JP2022025203A - 硬化性組成物 - Google Patents

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智 楠田
Satoshi Kusuda
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Abstract

【課題】 本発明は、硬化前後の体積変化(体積の減少)が小さく且つ優れた柔軟性(ゴム弾性)を有する硬化物を生成することができる硬化性組成物を提供する。【解決手段】 本発明の硬化性組成物は、数平均分子量が8000~20000であり且つ加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、数平均分子量が3500~6000であり且つジアルコキシシリル基を1分子中に数平均で2.0個以上有するポリアルキレンオキサイド(B)と、中空充填材と、加水分解性シリル基を1分子中に数平均で0.1~0.5個有する反応性可塑剤と、シラノール縮合触媒とを含むことを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、硬化性組成物に関する。
構築物の内装は、石膏ボードや木質ボードなどの内壁部材を並べて配設して内壁下地を形成し、内壁部材間に形成された隙間にパテ材を打設し、内壁下地を平坦面とした上で、内壁下地上に壁紙を張ることによって構成される。
内壁部材間に形成された隙間に打設するパテ材として、特許文献1には、紛体状の充填材、及び合成樹脂エマルションを含有し、さらに、組成物全容積基準で15~80容積%の気泡を有し、前記気泡の平均径が直径で3~1000μmである、気泡含有パテ組成物が開示されている。
特開2016-147999号公報
しかしながら、上記気泡含有パテ組成物は、水系であることから、内壁部材間の隙間への打設後の乾燥によって水分が蒸発して体積が減少する。そのため、内壁部材間の隙間に気泡含有パテ組成物を繰り返し打設する必要があり、作業効率が悪いという問題点を有する。
また、内装を構成している内壁部材は、温度及び湿度の変化によって膨張収縮し、この内壁部材の膨張収縮に伴って、内壁部材間に形成された隙間も変化する。しかしながら、上記気泡含有パテ組成物は、柔軟性が低く、隙間の変化に追従することができず、亀裂が生じる。気泡含有パテ組成物に亀裂が生じると、気泡含有パテ組成物上に配設している壁紙に凹凸が生じ、内装の外観が低下するという問題点を有する。
本発明は、硬化前後の体積変化(体積の減少)が小さく且つ優れた柔軟性(ゴム弾性)を有する硬化物を生成することができる硬化性組成物を提供する。
本発明の硬化性組成物は、
数平均分子量が8000~20000であり且つ加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、
数平均分子量が3500~6000であり且つジアルコキシシリル基を1分子中に数平均で2.0個以上有するポリアルキレンオキサイド(B)と、
中空充填材と、
加水分解性シリル基を1分子中に数平均で0.1~0.5個有する反応性可塑剤と、
シラノール縮合触媒とを含み、
上記ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量と、上記ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量の比[ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量/ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量]が0.4~2.5であることを特徴とする。
本発明の硬化性組成物は、硬化前後の体積変化(体積の減少)が小さいので、例えば、内壁部材間の隙間に打設して用いる場合、内壁部材間の隙間に打設する回数を減らすことができ、施工効率を向上させることができる。
また、本発明の硬化性組成物は、硬化によって、柔軟性に優れた硬化物を生成することができる。構築物の内装を構成している内壁部材は、温度及び湿度変化に伴って膨張収縮し、内壁部材間に形成された隙間も寸法変化する。
本発明の硬化性組成物を、環境変化によって寸法が変化する内装部材間の隙間に打設して用いた場合にあっても、硬化性組成物の硬化物は、優れた柔軟性を有していることから、内壁部材間の隙間の寸法変化に円滑に追従し、亀裂を生じたりすることはなく、壁紙の配設状態を美麗に維持することができる。
本発明の硬化性組成物は、
数平均分子量が8000~20000であり且つ加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、
数平均分子量が3500~6000であり且つジアルコキシシリル基を1分子中に数平均で2個以上有するポリアルキレンオキサイド(B)と、
中空充填材と、
加水分解性シリル基を1分子中に数平均で0.1~0.5個有する反応性可塑剤と、
シラノール縮合触媒とを含み、
上記ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量と、上記ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量の比[ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量/ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量]が0.4~2.5である。
[ポリアルキレンオキサイド(A)]
硬化性組成物は、数平均分子量が8000~20000であり且つ加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)を含有している。なお、ポリアルキレンオキサイド(A)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。数平均分子量が8000~20000であり且つ加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)は、単に「ポリアルキレンオキサイド(A)」ということがある。
加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)は、主鎖が、一般式:-(R1-O)n-(式中、R1は炭素数が1~14のアルキレン基を表し、nは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体が好ましく挙げられる。ポリアルキレンオキサイド(A)の主鎖骨格は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
