JP2021501752A - インターロイキン−17(il−17)アンタゴニストを使用して腱障害を治療する方法 - Google Patents

インターロイキン−17(il−17)アンタゴニストを使用して腱障害を治療する方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、IL−17アンタゴニスト、例えばセクキヌマブを使用して、腱障害、例えば回旋筋腱板腱障害を治療するための方法に関する。本明細書で開示したのはまた、腱障害患者を治療するためのIL−17アンタゴニスト、例えばIL−17抗体、例えばセクキヌマブの使用、並びに開示した使用及び方法に使用するための医薬品、投薬レジメン、医薬製剤、剤形、及びキットである。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照によって本明細書にその全体が組み込まれる、2017年11月2日に出願された米国仮特許出願第62/580715号明細書の優先権を主張する。
本開示は、IL−17アンタゴニスト、例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ、若しくはイキセキズマブ、又はIL−17受容体抗体又はその抗原結合断片、例えばブロダルマブを使用して、腱障害を有する患者において腱障害を治療する、及び腱組織の再生を誘発する、及び腱修復を促進する方法に関する。
オーバーユース腱障害は、活動に伴う疼痛の緩やかな開始、機能低下、及び時として腱の局在的な腫脹後に臨床的に診断される、複雑な多面性のある腱の疾患である(Riley G(2005)Expert Rev Mol Med;7:1−25;Riley G(2008)Nat Clin Pract Rheumatol;4:82−9)。歴史的に、用語「腱炎」及び「腱症」は、用語「腱障害」と相互交換されていた。しかし、これらの定義は、現在、ヒトの腱の障害(「腱障害」)の範囲に含まれる。腱障害は、運動選手及び労働者集団における一般的なオーバーユース傷害である;腱障害は、筋骨格系の愁訴に関する相談の最も多い理由であり、総合診療医へのすべてのこうした相談のおよそ30%に相当する(Forde et al(2005)J.of Occupational and Environmental Hygiene;2:203−12;Riley(2008)、上記)。
オーバーユース腱傷害の正確な発生率は分かっていないが、スポーツ医学においては、すべての傷害の30%から50%を占める(Scott及びAshe(2006)Current Sports Medicine Reports;5:233−241)。一般に、肉体労働者については、筋骨格系症状の有病率は、雇用の期間と共に増大する(Forde et al(2005)、上記)。
上肢腱障害
システマティック・レビューでは、回旋筋腱板腱障害の発生率が、1年あたり0.3%から5.5%、年間有病率が、0.5%から7.4%の範囲であることが示された(Littlewood et al (2013)Physiotherapy;98:101−9)。発生率は、肉体労働者及び運動選手において(15〜20%)、また、車椅子の人々において(31〜73%)、より高い。これは、典型的には、水泳選手、野球、テニス、バレーボール競技者において見られる(Kaux et al(2011)J Sports Sci Med;10:238−253)。
テニス肘(外側上顆炎)は、もう1つの頻発する腱障害であり、頭上から打ち下ろす又は繰り返しの腕の動作を伴うスポーツに参加しているすべての年齢層の運動選手において一般的である(Hume et al.(2006)Sports Medicine 36,151−170)。テニス競技者におけるその発生率は、9%から40%もの高さである(Maffulli et al(2003)Clinics in Sports Medicine 22,675−692;Scott及びAshe(2006)、上記)。この状態は、一般集団のおよそ1から3%に罹患する。もう1つの肘関節腱障害は、ゴルフ肘(内側上顆炎)であり、これは、やり投げ、野球、及びゴルフにおける典型的な愁訴である(同上)。
下肢腱障害
アキレス腱障害は、最も多く見られる下肢の腱障害であり、座っていることが多い人々では5.9%の頻度、及び持久力の必要な一流の運動選手ではおよそ50%の頻度である(Scott及びAshe(2006)、上記;Fredberg U及びStengaard−Pedersen K(2008)Scandinavian Journal of Medicine&Science in Sports 18,3−15)。
スポーツ診療所で治療されたスポーツ傷害の約3分の1は、膝と関係があり、膝の傷害について治療されている運動選手の4分の1は、腱障害と診断されている(Maffulli et al(2003)、上記)。最も多い膝障害は、ジャンパー膝(付着部の膝蓋腱炎)であり、その発生率は、7%から40%の範囲内であると報告されている(Fredberg及びStengaard−Pedersen(2008)、上記;Scott及びAshe(2006)、上記)。
治療
腱障害の現在の治療は、安静、アイスパック、及び理学療法(治療用超音波、レーザー療法、温熱療法、及び体外衝撃波療法が含まれる)である。腱障害におけるこれらの治療法の広範な使用を支持する証拠は、一貫性がないままである(Alfredson and Cook(2007)Br J Sports Med;41:211−216)。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、又は副腎皮質ステロイド局所注射は、一時的な疼痛緩和を与えることができるが、長期の利益は疑わしい(Mohamadi et al(2017)Clin.Orthop.Relat.Res.;475:232−243;Coombes et al.(2010)Lancet;376:1751−67)。さらに、ステロイド反復注射は、腱破断のリスクを増大させる腱変性を加速する可能性を有することが示されている(同上)。自己多血小板血漿(PRP)注射が使用されているが、長期の有効性についての証拠は乏しく、したがって、腱障害に対するPRPの利益は、議論の余地を残したままであり、いくつかの試験は、生理食塩水と比較して有効性を示さない(Krogh TP et al(2013)Am J Sports Med 41:625−35;de Vos RJ et al(2010)JAMA;303:144−9)。
全体的に見ると、オーバーユース腱障害は、適切な治療の選択肢がなく、高い医療ニーズを有する疾患である。
IL−17を発現する腱に常在する免疫細胞が、ヒトオーバーユース腱障害において存在する、且つIL−17 mRNA及びタンパク質発現レベルが、初期のヒト腱障害試料において増大されるという証拠が存在する(Millar et al.(2017)Nat RevRheumatol;13:110−122)。ヒト腱細胞では、IL−17は、炎症促進性サイトカイン、主要なアポトーシスメディエーター、及び機械的に劣るIII型コラーゲン表現型への腱マトリックス変化を調節する(同上)。腱炎症、腱マトリックスの非修復、及び腱細胞アポトーシスのメディエーターであるIL−17が、オーバーユース腱障害の病因に関与することが仮定される(同上)。
セクキヌマブは、IL 17Aを中和する、選択的な高親和性完全ヒトモノクローナル抗体であり、尋常性乾癬、乾癬性関節炎(PsA)、及び強直性脊椎炎(AS)を治療することについて承認されている。本発明者らは、ここで、IL−17アンタゴニスト、例えばIL−17抗体、例えばセクキヌマブを、腱障害を治療する、及び疼痛、腫脹、及び/又はそれに伴う機能喪失を回復させる、また、腱細胞の再生を誘発する及び腱修復を促進するために、全身的に使用することができることを決定した。
したがって、本明細書で開示したのは、腱障害患者の罹患した腱における炎症、構造的損傷、及び疼痛を軽減する、腱障害患者における腱組織の再生を誘発する、腱障害患者における腱修復を促進する、及び腱障害(例えばオーバーユース腱障害)を有する患者を治療する方法であって、それを必要とする患者にIL−17アンタゴニスト(例えば抗IL−17抗体又はその抗原結合断片)を投与することを含む方法である。
本明細書で開示したのは、約150mg〜約300mg(例えば、約150mgの固定用量、約300mgの固定用量)のIL−17抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に皮下投与することを含む、腱障害を有する患者における腱組織の再生を誘発する又は腱修復を促進するための方法、使用、医薬組成物、及びキットであり、ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、2本の成熟したIL−17タンパク質鎖を有するヒトIL−17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)に結合し、ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIL−17に対する約100〜200pMのKを有し、且つ、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、約4週というインビボでの半減期を有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、1回のみ投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、毎週投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、及び4週の間、投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、4週ごとに投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、少なくとも2か月の総治療期間の間、投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、及び4週の間に毎週、次いで4週ごとに投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、4、8、及び12週の間に投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、及び4週の間に毎週、次いで、その後、少なくとも3か月の総治療期間の間、4週ごとに投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、理学療法、及びその組み合わせからなる群から選択される以前の腱障害治療に対して反応しなかった、又は不十分な反応を示した、又は不耐性であった。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、理学療法処置を受けている、且つ患者は、腱障害手術に対して不適格である、且つ患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、及びその組み合わせからなる群から選択される以前の腱障害治療に対して反応しなかった、又は不十分な反応を示した、又は不耐性であった。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、理学療法処置を受けている、且つ患者は、腱障害手術に対して適格である、且つ患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、及びその組み合わせからなる群から選択される以前の腱障害治療に対して反応しなかった、又は不十分な反応を示した、又は不耐性であった。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、オーバーユース腱障害を有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、亜急性の腱障害を有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療は、慢性の腱障害への進行を軽減する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、慢性の腱障害を有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、活動期の腱障害を有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、部分断裂した腱を有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療は、完全断裂した腱への進行を軽減する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、足底筋膜炎、アキレス腱障害、膝蓋腱障害、回旋筋腱板腱障害、ジャンパー膝、外側上顆炎、内側上顆炎、棘上筋症候群、又はそのいずれかの組み合わせを有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、疼痛の少なくとも20%低下、炎症の少なくとも20%低下、少なくとも20%の腱再生及び/又は修復の改善、及び/又は罹患した腱の少なくとも20%の運動の改善を経験する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、VASスコアによって決定される、疼痛の少なくとも20%低下を経験する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は回旋筋腱板腱障害を有し、且つ、この患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、WORCスコア、QuickDASHスコア、又はASESスコアによって決定される、肩関連の生活の質(QoL)の少なくとも20%向上を経験する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、PGAスコアによって決定される、少なくとも20%の全般的な向上を経験する。
いくつかの実施形態では、開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットは、ステロイド、NSAID、又はアセトアミノフェンを患者に投与することをさらに含む。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、患者は、理学療法の必要性が下がっている、又は、患者は、腱障害の症状が軽減されており、それによって理学療法の有効性が向上する。
開示した使用、方法、及びキットのいくつかの実施態様では、IL−17アンタゴニストは、IL−17抗体又はその抗原結合断片である。開示した使用、方法、及びキットのいくつかの実施態様では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、以下からなる群から選択される:a)Leu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129を含むIL−17のエピトープに結合するIL−17抗体又はその抗原結合断片;b)Tyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含むIL−17のエピトープに結合するIL−17抗体又はその抗原結合断片;c)2本の成熟したIL−17タンパク質鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)に結合するIL−17抗体又はその抗原結合断片;d)2本の成熟したIL−17タンパク質鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)に結合するIL−17抗体又はその抗原結合断片(ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIL−17の約100〜200pM(例えば、約200pM)のKを有し、且つ、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、約23から約35日(例えば約27日間)というインビボでの半減期を有し、及び;e)以下を含むIL−17抗体又はその抗原結合断片:i)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V);ii)配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V);iii)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメインと、配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン;iv)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;v)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;vi)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;vii)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;viii)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;ix)配列番号14として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖;x)配列番号15として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖;又はxi)配列番号14として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖と、配列番号15として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖。
開示した使用、方法、及びキットのいくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、セクキヌマブ(AIN457)、すなわち、IgG/κクラスの組換え高親和性完全ヒトモノクローナル抗ヒトインターロイキン−17A抗体である。
本明細書で開示したのはまた、第0、1、2、3、及び4週での、次いで、その後、少なくとも3か月の総治療期間の間の4週ごとの皮下注射によって、約300mgのセクキヌマブを患者に投与することを含む、活動期のオーバーユース腱障害を有する患者を治療するための方法、使用、医薬組成物、及びキットである。
本明細書で開示したのはまた、第0、1、2、3、及び4週での、次いで、その後、少なくとも3か月の総治療期間の間の4週ごとの皮下注射によって、約150mgのセクキヌマブを患者に投与することを含む、活動期のオーバーユース腱障害を有する患者を治療するための方法、使用、医薬組成物、及びキットである。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、セクキヌマブでの治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、理学療法、及びその組み合わせからなる群から選択される以前の腱障害治療に対して反応しなかった、又は不十分な反応を示した、又は不耐性であった。
