ここで、本実施形態の実施形態を詳細に参照し、その実施例を添付の図面に示す。
本実施形態は、RTLSなど、RFベースの物体の識別、追跡、及び位置特定のための方法及びシステムに関する。一実施形態によると、本方法及びシステムは、狭帯域測距信号を用いる。本実施形態はVHF帯で動作するが、HF帯、LF帯、及びVLF帯、並びにUHF帯及びより高い周波数でも使用され得る。これは、マルチパス軽減プロセッサを用いる。マルチパス軽減プロセッサを用いることにより、システムによって実施される追跡及び位置特定の精度が増加する。
本実施形態は、ユーザによる複数の個人及び物体の追跡、位置特定、及び監視を可能にする、極めて携帯性の高い、小型ベースユニットを含む。各ユニットは、独自のIDを有する。各ユニットは、そのIDを含むRF信号をブロードキャストし、各ユニットは、そのID並びに音声、データ、及び追加情報を含むことができる帰還信号を返送することができる。各ユニットは、他ユニットからの帰還信号を処理し、三角測量若しくは三辺測量及び/又は使用される他の方法に応じて、それらの相対的位置及び/又は実際の位置を連続的に決定する。本実施形態はまた、GPSデバイス、スマートフォン、送受信兼用無線機、及びPDAなどの製品と容易に統合され得る。結果として得られる製品は、既存のディスプレイ、センサ(例えば、高度計、GPS、加速度計、及びコンパスなど)、及びそのホストの処理能力を活用しつつ、スタンドアローンデバイスの機能の全てを有することになる。例えば、本明細書に記載のデバイス技術を有するGPSデバイスは、マップ上でユーザの位置を提供し、また、グループの他のメンバーの位置をマッピングすることができるであろう。
FPGA実施形態に基づく実施形態のサイズは、約2×4×1インチ〜2×2×0.5インチ、又は集積回路技術の向上につれてそれよりも小さくなる。使用される周波数に応じて、アンテナはデバイスに組み込まれる、又はデバイスエンクロージャを通って突出するであろう。ASIC(特定用途向け集積回路)ベースのバージョンのデバイスは、FPGAの機能、及び他の電子部品の大部分をユニット、つまりタグに組み込むことができるであろう。ASICベースのスタンドアローンバージョンの製品は、1×0.5×0.5インチ以下のデバイスサイズをもたらすであろう。アンテナサイズは、使用される周波数によって決定され、アンテナの一部はエンクロージャに組み込まれ得る。ASICベースの実施形態は、チップセットのみで構成され得る製品に組み込まれるように設計される。マスターユニット、つまりタグユニット間では、物理的サイズの大きな差異が存在するべきではない。
デバイスは、マルチパス軽減アルゴリズムを処理するために、複数の周波数範囲(周波帯)で動作する標準的なシステム構成要素(既製の構成要素)を使用することができる。デジタル信号処理及びソフトウェア無線用ソフトウェアが使用され得る。最小限のハードウェアと組み合わされた信号処理ソフトウェアは、ソフトウェアによって定められた送受信波形を有する無線機の構築を可能にする。
米国特許第7,561,048号は、狭帯域測距信号システムを開示しており、狭帯域測距信号は、例えば、数キロヘルツ幅のみの音声チャネルを使用して、低帯域幅チャネルに適合するように設計されている(ただし、一部の低帯域幅チャネルは数十キロヘルツに拡張し得る)。これは、数百キロヘルツ〜数十メガヘルツ幅のチャネルを使用する従来の位置検出システムとは対照的である。
この狭帯域測距信号システムの利点は以下のとおりである。すなわち、1)より低い動作周波数/周波帯において、従来の位置検出システムの測距信号帯域幅は、搬送波(動作)周波数値を超える。したがって、LF/VLF帯、及びHF帯など他のより低い周波数帯域にこのようなシステムを配備することはできない。従来の位置検出システムとは異なり、米国特許第7,561,048号に記載されている狭帯域測距信号システムは、その測距信号帯域幅が搬送波周波数値をはるかに下回るため、LF帯、VLF帯、及び他の周波数帯での配備に成功し得る。2)RFスペクトルの下端(一部のVLF帯、LF帯、HF帯、及びVHF帯、例えば、最大でUHF帯)では、FCCが許容チャネル帯域幅を厳しく制限し(12〜25kHz)、そのために従来の測距信号を使用できないため、従来の位置検出システムを使用することができない。従来の位置検出システムとは異なり、狭帯域測距信号システムの測距信号帯域幅は、FCC規制及び他の国際スペクトル規制当局に完全に準拠している。また、3)動作周波数/周波帯とは無関係に、狭帯域信号は、広帯域信号と比較して本質的に高いSNR(信号ノイズ比)を有することが周知である(MRI:the basics,by Ray H.Hashemi,William G.Bradley...−2003を参照)。これにより、UHF帯など、動作する周波数/帯域とは無関係に、狭帯域測距信号位置検出システムの動作範囲が増大する。
したがって、従来の位置検出システムとは異なり、狭帯域測距信号位置検出システムは、マルチパス現象があまり顕著ではない、RFスペクトルの下端(例えばVHF帯)、及びより低い周波帯(最低でLF/VLF帯)で配備することができる。同時に、狭帯域測距位置検出システムはまた、UHF帯及びそれを超えて配備され、測距信号のSNRを改善し、結果として、位置検出システム動作範囲を増大させることができる。
マルチパス、例えば、RFエネルギー反射を最小化するために、VLF帯/LF帯で動作することが望ましい。しかしながら、これらの周波数では、可搬型/携帯用アンテナの効率が非常に悪い(RF波長に対してアンテナ長(サイズ)が小さいために、約0.1%以下である)。加えて、これらの低周波数では、自然発生源及び人為的発生源からのノイズレベルは、より高い周波数/周波数帯、例えばVHFよりもはるかに高い。これらの2つの現象を合わせると、位置検出システムの適用性、例えば、その動作範囲及び/又は携帯性/可搬性が制限され得る。したがって、動作範囲及び/又は携帯性/可搬性が非常に重要である特定の用途では、より高いRF周波数/周波数帯、例えばHF、VHF、UHF、及びUWBが使用され得る。
VHF帯及びUHF帯では、自然発生源及び人為的発生源によるノイズレベルが、VLF帯、LF帯、及びHF帯と比較して著しく低く、VHF周波数及びHF周波数では、マルチパス現象(例えば、RFエネルギー反射)は、UHF及びより高い周波数よりも深刻ではない。また、VHFでは、アンテナ効率は、HF及びより低い周波数よりも著しく良好であり、VHFでは、RF浸透力がUHFよりもはるかに高い。したがって、VHF帯は、携帯/可搬用途に良好な折衷案を提供する。一方、いくつかの特別な場合、例えば、VHF周波数(又はより低い周波数)が電離層に浸透できない(つまり偏向/屈折する)GPSでは、UHFは良好な選択肢であり得る。しかしながら、いずれの場合(及び全ての場合/用途)においても、狭帯域測距信号システムは、従来の広帯域測距信号位置検出システムに勝る利点を有するであろう。
実際の用途が、的確な技術仕様(電力、放射、帯域幅、及び動作周波数/周波数帯など)を決定するであろう。狭帯域測距によって、ユーザが、ライセンスを受ける、若しくはライセンシーからライセンスの免除を受けること、又はFCCに記載の非ライセンス周波数帯を使用することが可能になる。これは、低周波数帯測距によって、最も厳格な狭帯域幅(FCCに記載され、適切なセクションの対応する技術要件に準拠する6.25kHz、11.25kHz、12.5kHz、25kHz、及び50kHz)など多くの異なる帯域幅/周波数での動作が可能となるためである。その結果、そのようなセクション内の複数のFCCセクション及び例外が適用可能となる。適用可能である主要なFCC規制は、47 CFR Part 90− Private Land Mobile Radio Services、47 CFR Part 94 personal Radio Services、47 CFR Part 15−Radio Frequency Devicesである(比較すると、この文脈における広帯域信号は数百KHzから10〜20MHzまでである)。
典型的には、Part 90及びPart 94では、VHFの実施形態により、ユーザが、特定の例外(低電力無線サービスは一例である)の下で、デバイスを100mWまで動作させることができる。特定の用途では、VHF帯で許容可能な送信電力は2〜5ワットである。900MHz(UHF帯)では、1Wである。160kHz〜190kHzの周波数(LF帯)では、許容可能な送信電力は1ワットである。
狭帯域測距は、全てではなくても、多くの異なるスペクトル許容範囲に適合することができ、また、最も厳密な規制要件を満たしつつ、正確な測距を可能にする。これは、FCCについてのみではなく、欧州、日本、及び韓国など世界中でスペクトルの使用を規制する他の国際組織についても当てはまる。
以下は、使用される、一般的な周波数のリストであり、典型的な電力使用量及び実世界環境において別の読取機と通信可能なタグの距離を併記したものである(IndoadPropagation and Wavelength Dan Dobkin,WJ Communications,V1.4 7/10/02を参照されたい)。
提案されるシステムは、VHF周波数で動作し、RF信号の送信及び処理に独自の方法を用いる。より具体的には、VHF周波数における狭帯域要件の制約を克服するために、DSP技法及びソフトウェア無線(SDR)を使用する。
より低い(VHF)周波数で動作することにより、散乱を低減させ、はるかに良好に浸透する。最終結果は、一般に使用される周波数のおよそ10倍の範囲の増加である。例えば、プロトタイプの測定範囲を上記のRFID技術の範囲と比較すると、以下のとおりである。
狭帯域測距技法を用いると、一般に使用される周波数、並びに典型的な電力使用量及び実世界環境において別の読取機と通信可能なタグの通信範囲は、著しく増大する。
バッテリ消費は、デバイスの設計、送信電力、及びデューティ周期、例えば、2つの連続する距離(位置)測定値間の時間間隔に応じる。多くの用途では、デューティ周期は大きく、10倍〜1000倍である。デューティ周期の大きい用途、例えば100倍では、100mWの電力を伝送するFPGAバージョンは、およそ3週間の動作可能時間を有することになる。ASICベースのバージョンは、動作可能時間を10倍増加させる期待される。また、ASICは、本質的により低いノイズレベルを有する。したがって、ASICベースのバージョンはまた、動作範囲を約40%増加させ得る。
当業者であれば、本実施形態は、システムの長い動作範囲を損なうことなく、RFの困難な環境(例えば建物、都市回廊など)における位置検出精度を著しく増加させることを理解するであろう。
典型的には、追跡及び位置特定システムは、追跡−位置特定−ナビゲート法を用いる。これらの方法としては、到来時間(TOA)、到来時間差(DTOA)、及びTOAとDTOAとの組み合わせが挙げられる。距離測定技法としての到来時間(TOA)は、米国特許第5,525,967号に概説されている。TOA/DTOAベースのシステムは、RF測距信号の直接見通し線(DLOS)飛行時間(例えば、時間遅延)を測定し、その後、距離範囲に変換する。
RF反射(例えば、マルチパス)の場合、様々な遅延時間を有するRF測距信号の複数のコピーがDLOS RF測距信号に重畳される。狭帯域測距信号を使用する追跡−位置特定システムは、マルチパスを軽減せずにDLOS信号と反射信号とを弁別することができない。結果として、これらの反射信号は、推定された測距信号のDLOS飛行時間に誤差を生じさせ、次いで、範囲推定精度に影響を及ぼす。
本実施形態は、マルチパス軽減プロセッサを有利に使用して、DLOS信号及び反射信号を分離する。したがって、本実施形態は、推定された測距信号のDLOS飛行時間における誤差を著しく低減する。提案されたマルチパス軽減法は、全てのRF帯で使用され得る。また、広帯域測距信号位置検出システムでも使用され得る。また、DSS(直接拡散スペクトル)及びFH(周波数ホッピング)など拡散スペクトル技法を含む様々な変調/復調技法をサポートすることができる。
加えて、本方法の精度を更に改善するために、ノイズ低減法を適用することができる。これらのノイズ低減法としては、限定するものではないが、コヒーレント加算、非コヒーレント加算、整合フィルタリング、時間ダイバーシティ技法などが挙げられる。マルチパス干渉誤差の残部は、最尤推定(例えば、ビタビアルゴリズム)、最小分散推定(カルマンフィルタ)など後処理技術を適用することによって、更に低減することができる。
本実施形態は、単信動作モード、半二重動作モード、及び全二重動作モードを有するシステムで使用できる。全二重動作は、複雑性、コスト、及びRF送受信機上でのロジスティックの点で非常に要求が厳しいため、ポータブル/モバイルデバイスの実施形態におけるシステムの動作範囲を制限する。半二重動作モードでは、読取機(「マスター」とも呼ばれることが多い)及びタグ(「スレーブ」又は「標的」とも呼ばれることもある)は、マスター又はスレーブが任意の所与の時間に送信することのみを可能にするプロトコルによって制御される。
送信及び受信を交互に行うことにより、単一周波数が距離測定で使用されることを可能にする。このような構成は、全二重システムと比較してシステムのコスト及び複雑性を低減する。単信動作モードは、概念的にはより単純であるが、測距信号シーケンスの開始など、マスターユニットと標的ユニットとの間でのイベントのより厳密な同期を必要とする。
本実施形態では、狭帯域測距信号のマルチパス軽減プロセッサは、測距信号帯域幅を増大させない。これは、異なる周波数成分を使用して、有利に狭帯域測距信号の伝播を可能にする。更なる測距信号処理が、超分解能スペクトル推定アルゴリズム(MUSIC、rootMUSIC、ESPRIT)及び/若しくはRELAXなど統計アルゴリズムによって周波数領域において、又は相対的に広い帯域幅を有する合成測距信号を集めて、この信号に更なる処理を適用することによって時間領域において実行され得る。狭帯域測距信号の異なる周波数成分は、疑似ランダムに選択されてよく、周波数において連続的又は離間していてもよく、周波数において均一及び/又は不均一な間隔を有してよい。
本実施形態は、マルチパス軽減技術を拡張する。狭帯域測距用信号モデルは、(本明細書の他の箇所で紹介するように)周波数が、範囲で規定される遅延+遅延がマルチパスに関連する時間遅延で規定される同類項に正比例する複素指数である。このモデルは、信号構造の実施形態、例えば、ステップ状周波数、線形周波数変調などとは無関係である。
ダイレクトパスとマルチパスとの間の周波数分離は名目上極めて小さく、通常の周波数領域処理は、ダイレクトパス範囲を推定するのに十分ではない。例えば、30メートルの範囲(100.07ナノ秒の遅延)で5MHzを超える100KHzのステッピングレートでのステップ状周波数測距信号は、0.062875ラジアン/秒の周波数をもたらす。パス長35メートルのマルチパス反射は、0.073355の周波数をもたらすであろう。分離は0.0104792である。50のサンプルオブザーバブルの周波数分解能は、0.12566Hzのネイティブ周波数分解能を有する。したがって、従来の周波数推定技術を使用して、反射パスからダイレクトパスを分離し、ダイレクトパスの範囲を正確に推定することは不可能である。
この制約を克服するために、本実施形態は、部分空間分解高分解能スペクトル推定法及びマルチモーダルクラスタ分析の実施形態という固有の組み合わせを使用する。部分空間分解技術は、観測されたデータの推定共分散行列を、2つの直交する部分空間、つまりノイズ部分空間、及び信号部分空間に分割することに依存する。部分空間分解法の背後にある理論は、ノイズ部分空間へのオブザーバブルの投影はノイズのみからなり、信号部分空間へのオブザーバブルの投影は信号のみからなるというものである。
超分解能スペクトル推定アルゴリズム及びRELAXアルゴリズムは、ノイズの存在下でスペクトルにおいて近接して配置された周波数(正弦曲線)を区別することができる。周波数は、調和的に関連付けられる必要はなく、デジタルフーリエ変換(DFT)とは異なって、信号モデルは、いかなる人為的周期性も導入しない。所与の帯域幅に関して、これらのアルゴリズムは、フーリエ変換よりも著しく高い分解能を提供する。したがって、直接見通し線(DLOS)は、高精度で他のマルチパス(MP)から確実に区別され得る。同様に、人為的に生成された、より広い合成帯域測距信号に対して、後で説明する閾値法を適用して、高精度で、他のパスからDLOSを確実に区別することを可能にする。
本実施形態によると、デジタル信号処理(DSP)は、マルチパス軽減プロセッサによって使用されて、他のMPパスからDLOSを確実に区別することができる。スペクトル分析(スペクトル推定)技術には、様々な超分解能アルゴリズム/技法が存在する。例としては、部分空間ベースの方法、つまりMUltiple SIgnal Characterization(MUSIC)アルゴリズム又はroot−MUSICアルゴリズム、Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques(ESPRIT)アルゴリズム、ピサレンコ調和分解(PHD)アルゴリズム、RELAXアルゴリズムなどが挙げられる。
上記の超分解能アルゴリズムは、アンテナに衝突する信号が十分に相関しないことを前提としている。したがって、マルチパス伝播において直面し得るように、高度に相関した信号環境において性能が著しく低下する。マルチパス軽減技法は、空間的平滑化と呼ばれる前処理スキームを伴い得る。その結果、マルチパス軽減プロセスは、計算集約的で複雑になり得る、すなわち、システムの実施形態の複雑性を増加させ得る。より低いシステム計算コスト及び実施形態の複雑性を伴うマルチパス軽減は、超分解能行列束(MP)アルゴリズムを使用することによって達成され得る。MPアルゴリズムは、非探索方法として分類される。したがって、計算的にあまり複雑ではなく、他の超分解能アルゴリズムで使用される探索方法で直面する問題が排除される。更に、MPアルゴリズムは、相関信号に敏感ではなく、単一のチャネル推定のみを必要とし、コヒーレントなマルチパス成分に関連する遅延を推定することもできる。
上記の超分解能アルゴリズムの全てにおいて、入力(すなわち、受信)信号は、周波数の複素指数関数及びそれらの複素振幅の線形結合としてモデル化される。マルチパスの場合、受信信号は以下のとおりである。
式中、β×e
i2πf×tは送信信号であり、fは動作周波数であり、Lはマルチパス成分の数であり、
及びτ
Kは、それぞれK番目のパスの複素減衰及び伝播遅延である。マルチパス成分は、伝播遅延が昇順で考慮されるようにインデックス付けされる。その結果、このモデルでは、τ
0は、DLOSパスの伝播遅延を示す。τ
0値は全てのτ
Kのうちの最小値であるため、明らかに最も興味深い値である。位相θ
Kは、通常、ある測定周期から別の測定周期までランダムであり、均一の確率密度関数U(0,2π)を有すると想定される。したがって、本発明者らはα
K=const(すなわち、一定値)と仮定する。
パラメータαK及びτKは、建物内及びその周辺の人々及び機器の動きを反映するランダムな時変関数である。しかしながら、それらの変動の速度は測定時間間隔と比較して非常に遅いため、これらのパラメータは、所与の測定周期内で、時不変ランダム変数として処理され得る。
これらのパラメータは全て、伝達係数及び反射係数など無線信号特性に関連するため、周波数に依存する。しかしながら、本実施形態では、動作周波数はほとんど変化しない。したがって、上記のパラメータは、周波数に依存しないと仮定することができる。
式(1)は、周波数領域において以下のように示され得る。
式中、A(f)は受信信号の複素振幅であり、(2π×τ
K)は超分解能アルゴリズムによって推定される人工「周波数」であり、動作周波数fは独立変数であり、α
KはK番目のパス振幅である。
式(2)において、(2π×τ
K)の超分解能推定値及びその後のτ
K値は、連続周波数に基づいている。実際には、有限数の測定値が存在する。したがって、変数fは、連続変数ではなく、むしろ離散変数であろう。したがって、複素振幅A(f)は、以下のように計算され得る。
式中、
は、離散周波数f
nにおける離散複素振幅推定値(すなわち、測定値)である。
式(3)では、
は、マルチパスチャネルを通って伝播した後の周波数f
nの正弦波信号の振幅及び位相として解釈され得る。超分解能アルゴリズムに基づいた全てのスペクトル推定では、複素数入力データ(すなわち、複素振幅)が必要とされることに留意されたい。
場合によっては、実際の信号データ、例えば
を、複素信号(例えば、分析信号)に変換することが可能である。例えば、このような変換は、ヒルベルト変換又は他の方法を使用することによって達成することができる。しかしながら、短距離の場合、値τ
0は非常に小さく、非常に低い(2π×τ
K)「周波数」をもたらす。
これらの低「周波数」は、ヒルベルト変換(又は他の方法)の実施形態において問題を生じさせる。加えて、振幅値(例えば、
)のみが使用される場合、推定される周波数の数は、(2π×τ
K)「周波数」だけでなく、それらの組み合わせも含む。概して、未知の周波数の数を増加させると、超分解能アルゴリズムの精度に影響が及ぶ。したがって、他のマルチパス(MP)パスからDLOSパスを確実かつ正確に分離するには、複素振幅推定値が必要である。
以下は、マルチパスの存在下で複素振幅
を得るタスク中の、方法及びマルチパス軽減プロセッサの動作の説明である。なお、半二重動作モードを中心に説明しているが、全二重モード向けに容易に拡張され得ることに留意されたい。単信動作モードは半二重モードの一部であるが、追加のイベント同期を必要とする。
半二重動作モードでは、読取機(「マスター」とも呼ばれることが多い)及びタグ(「スレーブ」又は「標的」とも呼ばれる)は、マスター又はスレーブが任意の所与の時間に送信することのみを可能にするプロトコルによって制御される。この動作モードでは、タグ(標的デバイス)はトランスポンダとして機能する。タグは、読取機(マスターデバイス)から測距信号を受信し、これをメモリに記憶し、次いで特定の時間(遅延)後に、マスターに信号を再送信して戻す。
測距信号の例を図1及び図1Aに示す。例示的な測距信号は、連続的な、異なる周波数成分を用いる。疑似ランダムを含む、周波数及び/若しくは時間において離間している、又は直交するなど他の波形はまた、測距信号の帯域幅が狭帯域のままである限り使用され得る。図1では、各周波数成分の期間Tfは、測距信号の狭帯域特性を得るのに十分な長さである。
異なる周波数成分を有する測距信号の別の変形例を図2に示す。この図は、個々の周波数を狭帯域にするために長期間にわたって送信される複数の周波数(f1、f2、f3、f4、fn)を含む。このような信号はより効率的であるが、広帯域幅を占め、広帯域測距信号がSNRに影響を及ぼし、これによって動作範囲を低減する。また、このような広帯域測距信号は、VHF帯又はより低い周波数帯に関するFCC要件に違反する。しかしながら、特定の用途では、この広帯域測距信号は、既存の信号及び伝送プロトコルへのより容易な統合を可能にする。また、このような信号は、追跡−位置特定時間を短縮する。
これらのマルチ周波数(f1、f2、f3、f4、fn)バーストはまた、連続的及び/若しくは疑似ランダム、周波数及び/若しくは時間において離間している、又は直交するなどであってよい。
狭帯域測距モードは、広帯域測距と比較して、瞬時広帯域測距の形態で精度をもたらし、その一方では、この精度を実現することができる範囲を増加させる。この性能は、一定の送信電力において、狭帯域測距信号の受信機におけるSNR(適切な信号帯域幅における)は、広帯域測距信号の受信機におけるSNRよりも大きいために達成される。SNR利得は、広帯域測距信号の総帯域幅と狭帯域測距信号の各チャネルの帯域幅とのおよその比率である。これは、例えば、人の歩行又は走行など静止した標的及び動きの遅い標的に、非常に迅速な測距が不要であるときに、良好なトレードオフをもたらす。
マスターデバイス及びタグデバイスは同一であり、マスターモード又はトランスポンダモードのいずれかで動作することができる。全てのデバイスは、データ/リモート制御通信チャネルを含む。デバイスは情報を交換することができ、マスターデバイスは、タグデバイスをリモート制御することができる。図1に示すこの実施例では、マスター(すなわち、読取機)の動作中、マルチパス軽減プロセッサが、タグに対して測距信号を発信し、特定の遅延後に、マスター/読取機は、タグから反復測距信号を受信する。
その後、マスターのマルチパス軽減プロセッサは、受信した測距信号を、マスターから当初送信された信号と比較し、各周波数成分f
nの振幅及び位相の形態で
推定値を決定する。式(3)
は、一方向の測距信号トリップのために定義されることに留意されたい。本実施形態では、測距信号は往復する。換言すれば、測距信号は、マスター/読取機から標的/スレーブへ、及び標的/スレーブからマスター/読取機に戻るという両方向に移動する。したがって、マスターによって受信されて戻される、この往復信号の複素振幅は、以下のように計算され得る。
例えば、整合フィルタリング
など複素振幅及び位相値を推定するために使用できる多くの技法が存在する。本実施形態によると、複素振幅の決定は、マスター及び/又はタグ受信機のRSSI(受信信号強度インジケータ)値から導出される
値に基づく。位相値
は、読取機/マスターによって受信された、戻ってきたベースバンド測距信号の位相と元の(すなわち、読取機/マスターによって送信された)ベースバンド測距信号の位相とを比較することによって得られる。加えて、マスター及びタグデバイスは独立したクロックシステムを有するため、位相推定誤差に対するクロック精度の影響を分析することによって、デバイス動作の詳細な説明が増補される。上記の説明が示すように、一方向の振幅の
値は、標的/スレーブデバイスから直接得られる。しかしながら、一方向の位相の
値を直接測定することはできない。
本実施形態では、測距ベースバンド信号は、図1に示す信号と同じである。しかしながら、簡潔にするために、本明細書では、測距ベースバンド信号は、複数の周期の異なる周波数の余弦波又は正弦波をそれぞれ含む、2つの周波数成分(F1及びF2)のみからなることが想定される。なお、F1=f1、F2=f2であることに留意されたい。第1の周波数成分の周期数はLであり、第2の周波数成分の周期数はPである。Tf=定数の場合、各周波数成分は異なる周期数を有し得るため、LはPに等しくても、等しくなくてもよい。また、各周波数成分の間に時間差は存在せず、F1及びF2の両方は、ゼロに等しい初期位相から開始する。
図3A、図3B、及び図3Cは、RF移動追跡及び位置特定システムのマスターユニット又はスレーブユニット(タグ)のブロック図を示す。FOSCは、デバイスシステムクロック(図3Aの水晶発振器20)の周波数を指す。デバイス内で生成される全ての周波数は、このシステムクロック水晶発振器から生成される。以下の定義が使用される。つまり、Mは、マスターデバイス(ユニット)であり、AMはタグ(標的)デバイス(ユニット)である。タグデバイスは、トランスポンダモードで動作し、トランスポンダ(AM)ユニットと称される。
一実施形態では、デバイスは、RFフロントエンド及びRFバックエンド、ベースバンド、並びにマルチパス軽減プロセッサからなる。RFバックエンド、ベースバンド、及びマルチパス軽減プロセッサは、FPGA150内に実装される(図3B及び図3Cを参照)。システムクロック発生器20(図3Aを参照)は、F
OSC=20MHz又はω
OSC=2π×20×10
6で発振する。実際のデバイスでは、システムクロック周波数が常に20MHzに等しくないため、これは理想的な周波数である:
なお、
であることに留意されたい。
20MHzのFOSC周波数以外は、システム性能に影響を及ぼすことなく使用され得ることに留意されたい。
両ユニット(マスター及びタグ)の電子構成は同一であり、異なる動作モードはソフトウェアでプログラム可能である。ベースバンド測距信号は、マスターのFPGA150内のブロック155〜180によってデジタル形式で生成される(図2Bを参照)。これは、複数の周期の異なる周波数の余弦波又は正弦波をそれぞれ含む2つの周波数成分からなる。最初に、t=0において、マスターデバイス内のFPGA150(図3B)は、I/Q DAC120及び125を介して、デジタルベースバンド測距信号をそのアップコンバータ50に出力する。FPGA150は、F1周波数で開始し、時間T1が経過した後、T2の期間にわたってF2周波数の生成を開始する。
水晶発振器の周波数は20MHzとは異なっていてもよいため、FPGAによって生成される実際の周波数は、F1γM及びF2γMとなるであろう。また、時間T1はT1βMとなり、T2はT2βMとなるであろう。また、ITでは、T1,T2,F1,F2が、F1γM*T1βM=F1T1及びF2γM*T2βM=F2T2であり、F1T1及びF2T2のはいずれも整数であると仮定される。これは、F1及びF2の初期位相がゼロに等しいことを意味する。
システム水晶発振器20から全ての周波数が生成されるため、マスターのベースバンドI/Q DAC120及び125の出力は、
であり、式中、
は定係数である。同様に、周波数シンセサイザ25からの出力周波数TX_LO及びRX_LO(ミキサ50及び85のLO信号)は、定係数によって表され得る。これらの定係数は、マスター(M)及びトランスポンダ(AM)についても同一であり、その違いは、各デバイスのシステム水晶発振器20のクロック周波数にある。
マスター(M)及びトランスポンダ(AM)は半二重モードで動作する。マスターのRFフロントエンドは、直交アップコンバータ(すなわち、ミキサ)50を使用して、マルチパス軽減プロセッサによって生成されたベースバンド測距信号をアップコンバートし、このアップコンバートされた信号を送信する。ベースバンド信号の送信後、マスターは、RFフロントエンドのTX/RXスイッチ15を使用して、TXモードからRXモードに切り替える。トランスポンダは、そのRFフロントエンドミキサ85(第1のIFを生成する)及びADC140(第2のIFを生成する)を使用して信号を受信し、受信した信号をダウンコンバートして戻す。
その後、この第2のIF信号は、デジタルフィルタ190を使用してトランススポンダのRFバックエンドプロセッサにおいてデジタルフィルタ処理され、RFバックエンド直交ミキサ200、デジタルI/Qフィルタ210及び230、デジタル直交発振器220、及び加算器270を使用して、ベースバンド測距信号へと更にダウンコンバートされる。このベースバンド測距信号は、RAMデータバスコントローラ195及び制御ロジック180を使用してトランスポンダのメモリ170に記憶される。
続いて、RFフロントエンドスイッチ15を使用して、トランスポンダをRxモードからTXモードに切り替え、特定の遅延t
RTX後に、記憶されたベースバンド信号の再送信を開始する。この遅延は、AM(トランスポンダ)システムクロックにおいて測定されることに留意されたい。したがって、
である。マスターは、トランスポンダの送信を受信し、そのRFバックエンドの直交ミキサ200、デジタルIフィルタ210、デジタルQフィルタ230、デジタル直交発振器220(図3Cを参照)を使用して、受信した信号をベースバンド信号にダウンコンバートして戻す。
その後、マスターは、マルチパス軽減プロセッサのarctanブロック250及び位相比較ブロック255を使用して、受信した(すなわち、復元された)ベースバンド信号におけるF1とF2との間の位相差を計算する。振幅値は、RFバックエンドのRSSIブロック240から導出される。
推定精度を改善するために、ブロック240からの振幅推定値及びブロック255からの位相差推定値のSNRを改善することが常に望ましい。一実施形態では、マルチパス軽減プロセッサは、測距信号の周波数成分の期間(T
f)にわたって、多くの時間インスタンスの振幅推定値及び位相差推定値を計算する。これらの値は、平均されたときにSNRを改善する。SNRの改善は
に比例するオーダーであり得、Nは振幅値及び位相差値が得られた(すなわち、決定された)ときのインスタンスの数である。
SNRの改善に対する別のアプローチは、一定期間にわたって整合フィルタ技法を適用することによって振幅値及び位相差値を決定することである。更に、別のアプローチは、受信した(すなわち、繰り返された)ベースバンド測距信号周波数成分をサンプリングし、I/Q形式で、期間T≦T
fにわたって元の(すなわち、マスター/読取機によって送信された)ベースバンド測距信号周波数成分に対して積分することによって、その位相及び振幅を推定することであろう。積分は、I/Q形式での振幅及び位相の複数のインスタンスの平均化という効果を有する。その後、位相値及び振幅値は、I/Q形式から、
形式及び
形式に変換され得る。
t=0において、マスターのマルチパスプロセッサの制御下で、マスターのベースバンドプロセッサ(いずれもFPGA150内)がベースバンド測距シーケンスを開始すると仮定する。
式中、T
f≧T
1β
Mである。
マスターのDAC120及び125の出力における位相は、以下のとおりである。
DAC120及び125は、システムクロックに依存しない内部伝播遅延
を有することに留意されたい。
同様に、送信機の回路部品15、30、40、及び50は、システムクロックに依存しない、更なる遅延
をもたらすであろう。
その結果、マスターによって送信されたRF信号の位相は、以下のように計算することができる。
マスター(M)からのRF信号は、マスターとタグとの間のマルチパス現象に応じた位相シフトφMULTを受ける。
φ
MULT値は、送信周波数、例えばF
1及びF
2に依存する。トランスポンダ(AM)受信機は、受信機のRF部分の帯域幅が制限されている(すなわち、狭い)ため、各パスを解決することができない。したがって、特定の時間後、例えば、1マイクロ秒(〜300メートルの飛行に相当)後に、全ての反射信号が受信アンテナに到着すると、以下の式が適用される。
第1のダウンコンバータ(要素85)におけるAM(トランスポンダ)受信機内では、出力(例えば第1のIF)の信号位相は、以下のとおりである。
受信機のRF区間(要素15及び60〜85)における伝播遅延
は、システムクロックに依存しないことに留意されたい。RFフロントエンドのフィルタ及び増幅器(要素95〜110及び125)を通過した後、第1のIF信号はRFバックエンドのADC140によってサンプリングされる。ADC140は、入力信号(例えば、第1のIF)をアンダーサンプリングすると仮定する。したがって、ADCはまた、第2のIFを生成するダウンコンバータのように作用する。第1のIFフィルタ、増幅器、及びADCは、伝播遅延時間を加える。ADC出力(第2のIF)においては、以下のとおりである。
FPGA150では、(ADC出力からの)第2のIF信号は、RFバックエンドのデジタルフィルタ190によってフィルタリングされ、第3のダウンコンバータ(すなわち、直交ミキサ200、デジタルフィルタ230及び210、並びにデジタル直交発振器220)によって、ベースバンド測距信号に更にダウンコンバートされて戻され、加算器270において加算され、メモリ170に記憶される。第3のダウンコンバータ出力(すなわち、直交ミキサ)においては、以下のとおりである。
FIR区間190における伝播遅延
は、システムクロックに依存しないことに留意されたい。
RX−>TX遅延の後、マスター(M)からの(メモリ170内に)記憶されたベースバンド測距信号が再送信される。RX−>TX遅延は
であることに留意されたい。
トランスポンダからの信号がマスター(M)の受信機アンテナに到達するまでに、トランスポンダ(AM)からのRF信号は、マルチパスに応じた別の位相シフトφ
MULTを受ける。上記のように、この位相シフトは、特定の期間の後に、全ての反射信号がマスターの受信機アンテナに到着したときに生じる。
マスター受信機では、トランスポンダからの信号は、トランスポンダ受信機でのダウンコンバージョンプロセスと同じプロセスを経る。その結果は、復元されたベースバンド測距信号であり、この信号は、マスターによって当初送信されたものである。
第1の周波数成分F
1については、以下のとおりである。
第2の周波数成分F2については、以下のとおりである。
以下のように置き換える。
式中、T
D_M−AMは、マスター(M)及びトランスポンダ(AM)回路による伝播遅延である。
式中、φ
BB_M−AM(0)は、時間t=0における、マスター(M)及びトランスポンダ(AM)周波数ミキサ(ADCを含む)からのLO位相シフトである。
また、K
SYN_TX=K
SYN_RX_1+K
ADC+K
SYN_RX_2である。
第1の周波数成分F1は、引き続き以下のとおりである。
第2の周波数成分F2は、引き続き以下のとおりである。
以下のように更に置き換える。
式中、αは一定である。
式(5)から、以下のとおりとなる。
式中、i=2、3、4...............であり、2×ΔΦ
F1/Fiは
に等しい。
例えば、時間インスタンスt1及びt2における相違
は、以下のとおりである。
2×ΔΦ
F1/F2の相違を求めるためには、T
D_M−AMを知る必要がある。
式中、T
LB_M及びT
LB_AMは、デバイスをループバックモードにすることによって測定される、マスター(M)及びトランスポンダ(AM)のTX回路及びRX回路を介した伝播遅延である。マスターデバイス及びトランスポンダデバイスは、T
LB_M及びT
LB_AMを自動的に測定することができ、t
RTX値も既知であることに留意されたい。
上記式及びt
RTX値からT
D_M−AMは決定され、したがって、所与のt
1及びt
2について、2×ΔΦ
F1/F2値を以下のように求めることができる。
又は、β
M=β
AM=1と仮定すると、以下のとおりである。
式(6)から、動作周波数において、測距信号の複素振幅値は、戻されたベースバンド測距信号を処理することから求めることができると結論付けることができる。
初期位相値
は、部分空間アルゴリズムが一定の位相オフセットに対して感受性がないため、ゼロに等しいと仮定することができる。必要に応じて、
値(位相初期値)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,561,048号に記載されている狭帯域測距信号法を使用してTOA(到来時間)を決定することによって求めることができる。この方法は、2×T
FLTβ
Mに等しい測距信号の往復遅延を推定し、
値は、以下の式から求めることができる。
一実施形態では、戻されたベースバンド測距信号の位相値
は、マルチパスプロセッサのarctanブロック250によって計算される。SNRを改善するために、マルチパス軽減プロセッサの位相比較ブロック255は、式(6A)を使用して、多くのインスタンスn(n=2、3、4...............)について
を計算し、次いで、それらを平均してSNRを改善する。なお、2×10
−6<t
n<T
f+T
D_M−AM;t
m=t
1+T
fであることに留意されたい。
式5及び式6から、復元された(すなわち、受信された)ベースバンド測距信号は、マスターによって送信された元のベースバンド信号と同じ周波数を有することが明らかになる。したがって、マスター(M)及びトランスポンダ(AM)のシステムクロックが異なるという事実にもかかわらず、周波数変換は存在しない。ベースバンド信号が複数の周波数成分からなるため、各成分は、複数の周期の正弦波からなる。また、受信したベース測距信号の個々の成分周波数を、対応する元の(すなわち、マスターによって送信された)ベースバンド信号の個々の成分周波数を用いてサンプリングし、得られた信号を周期T≦Tfにわたって積分することによって、受信した測距信号の位相及び振幅を推定することも可能であろう。
この動作は、I/Q形式で受信された測距信号の複素振幅値
を生成する。なお、マスターによって送信された各ベースバンド信号の個々の周波数成分は、T
D_M−AMによって時間内にシフトされる必要があることに留意されたい。積分動作は、(例えば、SNRを増加させる)振幅及び位相の複数のインスタンスを平均化する効果をもたらす。位相及び振幅値は、I/Q形式から、
形式及び
形式に変換され得ることに留意されたい。
サンプリング、周期T≦T
fにわたっての積分、I/Q形式から
形式及び
形式への変換からなるこの方法は、図3Cの位相比較ブロック255で実施され得る。したがって、ブロック255の設計及び実施形態に応じて、式(5)に基づいた本実施形態の方法、又は本セクションに記載の別の方法のいずれかが使用され得る。
測距信号帯域幅は狭いが、周波数差fn−f1は、比較的大きく、例えば、数メガヘルツのオーダーであってよい。その結果、受信機の帯域幅は、f1:fn測距信号周波数成分の全てが通過するのに十分な幅に保たれる必要がある。この受信機の広帯域幅はSNRに影響を及ぼす。受信機の有効帯域幅を低減し、かつSNRを改善するために、受信した測距信号ベースバンドの周波数成分は、受信したベースバンド測距信号の個々の周波数成分ごとに調整されたデジタル狭帯域フィルタによって、FPGA150内のRFバックエンドプロセッサによってフィルタリングされ得る。しかしながら、この多数のデジタルフィルタ(フィルタの数は個々の周波数成分の数nに等しい)は、FPGAリソースに追加的な負担を与え、コスト、サイズ、及び電力消費を増加させる。
一実施形態では、2つの狭帯域デジタルフィルタのみが使用され、一方のフィルタは、常に周波数成分f1用に調整され、他方のフィルタは、他の全ての周波数成分f2:fn用に調整され得る。測距信号の複数のインスタンスが、マスターによって送信される。各インスタンスは、2つの周波数f1:f2;f1:f3......;fi:fi......;f1:fnのみからなる。同様のストラテジーも可能である。
また、周波数シンセサイザを調整することによって、例えば、KSYNを変更することによって、周波数成分の残りを生成する2つのみに(又は1つにでも)ベースバンド測距信号成分を維持することが全く可能であることに留意されたい。アップコンバータ及びダウンコンバータミキサのLO信号は、ダイレクトデジタル合成(DDS)技術を使用して生成されることが望ましい。高VHF帯周波数では、送受信機/FPGAハードウェアに望ましくない負担を与える可能性がある。しかしながら、より低い周波数では、これは有用なアプローチであり得る。アナログ周波数シンセサイザを使用することもできるが、周波数の変更後に安定するために追加の時間を要する場合がある。また、アナログシンセサイザの場合、アナログシンセサイザの周波数の変更後に発生し得る位相オフセットをキャンセルするために、同一周波数で2つの測定を行う必要がある。
上記の式で使用される実際のT
D_M−AMは、マスター(M)システムクロック及びトランスポンダ(AM)システムクロックの両方で測定され、例えば、T
LB_AM及びt
RTXはトランスポンダ(AM)クロックでカウントされ、T
LB_Mはマスター(M)クロックでカウントされる。しかしながら、2×ΔΦ