ポリアルキレンオキサイド(A)の主鎖骨格としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体、及びポリプロピレンオキサイド-ポリブチレンオキサイド共重合体などが挙げられ、硬化性組成物の硬化物が柔軟性に優れているので、ポリプロピレンオキサイドを含むことが好ましい。
ポリアルキレンオキサイド(A)は、加水分解性シリル基を有している。加水分解性シリル基としては、例えば、ケイ素原子と結合した加水分解性基を有するケイ素含有基、及び、シラノール基のように、湿気又は架橋剤の存在下、必要に応じて触媒などを使用することによって縮合反応を生じる基をいう。なお、シラノール基とは、ケイ素原子にヒドロキシ基(-OH)が直接結合している官能基(≡Si-OH)をいう。
加水分解性シリル基としては、例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基などのモノアルコキシシリル基、ジメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基などのジアルコキシシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基、トリクロロシリル基などのハロゲンが結合したハロゲン化シリル基が挙げられ、ジアルコキシシリル基が好ましく、ジメトキシシリル基がより好ましい。
ポリアルキレンオキサイド(A)は、ウレタン結合を含有していないことが好ましい。ポリアルキレンオキサイド(A)がウレタン結合を有していないことによって、硬化性組成物は、硬化性組成物の硬化物が優れた柔軟性を有する。
ポリアルキレンオキサイド(A)は、硬化性組成物の硬化物が優れた柔軟性を有するので、主鎖末端に加水分解性シリル基を有していることが好ましく、主鎖両末端に加水分解性シリル基を有していることがより好ましい。
ポリアルキレンオキサイド(A)は、硬化性組成物の硬化物は優れた柔軟性を有するので、主鎖末端にウレタン結合を介することなく加水分解性シリル基を有していることが好ましく、主鎖両末端にウレタン結合を介することなく加水分解性シリル基を有していることがより好ましい。
本発明において、ポリアルキレンオキサイドへの加水分解性シリル基の導入方法としては、特に限定されず、例えば、(1)分子中に不飽和基を修飾した重合体に、加水分解性シリル基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する方法、(2)分子中に不飽和基を修飾した重合体に、メルカプト基及び加水分解性シリル基を有する化合物を反応させる方法、(3)分子中に官能基を有する重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基と加水分解性シリル基とを有する化合物を反応させる方法などが挙げられ、具体的には、イソシアネート基と水酸基との反応、イソシアネート基とアミノ基との反応、イソシアネート基とメルカプト基との反応などを利用することができる。
ポリアルキレンオキサイド(A)の1分子中における加水分解性シリル基の数平均(平均個数)は、1.0個以上が好ましく、1.1個以上がより好ましく、1.2個以上がより好ましい。ポリアルキレンオキサイド(A)の1分子中における加水分解性シリル基の数平均(平均個数)は、3個以下が好ましい。ポリアルキレンオキサイド(A)の1分子中における加水分解性シリル基の数平均(平均個数)が1.0個以上であると、硬化性組成物の硬化物の柔軟性が向上する。ポリアルキレンオキサイド(A)の1分子中における加水分解性シリル基の数平均(平均個数)が3個以下であると、硬化性組成物の硬化物の架橋密度を適度なものとし、硬化物の柔軟性を向上させることができる。
本発明において、ポリアルキレンオキサイドにおいて、1分子中における加水分解性シリル基の数平均(平均個数)の測定方法は、1H-NMRにより求められるポリアルキレンオキサイド中の加水分解性シリル基の濃度、及びGPC法により求められるポリアルキレンオキサイドの数平均分子量に基づいて算出することができる。
ポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量は、8000以上であり、8500以上が好ましく、8600以上がより好ましく、8800以上がより好ましい。ポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量は、20000以下であり、18000以下が好ましく、12000以下がより好ましい。ポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量が8000以上であると、硬化性組成物の硬化物の柔軟性及び引張応力が向上する。ポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量が20000以下であると、硬化性組成物の硬化前の粘度を低く抑えることができ、硬化性組成物の取り扱い性が向上する。
なお、本発明において、ポリアルキレンオキサイドの数平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。具体的には、ポリアルキレンオキサイド6~7mgを採取し、採取したポリアルキレンオキサイドを試験管に供給した上で、試験管に0.05質量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を含むo-DCB(オルトジクロロベンゼン)溶液を加えてポリアルキレンオキサイドの濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
溶解濾過装置を用いて145℃にて回転速度25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせてポリアルキレンオキサイドをBHTを含むo-DCB溶液に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によってポリアルキレンオキサイドの数平均分子量を測定することができる。
ポリアルキレンオキサイドにおける数平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC-8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR-H(20)HT×3本
TSKguardcolumn-HHR(30)HT×1本
