JP2022031134A - 誘電体薄膜および電子部品 - Google Patents

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【課題】 誘電損失が小さい誘電体薄膜を提供する。【解決手段】 誘電体組成物を有する誘電体薄膜である。CuKα1放射線により誘電体薄膜をXRD分析した場合において、誘電体組成物に由来するピークであって2θ=53~58°に存在するピークのうち、強度が最大であるピークの強度をInt55とし、誘電体組成物に由来するピークであって2θ=30~35°に存在するピークのうち、強度が最大であるピークの強度をInt31として、0≦Int55/Int31≦0.25を満たす。【選択図】 図1

Description

本発明は、誘電体薄膜および電子部品に関する。
特許文献1および特許文献2には、ペロブスカイト型酸窒化物ABONの粉末を作製する方法が記載されている。しかし、特許文献1および特許文献2には、ペロブスカイト型酸窒化物ABONを用いた薄膜を得ることに関しては何ら開示されていない。
特開昭61-122108号公報 特開2013-001625号公報
近年では、デジタル機器の小型化、高性能化に伴い、誘電損失の小さい誘電体薄膜が求められている。
本発明は、誘電損失が小さい誘電体薄膜を提供することを目的とする。
本発明に係る誘電体薄膜は、
誘電体組成物を有する誘電体薄膜であり、
CuKα1放射線により誘電体薄膜をXRD分析した場合において、
前記誘電体組成物に由来するピークであって2θ=53~58°に存在するピークのうち、強度が最大であるピークの強度をInt55とし、
前記誘電体組成物に由来するピークであって2θ=30~35°に存在するピークのうち、強度が最大であるピークの強度をInt31として、
0≦Int55/Int31≦0.25を満たす。
前記誘電体組成物がペロブスカイト型酸窒化物であってもよい。
前記ペロブスカイト型酸窒化物が化学式MaMbO(原子数比)で表され、
MaがSr,Ba,Ca,La,Ndから選ばれる1種以上の元素であり、
MbがTa,Nb,Ti,Wから選ばれる1種以上の元素であり、
0.800≦z≦1.200
2.450≦x≦3.493
0.005≦y≦0.700
を満たしてもよく、
Maがペロブスカイト構造におけるAサイトを占めた場合のイオン価数をa、Mbがペロブスカイト構造におけるBサイトを占めた場合のイオン価数をbとして、
6.7≦a+b≦7.3
を満たしてもよい。
0≦Int55/Int31≦0.17を満たしてもよい。
本発明の電子部品は、上記の誘電体薄膜を有する。
実施例9のXRDチャートである。
以下、本発明を実施形態に基づき説明する。
本実施形態の誘電体薄膜は、誘電体組成物を有する誘電体薄膜であり、
CuKα1放射線により誘電体薄膜をXRD分析した場合において、
前記誘電体組成物に由来するピークであって2θ=53~58°に存在するピークのうち、強度が最大であるピークの強度をInt55とし、
前記誘電体組成物に由来するピークであって2θ=30~35°に存在するピークのうち、強度が最大であるピークの強度をInt31として、
0≦Int55/Int31≦0.25を満たす。
XRDチャートにおいて誘電体組成物に由来するピークを抜き出したときに、0≦Int55/Int31≦0.25を満たす場合には、誘電損失(tanδ)が著しく小さくなることを本発明者らは見出した。0≦Int55/Int31≦0.25を満たす場合とは、2θ=53~58°に存在する前記誘電体組成物由来のピークが相対的に弱い場合である。0≦Int55/Int31≦0.17を満たすことが好ましい。また、Int55/Int31の下限については特に制限はない。例えば0.07以上であってもよい。
CuKα1放射線は、波長が1.54056Åの放射線である。
前記誘電体組成物はペロブスカイト型酸窒化物であってもよい。ペロブスカイト型酸窒化物は強誘電体であってもよい。
前記ペロブスカイト型酸窒化物は化学式MaMbO(原子数比)で表すことができる。
MaはSr,Ba,Ca,La,Ndから選ばれる1種類以上の元素であることが好ましい。MaはSr,Laから選ばれる1種類以上の元素であることがさらに好ましく、MaはSrであることが最も好ましい。MbはTa,Nb,Ti,Wから選ばれる1種類以上の元素であることが好ましい。MbはTa,Tiから選ばれる1種類以上の元素であることがさらに好ましく、MbはTaであることが最も好ましい。
