JP2021197391A - デバイス基板用仮接着剤、デバイス基板積層体及びデバイス基板積層体の製造方法 - Google Patents

デバイス基板用仮接着剤、デバイス基板積層体及びデバイス基板積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接着が容易であり、かつ、高段差基板の均一な膜厚での形成も可能であり、TSV形成、裏面配線工程に対する工程適合性が高く、更には、CVDといった熱プロセス耐性に優れ、剥離も容易で、薄型デバイス基板の生産性を高めることができる、デバイス基板用仮接着剤、デバイス基板積層体、及びデバイス基板積層体の製造方法を提供する。【解決手段】(A)ガラス転移温度が200℃以上である非シリコーン系熱可塑性樹脂を含む樹脂層A、及び(B)シリコーン樹脂を含む樹脂層Bを含むデバイス基板用仮接着剤。【選択図】なし

Description

本発明は、薄型デバイス基板を効果的に得ることを可能にするためのデバイス基板用仮接着剤、デバイス基板積層体及びデバイス基板積層体の製造方法に関する。
3次元の半導体実装は、より一層の高密度、大容量化を実現するために必須となってきている。3次元実装技術とは、1つの半導体チップを薄型化し、更にこれをシリコン貫通電極(TSV;Through Silicon Via)によって結線しながら多層に積層していく半導体作製技術である。これを実現するためには、半導体回路を形成した基板を回路非形成面(以下、裏面ともいう。)研削によって薄型化し、更に裏面にTSVを含む電極形成を行う工程が必要である。従来、シリコン基板の裏面研削工程では、研削面の反対側に裏面保護テープを貼り、研削時のウエハ破損を防いでいる。しかし、このテープは有機樹脂フィルムを基材として用いており、柔軟性がある反面、強度や耐熱性が不十分であり、TSV形成工程や裏面での配線層形成工程を行うには適しない。
そこで、半導体基板等のデバイス基板をシリコン、ガラス等の支持体に接着層を介して接合することによって、裏面研削、TSVや裏面電極形成の工程に十分耐え得るシステムが提案されている。このとき重要なのが、基板を支持体に接合する際の接着層である。これは基板を支持体に隙間なく接合でき、後の工程に耐えるだけの十分な耐久性が必要で、更に最後に薄型ウエハを支持体から簡便に剥離できることが必要である。このように、最後に剥離することから、本明細書では、この接着層を仮接着層と呼ぶことにする。
これまでに公知の仮接着層とその剥離方法としては、光吸収性物質を含む接着剤に高強度の光を照射し、仮接着層を分解することによって支持体から仮接着層を剥離する技術(特許文献1)、及び熱溶融性の炭化水素系化合物を接着剤に用い、加熱溶融状態で接合・剥離を行う技術(特許文献2)が提案されている。前者の技術は、レーザー等の高価な装置が必要であり、かつ基板1枚あたりの処理時間が長くなる等の問題があった。また後者の技術は、加熱だけで制御するため簡便である反面、200℃を超える高温での熱安定性が不十分であるため、適用範囲は狭かった。更にこれらの接着剤では、高段差基板の均一な膜厚形成と、支持体への完全接着にも適さなかった。
シリコーン粘着剤を仮接着層に用いる技術が提案されている(特許文献3)。これは、基板を支持体に付加硬化型のシリコーン粘着剤を用いて接合し、剥離の際にはシリコーン樹脂を溶解あるいは分解するような薬剤に浸漬して基板を支持体から分離するものである。そのため、剥離に非常に長時間を要し、実際の製造プロセスへの適用は困難であった。また、ウエハ加工時の耐熱性に優れ、仮接着性が良好かつ常温での剥離性も良好である仮接着剤が提案されている(特許文献4)。しかし、この仮接着剤は、3層構造のため、基板への塗布が3回必要といった煩雑さがあった。
特開2004−64040号公報 特開2006−328104号公報 米国特許第7541264号公報 特開2014−131004号公報
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、仮接着が容易であり、かつ、高段差基板の均一な膜厚での形成も可能であり、TSV形成、裏面配線工程に対する工程適合性が高く、更には、CVDといった熱プロセス耐性に優れ、剥離及び洗浄も容易で、薄型デバイス基板の生産性を高めることができる、デバイス基板用仮接着剤、デバイス基板積層体及びデバイス基板積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、ガラス転移温度が200℃以上の非シリコーン系熱可塑性樹脂及びシリコーン樹脂をデバイス基板と支持体との仮接着に使用すること、並びにデバイス基板、非シリコーン系熱可塑性樹脂含有層、シリコーン樹脂含有層及び支持体の順に形成した構造として使用することで、貫通電極構造や、バンプ接続構造を有する薄型デバイス基板を簡単に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
したがって、本発明は、下記デバイス基板用仮接着剤、デバイス基板積層体及びデバイス基板積層体の製造方法を提供する。
1.(A)ガラス転移温度が200℃以上である非シリコーン系熱可塑性樹脂を含む樹脂層A、及び(B)シリコーン樹脂を含む樹脂層Bを含むデバイス基板用仮接着剤。
2.前記非シリコーン系熱可塑性樹脂が、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエーテル、芳香族ポリエステル及びこれらの変性樹脂から選ばれる少なくとも1種である1のデバイス基板用仮接着剤。
3.前記シリコーン樹脂の25℃における粘度が7,000Pa・s以上であり、前記シリコーン樹脂の80〜150℃の範囲における最低粘度が50〜5,000Pa・sである1又は2のデバイス基板用仮接着剤。
