JP2021193104A - 新規な安定性シリル化試薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】C−H結合又はO−H結合を含有する有機基質、特にヘテロ芳香族基質をシリル化する組成物を提供する。【解決手段】C−Hシリル化可能なヘテロ芳香族性基質、オレフィン性基質、又はアセチレン性基質の実質的な不存在下で、(a)前駆体としてのヒドロシラン又はオルガノジシランと、(b)水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、カリウムシラノレート、水酸化ルビジウム、ルビジウムアルコキシド、ルビジウムシラノレート、水酸化セシウム、セシウムアルコキシド、セシウムシラノレート、又はそれらの組み合わせを含む塩基と、の混合物を前調整することにより調製した組成物である。いくつかの実施形態において、前調整することにより、反応性水素化ケイ素種が形成される。【選択図】図7−1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2016年2月22日に出願された米国特許出願第62/298,337号
及び2016年7月13日に出願された米国特許出願第62/361,929号からの優
先権を主張するものであり、各出願の内容を、あらゆる目的のために、参照により本明細
書に組み込む。
[政府の権利]
本発明は、米国国立衛生研究所(NIH)により認可された認証番号第CHE1212
767号及び認証番号CHE1205646の下で国家支援によりなされたものである。
米国政府は本発明に一定の権利を有する。
本発明は、有機基質等(organic substrates)をシリル化する試薬に関する。
有機部分をシリル化する機能は、シリル化材料自体に独自の有用性があること、及び、
例えば、農芸化学用途、医薬用途、及び、電気材料用途に用いられる他の重要な材料用の
中間材としての有用性があることにより、近年非常に注目されている。
過去数十年にわたり、化学合成の論理に変革をもたらし、結果として合成化学をストリ
ームライン化する、様々なC−H官能基化反応を達成するための強力な触媒構造の開発に
多大な努力が費やされてきた。このような困難な転換(transformation)を達成するには
、多くの場合、化学量論的添加剤の使用、高度な反応条件、複雑な配位子、及び、特に、
貴金属触媒の使用が必要となりうる。これらの転換に貴金属触媒を使用する必要性は、依
然として、基本的かつ長年にわたる限界となっている。
近年、有機シラン(別名ヒドロシラン)及びオルガノジシランを用いて、ヘテロ芳香族
、アルキニル、アルケニル、アルケニル、及び環外のC−H結合及びヒドロキシO−H結
合のシリル化について、種々の水酸化物、アルコキシド及び他の塩基の使用を含むシステ
ムが報告されている。しかし、これらの転換において誘導時間(induction times)の変
動が見られることについては報告されていない。また、これらの塩基及びシランから派生
する安定した貯蔵可能な組成物は、有機基質と接触させる前に予め調製することができ、
これらの前調整済み(preconditioned)溶液はこれらの基質上で作用可能(operable)で
あることも報告又は示唆されていない。
本発明は、本明細書に記載の各発見を利用して、従来知られる方法に関連する問題点の
少なくとも一部を回避するものである。
米国特許出願第14/043,929号明細書(米国特許第9,000,167号) 米国特許出願第14/818,417号明細書 米国特許出願第14/841,964号明細書(米国特許第9,556,206号) 米国特許出願第14/972,653号明細書(米国特許第9,556,08号) 米国特許出願第15/166,405号明細書 米国特許出願第15/219,710号明細書 米国特許出願第14/043,929号明細書(米国特許第9,000,167号)
Becker,B.ら、J.Organometallic Chem.,359(2)、1989年1月、pp.C33−C35 Corriu,R.ら、J.C.Chem. Rev.,1993年、93、1371−1448 Becker,B.ら、J.Organometallic Chem.,359(2)、1989年1月、pp.C33−C35 Corriu,R.J.ら、Tetrahedron,1983年、39、999〜1009 Boyer,J.ら、Tetrahedron,1981年、37、2165〜2171 Corriu,R.ら、Organometallics,2002年、10、2297〜2303 Corriu,R.ら、Wang,Q.J.Organomet.Chem.1989年、365、C7〜C10
本明細書においては、今まで報告されていない誘導時間(induction period)を不要と
する化学組成物及び当該組成物を用いる方法を開示する。組成物は、6ヶ月以上も低温で
安定/貯蔵可能であり、ヒドロシラン/オルガノジシラン及び種々のアルカリ金属水酸化
物及びアルコキシド及びその他の塩基を含む混合物の前調整(preconditioning)によっ
て調製する。従来から、有機基質は、これら組成物を用いたシリル化が容易であることが
わかっており、有機基質の反応によりこれらは即座にシリル化されるため、誘導期間が全
く存在しないことになる。これらの組成物の多くの利点の少なくとも一つとして、これら
のシリル化剤を調製し貯蔵することが可能であり、必要な度毎に小バッチで全成分を混合
及び合成(combine)しなくともよい点がある。この触媒的脱水素型クロスカップリング
法(catalytic cross-dehydrogenative method)によれば、従来の戦略の限界を回避し、
適正な基質及びヒドロシランを良好に結合させることができる。
種々の実施形態は、
C−Hシリル化可能なヘテロ芳香族性基質、オレフィン性基質、又はアセチレン性基質
の実質的な不存在下で、
(a)前駆体としてのヒドロシラン又はオルガノジシランと、
(b)水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、カリウムシラノレート(例えば、KO
TMS)、水酸化ルビジウム、ルビジウムアルコキシド、ルビジウムシラノレート、水酸
化セシウム、セシウムアルコキシド、セシウムシラノレート、カリウムアミド(例えば、
カリウムビス(トリメチルシリル)アミド)、カリウムグラファイト(例えば、KC
、又はそれらの組み合わせを含むか、又は本質的にそれらからなる塩基との混合物を前調
整することにより調製した組成物又は調製可能な組成物を含み、
前調整は、45℃(又は未満)の温度で、誘導期間を30分、25分、20分、15分
、10分、5分、又は1分未満として、1−メチルインドール(N−メチルインドール)
の測定可能なシリル化を開始可能な混合物を得るのに十分な時間と温度に合成(combined
)ヒドロシラン又はオルガノジシランと塩基との当該混合物を保持することを含む。誘導
期間の有無は、本明細書に記載の任意の方法であって本目的のための方法、例えば、時間
依存ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて判断すればよい。上記組成物を生成する温
度範囲の一例としては、例えば、約25℃〜約125℃を含むが、これらよりも高温又は
低温としてもよい。上記組成物を生成する時間範囲の例としては、例えば、約30分〜約
48時間であるが、これよりも長時間又は短時間とすることもでき、極微量の酸素又は水
の存在により影響を受ける場合がある。すなわち、例示的な範囲について、これらの例示
範囲外の時間及び温度でもこれらの組成物を生成することができる場合があることを理解
されたい。
各組成物は、1メチルインドール(N−メチルインドール)(別名Nメチルインドール
又は1−メチル−1H−インドール)に対する反応性について記載するが、各組成物は、
他の様々なC−H結合及び−OH結合のシリル化に有用である。1−メチルインドール(
N−メチルインドール)の使用は、活性を測定するための一標準ゲージとしてのみ用いる
ものであり、組成物の用途をこの基質に限定するものと解釈すべきことを意図したもので
はない。
さらに、これらの組成物は、一旦調製されれば安定であり、その活性を損なうことなく
数週間〜数ヶ月保存することができる。前調整済み組成物の安定材料の特定の性質及びそ
の作用のメカニズムを解明するため鋭意検討が行われてきた。IRデータを根拠として、
少なくともヒドロシラン及びアルコキシド、水酸化物又はシラノレートにより形成された
そのような超配位ケイ素種が存在することがわかった。また、そのような超配位水酸化ケ
イ素アニオンを含む仮説メカニズムにより、これらのシリル化システムについてされた既
知の観測について全て説明がつく。
他の実施形態としては、
C−Hシリル化可能なヘテロ芳香族基質、オレフィン基質、又はアセチレン基質が実質
的な不存在下での、
(a)前駆体としてのヒドロシランと、
(b)水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、カリウムシラノレート(例えば、KO
TMS)、水酸化ルビジウム、ルビジウムアルコキシド、ルビジウムシラノレート、水酸
化セシウム、セシウムアルコキシド、セシウムシラノレート、カリウムアミド(例えば、
カリウムビス(トリメチルシリル)アミド)、又はそれらの組み合わせを含むか、又は本
質的にそれらからなる塩基との間の前調整反応から派生し得るSi−H系種を含む組成物
等が挙げられ、
この場合において、比較可能な条件下で評価した場合に、前駆体としてのヒドロシラン
は、赤外スペクトルのSi−H伸縮領域において吸収ピークを呈し、また、Si−H系種
は、赤外スペクトルのSi−H伸縮領域において、前駆体としてのヒドロシランの吸収ピ
ークよりも低いピークを呈する。
いくつかの実施形態において、Si−H系種は、溶液中で―例えば、ReactIRを
使用して―、又は単離可能な固体/単離した固体として、Si−H伸縮振動(stretching
frequency)に起因するIR吸光度により特徴づけられる組成物中に十分な量で存在する
。Si−H伸縮振動に起因するこれらの吸収ピークの相対的強度は、これらのSi−H系
種の濃度に応じて決まり、種々の実施形態は、これらの種の濃度(検出可能対検出不能を
含む)により定義することができる。すなわち、いくつかの実施形態において、各組成物
中に存在するSi−H系種の濃度は、Si−H伸縮振動に起因するIR吸光度がReac
tIRを使用して存在するか又は観測されるのに十分なものとする。
種々の実施形態において、組成物は単離可能な固体又は単離した固体である。他の実施
形態において、組成物は、前駆体としてのヒドロシラン(又はオルガノジシラン)及び適
切な塩基(すなわち、無溶媒(neat)であるか、又は異質の溶媒を含まない)からなる。
他のさらなる実施形態において、各組成物は、添加した溶媒−例えば、前調整で使用した
反応溶媒を含む溶液である。好ましくは、溶媒は、使用のための保管(storage of use)
に相当する時間にわたり、Si−H系種又はシリル化反応に対して測定可能な程度の反応
性を有さない。これらの溶媒は、炭化水素系又はエーテル系とすることができ、好ましく
は酸素供与体含有溶媒であり、好ましくは、エーテル系溶媒である。テトラヒドロフラン
(2−メチル−テトラヒドロフランを含む)、ジエチル及びジメチルエーテル、メチル−
t−ブチルエーテル、ジオキサン、及び1,2−ジメトキシエタン等のアルキル末端グリ
コール等のエーテル溶媒は良好に作用することがわかっている。HMPA等の極性非プロ
トン性溶媒も許容可能であると考えられている。任意に置換されたテトラヒドルフラン、
例えば、THF又は2Me−THF(2−メチルテトラヒドロフラン)がこの目的のため
には特に好ましい。
場合により、各組成物及び各方法は、式(I)又は式(II)の、前駆体としてのヒド
ロシラン又は式(III)のオルガノシランから生成することができる:
(R)3−mSi(H)m+1 (I)
(R)3−m(H)Si−Si(R)2−m(H)m+1 (II) ,
(R’)Si−Si(R’) (III)。
式中、mは、独立して、0、1、又は2であり、また、R及びR’は、それぞれ独立して
、任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及び/又はヘテロア
リール部分であり、それらの詳細については本明細書の他の箇所においてさらに記載する
。また、R’は、独立して、任意に置換されたアルコキシ、アリールオキシ、又はトリメ
チルシロキシ部分とすることもできる。好ましい実施形態において、少なくとも1つのヒ
ドロシランは(R)SiH又は(R)SiHであり、式中、Rはそれぞれ独立して
、C1−6アルキル、フェニル、トリル、又はピリジニルである。いくつかの好ましい実
施形態において、オルガノジシランはヘキサメチルジシランである。
特定の好ましい実施形態において、塩基は、カリウムカチオン及び水酸化物又はC1−
アルコキシドを含む。カリウムtert−ブトキシドを含む組成物は特に好ましい。
いくつかの実施形態は、化合物、又は当該化合物を含む組成物であって、式(IV)で
表される、任意溶媒和水酸化ケイ素構造を有し、
Figure 2021193104

式中、
は、カリウム、ルビジウム、又はその混み合わせを含むカチオンであるか、又はそ