移動相:o-DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500~8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
[ポリアルキレンオキサイド(B)]
硬化性組成物は、数平均分子量が3500~6000であり且つジアルコキシシリル基を1分子中に数平均で2.0個以上有するポリアルキレンオキサイド(B)を含有している。なお、ポリアルキレンオキサイド(B)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。数平均分子量が3500~6000であり且つジアルコキシシリル基を1分子中に数平均で2.0個以上有するポリアルキレンオキサイド(B)は、単に「ポリオキシアルキレン系重合体(B)」ということがある。
ジアルコキシシリル基を有するポリアルキレンオキサイド(B)は、主鎖が、一般式:-(R2-O)m-(式中、R2は炭素数が1~14のアルキレン基を表し、mは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体が好ましく挙げられる。ポリアルキレンオキサイド(B)の主鎖骨格は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
ポリアルキレンオキサイド(B)の主鎖骨格としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体、及びポリプロピレンオキサイド-ポリブチレンオキサイド共重合体などが挙げられ、硬化性組成物の硬化物が柔軟性に優れているので、ポリプロピレンオキサイドを含むことが好ましい。
ポリアルキレンオキサイド(B)は、ジアルコキシシリル基を有している。ポリアルキレンオキサイド(B)がジアルコキシシリル基を含有していることによって、硬化性組成物中の硬化過程において、硬化性組成物中から流出することがなく、硬化性組成物は硬化前後において体積変化が小さくなる。ジアルコキシシリル基としては、ケイ素原子に2個のアルコキシ基が結合してなるケイ素含有基をいい、湿気又は架橋剤の存在下、必要に応じて触媒などを使用することによって縮合反応を生じる。
ジアルコキシシリル基としては、例えば、ジメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基などが挙げられ、常温下での硬化性組成物の硬化性が向上するので、ジメトキシシリル基及びメチルジメトキシシリル基が好ましく、メチルジメトキシシリル基がより好ましい。
ポリアルキレンオキサイド(B)は、ウレタン結合を含有していないことが好ましい。ポリアルキレンオキサイド(B)がウレタン結合を有していないことによって、硬化性組成物は、硬化性組成物の硬化物が優れた柔軟性を有する。
ポリアルキレンオキサイド(B)は、硬化性組成物の硬化物の柔軟性に優れているので、主鎖末端に加水分解性シリル基を有していることが好ましく、主鎖両末端に加水分解性シリル基を有していることがより好ましい。
ポリアルキレンオキサイド(B)は、硬化性組成物の硬化物は優れた柔軟性を有するので、主鎖末端にウレタン結合を介することなく加水分解性シリル基を有していることが好ましく、主鎖両末端にウレタン結合を介することなく加水分解性シリル基を有していることがより好ましい。
ポリアルキレンオキサイド(B)は、ジアルコキシシリル基を有している。ポリアルキレンオキサイド(B)において、ジアルコキシシリル基の1分子中における数平均(平均個数)は、2.0個以上であり、2.1個以上が好ましい。ポリアルキレンオキサイド(B)において、ジアルコキシシリル基の1分子中における数平均(平均個数)は、4.0個以下が好ましく、3.5個以下がより好ましく、3.0個以下がより好ましい。ジアルコキシシリル基の1分子中における数平均(平均個数)は、2.0個以上であると、硬化性組成物中の硬化過程において、硬化性組成物中から流出することがなく、硬化性組成物は硬化前後において体積変化が小さくなる。ジアルコキシシリル基の1分子中における数平均(平均個数)は、4.0個以下であると、硬化性組成物の硬化物の架橋密度を適度なものとし、硬化物の柔軟性を向上させることができる。
ポリアルキレンオキサイド(B)の数平均分子量は、3500以上であり、4000以上が好ましく、4200以上がより好ましい。ポリアルキレンオキサイド(B)の数平均分子量は、6000以下であり、5000以下が好ましく、4800以下がより好ましい。ポリアルキレンオキサイド(B)の数平均分子量が3500以上であると、硬化性組成物の硬化物の柔軟性及び引張応力が向上する。ポリアルキレンオキサイド(B)の数平均分子量が6000以下であると、硬化性組成物の粘度を低く抑えることができ、硬化性組成物の取り扱い性が向上する。
硬化性組成物において、ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量と、ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量との質量比[ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量/ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量]は、0.4以上であり、0.41以上が好ましく、0.42以上がより好ましい。ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量と、ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量との質量比[ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量/ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量]が0.4以上であると、硬化性組成物の硬化物の柔軟性が優れる。
硬化性組成物において、ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量と、ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量との質量比[ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量/ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量]は、2.5以下であり、2.4以下が好ましく、2.3以下がより好ましい。ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量と、ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量との質量比[ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量/ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量]が2.5以下であると、硬化性組成物の硬化物の抗張力を保持することができ、環境変化によって生じる外力による硬化物の体積変化を抑制することができる。