4.前記シリコーン樹脂の25℃における粘度が10,000Pa・s以上であり、前記シリコーン樹脂の80〜150℃の範囲における最低粘度が50〜1,000Pa・sである3のデバイス基板用仮接着剤。
5.デバイス基板と、仮接着層と、支持体とをこの順に備える積層体であって、前記仮接着層が、デバイス基板側から順に、(A)ガラス転移温度が200℃以上である非シリコーン系熱可塑性樹脂を含む樹脂層A、及び(B)シリコーン樹脂を含む樹脂層Bを含むものであるデバイス基板積層体。
6.5のデバイス基板積層体の製造方法であって、
(a)デバイス基板にシリコーン樹脂を含む樹脂層Aを形成し、支持体にガラス転移温度が200℃以上である非シリコーン系熱可塑性樹脂を含む樹脂層Aを形成する工程、並びに
(b)樹脂層Aを形成したデバイス基板と樹脂層Bを形成した支持体とを、樹脂層A及び樹脂層Bを介して貼り合わせる工程
を含むデバイス基板積層体の製造方法。
本発明のデバイス基板用仮接着剤を用いれば、デバイス基板と支持体との仮接着が容易であり、かつ高温領域での作業性が優れ、高段差基板の均一な膜厚での形成も可能であり、TSV形成、裏面配線工程に対する工程適合性が高く、更には、CVDといった熱プロセス耐性も良好で、加工後の剥離も容易であり、薄型デバイス基板の生産性を高めることができる。
本発明のデバイス基板用仮接着剤は、(A)ガラス転移温度が200℃以上である非シリコーン系熱可塑性樹脂を含む樹脂層A、及び(B)シリコーン樹脂を含む樹脂層Bを含むものである。
[(A)樹脂層A]
(A)樹脂層Aは、ガラス転移温度(Tg)が200℃以上の非シリコーン系熱可塑性樹脂を含むものである。このような樹脂としては、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエーテル、芳香族ポリエステル、アクリル樹脂等これらの変性樹脂等が挙げられる。これらのうち、特に芳香族ポリエーテル及び芳香族ポリエステルが好ましい。
前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜50,000が好ましく、10,000〜30,000がより好ましい。Mwが前記範囲であれば、耐熱性及び溶剤溶解性の両立を確保できる。なお、本発明においてMwは、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
前記熱可塑性樹脂は、公知の方法で合成してもよく、又は市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、ユニファイナー(登録商標)M−2000H、M−2040、V−575、W−575(ユニチカ(株)製)、ザイロン(登録商標)200H、240V、300H、340V、400H、500H(旭硝子(株)製)等が挙げられる。
樹脂層Aは、前記非シリコーン系熱可塑性樹脂を含む組成物(以下、熱可塑性樹脂組成物Aともいう。)を用いて形成することができる。具体的な形成方法については、後述する。
熱可塑性樹脂組成物Aは、溶剤を含む溶液としてもよい。前記溶剤としては、イソオクタン、ノナン、p−メンタン、ピネン、p−キシレン、シクロヘキサノン等の炭化水素系溶剤が挙げられる。これらのうち、コーティング性の観点から、ノナン、p−メンタン、イソオクタン、p−キシレン、シクロヘキサノンが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物Aは、その耐熱性を向上させるため、公知の酸化防止剤を含んでもよい。前記酸化防止剤としては、ジ−tert−ブチルフェノール等が好ましい。前記酸化防止剤を含む場合、その含有量は、前記非シリコーン系熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。
また、熱可塑性樹脂組成物Aは、塗布均一性を向上させるため、界面活性剤を含んでもよい。前記界面活性剤としては、フッ素シリコーン系界面活性剤が好ましく、例えば、X−70−1102(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。前記界面活性剤を含む場合、その含有量は、前記非シリコーン系熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.001〜3質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましい。
また、熱可塑性樹脂組成物Aは、溶剤を含まないフィルム状組成物として使用することもできる。
樹脂層Aの厚さは、特に限定されず、デバイス基板上の段差等に応じて適宜設定すればよいが、通常0.5〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。樹脂層Aの厚さが前記範囲であれば、デバイス基板の段差を埋めて良好な貼り合わせ性を確保できる。
[(B)樹脂層B]
(B)樹脂層Bは、シリコーン樹脂を含むものである。前記シリコーン樹脂は、特に限定されないが、熱硬化性シリコーン樹脂であることが好ましい。
樹脂層Bに含まれるシリコーン樹脂は、25℃における粘度が7,000Pa・s以上であり、80〜150℃の範囲における最低粘度が50〜5,000Pa・sであることが好ましく、25℃における粘度が10,000Pa・s以上であり、80〜150℃の範囲における最低粘度が50〜1,000Pa・sであることがより好ましい。前記シリコーン樹脂の25℃における粘度の上限は、100,000,000Pa・s以下が好ましく、5,000,000Pa・s以下がより好ましい。なお、本発明において、粘度は、レオメーターによる測定値である。
