JP2022032528A - 微粒子分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 除去対象となる微粒子を除去するろ過能力を迅速かつ正確に測定し、これに基づいて微粒子の分離に用いる装置の運転管理を行うことが可能な微粒子の分離方法及び装置を提供する。【解決手段】 ろ過助剤を含むプリコート層を表面に形成したスプリングフィルタに、前記プリコート層の上流から、ボディフィードろ過助剤を添加した原水を供給し、原水中の微粒子を除去する微粒子分離方法であって、試験水にトレーサー粒子を混合する工程と、トレーサー粒子を含有する試験水を、前記プリコート層の上流から、スプリングフィルタに供給する工程と、前記スプリングフィルタを通過したトレーサー粒子量から、スプリングフィルタのろ過能力を得る工程と、前記ろ過能力に基づき、前記スプリングフィルタのろ過条件を制御する工程とを含む方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、微粒子分離方法及び当該方法に用いる微粒子分離装置に関する。本発明は、特には、スプリングフィルタによるろ過能力を監視することが可能な、微粒子分離方法及び当該方法に用いる微粒子分離装置に関する。
排水の処理分野において、排水中から微粒子を物理的に除去する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に開示された方法においては、コイル体を備えるスプリングフィルタをろ材とし、ろ材の上流側にろ過助剤からなる複数のプリコート層を設けた装置が開示されている。そして、ろ過に際し、微粒子を含む原水にボディフィードろ過助剤を混合して最も上流側の濾層に供給し、この供給により前記濾層の更に上流にボディフィード層を形成して、濾層における圧力損失の増加を抑制することが開示されている。この方法では、細菌(数μm)やプランクトン(数十μm)を除去することが可能であり、スプリングフィルタの目詰まりの除去は、低圧の逆洗で容易に行うことが可能である等、利点が大きい。
国際公開WO2009/028163号公報
ろ過による細菌の除去率を測定する方法としては、例えば、培養により生菌数を計数する方法、顕微鏡下で染色・観察する方法、細菌がもつ特定の遺伝子をターゲットとしたPCRによる計数などの方法により、原水と処理水中に混入する細菌を計数し、比較する方法がある。しかし、いずれの方法も前処理から測定結果を得るまでに半日から数日間必要であり、ろ過を行う装置の運転管理に用いるのは実用的でない。
微粒子分離装置のろ過能力の評価は、従来、濁度計による水の濁りの指標による測定値を用いて行ってきた。しかし、細菌レベル(数μm)の粒径の粒子について、10個/mLオーダー未満の濃度測定を行うことは、濁度計では困難である。また、原水には細菌と同等およびその粒径に近い粒子も含まれるため、濁度計の測定値が細菌の濃度とは一致しない場合もある。そのため、濁度計による評価では、微粒子分離装置で除去したい微粒子が除去できており、所定の除去率を維持できているかは判断ができなかった。
特許文献1に記載されたスプリングフィルタを用いたろ過装置においては、原水の性状が変化すると、その都度、プリコート層を構成するろ過助剤の量やボディフィードの量をチューニングする必要がある。そのため、装置を停止し、条件設定のため試運転が長期間必要となる。また、原水の性状が変化すると、夾雑物が除去目的の微粒子の捕捉の妨害となり、除去率の変動の原因となることがある。この場合、プリコート層の粒径を再選定する必要があった。
上述した問題に対し、除去対象となる微粒子を除去するろ過能力を迅速かつ正確に測定し、これに基づいて微粒子の分離に用いる装置の運転制御を行うことが可能な微粒子の分離方法及び装置が求められる。
本発明は、一実施形態によれば、ろ過助剤を含むプリコート層を表面に形成したスプリングフィルタに、前記プリコート層の上流から、ボディフィードろ過助剤を添加した原水を供給し、原水中の微粒子を除去する微粒子分離方法であって、
試験水にトレーサー粒子を混合する工程と、
トレーサー粒子を含有する試験水を、前記プリコート層の上流から、スプリングフィルタに供給する工程と、
前記スプリングフィルタを通過したトレーサー粒子量から、スプリングフィルタのろ過能力を得る工程と、
前記ろ過能力に基づき、前記スプリングフィルタの運転条件を制御する工程と
を含む方法に関する。
前記微粒子分離方法において、前記トレーサー粒子が、単分散の無色粒子、着色粒子、または蛍光粒子から選択され、
前記ろ過能力を得る工程が、前記スプリングフィルタを通過後のトレーサー粒子の径及び/または個数濃度を光学的に測定する工程を含むことが好ましい。
前記ろ過能力を得る工程が、前記スプリングフィルタを通過後のトレーサー粒子の径及び/または個数濃度を光学的に測定する工程に加えて、さらに前記スプリングフィルタを通過前のトレーサー粒子の径及び/または個数濃度を光学的に測定する工程を含むことが好ましい。
前記微粒子分離方法において、前記スプリングフィルタのろ過条件を制御する工程が、前記プリコート層の除去及び再形成を含むことが好ましい。
前記微粒子分離方法において、前記原水が、船舶のバラスト水、スクラバ水、または発電所の冷却水から選択されることが好ましい。
本発明は、別の実施形態によれば、微粒子分離装置であって、
ろ過助剤を含むプリコート層を表面に形成可能なスプリングフィルタを備えるろ過部と、
前記ろ過部に、微粒子を含む原水を供給する原水供給部と、
前記ろ過部に、清水を供給する清水供給部と、
試験水にトレーサー粒子を供給するトレーサー粒子供給部と、
前記ろ過部の前段及び後段にあって、前記トレーサー粒子の粒子径及び/または個数濃度を光学的に測定するトレーサー粒子計測部と、
前記ろ過部に、ろ過助剤を供給するろ過助剤供給部と、
前記トレーサー粒子計測部による計測結果に基づいて、ろ過部のろ過能力を算出し、運転条件を制御する制御部と
を備える微粒子分離装置に関する。
前記微粒子分離装置において、前記トレーサー粒子計測部が、微粒子カウンタ、パーティクルカウンタ、またはフローサイトメータから選択されることが好ましい。
前記微粒子分離装置において、前記トレーサー粒子が、単分散の無色粒子、着色粒子、または蛍光粒子から選択されることが好ましい。
本発明の微粒子分離方法及び装置によれば、スプリングフィルタを用いたろ過におけるろ過能力を算出して、これに基づき、測定時点におけるろ過能力に応じた運転条件にて原水のろ過を行うことが可能である。特には、ろ過能力の算出により、従来の方法では検出が難しかったプリコート層のピンホール発生などの異常を検出することができ、これに基づいてプリコート層の再形成などの運転制御が可能となるため、高精度で微粒子の分離操作が可能となる。
図1は、本発明の一実施形態による微粒子分離装置を概念的に示す模式図である。 図2は、微粒子分離装置を構成するろ過部のスプリングフィルタ表面を模式的に示す図であって、ボディフィードろ過助剤を用いたろ過メカニズムを説明する図である。 図3は、図2のA部分を拡大し、模式的に示す図であって、プリコート層による微粒子の捕捉を説明する図である。 図4は、本発明の一実施形態による微粒子分離方法による、微粒子分離装置の運転制御を示すフローチャートである。
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。