ラット尾腱束の生体力学を示す。ラット尾の腱束は、1.67nM IL−17A中で8日間培養した(N=1;4束/群)。 IL−17Aでの72時間の治療後のラットアキレス腱細胞におけるIL−6及びCXCL1 mRNAのレベルを示す。 アンタゴニストIL−17A抗体、BZN035が、ラットアキレス腱細胞におけるIL−17Aによって誘発されるIL−6及びCXCL1 mRNAを阻害することを示す。 実施例3についての腱障害臨床研究デザインを提供する。この研究は、4週のスクリーニング期間、2週の慣らし期間、12週の治療期間、及び最終治療後の12週の追跡調査期間からなる。治療前期間は、プロトコル変化に起因して、次の通りに改変されたことに留意されたい:スクリーニング第−49日から第−22日、慣らし第−21日から第−8日、ベースライン第−7日から第−1日。
本明細書で使用する場合、「腱障害」は、疼痛、機能の低下、及び運動耐性の低下を特徴とする、腱の複雑な多面性のある病態を説明するために使用される用語である(Millar et al.(2017)、上記)。腱障害は、活動に伴う疼痛の緩やかな開始、機能低下、及び時として局在的な腫脹の後に、臨床的に診断され、臨床検査では、病的領域の伸張及び触診に伴って、疼痛が明らかになる。超音波検査及びMRIが、活動期の腱障害を診断するのに役立つ。腱障害は、ほとんどいかなる腱(例えば、アキレス、膝蓋、棘下筋、上顆、内転筋、足底筋膜症(plantar fasciopathy)、肩甲下筋、小円筋、棘上筋、手関節伸筋、手関節屈筋、尻、臀部など)にも生じる可能性がある。本明細書で使用する場合、用語「腱障害」には、すべての位置及び形態の腱障害、例えば、足底筋膜炎、アキレス腱障害、膝蓋腱障害、回旋筋腱板(棘下筋、小円筋、棘上筋、及び肩甲下筋)腱障害、テニス肘(外側上顆炎)、ゴルフ肘(内側上顆炎)、ハムストリング腱障害、ジャンパー膝、棘上筋症候群などが含まれる。これには、単一位置の腱障害、並びに複数位置の腱障害が含まれる。腱障害患者は、実質部(mid−substance)(腱の中央部)又は付着部の(enthesial)(付着部の(insertional))腱障害を有する可能性がある。本明細書で使用する場合、用語「腱障害」には、全身性炎症性疾患に起因する腱の状態は含まれず、且つ傷害又は使いすぎに起因して発生する腱の状態は含まれる。腱障害患者は、急性、亜急性、又は慢性の疾患を有する可能性がある(Blazina et al.(1973)Orthop.Clin.North Am.4、665−678)。歴史的に、用語「腱炎」及び「腱症」は、用語「腱障害」と相互交換されていたが、これらの定義は、現在、ヒトの腱の障害(「腱障害」)の範囲に含まれる。
本明細書で使用する場合、「オーバーユース腱障害」は、可動域の低下を伴う、安静時及び/又は運動時の疼痛及び圧痛を特徴とする腱障害を指す。腱は、腫脹している可能性がある。オーバーユース腱障害は、一般に、腱の連続的及び繰り返される使用に起因し、しばしば、労働者及びアマチュア運動選手に発生する。したがって、「オーバーユース腱障害」は、全身性炎症性疾患に見られる腱付着部炎、例えば、乾癬性関節炎又は強直性脊椎炎とは異なる。いくつかの実施形態では、患者は、オーバーユース腱障害を有する。
本明細書で使用する場合、「罹患した腱」は、患者が腱障害を有する腱を指す。
本明細書で使用する場合、「慢性の腱障害」などは、少なくとも6週、好ましくは少なくとも12週の間存在している腱障害を指す。臨床現場では、理学療法、NSAID、及びステロイドが不成功であり、且つ疼痛及び可動域の低下が持続する場合に、腱障害は、慢性であるとみなされる。いくつかの実施形態では、患者は、オーバーユース腱障害を有する。
本明細書で使用する場合、表現「活動期の(active)腱障害」は、患者が現在、腱障害を経験していることを意味する。いくつかの実施形態では、患者は、活動期の腱障害、例えば活動期の慢性オーバーユース腱障害を有する。
本明細書で使用する場合、表現「部分断裂した腱」は、その腱が結びついた骨から完全には切り離さないが、腱に損傷を与える、腱傷害(破断又は断裂)を指す。いくつかの実施形態では、患者は、部分断裂した腱、好ましくは、例えば、超音波及び/又はMRIによって確かめられる(例えば、Sein MRI腱障害スコアリングシステム及び/又はBauer腱厚スコアを使用して評価される)場合の50%以下の断裂を有する。いくつかの実施形態では、患者は、部分断裂した腱を有する。
本明細書で使用する場合、表現「完全断裂した腱」は、腱のすべてをその腱が結びついた骨から分離する腱傷害(破断又は断裂)を指す。
本明細書で使用する場合、用語「NSAID」及び表現「非ステロイド性抗炎症薬」は、疼痛を軽減する、熱を下げる、及び高用量で炎症を低下させる薬物をまとめた薬物クラスを指す。このグループの薬物の最も有名なメンバーは、アスピリン、イブプロフェン、及びナプロキセンである。NSAIDには、サリチル酸エステル(例えばアスピリン)、プロピオン酸誘導体(例えばイブプロフェン)、酢酸誘導体(例えばインドメタシン)、エノール酸(enolic acid)誘導体(例えばピロキシカム)、アントラニル酸誘導体(例えばメフェナム酸)、選択的COX−2阻害剤(例えばセレコキシブ)、スルホンアニリド(例えばニメスリド)、クロニキシン、リコフェロン、及びh−ハルパギドが含まれる。
本明細書で使用する場合、表現「〜に対して反応しなかった」は、患者の症状が、ある特定の腱障害治療に応答して、抑制されなかった、治療されなかった、軽減されなかったことなどを意味するために使用される。いくつかの実施形態では、腱障害患者は、以前の腱障害治療、例えば、NSAID、ステロイド(例えば、罹患した腱への局所ステロイド注射)、アセトアミノフェン、理学療法、又はその組み合わせに対して反応しなかった。
本明細書で使用する場合、表現「〜に対して不十分な反応を示した」は、患者の症状が、ある特定の腱障害治療に応答して、十分には抑制されなかった、治療されなかった、軽減されなかったことなどを意味するために使用される。いくつかの実施形態では、腱障害患者は、以前の腱障害治療、例えば、NSAID、ステロイド(例えば、罹患した腱への局所ステロイド注射)、アセトアミノフェン、理学療法、又はその組み合わせに対して不十分な反応を示した。
本明細書で使用する場合、表現「〜に対して不耐性であった」は、患者が、ある特定の腱障害治療に対して、有害反応を経験したことを意味するために使用される。いくつかの実施形態では、腱障害患者は、以前の腱障害治療、例えば、NSAID、ステロイド(例えば、罹患した腱への局所ステロイド注射)、アセトアミノフェン、理学療法、又はその組み合わせに対して不耐性であった。
本明細書で使用する場合、「固定用量」は、一定の用量、すなわち、患者の特性に基づいて改変されない用量を指す。したがって、固定用量は、例えば体表面積に基づく用量又は体重に基づく用量(典型的にはmg/kgとして与えられる)とは異なる。好ましい実施形態では、開示した方法、使用、適応症、キットなどにおいて用いられる用量は、固定用量である。最も好ましい実施形態では、患者は、固定用量のIL−17抗体、例えば、固定用量のセクキヌマブ、例えば、固定用量の約75mg、約150mg、又は約300mgのセクキヌマブを投与される。
本明細書で使用する場合、IL−17は、インターロイキン−17A(IL−17A)を指す。
本明細書で使用する場合、IL−17AFは、IL−17AとIL−17Fの単量体からなるヘテロ二量体を指す。
用語「を含むこと」は、「が含まれること」ならびに「からなること」を包含し、例えば、X「を含む」組成物は、もっぱらXのみからなる可能性もあるし、何か追加のものが含まれる(例えば、X+Y)可能性もある。
本明細書で使用する場合、表現「TNF−αアンタゴニスト」は、TNF−αシグナル、伝達、及び/又は活性を阻害する、弱める、及び/又は遮断することが可能な小分子及び生物学的分子を指す。TNF−αアンタゴニストの例としては、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)、及びSimponi(登録商標)(ゴリムマブ)が挙げられる。
そうではないという記述が具体的にない限り、又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用する場合、数値に関する用語「約」は、当技術分野の通常の許容範囲内、例えば平均値の二標準偏差内であると理解される。したがって、「約」は、記述した値の+/−10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内、好ましくは記述した値の+/−10%であり得る。数値範囲又は数の列挙の前に使用される場合、用語「約」は、系列内のそれぞれの数に適用される。例えば、表現「約1〜5」は、「約1〜約5」と解釈されるべきであり、又は例えば、表現「約1、2、3、4」は、「約1、約2、約3、約4など」と解釈されるべきである。
単語「実質的に」は、「完全に」を排除しない。例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まない可能性がある。必要に応じて、単語「実質的に」は、本開示の定義から省くことができる。
本明細書で言及される用語「抗体」には、天然起源の完全な抗体が含まれる。天然起源の「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖とを含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVと略される)及び重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVと略される)及び軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。V及びV領域は、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存される領域に割り込まれた、高頻度可変領域又は相補性決定領域(CDR)と称される高頻度可変性の領域にさらに細分化することができる。各V及びVは、アミノ末端からカルボキシ末端まで次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配列される3つのCDR及び4つのFRからなる。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1の成分(C1q)を含めた宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。例示的な抗体としては、セクキヌマブ(表1)及びイキセキズマブ(米国特許第7,838,638号明細書)が挙げられる。
抗体の用語「抗原結合断片」は、本明細書で使用する場合、抗原(例えば、IL−17)と特異的に結合する能力を保持する抗体の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって果たされ得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例としては、Fab断片、すなわちV、V、CL及びCH1ドメインからなる一価の断片;F(ab)2断片、すなわちヒンジ領域でのジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片;V及びCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一のアームのV及びVドメインからなるFv断片;VドメインからなるdAb断片(Ward et al.,1989 Nature 341:544−546);並びに単離されたCDRが挙げられる。例示的な抗原結合部位としては、配列番号1〜6及び11〜13(表1)に記述した通りのセクキヌマブのCDR、好ましくは重鎖CDR3が挙げられる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、V及びVは、別の遺伝子によってコードされるが、これらが単一のタンパク質鎖(ここで、V領域とV領域とが対合して、一価の分子(一本鎖Fv(scFv)として公知;例えば、Bird et al.,1988 Science 242:423−426;及びHuston et al.,1988 Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879−5883を参照されたい)を形成する)として振る舞うことを可能にする合成のリンカーにより、組換え方法を使用してこれらを連結することができる。こうした一本鎖抗体も用語「抗体」に包含されることが意図される。一本鎖抗体及び抗原結合部分は、当業者に公知の技術を使用して得られる。
「単離された抗体」は、本明細書で使用する場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、IL−17と特異的に結合する単離された抗体は、IL−17以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。本明細書で使用する場合の用語「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」は、単一分子組成の抗体分子の調製を指す。用語「ヒト抗体」には、本明細書で使用する場合、そのフレームワークもCDR領域もヒト起源の配列に由来する可変領域を有する抗体が含まれることが意図される。「ヒト抗体」は、ヒト、ヒト組織又はヒト細胞によって産生される必要はない。本開示のヒト抗体は、ヒト配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダム又は部位特異的変異誘発により、抗体遺伝子の組換え中のインビボでのジャンクションでのN−ヌクレオチド付加により、又はインビボでの体細胞変異により導入される変異)を含むことができる。開示したプロセス及び組成物のいくつかの実施形態では、IL−17抗体は、ヒト抗体、単離された抗体及び/又はモノクローナル抗体である。
用語「IL−17」は、以前にはCTLA8として公知であったIL−17Aを指し、様々な種(例えば、ヒト、マウス及びサル)由来の野生型IL−17A、IL−17Aの多型変異体及びIL−17Aの機能的均等物が含まれる。本開示によるIL−17Aの機能的均等物は、好ましくは、野生型IL−17A(例えば、ヒトIL−17A)との少なくとも約65%、75%、85%、95%、96%、97%、98%、さらに99%の全体的な配列同一性を有し、ヒト皮膚線維芽細胞によるIL−6産生を誘発する能力を実質的に保持する。
用語「K」は、特定の抗体−抗原相互作用の解離速度を指すことが意図される。用語「K」は、本明細書で使用する場合、Kに対するKの比(すなわちK/K)から得られ、モル濃度(M)として表される解離定数を指すことが意図される。抗体についてのK値は、当技術分野で確立された方法を使用して決定することができる。抗体のKを決定するための方法は、表面プラズモン共鳴を使用するか、又はBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用することによるものである。いくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブは、約1〜250pM、好ましくは約100〜200pM(例えば約200pM)のKで、ヒトIL−17と結合する。
用語「親和性」は、単一の抗原部位での抗体と抗原との間の相互作用の強さを指す。各抗原部位内では、抗体「アーム」の可変領域は、多数の部位で弱い非共有結合性の力を通じて抗原と相互作用し、相互作用が多いほど親和性が強くなる。様々な種のIL−17に対する抗体の結合親和性を評価するための標準のアッセイは、例えば、ELISA、ウエスタンブロット及びRIAを含めて、当技術分野で公知である。抗体の結合動態(例えば、結合親和性)は、当技術分野で公知のアッセイにより、例えばBiacore(登録商標)分析で評価することもできる。
当技術分野で公知の方法論に従って決定され、且つ本明細書に記載したこれらのIL−17機能特性(例えば、生化学的、免疫化学的、細胞、生理学的又は他の生物学的活性など)の1つ又は複数を「阻害する」抗体は、抗体の非存在下で(又は無関係の特異性の対照抗体が存在する場合に)見られるものに対する、その特定の活性の統計的に有意な低下と関連することが理解されるであろう。IL−17活性を阻害する抗体は、例えば、測定されるパラメータの少なくとも約10%、少なくとも50%、80%又は90%の統計的に有意な低下をもたらし、開示した方法及び組成物のある種の実施形態では、使用されるIL−17抗体は、95%、98%又は99%を超えるIL−17機能活性を阻害することができる。
本明細書で使用される「IL−6を阻害する」は、IL−17抗体又はその抗原結合断片(例えばセクキヌマブ)が初代ヒト皮膚線維芽細胞からのIL−6産生を低下させる能力を指す。初代ヒト皮膚線維芽細胞におけるIL−6の産生は、IL−17に依存する(Hwang et al.,(2004)Arthritis Res Ther;6:R120−128)。手短に言えば、ヒト皮膚線維芽細胞を、Fc部分を有する様々な濃度のIL−17結合分子又はヒトIL−17受容体の存在下で、組換えIL−17で刺激する。キメラ抗CD25抗体Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)を、陰性対照として好都合に使用することができる。16時間の刺激後、上清を取り出し、ELISAによってIL−6について定量する。IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブは、上の通りに試験される、すなわち、前記阻害活性が、ヒト皮膚線維芽細胞における、ヒトIL−17によって誘発されるIL−6産生に関して測定される場合に、典型的には、約50nM以下(例えば、約0.01から約50nM)という、(1nMヒトIL−17の存在下での)IL−6産生の阻害についてのIC50を有する。開示した方法及び組成物のいくつかの実施態様では、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ、及びその機能性誘導体は、約20nM以下、より好ましくは約10nM以下、より好ましくは約5nM以下、より好ましくは約2nM以下、より好ましくは約1nM以下という、上で定義した通りのIL−6産生の阻害についてのIC50を有する。
用語「誘導体」は、他に指示されない限り、本開示による、例えば特定の配列(例えば、可変ドメイン)、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブのアミノ酸配列変異体及び共有結合的修飾(例えば、ペグ化、脱アミド、ヒドロキシル化、リン酸化、メチル化など)を定義するために使用される。「機能性誘導体」には、開示したIL−17抗体と共通した定性的生物学的活性を有する分子が含まれる。機能性誘導体には、本明細書に開示したIL−17抗体の断片及びペプチド類似体が含まれる。断片は、本開示による、例えば特定の配列のポリペプチドの配列内の領域を含む。本明細書に開示したIL−17抗体の機能性誘導体(例えば、セクキヌマブ の機能性誘導体)は、本明細書に開示したIL−17抗体及びその抗原結合断片のV及び/又はV配列と少なくとも約65%、75%、85%、95%、96%、97%、98%、さらに99%の全体的な配列同一性を有するV及び/又はVドメインを含み、ヒトIL−17と結合する能力を実質的に保持するか、又は例えばIL−17によって誘発されるヒト皮膚線維芽細胞のIL−6産生を阻害することが好ましい。
