JP2022001557A - 口腔粘膜炎又は口腔感染症の痛み抑制剤及びこれを含有する口腔用組成物 - Google Patents

口腔粘膜炎又は口腔感染症の痛み抑制剤及びこれを含有する口腔用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】口腔粘膜炎、口腔感染症に起因する痛みの抑制効果に優れる痛み抑制剤及びこれを含有する、口腔粘膜炎又は口腔感染症発症者用として好適な口腔用組成物を提供する。【解決手段】(A)ポリグルタミン酸又はその塩を含有する口腔粘膜炎又は口腔感染症発症者用の口腔用組成物、更に、(B)抗炎症成分を含有する上記口腔用組成物。(A)成分、又は(A)及び(B)成分を含有する口腔粘膜炎又は口腔感染症の痛み抑制剤。【選択図】なし

Description

本発明は、口腔粘膜炎又は口腔感染症の痛み抑制剤及びこれを含有する口腔粘膜炎又は口腔感染症発症者用の口腔用組成物に関する。
日本では、生涯において男性の2人に1人、女性の3人に1人が、がんに罹患する。がんの治療は、がんに侵された臓器や、がんの病期によって異なるが、主に手術療法、放射線療法及び化学療法の3つがある。がんの治療では、複数の治療方法を組み合わせることもあり、例えば手術療法を中心に、手術の前後に化学療法又は放射線療法を併用することもある。がんに罹患すると、がんの進行に伴い、嘔気、食欲低下、貧血、骨髄抑制などが引き起こされ、これに伴って、口腔内の感染症(歯性感染症、口腔カンジダ症、口腔ヘルペス症など)や口腔粘膜炎が発生する。また、がんの治療の副作用として、手術療法、放射線療法及び化学療法のいずれでも、合併症として、口腔内に有害事象(口腔粘膜炎、口腔感染症)が発生することが知られている。そのため、日本のみならず世界各国において、がん患者の口腔粘膜炎を含む口腔合併症の治療剤や予防剤の開発に取り組んでいる。
ところで、口腔感染症や口腔粘膜炎は、がん以外にも糖尿病、高血圧、精神疾患、心疾患等の様々な疾患、その治療や治療の副作用で合併症として、更には外科手術が原因で発症することもあり、多くは痛みを伴う。
口腔合併症のうちでも、特に口腔粘膜炎は、痛みを伴うため、悪化すると食事がしづらいなどの不具合を引き起こし、治療を継続することが困難になる場合もあり、それだけでなく、物理的にも刺激を与える歯磨き等の口腔ケアがおろそかになる問題があった。
しかしながら、口腔粘膜炎に有効なケア剤の開発は十分に進んでおらず、オイルを配合したケア製品などが販売されているがその効果は一時的なものが多く、また、使用性や保形性が悪く、香料成分などの刺激により症状が緩和しにくいという課題もあり、特に粘膜の炎症に起因する痛みを緩和して軽減することは、従来の技術では困難であった。
特開2009−96748号公報 特許第5233399号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、口腔粘膜炎、口腔感染症等に起因する痛みの抑制効果に優れる口腔粘膜炎又は口腔感染症の痛み抑制剤及びこれを含有する、口腔粘膜炎又は口腔感染症発症者用として有効な口腔用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題、目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(A)ポリグルタミン酸又はその塩が、例えばがん等の様々な疾患やその治療が原因でも発症する口腔粘膜炎や口腔感染症等に由来する痛みを抑制する作用を奏し、歯磨き等の口腔ケア処置による処置直後の痛みをも抑制し、痛み抑制剤として有効であることを見出した。更に、(A)ポリグルタミン酸又はその塩に(B)抗炎症成分を併用すると、上記痛みの抑制作用が高まり、痛みの抑制効果を経時でも持続させることができることを見出した。そして、(A)成分、又は(A)及び(B)成分を口腔用組成物に配合することによって、上記優れた痛みの抑制効果が発揮され、口腔粘膜炎又は口腔感染症発症者用として有効な口腔用組成物が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
本発明にかかわる痛みの抑制効果は、(A)成分以外の水溶性高分子物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム等の使用ではなし得ず、(A)成分に特異な作用効果である。
更に、本発明では、口腔用香料成分として一般的なメントール等のメンチル基を有する清涼剤及び/又はカルボンが低配合量又は無配合であり、かつ特定香料が配合された液体状又はジェル状の口腔用組成物であると、(A)成分による痛みの抑制効果がとりわけ顕著であり、これにより、サッパリとした使用感を確保して、痛みをより一層抑制することもできた。
口腔用組成物において、香料は口腔粘膜炎の痛みを増悪する場合が多く、無香料とする処方もあるが、この場合はサッパリ感に欠ける傾向がある。しかし、本発明では、香料として、通常、清涼感付与のために主成分として配合されるメントール及び/又はカルボンの配合量を極力少なく、あるいはこれらを無配合とし、更に、特定の香料成分を配合することで、意外にも、痛みを増悪させることなくサッパリ感を付与することができ、サッパリとした使用感のもとで、痛みを効果的に抑制して低減することができ、口腔粘膜炎又は口腔感染症の有症者の効果的な口腔ケアが可能となる。
