JP2021501598A - 免疫療法に対する悪性疾患の応答性を決定するための方法 - Google Patents

免疫療法に対する悪性疾患の応答性を決定するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害する免疫療法に対する悪性疾患の応答性を予測するための方法に関する。本方法は、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4、CD86、CD28、CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部をDNAメチル化解析に供し、その結果を使用して、前記免疫療法に対する前記悪性疾患の応答性を予測することを特徴とする。【選択図】図1

Description

[関連出願の相互参照]
本特許出願は、ドイツ特許出願DE 10 2017 125 780.2の優先権を主張し、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
[シーケンス一覧]
本出願は、WIPO ST.25規格に従うtxtフォーマットの電子配列リストを含み、記載の一部として78個の配列を有する。
発明の分野
本発明は、とりわけ、予測的な分子診断方法及び予測バイオマーカー並びにそれらの使用に関する。これらを用いることによって、腫瘍医学において、免疫療法に対する悪性疾患の応答性が予測される。本発明は更に、その特定の方法を実施するためのキットに関する。
発明の背景
個別化医療は、特定の疾患を有する患者に合わせた治療法の開発に基づいている。いわゆる免疫チェックポイント阻害剤による免疫療法は、進行した腫瘍疾患においてさえも顕著な結果を示すことができるので、腫瘍学において有望なアプローチを表す。しかしながら、同じ臨床像を有する患者でさえ、同じ治療又は同じ活性物質に対して、異なる応答性を示すことがある点が、問題となっている。
予測的な分子診断(「コンパニオン診断」及び「相補的診断」)及び予測バイオマーカー(「コンパニオン・バイオマーカー」及び「相補的バイオマーカー」)は、患者が特定の治療又は薬物にどの程度良好に応答するかを予測するのに役立ち得る。例えば、DE 10 2016 005 947 B3から、悪性疾患の細胞又は悪性疾患の細胞と相互作用するTリンパ球のPD-1遺伝子のDNAメチル化解析によって、患者が活性物質(PD-1レセプター又はそのリガンドを阻害する)による免疫療法に応答するかどうかを予測できること、が知られている。
このような免疫療法のリスク-ベネフィット比を更に改善するためには、患者群を更に正確にサブタイピングすることによって、臨床的な意思決定をサポートすることが求められている。様々な新たな治療選択肢が登場してきている状況において、患者をより確実に選択できるようにする、追加的な又は相補的な予測方法及びバイオマーカーが必要とされる。
この背景に対して、本発明は、第1の態様において、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計された、免疫療法に対する悪性疾患の応答性を予測するための方法を提供する。前記方法は、前記悪性疾患の細胞及び/又は前記悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部を、DNAメチル化解析に供することを特徴とする。次いで、前記免疫療法に対する悪性疾患の応答性は、前記DNAメチル化解析の結果に基づいて、即ち、前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化の存在、非存在、及び/又は程度に基づいて、予測される。
本発明の第2の態様は、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計された免疫療法のための、悪性疾患に罹患している患者を選択するための方法に関する。前記方法は、以下の工程を含む、A) 患者の、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞を提供すること、B) A)からの悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部のDNAメチル化解析を行うこと、そうして、C) B)で検査された又は決定された免疫調節遺伝子のDNAメチル化の存在、非存在及び/又は程度に基づいて、前記免疫療法のための患者を選択すること。
本発明の第3の態様は、以下のための、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部のDNAメチル化解析の使用に関する:免疫療法に対する前記悪性疾患の応答性を予測するため、悪性疾患に対する免疫療法を個別に選択するため、及び/又は免疫療法のために悪性疾患を患っている患者を選択するため、ここで、前記免疫療法は、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計されている。
本発明の第4の態様は、以下のための、バイオマーカーとしての、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部のDNAメチル化の存在、非存在及び/又は程度の使用に関する:免疫療法に対する前記悪性疾患の応答性を予測するため、悪性疾患に対する免疫療法を個別に選択するため、及び/又は免疫療法のために悪性疾患を患っている患者を選択するため、ここで、前記免疫療法は、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計されている。
第5の態様によれば、本発明は、前述の方法のうちの1つを実施するための、又は前述の使用のうちの1つのためのキットに関する。前記キットは、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部のDNAメチル化解析のための試薬を含み、前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化の存在、非存在及び/又は程度を決定する。
図1は、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計された免疫療法中に、進行性疾患、安定した状態の疾患、部分的及び完全寛解であった患者の悪性メラノーマにおける、CTLA4のDNAメチル化の分布についてのボックスプロットを示す。前記DNAメチル化は、免疫療法を開始する前に測定した。前記患者をirRECIST基準に従って、遡及的に群分けした。 図2は、免疫療法(これはPD-1免疫チェックポイント・シグナル経路を阻害するように設計されている)中である、悪性メラノーマ患者50名の全生存を分析したKaplan-Meier分析である。前記患者を、CTLA4のDNAメチル化に基づく3段階の評価で、群分けした。一番下の三分位には、最も低くDNAメチル化が測定された17人の患者が含まれ、一番上の三分位には、最も高くDNAメチル化が測定された17人の患者が含まれ、そして中央の三分位には、残りの16人の患者が含まれる。 図3は、419例の膀胱の尿路上皮がんにおけるCTLA4CD28CD80CD86及びICOSの種々の遺伝子座の共メチル化マトリックスを示す。 図4は、797例の乳がん腫瘍におけるCTLA4CD28CD80CD86及びICOSの種々の遺伝子座の共メチル化マトリックスを示す。 図5は、530例の頭頸部の扁平上皮がんにおけるCTLA4CD28CD80CD86及びICOSの種々の遺伝子座の共メチル化マトリックスを示す。 図6は、325例の淡明細胞型腎細胞がんにおけるCTLA4CD28CD80CD86及びICOSの種々の遺伝子座の共メチル化マトリックスを示す。 図7は、475例の肺の腺がんにおけるCTLA4CD28CD80CD86及びICOSの種々の遺伝子座の共メチル化マトリックスを示す。 図8は、370例の肺の扁平上皮がんにおけるCTLA4CD28CD80CD86及びICOSの種々の遺伝子座の共メチル化マトリックスを示す。 図9は、265例の肉腫におけるCTLA4CD28CD80CD86及びICOSの種々の遺伝子座の共メチル化マトリックスを示す。 図10は、473例の皮膚メラノーマにおけるCTLA4CD28CD80CD86及びICOSの種々の遺伝子座の共メチル化マトリックスを示す。
定義と一般的な説明
本明細書では、本発明に関連する一般的な技術的背景を示すために、様々な文献が引用されている。繰り返しを避けるために、以下の記載に加えて、これらの文献の開示及び教示を全て参照する。
以下の定義及び一般的な説明は、本発明を理解し、解釈し、実施する際に、当業者を導き、補助することを意図している。特に断らない限り、すべての技術用語及び科学用語は、本発明の分野における平均的な当業者による、前記用語の通常的な理解に対応する意味を有するものとする。
本発明の種々の態様及び変更には、通常の分子生物学的な実務における技術及び方法が含まれる。特に、CpGジヌクレオチドのメチル化を決定するためのDNAメチル化解析は、分子生物学者又は遺伝学者の専門知識に属する。これらの技術及び方法に関する有用な実験マニュアルは、当業者に容易に利用可能であり、例えば、M.R. Green と J. Sambrook による“Molecular Cloning, A Laboratory Manual“ 4th Ed., 2012, Cold Spring Harbor Laboratory Pressが挙げられる。
本明細書で使用されるように、「ein」又は「eine」などの不定冠詞は、これらの特徴のうちの2つ以上が存在するという可能性を含む。
ここで使用される用語として、「悪性疾患(maligne Erkrankungen)」又は「悪性疾患(bosartige Erkrankungen)」は、進行的に破壊性であり、おそらく患者の死にもつながり得る疾患の経過を特徴とする疾患を含む。悪性疾患は、新たな悪性の組織形成(例えば、新生物又は腫瘍)を含み、それによって、悪性疾患は、制御されていない、スペースをとる、駆逐する、浸潤性の及び/又は侵襲性の増殖によって特徴付けることができる。悪性腫瘍は通常、娘腫瘍(転移)を形成することができる。悪性腫瘍には、がん腫、肉腫、メラノーマ、神経膠芽腫、芽腫、セミノーマ及び奇形腫が含まれる。悪性疾患はまた、血液の悪性疾患、即ち、白血病、リンパ腫、骨髄増殖性疾患及び骨髄異形成症候群などの血液系又は造血系に影響を及ぼす悪性疾患、も含む。白血病は、未成熟な造血細胞が悪性に変化し、過度に増殖し、そして末梢血中に細胞が蓄積する悪性腫瘍の群である。リンパ腫には、リンパ系の細胞が変性している疾患が含まれる。骨髄増殖性疾患は、1種以上の造血細胞株が高度に増殖する一群の疾患を含む。骨髄異形成症候群は、全ての造血細胞株の前駆細胞がクローン性に増殖することを含み、造血幹細胞の分化障害が慢性的に進行していることが基礎にある。