表現「実質的に同一な」は、関連するアミノ酸又はヌクレオチド配列(例えば、V又はVドメイン)が、特定の基準配列と比較して同一となるか、又は(例えば、アミノ酸の保存的置換による)実質的ではない違いを有することを意味する。実質的ではない違いには、特定の領域(例えば、V又はVドメイン)の5アミノ酸の配列における1又は2個の置換などのわずかなアミノ酸変化が含まれる。抗体の場合、第2の抗体は、同じ特異性を有し、且つ少なくとも50%の親和性を有する。本明細書に開示した配列に対して実質的に同一な配列(例えば、少なくとも約85%の配列同一性)も本出願の一部である。いくつかの実施形態では、誘導体のIL−17抗体(例えば、セクキヌマブの誘導体、例えばセクキヌマブバイオシミラー抗体)の配列同一性は、開示した配列に対して約90%以上、例えば90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上である可能性がある。
天然のポリペプチド及びその機能性誘導体に関する「同一性」は、本明細書では、最大のパーセント同一性を得るために、必要に応じて配列を整列し、ギャップを導入した後の、対応する天然のポリペプチドの残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基の割合と定義され、いかなる保存的置換も配列同一性の一部とみなされない。N又はC末端伸長部も挿入も同一性を低下させると解釈されないものとする。アラインメントのための方法及びコンピュータプログラムは、周知である。パーセント同一性は、標準のアラインメントアルゴリズム、例えばAltshul et al.((1990)J.Mol.Biol.,215:403 410)によって記載されているBasic Local Alignment Search Tool(BLAST);Needleman et al.((1970)J.Mol.Biol.,48:444 453)のアルゴリズム;又はMeyers et al.((1988)Comput.Appl.Biosci.,4:11 17)のアルゴリズムによって決定することができる。一連のパラメータは、12のギャップペナルティ、4のギャップ伸長ペナルティ及び5のフレームシフトギャップペナルティを伴うBlosum 62スコア行列であり得る。2つのアミノ酸又はヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、PAM120重み剰余テーブル、12のギャップ長ペナルティ及び4のギャップペナルティを使用して、ALIGNプログラム(version 2.0)に組み込まれているE.Meyers及びW.Miller((1989)CABIOS,4:11−17)のアルゴリズムを使用して決定することもできる。
「アミノ酸」は、すべての天然起源のL−α−アミノ酸を指し、例えばD−アミノ酸が含まれる。表現「アミノ酸配列変異体」は、本開示による配列と比較するとそのアミノ酸配列がいくらか違う分子を指す。例えば、特定の配列の、本開示による抗体のアミノ酸配列変異体は、ヒトIL−17と結合する能力を依然として有するままであるか、又は例えばIL−17によって誘発されるヒト皮膚線維芽細胞のIL−6産生を阻害する。アミノ酸配列変異体には、置換変異体(本開示によるポリペプチド内の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、代わりに同じ位置に別のアミノ酸が挿入されたもの)、挿入変異体(本開示によるポリペプチド内の特定の位置のアミノ酸の直接隣に1つ又は複数のアミノ酸が挿入されたもの)及び欠失変異体(本開示によるポリペプチド内の1つ又は複数のアミノ酸が除去されたもの)が含まれる。
用語「薬学的に許容し得る」は、活性成分の生物学的活性の有効性を邪魔しない非毒性の材料を意味する。
ある化合物、例えばIL−17結合分子又は別の薬剤に関する用語「投与すること」は、その化合物の、あらゆる経路による患者への送達を指すために使用される。
本明細書で使用する場合、「治療有効量」は、患者(ヒトなど)への単一用量又は反復用量投与時、障害又は再発性の障害の少なくとも1つの症状を治療するか、予防するか、発症を予防するか、治癒させるか、遅らせるか、重症度を低下させるか、回復させるか、又は患者の生存をこうした治療が存在しない場合に予測される生存よりも延長させるのに有効である、IL−17アンタゴニスト、例えばIL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片)の量を指す。単独で投与される個々の活性成分(例えば、IL−17アンタゴニスト、例えばセクキヌマブ)に適用される場合、この用語は、その成分単独を指す。組み合わせに適用される場合、この用語は、組み合わせで、連続的に又は同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の合わせた量を指す。
用語「治療」又は「治療する」は、本明細書では、本開示によるIL−17抗体、例えばセクキヌマブ若しくはイキセキズマブ又は前記抗IL−17抗体を含む医薬組成物の、対象への又は対象由来の単離された組織若しくは細胞株への適用又は投与(ここで、対象は、特定の疾患(例えば、腱障害)、その疾患(例えば、腱障害)に随伴する症状又はその疾患(例えば、腱障害(該当する場合))の発症の素因を有し、その目的は、疾患の1つ又は複数の症状を治癒させる(該当する場合)か、開始を遅らせるか、重症度を低下させるか、軽減するか、回復するか、疾患を改善するか、疾患のあらゆる随伴症状又は疾患の発症の素因を低下させるか又は改善することである)と定義される。用語「治療」又は「治療する」には、疾患を有することが疑われる患者及び病気であるか又は疾患若しくは医学的状態を患っていると診断されている患者を治療することが含まれ、また臨床的再発の抑制が含まれる。
本明細書で使用する場合、患者に関する「選択すること」及び「選択される」は、特定の患者が、その特定の患者があらかじめ定められた基準を有することに基づいて(に起因して)、患者のより大きい群から個々に選択されることを意味するために使用される。同様に、「選択的に治療すること」は、特定の疾患を有する患者(ここで、患者は、その特定の患者があらかじめ定められた基準を有することに基づいて個々に選択される)に治療を提供することを指す。同様に、「選択的に投与すること」は、その特定の患者があらかじめ定められた基準を有することに基づいて(に起因して)、患者のより大きい群から個々に選択された患者に薬物を投与することを指す。選択すること、選択的に治療すること及び選択的に投与することは、患者が、より大きい群内の患者の帰属のみに基づく標準の治療レジメンを送達されるのではなく、患者の個別の病歴(例えば、以前の治療介入、例えば生物製剤での以前の治療)、生物学(例えば、特定の遺伝子マーカー)及び/又は徴候(例えば、特定の診断基準を満たさないこと)に基づく個別化治療を送達されることを意味する。本明細書で使用される治療の方法に関する選択することは、特定の基準を有する患者の好運な治療を指すのではなく、患者が特定の基準を有することに基づいて患者に治療を施すという意図的な選択を指す。したがって、選択的な治療/投与は、特定の疾患を有するすべての患者にその個別の病歴、疾患の徴候及び/又は生物学にかかわらず特定の薬物を送達する標準の治療/投与と異なる。
IL−17アンタゴニスト
開示した種々のプロセス、キット、使用、及び方法は、IL−17アンタゴニストを利用する。IL−17アンタゴニストは、IL−17シグナル、活性、及び/又は伝達を遮断する、弱める、及び/又は阻害することが可能である。IL−17アンタゴニストの例としては、例えば、IL−17結合分子(例えば、可溶性のIL−17受容体、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ及びイキセキズマブ)、及びIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17受容体抗体又はその抗原結合断片、例えばブロアダルマブ(broadalumab))が挙げられる。いくつかの実施形態では、IL−17アンタゴニストは、IL−17結合分子、好ましくはIL−17抗体又はその抗原結合断片である。本明細書で使用されるIL−17抗体及びその抗原結合断片は、完全ヒト、CDR移植、又はキメラであり得る。開示した方法、使用、キットなどに使用するための抗体又はその抗原結合断片の定常領域ドメインが、好ましくは、例えば‘‘Sequences of Proteins of Immunological Interest’’,Kabat E.A.et al,US Department of Health and Human Services,Public Health Service,National Institute of Healthに記載されている好適なヒト定常領域ドメインを含むことが好ましい。
開示した方法において使用される特に好ましいIL−17抗体又はその抗原結合断片は、ヒト抗体、特に、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2006/013107号パンフレットの実施例1及び2に記載されているセクキヌマブである。セクキヌマブは、IgG/κアイソタイプの組換え高親和性完全ヒトモノクローナル抗ヒトインターロイキン−17A(IL−17A、IL−17)抗体である。セクキヌマブは、IL−17に対する高い親和性、すなわち、約100〜200pM(例えば、約200pM)のK、約0.67nM ヒトIL−17Aの生物学的活性のインビトロでの中和に対する約0.4nMのIC50、及び約4週の半減期を有する。
参照を容易にするために、Kabat定義に基づく、また、X線分析によって決定される、また、Chothia及び共同研究者の手法を使用する、セクキヌマブモノクローナル抗体の高頻度可変領域のアミノ酸配列を、下の表1に提供する。
一実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、高頻度可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)を含み、前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する。一実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、高頻度可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を含む少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL’)を含み、前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する。一実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、高頻度可変領域CDR1−x、CDR2−x及びCDR3−xを含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)を含み、前記CDR1−xは、アミノ酸配列配列番号11を有し、前記CDR2−xは、アミノ酸配列配列番号12を有し、前記CDR3−xは、アミノ酸配列配列番号13を有する。
一実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、少なくとも1つの免疫グロブリンVドメインと少なくとも1つの免疫グロブリンVドメインとを含み、ここで、a)免疫グロブリンVドメインは、(例えば、順に)i)高頻度可変領域CDR1、CDR2及びCDR3(前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する)、又はii)高頻度可変領域CDR1−x、CDR2−x及びCDR3−x(前記CDR1−xは、アミノ酸配列配列番号11を有し、前記CDR2−xは、アミノ酸配列配列番号12を有し、前記CDR3−xは、アミノ酸配列配列番号13を有する)を含み、且つb)免疫グロブリンVドメインは、(例えば、順に)高頻度可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’(前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する)を含む。
一実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、a)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)、b)配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)、c)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン、d)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、e)配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、f)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、g)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、又はh)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメインを含む。
いくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片(例えば、セクキヌマブ)は、配列番号10の3つのCDRを含む。他の実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号8の3つのCDRを含む。他の実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号10の3つのCDRと配列番号8の3つのCDRを含む。配列番号8及び配列番号10のCDRは、表1において参照することができる。軽鎖内の遊離のシステイン(CysL97)は、配列番号6において見ることができる。
いくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号14の軽鎖を含む。他の実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号15の重鎖(C末端リジンを有する又は有さない)を含む。他の実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号14の軽鎖と配列番号15の重ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号14の3つのCDRを含む。他の実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号15の3つのCDRを含む。他の実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号14の3つのCDRと配列番号15の3つのCDRとを含む。配列番号14及び配列番号15のCDRは、表1において参照することができる。
高頻度可変領域は、あらゆる種類のフレームワーク領域を伴うことができるが、ヒト起源のものが好ましい。好適なフレームワーク領域は、Kabat E.A.et al,ibidに記載されている。好ましい重鎖フレームワークは、ヒト重鎖フレームワーク、例えばセクキヌマブ抗体の重鎖フレームワークである。これは、順に、例えばFR1(配列番号8のアミノ酸1〜30)、FR2(配列番号8のアミノ酸36〜49)、FR3(配列番号8のアミノ酸67〜98)及びFR4(配列番号8のアミノ酸117〜127)領域からなる。X線分析によるセクキヌマブの決定された高頻度可変領域を考慮すると、別の好ましい重鎖フレームワークは、順に、FR1−x(配列番号8のアミノ酸1〜25)、FR2−x(配列番号8のアミノ酸36〜49)、FR3−x(配列番号8のアミノ酸61〜95)及びFR4(配列番号8のアミノ酸119〜127)領域からなる。同様に、軽鎖フレームワークは、順に、FR1’(配列番号10のアミノ酸1〜23)、FR2’(配列番号10のアミノ酸36〜50)、FR3’(配列番号10のアミノ酸58〜89)及びFR4’(配列番号10のアミノ酸99〜109)領域からなる。
一実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片(例えば、セクキヌマブ)は、少なくとも、a)順に、高頻度可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む可変ドメインと、ヒト重鎖の定常部又はその断片とを含む免疫グロブリン重鎖又はその断片(前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する)と、b)順に、高頻度可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を含む可変ドメインと、ヒト軽鎖の定常部又はその断片とを含む免疫グロブリン軽鎖又はその断片(前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する)とを含むヒトIL−17抗体から選択される。
一実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、a)順に、高頻度可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む第1のドメイン(前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する)と、b)順に、高頻度可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を含む第2のドメイン(前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する)と、c)第1のドメインのN末端と第2のドメインのC末端とに又は第1のドメインのC末端と第2のドメインのN末端とに結合するペプチドリンカーとを含む抗原結合部位を含む一本鎖抗体又はその抗原結合断片から選択される。
或いは、開示した方法に使用されるIL−17抗体又はその抗原結合断片は、配列によって本明細書に記述したIL−17抗体の誘導体(例えば、セクキヌマブのペグ化種)を含むことができる。或いは、開示した方法に使用されるIL−17抗体又はその抗原結合断片のV又はVドメインは、記述したV又はVドメインと実質的に同一であるV又はVドメイン(例えば、配列番号8及び10)を有することができる。本明細書に開示したヒトIL−17抗体は、配列番号15として示されるものと実質的に同一である重鎖及び/又は配列番号14として示されるものと実質的に同一である軽鎖を含むことができる。本明細書に開示したヒトIL−17抗体は、配列番号15を含む重鎖と配列番号14を含む軽鎖とを含むことができる。本明細書に開示したヒトIL−17抗体は、a)配列番号8に示したものと実質的に同一なアミノ酸配列を有する可変ドメインと、ヒト重鎖の定常部とを含む1本の重鎖と、b)配列番号10に示したものと実質的に同一なアミノ酸配列を有する可変ドメインと、ヒト軽鎖の定常部とを含む1本の軽鎖とを含むことができる。
或いは、開示した方法において使用されるIL−17抗体又はその抗原結合断片は、それがCysL97を含有する限り、本明細書に示される基準のIL−17抗体のアミノ酸配列変異体であり得る。本開示には、セクキヌマブのV又はVドメインのアミノ酸残基(CysL97以外)の1つ又は複数、典型的にはごく少数のみ(例えば、1〜10個)が、例えば、対応するDNA配列の変異、例えば部位特異的変異導入によって変化した、IL−17抗体又はその抗原結合断片(例えば、セクキヌマブ)も含まれる。誘導体及び変異体のこうしたすべての場合において、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、約50nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約5nM以下、約2nM以下又はより好ましくは約1nM以下の前記分子の濃度で約1nM(=30ng/ml)ヒトIL−17の活性を50%阻害することが可能であり、前記阻害活性は、国際公開第2006/013107号パンフレットの実施例1に記載されている通り、ヒト皮膚線維芽細胞においてhu−IL−17によって誘発されるIL−6産生に対して測定される。
いくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブは、Leu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129を含む成熟したヒトIL−17のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、IL−17抗体、例えばセクキヌマブは、Tyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む成熟したヒトIL−17のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、IL−17抗体、例えばセクキヌマブは、2本の成熟したヒトIL−17鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80とを含む)に結合する。本明細書のIL−17エピトープを定義するために使用される残基のナンバリングスキームは、残基1が、成熟したタンパク質の第1のアミノ酸である(すなわち、IL−17Aは、23個のアミノ酸のN末端シグナルペプチドを欠損し、グリシンから開始する)ことに基づいている。未成熟のIL−17Aの配列は、Swiss−Prot entry Q16552に記述されている。
いくつかの実施形態では、IL−17抗体は、約100〜200pMのKを有する。いくつかの実施形態では、IL−17抗体は、約0.67nM ヒトIL−17Aの生物学的活性のインビトロでの中和に対する約0.4nMのIC50を有する。いくつかの実施形態では、皮下に(SC)投与されるIL−17抗体の絶対的バイオアベイラビリティは、約60%〜約80%の範囲、例えば約73%、約76%である。いくつかの実施形態では、セクキヌマブなどのIL−17抗体は、約4週(例えば、約23〜約35日、約23〜約30日、例えば約30日)の消失半減期を有する。いくつかの実施形態では、IL−17抗体(セクキヌマブなど)は、約7〜8日のTmaxを有する。
開示した方法、キット、及びレジメンに使用するための他の好ましいIL−17アンタゴニストには、KHK4872(協和発酵キリン株式会社)、ABT−122(Abbvie)、BCD−085(JCS Biopharm)、ビドフルディムス(4SC−101)、NI−1401(RG7624;MCAF5352A−NovImmune)、ANB004(AnaptysBio Inc.)、E−036041(Ensemble Therapeutics Corp.)、Qβ−IL−17(ウイルス様粒子ベースのワクチン)、PRS−190(Pieris AG)、ビメキズマブ(UCB 4940−UCB)、ALX−0761、CNTO 6785(Janssen Pharmaceuticals)、LY3074828 (Eli Lilly)、LY3114062 (Eli Lilly)、SCH−900117、MSB0010841(ALX−0761−Merck)、ABT−122、COVA322(Covagen)、イキセキズマブ、及びブロダルマブ、並びにIL−17アンタゴニストの配列及び/又は構造の開示に関して参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第9,193,788号明細書;同第8,057,794号明細書;同第7,767,206号明細書;同第8,003,099号明細書;同第8,110,191号明細書;及び同第7,838,638号明細書:及び米国特許出願公開第20120034656号明細書及び同第20110027290号明細書に記述されているものが含まれる。
開示した使用、方法、及びキットのいくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、以下からなる群から選択される:a)残基Arg 55とTrp 67の間のIL−17のエピトープに結合するIL−17抗体又はその抗原結合断片;b)Arg 55、Glu 57、及びTrp 67を含むIL−17のエピトープに結合するIL−17抗体又はその抗原結合断片;c)Arg 55、Glu 57、Trp 67、Tyr 62、及びArg 101を含むIL−17のエピトープに結合するIL−17抗体又はその抗原結合断片;d)Arg 55、Glu 57、Trp 67、Tyr 62、Arg 101、Pro 59、Ser 64、及びVal 65を含むIL−17のエピトープに結合するIL−17抗体又はその抗原結合断片;e)Arg 55、Glu 57、Trp 67、Tyr 62、Arg 101、Pro 59、Ser 64、Val 65、Val 22、Leu 26、Asp 58、Glu 60、Pro 63、Pro 107、Phe 110、及びLys 114(ここでは、()で印を付けたアミノ酸は、IL−17Aホモ二量体の第2のIL−17サブユニットによって与えられる残基を意味する)を含むIL−17のエピトープに結合するIL−17抗体又はその抗原結合断片(ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIL−17に対する約1〜10pM(例えば約6pM)のKを有し、且つIL−17抗体又はその抗原結合断片は、約14〜23日、例えば約20日というインビボでの半減期を有する);並びにf)以下を含むIL−17抗体又はその抗原結合断片:i)配列番号30として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V);ii)配列番号22として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V);iii)配列番号30として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメインと、配列番号22として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン;iv)配列番号24、配列番号26、及び配列番号28として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;v)配列番号16、配列番号18、及び配列番号20として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;vi)配列番号25、配列番号27、及び配列番号29として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;vii)配列番号17、配列番号19、及び配列番号21として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;viii)配列番号24、配列番号26、及び配列番号28として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメインと、配列番号16、配列番号18、及び配列番号20として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;ix)配列番号25、配列番号27、及び配列番号29として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメインと、配列番号17、配列番号19、及び配列番号21として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;x)配列番号23を含む軽鎖;xi)配列番号31を含む重鎖;又はxii)配列番号23を含む軽鎖と配列番号31を含む重鎖。
開示した使用、方法、及びキットのいくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、CJM112、すなわちIgG/κクラスの組換え高親和性完全ヒトモノクローナル抗ヒトIL−17抗体である。CJM112はまた、IL−17AFに結合し、このサイトカインと拮抗する(例えば、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第9193788号明細書を参照のこと)。
IL−17AFアンタゴニストはまた、腱障害を有する患者において、腱障害を治療すること及び腱組織の再生を誘発すること及び腱修復を促進することに使用することができる。これらのアンタゴニストには、IL−17A及びIL−17Fと交差反応する抗体、及び二重特異性抗IL−17A/F抗体、FynomAbs(例えばCOVA322)、ナノボディ(例えばALX−0761)などが含まれ、米国特許出願公開第20140314763号明細書、同第2013/0195872号明細書、同第20160326241号明細書、米国特許第8496936号明細書、同第8945553号明細書、及び国際公開第2016/070062号パンフレットにおいて参照することができる。
腱障害のためのIL−17アンタゴニストの治療及び使用の方法
開示したIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、腱障害患者(例えば腱障害を有するヒト患者)を治療するために、インビトロ、エクスビボで使用する、又は医薬組成物に組み込んでインビボで投与することができる。
すべての反応性の形態の腱障害、例えば、足底筋膜炎、アキレス腱障害、膝蓋腱障害、回旋筋腱板(棘下筋、小円筋、棘上筋、及び肩甲下筋)腱障害、テニス肘(外側上顆炎)、ゴルフ肘(内側上顆炎)、ジャンパー膝、棘上筋症候群などが、開示した使用、組成物、方法、及びキットを使用して治療できることが予想される。好ましい実施形態では、患者は、回旋筋腱板(棘下筋、小円筋、棘上筋、及び肩甲下筋)腱障害を有する。
いくつかの実施形態では、患者は、(例えば、超音波及び/又はMRIを使用して確かめられる)罹患した腱の断裂を有しない又は部分断裂[最大50%の腱厚(Bauer腱厚スコア 最大2);腱のAP断裂サイズ[長さ] 最大10mm(Bauer腱長スコア 最大2)]を有する。部分断裂についてのMRIスコアリングプロトコルは、公知である(例えば、Bauer et al.(2014)J Orthop Surg Res.9:128を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、患者は、検査時に「有痛弧検査(Painful Arc Test)」(例えば、O’Kane及びToresdahl(2014)Curr Sports Med Rep.13(5):307−13を参照のこと)が陽性である、及び/又は所与の週の7日のうち少なくとも4日、罹患した肩において夜間の疼痛を有する。いくつかの実施形態では、患者は、所与の週の7日のうち少なくとも3日の(安静時に又は運動時に)罹患した肩における疼痛、且つ疼痛の視覚的アナログスケール(VAS)の10のうち≧4のスコアを有する。
いくつかの実施形態では、患者の症状(例えば、疼痛、運動抑制、及び/又は腫脹)は、≧6週存在している。いくつかの実施形態では、患者の症状(例えば、疼痛、運動抑制、及び/又は腫脹)は、<12か月存在している。いくつかの実施形態では、患者の症状(例えば、疼痛、運動抑制、及び/又は腫脹)は、≧6週且つ<12か月存在している。
いくつかの実施形態では、患者は、オーバーユース(非全身性の炎症性の)回旋筋腱板(棘下筋、小円筋、棘上筋、及び肩甲下筋)腱障害がMRIで陽性である。いくつかの実施形態では、患者は、全身性炎症性疾患を伴わない回旋筋腱板(棘下筋、小円筋、棘上筋、及び肩甲下筋)腱障害を有する。
いくつかの実施形態では、患者は、以前の腱障害治療、例えば、ステロイド治療(例えば、罹患した腱への局所ステロイド注射)、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、理学療法、又はその組み合わせに対して抵抗性である(すなわち、患者は反応しなかった又は不十分な(最適以下の)反応を示した[例えば、VAS疼痛スコアによって決定される場合、例えばVAS疼痛スコア≧4])、又は不耐性であった。
いくつかの実施形態では、患者は、以前の腱障害手術に対する不十分な反応を以前に示していた。
ステロイド、NSAID、アセトアミノフェン、理学療法、及びその組み合わせを利用する腱障害治療は、本明細書では、腱障害「標準治療」処置と称される。理学療法で治療した患者は、「理学療法処置を受けている」と称される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、回旋筋腱板腱障害を有し、且つ腱障害の標準治療を使用して治療されており、且つ手術を受けることに対して不適格又は不本意である。手術に対する患者の適格性は、医師によって決定することができる生化学的及び/又は身体的特性、例えば、心臓の健康、肺の健康、高齢などを基にすることができる。
いくつかの実施形態では、患者は、ステロイドを受けていない。いくつかの実施形態では、患者は、罹患した腱への局所ステロイド注射で以前に治療された。いくつかの実施形態では、患者は、腱障害の複数の部位を有する。
いくつかの実施形態では、患者は、腱障害のための手術に対して不適格である。
いくつかの実施形態では、患者は、腱障害のための手術を受けることに対して不本意である。
いくつかの実施形態では、患者は、腱障害のための手術に対して不適格、又は腱障害のための手術を受けることに対して不本意である。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、理学療法処置を受けている、且つ患者は、腱障害手術に対して不適格である、且つ患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、及びその組み合わせからなる群から選択される以前の腱障害治療に対して反応しなかった、又は不十分な反応を示した、又は不耐性であった。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、理学療法処置を受けている、且つ患者は、腱障害手術に対して適格である、且つ患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、及びその組み合わせからなる群から選択される以前の腱障害治療に対して反応しなかった、又は不十分な反応を示した、又は不耐性であった。
本明細書に開示した治療に対する患者の反応は、患者報告アウトカム(PRO)、医師報告アウトカム、画像化技術などを使用して測定することができる。医師報告アウトカムには、例えば、疾患活動性の医師総合評価(Physician’s Global Assessment)(PhGA)(例えば、VASスコアを使用する)、可動域テスト(range of movement test)(例えば、関節角度計又は計数的評価を使用する)、及び腕の筋力テスト(例えば、デジタル圧力計又は回旋筋腱板機能指数(rotator cuff functional index)を使用する)が含まれる。画像化技術には、例えば、MRI(例えば、MRI Seinスコア、MRI Bauerスコア、棘上筋腱厚、回旋筋腱板の領域内の滑液包炎、棘上筋腱の質、罹患した二頭筋腱の存在を決定するためのもの);超音波;及び剪断波エラストグラフィ(shear wave elastography)(SWE)(例えば、棘上筋腱の生体力学特性[硬さ(stiffness)]を評価するためのもの)が含まれる。PROには、例えば、疾患活動性の患者総合評価(Patient’s global assessment)(PGA)(例えば、VASスコアを使用する);Western Ontario回旋筋腱板(Western Ontario Rotator Cuff)(WORC)患者報告アウトカムスコア;腕、肩、及び手の障害の質問票(Disability of Arm,Shoulder and Hand Questionnaire)(QuickDASH)スコア;米国肩肘外科学会(American Shoulder and Elbow Surgeons)肩評価フォーム(Shoulder Evaluation Form)(ASES)スコア、及びEQ5D−5Lスコアが含まれる。
WORCスコアは、Kirkley及び共同研究者らによって回旋筋腱板疾患に対して独自に開発された、患者報告アウトカム手段である(Kirkley et al.(2003)Clin J Sport Med;13:84−92)。これは、回旋筋腱板傷害を有する患者のために設計された生活の質の質問票である。WORCの臨床的に重要な最小変化量(Minimal Clinically Important Change)(MCIC)は、275ポイント又は12.8%(WORC%の様式で示されるならば)であると算出されている。いくつかの実施形態では、回旋筋腱板腱障害を有する患者の集団が、開示した方法に従って(例えば、負荷用量を伴って又は伴わずに毎月与えられる約150mgセクキヌマブ又は約300mgセクキヌマブの固定用量を使用して)治療される場合、集団における患者の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%が、WORCスコアのMCIDに到達する。好ましい実施形態では、回旋筋腱板腱障害を有する患者の集団が、開示した方法に従って(例えば、負荷用量を伴って又は伴わずに毎月与えられる約150mgセクキヌマブ又は約300mgセクキヌマブの固定用量を使用して)治療される場合、集団における患者の少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%が、WORCスコアのMCIDに到達する。
Quick DASHは、Institute for Work&Health(Toronto,Ontario,Canada)と共に米国整形外科学会議(American Academy of Orthopedic Surgeons)によって開発されている、DASH患者報告アウトカム手段の省略形である。
ASESスコアは、肩の機能の評価のために、米国肩肘外科学会(Society of the American Shoulder and Elbow Surgeons)によって開発されている(Richards et al(1994)J Shoulder Elbow Surg 3:347−352)。
EuroQuol 5D(EQ−5D−5L)(euroqol.org/eq−5d−instruments/eq−5d−5l−about/)は、広く使用されている、成人における健康状態を評価するために設計された、自己記入式質問票である。この研究におけるEQ−5D−5Lの目的は、患者の全身健康状態を評価することである。
