載のイネ病害の防除剤を用いるイネ病害の防除方法であって、前記防除剤とイネ種子を接触させる接触工程を含む、イネ病害の防除方法。
  7. 前記接触工程が、前記防除剤に、イネ種子を浸漬させる工程である、請求項6に記載の防除方法。
  8. 前記接触工程が、イネ種子の催芽時の工程である、請求項6又は7に記載の防除方法。
  9. 電気伝導度が350μS/cm以下の次亜塩素酸水からなる防除剤を容器に収容してなる、容器入り防除剤。
  10. 次亜塩素酸水の有効塩濃度が、200ppm以上である、請求項9に記載の容器入り防除剤。
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