本発明は、一実施形態によれば、微粒子分離方法及び微粒子分離装置に関する。本発明に係る方法は、微粒子を含む原水から、スプリングフィルタを用いて微粒子が分離、除去された処理水を得る方法において、スプリングフィルタにより微粒子を除去する能力であるろ過能力を得て、装置の運転制御を行う。ろ過能力の測定には、分離・除去対象である微粒子を模したトレーサー粒子を用いる。
本発明における原水は、物理的なろ過が可能な大きさの微粒子と、一般的にはゴミを含み、水を主成分とする液体であってよい。原水としては、例えば、船舶のバラスト排水、スクラバ排水が挙げられる。また、原水の別の例としては、発電設備や工場設備の冷却水が挙げられ、特には、火力発電所の冷却水、地熱発電所の冷却水、ビル空調や地域冷暖房設備の冷却水が挙げられる。
本発明において、原水に含まれ、分離・除去の対象となる微粒子は、後述するろ過助剤の粒子間に捕捉することが可能な微粒子である。ろ過助剤の粒子径を選択することにより、所望のサイズの微粒子、より具体的には、粒子径が約1μm~100μm程度の微粒子を捕捉することが可能である。このような微粒子としては、すすなどの炭化水素化合物粒子、細菌、プランクトン、鉱物や有機物などの天然物の欠片、配管や機器の削れによって生じた金属片、外気から混入する砂ぼこり、花粉、微小昆虫が挙げられる。理論に拘束される意図はないが、本発明によるろ過方法は、原水中の微粒子をろ過助剤の粒子間に捕捉し、原水から物理的に除去することによる微粒子分離方法である。したがって、微粒子を構成する物質の生物学的特性や化学的特性には依存することなく、微粒子を捕捉・除去することが可能である。なお、原水に含まれるゴミとは、一般的には、捕捉される粒子よりも大きい夾雑物をいうものとする。
好ましい一態様においては、例えば、地熱発電所の冷却水を原水とし、硫黄酸化細菌を微粒子として除去する用途がある。地熱発電所の冷却水含まれる硫黄酸化細菌としてはAcidthiobacillus、Thiospira、Beggiatoa、Thiothrix、Clostridiaなどが挙げられる。これらの中には、概ね糸状の細菌も含まれるが、直径が1.5μm程度の微粒子とみなすことができ、微粒子として分離可能である。細菌類の殺菌剤による化学的処理は、殺菌剤の自然に与える影響や、耐性菌の発生により効果の低減が予測されるなどの不利益が考えられるため、本発明による物理的な捕捉、分離が特に有用である。
本発明において、トレーサー粒子は、ろ過能力の測定に用いる微粒子であって、粒子径及びその光学特性が既知の固体状微粒子を用いることができる。トレーサー粒子としては、例えば、単分散の無色粒子、着色粒子、または蛍光粒子を用いることができる。これらの粒子としては、標準粒子として市販されている、樹脂製の粒子を用いることができ、積水化成品工業株式会社製のテクポリマーや、サーモフィッシャーサイエンティフィック製の標準粒子や蛍光粒子を用いることが好ましいが、特定の製品には限定されない。トレーサー粒子の粒子径は、分離・除去の対象となる微粒子と同じになるように選択する。したがって、代表粒子径が約1μm~100μm程度のトレーサー粒子を用いることができる。例えば、上記のような細菌を分離する場合のろ過能力の測定には、トレーサー粒子として、代表粒子径が1.5μm程度の粒子を用いることが好ましい。また、トレーサー粒子は、後に詳述するトレーサー粒子の計測手段との関係で適宜選択することができる。測定精度の高さの観点からは、蛍光粒子を用いることが好ましい。蛍光粒子は、特定波長の光を吸収し、当該粒子に含まれる蛍光色素の持つ特定波長の発光を呈する。そのため、トレーサー粒子を添加する水に含まれ得るトレーサー粒子以外の微粒子や、葉緑素を持つ植物プランクトンと区別して、正確にトレーサー粒子の粒子径や濃度個数を測定することが可能である。
トレーサー粒子を添加する水は、原水、清水、処理水などを用いることができる。本明細書において、トレーサー粒子が添加されてろ過能力を試験するのに用いられる水を試験水という。原水に含まれる微粒子が共存している状態でろ過性能を評価する点では、原水を試験水として用いることが好ましい。トレーサー粒子以外の微粒子を含まない状態でろ過性能を評価する点では、清水や処理水を試験水とすることが好ましい。トレーサー粒子を添加した試験水は、スプリングフィルタを通過させ、通過後または通過前後でトレーサー粒子量を測定する目的で用いられる。そして、測定終了後は、トレーサー粒子を含んだ排水として処分される。
本発明の微粒子分離方法を、当該方法を実施可能な微粒子分離装置の一例を図示して説明する。図1は、微粒子分離装置の一例を示す模式図である。当該微粒子分離装置は、主として、ろ過部1と、原水供給部(供給タンク4と、撹拌機5と、ポンプP1と、ポンプP2とを備える)と、微粒子計測部(第1の微粒子計測部7と、第2の微粒子計測部3とを備える)、トレーサー粒子供給部14と、トレーサー粒子計測部(第1のトレーサー粒子計測部15と、第2のトレーサー粒子計測部16とを備える)と、清水並びにろ過助剤供給部(供給タンク4と、撹拌機5と、第1ろ過助剤タンク8と、第2ろ過助剤タンク9と、ポンプP1と、ポンプP3とを備える)と、制御部20とを備える。
ろ過部1は、コイル体からなるスプリングフィルタ10を備えたベッセル11から構成される。ろ過部1においては、ベッセル11の入口から供給される原水から微粒子が除去され、清浄化された処理水がベッセル11の出口から放出される。
図2は、微粒子分離装置を構成するろ過部のスプリングフィルタ10の表面の一例を模式的に示す図であって、ボディフィードろ過助剤を用いたろ過メカニズムを説明する図である。スプリングフィルタ10は、断面が略円形の線材を螺旋状に巻回したコイルスプリングから構成される。コイルスプリングには、長手方向、所定間隔ごとに突起が形成され、これにより、コイル10aの軸方向に間隙Sを有する。この間隙Sに原水を流すことによってろ過が可能になる。このようなスプリングフィルタ10としては市販のものを用いることができる。また、本発明者らによる特許文献1に、好適なスプリングフィルタ及びベッセルの構造が詳述されており、特許文献1の開示に基づいてスプリングフィルタを備えるろ過部を適宜設計することができる。本実施形態においては、スプリングフィルタ10の目詰まりや洗浄の容易性の観点から、間隙Sは、50~100μmとすることが好ましく、50~70μmとすることが好ましく、60μm程度とすることが最も好ましい。
再び図1を参照すると、ベッセル11には、スプリングフィルタ10とともにベッセル11の内部を、上流領域Uと下流領域Dに二分する仕切板13が設けられる。上流領域Uは、ベッセル11の鉛直方向下方に位置し、ベッセル11本体と、仕切板13と、スプリングフィルタ10の表面(コイルスプリングの外周面)とで画定される領域である。上流領域Uは、ベッセル11底部近傍のベッセル入口に連通し、微粒子分離装置の稼働中は、原水や、ろ過助剤を含む清水が流入、通過可能な領域である。一方、下流領域Dは、ベッセル11の鉛直方向上方に位置し、ベッセル11本体と、仕切板13と、スプリングフィルタ10の内面(コイルスプリングの内周面)とで画定される領域である。下流領域Dは、ベッセル11上部近傍のベッセル出口に連通する。微粒子分離装置の稼働中は、下流領域Dは、プリコート層及びスプリングフィルタ10の間隙Sを通過した処理水TWが流入可能な領域である。