MRI Seinスコアは、主として棘上筋腱症を等級分けする(Sein et al.(2007)Br J Sports Med;41(8):e9)、また、この等級の変化を経時的に観察するために使用される。腱障害は、典型的なT2強調画像上の流体ほど鮮やかではないが、すべてのパルスMRIシーケンスに対するシグナル強度の増大を伴う、肥厚した不均質な回旋筋腱板の腱を特徴とする。腱炎及び部分厚(partial thickness)腱板傷害は、スポーツ活動において及び中年において多く見られるので、別の等級分けシステム、すなわちBauerスコアも、棘上筋部分断裂及び腱症の評価のために使用することができる(Bauer et al(2014)J.Orthopaedic Surg.Res 9:128)。これらの画像はまた、回旋筋腱板の腱の厚さを測定し、回旋筋腱板の領域内の滑液包炎の存在について評価するために使用することができる。いくつかの実施形態では、腱障害の集団が、開示した方法に従って治療される場合、患者の少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも90%が、MRI Bauerスコアによって測定される場合に、腱破断(部分/完全)への進行が少ない。好ましい実施形態では、腱障害の集団が、開示した方法に従って治療される場合、患者の少なくとも50%が、MRI Bauerスコアによって測定される場合に、腱破断(部分/完全)への進行が少ない。いくつかの実施形態では、腱障害の集団が、開示した方法に従って治療される場合、患者の少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも90%が、MRI Seinスコアによって測定される場合に、腱構造における少なくとも1つの等級向上(すなわち、損傷低下)を示す。いくつかの実施形態では、腱障害の集団が、開示した方法に従って治療される場合、患者の少なくとも50%が、MRI Seinスコアによって測定される場合に、腱構造における少なくとも1つの等級向上(すなわち、損傷低下)を示す。
肩峰下滑液包の向上は、Hodgson et al(2012)Br.J.Radiology;85:1482−1487の方法によって評価することができる。
アキレス腱疼痛及び機能の改善は、Victorian Institute of Sport Assessment−アキレス(Achilles)(VISA−A)を使用して評価することができる。
膝蓋腱疼痛及び機能の改善は、Victorian Institute of Sport Assessment−膝蓋(Patellar)(VISA−P)を使用して評価することができる。
上顆腱疼痛及び機能の改善は、患者評価によるテニス肘(Patient Rated Ttennis Elbow Evavluation)評価(PRTEE)を使用して評価することができる。
他のMRI測定、例えば、超短波エコー時間(UTE)パルスシーケンス、及びT2*緩和速度(Juras et al(2013)Eur Radiol 23:2814−2822)及び/又は磁化移動率(MTR)(Syha et al(2011)Fortschr Rontgenstra;183:1043−1050)に基づくコントラスト機構に基づくMRI技術も、腱の「質/完全性」のマーカーとみなすことができる。
その弾性特性のおかげで、体内の腱は、運動中のエネルギー吸収及び放出を可能にすることによって、最小限の変形及び力の伝達の喪失で、大きい筋力に耐えることができる。腱障害では、腱の形態及び組成の変化が、その機械特性の変化をもたらす可能性がある。剪断波エラストグラフィ(SWE)は、腱を含めた軟部組織の弾性特性を評価することができる、非侵襲性の超音波検査的画像化技術である(Chen et al(2013)J Ultrasound Med;32:449−455)。回旋筋腱板腱の硬さは、SWEによって測定することができる。
視覚的アナログスケール(VAS)は、値の連続体の範囲全体にわたると考えられる、特性又は傾向を測定する手段である。例えば、患者が感じる疼痛の量は、疼痛なしから極限量の疼痛までの連続体の範囲全体にわたる。なし、軽度、中等度、及び重度というカテゴリー分類が示すであろう通り、患者の視点から見ると、この範囲は連続的であるように見える±患者の疼痛は不連続的な飛び越しを経験しない。VAS疼痛スケールは、一般に、臨床研究において疼痛強度を特徴付けるための、転帰の尺度として使用される。これは、通常、100mmの水平線として示され、その上に、患者の疼痛強度が、「全く疼痛なし」と「想定可能な最もひどい疼痛」(など)との両極の間の点によって表される。反応者は、現時点で反応者の疼痛を最も良く示す点に、VAS線に垂直な線を入れるように求められる。このツールは、ミリメートルでスコア化される(スコアはしばしば、10ポイントスケールを使用して、10分の1のセンチメートルで記録されるが);一般に、40ミリメートル(又はセンチメートルで記録されるならば4)未満のスコアが、慢性疼痛管理にとって望ましいとみなされる。
いくつかの実施形態では、患者は、請求した方法に従う治療の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12か月(好ましくは1、2、又は3か月)後に、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の、疼痛の低下、炎症の低下、腱再生及び/又は修復の改善、及び/又は罹患した腱の運動の改善を経験する。好ましい実施形態では、患者は、請求した方法に従う治療後に、少なくとも20%の、疼痛の低下、炎症の低下、腱再生及び/又は修復の改善、及び/又は運動の改善を経験する。
いくつかの実施形態では、患者は、請求した方法に従う治療の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12か月(好ましくは1、2、又は3か月)後に、VASスコア、WORCスコア、QuickDASHスコア、ASESスコア、及び/又はEQ5D−5Lスコアの、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%向上を経験する。好ましい実施形態では、患者は、請求した方法に従う治療後に、VASスコアによって決定される場合の、疼痛の少なくとも20%低下を経験する。好ましい実施形態では、患者は、請求した方法に従う治療後に、WORCスコア、QuickDASHスコア、又はASESスコアによって決定される場合の、肩関連の生活の質(QoL)の少なくとも20%向上を経験する。好ましい実施形態では、患者は、請求した方法に従う治療後に、PGAスコアによって決定される場合の、少なくとも20%の全般的な向上を経験する。
IL−17アンタゴニスト、例えばIL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片)は、薬学的に許容し得る担体と組み合わせた場合、医薬組成物として使用することができる。こうした組成物は、IL−17アンタゴニストに加えて、担体、種々の希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤及び他の材料を含有することができる。担体の特性は、投与経路に依存する。開示した方法に使用するための医薬組成物は、標的とされる特定の障害の治療のための追加の治療薬も含有することができる。例えば、医薬組成物は、抗炎症剤も含むことができる。医薬組成物中にこうした追加の因子及び/又は薬剤を含めて、IL−17結合分子との相乗効果を生じるか、又はIL−17アンタゴニスト、例えばIL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片)によって引き起こされる副作用を最小限にすることができる。
開示した方法に使用するための医薬組成物は、公知の方式で製造することができる。一実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥形態で提供される。即時投与のために、これは、好適な水性の担体、例えば注射のための滅菌水又は滅菌した緩衝生理食塩水に溶解される。ボーラス注射ではない注入による投与のためのより大きい体積の溶液を構成することが望ましいと考えられる場合、製剤時、ヒト血清アルブミン又は患者自身のヘパリン処理した血液を生理食塩水に組み込むことが好都合である可能性がある。過剰量のこうした生理学的に不活性なタンパク質の存在は、注入溶液と共に使用される容器及び管の壁への吸着による抗体の喪失を予防する。アルブミンが使用される場合、好適な濃度は、生理食塩溶液の重量に対して0.5〜4.5%である。他の製剤は、液体又は凍結乾燥製剤を含む。
抗体、例えばIL−17に対する抗体は、典型的には、直ちに非経口投与可能な水性の形態において又は投与前の好適な希釈剤での再構成のための凍結乾燥物として製剤化される。開示した方法及び使用のいくつかの実施態様では、IL−17アンタゴニスト、例えばIL−17抗体、例えばセクキヌマブは、すぐに使用できる液体医薬組成物として製剤化される。好適な凍結乾燥物製剤は、皮下投与を可能にするために小体積の液体(例えば、2ml以下)に再構成することができ、低レベルの抗体凝集を伴う溶液を提供することができる。医薬の活性成分としての抗体の使用は、HERCEPTIN(商標)(トラスツズマブ)、RITUXAN(商標)(リツキシマブ)、SYNAGIS(商標)(パリビズマブ)という製品などを含めて、現在、広く普及している。医薬グレードへの抗体の精製のための技術は周知である。治療有効量のIL−17アンタゴニスト、例えばIL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片)が静脈内、皮膚又は皮下注射によって投与される場合、IL−17アンタゴニストは、パイロジェンフリーの非経口的に許容し得る溶液の形態となるであろう。静脈内、皮膚又は皮下注射のための医薬組成物は、IL−17アンタゴニストに加えて、塩化ナトリウム、リンゲル液、デキストロース、デキストロースと塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液などの等張性ビヒクル又は当技術分野で公知の他のビヒクルを含有することができる。
開示した方法、使用、キットなどの好ましい実施形態では、IL−17結合分子(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片)又はIL−17受容体結合分子(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片)は、約25mg/mLから約150mg/mL セクキヌマブ、約10mMから約30mM ヒスチジン(pH5.8)、約200mMから約225mM トレハロース、約0.02% ポリソルベート80、及び約2.5mMから約20mM メチオニンを含む安定な液体医薬製剤で提供されるセクキヌマブであり、ここでは、この液体製剤は、凍結乾燥物(lyophilisate)から再構成されない。開示した方法、使用、キットなどに使用するための、ある好ましい医薬生成物は、プレフィルドシリンジ又は自己注射器(すなわち、1mL又は2mLの製剤を有する)に入れて提供される、20mMヒスチジン緩衝液(pH5.8)中の150mg/ml セクキヌマブ、200mMトレハロース、0.02%ポリソルベート80、及び5mM L−メチオニンを有する安定な液体製剤を含む。
適切な投薬量は、例えば、用いられる個々のIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合分子(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片)、受容者、投与様式、及び治療される状態の性質及び重症度に応じて、また、患者が受けてきた前治療の性質に応じて変動することとなる。最終的には、担当する医療提供者が、それぞれ個々の患者を治療するIL−17アンタゴニストの量を決定することとなる。いくつかの実施形態では、担当する医療提供者は、低用量のIL−17アンタゴニストを投与し、患者の反応を観察することができる。他の実施形態では、患者に投与されるIL−17アンタゴニストの初回用量は高く、その後、再発の徴候が生じるまで下向きに用量調整される。患者にとって最適な治療効果が得られるまで、より大きい用量のIL−17アンタゴニストを投与することができ、この投薬量は、一般に、それ以上は増大させない。
本開示の治療又は使用の方法のいくつかを実施する際、治療有効量のIL−17アンタゴニスト、例えばIL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片)が患者、例えば哺乳類(例えば、ヒト)に投与される。開示した方法は、IL−17アンタゴニスト(例えば、セクキヌマブ)を使用して腱障害患者の治療を提供することが理解されるが、これは、患者が最終的にIL−17アンタゴニストで治療される場合、こうしたIL−17アンタゴニスト療法が必然的に単剤療法であることを排除しない。実際、患者が、IL−17アンタゴニストでの治療について選択されるならば、IL−17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)は、本開示の方法に従って、単独で、又は他の薬剤及び治療法(例えば、腱障害のための他の標準治療療法、例えば、ステロイド、NSAID、アセトミノフェン(acetominophen)、理学療法など)と組み合わせて投与することができる。腱障害を治療するための、開示したIL−17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)と組み合わせた使用のための追加の治療法には、安静、氷、マッサージ療法、体外衝撃波療法(ESWT)、超音波、レーザー療法、伸張性運動、LIPUS、電気療法、テーピング、硬化剤(sclerosing)注射、三硝酸グリセリン、並び他の形態の物理療法及び理学療法が含まれる。腱障害を治療するための、開示したIL−17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)と組み合わせた使用のための腱障害薬には、ステロイド(例えば、副腎皮質ステロイド、糖質コルチコイド、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン)(経口、IV、又はIM)、自己血液、多血小板血漿(PRP)、タンパク質除去された血液透析物、アプロチニン、多硫酸化されたグリコサミノグリカン、アセトアミノフェン、NSAID(サリチル酸エステル[例えばアスピリン]、プロピオン酸誘導体[例えばイブプロフェン]、酢酸誘導体[例えばジクロフェナク]、エノール酸(オキシカム)誘導体[例えばメロキシカム]、アントラニル酸誘導体(フェナム酸)[例えばメクロフェナム酸]、選択的COX−2阻害剤[例えばセレコキシブ]、スルホンアニリド[例えばニメスリド]及び他のもの[クロニキシン、リコフェロン(licofelone)、h−ハルパギド(h−harpagide)])が含まれる。腱障害を治療するための、開示したIL−17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)と組み合わせた使用のための追加の腱障害薬には、ソマトロピン、ヒアルロン酸、インスリン様増殖因子I、自己馴化(autologous conditioned)血漿、リドカイン、テトラカインパッチ、エトキシスクレロール、ポリドカノール、SM04755、セレストン、ケトロラク、自己間葉系幹細胞、チオ硫酸ナトリウム、デポ・メドロール、RCT−01、ケタミン、MRX−7EAT、ケトプロフェン、TNF−α阻害剤(インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ、エタネルセプト)、IL−1阻害剤(アナキンラ、リロナセプト、カナキヌマブ)、IL−23阻害剤(ウステキヌマブ、グセルクマブ)、IL−17阻害剤(イキセキズマブ、ブロダルマブ)、アリビアドール(aliviador)、ゲロール(gelol)、トリアムシノロンアセトニド、キシロカイン、ドキシサイクリン、ケトロラク、エトリコキシブ、オキシコドン、ブピバカイン、ヒドロコドン、及びコデインが含まれる。
1種又は複数の追加の腱障害薬と共投与される場合、IL−17アンタゴニストは、他の薬剤と同時に、又は連続的に投与することができる。連続的に投与される場合、担当する医師は、他の薬剤と組み合わせてIL−17アンタゴニストを投与する適切な順序及び共送達のための適切な投薬量を決定する。IL−17アンタゴニスト、例えばIL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、好都合には、非経口的に、例えば静脈内に(例えば、肘前他の末梢静脈に)、筋肉内に又は皮下に投与される。
本開示の医薬組成物を使用する療法の期間は、治療される疾患及び状態の重症度並びにそれぞれ個々の患者の個別の反応に応じて変動する。医療提供者は、本開示の医薬組成物を使用する、療法の適切な期間及びこの療法の投与のタイミングを決定する。本明細書で使用する場合、表現「総治療期間」は、該当する場合導入期間(例えば、最初の毎週投薬)を含めた、患者がIL−17アンタゴニストで治療される時間の全体量を指す。したがって、例えば、患者が、2か月の総治療期間の間、第0、1、2、3、及び4週の間に毎週、次いで4週ごとにIL−17アンタゴニストを投与されるならば、その患者は、第0、1、2、3、4、及び8週の間に投与を受ける。同様に、例えば、患者が、3か月の総治療期間の間、第0、1、2、3、及び4週の間に毎週、次いで4週ごとにIL−17アンタゴニストを投与されるならば、その患者は、第0、1、2、3、4、8、及び12週の間に投与を受ける。
好ましい総治療期間は、1〜3か月、3〜6か月、6〜9か月、又は9〜12か月である。いくつかの実施形態では、患者は、3か月以下、例えば、1、2、又は3か月の間、治療される。他の実施形態では、患者は、最大12か月、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12か月の間、治療される。最も好ましい総治療期間は、1、2、又は3か月である。
腱障害患者を治療するのに用いることができる、セクキヌマブを使用する好ましいSC治療レジメン(導入レジメンと維持レジメンの両方が含まれる)は、該当する場合はその内容全体が参照によって本明細書に組み込まれるPCT出願PCT/US2011/064307号明細書及びPCT/IB2014/063902号明細書に提供されている。
いくつかの実施形態では、患者は、約150mg〜約300mg(例えば、約150mg、約300mg)の単回S.C.用量のIL−17アンタゴニスト、例えばIL−17結合分子(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えばIL−17受容体抗体又はその抗原結合断片)を投与することができる。
いくつかの実施形態では、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、第0、1、2、3、及び4週中、1週おきに約150mg〜約300mg(例えば、約150mg、約300mg)を患者にSC投与される。
好ましい実施形態では、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、第0、1、2、3及び4週中、1週おきに約150mg〜〜約300mg(例えば、約150mg、約300mg)の固定用量で、患者にSC投与し、その後、4週毎に(毎月)、約150mg〜〜約300mg(例えば、約150mg、約300mg)で、患者にSC投与することができる。この方式では、患者は、第0、1、2、3、4、8週、その他の間、約150mg〜〜約300mg(例えば、約150mg、約300mg)のIL−17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)をSC投与される。
その他の実施形態では、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、4週毎に(毎月)、約150mg〜〜約300mg(例えば、約150mg、約300mg)の固定用量で患者にSC投与することができる。この方式では、患者は、第0、1、4、8、12週、その他の間、約150mg〜〜約300mg(例えば、約150mg、約300mg)のIL−17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)をSC投与される。理想的には、患者、例えば、回旋筋腱板腱障害又はアキレス腱障害(好ましくは回旋筋腱板腱障害)を有する患者は、合計4回の投与について、毎月(4週ごとに)(第0、4、8、及び12週)、IL−17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)を投与される。