F1/F2が両方で計算されるとき、T
LB_AM及びt
RTXはマスター(M)クロックにおいて測定(カウント)される。これにより、以下の誤差が生じる。
位相推定誤差(7)は、精度に影響を及ぼす。したがって、この誤差を最小限に抑えることが必要である。βM=βAMである場合、換言すれば、全てのマスターシステムクロック及びトランスポンダ(タグ)システムクロックが同期している場合、tRTX時間からの寄与分が排除される。
一実施形態では、マスターダユニット(デバイス)及びトランスポンダユニット(デバイス)は、デバイスのうちのいずれかとクロックを同期させることができる。例えば、マスターデバイスは、基準として機能することができる。クロック同期は、リモート制御通信チャネルを使用することによって達成され、それにより、FPGA150の制御下で、温度補償水晶発振器TCXO20の周波数が調整される。周波数差は、選択したトランスポンダデバイスによる搬送波信号の送信中に、マスターデバイスの加算器270の出力において測定される。
その後、マスターは、トランスポンダにコマンドを送信して、TCXO周波数を増減させる。この手順を数回繰り返して、加算器270の出力で周波数を最小化することによって、より高い精度を達成し得る。理想的な場合では、加算器270の出力での周波数がゼロに等しくなるべきであることに留意されたい。別の方法は、周波数差を測定し、トランスポンダのTCXO周波数を調整せずに推定された位相の補正を行うことである。
βM−βAMはかなり低減され得るが、βM≠1のときには位相推定誤差が存在する。この場合、誤差の範囲は、基準デバイス(通常はマスター(M))のクロック発生器の長期安定性に依存する。加えて、クロック同期のプロセスは、かなり長い時間がかかり得る(特に、現場で多数のユニットを用いる場合)。同期プロセスの間、追跡−位置特定システムは部分的又は完全に動作不能になり、システムの準備及び性能に悪影響を及ぼす。この場合、トランスポンダのTCXO周波数調整を必要としない上記の方法が好ましい。
市販の(既製の)TCXO構成要素は、高い精度及び安定性を有する。具体的には、GPS商用アプリケーションのTCXO構成要素は、非常に正確である。これらのデバイスでは、位置特定精度に対する位相誤差の影響は1メートル未満であり得、頻繁なクロック同期を必要としない。
狭帯域測距信号マルチパス軽減プロセッサが、戻された狭帯域測距信号の複素振幅
を取得した後、更なる処理(すなわち、超分解能アルゴリズムの実行)は、マルチパス軽減プロセッサの一部であるソフトウェアベースの構成要素において実施される。このソフトウェア構成要素は、マスター(読取機)ホストコンピュータのCPU及び/又はFPGA150(図示せず)に埋め込まれたマイクロプロセッサにおいて実施され得る。一実施形態では、マルチパス軽減アルゴリズムのソフトウェア構成要素は、マスターホストコンピュータのCPUによって実行される。
超分解能アルゴリズムは、(2π×τK)「周波数」、例えばτK値などを推定する。最終工程では、マルチパス軽減プロセッサは最小値(すなわち、DLOS遅延時間)のτを選択する。
測距信号狭帯域要件がある程度緩和される特定の場合では、DLOSパスは、連続(時間内)チャープを用いることによってMPパスから分離することができる。一実施形態では、この連続チャープは、直線周波数変調(LFM)である。しかしながら、他のチャープ波形も使用され得る。
マルチパス軽減プロセッサの下で、Bの帯域幅及びTの期間を有するチャープが送信されると仮定する。これにより、
ラジアン/秒のチャープ速度が与えられる。複数のチャープが送信され、受信されて戻される。チャープ信号は、各チャープが同一位相で開始され、デジタル的に生成されることに留意されたい。
マルチパスプロセッサでは、それぞれの受信された単一のチャープは、戻されたチャープが対象領域の中心から来るように調整される。
チャープ波形の式は、
であり、式中、ω
0は、0<t<Tの初期周波数である。
単一の遅延往復τ、例えばマルチパスがない場合、戻された信号(チャープ)は、s(t−τ)である。
次いで、マルチパス軽減プロセッサは、当初送信されたチャープとの複合共役の混合を実行することによってs(t−τ)を「脱傾斜(deramp)」する。得られた信号は、以下の複素正弦波である。
式中、exp(−iw
0τ
k)は振幅であり、2βτは周波数であり、0≦t≦Tである。最後の項は位相であり、ごくわずかであることに留意されたい。
マルチパスの場合、合成脱傾斜信号は、以下のように複数の複素正弦波からなる。
式中、Lは、DLOSパスを含む測距信号パスの数であり、0≦t≦Tである。
複数のチャープが送信され、処理される。各チャープは、上記のように個々に取り扱われる/処理される。その後、マルチパス軽減プロセッサは、個々のチャープ処理の結果を以下のように集約する。
式中、Nはチャープの数であり、
であり、ρ=T+t
deadであり、t
deadは、2つの連続するチャープ間のデッドタイムゾーンであり、2βτ
kは、人為的遅延の「周波数」である。ここでも、最も興味深いのは、DLOSパス遅延に対応する最低「周波数」である。
式(10)では、
は、以下の時点における複素正弦波の合計のうちのN個のサンプルであると考えることができる。
したがって、サンプルの数は、Nの倍数、例えばαN;α=1,2,......であり得る。
式(10)から、マルチパス軽減プロセッサは、更なる処理(すなわち、超分解能アルゴリズムの実行)で使用される時間領域においてαN複素振幅サンプルを生成する。この更なる処理は、マルチパス軽減プロセッサの一部であるソフトウェア構成要素において実施される。このソフトウェア構成要素は、マスター(読取機)ホストコンピュータのCPU及び/若しくはFPGA150に埋め込まれたマイクロプロセッサ(図示せず)によって、又はこの両方によって実行され得る。一実施形態では、マルチパス軽減アルゴリズムソフトウェアは、マスターホストコンピュータのCPUによって実行される。
超分解能アルゴリズムは、2βτk「周波数」の推定値、例えばτK値などを生成する。最終工程では、マルチパス軽減プロセッサは最小値、すなわち、DLOS遅延時間のτを選択する。
超分解能アルゴリズムの代わりとして機能することができる「閾値技法」と呼ばれる特殊な処理方法について説明する。換言すると、この方法は、人為的に生成された、合成のより広い帯域測距信号を使用して、他のMPパスからDLOSパスを区別する際の信頼性及び精度を向上させるために使用される。
図1及び図1Aに示す周波数領域のベースバンド測距信号は、以下のように時間領域のベースバンド信号s(t)に変換することができる。
s(t)が周期1/Δtで周期的であり、任意の整数kについてはs(k/Δt)=2N+1であり、信号のピーク値であることが容易に確認される。式中、図1及び図1Aにおいてn=Nである。
図4は、N=11及びΔf=250kHzである場合のs(t)の2つの周期を示す。この信号は、1/Δf=4マイクロ秒で分離された高さ2N+1=23のパルスのシーケンスとして現れる。パルス間は、可変振幅及び2Nのゼロを有する正弦波波形である。信号の広い帯域幅は、高パルスの狭さに起因し得る。帯域幅は、ゼロ周波数からNΔf=2.75MHzにまで及ぶことも分かる。
一実施形態で使用される閾値法の基本概念は、他のMPパスからDLOSパスを区別する際に、人為的に生成された、合成のより広い帯域測距の信頼性及び精度を向上させることである。閾値法は、広帯域パルスの前縁の開始部分が受信機に到着する時点を検出する。送信機及び受信機におけるフィルタリングのために、前縁は瞬時には立ち上がらないが、滑らかに増加する勾配でノイズから抜き出る。前縁のTOAは、前縁が所定の閾値Tを超える時点を検出することによって測定される。
すぐに超えられ、パルスの真の開始と閾値を超える時点との間の誤差遅延τが小さいため、小さい閾値が望ましい。したがって、レプリカの開始がτよりも大きい遅延を有する場合、マルチパスにより到着するいずれのパルスレプリカも影響を及ぼさない。しかしながら、ノイズの存在により、閾値Tをどの程度小さくすることができるかが制限される。遅延τを低減する1つの方法は、パルス自体の代わりに、受信パルスの導関数を使用することである(導関数の方が早く立ち上がるため)。二次導関数は、更により早く立ち上がる。より高次の導関数を使用することができるが、実際には、ノイズレベルを許容できない値まで上昇させ得るため、閾値化された二次導関数が使用される。
図4に示す2.75MHz幅の信号は、かなり広い帯域幅を有するが、上記の方法による範囲測定には好適ではない。この方法は、ゼロ信号の先行部分をそれぞれ有する送信パルスを必要とする。しかしながら、パルス間の正弦波波形が本質的にキャンセルされるように、信号を修正することによって、この目標を達成することが可能である。一実施形態では、高パルス間の選択した間隔で信号に緊密に近似する波形を構築し、次いで元の信号から構築した波形を差し引くことによって行われる。
この技法は、図1の信号に適用することによって示すことができる。波形上に示される2つの黒い点は、第1の2つのパルスの間の中心に置かれた、間隔Iのエンドポイントである。最良の結果を提供するために実験によって決定された間隔Iの左右のエンドポイントは、それぞれ以下のとおりである。
この間隔で信号s(t)を本質的にキャンセルするが、間隔外ではそれほど有害ではない関数g(t)を生成する試みが行われる。式(11)は、s(t)が1/sinπΔftによって変調された正弦波sinπ(2N+1)Δftであることを示すため、最初に、間隔Iで1/sinπΔftに緊密に近似する関数h(t)が見出され、次いでその産物として、g(t)が以下のように形成される。
h(t)は、以下のように合計によって生成される。
式中、
であり、係数α
kは、間隔Iにわたって最小二乗誤差を最小化するように選択される。
その解は、α
kに対してJの偏導関数を取り入れ、ゼロに等しく設定することによって容易に得られる。その結果として、M+1式の線形システムが以下のように得られ、
これは、α
kに対して解くことができ、式中、以下のとおりである。
(12)によって得られる関数φ
k(t)の定義を使用すると、以下のとおりである。
s(t)からg(t)を差し引いて、間隔Iにおいてs(t)を本質的にキャンセルするべき関数r(t)を得る。付属書類に示すように、式(20)での合計の上限Mは、M=2N+1を選択することが適している。この値及び付属書類の結果をすると、以下のとおりである。
式中、以下のとおりである。
式(17)から、所望の信号r(t)を得るために、合計2N+3の周波数(ゼロ周波数のDC項を含む)が必要であることが分かる。図5は、図1に示す元の信号s(t)について得られた信号r(t)を示しており、式中、N=11である。この場合、r(t)を構築するために25の搬送波(DC項b0を含む)が必要である。
上記のように構築されるr(t)の重要な特性は、以下のとおりである。
1.(14)から分かるように、最低周波数はゼロHzであり、最高周波数は(2N+1)ΔfHzである。したがって、全帯域幅は(2N+1)ΔfHzである。
2.全ての搬送波は、周波数
に位置する正弦関数である1つの搬送波を除いて、Δf間隔の余弦関数(DCを含む)である。
3.元の信号s(t)は周期1/Δfを有するが、r(t)は周期2/Δfを有する。r(t)の各周期の前半(s(t)の全周期である)は、信号のキャンセル部分を含み、後半r(t)は、大きく振動する部分である。したがって、先行部分のキャンセルは、s(t)の一周期おきにのみ生じる。
これは、キャンセル関数g(t)が、実際にはs(t)の一周期おきにs(t)を増強するためである。その理由は、g(t)はs(t)の各ピークにおいてその極性を反転させるが、s(t)は反転させないことである。s(t)の周期ごとに、処理利得を3dBずつ増加させるキャンセル部分を含ませる方法を以下に記載する。
4.s(t)のキャンセル部分の長さは1/Δf、の約80〜90%である。したがって、Δfは、マルチパスに起因する、r(t)の以前の非ゼロ部分からの残留信号を全て除去するためにこの長さを十分に長くするように、十分に小さい必要がある。
5.r(t)の各ゼロ部分の直後は、振動部分の第1の周期である。一実施形態では、上記のTOA測定方法では、この周期の前半はTOA、具体的にはその立ち上がりの開始を測定するために使用される。この前半の周期のピーク値(主ピークと呼ばれる)は、ほぼ同一の時点に位置する、対応するs(t)のピークよりも多少大きいことに留意されたい。前半の周期の幅は、NΔfにほぼ反比例する。
6.以下を行うことによって大量の処理利得を達成できる。
(a)信号r(t)を繰り返し使用する。これは、r(t)が周期2/Δfで周期的であるためである。また、後述の方法により、更に3dBの処理利得が可能である。
(b)狭帯域フィルタリング。2N+3の搬送波のそれぞれは狭帯域信号であるため、信号の占有帯域幅は、割り当てられた周波数帯域全体にわたる広帯域信号の帯域幅よりもはるかに小さい。
N=11、Δf=250kHzである、図5に示す信号r(t)の場合、s(t)のキャンセル部分の長さは、約3.7マイクロ秒、つまり1,110メートルである。これは、マルチパスに起因する、r(t)の以前の非ゼロ部分からの残留信号を全て除去するのに十分過ぎるほどである。主ピークは、およそ35の値を有し、先行部分(すなわち、キャンセル)領域における最大の大きさは、主ピークよりも65dB小さい、約0.02である。これは、上記のようにTOA測定閾値技法を使用して良好な性能を得るために望ましい。
より少ない搬送波の使用を図6に示す。この図は、合わせてわずか2N+3=9つの搬送波に対して、Δf=850kHz、N=3、及びM=2N+1=7を使用して生成される信号を示す。この場合、信号の周期は、周期が8マイクロ秒である図5の信号と比較して、わずか
マイクロ秒である。この例は、単位時間当たりでより多くの周期を有するため、より多くの処理利得の達成が期待され得る。
しかしながら、より少ない搬送波が使用されるため、主ピークの振幅は前の約1/3の大きさであり、予想される追加の処理利得をキャンセルする傾向がある。また、ゼロ信号先行部分の長さはより短く、約0.8マイクロ秒、つまり240メートルである。これは、マルチパスに起因する、r(t)の以前の非ゼロ部分からの残留信号を全て除去するのにまだ十分であるはずである。なお、(2N+1)Δf=5.95MHzの合計帯域幅は以前とほぼ同一であり、主ピークの半周期の幅もほぼ同一である。より少ない搬送波が使用されるため、各搬送波が受信機で狭帯域フィルタリングされる場合には、ある程度の追加の処理利得が存在するべきである。更に、先行部分(すなわち、キャンセル)領域における最大の大きさは、ここでは、主ピークよりも約75dB低く、前の例から10dB改善している。
RF周波数での送信:この時点まで、r(t)は、簡略化するために、ベースバンド信号として記載してきた。しかしながら、これはRFに変換され、送信され、受信され、その後、受信機においてベースバンド信号として再構成され得る。説明するために、添え字j(ラジアン/秒周波数は、表記を簡略化するために使用される)を有するマルチパス伝播パスのうちの1つを介して伝播する、ベースバンド信号r(t)の周波数成分ω
kのうちの1つに何が起こるかを検討する。
ここでは、送信機及び受信機は周波数同期されていると仮定する。パラメータbkは、r(t)に対する、式(21)におけるk番目の係数である。パラメータτj及びφjは、j番目の伝播パスのパス遅延及び位相シフト(反射体の誘電特性に起因する)である。パラメータθは、受信機におけるベースバンドへのダウンコンバージョンにおいて生じる位相シフトである。式(21)の正弦成分に対して、同様の一連の関数を提示することができる。
r(t)におけるゼロ信号の先行部分が最大の有意な伝播遅延よりも十分に大きい長さを有する限り、式(20)における最終ベースバンド信号は、依然としてゼロ信号の先行部分を有することに留意することが重要である。当然のことながら、全てのパス(添え字j)にわたる全周波数成分(添え字k)が組み合わされると、受信機におけるベースバンド信号は、全ての位相シフトを含む、r(t)の歪みのあるバージョンとなる。
連続的な搬送波送信及び信号再構成を図1及び図1Aに示す。送信機及び受信機では、時間同期及び周波数同期が行われていると仮定され、2N+3の送信された搬送波は同時に送信される必要はない。一例として、ベースバンドの表現が図1A及び図6の表現である信号の送信を検討する。
図6では、N=3であり、1ミリ秒の9つの周波数成分のそれぞれが順次送信されると仮定する。各周波数送信の開始時間及び終了時間は、受信機において既知であり、そのため、それぞれの時間における各周波数成分の受信を順次開始し、終了することができる。信号伝播時間は、1ミリ秒と比較して非常に短い(通常、意図される用途では数マイクロ秒未満であろう)ため、各受信周波数成分のごく一部は無視されるべきであり、受信機は、容易に消去することができる。
9つの周波数成分を受信するプロセス全体を、9ミリ秒ブロックの追加受信で繰り返して、処理利得を増加させることができる。1秒の総受信時間では、処理利得に使用可能であるこのような9ミリ秒ブロックが約111個ある。更に、各ブロック内には、
の主ピークから使用可能な更なる処理利得が存在する。
概して、信号再構成は、非常に経済的に行われ得、全ての可能な処理利得を本質的に許可することに留意するに値する。2N+3個の受信周波数ごとに、以下を行う。
1.当該周波数の1ミリ秒受信のそれぞれの位相及び振幅を測定して、当該周波数に対応する、一連の記憶されたベクトル(フェーザ)を形成する。
2.当該周波数の記憶されたベクトルを平均化する。
3.最後に、2N+3個の周波数の2N+3個のベクトル平均を使用して、期間2/Δfを有するベースバンド信号の1周期を再構成し、再構成を使用して信号のTOAを推定する。
この方法は、1ミリ秒送信に限定されるものではなく、送信の長さを増減することができる。しかしながら、全送信の総時間は、受信機又は送信機の全ての動作を凍結するのに十分短いはずである。
r(t)の別の半周期でのキャンセル:キャンセル関数g(t)の極性を単に反転させることによって、s(t)のピーク間でのキャンセルが可能である(r(t)は以前に振動していた)。しかしながら、s(t)の全てのピーク間でキャンセルを行うには、受信機において、関数g(t)及びその極性が反転されたバージョンを適用する必要があり、受信機における係数の重み付けを伴う。
受信機における係数の重み付け:所望に応じて、式(21)の係数b
kは、送信機におけるr(t)の構築に使用され、代わりに受信機において導入されてよい。これは、b
kが開始時ではなく最終工程で導入される場合に最終信号が同じである式(20)において、一連の信号を考慮することによって容易に分かる。ノイズを無視すると、値は以下のとおりである。
次に、送信機は、同一振幅を有する全ての周波数を送信することができ、その設計を単純化する。この方法はまた、各周波数においてノイズの重み付けが行われ、その効果を考慮するべきであることに留意するべきである。また、係数の重み付けは、g(t)の極性の反転に影響を及ぼして、使用可能な主ピークの2倍を得るために、受信機において行われるべきであることに留意されたい。
チャネルにおけるΔfの中心周波数へのスケーリング:VHF又はより低い周波数でFCC要件を満たすために、一定のチャネル間隔を有するチャネル形成された送信が必要となる。割り当てられた全帯域と比較して小さい、一定のチャネル間隔を有するチャネル形成された伝送帯域(VHF及びより低い周波数帯域の場合)では、必要に応じて、Δfに対して多少の調整を加えることによって、全ての送信周波数が、元の設計値から著しく性能を変化させることなく、チャネルの中心に位置できるようになる。以前に提示したベースバンド信号の2つの例では、全ての周波数成分がΔf/2の倍数であり、そのため、チャネル間隔がΔf/2を分割する場合、最低のRF送信周波数が、あるチャネルに集中し、他の全ての周波数はチャネルの中心に収まり得る。
一部の無線周波数(RF)ベースの識別、追跡、及び位置特定システムでは、マスターユニット及びタグユニットの両方が、距離測定機能を実行することに加えて、音声、データ、及び制御通信機能も実行する。同様に、一実施形態では、マスターユニット及びタグの両方が、距離測定機能に加えて音声、データ、及び制御通信機能を実行する。
一実施形態によると、測距信号は、マルチパス軽減など広範な高度な信号処理技法の対象となる。しかしながら、これらの技法は、それ自体が音声、データ、及び制御信号に適していないことがある。その結果、提案されるシステム(並びに他の既存のシステム)の動作範囲は、距離を確実かつ正確に測定する能力によってはなく、音声及び/又はデータ及び/又は制御通信中の範囲外であることによって制限され得る。
他の無線周波数(RF)ベースの識別、追跡、及び位置特定システムでは、距離測定機能は、音声、データ、及び制御通信機能から分離されている。これらのシステムでは、別個のRF送受信機が、音声、データ、及び制御通信機能を実行するために使用される。このアプローチの欠点は、システムのコスト、複雑性、サイズなどを増加させることである。
上記の欠点を回避するために、一実施形態では、狭帯域測距信号又はベースバンド狭帯域測距信号のいくつかの個々の周波数成分が、同一のデータ/制御信号で変調され、音声の場合には、デジタル音声パケットデータで変調される。受信機では、最高信号強度を有する個々の周波数成分が復調され、得られた情報の信頼性は、情報冗長性を用いる「投票」又は他の信号処理技法を実行することによって更に向上させることができる。
この方法により「ヌル」現象を回避することができ、複数のパスからの着信RF信号は、DLOSパスと、及び互いに破壊的に結合し、したがって、受信信号強度を著しく低減し、それをSNRと関連付ける。更に、このような方法により、複数のパスからの着信信号がDLOSパスと、及び互いに破壊的に結合し、したがって受信信号強度を増加させ、それをSNRと関連付ける周波数のセットを見出すことができる。
前述したように、スペクトル推定ベースの超分解能アルゴリズムは、概して、同一モデル(周波数の複素指数関数とそれらの複素振幅の線形結合)を使用する。この複素振幅は、上記の式3によって与えられる。
全てのスペクトル推定ベースの超分解能アルゴリズムでは、複素指数関数の数、すなわちマルチパスのパス数を事前に把握する必要がある。複素指数関数のこの数はモデルサイズと呼ばれ、式1〜3に示すようにマルチパス成分Lの数によって決定される。しかしながら、パス遅延を推定するとき(RF追跡−位置特定用途の場合)には、この情報を入手することができない。これのため、超分解能アルゴリズムによるスペクトル推定処理に、別の次元、すなわちモデルサイズ推定が追加される。
モデルサイズが過小評価される場合には、周波数推定の精度が影響を受け、モデルサイズが過大評価される場合には、アルゴリズムが疑似周波数、例えば、存在しない周波数を生成することが示されている(Kei Sakaguchi et al.,Influence of the Model Order Estimation Error in the ESPRIT Based High Resolution Techniques)。AIC(赤池情報量基準)、MDL(最小記述長)などモデルサイズ推定の既存の方法は、信号間の相関性(複素指数関数)に対して高い感度を有する。しかし、RFマルチパスの場合には、これが常に該当する。例えば、前後平滑化アルゴリズムの適用後であっても、常に相関性が残存するであろう。
Sakaguchiの論文では、過大評価モデルを使用し、これらの信号電力(振幅)を推定して、これらの信号電力(振幅)を推定し、次いで、非常に低電力の信号を除去することによって、擬似周波数(信号)から実際の周波数(信号)を弁別することが提案されている。この方法は既存の方法よりも改善されているが、保証されてはいない。本発明者らは、Kei Sakaguchiらの方法を実施し、より大きなモデルサイズを有するより複雑なケースについてシミュレーションを実施した。場合によっては、疑似信号が、実際の信号振幅に非常に近い振幅を有し得ることが観察された。
全てのスペクトル推定ベースの超分解能アルゴリズムは、着信信号の複素振幅データを2つの部分空間、つまりノイズ部分空間及び信号部分空間に分割することによって機能する。これらの部分空間が適切に規定される(分離される)場合、モデルサイズは信号部分空間サイズ(次元)に等しい。
一実施形態では、モデルサイズの推定は、「F」統計値を使用して達成される。例えば、ESPRITアルゴリズムでは、共分散行列の推定値の特異値分解(前方/後方相関平滑化を伴う)は、昇順で順序付けられる。その後、(n+1)固有値をn番目の固有値で除する除算が行われる。この比は、「F」ランダム変数である。最悪の場合は、(1,1)自由度の「F」ランダム変数である。(1,1)自由度を有する「F」ランダム変数の95%信頼区間は161である。この値を閾値として設定することにより、モデルサイズが決定される。また、ノイズ部分空間については、固有値はノイズ電力の推定値を表すことに留意されたい。
固有値の比に「F」統計を適用するこの方法は、より正確な、モデルサイズ推定法である。「F」統計における他の自由度は、閾値計算に使用され、結果的にモデルサイズ推定に使用され得ることに留意されたい。
それにもかかわらず、場合によっては、2つ以上の非常に密接した(時間的に)信号は、実世界測定の欠陥のために、1つの信号に返ることがあり得る。その結果、上記の方法は、信号の数、すなわちモデルサイズを過小評価するであろう。モデルサイズの過小評価は周波数推定精度を低下させるので、特定の数を加えることによってモデルサイズを増大させることが賢明である。この数は、実験によって、及び/又はシミュレーションから決定することができる。しかしながら、信号が密接していない場合、モデルサイズは過大評価されるであろう。
このような場合、疑似、すなわち、存在しない周波数が出現し得る。前述したように、場合によっては、疑似信号は、実際の信号に非常に近い振幅を有することが観察されたため、疑似信号検出用の信号振幅の使用が常に機能するわけではない。したがって、疑似周波数の除去確率を向上させるために、振幅弁別に加えて、フィルタを実装することができる。
超分解能アルゴリズムによって推定される周波数は、人工周波数である(式2)。実際には、これらの周波数は、マルチパス環境の個々のパス遅延である。その結果、負の周波数は存在するべきではなく、超分解能アルゴリズムによって生成される全ての負の周波数は、拒絶されるべき疑似周波数である。
更に、DLOS距離範囲は、超分解能法とは異なる方法を用いて測定中に得られた複素振幅の
値から推定することができる。これらの方法はより低い精度を有するが、このアプローチは、遅延、すなわち周波数の区別に使用される範囲を確立する。例えば、
信号振幅
が最大に近い、すなわちゼロを回避するΔf間隔における比率は、DLOS遅延範囲を提供する。実際のDLOS遅延は、最大で2倍大きく、又は小さくあり得るが、これは、疑似結果を拒絶するのに役立つ範囲を規定する。
本実施形態では、測距信号は往復である。換言すれば、測距信号は、マスター/読取機から標的/スレーブへ、及び標的/スレーブからマスター/読取機に戻るという両方向に移動する。
マスターは、音α×e−jωtを送信し、ωは動作帯域における動作周波数であり、αは音信号振幅である。
標的の受信機では、受信信号(一方向)は以下のとおりである。
式中、Nは、マルチパス環境における信号パスの数であり、K0及びτ
0は、DLOS信号の振幅及び飛行時間であり、
は、正又は負であり得る。
式中、
は、周波数領域における一方向マルチパスRFチャネルの伝達関数であり、A(ω)≧0である。
マスター受信機において、往復信号は以下のとおりである。
又は
一方、式(26)及び(28)から、以下のとおりである。
式中、
は、周波数領域における往復マルチパスRFチャネルの伝達関数である。
式29から、往復マルチパスチャネルは、一方向チャネルマルチパスよりも多くのパスを有する。これは、
の式が、τ
0÷τ
Nパス遅延に加えて、例えば、τ
0+τ
1、τ
0+τ
2.....、τ
1+τ
2、τ
1+τ
3、...、などこれらのパス遅延の組み合わせを含むためである。
これらの組み合わせは、信号の数(複素指数関数)を劇的に増加させる。したがって、非常に密接した(時間的に)信号の確率も増加し、モデルサイズを著しく過小評価すことがある。したがって、一方向マルチパスRFチャネル伝達関数を得ることが望ましい。
一実施形態では、一方向振幅値
は、標的/スレーブデバイスから直接得ることができる。しかしながら、一方向の位相値
を直接測定することはできない。一方向の位相を、往復位相測定値の観測、つまり、
しかしながら、ωの各値については、2つの位相値α(ω)が存在し、以下のようになる。
この曖昧さを解決する詳細な説明を以下に示す。測距信号の異なる周波数成分が互いに近接している場合、大部分について、一方向の位相は、往復位相を2で除することによって見出すことができる。例外は、「ゼロ」に近い領域を含み、位相は、小さい周波数ステップでも有意に変化し得る。注:「ゼロ」現象では、複数のパスからの着信RF信号が、DLOSパスと、及び互いに破壊的に結合し、したがって、受信信号強度を著しく低減し、それをSNRと関連付ける。
h(t)を通信チャネルの一方向のインパルス応答とする。周波数領域における対応する伝達関数は、以下のとおりである。
式中、A(ω)≧0は大きさであり、α(ω)は伝達関数の位相である。一方向のインパルス応答が受信されるときに、同一チャネルを介して再送信されて戻される場合、得られる双方向伝達関数は、以下のとおりである。
式中、B(ω)≧0である。双方向の伝達関数G(ω)が、一部の開周波数区間(ω1,ω2)において全てのωについて既知であると仮定する。G(ω)を生成した(ω1,ω2)で規定された一方向の伝達関数H(ω)を決定することが可能であるだろうか。
双方向の伝達関数の大きさは一方向の大きさの二乗であるため、以下が明らかである。
しかしながら、一方向の伝達関数の位相をG(ω)の観察から復元しようとする場合、状況はより微妙である。ωの各値については、以下になるように2つの位相α(ω)の値が存在する。
異なる周波数ωごとに2つの考えられる位相値のうちの1つを独立して選択することによって、多数の異なる解が生成され得る。
任意の一方向伝達関数が全ての周波数において連続的であると仮定する以下の定理は、この状況を解決するのに役立つ。
定理1:Iを、双方向の伝達関数G(ω)=B(ω)e
jβ(ω)のゼロを含まない周波数ωの開区間とする。
をIにおける連続関数とし、式中、β(ω)=2γ(ω)である。次いで、J(ω)及び−J(ω)は、IでG(w)を生成する一方向伝達関数であり、他には存在しない。
証明:一方向伝達関数の解のうちの1つは、Iで連続的な関数
である。これは、Iで弁別可能であり、式中、β(ω)=2α(ω)である。IではG(ω)≠0であるため、Iでは、H(ω)及びJ(ω)はゼロ以外である。したがって、以下のとおりである。
H(ω)及びJ(ω)は、Iで連続的かつゼロ以外であるため、それらの比はIで連続的であり、したがって、(34)の右側は、Iで連続的である。条件β(ω)=2α(ω)=2γ(ω)は、各ω∈Iについて、πが、0又はα(ω)−γ(ω)のいずれかであることを示唆する。しかしながら、α(ω)−γ(ω)は、(34)の右側に不連続を生じさせることなく、これら2つの値を切り替えることはできない。したがって、全てのω∈Iについてα(ω)−γ(ω)=0である、又は全てのω∈Iについてα(ω)−γ(ω)=πであるのいずれかである。第1のケースではJ(ω)=H(ω)を得、第2のケースではJ(ω)=H(ω)を得る。
この定理は、ゼロ以外の伝達関数G(ω)=B(ω)e
jβ(ω)を含む任意の開区間Iで一方向の解を得るためには、関数
を作成し、J(ω)を連続的にするようにβ(ω)=2γ(ω)を満たすγ(ω)の値を選択することを証明する。この特性、すなわちH(ω)を有する解が存在することが知られているため、これを行うことは常に可能である。
一方向の解を見出す別の手順は、以下の定理に基づいている。
定理2:H(ω)=A(ω)ejα(ω)を一方向の伝達関数とし、IをH(ω)のゼロを含まない周波数ωの開区間とする。その結果、H(ω)の位相関数α(ω)は、Iにおいて連続的でなければならない。
証明:ω
0を、区間Iの周波数とする。図7では、複素数値H(ω
0)は、複素平面内の点として、仮説H(ω
0)≠0によって描かれている。H(ω
0)を任意の小実数とし、図7に示す2つの測定値εの角度、並びにε>0を中心とし、2つの半直線OA及びOBに接する円を検討する。仮定により、全てのωについてH(ω)は連続的である。したがって、ωが十分にω
0近い場合、複素数値H(ω)は円内にあり、
であることが分かる。ε>0は任意に選択されたため、α(ω)→α(ω
0)をω→ω
0と結論付け、したがって位相関数α(ω)はω
0において連続的である。
定理3:Iを、双方向の伝達関数G(ω)=B(ω)e
jβ(ω)のゼロを含まない周波数ωの開区間とする。
をIにおける関数とし、式中、β(ω)=2γ(ω)及びγ(ω)はIにおいて連続的である。次いで、J(ω)及び−J(ω)は、IでG(ω)を生成する一方向伝達関数であり、他には存在しない。
証明:証明は、定理1の証明と同様である。一方向の伝達関数の解のうちの1つが関数
(式中、β(ω)=2α(ω)である)であることは既知である。IではG(ω)≠0であるため、Iでは、H(ω)及びJ(ω)はゼロ以外である。したがって、以下のとおりである。
仮説により、γ(ω)は、Iにおいて連続的であり、定理2により、α(ω)もIにおいて連続的である。したがって、α(ω)−γ(ω)は、Iにおいて連続的である。条件β(ω)=2α(ω)=2γ(ω)は、各ω∈Iについて、πが、0又はα(ω)−γ(ω)のいずれかであることを示唆する。しかしながら、α(ω)−γ(ω)は、これらの2つの値の間では、Iで不連続になることなく2つの値の間を切り替えることはできない。したがって、全てのω∈Iについてα(ω)−γ(ω)=0である、又は全てのω∈Iについてα(ω)−γ(ω)=πであるのいずれかである。第1のケースではJ(ω)=H(ω)を得、第2のケースではJ(ω)=−H(ω)を得る。
定理3は、ゼロ以外の伝達関数G(ω)=B(ω)e
jβ(ω)を含む任意の開区間Iで一方向の解を得るためには、単に関数
を作成し、位相関数γ(ω)を連続的にするようにβ(ω)=2γ(ω)を満たすγ(ω)の値を選択するだけでよいことを証明する。この特性、すなわちH(ω)を有する解が存在することが知られているため、これを行うことは常に可能である。
上記の定理は、双方向関数G(ω)を生成する2つの一方向伝達関数を再構成する方法を示すが、これらはG(ω)のゼロを含まない周波数区間Iのみで有用である。概して、G(ω)はゼロを含有し得る周波数区間(ω1,ω2)で観察されるであろう。以下は、(ω1,ω2)中に有限数のG(ω)のゼロのみが存在し、一方向の伝達関数は(ω1,ω2)の全ての次数の導関数を有し、その全てが任意の所与の周波数ωにおいてゼロではないと仮定して、この問題を解決し得る方法である。
(H)ωを、区間(ω1,ω2)でG(ω)を生成する一方向の関数であるとし、G(ω)が(ω1,ω2)において少なくとも1つのゼロを有すると仮定する。G(ω)のゼロは、(ω1,ω2)を有限数の隣接する開周波数区間J1,J2,...,Jnに分ける。このような各区間において、解(H)ω又は−(H)ωは、理論1又は理論3のいずれかを使用して見出される。これらの解は「まとめる」必要があり、まとめた解が、(ω1,ω2)の全てについて、(H)ω又は−(H)ωのいずれかである。これを行うために、ある部分区間から次の部分区間に移動する際に(H)ωから−(H)ωに、又は−(H)ωから(H)ωに切り替えないように、2つの隣接する部分区間で解を対にする方法を知る必要がある。
第1の2つの隣接する開部分区間J1及びJ2から開始する、まとめの手順を示す。これらの部分区間は、G(ω)のゼロである周波数ω1で当接するだろう(当然のことながら、ω1はいずれの部分区間に含まれない)。一方向の伝達関数の特性関する上記の仮定により、H(n)(ω1)≠0であるように最小の正の整数nが存在しなければならず、式中、上付き文字(n)はn番目の導関数を示す。次に、左からのω→ω1としてのJ1における一方向の解のn番目の導関数の極限は、J1での解がH(ω)又は−H(ω)であるかに従って、H(n)(ω1)又は−H(n)(ω1)のいずれかである。同様に、右からのω→ω1としてのJ2における一方向の解のn番目の導関数の極限は、J2での解がH(ω)又は−H(ω)であるかに従って、H(n)(ω1)又は−H(n)(ω1)のいずれかである。H(n)(ω1)≠0であるため、2つの極限値は、J1及びJ2の解が両方ともH(ω)である、又は両方とも−H(ω)である場合、かつその場合に限り等しいであろう。左側及び右側の極限値が等しくない場合は、部分間隔J2において解を反転させる。そうではない場合には、反転させない。
(必要に応じて)解を部分区間J2において反転させた後、部分区間J2及びJ3についても同一の手順を行い、(必要に応じて)部分区間J3において解を反転させる。このように続行して、最終的に、区間(ω1,ω2)で完全な解を構築する。
ノイズの存在下での正確な計算は困難であるため、上記の再構成手順においては、H(ω)の高次導関数は必要とされないことが望ましい。この問題は、G(ω)のいずれのゼロにおいてもH(ω)の一次導関数がゼロ以外である可能性が高く、そうではない場合でも、二次導関数がゼロ以外である可能性が非常に高いため、この問題は生じにくい。
実際のスキームでは、2方向の伝達関数G(ω)は離散周波数において測定され、これらの周波数は、ゼロ付近の導関数G(ω)をかなり正確に計算可能にするために十分に近接している必要がある。
RFベースの距離測定では、推測的に既知の形状を有する測距信号の、未知の数の密接した、重複する、及びノイズが多いエコーを解決する必要がある。測距信号が狭帯域であると仮定すると、周波数領域において、このRF現象は、マルチパス成分ごとの多数の正弦波の合計として、また、それぞれがパスの複素減衰及び伝播遅延を有するものとして説明することができる。
上記のフーリエ変換を行うと、合計は、時間領域におけるこのマルチパスモデルを表す。この時間領域の表現において、時間変数と周波数変数の役割を交換すると、このマルチパスモデルは、パスの伝播遅延が高調波信号に変換される高調波信号スペクトルとなる。
超(高)分解能スペクトル推定法は、スペクトル内の密集した周波数を区別するように設計され、複数の高調波信号、例えば、パス遅延の個々の周波数を推定するために使用される。その結果、パス遅延を正確に推定することができる。
超分解能スペクトル推定は、ベースバンド測距信号サンプルの共分散行列の固有構造及び共分散号列の固有特性を使用して、個々の周波数、例えば、パス遅延の根底にある推定に解をもたらす。固有構造特性の1つは、固有値を組み合わせて、その結果、直交ノイズ及び信号固有ベクトル(別名、部分空間)に分割できることである。別の固有構造特性は、回転不変の信号部分空間特性である。
部分空間分解技術(MUSIC、rootMUSIC、ESPRITなど)は、観測されたデータの推定共分散行列を、2つの直交する部分空間、つまりノイズ部分空間、及び信号部分空間に分割することに依存する。部分空間分解法の背後にある理論は、ノイズ部分空間へのオブザーバブルの投影はノイズのみからなり、信号部分空間へのオブザーバブルの投影は信号のみからなるというものである。
スペクトル推定法は、信号が狭帯域であり、高調波信号の数も既知であり、すなわち、信号部分空間の大きさを知る必要があると仮定する。信号部分空間のサイズは、モデルサイズと呼ばれる。概して、その詳細を全く知ることはできず、環境が変化するにつれて(特に屋内において)急速に変化し得る。いずれの部分空間分解アルゴリズムを適用するときにおいても最も困難かつ微妙な問題のうちの1つは、存在する周波数成分の数と見なされ得る信号部分空間の次元であり、これは、マルチパス反射にダイレクトパスを加えたものである。実際の測定に欠点があるために、モデルサイズ推定には常に誤差が存在し、その結果、周波数推定、すなわち距離の精度が低下する。
距離の測定精度を改善するために、一実施形態は、部分空間分解の高解像度推定の最先端の方法を進化させる6つの特徴を含む。遅延パス決定の曖昧性を更に低減する、異なる固有構造特性を使用することによって、個々の周波数を推定する2つ以上のアルゴリズムを組み合わせることが含まれる。
Root Musicは、オブザーバブルがノイズ部分空間に投影されるときに、投影のエネルギーを最小化する。Espritアルゴリズムは、回転演算子から個々の周波数を決定する。多くの点では、この演算は、オブザーバブルが信号部分空間に投影されるときに、投影のエネルギーを最大化する周波数を見出すという点で、Musicの共役である。
モデルサイズは、これらの両アルゴリズムにとって重要であり、実際には、屋内測距で見られるような複雑な信号環境において、Music及びEspritに最高の性能を提供するモデルサイズは、以下に記載する理由のために、概して等しくない。
Musicについては、分解の基本要素を「信号固有値」(I型誤差)として識別し過ぎて失敗することが好ましい。これにより、ノイズ部分空間に投影される信号エネルギーの量を最小化し、精度を向上させる。Espritについては、その反対である。「ノイズ固有値」として分解の基本要素を識別し過ぎて失敗することが好ましい。これも、I型誤差である。これにより、信号部分空間に投影されるエネルギーに対するノイズの影響を最小限に抑える。したがって、Musicのモデルサイズは、概して、Espritのモデルサイズよりも幾分大きい。
第2に、複雑な信号環境では、強力な反射が存在し、ダイレクトパスがマルチパス反射の一部よりもはるかに弱い可能性があるため、十分な統計的信頼性のあるモデルサイズを推定することが困難な場合が生じる。この問題は、Music及びEspritの両方について「ベース」モデルサイズを推定し、それぞれについてベースモデルサイズによって定義されたモデルサイズのウィンドウ内でMusic及びEspritを使用してオブザーバブルデータを処理することによって対処される。これにより、測定ごとに複数の測定が行われる。
本実施形態の第1の特徴は、モデルサイズの推定にF統計値を使用することである(上記を参照)。第2の特徴は、Music及びEspritのF統計値において異なるI型誤差確率を使用することである。これは、上記のように、MusicとEspritとの間にI型誤差を導入する。第3の特徴は、ダイレクトパスの検出確率を最大化するために、ベースモデルサイズ及びウィンドウを使用することである。
物理的環境及び電子環境は急速に変化する可能性があるため、全ての測定値が確固たる答えを提供するわけではない。これは、複数の測定値でクラスタ分析を使用して確固たる答えを提供することによって対処される。本実施形態の第4の特徴は、複数の測定値を使用することである。
