JP2021195423A - 水性樹脂組成物 - Google Patents

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潤一 宮宅
Junichi Miyake
辰弥 山本
Tatsuya Yamamoto
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Abstract

【課題】塗工時は均質でありながら、最終的には疎水性の表面を有する塗膜を形成可能な水性樹脂組成物の提供。【解決手段】複合樹脂(A)及び水性媒体(B)を含み、前記複合樹脂(A)が、ビニル重合体(A1)と、ウレタン樹脂(A2)とを含むものであり、前記ウレタン樹脂(A2)のガラス転移温度Tg(A2)と、前記ビニル重合体(A1)のガラス転移温度Tg(A1)との差(Tg(A2)−Tg(A1))が、−40℃以上、140℃以下である、水性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、水性樹脂組成物に関する。
水性樹脂組成物は、紙塗工・含浸加工、繊維・不織布、カーペット、土木建材、モルタルセメント、自動車用部品、タイヤコード、塗料、ペースト、防錆コーティング、接着剤、プラスチック改質、化粧用パフ、電子材料、接着剤(一般、ゴム用)、コーティング・含浸(不織布・紙)、繊維含浸・補強繊維加工(カーペット等)、防湿・耐水コーティング、セメント・モルタル、建材加工・木質接着、合成皮革、人工皮革、手袋、避妊具、インキ用受理剤、インキ用分散剤等の多様な用途に用いられている。
前記水性樹脂組成物には、用途に応じ、多様な特性が求められており、異なる樹脂を組み合わせた水性樹脂組成物が提案されている。例えば、特許文献1には、ビニル重合体セグメントと、酸基および/又は塩基性化合物で中和された酸基を有するポリウレタンセグメントとから構成されるブロック共重合体を含む水性樹脂が記載されている。また特許文献2には、ジエン系不飽和単量体をシードラテックス存在下でシード重合して得られるラテックスと、水性ポリウレタンとを含む組成物が記載されている。特許文献3には、同一ミセル内に、水酸基含有共役ジエン重合体の水素添加誘導体と、他の水性樹脂とを含有する樹脂組成物が記載されている。
特開平6−199968号公報 特開2004−231852号公報 特開2004−224868号公報
前記の複合樹脂は、塗工時は、(親水性)基材への塗工性・浸透性が良好でありながらも、最終的には塗膜の表面が疎水性となることが要求される場合がある。しかしながら、従来から知られる複合樹脂は、異なる樹脂を分子レベルで均質に混合し、その均質混合状態の塗膜を形成させることを主目的としており、上記のような塗膜を形成する手段については知られていない。本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、塗工時は均質でありながら、最終的には疎水性の表面を有する塗膜を形成可能な水性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、複合樹脂を含む水性樹脂組成物において、複合樹脂に用いる樹脂の種類及びガラス転移温度を特定の範囲とすることで、当初は均質な塗膜を形成させながらも、加熱により樹脂を偏析させ、最終的には表面が疎水性である塗膜を形成させることが可能となることを見出した。
すなわち本発明の水性樹脂組成物は、複合樹脂(A)及び水性媒体(B)を含み、前記複合樹脂(A)が、ビニル重合体(A1)と、ウレタン樹脂(A2)とを含むものであり、前記ウレタン樹脂(A2)のガラス転移温度Tg(A2)と、前記ビニル重合体(A1)のガラス転移温度Tg(A1)との差(Tg(A2)−Tg(A1))が、−40℃以上、120℃以下であることを特徴とする。
本発明の水性樹脂組成物を用いることで、当初は均質でありながら、最終的には、疎水性表面となる塗膜を形成させることができる。
本発明の水性樹脂組成物は、複合樹脂(A)及び水性媒体(B)を含む。前記複合樹脂は、ビニル重合体(A1)と、ウレタン樹脂(A2)とを含む。
前記ビニル重合体(A1)は、ビニル単量体(a)に由来する単位を有する重合体を表す。前記ビニル単量体(a)は、1分子中に、少なくとも1つの重合性ビニル結合を有する化合物を表す。前記ビニル単量体(a)としては、1種又は2種以上を用いることができ、共役ジエン化合物(a1)、その他のビニル化合物(a2)などが挙げられる。
前記ジエン化合物(a1)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
前記共役ジエン化合物(a1)の含有率は、ビニル単量体(a)全量中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、上限は100質量%である。
前記その他のビニル化合物(a2)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、3−メチルブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、等の炭素原子数4〜22のアルキル(メタ)アクリレート;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の炭素原子数6〜20のシクロアルキル(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート等のアリル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等の炭素原子数10〜20のアラルキル(メタ)アクリレート;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアリルオキシアルキル(メタ)アクリレート;
クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸アルキルエステル;
ジメチルマレート、ジブチルマレート、ジメチルフマレート、ジブチルフマレート、ジメチルイタコネート、ジブチルイタコネート等の不飽和ジカルボン酸アルキルエステル;
スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー;
(メタ)アクリロニトリル、クロトノニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルキノリン、N−ビニルピペリジン等の窒素原子含有モノマー(好ましくは1置換又は2置換の(メタ)アクリルアミド(置換基が結合して環を形成しているものも含む))及び該窒素原子含有モノマーの塩化メチル塩;