微粒子分離装置が稼働し、微粒子の分離を行う際には、スプリングフィルタ10の表面には、図2に示すように複数の層を含むプリコート層を形成する。図示する態様においては、第1ろ過助剤101から構成される第1プリコート層L、第2ろ過助剤102から構成される第2プリコート層L、第3ろ過助剤103から構成される第3プリコート層Lが形成される。また、ボディフィードろ過助剤104が原水RWに混合されて供給され、第3プリコート層Lの上流側にボディフィード層Lが形成される。
第1プリコート層Lは、第2プリコート層Lをコイル上に支持する層であって、支持層ともいう。第1プリコート層Lを構成する第1ろ過助剤101としては、珪藻土、セルロースファイバー、砂等を用いることができるが、それらには限定されない。例えば、細菌、植物プランクトン、動物プランクトン等の微粒子を分離する用途の場合は、珪藻土のような細孔をもつ、多孔性のろ過助剤を用いることが好ましい場合がある。また、第1ろ過助剤101の代表粒子径は、コイル10aの軸方向に間隙Sに架橋可能な粒子径とすることができる。特には、第1ろ過助剤101の代表粒子径をd、間隙Sの間隔をdとしたときに、d/d=0.12~0.25を満たす代表粒子径をもつ第1ろ過助剤101を用いることが好ましい。なお、代表粒子径とは、正規分布に準ずる粒子径分布をもつ粒子群について、最も存在頻度が高い粒子をいうものとする。一例として、発電所の冷却水やバラスト水を原水とする場合において、第1ろ過助剤101としては、代表粒子径が、20~25μm程度の珪藻土を用いることが好ましい。第1プリコート層Lの厚さは、原水の性状によって異なってよい。本発明においては、任意選択的に行ってもよい、原水のろ過抵抗の発達係数を得る工程により決定される運転条件のひとつでありうる。
第2プリコート層Lは、第1プリコート層Lの上流側に形成され、微粒子の捕捉層として機能する。第2プリコート層Lを構成する第2ろ過助剤102の素材は、第1ろ過助剤101と同じ選択肢の中から選択することができる。第1ろ過助剤101と、第2ろ過助剤102とは、同じ素材であっても異なっていてもよい。第2ろ過助剤102は、一般的には、第1ろ過助剤101よりも代表粒子径が小さいものを用いることができる。図3は、第2プリコート層Lの一部を拡大した模式図である。第2ろ過助剤102の代表粒子径dは、捕捉する微粒子105の代表粒子径をdとすると、d=0.155dの関係を満たすことが好ましい。例えば、本発明の好ましい実施態様の一例による分離対象物である細菌は、代表粒子径が1.5μm程度であるので、第2ろ過助剤102の代表粒子径dは、10μm程度とすることが好ましい。第2プリコート層Lの厚さも、原水の性状によって異なってよく、本発明においては、任意選択的に行ってもよい、原水のろ過抵抗の発達係数を得る工程により決定される運転条件のひとつでありうる。
第3プリコート層Lは、第2プリコート層Lの上流側に形成され、第2プリコート層Lの保護層として機能する。すなわち、微粒子105を捕捉する第2プリコート層Lを、原水中のゴミから保護する。第3プリコート層Lを構成する第3ろ過助剤103の素材は、第1ろ過助剤101と同じ選択肢の中から選択することができる。第3ろ過助剤103は、第1ろ過助剤101及び第2ろ過助剤102とは、同じ素材であっても異なっていてもよい。第3ろ過助剤103は、一般的には、第2ろ過助剤102よりも代表粒子径が大きいものを用いることができ、第1ろ過助剤101と同程度の代表粒子径を持つものを用いることができる。第3プリコート層Lの厚さも、原水の性状によって異なってよく、本発明においては、任意選択的に行ってもよい、原水のろ過抵抗の発達係数を得る工程により決定される運転条件のひとつでありうる。
ボディフィードろ過助剤104は、原水RWと混合されて、第3プリコート層Lの上流側から供給され、経時的にボディフィード層Lを形成する。ボディフィードろ過助剤104は、第1ろ過助剤101と同じ選択肢の中から選択することができる。ボディフィードろ過助剤104もまた、第1ろ過助剤101、第2ろ過助剤102、第3ろ過助剤103とは、同じ素材であっても異なっていてもよい。ボディフィードろ過助剤104は、微粒子105よりも代表粒子径の大きなものを選択して用いる。水道(みずみち)の閉塞によるろ過抵抗の上昇を防止し、圧力損失を抑えて、原水の処理流量を確保するためである。したがって、ボディフィードろ過助剤104も、第1ろ過助剤101と同程度またはこれより大きい代表粒子径を持つものを用いることができる。
ベッセル11にはさらに圧力計12が設けられる。圧力計12は、スプリングフィルタ10の外周圧力を測定することができる。圧力計12の測定結果であるろ過圧力は、プリコート層及びボディフィード層の閉塞の指標となる。後述する分離方法における、ろ過能力を算出する工程後の運転制御において、ろ過圧力が設定値を超過するか、設定値未満であるか、設定値範囲であるかを判断し、ろ過操作の停止、洗浄のタイミングを検知することができる。
ろ過部1の上流側には、原水供給部と、清水並びにろ過助剤供給部とが接続される。ここで、上流側とは、微粒子分離装置を稼働して分離操作を行う際の、原水、清水、ろ過助剤等を含む物質の流れの向きに基づく上流側をいう。特には、ベッセル11の上流領域Uに連通する部分をいうものとする。
原水供給部は、原水をろ過部1に供給する流路及び供給に用いられる装置を備える。より具体的には、原水RWの貯留部と、原水の貯留部からろ過部1に原水を運搬する流路、並びにポンプP2と、バルブB6と、供給タンク4と、ポンプP1とを備える。また、バルブB6にて当該流路から分岐して、原水を貯留部に返送する返送流路を備える。ポンプP2は、原水の貯留部と供給タンク4の間に設けられ、原水を供給タンク4に送出可能に、及び、返送流路を介して貯留部に送出可能に構成される。ポンプP1は、供給タンク4とろ過部1の間に設けられ、原水をろ過部1に送出可能に構成される。ポンプは定量ポンプや、遠心ポンプを用いることが好ましい。原水の貯留部はタンクなどであってもよい。あるいは、本実施形態による微粒子分離装置の外部に貯留された原水が流路等により連続的に運搬される態様であってもよい。
清水並びにろ過助剤供給部は、複数種のろ過助剤と、当該ろ過助剤と混合して用いる清水をろ過部1に供給する流路及び供給に用いられる装置を備える。ろ過助剤供給部は、清水源FWと、第1ろ過助剤タンク8と、第2ろ過助剤タンク9と、ポンプP3と、供給タンク4と、ポンプP1とを含む。清水の供給流路と、第1ろ過助剤タンク8、第2ろ過助剤タンク9のそれぞれの間には、バルブB4、B5を設け、これらにより、第1ろ過助剤タンク8と、第2ろ過助剤タンク9から吐出されるろ過助剤の量を調整可能に構成している。ポンプP3は、第2ろ過助剤タンク9と供給タンク4の間に設けられ、清水またはろ過助剤と混合した清水を供給タンク4に送出可能に構成される。
なお、図示する実施形態では、第1ろ過助剤タンク8と、第2ろ過助剤タンク9とが、同一の清水の供給流路に接続されているが、第1ろ過助剤タンク8に接続する清水の供給流路と、第2ろ過助剤タンク9に接続する清水の供給流路とを別々に設けることもできる。ろ過助剤タンクに接続されてない、独立した別個の清水の供給流路を設けることもできる。また、ろ過助剤タンクは、使用するろ過助剤が3種以上の場合には、3つ以上設けることもできる。さらに、清水に代えて、原水や処理水をろ過助剤と混合する水として用いることもできる。