ここでいう「免疫療法」又は「免疫療法的治療」は、免疫系の活性に影響を与える全ての治療アプローチの総称として用いられる。免疫療法は、免疫系の効果を強める、又は弱めることを目的とすることがある。本発明の特定の改変において、免疫療法は、悪性疾患に対する生物自身の免疫応答を強めるための、活性物質による治療を包含する。このような活性物質には、免疫チェックポイント・タンパク質に特異的に結合し、これによって、それらの(特に抗炎症性の)シグナル伝達を阻害する、例えばモノクローナル抗体等の免疫チェックポイント阻害剤が含まれる。別の可能性としては、例えばRNA干渉によって、免疫チェックポイント・タンパク質の発現を予め抑制する活性物質がある。
免疫療法に対する「応答性」は、固形腫瘍の免疫関連応答性を評価するための基準(immune-related Response Evaluation Criteria In Solid Tumors-irRECIST)に従って評価することができる(Nishinoら、J Immunother Cancer,2014,2:17; Wolchokら、Clin Cancer Res.2009,15: 7412-20)。特に、免疫療法に対する応答性は、完全寛解又は部分寛解によって、変化の無い(安定した)状態によって、及び以下のイベント(:死亡の発生、再発、リンパ節転移の発生、遠隔転移の発生、悪性疾患の進行)のうちの1つ以上が遅延することによって、特徴づけられる。免疫療法に対する応答性はまた、悪性疾患に特異的な別のパラメーターの増加が遅延すること又は減少することによって特徴付けられることがある。例えば、血液中の前立腺特異抗原(PSA)が減少すること又は増加が遅延することは、免疫療法に対する前立腺がんの応答性を示すことがある。前記応答性が無いということは、悪性疾患の程度が増加している、又は加速しているということを特徴とすることがある。治療を適用する前の悪性腫瘍の程度を、比較対象として使用することができる。疾患の程度を、悪性細胞の数、転移の数、又は悪性腫瘍の大きさによって特徴付けることがある。
本明細書中で使用される場合、「PD-1免疫チェックポイント経路を阻害する」又は「CTLA4免疫チェックポイント経路を阻害する」とは、1つ以上の化学的、生物的、及び/又は物理的な性質の反応を遅らせる、阻害する、又は予防することを意味する。ここで、前記反応は、PD-1免疫チェックポイントとそのリガンドPD-L1及び/若しくはPD-L2、又はCTLA4免疫チェックポイントとそのリガンドCD86及び/若しくはCD80との相互作用によって媒介される。
「DNAメチル化」とは、DNAの特定のヌクレオチドにメチル基が生化学的に又は化学的にカップリングすることを意味する。本発明の文脈において、「DNAメチル化」とは、シトシンの5番目の炭素原子上にメチル基が存在すること(5-メチルシトシン)を指し、これはCpGジヌクレオチドの文脈にある。「CpGジヌクレオチド」とは、5'から3'への一般的に有効な読み取り方向にシチジン-リン酸-グアノシンのヌクレオシド配列を有するDNAモチーフである。グアノシンは、核酸塩基グアニン及び糖β-D-リボースからなる。シチジンは、核酸塩基シトシン及び糖β-D-リボースからなる。
従って、本発明の意味における「DNAメチル化解析」は、特定の配列文脈から、1つのCpGジヌクレオチドの又はいくつかのCpGジヌクレオチドの、このようなDNAメチル化を測定すること、を含む。本発明の種々の改変において、「DNAメチル化解析」は、シトシンがCpGジヌクレオチドにおいてメチル化されているかどうかを測定すること、を意味する。多数のゲノム・コピーを試験する場合に、DNAメチル化の程度も、DNAメチル化解析を用いて測定することがある。この目的のためには、例えば、多数のゲノム・コピー中のCpGジヌクレオチドにおいて、シトシンが、平均してどれくらい頻繁にメチル化されるかを測定し、これを、以下では、「メチル化の程度」とも呼ぶ。
「共メチル化」は、2つ以上のCpGジヌクレオチド間のDNAメチル化の相関を意味する。このような相関するメチル化は、ゲノム中で隣接している、並びに/又は隣接し、構造的に及び/若しくは機能的に連結した遺伝子中に位置する、CpGジヌクレオチドにおいて規則的に生じる。従って、一方の遺伝子のDNAメチル化を、他方の共メチル化遺伝子のDNAメチル化から推測することができる。
本発明の意味において、「遺伝子」は、調節、転写及び/又は機能的な配列領域を含むDNA上のセクションであり、従って生物学的に活性のあるRNAを産生するための基本情報を含む。特に、遺伝子はまた、例えば、プロモーター、転写因子結合部位、CpGアイランド、オープン・クロマチン、エンハンサー及びサイレンサー、CTCF結合部位のような、遺伝子の転写における調節機能を果たすエレメントも含む。
遺伝子及びそのヌクレオチドを指定するための命名法は、2017年10月31日現在の「ヒトゲノム機構遺伝子命名委員会(Human Genome Organisation Gene Nomenclature Committee)」(HGNC)の勧告に基づいている。例えば、大文字のイタリック体(原文のイタリック体を訳文では下線とする、例:CTLA4CD86)で、遺伝子基語を特定する。ここに記載されている遺伝子は、2017年10月31日現在、米国国立衛生研究所の「GenBank」を介して公開されている(Benson D.A. et al.、Nucleic Acids Research、2013、41、D36-42)。
以下の説明において特定のDNA配列(配列番号(SEQ ID NO):)を参照する場合、これは常に、前記DNA配列と、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有する配列バリアントも含まれる。2つの核酸配列の配列同一性は、例えば、ClustalWアルゴリズム(Thompson et al.、Nucleic Acids Research、1994、22、4673-4680)を用いて決定することができる。
本発明の目的のために、「悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞」には、例えば、リガンド‐レセプター結合を介して、悪性疾患の細胞と、特異的に接触しているか、又は接触するようになることができる免疫細胞が含まれる。前記リガンドは、悪性疾患の細胞の表面に位置することがあり、例えば、MHC:ペプチド複合体若しくはMHC I:抗原複合体又はエピトープ、である。前記レセプターは、免疫細胞の表面に位置することがあり、、例えば、T細胞レセプター又はB細胞レセプターである。或いは、前記リガンドは、免疫細胞の表面上にあることがあり、そして前記レセプターは、悪性疾患の細胞の表面上にあることがある。従って、"悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞 "には、例えば、抗原又は抗原提示細胞との接触により、それ自体が悪性疾患の対応する細胞と以前に接触することなく、前記リガンド‐レセプター結合のうちの1つを介して、悪性疾患の細胞と特異的に相互作用することが可能になった(活性化された)Tリンパ球及び/又はBリンパ球も含まれる。抗原提示細胞は、例えば、樹状細胞、マクロファージ又はBリンパ球であることがある。活性化は、例えば、Tリンパ球と、悪性疾患の細胞に由来する抗原を提示する抗原提示細胞との間のリガンド‐レセプター結合を介して起こる。前記リガンド(例えば、MHC II:抗原複合体)は、抗原提示細胞の表面上にあり、そしてT細胞レセプターは、Tリンパ球の表面上にある。本発明の意味におけるTリンパ球と悪性疾患の細胞との間の相互作用の別の形態は、悪性疾患の細胞によって生成されるアデノシンに、Tリンパ球の表面上のレセプターが結合することを含む。アデノシンがTリンパ球によって生成され、前記レセプターが悪性疾患の細胞の表面上にあることも可能である。本発明の目的のために、「悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞」はまた、成長因子及び/又はサイトカインを介して悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞、特にTリンパ球及び/又はBリンパ球を含む。
「バイオマーカー」は、客観的に測定することができ、生物における正常な生物学的若しくは病理学的プロセスの状態、又は介入(手術、放射線又は薬物治療)に対する正常又は病理学的プロセスの応答性、についての結論を引き出すことができる、特徴的な指標及び/又は生物学的特徴である。バイオマーカーは、しばしば、タンパク質、ホルモン、代謝産物、糖及び核酸等の(生物)化学物質、並びにそれらの修飾物である。
前述の一般的な記載及び以下の詳細な記載の両方は、例として解釈されるべきであり、特許請求される本発明を例示することが意図されている。本発明の更なる利点及び特徴は、以下の記載、図面及び特許請求の範囲から明らかである。本発明を、その好ましい実施形態に関して説明するが、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの他の改変を行うことができる。従って、添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲に明示的に示されていない場合であっても、本発明の実際の範囲内にある特徴の改変及び組み合わせを、包含することが意図される。
[配列の簡単な説明]
配列番号(SEQ ID NO):1〜配列番号(SEQ ID NO):78を、本明細書の一部としての配列表の数字コード<213>又は<223>の下に、それぞれ示す。
[本発明の説明]
免疫チェックポイント・タンパク質は、免疫療法の重要なターゲットである。免疫チェックポイント遮断(ICB)は、種々の悪性疾患の治療において特に有効であることが証明されている。免疫チェックポイント・インヒビターの助けを借りて、免疫抑制的な免疫チェックポイントのシグナル伝達経路は妨げられ、その結果、身体の免疫系は、変性した細胞をより良好に認識し、そして戦うことができるようになる。しかしながら、免疫療法薬は、一般に、特定の患者においてのみ作用し、何れの効果も、しばしば、数ヶ月後に観察されるようにしかならないので、臨床の現場において、患者が特定の治療に応答するかどうかについて、手がかりを治療の前に得ることは、極めて重要である。
本発明の発明者は、DE 10 2016 005 947 B3において、悪性疾患の細胞又は悪性疾患の細胞と相互作用するTリンパ球において、PD-1をコードする遺伝子PDCD1ような中心的な免疫調節遺伝子のDNAメチル化が、これらの遺伝子によってコードされる免疫チェックポイント・タンパク質の発現と直接相関することを、既に示すことができた。本発明者はまた、この相間関係に基づいて、これらの免疫調節遺伝子のDNAメチル化解析によって、免疫療法に対する患者の応答性を予測することが可能になることにも気が付いた。従って、例えば、悪性細胞又は悪性細胞と相互作用するTリンパ球の対応するPDCD-1遺伝子のDNAメチル化解析により、細胞がPD-1レセプターを先ず以て発現していることが示される場合、PD-1レセプターを阻害する薬剤に対する応答性は、より可能性が高い。