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチエレン、ヘキサフルオロプロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン;エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等のα−オレフィン;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、安息香酸ビニル、ネオデカン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル;
アクロレイン、メチルビニルケトン等のカルボニル基含有モノマー;
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコール共重合(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコール共重合(メタ)アクリレート等のポリオキシエチレン基含有(メタ)アクリルモノマー;
パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジ−パーフルオロシクロヘキシルフマレート、N−イソプロピルフルオロオクタンスルホン酸アミドエチル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル基含有モノマー;
無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水メサコン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状エーテル含有モノマー;
ビニリトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有モノマー;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒドロキシ基含有モノマー;
ビニルスルホン酸、3−アクリロキシプロパン−1−スルホン酸、3−アクリロキシオクチルオキシベンゼンスルホン酸、3−アクリロキシベンゼンジアゾスルホン酸、3−アクリロキシアゾベンゼン−4’−スルホン酸、2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパン−1−スルホン酸、2−アクリロイルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリロニトリル−tert−ブチルスルホン酸等のビニル基含有スルホン酸化合物並びにそれらの塩などが挙げられる。
前記その他のビニル化合物(a2)の含有率は、ビニル単量体(a)全量中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
前記共役ジエン化合物(a1)及び前記その他のビニル化合物(a2)の合計の含有率は、ビニル単量体(a)全量中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
前記ビニル重合体(A1)のガラス転移温度は、好ましくは−100℃以上であり、より好ましくは−80℃以上であり、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは50℃以下、いっそう好ましくは25℃以下である。
前記ビニル重合体(A1)のガラス転移温度Tg(A1)は、下記式(FOX式)により求められる絶対温度でのガラス転移温度Tgaを摂氏温度に換算して求められる値を表す。
1/Tga=Σ(Wi/Tgi)・・・
上記式中、Tgaは前記ビニル重合体(A1)の合成に用いる各ビニル単量体(a)のみからなる重合体のガラス転移温度(単位は絶対温度)を表す。Wiは、各ビニル単量体(a)の、前記ビニル重合体(A1)の原料中における質量割合を表す。Tgiは、各ビニル単量体(a)のみから形成される単独重合体のガラス転移温度(単位は絶対温度)を表す。
前記FOX式の詳細は、ブレティン・オブ・ジ・アメリカン・フィジカル・ソサエティ・シリーズ2(Bulletin of the American Physical Society, Series 2)、第1巻、第3号、第123頁(1956年)に記載されている。また、FOX式で計算するための様々な単量体の単独重合体のガラス転移温度(Tgi)は、例えば、塗装と塗料(塗料出版社、10(No.358)、1982)に記載されている数値等を採用することができる。
前記ビニル重合体(A1)の含有率は、複合樹脂(A)中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、いっそう好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下、いっそう好ましくは50質量%以下である。
前記ウレタン樹脂(A2)は、分子中にウレタン結合を有する樹脂であり、ポリオール(b1)、ポリイソシアネート(b2)及び必要に応じて用いる鎖伸長剤(b3)の反応物であることが好ましい。鎖伸長剤(b3)を用いる場合、前記ウレタン樹脂(A2)は、ポリオール(b1)及びポリイソシアネート(b2)の反応物と鎖伸長剤(b3)との反応物として得ることができる。
前記ポリオール(b1)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられ、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリマーポリオール(数平均分子量500以上であり、好ましくは3,000以下)を含むことが好ましく、必要に応じて親水性基を有するポリオール、低分子量ポリオール(数平均分子量500未満であり、好ましくは50以上)を含んでいてもよい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、活性水素原子を2個以上有する化合物の1種又は2種以上を開始剤として、アルキレンオキシドを付加重合(開環重合)させたもの等が挙げられる。