複数の信号が存在するため、Music及びEspritの両方の実施からの複数のモデルサイズをそれぞれ使用して、複数の測定値から得られた複数の答えの確率分布は、多峰性である。本出願では、従来のクラスタ分析はこの用途に十分ではない。第5の特徴は、多峰性クラスタ分析を行って、反射されたマルチパス成分の直接範囲及び対等範囲を推定することである。第6の特徴は、クラスタ分析によって提供される範囲推定値の統計(範囲及び標準偏差を分析し、統計的に同一であるこれらの推定値を組み合わせることである。これにより、より正確な範囲を推定できる。
上記の方法は、また、広帯域測距信号位置検出システムでも使用することができる。
閾値法におけるr(t)を導出するために、式(20)から開始して以下を得る。
ただしα
0を除いて、偶数kに対する係数α
kはゼロである。この理由は、区間Iにおいて、h(t)によって近似させようとしている関数1/sinπΔftは、Iの中心の周囲で偶数であるが、偶数k(k≠0)の基底関数sinkπΔftは、Iの中心の周囲で奇数であるため、Iで1/sinπΔftに直交する。したがって、k=2n+1と置き換えることができ、Mを正の奇数とする。実際には、M=2N+1とする。この選択は、区間Iにおける振動の相当量をキャンセルするように実験によって決定されている。
ここで、第1の積算でk=N−nの置き換えを行い、第2の積算でk=N+n+1の置き換えを行う。
s(t)からg(t)を減じると以下のとおりとなる。
本実施形態は、従来の技術の短所のうちの1つ以上を実質的に取り除く、無線通信及び他の無線ネットワークにおける測位/位置特定のための方法に関する。本実施形態は、米国特許第7,872,583号に記載されているマルチパス軽減プロセス、技法、及びアルゴリズムを用いることによって、複数種類の無線ネットワーク内での追跡及び位置特定機能の精度を有利に改善する。これらの無線ネットワークとしては、ZigBee及びBluetoothなどのワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPGAN)、WiFi及びUWBなどワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、典型的には複数のWLANからなり、WiMaxが主な例であるワイヤレスメトロポリタンネットワーク(WMAN)、ホワイトスペースTV帯などワイヤレスワイドエリアネットワーク(WAN)、及び典型的には音声及びデータの送信に使用されるモバイルデバイスネットワーク(MDN)が挙げられる。MDNは、典型的には、Global System for Mobile Communications(GSM)規格及びPersonal Communications Service(PCS)規格に基づいている。より最近のMDNは、ロングタームエボリューション(LTE)規格に基づいている。これらの無線ネットワークは、典型的には、基地局、デスクトップ、タブレット及びラップトップコンピュータ、ハンドセット、スマートフォン、アクチュエータ、専用タグ、センサ、並びに他の通信及びデータデバイス(概して、これらのデバイスは全て、「無線ネットワークデバイス」と称する)などデバイスの組み合わせからなる。
既存の位置及び測位情報ソリューションは、GPS、AGPS、携帯電話用中継塔の三角測量(Cell Phone Tower Triangulation)、及びWi−Fiなど複数の技術及びネットワークを使用する。この位置情報を導出するために使用される方法の一部としては、RFフィンガープリンティング、RSSI、及びTDOAが挙げられる。現在のE911要件では許容可能であるが、既存の位置特定及び測距方法は、今後のE911要件、並びにLBS及び/又はRTLS適用要件(特に屋内環境及び都市環境)のサポートに必要とされる信頼性及び精度を有さない。
米国特許第7,872,583号に記載されている方法は、単一の無線ネットワーク又は複数の無線ネットワークの組み合わせ内の標的デバイスを正確に位置特定し、追跡する能力を著しく改善する。この実施形態は、DL−OTDOA(ダウンリンクOTDOA)、U−TDOA、UL−TDOAなど、拡張セルID及びOTDOA(観測到来時間差)を使用する無線ネットワークによって使用される追跡方法及び位置特定方法の既存の実施形態に対する有意な改善である。
セルID位置特定技法は、特定のセクタカバレッジエリアの精度でユーザ(UE、ユーザ機器)の位置を推定することを可能にする。したがって、達成可能な精度は、セル(基地局)のセクタ化スキーム及びアンテナビーム幅に依存する。精度を向上させるために、拡張セルID技法は、eNBからRTT(ラウンドトリップタイム)測定値を追加する。注:RTTはダウンリンクDPCH(専用物理チャネル)(DPDCH)/DPCCH(専用物理データチャネル/専用物理制御チャネル)フレームの送信と、対応するアップリンクリンク物理フレームの開始との差を構成する。この場合、上記フレームは測距信号として作用する。この信号がeNBからUEに伝播するまでの時間の情報に基づいて、eNBからの距離が計算され得る(図10を参照)。
観測到来時間差(OTDOA)技法では、隣接する基地局(eNB)から到来する信号の到来時間が計算される。3つの基地局からの信号が受信されると、UE位置は、ハンドセット内(UEベースの方法)又はネットワーク内(NTベースの、UEを利用する方法)で推定され得る。測定された信号はCPICH(共通パイロットチャネル)である。信号の伝播時間は、局所的に生成されたレプリカと相関する。相関のピークは、測定された信号の観測伝播時間を示す。2つの基地局間の到来時間差値は、双曲線を決定する。2つの超音波を画定するために、少なくとも3つの基準点が必要である。UEの位置は、これら2つの双曲線の交点にある(図11を参照)。
アイドル周期ダウンリンク(IPDL)は、更にOTDOAを改善する。OTDOA−IPDL技法は、アイドル周期に得られる、通常のOTDOA時間測定値と同じ測定値に基づくものであり、サービングeNBはその送信を中止し、このセルのカバレッジ内のUEが遠くのeNBから到来するパイロットを聴取できるようにする。サービングeNBは、連続モード又はバーストモードでアイドル周期を提供する。連続モードでは、1つのアイドル周期が、全てのダウンリンク物理フレーム(10ms)に挿入される。バーストモードでは、アイドル期間は擬似ランダム方式で発生する。更なる改善は、時間整合IPDL(TA−IPDLL)によって得られる。時間整合は共通アイドル周期を生成し、この周期中、各基地局は、その送信を停止するか、又は共通パイロットを送信する。パイロット信号測定は、アイドル周期に行われる。DL OTDOA−IPDL法を更に強化し得る他の技法、例えば、累積仮想ブランキング(Cumulative Virtual Blanking)、UTDOA(アップリンクTDOA)などがいくつか存在する。これらの技法は全て、他の(非サービング)eNBを聴取する能力を改善する。
OTDOAベースの技法の1つの重大な欠点は、この方法が実行可能であるために、基地局のタイミング関係が既知であるか、又は測定(同期)される必要があることである。非同期UMTSネットワークでは、3GPP規格が、このタイミングの復元法を提案している。しかしながら、ネットワーク事業者は、そのようなソリューションを実施していない。その結果、CPICH信号測定値の代わりにRTT測定値を使用する代替案が提案された(米国特許出願第20080285505号、John Carlsonらの「SYSTEM AND METHOD FOR NETWORK TIMING RECOVERY IN COMMUNICATIONS NETWORKS」を参照)。
上記の全ての方法/技法は、地上波信号の到来時間及び/又は到来時間差の測定値(RTT、CPICHなど)に基づいている。このような測定値の問題は、これらがマルチパスによって深刻に影響を受けることである。これは、ひいては、上記の方法/技法の位置特定/追跡精度を低下させる(Jakub Marek Borkowski:Performance of Cell ID+RTT Hybrid Positioning Method for UMTSを参照)。
あるマルチパス軽減技法は、過剰な数のeNB又は無線基地局(RBS)からの検出値/測定値を用いる。最小値は3であるが、マルチパス軽減では、必要とされるRBSの数は少なくとも6〜8である(「METHOD AND ARRANGEMENT FOR DL−OTDOA(DOWNLINK OBSERVED TIME DIFFERENCE OF ARRIVAL)POSITIONING IN A LTE(LONG TERM EVOLUTION)WIRELESS COMMUNICATIONS SYSTEM」、国際公開第2010/104436号を参照)。しかし、この多数のeNBからのUE聴取の確率は、3個のeNBよりもはるかに低い。これは、多数のRBS(eNB)ではUEから遠く離れているものがいくつか存在し、これらのRBSから受信した信号はUE受信機感度レベルを下回るか、又は受信信号が低いSNRを有するためである。
RF反射(例えば、マルチパス)の場合、様々な遅延時間を有するRF信号の複数のコピーがDLOS(直接見通し線)信号に重畳される。CPICH、アップリンクDPCCH/DPDCH、及びRTT測定など様々なセルID及びOTDOA法/技法で使用される他の信号は、限定された帯域幅の信号であるため、DLOS信号及び反射信号は、適切なマルチパス処理/軽減を行わなければ弁別され得ない。また、このマルチパス処理を伴わない場合、これらの反射信号は、RTT測定値など、推定到来時間差(TDOA)及び到来時間(TOA)測定値における誤差を誘発する。
例えば、3G TS25.515 v.3.0.0(199−10)規格は、RTTを「....ダウンリンクDPCHフレーム(信号)の送信と、UEからの対応するアップリンクDPCCH/DPDCHフレーム(信号)の開始(第1の有意なパス)の受信との間の差」として定義している。この規格は、この「第1の有意なパス」を何が構成するかを定義していない。この規格は、「第1の有意なパスの定義は更なる精緻化を必要とする」と続いている。例えば、重度のマルチパス環境では、第1の有意なパスであるDLOS信号が、1つ以上の反射信号に対して著しく減衰(10dB〜20dB)される状況が頻繁に発生する。「第1の有意なパス」が信号強度の測定によって決定される場合、それは、DLOS信号ではなく、反射信号のうちの1つであり得る。これにより、誤差を含むTOA/DTOA/RTT測定値及び位置特定精度の低下がもたらされる。
従来の無線ネットワーク世代では、位置特定精度は、位置特定法で使用されるフレーム(信号)、つまりRTT信号、CPCIH信号、及び他の信号の低サンプリングレートの影響を受けた。現在の第3世代以降の無線ネットワーク世代は、はるかに高いサンプリングレートを有する。その結果、これらのネットワークでは、位置特定精度への実際の影響は、地上のRF伝播現象(マルチパス)によるものである。
本実施形態は、単信動作モード、半二重動作モード、及び全二重動作モードを含む、基準信号及び/若しくはパイロット信号、並びに/又は同期信号を用いる全ての無線ネットワークで使用され得る。例えば、本実施形態は、OFDM変調及び/又はその導関数を用いる無線ネットワークで動作する。したがって、本実施形態はLTEネットワークで動作する。
また、WiMax、WiFi、及びホワイトスペースなど他の無線ネットワークにも適用可能である。基準信号及び/若しくはパイロット信号又は同期信号を使用しない他の無線ネットワークは、米国特許第7,872,583号に記載されているように以下の別のタイプの変調の実施形態のうちの1つ以上を用いてよい:1)米国特許第7,872,583号に記載されているように、フレームの一部が測距信号/測距信号要素専用である;2)測距信号要素(米国特許第7,872,583号)が、送信/受信信号フレームに埋め込まれている;及び3)測距信号要素(米国特許第7,872,583号に記載)が、データに埋め込まれている。
これらの代替実施形態は、米国特許出願公開第7,872,583号に記載されているマルチパス軽減プロセッサ、及びマルチパス軽減技術/アルゴリズムを用い、全ての動作モード(単信、半二重、及び全二重)で使用され得る。
複数の無線ネットワークが同時に、好ましい及び/又は代替の実施形態を利用する可能性も高い。例として、スマートフォンは、Bluetooth、WiFi、GSM、及びLTE機能を有することができ、複数ネットワーク上で同時に動作することができる。アプリケーション需要及び/又はネットワークの可用性に応じて、異なる無線ネットワークを利用して、測位/位置特定情報を提供することができる。
提案される実施形態の方法及びシステムは、無線ネットワークの基準/パイロット及び/又は同期信号を活用する。更に、基準/パイロット信号/同期信号の測定は、RTT(ラウンドトリップタイム)測定又はシステムタイミングと組み合わされてよい。一実施形態によると、RFベースの追跡及び位置特定は、3GPP LTEセルラーネットワーク上で実施されるが、様々なシグナリング技法を用いる他の無線ネットワーク上で、例えば、WiMax、Wi−Fi、LTE、センサネットワーク上などで実施され得る。両方の例示的な上記の代替実施形態は、米国特許第7,872,583号に記載されているマルチパス軽減法/技法及びアルゴリズムを用いる。提案されるシステムは、ソフトウェアによるデジタル信号処理を使用することができる。
本実施形態のシステムは、ユーザ機器(UE)、例えば、携帯電話又はスマートフォン、ハードウェア/ソフトウェア、並びに基地局(ノードB)/拡張基地局(eNB)ハードウェア/ソフトウェアを活用する。基地局は、概して、フィーダによってアンテナに接続されたキャビン又はキャビネット内の送信機及び受信機からなる。これらの基地局としては、マイクロセル、ピコセル、アンブレラセル、携帯電話用中継塔、ルータ、及びフェムトセルが挙げられる。その結果、UEデバイス及びシステム全体において、追加コストがほとんど又は全く発生しない。同時に、位置特定精度が著しく改善される。
改善された精度は、本実施形態及び米国特許第7,872,583号によってもたらされるマルチパスの軽減に由来する。本実施形態は、マルチパス軽減アルゴリズム、ネットワーク基準/パイロット、及び/又は同期信号、並びにネットワークノード(eNB)を使用する。これらは、RTT(ラウンドトリップタイム)測定値で補足されてよい。マルチパス軽減アルゴリズムは、UE及び/若しくは基地局(eNB)、又はUE及びeNBの両方で実施される。
本実施形態は、DLOS信号が1つ以上の反射信号に対して著しく減衰される(10dB〜20dB低い)場合であっても、DLOS信号と反射信号とを分離できるようにするマルチパス軽減プロセッサ/アルゴリズム(米国特許第7,872,583号を参照)を有利に使用する。したがって、本実施形態は、推定された測距信号のDLOS飛行時間、その結果としてTOA、RTT、及びDTOA測定値における誤差を著しく低下させる。提案されるマルチパス軽減及びDLOS弁別(認識)法は、全てのRF帯及び無線システム/ネットワーク上で使用され得る。また、DSS(直接拡散スペクトル)及びFH(周波数ホッピング)など拡散スペクトル技法を含む様々な変調/復調技法をサポートすることができる。
加えて、本方法の精度を更に改善するために、ノイズ低減法を適用することができる。これらのノイズ低減法としては、限定するものではないが、コヒーレント加算、非コヒーレント加算、整合フィルタリング、時間ダイバーシティ技法などが挙げられる。マルチパス干渉誤差の残部は、最尤推定(例えば、ビタビアルゴリズム)、最小分散推定(カルマンフィルタ)など後処理技法を適用することによって、更に低減することができる。
本実施形態では、マルチパス軽減プロセッサ及びマルチパス軽減技法/アルゴリズムは、RTT、CPCIH、並びに他の信号及び/又はフレームを変更しない。本実施形態は、チャネル応答/推定を取得するために使用される無線ネットワークの基準、パイロット、及び/又は同期信号を活用する。本発明は、UE及び/又はeNBによって生成されるチャネル推定統計を使用する(Iwamatsuらの米国特許出願公開第2003/008156号(「APPARATUS FOR ESTIMATING PROPAGATION PATH CHARACTERISTICS」)、米国特許第7167456 (B2)号を参照)。
LTEネットワークは、全てのダウンリンクサブフレーム及びアップリンクサブフレームで送信される、特定の(非データ)基準/パイロット、及び/又は同期信号(既知の信号)を使用し、セル帯域幅全体に及ぶことがある。簡略化するために、以降では、基準/パイロット及び同期信号を基準信号と称することにする。LTE基準信号の一例は図9である(これらの信号はLTEリソース要素間に散在する)。図9から、基準信号(シンボル)が6副搬送波ごとに送信される。更に、基準信号(シンボル)は、時間及び周波数の両方において交互になっている。全体では、基準信号は、3副搬送波ずつを対象としている。
これらの基準信号は、UEによる初期セル検索、ダウンリンク信号強度測定、スケジューリング及びハンドオーバーなどに使用される。基準信号には、コヒーレント復調のためのチャネル推定(応答判定)に使用されるUE固有の基準信号が含まれる。UE固有の基準信号に加えて、他の基準信号もチャネル推定のために使用されてよい(Chenらの米国特許出願公開第2010/0091826(A1)号を参照)。
LTEは、OFDM(直交周波数分割多重)変調(技法)を用いる。LTEでは、マルチパスによって引き起こされるISI(シンボル間干渉)は、各OFDMシンボルの開始時にサイクリックプレフィックス(CP)を挿入することによって処理される。CPは、前のOFDMシンボルの遅延反射信号が次のOFDMシンボルに到達する前に消えるように、十分な遅延を提供する。
OFDMシンボルは、複数の非常に密接した副搬送波からなる。OFDMシンボルの内側では、(マルチパスによって生じた)現在のシンボルの時間差コピーが、搬送波間干渉(ICI)をもたらす。LTEでは、マルチパスチャネル応答を判定し、受信機内でチャネル応答を補正することによって、ICIが処理(軽減)される。
LTEでは、マルチパスチャネル応答(推定)は、受信機において、基準シンボルを運ぶ副搬送波から計算される。残りの副搬送波でのチャネル応答を推定するためには、補間が使用される。チャネル応答は、チャネル振幅及び位相の形式で計算(推定)される。(既知の基準信号の周期的送信によって)チャネル応答が決定されると、マルチパスによって生じるチャネル歪みは、副搬送波ごとに振幅及び位相シフトを適用することによって軽減される(Jim Zyren,Overview of the 3GPP Long Term Evolution Physical Layer,white paperを参照)。
LTEマルチパス軽減は、(サイクリックプレフィックスを挿入することによって)ISIを除去するように設計されているが、反射信号からDLOS信号を分離するようには設計されていない。例えば、現在のシンボルの時間差コピーは、変調された各副搬送波信号を時間的に広げ、したがってICIを生じさせる。上記のLTE技法を使用したマルチパスチャネル応答の補正は、変調された副搬送波信号を時間的に短縮させるが、このタイプの補正は、得られる変調された副搬送波信号(OFDMシンボルの内側)がDLOS信号であることを保証するものではない。DLOS変調副搬送波信号が遅延反射信号に対して著しく減衰される場合、得られる出力信号は遅延反射信号であり、DLOS信号は失われる。
LTEに準拠した受信機では、更なる信号処理はDFT(デジタルフーリエ変換)を含む。DFT技法では、信号及び/又はチャネル帯域幅に反比例する時間以上の長さの時間遅延する信号のコピーのみを解決(除去)できることが周知である。この方法の精度は、効率的なデータ転送に十分であり得るが、重度のマルチパス環境における正確な距離測定には十分に正確ではない。例えば、30メートルの精度を達成するために、信号及び受信機チャネル帯域幅は、10メガヘルツ(1/10MHz=100ns)以上であるべきである。より良好な精度を得るためには、信号及び受信機チャネル帯域幅はより広く、3メートルに対して100メガヘルツでなくてはいけない。
しかしながら、CPICH、アップリンクDPCCH/DPDCH、様々なセルID及びRTT測定などOTDOA法/技法で使用される他の信号、並びにLTE受信信号の副搬送波は、10メガヘルツより著しく低い帯域幅を有する。その結果、(LTEにおいて)現在用いられている方法/技法では、100メートルの範囲内で位置特定誤差が生じるであろう。
上記の制約を克服するために、本実施形態は、部分空間分解高分解能スペクトル推定法の実施とマルチモーダルクラスタ分析の実施という固有の組み合わせを使用する。この分析及び関連するマルチパス軽減方法/技法及びアルゴリズムは、米国特許第7,872,583号に記載されており、他の反射信号パスからDLOSパスを確実かつ正確に分離できるようにする。
LTEで使用される方法/技法と比較して、重度のマルチパス環境において、この方法/技法及びアルゴリズム(米国特許第7,872,583号)は、他のマルチパス(MP)パスからDLOSパスを確実かつ正確に分離することにより、距離測定の精度を20倍〜50倍改善する。
米国特許第7,872,583号に記載されている方法/技法及びアルゴリズムは、測距信号の複素振幅推定を必要とする。したがって、チャネル推定(応答判定)に使用されるLTE基準信号、並びに他の基準信号(パイロット信号及び/又は同期信号など)も、米国特許第7,872,583号に記載されている方法/技法及びアルゴリズムにおける測距信号として解釈され得る。この場合、測距信号の複素振幅は、振幅及び位相の形態でLTE受信機によって計算(推定)されるチャネル応答である。換言すれば、LTE受信機によって計算される(推定される)チャネル応答統計は、米国特許第7,872,583号に記載されている方法/技法及びアルゴリズムで要求される複素振幅情報を提供することができる。
マルチパスを含まない理想的な屋外RF伝播環境では、受信信号(測距信号)、例えばチャネル応答位相の位相変化は、信号の周波数(直線)に正比例することになり、このような環境におけるRF信号の飛行時間(伝播遅延)は、位相対周波数依存性の一次導関数を計算することによって、位相対周波数依存性から直接計算することができる。結果は伝播遅延定数である。
この理想的な環境では、初期(又は任意の)周波数における絶対位相値は、導関数が位相絶対値によって影響されないために重要ではない。
重度のマルチパス環境では、受信信号の位相変化対周波数は複雑な曲線(直線ではない)であり、一次導関数は、他の反射信号パスからDLOSパスを正確に分離するために使用され得る情報を提供しない。これが、米国特許第7,872,583号に記載されているマルチパス軽減プロセッサ及び方法/技法及びアルゴリズムを用いる理由である。
所与の無線ネットワーク/システムで達成される位相及び周波数同期(位相コヒーレンシー)が非常に良好である場合、米国特許第7,872,583号に記載されているマルチパス軽減プロセッサ及び方法/技法及びアルゴリズムは、他の反射信号パスからDLOSパスを正確に分離し、このDLOSパス長(飛行時間)を決定するだろう。
この位相コヒーレントネットワーク/システムでは、追加測定は不要である。換言すれば、一方向の測距(単信測距)を実現することができる。
しかしながら、所与の無線ネットワーク/システムで達成される同期の程度(位相コヒーレンシー)が十分に正確ではない場合、重度のマルチパス環境では、受信信号の位相及び振幅変化対周波数は、2つ以上の異なる位置(距離)で実施される測定に極めて類似し得る。この現象は、受信信号のDLOS距離(飛行時間)の決定における曖昧性をもたらし得る。
この曖昧性を解決するためには、少なくとも1つの周波数の実際の(絶対)位相値を知る必要がある。
しかしながら、LTE受信機によって計算される振幅及び位相対周波数依存性は、全ての振幅及び位相値が、例えば互いに対してダウンリンク/アップリンク基準信号から計算されるため、実際の位相値を含まない。したがって、LTE受信機によって算出される(推定される)チャネル応答の振幅及び位相は、少なくとも1つの周波数(副搬送波周波数)において実際の位相値を必要とする。
LTEでは、この実際の位相値は、1つ以上のRTT測定値、TOA測定値から決定され得る。又は
1)これらの信号をeNBによって送信するこれらのタイムスタンプが、受信機においても既知である(又は逆もまた同様)、2)受信機及びeNBクロックは、時間的に良好に同期されている、並びに/若しくは3)マルチらテーション技法を使用する、という条件で、1つ以上の受信された基準信号のタイムスタンプから決定され得る。
上記の全ての方法は、1つ以上の基準信号の飛行時間値を提供する。これらの基準信号の飛行時間値及び周波数から、1つ以上の周波数における実際の位相値を計算することができる。
本実施形態は、米国特許第7,872,583号に記載されているマルチパス軽減プロセッサ、方法/技法及びアルゴリズムを、1)LTE UE及び/若しくはeNB受信機によって計算される振幅及び位相対周波数依存性、又は2)LTE UE及び/若しくはeNB受信機によって計算される振幅及び位相対周波数依存性、並びにRTT及び/若しくはTOAによって取得される、1つ以上の周波数の実際の位相値との組み合わせと、並びに/又はタイムスタンプ測定値と組み合わせることによって、重度のマルチパス環境における高精度のDLOS距離測定/位置決定を達成する。
これらの場合、実際の位相値は、マルチパスの影響を受ける。しかしながら、これは、米国特許第7,872,583号に記載されている方法/技法及びアルゴリズムの性能には影響しない。
DL−OTDOA、U−TDOA、UL−TDOAなどLTE RTT/TOA/TDOA/OTDOAでは、5メートルの分解能で測定を行うことができる。RTT測定は、専用接続中に行われる。したがって、UEがハンドオーバー状態にあるとき、及びUEが測定値を定期的に収集し、UEに報告を戻すときに、複数の同時測定が可能であり、UEと異なるネットワーク(基地局)との間でDPCHフレームが交換される。RTTと同様に、TOA測定は、信号の飛行時間(伝播遅延)を提供するが、TOA測定は同時に行うことができない(Jakub Marek Borkowski:Performance of Cell ID+RTT Hybrid Positioning Method for UMTS)。
平面DLOS上でUEの位置を特定するためには、少なくとも3つのeNBから/への距離を測定する必要がある。3次元空間内でUEの位置を特定するために、4つのeNBから/への最低4つのDLOS距離を測定する必要がある(少なくとも1つのeNBが同一平面上にはないと仮定する)。
UE測位法の一例を図1に示す。
同期が非常に良好である場合、RTT測定は不要である。
同期の程度が十分に正確ではない場合、OTDOA、セルID+RTTなどの方法及び他の方法、例えばAOA(到来角)、及び他の方法とのその組み合わせをUEの位置特定に使用することができる。
セルID+RTT追跡−位置特定法の精度は、マルチパス(RTT測定)及びeNB(基地局)のアンテナビーム幅の影響を受ける。基地局のアンテナビーム幅は、33〜65度である。これらの広ビーム幅は、都市部において50〜150メートルの位置特定誤差をもたらす(Jakub Marek Borkowski:Performance of Cell ID+RTT Hybrid Positioning Method for UMTS)。重度のマルチパス環境では、現在のLTE RTT距離測定平均誤差がおよそ100メートルであることを考慮すると、LTE セルID+RTT法で現在用いられている、一般的な予想平均位置特定誤差は、約150メートルである。
本実施形態のうちの1つは、AOA法に基づいたUE位置特定であり、UEを位置特定するために、UEからの1つ以上の基準信号が使用される。これは、DLOS AOAを測定するためのAOA測定デバイスの位置を含む。このデバイスは、基地局と並置されてよく、及び/又は基地局位置から独立した、別の1つ以上の位置に設置されてよい。これらの位置の座標は、既知と思われる。UE側での変更は不要である。
このデバイスは、小型アンテナアレイを含み、米国特許第7,872,583号に記載されているものと同じマルチパス軽減プロセッサ、方法/技法、及びアルゴリズムの変形例に基づいている。この1つの考えられる実施形態は、UEユニットからのDLOS RFエネルギーのAOAを正確に測定する(非常に狭いビーム幅)という利点を有する。
1つの他の選択肢では、この追加デバイスは、受信専用デバイスである。その結果、そのサイズ/重量及びコストは非常に小さい。
正確なDLOS距離測定値が得られる実施形態と、正確なDLOSのAOA測定が行われ得る実施形態との組み合わせは、セルID+RTT追跡−位置特定法の精度を大幅に(10倍以上)改善するであろう。このアプローチの別の利点は、単一のタワーを用いてUEの位置をいつでも決定できる(UEをソフトハンドオーバーモードにする必要がない)ことである。単一のタワーを用いて正確な位置確定を得ることができるため、複数のセルタワーを同期させる必要はない。DLOSのAOAを測定する別の選択肢は、既存のeNBアンテナアレイ及びeNB機器を使用することである。この選択肢は、改善されたセルID+RTT法の実施コストを更に低減し得る。しかしながら、eNBアンテナは、位置特定用途に設計されていないため、測位精度が低下し得る。また、ネットワーク事業者が、基地局(ソフトウェア/ハードウェア)における必要な変更の実施に消極的な場合がある。
LTE(Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA);Physical channels and modulation;3GPP TS 36.211 Release 9 technical Specification)では、Positioning Reference Signal(PRS)が追加された。これらの信号は、UEによってDL OTDA(ダウンリンクOTDOA)、測位に使用される。また、このリリース9は、eNBの同期を要求する。したがって、OTDOA法の最後の障害を解消する(上記の段落274を参照)。PRSは、複数のeNBのUEにおけるUE聴取能力を改善する。注:リリース9はeNB同期精度を指定していない(一部の提案:100ns)。
U−TDOA/UL−TDOAは研究段階であり、2011年に標準化される。
DL−OTDOA法(リリース9で)は、米国特許出願公開第2011/0124347(A1)号(「Method and Apparatus for UE positioning in LTE networks」、Chenら)に詳述されている。リリース9のDL−OTDOAは、マルチパスに悩まされる。マルチパス軽減の一部は、PRS信号帯域幅を増加させることによって達成することができる。しかしながら、そのトレードオフは、スケジューリングの複雑性が増加し、UE位置の修正間隔が長くなることである。更に、限定された動作帯域幅、例えば10MHzのネットワークでは、最良の精度は100メートルである(Chen、表1を参照)。
上記の数は、最良の場合である。他の場合、特に、DLOS信号強度が、反射信号と比較して著しく低い(10〜20dB)場合、上記の位置特定/測距誤差が著しく大きくなる(2倍〜4倍)。
本明細書に記載の実施形態では、リリース9のDL−OTDOA法及び「背景技術」セクションに記載のChenらのUL−PRS法によって達成される性能を上回る、最大50倍の測距/位置特定精度の改善を可能にする。したがって、リリース9のPRS処理に本明細書に記載の方法の実施形態を適用することにより、考えられる全事例の95%において、位置特定誤差が3メートル以下に低減する。加えて、この精度利得は、スケジューリングの複雑性及びUE位置確定の間隔を低減する。
本明細書に記載の実施形態では、OTDOA法の更なる改良が可能である。例えば、サービングセルまでの距離は他のサービングセルの信号から決定することができ、したがって、隣接するセルの聴取性を改善し、UE位置測定の間隔などスケジューリングの複雑性を低減する。
いくつかの実施形態では、ChenらからのU−TDOA法及びUL−TDOA(「背景技術」に記載)の精度を最大50倍改善することも可能である。ChenのUL−TDOAの変形例にいくつかの実施形態を適用すると、考えられる全事例の95%において、位置特定誤差を3メートル以下に低減する。加えて、この精度利得は、スケジューリングの複雑性及びUE位置測定の間隔を更に低減する。
この場合もまた、本実施形態を用いると、ChenのUL−TDOA法の精度を最大50倍改善することができる。したがって、ChenのUL−TDOAの変形例に本実施形態を適用すると、考えられる全事例の95%において、位置特定誤差を3メートル以下に低減するであろう。更に、この精度利得は、スケジューリングの複雑性及びUE位置測定の間隔を更に低減するであろう。
上記のDL−TDOA法及びU−TDOA/UL−TDOA方法は、一方向の測定(測距)に依存する。本実施形態及び実質的に全ての他の測距技術は、一方向の測距プロセスで使用されるPRS及び/又は他の信号が周波数及び位相コヒーレントであることを要求する。LTEなどOFDMベースのシステムは、周波数コヒーレントである。しかしながら、UEユニット及びeNBは、UTCなど共通のソースによって数ナノ秒まで位相同期又は時間同期されておらず、例えば、ランダム位相加算器が存在する。
測距精度に対する位相コヒーレンシーの影響を回避するために、マルチパスプロセッサの実施形態は、測距信号、例えば、基準信号、個々の成分(副搬送波)間の差動位相を計算する。これにより、ランダム位相項加算器が不要になる。
Chenらの考察において上述したように、本明細書に記載の実施形態を適用することにより、Chenらによって達成された性能と比較して、室内環境における著しい精度の改善がもたらされる。例えば、Chenらによると、DL−OTDOA及び/又はU−TDOA/UL−TDOAは主として屋外環境用であり、屋内環境(建物、キャンパス内など)では、DL−OTDOA技術及びU−TDOA技術が良好に機能しない場合がある。一般に屋内で用いられる(そのため、各アンテナは固有IDを有さない)分散アンテナシステム(DAS)などいくつかの理由が言及されている(Chen、#161〜164を参照)。]
以下に記載する実施形態は、OFDM変調及び/又はその導関数、並びに参照/パイロット/及び又は同期信号を用いる無線ネットワークで動作する。したがって、以下に記載する実施形態は、LTEネットワークで動作し、基準/パイロット/及び/又は同期信号の有無にかかわらず、他のタイプの変調を含む、他の無線システム及び他の無線ネットワークにも適用可能である。
本明細書に記載のアプローチは、WiMax、WiFi、及びホワイトスペースなど他の無線ネットワークにも適用可能である。基準信号/パイロット信号、及び/又は同期信号を使用しない他の無線ネットワークでは、米国特許第7,872,583号に記載されているように以下の別のタイプの変調の実施形態のうちの1つ以上が用いられてよい:1)フレームの一部が測距信号/測距信号要素専用である;2)測距信号要素が、送信/受信信号フレームに埋め込まれている;及び3)測距信号要素が、データに埋め込まれている。
本明細書に記載のマルチパス軽減範囲推定アルゴリズムの実施形態(米国特許第7,969,311号及び同第8,305,215号にも記載されている)は、信号のダイレクトパス(DLOS)及びマルチパス反射からなる集合で範囲の推定を提供することによって機能する。
LTE DASシステムは、様々な時間オフセットで見られる同一信号の複数のコピーを、モバイル受信機(UE)に対して生成する。遅延は、アンテナとモバイル受信機との間の幾何学的関係を一意に決定するために使用される。受信機が認識する信号は、マルチパス環境で認識される信号に類似であるが、主な「マルチパス」成分が、複数のDASアンテナからのオフセット信号の合計から生じる点で異なる。
受信機が認識する信号の集合は、実施形態が利用するように設計されている信号の集合のタイプと同一であるが、この場合、主なマルチパス成分が従来のマルチパスではない点で異なる。本マルチパス軽減プロセッサ(アルゴリズム)は、DLOS及び各パス、例えば反射の減衰及び伝播遅延を決定することができる(式1〜3及び関連する説明を参照)。分散RFチャネル(環境)のためにマルチパスが存在し得るが、この信号集合内の主なマルチパス成分は、複数のアンテナからの送信に関連する。本マルチパスアルゴリズムの実施形態は、これらのマルチパス成分を推定し、受信機までのDASアンテナの範囲を分離し、範囲データを(ソフトウェアにおいて実施される)位置プロセッサに提供することができる。アンテナ配置の形状に応じて、このソリューションは、X、Y位置座標及びX、Y、Z位置座標の両方を提供することができる。
その結果、本実施形態は、ハードウェア及び/又は新たなネットワーク信号の追加を必要としない。更に、測位精度は、1)マルチパスを軽減すること、及び2)アクティブDASの場合、測距誤差の下限を劇的に低下させる(およそ50メートルからおよそ約3メートルに低下させるなど)ことによって著しく改善され得る。
DASの各アンテナの場所(位置)は既知であると想定される。各アンテナの(又は他のアンテナに相対する)信号伝播遅延も、決定される(既知である)必要がある。
アクティブDASシステムでは、信号伝播遅延は、ループバック技法を使用して自動的に決定され得、それにより、既知の信号が往復送信され、この往復時間が測定される。このループバック技法はまた、温度、時間などによる信号伝播遅延の変化(ドリフト)を排除する。
複数のマクロセル及び関連するアンテナを使用して、ピコセル及びマイクロセルは、追加の基準点を提供することによって、分解能を更に向上させる。
複数のアンテナからの複数のコピーの信号集合において個々の範囲を推定する上記の実施形態は、以下の2つの方法で信号送信構造を変更することによって更に向上させることができる。第1に、各アンテナからの送信の時分割多重化である。第2のアプローチは、アンテナごとの周波数分割多重化である。両方の改善方法、つまり時間分割多重化及び周波数分割多重化を同時に使用して、システムの測距及び位置精度を更に改善する。別のアプローチは、各アンテナに伝播遅延を加えることである。遅延値は、特定のDAS環境(チャネル)内で遅延スプレッドを超えるように十分大きいが、追加の遅延によって生じるマルチパスがISI(シンボル間干渉)をもたらさないようにサイクリックプレフィックス(CP)より小さいように選択される。
各アンテナの固有ID、つまり固有識別子を追加することにより、得られるソリューションの効率が向上する。例えば、プロセッサが各アンテナからの信号から全ての範囲を推定する必要性がなくなる。
LTEダウンリンクを使用する一実施形態では、パイロット信号及び/又は同期信号の副搬送波など1つ以上の基準信号の副搬送波が使用されて、副搬送波の位相及び振幅が決定され、これらは次いで、マルチパス干渉を低減し、範囲ベースの位置オブザーバブルを生成するようにマルチパスプロセッサに適用され、マルチラテレーション及び位置特定整合アルゴリズムを使用してワイルドポイントを編集し、位置推定を特定する。
別の実施形態は、LTEアップリンクシグナリングはまた、基準副搬送波も含む、モバイルデバイスから基地局への基準信号を含むという事実を利用する。実際、ネットワークによって使用されて、周波数帯をアップリンクデバイスに割り当てるフルサウンドモードから、基準副搬送波が使用されて、チャネルインパルス応答を生成し、アップリンク信号の復号を支援するモードまでなどこれらの副搬送波を含む、1つ以上のモードが存在する。また、リリース9に追加されたDL PRSと同様に、今度の及び今後の規格リリースにおいて追加のUL基準信号が追加されてよい。この実施形態では、アップリンク信号は、複数のベースユニット(eNB)によって処理され、同一範囲を位相、マルチパス軽減処理に使用して、オブザーブルに関連する範囲を生成する。この実施形態では、位置整合アルゴリズムは、マルチラテレーションアルゴリズムによって確立されるように使用されて、ワイルドポイントのオブザーブルを編集し、位置推定を生成する。
別の実施形態では、LTEダウンリンク及びLTEアップリンクの両方の1つ以上の基準(パイロット及び/又は同期など)副搬送波が収集され、位相マッピングへの範囲が適用され、マルチパス軽減が適用され、オブザーバブルに関連する範囲が推定される。次いで、これらのデータは、マルチラテレーションアルゴリズム及び位置整合アルゴリズムを使用して、位置に関してより確固たるオブザーバブルのセットを提供するように融合される。この利点は、ダウンリンクとアップリンクが2つの異なる周波数帯を結び付けているために向上する精度、又は時分割複信(TDD)の場合には、システムコヒーレンシーを改善する精度をもたらす冗長性であろう。
複数のアンテナがマイクロセルから同一のダウンリンク信号を送信するDAS(分散アンテナシステム)環境では、位置整合アルゴリズムが拡張されて、基準信号(パイロット及び/又は同期など)の副搬送波からのマルチパス軽減処理によって生成されたオブザーバブルからDASアンテナの範囲を分離し、複数のDASエミッタ(アンテナ)範囲から位置推定を取得する。
DASシステム(環境)では、正確な位置推定値を得ることは個々のアンテナからの信号パスを高精度で解決することができる場合にのみ可能であり、それにより、パス誤差は、アンテナ間の距離のごく一部のみである(10メートル以下の精度)。既存の技法/方法は全て、重度のマルチパス環境においてそのような精度を提供することができないため(複数のDASアンテナからの信号が、誘起された重度のマルチパスとして現れる)ため、既存の技法/方法は、DAS環境内で上記の位置整合アルゴリズムの拡張及びこの位置特定法/技法を活用することができない。
米国特許第7,872,583号に記載されている、物体の識別及び位置検出のためのInvisiTrackマルチパス軽減法及びシステムは、範囲から信号位相へのマッピング、マルチパス干渉軽減、及びLTEダウンリンク、アップリンク、及び/又は両方(ダウンリンク及びアップリンク)、1つ以上の基準信号の副搬送波を用いた範囲ベースの位置オブザーバブルの生成プロセスに適用され、マルチラテレーション及び位置整合性を用いて位置推定を生成する。
上記の全ての実施形態では、三辺測量測位アルゴリズムも使用され得る。