その他の実施形態では、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、月二回(二週間毎、1週おきに)、1月おきに、年4回(三月毎に)、年二回(六月ごとに)又は年一回患者に投与される。
好ましいS.C.用量(例えば固定用量)は、約150mg〜約300mg、好ましくは約150mg又は約300mgである。しかし、ある種の患者、例えば、IL−17アンタゴニスト、例えばIL−17結合分子(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17受容体抗体又はその抗原結合断片)での治療に対して不十分な反応を呈する患者にとっては、(例えば、導入及び/又は維持期の間)用量漸増が必要とされる可能性があることが理解されよう。したがって、IL−17アンタゴニスト、例えばセクキヌマブのSC投薬量は、約150mg〜約300mg、例えば、約175mg、約200mg、約250mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約600mgなどよりも大きい可能性がある。ある種の患者、例えば、IL−17アンタゴニスト(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)での治療に対する有害事象又は有害反応を呈する患者にとっては、(例えば、導入及び/又は維持期の間)用量低下が必要とされる可能性もあることも理解されよう。したがって、IL−17アンタゴニスト(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)の投薬量は、約150mgから約300mg(SC)、例えば、約75mg、約100mg、約125mg、約175mg、約200mg、約250mg、約275mgなどよりも小さい可能性がある。いくつかの実施形態では、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、150mg(SC送達)の初回用量で患者に投与することができ、この用量はその後、医師によって決定される通りに、必要に応じて、約300mgに漸増させることができる。いくつかの実施形態では、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、300mg(SC送達)の初回用量で患者に投与することができ、この用量はその後、医師によって決定される通りに、必要に応じて、約450mgに漸増させることができる。
投薬のタイミングは、一般に、薬物の第1の投与の日(「ベースライン」としても公知である)から測定される。しかし、医療提供者はしばしば、表2に示す通りの、投薬スケジュールを明確にするための異なる命名規則を使用する。
特に、第0週は、医療提供者によっては第1週とみなされる可能性があり、一方で、第0日は、医療提供者によっては第1日とみなされる可能性がある。したがって、異なる医師が、同じ投薬スケジュールを指すのに、例えば、3週の間/約第21日に、3週の間/約第22日に、4週の間/約第21日に、4週の間/約第22日に、ある用量が与えられると称することとなる可能性がある。一貫性を保つために、投薬の最初の週は、本明細書では、第0週とみなすこととするのに対して、投薬の最初の日は、第1日とみなすこととする。しかし、この命名規則は、単に一貫性を保つために使用され、制限的なものと解釈されるべきではない、すなわち、医師が、ある特定の週を「第1週」と呼ぶか「第2週」と呼ぶかにかかわらず、毎週の投薬は、IL−17抗体の毎週の用量の規定であることが、当業者によって理解されよう。ある投薬レジメンでは、抗体は、第0、4、8、12週、その他の間、毎月、投与される。ある投薬レジメンでは、抗体は、第0、1、2、3、4、8、12週、その他の間に投与される。このレジメンを、5週間毎週、次いでその後、第8週中に開始し毎月(又は4週毎に)と称する可能性がある提供者がいるのに対して、このレジメンを、4週間毎週、次いでその後、第4週中に開始し毎月(又は4週毎に)と称する可能性がある提供者もいる。第0、1、2、及び3週での注射、それに続く第4週に開始する月1回(4週毎に)の投薬を患者に施すことは以下と同じであることが、当業者によって理解されるであろう:1)第0、1、2、3、及び4週での注射、それに続く第8週に開始する月1回の投薬を患者に施すこと;2)第0、1、2、3、及び4週での注射、それに続く4週毎の投薬を患者に施すこと;及び3)第0、1、2、3、及び4週での注射、それに続く毎月の投与を患者に施すこと。
本明細書で開示したのは、腱障害を有する患者を治療する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量のIL−17抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む方法であり、ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、2本の成熟したIL−17タンパク質鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)に結合し、ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIL−17に対する約100〜200pMのKを有し、且つ、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、約4週というインビボでの半減期を有する。
さらに、本明細書で開示したのは、腱障害を有する患者を治療するのに使用するための、治療有効量のIL−17アンタゴニスト(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)であり、ここでは、IL−17アンタゴニスト(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)は、2本の成熟したIL−17タンパク質鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)に結合し、ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIL−17に対する約100〜200pMのKを有し、且つ、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、約4週というインビボでの半減期を有する。
さらに、本明細書で開示したのは、腱障害を有する患者を治療するための医薬品の製造に使用するためのIL−17アンタゴニスト(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)であり、ここでは、IL−17アンタゴニスト(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)は、2本の成熟したIL−17タンパク質鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)に結合し、ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIL−17に対する約100〜200pMのKを有し、且つ、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、約4週というインビボでの半減期を有する。
さらに、本明細書で開示したのは、腱障害を有する患者を治療するための医薬品の製造に使用するためのIL−17アンタゴニスト(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)であり、ここでは、医薬品は、容器を成すように製剤化され、各容器は、単位用量あたり少なくとも約150mg〜約300mg(例えば、約150mg、約300mg)のIL−17アンタゴニスト(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)の皮下送達を可能にするのに十分な量のIL−17アンタゴニスト(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)を有し、さらに、IL−17アンタゴニスト(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)は、2本の成熟したIL−17タンパク質鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)に結合し、ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIL−17に対する約100〜200pMのKを有し、且つ、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、約4週というインビボでの半減期を有する。
本明細書で使用する場合、表現「[指定された用量]の送達を可能にするのに十分な量のIL−17アンタゴニストを有する容器」は、所与の容器(例えば、バイアル、ペン(pen)、シリンジ)が、所望される用量を提供するために使用することができる、(例えば、医薬組成物の一部としての)ある体積のIL−17アンタゴニストをその中に配置していることを意味するために使用される。一例として、所望される用量が300mgである場合、臨床医は、150mg/mlの濃度を有するIL−17抗体製剤を含有する容器からの2ml、300mg/mlの濃度を有するIL−17抗体製剤を含有する容器からの1ml、600mg/mlの濃度を有するIL−17抗体製剤を含有する容器からの0.5mlなどを使用することができる。こうした各場合において、これらの容器は、所望される300mg用量の送達を可能にするのに十分な量のIL−17アンタゴニストを有する。一実施形態では、容器は、150mg/mlセクキヌマブを含む1mlの製剤を、その中に配分している。別の実施形態では、容器は、150mg/mlセクキヌマブを含む2mlの製剤を、その中に配分している。好ましい製剤は、約25mg/mLから約150mg/mLセクキヌマブ、約10mMから約30mMヒスチジン(pH5.8)、約200mMから約225mMトレハロース、約0.02%ポリソルベート80、及び約2.5mMから約20mMメチオニンを含む液体医薬組成物である。
さらに、本明細書で開示したのは、腱障害を有する患者を治療するための医薬品の製造に使用するためのIL−17アンタゴニスト(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)であり、ここでは、医薬品は、約150mg〜約300mg(例えば、約150mg、約300mg)のIL−17アンタゴニスト(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)の患者への皮下送達を可能にする投薬量で製剤化され、さらに、IL−17アンタゴニスト(例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)は、2本の成熟したIL−17タンパク質鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)に結合し、ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIL−17に対する約100〜200pMのKを有し、且つ、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、約4週というインビボでの半減期を有する。
本明細書で使用する場合、表現「[指定された用量]の[投与経路]送達を可能にするための投薬量で製剤化される」は、所与の医薬組成物が、指定された投与経路(例えば、SC又はIV)を介して、所望される用量のIL−17アンタゴニスト、例えばIL−17抗体、例えばセクキヌマブを提供するために使用することができることを意味するために使用される。一例としては、所望される皮下用量が300mgであるならば、臨床医は、150mg/mlの濃度を有する2mlのIL−17抗体製剤、300mg/mlの濃度を有する1mlのIL−17抗体製剤、600mg/mlの濃度を有する0.5mlのIL−17抗体製剤などを使用することができる。こうした各場合において、これらのIL−17抗体製剤は、IL−17抗体の皮下送達を可能にするのに十分に高い濃度である。皮下送達は、典型的には、≦2mlの体積の送達を必要とする。一実施形態では、患者は、150mg/mlセクキヌマブを含有する製剤の1回の2ml SC注射を施されることとなる。別の実施形態では、患者は、150mg/mlセクキヌマブを含有する製剤の2回の1ml SC注射を施されることとなる。
本明細書で開示したのは、約150mg〜約300mgのIL−17抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に皮下投与することを含む、腱障害を有する患者における腱組織の再生を誘発する又は腱修復を促進する方法、使用、医薬組成物、及びキットである。ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、2本の成熟したIL−17タンパク質鎖を有するヒトIL−17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)に結合し、ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIL−17に対する約100〜200pMのKを有し、且つ、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、約4週というインビボでの半減期を有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、1回のみ投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、毎週投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、及び4週の間、投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、4週ごとに投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、少なくとも2か月の総治療期間の間、投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、少なくとも4か月の総治療期間の間、投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、及び4週の間に毎週、次いで4週ごとに投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、4、8、及び12週の間に投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、及び4週の間に毎週、次いで、その後、少なくとも3か月の総治療期間の間、4週ごとに投与される。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、理学療法、及びその組み合わせからなる群から選択される以前の腱障害治療に対して反応しなかった、又は不十分な反応を示した、又は不耐性であった。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、オーバーユース腱障害を有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、亜急性の腱障害を有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療は、慢性の腱障害への進行を軽減する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、慢性の腱障害を有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、活動期の腱障害を有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、部分断裂した腱を有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療は、完全断裂した腱への進行を軽減する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、足底筋膜炎、アキレス腱障害、膝蓋腱障害、回旋筋腱板腱障害、ジャンパー膝、外側上顆炎、内側上顆炎、棘上筋症候群、又はそのいずれかの組み合わせを有する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、疼痛の少なくとも20%低下、炎症の少なくとも20%低下、少なくとも20%の腱再生及び/又は修復の改善、及び/又は罹患した腱の少なくとも20%の運動の改善を経験する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、VASスコアによって決定される、疼痛の少なくとも20%低下を経験する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は回旋筋腱板腱障害を有し、且つ、この患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、WORCスコア、QuickDASHスコア、又はASESスコアによって決定される、肩関連の生活の質(QoL)の少なくとも20%向上を経験する。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、PGAスコアによって決定される、少なくとも20%の全般的な向上を経験する。
いくつかの実施形態では、開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットは、ステロイド、NSAID、又はアセトアミノフェンを患者に投与することをさらに含む。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、患者は、理学療法の必要性が下がっている、又は、患者は、腱障害の症状が軽減されており、それによって理学療法の有効性が向上する。
開示した使用、方法、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、以下を含む:i)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V);ii)配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V);iii)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメインと、配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン;iv)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;v)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;vi)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;vii)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;viii)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;ix)配列番号14として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖;x)配列番号15として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖;又はxi)配列番号14として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖と、配列番号15として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖。開示した使用、方法、及びキットのいくつかの実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、セクキヌマブである。