前記開始剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖状ジオール;ネオペンチルグリコール等の分岐鎖状ジオール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ピロガロール等のトリオール;ソルビトール、蔗糖、アコニット糖等のポリオール;アコニット酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸等のトリカルボン酸;リン酸;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のポリアミン;トリイソプロパノールアミン;ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸等のフェノール酸;1,2,3−プロパントリチオールなどが挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、前記開始剤にテトラヒドロフランを付加重合(開環重合)させたポリオキシテトラメチレングリコールを使用することが好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオール(例えば、分子量50以上300以下のポリオール)とポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるポリエステルポリオール;ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルポリオール;これらの共重合ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
前記低分子量ポリオールとしては、分子量が50以上300以下のポリオールを用いることができ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール等の炭素原子数2以上6以下の脂肪族ポリオール;1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式構造含有ポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物及びそれらのアルキレンオキシド付加物等の芳香族構造含有ポリオールなどが挙げられる。
前記ポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;並びに前記脂肪族ポリカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸の無水物又はエステル形成性誘導体などが挙げられる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとの反応物;ホスゲンとビスフェノールA等との反応物などが挙げられる。
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えば、上記低分子量ポリオールとして例示したポリオール;ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、ポリエステルポリオール(ポリヘキサメチレンアジペート等)等の高分子量ポリオール(例えば、重量平均分子量500以上5,000以下)などが挙げられる。
前記ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリイソブテンポリオール、水素添加(水添)ポリブタジエンポリオール、水素添加(水添)ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。
前記ポリオール(b2)に含まれるポリマーポリオール(好ましくはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリオレフィンポリオール)の合計の含有率は、前記ポリオール(b2)中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
前記親水性基を有するポリオールにおける親水性基としては、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基等が挙げられ、親水性基を有するポリオールを用いることで、前記複合樹脂(A)の水分散性を向上することができる。前記親水性基を有するポリオールとしては、例えば、上記ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリオレフィンポリオール以外のポリオールを用いることができ、具体的には、アニオン性基を有するポリオール、カチオン性基を有するポリオール、及び、ノニオン性基を有するポリオールを使用することができる。これらの中でも、アニオン性基を有するポリオール又はカチオン性基を有するポリオールを使用することが好ましい。
前記アニオン性基を有するポリオールとしては、例えば、カルボキシ基を有するポリオール及びスルホン酸基を有するポリオール等が挙げられる。
前記カルボキシ基を有するポリオールとしては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等のヒドロキシ酸;及び前記カルボキシ基を有するポリオールと前記ポリカルボン酸との反応物などが挙げられる。前記ヒドロキシ酸としては、2,2−ジメチロールプロピオン酸が好ましい。
前記スルホン酸基を有するポリオールとしては、例えば、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸等のスルホン酸基を有するジカルボン酸;前記ジカルボン酸の塩と、前記芳香族構造含有ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。
前記カチオン性基を有するポリオールとしては、N−メチル−ジエタノールアミン;1分子中にエポキシを2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオール等の3級アミノ基を有するポリオールなどが挙げられる。
前記ノニオン性基を有するポリオールとしては、ポリオキシエチレン構造を有するポリオール等が挙げられる。
前記ポリオール(b2)に親水性基を有するポリオールが含まれる場合、その含有量は、ポリオール(b2)の合計100質量部中、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量%以上、特に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
前記低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルカンジオール;シクロヘキサンジメタノール等のシクロアルカンジアルカノールなど;重合性不飽和基を有するポリオールなどが挙げられる。