ポリグルタミン酸又はその塩は、唾液腺から分泌される唾液の分泌促進効果を有し、これを応用したポリグルタミン酸又はその塩配合の液体口腔用組成物(特許文献1;特開2009−96748号公報)や口腔スプレー用の液体又は液状組成物(特許文献2;特許第5233399号公報)が提案されている。しかし、本発明は、(A)ポリグルタミン酸又はその塩による、口腔粘膜の炎症等に起因する痛みの抑制であり、とりわけメントールを含まない又は低含有量である液体状又はジェル状の口腔用組成物で、サッパリとした使用感を確保して、より一層優れた痛みの抑制効果を与えることができる。
従って、本発明は、下記の口腔用組成物及び口腔粘膜炎又は口腔感染症の痛み抑制剤を提供する。
〔1〕
(A)ポリグルタミン酸又はその塩を含有することを特徴とする口腔粘膜炎又は口腔感染症発症者用の口腔用組成物。
〔2〕
(A)成分を0.05〜5質量%含有する〔1〕記載の口腔用組成物。
〔3〕
更に、(B)抗炎症成分を0.005〜1質量%含有する〔1〕又は〔2〕記載の口腔用組成物。
〔4〕
(B)抗炎症成分が、アラントイン及びその誘導体、β−グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びその塩、ε−アミノカプロン酸及びその塩、トラネキサム酸及びその塩、ジヒドロコレステロール、ベルベリン並びにアズレンスルホン酸塩から選ばれる1種以上である〔3〕記載の口腔用組成物。
〔5〕
メントール及び/又はカルボンを0.1質量%以下で含有するか、又はメントール及びカルボンを含有しない〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔6〕
更に、(C)シネオール、リモネン、ゲラニルニトリル及びジヒドロミルセノールから選ばれる1種以上の香料成分を含有し、かつ、((C)成分の含有量)/(メントール及び/又はカルボンの含有量)が質量比として100/0〜100/50である〔5〕記載の口腔用組成物。
〔7〕
研磨剤を含有しない〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔8〕
更に、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸及びその塩、ポリアクリル酸及びその塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース並びにヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質を含有する〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔9〕
更に、両性界面活性剤を含有し、アニオン性界面活性剤を含有しない〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔10〕
ジェル状又は液状歯磨剤である〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔11〕
(A)ポリグルタミン酸又はその塩を含有する口腔粘膜炎又は口腔感染症の痛み抑制剤。
〔12〕
(A)ポリグルタミン酸又はその塩と、(B)抗炎症成分とを含有する口腔粘膜炎又は口腔感染症の痛み抑制剤。
本発明によれば、口腔粘膜炎又は口腔感染症の痛みの抑制効果に優れる痛み抑制剤及びこれを含有する口腔粘膜炎又は口腔感染症発症者用の口腔用組成物を提供できる。本発明の口腔用組成物は、口腔粘膜炎や各種口腔感染症由来の粘膜の炎症等に起因する痛みの抑制効果に優れ、また、上記特定の香料を用いた場合は、サッパリとした使用感を与え、更に製剤安定性を有する。
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の口腔用組成物は、(A)ポリグルタミン酸又はその塩を含有し、好ましくは(B)抗炎症成分を更に含有する。
本発明では、(A)成分、又は(A)及び(B)成分が、口腔内の痛み抑制の有効成分であり、これらが痛み抑制剤として、例えばがん等の様々な疾患やその治療が原因でも発症する口腔粘膜炎、口腔感染症に起因する痛みを抑制して低減し、緩和する作用を発揮する。
(A)ポリグルタミン酸又はその塩は、口腔内の痛みの抑制作用を奏する。
(A)ポリグルタミン酸又はその塩は、例えば、α−ポリグルタミン酸、γ−ポリグルタミン酸や、これらのアルカリ金属塩等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ポリグルタミン酸塩としては、化学的に合成される原料と各種菌株から発酵生産物として得られる天然の原料が使用できるが、口腔用として使用することから天然のポリグルタミン酸のナトリウム塩又はカリウム塩が好ましく、特に原料としての生産性の高いγ−ポリグルタミン酸ナトリウムが、より好ましい。
具体的には、(株)明治フードマテリア製の「明治ポリグルタミン酸」(γ−ポリグルタミン酸ナトリウム、天然品)等の市販品を使用することもできる。