れを含み、
−ORは、水酸化物、アルコキシド、アルキルシラノレート、又はその組み合わせで
あるか、又はそれを含み、
−Rは、H、−R、又は−Si(R)3−m、又はその組み合わせであるか、又
はそれを含み、
ここで、m及びRは本明細書の他の箇所に記載したものであるか、又はその異性体であ
る。
本発明の追加の実施形態は、C−H結合又は−OH結合を有する有機基質をシリル化す
る際のこれらの組成物を使用することを含み、当該方法は、有機基質を、本明細書の他の
箇所に記載する前調整済み混合物と接触させることを含み、この場合において、接触させ
た結果、それまでC−H結合又は−OH結合により占有されていた位置にC−Si結合又
はO−Si結合がそれぞれ形成され、
有機基質のC−H結合は、
(a)ヘテロ芳香族部分上に配置され;
(b)アリール又はヘテロアリール部分に対してアルファに位置する、アルキル、アル
コキシ、又はアルキレン部分上に配置され、
(c)アルキニルC−H結合であり;又は
(d)末端オレフィン系C−H結合であり、
前記前調整済み混合物は、温度45℃(又は未満)、誘導期間を30分未満、25分未
満、20分未満、15分未満、10分未満、5分未満又は1分未満(各誘導期間はそれぞ
れ独立した実施形態を表す)として、1−メチルインドールの[測定可能な]シリル化を
開始することができる。
さらに別の実施形態は、C−H結合又は−OH結合を含有する少なくとも1つの有機基
質をシリル化することを含む方法を含み、この方法は、有機基質を、
(a)前駆体としてのヒドロシラン、及び
(b)水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、KC、又はそれらの組み合わせを含むか
又は本質的にそれらからなる塩基と、接触させることを含み、
有機基質のC−H結合は、
(a)ヘテロ芳香族部分上に配置され;
(b)アリール又はヘテロアリール部分に対してアルファに位置するアルキル、アルコ
キシ、又はアルキレン部分上に配置され、
(c)アルキニルC−H結合であるか;又は
(d)末端オレフィンC−H結合であり、
接触させた結果、それまでC−H結合により占有されていた位置にC−Si結合が形成
される。これらの塩基は、有機基質をシリル化する能力があるものとしては従来認識され
ていなかったものである。
関連する実施形態において、前駆体としてのヒドロシラン及び水酸化セシウム、水酸化
ルビジウム、KC、又はそれらの組み合わせは、有機基質と接触させる前に、上記のよ
うに前調整する。
インサイチュ(in situ)H−NMRでモニタした、1−メチルインドールのシリル化(1)の代表的な時間経過を示す図である。 各材料を同時に混合したときの誘導期間、及び1−メチルインドールのシリル化用に前調整済み混合物を、その形成から2時間後、24時間後、及び6週間後に使用した場合の安定性を示す図である。 THFにおいて、9.377GHz、77K、出力2.036mWで得られたEPRスペクトルを示す図である。 複数の塩基触媒の動態プロファイル(kinetic profiles)の比較を示す図であり、粗反応混合物のアリコートのGC分析によって取得したデータを示す図である。 THF中のKOt−Bu及びEtSiHのReactORプロットを示す図であり、EtSiHのSi−H信号に隣接する新たなピークを明確に視認することができる図である。 代表的なReactIRスペクトルを示す図であり、超配位種に割り当てられた新たなSi−Hピークの成長、及びその後の基質の注入及び即時の生産物生成を示す図である。 (A)は、ヒドロシランを有する金属アルコキシドのSi−H伸縮領域のFTIRスペクトルを示す図であり、当該スペクトルは、N2雰囲気下で得られたものであり、明確にするためにそれぞれ正規化して上下に一列に配置したものであり、(a)は無溶媒(neat)EtSiH、(b)は無溶媒KOt−Buであり、(c)、(d)、(e)、及び(f)は、それぞれ、MOR=KOt−Bu、KOEt、CsOH、及びNaOt−Buとして調製したものを示す。(B)は、純EtSiHのIRスペクトルである。(C)は、純KOt−BuのIRスペクトルである。(D)は、THFにおいてKOt−BuをEtSiH(5当量)と45℃で2時間反応させた後、揮発性物質(EtSiH及びTHF等)を除去した際の生成物のIRスペクトルである。(E)は、THFにおいてKOEtとEtSiH(5当量)とを45℃で2時間反応させた後、揮発性物質(EtSiH及びTHFを含む)を除去した反応生成物のIRスペクトルを示す図である。(F)は、THFにおいてKOEeとEtSiH(5当量)とを45℃で2時間反応させた後、揮発性物質(EtSiH及びTHFを含む)を除去した反応生成物のIRスペクトルを示す図である。(G)は、THFにおいてKOTMSとEtSiH(5当量)とを45℃で2時間反応させた後、揮発性物質(EtSiH及びTHFを含む)を除去した反応生成物のIRスペクトルを示す図である。(H)は、THFにおいてKOHとEtSiH(5当量)とを45℃で2時間反応させた後、揮発性物質(EtSiH及びTHFを含む)を除去した反応生成物のIRスペクトルを示す図である。(I)は、THFにおいてRbOH・xHOとEtSiH(5当量)とを45℃で2時間反応させた後、揮発性物質(EtSiH及びTHFを含む)を除去した反応生成物のIRスペクトルを示す図である。(J)は、THFにおいてCsOH・xHOとEtSiH(5当量)とを45℃で2時間反応させた後、揮発性物質(EtSiH及びTHFを含む)を除去した反応生成物のIRスペクトルを示す図である。(K)は、THF−DにおいてKOt−BuとEtSi(5当量)とを45℃で2時間反応させた後、揮発性物質(EtSiH及びTHFを含む)を除去した反応生成物のIRスペクトルを示す図である。(L)は、THF−DにおいてKOt−BuとEtSi(2.5当量)とを45℃で2時間反応させた後、揮発性物質(EtSiH及びTHFを含む)を除去した反応生成物のIRスペクトルを示す図である。(M)は、THFにおいてLiOt−BuとEtSiH(5当量)とを45℃で2時間反応させた後、揮発性物質(EtSiH及びTHFを含む)を除去した反応生成物のIRスペクトルを示す図である。(N)は、THFにおいてNaOt−BuとEtSiH(5当量)とを45℃で2時間反応させた後、揮発性物質(EtSiH及びTHFを含む)を除去した反応生成物のIRスペクトルを示す図である。(O)は、THFにおいてMg(Ot−Bu)とEtSiH(5当量)とを45℃で2時間反応させた後、揮発性物質(EtSiH及びTHFを含む)を除去した反応生成物のIRスペクトルを示す図である。
本出願は、添付の図面と併せて読むとさらに理解される。発明の内容を説明する目的の
ために、発明の内容の例示的な実施形態を図面に示すが、本明細書に開示された発明は、
開示された特定の実施形態、装置、及びシステムに限定されない。
本発明は、安定なシリル化組成物及びそれを使用する方法に関する。この組成物は、遷
移金属触媒の存在を必要とせず、ヘテロアリール及びその他の不飽和基質をシリル化する
その能力は、それらの存在又はUV照射又は電気(プラズマを含む)放電を必要としない
ヘテロアリールC−H結合、アセチレンC−H結合及び末端オレフィンC−H結合の直
接脱水素C−Hシリル化の方法論は従来から報告されているが、これらの従来の方法は、
各成分を同時に又はほぼ同時に混合してからそれらを反応条件に付すという点についての
み記載されている。例えば、2013年10月2日に出願された米国特許出願第14/0
43,929号明細書(アルコキシドとヘテロ芳香族化合物)、現在は米国特許第9,0
00,167号(特許文献1);2015年8月5日に出願された米国特許出願第14/
818,417号明細書(水酸化物とヘテロ芳香族化合物)(特許文献2);2015年
9月1日に出願された米国特許出願第14/841,964号明細書(アルキン)、現在
は米国特許第9,556,206号(特許文献3);2015年12月17日に出願され
た米国特許出願第14/972,653号明細書(ジシラン)、現在は米国特許第9,5
56,08号(特許文献4)、2016年5月27日に出願された米国特許出願第15/
166,405号明細書(末端オレフィン)(特許文献5)を参照のこと。各文献は、そ
の各々は、あらゆる目的のために、特に、その使用の方法、基質の範囲、及び実験条件に
ついて、全体を参照により本明細書に援用する。
これらのシステム及び方法は、ヒドロシラン又はオルガノジシラン、及び水酸化物、ア
ルコキシド、及びアニオン性アミド等の塩基の使用について記載されているが、それらの
根底にあるメカニズムは未定義であった。これらの反応の機構的基盤を同定することを目
的とする研究において、本発明者らは、従来報告されたものと同じ基質をシリル化するこ
とができる一連の溶液安定性組成物を同定した。これらの溶液安定性組成物により、シリ
ル化剤の大量調製及び貯蔵が可能となり、少量の反応性ヒドロシランを個々のバッチベー
スで処理する必要がなくなることにより、それらの使用を簡便なものとすることができる
。また、これらの組成物は、高揮発性の液体、また、さらにはガス状ヒドロシラン又はオ
ルガノジシランを、低揮発性の溶媒に組み込んでもよく、これらシラン試薬の取り扱いを
簡易にすることもできる。第三に、これら前調整済み溶液を使用することにより、シリル
化反応に関連して従来存在した誘導期間を回避する反応性が得られる。
本発明は、添付の図面及び実施例に関連して以下の説明を参照することにより、より容
易に理解することができ、各図面及び実施例は全て本開示の一部を構成する。本発明は、
本明細書に記載又は示される特定の製品、方法、条件又はパラメータに限定されず、本明
細書において使用する用語は、特定の実施形態を例示のために記載する目的のものであり
、特許請求の範囲に記載の発明を限定することを意図したものではないことを理解された
い。同様に、特に断りのない限り、可能なメカニズム又は動作態様(mode)又は改善の理
由についての説明は例示的なものに過ぎず、本発明は、そのような示唆されたメカニズム
、態様の正確性又は不正確さ、又は改善のための行動又は理由等によって制約されるもの
ではない。本明細書の全体を通して、この記載は、組成物及び当該組成物を製造及び使用
する方法の両方を指すことを認識されたい。すなわち、本開示が、組成物又は組成物を製
造又は使用する方法に関連する特徴又は実施形態を記載又は請求する場合、そのような説
明又は特許請求の範囲は、これらの特徴又は実施形態を、各文脈(すなわち、組成物、作
成方法、及び使用方法)における各実施形態に拡張することを意図したものであることを
理解されたい。
シリル化組成物
本発明の特定の実施形態は、(a)前駆体としてのヒドロシラン又はオルガノジシラン
と、(b)水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、カリウムシラノレート(例えば,カ
リウムトリメチルシラノレート、KOTMS)、水酸化ルビジウム、ルビジウムアルコキ
シド、ルビジウムシラノレート、水酸化セシウム、セシウムアルコキシド、セシウムシラ
ノレート、カリウムアミド(例えば、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド)、カリ
ウムグラファイト(例えば、KC)、又はそれらの組み合わせを含むか又は本質的にそ
れらからなる塩基との混合物を前調整することにより調製した組成物を含み、前調整する
ことは、ヒドロシランと塩基との混合物を、混合物と基質を接触させることにより、混合
物を前調整してから少なくとも30分後に適切な基質の測定可能なシリル化を開始可能な
組成物を生成するのに十分な条件下に保持することを含む。前調整することは、また、合
成ヒドロシラン(combined hydrosilane)と塩基との混合物を、45℃(又は未満)の温
度で、30分、25分、20分、15分、10分、5分又はそれ未満の誘導時間で、1−
メチルインドールをシリル化するのに十分な条件下で、保持することを含む。誘導期間の
有無は、本明細書に記載の任意の方法であって本目的のための方法、例えば、時間依存ガ
スクロマトグラフィー(GC)を用いて判断すればよい。上記組成物を生成する温度範囲
の一例としては、例えば、約25℃〜約125℃を含む。上記組成物を生成する時間範囲
の例としては、例えば、約30分〜約24時間を含む。例示的な範囲について、これらの
例示的範囲外の時間及び温度でもの時間及び温度でもこれらの組成物を生成することがで
きる場合があることを理解されたい。
これらの用途におけるグラファイトカリウム(例えば、KC)の有効性を考慮すると
、他の表面上に堆積したカリウム(例えば、グラフェン、グラフェン酸化物、木炭、活性
炭、アルミナ等の炭素の同素体)も有効(operable)であり、本開示の範囲内であると予
想するのが合理的である。
この場合も、各組成物は、1−メチルインドール(N−メチルインドール)に対する反
応性に関して記載しているが、各組成物は、他の様々なC−H結合又は−OH結合のシリ
ル化に有用である。1−メチルインドール(N−メチルインドール)の使用は、活性を測
定するための一標準ゲージとしてのみ用いるものであり、組成物の用途をこの基質に限定
するものと解釈すべきことを意図したものではない。
他の実施形態は、これらの前調整済み組成物を水酸化ケイ素に着目して記載するが、本