集中的な更なる研究及び広範な臨床研究を行い、本発明者は、驚くべきことに、免疫調節遺伝子CTLA4CD86CD28CD80及びICOSのDNAメチル化がまた、悪性疾患が、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害する免疫療法に応答するかどうかを高い信頼性で示すことを、ここにおいて、示すこともできた。この点に関して、以下の例示的な実施形態も参照される。この新しい発見は、これらの遺伝子がPD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路とは直接的に関連のない免疫チェックポイント・タンパク質をコードしているため、技術的な観点からは、予想されていなかった。従って、本発明者の新規な知見は、DE 10 2016 005 947 B3の開示及び教示(これは、免疫調節遺伝子のDNAメチル化解析が、それと同じ免疫調節遺伝子によってコードされる免疫チェックポイント・タンパク質に対する免疫療法に対する応答性を予測するのに適しているということに限定される)とは根本的に異なる。
このことを念頭に置いて、本発明の第1の態様は、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計された、免疫療法に対する悪性疾患の応答性を予測するための方法に関する。悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞の免疫調節遺伝子の少なくとも一部は、DNAメチル化について免疫調節遺伝子を試験するために、DNAメチル化解析に供される。前記免疫調節遺伝子は、CTLA4CD86CD28CD80ICOS又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。次いで、このDNAメチル化解析に基づいて、前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化の存在、非存在、及び/又は程度に基づいて、免疫療法に対する悪性疾患の応答性が予測される(予測)。
本発明は、特に、本発明による前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化解析が、広範な種々の悪性疾患又は腫瘍実体の応答挙動を予測するのに普遍的に適しているということによって区別される。本発明者によるこの発見は、米国食品医薬品局からの最新の知見と一致しており、米国食品医薬品局は、以前のように疾患臓器に基づいて承認を定義するのではなく、疾患の共通の遺伝的形質に基づいてがん免疫療法を初めて承認した(Chang et al., Appl Immunohistochem Mol Morphol. 2017, Epub ahead of print)。悪性疾患には、特に、メラノーマ、がん腫、肉腫、神経膠芽腫、リンパ腫及び/又は白血病が含まれ得る。がん腫としては、例えば、腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、神経内分泌がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、肝細胞がん、肛門がん、気管支がん、子宮内膜がん、胆管細胞がん、肝細胞がん、精巣がん、結腸直腸がん、頭頸部がん、食道がん、胃がん、乳がん、腎臓がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、甲状腺がん、及び/又は子宮頸がんが挙げられる。肉腫は、例えば、血管肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、線維肉腫、カポジ肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、悪性線維性組織球腫、神経原性肉腫、骨肉腫又は横紋筋肉腫であることがある。白血病は、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、又は慢性骨髄性白血病(CML)であることがある。リンパ腫は、ホジキン‐リンパ腫又は非ホジキン‐リンパ腫であることがある。非ホジキン‐リンパ腫は、B細胞リンパ腫又はT細胞リンパ腫であることがある。特に、前記悪性疾患は、任意に転移性の、悪性メラノーマである。
前記免疫療法には、好ましくは、PD-1、PD-L1及び/又はPD-L2に結合し、この結合を通してPD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害する(例えば、PD-1レセプターとそのリガンドとの間における自然な相互作用が妨げられることによる)活性物質が含まれる。特に、前記免疫療法又は前記活性物質には、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体及び/又は抗PD-L2抗体が含まれることがある。これは好ましくはモノクローナル抗体である。前記活性物質は、例えば、ニボルマブ(BMS-936558、商品名:オプジーボ、メーカー:Bristol-Myers Squibb)、ペンブロリズマブ(MK-3475、SCH900475、商品名: Keytruda(登録商標);メーカー: Merck / MSD Sharp & Dohme)、ピジリズマブ(CT-011、MDV9300;メーカー: CureTech Ltd.、Medivationによりライセンスされる)、MGD013 (Macrogenics)、AMP-224(メーカー:GlaxoSmithKline)、MEDI0680(AMP-514、メーカー: MedImmune LLC)、AUNP-12(メーカー: Aurigene Discovery Technologies Ltd.)、BMS935559(MDX-1105、メーカー: Bristol-Myers Squibb)、CA-170及びCA-237(メーカー: Curis Inc.)、MPDL3280A(メーカー: Roche)、MEDI4736(メーカー: AstraZeneca)、アベルマブ(MSB0010718C、メーカー: Pfizer)及び/又はrHIgM12B7(B7-DC架橋抗体rHIgM12B7、Mayo Clinic)、TSR-042(メーカー: Tesaro)、SHR-1210(メーカー: Jiangsu Hengrui Medicine Co., Ltd.)、Sym021(メーカー: Symphogen A/S)、REGN2810(メーカー:Regeneron)、JNJ-63723283(メーカー:JoJanssen Research & Development, LLC)、BGB-A317(メーカー: BeiGene)、PDR001(メーカー: Novartis)、JTX-4014(メーカー: Jounce Therapeutics)、アテゾリズマブ(MPDL3280A、メーカー: Genentech/Roche)、デュルバルマブ (MEDI4736、MEDI-4736、メーカー:Medimmune/AstraZeneca)、LY3300054(メーカー: Lilly)、KN035(メーカー: Suzhou Alphamab Co.Ltd.)、CX-072(メーカー: CytomX Therapeutics)、及びそれらの任意の組み合わせである。
基本的に、DNAメチル化解析は、関連文献から当業者に知られている全ての一般的な方法を用いて行うことができる。好適な方法は、例えば、以下の工程を含む:A)悪性疾患の細胞又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のDNAを提供する工程;B) A)のDNAに含まれるシトシンの少なくとも一部を、ウラシル、又はシトシンと区別できる塩基対形成挙動及び/若しくは分子量を有する別の塩基に変換する工程;C)前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化について、工程B)から得られたDNAを試験する工程。
工程A)からの分析するべきDNAは、種々の供給源に由来することがあり、例えば、悪性疾患の細胞又は浸潤免疫細胞(特に、手術又は生検によって採取された組織に由来する腫瘍浸潤Tリンパ球)を含むことがある。前記(免疫)細胞はまた、塗抹標本に、及び洗浄液、細針吸引物又は痰などの吸引物に由来することもある。前記DNAはまた、血液、血清及び血漿に由来することがあり。例えば、自由に循環するDNA、エキソソームDNAの形態、又はDNAが得られる悪性疾患の自由に循環する細胞の及び/又は末梢免疫細胞の形態にあることがある。前記DNAはまた、他の体液(例えば、リンパ液、尿、胸水又は腹水)に由来することもあり、例えば、遊離DNAの形態、又はDNAが得られる悪性疾患の細胞若しくは免疫細胞の形態であることもある。前記DNAはまた、保存されていない(新鮮である)細胞、組織及び体液から、並びに固定された細胞、組織及び体液から得ることもできる。(免疫)細胞、組織及び体液の固定は、エタノール及び他のアルコールなどの沈殿固定剤、又はホルムアルデヒドなどの架橋固定剤によって行うことができる。例えば、ホルマリン固定及びパラフィン包埋組織(FFPET)を用いることがある。前記DNAはまた、これらの供給源の任意の組み合わせに由来することもある。また、上記の供給源からDNAを抽出することもある。例えば沈殿又は抽出によって、前記DNAを濃縮することも可能である。これは、例えば、上記した体液に由来する自由に循環するDNAの場合のことがある。前記(免疫)細胞を、例えば、サイズ濾過によって、又は表面上に抗体を担持する磁性粒子を介して、濃縮することも可能であり、その抗原は、濃縮される(免疫)細胞の表面上にある。これは、例えば、上記した体液に由来する悪性疾患の自由に循環する細胞又は免疫細胞のことがある。解析するDNAのための他の適切な供給源は、或いは新鮮な組織のホモジネート及び固定された組織の溶解物である。免疫組織化学的方法又はmRNA発現解析に基づく従来の予測方法と比較して、本発明の特に有利な点は、DNAメチル化が、保存されたサンプル材料、最小限の細胞量、又は完全に無細胞のDNAサンプルであっても、特に頑健で正確な予測結果を提供することである。
従って、好ましい改変例では、前記DNAは、自由に循環するDNA、エキソソーム由来のDNA、及び/又は体液由来の自由に循環する(免疫)細胞由来のDNA、いわゆる液体生検(Flussigbiopsien)又は「液体生検(liquid biopsies)」を含む。液体生検は、現在、がん研究の中心的な分野である。これは、疑わしい組織自体(例えば、腫瘍組織)を分析するのではなく、体液サンプル(例えば、血液サンプル又はリンパ液サンプル)を分析する。自由に循環するゲノムDNA、エキソソームDNA、又は自由に循環する細胞若しくは免疫細胞が、腫瘍から血流中に放出されるので、腫瘍に由来する種々の物質を、このサンプルで試験することができる。それらはまた、胸腺又はリンパ節に由来し、悪性疾患の細胞と特異的に相互作用することができるが、腫瘍自体に由来しない免疫細胞であることもある。液体生検の分析のための本発明による方法は、腫瘍又は転移が生検できない場合、又は生検が後期腫瘍ステージの患者に過度に大きな危険をもたらす場合に、有利に使用される。本発明は、体液中で免疫調節遺伝子のDNAメチル化を非常に良好に測定することができるが、mRNA又は免疫組織化学を用いた免疫調節遺伝子の従来の発現検出は困難であるか、又は全く不可能であるということによって区別される。