(A)ポリグルタミン酸又はその塩の配合量は、組成物全体の0.05〜5%(質量%、以下同様)が好ましく、より好ましくは0.1〜5%、更に好ましくは0.1〜2%である。0.05%以上であると、十分に痛みの抑制効果が発現し、口腔粘膜に使用直後の痛みの抑制効果が優れる。配合量が増えるほど痛みの抑制効果は高まるが、5%以下であると、口腔用組成物の粘度が高くなりすぎず適度で、口腔内での拡散性が良く、ベタツキ感も抑えられ、良い使用感を十分に確保できる。
本発明では、(A)成分と共に(B)抗炎症成分を併用すると、痛みの抑制効果が高まり、使用直後から経時でも痛みを抑制する、持続的な痛みの抑制効果を与えることができる。
(B)抗炎症成分は、(A)成分による痛みの抑制効果の持続性向上作用を奏する。
(B)抗炎症成分は、アラントイン又はその誘導体、β−グリチルレチン酸、グリチルリチン酸又はその塩、ε−アミノカプロン酸又はその塩、トラネキサム酸又はその塩、ジヒドロコレステロール、ベルベリン、アズレンスルホン酸塩等が挙げられる。上記塩は、好ましくはナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩である。具体的には、アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、β−グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、ジヒドロコレステロール、ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)抗炎症成分としては、痛みの抑制効果の持続性の点から、中でもアラントイン又はその誘導体、グリチルリチン酸又はその塩、ε−アミノカプロン酸又はその塩、トラネキサム酸又はその塩が好ましく、特に、痛みの抑制効果の持続性及び製剤安定性の点から、グリチルリチン酸ジカリウム、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸が好ましい。
(B)抗炎症成分の配合量は、組成物全体の0.005〜1%が好ましく、より好ましくは0.008〜1%、更に好ましくは0.01〜0.5%である。0.005%以上であると、抗炎症効果と共に、痛みの抑制効果を十分に持続させることができる。配合量の上限値は特に制限されないが、多く配合しすぎるとオリやツブが析出して製剤安定性が低下する傾向がある。配合量が1%以下であると、製剤安定性を十分に確保できる。
(A)成分の配合量と(B)成分の配合量との量比を示す(A)/(B)は、質量比として0.05〜1,000とすることができるが、好ましくは1〜200、より好ましくは2〜125である。上記範囲内であると、痛みの抑制効果及びその持続性がより優れる。
本発明の口腔用組成物は、痛みの軽減の点で、口腔粘膜炎等の痛みを憎悪することがある香料を不含有とすることもできるが、むしろ、痛みの抑制効果と口中のサッパリ感付与のため、下記特定の香料を配合することが好ましい。
香料としては、口腔用香料として一般的に用いられる香料成分を使用し得るが、特に痛みの抑制効果及びサッパリ感付与の点から、本発明では(C)シネオール、リモネン、ゲラニルニトリル及びジヒドロミルセノールから選ばれる1種又は2種以上の特定の香料成分を配合することが好ましく、またその一方で、口腔用香料として汎用の香料成分であり、一般的に香料に含まれるメントール等のメンチル基を有する清涼剤やカルボンの使用を制限したほうが好ましい。
香料の配合量は、特に限定されないが、メンチル基を有する清涼剤(特にメントール)及び/又はカルボンを配合する場合、これらの配合量は、組成物全体の0.1%以下、特に0.01%以下、更に0.005%以下が好ましく、メンチル基を有する清涼剤及びカルボン、特にメントール及びカルボンは配合しないことがより好ましく、特にメンチル基を有する清涼剤、とりわけメントールは無配合のほうがよい。
(C)特定香料成分は、メンチル基を有する清涼剤及び/又はカルボンの配合量に対して特定量比以上で配合すると、(A)成分、又は(A)及び(B)成分による痛みの抑制効果が発揮され、かつ香料による痛みの憎悪も防止され、顕著に痛みを抑制してサッパリ感を与えることができる。具体的には、(C)成分の組成物全体に対する配合量と、メンチル基を有する清涼剤(特にメントール)及び/又はカルボンの組成物全体に対する配合量との量比を示す((C)成分の配合量)/(メンチル基を有する清涼剤及び/又はカルボンの配合量)が、質量比として100/0〜100/50が好ましく、より好ましくは100/0〜100/30、特に好ましくは100/0〜100/10である。
(C)特定香料成分の配合量は、組成物全体の0.0001〜1%が好ましく、より好ましくは0.001〜0.5%、特に好ましくは0.001〜0.1%である。
本発明の口腔用組成物は、更に、(A)成分以外の水溶性高分子物質を任意に配合することができる。特に、口腔用組成物の形態がジェル状や液体状である場合は、(A)成分に加えて、それ以外の任意の水溶性高分子物質を配合すると、粘結剤や増粘剤として作用し、保形性や使用性がより向上する。
