JP2021525709A - 自閉症スペクトラム障害の治療のためのカンナビスベースの組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、自閉症スペクトラム障害(ASD)またはASDの部分的症状を有する患者の治療に適用可能な治療用製品および方法であって、前記製品および方法は、特定のレジメンおよび投与の手段で、最小含有率のTHCを含みCBDに富む特定のカンナビスベースの組成物を使用する、製品および方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、概して、自閉症スペクトラム障害(ASD)またはASDの部分的症状の治療に適用することができる治療用製品および方法に関する。
カンナビスの薬理効果は、専門文献に充分に解説されている。カンナビノイド、カンナビスの有効成分は、カンナビス植物の樹脂産生雌花花序において極めて高濃度で存在する。C.サティバ(C.Sativa)、C.インディカ(C.Indica)およびC.ルデラリス(C.Ruderalis)など様々な種類のカンナビスは、異なる濃度および比率で100超の異なる種類のカンナビノイドを含み得る。2つの主たる種類、テトラヒドロカンナビノール(THC)およびカンナビジオール(CBD)は、哺乳類およびヒト細胞ならびに生物体におけるその鎮痛、制吐、抗酸化、神経保護および抗炎症作用に起因するいくつかの臨床的に有益な治療効果に関している。
哺乳類内在性カンナビノイド系は、脳内、更に末梢組織において支配的に作用するシグナル伝達系である。いくつかのカンナビノイド受容体はこれまでに同定されており、最も知られているのはカンナビノイド受容体1型および2型(CBおよびCB)である。内在性カンナビノイド系は、とりわけ、運動調節、痛み、食欲、記憶、免疫および炎症の系を含む正常な哺乳類生理のホメオスタシス維持に関係する。これは、外因性カンナビノイドおよびカンナビスベースの医薬およびこれらの広範な臨床応用の高い治療可能性を説明することができる。それにもかかわらず、とりわけ、法律問題のせいで、外因性カンナビノイドの合理化された使用はなお重要な課題を強いている。
カンナビノイドのいくつかの経口用製剤は、特定の臨床的適応のための処方箋によって今日市販されている。ゴマ油中のドロナビノール、合成Δ−THCアイソフォーム、を含むマリノールカプセルは、化学療法を行ったがん患者およびAIDS患者における制吐薬として多くの国で承認されている。合成THC類似体であるナビロンを含むセサメットカプセルは、マリノール代替として承認されている。より最近の製剤である、純THCを含むナミソール錠剤および純CBDを含むアルビソル錠剤は、アルツハイマー病および慢性神経痛用に承認されており、THCおよびCBDを含む口腔噴霧剤であるサティベックス(ナビキシモルス)は複数の硬化症用に承認されている。
本発明は、幼児期中に発症して生涯を通じて持続することが多い社会的コミュニケーション障害および常同行動反復の範囲を特徴とする自閉症スペクトラム障害(ASD)と総じて呼ばれる神経発達障害の群に関する。コアの精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)判断基準によれば、ASDの症状は、5つの主カテゴリー:(I)知覚行動、(II)社会的関連、(III)体および物品の使用、(IV)言語およびコミュニケーション能力、ならびに(V)社会的および適応能力に分類することができる。
ASDに罹患している小児は、DSM定義の判断基準を超えた多種多様な付加的臨床症状を示す。例えば、試験は、より高い睡眠障害の有病率を示した。多くの患者は、治療介入を困難にし、家族および介護者にかなりの負担を負わせる破壊的行動を示す。
現在、ASDの治療法は分かっていない。現在ある治療は、代替の治療と組み合わせた広範な行動的介入に基づいている。加えて、特定の併存疾患は、非定型抗精神病薬の投与および気分安定薬で治療される。しかしながら、これらは、忍容性が低く、有効性が疑わしい。
カンナビスは、ASDの特定の症状を治療または少なくとも軽減するための1つの有望な候補である。THCが濃縮されたカンナビス系統は、社会的行動、更に不安症および痛みに対して好ましい効果を発揮することが知られている。この数十年に、内在性カンナビノイド系の役割および多くのCNS病状におけるそのシグナル伝達に関して知識が蓄積され、それにより、精神障害の治療のための内在性カンナビノイド志向性の薬剤の治療的利用への道を開くことができる。
詳細には、ASDにおいて、動物モデル試験は、内在性カンナビノイド系は、薬理学的介入のための適切な目標であり得ることを示唆した。事例報告は、抵抗性行動的問題において様々なカンナビノイド化合物の効果を示唆した。一例は、ファストトラックFDA承認CBD製品−小児期てんかんの希な難治性であるドラベ症候群の治療に適応されるエピディオレックスである。
ASDの病態生理学的機序の高まる理解に加えて、いくつかの評価ツールは、次の親または医師の質問票:異常行動チェックリスト−コミュニティ版(ABC−C)質問票、ASDに罹患していると疑われる小児用のスクリーニングツールとして使用される臨床的総合印象尺度−改善度(CGI−I)、知覚過敏の評価のための知覚プロファイルII(SP−2)質問票、睡眠障害の評価のための子供の睡眠習慣質問票(CSHQ)を使用して、この病態のために開発された。睡眠の仕組み(例えば、REM睡眠量)および参加小児の睡眠中の脳活動変化を、終夜EEG検査によって通常評価する。
しかしながら、全体的には、病因学および治療に関して、ASDは、患者および医師にとって治りにくい病気のままである。ASDに対する効果的治療がないことは、この分類の障害のための新規な治療の探求を強く迫る。
本発明は、部分的ASDを含むASDに対する標的化された治療解決法、ならびにこの疾病の症状および帰結の負荷の全体的軽減を提供する上記ニーズに取り組む。概してCBDに富むことを特徴とする特定の種類のカンナビスベースの組成物は、ASDの治療または軽減に効果的であり、自傷、怒り発作(rage attacks)、不眠症、不安症および気分変化、社会的および対人(reciprocity)能力、多動性ならびに患者および親の一般的な生活の質の全体的改善などの特定のASD症状(または部分的症状)に関して更により効果的であり得ることは、ここに実証されている(実施例2および3参照)。