明細書の他の箇所に記載するように、この前調整反応は、Si−H系種の観察可能な存在
を生じても生じなくてもよい。むしろ、持続的で安定なシリル化反応の存在の別の尺度は
、1時間、6時間、12時間、24時間、1週間、2週間、1ヶ月、6ヶ月、1年を超え
る期間にわたり、溶液中のSi−H系種を冷蔵保存した後であっても、好適な基質(すな
わち、例えば、従来報告され、本明細書の他の箇所で記載されているもの等のように、ヒ
ドロシラン/塩基の組み合わせと同時に混合した場合にシリル化を受けやすいことが予め
わかっているもの)をシリル化する物質の能力である。図1及び図2を参照されたい。少
なくともこの点に関しては、「安定」という用語は、「保存可能」も意味し得る。さらに
興味深いことに、これらの前調整済み組成物は、ヘテロ芳香族基質を含む好適な有機基質
を、これらの基質と接触したら直ちに又は実質的に直ちに、又はその後まもなく、シリル
化することができる。
従来は報告されていないが、本実施例に記載されるように、ヒドロシラン及び成分を同
時に又は略同時に混合した塩基触媒を用いたヘテロ芳香族基質のシリル化は、測定可能な
誘導期間を有するシリル化反応を受けることが、例えば、2013年10月2日に出願さ
れた米国特許第14/043,929号明細書(アルコキシドとヘテロ芳香族化合物)、
現在は米国特許第9,000,167号(特許文献7);2015年8月5日に出願され
た米国特許出願第14/818,417号(水酸化物とヘテロ芳香族化合物)(特許文献
1);2015年9月1日に出願された米国特許出願第14/841,964号明細書(
アルキン)、現在は米国特許第9,556,206号(特許文献3);及び2016年5
月27日に出願された米国特許出願第15/166,405号明細書(末端オレフィン)
(特許文献5)に記載されており、各文献は参照により本明細書に援用される。この特徴
点は従来報告されていなかった。しかしながら、ヒドロシラン及び塩基を本明細書に記載
したように前調整済み」の場合には、前調整済み混合物は安定であり、誘導期間なしで反
応が進行する。
他の実施形態において、前調整済み組成物は、本明細書に記載したように、Si−H系
種に関して特徴づけ又は記載することができる。すなわち、本発明の特定の他の実施形態
は、(a)前駆体としてのヒドロシランと、(b)水酸化カリウム、カリウムアルコキシ
ド、カリウムシラノレート(例えばKOTMS)、水酸化ルビジウム、ルビジウムアルコ
キシド、ルビジウムシラノレート、水酸化セシウム、セシウムアルコキシド、セシウムシ
ラノレート、カリウムアミド(例えば、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド)、又
はそれらの組み合わせとの間の前調整反応から派生するSi−H系種を含む組成物を含む
。これらの実施形態のいくつかの態様において、前調整反応から派生した又は派生し得る
Si−H系種は、その赤外Si−H伸縮振動の特徴的なシフトにより識別することができ
る。すなわち、比較可能な条件下で評価した場合に、前駆体としてのヒドロシランは、当
該前駆体としてのヒドロシランの吸収ピークよりも低エネルギー(低波数)である赤外ス
ペクトルのSi−H伸縮領域において吸収ピークを呈する。そのようなSi−H系種は、
溶液中に存在し検出することができ、又は固体組成物として存在し検出することができる
(各実施例を参照のこと)。
溶液において、生成物/中間体Si−H系種の存在は、その場(in situ)でのフーリ
エ変換赤外(FTIR)分光法を用いて、溶液中で、観測することができ、また観測され
てきた。例えば、メトラー・トレド社はこのような分析のためだけにReactIR装置
を製作している。ReactIRは広範囲の化学反応に適しており、重要な反応種のリア
ルタイムモニタリングを行い、反応の過程でこれらの種がどのように変化するかを提供す
る。ReactIR全反射測定法(Attenuated Total Reflection(ATR))は、反応
の進行に追従するように設計されており、反応開始、変換、中間体及び終点に関する特定
の情報を提供する。各実施例に示すように、例示的なシランEtSiHの反応は、本明
細書に記載のアルコキシド及び水酸化物と反応して、超配位の水素化ケイ素と一致する分
光構造を提供することが示されている。
前調整から生じるこれらのSi−H系種は、これらのヒドロシラン/塩基対と有機基質
との相対的反応性と一致して、ヒドロシラン及び特にアルコキシド又はヒドロキシド塩基
の性質の両方に応じたIR吸収シフトを示す。
このような構造及びそのような赤外線吸収の観察と一致してシリル化反応性と相関する
が、各請求項はそのような解釈の正確さ又は不正確さに必ずしも結びつくものではないこ
とを留意されたい。言い換えると、これらの前調整済み組成物は、Si−H伸縮振動数に
一致するが必ずしもSi−H伸縮振動数に起因するものではない範囲、例えば、2000
〜2100cm−1の範囲において赤外線吸収ピークを呈するものとして記載又は特徴づ
けることができる。この場合も、これらの吸光度は、前駆体としてのシランよりも低エネ
ルギー(より低波数)である。いくつかの実施形態において、吸収ピークは、10〜10
0cm−1の範囲のより低波数に、又は図7の(A)に示されるように、シフトしてもよ
い。重水素化シランで前調整済みの組成物は、この範囲の吸光度を示さないが、上記の反
応性を示すことは、当業者には明らかであるはずである。
種々の実施形態において、Si−H系種は、前調整済みの組成物において、赤外スペク
トルのSi−H伸縮領域に起因するこの吸収ピークを検出するのに十分な量で存在する。
いくつかの実施形態において、これらの前調整済み組成物は溶液として存在する。他の
実施形態においては、無溶媒で、又は単離された固体又は半固体として存在する。そして
、無溶媒で存在する場合、これらの前調整済み組成物は、溶媒、一般には有機溶媒、好ま
しくは無水溶媒を含むものとして記載することができる。好ましくは、このような組成物
は、空気、酸素、又は遷移金属化合物又は種等の他の酸化種を実質的に含まない。また、
溶媒は、Si−H系種を含む前調整済み組成物又はシリル化反応に対して測定可能な反応
性を有しないことが好ましい。好適な溶媒としては、炭化水素、例えば芳香族炭化水素、
例えばベンゼン又はトルエンが挙げられる。他の好適で好ましい溶媒としては、いわゆる
酸素供与体溶媒、好ましくはエーテル型溶媒を含むものが挙げられる。テトラヒドロフラ
ン(2−メチルテトラヒドロフランを含む)、ジエチル及びジメチルエーテル、メチル−
t−ブチルエーテル、ジオキサン、及び1,2−ジメトキシエタンのようなアルキル末端
グリコールは良好に作用することがわかっている。ヘキサメチルホスホルアミド(HMP
A)等の他の極性非プロトン性溶媒も許容されると考えられている。テトラヒドロフラン
(2−メチル−テトラヒドロフランを含む)が好ましい。
上記のように、いくつかの実施形態において、前調整反応において用いた塩基は、水酸
化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、カリウムアルコキシド、ルビジウムア
ルコキシド、又はセシウムアルコキシド、又はそれらの組み合わせである。本明細書の他
の箇所に記載されているようなその他の塩基も用いることができる。好適なアルコキシド
としては、メトキシド、エトキシド、n−プロポキシド、イソプロポキシド、n−ブトキ
シド、sec−ブトキシド、tert−ブトキシド、n−ペントキシド、2−ペントキシ
ド、3−ペントキシド、又はイソ−ペントキシド等のC1−6アルコキシドが挙げられ、
好ましくは、tert−ブチルブトキシドである。これまでに試験した塩基の中で、カリ
ウムアルコキシド、特にカリウムtert−ブトキシドが好ましい。
好適なシラノレートには、式(C1−6アルキル)Si−O−の構造が含まれ、(式
中、C1−6アルキルは独立して配置される。KOTMS、すなわちカリウムトリメチル
シラノレートは、この用途において魅力的なシラノレートである。
いくつかの実施形態において、前調整済み組成物に用いられる前駆体としてのヒドロシ
ランは、以下の式(I)又は式(II)で表され:
(R)3−mSi(H)m+1 (I)
(R)3−m(H)Si−Si(R)2−m(H)m+1 (II)
式中、mは独立して0、1、又は2であり;Rはそれぞれ独立して、任意に置換されたC
1−24アルキル又はヘテロアルキル、任意に置換されたC2−24アルケニル、任意に
置換されたC2−24アルキニル、任意に置換されたC6−12アリール、C3−12
テロアリール、任意に置換されたC7−13アルカリール、任意に置換されたC4−12
ヘテロアルカリール、任意に置換されたC7−13アラルキル、又は任意に置換されたC
4−12ヘテロアラルキルであり、置換されている場合、各置換基は、ホスホナート、ホ
スホリル、ホスホニル、ホスフィノ、スルホナート、C−C20アルキルスルファニル
、C−C20アリールスルファニル、C−C20アルキルスルホニル、C−C20
アリールスルホニル、C−C20アルキルスルフィニル、5〜12環員のアリールスル
フィニル、スルホンアミド、アミノ、アミド、イミノ、ニトロ、ニトロソ、ヒドロキシル
、C−C20アルコキシ、C−C20アリールオキシ、C−C20アルコキシカル
ボニル、C−C20アリールオキシカルボニル、カルボキシル、カルボキシラト、メル
カプト、ホルミル、C−C20チオエステル、シアノ、シアナート、チオシアナート、
イソシアネート、チオイソシアネート、カルバモイル、エポキシ、スチレニル、シリル、
シリルオキシ、シラニル、シロキサザニル、ボロナート、ボリル、又はハロゲン、又は、
金属含有基又はメタロイド含有基であり、メタロイドはSn又はGeであり、各置換基は
、アルミナ、シリカ、又は炭素を含む不溶性又は難溶性の支持媒体に、任意選択でテザー
(tether)を提供してもよい。
特定の好ましい実施形態において、前調整済み組成物において用いる前駆体としてのヒ
ドロシランは、式(R)SiH又は(R)SiHで表される化合物であるか、又は
それを含み、式中、Rは、それぞれ独立して、C1−6アルキル、フェニル、トリル、又
はピリジニルである。例示的な前駆体としてのヒドロシランは、Rがそれぞれ独立してメ
チル、エチル、プロピル、ブチル、プロピル、フェニル、ビフェニル、ベンジル、又はピ
リジニル、又はそれらの置換誘導体であるものを含む。
いくつかの実施形態において、前調整済み組成物に用いる前駆体としてのオルガノジシ
ランは、式(III)で表され:
(R’)Si−Si(R’) (III),
式中、R’は上記したものである。R’は、さらに、独立して、任意に置換されたC1−
24アルコキシ、任意に置換されたC6−12アリールオキシ、任意に置換されたC3−
12ヘテロアリールオキシ、任意に置換されたC7−13アルカリールオキシ、任意に置
換されたC4−12ヘテロアルカリールオキシ、任意に置換されたC6−12アラルコキ
シ、C4−12ヘテロアラルコキシ、又はトリメチルシロキシ部分を含む。好ましい実施
形態において、R’は独立してC1−3アルキル又はアリールであり;他の好ましい態様
において、オルガノジシランは、ヘキサメチルジシラン、テトラメチルジフェニルジシラ
ン、ヘキサエトキシジシラン、又はヘキサメトキシジシランである。
したがって、本発明の特定の実施形態は、任意選択で溶媒和された、式(IV)の水素
化ケイ素構造を有する化合物を含み:
Figure 2021193104

式中、
は、カリウム、ルビジウム、セシウム、又はそれらの組み合わせを含むカチオンで
あるか、又はそれを含み;
−ORは、水酸化物、アルコキシド、アルキルシラノレート、又はそれらの組み合わ
せであるか、又はそれらを含み;
−Rは、H、−R、又は−Si(R)、又はそれらの組み合わせであるか
、又はそれを含み、
式中、m及びRは、本明細書の他の箇所に記載されているとおりであるか、又はその異性
体である。
あるいは、この化合物は、(a)水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、カリウムシ
ラノレート、水酸化ルビジウム、ルビジウムアルコキシド、ルビジウムシラノレート、水
酸化セシウム、セシウムアルコキシド、セシウムシラノレート、又はそれらの組み合わせ
と、(b)式(I)又は式(II)の前駆体としてのヒドロシラン、又は本明細書の他の
箇所に記載されるような個々の前駆体としてのヒドロシランのいずれかとの付加生成物と
して記載又は特徴づけてもよい。
式(IV)の構造は、他のシステムで従来観察された構造に類似しているが、本構造は
劇的に異なりかつ予期しない活性を示す。例えば、強いケイ素親水性ルイス塩基(例えば
、フッ化物、アルコキシド)の添加は、C=O結合のヒドロシリル化におけるヒドロシラ
ンの反応性を高めることができることが知られている。強配位のケイ酸塩錯体は、そのよ
うなプロセス中の求核性アニオンの配位によって形成されると推測されており、それは一
般にSi−H結合を弱化させ、この結合の水素化特性を増加させる。Corriuらによる研究
によれば、(RO)SiHを、THF中の対応するKOR(R=アルキル又はアリール
)と、室温で、直接反応させることにより、アニオン性で5配位の水酸化ケイ酸塩[HS
i(OR)]Kが良好に得られることが明らかになった。例えば、Becker,B.ら、J.