前記重合性不飽和基を有するポリオールとしては、以下の式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021195423
[式(1)中、Rは、重合性不飽和基を含む原子団を有する側鎖を有する直鎖アルキレン基を表す。]
Figure 2021195423
[式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、重合性不飽和基を含む原子団を有する側鎖を有していてもよいを表し、R1及びR3に含まれる前記重合性不飽和基を含む原子団の合計数は1つ以上である。Rは、炭素原子数1〜20のアルキレン基を表す。]
前記重合性不飽和基を含む原子団としては、ビニル基、ビニルオキシ基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。R1、R3は、重合性不飽和基を含む原子団を有する側鎖のほか、水酸基を有する側鎖を有していてもよい。
前記R1、R3で表される直鎖アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、ヘプタンジイル基、オクタンジイル基、ノナンジイル基等が挙げられる。前記直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1以上であり、好ましくは2以上であり、例えば50以下、好ましくは20以下、より好ましくは6以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは2である。
前記式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物において、重合性不飽和基を含む原子団を有する側鎖の個数は、1分子当たり、1個以上、好ましくは2個以上であり、例えば10個以下、好ましくは5個以下である。
前記式(1)で表される化合物としては、例えば、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート〔ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート〕、トリメチロールメタン(メタ)アクリレート、ジメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリエチロールメタン(メタ)アクリレート、ジエチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリエチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジエチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロパノールメタン(メタ)アクリレート、ジプロパノールメタンジ(メタ)アクリレート、トリプロパノールプロパン(メタ)アクリレート、ジプロパノールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリブタノールメタン(メタ)アクリレート、ジブタノールメタンジ(メタ)アクリレート、トリブタノールプロパン(メタ)アクリレート、ジブタノールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記式(2)で表される化合物としては、ビス(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)メタン、1,2−ビス(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタ、1,3−ビス(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)プロパン、1,4−ビス(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、1,5−ビス(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ペンタン等が挙げられる。
前記ポリイソシアネート(b2)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式構造含有ポリイソシアネートなどが挙げられる。
前記ポリイソシアネート(b2)に含まれる−NCOと、ポリオール(b1)に含まれる−OHのモル比(NCO/OH)は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.8以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.0以下である。
前記鎖伸長剤(b3)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン;N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン;ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド;β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド等のヒドラジン化合物;ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン等の環状ポリアミン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール、及び水等が挙げられる。
前記ウレタン樹脂(A2)は、前記ポリオール(b1)、前記ポリイソシアネート(b2)、必要に応じて用いる鎖伸長剤(b3)と、さらに重合性不飽和基を有するアルコール化合物(b4)との反応物であってもよい。
前記重合性不飽和基を有するアルコール化合物(b4)に含まれる重合性不飽和基の個数は、1個以上であり、例えば20個以下、好ましくは15個以下、さらに好ましくは10個以下である。
前記重合性不飽和基を有するアルコール化合物(b4)としては、モノアルコール化合物が挙げられ、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(ヒドロキシアルキル基の炭素原子数は、例えば、2〜10、好ましくは2〜5);トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート等のトリオールのジ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のテトラオールのトリ(メタ)アクリレート化合物;前記トリオールのジ(メタ)アクリレート化合物及び前記テトラオールのトリ(メタ)アクリレート化合物等のポリアルコキシ(好ましくは、ポリエトキシ、ポリプロポキシ等)化物;前記トリオールのジ(メタ)アクリレート化合物及び前記テトラオールのトリ(メタ)アクリレート化合物等のブロックコポリマー均等物などが挙げられる。