Maに占めるSrの割合は35.0at%以上であってもよく、50.0at%以上が好ましく、55.9at%以上がさらに好ましい。Maに占めるSrの割合が90.0at%以下であってもよい。Mbに占めるTaの割合は35.0at%以上であってもよく、50.0at%以上が好ましく、55.9at%以上がさらに好ましい。Mbに占めるTaの割合が90.0at%以下であってもよい。なお、後述する実験例3の100-βはMaに占めるSrの割合を示し、Mbに占めるTaの割合を示す。
0.800≦z≦1.200、2.450≦x≦3.493、0.005≦y≦0.700を全て満たすことが好ましく、0.800≦z≦1.200、3.050≦x≦3.493、0.005≦y≦0.300、を全て満たすことがさらに好ましい。
さらに、Maがペロブスカイト構造におけるAサイトを占めた場合のイオン価数をa、Mbがペロブスカイト構造におけるBサイトを占めた場合のイオン価数をbとして、6.7≦a+b≦7.3を満たすことが好ましい。さらに好ましくはa+b=7.0である。
イオン価数の算出方法について説明する。Maがペロブスカイト構造におけるAサイトを占めた場合のイオン価数は、Maとして含まれる各元素のイオン価数を、その存在比に応じて平均化した値である。Mbがペロブスカイト構造におけるBサイトを占めた場合のイオン価数は、Mbとして含まれる各元素のイオン価数を、その存在比に応じて平均化した値である。
例えば、MaがSr:La=4:1の比で存在してAサイトを占め、MbがTa:Ti=4:1の比で存在してBサイトを占める場合について述べる。Srイオンの価数は2であり、Laイオンの価数は3である。この場合にaは以下の式(1)により算出される。また、Taイオンの価数は5であり、Tiイオンの価数は4である。この場合にbは以下の式(2)により算出される。そして、a=2.2、b=4.8となる。そして、a+bは7.0となる。
a=(Srイオンの価数)×(Srイオンの存在比)+(Laイオンの価数)×(Laイオンの存在比)
=2×4/5+3×1/5
=2.2 ・・・式(1)
b=(Taイオンの価数)×(Taイオンの存在比)+(Tiイオンの価数)×(Tiイオンの存在比)
=5×4/5+4×1/5
=4.8 ・・・式(2)
上記の特徴を有する誘電体薄膜は、特に誘電損失(tanδ)を著しく低下させることができる。具体的には、測定周波数を1kHzとして、tanδ≦1.00%とすることができ、tanδ≦0.20%とすることができ、tanδ≦0.18%とすることができる。また、測定周波数を1kHzとして、比誘電率εは20以上とすることができ、40以上とすることができる。なお、εの上限には特に制限はない。500以下であってもよい。
誘電体薄膜における0≦Int55/Int31≦0.25を満たす誘電体組成物の含有割合については特に制限はない。例えば、誘電体薄膜全体を100質量%として90質量%以上である。また、誘電体薄膜が複数種類の誘電体組成物を有する場合でも、XRDチャートにおいてどのピークがどの誘電体組成物に由来するかは識別可能である。そして、各誘電体組成物についてInt55/Int31を算出可能である。図1に示すXRDチャートはペロブスカイト型酸窒化物からなる誘電体薄膜のXRDチャートであり、Int55/Int31=0.08である。仮に他の種類の誘電体組成物が誘電体薄膜に含まれる場合でも、ピークの位置および大きさからペロブスカイト型酸窒化物由来のピークが特定でき、Int55/Int31が算出できる。
誘電体薄膜の厚みには特に制限はない。例えば10~2000nmである。
以下、誘電体薄膜の製造方法について説明する。誘電体薄膜の製造方法には特に制限はないが、基板上に(下部)電極を形成し、電極上に誘電体薄膜を形成する場合について説明する。
まず、基板を準備する。基板の材質には特に制限はない。例えば、Si単結晶基板を用いることが入手容易性およびコスト性に優れている。フレキシビリティを重視する場合には金属箔、例えばNi箔を基板として使用することも出来る。なお、金属箔を基板として使用する場合には、基板が電極を兼ねてもよい。
次に、基板上に電極を形成する。電極の材質に特に制限はなく、電極として機能すればよい。例えば、Pt,Ag,Ni等が挙げられる。電極の厚みには特に制限はない。基板に電極を形成する場合には0.01~10μmであってもよい。電極の形成方法には特に制限はない。例えばスパッタ法、蒸着法などが挙げられる。