工程B)におけるDNAの変換は、原則として、当該技術分野においてこの目的のために公知であり、かつ適切な全ての方法を使用して実施することができる。それは、典型的には、例えば、DNAを重亜硫酸塩(バイサルファイト)(例えば、重亜硫酸ナトリウム又は重亜硫酸アンモニウム)と接触させることによる化学的又は酵素的変換である。
必要であれば、前記DNAを、工程B)での変換後、及び工程C)でDNAメチル化を試験する前に、精製することがある。適切な精製方法及びプロトコールは、当業者に公知であり、例えば、DNA抽出、沈殿又はポリマー媒介濃縮を含むことがある。この点に関しては、上記の説明も参照されたい。
前記DNAメチル化解析を用いて、免疫調節遺伝子の解析対象部分におけるDNAメチル化の存在、不存在又は程度を決定する。従って、前記解析対象部分は、DNAメチル化について検査する少なくとも1つのCpGジヌクレオチド、好ましくは、DNAメチル化について検査する複数のCpGジヌクレオチドを含む。従って、DNAメチル化が存在することは、少なくとも1つのメチル化されたCpGジヌクレオチドが、前記免疫調節遺伝子の解析対象部分において検出されることを意味する。DNAメチル化が存在しないことは、その部分に含まれるCpGジヌクレオチドのいずれにもメチル化が検出されないことを意味する。免疫調節遺伝子のDNAメチル化の程度の決定は、解析対象部分に含まれるDNAメチル化について、複数のCpGジヌクレオチドを試験することを含むことがある。免疫調節遺伝子のDNAメチル化の程度を決定することはまた、免疫調節遺伝子の複数の遺伝子コピーにおけるDNAメチル化について、同じCpGジヌクレオチドを試験することを含むこともある。これらの改変例の組み合わせも可能である。
工程C)における免疫調節遺伝子のDNAメチル化の研究は、いかなる特定の制限も受けない。当業者は、この開示に基づいて、適切な方法を容易に決定することができる。この点に関して、上記の実験マニュアルも参照されたい。好ましい改変例においては、オリゴヌクレオチド(いわゆるプライマー)を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を最初に実施し、プライマーは、解析対象の免疫調節遺伝子の部分又は解析対象の少なくとも1つのCpGジヌクレオチドを含む、工程B)において変換されたDNAの部分を増幅するように設計される。これに続いて、好ましくは、増幅産物の少なくとも一部のシークエンシング、例えば、サンガー・シークエンシング、パイロシークエンシング、質量分析シークエンシング又は第2世代又は第3世代のシークエンシング(「大規模並列シークエンシング」、「次世代シークエンシング」(NGS)又はナノポア・シークエンシングとしても知られる)を行う。前記PCRの後に、例えばDNAマイクロアレイの形態で、メチル化特異的オリゴヌクレオチド(プローブ)とのハイブリダイゼーションを行うことも可能である。DNAメチル化はまた、定量的リアルタイムPCR (qPCR)、必要に応じて融解曲線分析によって決定することもある。特に、前記定量的リアルタイムPCRを、国際公開1997/046705 A1におけるようなメチル化特異的プライマー及び/又は国際公開2002/072880 A2におけるようなメチル化特異的ブロッカーオリゴヌクレオチドを用いて実施することができる。好ましい改変例では、メチル化特異的検出プローブを使用する。
更に他の好ましい改変例では、例えば「全ゲノム・ショットガン・バイサルファイト・シークエンシング」(WGSBS)又は直接ナノポアシークエンシングの場合、PCRを省略することがある。WGSBSでは、DNAを断片化し、次いでアダプターをそのDNA断片に連結する。次いで、そのアダプターを介して、増幅及びシークエンシングを行うことが可能である。前記DNAは、例えばバイサルファイト処理による変換のために、既に断片化されている可能性があるので、WGSBSにおける断片化の工程を省略することも可能である。WGSBSを実施するためのプロトコルを、当業者は容易に入手可能である(Johnson, M. D. et al., Curr. Protoc. Mol. Biol., 2012, 99, 21.23.1-21.23.28; Lister, R. et al., Nature, 2009, 462, 315-322; Berman, B. P. et al., Nat. Genet., 2011, 44, 40-46)。
別の好ましい改変例において、特異的オリゴヌクレオチド(プローブ)とのハイブリダイゼーションを、PCR増幅の前に実施することがあり、これは、結合の場合に連結され、次いで、PCRによって増幅される。例えば、「マルチプレックス・ライゲーション依存性プローブ増幅」(MLPA)などの適切な方法及びプロトコルは、当業者にとって容易に利用可能であり、例えば、“PCR Mutation Detection Protocols“ von B. D. M. Theophilus und R. Rapley, 2nd Edition, 2011, Springerに記載されている。
更に好ましい改変例において、前記DNAメチル化解析を、Infinium HumanMethylation450 BeadChipを用いて行う。適切なプロトコルは、例えば、書籍シリーズ「Methods in Molecular Biology」(Springer Science+Business Media New York)の、S.P. Chellappanによる「Chromatin Protocols」第1288巻、2015年、の本の中の、M.A. Carlessによる「Determination of DNA Methylation Levels Using Illumina HumanMethylation450 BeadChips」の章に記載されている。更なる適切なプロトコルを、以下の例示的な実施形態から見出すことができる。
本発明者は、前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化の程度がより低いほど、前記悪性疾患が前記免疫療法に応答する可能性がより高いことを見出した。その結果、前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化がほぼゼロになる場合、特にDNAメチル化が実際に、又は技術的検出限界のために少なくとも事実上存在しない場合、免疫療法に対して悪性疾患は応答する可能性が特に高い。従って、前記DNAメチル化解析を、前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化を定量的に決定することができる条件下で実施する場合、有利である。例えば、前記DNAメチル解析が、悪性疾患の複数の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する複数の免疫細胞からの免疫調節遺伝子の遺伝子コピーを含む場合、DNAメチル化を有する免疫調節遺伝子のこれらの遺伝子コピーの割合を決定することができる。この目的のために、前記免疫調節遺伝子のメチル化された遺伝子コピーの数又は量は、前記免疫調節遺伝子の分析した遺伝子コピーの総数又は総量に関連していることがある。このようにして、免疫療法に対する悪性疾患の応答性をより正確に予測することができ、例えば、前記免疫調節遺伝子の遺伝子コピーの、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下又は5%以下がDNAメチル化を有する場合、応答する可能性が高い。更に他の改変例において、前記免疫調節遺伝子の遺伝子コピーの30%超、35%超、40%超、又は45%超がDNAメチル化を有するか、又はDNAメチル化の存在が主である場合、前記悪性疾患は前記免疫療法に応答しない可能性がある。
悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞は、Tリンパ球、Bリンパ球、抗原提示細胞又はナチュラルキラー細胞(NK)であることがある。これらの免疫細胞の組み合わせも可能である。特定の改変例において、前記免疫細胞には、腫瘍浸潤性Tリンパ球及び/又はBリンパ球、特に、腫瘍浸潤性CD8+リンパ球及び/又は調節性Tリンパ球(Tregs)が含まれる。しかし、それはまた、末梢性及び/又はリンパ性Tリンパ球、Bリンパ球、抗原提示細胞及び/又はNKであることもある。
DNAメチル化解析は、免疫調節遺伝子内及びその近傍の、1つ以上の部分又は1つ以上のCpGジヌクレオチドを含むことがある。前記DNAメチル化解析は、好ましくは、調節遺伝子領域、特に転写因子結合部位、プロモーター、CpGアイランド、サイレンサー、エンハンサー、又はCTCF結合部位の少なくとも一部を含む。前記DNAメチル化解析はまた、前記免疫調節遺伝子の転写物をコードする配列の少なくとも一部を含むこともある。前記部分の組み合わせも可能である。エンハンサーは、例えば、遺伝子から離れた遠位エンハンサーであることがある。エンハンサーはまた、遺伝子の近くに存在することもあり、近位エンハンサーと呼ばれる。調節遺伝子領域は当業者に周知であり、例えば、DS Latchmanによる「Gene Control」、第2版、2015年、Garyland Science、Taylor & Francis Group、LLCに記載されている。本発明による方法を実施するためには、例えば、これらの部分又はCpGジヌクレオチドも適している(そのメチル化状態は、免疫調節遺伝子の転写活性又は発現と相関している)。前記転写活性は、例えば、クロマチン構造の変化から見ることができる。いわゆる「オープン・クロマチン」は、例えば、W. JanningとE. Kunst、2004、Georg Thieme Verlag、StuttgartとNew Yorkによる「Genetik」にあるように、遺伝子の高い転写活性と関連している可能性がある。従って、「オープン・クロマチン」の領域は、本発明によるDNAメチル化解析に適している。
調節遺伝子エレメントの決定は、適切なデータベースを使用して、当業者は容易に行うことが可能である。例えば、「Ensembl」データベースにおいて、このような調節エレメントは、注釈がつけられている(例えば、DR Zerbino、SP Wilder、N。Johnson、T。Juettemann and PR Flicek、2015、Genome Biology、Edition 16、doi: 10.1186/ s13059-015-0621-5による「The Ensembl Regulatory Build」に記載されている)。