前記シリコーン樹脂としては、下記式(1)で表される単位及び下記式(2)で表される単位を含む熱硬化性変性シリコーン樹脂(以下、シリコーン樹脂B1ともいう。)、又は下記式(3)で表される単位及び下記式(4)で表される単位を含む熱硬化性変性シリコーン樹脂(以下、シリコーン樹脂B2ともいう。)が好ましい。なお、耐熱性の観点からは、シリコーン樹脂B1が好ましい。
Figure 2021197391
式(1)〜(4)中、R1〜R8は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の1価炭化水素基である。p及びqは、それぞれ独立に、1〜100の整数である。A及びBは、0<A≦1、0≦B≦1及び0.5≦A+B≦1を満たす数である。C及びDは、0<C≦1、0≦D≦1及び0.5≦C+D≦1を満たす数である。また、B/Aは0〜20が好ましく、0.5〜5がより好ましい。D/Cは0〜20が好ましく、0.5〜5がより好ましい。
式(1)及び(3)中、p及びqは、それぞれ独立に、1〜100の整数であり、好ましくは3〜60の整数であり、より好ましくは8〜40の整数である。
式(1)〜(4)中、X1は、下記式(5)で表される2価の基であり、X2は、下記式(6)で表される2価の基である。
Figure 2021197391
式(5)及び(6)中、Y1及びY2は、それぞれ独立に、単結合、メチレン基、プロパン−2,2−ジイル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2,2−ジイル基又はフルオレン−9,9−ジイル基である。R11〜R14は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基である。R11〜R14の具体例としては、メチル基、エチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。r、s、t及びuは、それぞれ独立に、0、1又は2である。
式(1)及び(2)において、シロキサン単位が2以上ある場合(すなわち、p及びqがそれぞれ2以上の整数のとき)、シロキサン単位は、全て同一であってもよく、2種以上の異なるシロキサン単位を含んでいてもよい。2種以上の異なるシロキサン単位を含む場合、シロキサン単位がランダムに結合したものでも交互に結合したものでもよく、同種のシロキサン単位のブロックを複数含むものであってもよい。
シリコーン樹脂B1のMwは、3,000〜500,000が好ましく、10,000〜100,000がより好ましい。また、シリコーン樹脂B2のMwは、3,000〜500,000が好ましく、10,000〜100,000がより好ましい。また、シリコーン樹脂B1及びB2中のシリコーン(シロキサン単位)含有率は、樹脂中10〜80質量%であることが好ましい。なお、シリコーン含有率は、シリコーン樹脂の原料となる各モノマーの合計質量に対するシロキサン単位含有原料の質量百分率である。
シリコーン樹脂としてシリコーン樹脂B1又はB2を用いる場合、樹脂層Bは、シリコーン樹脂B1又はB2を含む樹脂組成物(以下、シリコーン樹脂組成物Bともいう。)を用いて形成することができる。具体的な形成方法については、後述する。
シリコーン樹脂組成物Bは、熱硬化させるために、架橋剤を含むことが好ましい。シリコーン樹脂B1を用いる場合は、1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物あるいは1分子中に平均して2個以上のフェノール性ヒドロキシ基を有するフェノール化合物の少なくとも1種を架橋剤として含むことが好ましい。シリコーン樹脂B2を用いる場合は、1分子中に平均して2個以上のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含む、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物等の含窒素化合物及びこれらの縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物、及び1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種を架橋剤として含むことが好ましい。
1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、特に限定されないが、2官能、3官能、4官能以上の多官能エポキシ樹脂、例えば、日本化薬(株)製のEOCN-1020(下記式参照)、EOCN-102S、XD-1000、NC-2000-L、EPPN-201、GAN、NC6000や、下記式で表されるもの等が挙げられる。
Figure 2021197391
1分子中に平均して2個以上のフェノール性ヒドロキシ基を有するフェノール化合物としては、m−又はp−クレゾール系ノボラック樹脂(例えば、旭有機材工業(株)製EP-6030G)、3官能フェノール化合物(例えば、本州化学工業(株)製TrisP-PA)、4官能性フェノール化合物(例えば、旭有機材工業(株)製TEP-TPA)等が挙げられる。
前記架橋剤の含有量は、前記シリコーン樹脂B1又はB2 100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、0.1〜30質量部がより好ましく、1〜20質量部が更に好ましい。前記架橋剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、シリコーン樹脂組成物Bは、酸無水物等の硬化触媒を含んでもよい。硬化触媒を含む場合、その含有量は、シリコーン樹脂B1又はB2 100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましい。