Organometallic Chem.,359(2)、1989年1月、pp.C33−C35;Corri
u,R.ら、J.C.Chem.Rev.,1993年、93、1371−1448;Corriu,R.J
.ら、Tetrahedron,1983年、39、999〜1009;Boyer,J.ら、Tetrahedron
,1981年、37、2165〜2171;Corriu,R.ら、Organometallics,2002
年、10、2297〜2303;及びCorriu,R.ら、Wang,Q.J.Organomet.Chem.,
1989年、365、C7〜C10を参照。
本明細書の他の箇所に記載したように、式(IV)の任意溶媒和構造を有する化合物は
、分光学的に、及びその反応性(基質及び位置選択性に関して)により、及び動態プロフ
ァイルによって特徴付けられている。式(IV)の任意溶媒和構造を有する化合物のSi
−H結合は、ブレンステッド・ローリーの塩基性を示す。シリコンは水素よりも電気陰性
度が低く、式(IV)中のSi−H結合は水素化物特性を有する。求核性(tBuO−)
攻撃の際に、超配位ケイ素中間体(IV)中のSi−H結合は、場合によっては、水素化
物供与体として機能することができる。確かに、強求核剤によりヒドロシラン中のSi−
H結合を開裂して水素化物の損失を伴うアルキル化又はアリール化シランを形成すること
は、先行技術文献において開示されている。したがって、(IV)中のシラン水素は、ヘ
テロ芳香族基質からプロトンを引き抜き、Hの生成をもたらすのに十分に塩基性である
と予想される。当該説は、同位体標識実験によってさらに立証されている:C2−重水素
化1−メチルインドール基質を基質として使用した場合、HDガスの発生が観察された。
同様に、異なるアルコキシド塩基を化学量論的反応における触媒として使用した場合、
反応効率は塩基性に概ね追従した(すなわち、KOtBu>KOEt>KOMe)(アル
コキシド適用)。この挙動は、反応性の超配位シリコン中間体を形成するのにアルコキシ
ドアニオンをシラン前駆体シランに添加することが提案されていることと一致する。
カチオンの性質は既に説明している−すなわち、少なくともヘテロアレーンのシリル化
は、ナトリウム又はリチウムカチオンそれ自体では、又は添加したカリウムイオンが(例
えば、クラウンエーテルによって)封鎖(sequestered)された場合には、作用(operate
)しないが、カリウム、ルビジウム、又はセシウムを用いた場合には容易に作用する。興
味深いことに、アルキン又はアルコールのシリル化は、塩基がナトリウムカチオンを含む
場合に作用し、また、これらのカチオンを含む水素化物は観察されてこなかったが、安定
した前調整済み混合物は、そのような塩基から派生し得る。カチオンがこれらの試薬の活
性において有害な役割を果たすことは明らかである。特定の理論の正確さに拘束されるこ
とは意図しないが、おそらくこの役割は、触媒中間体の(不)安定化又は基質の活性化の
いずれかを含む。そのようであるから、各塩基が本明細書においてカリウム、ルビジウム
、又はセシウムを含むものとして特徴付けられる場合には、クラウンエーテル又は他のカ
チオン封鎖剤(sequesting agent)の不存在下で、水酸化物、アルコキシド、又はシラノ
レートを使用すべきである。さらに、これらの塩基は、作動可能な水酸化物、アルコキシ
ド又はシラノラートアニオン源とともに、これらの封鎖されていないカチオン(K、C
、Rb)の供給源をも含むものとして説明することもできる。例えば、添加したカ
リウム塩、例えば塩化カリウム、硝酸塩、硫酸塩、又は別の類似の非反応性アニオンを含
むカリウム塩の存在下でLiOH、NaOH又はアルカリ土類金属水酸化物を使用するこ
とは、KOH自体と機能的に同等であると考えることができる。
特定の条件下では、前調整済み組成物は、Si−H結合の均質な切断と一致する性質を
示し、また、対応するラジカル種を形成する。このことは、例えば、鉄又はコバルトを含
むもの等の遷移金属錯体の1電子還元剤としてのこれらの化合物又は組成物の潜在的有用
性を示唆し得る。
使用の方法
以上、本発明を組成物に関して説明してきたが、当該組成物はシリル化方法においても
有用であり、特定の実施形態は、この機能におけるそれらの使用に関することを理解され
たい。
本発明のいくつかの実施形態は、前調整済み組成物、及び/又は式(IV)で表される
組成物を、適切なC−H結合又はO−H結合を有する有機基質と接触させてその炭素又は
酸素をシリル化する方法を含む。例えば、いくつかの実施形態は、有機基質を、本明細書
に記載の任意の前調整済み混合物に接触させる方法であって、当該接触させることにより
、それまでC−H結合により占有されていた位置にC−Si結合が形成され、又は、それ
までO−H結合により占有されていた位置にO−Si結合が形成される。
ここで、不飽和基質のC−H結合は、
(a)ヘテロ芳香族部分上に配置され;
(b)ヘテロアリール部分に対してアルファに位置するアルキル、アルコキシ、又はア
ルキレン部分上に配置され;
(c)アルキニルC−H結合であるか;又は
(d)末端オレフィンC−H結合である。
前調整条件、塩基、ヒドロシラン、及び基質の順列は、それぞれ、あたかも個々に引用
されたかのように、本開示の独立した実施形態とみなす。特定の独立した実施形態では、
前調整された混合物及び有機基質の接触は、前調整反応が完了した後、少なくとも30分
、1時間、4時間、8時間、12時間、24時間、2日、4日、7日、又は28日後に行
われる。一般には、特に長期間にわたり、前調整済み混合物を冷凍してその安定性を図る
(favor the stablity)。前調整条件、塩基、ヒドロシラン、及び基質への接触は、通常
、結果として生じる混合物を約25℃〜約75℃の範囲内の1つ以上の温度で、約1時間
〜約48時間の範囲の時間保持することを含み、又は、特定の有機基質に関して本明細書
に引用する種々の出願に記載されている通りである。
さらに、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、又はKCの使用は、ヒドロシラン及び
少なくともヘテロ芳香族基質と組み合わせたシリル化反応のための有力な塩基として、従
来認識又は開示されていないことがわかる。そうであるから、この能力におけるそれらの
使用を説明する方法は、本開示の独立した実施形態と考えられる。そして、特定の実施形
態は、C−H結合又は−OH結合を含有する少なくとも1つの有機基質をシリル化する方
法を含み、この方法は、有機基質を、
(a)前駆体としてのヒドロシラン;及び
(b)水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、KC、又はそれらの組み合わせを含むか
又は本質的にそれらからなる塩基と接触させることを含み、
不飽和基質のC−H結合は、
(a)ヘテロ芳香族部分上に配置され;
(b)ヘテロアリール部分に対してアルファに位置するアルキル、アルコキシ、又はア
ルキレン部分上に配置され;
(c)アルキニルC−H結合であるか;又は
(d)末端オレフィンC−H結合であり、
上記のように接触させることにより、それまでC−H結合により占有されていた位置にC
−Si結合が形成される。
さらに別の実施形態は、前駆体としてのヒドロシラン及び塩基を有機基質と接触させる
前に前調整する方法を含み、当該前調整は、混合物と基質との接触に際して、組成物の前
調整から少なくとも30分間後に適切な基質の測定可能なシリル化を開始可能な組成物を
生成するのに十分な条件下に前駆体としてのヒドロシラン及び塩基を含む混合物を保持す
ることを含む。前調整は、また、45℃(又は未満)の温度で、30分未満、25分未満
、20分未満、15分未満、10分未満、5分未満、又は1分未満の誘導期間で、1−メ
チルインドールの測定可能なシリル化を開始するのに十分な条件下で、合成ヒドロシラン
と塩基の混合物を保持することも含む。
シリル化されやすい基質
同一出願人の一部による先の出願において、塩基及びヒドロシランを用いて、C−H結
合又は−OH結合を有する有機基質をシリル化することが記載されており、シリル化は、
C−H結合をC−Si結合で置換するものとして、又はO−H結合をO−Si結合と置換
するものとして規定されている。例えば、2013年10月2日に出願された米国特許出
願第14/043,929号明細書(アルコキシドとヘテロ芳香族化合物)、現在は米国
特許第9,000,167号(特許文献1)、又は2015年8月5日に出願された米国
特許出願第14/818,417号明細書(水酸化物とヘテロ芳香族化合物)(特許文献
2);2015年9月1日に出願された米国特許出願第14/841,964号明細書(
アルキン)、現在は米国特許第9,556,206号(特許文献3);2016年5月2
7日に出願された米国特許出願第15/166,405号明細書(末端オレフィン)(特
許文献5);及び2016年7月26日に出願された米国特許出願第15/219,71
0号明細書(水酸化物を有するアルコール)(特許文献6)を参照されたい。それぞれ、
それらのそれぞれの基質をシリル化することに関連する基質及び反応物を含む方法及び反
応条件の教示内容を、参照により本明細書に援用する。
本明細書に記載の方法は、これらの特許出願に記載の基質のいずれにも適切に適用され
る。例えば、有機基質は以下の物を含むか又は以下の物からなる:
(1)例えば、任意に置換されたフラン、ピロール、チオフェン、ピラゾール、イミダ
ゾール、トリアゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール
、オキサジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアゾン、ベン
ゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾフラン、イソベンゾチオフェン、インドール、
イソインドール、インドリジン、インダゾール、アザインドール、ベンジイソオキサゾー
ル、ベンゾオキサゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、ナフチリ
ジン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、2,3−ジヒドロベンゾピロール、2,3−ジヒ
ドロベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、キサンテン、ジベンゾピロール、又はジベンゾ
チオフェン部分を含むヘテロ芳香族部分。これらの基質のより具体的な例は、2013年
10月2日に出願された米国特許出願第14/043,929号明細書(アルコキシドと
ヘテロ芳香族)、現在は米国特許第9,000,167号(特許文献1)、又は2015
年8月5日に出願された又は米国特許出願第14/818,417号明細書(水酸化物と
ヘテロ芳香族化合物)(特許文献2)に記載されており、少なくともそれらの教示内容を
、それぞれ参照により本明細書に援用する。
(2)アリール又はヘテロアリール部分に対してアルファに位置する、アルキル、アル
コキシ、又はアルキレン部分を含む基質であって、例えば、ベンジル型C−H結合、又は
、1、2−ジメチルインドール又は2,5−ジメチルチオフェン、又はエキソサイクリッ
クメトキシ基等の、ヘテロアリール部分に対してアルファに位置するC−H結合を含む基
質。これらの基質のより具体的な例は、2013年10月2日に出願された米国特許出願
第14/043,929号明細書(アルコキシドとヘテロ芳香族)、現在は米国特許第9
,000,167号(特許文献1)、又は2015年8月5日に出願された米国特許出願
第14/818,417号明細書(水酸化物とヘテロ芳香族化合物)(特許文献2)に記
載されている。