前記ウレタン樹脂(A2)がアニオン性基を有するものである場合、前記水性樹脂組成物は、塩基性化合物を含んでいてもよい。前記基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の有機アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を含む金属水酸化物などが挙げられる。水性樹脂組成物の水分散安定性を向上させる観点から、前記塩基性化合物とアニオン性基とのモル比(塩基性基/アニオン性基)は、好ましくは0.5以上3.0以下、より好ましくは0.8以上2.0以下である。
前記ウレタン樹脂(A2)がアニオン性基を有するものである場合、前記ウレタン樹脂(A2)の酸価は、好ましくは0.1mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、さらに好ましくは10mgKOH/g以上であり、好ましくは100mgKOH/g以下、より好ましくは70mgKOH/g以下、さらに好ましくは50mgKOH/g以下である。
本明細書にいう酸価は、原料組成に基づいて前記ウレタン樹脂(A2)に含まれるアニオン性基の量を算出し、これに基づいて前記ウレタン樹脂(A2)1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数として算出した理論値である。
前記ウレタン樹脂(A2)がカチオン性基を有するものである場合、前記水性樹脂組成物は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等のカルボン酸;酒石酸等のヒドロキシ酸;リン酸などの酸性化合物を含んでいてもよく、前記カチオン性基としての3級アミノ基は、その一部又は全部がジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロリド、エチルクロリド等4級化剤により4級化されていてもよい。
前記ウレタン樹脂(A2)がカチオン性基を有するものである場合、前記ウレタン樹脂(A2)のアミン価は、好ましくは2mgKOH/g以上50mgKOH/g以下、より好ましくは5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である。
本明細書にいうアミン価は、原料組成に基づいて前記ウレタン樹脂(A2)に含まれるカチオン性基の量を算出し、これに基づいてウレタン樹脂(A2)1gを中和するのに必要な塩化水素のモル数(mmol)及び水酸化カリウムの式量(56.1g/mol)の積として算出した理論値である。
前記ウレタン樹脂(A2)中、ウレア結合基量は、例えば1.0mol/g以下、好ましくは0.1mol/g以下、さらに好ましくは0.01mol/g以下であり、下限は0mol/gである。前記ウレア結合基量は、ウレタン樹脂(A2)の合成に用いた原料に基づき、理論値として算出することができる。
前記ウレタン樹脂(A2)の重量平均分子量は、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上、さらに好ましくは10,000以上、いっそう好ましくは30,000以上であり、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは300,000以下である。
本明細書において、重量平均分子量及び数平均分子量は、特記ない限り、ポリスチレンを標準試料としてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ法(GPC)により測定することができる。
前記ウレタン樹脂(A2)のガラス転移温度は、好ましくは−80℃以上、より好ましくは−50℃以上、さらに好ましくは−20℃以上であり、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。前記ウレタン樹脂(A2)のガラス転移温度が前記範囲にあると、前記ウレタン樹脂(A2)の運動性が良好であり、本発明の効果を発揮することが容易である。前記ウレタン樹脂(A2)のガラス転移温度は、示差走査熱量計を用い、JIS K7121に準拠した方法で測定することができる。
前記ウレタン樹脂(A2)のガラス転移温度Tg(A2)と、前記ビニル重合体(A1)のガラス転移温度Tg(A1)との差(Tg(A2)−Tg(A1))は、−40℃以上であり、好ましくは−30℃以上、より好ましくは−20℃以上、さらに好ましくは0℃以上であり、140℃以下、好ましくは130℃以下であり、さらに好ましくは120℃以下であり、いっそう好ましくは100℃以下、よりさらに好ましくは90℃以下、特に好ましくは80℃以下である。前記ガラス転移温度の差が前記範囲(Tg(A2)−Tg(A1))にあると、前記ウレタン樹脂(A2)と前記ビニル重合体(A1)の運動性のバランスが良好であり、加熱により疎水性の表面を有する塗膜を形成可能である。
前記ウレタン樹脂(A2)のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
前記ウレタン樹脂(A2)の含有量は、前記ビニル重合体(A1)1質量部に対して、好ましくは、0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、好ましくは100質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
前記ビニル重合体(A1)及び前記ウレタン樹脂(A2)の合計の含有率は、複合樹脂(A)中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、上限は100質量%である。
前記複合樹脂(A)のゲル分率は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、よりいっそう好ましくは10質量%以上であり、上限は100質量%であり、例えば90質量%以下、さらには80質量%以下であることも許容される。