より詳細には、本発明のCBDに富む組成物の効果は、ASD患者において後向きおよび前向き研究の証明された臨床的妥当性を有して特定のカンナビス系統の油抽出物の形態でここに実証されている。この群の例証となるメンバーは、概して米国特許出願公開第2014/259228号(米国継続出願第2017/290286号)に記載されており、本明細書において「アビデケル(Avidekel)」と呼ばれる系統により表される。
より詳細には、本明細書におけるアビデケルは、それぞれ約4:1のCBD:THC比以上の特に高含有率のCBDおよび低THCを特徴とするアビデケル原種または品種の系統を引いている変異体の群を包含する。
ここに使用されているアビデケル系統は、少なくとも約20:1のCBD:THC比を含む。
CBD/THC含有率に関して、典型的アビデケル系統は、15〜20%以上(重量/重量)ほど高いCBD、および1〜4%または1%未満(重量/重量)のTHCを含み得る。
アビデケル系統は、少なくとも15%以下、16%、17%、18%、19%、20%以上のCBD、および4%以下、3%、2%、1%、0.5%以下のTHC(重量/重量)を含むカンナビス系統として更に定義することができる。
本発明によれば、アビデケルの植物由来物質(花)の抽出物を油状物で提供することができ、CBD/THC含有率を注意深くモニターし(本明細書ではMCG製剤とも呼ぶ)、CBDは少なくとも約30%程度まで更により濃縮されており、THCは約1.5%(重量/重量)である(実施例1参照)。
より正確には、かかるアビデケル油製剤は、少なくとも20%以下、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29、30%以上のCBD、および2%以下、1.9%、1.8%、1.7%、1.6%.1、5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1%以下のTHC(重量/重量)を含むと定義することができる。
CBD/THC量に関して、本発明のアビデケル油の一滴は、特徴的に、約12mgのCBDおよび0.6mgのTHCを含み、アビデケル油の10滴は、本試験で使用される最大投与量−約240mgのCBDおよび12mgのTHCである(表1参照)。
カンナビス由来物質は、ずっと少ない濃度および割合だが、その臨床効果に寄与している可能性がある更なる種類のカンナビノイドを含み得ると理解されるべきである。
本発明のMCG製剤の安全性および有効性を、2つの後向き自己申告性試験53および190ASD患者(実施例2)において、および更に二重盲検プラセボ対照無作為臨床治験(実施例3)において評価した。これらの場合、MCGを併用療法として、すなわち、他の併用薬(本明細書では治療薬)と一緒に投与した。
薬剤安全性および有効性は、臨床的総合印象尺度−改善度(CGI−I)質問票、知覚プロファイルII(SP−2)質問票、子供の睡眠習慣質問票(CSHQ)、異常行動チェックリスト−コミュニティ版(ABC−C)質問票、有害事象ログ、ならびに更にEEG試験およびTHCに対する暴露に関する尿検査を含む、高品質評価基準を使用してここで評価された。治療群およびコントロール群を比較して、いくつかの高信頼性統計方法を使用して適中率を確立した。試験の詳細な説明は、更に下記に示す(実施例3)。
ASDおよびASDの特定の部分的症状に対する本発明のMCG製剤の適用性は別として、ここに記載されている臨床治験(実施例3)は、有益な臨床転帰の最大化ならびに副作用および薬物間相互作用の回避のための前記組成物の治療有効投与量およびレジメンを確立するためのツールを更に提供する。換言すれば、この試験は、ASDのより効果的かつ安全な治療を達成するために無作為に本発明の組成物を適用するための例示的フレームワークを提供する。
治療方法に関して、本発明の組成物を経口または局所経路により投与することができ、かかる方法は、小児患者に対して特に好都合である。本発明の組成物の舌下投与はここで実証された。これらの組成物の別の有利な形態は、経口用剤形と別にまたは一緒に投与される、経皮パッチの形態である。
ここで例示されているように、本発明の組成物および方法を、他の薬物との併用療法として適用することができる。ASDでは、主な薬剤は、注意欠陥多動障害(ADHD)、睡眠障害またはうつ病などの他の外見的に関連する病態のための元の適応症とは適用外で使用される。注目すべき例としては:フルオキセチンおよびセルトラリンを含む選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI);自閉症関連過敏性を治療するためのリスペリドン、コザピン(Cozapine)およびアリピプラゾールなどの統合失調症治療薬;認知改善のためのハロペリドールなどのD2受容体拮抗薬;社会的行動改善のためのオキシトシン;ならびにより近年ではセクレチン、メチルフェニデート;ならびに他の薬剤が挙げられる。
併用療法として適用する場合、効果的かつ比較的安全であるため、本発明の組成物および方法は、併用薬の服用を減らし、それにより、これらの有害作用を緩和または低減させることができると考えられる。
最終的には、ここに提案されている組成物および方法を、ASD、または特定のASD症状の治療のための単剤療法としてうまく適用することができると考えられる。
本方法を説明する前に、方法および条件は変わり得るので、本発明は特定の方法、および記載されている実験条件に限定されないと理解されるものとする。更に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するだけの目的のためであり、限定する意図はなく、本発明の範囲は附属の特許請求の範囲によってのみ限定される。
テトラヒドロカンナビノール(THC)は、本明細書において、分子式C2130、約314.46Daの平均質量、および式Iの一般構造を有するCB1およびCB2受容体に対する高親和性を特徴とする精神活性カンナビノイドの分類を表す。
Figure 2021525709
カンナビジオール(CBD)は、本明細書において、式C2130、約314.46Daの平均質量、および式IIの一般構造を有し、CB1およびCB2受容体に対する低親和性を有する非精神活性カンナビノイドの分類を表す。
Figure 2021525709
用語THCおよびCBDは、本明細書において、(−)−trans−Δ9−テトラヒドロカンナビノール(Δ9−THC)、Δ8−THC、およびΔ9−CBD、ならびに更にこれらそれぞれの2−カルボン酸(2−COOH)から誘導されたTHCおよびCBD、THC−AおよびCBD−Aなど、これらの分子の異性体、誘導体または前駆体を更に表す。