[中空充填材]
硬化性組成物は、中空充填材を含有している。中空充填材は、空隙部を内部に有する微粒子をいい、閉塞された空隙部を内部に有する微粒子が好ましい。硬化性組成物が中空充填材を含有していることによって、硬化性組成物の硬化前後における体積変化を低く抑えることができると共に、硬化性組成物の硬化物に優れた柔軟性を付与することができる。
中空充填材としては、特に限定されず、例えば、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、ガラスバルーンなどの無機中空充填材、熱硬化性樹脂バルーンなどの有機中空充填材が挙げられ、無機中空充填材が好ましく、ガラスバルーンが好ましい。熱硬化性樹脂バルーンを構成している熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂などが挙げられる。なお、中空充填材は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
中空充填材は、市販品を用いることができる。中空充填材の市販品としては、例えば、ポッターズ・バロティーニ社から商品名「Qセル5020」及び「Qセル7040S」、3M社から商品名「グラスバブルズK37」及び「グラスバブルズS38」にて市販されている市販品などが挙げられる。
中空充填材の平均粒径は、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、20μm以上がより好ましい。中空充填材の平均粒径は、150μm以下が好ましく、130μm以下がより好ましく、120μm以下がより好ましい。中空充填材の平均粒径が1μm以上であると、硬化性組成物の硬化物に優れた柔軟性を付与することができる。中空充填材の平均粒径が150μm以下であると、硬化性組成物の硬化物に優れた柔軟性を付与することができる。なお、中空充填材の平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒度分布におけるメディアン径(D50)をいう。レーザー回折・散乱法とは、粒子に対してレーザー光を当てたときに粒子サイズによって回折散乱光の光強度分布が異なる現象を利用して粒子サイズを測定する方法である。
中空充填材の耐圧強度は、2.0MPa以上が好ましく、2.5MPa以上がより好ましく、3.0MPa以上がより好ましい。中空充填材の耐圧強度は、20MPa以下が好ましく、18MPa以下がより好ましく、15MPa以下がより好ましい。中空充填材の耐圧強度が2.0MPa以上であると、硬化性組成物の硬化前後における体積変化を低く抑えることができる。中空充填材の耐圧強度が20MPa以下であると、硬化性組成物の硬化物の柔軟性が向上する。なお、中空充填材の耐圧強度は、JIS Z8844(2019)粒子強度に準拠して測定された値をいう。
硬化性組成物において、中空充填材の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)及びポリアルキレンオキサイド(B)の総量100質量部に対して5質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましく、7質量部以上がより好ましい。中空充填材の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)及びポリアルキレンオキサイド(B)の総量100質量部に対して30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がより好ましい。中空充填材の含有量が5質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物の硬化前後における体積変化を低く抑えることができる。中空充填材の含有量が30質量部以下であると、硬化性組成物の硬化物の柔軟性が向上すると共に、硬化性組成物の硬化物の硬化前後における体積変化を低く抑えることができる。
[反応性可塑剤]
硬化性組成物は、加水分解性シリル基を1分子中に数平均で0.1~0.5個有する反応性可塑剤を含有している。なお、反応性可塑剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。反応性可塑剤は、硬化前においては硬化性組成物の粘度を低下させて取り扱い性を向上させている。反応性可塑剤の一部は、その加水分解性シリル基が、硬化反応において、ポリアルキレンオキサイド(A)の加水分解性シリル基やポリアルキレンオキサイド(B)のジアルコキシシリル基と縮合反応を生じ、硬化性組成物の硬化物に取り込まれ、ポリアルキレンオキサイド(A)及び(B)と適度な架橋密度でもって架橋構造を形成する一方、反応性可塑剤の一部は、架橋構造を形成することなく硬化物中に含まれた状態となって可塑剤としての作用を奏し、その結果、硬化性組成物の硬化物に優れた柔軟性を付与することができる。
反応性可塑剤は、分子中に加水分解性シリル基を有している。反応性可塑剤の加水分解性シリル基は、ポリアルキレンオキサイド(A)の加水分解性シリル基と同様であるので説明を省略する。なお、反応性可塑剤の加水分解性シリル基と、ポリアルキレンオキサイド(A)の加水分解性シリル基及びポリアルキレンオキサイド(B)のジアルコキシシリル基とは、同一であっても相違してもよい。
反応性可塑剤は、主鎖末端に加水分解性シリル基を有していることが好ましい。反応性可塑剤が主鎖末端に加水分解性シリル基を有していると、反応性可塑剤は、ポリアルキレンオキサイド(A)及び(B)と適度な架橋密度でもって架橋構造を形成し、硬化性組成物の硬化物に優れた柔軟性を付与することができる。
反応性可塑剤において、1分子中における加水分解性シリル基の数平均(個数平均)は、0.1個以上であり、0.15個以上が好ましい。反応性可塑剤において、1分子中における加水分解性シリル基の数平均(個数平均)は、0.5個以下であり、0.4個以下が好ましく、0.3個以下がより好ましく、0.25個以下がより好ましい。1分子中における加水分解性シリル基の数平均(個数平均)が0.1個以上であると、硬化性組成物の硬化前後における体積変化を低く抑えることができる。1分子中における加水分解性シリル基の数平均(個数平均)が0.5個以下であると、硬化性組成物の硬化物の柔軟性が向上する。