(3)次式を有するアルキニルC−H結合:
−C≡C−H、
式中、Rは任意に置換されたC1−18アルキル、任意に置換されたC2−18アルケ
ニル、任意に置換されたC2−18アルキニル、任意に置換されたC6−18アリール、
任意に置換されたC6−18アリールオキシ、任意に置換されたC7−18アラルキル、
任意に置換されたC7−18アラルキルオキシ、任意に置換されたC3−18ヘテロアリ
ール、任意に置換されたC3−18ヘテロアリールオキシ、任意に置換されたC4−18
ヘテロアリールアルキル、任意に置換されたC4−18ヘテロアラルキルオキシ、又は任
意に置換されたメタロセンである。これらの基質のより具体的な例は、2015年9月1
日に出願された米国特許出願第14/841,964号明細書(アルキン類)、現在は米
国特許第9,556,206号に記載されており(特許文献3)、少なくともその教示内
容を、参照により本明細書に援用する。
(4)式(V)を有する末端オレフィンであって:
Figure 2021193104
式中、pは0又は1であり;R及びRは、それぞれ、H、任意に置換されたC1−
18アルキル、C2−18アルケニル、任意に置換されたC2−18アルキニル、任意に
置換されたC6−18アリール、任意に置換されたC1−18ヘテロアルキル、任意に置
換された5〜6環員のヘテロアリール、任意に置換された5〜6環員のアラルキル、任意
に置換された5〜6環員のヘテロアラルキル、又は任意に置換されたメタロセンを含み、
ただし、R及びRの両方ともHでないことを条件とする。これらの基質のより具体的
な実施例は、2016年5月27日に出願された米国特許出願第15/166,405号
明細書(末端オレフィン)(特許文献5)に記載されており、少なくともその教示内容を
参照により本明細書に援用する。
(5)式(VIA)又は(VIB)の構造を有する有機アルコールであって、
−OH (VIA) HO−R−OH (VIB)、
式中、Rは、任意に置換されたC1−24アルキル、任意に置換されたC2−24アル
ケニル、任意に置換されたC2−24アルキニル、任意に置換されたC6−24アリール
任意に置換されたC1−24ヘテロアルキル任意に置換された5環員又は6環員のヘ
テロアリール、任意に置換されたC7−24アラルキル、任意に置換されたヘテロアルキ
ル、又は任意に置換されたメタロセンを含み、及び式中、Rは、任意に置換されたC
−12アルキレン、任意に置換されたC2−12アルケニレン、任意に置換されたC6−
24アリレン、任意に置換されたC1−12ヘテロアルキレン、又は任意に置換された5
環員又は6環員のヘテロアリレンを含む。本実施形態のいくつかの態様において、少なく
とも1つの有機アルコール部分を有する有機基質は、任意に置換されたカテコール部分で
あるか又は当該部分を含み、又は式(IV)を有し:
Figure 2021193104
式中、nは0〜6であり、好ましくは0又は1であり;
及びRは、独立してH又はメチルであり
、R、R、及びRは、独立して、H、C1−6アルキル、C1−6アルケニ
ル、任意に置換されたフェニル、任意に置換されたベンジル、又は任意に置換された5環
員又は6環員のヘテロアリールであり、任意に置換された基は、C1−3アルキル、C
−3アルコキシ、又はハロである。この属の中で(within this genus)、有機基質は、
置換1,2−ジオール、1,3−ジオール、1,4−ジオールを含み、これらは、1つ以
上のアルキル及び/又は任意に置換されたアリール又はヘテロアリール置換基で置換され
ている。有機基質は、少なくともその教示内容について参照により本明細書に援用される
2016年7月26日に出願された米国特許出願第15/219,710号明細書(アル
コール)(特許文献6)に記載されるような末端オレフィンを有する任意のものである。
各実施例に示すように、本発明の組成物/化合物は、また、アミド基又は他のアシル保
護官能基(例えば、エステル)の脱保護/切断のための適切な試薬であると思われる。実
施例2.7はN−ベンゾイルインドールの例示的脱保護を示すが、例えばアセチル(Ac
)ならびにベンゾイル(Bz)官能基による他のカルボニル保護アミン又はアルコールも
同様に反応することが所期される。
用語
本開示では、単数形「a」、「an」及び「the」は複数への言及を含み、文脈上特
に明記しない限り、特定の数値への言及は少なくともその特定の値を含む。したがって、
例えば、「材料(a material)」と言及した場合、当業者に知られているそのような材料
及びその均等物の少なくとも1つに対する言及である。
値が、記述子「約」を用いて近似値として表される場合、その特定の値は別の実施形態
を構成することが理解されよう。一般に、「約」という用語を用いた場合、本開示の主題
によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似を示し、その機能に基づいて、
使用される特定の文脈で解釈される。当業者は、これをルーチンとして解釈することがで
きるであろう。場合によっては、特定の値に使用する有効数字の数は、「約」の語の範囲
を決定する1つの非限定的な方法であり得る。他の場合において、段階的に変化する一連
の値を用いることで、各値について、用語「約」を利用可能な意図する範囲を決定するこ
とができる。存在する場合、全ての範囲は包括的なものであり、かつ組み合わせることが
できる。すなわち、範囲内に記載された値に言及することは、その範囲内の全ての値への
言及を含む。
本明細書に記載される本発明の特定の特徴は、明確化のため、別個の実施形態の文脈で
記載されるが、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを理解された
い。すなわち、明らかに矛盾するか、又は明確に除外されない限り、各個々の実施形態は
他の実施形態と組み合わせ可能であるとみなされ、このような組み合わせは別の実施形態
となると考えられる。反対に、本発明の種々の特徴点は、便宜上単一の実施形態の文脈で
記載されるが、別々に、又は任意の部分的な組み合わせで規定することもできる。最後に
、実施形態は、一連のステップの一部又はより一般的な構造の一部として説明することが
できるが、各ステップは、それ自体、他のものと組み合わせ可能な独立した実施形態と考
えることもできる。
用語「備える(comprising)」、「本質的に〜からなる(consisting of essentially
of)」、及び「からなる(consisting of)」という移行語句は、特許の用語で一般に認め
られている意味を暗示することを意図している。すなわち、(i)「からなる(comprisi
ng)」は、「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「特徴とする(c
haracterized by)」と同義であり、包括的又は制限されておらず、引用されていない追
加の要素又は方法のステップを排除するものではなく、(ii)「からなる(consisting
of)」は、請求項に特定されていない要素、ステップ、又は成分を除外するものであり
、また(iii)「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」は、特許請求
の範囲を、特定の材料又はステップ、及び請求項に記載の発明の基本的かつ新規な特性に
実質的な影響を与えないものに限定する。語句「備える(comprising)」(又はその等価
物)に関して記載された実施形態は、また、実施形態として、「からなる(consisting o
f)」及び「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」という用語で独立して
記載されるものも提供する。「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」と
いう用語で提供される各実施形態についての基本的かつ新規な特徴は、本明細書に挙げた
各有効成分を使用するだけで、簡易な方法によりシリル化した生成物を有意な収率で提供
できること(又は、そのような方法において使用するシステムであって、生成物組成物を
有意な収率で提供するシステムの能力、又はそのシステムから派生した組成物)である。
本質的にヒドロシラン又はオルガノジシラン及び強塩基からなる組成物を提供する実施形
態において、この用語は、シリル化可能な芳香族性基質、オレフィン性基質、又はアセチ
レン性基質の不存在下で当該組成物が存在するという事実を指す。
「有意な生成物収率」という用語は、20%を超える生成物収率を反映することを意図
しているが、特定した場合には、当該用語はまた、原基質に対し、10%、20%、30
%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%以上よりも大きい収率も意味
する。
リストを提示した場合、特に明記しない限り、そのリストのそれぞれの個々の要素、及
びそのリストのすべての組み合わせは、別個の実施形態であると理解すべきである。例え
ば、「A、B、又はC」として示された各実施形態のリストは、「A」、「B」、「C」
、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」の各実施形態を
含んでいると解釈すべきである。同様に、C1−3のような指定は、C1−3だけでなく
、C、C、C、C1−2、C2−3、及びC1,3を別個の実施形態として含む。
本明細書を通して、各語句にはそれらの通常の意味が与えられることが、当該技術分野
の当業者には理解されよう。しかしながら、誤解を避けるために、特定の用語の意味は明
確に定義され、又は明らかにされることになる。
本明細書において使用する用語「アルキル」は、一般的に、必ずしもそうではないが、
炭素数1〜約24、好ましくは炭素数1〜約12の直鎖状、分枝状又は環状の飽和炭化水
素基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブ
チル、イソブチル、tert−ブチル、オクチル、デシル等、ならびにシクロペンチル、
シクロヘキシル等のようなシクロアルキル基を指す。一般に、本明細書におけるアルキル
基の炭素数は、1〜約12である。この用語はまた、別個の実施形態として「低級アルキ
ル」を含み、これは炭素数1〜6のアルキル基を指し、「シクロアルキル」という用語は
、一般に、炭素数4〜8、好ましくは5〜7の環状アルキル基を意味する。用語「置換ア
ルキル」は、1つ以上の置換基で置換されたアルキル基を指し、用語「ヘテロ原子含有ア
ルキル」及び「ヘテロアルキル」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換され
たアルキル基を指す。別段の指示がない限り、用語「アルキル」及び「低級アルキル」に
は、直鎖状、分枝状、環状、非置換、置換、及び/又はヘテロ原子含有アルキル及び低級
アルキル基がそれぞれ含まれる。
本明細書で使用する用語「アルキレン」は、二官能性の直鎖状、分枝状、又は環状アル
キル基を指し、「アルキル」は先に規定したとおりである。
本明細書で使用する用語「アルケニル」は、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニ
ル、n−ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセ
ニル、エイコセニル、テトラコセニル等の少なくとも1つの二重結合を含む炭素数2〜約
24の直鎖状、分枝状、又は環状炭化水素が挙げられる。本明細書のアルケニル基は、炭
素数2〜約12であることが好ましい。この用語には、炭素数2〜6のアルケニル基を指
す別の実施形態としての「低級アルケニル」も含まれ、「シクロアルケニル」という特定