最も広義では、用語THCおよびCBDは、合成もしくは半合成または天然カンナビノイド(すなわち、カンナビス植物から精製または抽出)を表し得る。カンナビスの精神活性(「高」)効果に寄与するTHCは、痛みを鎮めることが知られている。CBDは、精神活性作用を有さず、THCの麻薬による陶酔感を緩和し、炎症および吐き気を低減することが知られている。
カンナビスベースおよびカンナビス由来、これらの用語は、本明細書において互換的であり、当技術分野において知られている公知技術を使用してカンナビス植物から精製または抽出された組成物または成分を示す。これらの用語は、更に、粗製乾燥植物物質に更に関し得る。抽出物に関して、濃縮カンナビス由来物質を製造するいくつかの方法があり、例えば、濾過、氷水抽出法、ブタン抽出法またはCO抽出法、および溶媒蒸発により行われる油抽出物である。カンナビス系統アビデケル由来の特定の油抽出物は、ここに例示されている。
治療薬は、本明細書において、ASDの特定の症状に対して適用外で主に使用される様々な群から広範囲の薬剤、例えば:フルオキセチンおよびセルトラリンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI);自閉症関連過敏性を治療するためのリスペリドン、コザピンおよびアリピプラゾールなどの統合失調症治療薬;認知改善のためのハロペリドールなどのD2受容体拮抗薬;社会的機能のためのオキシトシン;ならびにより近年ではセクレチン、メチルフェニデートおよび他の薬剤を示す。
本明細書において互換的である用語、治療投与量または治療有効投与量は、実施例2〜3に示されている試験および質問を使用して、臨床的に許容される判断基準に従って、ASDの少なくとも1つの症状を改善することができる、いずれもの剤形における、ここに記載されている組成物の投与量に関する。かかる改善を、重症度評価スケールに従って更に評価することができる。したがって、これに関連した改善は、症状の種類および/または数、重症度、症状の頻度、症状の特定の群(部分的症状)、および/または医師または自己申告により評価され、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、50%、75%、100%以上と推定された対象または群における症状の全体的症状発現に関する。
治療有効量(薬理学的に、薬剤的にまたは生理学的に有効な量)は、本明細書において、所望のレベルの生理応答または上記改善を得るために必要な活性薬剤の量を示す。正確な量は、多くの因子、例えば、薬剤の種類、組成物の活性、意図される患者の使用(例えば、1日当たりの投与回数)、患者の事情、およびその他に依存する。薬剤の有効量を、1回の投与、または複数回の投与で投与することができる。正確な量は、経験的および/または個別化(ケースバイケース)された決定の結果であり得る。
約(Approximately)または約(about)、これらの用語は、本明細書において互換的であり、それぞれの測定値から±10%以下の偏差、またはその9%、8%、7%、6%、5%以下の偏差を示す。
したがって、その主な態様の1つでは、本発明は、自閉症スペクトラム障害(ASD)の治療またはASDの少なくとも1つの症状の軽減もしくは低減において使用するためのカンナビスベースの組成物であって、前記組成物は、それぞれ、少なくとも約20:1のCBD:THC比、またはより多いCBDを含む組成物を提供する。
特定の実施形態では、本発明のカンナビスベースの組成物を、自傷、怒り発作、睡眠障害、不安症、気分障害、社会的コミュニケーションおよび対人能力、多動性、知覚過敏から選択されるASDの少なくとも1つの部分的症状を治療、軽減または低減するために使用することができる。
本明細書で述べられたように、本発明の組成物は、それぞれ、重量/重量比で少なくとも約20:1のCBD:THC、またはより多くのCBDを含む。換言すれば、本発明の組成物は、CBDが高度に濃縮されており(重量/重量)、比が維持される限り、いずれもの量のCBDを含むことができる。
それぞれ、少なくとも約20:1(重量/重量)のCBD:THC比、またはより多くのCBDを含む組成物は、少なくとも20:1(重量/重量)の割合が維持されるという条件で、CBDの量が15〜40%以上(重量/重量)のCBDほど高く、または1〜4%もしくは1%未満(重量/重量)のTHCであり得るような組成物であり得る。
より詳細には、本発明の組成物は、開示されている比が維持されるという条件で、少なくとも15%以下、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%以上(重量/重量)のCBD、または4%以下、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%以下(重量/重量)のTHCを含むことができる。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、開示されている比が維持されるという条件で、少なくとも15%以下、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、36%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%以上(重量/重量)のCBD、および4%以下、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%以下(重量/重量)のTHCを含むことができる。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも約30%以下(重量/重量)のCBDを含むことができる。より詳細には、本発明の組成物は、少なくとも20%以下、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、36%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%以下(重量/重量)のCBDを含むことができる。
いくつかの実施形態では、THCの量は、2%以下、1.9%、1.8%、1.7%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%以下(重量/重量)である。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、約30%のCBDおよび約1.5%のTHC(重量/重量)を含む。かかる組成物は、ここに例示されている。
非常に多くの実施形態では、本発明の組成物を、経口、局所または経皮投与用に適した油抽出物の形態で提供する。
特定の実施形態では、本発明の組成物を、舌下投与のための経口用剤形で提供する。かかる組成物は、ここに例示されている。