本発明によるDNAメチル化分析のための免疫調節遺伝子の適切かつ好ましい領域及び配列を決定するために使用できるヒトゲノムの好適な一次配列は、例えば、2017年10月15日の時点で、Genome Reference Consortium Genome Reference Consortium Human Build 38 (GRCh38) 又はReference Consortium Human Build 38 patch release 10 (GRCh38.p10)のヒトゲノムバージョンである。以下では、ゲノムの領域を、「染色体番号:領域の最初の塩基の位置-領域の最後の塩基の位置」という表記で参照し、例えば、第2染色体の塩基203583059から塩基203583108までの領域については、「2: 203583059-203583108」として参照される。
CTLA4遺伝子のDNAメチル化解析は、以下の領域の1つ以上の少なくとも一部を含むことが好ましい:CTLA4遺伝子並びに隣接する共メチル化遺伝子CD28及びICOS
を含む領域(2:203551590-204126647、配列番号(SEQ ID NO):1)、その転写物をコードする領域(2:203867786-203873960)、プロモーター(2:203866174-203868926 及び 2:203869477-203874095)、エンハンサー(2:203874152-203875266, 2:203876672-203878051 及び2:203879313-203881585)、CTLA4と隣接する免疫調節遺伝子ICOSの間の領域(2:203872383-203939876)、CTLA4と隣接する免疫調節遺伝子CD28との間の領域(2:203738066-203867984)、SEQ ID NO:51, SEQ ID NO:27, SEQ ID NO:48, SEQ ID NO:28, SEQ ID NO:29, SEQ ID NO:50, SEQ ID NO:32, SEQ ID NO:33, SEQ ID NO:30, SEQ ID NO:49, SEQ ID NO:31 及びSEQ ID NO:52から選択される1つ以上の領域。
CD28遺伝子のDNAメチル化解析は、以下の領域の1つ以上の少なくとも一部を含むことが好ましい:CD28のコーディング配列及びプロモーターを含む領域(2:203551590-203754454)、そのコーディング配列を含む領域(2:203706475-203738912)、及びプロモーターを含む領域(2:203677265-203707326)。
ICOS遺伝子のDNAメチル化解析は、以下の領域の1つ以上の少なくとも一部を含むことが好ましい:転写物をコードする領域(2:203936748-203961577)、プロモーター(2:203934590-203941036 及び 2:203948548-203953636)、エンハンサー(2:203931099-203937863 及び 2:203940518-203949061)、SEQ ID NO:52, SEQ ID NO:53, SEQ ID NO:34, SEQ ID NO:54, SEQ ID NO:36, SEQ ID NO:56, SEQ ID NO:35 及び SEQ ID NO:55から選択される1つ以上の領域。
CD86遺伝子のDNAメチル化解析は、以下の領域の1つ以上の少なくとも一部を含むことが好ましい:CD86のコーディング配列及びプロモーターを含む領域(3:122039741-122154807、配列番号(SEQ ID NO):3)、転写物をコードする領域(3:122054701-122121475)、プロモーター(3:122054261-122061082, 3:122073513-122079893 及び3:122087703-122093314)、エンハンサー(3:122098924-122104974)、SEQ ID NO:65, SEQ ID NO:67, SEQ ID NO:66, SEQ ID NO:70, SEQ ID NO:72, SEQ ID NO:69, SEQ ID NO:75, SEQ ID NO:73, SEQ ID NO:74, SEQ ID NO:71, SEQ ID NO:68, SEQ ID NO:76, SEQ ID NO:77から選択される1つ以上の領域。
CD80遺伝子のDNAメチル化解析は、以下の領域の1つ以上の少なくとも一部を含むことが好ましい:CD80のコーディング配列及びプロモーター領域(3:119523584-119573836、配列番号(SEQ ID NO):2)、転写物をコードする領域(3:119524293-119559602)、プロモーター(3:119554042-119563668 及び 3:119568227-119573274)、エンハンサー(3:119563379-119568778, 3:119538188-119543511 及び3:119545840-119554325)、又はSEQ ID NO:57, SEQ ID NO:61, SEQ ID NO:62, SEQ ID NO:60, SEQ ID NO:59, SEQ ID NO:64, SEQ ID NO:58 及び SEQ ID NO:63から選択される1つ以上の領域。
好ましい改変例において、前記DNAメチル化解析は、CTLA4の少なくとも一部を含む。更に好ましい改変例において、前記DNAメチル化解析は、CD86の少なくとも一部を含む。更に別の好ましい改変例において、前記DNAメチル化解析は、CD28の少なくとも一部を含む。更に別の好ましい改変例において、前記DNAメチル化解析は、CD80の少なくとも一部を含む。更に別の好ましい改変例において、前記DNAメチル化解析は、ICOSの少なくとも一部を含む。特に好ましい改変例において、前記DNAメチル化解析は、少なくとも2種の免疫調節遺伝子の少なくとも一部を含む。このようにして、特に少量のDNAのみが前記DNAメチル化解析に利用可能である場合に、悪性疾患の応答挙動を信頼性高く予測することができる。この点に関して、以下の例示的な実施例2も参照されたい。前記DNAメチル化解析は、好ましくは、CTLA4の少なくとも一部及び少なくとも1種の更なる免疫調節遺伝子の少なくとも一部を含む。
上記の遺伝子に加えて、前記DNAメチル化解析はまた、更なる免疫調節遺伝子を含むことがあり、その結果を組み合わせることによって、更により正確な患者のサブタイピングを実現することができる。特に、前記DNAメチル化解析は、免疫チェックポイント・タンパク質PD-1、PD-L1及びPD-L2をコードするPDCD1CD274及び/又はPDCD1LG2の少なくとも一部を更に含むことがある。例えば、前記DNAメチル化解析は、CTLA4の少なくとも一部及びPDCD1CD274及び/又はPDCD1LG2の少なくとも一部を含むことがある。前記DNAメチル化解析はまた、CTLA4の少なくとも一部及びPDCD1CD274PDCD1LG2CD86CD28CD80及び/又はICOSの少なくとも一部をむことがある。
PDCD1遺伝子のDNAメチル化解析は、以下の領域の1つ以上の少なくとも一部を含むことが好ましい:転写物をコードする領域(2:241849881-241858908)、オープン・クロマチンを有する領域(2:241849051-241853001 及び 2:241861820-241862593)、エンハンサー(2:241852997-241855201)、CTCF結合部位(2:241859081-241860074)、プロモーター(2:241856912-241861429 及び 2:241862929-241865230)。
CD274遺伝子のDNAメチル化解析は、以下の領域の1つ以上の少なくとも一部を含むことが好ましい:転写物をコードする領域(9:5450503-5470566)、プロモーター(9:5445402-5456799 及び 9:5458041-5461360)、エンハンサー(9:5457122-5457702, 9:5463574-5468340, 9:5440647-5441785 及び9:5472191-5473149)、CTCF結合部位(9:5440970-5441435 及び 9:5446325-5446870)。
PDCD1LG2遺伝子のDNAメチル化解析は、以下の領域の1つ以上の少なくとも一部を含むことが好ましい:転写物をコードする領域(9:5510570-5571254)、プロモーター(9:5507688-5523442, 9:5491444-5503289, 9:5528150-5534251 及び9:5547972-5571492)、エンハンサー(9:5479110-5491616, 9:5522642-5528253, 9:5534822-5547690 及び 9:5572730-5580962)、コーディング配列の前の領域(9:5496357-5510570)。
第1の態様の前述の特徴及び好ましい実施形態はまた、本発明の以下の態様に完全に含まれ、繰り返しを避けるために単に再び言及しない。
個別化された腫瘍医学においては、治療は、特定のタイプのがんを有する患者に合わせられる。PD-1免疫チェックポイント阻害剤を用いたターゲット免疫療法に対する患者の高い応答率は、対応する感受性疾患を有する患者を確実に同定し、治療のために狙いを定めて選択した場合にのみ実現することができる。この意味で、本発明の第2の態様によれば、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計された免疫療法のために、悪性疾患に罹患している患者を選択する方法が示される。この方法は、以下の工程を含む:A)患者の、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞の細胞を提供する工程、B) A)からの悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部のDNAメチル化解析を行う工程、C) B)で決定された免疫調節遺伝子のDNAメチル化の存在、非存在及び/又は程度に基づいて、前記免疫療法のための患者を選択する工程。
特に、患者は、前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化が、前記悪性腫瘍が前記免疫療法に応答する可能性が高いことを示す場合に選択される。この点については、第1の態様についての対応するコメントを参照されたい。
本発明の第3の態様によれば、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部のDNAメチル化解析を、個別化医療において、様々な方法で実施することがある。例えば、免疫療法に対する悪性疾患の応答性を予測するための使用、悪性疾患に対して免疫療法を個別化して選択するための使用、及び/又は免疫療法のために、悪性疾患に罹患している患者を選択するための使用は、前記免疫療法がPD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計される場合に可能である。