の用語は、好ましくは、炭素数5〜8の環状アルケニル基を意味する。用語「置換アルケ
ニル」は、1つ以上の置換基で置換されたアルケニル基を指し、用語「ヘテロ原子含有ア
ルケニル」及び「ヘテロアルケニル」は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子で置き
換えられたアルケニル基をいう。別段の指示がない限り、用語「アルケニル」及び「低級
アルケニル」には、直鎖状、分枝状、環状、非置換、置換、及び/又はヘテロ原子含有ア
ルケニル基及び低級アルケニル基がそれぞれ含まれる。
本明細書で使用する用語「アルケニレン」は、二官能性の直鎖状、分枝状、又は環状ア
ルケニル基を指し、「アルケニル」については先に規定したとおりである。
本明細書で使用する用語「アルキニル」は、エチニル、n−プロピニル等、少なくとも
1つの三重結合を含む炭素数2〜約24の直鎖又は分枝炭化水素基を指す。本明細書にお
いて、アルキニル基は、炭素数2〜約12であることが好ましい。用語「低級アルキニル
」は、炭素数2〜6のアルキニル基を意味する。この用語は、また、別個の実施形態とし
ての「低級アルキニル」も含み、1つ以上の置換基で置換されたアルキニル基をいう。用
語「ヘテロ原子含有アルキニル」及び「ヘテロアルキニル」は、少なくとも1つの炭素原
子がヘテロ原子で置換されているアルキニルをいう。別段の指示がない限り、「アルキニ
ル」及び「低級アルキニル」という用語は、それぞれ、直鎖状、分枝状、非置換、置換、
及び/又はヘテロ原子含有アルキニル基及び低級アルキニル基を含む。
本明細書で使用する用語「アルコキシ」は、単一の末端エーテル結合を介して結合した
アルキル基を意味する。すなわち、「アルコキシ」基は、−O−アルキル(ここで、アル
キルは先に規定した通りである)として表すことができる。本用語は、別の実施形態とし
て「低級アルコキシ」も含み、これは炭素数1〜6のアルコキシ基を指す。同様に、「ア
ルケニルオキシ」及び「低級アルケニルオキシ」は、それぞれ、単一の末端エーテル結合
を介して結合したアルケニル及び低級アルケニル基を指し、「アルキニルオキシ」及び「
低級アルキニルオキシ」は、それぞれ、単一の末端エーテル結合を介して結合したアルキ
ニル及び低級アルキニル基を指す。
用語「芳香族」は、芳香族性のためのヒュッケル則4n+2を満たす環部分をいい、ア
リール(すなわち、炭素環式)構造及びヘテロアリール(ヘテロ芳香族とも呼ぶ)構造の
両方を含み、アラルキル、アルカリール、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、若しくは
アルク−ヘテロアリール部分、又は、そのプレポリメリック(例えば、単量体型、二量体
型)、オリゴメリック、又はポリメリックアナログ等を含む。
本明細書で使用する用語「アリール」は、別段の定めがない限り、(連結された異なる
芳香族部分が、メチレン又はエチレン部分等の共通の基に結合するように)共に縮合、直
接的又は間接的に連結した単一の芳香族環又は複数の芳香族環を含有する炭素環式芳香族
置換基又は構造をいう。アリール基は炭素数6〜24であることが好ましく、炭素数6〜
14であることが特に好ましい。例示的なアリール基としては、1つの芳香環又は2つの
縮合又は結合芳香族環、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、
ジフェニルアミン、ベンゾフェノン等が挙げられる。以下にさらに詳細に説明するように
、「置換アリール」は、1つ以上の置換基で置換されたアリール部分をいい、用語「ヘテ
ロ原子含有アリール」及び「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原
子で置換されたアリール置換基をいう。
別段の定めがない限り、用語「C−H結合」は、本明細書においてシリル化反応の文脈
で使用される場合には、アセチレン又はアルキニルC−H結合、末端オレフィンC−H結
合、芳香族(アリール又はヘテロアリール)C−H結合、又は、本明細書において引用す
る参考文献のいずれかに既に記載されているような、前駆体基質、ヒドロシラン/オルガ
ノシラン、及び水酸化物を含む強塩基を同時に混合することによりシリル化される傾向を
示す芳香族/ヘテロ芳香族環系(例えば、ベンジル基又は2,5−ジメチルチオフェン基
質)に対してアルファに位置するアルキル、アルコキシ、又はアルキレン基のC−H結合
を意味する。
本明細書において使用する用語「アリールオキシ」は、単一の末端エーテル結合を介し
て結合したアリール基を指し、「アリール」は先に規定した通りである。「アリールオキ
シ」基は、−O−アリール(式中、アリールは先に規定した通りである)として表すこと
ができる。好ましいアリールオキシ基の炭素数は6〜24であり、特に好ましいアリール
オキシ基の炭素数は6〜14である。アリールオキシ基の例としては、特に限定はしない
が、フェノキシ、o−ハロ−フェノキシ、m−ハロ−フェノキシ、p−ハロ−フェノキシ
、o−メトキシ−フェノキシ、m−メトキシ−フェノキシ、p−メトキシ−フェノキシ、
2,4−ジメトキシ−フェノキシ、3,4,5−トリメトキシ−フェノキシ等が挙げられ
る。
用語「アルカリール」は、アルキル置換基を有するアリール基をいい、用語「アラルキ
ル」は、アリール置換基を有するアルキル基をいい、ここで「アリール」及び「アルキル
」は先に規定した通りである。好ましいアルカリール基及びアラルキル基の炭素数は7〜
24であり、特に好ましいアルカリール基及びアラルキル基の炭素数は7〜16である。
アルカリール基の例としては、例えば、p−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル
、p−シクロヘキシルフェニル、2,7−ジメチルナフチル、7−シクロオクチルナフチ
ル、3−エチル−シクロペンタ−1,4−ジエン等が挙げられる。アラルキル基の例とし
ては、特に限定はしないが、ベンジル、2−フェニル−エチル、3−フェニル−プロピル
、4−フェニル−ブチル、5−フェニル−ペンチル、4−フェニルシクロヘキシル、4−
ベンジルシクロヘキシル、4−フェニルシクロヘキシルメチル、4−ベンジルシクロヘキ
シルメチル等が挙げられる。「アルカリールオキシ」及び「アラルキルオキシ」の各用語
は、式−ORの置換基を指し、式中、Rは、それぞれ、先に定義したように、当該アルカ
リール又はアラルキルである。
用語「アシル」は、式−(CO)−アルキル、−(CO)−アリール、又は−(CO)
−アラルキルを有する置換基をいい、また、用語「アシルオキシ」は、式−O(CO)−
アルキル、−O(CO)−アリール、又は−O(CO)−アラルキルを有する置換基を指
し、「アルキル」、「アリール」、及び「アラルキル」は先に規定した通りである。
用語「環状」及び「環」という用語は、脂環式基又は芳香族基を指し、各基は置換でさ
れていてもいなくてもよく、及び/又はヘテロ原子を含有してもしなくてもよい。各基は
、単環式、二環式、又は多環式とすることができる。用語「脂環式」は、芳香族環式部分
とは対照的に、脂肪族環式部分を指すために従来の意味で用いられ、単環式、二環式、又
は多環式とすることができる。用語「非環式」とは、環構造内に二重結合が含まれない構
造をいう。
用語「ハロ」、「ハロゲン化物」、及び「ハロゲン」は、従来の意味で使用され、クロ
ロ、ブロモ、フルオロ、又はヨード置換基を指す。
「ヒドロカルビル」は、炭素数1〜約30、好ましくは炭素数1〜約24、最も好まし
くは炭素数1〜約12の一価のヒドロカルビル基を指し、アルキル基、アルケニル基、ア
リール基等の、直鎖状、分枝状、環状、飽和、及び不飽和種を含む。用語「低級ヒドロカ
ルビル」は、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のヒドロカルビル基を意図し、用語
「ヒドロカルビレン」は、炭素数1〜約30、好ましくは炭素数1〜約24、最も好まし
くは炭素数1〜約12の二価のヒドロカルビル部分を意味し、直鎖状、分枝状、環状、飽
和、及び不飽和種を含む。用語「低級ヒドロカルビレン」は、炭素数1〜6のヒドロカル
ビレン基を意味する。「置換ヒドロカルビル」は、1つ以上の置換基で置換されたヒドロ
カルビルをいい、用語「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル」及び「ヘテロヒドロカルビル」
は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されたヒドロカルビルをいう。同様に
、「置換ヒドロカルビレン」は、1つ以上の置換基で置換されたヒドロカルビレンを指し
、用語「ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン」及び「ヘテロヒドロカルビニレン」は、少な
くとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されたヒドロカルビレンをいう。別段の指示が
限り、用語「ヒドロカルビル」及び「ヒドロカルビレン」は、置換及び/又はヘテロ原子
含有ヒドロカルビル及びヒドロカルビレン部分をそれぞれ含むと解釈すべきである。
「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基」における用語「ヘテロ原子含有」は、1つ以上の
炭素原子が炭素以外の原子、例えば、窒素、酸素、硫黄、リン、又はケイ素等、一般には
、窒素、酸素、又は硫黄の原子で置換されている炭化水素分子又はヒドロカルビル分子フ
ラグメントを指す。同様に、用語「ヘテロアルキル」は、ヘテロ原子含有のアルキル置換
基を指し、用語「ヘテロ環式」は、ヘテロ原子含有の環状置換基を指し、用語「ヘテロア
リール」及び「ヘテロ芳香族」は、それぞれ、ヘテロ原子含有の「アリール」置換基及び
「芳香族」置換基等を指す。「ヘテロ環式」基又は化合物は、芳香族であってもなくても
よく、さらには、「ヘテロ環」は、上述したように、用語「アリール」に対しては、単環
式、二環式、又は多環式とすることができる。ヘテロアルキル基の例としては、アルコキ
シアリール、アルキルスルファニル置換アルキル、N−アルキル化アミノアルキル等があ
る。ヘテロアリール置換基の非限定的な例としては、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニ
ル、キノリニル、インドリル、ピリミジニル、イミダゾイル、1,2,4−トリアゾリル
、テトラゾリル等があり、ヘテロ原子含有脂環式基の例は、ピロリジノ、モルホリノ、ピ
ペラジノ、ピペリジノ等である。
本明細書において使用する用語「基質」又は「有機基質」は、個別の小分子(「有機化
合物」と記載されることがある)及び記載の反応条件下でシリル化することができるC−
H基を含有するオリゴマー及びポリマーの両方を暗示することを意図している。用語「芳
香族部分」は、示された芳香族構造の少なくとも1つを含む、化合物、プレポリマー(す
なわち、重合可能なモノマー化合物)、オリゴマー、又はポリマーのそれらの部分を指す
ことを意図している。構造として示された場合には、各部分は少なくとも本明細書におい
て示されたものであり、さらに、少なくとも本明細書において「Fn」と記載される官能
化を含むが、これに限定されず、さらなる官能化、置換基、又はその両方を含む。
先のいくつかの定義において間接的に言及されているような「置換ヒドロカルビル」、
「置換アルキル」、「置換アリール」等における「置換」とは、ヒドロカルビル部分、ア
ルキル部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、又は他の部分において、炭素(又は他
の)原子に結合した少なくとも1つの水素原子が1つ以上の非水素置換基で置換されてい
ることを意味している。そのような置換基の例としては、限定はしないが、本明細書にお