反応性可塑剤において、1分子中における加水分解性シリル基の数平均(平均個数)の測定方法は、1H-NMRにより求められる反応性可塑剤中の加水分解性シリル基の濃度、及びGPC法により求められる反応性可塑剤の数平均分子量に基づいて算出することができる。
反応性可塑剤の主鎖骨格は、特に限定されないが、例えば、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、ポリアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基の炭素数が1~6であるポリアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
反応性可塑剤の主鎖となるポリアルキレンオキサイドは、主鎖が、一般式:-(R3-O)p-(式中、R3は炭素数が1~14のアルキレン基を表し、pは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体が好ましく挙げられる。反応性可塑剤の主鎖骨格は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
ポリアルキレンオキサイドとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体、及びポリプロピレンオキサイド-ポリブチレンオキサイド共重合体などが挙げられ、硬化性組成物の硬化物が柔軟性に優れているので、ポリプロピレンオキサイドを含むことが好ましい。
ポリアルキル(メタ)アクリレートを構成するアルキル(メタ)アクリレートとしては、特に限定されず、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、アルキル(メタ)アクリレートは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ポリアルキル(メタ)アクリレートを構成するモノマー単位には、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なモノマー単位が含有されていてもよい。このようなモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのα-オレフィン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニレンなどのハロゲン化ビニルなどが挙げられる。
反応性可塑剤は、1分子中に数平均で0.1~0.5個の加水分解性シリル基を有するオリゴマーである。反応性可塑剤の数平均分子量は、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上がより好ましい。反応性可塑剤の数平均分子量は、3000以下が好ましく、2800以下がより好ましく、2600以下がより好ましい。反応性可塑剤の数平均分子量が1000以上であると、硬化性組成物の硬化物において、架橋点間の距離を適度なものとし、硬化物に優れた柔軟性を付与することができる。反応性可塑剤の数平均分子量が3000以下であると、硬化前の硬化性組成物の粘度を低く抑えることができ、硬化性組成物の取り扱い性を向上させることができる。
なお、本発明において、反応性可塑剤の数平均分子量及び重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。具体的には、反応性可塑剤6~7mgを採取し、採取した反応性可塑剤を試験管に供給した上で、試験管に0.05質量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を含むo-DCB(オルトジクロロベンゼン)溶液を加えて反応性可塑剤の濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
溶解濾過装置を用いて145℃にて回転速度25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせて反応性可塑剤をBHTを含むo-DCB溶液に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によって反応性可塑剤の数平均分子量及び重量平均分子量を測定することができる。
反応性可塑剤における数平均分子量及び重量平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC-8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR-H(20)HT×3本
TSKguardcolumn-HHR(30)HT×1本
移動相:o-DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500~8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
硬化性組成物において、反応性可塑剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)及び(B)の総量100質量部に対して2質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。反応性可塑剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)及び(B)の総量100質量部に対して20質量部以下が好ましく、18質量部以下がより好ましく、15質量部以下がより好ましく、12質量部以下がより好ましい。反応性可塑剤の含有量がポリアルキレンオキサイド(A)及び(B)の総量100質量部に対して2質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物の柔軟性が向上すると共に、硬化性組成物の硬化物の硬化前後における体積変化を低く抑えることができる。反応性可塑剤の含有量がポリアルキレンオキサイド(A)及び(B)の総量100質量部に対して20質量部以下であると、硬化性組成物の硬化物の硬化前後における体積変化を低く抑えることができる。
[シラノール縮合触媒]
硬化性組成物は、シラノール縮合触媒を含有している。シラノール縮合触媒とは、ポリアルキレンオキサイド(A)が有する加水分解性シリル基、ポリアルキレンオキサイド(B)が有するジアルコキシシリル基、及び、反応性可塑剤が有する加水分解性シリル基が加水分解することにより形成されたシラノール基同士の脱水縮合反応を促進させるための触媒である。なお、シラノール基とは、ヒドロキシ基がケイ素原子に直接結合している官能基(≡Si-OH)を意味する。