シリコーン樹脂組成物Bは、溶剤を含む溶液としてもよい。前記溶剤としては、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられる。
前記溶剤の含有量は、シリコーン樹脂B1又はB2 100質量部に対し、10〜90質量部が好ましく、30〜70質量部がより好ましい。前記溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
シリコーン樹脂組成物Bは、耐熱性を更に高めるため、公知の酸化防止剤を含んでもよい。前記酸化防止剤としては、従来公知のものを使用することができるが、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、有機リン化合物及び有機硫黄化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。酸化防止剤を含む場合、その含有量は、シリコーン樹脂B1又はB2 100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。前記酸化防止剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
シリコーン樹脂組成物Bは、更に耐熱性を高めるため、シリカ等のフィラーを含んでもよい。フィラーを含む場合、その含有量は、シリコーン樹脂B1又はB2 100質量部に対し、1〜50質量部が好ましい。
シリコーン樹脂組成物Bは、更に、塗布均一性を向上させるため、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤を含む場合、その含有量は、シリコーン樹脂B1又はB2 100質量部に対し、0.01〜3質量部が好ましい。
また、シリコーン樹脂組成物Bは、溶剤を含まないフィルム状組成物として使用することもできる。
このような熱硬化性変性シリコーン樹脂を使用することで、樹脂の熱分解が生じないことはもとより、高温時での樹脂の流動も生じず、耐熱性が高いために、幅広い半導体成膜プロセスに適用でき、段差を有するデバイス基板に対しても、膜厚均一性の高い仮接着層の形成が可能となり、更には、薄型デバイス基板作製後、このデバイス基板を支持体から室温で容易に剥離することができるため、割れ易い薄型ウエハを容易に製造することができる。
また、樹脂層Bに含まれるシリコーン樹脂としては、(B3−1)1分子中に2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、(B3−2)(B3−1)成分中のアルケニル基に対する(B3−2)成分中のSiH基のモル比が0.3〜10となる量の、1分子中に2個以上のSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(B3−3)(B3−1)成分及び(B3−2)成分の合計100質量部に対し、0.1〜10質量部の反応制御剤、及び(B3−4)白金系触媒を含む組成物(以下、シリコーン樹脂組成物B'ともいう。)を硬化して得られるシリコーン樹脂(以下、シリコーン樹脂B3ともいう。)を使用することもできる。
(B3−1)成分は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有する直鎖状又は分岐状のジオルガノポリシロキサンであり、特に、1分子中のアルケニル基含有率が0.6〜9mol%であるものが好ましい。なお、本発明においてアルケニル基含有率とは、分子中のSi原子数に対するアルケニル基数の割合(mol%)である。
このようなジオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記式(7)で表されるもの及び下記式(8)で表されるものが挙げられる。
Figure 2021197391
式(7)及び(8)中、R21〜R32は、それぞれ独立に、脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基である。Z1〜Z4は、それぞれ独立に、アルケニル基を有する1価有機基である。a及びbは、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、m1、m2、n1及びn2は、0≦m1≦200、2≦m2≦200、0≦n1≦200及び0≦n2≦200を満たす数である。a、b、m1、m2、n1及びn2は、アルケニル基含有量が0.6〜9mol%となるような数であることが好ましい。
前記脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基等が挙げられ、特にメチル基等のアルキル基又はフェニル基が好ましい。
前記アルケニル基を有する1価有機基としては、炭素数2〜10のものが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基;アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基等の(メタ)アクリロイルアルキル基;アクリロキシプロピル基、アクリロキシメチル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシメチル基等の(メタ)アクリロキシアルキル基;シクロヘキセニルエチル基、ビニルオキシプロピル基等のアルケニル基含有1価炭化水素基が挙げられ、特に、工業的にはビニル基が好ましい。
式(7)中、a及びbは、それぞれ独立に、0〜3の整数であるが、a及びbが1〜3の整数であれば、分子鎖末端がアルケニル基で封鎖されるため、反応性のよいこの分子鎖末端アルケニル基により、短時間で反応を完結することができ好ましい。更には、コスト面において、a=1及びb=1であることが工業的に好ましい。