本明細書で開示したのはまた、第0、1、2、3、及び4週での、次いで、その後、少なくとも3か月の総治療期間の間の4週ごとの皮下注射によって、約300mgのセクキヌマブを患者に投与することを含む、活動期のオーバーユース腱障害を有する患者を治療するための方法、使用、医薬組成物、及びキットである。
本明細書で開示したのはまた、第0、1、2、3、及び4週での、次いで、その後、少なくとも3か月の総治療期間の間の4週ごとの皮下注射によって、約150mgのセクキヌマブを患者に投与することを含む、活動期のオーバーユース腱障害を有する患者を治療するための方法、使用、医薬組成物、及びキットである。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、セクキヌマブでの治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、理学療法、及びその組み合わせからなる群から選択される以前の腱障害治療に対して抵抗性であった。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、理学療法処置を受けている、且つ患者は、腱障害手術に対して不適格である、且つ患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、及びその組み合わせからなる群から選択される以前の腱障害治療に対して反応しなかった、又は不十分な反応を示した、又は不耐性であった。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、理学療法処置を受けている、且つ患者は、腱障害手術に対して適格である、且つ患者は、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、及びその組み合わせからなる群から選択される以前の腱障害治療に対して反応しなかった、又は不十分な反応を示した、又は不耐性であった。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、セクキヌマブでの治療の前に、以前の腱障害手術に対する最適以下の反応を示した。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、回旋筋腱板腱障害を有し、且つ腱障害の標準治療を使用して治療されており、且つ手術に対して不適格である。
開示した方法、使用、医薬組成物、及びキットのいくつかの実施形態では、回旋筋腱板腱障害を有する患者の集団が、セクキヌマブで治療される場合、患者の少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%が、WORCスコアにおいてMCIDに到達する。
キット
本開示は、腱障害患者を治療するためのキットも包含する。こうしたキットは、治療有効量のIL−17アンタゴニスト、例えばIL−17結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)、又はIL−17受容体結合分子(例えば、IL−17抗体又はその抗原結合断片)(例えば、液体若しくは凍結乾燥形態で)、又は治療有効量のIL−17アンタゴニストを含む医薬組成物(上に記載)を含む。さらに、こうしたキットは、IL−17アンタゴニストを投与するための手段(例えば、自己注射器、シリンジ及びバイアル、プレフィルドシリンジ、プレフィルドペン)及び使用のための説明書を含むことができる。これらのキットは、腱障害を治療するための、例えば封入されたIL−17アンタゴニスト、例えばIL−17結合分子、例えばIL−17抗体、例えばセクキヌマブと組み合わせた送達のための追加の治療薬(上に記載)を含有することができる。こうしたキットは、腱障害患者を治療するためのIL−17アンタゴニスト(例えば、IL−17抗体、例えばセクキヌマブ)の投与のための説明書も含むことができる。こうした説明書は、封入されたIL−17アンタゴニスト、例えばIL−17結合分子、例えばIL−17抗体、例えばセクキヌマブと共に使用するための、用量(例えば約150mg〜〜約300mg、例えば、約150mg、約300mg)、投与経路(例えば、IV、SC、IM)、レジメン(例えば、毎週(第0、1、2、3、及び4週中)、毎週(第0、1、2、3、及び4週中の後に4週毎に)及び総治療期間(例えば、1、2、3、4、6、8、12ヵ月間、(好ましくは3〜12ヶ月間、例えば3ヶ月間))を提供することができる。
表現「投与するための手段」は、限定はされないが、プレフィルドシリンジ、バイアル及びシリンジ、ペン型注射器、自己注射器、点滴静注バッグ、ポンプなどを含めた、患者に薬物を全身的に投与するためのあらゆる利用可能な道具を示すために使用される。こうしたものを用いて、患者が薬物を自己投与する(すなわち薬物を医師の補助を受けずに投与する)ことができ、又は医師が薬物を投与することができる。いくつかの実施形態では、300mgの総用量が、単一のPFS又は自己注射器に配分された、150mg/mlのIL−17抗体、例えばセクキヌマブを有する2mlの総体積で送達されることとなる。いくつかの実施形態では、300mgの総用量が、それぞれが150mg/mlのIL−17抗体、例えばセクキヌマブを有する1mlの体積を含有する、2つのPFS又は自己注射器に配分された、2mlの総体積で送達されることとなる。
本明細書で開示したのは、IL−17アンタゴニスト(例えばIL−17結合分子、例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)を含む腱障害を有する患者を治療するのに使用するためのキットである。いくつかの実施形態では、キットは患者にIL−17アンタゴニストを投与するための手段をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、IL−17アンタゴニストの投与のための説明書をさらに含み、ここでは、この説明書は、IL−17アンタゴニスト(例えばIL−17結合分子、例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)が、約150mg〜約300mg(例えば約150mg又は約300mg)の用量で、患者に皮下(SC)投与されるべきであることを示す。いくつかの実施形態では、説明書は、IL−17アンタゴニスト(例えばIL−17結合分子、例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)が、第0、1、2、3、及び4週の間に毎週、患者に投与されるべきであることを示す。いくつかの実施形態では、説明書は、IL−17アンタゴニスト(例えばIL−17結合分子、例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)が、少なくとも2か月、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12か月(好ましくは2又は3か月)の総治療期間の間、4週ごとに(毎月)、患者に投与されるべきであることを示す。いくつかの実施形態では、説明書は、IL−17アンタゴニスト(例えばIL−17結合分子、例えばIL−17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)が、第0、1、2、3、及び4週の間に毎週、その後、少なくとも3か月、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12か月(好ましくは2又は3か月)の総治療期間の間、4週ごとに(毎月)、患者に投与されるべきであることを示す。いくつかの実施形態では、説明書は、医師によって決定されるべき、必要に応じた、用量漸増(例えば、約150mgの用量からより高用量の約300mg、又は約300mgの用量から約450mgの用量)を提供することとなる。
全般
開示した方法、治療、医薬品、レジメン、使用、及びキットの好ましい実施形態では、IL−17アンタゴニストは、IL−17結合分子である。好ましい実施形態では、IL−17結合分子は、IL−17抗体又はその抗原結合断片である。開示した方法、治療、レジメン、使用、及びキットの好ましい実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、κ軽鎖をもつIgGアイソタイプのヒト抗体である。開示した方法の好ましい実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、セクキヌマブである。
本開示の1つ又は複数の実施形態の詳細は、上記の付随する説明で記載されている。本開示の実施又は試験において、本明細書に記載のものと同様又は等価の任意の方法及び材料を使用することができるが、好ましい方法及び材料をここで説明する。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。本明細書及び添付の特許請求の範囲において、文脈が明らかにそうではないと示さない限り、単数形は複数の指示対象を含む。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、この開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に引用されているすべての特許及び刊行物は、特に明記されていない限り、適宜参照により組み込まれる。以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態をより完全に例示するために提示される。これらの例は、添付の特許請求の範囲によって定義される開示された主題の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
実施例1−腱障害におけるIgG抗IL−17モノクローナル抗体の組織曝露及び効果
インビボのラット疾患モデルにおいて、回旋筋腱板腱の腱障害を、冠状面に沿った棘上筋腱の一側性の手術による部分的な腱切除によって誘発した。IgG抗IL−17モノクローナル抗体(CJM112)(15mg/kg)又は賦形剤を、腱障害の手術による導入の1週又は1日前に、皮下又は静脈内にそれぞれ投与し、それに続いて、3週間、週1回の皮下又は静脈内への投薬を行った。抗体の回旋筋腱板腱組織への曝露、並びに腱障害の炎症への及び歩行の失調へのその薬理学的効果を、腱障害の手術による導入の4週後と、抗体の最後の投薬の1週後に評価した。回旋筋腱板腱組織、骨格筋、及び皮膚への抗体の最終のトラフ曝露レベルを、組織ホモジナイゼーション及びタンパク質抽出後に、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて評価した。腱障害の炎症に対する抗体の効果を、生存中に磁気共鳴画像法(MRI)(10.1136/bjsm.2006.034421)によって評価し、歩行の失調に対する効果を、キャットウォークを横断する非強制的に移動する動物における足跡照射(illuminated footprint)の定量化(10.1007/s11916−014−0456−x)によって評価した。
繰り返しの投薬後、回旋筋腱板腱におけるIL−17抗体のトラフ曝露レベルは、皮下投与経路と静脈内投与経路(500ng/mg(総タンパク質)、n=5)後に同様であった。抗体の腱組織へのトラフ曝露レベルは、骨格筋に対して同様であり、皮膚に対して低かった(2’500ng/mg(総タンパク質)、n=5)。
腱障害の導入は、MRI T2炎症シグナルを、正常な腱における35msから腱障害腱における55msまで、有意に増大させた(p<0.01、スチューデントのt検定、n=4)。抗体は、MRI T2腱障害炎症シグナルの増大を逆戻りさせた(p<0.01、スチューデントのt検定、n=4)。腱障害の導入は、歩行の失調を誘発し、足跡の接地面の前足−後足比を、腱障害の導入前の1から腱障害の導入後の1.5まで、有意に増大させた(p<0.05、ANOVAチューキーの事後検定、n=8)。抗体は、歩行の失調を逆戻りさせた(p<0.05、ANOVAチューキーの事後検定、n=8)。
このインビボ試験の結果は、アンタゴニストIL−17抗体が、腱障害を治療する用途があることとなることを強く示唆している。
実施例2−IL17によって誘発された腱束炎症のエクスビボ及びインビトロの例
除負荷(unloading)誘発性腱変性のモデルである、エクスビボのラット尾腱束モデルにおいて、RNASeq分析により、固有の腱束炎症の特徴が明らかになった。除負荷された(unloaded)束は、IL6、CXCL1、CCL2、CCL20、CSF1−3、MMP2、3、及び9を含めたいくつかのサイトカイン、ケモカイン、及びMMPの>10倍の上方調節を示した。IL−17RA及びIL−17RCは、腱束において高度に発現されることが判明し、これは、この組織が、IL−17に対して感受性があることを示していた。内部データベースからのシグナル伝達経路のコンピュータによる分析により、IL−17に特異的な5つの経路ヒット又はTH17細胞特異的シグネチャーが明らかになった。除負荷された腱束への組換え型IL−17A(1.67nM)の添加は、サイトカイン、ケモカイン、及びMMP(IL−6、CXCL−1、PTGS−2、MMP−3)の発現のさらなる増大を誘発した。同時に、また、腱変性と合致して、腱マーカー遺伝子スクレラキシス及びテノモジュリンは、劇的に下方調節された。さらに、8日の培養後、除負荷された腱束の弾性係数は、新鮮な組織対照と比較して低下し(ANOVA;p=0.0001)、IL−17A処置は、さらなる低下の傾向を誘発し(ダネットの事後検定:p=0.0774)、これは、炎症性サイトカインが、生体力学能力の喪失に寄与することを示唆していた(図1)。
ラット腱細胞におけるインビトロアッセイは、IL−17Aが、IL−6及びCXCL−1 mRNA発現の用量依存性の増大を誘発することを実証する(図2)。さらに、33nMのげっ歯類抗IL−17A抗体BZN035は、ラット腱細胞におけるIL−17Aによって誘発されるIL−6及びCXCL−1発現の誘発を完全に遮断することが可能である(図3)。
実施例3−経口NSAID/アセトアミノフェン、理学療法、又は副腎皮質ステロイド注射に対して抵抗性の活動期のオーバーユース腱障害を有する患者における、AIN457の有効性、安全性、及び忍容性を調査する、無作為化された、二重盲検の、プラセボ対照の、並行群の、24週の第II相研究
「腱付着部炎」は、腱、靱帯、又は関節包付着部での炎症を説明するために使用される用語である。これは、AS及びPsAを含めた脊椎関節炎(SpA)に関連する疾患に適用される。腱付着部炎は、炎症性である可能性もあるし、機械的に誘発される可能性もあり;その2つが、共通の特徴を有する可能性がある(McGonagle D and Benjamin M(2009)Reports on Rheumatic Diseases Series 6.4:1−6)。
IL−17の中和は、セクキヌマブでの研究において見られたように、PsA及びASにおける炎症性の腱付着部炎における有効性を示している。研究CAIN457F2312では、ベースラインで疾患活動性を有していた患者のサブセットにおいて、腱付着部炎を評価した。この患者集団では、セクキヌマブは、プラセボ(CAIN457F2312)と比較して、腱付着部炎が消散した患者の割合を有意に増大させた。全体的に見ると、第24週で腱付着部炎が消散しなかった患者の割合は、セクキヌマブ75mg、150mg、300mg、セクキヌマブ(統合)、及びプラセボ群について、それぞれ67.6%、57.8%、51.8%、59.6%、及び78.5%であった。第24週で、プラセボに対するこれらの差はまた、プラセボに対する150mg及び300mg用量群について、より大きかった(それぞれp=0.0108及びp=0.0025)のに対して、75mgは、プラセボと同様(p=0.1678)であった。
PsA及びAS患者における腱付着部炎に対するIL−17拮抗作用の影響と組み合わせて、実施例1及び2に示したインビトロ、エクスビボ、及びインビボの腱障害治療エビデンスを考慮すると、本発明者らは、IL−17の無効化が、腱の炎症を軽減する、及び、おそらくより重要なことには、腱マトリックスの非修復及び変性を軽減することとなると考える。したがって、セクキヌマブは、腱細胞の再生を誘発する及び腱修復を促進するための、活動期のオーバーユース腱障害のための疾患修飾療法として試験されることとなる。
この第II相研究の目的は、オーバーユース、非全身性の炎症性の回旋筋腱板(棘下筋、小円筋、棘上筋、及び肩甲下筋)腱障害の診断を有する患者を治療することにおけるセクキヌマブの有効性を決定することと、第1日(第0週)に、及び第4週(第4週を含む)まで毎週(第1、2、3、及び4週)、その後第8及び12週に追加の注射を与えられる、300mg(s.c.)の用量のセクキヌマブの安全性及び忍容性プロフィールを確認することである。セクキヌマブの有効性は、徴候及び症状、身体機能、生活の質、及び可動域(ROM)の向上を含めた確証された患者報告アウトカム(PRO)に基づいて、第14週の最後に評価されることとなる。腱再生及び修復を反映する腱構造の変化は、MRI及び剪断波エラストグラフィによって調査されることとなる。患者は、長期の安全性を調査するために、第12週から第24週まで、治療を受けずに追跡調査されることとなる。この研究の詳細を、以下に提供する:















全般
開示した方法、治療、医薬品、レジメン、使用、及びキットの好ましい実施形態では、IL−17アンタゴニストは、IL−17結合分子である。好ましい実施形態では、IL−17結合分子は、IL−17抗体又はその抗原結合断片である。開示した方法、治療、レジメン、使用、及びキットの好ましい実施形態では、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、κ軽鎖をもつIgGアイソタイプのヒト抗体である。開示した方法の好ましい実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、セクキヌマブである。

本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.腱障害を有する患者における腱組織の再生を誘発する又は腱修復を促進するための方法であって、約150mg〜約300mgのIL−17抗体又はその抗原結合断片(ここでは、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片は、2本の成熟したヒトIL−17タンパク質鎖を有するヒトIL−17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)に結合し、ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIL−17に対する約100〜200pMのK を有し、且つ、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、約4週というインビボでの半減期を有する)を、それを必要とする患者に皮下投与することを含む方法。