DL−OTDOA位置特定は、LTEリリース9(「Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA);Physical channels and modulation;3GPP TS 36.211 Release 9 technical Specification」)に規定されている。しかしながら、無線事業者(キャリア)はまだ実施していない。その一方で、ダウンリンク位置特定は、既存の物理層測定動作を使用することにより、現在の、例えば、未修正のLTEネットワーク環境内で実施され得る。
LTEでは、UE及びeNBは、無線特性の物理層測定を行うために必要とされる。測定定義は、3GPP TS 36.214に規定されている。これらの測定は定期的に実行され、上位層に報告され、周波数内及び周波数間ハンドオーバー、inter−radio access technology(inter−RAT)ハンドオーバー、タイミング測定、並びに無線リソース管理(RRM)をサポートする他の目的など様々な目的に使用される。
例えば、RSRP(基準信号受信電力)は、帯域幅全体にわたってセル固有の基準信号を搬送する全てのリソース要素の電力の平均である。
別の実施例は、追加情報を提供するRSRQ(基準信号受信品質)測定である(RSRQは信号強度及び干渉レベルを組み合わせる)。
LTEネットワークは、UEにeNBの近隣(サービングeNBに対して)リストを提供する。ネットワーク知識構成に基づいて、(サービング)eNodeBは、近隣eNBの識別子などをUEに提供する。次いで、UEは、受信可能な近隣の信号品質を測定する。UEは、結果をeNodeBに折り返し報告する。注:UEはまた、サービングeNBの信号品質を測定する。
本明細書によると、RSRPは、考慮される測定周波数帯域幅内でセル固有の基準信号を搬送するリソース要素の電力寄与の線形平均([W]単位)として定義される。RSRPを決定するためにUEによって使用される測定帯域幅は、対応する測定精度要件が満たされなければならないという制約を付して、UEの実施に委ねられている。
測定帯域幅精度要件を考慮すると、この帯域幅はかなり大きく、RSRP測定で使用されるセル固有基準信号は、これらの基準信号副搬送波の位相及び振幅を決定するために更に処理され得、次いで、マルチパスプロセッサに適用されて、マルチパス干渉を軽減し、範囲ベースの位置オブザーバブルを生成する。加えて、RSRP測定に使用される他の基準信号、例えば二次同期信号(SSS)も使用されてよい。
その後、3つ以上のセルからの範囲オブザーブルに基づいて、マルチラテレーション及び位置整合アルゴリズムを使用して位置測定が推定され得る。
前述のように、RFフィンガープリンティングデータベースの不安定性をもたらす原因は複数存在するが、主な原因のうちの1つがマルチパスである(RF署名はマルチパスに非常に敏感である)。その結果、RFフィンガープリンティング法/技術の位置特定精度は、マルチパスダイナミクスに大きく影響され、時間、環境(例えば天候)、人々及び/又は物体の移動によって変化し、デバイスのZ高さ及び/又はアンテナの方向に応じて>100%の変動性(Tsung−Han Lin,et al.Microscopic Examination of an RSSI−Signature−Based Indoor Localization Systemを参照)を示す垂直不確実性を含む。
本実施形態は、著しく減衰したDLOSを含む各個々のパスを検出し、特徴付ける能力(マルチパスプロセッサ)により、RFフィンガープリンティングの位置特定精度を著しく改善することができる。その結果、位置測定に関するRFフィンガープリンティング決定は、リアルタイムマルチパス分布情報で補足され得る。
上記のように、位置測定には、時間的な位置基準同期を必要とする。無線ネットワークでは、これらの位置基準としては、アクセスポイント、マクロ/ミニ/ピコ、及びフェムトセル、並びにいわゆる小型セル(eNB)が挙げられ得る。しかしながら、無線事業者は、正確な位置測定に必要とされる同期精度を実施していない。例えば、LTEの場合、規格では、FDD(周波数分割複信)ネットワークに対してeNB間での時間同期が必要とされていない。LTE TDD(時間分割複信)の場合、この時間同期精度の限度は、+/−1.5マイクロ秒である。これは、400+メートルの位置特定不確実性に等しい。要求されていないものの、LTE FDDネットワークも同期化される。ただし、より大きい(1.5マイクロ秒超)限度を使用する。
無線LTE事業者はGPS/GNSS信号を使用して、周波数及び時間についてeNBを同期させる。注:LTE eNBは、非常に高精度の搬送波周波数を維持しなければならない。マクロ/ミニセルでは0.05ppmであり、他のタイプのセルでは、やや精度が劣る(0.1〜0.25ppm)。GPS/GNSS信号はまた、(位置特定のために)必要とされる、10ナノ秒よりも良好な時間同期精度を可能にすることができる。しかしながら、ネットワーク事業者及びネットワーク機器製造業者は、NTP(ネットワークタイムプロトコル)及び/又はPTP(Precision Time Protocol)、例えば、IEEE 1588v2 PTPを用いることによる、インターネット/イーサネットのネットワーキング時間同期などパケット転送を選択して、GPS/GNSSユニットに関連するコストを低減しようしている。
IPネットワークベースの同期は、最小周波数及び時間要件を満たす可能性を有するが、位置測定に必要とされるGPS/GNSS精度は欠如している。
本明細書に記載のアプローチは、GPS/GNSS信号、並びにeNB及び/若しくはAP又は他の無線ネットワーク機器によって生成される信号に基づいている。また、IPネットワーキング同期信号及びプロトコル、並びにeNB及び/若しくはAP又は他の無線ネットワーク機器によって生成される信号に基づき得る。このアプローチはまた、WiMax、WiFi、及びホワイトスペースなど他の無線ネットワークにも適用可能である。
eNB信号は、事業者のeNB施設に設置された時間観測ユニット(TMO)によって受信される(図12)。TMOはまた、外部同期ソース入力を含む。
eNB信号はTMOによって処理され、外部同期ソース入力と同期されるクロックを使用してタイムスタンプされる。
外部同期ソースは、GPS/GNSS及び/又はインターネット/イーサネットネットワーキング、例えばPTP又はNTPなどからであり得る。
タイムスタンプ処理された信号、例えば、LTEフレーム開始(特に他のネットワークでは他の信号であり得る)はまた、eNB(セル)の位置及び/又はセルIDを含み、インターネット/イーサネットバックホールを介して全てのeNBのデータベースを作成し、維持し、更新する中央TMOサーバに送信される。
測距及び位置測定取得のプロセスに関与するUE及び/又はeNBは、TMOサーバに照会し(quire)、サーバは、関与するeNB間の時間同期オフセットを返す。これらの時間同期オフセットは、位置測定を取得して位置測定を調整するプロセスに関与するUE及び/又はeNBによって使用されるであろう。
あるいは、測距プロセスに関与するUE及び/又はeNBがまた、取得した測距情報のTMOサーバに供給する場合には、TMOサーバによって位置測定計算及び調整が実行され得る。次いで、TMOサーバは、正確な(調整された)位置(位置特定)確定を返す。
2つ以上のセルeNB機器が並置される場合、単一のTMOが全てのeNBからの信号を処理し、タイムスタンプすることができる。
位置特定のために、RTT(ラウンドタイムトリップ)測定(測距)が使用され得る。この欠点は、RTT測距が、位置特定精度に対して劇的な影響を有するマルチパスの影響下にあることである。
一方、RTT位置特定は、概して位置基準同期(時間)を必要とせず、LTEの場合は、特にeNBは必要としない。
同時に、パイロット基準及び/又は無線ネットワークの他の信号を用いて動作するとき、米国特許第7,872,583号に記載されているマルチパス軽減プロセッサ、方法/技法、及びアルゴリズムは、RTT信号に対するチャネル応答を決定することができ、例えば、RTT信号が通過しているマルチパスチャネルを識別することができる。これにより、RTT測定の補正が可能になり、実際のDLOS時間が決定される。
DLOS時間が既知である場合、eNB又は時間的な位置基準同期を必要とせずに、三辺測量及び/又は同様の位置特定法を使用して、位置測定を得ることが可能であろう。
TMO及びTMOサーバが所定の位置に存在しても、InvisiTrackの技術統合は、マクロ/ミニ/ピコ及び小型セル及び/又はUE(携帯電話)における変更を必要とする。これらの変更は、SW/FW(ソフトウェア/ファームウェア)のみに限定されるが、既存のインフラストラクチャを改良するために多くの労力を要する。また、場合によっては、ネットワーク事業者及び/又はUE/携帯電話の製造業者/供給業者が機器変更に抵抗する。注:UEは無線ネットワークユーザ機器である。
TMO及びTMOの機能が拡張されてInvisiTrack位置特定技術をサポートする場合には、このSW/FWの変更を完全に回避することができる。換言すれば、以下に記載する別の実施形態は、無線ネットワーク信号で動作するが、無線ネットワーク機器/インフラストラクチャの変更は不要である。したがって、以下に記載の実施形態は、LTEネットワークで動作し、Wi−Fiなど他の無線システム/ネットワークにも適用可能である。
本質的に、この実施形態は、無線ネットワーク信号を使用して位置測定を取得する、並列無線位置特定インフラストラクチャを形成する。
TMO及びTMOサーバに類似して、InvisiTrackの位置特定インフラストラクチャは、1つ以上の無線ネットワーク信号取得ユニット(NSAU)、並びにNSAUからデータを収集し、そのデータを分析し、範囲及び位置を決定し、それを、例えば電話/UE ID及び位置のテーブルに瞬時に変換する1つ以上の位置特定サーバユニット(LSU)からなるであろう。LSUは、ネットワークのAPIを介して無線ネットワークにインターフェースする。
複数のこれらのユニットは、大規模インフラストラクチャ内の様々な場所に配備され得る。NSAUがコヒーレントなタイミングを有する場合、全ての結果を使用することができ、これにより更に良好な精度が得られる。
コヒーレントなタイミングは、GPSクロック及び/又は他の安定したクロック源から導出することができる。
NSAUは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロエリアネットワーク(MAN)及び/又はインターネットを介してLSUと通信する。
設備/場合によっては、NSAU及びLSUは、単一ユニットに組み合わされ得る/統合され得る。
LTE又は他の無線ネットワークを使用して位置サービスをサポートするためには、送信機が、厳格な許容誤差内でクロック同期及びイベント同期される必要がある。これは、通常、GPSの1PPS信号にロックすることによって達成される。これにより、ローカルエリアにおいて、3ナノ秒(1σ)内のタイミング同期がもたらされる。
しかしながら、このタイプの同期が実用的ではない、多くの事例が存在する。本実施形態は、遅延補償値を位置プロセスに提供するために、ダウンリンク送信機と時間オフセットの追跡との間の時間オフセット推定を提供し、その結果、位置プロセスは、送信機がクロック同期及びイベント同期されているかのように進行できる。これは、送信アンテナ(全ての位置サービスに必須)及び推測的なアンテナの位置が既知である受信機の事前知識によって達成される。同期ユニットと呼ばれるこの受信機は、全てのダウンリンク送信機からデータを収集し、位置が既知であることを前提として、予め選択された基地アンテナからのオフセットタイミングを計算するであろう。これらのオフセットは、ダウンリンク送信機のクロックドリフトを補償する追跡アルゴリズムを使用してシステムによって追跡される。注:受信データから疑似範囲を導出する処理は、InvisiTrackマルチパス軽減アルゴリズム(米国特許第7,872,583号に記載されている)を用いる。したがって、同期はマルチパスの影響を受けない。
これらのオフセットデータは、位置プロセッサ(位置サーバ、LSU)によって使用されて、各ダウンリンク送信機からのデータを適切に整合させ、その結果、同期送信機によって生成されたように見える。時間精度は、最良の1PPS追跡と同等であり、3メートルの位置精度(1σ)をサポートする。
同期受信機及び/又は受信機のアンテナは、最良の性能を得るために最適なGDOPに基づいて位置付けられる。大型設備では、複数の同期受信機が用いられて、ネットワーク全体にわたって同等の3ナノメートル秒(1σ)の同期オフセットを提供することができる。同期受信機を用いることにより、ダウンリンク送信機の同期に関する要件が排除される。
同期受信ユニットは、NSAU及び/又はLSUと通信するスタンドアローンユニットであり得る。あるいは、この同期受信機は、NSAUと統合され得る。
例示的な無線ネットワーク位置特定機器の図を図13に示す。
LTE信号を用いる、完全自律システムの実施形態(顧客側のネットワーク投資は不要)は、以下のモードで動作するLTE信号を用いる。
1.アップリンクモード:位置特定のために無線ネットワークアップリンク(UL)信号を使用する(図16及び図17)
2.ダウンリンクモード:位置特定のために無線ネットワークダウンリンク(DL)信号を使用する(図14及び図15)。
3.双方向モード:位置特定のためにUL信号及びDL信号の両方を使用する。
アップリンクモードでは、複数のアンテナが1つ以上のNSAUに接続される。これらのアンテナ位置は、無線ネットワークアンテナから独立しており、NSAUアンテナの位置は、精度の幾何学的希釈(GDOP)を最小化するように選択される。
UE/携帯電話デバイスからのネットワークのRF信号は、NSAUアンテナによって収集され、NSAUによって処理されて、対象の全信号のうちの1つ以上のインスタンスを捕捉するために十分な時間間隔の間に、処理されたネットワークのRF信号のタイムスタンプされたサンプルを生成する。
任意選択的に、NSAUはまた、ダウンリンク信号のサンプルを受信し、処理し、タイムスタンプして、例えば、UE/電話IDを決定するためなどの追加情報を得る。
捕捉された、タイムスタンプされたサンプルから、UE/携帯電話デバイスの識別番号(ID)が、各UE/携帯電話のIDに関連する、対象のタイムスタンプされた無線ネットワーク信号と共に決定される(取得される)。この動作は、NSAU又はLSUのいずれかによって実行され得る。
NSAUは、定期的にデータをLSUに供給する。1つ以上のUE/携帯電話のIDに予定外のデータが必要である場合、LSUは追加データを要求する。
ULモード動作では、無線ネットワークインフラストラクチャ及び/又は既存のUE/携帯電話において、変更/修正は不要である。
ダウンリンク(DL)モードでは、InvisiTrackを有効にしたUEが必要となる。また、位置測定を取得するために電話が使用される場合、携帯電話FWは変更される必要がある。
場合によっては、事業者が、BBU(ベースバンドユニット)からベースバンド信号を使用可能にすることができる。そのような場合、NSAUはまた、RF無線ネットワーク信号の代わりに、これらの使用可能なベースバンド無線ネットワーク信号を処理することができる。
DLモードでは、UE/携帯電話のIDを1つ以上の無線ネットワーク信号と関連付ける必要はない。これは、これらの信号がUE/携帯電話で処理される、又はUE/携帯電話が、処理されたネットワークのRF信号のタイムスタンプされたサンプルを定期的に生成し、これらをLSUに送信し、LSUがUE/携帯電話に結果を送り返すためである。
DLモードでは、NSAUは、RF又はベースバンド(使用可能な場合)無線ネットワーク信号を処理し、処理された信号をタイムスタンプする。捕捉され、タイムスタンプされたサンプルから、ネットワークアンテナに関連する無線ネットワーク信号のDLフレーム開始が決定され(取得され)、これらのフレーム開始間の差(オフセット)が計算される。この動作は、NSAU又はLSUのいずれかによって実行され得る。ネットワークアンテナのフレーム開始オフセットは、LSUに記憶される。
DLモードにおいて、デバイスがInvisiTrack技術を使用して自身の位置測定を処理/決定する場合には、ネットワークアンテナのフレームオフセット開始がLSUからUE/電話デバイスに送信される。そうでなければ、UE/携帯電話デバイスが、処理されたネットワークのRF信号のタイムスタンプされたサンプルをLSUに定期的に送信するとき、LSUは、デバイスの位置測定を決定し、位置測定データをデバイスに折り返し送信する。
DLモードにおいて、無線ネットワークRF信号は、1つ以上の無線ネットワークアンテナから送信される。結果の精度に対するマルチパスの影響を回避するために、RF信号は、アンテナ又は無線ネットワーク機器へのアンテナ接続から傍受されるべきである。
双方向モードは、UL動作及びDL動作の両方からの位置測定の決定を包含する。これにより、位置特定精度を更に改善することができる。
一部の企業セットアップは、1つ以上のリモート無線ヘッド(RRH)を供給する1つ以上のBBUを使用し、次いで各RRHは複数のアンテナに同一IDを供給する。このような環境では、無線ネットワーク構成に応じて、ネットワークアンテナのDLモードフレーム開始オフセットを決定することは、必須ではない場合がある。これは、単一のBBUセットアップ、並びに複数のBBUを含み、各BBUのアンテナが、特定ゾーンに割り当てられ、隣接するゾーンのカバレッジは重複している。
一方、複数のBBUから供給されるアンテナが同一ゾーンに交互に配置される構成では、ネットワークアンテナのDLモードのフレーム開始を決定することが必要である。
DAS環境におけるDL動作モードでは、複数のアンテナが同一IDを共有してよい。
本実施形態では、位置整合アルゴリズムが拡張されて/開発されて、基準信号(パイロット及び/又は同期など)の副搬送波からのマルチパス軽減処理によって生成されたオブザーバブルからDASアンテナの範囲を分離し、複数のDASエミッタ(アンテナ)範囲から位置推定を取得する。
しかしながら、これらの整合アルゴリズムは、同一IDを発行するアンテナの数という制約を有する。同一IDを発行するアンテナの数は、以下の方法で低減することができる。
1.所与のカバレッジゾーンでは、セクタ化されたBBUの異なるセクタから供給されるアンテナを交互に配置する(BBUは、最大6つのセクタをサポートすることができる)。
2.所与のカバレッジゾーンでは、セクタ化されたBBUの異なるセクタ並びに異なるBBUから供給されるアンテナを交互に配置する。
3.伝播遅延要素を各アンテナに追加する。遅延値は、特定のDAS環境(チャネル)内で遅延スプレッドを超えるように十分大きいが、追加の遅延によって生じるマルチパスがISI(シンボル間干渉)をもたらさないようにサイクリックプレフィックス(CP)より小さいように選択される。1つ以上のアンテナに固有の遅延IDを追加することにより、同一IDを発行するアンテナの数を更に低減する。
一実施形態では、顧客側のネットワーク投資を伴わない自律システムが提供され得る。このような実施形態では、システムはLTE帯以外の周波数帯で動作することができる。例えば、ISM(産業科学医療用)帯及び/又はホワイトスペース帯は、LTEサービスを利用できない場所で使用され得る。
本実施形態はまた、マクロ/ミニ/ピコ/フェムト局及び/又はUE(携帯電話)機器に統合され得る。統合には、顧客側のネットワーク投資を要する場合があるが、間接費を低減することができ、TCO(総所有コスト)を劇的に改善することができる。
上記のように、PRSは、ダウンリンク観測到来時間差(DL−OTDOA)測位用のUEによって使用され得る。隣接基地局(eNBs)の同期に関しては、3GPP TS 36.305(Stage 2 functional specification of User Equipment(UE)positioning in E−UTRAN)がUEへの転送タイミングを規定しており、このタイミングとは、候補セル(例えば、隣接セル)のeNode Bサービスに対するタイミングである。3GPP TS 36.305はまた、測定のために、候補セルの物理セルID(PCI)及びグローバルセルID(GCI)を規定している。
3GPP TS 36.305によると、この情報はE−MLC(Enhanced Serving Mobile Location Centre)サーバから配信される。TS 36.305は、上記のタイミングの精度を規定しないことに留意されたい。
また、3GPP TS 36.305は、UEが、基準信号時間差(RSTD)測定値を含むダウンリンク測定値をE−MLCに戻すことを規定している。
RSTDは、一対のeNB間で得られる測定値である(TS 36.214 Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA);Physical Layer measurements;Release 9を参照)。この測定値は、隣接セルjから受信されるサブフレームとサービングセルiの対応するサブフレームとの間の相対タイミング差として定義される。これらの測定値を得るために、測位基準信号が使用される。結果は、位置を計算する位置サーバに折り返し報告される。
一実施形態では、ハイブリッド法は、新たに導入されたPRS及び既存の基準信号の両方に対応するように定義することができる。換言すれば、ハイブリッド法は、PRSで、他の基準信号(例えば、セル又はノード固有の基準信号(CRS))で、又は両信号タイプで使用/動作することができる。
このようなハイブリッド法は、ネットワーク事業者が、状況又はネットワークパラメータに応じて動作モードを動的に選択することを可能にするという利点をもたらす。例えば、PRSは、CRSよりも良好な聴取能力を有するが、データスループットが最大7%低減し得る。一方、CRS信号がスループット低減を引き起こすことはない。加えて、CRS信号は、全ての以前のLTEリリース、例えばリリース8以下との後方互換性がある。したがって、ハイブリッド法は、ネットワーク事業者に、聴取能力、スループット、及び互換性の間でトレードオフを行う、つまりバランスを保つ能力を提供する。
ロングタームエボリューション(LTE)の実施形態においては、LTEダウンリンクベースバンド信号(セル又は無線ノードによって生成され、本明細書では「ノード」と称する)は、概してダウンリンクフレームに組み込まれる。このような信号を検出し、受信するための受信機は、複数のセル又はノード(2つ以上)からのダウンリンクフレームを検出してよい。各ダウンリンクフレームは、複数のCRS又は基準信号を含む。ダウンリンク(DL)フレームでは、これらの基準信号は、時間及び周波数において所定の位置を有し、例えば、フレーム開始と所与のフレーム内の各CRSとの間には決定論的時間オフセットが存在する。
加えて、各CRSは、特別コードで変調される。変調及びコードも所定である。CRS変調は全てのノードについて同一であるが、コード(シード)は、ノードのID(識別)番号によって決定される。
その結果、ノードIDを知ることによって、基準信号のスペクトルにおいて、各ノード(セル)から各フレームのフレーム開始時間のコース位置を推定することができる。そうするためには、最初に、異なるノードからの全てのDL信号についてフレーム開始時間又はフレーム開始を決定することが必要である。例えば、一実施形態では、受信されたDLベースバンド信号を、コード変調されたCRS(検出器及び/又はマルチパス軽減プロセッサによって内部で生成される)と相関させることによって、様々なノードから全てのCRSシーケンス又は他の基準信号を見出すことができ、この情報を用いて、全てのオブザーバブルノードの粗位置フレーム開始を見出す。一実施形態では、検出器がまた、CRSを復調/復号し、次いで、復調/復号されたCRSを、CRSに割り当てられたベースバンド副搬送波と相関させることもできる。
同時に、一実施形態では、CRSはまた、マルチパス軽減プロセッサによって測距信号として使用されてよい。したがって、検出器の相関プロセスは、粗フレーム開始を見出すことに加えて、フレーム内の他の信号(ペイロードなど)からCRSを、これらの信号の変調に使用されたコードを使用して分離することもできる。その後、これらの分離されたCRS及び関連するフレーム開始がマルチパス軽減プロセッサに転送されて、測距される。
同様のアプローチがアップリンクモードで使用され得、異なるノード受信機間のタイミングオフセットが決定され得る。
ダウンリンクの実施形態では、ネットワークと通信している1つ以上の無線ネットワークデバイスを追跡し、位置特定するためのシステムは、ネットワークと通信する2つ以上のノードから複数の信号を受信するように構成されたユーザ機器受信機であって、複数の信号は、複数の信号を送信する2つ以上のノードの各ノードを識別することによって決定されたコードで変調され、ユーザ機器受信機は、この識別に基づいて複数の信号から基準信号を検出し、分離するように構成された検出器を含む、ユーザ機器受信機と、1つ以上の無線ネットワークデバイスを追跡し、位置特定するために、各ノードからの測距信号として基準信号を使用するように構成されたプロセッサと、を備える。
本実施形態では、2つ以上のノードの各ノードからの複数の信号が、基準信号を含むフレームに組み入れられ、検出器は、各ノードからフレームのコース位置を推定するように更に構成されている。
本実施形態では、検出器は、基準信号を、当該基準信号の既知のレプリカと相関させることによってコース位置を推定するように更に構成されている。
本実施形態では、検出器は、フレーム内の任意の他の信号から基準信号を分離するように更に構成されており、検出器は、2つ以上のノードの各ノードの基準信号を分離するように更に構成されている。
本実施形態では、プロセッサは、少なくとも1つのマルチパス軽減プロセッサであり、マルチパス軽減プロセッサは、コース位置及び分離された基準信号を受信し、各ノードから測距信号の相対到来時間を推定するように構成されている。
本実施形態では、プロセッサは、少なくとも1つのマルチパス軽減プロセッサである。
本実施形態では、2つ以上のノードの各ノードからの複数の信号がフレーム内にあり、検出器は、各ノードからのフレーム開始のコース位置を推定するように更に構成されており、検出器は、フレーム内の任意の他の信号から基準信号を分離するように構成されており、検出器は、2つ以上のノードの各ノードの基準信号を分離するように更に構成されており、検出器は、各ノードのコース位置及び分離された基準信号をマルチパス軽減プロセッサに渡すように構成されており、マルチパス軽減プロセッサは、コース位置及び分離された基準信号を受信し、各ノードからの測距信号の相対到来時間を推定するように構成されている。
本実施形態では、システムは、ノード受信機が、1つ以上の無線ネットワークデバイスからデバイス信号を受信するように構成されているアップリンクの実施形態を含み、デバイス信号は、デバイス信号を送信する1つ以上の無線ネットワークデバイスの各無線ネットワークデバイスのデバイスを識別することによって決定されたデバイスコードで変調され、ノード受信機は、デバイスの識別に基づいてデバイス基準信号を検出し、デバイス信号から分離するように構成されたデバイス検出器を含み、第2のプロセッサは、1つ以上の無線ネットワークデバイスを追跡し、位置特定するために、各無線ネットワークデバイスからの測距信号としてデバイス基準信号を使用するように構成されている。
一実施形態では、ネットワークと通信する1つ以上の無線ネットワークデバイスを追跡し、位置特定するためのシステムは、ネットワークと通信する2つ以上のノードから複数の信号を受信するように構成されたユーザ機器受信機であって、複数の信号は、複数の信号を送信する2つ以上のノードの各ノードを識別することによって決定されたコードで変調される、ユーザ機器受信機と、この識別に基づいて複数の信号から基準信号を検出し、分離するように、また、1つ以上の無線ネットワークデバイスを追跡し、位置特定するために、各ノードからの測距信号として基準信号を使用するように構成されたプロセッサと、を備える。
本実施形態では、2つ以上のノードの各ノードからの複数の信号が、基準信号を含むフレームに組み入れられ、プロセッサは、各ノードからフレームのコース位置を推定するように更に構成されている。
本実施形態では、プロセッサは、基準信号を、基準信号の既知のレプリカと相関させることによってコース位置を推定するように更に構成されている。
本実施形態では、プロセッサは、コース位置及び分離された基準信号に基づいて、各ノードからの測距信号の相対到来時間を推定するように更に構成されている。
本実施形態では、プロセッサは、フレーム内の任意の他の信号から基準信号を分離するように更に構成されており、プロセッサは、2つ以上のノードの各ノードの基準信号を分離するように更に構成されている。
本実施形態では、2つ以上のノードの各ノードからの複数の信号がフレーム内にあり、プロセッサは、基準信号を基準信号の既知のレプリカと相関させることによって、フレーム開始のコース位置を推定するように更に構成されており、プロセッサは、フレーム内の任意の他の信号から基準信号を分離するように、また、2つ以上のノードの各ノードの基準信号を分離するように更に構成されており、プロセッサは、コース位置及び分離された基準信号に基づいて、各ノードからの測距信号の相対到来時間を推定するように更に構成されている。
一実施形態では、ネットワークと通信する1つ以上の無線ネットワークデバイスを追跡し、位置特定するためのシステムは、ネットワークと通信する2つ以上のノードから複数の信号を受信することであって、複数の信号は、複数の信号を送信する2つ以上のノードの各ノードを識別することによって決定されたコードで変調される、ことと、この識別に基づいて複数の信号から基準信号を検出し、分離することと、を行う検出器と、1つ以上の無線ネットワークデバイスを追跡し、位置特定するために、各ノードからの測距信号として基準信号を使用するように構成されたプロセッサと、を備える。
本実施形態では、2つ以上のノードの各ノードからの複数の信号が、基準信号を含むフレームに組み入れられ、検出器は、各ノードからフレームのコース位置を推定するように更に構成されている。
本実施形態では、検出器は、基準信号を、当該基準信号の既知のレプリカと相関させることによってコース位置を推定するように更に構成されている。
本実施形態では、検出器は、フレーム内の任意の他の信号から基準信号を分離するように更に構成されており、検出器は、2つ以上のノードの各ノードの基準信号を分離するように更に構成されている。
本実施形態では、プロセッサは、少なくとも1つのマルチパス軽減プロセッサであり、マルチパス軽減プロセッサは、コース位置及び分離された基準信号を受信し、各ノードから測距信号の相対到来時間を推定するように構成されている。
本実施形態では、プロセッサは、少なくとも1つのマルチパス軽減プロセッサである。
本実施形態では、2つ以上のノードの各ノードからの複数の信号がフレーム内にあり、検出器は、各ノードからのフレーム開始のコース位置を推定するように更に構成されており、検出器は、フレーム内の任意の他の信号から基準信号を分離するように構成されており、検出器は、2つ以上のノードの各ノードの基準信号を分離するように更に構成されており、検出器は、各ノードのコース位置及び分離された基準信号をマルチパス軽減プロセッサに渡すように構成されており、マルチパス軽減プロセッサは、コース位置及び分離された基準信号を受信し、各ノードからの測距信号の相対到来時間を推定するように構成されている。
一実施形態では、ネットワークと通信する1つ以上の無線ネットワークデバイスを追跡し、位置特定するためのシステムは、1つ以上の無線ネットワークデバイスからのデバイス信号を受信するように構成されたノード受信機であって、デバイス信号は、デバイス信号を送信する1つ以上の無線ネットワークデバイスの各無線ネットワークデバイスのデバイスを識別することによって決定されたデバイスコードで変調され、ノード受信機は、デバイスの識別に基づいてデバイス基準信号を検出し、デバイス信号から分離するように構成されたデバイス検出器を含む、ノード受信機と、1つ以上の無線ネットワークデバイスを追跡し、位置特定するために、各無線ネットワークデバイスからの測距信号としてデバイス基準信号を使用するように構成されたプロセッサと、を備える。
更に、ハイブリッド法は、LTE UE測位アーキテクチャに対して透過的であり得る。例えば、ハイブリッド法は、3GPP TS 36.305フレームワークで動作することができる。
一実施形態では、RSTDが測定され、3GPP TS 36.305に従ってUEからE−SMLCに転送され得る。
UUL TDOA(U−TDOA)は、現在研究段階にあり、今後のリリース11での標準化が期待されている。
UL−TDOA(アップリンク)の実施形態は、本明細書に上述しており、図16及び図17にも示している。下記の図18及び図19は、UL−TDOAの別の実施形態の実施例を提供する。
図18は、1つ以上のDAS及び/又はフェムト/小型セルアンテナを含み得る環境を示す。この例示的な実施形態では、各NSAUは単一のアンテナを備える。図示するように、少なくとも3つのNSAUが必要である。しかしながら、各UEは、少なくとも3つのNSAUに「聴取される」必要があるため、更なるNSAUが追加されて、聴取性を向上させ得る。
更に、NSAUは、受信機として構成され得る。例えば、各NSAUは、無線で情報を受信するが、送信はしない。動作中、各NSAUは、UEからの無線アップリンクネットワーク信号を聴取することができる。UEのそれぞれは、携帯電話、タグ、及び/又は別のUEデバイスであり得る。
更に、NSAUは、有線サービス又はLANなどインターフェースを介して、位置特定サーバユニット(LSU)と通信するように構成され得る。次に、LSUは、無線又はLTEネットワークと通信することができる。通信は、ネットワークAPIを介してであり得、LSUは、例えば、LTEネットワークのE−SMLCと通信することができ、LAN及び/又はWANなど有線サービスを使用することができる。
任意選択的に、LSUはまた、DAS基地局及び/又はフェムト/小型セルと直接通信してよい。この通信は、同一の、又は変更されたネットワークAPIを使用することができる。
この実施形態では、サウンディング基準信号(SRS)が位置特定のために使用され得る。しかしながら、他の信号も使用されてよい。
NSAUは、UEアップリンク送信信号を、例えばI/Qサンプルなどデジタル形式に変換することができ、タイムスタンプと共に、多数の変換された信号をLSUに周期的に送信することができる。
DAS基地局及び/又はフェムト/小型セルは、以下のデータのうちの1つ又は全てをLSUに渡すことができる。
1)SRS、I/Qサンプル、及びタイムスタンプ;
2)サービングされたUE IDのリスト;並びに
3)UEごとのSRSスケジュール(SRS SchedulingRequestConfig情報及びSRS−UL−Config情報を含む)及びUE ID。
LSUに渡される情報は、上記の情報に限定されない場合がある。UE SRSなどUEデバイスのアップリンク信号をそれぞれのUE IDと相関させるために必要な任意の情報を含み得る。
LSU機能は、測距計算、UEの位置測定の取得を含み得る。これらの決定/計算は、NSAU、DAS基地局、及び/又はフェムト/小型セルからLSUに渡された情報に基づき得る。
LSUはまた、NSAUからLSUに渡された、使用可能なダウンリンク送信情報からのタイミングオフセットを決定してよい。
次に、LSUは、UEの位置測定並びに他の計算及びデータを、無線又はLTEネットワークに提供することができる。このような情報は、ネットワークAPIを介して通信され得る。
同期するために、各NSAUは、ダウンリンク信号のサンプルの受信、処理、及びタイムスタンプを行ってよい。各NSAUはまた、タイムスタンプを含む、多数のそのようなサンプルをLSUに定期的に送信してよい。
更に、各NSAUは、外部信号との同期用に構成された入力を含んでよい。
図19は、UL−TDOAの別の実施形態を示す。本実施形態の環境は、図18に示す構成要素に加えて、DAS基地局及び/又はフェムト/小型セルの代わりに使用可能である1つ以上のセルタワーを含んでよい。1つ以上のセルタワーからのデータを使用して、UEの位置測定を取得することができる。
したがって、本実施形態の利点としては、単一のセルタワー(eNB)のみを用いて位置測定を取得することが挙げられる。加えて、この実施形態は、1つ以上のeNBが、DAS基地局及び/又はフェムト/小型セルを置き換えることができる点を除いて、図18に記載の方法と同様に動作するように構成され得る。
UEのアップリンク位置特定の1つの方法は、セル識別法(CID)である。基本的なCID法では、UE位置がセルレベルで決定され得る。この方法は、純粋にネットワークベースである。その結果、UE、例えばハンドセットは、追跡されているという事実を認識しない。これは比較的単純な方法であるが、位置特定不確実性がセル径に等しいため、正確性に欠ける。例えば、図20に示すように、サービングセルタワー2004のセル径2002内のあらゆるハンドセット2000は、同一位置にあるわけではないが、実質的に同一位置を有する。CID法の精度は、サービングセクタID(セクタID)に関する知識と組み合わせると、改善され得る。例えば、図21に示すように、セクタID2100は、セル径2002の他のセクタ内の他のハンドセット2000とは異なる位置を有することが知られている多数のハンドセット2104を含む、セル径2002内のセクション2102を識別する。
CID法の更なる改善は、上記の基本的なCID法に更なる向上を提供する拡張セルID(E−CID)法によって可能であり得る。1つの改善策では、タイミング測定を使用して、UEがeNB(ネットワークノード)からどれだけ離れているかを計算する。この距離は、ラウンドトリップタイム(RTT)の半分、つまりLTEにおけるタイミングアドバンス(TA)(LTE TA)に光速を乗じたものとして計算することができる。UEが接続されている場合、RTT又はTAを距離推定に使用してよい。この場合、サービングセルタワー又はセクタ及びUE(サービングeNBコマンド時)の両方が、RxサブフレームとTxサブフレームとの間のタイミング差を測定する。UEは、その測定値をeNBに報告する(これもeNBの制御下にある)。LTEリリース9は、ランダムアクセス手順中のPRACHプリアンブルの受信から推定されるタイミングアドバンスに依存するTAタイプ2の測定値を追加することに留意されたい。物理/パケットランダムアクセスチャネル(PRACH)プリアンブルは、追跡されているUEから応答が受信されない場合に、1つのPRACHランピング周期中に送信されるプリアンブルの最大数を指定する。LTEタイプ1のTA測定値は、以下のようにRTT測定値に等しい。
RTT=TA(タイプ1)=eNB(Rx−Tx)+UE(Rx−Tx)
eNBの座標及びサービングセルタワーアンテナの高さに関する知識を用いて、UEの位置をネットワークによって計算することができる。
しかしながら、E−CID位置特定法は、依然として限定的である。これは、ある次元では、位置精度が、セクタ幅及びサービングセルタワーからの距離に依存しているためであり、別の次元では、誤差がTA(RTT)測定精度に依存しているためである。セクタ幅は、ネットワークトポロジーによって変化し、伝播現象、具体的にはマルチパスの影響を受ける。セクタ精度の推定値は、200メートルから500メートル超と様々である。LTE TAの測定分解能は4Tsであり、39メートルの最大誤差に相当する。しかしながら、LTE TA測定値における実際の誤差は、較正の不正確性及び伝播現象(マルチパス)に起因して更に大きく、200メートルに達することがある。
図22に示すように、E−CID法は、到来角(AoA)として既知の特徴を追加することにより、更に改善され得る。eNBは、等間隔のアンテナ要素2200の線形アレイを使用して、UEの送信方向を推定する。典型的には、AoA測定には基準信号が使用される。2つの隣接するアンテナ要素2200においてUEからの基準信号が受信されると、基準信号は、図23に示すように、AoA、搬送波周波数、及び要素間隔に依存する量だけ位相回転されてよい。AoAでは、各eNBがアンテナアレイ/適応アンテナを備えている必要がある。マルチパス及びトポロジーの変動にも曝される。それでもなお、高度なアンテナアレイは、セクタ2100の幅2202を大幅に低減することができ、より良好な位置特定精度をもたらし得る。また、2つ以上のサービングセルタワー2300(指向性アンテナアレイを備えるeNBの基地局)を使用して、図23に示すように、ハンドセットAoA測定を行う場合、精度を大幅に向上させることができる。そのような場合、精度は、依然としてマルチパス/伝播現象の影響下にある。
複数のLTE帯にわたってネットワーク全体にアンテナアレイ/適応アンテナを配備することは、資本、時間、メンテナンスなどの観点で途方もない労力を要する。その結果、アンテナアレイ/適応アンテナは、UEの位置特定のために配備されていない。信号強度に基づく方法など他のアプローチは、著しい精度の改善をもたらさない。そのような信号強度アプローチの1つは、フィンガープリンティングデータベースを作成し、その大量の連続的な変化(時間的に)を継続的に更新することを必要とするフィンガープリンティングであり、例えば、精度はあまり向上しないものの、莫大な資本と繰り返し発生する費用を必要とする。更に、フィンガープリンティングはUEベースの技術であり、UEのアプリケーションレベルでのUEの支援を受けずにUE位置を決定することができない。
他のアップリンク位置法の制約の解決策は、アンテナアレイ/適応アンテナを必要としないAoA機能を使用することを伴う。このような実施形態は、AoA測定にTDOA(到来時間差)位置特定技法を用いてよく、複数の受信機におけるソースからの信号の到来時間差を推定することに基づいてよい。時間差推定の特定の値は、UEと通信する2つの受信機間の双曲線を定める。受信アンテナ間の距離が、位置しているエミッタ(ハンドセット)の距離に対して小さい場合、TDOAは、センサ(受信アンテナ)の基線とエミッタからの入射RFエネルギーとの間の角度に等しい。基線と真北との間の角度が既知である場合、象限方位線(LOB)及び/又はAoAを決定することができる。
TDOA又はLOB(AoAとしても既知である)のいずれかを使用する一般的な位置特定法が既知であるが、このような技術の正確性を許容可能にするためにはTDOA基準点が互いに接近し過ぎているために、LOBの測定には使用されていない。むしろ、LOBは、通常、指向性アンテナ及び/又はビーム形成アンテナを使用して測定される。しかしながら、本明細書に記載の超分解能法は、LOB測定にTDOAを使用できるようにし、同時に精度を劇的に改善する。加えて、本明細書に記載の基準信号処理技法を使用せずに、例えば、非サービングセクタ及び/又はアンテナによって、サービングセクタの外側のUEから到来する基準信号を「聴取する」、例えば検出することは不可能であり得る。本明細書に記載の分解能及び処理能力を使用しない場合、少なくとも2つの基準点、例えば2つ以上のセクタ及び/又はアンテナ)が必要であるため、LOB測定にTDOAを用いることは不可能であり得る。同様に、UEは、サービングセクタ以外から、例えば、非サービングセクタ及び/又はアンテナからUEに到来する基準信号を検出することができない場合がある。