本発明の第4の態様は、以下のための、バイオマーカーとしての、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部のDNAメチル化の存在、非存在及び/又は程度の使用に関する:免疫療法に対する前記悪性疾患の応答性を予測するため、悪性疾患に対する免疫療法を個別に選択するため、及び/又は免疫療法のために悪性疾患を患っている患者を選択するため、ここで、前記免疫療法は、それぞれPD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計されている。
上記の使用において、前記免疫療法をまた、CTLA4免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計することもある。本発明者は、臨床研究において、本発明による遺伝子のDNAメチル化解析によって、このようなCTLA4免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害する免疫療法に対する悪性疾患の応答性の可能性が確実に示されるだけでなく、免疫療法の文脈において、PD-1免疫チェックポイント阻害及びCTLA4免疫チェックポイント阻害を組み合わせることが、特定の治療が奏功することと関連することがあることを見出した。本発明は、免疫調節遺伝子のDNAメチル化の存在、不存在、又は程度に基づく単一の診断検査によって、臨床医に少なくとも3つの治療選択肢を示すことができるという点で、本発明を差別化する:PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を選択的に阻害すること(単剤療法としての実施例の場合)、PD-1及びCTLA4免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を組み合わせて阻害すること、並びに最初にPD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害し、次いでCTLA4免疫チェックポイント・シグナル伝達経路阻害を阻害すること。後者の選択肢は、例えば、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路の阻害が、患者に重篤な副作用を引き起こし、従って中止されなければならない場合、又はPD-1阻害がもはや機能しなくなり、その患者が疾患の進行を示す場合に、有用であることがある。
CTLA4免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計された免疫療法は、好ましくは、CTLA4、CD80、CD86又はCD28に結合することによってCTLA4免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害する活性物質を含む。前記免疫療法又は前記活性物質は、例えば、抗CTLA4抗体、抗CD80抗体、抗CD86抗体及び/又は抗CD28抗体を含むことがある。特に、これらはモノクローナル抗体である。
本発明の第5の態様は、第1又は第2の態様による方法を実施するための、又は第3又は第4の態様による使用のためのキットに関する。前記キットは、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部のDNAメチル化解析のための試薬を含み、前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化の存在、非存在について、及び/又は程度を決定する。前記キットはまた、前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化の存在、非存在、及び/又は程度に基づいて、前記免疫療法に対する前記悪性疾患の応答性を予測するための説明書を含むことがある。
特に、前記キットは、DNAメチル化解析のための、少なくとも1つの第1のオリゴヌクレオチド対を含み、これは、配列を増幅及び/又は検出するために、悪性疾患の細胞及び/又は免疫細胞に由来するDNA中の免疫調節遺伝子の配列に、(前記DNAに含まれるシトシンを、ウラシル又はシトシンと区別可能な塩基対形成挙動及び/若しくは分子量を有する別の塩基に変換した後に、)ハイブリダイズするように設計されている。前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つは、変換されたメチル化DNAと変換された非メチル化DNAとを区別するように設計することができ、その結果、配列はメチル化に依存して増幅される。この目的のために、前記オリゴヌクレオチドは、解析対象の少なくとも1つのCpGジヌクレオチドを含む結合配列に逆相補的であることがある。例えば、前記オリゴヌクレオチドは、CpGジヌクレオチド中のシトシンが変換された場合、即ち、前記シトシンが元々メチル化されていなかった場合、結合配列に対して逆相補的であり得る。或いは、CpGにおいてシトシンが変換されなかった、即ち元々メチル化されていた場合、オリゴヌクレオチドは、結合配列に対して逆相補的であり得る。このようにして、前記配列がメチル化されている場合にのみ又はメチル化されていない場合にのみ、増幅されるようになる。
前記オリゴヌクレオチドを、DNAメチル化とは無関係に配列を増幅するように設計することも可能である。その場合、前記オリゴヌクレオチドは、好ましくは、分析するべきCpGジヌクレオチを含まない結合配列に逆相補的である。好ましくは、分析するべきCpGジヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの結合配列の間に位置する。前記キットは更に、変換されたメチル化配列と変換された非メチル化配列とを区別するハイブリダイゼーション・プローブを含むことがあり、その結果、増幅された配列はメチル化に依存して検出される。次いで、DNAメチル化の程度を、プローブのシグナル比から読み取ることができる。
更に、前記キットは、メチル化とは独立して配列を増幅及び/又は検出するために、CpGジヌクレオチドを含まない変換されたDNAの配列にハイブリダイズするように設計された、少なくとも第2のオリゴヌクレオチド対を含むことがある。このように設計されたオリゴヌクレオチド対を用いて、例えば、前記変換されたDNA中に存在するゲノム又は遺伝子コピー、特に免疫調節遺伝子の遺伝子コピーの総数又は総量を決定することが可能である。このようにして、上記第1の態様の記載に従って、DNAメチル化を有する免疫調節遺伝子の遺伝子コピーの相対的割合を決定することができる。この点に関して、第1の実施例も参照される。
好ましい改変例において、前記キットは、変換されたDNA中のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される少なくとも2つの異なる免疫調節遺伝子の配列にハイブリダイズするように設計された、2つ以上の第1のオリゴヌクレオチド対を含み、DNAメチル化解析のための配列を増幅及び/又は検出する。本発明による、少なくとも2つの免疫調節遺伝子のDNAメチル化解析を組み合わせることにより、特に堅牢な測定値を得ることが可能になり、従って免疫療法に対する応答性を特に信頼性高く予測することが可能になる。この点に関して、第2の実施例も参照される。
オリゴヌクレオチド対を用いて増幅及び/又は検出される免疫調節遺伝子の好ましい領域及び配列は、第1の態様のものに対応する。
好ましくは、前記キットは、第1及び/又は第2の態様による方法を実施するための、及び/又は第3又は第4の態様による使用をするための説明書を含む。
本発明の前述の態様の全ては、先行するin vitroの方法に関連して演繹される工程に関するものであり、その結果、本発明に不可欠な技術的な工程は、ヒト又は動物の身体上では行われない。
しかしながら、原則として、治療への応答性の確率を改善するために、本発明による方法を悪性疾患を有する患者のためのオーダーメイドの治療アプローチに組み込むことも可能である。従って、本発明の第6の態様は、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計された活性物質を用いて、悪性疾患に罹患している患者を免疫療法的に治療するための方法に関する。この方法において、工程I)で、免疫療法の前及び/又は治療中に、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞に由来するCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部のメチル化解析を行い、前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化の存在、非存在、及び/又は程度に基づいて、前記活性物質に対する前記悪性疾患の応答性を予測する。次いで、工程I)において、前記悪性疾患が、前記活性物質を使用した免疫療法的な治療に応答する可能性が高いことを示す場合、前記活性物質を工程II)で投与する。しかし、I)が、前記悪性疾患が、前記活性物質を使用した免疫療法的な治療に応答しそうにないか、又はもはや応答しないことを示す場合、工程II)の代替として、前記活性物質を投与しないか、又は活性物質の投与を中止又は減少させる(工程III)。応答しそうであることに関しては、第1の態様に関するコメントを参照されたい。このように、本発明は、診断検査によって、悪性腫瘍をより良好に分類することに寄与し、従って、ベネフィット-リスク比が改善されたオーダーメイドの治療を可能にする。
工程II)における治療において、活性物質に加えて、及び/又は工程III)において、前記活性物質の代わりに、更なる又は別の活性物質(CTLA4免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計された活性物質)を投与することがある。第4の態様に関連して既に説明したように、本発明の特に有利な点は、臨床医が、単一の診断検査を用いて、相補的な及び代替的な免疫療法の治療選択肢の両方を示すことができることでもある:PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路の選択的阻害又は代わりにCTLA4免疫チェックポイント・シグナル伝達経路の選択的阻害、PD-1及びCTLA4免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を組み合わせて阻害すること、並びに、最初にPD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害し、次いでCTLA4免疫チェックポイント・シグナル伝達経路阻害を阻害すること。このようにして、前記臨床医は、前記悪性疾患の治療選択肢を更により具体的かつ効率的に活用することができる。