供給タンク4は、撹拌機5とレベル計6とを備え、原水または清水と、ろ過助剤とを均一に混合可能に構成される。原水または清水にろ過助剤が均一に分散された状態で、ろ過助剤を沈殿させることなく、ろ過部1に流入させる必要があるためである。図示する実施態様において、供給タンク4は、原水の供給用途、ろ過助剤の供給用途において共通して用いられるが、原水の供給用途の供給タンクと、ろ過助剤の供給用途の供給タンクを別々に設けることもできる。あるいは、供給タンクを設けず、原水または清水とろ過助剤とをろ過部1に送る流路内に撹拌手段を設け、原水または清水とろ過助剤とが均一に分散された状態でろ過部1に流入させてもよい。供給タンク4は、ポンプP1を介して、ろ過部1を構成するベッセル11に接続される。供給タンク4とベッセル11の間には、バルブB3を設け、供給タンク4内の物質をベッセル11に流す流路と、ベッセル11内の物質の排出する流路とを切り替え可能に構成している。
ろ過部1の下流側には、洗浄水供給部と、放出・返送部とが接続される。下流側とは、微粒子分離装置を稼働して分離操作を行う際の、物質の流れの向きに基づく下流側をいう。特には、ベッセル11の下流領域Dに連通する部分をいうものとする。
洗浄水供給部は、洗浄水CWの供給源と、洗浄水をろ過部1に供給する流路及び供給に用いられる装置を備える。洗浄水をろ過部1に供給する流路は、洗浄水の供給源からベッセル11上部近傍のベッセル出口に接続され、バルブB2で、処理水を送出する流路と切り替え可能に分岐している。洗浄水としては、処理水や原水を使用することもできる。
放出・返送部は、ベッセル11から吐出される処理水を送出する流路、流量計2、及び第2の微粒子計測部3を備える。処理水を送出する流路はベッセル11上部近傍のベッセル出口に接続され、バルブB2で洗浄水の流路と切り替え可能に分岐している。処理水を送出する流路は、さらにその下流で、処理水を放出する流路と、処理水を供給タンク4に返送する流路に分岐し、バルブB1により切り替え可能に構成される。処理水を放出する流路は、処理水TWの貯留部に接続される。あるいは、処理水を放出する流路は、河川や海洋などの自然水域に接続していてもよい。
ベッセル11から吐出される処理水を送出する流路には、流量計2を備えている。流量計2は、ろ過部1を通過する水の積算流量を測定することができる。後述する分離方法における、ろ過能力を算出する工程後の運転制御において、積算流量が設定値を超過するか、設定値未満であるかを判断し、ろ過操作の停止、洗浄のタイミングを検知することができる。
本実施形態による微粒子分離装置は、原水または清水の供給流路にトレーサー粒子を供給するトレーサー粒子供給部14を備えている。トレーサー粒子供給部14は、図示しないポンプを用いて原水または清水に所定の量のトレーサー粒子を供給する。原水のみ、または清水のみにトレーサー粒子を供給するように構成することもできる。あるいは、図示はしないが、処理水の返送路にトレーサー粒子を供給するように構成することもできる。トレーサー粒子供給部14は、1種類のトレーサー粒子を供給するものであっても、粒子径の異なる2種類以上のトレーサー粒子を供給するものであってもよい。
ろ過部1の前後には、トレーサー粒子計測部15、16が設けられる。より具体的には、ろ過部1の前段であって、供給タンク4の後段には、第1のトレーサー粒子計測部15が設けられる。また、ろ過部1の後段であって、処理水、返送水、排水を切り替えるバルブB1の前段には、第2のトレーサー粒子計測部16が設けられる。第1、第2のトレーサー粒子計測部15、16はいずれも、同一の装置であってよく、トレーサー粒子径並びにトレーサー粒子の濃度個数を測定可能な装置である。
トレーサー粒子計測部15、16として機能する具体的な装置は、トレーサー粒子の種類によって異なる。トレーサー粒子が無色粒子の場合は、トレーサー粒子計測部は、微粒子カウンタ、パーティクルカウンタであってよい。トレーサー粒子が着色粒子の場合は、トレーサー粒子計測部は、微粒子カウンタ、パーティクルカウンタ、画像センサであってよい。トレーサー粒子が蛍光粒子の場合は、トレーサー粒子計測部は、蛍光検出手段を有する微粒子カウンタ、蛍光照射手段を有する画像センサ、フローサイトメータであってよい。また、図1においては、第1のトレーサー粒子計測部15と、第2のトレーサー粒子計測部16とを別個の装置として記載しているが、ろ過部1の直近の上流、及び直近の下流を流れる試験水を、所定量にてサンプリングする手段があれば、測定装置は単一であってもよい。なお、ろ過部1の後段の微粒子の絶対濃度(個/mL)のみをろ過能力の指標とする場合には、第1のトレーサー粒子計測部15を設けなくてもよい場合もある。
本実施形態による微粒子分離装置は、任意選択的な構成要素として、第1の微粒子計測部7を備えている。第1の微粒子計測部7は原水の供給流路に設けられ、ろ過助剤と混合される前の原水中の、微粒子の個数、濃度、微粒子径を測定する。第1の微粒子計測部7は、微粒子カウンタや、パーティクルカウンタであってよく、微粒子径分布及びその割合を計測することができるものが好ましい。第1の微粒子計測部7が存在せず、第1のトレーサー粒子計測部15が、第1の微粒子計測部7の機能を兼ねる態様も可能である。さらに、微粒子分離装置は、別の任意選択的な構成要素として、第2のトレーサー粒子計測部16の後段であってバルブB1の前段に、第2の微粒子計測部3を備えている。第2の微粒子計測部3は、微粒子の濃度、個数、微粒子径を測定するものであってよく、第1の微粒子計測部7と同じ構成を持つ装置であってよい。第2の微粒子計測部3による計測は、微粒子分離装置を稼働している間にわたって、連続的に行うこともできるし、一定時間ごとに行うこともできるが、連続的に行うことが好ましい。第2の微粒子計測部3が存在せず、第2のトレーサー粒子計測部16が、第2の微粒子計測部3の機能を兼ねる態様も可能である。
本実施形態による微粒子分離装置は、さらに制御部20を備えている。制御部20は、第1のトレーサー粒子計測部15と、第2のトレーサー粒子計測部16による計測結果に基づいて、後述するろ過能力を算出することが可能な手段であってよい。また、得られたろ過能力に基づいて、微粒子分離装置の運転を制御することが可能な手段であってよい。
制御部20はまた、任意選択的に、第1の微粒子計測部7及び/または第2の微粒子計測部3による計測結果に応じて、ボディフィードろ過助剤量を演算し、前記原水供給部及び/または前記ろ過助剤供給部を制御することができる装置であってもよい。このような制御部20は、予め得られた微粒子個数、濃度、微粒子径とろ過抵抗の発達係数との関係を示すデータベースを備え、これを参照し、第1の微粒子計測部7及び/または第2の微粒子計測部3による計測結果に基づいて、後述する所定の演算が可能な手段であってよい。
本実施形態による微粒子分離装置は、上記構成により、以下のような微粒子分離方法の動作を可能とする。特には微粒子分離方法においては、ろ過能力を算出する工程を含んでいる。微粒子分離方法は、詳細には下記の工程を含んでもよい。
(1)微粒子分離条件演算工程
(2)プリコート層形成工程
(3)ろ過能力算出工程
(4)原水処理工程
(5)洗浄工程
以下、各工程について説明する。以下の方法は、図1~4を参照して説明するが、これらの図は一例であって、本発明の方法は、当該図面に開示された実施態様に限定されるものではない。
(1)微粒子分離条件演算工程
本工程は、原水の性状から、微粒子分離操作における運転条件を演算する工程である。本工程は任意選択的な工程であり、本工程を実施しない場合もある。本工程を実施しない場合には、過剰量のボディフィードろ過助剤を用いて、工程(2)から微粒子分離方法を開始することもできる。本工程は、以下のサブステップをさらに含む。