例えば図24は、分離が広い場合と分離が近接している(小さい)場合という2つのシナリオを示す。両方のシナリオでは、双曲線2400及び入射線2402は、ハンドセット2000の位置で交差するが、アンテナ2404の分離が広い場合、これは急勾配で発生し、位置特定誤差を大きく低減させる。同時に、アンテナ2404が互いに近接している場合、双曲線2400は、RFエネルギー入射、つまりLOB/AoAの線2402と交換可能になる。
以下に記載の式は、エミッタからの入射RFエネルギーを決定するために使用することができ、2つのアンテナ(センサ)間のRFエネルギーの到来時間の時間差は以下の式で得られる。
式中、
Δtは、時間差(秒単位)であり、
xは、2つのセンサ間の距離(メートル単位)であり、
Θは、センサの基線と入射RF波との間の角度(度単位)であり、
cは光速である。
TDOA位置特定の実施形態を使用することにより、いくつかの位置特定戦略、つまり、(1)2つ以上のサービングセル間のTDOA測定値(マルチラテレーション)が使用可能である場合には、例えば、広い分離、(2)TDOA測定値が、1つ以上のサービングセルにおける2つ以上のセクタからのみ得られる場合には、例えば、小さいアンテナ分離(LOB/AoAなど)、(3)戦略(2)と(3)との組み合わせ、及び(4)TA測定値と戦略(1)〜(3)との組み合わせ(例えば、改善されたE−CID)が使用可能である。
以下で更に説明するように、近接して配置されたアンテナの場合、TDOA位置特定実施形態は、2つ以上のアンテナからの信号が同一セルタワーからの信号であるとき、象限方位線を使用してよい。これらの信号は、受信した復号信号で検出することができる。タワーの位置並びに各セクタ及び/又はアンテナの方位角を知ることによって、象限方位線及び/又はAoAを計算し、位置特定処理で用いることができる。LOB/AoAの精度は、マルチパス、ノイズ(SNR)などの影響を受ける場合がある。しかしながら、この影響は、高度な信号処理及び上記のマルチパス軽減処理技法(超分解能技術に基づき得る)によって軽減されてよい。このような高度な信号処理としては、信号相関(correlation)/相関(correlating)、フィルタリング、平均化、同期平均化、及び他の方法/技法が挙げられるが、これらに限定されない。
サービングセルタワー2500は、典型的には、3セクタ(セクタA、セクタB、及びセクタC)構成を示している図25に示すように、複数のセクタからなる。示した3セクタ配備は、セクタごとに1つ以上のアンテナ2502を含んでよい。セクタAなどの単一のセクタは、ハンドセット送信がセクタAのメインローブ内にある(メインローブの中心がセクタ方位角と一致する)ため、UE(ハンドセット)の制御下にあってよい。同時に、ハンドセット送信は、例えば、セクタB及びCのメインローブから外れて、例えば、アンテナのサイドローブに入るであろう。したがって、ハンドセット信号は、依然としてセクタB及びセクタCの出力信号スペクトル内に存在するが、セクタB又はセクタCのメインローブ内に位置する他のハンドセットからの信号に対して著しく弱まるであろう。それにもかかわらず、上記及び下記のように、高度な信号処理を使用することにより、測距信号で十分な処理利得を得て、セクタB及びセクタCのサイドローブなど、隣接セクタのサイドローブからこれらの信号を検出できるようにする。ネットワークベースの位置特定のために、LTEアップリンクSRS(サウンディング基準信号)が測距信号として用いられ得る。
換言すれば、UEアップリンク基準信号は、隣接セクタアンテナのサイドローブ内にあり得るが、本明細書に記載の基準信号処理法による処理利得は、2つ(又はそれ以上)のセクタアンテナ間でのTDOAの計算を可能にするのに十分であり得る。この実施形態の精度は、上記のマルチパス軽減処理アルゴリズムによって著しく向上し得る。したがって、LTE TAタイミングによって計算された環と交差するLOB/AOAは、およそ20メートル×100メートルの誤差楕円内にUE位置を提供し得る。
更なる位置特定誤差の低減は、2つ以上のLTEタワーによってUEが聴取され得るときに達成されてよく、これは、上記の処理利得及びマルチパス軽減技術を用いる場合に可能性が高い。そのような場合、TDOA双曲線と1つ以上のLOB/AoA線との交点は、30×20メートルの誤差楕円(2つのセクタセルタワーの場合)をもたらしてよい。各セルタワーが3つ以上のセクタをサポートする場合、誤差楕円は10〜15メートルへと更に低減され得る。UEが3つ以上のeNB(セルタワー)によって聴取される場合、5〜10メートルの精度が達成され得る。ショッピングモール、オフィスパークなど高値領域では、追加の小型セル又はパッシブ聴取デバイスを使用して、必要なカバレッジを形成することができる。
上記のように、セルタワー2500の各セクタは、1つ以上のアンテナ2502を含んでよい。典型的な設備では、所与のセクタに関して、各アンテナからの信号がセクタの受信機入力において統合される。その結果、位置特定のために、2つ以上のセクタアンテナを、複合の指向性パターン、方位角、及び仰角を有する単一アンテナと見なすことができる。仮想的なアンテナの複合の方向性及びその(メインローブ)方位角及び仰角はまた、セクタ自体に割り当てられてよい。
一実施形態では、各サービングタワー及び隣接サービングセルタワーの全セクタから(デジタル形式で)受信した信号は、位置決定のために、位置特定サーバユニット(LSU)に送信される。また、サービングされるUEごとのSRSスケジュール及びTA測定値は、各サービングセクタによって各サービングセルタワーからLSUに提供される。各サービングセルタワー及び各隣接セルタワーの位置座標、仮想的な各(複合)セクタアンテナの方位角及び仰角を有するタワーごとのセクタ数、及びセルタワーにおける各セクタの位置が既知であると仮定すると、LSUは、サービングセルタワー及び/又は隣接セルタワーに対する各UEの位置を決定し得る。上記の全情報は、1つ以上の標準又は専用インターフェースを使用して、有線ネットワーク、例えばLAN、WANなどを通じて送信されてよい。LSUはまた、標準インターフェース及び/又はネットワークキャリアの定義済みインターフェース/APIを使用して、無線ネットワークインフラストラクチャをインターフェースしてよい。位置決定はまた、ネットワークノードとLSUとの間で分割されてよく、又はネットワークノードのみで実行されてよい。
一実施形態では、位置決定は、UE内で実行されてよい、又はUEとLSU若しくはネットワークノードとの間で分割されてよい。このような場合、UEは、標準的なネットワーキングプロトコル/インターフェースを使用して無線で通信してよい。加えて、位置決定は、UE、LSU及び/若しくはネットワークノードの組み合わせによって実行することができる、又はLSU機能が、LSUの代わりに使用され得るSUPLサーバ、E−SMLCサーバ、及び/又はLCS(位置サービス)システムに組み入れられ(組み込まれ)得る。
ダウンリンク(DL)位置特定法の実施形態は、上記のアップリンク(UL)位置特定の実施形態に相反する。DLの実施形態では、セクタは、セクタの受信方向、方位角、及び仰角と一致する送信パターン、方位角、及び仰角を有する送信機となり得る。アップリンクの実施形態とは異なり、DLの実施形態では、UEは、典型的には単一の受信アンテナを有する。したがって、UEでは、RF波の入射の測定に使用され得るセンサ基線は存在しない。しかしながら、UEは、異なるセクタ間のTDOA、したがって、セクタ間の双曲線(マルチラテーション)を決定することができ、同一セルタワーのセクタは互いに近接しているため、双曲線は、図24を参照して上述したように、RFエネルギー入射線又はLOB/AoAと交換可能になる。LOB/AoAの精度はマルチパス、ノイズ(SNR)などの影響を受けることがあるが、この影響は、上記の超分解能技術に基づいた、高度な信号処理及びマルチパス軽減処理を使用することによって軽減され得る。
上記のように、UE DL位置特定は、上記の式からRF波の入射角を決定することができないことを除いて、UEアップリンク位置特定に類似の方法で達成することができる。代わりに、マルチラテレーション技法が、各サービングセルタワーのLOB/AoAを決定するために使用されてよい。
UE DL位置特定の実施形態はまた、基準信号を用いる。DLの場合、そのようなネットワークベースの位置特定のための1つのアプローチは、LTEセル固有の基準信号(CRS)を測距信号として用いることであり得る。また、LTEリリース9で導入された位置基準信号(PRS)が使用されてよい。したがって、位置特定は、CRSのみ、PRSのみ、又はCRS及びPRSの両方を使用して行われてよい。
UEアップリンク位置特定の実施形態と同様に、UEダウンリンク位置特定の実施形態では、デジタル形式のUE受信信号のスナップショットが、LSUに送信されて処理されてよい。UEはまた、TA測定値を取得し、それらをLSUに提供してよい。任意選択的に、サービングされるUEごとのTA測定値は、各サービングセクタによって各サービングセルタワー(ネットワークノード)からLSUに提供されてよい。前述したように、各サービングセルタワー及び各隣接セルタワーの位置座標、各セクタの送信パターンの方位角及び仰角を有するタワーごとのセクタ数、及びタワーにおける各セクタの位置が既知であると仮定すると、LSUは、サービングセルタワー及び/又は隣接セルタワーに対する各UEの位置を決定し得る。いくつかの実施形態では、位置決定は、UE内で実行されてよい、又はUEとLSU若しくはネットワークノードとの間で分割されてよい。いくつかの実施形態では、全ての位置決定は、LSU又はネットワークノード内で実行されてよい、又は2つの間で分割されてよい。
UEは、標準的な無線プロトコル/インターフェースを使用して、測定結果及び他の情報を無線で通信/受信するであろう。LSUとネットワークノードとの間での情報交換は、専用インターフェース及び/又は1つ以上の標準インターフェースを使用して、有線ネットワーク、例えばLAN、WANなどを介して行われてよい。LSUは、標準インターフェース及び/又はネットワークキャリアの定義済みインターフェース/APIを使用して、無線ネットワークインフラストラクチャをインターフェースしてよい。位置決定はまた、ネットワークノードとLSUとの間で分割されてよく、又はネットワークノードのみで実行されてよい。
上記のUE DL位置の実施形態では、位置を決定するためにアンテナポートマッピング情報が使用され得る。3GPP TS 36.211 LTE規格は、DL用のアンテナポートを規定する。別個の基準信号(パイロット信号)が、アンテナポートごとにLTE規格で定義される。したがって、DL信号は、アンテナポート情報も伝達する。この情報はPDSCH(物理ダウンリンク共有チャネル)に含まれる。PDSCHは、アンテナポート0;0及び1;0、1、2、及び3);又は5を使用する。これらの論理アンテナポートは、図26に示すように、物理送信アンテナに割り当てられる(マッピングされる)。その結果、このアンテナポート情報が、アンテナ識別子(アンテナID)に使用され得る。
例えば、アンテナポートマッピング情報は、(アンテナ位置が既知であると仮定して)アンテナ間のRF波入射及び双曲線(マルチラテレーション)を決定するために使用され得る。位置決定が実行される場所に応じて、アンテナマッピング情報は、LSU若しくはUE、又はネットワークノードで使用可能でなければならない。アンテナポートは、異なるタイムスロット及び異なるリソース要素にCRS信号を配置することによって示されることに留意されたい。DLアンテナポート当たり1つのCRS信号のみが送信される。
eNB又はネットワークノードにMIMO(マルチ入力マルチ出力)を配備する場合、受信機は、所与のUEからの到来時間差を測定することができてよい。アンテナ位置を含む、受信機へのアンテナのマッピング、例えば、MIMOマッピングに関する知識を用いて、アンテナに対するRF波の入射(LOB/AoA)及び所与のeNBアンテナについての双曲線(マルチラテレーション)を決定することも可能であり得る。同様に、UEにおいて、UE受信機は、2つ以上のeNB又はネットワークノード、及びMIMOアンテナからの到来時間差を決定することができる。eNBアンテナの位置、アンテナのマッピングに関する知識を用いて、アンテナからのRF波の入射(LOB/AoA)及び所与のeNBアンテナの双曲線(マルチラテレーション)を決定することも可能である。位置決定が実行される場所に応じて、アンテナマッピング情報は、LSU若しくはUE、又はネットワークノードで使用可能でなければならない。
単一入力多重出力(SIMO)、単一出力多重出力(SOMI)、単一入力単一出力(SISO)などMIMOのサブセットである他の構成が存在する。これらの構成の全ては、位置特定のために、アンテナポートマッピング及び/又はMIMOアンテナマッピング情報によって定義/決定され得る。
一態様では、本実施形態は、RTLSなど、RFベースの物体の識別、追跡、及び位置特定のための方法及びシステムに関する。一実施形態によると、本方法及びシステムは、各クラスタ内で精密に(例えば10ns以内以下)時間同期された受信機及び/又は送信機の地理的に分散されたクラスタを用いるが、クラスタ間時間同期の精密度は、かなり低い、又は全く要求されていない場合がある。1つの特定の実施形態に関して、10ns以下の精密な同期時間が記載されているが、正確な位置を達成するために必要とされる所定の同期時間は、用いられる機器に依存することに留意することが重要である。例えば、正確な位置決定に3mの精度が必要とされるいくつかの無線システム機器では、所定の時間は10ns以下である必要があり得るが、他の無線システム機器では、50mの位置精度が十分以上であってよい。したがって、所定の時間は、無線システムの所望の精密な位置に基づく。本開示の方法及びシステムは、地理的に分散したスタンドアローンの(個々の)送信機及び/又は受信機に依存する、追跡及び位置特定DL−OTDOA技法及びU−TDOA技法の既存の実施形態に対する有意な改善である。
例えば、DL−OTDOA技法では、隣接基地局(eNB)から到来する信号間の相対タイミング差が計算され、UE位置が、UEの支援を受けた若しくは受けないUE(ハンドセット)を備えるネットワーク内で、又はネットワーク支援(SUPLベースのみの制御プレーン又はユーザプレーン)を受けた若しくはネットワーク支援を受けないUE(ハンドセット)内で推定されることができる。DL−OTDOAでは、3つ以上の基地局からの信号が受信されると、UEは、一対の基地局から到来する信号間の相対タイミング差を測定し、双曲線の位置線(LOP)を生成する。2つの双曲線を定めるために、少なくとも3つの基準点(直線に属しない基地局)が必要である。UEの位置(位置測定)は、これら2つの双曲線の交点にある(図11を参照)。UEの位置測定は、基地局のRFエミッタ(アンテナ)位置に対するものである。一例として、LPP(LTE測位プロトコル、リリース9)を使用するとき、DL−OTDOAの位置特定はUEの支援を受け、E−SMLC(進化型サービングモバイル位置センター)はサーバベースである。
U−TDOA技法は、DL−OTDOAに類似しているが、その役割は反転している。ここで、隣接する位置管理ユニット(LMU)は、UE(ハンドセット)から到来するアップリンク信号の相対到来時間を計算し、UEの支援を受けずに、UE位置をネットワーク内で推定することができる。したがって、U−TDOAは、LMU支援型であり、E−SMLC(進化型サービングモバイル位置センター)はサーバベースである。3つ以上のLMUからの相対到来時間値が使用可能となると、ネットワークのE−SMLCサーバは、双曲線の位置線(LOP)及びUEの位置(位置測定)を生成する(図27を参照)。UEの位置測定は、LMUのアンテナ位置に対するものである。一態様では、DL−OTDOAとは異なって、U−TDOAの場合には、eNBの(基地局の)時間同期は必須ではない。LMUのみが、位置特定のために精密な時間同期を必要とする。一例として、LMUは、本質的に、計算能力を有する受信機である。更なる例として、LMU受信機は、SDR(ソフトウェア無線)技術を用いる。更なる例では、LMUは、小型セル、マクロセル、又は受信のみを行う、小型セルタイプの専用デバイスであってよい。
実施形態にかかわらず、ネットワークによってプロビジョニングされるように、特定のUEについてSRSの位置を相関させることにより、UEの識別及び位置特定が可能になる。SRSの位置特定は、ネットワークレベルで、又は建物用DAS、小型セル、又は特定エリアで機能する小型セルとマクロセルとの組み合わせなどローカルセクタ内で行われてよい。UEのSRSの位置が事前に不明である場合、本ソリューションは、カバレッジエリア全体でUEの位置を相関させることができ得る。そうすることにより、UEの移動場所の履歴を示すであろう。状況によっては、特定のUEについてSRSの配置場所をネットワークが示さない場合であっても、UEの位置を決定することが望ましい場合がある。UEの位置は、既知の位置に対するUEの位置又はその近接性を決定することによってSRSと相関させ、UEを送信しているSRSと相関させることができる。このような位置特定は、Wi−Fi及びBluetoothなど他の位置/近接性ソリューションによって達成され得る。ユーザはまた、自身のUEを位置特定ソリューションに対して識別するために、UEアプリケーションを用いて、又は所定の位置まで歩くことによって、それらの位置を識別することができる。
図11及び図27では、マクロ基地局のみを示す。また、図27は、基地局と並置されたLMUを示す。これらの描写は有効な選択肢であるが、LTE規格は、LMUの配置がマルチラテレーション/三辺測量要件を満たす限り、LMUが配置され得る場所を規定しない。
一態様では、室内環境用の一般的な配備は、DAS(分散アンテナシステム)及び/又は小型セルであり、これはRFと高度に統合された、安価な基地局である。LMUは、屋内及び/又はキャンバス型環境内にも配置されることができ、例えば、U−TDOAは、DAS及び/又は小型セル環境で使用され得る。別の態様では、U−TDOAベースの正確な屋内位置特定は、例えばDAS及び/又は小型セルの配備を必要とせずに、屋内に位置付けられたLMUと外部に位置付けられたマクロセルとの組み合わせによって達成し得る、又はより少ない数の小型セルを有し得る。したがって、LMUは、DAS及び/又は小型セルが存在して、又はこれらが不在で配備され得る。更なる態様では、LMUは、セル信号増幅器/ブースターが使用される環境内に配置され得、DAS及び/又は小型セルは存在している、又は不在である。
LTEリリース11はまた、LMU及びeNBの単一ユニットへの統合を企図する。しかしながら、これにより、個々の小型セルeNBが地理的に分散している場合に小型セル間の時間同期要件に更なる負担が課せられ、無線/セルラーサービスプロバイダは、特に屋内で、及び/又は他のGPS/GNSSが拒否される環境においてこれらを満たす準備ができていない。
DASシステムは、地理的に分散したマクロ/ミニ/小型セル/LMUよりもはるかに高い程度(精度)まで本質的に時間同期される。DAS環境でDL−DTOAソリューションを使用することにより、時間同期の問題は軽減されるが、DAS環境では単一の基地局が多数の分散アンテナのために機能し、その結果、複数のアンテナが同一のセルID(識別番号)で同一のダウンリンク信号を送信する。その結果、従来のDL−OTDOAアプローチは、異なるIDを用いて信号を生成する、識別可能な隣接セル(アンテナ)が存在しないために機能しない。それにもかかわらず、米国特許第7,872,583号に記載されているように、マルチパス軽減プロセッサ及びマルチパス軽減技法/アルゴリズムを用いると、DL−OTDOA技法を使用することが可能であり、2012年8月3日出願の米国特許非仮出願第13/566,993号、名称「MULTI−PATH MITIGATION IN RANGEFINDING AND TRACKING OBJECTS USING REDUCED ATTENUATION RF TECHNOLOGY」に記載されているように、位置整合アルゴリズムの使用を拡張する(これらの特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。しかしながら、これらの整合アルゴリズムは、同一IDで信号を発するアンテナの数という制約を有する。1つの解決策は、同一IDを発行するアンテナの数を低減することであり、例えば、多数のDASアンテナを、異なるIDを有する2つ以上の時間同期クラスタに分割することである。このような構成は、システムコストを増加させ(基地局の数を増加させる)、上記の技術をサポートするためにハンドセット/UEを必要とする。
DAS環境でU−TDOAを用いることにより、LMUユニットの追加/設置に関するコストも追加される。しかしながら、UE(ハンドセット)に対する変更は不要であり、基地局ソフトウェアのみをアップグレードして、U−TDOA機能をサポートする必要がある。また、複数のLMUを、DASシステムと統合することが可能である。したがって、LMUを用いたU−TDOA法は、屋内環境において、キャンパス環境において、及び他のGPS/GNSSが困難な、地理的に限定された環境において使用されるときに多くの利点を有する。
地理的に分散した複数の基地局及び/若しくは小型セル間、並びに/又は屋内及び他のGPS/GNSSが拒否される環境のLMU間での精密な時間同期は、マクロセル及び/又は屋外例えばGPS/GNSSフレンドリ環境のマクロセルで使用されるLMU機器と比較してより複雑である。これは、屋外環境のマクロセルが、高位置にあり、戸外に設置されたアンテナを有するためである。その結果、GPS/GNSS信号品質は非常に良好であり、マクロセルアンテナの送信及び/又はLMU受信機は、GPS/GNSSを使用して、十分に広い範囲にわたって非常に高精度(標準偏差10ns)まで同期され得る。
一態様では、屋内及び他のGPS/GNSSが拒否される環境では、複数の分散基地局及び/又は小型セル/LMU間の時間同期は、多数の基地局及び/又は小型セル及び/又はLMUによって共有される同期信号を生成する外部同期ソースを使用することによって達成される。この同期信号は、GPS/GNSS、例えば、1PPS信号、及び/又はインターネット/イーサネットネットワーキング、例えばPTP又はNTPなどから導出され得る。後者は低コストのソリューションであるが、正確な位置特定に必要とされる時間同期精度をもたらすことができない。GPS/GNSSから導出される外部同期信号は、より正確(20nsまでの標準偏差)であるが、追加のハードウェア及び設置要件(例えば、これらの信号の配線)を必要とし、より複雑/高価である。また、外部同期信号をより高いレベルの精度に適応させるために、基地局及び/又は小型セルハードウェア/低レベルファームウェアに対する変更が必要であり得る。更に、20nsの標準偏差は、3メートル要件、例えば、約10nsの標準偏差を満たすのに十分な精度ではない。
上記の制約を克服するために、図28のマルチチャネルLMUの高レベルブロック図で示すように、一実施形態は、複数の受信アンテナ2802及び信号チャネル2804を有するLMUデバイス2800を使用する。一例として、1つ以上の信号チャネル2804は、RFE(RFフロントエンド)2806、RFダウンコンバータ2808、及び/又はアップリンク位置特定プロセッサ2810など信号処理構成要素を含み得る。他の構成要素及び構成が使用され得る。一態様では、信号チャネル2804は、LMUデバイス2800内に並置され、緊密に時間同期されている(例えば、約3ns〜約10nsの標準偏差)。別の実施例では、各LMU信号チャネル2804からのアンテナ2802は、地理的に分散している(例えば、DASに類似)。更なる例として、外部時間同期構成要素(例えば、GPS/GNSS、インターネット/イーサネットなど)は、LMUデバイス2800と通信することができる。精密な時間同期は、多数の地理的に分散した機器を緊密に同期させようとすることによるよりも、デバイス(例えば、LMUデバイス2800)内でより容易に達成される。
一例として、2つ以上のマルチチャネルLMU(例えば、LMUデバイス2800)が配備されるとき、これらのLMU間での時間同期は緩和され、その結果、(外部ソース信号を使用して)多数の分散マルチチャネルLMUを同期させるために、低コスト、かつ複雑性の低いアプローチが使用され得る。例えば、インターネット/イーサネットネットワーキング同期が使用され得る、又は共通センサ(デバイス)が配備されて、異なるマルチチャネルLMU間のタイミング同期を提供し得る。
一方、マルチチャネルLMUアプローチは、位置測定を決定する際に使用可能な双曲線の位置線(LOP)の数を低減するが、時間同期の改善によってこの欠陥を克服する(以下の説明及び実施例を参照)。
マルチラテレーション/三辺測量法を使用するとき、UE測位精度は、マクロセルタワー/小型セル/LMUの幾何学的配置による精度の幾何学的希釈(GDOP)、及び単一測距σ
R_pseudo測定の精度(Gunter Seeber,Satellite Geodesy,2003を参照)という2つの因子の以下の関数である。
GDOPは、送信アンテナ(DL−OTDOAの場合)又は受信アンテナ(U−TDOAの場合)の地理的分散の関数である。規則的に配置されたアンテナの場合、2次元GDOP推定は、2/√Nに等しく(H.B.LEE,ACCURACY LIMITATIONS OF HYPERBOLIC MULTILATERATION SYSTEMS,1973)、セルラーネットワークの場合、Nは、UEによって「聴取可能」であるエミッタ(マクロセルタワー/小型セル/DASアンテナ)の数(DL−OTDOAの場合)、又はUEアップリンク送信を「聴取」可能なLMU/LMU受信チャネルの数(U−TDOAの場合)である。したがって、UE位置誤差の標準偏差は、以下のように計算することができる。
地理的に分散した8つの(屋内の)単一受信チャネルLMU(規則的に配置されている)がUEアップリンク送信を検出しており、これらのLMUは、1PPS信号(例えば、20nsの標準偏差)を介して同期されると仮定する。この場合、N=8であり、UE位置測定に使用され得る、7つの独立したLOPが存在するであろう。更に、測距誤差標準偏差の範囲、σ
Rが3メートル(約10ns)であると仮定する。その結果、単一測距測定の精度は以下のとおりある。
式中、σ
SYNCは、外部時間同期信号の標準偏差(20ns)である。
この場合(N=8)、単一の測距測定値、及びUE位置誤差σ
POSの標準偏差は4.74メートルに等しい。
一例として、分散型アンテナが規則的に配置されている、2つの4受信チャネルLMU(例えば、マルチチャネルLMUデバイス2800)がUEアップリンク送信を検出している場合、各LMUは、3つの緊密に同期されたLOP(例えば、約3nsの標準偏差)のセットを生成し、3つの独立したLOPの場合、N=4である。この場合、それぞれ3.12メートルの標準偏差誤差σPOSを有する、2つのUE位置測定が生成される。これらの2つの位置測定を平均化及び/又は他の手段/方法によって組み合わせることにより、UE位置測定誤差が更に低減されるであろう。1つの推定は、誤差の低減がUE位置測定数の平方根に比例するというものである。本開示では、この数は2に等しく、最終的なUE位置測定誤差σPOS_FINALは2.21メートルであり、3.12/√2として取得される。
一態様では、いくつかのマルチチャネルLMU(例えば、LMUデバイス2800)は、これらのマルチチャネルLMU間で緩和された同期を有し、屋内環境及び他のGPS/GNSSが拒否される環境に使用することができる。一例として、マルチチャネルLMUデバイス内において、LMUは緊密に同期することができる(例えば、約3ns〜約10nsの標準偏差)。別の実施形態は、多数の単一チャネルの小型セル/LMU及び/又は統合型LMUデバイス電子機器(LMU機能がeNBに埋め込まれる)を備える小型セルが、ラックマウント型エンクロージャ(図31、図32、及び図33)及び/又はキャビネット(例えば、19インチラック)内でクラスタ化(例えば、統合、並置など)され得るという事実を利用する。各単一チャネルデバイスのアンテナは、DASと同様に地理的に分散させられ得る。クラスタ内のデバイスは、緊密に時間同期され得る(例えば、10ns以下の標準偏差)。複数のラックマウント型エンクロージャは、通信要件(例えば、VoLTE)ごとに同期され得、それによって、低コストかつ複雑性の低いアプローチが使用され得る。ラックマウント型エンクロージャ/キャビネット内のクラスタ化(統合)された多数のデバイス間の精密な(緊密な)時間同期は、多数の地理的に分散されたデバイスを緊密に時間同期させる場合よりも、より容易に達成され、低コストである。
別の態様では、複数のLMUが、図34に示すように、DASシステムと(に)統合され得る。一例として、LMU受信機は、各DASアンテナ、例えば、共有DASアンテナによって生成された受信信号を共有することができる。これらの受信信号の実際の配信は、DASの実施形態(アクティブDAS対パッシブDAS)に依存する。しかしながら、LMUとDASとを統合した実施形態は、LMU受信機チャネルを有する各DASアンテナによって生成された受信信号を共有し各DASアンテナ座標を対応するLMU/LMU受信機チャネルと一致させる(相関させる)アルマナックを生成することを伴う。ここでも、クラスタ化アプローチ及び又はマルチチャネルLMUを用いることは、LMU及びDASの統合に好ましい方法である。
また、同様の方式で、各小型セルアンテナによって生成された受信信号をLMU受信機チャネルと共有することが可能である。ここで、小型セルの時間同期は、緩和され得、例えば、位置特定要件を満たす必要はないが、LMU/LMUチャネルでは、精密な時間同期を必要とする。クラスタ化アプローチ及びマルチチャネルLMUを用いることは、そのような選択肢のためにLMUにとって好ましい方法である。
LMU及びeNBの単一ユニットへの統合は、スタンドアローンeNB及びLMUデバイスの組み合わせよりもコスト優位性を有する。しかしながら、統合したLMU及びeNB受信機とは異なり、スタンドアローンLMU受信チャネルは、UEからのデータペイロードを処理する必要がない。更に、UEアップリンク測距信号(LTEの場合には、SRS(サウンディング基準信号))は反復可能であり、(サービングセルに)時間同期されるため、各スタンドアローンLMU受信チャネルは、2つ以上のアンテナ、例えば、2つ以上の小型セルをサポートする(時間多重される)ことができる。これは、次に、LMU(小型セル/DAS及び/又は他のU−TDOA位置特定環境内)の数を低減し、システムのコストを低減することができる(図28も参照)。
無線/セルラーネットワークのE−SMLCサーバにDL−OTDOA及び/又はU−TDOA技法に必要な機能が無い場合、この機能は、UE及び/若しくはLMUと通信することができる位置サーバ、並びに無線/セルラーネットワークインフラストラクチャ、並びに/又は位置サービスサーバによって実行され得る(図29及び図30を参照)。他の構成が使用され得る。
別の態様では、1つ以上のLMUデバイス(例えば、LMU2802)が、例えば、図35に示すように、WiFiインフラストラクチャを伴って配備され得る。あるいは、聴取デバイスを使用して、WiFiインフラストラクチャと同じ方式でLMUアンテナを監視することができる。したがって、LMUデバイス及び/又はLMUにサービングするチャネルアンテナは、1つ以上のWiFiアクセスポイント(AP)など1つ以上のWiFi/聴取デバイス3500と並置され得る。一例として、WiFiデバイス3500は地理的に分散され得る。
一実施形態では、WiFiデバイス3500は電源に接続され得る。1つ以上のLMUデバイス又はチャネルのRFアナログ部分3502(例えば、回路)は、RFアナログ部分3502が電源をWiFiデバイス3500と共有することができるように、LMUアンテナと統合され得る(図35を参照)。一例として、LMUデバイス又はチャネルのRFアナログ部分3502は、ベースバンド信号処理を含み得るアップリンク位置特定プロセッサ回路(例えば、アップリンク位置特定プロセッサ2810)にケーブルを介して接続され得る。更なる例として、アンテナと、RFアナログ部分3502とベースバンド回路との間の相互接続ケーブルとの間には信号増幅が存在し得るため、このような実施形態は、信号対ノイズ比(SNR)の改善を促進する。更に、RFアナログ部分3502は、受信信号を(例えば、ベースバンドまで)ダウンコンバートすることができ、ベースバンド信号周波数がアンテナ内の受信信号よりも数段階小さいため、ケーブル要件が緩和され得る。このようなケーブル要件の緩和は、接続コストの削減となり、送信距離を大幅に増加させることができる。
測距信号はSRSのみに限定されるのではなく、MIMO、CRS(セル固有の基準信号)など他の基準信号を用いることができることを理解されたい。
更なる実施形態では、5Gのネットワーク中心の位置特定アプローチは、ダウンリンクOTDOA法及びアップリンクTDOA法を融合することによって改善され得る。例えば、マクロセル環境では、アップリンクTDOA方法は、範囲の不足に悩まされる。これは、UEによるアップリンク信号送信では、マクロセルによる、対応するダウンリンク信号送信よりも電力が桁違いに低いためである。その結果、UE信号が隣接セルによって検出される確率が低くなる。アップリンクTDOAについて、3GPP規格は、アップリンク信号の検出可能性の改善を支援するLMUの配備を企図している(すなわち、LMUは、本質的に追加の信号処理能力を有するアップリンク送信受信機である)。多くのLMUの配備は、アップリンク信号の検出可能性の問題に対処し、UEの位置を特定するためのマルチラテレーション測位を可能にするが、この配備及び多数のこのようなデバイスに関わる著しいコストが存在する。その結果、無線ネットワークキャリアは、LTE 4G環境においてLMUを配備しなかった。
したがって、4G環境及び5G環境におけるアップリンク位置特定を可能にするために、異なるUE位置決定方法のためにサービングアンテナシステムの特性(プロパティ)を活用する必要があり得る。例えば、サービングセルアンテナのシステム設計に応じて、水平(別名、方位角)面でのUE基準信号の到来方向(角度)(DoA/AoA)を推定するアップリンク法を使用することができる。理論的には、垂直(別名、仰角)面でDoA/AoAを推定することも可能であり得る。水平面及び垂直面の両方におけるDoA/AoA計算を組み合わせることにより、UEの位置を特定することが可能であり得る。しかしながら、実際には、マクロセルアンテナの設計のために、垂直面に関するDoA/AoA推定の精度が、精密に位置を決定するには低すぎる、又は垂直面内のアンテナ要素にアクセスできないため、垂直面におけるDoA/AoA推定を全く実行することができない。
そのため、アップリンクDoA/AOA法を用いて位置測定を行うためには、UEからサービングセルまでの距離を推定する必要があり得る。この距離は、サービングセルによって実行される測定に基づく、ラウンドトリップタイム(RTT)及びタイムアドバンス(TA)情報から導出されてよい。しかしながら、これらの測定値は、電波伝播現象のために必要な精度を欠く場合がある。精度問題に対処するための1つの可能な方法は、ダウンリンクOTDOAを使用して、UEとサービングセルとの間の距離を推定することである。この解決策の欠点は、ダウンリンクOTDOAが、UE位置決定に使用されるサービングセルと隣接セルとの間に正確な同期を必要とし、例えば、位置特定精度が同期誤差の影響を受けることである。マクロ環境内のアップリンクTDOAも同一の影響に悩まされるため、代替策は存在しない。
しかし、アップリンクDoA/AoAには、この誤差はない。これは、サービングセルのみが使用される、すなわち、隣接セルは使用されず、同期が必要とされないためである。これに対して、サービングセルとUEとの間の距離を決定するためにダウンリンクOTDOAが使用される場合、この測定は上記の同期誤差を含み得る。ただし、ダウンリンクOTDOAが初期UE位置の決定のみ使用される場合には、誤差が軽減され得る。その後、同一サービングセルが使用される限り、UE位置は、UEのDoA/AoA及びUE速度(DoA/AoAと同じ基準信号及び/又は他の基準信号から推定される)測定値に基づいて、最先端の追跡アルゴリズムを用いて計算され得る。時間(すなわち、測定回数)にわたって、追跡アルゴリズム又はトラッカーは、同期誤差の影響を低減するであろう。サービングセル間のソフト/ソフターハンドオーバーは、4G LTEでサポートされていないため、サービングセルまでの初期UE距離測定は、UEが、あるサービングセルから別のサービングセルに切り替えられるたびに繰り返される必要があり得ることに留意されたい。
追跡アルゴリズムは、レーダー及びソーナー性能改善ストラテジーに基づいてよい。追跡アルゴリズム又はトラッカーは、センサシステムによって報告された個々の物体の位置及び速度の履歴に基づいて、複数の移動物体の将来の位置を予測する能力を提供し得る。粒子フィルタアルゴリズム、カルマンアルゴリズムなど多数の異なるタイプのトラッカーが存在する。トラッカーの使用はまた、上記のRTT測定値に基づいて初期UE位置が計算されるときに、UE測位を改善し得る。ダウンリンクOTDOA又はRTT/TAを使用して、UEからサービングセルまでの距離を測定するかどうかの選択は、距離推定における誤差の大きさに依存する。誤差が大きいほど、トラッカーの性能は大きく影響され得る。また、ハンドオーバー後には、ネットワークによるRTTの推定にある程度の時間がかかる。この時間中、報告されたRTT測定値が有効ではないことがある。一実施形態では、2つの異なる独立したトラッカーが同時に用いられ、より短時間で収束する(すなわち、最初に位置を決定する)位置を使用する。更に別の実施形態では、位置測定ごとにダウンリンクOTDOAを使用して距離を推定し、トラッカーを用いて距離を推定し、同期誤差を補正する。このアプローチは、最良の精度をもたらし得る。
上記のように、アップリンク法は本質的にネットワーク中心であり、関連するUE基準信号送信は、eNodeB及び/若しくはマクロ環境でeNodeBと統合されたLMU、又はスタンドアローンLMU、他の環境でDASシステムなどと統合されたLMUによって収集され、前処理されてよく、次いで、LSUに転送されて更に処理され、1つ以上のネットワークプロトコルを使用してUE位置を決定する。ダウンリンクOTDOAの場合、ダウンリンク基準信号の収集及び前処理のタスクは、UEによって実行される。次いで、UEは、収集したダウンリンクデータをLSUに送信する。UEは、制御プレーン及び/又はLTEユーザ(データ)プレーンを使用して、LSUとの通信を処理する。したがって、シグナリングは、OMA Secure User Plane Location(SUPL)プロトコル及び/又は3GPP、例えばLTE Positioning Protocol(LPP)に則してよい。
UE位置決定のために、多数のアップリンク及びダウンリンク基準信号が用いられてよい。アップリンク位置特定に最も一般的に使用されるものとしては、サウンディング基準信号(SRS)及び/又は復調基準信号(DMRS)が挙げられる。ダウンリンク位置特定に最も一般的に使用されるものとしては、測位基準信号(PRS)及び/又はセル固有の基準信号(CRS)が挙げられる。基準信号は、LSUに送信される前に前処理され得るデジタル形式、すなわち、サンプルで収集されてよい。基準信号のデジタルサンプルは、時間領域内のベースバンドI/Qサンプル、又は周波数領域内のベースバンドI/Qサンプル、並びにOFDMシンボルからのリソース要素(RE)から抽出されてよい。リソース要素は、1つのOFDMシンボルの期間に対する1つのOFDM副搬送波を表す複素係数である。したがって、REは、周波数領域内のLTEシンボルを表すことができる。I/Q値は、信号の同相(I)成分及び直交(Q)成分を表す。その結果、基準信号は、時間領域内のI/Qサンプル、又は周波数領域内のI/Qサンプル、又は基準信号を含むシンボルのREによって表され得る。
ダウンリンクOTDOA UEの実施形態では、PRS基準信号及びCRS基準信号の両方が収集され得る。換言すれば、この方法は、PRS、CRS、又は両タイプの信号を用いてよい。このハイブリッド動作モード(すなわち、PRS若しくはCRS、又はPRS及びCRSの両方)は、ネットワーク事業者が、状況又は特定のネットワークパラメータに応じて動作モードを動的に選択できるようにするという利点を有する。例えば、PRSは、CRSよりも良好な聴取能力を有し得るが、PRSを用いることによりデータスループットが低減し得る。CRSはスループットに影響を与えず、より高い基準信号密度を有する。これはUEの移動時に有利である。加えて、CRSは、全ての以前のLTEリリース、例えばリリース8以下との後方互換性がある。したがって、ハイブリッド法は、ネットワーク事業者に、聴取性、スループット、互換性、及び移動する標的の正確な位置特定/追跡の間でトレードオフを行う、つまりバランスを保つ能力を提供する。
ダウンリンクOTDOAの一実施形態では、UE受信機は、1つ以上のダウンリンクフレームからの基準信号、例えばPRS及び/又はCRSを搬送する多数のOFDMシンボルを検出し、分離するように構成された検出器を含んでよい。この検出器は、1シンボルごとにOFDMシンボルからリソース要素(RE)(図9を参照)を抽出するように更に構成されてよく、また、1シンボルごとに多数のOFDMシンボルからリソース要素(RE)を収集し、記憶するように、すなわち、シンボルID(ID)ごとに、このシンボルIDと相関性があるREを含むダウンリンクデータ構造を生成するように構成されてよい。加えて、検出器は、各フレーム開始及び他の関連及び/又は補助情報を含むダウンリンクメタデータを収集するように構成されてよい。
一実施形態では、CRS RE要素を含むOFDMシンボルの例示的なデータ構造は、以下のとおりである。
−CRSR_data_sruct:[捕捉ブロック内で捕捉された無線スロットの数、捕捉ブロック間の時間間隔(スロット数)、CRSデータ長、及びCRSデータ(リソース要素)]。
一実施形態では、UEからLSUに送信される例示的なメタデータは、以下を含む。
−サービングセル情報:[physCellId、cellGlobalId、CellGlobalIdEUTRA−AndUTRA、earfcn−DL、systemFrameNumber、スロット番号、UTCタイムスタンプ、rsrp−Result、rsrq−Result、