更なる又は別の活性物質は、例えば、抗CTLA4抗体、抗CD80抗体、抗CD86抗体及び/又は抗CD28抗体を含むことがある。特に、それはモノクローナル抗体であることがある。
実施形態の詳細な説明
例示的な実施形態及び実験結果に基づいて、本発明を以下でより詳細に説明する。これらの例示的な実施形態は、それらを説明するのに役立ち、特定の詳細に限定するものではない。
実施例1: CTLA4のDNAメチル化を用いたPD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路の阻害に対する悪性腫瘍の応答性を予測する臨床試験。
検査した患者コホートには、転移性悪性メラノーマと診断された合計50人の患者が含まれていた。免疫療法の治療を開始する前に、患者から腫瘍組織サンプルを採取し、ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した。前記患者は、2014年10月から2017年4月の間に、ペンブロリズマブ又はニボルマブによる抗PD-1免疫チェックポイント遮断の治療を受けていた。
DNAメチル化解析のために、まず、腫瘍組織サンプルから10 μmの厚さを有する薄い切片を作製し、そしてスライドガラス上にマウントした。HE切片を使用して、腫瘍領域を病理学的検査によって同定し、さらなる処置のためにメスでスライドガラスを掻き取った。バイサルファイト変換をしたDNAを、innuCONVERT Bisulfit All-In-One Kit (Analytik Jena, Jena, Deutschland)を用いて、製造業者の指示に従って、腫瘍領域から得た。次いで、変換されたDNAの総量を、NanoDrop ND-1000分光光度計(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)を使用して定量した。
次の工程において、DNAメチル化解析を、例えば、定量的リアルタイムPCRを用いて、メチル化に特異的なCTLA4遺伝子座の一部を増幅及び定量することによって行った。例えば、デュプレックス‐PCRを使用して、CTLA4のDNAメチル化に加えて、全DNA、即ち、変換されたDNAのゲノムコピーの総量及び/又は総数を同じ反応内で決定した。CTLA4遺伝子座をメチル化特異的に増幅することは、配列番号(SEQ ID NO):9及び配列番号(SEQ ID NO):10の配列のプライマーを用いて行った。これらのプライマーは、配列番号(SEQ ID NO):13の配列をバイサルファイト変換して生じる配列を増幅する。完全にメチル化されている場合、ゲノム中のこの変換された領域は、配列番号(SEQ ID NO):12の配列を有する。メチル化特異的な検出は、5'に蛍光色素6-FAMを、3'にクエンチャーBHQ-1を担持する配列番号(SEQ ID NO):11の配列のプローブを用いて行った。総DNAを決定するために、ACTB遺伝子中の遺伝子座をメチル化とは無関係に増幅した。この遺伝子座は、ゲノム中に配列番号(SEQ ID NO):8を有する配列を有し、バイサルファイトによる変換後、配列番号(SEQ ID NO):7を有する配列を有する。この配列を、配列番号(SEQ ID NO):4及び配列番号(SEQ ID NO):5の配列を有するプライマーを用いて増幅した。増幅物の配列特異的な検出を、5'に蛍光色素Atto 647N及び3'にクエンチャーBHQ-2を有する配列番号(SEQ ID NO):6のプローブを用いて行った。
リアルタイムPCRを、20 μlのPCR反応で、3回づつ独立した測定で行い、例えば、以下の反応組成が好適であった:35 mM Tris-HCl, pH 8,4, 6 mM MgCl2, 50 mM KCl, 4% グリセリン, 0.25 mM 各dNTP (dTTP, dATP, dGTP, dCTP), 2 U FastStart Taq DNA-ポリメラーゼ(Roche Applied Science, Penzberg, Deutschland), 0.4 μM 各プライマー及び0.2 μM 各検出プローブ。前記qPCRを、例えば、AB 7500 Fast Real-Time PCR System (Life Technologies Corporation、Carlsbad、CA、USA)を用いて行った。好適な温度プロフィールは、例えば、以下の工程を含んでいた: 95℃で20分、続いて、それぞれ56℃で45秒、95℃で15秒の45サイクル。
変換されたDNA中のCTLA4メチル化の割合はDeltaDelta-CT法を用いて算出し、100%メチル化された標準DNAと比較したパーセンテージで表した。人工的にメチル化したDNA (CpGenomeTM Universal Methylated DNA; Merck Millipore、Darmstadt、Germany)を標準DNAとして使用したが、これはinnuCONVERT Bisulfite All-In-One Kitを使用して、製造業者の指示に従って、予め変換したものであった。
免疫療法に対する応答性を、固形腫瘍の免疫関連応答性を評価するための基準(immune-related Response Evaluation Criteria In Solid Tumors-irRECIST)に従って遡及的に評価した。生存分析では、死亡をエンドポイントとみなした。生存期間は、免疫チェックポイント阻害剤の初回投与から死亡時までの期間として定義した。その生存データを用いて、ログランク(Log-Rank)検定によるカプランマイヤー(Kaplan‐Meyer)解析を行った。単変量Cox比例ハザード・モデルを用いてハザード比を計算し、CTLA4のDNAメチル化値を2を底として対数化した。比較は、一元配置分散分析及びボンフェローニ(Bonferroni)の事後検定を用いて行った。カイ二乗検定(χ2検定)を用いてカテゴリー変数を検定した。SPSSバージョン23.0(SPSS Inc.、Chicago、IL、USA)を統計解析に使用した。
図1は、相対的なCTLA4メチル化(%、y軸)と、患者の応答性(irRECIST基準に従ってグループ化された)(x軸)との間の関係のボックスプロット評価を示す。CTLA4メチル化の平均値は、進行性疾患を有する患者群で46.1%(95%信頼区間CI: 31.2〜61.0)、安定した状態の疾患を有する群で21.6%(95% CI: 11.2〜31.9)、部分寛解を有する群で7.6%(95% CI: 1.1〜14.2)、完全寛解を有する群で4.9%であった。これらの結果は、CTLA4遺伝子の低いDNAメチル化が、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害する免疫療法に対する悪性疾患の応答性と関連していることを、明らかに、そして高い統計的有意性(p = 0.018)をもって、示している。更に、この結果は、応答の強さが、DNAメチル化の程度又はCTLA4遺伝子のメチル化の程度と相関することを示す。その結果、CTLA4遺伝子のメチル化が低いほど、前記応答性は良好である。
図2は、更に、免疫療法中の50人の悪性メラノーマの患者の全体生存に関するKaplan-Meier分析を示している。前記患者を、CTLA4メチル化の三分位を用いる、一般的な3段階評価の病理学的分類に従って分類した。前記解析によれば、中位及び最も高いCTLA4メチル化の三分位と比較して、最も低いCTLA4メチル化の三分位において、非常に有意に(p = 0.002)、患者の生存が延長していることが示された。腫瘍中で最も低いCTLA4メチル化を示す17人の患者(より低いCTLA4メチル化の三分位)のうち、80%を超える患者が、免疫療法の開始30ヶ月後もまだ生存しているか、又は評価を受けていた。腫瘍中でCTLA4メチル化が最も高かった17人の患者(上方のCTLA4メチル化の三分位)、及び中間のCTLA4メチル化の三分位の16人の患者では、免疫療法の開始後12ヵ月より長く生存したのは、40%未満であった。
従って、本発明者は、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞由来の免疫調節遺伝子CTLA4のDNAメチル化解析によって、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するために設計された免疫療法に対する悪性疾患の応答性を、高い信頼性で、予測することができることを初めて示すことができた。これに対応して、CTLA4のDNAメチル化の存在、非存在又は程度が、このような免疫療法に対する悪性疾患の応答性を予測するための、信頼できるバイオマーカーであることもまた示され得る。
実施例2:種々の悪性疾患におけるCTLA4CD86CD28CD80及びICOSの共メチル化の決定。
本発明の枠において、免疫療法に対する患者の応答挙動は、CTLA4のDNAメチル化解析だけでなく、DNAメチル化がCTLA4のDNAメチル化と相関する免疫調節遺伝子のDNAメチル化解析に基づいても、決定され得ることも認められた。免疫調節遺伝子CD28CD80CD86及び/又はICOSは、特に好適であることが証明された。これらの遺伝子はCTLA4に機能的に関連している。更に、CD28及びICOSは、CTLA4に近接して、ゲノム中に位置してもいる。
CTLA4CD28CD80CD86及びICOSの共メチル化を、ゲノムワイドDNAメチル化解析を用いて試験したが、そのために、例えば、Infinium HumanMethylation450 BeadChip (Illumina、Inc.、San Diego、CA、USA)を、製造業者の指示に従って、適切に使用した。HumanMethylation450 BeadChipの生データは、TCGA Research Network (http://cancergenome.nih.gov/)によって記載されているように生成した。全体として、419例の膀胱尿路上皮がん、797例の乳がん腫瘍、530例の頭頸部の扁平上皮がん、325例の淡明細胞型腎細胞がん、475例の肺腺がん、370例の肺扁平上皮がん、265例の肉腫及び473例の皮膚メラノーマからの生データを、遡及的に解析した。