(a)原水中の微粒子の個数、濃度、粒子径を測定する工程
(b)原水の粒子径分布に応じた、ろ過抵抗を算出する工程
(c)ろ過抵抗から、ろ過抵抗の発達係数を算出する工程
(d)ろ過水量推定式に係数を代入し、ろ過水量(時間)を求める工程
なお、工程(b)~(d)をまとめて、予め構築した原水の微粒子個数濃度、粒子径とろ過抵抗の関係式により、(a)に基づき、ボディフィードろ過助剤量を演算する工程ということもできる。これらの工程は、制御部20が備えるデータベース及び演算手段により実施することができる。
図2に示すプリコート層及びボディフィード層にてろ過を行う場合、プリコート層L、L、L及びボディフィード層L内部の水の流れは、Darcy則に従うと、以下の式(1)で表すことができる。
Figure 2022032528000002

式中、pは、プリコート層全体L、L、L及びボディフィード層Lの全圧力損失、すなわちろ過圧力である。rは、プリコート層全体L、L、L及びボディフィード層Lの全ろ過抵抗である。μ’[kg/m・sec]は原水の粘度、A[m]はろ材のろ過面積、V[m]はろ液体積、t[sec]はろ過開始からの経過時間を表す。
一方、ボディフィードを用いてケークろ過を行う場合のろ過水量推定式は以下の式(2)で表される。
Figure 2022032528000003

式中、Q[m/sec]はろ過流量、V[m]はろ液体積、t[sec]はろ過開始からの経過時間、Q[m/sec]は最大ろ過流量、μ’[kg/m・sec]は原水の粘度、A[m]はろ材のろ過面積、p[kg/m]は最大ろ過圧力、t[sec]は見かけ時間であり、t=-tにおいて、ろ過抵抗r=rとなる時間である。rは、初期ろ過抵抗を表す。初期ろ過抵抗とは、ろ過操作の開始時のろ過抵抗、すなわち、ボディフィード層が積層される前のプリコート層のろ過抵抗をいう。初期ろ過抵抗rは、式(1)において、ポンプの水量と圧力の性能曲線(QPカーブ)上のろ過操作開始時のろ過圧力をp、そのときのろ過流量すなわち最大流量をQとしたときのろ過抵抗である。ろ過抵抗は原水中の微粒子を含むボディフィード層の形成とともに増加し、ろ過抵抗の発達速度はボディフィード形成量に比例する。このときの比例定数をξとする。本明細書において、ξをろ過抵抗の発達係数と指称する。
微粒子分離条件演算工程に含まれる具体的な工程について説明する。工程(1)(a)では、第1の微粒子計測部7により、原水中の微粒子の個数、濃度、粒子径を測定する。これらの測定は、連続的に実施することもでき、所定の時間ごとに実施することも可能である。計測結果は、制御部20に送信可能に構成される。
(1)(b)では、原水条件から重み付けしたろ過抵抗の算出を行う。算出には、原水条件から、ろ過抵抗を平均化するデータベースを用いる。このデータベースについて説明する。特定の濃度で、特定の粒子径をもつ微粒子が含まれる原水のろ過抵抗率は実験的に得ることができる。したがって、粒子径が既知の標準粒子について、標準粒子の粒子径、濃度と、特定の水量をろ過するまでの時間との関係を求めることにより、所定の粒子径の標準粒子について、濃度と、特定水量のろ過時間の関係を表す多項式を得ることができる。また、粒径が異なる複数種の標準粒子について、同様に多項式を得ることができる。
実際の原水には、複数の異なる粒子径の微粒子が含まれ、その割合も異なる。したがって、データベースに蓄積した多項式に基づき、第1の微粒子計測部7による原水中の微粒子径、濃度、個数のデータから、加重平均等の手法により重みづけをし、平均化したろ過抵抗を算出することができる。
次いで、(1)(c)では、(1)(b)で得られたろ過抵抗からろ過水量推定式の係数であるろ過抵抗の発達係数を算出する。具体的には、(1)(b)で得られたろ過抵抗を、ろ過水量推定式(2)にフィッティングし、未知の係数ξを算出することができる。式(2)中、Aはスプリングフィルタの仕様により決まり、μ’は水の温度から計算可能である。また、Q、Qは流量計2による測定値である。rは、Qと圧力計12による測定値pに基づき、式(1)から得ることができる。発達係数の算出は、ろ過抵抗の発達係数ξ、見かけ時間tを未知のパラメータとして、実験データと流量推定式(2)での流量の2乗誤差が最小になるように誤差計算を行う。ろ過流量の推定式は強い非線型であるため、連立方程式型のニュートン・ラフソン法を適用して計算することが好ましい。算出には、ろ過抵抗と、ろ過抵抗の発達係数のデータベースを用いることができる。
(1)(d)では、ろ過水量推定式(2)に(1)(c)で得られたろ過抵抗の発達係数ξを代入し、ろ過水量(ろ過時間)を求める。これにより、処理時間とろ過流量の関係が予測可能となり、データベースから、ろ過抵抗が最小(ろ過水量が最大)となるボディフィードろ過助剤の条件を選定することができる。
ボディフィードろ過助剤を添加して用いることにより、経時的な流量の低下を抑制可能であり、流量低下の抑制の幅は、ボディフィードろ過助剤の添加量に依存する。したがって、種々の粒子径をもつ微粒子を、それぞれ異なる濃度で含む原水についても、処理時間とろ過流量の関係が多項式で表すことができれば、ボディフィードろ過助剤の添加効果を予測することができ、ボディフィードろ過助剤の添加量を演算することができる。
したがって、上記の演算に基づき、ろ過操作において用いる、ボディフィードろ過助剤量を算出することが可能となる。この演算は通常、(2)プリコート層形成工程、(3)ろ過能力の算出工程、(4)原水処理工程、(5)洗浄工程の1サイクルを行う前に、一度行うことができるが、必要に応じて演算を繰り返して行い、原水の性状により、処理工程を行う間においても、ボディフィードろ過助剤の量を変化させることもできる。
(2)プリコート層形成工程
本工程は、図2に示すプリコート層を、スプリングフィルタ上に形成する工程である。本工程は、以下のサブステップをさらに含む。
(a)清水に第1ろ過助剤を工程(1)(b)で演算した量となるように懸濁する工程
(b)清水に第2ろ過助剤を工程(1)(b)で演算した量となるように懸濁する工程
(c)工程(a)の第1ろ過助剤をろ過部に流し込み、スプリングフィルタ上に第1ろ過助剤からなる第1プリコート層(支持層)を貼付する工程
(d)工程(b)の第2ろ過助剤をろ過部に流し込み、支持層上に第2ろ過助剤からなる第2プリコート層(捕捉層)を形成する工程
(e)工程(a)の第1ろ過助剤をろ過部に流し込み、捕捉層上に第1ろ過助剤からなる第3プリコート層(保護層)を形成する工程
(f)処理水の微粒子計測部による計測値が所定の微粒子個数、濃度、粒子径になるまで(e)で流し込んだ液を循環する工程
(g)原水を通すまで清水を循環させる工程
(2)(a)では、予め第1ろ過助剤タンク8に清水を加え、第1ろ過助剤タンク8において、清水と第1ろ過助剤を工程(1)(b)で演算した量となるように、バルブB4及びろ過助剤ポンプ(図示せず)を用いて制御し、懸濁する。工程(1)を行わない場合には、過剰量となる所定量の第1ろ過助剤を懸濁する。図2に示す例示的な実施態様では、第1プリコート層L、第3プリコート層Lを形成するろ過助剤、及びボディフィードろ過助剤104は、同一の代表粒子径をもつろ過助剤を用いることができる。さらに具体的には、例えば代表粒子径が21μm程度の珪藻土を用いることができる。したがって、これらの層を形成するために、第1ろ過助剤タンク8にて、代表粒子径が21μm程度の珪藻土からなる第1ろ過助剤の懸濁液を調製することができる。