任意の水溶性高分子物質としては、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸又はその塩、ポリアクリル酸又はその塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられ、塩はナトリウム塩等のアルカリ金属塩である。中でも、カラギーナン、ポリアクリル酸又はその塩が好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら任意の水溶性高分子物質の配合量は、好ましくは組成物全体の0.01〜10%、特に0.01〜5%である。
本発明の口腔用組成物は、ペースト状、ジェル状又は液体状の歯磨剤組成物(練歯磨剤、ジェル状歯磨剤、液体歯磨剤等)、洗口剤、マウススプレー、塗布剤、貼付剤、清拭剤等に調製することができ、これらの調製方法は常法を採用できる。中でも、粘膜への刺激が少ないだけでなく、痛みの抑制効果の発現性の点から、ジェル状又は液体状、特にジェル状の形態が好ましく、例えばジェル状歯磨剤、液状歯磨剤、洗口剤、マウススプレー、中でもジェル状又は液状歯磨剤、とりわけジェル状歯磨剤として好適である。
この場合、組成物の目的、剤型等に応じて上述した成分以外にも適宜なその他の任意成分を配合することができる。例えば、ジェル状歯磨剤では、湿潤剤、粘結剤、界面活性剤、着色剤、甘味剤、防腐剤、pH調整剤、有効成分等を配合でき、これら成分と水とを混合して調製できる。なお、痛みを憎悪させるおそれがある研磨剤は、配合しないほうが好ましい。以下に示す配合量は、組成物全体に対する量である。
湿潤剤は、ソルビット、キシリット等の糖アルコール、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。湿潤剤の配合量は、通常、5〜60%、特に20〜45%である。
粘結剤は、上記水溶性高分子物質の他に無機粘結剤を配合することもでき、無機粘結剤としては、増粘性シリカ、増粘性アルミニウムシリカ、ベントナイト等の粘土鉱物等が挙げられる。無機粘結剤の配合量は、0.01〜10%がよい。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。特に、痛みの憎悪防止の点で、両性界面活性剤を配合することが好ましく、また、アニオン性界面活性剤は配合しないほうが好ましい。
アニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、アシルサルコシン酸塩、アシルタウリン塩、アシルアミノ酸塩が挙げられる。アニオン性界面活性剤を配合する場合、その配合量は0.5%以下、特に0.2%以下が好ましく、より好ましくは無配合(0%)である。
ノニオン性界面活性剤は、ショ糖脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、糖アルコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、脂肪酸アルカノールアミドが挙げられる。
カチオン性界面活性剤は、アルキルアンモニウム型、アルキルベンジルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩系が挙げられる。カチオン性界面活性剤を配合する場合、その配合量は0.1%以下、特に0.02%以下が好ましく、より好ましくは無配合(0%)である。
両性界面活性剤は、アルキルベタインや、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等のイミダゾリウムベタインが挙げられ、特に2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインが好ましい。
界面活性剤の配合量は、通常、0.001〜10%、特に0.01〜8%であり、上記配合量の範囲内で両性界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤、特に両性界面活性剤を配合することが好ましい。
着色剤は、青色1号、黄色4号、二酸化チタン等が挙げられる。
甘味剤は、サッカリンナトリウム等が挙げられる。
防腐剤は、メチルパラベン(パラオキシ安息香酸メチル)等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸又はその塩等が挙げられる。
pH調整剤は、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
有効成分(薬効成分)は、通常配合される公知のもの、例えばフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ素含有化合物、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤、塩化セチルピリジニウム等のカチオン性殺菌剤、トラネキサム酸、アラントイン等の抗炎症剤、デキストラナーゼ等の酵素、水溶性リン酸化合物、塩化ナトリウム、硝酸カリウム、乳酸アルミニウム等の無機塩類、アスコルビン酸、酢酸トコフェロール等のビタミン類、植物抽出物、歯石防止剤、歯垢防止剤が挙げられる。有効成分は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合できる。