次に、電極上に誘電体薄膜を形成する。以下、ペロブスカイト型酸窒化物からなる誘電体薄膜の形成方法について説明する。ペロブスカイト型酸窒化物からなる誘電体薄膜の形成方法としては、例えば、反応性スパッタ法によりペロブスカイト型酸窒化物からなる誘電体薄膜を成膜する方法や、スパッタ法によりペロブスカイト型酸化物(ペロブスカイト型酸窒化物)からなる誘電体薄膜を成膜し、成膜後に窒化アニールを行う方法が挙げられる。ただし、Int55/Int31が0.25以下である誘電体組成物を有する誘電体薄膜が得られる方法であればその他の方法であってもよい。
以下、反応性スパッタ法によりペロブスカイト型酸窒化物からなる誘電体薄膜を成膜する方法について説明する。
ペロブスカイト型酸化物からなるターゲットを作製する。ターゲットの作製方法については特に制限はなく、既知の方法を用いることができる。
次に、チャンバー内にターゲットおよび電極を形成した基板を設置する。そして、Arガス、OガスおよびNガスをチャンバー内に供給しながらターゲットに電力を投入する。必要であれば基板を加熱してもよい。このことで電極に対するペロブスカイト型酸化物からなる薄膜の成膜とペロブスカイト型酸化物の窒化とを同時に行い、ペロブスカイト型酸窒化物からなる薄膜を形成することができる。基板の温度には特に制限はない。例えば20~800℃であってもよい。ターゲットに投入する電力の大きさにも特に制限はない。例えば100~300Wであってもよい。また、スパッタ時間は目的とする誘電体薄膜の厚みが得られる時間とする。
Arガスは通常の誘電体薄膜の成膜でも用いられるガスであり、Arガスを供給しない場合には誘電体薄膜の成膜が困難である。Arガスの供給量には特に制限はない。
ここで、Arガスと同時に反応ガスであるOガスおよびNガスを供給する。Nガスを供給することで、ペロブスカイト型酸化物の一部を窒化することができ、ペロブスカイト型酸窒化物を作製することができる。Nガスの供給量には特に制限はない。
ここで、Nガスと共に適量のOガスを供給することで、誘電体薄膜における欠陥を低減することができる。欠陥にO原子が入るためであると考えられる。欠陥を低減することで、ペロブスカイト型酸窒化物からなる結晶体の配列を均一にすることができる。この結果、Int55/Int31が上記の範囲内となる。
ガスの供給量には特に制限はない。たとえば0.1~5sccmとすればよい。Oガスの供給量が少なすぎる場合には、Int55/Int31が高くなりすぎ、tanδ≦1.00%を達成できない。Oガスの供給量が多すぎてもInt55/Int31が高くなりすぎ、tanδ≦1.00%を達成できない。これはOガスの供給量が多すぎることでペロブスカイト型酸窒化物からなる結晶体の配列が歪むためであると考えられる。
以下、スパッタ法によりペロブスカイト型酸化物(ペロブスカイト型酸窒化物)からなる誘電体薄膜を成膜し、成膜後に窒化アニールを行う方法について説明する。
チャンバー内にターゲットおよび電極を形成した基板を設置するところまでは反応性スパッタ法による方法と同様である。次に、ガスを供給しながらターゲットに電力を投入する。必要であれば基板を加熱してもよい。基板の温度には特に制限はない。例えば20~900℃であってもよい。ターゲットに投入する電力の大きさにも特に制限はない。例えば100~300Wであってもよい。また、スパッタ時間は目的とする誘電体薄膜の厚みが得られる時間とする。
反応性スパッタ法によりペロブスカイト型酸窒化物からなる誘電体薄膜を成膜する場合と比較して、Arガスは供給するがOガスおよび/またはNガスを供給しなくてもよい。Oガスを供給せずNガスを供給する場合には、欠陥を有するペロブスカイト型酸窒化物からなる誘電体薄膜が成膜される。OガスおよびNガスを供給しない場合には、欠陥を有するペロブスカイト型酸化物からなる誘電体薄膜が成膜される。Oガスを供給しNガスを供給しない場合には、OガスおよびNガスを供給しない場合と比較して欠陥が少ないペロブスカイト型酸化物からなる誘電体薄膜が成膜される。
次に、得られたペロブスカイト型酸化物(ペロブスカイト型酸窒化物)からなる誘電体薄膜に窒化アニールを行う。窒化アニールはターゲットに100~200Wの電力を投入し、Arガスを供給せず、OガスおよびNガスを供給することにより行う。窒化アニールによりペロブスカイト型酸化物を窒化してペロブスカイト型酸窒化物とし、ペロブスカイト型酸窒化物の窒化をさらに進めることができる。なお、Arガスを供給しないため、ターゲットに電力を投入してもスパッタ法による成膜は生じない。