−ue−RxTxTimeDiff、DownlinkPathLoss、帯域幅(物理リソースブロック(PRB)における)。
−隣接セル情報(0〜32個の隣接セル):[physCellId、cellGlobalId、CellGlobalIdEUTRA−AndUTRA、earfcn−DL、systemFrameNumber、rsrp−Result、rsrq−Result。
−UE情報:[UE ID、UEカテゴリ、移動度、MobilityHistoryReport]。
ダウンリンクOTDOAの一実施形態では、UE受信機は、LSUにREデータ及びメタデータを送信し、コマンド及び支援情報を受信するように構成されるなど、LSUに信号を送信し、ダウンリンクデータを交換するように構成された通信プロセッサを含んでよい。シグナリングは、OMA SUPLプロトコル及び/若しくは3GPP LPP、又はLPPとSUPLとの組み合わせに則してよいことに留意されたい。更に、専用インターフェース及び/又はプロトコルも用いられ得る。
ダウンリンクOTDOAの一実施形態では、UE受信機の検出器は、1シンボルごとにOFDMシンボルから時間領域内の基準信号I/Qサンプルを抽出するように構成されてよく、また、1シンボルごとに多数のOFDMシンボルから時間領域内のこれらのI/Qサンプルを収集する、すなわち、シンボルIDごとに、このシンボルIDに関連する時間領域内のI/Qサンプルを含むダウンリンクデータ構造を生成するように構成されてよい。加えて、検出器は、各フレーム開始及び他の関連及び/又は補助情報を含むダウンリンクメタデータを収集するように構成されてよい。
ダウンリンクOTDOAの一実施形態では、UE受信機の検出器は、1シンボルごとに多数のOFDMシンボルから時間領域内のI/Qサンプルを収集する、すなわち、シンボルIDごとに、このシンボルIDと関連がある時間領域内のI/Qサンプルを含むダウンリンクデータ構造を生成するように構成されてよい。加えて、検出器は、各フレーム開始及び他の関連及び/又は補助情報を含むダウンリンクメタデータを収集するように構成されてよい。
ダウンリンクOTDOAの一実施形態では、UE受信機の検出器は、1シンボルごとに多数のOFDMシンボルからREを収集する、すなわち、シンボルIDごとに、このシンボルIDと関連があるREを含むダウンリンクデータ構造を生成するように構成されてよい。加えて、検出器は、各フレーム開始及び他の関連及び/又は補助情報を含むダウンリンクメタデータを収集するように構成されてよい。
基準信号REを搬送するOFDMシンボルは、ペイロード及び基準信号REの両方を含んでよい。その結果、検出器によってOFDMシンボルから収集されたRE、したがってこれらの収集物から生成されたダウンリンクデータ構造は、ペイロード及び基準信号REの両方を含む。このデータがLSUに送信されると、ペイロードREはオーバーヘッドとなり、アップリンク容量を低減する。
シンボルの周波数次元におけるCRS基準信号RE及びPRS基準信号REの位置は、セルID、アンテナ構成、アンテナポート、無線フレーム内のスロット番号、及びスロット内のOFDMシンボル番号によって決定されてよい(3GPP 36.211 v13又はETSI TS 136 211 V13.0.0も参照)。この情報がUE受信機の検出器にとって既知である場合、検出器は、ペイロードREを除去し、それによってLSUに送信されるダウンリンクデータのサイズを縮小する、すなわち、オーバーヘッドを低減するように構成されてよい。低減量は、基準信号のタイプ、隣接セルID、及び他のセルパラメータに応じて様々であり得る。例えば、CRSの場合、データサイズの縮小は、(デュアルアンテナセクタを有するセルの)3倍であってもよい。他の場合では、それほど低減しないことがあり得るが、むしろ稀であり得る。これは、シンボルの周波数次元での基準信号REの位置が、[(セルID)mod6]基準で繰り返されるためである。したがって、CRSについては、平均して、データサイズの低減は、最悪の事態と比較して約40%であり得る。
更なるデータサイズの低減は、複素REの大きさ及び位相をより少数のビットに圧縮することによって得ることができる。多数の圧縮アルゴリズムが存在する。一部は周知であり、例えば、A−law及びu−lawコンパンディングアルゴリズムなどである。他のアルゴリズムは、C−RAN(集中型、協調クラウド無線アクセスネットワーク)アーキテクチャのベースバンドユニット(BBU)プール及びリモート無線ユニット(RRU)接続帯域幅の低減を標的としている。注:C−RANアーキテクチャでは、ベースバンドユニット(BBU)は、光ファイバを介してリモート無線ユニット(RRU)に接続されているプールの中央に位置する。更に、レーダー技術で使用されるコンパンディングアルゴリズムが存在する。
一実施形態では、UE受信機の検出器は、16ビット〜32ビットのREサイズを8ビットのREサイズに圧縮し、例えば、2倍〜4倍のデータサイズ低減を行うように構成されている。
ダウンリンクOTDOAの一実施形態では、LSUは、ダウンリンク基準信号データ並びに、1つ以上のUEから送信されたフレーム開始など他の関連及び/又は補助ダウンリンク情報を処理するように構成されている。この処理は、位置確認されたデータベース/リストから、全ての検出可能な(特定の基準を満たす)基準信号エミッタを検索することを含む。また、この処理は、アンテナごとに、例えばLTEデバイスのアンテナポート及び/又は関連するLTEネットワーク構成要素ごとに実行される。LSUの出力は、1つ以上のUEの位置及び他のダウンリンク位置関連メタデータ(信頼半径値、FCC NG911位置精度メトリックなど)である。
LSUは、ダウンリンク基準信号データからの基準信号の到来時間(ToA/TDOA)及び/又は飛行時間(ToF)並びにUEによって送信された他の情報を推定するように構成された、ダウンリンク信号プロセッサを含んでよい。このプロセッサはまた、基準セルと隣接セル(測定セル)との間の時間差(すなわち、RSTD/TDOA(RSTDは基準信号時間差を意味する))を決定するように構成されている。ダウンリンク信号プロセッサは、位置特定信号処理アルゴリズム、並びに高度なスペクトル推定アルゴリズム、定アラームレート(CFAR)検出アルゴリズム、時空間適応処理(STAP)などマルチパス軽減アルゴリズム及び方法を含む他の技法及び技術を含んでよい。加えて、ダウンリンク信号プロセッサは、1つ以上の特定のアルゴリズム及び/又は技法を用いて、搬送波周波数オフセット(CFO)を推定するように構成されてよく、これにより、LSUが1つ以上の移動するUEを追跡し、送信機(セル)と受信機(UE)との間のクロック周波数の不整合を軽減できるようにし得る。CFO推定値は、ダウンリンク基準信号データを更新(修正)するために使用される。
セルタワーの大部分は、MIMOアンテナを用いる。各セルタワーセクタは、複数の(2つ以上の)アンテナからなるMIMOサブシステムを有する。これらのアンテナは完全にコヒーレントである。すなわち、時間及び位相が同期されている。基準信号送信間の干渉を回避するために、a)ゴールドコードシード(基準信号のコード化/生成に使用される)は、アンテナごとに異なり、b)異なるリソース要素(副搬送波)は、アンテナの基準信号送信ごとに割り当てられ、c)セクタのMIMOサブシステムからの1つのアンテナが基準信号を送信しているとき、他のアンテナからの送信はミュートされる。その結果、UE受信機は、各セクタのサブシステムアンテナからの基準信号の送信を検出(弁別)することができる。
今日、最も一般的に配備されているのはデュアルアンテナを有するセクタアンテナサブシステムであり、あらゆるMIMOアンテナサブシステムのように、これらのアンテナは空間的に分離されている(およそ6フィート)。しかしながら、セクタMIMOサブシステムは、2つのアンテナに限定されず、アンテナ分離距離が様々であり得ることが理解されよう。同一セクタの異なるアンテナから基準信号を選択する従来の方法は、最も高いSNR(信号対ノイズ比)及び/又はSNIR(信号対ノイズ+干渉比)を有するアンテナ(信号)を選択することである。しかしながら、多くの場合、これらの基準は、直接見通し線(DLOS)又は基準信号のダイレクトパスの検出を保証せず、UE位置測定は、反射信号から決定される。この場合、すなわち、DLOS/ダイレクトパスは検出されず、位置精度が影響を受ける。したがって、正確な位置特定のために、(DLOS)又はダイレクトパス信号を検出する必要がある。
無線ネットワークは地上系であるため、DLOSパスは、様々な程度で頻繁に遮断され、DLOS信号強度が、反射信号強度よりも著しく(15dB以上)低いことが多くある。同時に、無線ネットワークは地上系であり、たとえ、RF伝播現象(表面波、フレネル波など)のためにDLOSの遮断が深刻である(>15dB)場合であっても、セクタアンテナからUE受信機へのRF信号のダイレクトパスが常に存在する。このダイレクトパスはDLOSパスよりも幾分長いが、反射パスよりもDLOSパス長にはるかに近い。すなわち、位置決定精度に及ぼす影響は最小限である。
セクタアンテナの空間分離は、UEからセクタアンテナまでの距離よりも少なくとも2桁小さい。その結果、各アンテナの信号伝播パスは、非常に近接しており、同様の減衰を経験するはずである。しかし、セクタアンテナの空間分離は、各セクタアンテナからの基準信号がマルチパス現象を経験するには十分に大きく、DLOS/ダイレクトパス信号強度並びに反射パス信号強度に影響を及ぼす。マルチパス干渉は、強め合う又は弱め合う、すなわち、信号を増幅させる又は減衰させることができ、また、各アンテナからのセクタのアンテナの空間分離信号のために、異なる影響を受ける、すなわち、衝撃はアンテナに依存する。
同一セクタの2つのアンテナからの信号を比較するとき、第1のアンテナからの基準信号が増幅された反射信号を有し、一方では、DLOS/ダイレクトパス信号が減衰されることがあり、例えば、反射信号電力は、DLOS/ダイレクトパス信号電力よりも著しく高い(>20dB)ことがある。第1のアンテナと比較して、第2のアンテナからの基準信号は、より高い(例えば3dB又は4dB)DLOS/ダイレクトパス信号強度、及び低減された(例えば5dB低い)反射信号を有することがある。同時に、両アンテナのDLOS/ダイレクトパス信号電力は、反射信号電力よりもはるかに低い(場合によっては>=10dB)。その結果、例えば第1のアンテナからの、より大きい反射信号電力を有する信号は、より高いSNR/SNIRを有し、UE位置測定を決定するために(アンテナからの基準信号を選択する従来のアプローチを使用して)選択される。しかしながら、第1のアンテナのDLOS/ダイレクトパス信号電力は、検出閾値を下回って、位置精度に影響を及ぼし得る。続いて、DLOS/ダイレクトパス検出の確率を高めるために、より高いDLOS/ダイレクトパス信号強度(3dB〜4dB)を有する、第2のアンテナからの信号を選択する。
LSUダウンリンク信号プロセッサの一実施形態では、DLOS/ダイレクトパスを決定するために、所与のセクタのアンテナごとにToA/ToFの結果が評価される(比較される)。定義により、DLOS/ダイレクトパスは、反射パスに対して、UEとタワーとの間の最短距離を表す。したがって、DLOS/ダイレクトパスは、最短のToA又は最小のToFを有する。上記の説明に基づいて、1対のアンテナからのToA/TOF結果を比較する際に考えられる結果は以下のとおりである。
1.両アンテナからの信号は、同一の最短のToA値及び/又は最小のToF値をもたらす。
2.あるアンテナからの最短の信号ToA及び/又は最小のToF値は、別のアンテナからの最短のToA値及び/又は最小のToF値よりも小さい。
第1のケースでは、アンテナ(信号)の選択は、信頼性メトリックに基づく(以下を参照)。第2のケースでは、この信号が信頼性メトリックパラメータ閾値要件を満たすという条件で、位置測定を計算するために、より低いToA/ToF値を有するアンテナ(信号)が用いられる。注:この信頼性メトリックは、誤認警報、例えば、検出閾値を超えるノイズ及び/又は干渉によって生じる、DLOS/ダイレクトパスの誤検出(決定)を回避する(軽減する)ために必要とされる。
セルタワーセクタのアンテナサブシステムが3つ以上のアンテナからなる場合、反復プロセスが用いられ、a)工程番号1では、多数のアンテナ対が形成され、これらの対が評価され、b)工程番号2では、残りのアンテナからアンテナ対のサブセットが形成され、各アンテナ対が評価され、c)対を形成できなくなる、すなわち、1つのアンテナ(信号)のみが残される(使用可能である)まで工程番号2が繰り返される。
更に、ダウンリンク信号プロセッサは、各セル及び各セルセクタのアンテナからの各ToA/ToFに対するTOA信頼性メトリックを計算するように構成されている。この計算は、全信号強度及び/又は受信信号のSNR/SNIRが所望の閾値、及び標準偏差、平均絶対偏差(MAD)などToA/ToF信号統計を満たすかどうかを含んでよい。ダイレクトパス/DLOSが見つかったかどうか、ダイレクトパスが識別された場合には、ダイレクトパス/DLOSのSNR/SNIRを含んでよい。追加情報は、サービングセルが最も近いセルかどうか、及びサービングセルが最も高いSNR/SNIRを有するかどうか、並びに、RSTDの組み合わせごとの精度の幾何学的希釈(GDOP)計算を含んでよい。GDOPは、セル位置の幾何学的形状、及びセクタのアンテナサブシステムの方向性(方位角面における)に依存することに留意されたい。GDOPは、この幾何学的形状が最終的なUE位置推定に及ぼす影響を示し得る。GDOP値は、2つの所与のRSTD/TDOA線が交差する角度に依存し得る。最良の場合(GDOP=1)、この角度は90度である。最悪の場合(GDOP>20)、角度は小さい。RSTD/TDOA双曲線は、位置線(LOP)と呼ばれることもある。
セルセクタのアンテナサブシステムの場合と同様に、UEは、複数の(2つ以上の)アンテナを含み、これらのアンテナを複数の受信チャネルと関連付けてよい。これらのアンテナのうちのいずれかは、基準信号を受信し、それにより、UEに、各UEアンテナからの着信信号を収集する選択肢を与えてよい。各アンテナからの基準信号は、上記のダウンリンクOTDOA UEの実施形態のように、UEによって収集され、前処理され、次いでLSUに送信されてよい。UEアンテナは密接しており、アンテナ間のマルチパスの影響の変動を低減していてよい。しかしながら、UEアンテナは、偏波ダイバーシティ用に設計されてよい。その結果、上記のアンテナ(信号)選択決定フロー(アルゴリズム)は、UEアンテナごとにセクタのアンテナ選択アルゴリズムを繰り返し、次いで、上記のセクタのアンテナ選択アルゴリズムを使用して残りの候補の間で選択することによって、拡張される。
LSUの実施形態は、所与のセル/セクタの各アンテナからのToA/ToF結果間で結果を比較するダウンリンク信号プロセッサを含んでよい。ダウンリンク信号プロセッサはまた、上記のように、各UEアンテナ間で結果を比較してよい。このような比較の論理的根拠は、アンテナ偏波現象が一部の干渉及び/又は反射パスを減衰させ、同時にDLOS/ダイレクトパス信号を増幅し得ることである。換言すれば、このような比較に関連する情報冗長性は、DLOS/ダイレクトパス検出の確率を増加させ得る。
ダウンリンク信号プロセッサはまた、搬送波周波数オフセット(CFO)を推定するように構成されている。CFOには、2つの主な原因が存在する。第1の原因は、モバイル環境に存在する送信機(セル)と受信機(UE)との間の相対運動の結果である、ドップラーシフトであり、第2の原因は、ダウンコンバージョンプロセス後のUE受信機における残留CFOをもたらす、送信機(セル)と受信機(UE)との間のクロック周波数の不整合である。直交性の喪失がOFDMシステムの通信性能を低下させるため、副搬送波の直交性を維持/保持するために、CFO推定が必要とされる。同様に、OFDM基準信号がUE位置特定のための測距信号として使用される場合、すなわち、ToA/TDOA及び/又はToF時間を決定する場合、副搬送波周波数のオフセットは到来時間(ToA/TDOA)及び/又は飛行時間(ToF)の推定精度に影響を及ぼす。したがって、UEの移動及び/又はクロック周波数の不整合の影響を軽減するために、ダウンリンク信号プロセッサは、基準データを修正するために使用されて、TOA/TDOA及び/又はToFの推定精度に対するUEの移動及び/又はクロック周波数オフセットの影響を軽減するCFO推定を実行する。なお、UE受信機はサービングセルと同期し、サービングセルに対するCFOを計算する一方で、UE位置決定に使用されるToA/TDOA及び/又はToFを推定する、複数の隣接セルからのCFOを修正する必要があることに留意されたい。ここでは、ドップラーシフトは、セル位置に対するハンドセットの移動方向に応じてセルごとに異なる。また、各セルと受信機(UE)との間のクロック周波数の不整合は、セルに依存する。更に、正確な位置特定のためには、これらのCFOは、通信目的よりも高い精度で推定されるべきである。
LTE及び他のOFDMベースのシステムでは、CFOは、時間領域法又は周波数領域法のいずれかを使用して推定され得る。時間領域においては、サイクリックプレフィックス(CP)法及びトレーニングシーケンス法が一般に使用される。周波数ドメイン推定法は、トレーニングシンブオール法及びパイロット法に更に分類され得る。トレーニングシーケンス及びトレーニングシンボルの両方法は、LTEフレーム又はシンボル構造内に存在しない(送信されない)専用のトレーニングシーケンス又はトレーニングシンボルを必要とする。これらのアプローチのうちの1つを用いる場合には、LTEフレーム/シンボル形式の変更が必要となり、既存のモバイル無線ネットワークでの実施に影響を及ぼす。一方、CP及びパイロット(別名、基準)信号は、LTEフレーム又はシンボル構造の一部である。CPベースのCFO推定及びパイロットベースの方法と比較して、より正確なCFO推定値が生成される。また、時間領域CPベースの推定は、リソース要素がUEによって収集され、LSUに送信されて、位置測定を決定する実施形態では使用できない。これは、REデータセットがCPデータを含まないためである。したがって、本発明者らのCFO推定の実施形態は、LTE(OFDM)フレーム内の複数のパイロット信号、すなわち、基準信号を用いる。
CFO推定の一実施形態では、CFOは周波数領域において推定され、基準信号は、時間領域において推定CFOで補償される。この実施形態では、周波数領域内の全てのスロット基準信号副搬送波のFFTからなる。CFO推定は、周波数領域で形成された二次元空間内のピークを探索することによって行われる。以下のCFO推定プロセスのプロセスを参照されたい。
本実施形態では、単一のLTEフレームがCFOを決定するために使用される。しかしながら、2つ以上のフレーム、またフレームの画分、例えば10スロット(ハーフフレーム)が使用され得るため、単一フレームは制約ではない。LTEフレームでは、全てのシンボルに基準信号が存在しない場合がある。図9のCRS信号の例を参照されたい。一方、図9から、各LTEフレームスロットは、同一に配信されたCRS信号を有し、その結果、CFO推定はスロットベースで実行され得る。
以下は、CFOを推定するプロセスの説明である。このプロセスは、サービングセル及び聴取可能な隣接セルのそれぞれからの個々の基準信号に適用される。
工程1:周波数領域内の整合フィルタを使用して、基準信号のREを復調する。
工程2:CRSを使用するとき、(CRS副搬送波において)各スロット内の復調CRSサンプルを組み合わせて、1スロットごと、すなわち、0.5ミリ秒の周期(間隔)で複数の結合CRS信号を、又は10ミリ秒の期間である1フレーム当たり20の信号を生成する。注:上記の説明から、各スロット内の結合CRSサンプルシーケンスは、周波数領域に存在する。
工程3:逆高速フーリエ変換(IFFT)は、全てのスロットCRS(周波数領域内のCRS副搬送波)に適用されて、時間領域内でスロットごとにCRSシーケンスを生成する。したがって、この工程の最後には、時間領域にそれぞれ20のCRSシーケンスが存在する。全てのCRSシーケンス(時間領域)内の要素の数は同一であり、(時間領域内で)ADCサンプリングレートによって除されたCRS信号の期間に等しい。CRSシーケンス内の要素の数がNであり、全てのnについて、nが1,......,Nに属すると仮定すると、20個の要素のシーケンスを形成することが可能である。このような「n」シーケンスにおいて、各要素は、異なるスロットからのものである。
工程4:高速フーリエ変換(FFT)は、20個の要素の「n」シーケンスごとに適用され、周波数領域内のそれぞれ20個の要素によって合計N個のシーケンスを生成する。
工程5:周波数領域内のN×20要素の空間をピークに対して探索し、このピークの最大値からCFOを計算する。
ピーク最大値の決定精度、その結果としてCFO推定精度は、スロットとフレーム期間との間の時間間隔によって制限される。したがって、本実施形態において精度を向上させるために、ピークの最大値を見出す際に補間アルゴリズムが用いられる。
別の実施形態では、工程4では、行列束、MUSIC、ESPRITなどの高度なスペクトル推定アルゴリズムが、FFT動作の代わりとなる。これらのアルゴリズムは、ピークの最大値決定精度の更なる改善を可能にする。
また、a)他の基準信号を同様の方法で処理することができ、b)基準信号をスロットごと以外で結合してよく、c)基準信号がシンボルごとに使用可能である場合に基準信号の結合は必須ではない場合があることも理解されたい。
LSUの実施形態では、ToA/ToF値、RSTD/TDOA値、信頼性メトリック、DLOS/ダイレクトパス確率などダウンリンク信号プロセッサからの出力(結果)が、1つ以上のUE位置を推定し、信頼半径値、FCC NG911位置特定精度メトリックなど他のダウンリンク位置関連メタデータを生成するように構成されたナビゲーション(位置)プロセッサに渡される。
ダウンリンクOTDOA UE位置特定の実施形態では、LSUは、双曲線ナビゲーションとしても知られるマルチラテレーション技法又は方法を用いるナビゲーションプロセッサを含んでよい。双曲線ナビゲーションは、タイミングの差、すなわち、RSTD/TDOAに基づいており、共通クロックを参照しない。ナビゲーションプロセッサはまた、上記の情報冗長性、例えば、TOA/TOF、信頼性メトリック、DLOS/ダイレクトパス確率などを用いて、マルチラテレーション位置測定の曖昧性を軽減し、また、位置整合アルゴリズムを適用するように構成されてよい。
マルチラテレーション技法及び方法は、多数の双曲線(RSTD/TDOA)式を解くことを伴い、多数の異なるアルゴリズム/アプローチが使用されて正しい解が見つけられ得る。一部のアルゴリズム/アプローチは、標的(UE)位置の初期推定、つまり「推測」で開始し得る反復法を含む。次いで、局所線形最小2乗法の位置解を決定することによって、各反復で推定値を改善することができる。このアプローチの1つの欠点は、著しい位置誤差をもたらし得る極小値の収束及び/又は不在を保証するために、初期位置推定を最終位置解に極めて近づける必要があることである。一方、未知数よりも多くの測定方程式が存在する、過剰決定系の状況において良好に機能し得る。この点に関して、過剰決定系の状況は、必要最低限の測定値のみが使用可能である場合に生じ得る、曖昧な解及び/又は無縁解の可能性を低減することに留意されたい。
また、双曲線位置推定の問題に対する非反復解法も存在する。これらの解法は閉形式であり、遠いソース及び近いソースの両方に対して有効であり得、それによって、反復アプローチの収束及び/又は極小の問題を排除する。非反復解法に対する1つの欠点は、UEと第1のセル、例えば、サービングセルとの間の距離など、決定される概算位置の事前知識を必要とすることである。非反復解法の別の欠点は、それらが、過剰決定系の状況に向けて設計されていない、閉形式の解法であることである。それにもかかわらず、追加変数を使用して、元のTDOA非線形方程式セットを別の線形方程式のセットに変換することによって、過剰決定系の状況で非反復解法を機能させることが可能であり得る。例えば、重み付き線形最小二乗アルゴリズムは、初期位置解を提供し、次いで、第2の重み付き最小二乗は、ソース座標の既知の制約及び追加変数を使用して、改善された位置/位置特定推定値を提供する。
一実施形態では、過剰決定系の状況が生じると、3RSTD/TDOAサブセットの複数のセットが形成される。続いて、サブセットごとに、閉形式の解が見出される。その後、位置整合アルゴリズムを利用して、位置測定を最終決定する。
別の実施形態では、位置測定は、RSTD/TDOA値の同一セットからの反復及び非反復解法の組み合わせによって見出される。
上記から、反復アプローチ及び非反復アプローチは、UE位置の正確な初期推定値を有する必要がある。この推定は、タイムアドバンス(TADV又はTA)(別名、RTT)情報によって向上させることができる。タイミングアドバンスは、信号がUEとサービングセルタワーとの間を移動する際の伝播遅延を補償するために使用される。サービングセルの基地局は、測定したUEの離隔距離に基づいてTAをUEに割り当てる(図37を参照)。
LTEタイミングアドバンスタイプ1の測定(図38を参照)は、ラウンドトリップタイム、すなわち、信号の往復伝播遅延に対応する。タイミングアドバンス伝播遅延は、DLOS/ダイレクトパス又は反射パスからのものであってもよく、セルタワーケーブル及び基地局/UE電子機器による伝播遅延を含む。更に、UEは、4倍のTs精度で送信タイミングを調整する(TsはLTEシステムタイミングであり、32.55nsに等しい)。
タイプ1は、以下のようにeNBにおける送受信タイミング差とUEにおける送受信タイミング差との和として定義される。
TADV=(eNB Rx−Tx時間差)+(UE Rx−Tx時間差)。
したがって、基地局までの距離dは、以下の式を用いて推定される。
d=c*(TADV/2)(式中、cは光速である)、又は
d□□c□□(RTT/2)(式中、cは光速である)。
TA(RTT)はサービングセルから入手可能であり、サービングセクタから独立したUE範囲推定値を表す。しかしながら、UEからTAを入手することはできない。その代わりに、UEは、送受信タイミング差、すなわち、UE Rx−Txへのアクセスを提供する。上記から、UE Rx−Tx=RTT−eNB Rx−Txである。一方、図37及び図38から、UE TAが調整されると、サービングセルのeNB Rx−Tx時間差が全てのUEについて同一になる。その結果として、UE Rx−Tx測定値は、依然としてRTTに対応するが、セルタワーアンテナのケーブル長及び基地局の電子機器に依存するバイアスを伴う。
一実施形態では、アンテナのケーブル長の伝播遅延は、タワーの高さから推定することができ、基地局の電子機器の伝播遅延は、様々なタワーから収集された統計データから推定することができる。
RTTが既知である場合、UEは、サービングセクタの方位角ビーム幅及びRTT/2範囲(別名、半径)によって定められる弧に沿って位置し得る。サービングセクタの方位角ビーム幅は、120度に到達する大きな値であり得るため、弧の長さは、その距離と共に迅速に増加し、初期UE位置の推定精度に影響を及ぼす。しかしながら、位置/位置推定の精度は、UEはまた、サービングセクタ及び隣接セルセクタの方位角ビーム幅の交点によって位置付けられ得るという事実により、改善され得る。このアプローチは、弧の拡大の影響の軽減に役立つ。更なる改善は、また、セクタアンテナの機械的ダウンチルト角及び/又は電気的ダウンチルト角、アンテナ利得、仰角ビーム幅(方位角ビーム幅に加えて)、並びにセルタワーの高さ及びタワーの構造タイプを考慮することによって達成され得る。
LTEは、ソフトUEハンドオーバーをサポートしないが、多くの場合、UEが定常状態又は準定常状態であっても、UEは2つ以上の隣接セルの間で切り替えられる。信号伝播外乱に加えて、このサービングセルの切り替えは、無線ネットワークのeNBの負荷を均等化しようとする取り組みの結果であり得る。
一実施形態において、これらの頻繁なサービングセルのハンドオーバーは、2つ以上の地理的に多様なサービングセルからRTT値を推定するために使用される。上記のように、UEは、サービングセクタの方位角ビーム幅及びRTT/2範囲によって定められる弧に沿って位置し得る。したがって、2つ以上の地理的に多様なサービングセルから定められる、2つ以上のそのような弧が存在し、UEの位置は、これらの弧の交点において決定される。固有のRTT推定誤差のため、複数の交点が存在する、又は全く存在しない場合があることに留意されたい。しかしながら、冗長な弧に関する情報は、この実施形態でも用いられる、上記のRTTベースの位置測定を更に改善する。
更により精緻な初期UE位置推定を開発するために、LSUナビゲーションプロセッサは、LSUアップリンク信号プロセッサと協働するように構成されてよい。LSUダウンリンク信号プロセッサと同様に、LSUアップリンク信号プロセッサは、アップリンク基準信号、例えばSRS及び/又はDMRS、1つ以上のUEから収集され、eNodeB(セル)によって前処理されたデータを受信してよい。eNodeBにおいて、アップリンク基準信号のデジタルサンプルはベースバンドから抽出され、関連するアップリンクメタデータと共にアップリンク基準信号として収集される。次いで、UEアップリンクデータ及び関連するアップリンクメタデータは、LSUアップリンク信号プロセッサに送信される。アップリンク信号プロセッサは、UEアップリンクデータ及び関連するアップリンクメタデータ、並びにアップリンクメタデータに含まれるeNodeBセクタアンテナアレイの既知の構成/パラメータに基づいて、AoA/DoAオブザーバブルを決定するように構成されてよい。次いで、AoA/DoAオブザーブルは、LSUナビゲーションプロセッサに送信され、オブザーブルの曖昧性を低減し、AoAオブザーブル及びアップリンクメタデータからAoA象限方位線(LOB)及び/又は到来方向(DoA)を生成してよい。
一実施形態では、LSUナビゲーションプロセッサによって生成されるAoA/DoA推定値は、eNodeB(サービングセクタ)からの距離に対する弧の拡大を劇的に制限する。これは、120度に到達し得るセクタ方位角ビーム幅とは異なり、LSUナビゲーションプロセッサによって推定されるAoA象限方位線(LOB)及び/又は到来方向(DoA)の誤差が、ほぼ1度以下であるためである。したがって、セクタの方位角ビーム幅の従来の使用と比較して、LSUアップリンク信号プロセッサ及びLSUナビゲーションプロセッサを用いるときの弧の拡大は、100倍未満であり得る。その結果として、初期UE位置推定の正確性が、100倍増加し得る。したがって、AoA/DoA推定は、ナビゲーションプロセッサのダウンリンクOTDOA UE測位精度を改善することができ、このより正確なダウンリンクOTDOA UE位置特定は、次にナビゲーションプロセッサのアップリンクAoA/DoA/UE位置測定を改善することができる。その結果、アップリンク/ダウンリンク又はダウンリンク/アップリンクを組み合わせたUE測位を用いる実施形態が可能となる。
無線ネットワーク環境では、UE位置を取得するために、少なくとも3つの基準点を必要とする(2D位置特定の場合)マルチラテレーション法を使用できない場合がある。4つ以上の基準点を使用できる場合、3D位置を抽出することもできる。更に、信号がMIMOアンテナによって受信される場合、UEの方位が確立され得る。MIMOアンテナから垂直スナップショット情報を入手できる場合、UEの仰角も決定され得る。例えば、一部の高密度都市環境無線ネットワークでは、広範囲に大量のRF信号を送り込む、2つの高電力セルタワーのみを使用する。この環境ではDLOSを使用できないが、DLOSの不在の影響は小さい。これは、データ通信目的では、反射パス遅延がサイクリックプレフィックス(CP)長未満である限り、反射信号を使用して通信が実行され得るためである。これにより、検出可能な少なくとも3つの基準点に依存する一般的なナビゲーション技法に問題が生じる。
一実施形態では、2タワー/セル環境内に位置するUEを図36に更に示す。この方法は、双曲線3606及び3608など検出可能な2つのセル/タワーセクタ3602及び3604のTDOA双曲線をプロットし、標的UEが属する双曲線を見出すことで開始してよい。UEの双曲線は、UEが内在するセル/タワー3602及び3604のそれぞれからのセクタ方位角ビームを見出すことによって決定され得る。両セクタ方位角ビームに属する双曲線が選択される双曲線である。図36に示すように、セル/タワー3602はセクタ方位角ビーム幅3610を有し、セル/タワー3604はセクタ方位角ビーム幅3612を有する。図36の例では、セクタ方位角ビーム幅は同一であり、60度に等しい。セクタ方位角ビーム幅3610とセクタ方位角ビーム幅3612との交点3616は、UEが位置する確率の最も高い領域である。最高確率のこの領域に属する双曲線3608は、選択される双曲線である。
少なくとも1つのセクタ(タワー)からのTA又はUE Rx−Tx(別名、RTT)測定値を使用できる場合、UEは、サービングセクタの方位角ビーム幅及びRTT/2範囲、例えば、弧の半径によって定められる弧に沿って位置してよい。したがって、UEは、双曲線及びアーク交点付近に位置付けられてよい。注:固有のRTT推定誤差のため、複数の交点が存在する、又は全く存在しない場合がある。しかしながら、冗長な弧情報は、RTTベースの位置測定を更に強化する。
少なくとも1つのセクタ(タワー)からのAoA/DoA推定値を使用できる場合、UEはLOB及び双曲線の交点に属する。この解は、最も正確であり得る。
更に、RTT、AoA/DoA推定値のいずれも使用できない場合、UE位置測定は、1つ以上のヒューリスティックアプローチ、例えば、選択された双曲線3608上の各セル/タワー(セクタ)に対応する交点をスコアリングすることによって決定され得る。スコアは、セル/タワーが向いている方向と、セル/タワーセクタから試験される双曲線上の点の方向との間の角度の差の余弦に部分的に基づいてよい。図36に示すように、セル/タワー3602は方向3620を向いており、セル/タワー3604は、交点3630及び3634を画定する方向3622を向いている。スコアの残りの部分は、各点3630及び3634から対応するセル/タワーまでの距離から得られてよい。各点3630及び3634のスコアが決定されると、最も高いスコアを有する点がセル/タワー3602及びセル/タワー3604から決定され得る。次いで、双曲線上の2つの最高スコアを得た点が、それらの対応するセル/タワーのSNRに従って重み付けされる。最後に、2つの最高スコアを得た点の間の点(SNRによる、より高く重み付けされた点に近い)が、UE位置測定として選択される。図36に示すように、UEの真の位置が位置3652である場合、UE位置3650が推定される。
LSUの実施形態の考察に戻ると、LSUは、シグナリング及びUEとの情報交換用に構成されている通信プロセッサと、eNodeBと、ネットワーク要素と、を更に含んでよい。シグナリングは、OMA SUPLプロトコル及び/若しくは3GPP LPP/LPPa、又はLPP、LPPa、及びSUPLの組み合わせ、並びにネットワークとの通信に使用される、若しくは使用され得る他のプロトコル、例えば、LCS−APプロトコルに則してよい。更に、専用インターフェース及び/又はプロトコルも用いられ得る。
このように交換される情報の例は、以下のとおりであり得る。
−サイト名:
技術(すなわち、4G、5G)、アクティブ(例えば、Y/N)(すなわち、無線)、建物内(例えば、Y/N);
グローバルセルID、PCI値、周波数、IsGPSsynchronized、DL Tx構成(すなわち、Txポートの数、maxTx電力、DL帯域幅);
タワー構造タイプ(すなわち、屋上、モノポール、建物の側部など)、ケーブル長及び損失;アンテナタイプ(すなわち、オムニ、指向性)、緯度、経度、アンテナの高度AGL(すなわち、地表を超える)、タワー基部高度MSL(すなわち、平均界面)、ジオイド;
アンテナの方位角、仰角、機械的ダウンチルト角、電気的ダウンチルト角、利得、Hビーム幅、Vビーム幅;
セル帯域幅、TA、隣接セルのリスト、PRS構成;
eNodeBセクタアンテナアレイの構成。
IoTアプリケーションでのUE電力消費を再考すると、IoTをサポートするLTEモデムは、更なる電力低減オプションを追求してよい。例えば、UEの1つの選択肢は、UEが(ネットワークに)既に接続されているときにのみ測距信号データを送信することである。UEの別の選択肢は、高位置精度を達成するのに望ましい条件が満たされた場合、例えば、検出されたタワーの数が閾値数Nよりも大きい、及び/又はSNR/SNIR値が特定のレベルを超えるなどの場合にのみ測距信号データを送信することである。注:このアプローチは、瞬時の位置測定が必要な場合には適用され得ないが、ある程度の遅延が許容可能である、移動中のUEの追跡(軌跡の決定)には許容可能であり得る。
LSUの実施形態では、全てのLSU構成要素/要素(通信プロセッサ、ダウンリンク信号プロセッサ、アップリンク信号プロセッサ、及びナビゲーションプロセッサなど)は、1つ以上のネットワークコア要素上で実行され得るソフトウェアで実施されてよい。一実施形態では、これらのLSU構成要素はまた、施設のエッジにある、進化する4.5G MEC(モバイルエッジコンピューティング)サーバで実行され得、それにより、例えば、LSU構成要素は、4.5G MEC上のホスト型アプリとして統合されてよい。
別の実施形態では、5G配備内のLSU構成要素は、コアネットワークコンピューティングクラウド内でホストされてよい。この実施形態では、コアネットワークコンピューティングクラウド内でホストされているLSUはLocation−as−a−Service(LaaS)データ配信をサポートしてよく、それにより、UEは、コアネットワークコンピューティングクラウド及び保護された物理位置データ専用のLaaSへのゲートウェイとして機能する。
全てのLSU構成要素/要素(通信プロセッサ、ダウンリンク信号プロセッサ、アップリンク信号プロセッサ、及びナビゲーションプロセッサ)は、ソフトウェアで実施される。
以下は、LSUの配置を含む、更なるシステム配備の選択肢の説明である。
1.LSUは、コアネットワーク及び/又は事業者のIPサービスネットワークの内部に配備されてよい。
2.LSUは、クラウドコンピュータベースの集中型RAN(C−RAN)ベースバンド処理のエッジ施設においてサーバ上に、例えば、進化する4.5G MEC(モバイルエッジコンピューティング)サーバに配備され得、ホスト型アプリケーションとして統合され得る。注:RANは無線アクセスネットワークである。
3.LSUは、コアネットワークコンピューティングクラウド及び/又は事業者のサービスネットワーククラウド内でホストされる。
4.LSUは、完全にホストされ、管理されたクラウドサービスであり得、セキュアなリモートインターネット接続を介して、事業者のネットワークインフラストラクチャ及び/又はIPサービスネットワークに接続する。
実施形態3及び4は、Location−as−a−Service(LaaS)データ配信をサポートし、それにより、UEは、コアネットワークコンピューティングクラウド及び保護された物理位置データ専用のLaaSへのゲートウェイとして機能する。しかしながら、選択肢3は、コンピューティングクラウド内でホストされる、進化型パケットコア(EPC)(別名、ネットワークコア)を有する5Gネットワーク専用である。同時に、選択肢4は、現在配備されている無線ネットワークの選択肢並びに5Gの配備により適切であり、したがって、一実施形態である。前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも例示的かつ説明目的あり、特許請求される実施形態の更なる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
E−UTRAN(3GPP TS 36.305バージョン14.3.0リリース14)内のUE測位用アーキテクチャに基づく、LSU配備の第4の選択肢を用いるシステムの一実施形態を図39に示す。この実施形態は、OMA(Open Mobile Alliance)のSecure User Plane Location(SUPL)アーキテクチャバージョン2.1(OMA−AD−SUPL−V2_1−20120529−C)を用いてよい。LTE制御プレーンを用いる従来のE−UTRAN測位とは異なり、SUPLはLTEユーザプレーン上でE−UTRAN測位を実行する。SUPLソリューションは、既存の規格、例えば、LTEインターフェース及びUE測位をサポートするプロトコルを用いて、IPなどユーザプレーンベアラ上での支援データ及び測位データを転送し、SUPL対応端末(SET)の位置を決定してよい。このタスクを達成するために、SUPLソリューションは、既存のLTEインターフェース及びプロトコル、例えばLPPプロトコルを拡張する。注:SETは、デバイス内の論理エンティティ、すなわち、SUPL位置プラットフォーム(SLP)と通信することができる。SLPは、位置サービス管理及び位置決定を担う。SLPは、SLC機能及びSPC機能を含む。SUPLネットワーク内のSUPL測位センター(SPC)エンティティは、位置計算及び支援データの送達に必要な全てのメッセージ及びプロシージャを担う。SUPL位置センター(SLC)は、ネットワーク内のSUPLの動作を調整し、ユーザプレーンベアラ上のSETと相互作用する。
図40は、測位の基盤となるシステムアーキテクチャの一実施形態のブロック図を示す。この図は、a)1つ以上のLTEデバイス4001(別名、UE)、b)E−UTRAN eNodeB4002、c)ネットワークコア要素(モバイル管理エンティティ(MME)4005、進化型サービングモバイル位置センター(E−SMLC)4009、サービングゲートウェイ(SGW)4003、及びパケットゲートウェイ(PGW)4004、d)ネットワークのコアIPサービスネットワーク4006、e)PoLTE LSU4007、並びにd)スタンドアローンLMU又はDASシステム4010と統合されたLMUを示している。図40には、位置サービス(LCS)タスクを管理/サポートすることができるIPサービスネットワークエンティティ4008が含まれる。注:ユニット4008は、他のエンティティも含んでよい。加えて、図40では、LTE及びSUPLインターフェース及びユーザプレーンが識別される。
本実施形態は、デバイス(UE)位置を決定するために、SUPL位置プラットフォーム(SLP)ソリューションを活用する。しかしながら、SUPLとPoLTEシステムアーキテクチャとの間には、いくつかの重要なアーキテクチャの相違点が存在し、SUPLソリューションの拡張及び/又は修正、並びに新しい要素/機能の導入が必要である。これらのアーキテクチャの相違点を以下に記載する。