(2)(b)では、同様にして、第2ろ過助剤タンク9において、清水と第2ろ過助剤を工程(1)(b)で演算した量となるように、バルブB5及びろ過助剤ポンプ(図示せず)を用いて制御し、懸濁する。工程(1)を行わない場合には、過剰量となる所定量の第2ろ過助剤を懸濁する。図2に示す例示的な実施態様では、第2プリコート層Lを形成するろ過助剤は、先の、第1プリコート層L、第3プリコート層Lを形成するろ過助剤、及びボディフィードろ過助剤104とは異なり、より代表粒子径の小さいろ過助剤を用いることができる。さらに具体的には、例えば代表粒子径が10μm程度の珪藻土を用いることができる。したがって、第2プリコート層Lを形成するために、第2ろ過助剤タンク9にて、代表粒子径が10μm程度の珪藻土からなる第2ろ過助剤の懸濁液を調製することができる。
(2)(c)では、工程(2)(a)で調製した第1ろ過助剤を、ポンプP3にて供給タンク4に送り、撹拌機5にて均一になるまで撹拌した後、ポンプP1にてベッセル11に流し込む。供給タンク4内の水量は、レベル計6により測定することができる。ベッセル11への送液の際の圧力は、0.01~0.03MPaとすることが好ましい。送液はバルブB1により制御し、供給タンク4とベッセル11を循環するようにする。ろ過助剤はスプリングフィルタ10の表面に堆積(貼付)し、供給タンク4に戻ってくる水は次第に透明度が上がってくる。プリコート形成工程中はこの循環経路を維持する。
次いで、(2)(d)では、工程(2)(b)で調製した第2ろ過助剤を、ポンプP3にて供給タンク4に送り、撹拌機5にて均一になるまで撹拌した後、ポンプP1にてベッセル11に流し込む。圧力は、工程(2)(c)と同一とすることが好ましい。また、送液のバルブB1による制御、供給タンク4とベッセル11の循環についても、工程(2)(c)と同様にして行うことができる。
(2)(e)では、再び、工程(2)(a)で調製した第1ろ過助剤を、ポンプP3にて供給タンク4に送り、撹拌機5にて均一になるまで撹拌した後、ポンプP1にてベッセル11に流し込む。圧力は、工程(2)(c)、(d)と同一とすることが好ましい。また、液のバルブB1による制御、供給タンク4とベッセル11の循環についても、工程(2)(c)と同様にして行うことができる。
次いで、(2)(f)では、ベッセル11からの吐出水の第2の微粒子計測部3による計測値が所定の微粒子個数濃度、粒子径になるまで(2)(e)で流し込んだ液を、供給タンク4に循環する。プリコート層が正常に貼付けでき、破断や漏れがない状態であると微粒子濃度が最小となるので、所定の閾値になるまで循環することで、プリコート層が正常に形成されたことを確認することができる。所定の閾値は、プリコート層が崩壊したときの濁度や微粒子濃度の上昇を検知可能な範囲で決定することができる。
(2)(c)~(g)の工程により、図2に示す第1プリコート層L、第2プリコート層L、第3プリコート層Lを形成することができる。第3プリコート層Lの形成後も、同一の圧力を保ってベッセル11へ水を流すことにより、三層がスプリングフィルタの表面に形成されたまま維持することが可能である。
プリコート層の形成が(2)(f)により完了した後、(2)(g)では、清水を循環させ、原水を通すまでプリコート層をスプリングフィルタの表面に維持する。
本実施形態では、図1、2を参照して、2種のろ過助剤を用いて、第1プリコート層L、第2プリコート層L、第3プリコート層Lからなる3層のプリコート層を形成する態様について説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。1種のろ過助剤を用いて、1層のプリコート層を形成する場合もあるし、2種のろ過助剤を用いて、4層以上のプリコート層を形成する場合もある。さらに、3種以上のろ過助剤を用いて、3層、または4層以上のプリコート層を形成する場合もある。プリコート層を4層以上にする場合には、スプリングフィルタ表面から離れたプリコート層ほど、ろ過助剤の代表粒子径を大きくすることが好ましい。
(3)ろ過能力の算出工程
本工程は、トレーサー粒子を試験水に添加し、工程(2)で形成され、維持されたプリコート層を備えるろ過部のろ過能力を算出する工程である。本工程は、工程(2)でプリコート層が新たに形成された直後に実施することができる。あるいは、本工程を経て、(4)原水処理工程を実施する最中に、プリコート層を維持したままバルブB1をドレインに切替え、原水処理をいったん中止して、定期的、例えば定時的に行うこともできる。本工程は、以下のサブステップをさらに含む。
(a)清水に、工程(1)(b)で演算した量の第1ろ過助剤を懸濁する工程
(b)試験水に、所定量のトレーサー粒子を添加する工程
(c)工程(a)及び(b)で得られた試験水のトレーサー粒子量を、ろ過部の前段で測定する工程
(d)工程(c)を経た試験水を、ろ過部に送る工程
(e)ろ過部を通過した試験水のトレーサー粒子量を、ろ過部の後段で測定する工程
(f)工程(c)及び(e)の測定結果に基づいて、ろ過能力を算出する工程
(g)算出したろ過能力に基づき、運転条件を判定する工程
(3)(a)では、第1ろ過助剤タンク8において、清水と第1ろ過助剤を工程(1)(b)で演算した量となるように、ろ過助剤ポンプを用いて制御し、懸濁した第1ろ過助剤を、ポンプP3にて供給タンク4に送る。工程(1)を行わない場合には、過剰量となる所定量の第1ろ過助剤を懸濁する。
(3)(b)では、所定量のトレーサー粒子を試験水に添加する。トレーサー粒子の添加量は、原水中の分離・除去対象となる微粒子の種類や原水処理の目的等によって異なるため、特には限定されない。ある態様においては、トレーサー粒子の添加量は、原水中の微粒子量と同程度になるように決定することが好ましい。例えば、除去対象の微粒子が細菌である場合、トレーサー粒子の添加量は、10個~10個/mL程度とすることができる。
試験水が原水の場合には、トレーサー粒子を添加した試験水は、ポンプP2にて供給タンク4に送る。試験水が清水の場合には、(3)(a)の懸濁した第1ろ過助剤に所定量のトレーサー粒子を試験水に添加することもできるし、(3)(a)により懸濁した第1ろ過助剤を供給タンク4に送った後に、ろ過助剤を含まない清水にトレーサー粒子を添加し、ポンプP3にて供給タンク4に送ることもできる。いずれの場合も、トレーサー粒子の添加は、図示しないポンプを駆動して行うことができる。さらに、処理水を清水と同等の清浄性があるものとみなして試験水とし、トレーサー粒子を添加する態様も可能である(図示せず)。
第2プリコート層L(捕捉層)にて捕捉可能な粒子径の異なる2種類以上のトレーサー粒子を同時に、あるいは逐次的に試験水に添加することもできる。粒子径の異なる2種類以上のトレーサー粒子を添加する態様によれば、2種類以上の粒子径の微粒子について、ろ過能力を同時に、あるいは逐次的に得ることができる点で有利である。さらに、第2プリコート層Lにて捕捉可能な粒子径をもつトレーサー粒子と、第2プリコート層Lにて捕捉できない粒子径をもつトレーサー粒子とを同時に添加することもできる。捕捉する粒子と、スプリングフィルタを通過させる粒子が、それぞれ、捕捉、通過といった所望の挙動を示すかどうかを確認するためである。いずれの場合も、二種類のトレーサー粒子は、同一の計測手段で同時に、かつ区別して計測可能な粒子から選択することができ、粒子径の異なる蛍光粒子であることが好ましい。