(B3−1)成分のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの性状は、オイル状又は生ゴム状であることが好ましい。前記アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
(B3−2)成分は架橋剤であり、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
(B3−2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における粘度は、1〜5,000mPa・sが好ましく、5〜500mPa・sがより好ましい。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは2種以上の混合物でもよい。
(B3−2)成分の使用量は、(B3−1)成分中のアルケニル基の合計に対する(B3−2)成分中のSiH基の合計が、モル比(SiH基/アルケニル基)で、0.3〜10となる量が好ましく、1.0〜8となる量がより好ましい。前記モル比が0.3以上であれば、架橋密度が低くなることもなく、粘着剤層が硬化しないといった問題も起こらない。前記モル比が10以下であれば、架橋密度が高くなりすぎることもなく、十分な粘着力及びタックが得られる。また、前記モル比が10以下であれば、処理液の使用可能時間を長くすることができる。
(B3−3)成分は反応制御剤でありシリコーン樹脂組成物B'を調合ないし基材に塗工する際に、加熱硬化前に処理液が増粘やゲル化を起こさないようにするために必要に応じて任意に添加するものである。その具体例としては、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサノール、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ブチン、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン、3,5−ジメチル−3−トリメチルシロキシ−1−ヘキシン、1−エチニル−1−トリメチルシロキシシクロヘキサン、ビス(2,2−ジメチル−3−ブチノキシ)ジメチルシラン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン等が挙げられる。これらのうち、1−エチニルシクロヘキサノール及び3−メチル−1−ブチン−3−オールが好ましい。
シリコーン樹脂組成物B'が(B3−3)成分を含む場合、その含有量は、通常前記(B3−1)成分及び(B3−2)成分の合計100質量部に対し、0.01〜8質量部が好ましく、0.05〜2質量部であるのが好ましい。8質量部以下であればシリコーン樹脂組成物B'の硬化性が低下することがなく、0.01質量部以上であると反応制御の効果が十分発揮される。
(B3−4)成分は白金系触媒(すなわち、白金族金属触媒)であり、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物等が挙げられる。
(B3−4)成分の含有量は有効量であり、通常(B3−1)〜(B3−3)成分の合計に対し、白金分(質量換算)として1〜5,000ppmであり、5〜2,000ppmであることが好ましい。1ppm以上であればシリコーン樹脂組成物B'の硬化性が低下することもなく、架橋密度が低くなることも、保持力が低下することもない。5,000ppm以下であれば、処理浴の使用可能時間を長くすることができる。
樹脂層Bには、更にRA 3SiO0.5単位(式中、RAは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基)及びSiO2単位を含有し、RA 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.3〜1.8であるオルガノポリシロキサンを添加してもよい。添加する場合、その添加量としては、樹脂層B中の(B3−1)成分100質量部に対し、0〜30質量部が好ましい。
樹脂層Bの厚さは、0.1〜60μmが好ましく、5〜40μmがより好ましい。樹脂層Bの厚さが、0.1μm以上であれば塗布しきれない部分を生じることなく全体に塗布することができ、60μm以下であれば薄型ウエハを形成する場合の研削工程に耐えることができる。
[デバイス基板積層体]
本発明のデバイス基板積層体は、デバイス基板と、仮接着層と、支持体とをこの順に備える積層体であって、前記仮接着層が、デバイス基板側から順に、前記樹脂層A及び樹脂層Bを含むものである。
前記デバイス基板としては、特に限定されないが、通常、半導体ウエハである。該半導体ウエハの例としては、シリコンウエハ、ゲルマニウムウエハ、ガリウム−ヒ素ウエハ、ガリウム−リンウエハ、ガリウム−ヒ素−アルミニウムウエハ等が挙げられる。前記ウエハの厚さは、特に限定されないが、通常600〜800μmが好ましく、625〜775μmがより好ましい。
前記支持体としては、シリコンウエハ、ガラス板、石英ウエハ等が使用できるが、これらに限定されない。なお、本発明においては、支持体を通じて仮接着層に放射エネルギー線を照射する必要はなく、支持体の光線透過性は不要である。前記支持体の厚さは、600〜800μmが好ましく、625〜775μmがより好ましい。
[デバイス基板積層体の製造方法]
本発明のデバイス基板積層体の製造方法は、下記工程(a)及び(b)を含むものである。
[工程(a)]
工程(a)は、前記デバイス基板の片面に樹脂層Aを形成し、前記支持体の片面に、樹脂層Bを形成する工程である。前記デバイス基板が、片面が回路形成面であり、もう一方の面が回路非形成面である場合、回路形成面に樹脂層Aが形成される。