まず、図40に示すシステムはSLPを含まない。その代わりに、SLP機能はLSU4007によって実行される。
第2に、SUPLアーキテクチャは、スタンドアローンエンティティとしてネットワークのコアと共にSUPL位置プラットフォーム(SLP)を配置する、又は位置プラットフォームの一部の要素をネットワークコア構成要素と結合する、例えば、E−SMLC4009にSUPL位置センター(SPC)を統合する、又は専用インターフェースを介してSPCに接続する(3GPP TS 36.305 version 14.3.0 Release 14,section B.2 SUPL 2.0 and LTE Architectureを参照)。しかしながら、LaaSをサポートするために、LSUは、ネットワークのコア及び/又はコアIPサービスネットワークの外部のクラウド内でホスティングされる。したがって、このアーキテクチャでは、測位要素が、コア及び/又はサービスネットワーク構成要素と統合されなくてよい。その代わりに、情報は、まず、E−SMLCに統合され、SUPL Llpインターフェースを用いるユーザプレーンを介して(インターフェースの拡張したプロトコルを介して)、又は専用インターフェース及び/若しくはプロトコルを介して、この情報をLSUに渡すための中継装置として機能する、中継(図40を参照)エンティティに運ばれてよい。
第3に、ダウンリンク測位のために、SUPLは、SETから支援データ、すなわち、完全にLPP/LPPeセッション内で行われる動作を取得する。しかしながら、一部のダウンリンク測位のケースでは、eNodeB及びUEからの情報は、測位動作のためにマージされる必要がある。SUPLは、本質的にユーザプレーン上で実行され、eNodeBにおいて終了する動作をサポートしない。したがって、様々なeNodeBsによって供給される支援データを必要とする動作は、LPPa上で制御プレーンプロシージャと組み合わせて行う必要がある(3GPP TS 36.305 version 14.3.0 Release 14,section B.4 Procedures combining C−plane and U−plane operationsを参照)。LTEリリース14ソリューションは、SPC(SUPL測位センター)をE−SMLCに統合する、又は専用インターフェースを介してSPCをE−SMLCに接続する。
しかしながら、このソリューションは、支援データの収集/転送に限定され、例えば、基準信号のデジタルサンプルの転送を必要とするPoLTEアップリンクAoA/DoA及びU−TDOA測位動作をサポートしない。また、このソリューションは、ネットワークのコア内にいくつかの測位機能を配置し、上記のアーキテクチャの相違点に関する考察によると、このソリューションは、全ての測位機能が、ネットワークのコア及び/又はコアIPサービスネットワークの外部にある単一エンティティ(LSU)に属するPoLTEシステムアーキテクチャ(図40)をサポートすることができない。
第4に、PoLTE動作は、時間領域内のベースバンドI/Qサンプル若しくは周波数領域のベースバンドI/Qサンプルのデジタルサンプル、又は基準信号を搬送するOFDMシンボルのリソース要素(RE)若しくはOFDMシンボルからの基準信号のREのUE及び/又はLMUにおける収集/抽出及びLSUへの転送を必要とする。これは、LTE測位規格、すなわち、E−UTRAN内のUE測位アーキテクチャ、及びOMA SUPLアーキテクチャのいずれでもサポートされていない固有の要件である。
このアプローチには複数の利点があり、以下に主要な利点を列挙する(他の利点は、本開示全体に記載している)。
1.UEでは、測位(RSTDの計算)に必要な重い計算負荷が軽減されるため、UEの電力消費を著しく改善する。このことは、IoT(Internet of Things)アプリケーションを標的にするモデムにとって非常に重要である。同時に、このアプローチにより、測位エンジンをバックグラウンドで連続的に実行することができ、低レイテンシ、かつUE電力の消費に悪影響を及ぼすことなく最新の位置情報を提供する、ユビキタス高精度測位が可能になる。
2.LMU(位置管理ユニット)の複雑性が劇的に低減され、LMUとeNodeBとのシームレスな統合が可能になる。その現在の形態では、LMUは、アップリンク基準信号を受信して処理し、RTOA(相対到来時間)値(別名、測定値)を計算することに完全に特化した、複雑なスタンドアローンデバイスである。したがって、その現在の形態では、LMUはeNodeBに容易に統合されない。一方、ベースバンド基準信号のデジタルサンプルの収集/抽出及びLSUへの転送は、軽い計算負荷のみを示す複雑性の低いタスク(労力)である。
3.LSUは、ネットワーク及び/若しくはIPサービスネットワーク内、又はネットワーク外のいずれかに配置され、コンピューティングクラウド内でホストされ得る。したがって、最新及び将来のネットワークアーキテクチャ/環境についてLaaSを可能にする。
4.基準信号のベースバンドI/Qサンプルのデジタルサンプルは、制御プレーン及び/又はユーザプレーンを介して実行され得、ユーザプレーン上でのアップリンク測位を可能にする。これは、SUPLソリューションでは達成することができない。
5.単一エンティティであるLSUにおいてアップリンク基準信号及びダウンリンク基準信号の両方を処理する能力は、例えば、位置特定システムの信頼性及び位置測定精度を改善する、アップリンク/ダウンリンク又はダウンリンク/アップリンク/アップリンクを組み合わせたUE測位など、これまで実現不可能であった特徴を進歩させることができる。
6.複数のネットワークを処理する能力は、Bluetooth、WLAN、LTEなどを結合する。
図40を参照すると、SET及びLMU機能が変更され、LTE/SUPLインターフェース(図40)を介してメッセージ/情報を配信する、基盤となるプロトコル(図40には示さない)が、システム要件に適応するように拡張される。また、新たな中継エンティティ(図40を参照)が導入される。これは、アップリンクベースバンド基準信号のサンプル、支援データ、及び他の情報のデジタルサンプルをLSUに渡すE−SMLCに統合される。
前述したように、LMU機能は、スタンドアローンLMUユニットとして実施されてよく、又は無線ネットワークインフラストラクチャの他の要素と統合された、例えば、eNodeBと統合されたLMU、DASシステムと統合されたLMUなどとして実施されてよい。しかしながら、全ての変形例では、関連するUEアップリンクベースバンド基準信号のデジタルサンプルが収集され、前処理され、支援データ及び他の情報と共にLSUに転送されて更に処理される。
更に、SLP及びその主要構成要素であるSLC及びSPCもまた、変更され、LSUに統合される。例えば、変更としては、アップリンク及び/又はダウンリンク測位のために信号処理及び測位計算アルゴリズム/技法を用いること、ベースバンド基準信号のアップリンク/ダウンリンクデジタルサンプルの受信/取得のためにサポートを追加すること、アップリンク位置特定に適応するために補助配信機能を拡張することなどが挙げられる。加えて、Lup及びLlpメッセージサポート及び基盤となるプロトコルが拡張されて、ベースバンド基準信号のデジタルサンプルの中継エンティティからLSUへの転送/受け渡しを可能にする。
SETの変更例としては、SUPL測位計算機能(SPCF)によって、ダウンリンクベースバンド基準信号のデジタルサンプルを取得し、前処理し、及びLSUに送信する能力を追加することが挙げられる。また、SPCFの変更は、これらのサンプルをLSUに転送する前に前処理することを含んでよい。SUPLは、Uuインターフェース及びeNodeBを介してUEとネットワークのコア要素の間で、またLupを介してSLPに支援情報を含む情報を配信するために使用される、LPP(LTE測位プロトコル)を拡張済みである。しかしながら、一実施形態では、この拡張LPPプロトコル(LPPe)は、デジタルサンプル配信に対応するように更に拡張される。一方、SET機能は、デジタルサンプルの取得及びLSUへの送信、及びこれらのサンプルを前処理に制限することによって簡略化され得る。
本質的に、上記のLMU機能のいずれについても、本実施形態は、代わりのLMU機能を用いる。つまり中継エンティティを介して、アップリンクベースバンド基準信号のデジタルサンプルを取得し、前処理し、PoLTE LSUに送信する能力だけを用いる。更に、eNodeB機能を拡張して、アップリンクベースバンド基準信号のデジタルサンプルを取得し、前処理し、PoLTE LSUに直接、又は中継エンティティを介して送信することができる。
また、LMUは、中継エンティティによって支援情報が収集され得る、例えば、E−SMLCが中継エンティティに支援情報を配信するため、この情報をeNodeB及びE−SMLCから得る必要がない。LMUは、基盤となるSLM−APプロトコルを使用して、SLmインターフェースを介してE−SMLC及び中継エンティティと通信する。後者は、デジタルサンプル転送及びLMU/中継通信に対応するように拡張される。
本実施形態は、新しいエンティティ(中継)を導入する。その目的は、アーキテクチャの相違に関する考察(第3の点)で述べた、現在のLTE/SUPLアーキテクチャ(3GPP TS 36.305 version 14.3.0 Release 14,section B.4 Procedures combining C−plane and U−plane operations)の制約に対処することである。中継エンティティは、LMUからサーバへとデジタルサンプルを渡す。また、中継エンティティは、サーバとE−SMLCとの間の通信を可能にし、LPPa(LTE測位プロトコルアネックス)を介して配信された支援データをサーバに転送できるようにする。LPPaは、eNodeBが、UEの測位のために、支援データを含む位置情報をE−SMLCと交換できるようにする。サーバの要求時には、支援データは、E−SMLCにおいて既に使用可能であってよい、又はE−SMLCが、適切なeNodeBsからこのデータを取得するのいずれかである。注:支援データは、アップリンクAoA/DoA、U−TDOA、ダウンリンクOTDOA、及びE−CID測位用であってよい。中継エンティティは、LlPインターフェース又は専用インターフェースを介してサーバと通信する。LlPインターフェースの場合、そのメッセージサポート及び基盤となるプロトコルが拡張されて、ベースバンド基準信号のデジタルサンプル及び/又は支援データの転送/受け渡しが可能になる。
IPサービスネットワークエンティティ4008の実施形態は、MNOに依存する。MNOは、無線サービスプロバイダ、無線通信事業者、携帯電話会社などとしても知られている移動体通信事業者である。したがって、サーバ及びユニット4008コマンド/制御通信インターフェースは、MNO専用であってよい。本実施形態では、サーバとの全ての通信はインターネット上であり、この接続はセキュアであると仮定される。また、ユニット4008は、サーバとシステム要素との間での測位情報の交換をチャネリングする。例えば、プロトコルトンネル技法を用いるなど、この情報交換をチャネリングする方法はいくつか存在する。
本実施形態は、システム内での測位データの転送及び通信にユーザプレーンを用いる。しかし、中継エンティティの導入により、システム内での測位データの転送及び通信に制御プレーンを用いる、別のシステムの実施形態が可能になる。前述したように、従来のE−UTRAN測位は、測位データの転送及び通信にLTE制御プレーンを用いる。これらのオブザーブル、すなわちRSTD、RTOA、AoAなど、並びにデータ及び支援情報は、基盤となるLPP、LPPa、及びSlm−APプロトコルを介して、UE及び/又はLMUとE−SMLCとの間で伝達される。E−SMLCは、位置測定の決定を担う(図39)。同様に、一実施形態に対して、LPP/LPPa及びSlm−APプロトコルは、ベースバンド基準信号及び/又はPoLTE専用支援データのデジタルサンプルのE−SMLC、最終的には中継要素への転送/受け渡しをサポートするように拡張される。サーバとの中継エンティティの通信/データ交換は、IPサービスネットワークエンティティ4008(図40)を介する。インターフェース及びプロトコルは、専用であってよく、又は、変更/拡張された、基盤となるプロトコルを用いるLTE/SUPLインターフェースのうちの1つであってよい。
更に、この代替のシステム実施形態は複雑性を低減し、例えば、SET機能が簡略化されるか、又はSET要素全体が排除される。また、サーバ(一実施形態では)に統合されたSLPのSLC及びSPC機能は、著しく簡略化され、更には完全に除去される。
更に別の実施形態を図41に示す。この実施形態は、SUPLアーキテクチャによって定められる機能のごく一部のみを用い、スタンドアローンLMU機能及びその関連するE−SMLC、又は実際にはeNBにおけるLMU機能のみを含んでよい。この実施形態の特定の動作モードを以下に列挙する。
1.UEクライアント及びLSUは、IPプロトコルを介して独自の形式でデータパケットを交換し、
a.パケットコンテンツは、測定データ、補助情報、又は制御コマンドを含んでよい。
b.データパケットは、LTEユーザプレーン、又は例えば、3GPP LTE−WLAN Aggregation(LWA)又は3GPP LTE WLAN Radio Level Integration with IPsec Tunnel (LWIP)技術(図41)を使用した、Wi−Fi(4011)及び/又はWi−Fi+ePDG(4012)の組み合わせなどセキュアなデータベアラの任意の代替形態を介して転送されてよい。
i.注:ePDGエンティティ4012は、LTE EPC(進化型パケットコア)と、Wi−Fi、LTEメトロ、及びフェムトセルアクセスネットワークなどセキュアなアクセスを要する非3GPPネットワークとの間の相互作用を担う。
c.データパケットは、UEとLSUとの間で直接交換されても、又はAmazon Web Services(AWS)IoT、Google Cloud、又はAT&T M2xなどInternet of Thing(IoT)プラットフォームを介して交換されてもよい。
i.任意選択的に、Internet of Thing(IoT)プラットフォームのインターネットは、IPサービスネットワークエンティティ4008の一部であってよい。
2.E−SMLC及びLSUは、IPプロトコルを介して独自の形式でデータパケットを交換し、
a.パケットコンテンツは、測定データ、補助情報、又は制御コマンドを含んでよい。
b.データパケットは、E−SMLCとLSUとの間で直接交換されても、又はAmazon Web Services(AWS)IoT、Google Cloud、又はAT&T M2xなどInternet of Thing(IoT)プラットフォームを介して交換されてもよい(図41)。
3.LMU(及び/又はeNB内のLMU)及びLSUは、IPプロトコルを介して独自の形式でデータパケットを交換し、
a.データパケットは、LMUとLSUとの間で直接交換されても、又はAmazon Web Services(AWS)IoT、Google Cloud、又はAT&T M2xなどInternet of Thing(IoT)プラットフォームを介して交換されてもよい。
b.データパケットはまた、E−SMLCを介してLMUとLSUとの間で交換されてよい(図41)。
一実施形態では、例示的なLTEネットワークの無線デバイスは、1つ以上の通信ネットワーク及び/又は1つ以上の専用位置特定システム(ネットワーク)とインターフェースしてよい。これらのネットワーク(システム)は、ダウンリンク測位若しくはアップリンク測位、又はその両方を用いてよい。
ダウンリンク測位は、1つ以上のネットワーク/システムからの、デバイスの位置確認に使用される信号を受信する無線デバイスを含む。現在、ダウンリンク測位は、これらの信号を検出し、処理するための無線デバイスを必要とし、それにより、処理は、ネットワークの構成要素(E−SMLC)によって行われる無線デバイスの位置計算で用いられる、疑似範囲、疑似ドップラーなどGPS/GNSS、TOA、TDOAなどタイミング、AOA、到来位相など方向というオブザーバブルのうちの1つ以上を計算することを含む。あるいは、無線デバイスは、上記の計算の両方を実行することによって、自身の位置を決定してよい。
アップリンク測位は、1つ以上の無線デバイスから、デバイスの位置確認に使用される信号を受信する、1つ以上の専用ネットワークの要素を含む。ダウンリンクと同様に、現在のアップリンク測位はまた、ネットワーク要素(例えば、LMU)がこれらの信号を検出し、処理し、計算すすることを要求するが、位置計算は、別のネットワーク構成要素(E−SMLC)によって実行される。また、場合によっては、ネットワーク要素はまた、無線デバイスの位置を計算してよい。
無線デバイス及び/又はネットワークの要素はまた、位置確認をサポートする補助/支援情報メッセージを受信してよい。ただし、いくつかの実施態様では、これらのメッセージ及び信号が、デバイスの位置確認に使用されてよい。例えば、GNSSメッセージは、測距コード(タイミング計算用)及びナビゲーションデータ(補助情報)を含む。
いくつかの例では、無線デバイスの測位用の信号は、特にデバイスの位置確認用に使用される、すなわち特化した使用法である。しかしながら、他の場合には、これらの信号は二重用途である。例えば、多くの通信ネットワーク送信に存在するパイロット信号も、デバイスの位置確認に使用されてよい。
本実施形態では(現在の実施形態とは異なり)、無線デバイスも特定のネットワーク要素も信号のオブザーブルを計算しない。その代わりに、無線デバイス及び/又は特定のネットワークの要素は、無線デバイスの測位に使用される信号の1つ以上のスナップショットを収集して前処理し、スナップショットは、GPS/GNSS擬似範囲/疑似ドップラーなどを含む信号のオブザーバブルを決定し、無線デバイスの位置確認を実行するLSUに送信される。1つ以上のスナップショットを収集し、前処理する計算負荷は、現在必要とされている計算能力及びリソースよりも少なくとも1桁低い。したがって、本実施形態では、無線デバイス及び/又は特定のネットワーク要素は、重い計算負荷から解放され、より少ない量の計算リソースを必要とする。
LSU(位置確認サーバ)と通信するとき、スナップショットデータは、現在の実施形態よりも広い帯域幅を消費する。続いて、本実施形態で達成されるエネルギー節約の一部は、スナップショットデータを送信する際に消費される追加電力によって相殺されるであろう。しかしながら、発明者らの電力推定計算によると、本開示は、依然として相当な電力節約をもたらす。
同時に、本実施形態の利点は、スナップショットのより大きい通信オーバーヘッドを上回る。例えば、スナップショットのより広い帯域幅は非常に小さく、例えば、(全てのカテゴリにおいて)LTEアップリンク帯域幅の1%未満である。また、LSUとの特定のネットワーク要素の通信に関連して、より大きなスナップショット通信オーバーヘッドは、関連性(影響)を有さない。
本実施形態の利点を以下に列挙する。
無線デバイス:より長い電池寿命、より良好なエネルギー効率、より低い複雑性、コスト、及びサイズ。
特定のネットワーク要素:
1)デバイスの位置確認に使用される信号の受信、検出、処理、及びオブザーバブルの計算に完全に特化したスタンドアローン要素では、複雑性が劇的に低減され、電力消費が低減され、これにより、他のネットワーク要素とのシームレスな統合を可能にする。
2)他のネットワーク要素では、無線デバイスの測位に使用される信号のスナップショットを収集し、前処理する(スナップショットはLSUに送信される)ことを含むようにネットワークの構成要素機能が容易に拡張される。
例えば、セルラーネットワークのLMU(位置管理/測定ユニット)は、その現在の形態では、eNodeBのハードウェア及びソフトウェアに影響を与えることなく、別のネットワーク構成要素、つまりeNodeBと容易に統合することができない、信号のオブザーバブルを計算する、複雑なスタンドアローンの構成要素である。一方、スナップショットの収集及び前処理、及びこれらのLSUへの送信は、ごくわずかな追加の計算負荷のみをeNodeBに与える、複雑性の低いタスクである。
別の例は、無線デバイスの位置確認に使用される1つ以上の信号のオブザーバブルの計算を含み、重い計算負荷及び計算リソース負荷がもたらされる、これらの信号の処理を課せられ得るAP、WLAN構成要素である。更に、既にインストールされているAP(レガシー)の計算に関する制約は、重い計算負荷を有する、最先端の位置特定アルゴリズムの配備を阻止する。同時に、本実施形態は、スナップショットの収集及び前処理、及びこれらのLSUへの送信が、ごくわずかの計算負荷のみをWLAN APに与えるため、APの計算リソースに重い負荷をかけない。
他の利点は、以下のとおりである。
1)既存のネットワークインフラストラクチャ構成要素のリソースに重い負荷をかけることなく、より優れた位置確認精度、信頼性をもたらす、高計算帯域幅の高度なアルゴリズムを配備すること。
2)ロジスティック向上の取り組みを大幅に低減(最小化)すること(HW/SWレガシーの制約はない)。
3)最先端の機械学習を配備して、位置確認の信頼性及び位置測定精度を更に向上させること。
4)電力消費を増加させることなく、かつ無線デバイス/特定のネットワーク構成要素の計算リソースに重い負荷をかけることなく、LSU内、すなわちバックグラウンドで無線デバイスを連続的に実行すること。
本実施形態では、デバイスの位置確認に使用される信号のスナップショットは、デジタル形式、すなわち、デジタルサンプルで収集されてよい。デジタルサンプルは、ベースバンド信号からであり、時間領域又は周波数領域内にあり得、I/Qサンプル、リソース要素(RE)、チャネル状態情報(CSI)などによって表され得る。デジタルサンプルはまた、アンテナごとである。注:RE及びCSIは、OFDM副搬送波ごとの複素係数である。I/Q値は、信号の同相(I)成分及び直交(Q)成分を表す。
一実施形態では、無線デバイスの要素及び/又はネットワークの要素は、デバイスの位置確認に使用される信号のデジタルサンプルを検出し、抽出するように構成された、検出器(別名、論理エンティティ)を含んでよく、また、アンテナごとに、また信号の識別子(ID)ごとに多数のデジタルサンプルを収集し、記憶するように構成されてよい。加えて、検出器は、メタデータ、例えば、各フレーム開始及び他の補助及び/又は支援情報を収集/記憶するように構成されてよい。
一実施形態では、検出器はまた、収集した(記憶した)デジタルスタンプを前処理して、例えば、LSUへの送信前にデータサイズを低減する、例えば、通信帯域幅を低減するように構成されてよい。この低減は、デバイスの位置確認に使用される信号のみを表すデジタルサンプルを抽出すること、すなわち、ペイロードを有するデジタルサンプルを除外することを含んでよい。
一実施形態では、検出器は、GPS/GNSSナビゲーションメッセージフレーム内のデータのデジタルサンプルの一部、すなわち、メッセージのごく一部を収集し、保持するように構成されてよい。このアプローチは、ナビゲーションメッセージにおいて伝達される情報の大部分がLSU(GPS/GNSS支援データ)において使用可能であり、情報としては、基準時間、基準位置、衛星のエフェメリス、クロック補正、電離層モデル、地球方位パラメータ、GNSS時間オフセット、取得支援、アルマナック、UTCモデルなどが挙げられる。
一実施形態では、検出器は、デジタルサンプルをより少数のビットに圧縮することによって、更なるデータサイズの低減を得るように構成されてよい。デジタルサンプルの圧縮は、以下の方法によって検出器内で相関エンジンを実行することによって達成され得る。
エミッタの検出:基準信号は、高い自己相関特性及び低い相互相関特性を有して、複数のエミッタからの同時送信中にエミッタ(供給源)の検出(弁別)をサポートする。注:基準信号は、エミッタのID/パラメータ及び/又は基準信号の構成に基づいて弁別され得る。基準信号を含むOFDMシンボルは、受信機によって捕捉される。基準信号を含む任意の数のOFDMシンボルは、使用可能なメモリによってのみ捕捉され、処理され、制限されてよい。したがって、エミッタ検出エンジンへの入力は、複素二次元アレイである。入力データ要素は、複数のエミッタからの基準信号の重畳を含む。エミッタ検出エンジンは、所与の位置確認されたデータベース/リスト内の各エミッタによって生成された既知の基準信号の入力データ内での有無を検索する。この検索は、エミッタのアンテナにおいて、入力データ基準信号を既知の基準信号、すなわち、変調など基準信号の理想的なレプリカと相互相関させることによって実行される。したがって、エミッタ検出機能は、エミッタのID/パラメータ及び/又は基準信号構成に関連する基準信号の理想的なレプリカを生成する理想的なレプリカの生成を含む。入力データと同様に、理想的なレプリカは、測位機会データと同数のREを含む二次元アレイの形態である。また、同一の周波数−サンプルインデックス、及びシンボルインデックスによってインデックス付けされる。
相互相関:エミッタ検出エンジンは、受信した各OFDMシンボルに、理想的なOFDM基準信号の共役を乗じることによって、周波数領域において相互相関を実行する。これは、時間領域整合フィルタに相当する周波数領域である。受信した基準シンボルと理想的な基準シンボルとの間の相互相関が適用されたとき、基準信号の生成に用いられる任意の符号化スキームが除去され、各副搬送波に関する残留相情報が残される。この動作の結果は、位相コヒーレントの二次元アレイである。次いで、位相コヒーレントの二次元アレイを合計して統合する。この方法を使用して、任意の数のOFDMシンボルが統合されてよい。出力ベクトルにおける複素数値の大きさ及び位相は、受信機における、エミッタによって送信された基準信号の有無及びTOAに対応する。
検出:検出プロセスは、相互相関の出力の大きさ及び位相を調べて、エミッタによって送信され、受信機で捕捉された基準信号が、受信信号のTOAを正確に推定するために十分な特性を有するかどうかを判定する。
圧縮:信号の特性が十分である場合、相互相関の出力は有効と見なされ、複素ベクトルの非ゼロ部分がTOA推定の二次処理ブロックに送信される。この方法では、TOA推定ブロックは、エミッタ検出エンジンから遠隔に位置し得る。
2xMIMOエミッタから受信したCRSデータを用いるダウンリンク位置の場合、1フレームのLTEデータ内に40個のCRS OFDMシンボルが存在する。10MHzのLTE帯域幅の場合、各OFDMシンボル内に含まれる600の副搬送波が存在する。受信機が16ビットのアナログ−デジタル受信機に用いる場合、各複素副搬送波は、32ビットの全ビット深度を有する。1フレーム相当のCRSデータからなるデータでは、データセットのビットの合計サイズは、40×600×32ビット、つまり768000ビットである。
しかしながら、本発明者らのコヒーレント圧縮スキームを使用すると、TOA推定に使用される結果データのサイズは、相互相関出力の非ゼロ部分に検出されたエミッタの数を乗じたサイズへと低減される。データのサイズは、検出されたエミッタ当たり1×200×32ビット、つまり6400ビットへと低減される。
10サブフレーム構成を使用して基地局において受信したSRSデータを用いるアップリンク位置の場合、1フレームのLTEデータ内に8個のCRS OFDMシンボルが存在する。10MHzのLTE帯域幅の場合、各OFDMシンボル内に含まれる600の副搬送波が存在する。受信機が16ビットのアナログ−デジタル受信機に用いる場合、各複素副搬送波は、32ビットの全ビット深度を有する。1フレーム相当のSRSデータからなるデータでは、データセットのビットの合計サイズは、8×600×32ビット、つまり1536000ビットである。
全帯域幅SRS信号を仮定すると、この場合のデータのサイズは、検出されたエミッタ当たり1×288×32ビット、つまり9216ビットへと低減される。
コヒーレント圧縮プロセスは、相互相関プロセスで使用されるシンボルの数で必要とされるデータの量を低減した。
更に、データのサイズを更に低減し得る、多くの圧縮アルゴリズムが存在する。一部は周知であり、例えば、A−law及びu−lawコンパンディングアルゴリズム(Compounding Algorithms)などである。一部のあまり知られていないアルゴリズムもレーダー技術で使用されるが、他のアルゴリズムは光ファイバデータ転送を対象にする。したがって、検出器は、例えば、32ビットから16ビット又は32ビットから8ビットにデジタルサンプルサイズを圧縮して、2倍又は4倍のデータサイズ低減をもたらすように構成されてよい。
一実施形態では、検出器は、デバイスの位置確認に使用される信号の整合フィルタリング、信号のデジタルサンプルのうちの1つ以上から形成された行列の特異値分解(SVD)原理の固有値の計算など、(データサイズを更に低減するために)追加の前処理を実行するように構成されてよい。この追加の前処理は、計算負荷/リソース対位置確認サーバでの通信帯域幅の低減のトレードオフである。
例えば、整合フィルタリングをネットワークノードID当たりの搬送波周波数オフセット(CFO)処理と組み合わせ、続いて多数のサンプルを統合(時間的に)することにより、デジタルサンプルのデータサイズを更に低減することができる。一実施形態では、位置を決定するために使用される信号の検出に関連するデータは、圧縮信号の送信に使用されるバックホールデータよりも大きい。これは、IOT配備において特に当てはまる。例えば、LTEネットワークと通信するためにダウンリンク上で、通常1.4MHzの帯域幅を使用するCat−Mモデムは、位置決定に使用され得るCRS信号など、最大10MHzのLTE信号帯域幅を参照することができる。これは、Cat−Mモデムが、典型的に、通常のLTE通信に使用される10MHzチャネル内(帯域内)に配備されるために可能である。ダウンリンク信号の圧縮された情報は、次に、Cat−Mアップリンクチャネルを使用して、又はWi−Fi、Bluetooth、ZigBee、他のIEEE802.15無線技術、又は現在存在する若しくは今後開発される他の低帯域幅通信技術を使用して、LSUに返送され得る。同タイプの実施形態がNB−IOTに使用され得、それにより、より多くの信号がモデムによって取り込まれ得る。一例としては、Cat−Mダウンリンク信号が圧縮され、次いで、NB−IOTデータチャネルを介してLSUに返送され得る。同等のアプローチが、eNBに対して逆順に使用されてよく、それにより、アップリンク信号が取り込まれ、圧縮され、次いで、上記のようなより低い帯域幅通信プロトコルを使用してLSUに渡され得る。これにより、位置ソリューションは、位置計算のためにより多くの信号を使用できるようにし得る。これはまた、以下の理由からより良好な位置結果をもたらし得る。つまり、1)位置精度が帯域幅に反比例し、より多くの帯域幅を有することが、より良好な位置精度をもたらすことが周知である。2)より多くの帯域幅を有することにより、信号が干渉によって抑制される可能性が減少し、また、特に本明細書に記載の超分解能技法を考慮すると、より良好なマルチパス軽減が可能になる。3)より多くの信号を積分に使用できるようにし得る。
一実施形態では、例示的な測位LTEネットワーク、補助/支援情報は、以下を含む。
a.サービングセル情報:[physCellId、cellGlobalId、CellGlobalIdEUTRA−AndUTRA、earfcn−DL、systemFrameNumber、スロット番号、UTCタイムスタンプ、rsrp−Result、rsrq−Result];
b.ue−RxTxTimeDiff、DownlinkPathLoss、帯域幅(物理リソースブロック(PRB)における);
c.隣接セル情報(0〜32個の隣接セル):[physCellId、cellGlobalId、CellGlobalIdEUTRA−AndUTRA、earfcn−DL、systemFrameNumber、rsrp−Result、rsrq−Result];
d.UE情報:[UE ID、UEカテゴリ、移動度、MobilityHistoryReport]。
一実施形態では、例示的な測位LTEネットワーク、補助/支援情報は、以下を含む。
a.サイト名:
b.技術(すなわち、4G、5G)、アクティブ(すなわち、無線)、屋内/屋外;
c.グローバルセルID、PCI値、周波数、IsGPSsynchronized、DL Tx構成(すなわち、Txポートの数、maxTx電力、DL帯域幅);
d.タワー構造タイプ(すなわち、屋上、モノポール、建物の側部など)、ケーブル長及び損失;アンテナタイプ(すなわち、オムニ、指向性)、緯度、経度、アンテナの高度AGL(すなわち、地表を超える)、タワー基部高度MSL(すなわち、平均界面)、ジオイド;
e.信号の捕捉に使用されるアンテナごと:アンテナの方位角、仰角、機械的ダウンチルト角/電気的ダウンチルト角、利得、Hビーム幅、Vビーム幅;
f.セル帯域幅、TA、隣接セルのリスト、PRS構成、任意;
g. eNodeBセクタアンテナアレイの構成。
一実施形態では、UEによって送信されるサウンディング基準シンボルは、SRS送信時にUEに割り当てられた構成に関する補助情報と共に捕捉され、報告されてよい。この情報は、3GPP TS 36.355のとおりにUL構成IEの以下の要素の一部又は全てを含んでよい。
−サービングセルのPCI
−コールタイミングアドバンス
−セルUL−bandwidth
−UL−CyclicPrefixLength
−セルsrs−BandwidthConfig
−UE srs−Bandwidth
−UE srs−AntennaPort
−srs−HoppingBandwidth
−srs−cyclicShift
−srs−ConfigIndex
−transmissionComb
−freqDomainPosition
−groupHoppingEnabled
−deltaSS
−SFN開始時間
一実施形態では、サウンディング基準シンボルデータの捕捉は、UEによって送信されるアップリンク復調基準シンボルの捕捉によって補完される、又は置き換えられてよい。
一実施形態では、復調基準シンボルは、以下の補助/支援情報によって補完されるものとする。
a.プッシュ送信開始の時間:フレーム及びサブフレーム番号
b.アップリンク許可情報:
(i)周波数ホッピングフラグ
(ii)リソースブロック割り当て及びホッピングリソース割り当て
c.DM RS及びOCCインデックスの循環シフト
d.PUSCH構成:
e.n−SB
f.ホッピングモード
g.puschHoppingOffset
h.UL−ReferenceSignalsPUSH:
(i)groupHoppingEnabled、
(ii)groupAssignmentPUSCH
(iii)sequenceHoppingEnabled
(iv)cyclicShift
一実施形態では、2つ以上の復調基準シンボルブロック及び関連する補助情報が捕捉され、報告され得る。
一実施形態では、例示的なスナップショットメタデータ情報としては、通信ネットワーク/位置特定システムの説明及びタイプ、位置、信号分類(ダウンリンク又はアップリンク)、信号の説明、タイプ、構造及びパラメータ、日付/時間スタンプ、スナップショットデータサイズ、データ作成のソース(無線デバイス/デバイスID、ネットワーク/システム要素(ネットワーク/システム要素IDなど)、データ圧縮情報、補助/支援情報の可用性、無線サブフレームの開始に対する最初に報告されたデジタルサンプルの時間オフセットなどが挙げられる。
本実施形態では、スナップショットのデータは、メタデータ及び関連する補助/支援情報と共に(論理エンティティによって)分類されてよく、測位機会と称される。測位機会は、定期的に生じてよい。
一実施形態によると、無線デバイスの、及び/又はネットワークの要素の論理エンティティは、測位機会データ(スナップショットデータ、メタデータ、補助/支援情報)を整理し、LSUと交換し、コマンド及び他の情報を受信するように構成された通信プロセッサを含んでよい。シグナリングは、業界標準インターフェース/プロトコル、例えば、OMA SUPLプロトコル及び/又は3GPP LPP、インターネットプロトコルセキュリティ(IPsec)などに則し得ることに留意されたい。また、専用インターフェース及び/又はプロトコルも用いられ得る。
本実施形態では、LSUは、1つ以上の関連する測位機会から無線デバイス位置/場所を決定するように構成された測位エンジンを含んでよい。このエンジンの出力はまた、Fourth Report and Order(FCC)からの信頼半径値、GDOP、無線E911位置精度メトリックなど位置関連メタデータ(メトリック)を含んでよい。
一実施形態では、LSUは、1つ以上の無線デバイス、1つ以上の通信ネットワーク/位置システム(ネットワークの/システムの構成要素及び/又はサービス)並びに測位エンジンと相互作用するように構成された位置管理プロセッサを含んでよい。位置管理プロセッサは、a)1つ以上の無線デバイス間の全てのメッセージ、ネットワーク/システム(ネットワークの/システムの要素、ネットワークサービスと、LSUとの間の全てのメッセージを管理し、b)1つ以上の論理エンティティから測位エンジンへの測位機会(スナップショットのメタデータ及び/又は支援/補助データ)の送達を管理し、c)セキュリティを管理する、ように構成されている。
一実施形態では、位置管理プロセッサは、(1つ以上の論理エンティティから)測位機会を受信し、標的位置の計算し、この情報を測位エンジンに渡して、追跡、すなわち、ナビゲーションを行う。その後、測位エンジンは、標的の位置及び追跡情報を、例えば、ネットワークのサービス、無線デバイスなどに提供され得る位置/追跡関連メタデータと共に(位置管理プロセッサに)返す。
精密位置確認法は、2段階位置プロセスを用い、第1の工程は、1つ以上のオブザーブル(観測結果)、つまり、TOA、TDOA、TOF、AOA/DOA、受信信号位相、及びこれらの結果メトリック(SNR、標準偏差、信頼度など)関連の計算を伴う。第2の工程中に、観測結果及びそれらのメトリックを用いて、無線デバイスの(標的)位置/ナビゲーションを決定する。
同時に、1段階の位置プロセスを使用する、すなわち、前述の観測結果(オブザーブル)を必要としない他の位置特定方法、例えば、RFフィンガープリンティング、直接位置決定などが存在する。しかしながら、1段階のプロセスの複雑性がやや低いことは、精度の低下、位置確認の曖昧性、及び他の性能を制約する現象を犠牲にした結果である。
本開示によると、2段階プロセスのオブザーバブル(TOA、TDOA、TOFなど)の結果の精度は、上記の高度なスペクトル推定(超分解能)アルゴリズムを使用したマルチパス軽減によって独自に向上させることができる。同様に、AOA/DOAの独自の改善/適応は、各アンテナでの受信時の測距信号の時間差、すなわちTDOAの上記超分解能推定値と、各アンテナによって収集された測距信号の位相差を比較するAOA/DOA技法とを組み合わせる。
本開示によると、上記の2段階位置プロセス(測位/追跡)における第2の工程の精度及び堅牢性の改善は、ヒューリスティックなアドホック測位/追跡技法、並びに共通の測位アルゴリズムを通信ネットワーク信号構造に対して、かつネットワーク環境内で適応させることを含む。
本開示によると、2段階プロセスはまた、1段階位置プロセスに適応する。無線デバイスの要素及び/又はネットワークの要素は、デバイスの位置確認のために確率統計(データ)を検出して抽出するように構成され、また、アンテナごとに、及び信号の識別子(ID)ごとにこの情報を収集し、記憶するように構成されてよい。加えて、検出器は、メタデータ及び/又は他の補助/支援情報を収集/記憶するように構成されてよい。この検出器は、これらの確率統計をそのメタデータ及び関連する補助/支援情報と共に分類して、確率的測位機会を生成することができる。その後、論理エンティティに含まれる通信プロセッサは、これらの測位機会データを整理し、LSUと交換するように構成される。
一実施形態では、2段階プロセスによると、測位エンジンは、信号処理ユニットと、データ処理ユニットとを含み、信号処理ユニットは位置管理プロセッサから測位機会情報を受信し、位置管理プロセッサは、データ処理ユニットからの位置/追跡関連メタデータ/メトリックと共に、標的の位置及び追跡情報を受信する。各ユニットは、補助/支援情報、及び測位機会に含まれるスナップショットのメタデータを用いる。
一実施形態では、信号処理ユニットは、1つ以上の通信ネットワーク及び/又は1つ以上の専用位置特定システム(ネットワーク)からのダウンリンク信号及び/又はアップリンク信号のオブザーバブル及びそれらのメトリックを推定するように構成されてよい。
一実施形態では、信号処理ユニットは、1つ以上の特定のアルゴリズム及び/又は技法を用いて、搬送波周波数オフセット(CFO)を推定するように構成されてよく、これにより、LSUの信号処理ユニットが1つ以上の移動する無線デバイスを追跡し、1つ以上のネットワークのノードと無線デバイスとの間のクロック周波数の不整合を軽減できるようにし得る。CFO推定値を使用して、オブザーバブルが計算されるスナップショットデジタルサンプルを補正する。
一実施形態では、データ処理ユニットは、信号処理ユニットの出力、すなわち、オブザーブル/メトリックを使用して、位置確認及び追跡を実行するように構成されてよい。標的の位置測定に加えて、データ処理ユニットは、オブザーブルとそれらの標準偏差値との多数の組み合わせから得られた、複数の位置確認結果の共分散行列を含むメトリックデータを生成する。
一実施形態では、データ処理ユニットは、1つ以上の通信ネットワーク及び/又は1つ以上の専用位置特定システム(ネットワーク)から得られたオブザーバブル及びそれらのメトリックを用いて、ダウンリンク及びアップリンク測位/追跡を実行するように構成されてよい。データ処理ユニットはまた、1つ以上の通信ネットワーク及び/又は1つ以上の専用位置特定システムからのダウンリンク及び/又はアップリンクオブザーバブル/メトリックの組み合わせ、すなわち、ハイブリッド測位/追跡を使用するように構成されてよい。
一実施形態では、データ処理ユニットは、マルチラテレーション(別名、双曲線測位)、三辺測量、三角測量、及び優れたDOA/AOA/E−CID測位法を用いて、位置測定及びそのメトリックを得てよい。マルチラテレーションは、信頼性メトリックを用いて位置特定コスト関数を形成して、コスト関数の最小(例えば、位置測定)を識別する確率を増加させることによって更に強化される。
一実施形態では、信号ユニット及びデータ処理ユニットは、確率的位置特定アルゴリズムを実行して、無線デバイスの位置測定を決定する、すなわち、1つ以上の無線デバイス及び/又は1つ以上のネットワーク要素の論理エンティティからの確率測位情報を用いて、1工程の位置特定プロセスを実行するように構成されてよい。