前記複合樹脂(A)のゲル分率は、例えば、以下の方法で測定することができる。まず、ガラス板上に乾燥後の膜厚が0.5mmとなるように本発明の水性樹脂組成物を塗工し、80℃で2時間乾燥した後、ガラス板から剥離し、更に140℃で5分間乾燥したものを直径29mmの円形に切り取って試料とする。該試料の溶剤浸漬前の重量を測定し、G1とする。次に、試料をトルエン中に常温で24時間浸漬した後の試料の溶剤不溶解分を80メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後、重量し、G2とする。以下の式に基づいて求められる値をゲル分率とする。
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100
複合樹脂(A)において、前記ビニル重合体(A1)の表面の少なくとも一部を前記ウレタン樹脂(A2)が被覆していることが好ましく、前記ビニル重合体(A1)の表面に前記ウレタン樹脂(A2)の層が形成されていることが好ましい。前記ビニル重合体(A1)は、一般に疎水性が高く、そのままでは水に分散することが困難であるが、前記ウレタン樹脂(A2)が前記ビニル重合体(A1)の表面の少なくとも一部を被覆していることで、水性媒体への分散性が良好となる。前記ビニル重合体(A1)と前記ウレタン樹脂(A2)とは、化学的に結合していてもよく、していなくともよい。
前記複合樹脂は、前記ウレタン樹脂(A2)の存在下、後述する水性媒体(B)中でビニル単量体(a)を重合することにより製造することができる。前記ビニル単量体(a)は疎水性であるため、水性媒体(B)中でウレタン樹脂(A2)と共存させることで、該ビニル単量体(a)の少なくとも一部がウレタン樹脂(B2)の内部に取り込まれ、この状態で重合反応を行うことで、本発明の複合樹脂(A)を製造することができる。
より具体的には、前記ウレタン樹脂(A2)は、水性媒体(B)中に分散された状態(予備分散液)で、前記ビニル単量体(a)の重合に供されることが好ましい。前記ウレタン樹脂(A2)が水性媒体(B)中に分散された予備分散液は、例えば、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、前記ポリオール(b1)及び前記ポリイソシアネート(b2)を反応させ、必要に応じて、さらに鎖伸長剤(b3)を反応させることにより製造することができる。前記有機溶剤は、安全性や環境に対する負荷低減の観点から、前記ウレタン樹脂(A2)の製造途中または製造後に、減圧留去等によってその一部または全部を除去してもよい。
前記重合反応の際は、必要に応じて、後述する添加剤(C)を共存させてもよく重合反応後に該添加剤(C)を添加してもよい。
前記ビニル単量体(a)を重合する際、ラジカル重合開始剤を共存させることが好ましい。前記重合開始剤としては、光重合開始剤、熱重合開始剤を用いることができる。前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン、ベンゾイン、ジアルコキシアセトフェノン、アシルオキシムエステル、ベンジルケタール、ヒドロキシアルキルフェノン、ハロゲノケトン等が挙げられる。前記光重合開始剤は、必要に応じてメチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の第三アミンと組み合わせて使用してもよい。前記熱重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ)吉草酸、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、等の有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物などの熱重合開始剤などを使用することができる。
前記ラジカル重合開始剤の量は、前記ビニル化合物の合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
前記複合樹脂(A)は、水性媒体(B)中に分散されていることが好ましい。複合樹脂(A)の分散状態は、例えば、水性樹脂組成物における沈殿物の有無により確認することができる。
前記複合樹脂(A)の含有率は、水性樹脂組成物中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
前記水性媒体(B)としては、水、水と混和する有機溶剤及びこれらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;エチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等のラクタム溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド溶剤などが挙げられ、アルコール溶剤が好ましい。
前記水性媒体(B)は、安全性や環境に対する負荷低減を考慮すると、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみがより好ましい。水の含有率は、前記水性媒体(B)100質量%中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
前記水性媒体(B)の含有率は、水性樹脂組成物の全量100質量%中、好ましくは30質量%以上80質量%以下、より好ましくは50質量%以上70質量%以下である。
本発明の水性樹脂組成物は、さらに架橋剤、界面活性剤、可塑剤、帯電防止剤、ワックス、光安定剤、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光触媒性化合物、無機顔料、有機顔料、体質顔料、硬化剤、硬化触媒、乳化剤、分散安定剤等の各種の添加剤(C)を含んでいてもよい。
前記添加剤(C)の含有量は、前記複合樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
本発明の水性樹脂組成物は、当初は均質でありながら、最終的には、疎水性表面となる塗膜を形成させることができ、紙塗工・含浸加工、繊維・不織布、カーペット、土木建材、モルタルセメント、自動車用部品、タイヤコード、塗料、ペースト、防錆コーティング、接着剤、プラスチック改質、化粧用パフ、電子材料、接着剤(一般)、コーティング・含浸(不織布・紙)、繊維含浸・補強繊維加工(カーペット等)、防湿・耐水コーティング、セメント・モルタル、建材加工・木質接着、合成皮革、人工皮革、手袋、避妊、インキ用受理剤、インキ用分散剤具等に好適である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(合成例1:ポリエステルポリオール(1)の合成)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、イソフタル酸35.4部、セバシン酸17.8部、アジピン酸7.8部、エチレングリコール6.2部、ネオペンチルグリコール22.9部、1,6−ヘキサンジオール11.7部及びジブチル錫オキサイド0.03部を仕込み180〜230℃で酸価が1以下になるまで230℃で24時間重縮合反応を行い、ポリエステルポリオール(1)〔酸価0.6mgKOH/g、水酸基価42.5mgKOH/g〕を得た。