樹脂層Aは、熱可塑性樹脂組成物Aが溶液である場合は、これをデバイス基板に塗布し、ベークすることで形成することができる。このとき、塗布方法としては、スピンコート、スプレーコート、スリットコート等が挙げられる。また、ベークの条件としては、溶剤を蒸発できる限り特に限定されないが、通常80〜200℃、1〜10分で行うことができる。
また、熱可塑性樹脂組成物Aがフィルム状組成物である場合は、ラミネート法によってデバイス基板上に樹脂層Aを形成することができる。
樹脂層Bも同様に、シリコーン樹脂組成物BやB'が溶液である場合はこれを支持体に塗布し、ベークすることで、フィルム状組成物である場合はラミネート法によって、支持体上に樹脂層Bを形成することができる。なお、塗布方法及びベーク条件は、前述したものと同様である。
[工程(b)]
工程(b)は、樹脂層Aを形成したデバイス基板と、樹脂層Bを形成した支持体とを、樹脂層A及び樹脂層Bを介して貼り合わせる工程である。このとき、好ましくは40〜200℃、より好ましくは60〜180℃の温度範囲で、好ましくは100Pa以下、より好ましくは10Pa以下の減圧下、樹脂層Aと樹脂層Bとを貼り合わせ、これを均一に圧着させ、積層体とする。圧着させるときの圧力は、好ましくは0.01〜10MPa、より好ましくは0.1〜5MPaである。貼り合わせは、市販のウエハ接合装置、例えばEVG社のEVG520IS、850TB、SUSS社のXBC300等を用いて行うことができる。
[工程(c)]
工程(b)後、前記樹脂層Bを熱硬化させてもよい(工程(c))。熱硬化は、工程(b)で形成した前記積層体を、好ましくは120〜220℃、10分〜4時間、より好ましくは150〜200℃、30分〜2時間加熱することで行うことができる。
[薄型デバイス基板の製造方法]
前記積層体のデバイス基板を研削又は研磨し、回路非形成面を加工し、デバイス基板を前記積層体から剥離することで、薄型デバイス基板を製造することができる。薄型デバイス基板の製造方法の具体例としては、下記工程(d)〜(f)を含む方法が挙げられる。
[工程(d)]
工程(d)は、前記デバイス基板積層体の回路非形成面を研削又は研磨する工程、すなわち、前記積層体のデバイス基板の裏面を研磨又は研削して、該デバイス基板の厚みを薄くする工程である。デバイス基板裏面の研磨又は研削する方式は、特に限定されず、公知の方法が採用される。研磨又は研削は、デバイス基板と砥石(ダイヤモンド等)に水をかけて冷却しながら行うことが好ましい。デバイス基板の裏面を研磨又は研削する装置としては、例えば(株)ディスコ製DAG−810(商品名)等が挙げられる。また、デバイス基板の裏面をCMP研磨してもよい。
[工程(e)]
工程(e)は、デバイス基板の回路非形成面を研削した積層体、すなわち、裏面研削によって薄型化された積層体のデバイス基板の回路非形成面に加工を施す工程である。この工程にはウエハレベルで用いられる様々なプロセスが含まれる。例としては、電極形成、金属配線形成、保護膜形成等が挙げられる。より具体的には、電極等の形成のための金属スパッタリング、金属スパッタリング層をエッチングするウェットエッチング、金属配線形成のマスクとするためのレジストの塗布、露光、及び現像によるパターンの形成、レジストの剥離、ドライエッチング、金属めっきの形成、TSV形成のためのシリコンエッチング、シリコン表面の酸化膜形成など、従来公知のプロセスが挙げられる。
[工程(f)]
工程(f)は、工程(e)で加工を施したデバイス基板を積層体から剥離する工程である。この剥離工程は、通常、室温〜60℃程度の比較的低温の条件で実施される。剥離方法としては、積層体のデバイス基板又は支持体の一方を水平に固定しておき、他方を水平方向から一定の角度を付けて持ち上げる方法が挙げられる。
また、工程(f)の後に、(g)剥離したデバイス基板の回路形成面に残存する仮接着層(特に、樹脂層A)を除去する工程を行うこと好ましい。工程(f)により支持体より剥離されたデバイス基板の回路形成面には、樹脂層Aが一部残存している場合があり、該樹脂層Aの除去は、例えば、デバイス基板を洗浄することにより行うことができる。
デバイス基板の洗浄においては、樹脂層A中の熱可塑性樹脂を溶解できる洗浄液であればすべて使用可能である。このような洗浄液としては、例えば、ペンタン、へキサン、シクロヘキサン、デカン、イソノナン、p−メンタン、ピネン、イソドデカン、リモネン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
デバイス基板の洗浄方法としては、前記洗浄液を用いてパドルで洗浄する方法、スプレー噴霧して洗浄する方法、洗浄液槽に浸漬する方法が挙げられる。洗浄する際の温度は、好ましくは10〜80℃、より好ましくは15〜65℃である。
前記洗浄液で樹脂層Aを溶解したのち、必要に応じて、水又はアルコールによるリンスを行い、乾燥処理させてもよい。
本発明の製造方法により得られる薄型デバイス基板の厚さは、典型的には5〜300μmであり、より典型的には10〜100μmである。
以下、合成例、調製例、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、Mwは、カラムとしてTSKgel Super HZM-H(東ソー(株)製)を用い、流量0.6mL/分、溶出溶剤THF、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した。
下記合成例において使用した化合物(M−1)〜(M−6)は、以下のとおりである。
Figure 2021197391
[1]シリコーン樹脂溶液の調製