経口用剤形に関して、特定の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも約24mgのCBDおよび1.2mgのTHCから少なくとも約240mgのCBDおよび12mgのTHC以下を含むことができる。
更に他の実施形態では、本発明の組成物を、経皮パッチの形態で提供するか、または第一、第二およびより最近の第三世代の送達系を含む当技術分野で公知の技術によって様々な経皮送達系に組み込むことができる。
本明細書において、用語「経皮パッチ」または「経皮送達系」(これらの用語は互換的である)は、カンナビスおよびカンナビノイドなどの親油性薬物にとって特に有利であると知られている第一、第二およびより最近の第三世代の送達系を含む様々な系を表す。本発明の組成物および剤形を、当技術分野で公知の技術を使用してこれらの系に組み入れることができる。
第一世代経皮送達系は、本来、不浸透性バッキングを有する側に密閉されたリザーバー中に薬剤を収容し、他の側には皮膚と接触する粘着剤を有する構造を表す。この用語は、液体またはゲル系リザーバー中に薬剤が溶解されている系、および固体ポリマーマトリックス中に薬剤が組み込まれている系、更に不浸透性、半浸透性膜を使用した系、ならびにエタノールなどの液体化学賦活剤を使用した系を包含する。
経皮系の別の種類は、第二世代送達系、すなわち、化学賦活剤、非キャビテーション超音波およびイオン泳動法を使用したものを使用することができる。
経皮送達系の最も近年の種類は、マイクロニードル、熱アブレージョン、マイクロダーマブレージョン、エレクトロポレーションおよびキャビテーション超音波を有する標的化効果を有する第三送達系である。
したがって、特定の実施形態では、上記組成物を、ここに例示されているように、本明細書においてアビデケルと呼ばれるカンナビス系統から誘導することができる。
非常に多くの実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1つの追加の治療薬を更に含むことができる。適切な治療薬は上記に述べた。
特定の実施形態では、併用療法としてのこの剤形で、本発明の組成物は、少なくとも1つの有害作用または前記併用薬もしくは治療薬の投与量を軽減または低減することができる。
ASDを罹患している対象における少なくとも1つの症状の治療方法、軽減方法または低減方法であって、前記方法は、それぞれ、少なくとも約20:1のCBD:THC比を含むカンナビスベースの組成物の治療有効量を、対象に投与することを含む、方法を提供することは、本発明の別の重要な態様である。
非常に多くの実施形態では、本発明の組成物を、自傷、怒り発作、睡眠障害、不安症、気分障害、社会的コミュニケーションおよび対人能力、多動性、知覚過敏から選択されるASDの少なくとも1つの部分的症状を示す対象に適用することができる。
かかる方法の有効性を、ここに例示されているCGI−I質問票、SP−2質問票、CSHQ質問票、ABC−C質問票、および他の方法などの評価判断基準を使用して評価することができる。
本明細書中に前述したように、本発明の方法は、それぞれ、少なくとも約20:1の重量/重量比、もしくはより多くのCBDを含むCBD:THCを含むカンナビスベースの組成物、または換言すれば、より高濃縮されたCBDを含む組成物を適用する。
本発明の組成物は、上記に詳細に記載されている。したがって、本発明の組成物を使用する方法は、それぞれ、少なくとも約20:1(重量/重量)のCBD:THC比、もしくはより多くのCBDを含む組成物、または少なくとも20:1(重量/重量)の割合が維持されるという条件で、CBDの量が15〜40%以上(重量/重量)のCBDほど高く、または1〜4%もしくは1%未満(重量/重量)のTHCであり得るような組成物を適用することができる。
本発明の方法は、本発明の組成物は、開示されている比が維持されるという条件で、少なくとも15%以下、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%以上(重量/重量)のCBD、または4%以下、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%以下(重量/重量)のTHCを含む組成物を適用することができる。
いくつかの実施形態では、方法は、開示されている比が維持されるという条件で、少なくとも15%以下、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、36%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%以上(重量/重量)のCBD、および4%以下、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%以下(重量/重量)のTHCを含む組成物を適用することができる。
特定の実施形態では、本発明の方法は、少なくとも約30%以下(重量/重量)のCBDを含む組成物を適用することができる。より詳細には、本発明の方法は、少なくとも20%以下、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、36%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%以下(重量/重量)のCBDを含む組成物を適用することができる。
いくつかの実施形態では、THCの量は、2%以下、1.9%、1.8%、1.7%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%以下(重量/重量)である。
特定の実施形態では、本発明の方法は、約30%(重量/重量)のCBDおよび約1.5%のTHC(重量/重量)を含む組成物を適用することができる。かかる方法の適用性は、ここに例示されている。
非常に多くの実施形態では、本発明の方法は、油抽出物の形態でカンナビスベースの組成物を適用する。
特定の実施形態では、全ての上記方法は、本明細書に例示されている本明細書でアビデケルと呼ばれているカンナビス系統由来のカンナビスベースの組成物を適用することができる。
非常に多くの実施形態では、本発明の方法は、経口、局所または経皮経路により投与されるカンナビスベースの組成物を適用する。
特定の実施形態では、本発明の方法は、カンナビスベースの組成物の舌下投与を使用する。
なお更なる実施形態では、本発明の方法は、少なくとも約20mgのCBDおよび1mgのTHCから少なくとも約240mgのCBDおよび12mgのTHC以下の範囲の治療有効投与量で舌下投与されるカンナビスベースの組成物を使用する。