シラノール縮合触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ビス(ジブチル錫ビストリエトキシシリケート)オキサイド、及びジブチル錫オキシビスエトキシシリケートなどの有機錫化合物;テトラ-n-ブトキシチタネート、及びテトライソプロポキシチタネートなどの有機チタン化合物などが挙げられる。シラノール縮合触媒は、有機錫化合物が好ましく、ジブチル錫化合物がより好ましく、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)がより好ましく、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)がより好ましい。また、他の酸性触媒や塩基性触媒もシラノール縮合触媒として用いることができる。これらのシラノール縮合触媒は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
硬化性組成物において、シラノール縮合触媒の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)及び(B)の総量100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、0.8質量部以上がより好ましく、1質量部以上がより好ましい。シラノール縮合触媒の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)及び(B)の総量100質量部に対して10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、5質量部以下がより好ましく、4質量部以下がより好ましい。シラノール縮合触媒の含有量が0.1質量部以上であると、硬化性組成物の硬化性が向上する。シラノール縮合触媒の含有量が10質量部以下であると、硬化性組成物の熱安定性が向上する。
[その他の充填材]
硬化性組成物は、中空充填材の他に、中実充填材を含んでいることが好ましい。中実充填材とは、空隙部を内部に有しない微粒子をいう。硬化性組成物が中実充填材を含有していることによって、硬化性組成物の硬化物の柔軟性を向上させることができる。
中実充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、微粉末シリカ、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラックなどを挙げることができる。これらの中実充填材は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、炭酸カルシウムが好ましく用いられ、膠質炭酸カルシウムがより好ましく用いられる。
炭酸カルシウムの平均粒径は、0.01~5μmが好ましく、0.05~2.5μmがより好ましい。このような平均粒径を有している炭酸カルシムによれば、柔軟性に優れた硬化物を生成することができる。なお、中実充填材の平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒度分布におけるメディアン径(D50)をいう。
炭酸カルシウムは、脂肪酸や脂肪酸エステルなどにより表面処理されていることが好ましい。脂肪酸や脂肪酸エステルなどにより表面処理されている炭酸カルシウムによれば、硬化性組成物にチキソトロピー性を付与できると共に炭酸カルシムが凝集することを抑制することができる。
硬化性組成物中の中実充填材の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)及び(B)の総量100質量部に対して10質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、50質量部以上がより好ましく、70質量部以上がより好ましい。硬化性組成物中の中実充填材の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)及び(B)の総量100質量部に対して400質量部以下が好ましく、300質量部以下がより好ましく、250質量部以下がより好ましく、200質量部以下がより好ましく、150質量部以下がより好ましい。
硬化性組成物は、チキソ性付与剤、耐候安定剤、顔料、染料、沈降防止剤、脱水剤、溶剤、アミノシランカップリング剤など他の添加剤を含んでいてもよい。
[耐候安定剤]
硬化性組成物は、耐候安定剤をさらに含んでいることが好ましい。耐候安定剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び光安定化剤が好ましく挙げられる。耐候安定剤は、一種単独で用いられてもよく、二種以上を併用してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、及びポリフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、具体的には、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](融点118℃)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](融点52℃)、及びN,N′-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)](融点158℃)などが挙げられる。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、BASF社製 IRGANOX(登録商標)1135(融点5℃)などの市販品を用いることもできる。
硬化性組成物中における酸化防止剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)及び(B)の総量100質量部に対して0.1~20質量部が好ましく、0.3~10質量部がより好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられ、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、具体的には、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール(融点130℃)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(融点139℃)、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール(融点139℃)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール(融点84℃)、及び2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(融点104℃)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、BASF社製 TINUVIN(登録商標)384-2(融点10℃以下)などの市販品を用いることもできる。