[合成例1]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコに、化合物(M−1)43.1g、化合物(M−3)29.5g、トルエン135g及び塩化白金酸0.04gを仕込み、80℃に加熱した。その後、化合物(M−5)17.5gを1時間かけてフラスコ内に滴下した。このとき、フラスコ内温度は、85℃まで上昇した。滴下終了後、更に80℃で2時間熟成した後、トルエンを留去し、シクロヘキサノンを80g添加して、樹脂濃度50質量%のシクロヘキサノンを溶剤とする樹脂溶液を得た。この溶液中の樹脂のMwは、45,000であった。更に、この樹脂溶液50gに、架橋剤としてエポキシ架橋剤であるEOCN−1020(日本化薬(株)製)7.5g、硬化触媒としてBSDM(富士フイルム和光純薬(株)製ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン)0.2g、及び酸化防止剤としてアデカスタブ(登録商標)AO−60((株)ADEKA製ヒンダードフェノール系酸化防止剤)0.1gを添加して、1μmのメンブレンフィルターで濾過して、シリコーン樹脂溶液B1を得た。
[合成例2]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコに、化合物(M−2)84.1g及びトルエン600gを入れ、溶解した後、化合物(M−3)294.6g及び化合物(M−4)25.5gを加え、60℃に加熱した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)1gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温するのを確認した後、更に、90℃まで加熱し、3時間熟成した。次いで室温まで冷却した後、メチルイソブチルケトン(MIBK)600gを加え、得られた溶液をフィルターで加圧濾過して白金触媒を取り除いた。この樹脂溶液中の溶剤を減圧留去し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)200gを添加して、樹脂濃度60質量%のPGMEAを溶剤とする樹脂溶液を得た。この溶液中の樹脂のMwは、28,000であった。更に、この樹脂溶液100gに、架橋剤として4官能フェノール化合物であるTEP−TPA(旭有機材工業(株)製)9g、及び硬化触媒としてテトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製、リカシッドHH−A)0.2gを添加して、1μmのメンブレンフィルターで濾過して、シリコーン樹脂溶液B2を得た。
[合成例3]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコに、化合物(M−2)84.1g及びトルエン600gを入れ、溶解した後、化合物(M−3)14.6g及び化合物(M−5)125.5gを加え、60℃に加熱した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)1gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温するのを確認した後、更に、90℃まで加熱し、3時間熟成した。次いで室温まで冷却した後、MIBK600gを加え、得られた溶液をフィルターで加圧濾過して白金触媒を取り除いた。この樹脂溶液中の溶剤を減圧留去し、PGMEA70gを添加して、樹脂濃度60質量%のPGMEAを溶剤とする樹脂溶液を得た。この溶液中の樹脂のMwは、32,000であった。更に、この樹脂溶液100gに、架橋剤としてTrisP−PA(本州化学工業(株)製)を15g、硬化触媒としてn−ヘキシルイミダゾールを0.2g、及び酸化防止剤としてアデカスタブAO−60 0.1gを添加して、1μmのメンブレンフィルターで濾過して、シリコーン樹脂溶液B3を得た。
[合成例4]
0.5mol%のビニル基を分子側鎖に有し、数平均分子量(Mn)が3万のビニル基含有ポリジメチルシロキサン80質量部、及びイソドデカン400質量部からなる溶液に、化合物(M−6)3.0質量部及びエチニルシクロヘキサノール0.7質量部を添加し、混合した。なお、ビニル基含有ポリジメチルシロキサンのビニル基に対するオルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基のモル比(SiH/SiVi)は、1.1であった。更に、白金触媒CAT−PL−5(信越化学工業(株)製)を0.5質量部添加して、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、リコーン樹脂溶液B4を得た。
[2]非シリコーン系熱可塑性樹脂溶液の調製
[調製例1]
ポリアリレート樹脂であるユニファイナーM−2000H(Mw=35,000、ユニチカ(株)製)20gをシクロヘキサノン134gに溶解し、得られた溶液を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、13質量%の非シリコーン系熱可塑性樹脂溶液A1を得た。樹脂のTgをJIS K 7121に準拠し測定したところ、270℃であった。
[調製例2]
ポリフェニレンエーテル樹脂であるザイロンS201A(Mw=15,000、旭化成(株)製)20gをp−キシレン180gに溶解し、得られた溶液を1μmのメンブレンフィルターで濾過して、10質量%の非シリコーン系熱可塑性樹脂溶液A2を得た。樹脂のTgをJIS K 7121に準拠し測定したところ、218℃であった。
[調製例3]
水素添加ポリスチレン系熱可塑性樹脂であるセプトン2002(Mw=43,000、(株)クラレ製)24gをイソノナン176gに溶解し、得られた溶液を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、12質量%の非シリコーン系熱可塑性樹脂溶液A3を得た。樹脂のTgをJIS K 7121に準拠し測定したところ、89℃であった。