より詳細には、2つの主要なカンナビノイド、CBDおよびTHCに関して、治療有効投与量は、投与当たり約20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300mgのCBDおよび1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15mgのTHCの範囲であり得る。
非常に多くの実施形態では、本発明の方法は、1日少なくとも1〜2回、または朝および/もしくは夕方により多くのレジメンで、カンナビスベースの組成物を適用し、朝もしくは夕方の投与量は同じでも異なっていてもよい。
本発明の経口用剤形は、例えば、本発明の経口用剤形の1〜2滴の毎日の投与し、少なくとも1週間以上のうちに3日毎に投与量を増やすことによって、用量設定を用いてCBD/THCの個別化された治療有効な毎日の量を確定するために特に適用可能である。(表1参照)
これとの関連で、本発明の経口用剤形は、有効性に関するだけではなく、カンナビスの可能性のある副作用の症状を回避するため安全性に関しても特に有用である。カンナビスの副作用はあまり多くなく、大部分は軽症である。カンナビスの消費は陶酔感により達成することができ、2つの種類の副作用、生理的および認知性副作用を引き起こし得る。
生理的作用としては、眩暈、不整脈(速いまたは遅い)、脱力感、低血圧および血糖値、食欲亢進、赤い目、疲労、協調運動障害、バランス欠如ならびに口および目などの粘膜の乾燥を挙げることができる。認知性副作用は、短期記憶障害;時間および空間の知覚における思考の脈絡欠如および歪みに関する。大量の定期的な使用は、特に、若い頃において、認知障害をもたらし得る。副作用は、通常、治療投与の低減後、短時間で消える。
過剰投与から起こる副作用は、通常、特別な注意を要する。これらは、失神、血圧、脈拍、血糖値、または呼吸数の著しい変化を挙げることができる。高投与量のカンナビスは、場合によっては、特に罹患し易い人々にとって、一過性精神病的発作、不安症、錯覚、または幻覚を引き起こし得る。
非常に多くの実施形態では、本発明の方法は、カンナビスベースの組成物と同時にまたは続いて投与される少なくとも1つの追加の治療薬を更に含む併用療法として適用する。かかる方法の適用性は、ここに例示されている。
併用薬または治療薬に関して、少なくとも4つの薬剤:アステミゾール、シサプリド、ピモジドおよびテルフェナジンは、代謝酵素(CYP3A4およびCYP2C9)に対する可能性のある薬物間相互作用および/または薬物間拮抗作用のために、回避すべきである。
更なる実施形態では、本発明の方法は、少なくとも1つの有害作用または少なくとも1つの併用薬もしくは治療薬の投与を治療、軽減または低減させることができる。適切な薬剤は、上記に示した。
特定の実施形態では、本発明の方法を、特定または部分的ASD症状の軽減または低減を含む、ASDの単剤療法として適用することができる。
更に別の態様では、本発明は、ASDの治療またはASDを罹患している対象の少なくとも1つの症状の軽減もしくは低減のための医薬品製造のためのカンナビス由来材料の使用であって、前記材料は、それぞれ、少なくとも約20:1のCBD:THC比を含む、使用を提供する。
非常に多くの実施形態では、上記薬物を、自傷、怒り発作、睡眠障害、不安症、気分障害、社会的コミュニケーションおよび対人能力、多動性、知覚過敏から選択されるASDの少なくとも1つの部分的症状の軽減または低減の治療に更に適応することができる。
下記実施例は、当業者が完全な開示ならびに本発明の方法および組成物の製造および使用方法の説明を提供するために提示しており、発明者らがこれらの発明と考える範囲を限定する目的ではない。
略語 用語
AE 有害事象
ASD 自閉症スペクトラム障害
CBD カンナビジオール
IP 試験製品
MGC 医療グレードカンナビス
SAE 重度有害事象
実施例1
試験製品(IP)
1.1 医療グレードカンナビス(MGC)の特徴付け
このプロトコールにおける試験製品(IP)は、系統アビデケル由来の植物材料から製造され、主要活性成分:30%のCBDおよび1.5%のΔ9−THCを含む油状液体抽出物として投与される医療グレードカンナビス(MGC)である。
概して、カンナビス油の製剤方法は、抽出ステップ、多くの場合、次いでカンナビノイドおよび高濃度で入手可能なテルペン類などの有益な成分を製造できる他の溶媒蒸発ステップを含む。カンナビス油は、1日に数回、舌下に適用される制御された数の液滴を経口的に消費される。
より詳細には、アビデケル花の抽出物をオリーブ油に溶解する。2つの主要カンナビノイドに関して、アビデケル油は、通常、Δ9−THCおよびCBDを約1:20の比で、約30%のCBDおよび約1.5%のΔ9−THCの濃度で含む。各アビデケル油の液滴は、約0.04mlの体積であり、約12mgのCBDおよび0.6mgのΔ9−THCを含む。
より広範に特徴付ければ、アビデケル油は:45%オリーブ油、30%のCBD、1.5%のTHC、0.5%のCBG、<0.1%のCBN、<1.5%のCBC、<0.5%のCBDVを含有し、未確認のカンナビノイドは、21%以下に達し、特定のパーセンテージのテルペン類はフラボノイド類、ワックス類およびクロロフィルである。
IPは、純粋なCBDを使用したCBD/THC濃度の微調整を更に行い、および/またはオリーブ油(「Zeita」社から購入)を添加して必要な比(1:20)および必要な濃度のCBD(30%)を達成する。次の試験では、ケア薬物療法の標準への付加として、IPをASD患者に投与した。
IPを、室温で貯蔵することができる。
1.2 投与
治療は、1日2回の液滴の形態のIPの舌下投与を含む。
1.3 投与および用量設定期間
各患者に対する最適投与量に達するために、油滴数およびタイミングは対象間で異なり得るので、用量設定期間は必要である。各患者の用量設定期間は異なり、4週間まで継続することができ、症状に与える最大の影響および最小の副作用間で用量のバランスを取る期間であるので、この期間中、疾病に対する治療効果は最適ではない。
最初の投与量は、3日間1日2回(朝および夕方)舌下に1滴の油であり、次いで、更に3日1日2回2滴などである。投与量を、効果および各患者の忍容性に応じて徐々に増やす。朝および夕方の投与は、異なる効果を有し得る。有害反応を経験するまで、または最大投与量、例えば、投与当たり10滴(12mgのΔ9−THCおよび240mgのCBD)に達するまで、対象は用量設定を継続する。有害反応が起こる場合、患者は、有害反応投与前の1レベルに減らす。用量設定スケジュールを纏めている表1参照。