硬化性組成物中における紫外線吸収剤の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)及び(B)の総量100質量部に対して0.1~20質量部が好ましく、0.2~10質量部がより好ましい。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートの混合物(融点10℃以下)、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物(融点135℃)、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}](融点118℃)、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとの重縮合物(融点63℃)などが挙げられる。
[脱水剤]
硬化性組成物は、脱水剤を含んでいることが好ましい。脱水剤によれば、硬化性組成物を保存している際に、空気中などに含まれている水分によって硬化性組成物が硬化することを抑制することができる。
脱水剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びジフェニルジメトキシシランなどのシラン化合物;並びにオルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、及びオルト酢酸エチル等のエステル化合物などを挙げることができる。これらの脱水剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、ビニルトリメトキシシランが好ましい。
チキソ性付与剤は、硬化性組成物にチキソトロピー性を発現せることができるものであればよい。チキソ性付与剤としては、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカなどが好ましく挙げられる。
硬化性組成物の比重は、1.1以上が好ましく、1.15以上がより好ましい。硬化性組成物の比重は、1.4以下が好ましく、1.3以下がより好ましい。硬化性組成物の比重が1.1以上であると、内壁部材などの部材に対する付着性が向上する。硬化性組成物の比重が1.4以下であると、硬化前の硬化性組成物の表面を平滑面にするときに硬化性組成物の表面抵抗が低くなり作業性が向上する。なお、硬化性組成物の比重は、JIS K6833によって測定された値をいう。
硬化性組成物のTi指数は、6.0以上が好ましく、6.5以上がより好ましく、6.6以上がより好ましい。硬化性組成物のTi指数は、8.5以下が好ましく、8.0以下がより好ましく、7.5以下がより好ましい。なお、硬化性組成物のTi指数は、JIS K6833に準拠して23℃の雰囲気下にてB型粘度計ローターNo.7を用いて測定した、1rpm時の硬化性組成物の粘度と10rpm時の硬化性組成物の粘度との粘度比[(1rpm時の粘度)/(10rpm時の粘度)]をいう。
硬化性組成物の製造方法を説明する。硬化性組成物は、ポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリアルキレンオキサイド(B)と、中空充填材と、反応性可塑剤と、シラノール縮合触媒と、必要に応じて添加される添加剤を混合することによって製造することができる。混合は減圧下で行うことが好ましい。
このようにして製造された硬化性組成物は、施工部材(例えば、内壁部材、下地材など)に充填又は塗工されて用いられる。硬化性組成物は、その硬化前において粘度が低く抑えられているので、取り扱い性に優れており、施工作業を円滑に行なうことができる。
硬化性組成物は、空気中又は硬化性組成物が接触する部材(例えば、内壁部材など)中に含まれる水分と反応して硬化する。硬化性組成物は、僅かな水分量であっても速やかに硬化する。
硬化性組成物は、その硬化前後における体積変化が低く抑えられている。従って、硬化前の硬化性組成物を充填又は塗工した形態が、硬化性組成物の硬化後においても維持されており、硬化性組成物をその硬化後に充填又は塗工し直す必要はなく、硬化性組成物を用いた施工作業を効率良く行なうことができる。
硬化性組成物の硬化物は、優れた柔軟性(ゴム弾性)を有しているので、硬化性組成物の硬化後において、雰囲気温度又は湿度の変化によって、硬化性組成物を充填又は塗工した施工部材に膨張又は収縮などの変形が生じたとしても、亀裂などを生じることなく、施工部材の変形に円滑に追従し、施工部材との密着性を確実に維持することができる。
硬化性組成物の硬化物において、JIS K6251に準拠した伸び率は、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上がより好ましい。JIS K6251に準拠した伸び率は、150%以下が好ましく、140%以下がより好ましく、130%以下がより好ましい。
硬化性組成物の硬化物におけるJIS K6251に準拠した伸び率は下記の要領で測定される。具体的には、硬化前の硬化性組成物を塗工板上に厚みが2mmとなるように塗工し、厚さが2mmのフィルム状の試験片を作製する。試験片を23℃及び相対湿度50%の雰囲気下に放置して2日間養生して硬化させて硬化物を得る。
しかる後、硬化物をJIS K6251に準拠した3号ダンベルの形状に打ち抜き、インストロン万能引張試験機を用いて500mm/分の速度で引張り、伸び率を測定する。
硬化性組成物は、シーリング材、接着剤、塗料、コーティング剤、感圧接着剤などの様々な用途に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例及び比較例にて用いられた化合物を以下に示す。
[ポリアルキレンオキサイド]
・ポリアルキレンオキサイド(A)(カネカ社製 商品名「MSポリマー EST280」、主鎖骨格がポリプロピレンオキサイドからなり且つ主鎖の末端にウレタン結合を介することなくジメトキシシリル基を有するポリアルキレンオキサイド、分子中にウレタン結合を有しない、数平均分子量:9000、ジメトキシシリル基を1分子中に数平均で1.2個)