本発明の口腔用組成物は、形態に応じた粘度に調整できる。例えば、ジェル状歯磨剤に調製される場合は、粘度(25℃)が5Pa・s以上100Pa・s以下が好ましい。5Pa・s以上であると、十分に保形性が保たれる。100Pa・sを超えると、通常のペースト状歯磨剤と同様の物性となり、歯磨きの際に起こる摩擦によって粘膜への刺激が大きくなり、痛みの抑制効果に影響する場合があるが、100Pa・s以下であると、歯磨き時の摩擦による粘膜刺激を防止し、十分に痛みの抑制効果を与えることができる。
上記粘度は、B型粘度計(粘度に応じてNo.1〜No.5のロータを適宜使用)を用いて、回転数毎分10〜100回転によって測定した値である(以下同様)。
本発明の口腔用組成物は、口腔粘膜炎又は口腔感染症発症者用として有効であり、例えば、がん、糖尿病、高血圧、精神疾患、心疾患等の様々な疾患、これらの治療及び治療に伴う副作用が原因で発症する口内炎、歯性感染症、口腔カンジダ症、口腔ヘルペス症、歯肉肥厚等を原因とする口腔粘膜炎、外科手術に伴う口腔粘膜炎や、口腔感染症等の口腔粘膜炎、口腔感染症を発症している患者に応用し、これら発症患者の痛み抑制に使用することができる。
また、本発明は、(A)ポリグルタミン酸又はその塩、又は(A)ポリグルタミン酸又はその塩と(B)抗炎症成分とを有効成分として含有する、口腔粘膜炎又は口腔感染症の痛み抑制剤を提供する。この場合、(A)、(B)成分、これらの配合量や量比、他の配合成分等は、上記口腔用組成物について記載したことと同じである。本発明の口腔粘膜炎又は口腔感染症の痛み抑制剤は、有効成分として上記成分を配合することで得ることができ、上記有効成分のみからなる痛み抑制剤として使用できるが、必要に応じて、その他の口腔用として公知の任意成分を更に含んでいてもよく、この場合、任意成分は本発明の効果を妨げない範囲で配合し得る。
以下、実施例及び比較例、処方例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
[実施例、比較例]
表1〜3に示す組成の口腔用組成物(ジェル状歯磨剤)を常法により調製し、ラミネートチューブ容器に充填した。得られたジェル状歯磨剤について、下記方法及び基準により口内炎の痛みの抑制効果を評価した。結果を表1〜3に併記した。
各ジェル状歯磨剤の粘度(25℃、B型粘度計(粘度に応じてNo.1〜No.5のロータを適宜使用)を用いて、回転数毎分10〜100回転で測定)は、5〜100Pa・sであった。
<口内炎の痛みの抑制効果の評価方法>
ジェル状歯磨剤0.5gを歯ブラシ上に押し出し、3分間ブラッシングを行い、口内炎患部における使用直後の痛みについて、下記の評点基準で判定した。また更に、表2、3の口腔用組成物は、使用して3時間経過後の痛み(使用3時間後の痛み)についても下記の評点基準で判定した。
被験者は、口内炎を発症している10名であり、被験者10名の評点の平均値を求め、下記の評価基準にて評価した。
使用直後の痛みの評点基準
4点:痛みがなかった
3点:痛みがほとんどなかった
2点:痛みがややあった
1点:痛みがあった
使用直後の痛みの評価基準
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
使用3時間後の痛みの評点基準
4点:痛みがなかった
3点:痛みがほとんどなかった
2点:痛みがややあった
1点:痛みがあった
使用3時間後の痛みの評価基準
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
なお、表中のγ−ポリグルタミン酸ナトリウムとしては、(株)明治フードマテリア製の天然品(商品名;明治ポリグルタミン酸)を使用した。使用した香料Aの組成は、後述の表4〜6に示す通りである。
Figure 2022001557
Figure 2022001557
Figure 2022001557
表1〜3に示す実施例のジェル状歯磨剤は、口内炎の痛みの抑制効果に優れ、また、サッパリとした使用感及び製剤安定性を有していた。
Figure 2022001557

注;香料A中にメントール及びカルボンは含まれない。
Figure 2022001557

*部は質量部である(以下同様)。
Figure 2022001557
次に、処方例を示す。各口腔用組成物(洗口剤、マウススプレー、液状歯磨)を上記実施例と同様の原料を使用して常法で調製し、上記と同様の方法で評価したところ、使用直後の痛み及び使用3時間後の痛みの評価結果が共に良好であり、口内炎の痛みの抑制効果に優れていた。また、サッパリとした使用感及び製剤安定性を有していた。
[処方例1]洗口剤
(A)γ−ポリグルタミン酸ナトリウム 0.5
(B)グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
2−アルキル−N−カルボキシメチル
−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 0.1
グリセリン 5
プロピレングリコール 5