Figure 2021525709
下記のいずれかが起こる場合、用量設定を中止する:
−転倒、歩行運動不安定の悪化、または運動機能の著しい減少により示される失神または意識朦朧
−血圧の著しい変化
−脈拍の著しい変化
−血糖値の著しい変化
−呼吸数の著しい変化
−例えば、攻撃性などの著しい行動変化
−新しい神経学的訴えまたは発見
−医師の決定。
1.4 併用薬
カンナビスおよびカンナビス製剤は、大量の投与量においてほんの少しの排尿効果だけで比較的安全であり、常習性がないと考えられている。可能性のあるアレルギー反応に更に注意をすべきである。患者の現在の治療レジメに、IPを添加することができる。併用薬消費の全ての変更はモニターし文書化するべきである。
換言すれば、IPは、単剤療法および従来の薬剤との併用療法を目的とする。適切に用量設定し有害反応を制御する場合、すなわち、治療有効投与下、IPは、併用薬の使用およびこれらの関連する二次的影響を低減することができる。
実施例2
後向き試験
2.1 親の報告を使用する後向き試験
2.1.1 試験集団
試験は、11(4〜22)歳の年齢メジアンを有する8名の女性(15%)および45名の男性(85%)を含む、DSM IVまたはDSM V判断基準によりASDと診断された53名の小児を含んだ。全患者を、それぞれ、CBDおよびTHCについて90(1.5〜315)および6.75(0.5〜49.5)の毎日のメジアン投与量ならびに66(30〜588)日のメジアン期間の間、30%の濃度およびCBD:THCの比1:20であるCBDを含むアビデケル油としてMCGで治療した(実施例1参照)。
2.1.2 試験デザイン
隔週追跡調査電話インタビューを行い、併用薬の使用ならびに症状および可能性ある有害作用のいずれもの変化を含む有効性および安全性を評価した。5つのASD併存疾患症状を評価した:a)多動性症状、b)不眠症、c)自傷および怒り発作、d)不安症および気分変動、ならびにe)社会的コミュニケーションおよび対人能力に関する情報、各併存疾患症状を、治療最初の30日間、30〜90日目、および治療90日以後においてベースラインと比較して、(1)変化なし、(2)改善または(3)悪化に分類した。全体的治療有効性を親の報告に従って4つのカテゴリーに分類した(変化なし、軽度〜中程度改善、著しく改善または悪化)。頻度およびパーセンテージを使用して、カテゴリー変数を記載した。連続変数を、ヒストグラムおよびQ−Qプロットを使用して正規分布について評価した。
2.1.3 試験結果
A.自傷および怒り発作
最後の追跡調査インタビューにおけるN=34患者に対する入手可能なデータは:67.6%の改善、23.5%の変化なし、および8.8%の症状悪化を示した。
B.不眠症
N=21患者に対する入手可能なデータは:71.4%の改善、23.8%の変化なし、および4.7%(1患者)の症状悪化を示した。
C.不安症および気分変動
N=17患者に対する入手可能なデータは:47.1%の改善、(29.4%)の変化なし、および23.5%の悪化を示した。
D.社会的コミュニケーションおよび対人能力
N=15患者に対する入手可能なデータは:86.7%の少なくとも1つの能力に関する改善、13.3%の変化なしを示し、悪化は報告されなかった。
E.多動性
N=30に対する入手可能なデータは:70%の改善、26.6%の変化なし、および3.3%の悪化を示した。
F.全体的変化
ASD(または併存疾患)症状の全体的変化を、51患者において調査した。軽度〜中程度改善は、31.4%と報告され、著しく改善は43.1%、変化なしは21.6%、および悪化は3.9%であった。2患者は、充分な報告を提供しなかった。
F.有害事象
最も高頻度の有害作用は、傾眠(n=7)、食欲減退(n=6)、および眠気(n=5)であった。全ての有害作用は一時的であり、自然に回復した。5ファミリーは、異なる時点において追跡調査を中断した。2ファミリーは無効と報告し、治療の中止を選択した。
2.1.4 結論
実施例1におけるアビデケル油は、ASDの部分的および全体的症状の改善において効果的である。この効果を、対照無作為臨床治験において更に評価した。
2.2 臨床記録を使用する後向き試験
2.2.1 試験集団
試験は、123患者が6か月間治療を受けた舌下に適用された本発明のMCG(IP)で治療された190ASD患者を含んだ。平均年齢は、12.8±6.9歳(18歳未満82%)、分布は82%の少年および18%の少女であり、14.7%の患者においててんかんの併存疾患が報告された。ベースラインにおいて、治療を必要とする主要症状は:不穏状態(90.5%)、怒り発作(79.5%)および神経過敏(78.9%)であった。
2.2.2 試験結果
少なくとも6ヶ月間MCGで治療された67患者のうち、40(60%)は、改善;35%−著しい改善、45%−中程度の改善、および1%未満−僅かな改善と報告し、約12%は、彼らの病態変化なしと報告し、1患者は、僅かに悪化と報告した。18患者(45%)は、特定の副作用を報告し;最も共通したのは眠気(10%)であった。主要な所見を表2〜4に纏めている。
Figure 2021525709
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結論:アビデケル油は、ASDの部分的および全体的症状の改善に効果的であり、比較的最小の副作用および高いコンプライアンスは忍容性を示唆する。かなりの数の親は、改善された生活の質について報告した。
実施例3
二重盲検、プラセボ対象無作為治験
3.1 主目的
ASD関連症状の緩和におけるMGC油対プラセボの有効性および安全性を評価すること。
3.2 二次目的
i.ASDと診断された小児におけるカンナビスの安全性および忍容性を評価すること。
ii.ASDと診断された小児の中における破壊的行動、不眠症、および知覚過敏の低減、ならびに彼/彼女らの生活の質の改善においてMGCの有効性を評価すること。
iii.睡眠脳波検査により図示された脳活性に対するMCGの影響を評価すること。
3.3 作業仮説
ASDと診断された小児へのMGCの投与は、プラセボ油がアビデケル抽出物の代わりにオリーブ油およびクロロフィルを含有するプラセボと比較してASD関連症状の著しい改善をもたらすだろう。
3.4 主要エンドポイント
3.4.1 主要有効性エンドポイント
主要5カテゴリー−知覚行動、社会的関連、体および物品の使用、言語およびコミュニケーション能力、社会的および適応能力において親の質問および専門医師によって行われる臨床的評価により記載および定量化されたASDの症状を低減する優位性。各フェーズの開始および終了時に行われる異常行動チェックリスト−コミュニティ版(ABC−C)質問票により、臨床的判断を行う。