・ポリアルキレンオキサイド(B)(カネカ社製 商品名「SAX015」、主鎖骨格がポリプロピレンオキサイドからなり且つ主鎖の末端にウレタン結合を介することなくメチルジメトキシシリル基を有するポリアルキレンオキサイド、分子中にウレタン結合を有しない、数平均分子量:4500、メチルジメトキシシリル基を1分子中に数平均で2.1個)
[中空充填材]
・中空充填材1(ポッターズ・バロティーニ社製 商品名「Qセル5020」、平均粒径:60μm、耐圧強度:3.4MPa)
・中空充填材2(ポッターズ・バロティーニ社製 商品名「Qセル7014」、平均粒径80μm、耐圧強度1.7MPa)
[反応性可塑剤]
・反応性可塑剤(東亜合成社製 商品名「UP6100」、1分子中における加水分解性シリル基の数平均:0.2個、主鎖骨格:ポリブチルアクリレート、重量平均分子量:2500)
[シラノール縮合触媒]
・ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)(日東化成社製 商品名「ネオスタンU-220H」)
[中実充填材]
・脂肪酸により表面処理された膠質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製 商品名「カルファインK-200M」、平均粒径:0.05μm)
[脱水剤]
・ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBM-1003」)
[シランカップリング剤]
・N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBM603」)
(実施例1~8、比較例1~6)
ポリアルキレンオキサイド(A)、ポリアルキレンオキサイド(B)、中空充填材、反応性可塑剤、シラノール縮合触媒、中実充填材、脱水剤及びシランカップリング剤を表1に示した配合量となるように密封した攪拌機中で減圧しながら均一になるまで混合することにより硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物について、比重及びTi指数を測定し、その結果を表1に示した。
得られた硬化性組成物について、粘度、フラット性及び引張応力を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
得られた硬化性組成物の硬化物について、JIS K6251に準拠した伸び率を上記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
(粘度)
硬化前の硬化性組成物の粘度をJIS K6833に準拠してB型粘度計を用いて23℃で回転数10rpmの条件にて測定した。
(フラット性)
一辺200mmの平面正方形状で且つ厚みが25mmの石膏ボードの中央部に、幅10mm、深さ10mm、長さ150mmの溝を形成した。硬化前の硬化性組成物を溝に供給し、硬化性組成物を溝に充填した。溝に充填した硬化性組成物の表面部をヘラで掻取って平坦面とした。硬化性組成物の表面と、石膏ボードの表面とが面一となるようにした。
しかる後、石膏ボードを23℃及び相対湿度50%の雰囲気下に放置して硬化性組成物を硬化した。石膏ボードを23℃及び相対湿度50%の雰囲気下に放置してから3時間経過後及び72時間経過後に、石膏ボードをその溝形成面に対して直交し且つ溝の幅方向に平行な方向に切断した。石膏ボードの溝に充填された硬化性組成物の硬化物を顕微鏡を用いて観察した。硬化物の表面のうち、最も凹んだ部分の深さを測定した。
(引張応力)
硬化前の硬化性組成物を塗工板上に厚みが2mmとなるように塗工し、厚さが2mmのフィルム状の試験片を作製した。試験片を23℃及び相対湿度50%の雰囲気下に放置して2日間養生して硬化させて硬化物を得た。
しかる後、硬化物をJIS K6251に準拠した3号ダンベルの形状に打ち抜き、インストロン万能引張試験機を用いて500mm/分の速度で引張り、破断時の引張応力を測定した。
(繰り返し疲労性)
JIS A1439(5.6拡大・縮小繰返し後の接着性試験)に基づき、試験片を作製し、この試験片を23℃、相対湿度50%にて1日養生した後、23℃雰囲気下で、試験片を拡大・縮小率±7.5%(1回の拡大・縮小を1サイクル)とし、100サイクル実施後の試験片の状態を目視観察し評価した。
◎:試験片に亀裂の発生はなく、試験片の体積は、疲労前状態から変化なかった。
〇:試験片に僅かな亀裂がみられるものの、試験片の体積は、疲労前状態から変化なか
った。
×:試験片に亀裂が明確に発生し又は試験片の体積に疲労前状態から変化があった。
Figure 2022025203000001

Claims (5)

  1. 数平均分子量が8000~20000であり且つ加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、
    数平均分子量が3500~6000であり且つジアルコキシシリル基を1分子中に数平均で2.0個以上有するポリアルキレンオキサイド(B)と、
    中空充填材と、
    加水分解性シリル基を1分子中に数平均で0.1~0.5個有する反応性可塑剤と、
    シラノール縮合触媒とを含み、
    上記ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量と、上記ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量の質量比[ポリアルキレンオキサイド(A)の含有量/ポリアルキレンオキサイド(B)の含有量]が0.4~2.5であることを特徴とする硬化性組成物。
  2. ポリアルキレンオキサイド(A)及びポリアルキレンオキサイド(B)の総量100質量部に対して、中空充填材5~30質量部及び反応性可塑剤2~20質量部を含有していることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 中空充填材は、平均粒径が1~150μmで且つ耐圧強度が2.0MPa以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. シラノール縮合触媒が有機錫化合物であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 比重が1.1~1.4、Ti指数が6.0以上、及び、硬化後におけるJIS K6251に準拠した伸び率が20~150%であることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の硬化性組成物。
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