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.25
香料A 0.2
精製水 残
合計 100%
(A)/(B)の質量比:10
[処方例2]洗口剤
(A)γ−ポリグルタミン酸ナトリウム 0.5
(B)グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
グリセリン 5
プロピレングリコール 5
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.25
香料A 0.2
精製水 残
合計 100%
(A)/(B)の質量比:10
[処方例3]洗口剤
(A)γ−ポリグルタミン酸ナトリウム 0.5
(B)グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
グリセリン 5
プロピレングリコール 5
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.25
香料A 0.2
精製水 残
合計 100%
(A)/(B)の質量比:10
[処方例4]マウススプレー
(A)γ−ポリグルタミン酸ナトリウム 0.5
(B)ε−アミノカプロン酸 0.05
グリセリン 30
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3
キシリトール 5
クエン酸 0.32
クエン酸ナトリウム 3.68
香料A 0.1
精製水 残
合計 100%
(A)/(B)の質量比:10
[処方例5]液状歯磨
(A)γ−ポリグルタミン酸ナトリウム 1.0
(B)グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
フッ化ナトリウム 0.32
グリセリン 10
プロピレングリコール 3
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 2
ヒドロキシエチルセルロース 0.05
キシリット 5
ラウロイルサルコシンナトリウム 0.1
2−アルキル−N−カルボキシメチル
−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.2
香料A 0.2
精製水 残
合計 100%
(A)/(B)の質量比:20

Claims (12)

  1. (A)ポリグルタミン酸又はその塩を含有することを特徴とする口腔粘膜炎又は口腔感染症発症者用の口腔用組成物。
  2. (A)成分を0.05〜5質量%含有する請求項1記載の口腔用組成物。
  3. 更に、(B)抗炎症成分を0.005〜1質量%含有する請求項1又は2記載の口腔用組成物。
  4. (B)抗炎症成分が、アラントイン及びその誘導体、β−グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びその塩、ε−アミノカプロン酸及びその塩、トラネキサム酸及びその塩、ジヒドロコレステロール、ベルベリン並びにアズレンスルホン酸塩から選ばれる1種以上である請求項3記載の口腔用組成物。
  5. メントール及び/又はカルボンを0.1質量%以下で含有するか、又はメントール及びカルボンを含有しない請求項1〜4のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  6. 更に、(C)シネオール、リモネン、ゲラニルニトリル及びジヒドロミルセノールから選ばれる1種以上の香料成分を含有し、かつ、((C)成分の含有量)/(メントール及び/又はカルボンの含有量)が質量比として100/0〜100/50である請求項5記載の口腔用組成物。
  7. 研磨剤を含有しない請求項1〜6のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  8. 更に、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸及びその塩、ポリアクリル酸及びその塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース並びにヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質を含有する請求項1〜7のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  9. 更に、両性界面活性剤を含有し、アニオン性界面活性剤を含有しない請求項1〜8のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  10. ジェル状又は液状歯磨剤である請求項1〜9のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  11. (A)ポリグルタミン酸又はその塩を含有する口腔粘膜炎又は口腔感染症の痛み抑制剤。
  12. (A)ポリグルタミン酸又はその塩と、(B)抗炎症成分とを含有する口腔粘膜炎又は口腔感染症の痛み抑制剤。
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