(合成例2:ポリエステルポリオール(2)の合成)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、イソフタル酸27.6質量部、テレフタル酸27.6質量部、エチレングリコール11.7質量部、ジエチレングリコール19.9質量部及びジブチル錫オキサイド0.03質量部を仕込み180〜230℃で酸価が1以下になるまで230℃で24時間重縮合反応を行い、ポリエステルポリオール(2)〔酸価0.6mgKOH/g、水酸基価48.0mgKOH/g〕を得た。
(製造例1:ウレタン樹脂(1)の合成)
反応容器に合成例1のポリエステルポリオール(1)69.0質量部を減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン93.30質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、1,4−ブタンジオール3.0質量部2,2’−ジメチロールプロピオン酸6.1質量部を加え、次いでトリレンジイソシアネート19.4質量部を加えて、80℃で12時間反応させ、ウレタン化工程を実施した。イソシアネート値が0.1%以下になったのを確認し、n−ブタノール0.3質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却し、不揮発分=51.0%の親水基含有ポリウレタン樹脂(I)を得た。次いで、親水基含有ポリウレタン樹脂(I)に、トリエチルアミン4.6質量部を加え、イオン交換水548質量部をゆっくりと添加し水溶化を実施した。次いで減圧下、30〜50℃にてメチルエチルケトンを除去し、不揮発分=23.0%のウレタン樹脂(1)を調製した。酸価は、26.2mgKOH/gであった。接触角は、水75度、ジヨードメタン35度、エチレングリコール53度であった。
(製造例2:ウレタン樹脂(2)の合成)
反応容器に合成例2のポリエステルポリオール(2)75.7質量部を減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン67.89質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸6.1質量部を加え、次いで、イソホロンジイソシアネート20.3質量部を加えて、80℃で12時間反応させ、ウレタン化工程を実施した。イソシアネート値が0.1%以下になったのを確認し、n−ブタノール0.3質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却し、ウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。
さらに水320質量部を加え十分に攪拌することにより、ウレタン樹脂の水分散体を得、次いでエージング・脱溶剤することによって、不揮発分20質量%のウレタン樹脂(2)を得た。酸価は、12.6mgKOH/gであった。接触角は、水75度、ジヨードメタン43度、エチレングリコール50度であった。
(製造例3:ウレタン樹脂(3)の合成)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、(1,6−ヘキサンジオールとジエチルカーボネートとを反応させて得られるポリカーボネートポリオール、数平均分子量2000)267質量部、イソホロンジイソシアネート73質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸15質量部、及びメチルエチルケトン148質量部の混合溶剤中で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。
次いで、トリエチルアミン14質量部加えることで前記ウレタンプレポリマーが有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水800質量部と80%ヒドラジン水溶液4.7質量部を加え十分に攪拌することにより、ウレタン樹脂の水分散体を得、次いでエージング・脱溶剤することによって、不揮発分35質量%のウレタン樹脂(3)を得た。酸価は、21.2mgKOH/gであった。接触角は、水80度、ジヨードメタン37度、エチレングリコール55度であった。
(実施例1:ラテックス複合ウレタン樹脂(1)の合成)
製造例1で得られたウレタン樹脂(1)321質量部にイオン交換水126質量部を加え、ブタジエン31.7部を過硫酸アンモニア(APS)0.5部でモノマー一括乳化重合(反応温度70℃)の条件下反応させて、次に未反応モノマー除去の濃縮を行い、水分量を調整後、固形分25%のラテックス複合ウレタン樹脂(1)を得た。
(実施例2:ラテックス複合ウレタン樹脂(2)の合成)
製造例1で得られたウレタン樹脂(1)229質量部にイオン交換水196質量部を加え、ブタジエン52.8部を過硫酸アンモニア(APS)0.5部でモノマー一括乳化重合(反応温度70℃)の条件下反応させて、次に未反応モノマー除去の濃縮を行い、水分量を調整後、固形分25%のラテックス複合ウレタン樹脂(2)を得た。
(実施例3:ラテックス複合ウレタン樹脂(3)の合成)
製造例1で得られたウレタン樹脂(1)229質量部にイオン交換水196質量部を加え、ブタジエン36.9部、スチレン15.8部を過硫酸アンモニア(APS)0.5部でモノマー一括乳化重合(反応温度70℃)の条件下反応させて、次に未反応モノマー除去の濃縮を行い、水分量を調整後、固形分25%のラテックス複合ウレタン樹脂(3)を得た。
(実施例4:ラテックス複合ウレタン樹脂(4)の合成)
製造例1で得られたウレタン樹脂(1)229質量部にイオン交換水196質量部を加え、ブタジエン15.8部、スチレン36.9部を過硫酸アンモニア(APS)0.5部でモノマー一括乳化重合(反応温度70℃)の条件下反応させて、次に未反応モノマー除去の濃縮を行い、水分量を調整後、固形分25%のラテックス複合ウレタン樹脂(4)を得た。
(実施例5:ラテックス複合ウレタン樹脂(5)の合成)