この評価および続く評価では、両群についてMCG対プラセボでの治療後の臨床的判断間で比較を行う。
3.4.2 主要安全性エンドポイント
前の試験で評価された有害作用チェックリストを使用して評価された忍容性および有害作用。
3.5 二次エンドポイント
a.各フェーズの開始および終了時における医師により推定された臨床的総合印象尺度−改善度(CGI−I)に従ったASDの症状の低減における優位性。
b.各フェーズの開始および終了時における親により推定された子供の睡眠習慣質問票(CSHQ)に従った睡眠障害の低減された症状。
c.ベースラインに応じた各群内および両群間を比較しながら、各フェーズの開始および終了時における親により推定された知覚プロファイルII(SP−2)質問票に従った知覚過敏の低減された症状。
社会情報を含むムービーにおいて小児が顔を見る時間変化、すなわち、ベースラインに応じた各群内および両群間を比較しながら、各フェーズの開始および終了時に行われる視線追跡(ET)実験。
3.6 治験設計
ASDに罹患している約40対象を含む、2フェーズにおいて治験を行う。
フェーズ1:対象が無作為に割り当てられカンナビス油(MGC油:30%のCBDおよび1.5%のΔ9−THC)またはプラセボ油(オリーブ油および同じ色および風合いを得るためのクロロフィル:0%CBDおよび0%THC)の投与を受け、12週間および更なる4週間の休薬期間それに合うように治療する。
フェーズ2:治験群のクロスオーバーを行う(カンナビス油の投与を受ける患者はプラセボの投与を受け、逆もまた同様)。
各フェーズ完了後に臨床評価を行う。
**次の薬物:アステミゾール、シサプリド、ピモジドまたはテルフェナジンの1つの投与を受けている患者は、治験から除外する。
3.7 治験期間
予想期間は、32週であり、下記を含む:
i.IP(MGCまたはプラセボのいずれか)を投与する第一フェーズの12週間の治療期間;
ii.IPを投与しない4週間の休薬;
iii.IP(MGCまたはプラセボのいずれか)をクロスオーバー投与する第二フェーズの12週間の治療期間;
iv.IPを投与しない4週間の休薬期間。
3.8 治験集団
治験は、ASDの一部として攻撃性、不安症、不穏状態、睡眠障害および/または自傷行為を特徴とする行動の問題の以前の報告を有する小児を含む、自閉症の確認された診断を受けた2〜8歳の年齢の小児を含む。
治験は、カンナビス、統合失調症治療薬または刺激薬で治療された小児、心臓、肝臓、腎臓または血液疾患の併存疾患を有する小児、アステミゾール、シサプリド、ピモジドまたはテルフェナジンで治療中の小児;てんかんを罹患している小児;手術を経験した小児;精神病および/または別の精神疾患の家族病歴がある小児を含まない。
患者または親は、自発的に治験から退くことができる。
3.9 治験手順
IP(MGCまたはプラセボ)を、上記のように休薬期間を有する2フェーズにおいて投与する。IPを、朝および夕方、1日2回投与する。各フェーズの開始、中間、および終了時に来診を行う。主要来診スケジュールを纏めている表5参照。
下記データを収集する:
i.人口統計的データ−性別、誕生日、民族性
ii.臨床データ:
−病歴、患者評価、バイタルサイン
−尿サンプル−スクリーニングおよびベースラインにおけるΔ9−THC
−有害事象
−併用薬
iii.親質問票および日誌:
−IP投与を記録する親日誌(日付、滴下回数および数)
−有害事象記録
−異常行動チェックリスト−コミュニティ版(ABC−C)質問票
−臨床的総合印象尺度−改善度(CGI−I)質問票
−子供の睡眠習慣質問票(CSHQ)
−知覚プロファイルII(SP−2)質問票
iv.EEGサブ試験(非強制群):小児は3夜EEG検査に参加する:(1)治験開始前(ベースライン)、(2)フェーズ1(12〜16週)の終了後、および(3)フェーズ2(28〜32週)の終了後の最終検査。
Figure 2021525709
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3.10 統計解析
連続変数の解析は、対応t検定および独立t検定ならびにANOVAを使用してパラメトリック法を使用する。マン・ホイットニーおよびスピアマン相関検定を含むデータ変換の試みをしても、パラメトリック仮定が満足され得ない場合に、非パラメトリックな手順を使用する。正規性の検証のための正規プロットまたはシャピロ・ウィルクス統計および等分散の検証のためのルビーン検定を使用してパラメトリックモデル仮定を評価する。必要に応じて、分割表またはフィッシャー正確検定のためのピアソンχ検定を使用して、カテゴリー変数を検定する。
正規分布を有する連続変数は、平均および標準偏差として示される。適切な場合、95%信頼区間を算出する。非正規分布を有する通常変数または連続変数は、四分位範囲と共にメジアンとして示される。カテゴリー変数は、全体のカウント数およびパーセントとして示される。混合モデルを使用して、患者当たりの複数の事象を説明する。
3.11 有害事象
有害事象(AE)は、臨床治験中に特定されるかまたは悪化させる、臨床プロトコールの部分として処方された、臨床プロトコールおよび/または使用説明書において前定義された治験中の治療レジメンに関連して考えられる、患者に起こるいずれもの望ましくない経験(徴候、症状、病気、臨床検査値異常、または他の医療事象)として定義される。
治療関連AEは、治療および事象間の因果関係が少なくとも合理的な可能性である、すなわち、関係性が排除することができないいずれもの有害事象として定義される。医療用カンナビスの使用由来の副作用はあまり多くなく、大部分は軽度である。所望の効果に加えて、カンナビスの消費は陶酔感により達成することができ、2つの種類の副作用、生理的および認知性副作用を引き起こし得る。
−生理的作用としては、眩暈、不整脈(速いまたは遅い)、脱力感、低血圧および血糖値、食欲亢進、赤い目、疲労、協調運動障害、ならびに口および目のような粘膜の乾燥を挙げることができる。
−認知性副作用としては、時間および空間の知覚における思考の脈絡欠如および歪みなどの短期記憶障害を挙げることができる。大量の定期的使用は認知障害をもたらし得るが、使用を止めた場合にこの効果は消失する。副作用は、通常、患者が製品を常習化すると直ぐに消失する。
特別な注意を要する過剰投与から通常起こる副作用:失神、血圧、脈拍、血糖値、または呼吸数の著しい変化。製品の高投与量は、罹患しやすい人々にとって、場合によっては、一時的精神病的発作、不安症または錯覚を引き起こし得る。