窒化アニール時のOガスの供給量には特に制限はない。窒化アニール前のペロブスカイト型酸化物(ペロブスカイト型酸窒化物)の状態に依存する。例えばスパッタ法による誘電体薄膜の成膜時にArガスのみを供給した場合には、0.1~5sccmとしてもよい。Oガスの供給量が少なすぎる場合には、Int55/Int31が高くなりすぎ、tanδ≦1.00%を達成できない。Oガスの供給量が多すぎてもInt55/Int31が高くなりすぎ、tanδ≦1.00%を達成できない。
窒化アニール時のNガスの供給量にも特に制限はない。窒化アニール前のペロブスカイト型酸化物(ペロブスカイト型酸窒化物)の状態に依存する。
窒化アニール時の基板の温度には特に制限はない。例えば20~900℃としてもよい。すなわち、窒化アニール時に基板に熱を加えなくてもよい。窒化アニール時間についても特に制限はない。例えば5~180分としてもよい。
次に、必要に応じて誘電体薄膜の電極(上部電極)を形成してもよい。誘電体薄膜のεおよびtanδを測定するために誘電体薄膜に電極を形成する場合における電極の材質および形成方法には特に制限はない。εおよびtanδを測定できればよい。また、誘電体薄膜を含む電子部品(薄膜キャパシタ等)を作製するために誘電体薄膜に電極を形成する場合についても電極の材質および形成方法には特に制限はない。
なお、Int55/Int31が0.25以下であるペロブスカイト型酸窒化物を有する粉末を得ることは難しい。
X線回折法における代表的な分析手法として定性分析がある。X線回折法における定性分析では、実測した回折パターンを既知物質の回折パターンと比較することにより、結晶相を同定する。
回折パターンの形状(回折角度および強度)は結晶相に含まれる結晶を構成する原子や分子の配列(結晶の構造)に依存する。結晶相に含まれる結晶の構造が変化することで解説パターンの回折角度および強度が変化するため、実測した回折パターンを既知物質の回折パターンと比較することにより、結晶相を同定する。
経験的に、結晶相の同定には強度が高い3つのピークが重要となる。SrTaON粉末において、強度が高いピークの回折角度は、強度が高い方から順に2θ=31°、55°、44°のピークである。ペロブスカイト構造を有するSrTaON粉末では、この強度比はほぼ一定であり、Int55/Int31=0.295である。すなわち、SrTaON粉末のInt55/Int31が0.25以下となることは通常はあり得ない。さらに、SrTaON以外のペロブスカイト構造を有する粉末であっても、同様である。
本実施形態に係る誘電体薄膜は、特に誘電損失が小さいことが求められる電子部品に好適に用いられる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。
(実験例1)
十分に洗浄を行い乾燥させたSi基板を準備した。次に、Si基板上にPtからなる下部電極を形成した。下部電極の形成はスパッタ法にて行った。下部電極の厚みは約0.1μmとした。
次に、下部電極上に誘電体薄膜を成膜した。誘電体薄膜はSrTaOで表されるペロブスカイト型酸窒化物からなる薄膜とした。誘電体薄膜は成膜用ターゲットとしてSrTa焼結体を用いた反応性スパッタ法により成膜した。
成膜時にチャンバー内へArガス、OガスおよびNガスを供給した。この際のOガスの供給量およびNガスの供給量を表1に示す値とした。なお、比較例1ではOガスを供給しなかった。
成膜時の基板温度は20~900℃、ターゲットに投入する電力は100~300W、成膜時間は表1に記載された薄膜厚みの誘電体薄膜が得られる時間とした。
得られた誘電体薄膜について、CuKα1放射線によるX線回折法(XRD)によりピーク強度を測定した。具体的には、検出角度(2θ)を20~60°としてIn-plane測定法によりピーク強度を測定した。(002)面に由来するピークが22°近傍に現れた。(112)面に由来するピークが31°近傍に現れた。(004)面に由来するピークまたは(220)面に由来するピークが44°近傍に現れた。(222)面に由来するピークが51°近傍に現れた。(204)面に由来するピークが55°近傍に現れた。Int55/Int31を表1に示す。
全ての実施例および比較例で0.800≦z≦1.200、3.050≦x≦3.493、0.005≦y≦0.300を全て満たすことをX線光電子分光法により確認した。
次に、誘電体薄膜上にAgからなる上部電極を形成した。上部電極の形成は蒸着法で行った。そして、Agilent Technologies E4980A プレシジョンLCRメーターを用いて周波数1kHzでεおよびtanδを測定した。tanδは1.00%以下である場合を良好とした。結果を表1に示す。
Figure 2022031134000002