[3]積層体の作製及びその評価
[実施例1〜5及び比較例1]
表面に高さ10μm、直径40μmの銅ポストが全面に形成された直径200mm、厚さ725μmのシリコンウエハに、非シリコーン系熱可塑性樹脂溶液A1、A2又はA3をスピンコートした後、ホットプレートで150℃、5分間加熱することで、銅ポスト形成面に表1に示す厚さの樹脂層Aを成膜した。
一方、支持体である直径200mm、厚さ700μmのガラス板に、シリコーン樹脂溶液B1、B2、B3又はB4をスピンコートした後、ホットプレートで、150℃、3分間加熱することで、ガラス板上に表1に示す厚さの樹脂層Bを形成した。
このようにして、樹脂層Aが形成されたシリコンウエハ及び樹脂層Bが形成されたガラス板を、樹脂層Aと樹脂層Bとが合わさるように、真空貼り合わせ装置内(EVG社製、EVG520IS)内で、0.1Pa以下の減圧条件下、120℃で、5kNの荷重をかけて貼り合わせ、デバイス基板積層体を作製した。
前記デバイス基板積層体に対し、下記試験を行った。結果を表1に示す。なお、評価は以下の順で実施した。
(1)接着性試験
界面の接着状況を目視で確認し、界面での気泡などの異常が発生しなかった場合を良好と評価して「○」で示し、異常が発生した場合を不良と評価して「×」で示した。
(2)裏面研削耐性試験
グラインダー((株)DISCO製、DAG810)で、ダイヤモンド砥石を用いてシリコンウエハの裏面研削を行った。最終基板厚50μmまで研削した後、光学顕微鏡(100倍)にてクラック、剥離等の異常の有無を調べた。異常が発生しなかった場合を良好と評価して「○」で示し、異常が発生した場合を不良と評価して「×」で示した。
(3)CVD耐性試験
シリコンウエハを裏面研削した後の加工体をCVD装置に導入し、2μmのSiO2膜の生成実験を行い、その際の外観異常の有無を調べた。外観異常が発生しなかった場合を良好と評価して「○」で示し、ボイド、ウエハ膨れ、ウエハ破損等の外観異常が発生した場合を不良と評価して「×」で示した。
なお、CVD耐性試験の条件は、以下のとおりである。
装置:プラズマCVD PD270STL(サムコ(株)製)
RF500W、内圧40Pa
TEOS(テトラエチルオルソシリケート):O2=20sccm:680sccm
(4)剥離性試験
支持体の剥離性は、まず、CVD耐性試験を終えたウエハ加工体の50μmまで薄型化したウエハ側にダイシングフレームを用いてダイシングテープを貼り、このダイシングテープ面を真空吸着によって、吸着板にセットした。その後、室温にて、ガラス板の1点をピンセットにて持ち上げることで、ガラス板を剥離した。50μmのウエハを割ることなく剥離できた場合を「○」で示し、割れ等の異常が発生した場合を不良と評価して「×」で示した。
(5)洗浄除去性試験
前記剥離性試験終了後のダイシングテープを介してダイシングフレームに装着された200mmウエハ(CVD耐性試験条件に晒されたもの)を、仮接着層を上にしてスピンコーターにセットし、表1に示す洗浄溶剤を5分間噴霧して洗浄した後、ウエハを回転させながらイソプロピルアルコールを噴霧してリンスした。その後、外観を観察して残存する樹脂層の有無を目視で確認した。樹脂の残存が認められないものを良好と評価して「○」で示し、樹脂の残存が認められたものを不良と評価して「×」で示した。
(6)粘度測定
粘度は、以下の測定機器及び条件で測定した。
装置:HAAKE MARS II(サーモサイエンティフィック社製)
昇温速度:10℃/分
測定周波数:1Hz
測定ギャップ:500μm
測定サンプルサイズ:直径8mm
Figure 2021197391
なお、本実施例では基板接着後の異常を目視で判別するために支持体としてガラス板を使用したが、ウエハ等の光を透過しないシリコン基板も使用可能である。

Claims (6)

  1. (A)ガラス転移温度が200℃以上である非シリコーン系熱可塑性樹脂を含む樹脂層A、及び(B)シリコーン樹脂を含む樹脂層Bを含むデバイス基板用仮接着剤。
  2. 前記非シリコーン系熱可塑性樹脂が、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエーテル、芳香族ポリエステル及びこれらの変性樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のデバイス基板用仮接着剤。
  3. 前記シリコーン樹脂の25℃における粘度が7,000Pa・s以上であり、前記シリコーン樹脂の80〜150℃の範囲における最低粘度が50〜5,000Pa・sである請求項1又は2記載のデバイス基板用仮接着剤。
  4. 前記シリコーン樹脂の25℃における粘度が10,000Pa・s以上であり、前記シリコーン樹脂の80〜150℃の範囲における最低粘度が50〜1,000Pa・sである請求項3記載のデバイス基板用仮接着剤。
  5. デバイス基板と、仮接着層と、支持体とをこの順に備える積層体であって、前記仮接着層が、デバイス基板側から順に、(A)ガラス転移温度が200℃以上である非シリコーン系熱可塑性樹脂を含む樹脂層A、及び(B)シリコーン樹脂を含む樹脂層Bを含むものであるデバイス基板積層体。
  6. 請求項5記載のデバイス基板積層体の製造方法であって、
    (a)デバイス基板にシリコーン樹脂を含む樹脂層Aを形成し、支持体にガラス転移温度が200℃以上である非シリコーン系熱可塑性樹脂を含む樹脂層Aを形成する工程、並びに
    (b)樹脂層Aを形成したデバイス基板と樹脂層Bを形成した支持体とを、樹脂層A及び樹脂層Bを介して貼り合わせる工程
    を含むデバイス基板積層体の製造方法。
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