いて「Fn」と呼ぶ官能基、ハロ(例えば、F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、スル
フヒドリル、C−C24アルコキシ、C−C24アルケニルオキシ、C−C24
ルキニルオキシ、C−C24アリールオキシ、C−C24アラルキルオキシ、C
24アルカリールオキシ、アシル(C−C24アルキルカルボニル(−CO−アルキ
ル)及びC−C24アリールカルボニル(−CO−アリール)等を含む)、アシルオキ
シ(−O−アシル、C−C24アルキルカルボニルオキシ(−O−CO−アルキル)及
びC−C24アリールカルボニルオキシ(−O−CO−アリール))、C−C24
ルコキシカルボニル((CO)−O−アルキル)、C−C24アリールオキシカルボニ
ル(−(CO)−O−アリール)、ハロカルボニル(−CO)−Xであって、式中、Xは
ハロであるもの等を含む)、C−C24アルキルカルボナート(−O−(CO)−O−
アルキル)、C−C24アリールカルボナート(−O−(CO)−O−アリール)、カ
ルボキシ(−COOH)、カルボキシラト(−COO−)、カルバモイル(−(CO)−
NH)、モノ−(C−C24アルキル)−置換カルバモイル(−(CO)NH(C
−C24アルキル))、ジ−(C−C24アルキル)−置換カルバモイル(−(CO)
−N(C−C24アルキル))、モノ−(C−C24ハロアルキル)−置換カルバ
モイル(−(CO)−NH(C−C24アルキル))、ジ−(C−C24ハロアルキ
ル)−置換カルバモイル(−(CO)−N(C−C24アルキル))、モノ−(C
−C24アリール)−置換カルバモイル(−(CO)−NH−アリール)、ジ−(C
24アリール)置換カルバモイル(−(CO)−N(C−C24アリール)),ジ
−N−(C−C24アルキル)、N−(C−C24アリール)−置換カルバモイル、
チオカルバモイル(−(CS)−NH)、モノ−(C−C24アルキル)−置換チオ
カルバモイル(−(CO)−NH(C−C24アルキル))、ジ−(C−C24アル
キル)−置換チオカルバモイル(−(CO)−N(C−C24アルキル))、モノ−
(C−C24アリール)置換チオカルバモイル(−(CO)−NH−アリール)、ジ−
(C−C24アリール)−置換チカルバモイル(−(CO)−N(C−C24アリー
ル))、ジ−N−(C−C24アルキル)、N−(C−C24アリール)−置換チ
オカルバモイル、カルバミド(−NH−(CO)−NH)、シアノ(−C≡N)、シア
ナート(−O−C=N)、チオシアナート(−S−C=N)、ホルミル(−(CO)−H
)、チオホルミル(−(CS)−H)、アミノ(−NH)、モノ−(C−C24アル
キル)−置換アミノ、ジ−(C−C24アルキル)−置換アミノ、モノ−(C−C
アリール)置換アミノ、ジ−(C−C24アリール)−置換アミノ、C−C24
ルキルアミド(−NH−(CO)−アルキル)、C−C24アリールアミド(−NH−
(CO)−アリール)、イミノ(−CR=NH、式中、Rは水素、C−C24アルキル
、C5−C24アリール、C−C24アルカリール、C−C24アラルキル等.),
−C20アルキルイミノ(−CR=N(アルキル)、式中、Rは、水素、C−C
アルキル、C−C24アリール、C−C24アルカリール、C−C24アラルキ
ル等)、アリールイミノ(−CR=N(アリール)、式中、Rは水素、C−C20アル
キル、C−C24アリール、C−C24アルカリール、C−C24アラルキル等)
、ニトロ(−NO)、ニトロソ(−NO)、スルホ(−SOOH)、スルホン酸(S
O−)、C−C24アルキルスルファニル(−S−アルキル;「アルキルチオ」と
もいう)、C−C24アリールスルファニル(−S−アリール;「アリールチオ」とも
いう)、C−C24アルキルスルフィニル(−(SO)−アルキル)、C−C24
リールスルフィニル(−(SO)−アリール)、C−C24アルキルスルホニル(−S
−アルキル)、C−C24モノアルキルアミノスルホニル−SO−N(H)アル
キル)、C−C24ジアルキルアミノスルホニル−SO−N(アルキル)、C
24アリールスルホニル(−SO−アリール)、ボリル(−BH)、ボロノ(−B
(OH))、ボロナート(−B(OR))、式中、Rはアルキル又は他のヒドロカル
ビル)、ホスホノ(−P(O)(OH))、ホスホナート(−P(O)(O))、ホ
スフィナート(P(O)(O−))、ホスホ(−PO)、及びホスフィン(−PH
;及びヒドロカルビル部分C−C24アルキル(好ましくはC−Cl2アルキル、よ
り好ましくはC−Cアルキル)、C−C24アルケニル(好ましくはC−C12
アルケニル、より好ましくは、C−Cアルケニル)、C−C24アルキニル(好ま
しくはC−C12アルキニル、より好ましくはC−Cアルキニル)、C−C24
アリール(好ましくはC−C24アリール)、C−C24アルカリール(好ましくは
−C16アルカリール)、及びC−C24アラルキル(好ましくはC−C16
ラルキル)等が挙げられる。これらの置換基構造内で、「アルキル」、「アルキレン」、
「アルケニル」、「アルケニレン」、「アルキニル」、「アルキニレン」、「アルコキシ
」、「芳香族」、「アリール」、「アリールオキシ」、「アルカリール」、及び「アラル
キル」部分は、任意選択で、フッ素置換又は全フッ素置換してもよい。加えて、アルコー
ル、アルデヒド、アミン、カルボン酸、ケトン、又は他の同様の反応性官能基についての
言及は、その保護されたアナログ(their protected analogs)も含む。例えば、ヒドロ
キシ又はアルコールについての言及は、ヒドロキシが、アセチル(Ac)、ベンゾイル(
Bz)、ベンジル(Bn)、β−メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、ジメトキ
シトリチル,[ビス−(4−メトキシフェニル)フェニルメチル](DMT)、メトキシ
メチルエーテル(MOM)、メトキシトリチル[(4−メトキシフェニル)ジフェニルメ
チル、MMT)、p−メトキシベンジルエーテル(PMB)、メチルチオメチルエーテル
、ピバロイル(Piv)、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラヒドロフラン(TH
F)、トリチル(トリフェニルメチル、Tr)、シリルエーテル(もっとも有名なものと
しては、トリメチルシリル(TMS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)
エーテル、トリ−イソ−プロピルシリルオキシメチル(TOM)エーテル、及びトリイソ
プロピルシル(TIPS)エーテルが挙げられる)、エトキシエチルエーテル(EE)に
より保護されている置換基も含む。アミンへの言及は、アミンが、BOCグリシン、カル
ボベンジルオキシ(Cbz)、p−メトキシベンジルカルボニル(Moz又はMeOZ)
、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメチルオキシカルボ
ニル(FMOC)、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bn)、カルバ
メート、p−メトキシベンジル(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル(DMPM)、
p−メトキシフェニル(PMP)、トシル(Ts)基、又はスルホンアミド(Nosyl
&Nps)基により保護されている置換基も含む。カルボニル基を含有する置換基への言
及は、また、カルボニル基が、アセチル基又はケタール基、アシラール基、又はジアセン
基により保護されているカルボン酸等の置換基も含む。カルボン酸塩又はカルボキシレー
ト基を含有する置換基についての言及は、カルボン酸又はカルボキシレート基が、そのメ
チルエステル、ベンジルエステル、tert−ブチルエステル、2,6−ジ置換フェノー
ル(例えば、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2,6
−ジ−tert−ブチルフェノール)、シリルエステル、オルトエステル、又はオキサゾ
リンに保護されているものも含む。好ましい置換基は、本明細書において、シリル化の化
学反応(silylationchemistries)に全く又はほとんど影響しないと規定されているもの
であり、例えば、アルキル、アルコキシド、アリールオキシド、保護されたカルボニル基
、F、Cl、−CFで任意に置換されたアリール;エポキシド、N−アルキルアジリジ
ン;cis−及びトランス−オレフィン;アセチレン;ピリジン、第1、第2、第3級ア
ミン、ホスフィン、及び水酸化物を含む置換基を含む。
「官能化ヒドロカルビル」、「官能化アルキル」、「官能化オレフィン」、「官能化環
状オレフィン」等における「官能化」とは、ヒドロカルビル、アルキル、アリール、ヘテ
ロアリール、オレフィン、環状オレフィン、又は他の部分において、炭素原子(又は他の
原子)に結合した少なくとも1つの水素原子が、本明細書及び上記に記載した1つ以上の
官能基によって置換されていることを意味する。用語「官能基」は、本明細書に記載の置
換基のいずれかを「Fn]の範囲で含むことを意味する。
さらに、上記の官能基は、特定の基が許容する場合には、1つ以上の追加の官能基で、
又は1つ以上のヒドロカルビル部分(例えば、上に具体的に列挙されたもの)でさらに置
換され得る。同様に、上記のヒドロカルビル部分は、1以上の官能基又は追加のヒドロカ
ルビル部分、例えば具体的に列挙されたもの等でさらに置換されていてもよい。
「任意の」又は「任意に」は、その後に記載された状況が起こっても起こらなくてもよ
いことを意味し、したがって、その記載は、その状況が起こる場合及び起こらない場合を
含む。例えば、「任意に置換された」という語句は、非水素置換基が所与の原子又は有機
部分に存在しても存在しなくてもよいことを意味し、したがって、当該記載は、非水素置
換基が存在する構造及び非水素置換基が存在しない構造を含む。
本明細書において使用する「有機シラン」又は「ヒドロシラン」という用語は互換的に
使用され、少なくとも1つのケイ素−水素(Si−H)結合、好ましくは少なくとも1つ
の炭素含有部分を有する化合物又は試薬をいう。ヒドロシランは、さらに、ケイ素−炭素
、ケイ素−酸素(すなわち、「オルガノシロキサン」という用語を包含する)、ケイ素−
窒素結合、又はそれらの組み合わせを含有してもよく、モノマーであってもよく、又はオ
リゴマー又はポリマーフレームワーク内に含まれてもよく、例えば、異種又は均質支持構
造にテザーされていてもよい。用語「ヒドロシラン」はまた、対応するS−H結合がSi
−D同族体(cogeners)において濃縮されている重水素シランも含む。
本明細書で使用する用語「オルガノジシラン」及び「ジシラン」は互換的に使用され、
少なくとも1つのSi−Si結合を有する化合物又は試薬を指す。これらの用語は、ジシ
ランが少なくとも1つのSi−H結合を含む実施形態、及びジシランがケイ素−水素(S
i−H)結合を含まない実施形態を含む。本開示は、Si−Si結合を有する化合物の反
応を指すが、Si−H結合の任意の存在は、オルガノシラン試薬を用いてシリル化に関し
て記載した反応マニホールドを介して反応を進行させることができる。そのようなSi−
H経路は、ジシラン系においてシリル化を進行させるために必要ではないが、シリル化試
薬がSi−Si結合とSi−H結合の両方を含む場合、反応は互いに並行して動作し得る
。オルガノジシランは、ケイ素−炭素、ケイ素−酸素、ケイ素−窒素結合、又はそれらの
組合せをさらに含んでもよく、モノマーであってもよく、又はオリゴマー又はポリマーフ
レームワーク内に含まれてもよく、例えば、異種又は均質支持構造にテザーされていても
よい。
オルガノシラン又はオルガノジシランの語は、本明細書中で使用される場合、反対の内