DNAメチル化解析には、HumanMethylation450 BeadChipのビーズがカバーする遺伝子のさまざまな領域が含まれていた:配列番号(SEQ ID NO):16〜配列番号(SEQ ID NO): 21及び配列番号(SEQ ID NO):37〜配列番号(SEQ ID NO): 42は、CD28遺伝子の直前のDNAメチル化を検出する。配列番号(SEQ ID NO):22〜配列番号(SEQ ID NO): 26及び配列番号(SEQ ID NO):43〜配列番号(SEQ ID NO): 47は、CD28コーディング領域におけるDNAメチル化を検出する。配列番号(SEQ ID NO):27〜配列番号(SEQ ID NO):29及び配列番号(SEQ ID NO):48は、CD28CTLA4との間の範囲のDNAメチル化を検出する。配列番号(SEQ ID NO):30〜配列番号(SEQ ID NO):33、配列番号(SEQ ID NO):49及び配列番号(SEQ ID NO):50は、CTLA4遺伝子のコーディング領域におけるDNAメチル化を検出する。配列番号(SEQ ID NO):52は、CTLA4ICOSとの間の領域のDNAメチル化解析を可能にする。配列番号(SEQ ID NO):34〜配列番号(SEQ ID NO):36及び配列番号(SEQ ID NO):53〜配列番号(SEQ ID NO):56は、ICOS遺伝子のコーディング領域のDNAメチル化を検出する。配列番号(SEQ ID NO):57〜配列番号(SEQ ID NO):64は、CD80遺伝子のコーディング領域及びプロモーターにおけるDNAメチル化を検出する。配列番号(SEQ ID NO):65〜配列番号(SEQ ID NO):77は、CD86遺伝子のコーディング領域及びプロモーターにおけるDNAメチル化を検出する。配列表は、HumanMethylation450 BeadChipのどのビーズが、それぞれの配列のDNAメチル化解析に使用されたかを示す。
これらの遺伝子座の共メチル化を、CTLA4遺伝子の配列番号(SEQ ID NO):51(Bead cg08460026)のDNAメチル化に関連付けさせて決定した。これは、リアルタイム定量PCRによって実施例1で試験した、配列番号(SEQ ID NO):13と同じ4つのCpGジヌクレオチドを含む。これによって、実施例1に示される結果と直接的に関連付けて、前記免疫療法に対する悪性疾患の応答性を予測することができるようになる。
最初に、検討したビーズ対の各々及び各患者試料について、HumanMethylation450 BeadChip生データを用いて、メチル化値を計算した。この目的のために、メチル化バリアント(S_M)に結合する対のビーズのシグナルを、非メチル化DNA (S_U)に結合する対のビーズのシグナルに関連付けた。ビーズは、結合するオリゴヌクレオチドを含み、本明細書ではプローブとも呼ばれる。DNAメチル化は、以下の式による比に基づいて計算した:メチル化=(強度プローブS_M) / ((強度プローブS_M) + (強度プローブS_U))。
図3〜10は、種々のタイプの悪性疾患における、解析した遺伝子座の共メチル化の程度を示す。前記遺伝子座は、配列番号(SEQ ID NO):16(縦:上部、横:左)〜配列番号(SEQ ID NO):77(縦:下部、横:右)によって、縦及び横に同定される。配列番号(SEQ ID NO): 51(黒枠)は、実施例1で、リアルタイム定量PCRを用いて、CTLA4遺伝子のDNAメチル化を検出することを検討した配列番号(SEQ ID NO): 13を含む。
マトリックスは、試験した特定の配列のDNAメチル化が他の配列のDNAメチル化と相関しているかどうかを示す。2つの配列のDNAメチル化の間の統計的に有意な相関、即ち、0.05未満のSpearmanランク相関のp値は、灰色のボックスとしてマトリックス中に示される。白い領域は、2つの対応する配列のDNAメチル化に有意な相関(p≧0.05)がないことを示す。
その結果は、CD28CD80CD86及びICOSの全ての解析した遺伝子領域に、DNAメチル化が存在し、これらは、試験をした悪性疾患におけるCTLA4のDNAメチル化と有意に正に相関することを、明確に示している。この共メチル化に基づいて、本発明者は、CTLA4と同様に、CD28CD80CD86及びICOS遺伝子のDNAメチル化と、実施例1による免疫療法に対する悪性疾患の応答性との間にも相関性があることを証明することができた。結果として、CTLA4のDNAメチル化解析の代替として、又はそれに加えて、遺伝子CD28CD80CD86及びICOSのうちの1種以上のDNAメチル化解析によって、PD-1-阻害免疫チェックポイント・シグナル伝達を阻害するように設計された免疫療法に対する悪性疾患の応答挙動の予測が可能になる。
本発明の更なる特別な利点は、上記の共メチル化から得られるものであり、遺伝子CTLA4CD28CD80CD86及びICOSのDNAメチル化解析がまた、互いに機能的に影響を及ぼし得る、ということである。例えば、上記に示したように、本発明による遺伝子の低いDNAメチル化は、本発明による別の遺伝子の低いDNAメチル化と相関する。従って、両方の遺伝子のDNAメチル化解析を組み合わせることによって、免疫療法に対する悪性疾患の応答性を予測することに関して、両方の個々の結果がお互いに補完しあい、特に堅牢な全体的な結果となる効果がもたらされる。応答挙動を予測する際の、本発明による遺伝子のDNAメチル化解析のこの相互の「統合効果」は、単一の免疫調節遺伝子について利用可能なDNA量が、DNAメチル化解析の検出下限に近い少量のサンプルの場合に特に有利である。その結果、本発明は、日常の臨床診療において、しばしば、悪性疾患の細胞及び/又は免疫細胞に由来するDNAが少量含まれる、組織又は液体生検が少量のみ利用可能であり、それによって悪性疾患の応答挙動を確実に予測しなければならない、という問題を解決する。

Claims (13)

  1. PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計された、免疫療法に対する悪性疾患の応答性を予測するための方法、
    ここで、前記悪性疾患の細胞及び/又は前記悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部についてDNAメチル化解析を行う、並びに、
    前記免疫療法に対する悪性疾患の応答性は、前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化の存在、非存在及び/又は程度に基づいて予測される。
  2. 前記DNAメチル化解析が、少なくとも2種の前記免疫調節遺伝子の少なくとも一部を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記免疫療法が活性物質を含む、ここで、前記活性物質はPD-1、PD-L1及び/又はPD-L2に結合することによってPD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害する、特に、前記免疫療法又は前記活性物質は抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体及び/又は抗PD-L2抗体を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞が、Tリンパ球、Bリンパ球、抗原提示細胞及び/又はナチュラル・キラー細胞から選択される、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記悪性疾患が、メラノーマ、がん腫、特に扁平上皮がん又は腺がん、白血病、神経膠芽腫、肉腫及び/又はリンパ腫を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化の程度がより低いほど、前記悪性疾患が免疫療法に応答する可能性がより高く、特に、前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化の欠如が、前記悪性疾患が免疫療法に応答する可能性が高いことを示す、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記DNAメチル化解析が、複数の悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する複数の免疫細胞に由来する免疫調節遺伝子の遺伝子コピーを含み、前記免疫調節遺伝子の遺伝子コピーの40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下がDNAメチル化を有する場合、前記免疫療法に対する悪性疾患の応答する可能性が高い、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
  8. 以下を含む、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計された免疫療法のための、悪性疾患に罹患している患者を選択する方法、
    A) 患者の、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞を提供すること、
    B) A)からの悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部のDNAメチル化解析を行うこと、
    C) B)で決定された免疫調節遺伝子のDNAメチル化の存在、非存在及び/又は程度に基づいて、前記免疫療法のための患者を選択すること。
  9. 以下のための、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部のDNAメチル化解析の使用、
    a) 免疫療法に対する前記悪性疾患の応答性を予測するため、
    b) 悪性疾患に対する免疫療法を個別に選択するため、及び/又は
    c) 免疫療法のために悪性疾患を患っている患者を選択するため、
    ここで、前記免疫療法は、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計されている。
  10. 以下のための、バイオマーカーとしての、悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部のDNAメチル化の存在、非存在及び/又は程度の使用、
    i) 免疫療法に対する前記悪性疾患の応答性を予測するため、
    ii) 悪性疾患に対する免疫療法を個別に選択するため、及び/又は
    iii) 免疫療法のために悪性疾患を患っている患者を選択するため、
    ここで、前記免疫療法は、PD-1免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように設計されている。
  11. 前記免疫療法が、CTLA4免疫チェックポイント・シグナル伝達経路を阻害するように更に設計されている、特に、前記免疫療法が、抗CTLA4抗体、抗CD80抗体、抗CD86抗体、及び/又は抗CD28抗体を更に含む、請求項9又は10に記載の使用。
  12. 悪性疾患の細胞及び/又は悪性疾患の細胞と相互作用する免疫細胞のCTLA4CD86CD28CD80及び/又はICOSから選択される免疫調節遺伝子の少なくとも一部のDNAメチル化解析のための試薬を含み、前記免疫調節遺伝子のDNAメチル化の存在、非存在及び/又は程度を決定する、請求項1〜8の何れか一項に記載の方法を実施するための、又は請求項9〜11の何れか一項に記載の使用のための、キット。
  13. 前記DNAメチル化解析が、少なくとも2種の前記免疫調節遺伝子の少なくとも一部を含む、請求項12に記載のキット。
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