重度の不測のAEは、患者予後が次のもの:死亡、致命的、入院(最初または長期)、能力障害−患者の身体機能/構造における著しい、持続的、もしくは恒久的変化、機能障害、損傷もしくは破損、身体活動能力もしくは生活の質、先天異常のうち1つであるか、または恒久的機能障害もしくは損傷を防止するために治療介入を必要とする場合の事象である。
不測のAEの強度の下記カテゴリーを使用する:
−軽度:患者の日常活動能力を妨げないか、または一時的である徴候または症状が認められ、治療なしで後遺症なく回復する;
−中程度:患者の日常活動能力を妨げるが、患者はなお機能することができる。
重度:患者の日常活動能力を妨げ、概して、全身デバイス治療または他の治療を要する。
全てのAEを、患者が治験において活性状態を維持する全時間を通して報告する。
プロトコール要約を下表6に示す。
Figure 2021525709
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Claims (26)

  1. 自閉症スペクトラム障害(ASD)の治療またはASDの少なくとも1つの症状の軽減もしくは低減において使用するためのカンナビスベースの組成物であって、前記組成物は、それぞれ、少なくとも約20:1(重量/重量)のCBD:THC比を含む、組成物。
  2. 前記ASDの少なくとも1つの症状は、自傷、怒り発作(rage attacks)、睡眠障害、不安症、気分障害、社会的コミュニケーションおよび対人(reciprocity)能力、多動性、知覚過敏から選択される、請求項1に記載の組成物。
  3. 少なくとも約30%以下のCBD(重量/重量)を含む、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 約30%CBDおよび約1.5%THC(重量/重量)を含む、請求項1または2に記載の組成物。
  5. 経口、局所または経皮投与用に適した油抽出物の形態である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記経口投与は、舌下投与からなる、請求項5に記載の組成物。
  7. 経皮パッチの形態である、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記組成物は、本明細書においてアビデケル(Avidekel)と呼ぶカンナビス系統由来である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 少なくとも約24mgのCBDおよび1.2mgのTHCから少なくとも約240mgCBDおよび12mgのTHCまでを含む経口用剤形である、請求項5に記載の組成物。
  10. 前記組成物は、少なくとも1つの追加の治療薬を更に含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 前記ASDの治療またはASDの少なくとも1つの症状の軽減もしくは低減は、少なくとも1つの有害作用の軽減もしくは低減または少なくとも1つの併用薬の投与の低減を更に含む、請求項1または2に記載の組成物。
  12. ASDを罹患している対象における少なくとも1つの症状の治療方法、軽減方法または低減方法であって、前記方法は、それぞれ、少なくとも約20:1(重量/重量)のCBD:THC比を含むカンナビスベースの組成物の治療有効量を、対象に投与することを含む、方法。
  13. 前記対象は、自傷、怒り発作、睡眠障害、不安症、気分障害、社会的コミュニケーションおよび対人能力、多動性、知覚過敏から選択される少なくとも1つの症状を示す、請求項12に記載の方法。
  14. 前記カンナビスベースの組成物は、少なくとも約30%以下のCBD(重量/重量)を含む、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記カンナビスベースの組成物は、約30%のCBDおよび約1.5%のTHC(重量/重量)を含む、請求項12または13に記載の方法。
  16. 前記カンナビスベースの組成物は、油抽出物の形態である、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記カンナビスベースの組成物は、本明細書においてアビデケルと呼ぶカンナビス系統由来である、請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記カンナビスベースの組成物を、経口、局所または経皮経路により投与する、請求項12〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記経口投与は、舌下投与からなる、請求項17に記載の方法。
  20. 前記カンナビスベースの組成物を、投与当たり、少なくとも約20mgのCBDおよび1mgのTHCから少なくとも約240mgのCBDおよび12mgのTHCまでの範囲の治療有効投与量で経口または舌下投与する、請求項12〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記カンナビスベースの組成物を、朝および/または夕方に1日に少なくとも1回経口または舌下投与し、前記朝または夕方の投与量は同じでも異なっていてもよい、請求項12〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. ASDの単剤療法である、請求項12〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 併用療法として、少なくとも1つの追加の治療薬を、前記カンナビスベースの組成物と同時にまたは続いて投与することを更に含む、請求項12〜21のいずれか一項に記載の方法。
  24. 少なくとも1つの有害作用の軽減もしくは低減または少なくとも1つの併用薬の投与の低減を更に含む、請求項23に記載の方法。
  25. ASDの治療またはASDの少なくとも1つの症状の軽減もしくは低減のための薬物製造のためのカンナビス由来物質の使用であって、前記カンナビス由来物質は、それぞれ、少なくとも約20:1(重量/重量)のCBD:THC比を含む、使用。
  26. 前記少なくとも1つの症状は、自傷、怒り発作、睡眠障害、不安症、気分障害、社会的コミュニケーションおよび対人能力、多動性、知覚過敏から選択される、請求項25に記載の使用。
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