製造例1で得られたウレタン樹脂(1)321質量部にイオン交換水126質量部を加え、ブタジエン15.8部、イソステアリルアクリレート15.8部を過硫酸アンモニア(APS)0.5部でモノマー一括乳化重合(反応温度70℃)の条件下反応させて、次に未反応モノマー除去の濃縮を行い、水分量を調整後、固形分25%のラテックス複合ウレタン樹脂(5)を得た。
(実施例6:ラテックス複合ウレタン樹脂(6)の合成)
製造例2で得られたウレタン樹脂(2)321質量部にイオン交換水127質量部を加え、ブタジエン30.9部を過硫酸アンモニア(APS)0.5部でモノマー一括乳化重合(反応温度60℃)の条件下反応させて、次に未反応モノマー除去の濃縮を行い、水分量を調整後、固形分23%のラテックス複合ウレタン樹脂(6)を得た。
(実施例7:ラテックス複合ウレタン樹脂(7)の合成)
製造例3で得られたウレタン樹脂(3)206質量部にイオン交換水200質量部を加え、ブタジエン71.9部を過硫酸アンモニア(APS)0.5部でモノマー一括乳化重合(反応温度60℃)の条件下反応させて、次に未反応モノマー除去の濃縮を行い、水分量を調整後、固形分38%のラテックス複合ウレタン樹脂(7)を得た。
(比較例1:ラテックス複合ウレタン樹脂(8)の合成)
製造例1で得られたウレタン樹脂(1)229質量部にイオン交換水196質量部を加え、スチレン52.8部を過硫酸アンモニア(APS)0.5部でモノマー一括乳化重合(反応温度70℃)の条件下反応させて、次に未反応モノマー除去の濃縮を行い、水分量を調整後、固形分25%のラテックス複合ウレタン樹脂(8)を得た。
(比較例2:ラテックス複合ウレタン樹脂(9)の合成)
製造例1で得られたウレタン樹脂(1)321質量部にイオン交換水126質量部を加え、ブタジエン4.8部、メタクリル酸メチル26.9部を過硫酸アンモニア(APS)0.5部でモノマー一括乳化重合(反応温度70℃)の条件下反応させて、次に未反応モノマー除去の濃縮を行い、水分量を調整後、固形分25%のラテックス複合ウレタン樹脂(9)を得た。
(比較例3:ラテックス複合ウレタン樹脂(10)の合成)
製造例3で得られたウレタン樹脂(3)317質量部にイオン交換水115質量部を加え、ブタジエン13.3部、メタクリル酸メチル34.3部を過硫酸アンモニア(APS)0.5部でモノマー一括乳化重合(反応温度60℃)の条件下反応させて、次に未反応モノマー除去の濃縮を行い、水分量を調整後、固形分38%のラテックス複合ウレタン樹脂(10)を得た。
得られたウレタン樹脂(1)〜(3)、ラテックス複合ウレタン樹脂(1)〜(10)について、以下の方法により水、ジヨードメタン又はエチレングリコールの接触角を測定した。
[接触角の測定方法]
ガラス基材にウレタン樹脂(1)〜(3)、ラテックス複合ウレタン樹脂(1)〜(10)を塗工し、140℃3分間乾燥させた。次いで、溶剤として水、ジヨードメタン又はエチレングリコールを1μL滴下し、室温(25℃)、大気圧(1013hPa)下で、30秒後の濡れ広がりの角度を測定した。各溶剤に関して、ラテックス複合ウレタン樹脂の製造に用いたウレタン樹脂の接触角と、ラテックス複合ウレタン樹脂の接触角との差(ラテックス複合ウレタン樹脂の接触角−ウレタン樹脂の接触角。以下「Δθ」という場合がある。)を計算し、水、ジヨードメタン、エチレングリコールについてのΔθを全て合計した値(δθ(水)+Δθ(ジヨードメタン)+Δθ(エチレングリコール)。以下、「Σ(Δθ)」という場合がある。)を算出して、以下の評価基準により表面疎水性を評価した。
〇:Σ(Δθ)が30°以上
△:Σ(Δθ)が20°以上30°未満
×:Σ(Δθ)が20°未満
[ウレタン樹脂(A2)のガラス転移温度の測定]
ウレタン樹脂(A2)のガラス転移温度は、示差走査熱量計「DSC Q−100」(TA Instrument社製)を用い、JIS K7121に準拠した方法で測定した。具体的には、真空吸引して完全に溶剤を除去したサンプルを、20℃/分の昇温速度で−100℃〜+200℃の範囲で熱量変化を測定し、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点をガラス転移温度とした。
Figure 2021195423
実施例1〜7は、本発明の実施例であり、塗工時は均質でありながら、加熱後、疎水性の表面を有する塗膜を形成可能な水性樹脂組成物を提供することが可能であった。比較例1〜3は、ウレタン樹脂(A2)のガラス転移温度と、ビニル重合体(A1)のガラス転移温度との差が−40℃未満であり、加熱後の疎水性が十分に満足できるものではなかった。

Claims (6)

  1. 複合樹脂(A)及び水性媒体(B)を含み、
    前記複合樹脂(A)が、ビニル重合体(A1)と、ウレタン樹脂(A2)とを含むものであり、
    前記ウレタン樹脂(A2)のガラス転移温度Tg(A2)と、前記ビニル重合体(A1)のガラス転移温度Tg(A1)との差(Tg(A2)−Tg(A1))が、−40℃以上、140℃以下である水性樹脂組成物。
  2. 前記ウレタン樹脂(A2)のガラス転移温度Tg(A2)が、120℃以下である請求項1記載の水性樹脂組成物。
  3. 前記ウレタン樹脂(A2)の含有量が、前記ビニル重合体(A1)1質量部に対して、0.1質量部以上、100質量部以下である請求項1又は2記載の水性樹脂組成物。
  4. 前記ビニル重合体(A1)が、共役ジエン化合物(a1)に由来する単位を有する重合体である請求項1〜3のいずれか1項記載の水性樹脂組成物。
  5. 前記ウレタン樹脂(A2)の重量平均分子量が、5,000以上500,000以下である請求項1〜4のいずれか1項記載の水性樹脂組成物。
  6. 以下の試験方法による接触角の差Δθが、30°以上である水性樹脂組成物。
    [試験方法]
    前記ウレタン樹脂(A2)を20質量%含む水分散液をガラス基材に塗工し、140℃で3分間乾燥させた後、溶剤Xを1μL滴下し、室温(25℃)、大気圧(1013hPa)下で30秒保持したときの接触角をθ0(溶剤X)、前記水性樹脂組成物をガラス基材に塗工し、140℃で3分間乾燥させた後、溶剤Xを1μL滴下し、室温(25℃)、大気圧(1013hPa)下で30秒保持したときの接触角をθ1(溶剤X)としたとき、Δθを以下の式により算出する。
    Δθ={θ1(水)+θ1(ジヨードメタン)+θ1(エチレングリコール)}−{θ0(水)+θ0(ジヨードメタン)+θ0(エチレングリコール)}
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