(3)(c)では、供給タンク4で、懸濁した第1ろ過助剤とトレーサー粒子を添加した試験水とを撹拌機5にて均一になるまで撹拌する。次いで、この混合液をろ過部1に送る前段で、第1のトレーサー粒子計測部15により、トレーサー粒子の粒子径並びに濃度個数を測定する。この測定は、ろ過部1に送る直前に行うことが好ましい。ろ過部1に供給されるトレーサー粒子を、正確に計測するためである。より具体的には、ろ過部1に達するまでの配管や各装置に滞留し、失われるトレーサー粒子を最小限にするためである。第1のトレーサー粒子計測部15における測定結果は、制御部20に送る。
(3)(d)では、(3)(c)の測定を経た試験水を、ポンプP1によりスプリングフィルタを備えるろ過部1のベッセル11に流し込む。ベッセル11への送液の際の圧力は、0.2~1.0MPaとすることが好ましい。これにより、図2に示す原水のろ過と同様に、試験水のろ過、すなわち、トレーサー粒子の分離が行われ、処理された試験水がベッセル11から吐出される。
(3)(e)では、(3)(d)にてろ過部1を通過した試験水のトレーサー粒子量を、ろ過部1の後段にある第2のトレーサー粒子計測部16により測定する。この測定は、ろ過部1を通過した直後に行うことが好ましい。理由は、(3)(c)と同様である。測定結果は、制御部20に送られる。計測後の試験水は、トレーサー粒子とともに廃棄処分する。
(3)(f)では、(3)(c)及び(3)(e)の測定結果に基づいて、ろ過能力を算出する。ろ過能力としては、トレーサー粒子の除去率で表すことができる。具体的には、除去率は、以下の式により求めることができる。なお、以下のろ過部前段もしくはろ過部後段のトレーサー粒子の個数とは、単位体積あたりの試験水中のトレーサー粒子の個数(mL単位の試験水中のトレーサー粒子の個数)をいうものとする。
除去率[%]=
100×[1-(〔ろ過部前段のトレーサー粒子の個数〕/〔ろ過部後段のトレーサー粒子の個数〕)]
ろ過能力の別の例としては、ろ過部1を通過した試験水中のトレーサー粒子の絶対濃度(個/mL)が挙げられる。トレーサー粒子の濃度(個/mL)によりろ過能力を表す場合には、(3)(c)で説明したろ過部前段での測定を省略することもできる。
ろ過能力の算出は、制御部20で実施することができる。算出結果は、制御部20にて保存し、モニタリングし、あるいは図示しない表示装置に表示することが可能である。
(3)(g)では、(3)(f)で算出したろ過能力に基づき、運転条件を判定する。判定は、算出したろ過能力の値が、設定値を超過するか、設定値未満にあるかにより行うことができる。例えば、原水から、細菌を分離・除去する方法においては、ろ過部を通過した最終的な処理水中の細菌濃度が目的の濃度以下となるように設定値を定めることができる。一例として、ろ過部1を通過した処理水中の細菌濃度が10個/mL以下となるように設定値を決定することができるが、特定の値には限定されない。この場合、10個/mLを超えてトレーサー粒子が存在する場合に、ろ過能力が設定値を満たさない状態にあると判断することができる。
ろ過能力が設定値を満たす場合は、ろ過能力が正常であると判断し、後述する工程(4)原水処理工程に進む。ろ過能力が設定値を満たさない場合には、ろ過能力不良と判断する。そして、原水の処理を行うことなく、後述する工程(5)にてプリコート層を除去し、工程(2)にてプリコート層の形成を再度行うことができる。
(4)原水処理工程
本工程は、工程(2)で形成され、工程(3)において所望のろ過能力が確認され、担保されたプリコート層の上流側から原水とボディフィードろ過助剤を流し込み、原水のろ過処理を行う工程である。本工程は、以下のサブステップをさらに含む。
(a)原水に、工程(1)(b)で演算した量の第1ろ過助剤を懸濁し、ろ過部に送る工程
(b)ろ過流量、ろ過圧力、微粒子個数濃度、粒子径から選択されるパラメータが所定の閾値に達した後、原水の送液を停止する工程
(4)(a)では、第1ろ過助剤タンク8において、清水と第1ろ過助剤を工程(1)(b)で演算した量となるように、ろ過助剤ポンプを用いて制御し、懸濁した第1ろ過助剤を、ポンプP3にて供給タンク4に送る。工程(1)を行わない場合には、過剰量となる所定量の第1ろ過助剤を懸濁する。また、原水をポンプP2にて供給タンク4に送る。次いで、第1ろ過助剤を懸濁した清水と原水を、供給タンク4にて、撹拌機5にて均一になるまで撹拌した後、ポンプP1にてベッセル11に流し込む。ベッセル11への送液の際の圧力は、0.2~1.0MPaとすることが好ましい。なお、(1)微粒子分離条件演算工程で原水を微粒子計測手段で測定するとき、および設定時間が経過し、ろ過が終了したとき、あるいは外乱によりプリコート層が崩壊し処理水の粒子濃度や濁度が急増した場合には、バルブB6を切り替え、原水を供給タンク4に送ることなく、原水の貯留槽に返送することができる。
本工程においては、第1ろ過助剤をボディフィードろ過助剤として、原水に混合し、スプリングフィルタを備えるろ過部に流し込む。これにより、図2に示すように、原水のろ過、すなわち、微粒子の分離が行われ、処理水がベッセル11から吐出される。なお、ボディフィードろ過助剤として、プリコート層の形成に用いたのとは、別のろ過助剤を用いる態様も可能である。
ベッセル11から吐出された処理水は、第2の微粒子計測部3にて微粒子個数、濃度、粒子径が計測される。所定の基準を満たしている処理水は、放出流路から装置外に放出される。所定の基準を満たしていない処理水は、供給タンク4に送られ、原水と混合されて、再度ろ過部1に送られ、微粒子の分離操作が行われる。
(4)(b)では、(4)(a)の工程を行いながら、流量計2で流量をモニタリングし、及び/または圧力計12でろ過圧力をモニタリングし、予め設定した閾値を超えたら、原水の送液を停止する。閾値は、微粒子の目詰まりによる圧力上昇を識別可能な値とすることができる。さらに、主として異常時の判断を目的として、第2の微粒子計測部3による計測値が所定の微粒子個数濃度、粒子径になった場合にも、原水の送液を止めることができる。具体的には、振動、衝突など外部からの力によりプリコートが崩壊してろ過不能となったり、細菌の異常増加により捕捉しきれず漏れだしたりしたときは、微粒子濃度や濁度が急変、急増する。第2の微粒子計測部3では、このような異常を検知することができる。なお、工程(4)の実施中に、流量計2や圧力計12の設定値に異常がない場合であっても、工程(3)を行って、ろ過能力を測定することもできる。
(5)洗浄工程
本工程は、工程(3)によりろ過能力に異常が認められた場合にプリコート層を再形成する、あるいは工程(4)による原水の処理が行われた後に、微粒子が捕捉され、あるいはゴミが集積したプリコート層L、L、L及びボディフィード層Lをスプリングフィルタ上から取り除くための工程である。本工程は、以下のサブステップをさらに含む。
(a)洗浄水をろ過部に逆流させ、プリコート層及びボディフィード層を構成するろ過助剤をスプリングフィルタ上から剥離する工程
(b)剥離したろ過助剤を含む洗浄液を排出する工程
(5)(a)では、洗浄水をベッセル11の吐出口に送り、ベッセル11の下流領域Dから上流領域Uに、図2とは逆向きの水圧をかけることにより、プリコート層L、L、L及びボディフィード層Lをスプリングフィルタ上から剥離する。
(5)(b)では、バルブB3をドレインに切り替え、剥離したろ過助剤を含む洗浄水を排出する。排出されたろ過助剤は、ごみや捕捉対象の微粒子を含んでおり、焼却処理や、再利用に必要な処理を行うことができる。