表1より、成膜時に十分にOガスを供給した各実施例の誘電体薄膜はInt55/Int31が0.25以下となり、tanδが小さい誘電体薄膜となった。また、誘電体薄膜の厚みが厚くても薄くてもεおよびtanδが大きくなる傾向にあった。
これに対し、Oガスを供給しなかった比較例1は薄膜厚みが同程度である他の実施例と比較してεが大きくなったが、tanδも大きくなった。
(実験例2)
下部電極の形成までは実験例1と同様とした。
下部電極上に誘電体薄膜を成膜する際に、実験例1とは異なり、Oガスを供給しなかった。また、比較例2以外の試料ではNガスを供給しなかった。成膜時のOガスの供給量およびNガスの供給量を表2に示す。
成膜時にターゲットに投入する電力は100~300W、成膜時間は表2に記載された薄膜厚みの誘電体薄膜が得られる時間とした。
次に、実験例1とは異なり、窒化アニールを行った。窒化アニールでは、ターゲットに電力を投入し、Arガスを供給せず、OガスおよびNガスのみ、供給した。窒化アニール時のOガスの供給量およびNガスの供給量を表2に記載した。また、成膜時および窒化アニール時の基板温度を表2に示す。成膜時の基板温度と窒化アニール時の基板温度とは同一である。
ピーク強度の測定、上部電極の形成、および、ε、tanδの測定は実験例1と同様に実施した。なお、図1は実施例9のXRDチャートである。
全ての実施例および比較例で0.800≦z≦1.200、3.050≦x≦3.493、0.005≦y≦0.300を全て満たすことを実験例1と同様に確認した。
Figure 2022031134000003
表2より、窒化アニール時のOガスの供給量が好適に制御された各実施例はInt55/Int31が0.25以下となり、tanδが小さい誘電体薄膜となった。また、実施例9、実施例7、実施例10より、膜厚が厚いほどtanδが小さくなる傾向にあった。
これに対し、Oガスの供給量が大きい比較例2はInt55/Int31が大きすぎ、tanδが大きくなりすぎた。
(実験例3)
実験例3では、誘電体薄膜の組成を(Sr(100-β)/100Laβ/100(Ta(100-β)/100Tiβ/100)O(原子数比)とする点以外は実験例1と同様に実施した。誘電体薄膜の組成を上記の組成とするために、成膜用ターゲットとしてSrTa焼結体およびLaTi焼結体を用いた反応性スパッタ法により成膜した。成膜時の基板温度は600℃とし、薄膜厚みは540nmとした。結果を表3に示す。
全ての実施例で0.800≦z≦1.200、3.050≦x≦3.493、0.005≦y≦0.300を全て満たすことを実験例1と同様に確認した。
Figure 2022031134000004
表3より、Srの一部をLaに置換し、Taの一部をTiに置換しても、Int55/Int31が0.25以下であれば、tanδが小さい誘電体薄膜となった。

Claims (5)

  1. 誘電体組成物を有する誘電体薄膜であり、
    CuKα1放射線により誘電体薄膜をXRD分析した場合において、
    前記誘電体組成物に由来するピークであって2θ=53~58°に存在するピークのうち、強度が最大であるピークの強度をInt55とし、
    前記誘電体組成物に由来するピークであって2θ=30~35°に存在するピークのうち、強度が最大であるピークの強度をInt31として、
    0≦Int55/Int31≦0.25を満たす誘電体薄膜。
  2. 前記誘電体組成物がペロブスカイト型酸窒化物である請求項1に記載の誘電体薄膜。
  3. 前記ペロブスカイト型酸窒化物が化学式MaMbO(原子数比)で表され、
    MaがSr,Ba,Ca,La,Ndから選ばれる1種以上の元素であり、
    MbがTa,Nb,Ti,Wから選ばれる1種以上の元素であり、
    0.800≦z≦1.200
    2.450≦x≦3.493
    0.005≦y≦0.700
    を満たし、
    Maがペロブスカイト構造におけるAサイトを占めた場合のイオン価数をa、Mbがペロブスカイト構造におけるBサイトを占めた場合のイオン価数をbとして、
    6.7≦a+b≦7.3
    を満たす請求項2に記載の誘電体薄膜。
  4. 0≦Int55/Int31≦0.17を満たす請求項1~3のいずれかに記載の誘電体薄膜。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の誘電体薄膜を有する電子部品。
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