2.前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を1回のみ前記患者に投与する、上記1に記載の方法。
3.前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、毎週投与される、上記1に記載の方法。
4.前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、及び4週の間投与される、上記3に記載の方法。
5.前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を4週毎に前記患者に投与する、上記1に記載の方法。
6.前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、少なくとも2か月の総治療期間の間投与される、上記5に記載の方法。
7.前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、4か月の総治療期間の間、4週ごとに投与される、上記5に記載の方法。
8.前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、及び4週の間に毎週、次いで、4週ごとに投与される、上記3に記載の方法。
9.前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、4、8、及び12週の間に投与される、上記8に記載の方法。
10.前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、及び4週の間に毎週、次いで、少なくとも3か月の総治療期間の間、4週ごとに投与される、上記8に記載の方法。
11.前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、理学療法、及びその組み合わせからなる群から選択される以前の腱障害治療に対して反応しなかった、又は不十分な反応を示した、又は不耐性であった、上記1から10のいずれかに記載の方法。
12.前記患者が、オーバーユース腱障害を有する、上記1から11のいずれかに記載の方法。
13.前記患者が、亜急性の腱障害を有する、上記1から12のいずれかに記載の方法。
14.前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療が、慢性の腱障害への進行を軽減する、上記13に記載の方法。
15.前記患者が、慢性の腱障害を有する、上記1から14のいずれかに記載の方法。
16.前記患者が、活動期の腱障害を有する、上記1から15のいずれかに記載の方法。
17.前記患者が、部分断裂した腱を有する、上記1から16のいずれかに記載の方法。
18.前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療が、完全断裂した腱への進行を軽減する、上記17に記載の方法。
19.前記患者が、足底筋膜炎、アキレス腱障害、膝蓋腱障害、回旋筋腱板腱障害、ジャンパー膝、外側上顆炎、内側上顆炎、棘上筋症候群、又はそのいずれかの組み合わせを有する、上記1から18のいずれかに記載の方法。
20.前記患者が、回旋筋腱板腱障害を有し、且つ腱障害の標準治療を使用して治療されており、且つ手術に対して不適格である、上記1から19のいずれかに記載の方法。
21.前記患者が、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、疼痛の少なくとも20%低下、炎症の少なくとも20%低下、少なくとも20%の腱再生及び/又は修復の改善、及び/又は罹患した腱の少なくとも20%の運動の改善を経験する、上記1から20のいずれかに記載の方法。
22.前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、VASスコアによって決定される、疼痛の少なくとも20%低下を経験する、上記1から21のいずれかに記載の方法。
23.前記患者が、回旋筋腱板腱障害を有し、且つ前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、WORCスコア、QuickDASHスコア、又はASESスコアによって決定される、肩関連の生活の質(QoL)の少なくとも20%向上を経験する、上記1から22のいずれかに記載の方法。
24.前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、PGAスコアによって決定される、少なくとも20%の全般的な向上を経験する、上記1から23のいずれかに記載の方法。
25.ステロイド、NSAID、又はアセトアミノフェンを前記患者に投与することをさらに含む、上記1から24のいずれかに記載の方法。
26.前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、前記患者が、理学療法の必要性が下がっている、又は、前記患者が、腱障害の症状が軽減されており、それによって理学療法の有効性が向上する、上記1から25のいずれかに記載の方法。
27.前記IL−17抗体又はその抗原結合断片が、
i)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V );
ii)配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V );
iii)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンV ドメインと、配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンV ドメイン;
iv)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンV ドメイン;
v)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンV ドメイン;
vi)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンV ドメイン;
vii)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンV ドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンV ドメイン;
viii)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンV ドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンV ドメイン;
ix)配列番号14として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖;
x)配列番号15として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖;又は
xi)配列番号14として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖と、配列番号15として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖
を含む、上記1から26のいずれかに記載の方法。
28.前記IL−17抗体又はその抗原結合断片が、セクキヌマブである、上記27に記載の方法。
29.活動期のオーバーユース腱障害を有する患者を治療する方法であって、第0、1、2、3、及び4週での、次いで、その後、少なくとも3か月の総治療期間の間の4週ごとの皮下注射によって、約300mgのセクキヌマブを前記患者に投与することを含む方法。
30.活動期のオーバーユース腱障害を有する患者を治療する方法であって、第0、1、2、3、及び4週での、次いで、その後、少なくとも3か月の総治療期間の間の4週ごとの皮下注射によって、約150mgのセクキヌマブを前記患者に投与することを含む方法。
31.前記患者が、セクキヌマブでの治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、理学療法、及びその組み合わせからなる群から選択される腱障害治療に対して抵抗性であった、上記29又は30に記載の方法。
32.前記患者が、セクキヌマブでの治療の前に、腱障害手術に対する最適以下の反応を示した、上記29又は30に記載の方法。
33.前記患者が、回旋筋腱板腱障害を有する、上記29から32のいずれかに記載の方法。
34.前記患者が、回旋筋腱板腱障害を有し、且つ腱障害の標準治療を使用して治療されており、且つ手術に対して不適格である、上記29から33のいずれかに記載の方法。
35.回旋筋腱板腱障害を有する患者の集団が、セクキヌマブで治療される場合に、患者の少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%が、WORCスコアにおいてMCIDに到達する、上記33又は34に記載の方法。

Claims (35)

  1. 腱障害を有する患者における腱組織の再生を誘発する又は腱修復を促進するための方法であって、約150mg〜約300mgのIL−17抗体又はその抗原結合断片(ここでは、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片は、2本の成熟したヒトIL−17タンパク質鎖を有するヒトIL−17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)に結合し、ここでは、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIL−17に対する約100〜200pMのKを有し、且つ、IL−17抗体又はその抗原結合断片は、約4週というインビボでの半減期を有する)を、それを必要とする患者に皮下投与することを含む方法。
  2. 前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を1回のみ前記患者に投与する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、毎週投与される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、及び4週の間投与される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を4週毎に前記患者に投与する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、少なくとも2か月の総治療期間の間投与される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、4か月の総治療期間の間、4週ごとに投与される、請求項5に記載の方法。
  8. 前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、及び4週の間に毎週、次いで、4週ごとに投与される、請求項3に記載の方法。
  9. 前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、4、8、及び12週の間に投与される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片を、第0、1、2、3、及び4週の間に毎週、次いで、少なくとも3か月の総治療期間の間、4週ごとに投与される、請求項8に記載の方法。
  11. 前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、理学療法、及びその組み合わせからなる群から選択される以前の腱障害治療に対して反応しなかった、又は不十分な反応を示した、又は不耐性であった、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記患者が、オーバーユース腱障害を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記患者が、亜急性の腱障害を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療が、慢性の腱障害への進行を軽減する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記患者が、慢性の腱障害を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記患者が、活動期の腱障害を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記患者が、部分断裂した腱を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療が、完全断裂した腱への進行を軽減する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記患者が、足底筋膜炎、アキレス腱障害、膝蓋腱障害、回旋筋腱板腱障害、ジャンパー膝、外側上顆炎、内側上顆炎、棘上筋症候群、又はそのいずれかの組み合わせを有する、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記患者が、回旋筋腱板腱障害を有し、且つ腱障害の標準治療を使用して治療されており、且つ手術に対して不適格である、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記患者が、IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、疼痛の少なくとも20%低下、炎症の少なくとも20%低下、少なくとも20%の腱再生及び/又は修復の改善、及び/又は罹患した腱の少なくとも20%の運動の改善を経験する、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、VASスコアによって決定される、疼痛の少なくとも20%低下を経験する、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記患者が、回旋筋腱板腱障害を有し、且つ前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、WORCスコア、QuickDASHスコア、又はASESスコアによって決定される、肩関連の生活の質(QoL)の少なくとも20%向上を経験する、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記患者が、前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、PGAスコアによって決定される、少なくとも20%の全般的な向上を経験する、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. ステロイド、NSAID、又はアセトアミノフェンを前記患者に投与することをさらに含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記IL−17抗体又はその抗原結合断片での治療後に、前記患者が、理学療法の必要性が下がっている、又は、前記患者が、腱障害の症状が軽減されており、それによって理学療法の有効性が向上する、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記IL−17抗体又はその抗原結合断片が、
    i)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V);
    ii)配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V);
    iii)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメインと、配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン;
    iv)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;
    v)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;
    vi)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;
    vii)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;
    viii)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン;
    ix)配列番号14として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖;
    x)配列番号15として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖;又は
    xi)配列番号14として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖と、配列番号15として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖
    を含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記IL−17抗体又はその抗原結合断片が、セクキヌマブである、請求項27に記載の方法。
  29. 活動期のオーバーユース腱障害を有する患者を治療する方法であって、第0、1、2、3、及び4週での、次いで、その後、少なくとも3か月の総治療期間の間の4週ごとの皮下注射によって、約300mgのセクキヌマブを前記患者に投与することを含む方法。
  30. 活動期のオーバーユース腱障害を有する患者を治療する方法であって、第0、1、2、3、及び4週での、次いで、その後、少なくとも3か月の総治療期間の間の4週ごとの皮下注射によって、約150mgのセクキヌマブを前記患者に投与することを含む方法。
  31. 前記患者が、セクキヌマブでの治療の前に、罹患した腱への局所ステロイド注射、NSAIDでの治療、アセトアミノフェンでの治療、理学療法、及びその組み合わせからなる群から選択される腱障害治療に対して抵抗性であった、請求項29又は30に記載の方法。
  32. 前記患者が、セクキヌマブでの治療の前に、腱障害手術に対する最適以下の反応を示した、請求項29又は30に記載の方法。
  33. 前記患者が、回旋筋腱板腱障害を有する、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記患者が、回旋筋腱板腱障害を有し、且つ腱障害の標準治療を使用して治療されており、且つ手術に対して不適格である、請求項29から33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 回旋筋腱板腱障害を有する患者の集団が、セクキヌマブで治療される場合に、患者の少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%が、WORCスコアにおいてMCIDに到達する、請求項33又は34に記載の方法。
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