無線ネットワーク配備では、無線デバイス(UE)の位置を取得するために、少なくとも3つの基準点(2D位置特定の場合)を必要とするマルチラテレーション/三辺測量法を使用できない場合がある。例えば、一部の環境では、2つの高電力セル又はAPのみが配備され、広範囲に大量のRF信号を送り込む。これにより、検出可能な少なくとも3つの基準点に依存するこれらの方法に問題が生じる。この問題を軽減するために、本開示は、ヒューリスティックなアドホック測位/追跡技法を用い、また、共通の測位アルゴリズムを通信ネットワーク信号構造に対して、かつネットワーク環境内で適応させる。
一実施形態では、マルチラテレーション/三辺測量法は、全ての検出可能な基準点(ネットワークのノード)のセットを3つ以上のサブセットに分割し、各サブセットの標的位置を決定し、機械学習アルゴリズムなど位置整合アルゴリズムを得られた複数の位置推定に適用することによって標的位置確認を実行することによって、更に向上する。
セルラーネットワークでは、本開示の優れたDOA/AOA測位は、上記のE−CID法に基づいている。これは、2つのオブザーバブル(サービングセルによって計算されるラウンドトリップパス遅延(RTT)及びサービングセクタの水平(方位角)ビーム幅)を用いる単一タワーベースのアップリンク位置プロセスである。現在の配備におけるセクタアンテナは、大きい(60度又は120度)水平面ビーム幅を有するため、この方法は精度の欠如に悩まされる。上記のように、本開示独自の改善/適応は、既存のセクタアンテナダイバーシティを用いる(AOA/DOA推定にMIMOセクタアンテナを使用する)。これは、AOAの角度誤差を1度未満に効果的に低減する。しかしながら、2Dで位置測定を得るためには、AOA/DOA推定に加えて、UEからサービングセルまでの距離を把握する必要がある。この距離は、サービングセルによって実行される測定に基づいた、ラウンドトリップタイム(RTT)/タイムアドバンス(TA)推定値から導出されてよい。また、RTT/TAを推定するとき、サービングセル受信機は、電波伝播現象、例えばマルチパスを軽減しない。
その結果、RTT測定は、必要な精度を欠く場合がある。精度の問題に対処する1つの方法は、本開示のアルゴリズムを用いて、サービングセルと無線デバイス(UE)との間で、ダウンリンクTOAオブザーバブルからの上記の距離(RTTの代わり)を計算することである。この解決策の欠点は、このダウンリンクTOAが一方向の測定であり、サービングセルと無線デバイスとの間の正確な同期を必要とする、すなわち、位置精度がこの同期誤差の影響を受けることである。一方、無線デバイスはサービングセルにロックされ、上記で開示したCFO推定及び補正によるクロック周波数の不整合が低減されるため、この誤差が低減されて、本開示のアルゴリズムによって達成される精度利得を損なわない。
セルラーネットワークでは、タイミングアドバンス(TA)は、信号がUE(無線デバイス)とサービングセルのセクタアンテナタワーとの間を移動する際の伝播遅延を補償するために使用される。サービングセルの基地局は、測定したUEの離隔距離に基づいてTAをUEに割り当てる(図37を参照)。
LTEでは、タイミングアドバンスタイプ1の測定(図38を参照)は、ラウンドトリップタイム(RTT)、すなわち、信号のラウンドトリップ伝播遅延に対応する。タイミングアドバンス伝播遅延は、DLOS/ダイレクトパス又は反射パスからのものであってもよく、セルタワーケーブル及び基地局/UE電子機器による伝播遅延を含む。更に、UEは、4倍のTs精度で送信タイミングを調整する(Tsは32.55nsに等しいLTEシステムタイミングである)。
タイプ1は、以下のようにeNBにおける送受信タイミング差とUEにおける送受信タイミング差との和として定義される。
TA=TADV=(eNB Rx−Tx時間差)+(UE Rx−Tx時間差)。
したがって、基地局までの距離dは、以下の式を用いて推定される。
d=c*(TADV/2)(式中、cは光速である)、又は
d=c*(RTT/2)(式中、cは光速である)。
TA(RTT)はサービングセルから入手可能であり、サービングセクタから独立したUE範囲推定値を表す。しかしながら、UE(無線デバイス)からTAを入手することはできない。その代わりに、UEは、送受信タイミング差、すなわち、UE Rx−Txへのアクセスを提供する。上記から、UEのRx−Tx=RTT−eNB Rx−Txである。しかしながら、図37及び図38から、UE TAが調整されると、サービングセルのeNBのRx−Tx時間差が全てのUEについて同一になる。その結果、UEのRx−Txの測定は、依然としてRTTに対応する。
RTTは、セルタワーアンテナのケーブル長及び基地局の電子機器に応じてバイアスされるTOF/TOA推定値に等しい。
一実施形態では、アンテナのケーブル長の伝播遅延は、タワーの高さから推定することができ、基地局の電子機器の伝播遅延は、様々なタワーから収集された統計データから推定することができる。
ダウンリンク及びアップリンクを組み合わせた測位を使用して、単一のダウンリンク又はアップリンク位置確認の欠点を克服することができる場合が多数存在する。例えば、2つのノードのみからの信号を使用できる環境では、ダウンリンクTOA/TDOAとアップリンクAOA/DOA(サービングBSから)の組み合わせの推定が、セルラーネットワークにおける位置精度/信頼性を改善することができる。これは、追加のアップリンクAOA/DOAの制約が、3未満の基準点(セル)の数から生じる、ダウンリンクのUE(無線デバイス)2D位置特定の曖昧性を低減するためである。
別の例では、AOA/DOA推定からの更なる制約が、上記のヒューリスティックなアドホック測位/追跡技法に対する更なる改善をもたらし得る。
更に、3つ以上のノードからのオブザーブルが使用可能である場合であっても、追加のAOA/DOAの制約は、ノード同期誤差、不十分なGDOP、セクタアンテナの座標誤差(高さなど)、補償されていないケーブル遅延誤差(較正誤差)など、マルチラテレーション/三辺測量法に影響を及ぼす多数のネットワークの固有誤差を軽減するのに役立つ。サービングセルのAOA/DOA推定に使用されるMIMOセクタアンテナが時間及び位相コヒーレントであるため、このAOA/DOA推定はこれらの誤差を含まない。注:AOA/DOA LOBは、センサ(アンテナ)の基線と無線デバイスからの入射RFエネルギーとの間の角度に等しい。基線と、例えば真北との間の角度が既知である場合、真の象限方位線(LOB)及び/又はAOAを決定することができる。基線角度誤差はまた、AOA/DOA精度に影響を及ぼし得るが、上記の誤差からの全体的な影響よりも低い。
同時に、サービングセル又は無線デバイスから収集されたRTTオブザーバブルはまた、多数の上記のネットワーク固有のエラーの軽減に役立つ、追加のTOF/TOA制約を提供することができる。したがって、ダウンリンク及びアップリンクのハイブリッド測位はまた、位置確認誤差の低減のための追加の制約(AOA/DOA及びRTTのTOF/TOAオブザーブルから)を含んでよい。
ハイブリッド測位はまた、2つ以上のネットワークにわたって拡張することができる。例えば、屋内無線デバイスの測位は、WLAN及びセルラーネットワークからのオブザーバブルに基づいて達成され得る。WLAN位置確認RSSI系システムは、非常に一般的であるが、精度は低い。また、アクセスポイント(AP)のクロックが互いに緩くしか同期されていないため、マルチラテレーション法の精度は深刻な影響を受ける。APとデバイスとの間の正確な同期の欠如はまた、TOA/TOF精度を低下させる。正確な位置確認のために、AOA/DOA法は、MIMOアンテナ(典型的には3つ以上の個々のアンテナを用いる)を装備したWLAN APによって決定されたオブザーブルを用いて使用される。
本開示の統合フレームワーク/プラットフォーム及び独自に改善したAOA/DOAアルゴリズムは、LSUの信号処理及びデータ処理ユニットが、1つ以上のAPから正確なLOBを計算できるようにする。その結果、WLANとセルラーネットワークとの組み合わせに基づくこの位置確認ハイブリッドアプローチは、単一ネットワークベースの測位よりも高い精度を有することになる。これは、位置確認を組み合わせることにより、RF伝播現象を無効にする、より良好な空間ダイバーシティがもたらされ、また、固有の個々のネットワークの欠陥が軽減されるためである。
本実施形態では、データ処理ユニットは、無線デバイスの位置確認にマルチラテレーション(別名、双曲線測位)を用いてよい。双曲線ナビゲーションは、タイミングの差、すなわち、TDOAオブザーバブルに基づいており、共通クロックを参照しない。データ処理ユニットはまた、上記のオブザーバブルのメトリックを用いて、マルチラテレーション位置測定の曖昧性を軽減し、また、機械学習アルゴリズムなど位置整合アルゴリズムを適用するように構成されてよい。
マルチラテレーション法は、多数の双曲線(TDOA、セルラーネットワークではRSTD/TDOAとしても知られている)方程式を解くことを伴い、多数の異なるアルゴリズム/アプローチが使用されて正しい解が見出され得る。注:RTOA(相対到来時間)オブザーバブルは、セルラーネットワーク内でのアップリンク位置特定においてTDOAの形態である。
未知数よりも多くの方程式が存在する、すなわち、2D位置確認のために4以上の独立したオブザーブルが使用可能である、過剰決定系の状況では、この解は、無線デバイスの位置の初期推定又は「推測」から始まる反復アプローチを含む。次いで、局所線形最小2乗法の位置解を決定することによって、各反復で推定値を改善することができる。
このアプローチの1つの欠点は、著しい位置誤差をもたらし得る極小値の収束及び/又は不在を保証するために、初期位置推定を最終位置解に近づける必要があることである。一方、過剰決定系の状況は、必要最低限のオブザーバブルのみを使用できる場合、例えば、2D位置特定で3つのみ使用できる場合に生じ得る、曖昧な解及び/又は無縁解の可能性を低減する。
上記から、反復アプローチは、UE位置の正確な初期推定値を有する必要がある。この推定は、上記の開示されたハイブリッド法又は単一ネットワークベースのダウンリンクとアップリンクとを組み合わせた位置確認のうちの1つを用いることによって向上させることができる。
本開示の統合フレームワーク/プラットフォームの、単一エンティティ、LSUにおける、様々なネットワーク/システムからの包括的なダウンリンク/アップリンク信号の処理能力は、位置特定システムの信頼性及び位置測定精度を改善する、アップリンク−ダウンリンク又はダウンリンク−アップリンク無線測位の組み合わせなど、これまで不可能であった、高度なハイブリッド/融合位置確認を可能にする。
LSUの実施形態の考察に戻ると、LSUの位置管理プロセッサは、シグナリング及び無線デバイスとの情報交換用に構成されている通信プロセッサと、ネットワークの/システムの要素など通信ネットワーク/位置特定システム(ネットワーク)と、を更に含んでよい。シグナリングは、OMA SUPLプロトコル及び/若しくは3GPP LPP/LPPa、又はLPP、LPPa、及びSUPLの組み合わせ、インターネットプロトコルセキュリティ(IPsec)、並びにネットワークとの通信に使用される、若しくは使用され得る他のプロトコル、例えば、セルラーLCS−APプロトコル及び/又はIPSec/IKEv2若しくはプロキシモバイルIPv6プロトコルに則してよい。注:後者のプロトコルは、WiFi、LTEメトロ、及びフェムトセルなどセルラーと他のネットワークとの間のセキュアな相互作用を担う、進化型パケットデータゲートウェイ(ePDG)要素によって用いられる。更に、専用インターフェース及び/又はプロトコルも用いられ得る。
本実施形態では、通信プロセッサはまた、Word−Wide Reference Network(WWRN)局からワードワイドGPS/GNSS衛星データを収集するように構成されている。注:World Wide Reference Networkは、いわゆる支援データを有する地上監視局である。
支援データは、無線デバイスの位置決定のために、LSUの測位エンジン(信号処理ユニット及びデータ処理ユニット)によって使用される。
追跡アルゴリズム又はトラッカーは、センサシステムによって報告された個々の物体の位置の履歴及び速度に基づいて、複数の移動物体の将来の位置を予測する能力を提供する。
本実施形態では、無線デバイス(標的)の位置測定及びその測位機会ごとのそのメトリックが、位置/速度信頼性メトリックなど標的位置及び標的速度を連続的に推定するトラッカーアルゴリズムによって用いられる。したがって、時間の経過(すなわち、多数の測位機会)とともに、追跡アルゴリズムは、位置/速度推定値の標準偏差を減少させ、位置確認精度を改善する。
一実施形態では、データ処理ユニットは、カルマンフィルタ、粒子フィルタ、改良されたα−βフィルタを用いて、位置及び/又は速度推定値を補正/平滑化する、例えば、追跡を実行するように構成されてよい。α−βフィルタは、位置/速度信頼性メトリックを使用して、α−β値を調整する。
更に、別の実施形態では、データ処理ユニットはまた、トラッカーの出力(位置測定及びそのメトリック)及び測位機会データに含まれる他の情報からユーザインターフェース(UI)情報を生成するように構成されてよい。
本実施形態では、全てのLSU構成要素/要素(信号ユニット、データ処理ユニット、位置管理プロセッサ、通信プロセッサなど)は、ソフトウェアで実施されてよい。LSU配備(サーバソフトウェア実行)のいくつかの選択肢を以下に列挙する。
1.LSUは、ネットワークのコア及び/又は事業者のIPサービスネットワークの内部に配備されてよい。
2.LSUは、クラウドコンピューティングベースの集中型RAN(C−RAN)ベースバンド処理のエッジ施設にあるセルラーネットワークのサーバに、例えば、進化する4.5G MEC(モバイルエッジコンピューティング)サーバに配備され得、ホスト型アプリケーションとして統合されてよい。注:RANは無線アクセスネットワークである。
3.LSUは、コアネットワークコンピューティングクラウド及び/又は事業者のサービスネットワーククラウド内でホストされる。
4.LSUは、ネットワークのコア及び/又は事業者のIPサービスネットワークの外部に配備され得、1つ以上のネットワークに接続され得る。
5.LSUは、ネットワークのコア及び/又は事業者のIPサービスネットワークの外部に配備されてよく、完全にホストされ、管理されたクラウドサービスであり、セキュアなリモートインターネット接続を介して1つ以上のネットワークに接続される。
6.LSUは、一部のLSU構成要素/要素(信号データ取得及びデータ処理ユニットなど)がインスタンス化され、仮想eNodeBインスタンスと統合されて、又は仮想eNodeBインスタンスに近接して配備される(例えば、同一クラウド処理ユニット上、又はeNodeBインスタンスをサポートするクラウド処理ユニットへの直接インターフェースを有する処理ユニット内で)クラウドRANアーキテクチャ内に配備されてよい。
7.LSUは、スタンドアローンエンティティとして、又は当該無線ネットワークのいくつかの要素と統合される、任意のプライベート無線ネットワーク(無線LAN、Citizens Broadband Radio Service、及びLAAなど)内に配備されてよい。
8.LSUは、E−SMLC又はその変形に組み込まれてよい、又はLSUの位置決定に関連するために、E−SMLCの機能の一部を置き換えることができる。
5番目の選択肢は、a)現在の4G及び次の5Gセルラー無線ネットワーク配備、b)非セルラーネットワーク/システムの配備、及びc)Location−as−a−Service(LaaS)位置確認データ配信をサポートし、それにより、無線デバイスがゲートウェイとして機能して、(LSUによって)保護された物理位置データをサポートする。したがって、この選択肢は、本開示の実施形態である。
更に、本実施形態は、異種マルチネットワーク及び/又は複数タイプのアクセスノード環境である。マルチネットワーク環境の場合、1つ以上の通信ネットワーク及び/又は位置特定専用システムは、それぞれが特定の用途、例えば、セルラー、WLANなどを果たす、完全に別個のエンティティとして、及び/又はGPS/GNSS、Terrestrial Beaconシステムなど1つ以上の専用の位置特定システムとして存在する。複数タイプのアクセスノードの場合は、HetNet環境と呼ばれる。更に、1つ以上のネットワークとHetNetとを組み合わせる環境もサポートされる。
注:HetNetは、無線ネットワークにおける複数タイプのアクセスノードの使用を示す。広域ネットワークは、開放的な屋外環境からオフィスビル、住宅、及び地下圏にわたる幅広い無線カバレッジゾーンを有する環境において無線カバレッジを提供するために、マクロセル、小型セル(マイクロ/ピコ/フェムト)及び/又はDASを使用することができる。
更に、HetNet(異種無線ネットワーク(HWN))という特別なケースもある。HetNetはまた、オペレーティングシステム、ハードウェア、プロトコルなどに関して異なる能力を有する要素/構成要素からなってよく、HWNは、異なる、基盤となる無線アクセス技術(RAT)を使用するデバイスからなる無線ネットワークである。
現在のマルチネットワーク及び複数タイプのアクセスノード環境を図42に示す。これは、LTE及びWi−Fi無線通信ネットワークに加えて、GPS/GNSS及びTerrestrial Beacon専用位置特定システムを含む。
様々なノードタイプとしては、基地局4203を備えたマクロセル4202、メトロセル4204、小型セル:屋外/キャンバス−4204、屋内−4214;WLAN AP4218、アクティブDAS(室内/キャンパス)−4230及びパッシブDAS(屋内のみ)−4224;Terrestrial Beacon4208及びLMU(位置測定/管理ユニット):屋内−4220、屋外−4210、また、マクロセルの基地局4203に存在し得る統合LMU(図示せず)が挙げられる。LMUは、DAS基地局(BS)4225と統合されていないことに留意されたい。
また、図42には、UEとしても知られている無線デバイス4260が示されており、これは、ハンドセット、無線IoTセンサ、又はタグであってよい。無線デバイス4260はまた、GPS/GNSS衛星4250からダウンリンク送信を受信する。
現在のLTE EPC(進化型パケットコア)を図43Aに示す。図43Aには、ネットワークのコアIPサービスネットワーク4306及び位置サービス(LCS)タスクを管理/サポートすることができる及びIPサービスネットワークのエンティティ4308が含まれる。また、他のエンティティも含まれ得る。IPサービスネットワーク4306及びIPサービスネットワークのエンティティ4308はEPCの一部ではない。
図43Aによると、上記のノードは、バックホールネットワーク4240(図42)を介してLTE EPC(進化型パケットコア)と接続される。図42のバックホールは、EPCへの小型セル、メトロセル、及びWi−Fi接続をサポートする1つ以上のゲートウェイ/アグリゲーションポイント4242を含む。例えば、WLANコントローラ4216は、ePDG(進化型パケットデータゲートウェイ)を介して、EPC構成要素、つまりPGW4304に接続されている。バックホールネットワークはまた、ノードとLSUとの間の接続もサポートし得る。GPS/GNSSシステムの一部であるWWRN4252は、EPC構成要素と通信している。
図43Aに示すように、マクロセルのバックホール接続は、EPC MME4305及びSGW4303構成要素で終端する。メトロセル、小型セル及び/又は小型セルコントローラ4212からのデータは、ゲートウェイ/アグリゲーションポイント4242を通過し、その後、MME4305/SGW4303に到達する。同時に、WLANコントローラ4216からのデータは、バックホールゲートウェイ4242を通過した後、PGW4304で終端する。LMUの屋内4220及び/又は屋外4210ノードは、E−SMLC4309構成要素、並びに必要な衛星/システム支援情報をE−SMLCに提供するWWRN4252と通信しており、次いで、E−SMLCはこの情報を無線デバイスに流す、又はAGPS/AGNSSモードで標的の位置測定が決定されるときに、この情報を用いてよい。
本実施形態の特定の動作モードを以下に列挙する。現在の位置特定アーキテクチャとは異なり、本実施形態では、E−SMLC4309も、本開示のUE4260も無線デバイス位置計算を実行していない。同様に、本開示のLMUネットワーク要素も、無線デバイス位置計算を実行していない。また、UEもLMUも、オブザーバブル及びそれらのメトリックを計算していない。更に、現在のアーキテクチャでは、補助/支援情報は、E−SMLCによって収集され、配布されるが、本実施形態のアーキテクチャでは、この情報は、本開示のLSUによって収集され、配布される。
コマンド及び制御/ステータスメッセージ交換に関しては、業界標準インターフェース/プロトコル/プロシージャ、例えばOMA SUPL又は3GPP(E−SMLCを介して)、又はMQTTなど代替プロトコルに則してよい。また、専用インターフェース及び/又はプロトコル/プロシージャも用いられ得る。
1.ダウンリンク位置確認:
GPS/GNSSを含むダウンリンク測位機会データパケットは、(デバイスに常駐する本開示の論理エンティティによって)無線デバイスからLSUに送信される。これらのデータパケットは、LPP(LTE測位プロトコル)を拡張して、本開示の測位機会情報を伝達することによって、LTEユーザプレーン上で転送されてよい。
現在、LPPは、UEとネットワーク化コア要素との間でのデータ交換に使用され、OMA Secure User Plane Location Architecture(SUPL)の場合には、拡張LPP(LPPe)が、UEとSUPL位置プラットフォーム(SLP)との間でのデータ交換に用いられる。(LPPeを用いる)この通信方法はまた、必要に応じてLSUによって使用されて、本開示の無線デバイスに支援/補助情報を提供することができる。
あるいは、データパケットは、バックホールゲートウェイを介してEPCデータ(ユーザ)プレーンに接続されたWi−Fiなど、任意の他の形態のセキュアなデータベアラを介して転送されてよい。他のWi−Fi選択肢としては、3GPP LTE−WLAN Aggregation(LWA)又は3GPP LTE WLAN Radio Level Integration with IPsec Tunnel(LWIP)技術を用いることが挙げられる。
別の選択肢は、Amazon Web Services(AWS)IoT、Google Cloud、又はAT&T M2xなどInternet of Thing(IoT)プラットフォームを介してUEとLSUとの間でデータパケットを交換することである。
更に、本開示の無線デバイス(UE)がLSUにデータを渡す(LSUとデータを交換する)別の方法は、MQTTのようなプロトコルを使用することである。MQTTは、マシン同士(M2M)の軽量通信用に設計されたパブリッシュ/サブスクライブメッセージプロトコルである。これは、Amazon Web Services、Azure、及び多くの他のクラウドベースのソリューションによって使用されている。更なる選択肢としては、Advanced Message Queuing Protocol(AMQP)、Streaming Text Oriented Messaging Protocol(STOMP)、IETF Constrained Application Protocol、XMPP、DDS、OPC UA、及びWeb Application Messaging Protocol(WAMP)が挙げられる。
このようなパブリッシュ/サブスクライブメカニズムの1つの利点は、位置サーバ(LSU)が、UE IMSI若しくはIMEI、又はそのIPアドレスなどセルラーネットワークのUE識別子を把握する必要がないことである。その代わりに、全ての通信は、位置サービスによって定義され、管理される識別子を使用する。通信は、3G、4G、5G、及び/又はWi−Fiなどにわたって等しく行われ得る。実のところ、通信がセルラーネットワークを使用する必要はない。通信は、インターネット接続を提供する任意のタイプの接続を使用してよい。
更に、専用インターフェース及び/又はプロトコルも用いられ得る。
2.アップリンク位置確認:
その現在の形態では、LMUは、アップリンク基準信号を受信して処理し、TDOAの一形態、つまりRTOA(相対到来時間)オブザーバブル(別名、アップリンク測定値)を計算することに完全に特化した、複雑なスタンドアローンデバイスである。LTE規格リリース11及びそれ以降は、LMU及びeNodeBの統合を規定しているが、現在の形態では、LMUは、eNodeB及び/又は他のデバイスに容易に統合されない。
一方、本開示のLMU論理エンティティを実行するネットワークの要素については、ごく少量の計算負荷を提示する複雑性の低いタスク(労力)である。これにより、全てのタイプのeNodeB、つまり、マクロセル、小型セル、メトロセル、並びにWLAN AP、アクティブDASヘッドエンドユニットなど他のデバイスとLMU論理エンティティとを統合するための容易なパスが可能になる。更に、本開示のスタンドアローン(屋内/屋外)LMUの複雑性、コスト、及び電力消費が大幅に低減される。
したがって、本実施形態では、アップリンク測位機会データパケットは、(LMUの常駐論理エンティティによって)本開示のLMUと統合されたネットワーク要素からLSUに送信される。同時に、アップリンク測位機会データパケットはまた、本開示のスタンドアローン(屋内/屋外)LMUからも送信される。
現在のアップリンクアーキテクチャでは、LMUは、SLm interface Application Protocol(SLmAP)を使用して、SLmインターフェース(図43Aを参照)を介してE−SMLCとデータパケットを交換している。したがって、データパケットは、SLMインターフェースを使用してLSUに直接転送され、SLmAPを拡張して測位機会情報を伝達してよい。この通信方法はまた、必要に応じてLSUによって使用されて、本開示のLMUに支援/補助情報を提供することができる。
あるいは、測位機会データパケットは、インターネット接続、例えば、インターネットプロトコルセキュリティ(IPsec)を提供する接続を介して、別の形態のセキュアなデータベアラを介して転送されてよい。更に、アップリンク測位機会データは、本開示の無線デバイス論理エンティティを介してLSUに送信されてよい。通信は、3G、4G、5G、及び/又はWi−Fiなどにわたって行われ得る。このアプローチの欠点は、使用可能な帯域幅に対する追加オーバーヘッド(負荷)である。
別の選択肢は、Amazon Web Services(AWS)IoT、Google Cloud、AT&T M2x、Azure及び多くの他のクラウドベースのソリューションを介して、本開示のLMUとLSUとの間でデータパケットを直接交換することである。
更に、別の選択肢は、ダウンリンクアプローチに類似であり、本開示のLMUは、Amazon Web Services、Azure、及び多くの他のクラウドベースのソリューションを用いて、MQTTなどのプロトコルを使用することによって、LSUとデータを交換することである。
本開示のLMUとLSUとの間に確立された通信リンクを用いて、アップリンク位置確認は、本開示のLMUを、マクロセルのeNodeB4203、アクティブDASヘッドエンドユニット4231、小型セル4214/4206、メトロセル4204、及びWLAN AP4218に統合して達成され得る。
3.本開示のLSU接続:
図43B及び図43Cは、LSUの実施形態の接続を示す。本実施形態では、LSUとの全ての通信はインターネットを介して行われ、この接続はセキュアであり、例えば、IPsecを介すると想定される。他のオプションも使用されてもよい(上記のダウンリンク及びアップリンクに関する説明を参照)。
一実施形態では、測位機能の全ては、ネットワークのコア(EPC)及び/又はコアIPサービスネットワーク4306の外部にある単一のエンティティ(LSU)に属する。したがって、いくつかの実施形態で説明するように、信号処理、位置確認、追跡、及びナビゲーションの全てがLSU内で実行される。更に、本実施形態のアーキテクチャでは、支援/補助情報はまた、バックホールネットワークを介して受信されたWWRNからのデータを含めて、LSUによって収集され、配信される。注:WWRNはGPS/GNSSシステムの一部である。
LSUはまた、測位機会データパケット及び他の情報を、本開示による1つ以上のスタンドアローンLMU及び/又は本開示の1つ以上の統合型LMUと交換する。同時に、LSUは、測位機会データパケット及び他の情報を、本開示の1つ以上の無線デバイスと交換する。
ここでは、データパケット及び他の情報の交換は、IPプロトコルを介して、及び独自の形式で実行することができる。あるいは、データパケット及び他の情報は、Amazon Web Services(AWS)、Google Cloud、AT&T M2x、Azure、及び多くの他のクラウドベースのソリューションなどプラットフォームを介して交換され得る。更に、データパケット及び他の情報交換には、MQTTのようなプロトコルも使用することができる。他の選択肢としては、Advanced Message Queuing Protocol(AMQP)、Streaming Text Oriented Messaging Protocol(STOMP)などが挙げられる。また、専用インターフェース及び/又はプロトコルも用いられ得る。
一実施形態(図43C)では、上記のLSUデータパケットの全て及び他の情報交換は、IPサービスネットワークエンティティ4308を介して実行されてよい。
別の実施形態(図43B)では、1つ以上のLMU及びLSUと他の情報源との間の通信リンクは、IPサービスネットワークエンティティ4308を使用しない。したがって、バックホールネットワークはまた、1つ以上のネットワークノードと本開示のLSUとの間の直接接続をサポートしてよい。
本実施形態では、ユニット4308は、本開示のLSUと本開示のモバイルデバイス及び/又は1つ以上のネットワークの要素、例えばLMUとの間でデータパケット及び他の情報交換をチャネリングする。例えば、プロトコルトンネル技法を用いるなど、この情報交換をチャネリングする方法はいくつか存在する。
IPサービスネットワークエンティティ4308の実施形態は、MNOに依存する。MNOは、無線サービスプロバイダ、無線通信事業者、携帯電話会社などとしても知られている移動体通信事業者である。したがって、本開示のLSU及びユニット4308コマンド/制御通信インターフェースは、MNO専用であってよい。
4.E−SMLC:
本実施形態では、本開示のLSUは、本質的にE−SMLC4309の機能を引き継ぐが、3GPP規格インターフェース/プロトコル/プロシージャに則してE−SMLCを介して実行され得るコマンド及び制御/ステータスメッセージ交換については例外が存在する可能性がある。同時に、これらのタスクは、OMA SUPLアプローチに基づいて、又はMQTTプロトコルのような代替策を用いることによって実行することができる。加えて、この目的で、専用インターフェース及び/又はプロトコル/プロシージャも用いられ得る。したがって、コマンド及び制御/ステータスメッセージの交換にE−SMLCを用いる必要はない。
別の考えられる例外は、1つ以上のeNodeBからの支援/補助情報が無線デバイスの位置確認に必要とされる場合である。注:E−SMLCは、LTE Positioning Protocol A(LPPa)を使用してこの情報を取得する。この場合も、LSUは、他の手段によってこの情報を取得するように構成されてよい。
しかしながら、段階的な実施中には、E−SMLCサービスの一部を用いる必要があり得る。これは、ネットワークの要素であるE−SMLCに、本開示の論理エンティティである、上記の支援/補助情報を収集し、記憶するように構成された、図43B、図43C、及び図43Dの中継エンティティ4310を含めることによって達成され得る。中継エンティティはまた、この情報をLSUに配信するように構成されてよい。また、中継論理エンティティは、3GPP規格に則してE−SMLCを介して実行される、上記のコマンド及び制御/ステータスメッセージの交換をサポートするように構成されてよい。
中継論理エンティティ及びLSUは、上記のパート3における本開示のLSU接続に関する説明に一致するIPサービスネットワークエンティティ4308を介して、又はIPサービスネットワークエンティティ4308を用いずに直接、上記のパート3の説明と同じ手段/方法によって通信することができる。また、専用インターフェース及びプロトコルも用いられ得る。
上記の説明に基づくと、以下のとおりとなる。
1.一実施形態では、LSU位置管理プロセッサは、E−SMLCとの相互作用を伴って、又は伴わずに、1つ以上のeNodeBから支援/補助情報を取得するように構成されてよい。
2.一実施形態では、LSU位置管理プロセッサは、E−SMLCとの相互作用を伴って、又は伴わずに、3GPP規格のとおりにコマンド及び制御/ステータスメッセージの交換をサポートするように構成されてよい。
更に、一実施形態では、本開示のLSU位置管理プロセッサは、測位機会データパケット及び他の情報を本開示の1つ以上のLMU及び本開示の1つ以上の無線デバイスと交換し、また、支援/補助情報の全てをE−SMLCを介して交換し、E−SMLCとのコマンド及び制御/ステータスメッセージの交換をサポートするように構成されてよい。
このような実施形態が図43Dに図示されており、測位機会データパケットの全て及びLSUに送信される支援/補助情報など他の情報を収集するように構成された、上記の中継エンティティを用いる。中継エンティティはまた、本開示のLSUとE−SMLCとの間の通信を担うであろう。
本実施形態によると、現在(E−SMLCによって)用いられている通信プロトコルが拡張されて、LPP、SLmAP、及びLPPaプロトコルなど本開示の測位機会形式(データ)をサポートしてよい。
この実施形態によると、中継論理エンティティと本開示のLSUとの間の全ての通信はインターネット上で行われ、この接続はセキュアである。他の選択肢も使用されてよい(上記の説明を参照)。また、専用インターフェース及びプロトコルも用いられ得る。
本実施形態によると、本開示の中継エンティティ及びLSUは、上記のパート3における本開示のLSU接続に関する説明に一致するIPサービスネットワークエンティティ4308を介して、又はIPサービスネットワークエンティティ4308を用いずに直接、上記のパート3の説明と同じ手段/方法によって通信することができる。
別の実施形態では、本開示のLSUの測位エンジン(信号処理及びデータ処理ユニット)機能は、E−SMLCと統合される。この実施形態によると、LSU機能は、EPC構成要素であるE−SMLCにおいて実行される。
統一フレームワーク/プラットフォームの実施形態を図44に示す。これは、マルチネットワーク及びマルチタイプのアクセスノード環境であり、LTE及びWi−Fi無線通信ネットワークに加えて、GPS/GNSS及びTerrestrial Beacon専用位置特定システムを含む。
図42に示す現在の環境とは異なり、本実施形態は、マクロセルのeNodeB4403、アクティブDAS(4430)ヘッドエンドユニット4431、小型セル:屋内4414(小型セルコントローラ4412)及び屋外4406、メトロセル4404及びWLAN AP4418(WLANコントローラ4416)、本開示のスタンドアローンLMU:屋内4120及び屋外4110に統合された本開示のLMUをサポートする。本開示のLMUは、DAS基地局(BS)4425と統合されていないことに留意されたい。
また、図44には、UEとしても知られている無線デバイス4460が示されており、これは、ハンドセット、無線IoTセンサ、又はタグであってよい。IOTセンサは、追跡を必要とする物体に埋め込まれ得る。無線デバイス4460はまた、GPS/GNSS衛星4450からダウンリンク送信を受信する。
これらの要素と本開示のLSUとの間の通信は、バックホール4440を介して、EPCの外部で、すなわちEPC要素のいずれも関与せずに行われる。これらの通信リンクを青色で示す。
また、Word−Wide Reference Network(WWRN4452)と本開示のLSUとの間の通信(データ)は、バックホール4440を介してEPCの外部で行われる。この通信リンクも青色で示す。
上記の開示によると、ネットワーク中心のアーキテクチャは、LaaSデータ配信をサポートし、全ての信号処理及び位置推定がクラウド内、すなわち、UE及び/又はeNodeBの外部で行われる場合の5G及び他のネットワーク用に設計されると記載されている。これをどのように行うことができるかに関して、いくつかの選択肢が存在する。アップリンク位置特定の場合、関連するUE基準信号の送信は、eNodeBによって収集/前処理され、位置特定サーバユニット(LSU)に転送されて更に処理され、UEの位置を決定することができる。ダウンリンク(OTDOA)の場合、ダウンリンク基準信号の収集及び前処理のタスクは、UEによって実行されてよい。次いで、UEは、収集したダウンリンクデータをLSUに送信してよい。ダウンリンク(OTDOA)の場合、UEはまた、制御プレーン及び/又はLTEユーザプレーンを使用して、LSUとの通信を処理してよい。したがって、シグナリングは、OMA Secure User Plane Location(SUPL)プロトコル及び/又は3GPP、例えばLTE Positioning Protocol(LPP)に則してよい。アップリンクAoA/DoAの場合、eNodeBは、LPPa及びSLmAP(SLmアプリケーションプロトコル)を使用して、LSUとの通信を処理してよい。更に、専用インターフェース及び/又はプロトコルも用いられ得る。
上記によると、このネットワーク中心のアーキテクチャは、これまで不可能であった高度な機能を可能にし得る。これらの機能には、(a)ダウンリンクOTDOAを用いて、サービングセル/タワーとUEとアップリンクAoA/DoAとの間の距離を測定してUEの位置を決定し、その一方で、追跡アルゴリズム/技術を用いることによって、このアップリンク/ダウンリンクUE測位に対するOTDOA同期誤差の影響を軽減すること、(b)アップリンクAoA/DoAに加えてRTT法を使用してUE位置を決定する場合に、追跡アルゴリズム/技術を利用して、UE測位を改善すること、及び(c)追跡アルゴリズム/技術を用いて、ダウンリンクOTDOA位置特定法における同期誤差を推定し、修正/軽減することが挙げられる。
上記によると、ナビゲーションプロセッサがマルチラテレーション技法/方法(別名、双曲線ナビゲーション)用いる場合に、ダウンリンク(OTDOA)UEの位置特定法も記載されている。このマルチラテレーション技法は、多数の双曲線(RSTD/TDOA)方程式を解くことを伴う。反復法及び非反復(閉鎖形態)の解が存在する。一実施形態では、利用可能な(聴取可能な)基準点(基地局)の数を分割して、3つのRSTD/TDOAサブセットの複数のセットを有し、サブセットごとに閉鎖形態の解を見出すハイブリッドアプローチが記載される。その後、位置整合アルゴリズムを利用して、位置測定を最終決定することができる。第2の実施形態では、位置測定は、RSTD/TDOA値の同一セットからの反復及び非反復解の組み合わせを利用して改善されてよい。第3の実施形態では、アップリンクAoA/DoA推定値及びRTTを用いることにより、反復アルゴリズム及び非反復アルゴリズムに基づいて、UE位置について初期位置推定を決定してよい。
上記によると、無線ネットワーク環境は、2つの高電力セルのみを使用して、広範囲に大量のRF信号を送り込むため、少なくとも3つの基準点(2D位置特定の場合)を必要とするマルチラテレーション法に従わずに、位置測定を得ることがあると記載されている。したがって、RTTが使用可能である場合、UEが、サービングセクタの方位角ビーム幅及びRTT/2範囲によって定義される弧に沿って位置する方法が記載されている。また、AoA/DoA推定値が使用可能である場合、UE位置が、双曲線と弧との交点付近で決定され得る方法が記載されている。これらの方法の両方を使用してよい。RTT又はAoA/DoA推定値のいずれも使用可能でない場合、UE位置は、選択された双曲線3608(図36を参照)上の各セル/タワー(セクタ)に対応する交点をスコアリングすることによって決定される。スコアリングは、セルが向いている方向と双曲線上の点への方向との角度差、及び各点から対応するセル/タワーまでの距離に基づいている。スコアは、これらの対応するセル/タワーのSNRに従って重み付けされ得る。
上記によると、LSUは、シグナリング及びUEとの情報交換のために構成されている通信プロセッサ、eNodeB、及び/又はネットワーク要素を含んでよい。シグナリングは、OMA SUPLプロトコル及び/若しくは3GPP LPP/LPPa、又はLPP、LPPa、及びSUPLの組み合わせ、並びにネットワークとの通信に使用される、若しくは使用され得る他のプロトコル、例えば、LCS−APプロトコルに則してよい。更に、専用インターフェース及び/又はプロトコルも用いられ得る。
上記によると、LSU構成要素は、メモリに記憶され、通信ネットワークのエッジに位置する4.5GMEC(モバイルエッジコンピューティング)サーバのプロセッサ上で実行するように構成されている命令であってよい。LSU構成要素は、4.5G MEC上のホスト型アプリとして統合されてよい。5G配備では、LSU構成要素は、コアネットワークコンピューティングクラウド内でホストされてよい。コアネットワークコンピューティングクラウド内でホストされているLSUはLaaSデータ配信をサポートしてよく、それにより、UEは、コアネットワークコンピューティングクラウド及び保護された物理位置データ専用のLaaSへのゲートウェイとして機能する。
上記によると、LSUは、ダウンリンク信号プロセッサ並びにアップリンク信号プロセッサ、及びナビゲーションプロセッサを含んでよい。
したがって、システム及び方法の異なる実施形態を説明してきたが、記載の方法及び装置の特定の利点が達成されていることが、当業者には明らかであろう。具体的には、当業者は、物体を追跡及び位置特定するためのシステムが、ごくわずかな追加コストで、FGPA又はASICと、標準信号処理ソフトウェア/ハードウェアとの組み合わせを使用して構築できることを理解するであろう。このようなシステムは、様々な用途、例えば屋内環境又は屋外環境、過酷かつ好ましくない環境において人々の位置を特定するなどにおいて有用である。
また、本開示の範囲及び趣旨内で、様々な変更、適合、及びその代替的な実施形態がなされ得ることを理解されたい。