工程(1)~(5)により1サイクルの微粒子分離方法を実施することができる。1サイクルの微粒子分離方法を行った後は、続けて2サイクル目以降の方法を実施することもできる。また、工程(3)によりろ過能力に異常が認められ、工程(4)を経ることなく本工程(5)を実施する場合は、本工程終了後に、再度工程(2)のプリコート層形成、工程(3)のろ過能力算出を行い、正常なろ過能力を確認した後に、工程(4)を実施することができる。
次に、フローチャートを用いて、ろ過能力の測定結果に基づく運転制御のより詳細な例を説明する。図4は、ろ過能力として除去率を算出する場合の、微粒子分離装置の運転制御の一例を示すフローチャートである。フローチャートを参照すると、試験水にトレーサー粒子を投入するステップS11は、微粒子分離方法の工程(3)(a)、(b)に対応する。試験水、処理水のトレーサー粒子を測定するステップS12は、工程(3)(c)、(d)、(e)に対応する。除去率を算出するステップS13は、工程(3)(f)に対応する。以下、工程(3)(g)に対応する運転制御のステップを説明する。
S14では、除去率が設定値を超過したか否かを判断する。除去率が設定値を超過しない場合は、ろ過能力不足の異常と判断し、S31に進み終了とする。そして、必要に応じて、工程(5)にてプリコート層を除去した後、工程(2)以降を再度繰り返す。除去率が設定値を超過した場合は、ろ過能力が正常であると判断し、原水処理の工程(4)に進む。
工程(4)では、ろ過の処理を行いながら、S15にて積算流量設定値を超過したか否かを判断する。積算流量の測定は、図1に示す流量計2にて行うことができる。また、積算流量の設定値は、原水中の粒子濃度に応じて演算したあるいは予備実験等により決定した所定値とすることができる。積算流量設定値を超過した場合、設定した水量のろ過処理を完了したと判断し、S16に進んでろ過終了(正常終了)とする。
S15にて積算流量が設定値を超過しない場合は、ろ過の継続中であると判断する。S21に進み、ろ過圧力が設定値範囲内にあるかを判断する。ろ過圧力は、ベッセル11内の圧力計12により測定することができる。ろ過圧力の設定値範囲は、ろ過助剤層を保持可能な圧力範囲に定めることができる。例えば、ろ過助剤層が崩れる値を上限値として設定値を定めることができ、一例として、設定値圧力範囲を0.05~0.3MPa程度とすることができる。
ろ過圧力が設定値範囲内である場合は、S15に戻り、積算流量の設定値を超過するまで、ろ過圧力の監視をしながらろ過を継続することができる。S15にてろ過圧力が設定値範囲内にない場合は、設定値範囲の下限値未満である場合と、設定値範囲の上限値を超過した場合がある。ろ過圧力が設定値範囲の下限値未満である場合は、異常と判断し、S22にてろ過を終了する。ろ過圧力が設定値範囲の下限値未満の場合、外力によりプリコート層が崩れたことが予測される。ろ過圧力が設定値範囲の上限値を超過した場合も、異常と判断し、S23にてろ過を終了する。ろ過圧力が設定値範囲の上限値を超過した場合、過負荷や原水変動により夾雑物が急増し、目詰まりが発生したことが予測される。S22、S23の異常終了後は、S31の異常終了後と同様の手順を実施することができる。
本発明の微粒子分離方法によれば、(3)ろ過能力の算出工程による演算結果に基づいて、(4)処理工程に進むか、(5)洗浄工程に進むかといった運転条件を決定することができる。より具体的には、ろ過能力を算出することにより、その時点におけるプリコート層の異常を早期発見し、判断することができる。トレーサー粒子を用いたろ過能力の算出によれば、従来から行ってきた、積算流量やろ過圧力の監視では発見することができなかった、ピンホール発生などの異常を発見することが可能となる。スプリングフィルタを用いたろ過技術においては、使用するろ過助剤の粒径やろ過助剤の積層条件により、分離・除去可能な粒子の径が変わりうるが、本発明のろ過能力の算出とろ過能力の評価に基づく運転制御により、ろ過部の異常を迅速かつ正確に検出することができるため、有利である。
1 ろ過部、2 流量計、3 第2の微粒子計測部、4 供給タンク
5 撹拌機、 6 レベル計、7 第1の微粒子計測部、
8 第1ろ過助剤タンク、9 第2ろ過助剤タンク
P1、P2、P3 ポンプ
B1、B2、B3、B4、B5、B6 バルブ
10 スプリングフィルタ、10a コイル、11 ベッセル、12 圧力計
13 仕切板、14 トレーサー粒子供給部
15 第1のトレーサー粒子計測部、16 第2のトレーサー粒子計測部
第1プリコート層、L 第2プリコート層、L 第3プリコート層
ボディフィード層
101 第1ろ過助剤、102 第2ろ過助剤、103 第3ろ過助剤
104 ボディフィードろ過助剤
20 制御部

Claims (8)

  1. ろ過助剤を含むプリコート層を表面に形成したスプリングフィルタに、前記プリコート層の上流から、ボディフィードろ過助剤を添加した原水を供給し、原水中の微粒子を除去する微粒子分離方法であって、
    試験水にトレーサー粒子を混合する工程と、
    トレーサー粒子を含有する試験水を、前記プリコート層の上流から、スプリングフィルタに供給する工程と、
    前記スプリングフィルタを通過したトレーサー粒子量から、スプリングフィルタのろ過能力を得る工程と、
    前記ろ過能力に基づき、前記スプリングフィルタの運転条件を制御する工程と
    を含む方法。
  2. 前記トレーサー粒子が、単分散の無色粒子、着色粒子、または蛍光粒子から選択され、
    前記ろ過能力を得る工程が、前記スプリングフィルタを通過後のトレーサー粒子の径及び/または個数濃度を光学的に測定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ろ過能力を得る工程が、前記スプリングフィルタを通過前のトレーサー粒子の径及び/または個数濃度を光学的に測定する工程を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記スプリングフィルタのろ過条件を制御する工程が、前記プリコート層の除去及び再形成を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記原水が、船舶のバラスト水、スクラバ水、または発電所の冷却水から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. ろ過助剤を含むプリコート層を表面に形成可能なスプリングフィルタを備えるろ過部と、
    前記ろ過部に、微粒子を含む原水を供給する原水供給部と、
    前記ろ過部に、清水を供給する清水供給部と、
    試験水にトレーサー粒子を供給するトレーサー粒子供給部と、
    前記ろ過部の前段及び後段にあって、前記トレーサー粒子の粒子径及び/または個数濃度を光学的に測定するトレーサー粒子計測部と、
    前記ろ過部に、ろ過助剤を供給するろ過助剤供給部と、
    前記トレーサー粒子計測部による計測結果に基づいて、ろ過部のろ過能力を算出し、運転条件を制御する制御部と
    を備える微粒子分離装置。
  7. 前記トレーサー粒子計測部が、微粒子カウンタ、パーティクルカウンタ、またはフローサイトメータから選択される、請求項6に記載の微粒子分離装置。
  8. 前記トレーサー粒子が、単分散の無色粒子、着色粒子、または蛍光粒子から選択される、請求項6または7に記載の微粒子分離装置。
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