容が明示的に述べられていない限り、Si−ハロゲン結合を含まない物質を指すものとす
る。しかしながら、いくつかの実施形態において、オルガノシラン又はオルガノジシラン
は、Si−ハロゲン結合を含んでいてもよい。
本明細書で使用する用語「シリル化すること」又は「シリル化」という用語は、その前
に炭素−水素結合によって占有されていた位置に炭素−ケイ素結合を形成することをいう
。シリル化は、C−H及びSi−H結合又はC−H及びSi−Si結合の脱水素的カップ
リングと見ることができ、C−Si結合を形成する。
本明細書で使用する用語「遷移金属化合物を実質的に含まない」は、システムが(前調
整済み(preconditioned)組成物の文脈において)安定であり、(方法の場合に)本明細
書に記載した比較的温和な条件下で、任意の外因性の(すなわち、意図的な添加等による
)遷移金属触媒が全く存在しなくても、C−H結合をシリル化するという意図した目的に
有効である。特定の実施形態は、シリル化反応を触媒することができる遷移金属を含む遷
移金属が、このような触媒活性に通常関連するレベル(例えば、基質がメタロセンを含む
場合)で、本明細書に記載のシステム又は方法において存在し得ることを規定するが、(
触媒又は観客化合物のいずれかとしての)そのような金属の存在は不要であり、多くの場
合には望ましくない。そのため、多くの好ましい実施形態では、システム及び方法は「遷
移金属化合物を実質的に含まない」。別段の記載がない限り、「遷移金属化合物を実質的
に含まない」という用語は、シリル化系内の遷移金属の総量が、独立して又は有機基質の
存在下で、ICP−MSによって測定した場合に約5ppm未満であることを反映するよ
うに規定される。このように明示的に述べると、追加の実施形態においては、また、遷移
金属の濃度は約10重量%、5重量%、1重量%、100ppm、50ppm、30pp
m、25ppm、20ppm、15ppm、10ppm未満、又は5ppm〜約1ppm
又は0ppmである。本明細書で使用する用語「遷移金属」は、d−ブロック要素、例え
ば、Ag、Au、Co、Cr、Rh、Ir、Fe、Ru、Os、Ni、Pd、Pt、Cu
、Zn、又はそれらの組み合わせを含む。さらなる特定の独立した実施形態では、ICP
−MSによって測定されるNiの濃度は、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未
満、又は1ppm未満である。
同様に、用語「C−Hシリル化可能なヘテロ芳香族、オレフィン性、又はアセチレン性
基質の実質的な不存在」は、化合物又は前調整済み組成物が、前駆体ヒドロシランの量に
対して、これらの物質を部分化学量論量(substoichiometric amounts)含有すること、
又は、添加した基質物質が存在しないこと、及び好ましくは、上記の条件下で、さもなけ
ればC−H位置でシリル化され得る基質が追加されていないことを反映することを意図し
ている。このような不飽和有機基質は、特にヘテロ芳香族基質を指すが、本明細書の他の
箇所で引用された各特許出願に記載されている末端オレフィン基質又はアセチレン基質も
指す。
水及び酸素へのシステムの暴露を制限する必要はないかもしれないが、これらの物質の
存在は、例えば、フリーラジカル中間体を形成し、それによって、前調整済み混合物の安
定性、水素化物化合物、又はその後のシリル化反応の速度に、物質的に悪影響を与え得る
。いくつかの実施形態では、本化学系及び方法は、水、酸素、又は水と酸素の両方を実質
的に含まない。他の実施形態では、空気及び/又は水が存在する。別段の指定がない限り
、「実質的に水を含まない」という用語は、約500ppm未満の水のレベルを指し、「
実質的に酸素を含まない」とは、1トル未満の分圧に対応する酸素レベルを指す。記載さ
れている場合、追加の独立した実施形態は、「実質的に水を含まない」とは、1.5重量
%、1重量%、0.5重量%、1000ppm、500ppm、250ppm、100p
pm、50ppm、10ppm、又は1ppmであり、また、「実質的に酸素を含まない
」とは、50トル、10トル、5トル、1トル、500ミリトル、250ミリトル、10
0ミリトル、50ミリトル、又は10ミリトル未満の分圧に対応する酸素レベルを指す。
本明細書に記載の一般的な手順では、特に明記しない限り、水と酸素の両方を意図的に排
除する努力がなされた。
用語「末端シリル化オレフィン生成物」は、本明細書に記載の反応のオレフィン生成物
を指し、末端置換ビニルシラン又はアリルシランを含む。用語「末端シリル化オレフィン
部分」は、生成物がアリール又はビニルシリル化合物であるかどうかにかかわらず、末端
シリル化オレフィン生成物のシリル部分を指す。用語「末端ヒドロシリル化生成物」とい
う用語は、一般には、ビニル芳香族基質への反マルコニコフ的ヒドロシリル化付加の結果
として、シリル基がエチレン結合の末端位置に配置された生成物を指す。
以下に挙げた各実施形態は、これまでの説明を置換又は差し替えるものではなく、補完
することを意図している。
(実施形態1)
(a)前駆体としてのヒドロシラン又はオルガノジシランと、
(b)水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、カリウムシラノレート(例えば、KO
TMA)、水酸化ルビジウム、ルビジウムシラノレート、水酸化セシウム、セシウムアル
コキシド、セシウムシラノレート、カリウムアミド(例えば、カリウムビス(トリメチル
シリル)アミド)、カリウムグラファイト(例えば、KC)、又はそれらの組み合わせ
を含むか又は本質的にそれらからなる基質と、の混合物を前調整することにより調製した
組成物であって、
前調整することは、1−メチルインドールの測定可能なシリル化を開始可能な組成物を
生成するのに十分な条件下で、45℃以下の温度で、誘導期間が30分未満、25分未満
、15分未満、10分未満、5分未満、又は1分未満で、合成ヒドロシラン及び塩基の混
合物を保持することを含むか、又は本質的に保持することからなる。本実施形態の特定の
態様において、組成物は、添加されたヘテロ芳香族、オレフィン、又はアセチレン基質を
含まない。
(実施形態2)
(a)前駆体としてのヒドロシランと、
(b)水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、カリウムシラノレート(例えば、KO
TMS)、水酸化ルビジウム、ルビジウムアルコキシド、ルビジウムシラノレート、水酸
化セシウム、セシウムアルコキシド、セシウムシラノレート、カリウムアミド(例えば、
カリウムビス(トリメチルシリル)アミド)、又はそれらの組み合わせを含むか又は本質
的にそれらからなる塩基と、の間の実施形態1に記載の前調整の反応から派生し得るSi
−H系種を含む、実施形態1に記載の組成物であって、
比較可能な条件下で評価した場合に、前記前駆体としてのヒドロシランは赤外スペクト
ルのSi−H伸縮領域において吸収ピークを呈し、前記Si−H系種は赤外スペクトルの
Si−H伸縮領域において吸収ピークを呈し、当該吸収ピークは前記前駆体としてのヒド
ロシランの前記吸収ピークよりも低エネルギーである。本実施形態のいくつかの態様にお
いて、Si−H系種は、Si−H結合を含む超配位ケイ素種であるか、又はそれを含む。
本実施形態の特定の態様においては、組成物には、ヘテロ芳香族性、オレフィン性、又は
アセチレン性基質が添加されていない。用語「派生可能」は、組成物が前駆体としてのヒ
ドロシランと塩基との間の反応から派生し得るが、必ずしも派生しないことを意味する。
(実施形態3)
実施形態1又は2の組成物であって、溶媒をさらに含む組成物。
本実施形態の他の態様において、組成物は溶媒を含まない(すなわち、ヒドロシラン又
はオルガノジシラン及び塩基は無溶媒混合物として存在する)。本実施形態のいくつかの
態様において、組成物は、炭化水素溶媒を含む溶液である。本実施形態のいくつかの態様
において、組成物は、本明細書の他の箇所に記載されるような酸素供与体含有溶媒、好ま
しくはエーテル型溶媒、より好ましくは任意に置換されたテトラヒドロフラン、例えば2
−メチルテトラヒドロフランを含む溶液である。
(実施形態4)
実施形態1〜3のいずれか一の組成物であって、塩基は水酸化カリウム、水酸化ルビジ
ウム、又は水酸化セシウムを含む、組成物。
(実施形態5)
実施形態1〜3のいずれか一の組成物であって、塩基は水酸化カリウムを含む、組成物
。.
(実施形態6)
実施形態1〜3のいずれか一の組成物であって、塩基はカリウムアルコキシド、ルビジ
ウムアルコキシド、又はセシウムアルコキシドを含む、組成物。
(実施形態7)
実施形態1〜3のいずれか一の組成物であって、塩基はカリウムアルコキシドを含む、
組成物。
(実施形態8)
実施形態1、6、又は7のいずれか一の組成物であって、アルコキシドは、メトキシド
、エトキシド、プロポキシド、又はブトキシド、好ましくはtert−ブチルブトキシド
等のC1−6アルコキシドを含む、組成物。
(実施形態9)
実施形態1〜8のいずれか一の組成物であって、前駆体としてのヒドロシランは式(I
)又は式(II):
(R)3−mSi(H)m+1 (I)
(R)3−m(H)Si−Si(R)2−m(H)m+1 (II)で表され
式中、mは、独立して0、1,又は2であり、また、Rはそれぞれ独立して、任意に置換
されたC1−24アルキル又はヘテロアルキル、任意に置換されたC2−24アルケニル
、任意に置換されたC2−24アルキニル、任意に置換されたC6−12アリール、C
−12ヘテロアリール、任意に置換されたC7−13アルカリール、任意に置換されたC
4−12ヘテロアルカリール、任意に置換されたC7−13アラルキル、任意に置換され
たC4−12ヘテロアラルキル、任意に置換された−O−C1−24アルキル、任意に置
換されたC6−12アリールオキシ、任意に置換されたC3−12ヘテロアリールオキシ
、任意に置換されたC7−13アルカリールオキシ、任意に置換されたC4−12ヘテロ
アルカリールオキシ、任意に置換されたC6−12アラルコキシ、又はC4−12ヘテロ
アラルコキシであり、及び、置換されている場合、置換基は、ホスホナート、ホスホリル
、ホスファニル、ホスフィノ、スルホナート、C−C20アルキルスルファニル、C
−C20アリールスルファニル、C−C20アルキルスルホニル、C−C20アリー
ルスルホニル、C−C20アルキルスルフィニル、5〜12環員のアリールスルフィニ
ル、スルホンアミド、アミノ、アミド、イミノ、ニトロ、ニトロソ、ヒドロキシル、C
−C20アルコキシ、C−C20アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル
、C−C20アリールオキシカルボニル、カルボキシル、カルボキシラート、メルカプ
ト、ホルミル、C−C20チオエステル、シアノ、シアナート、チオシアナート、イソ
シアネート、チオイソシアネート、カルバモイル、エポキシ、スチレニル、シリル、シリ
ルオキシ、シラニル、シロキサザニル、ボロナート、ボリル、又はハロゲン、又は、金属
含有又はメタロイド含有基であり、メタロイドはSn又はGeであり、各置換基は、アル
ミナ、シリカ、又は炭素を含む不溶性又は難溶性の支持媒体に、任意選択でテザーを提供
してもよい。本実施形態の特定の態様において、前駆体としてのオルガノジシランは式(
III)で表され
(R’)Si−Si(R’) (III)
式中、R’は先に定義したRであり、又は、さらに、任意で置換したアルコキシ又はア
リールオキシ部分又はトリメチルシロキシを含む。本実施形態の他の態様において、R又
はR’は、独立して、任意で置換したアルキル、アルケニル、アリール、及び/又はヘテ
ロアリール部分であり、その詳細は本明細書の他の箇所においてさらに記載する。R’は
、独立して、任意で置換したアルコキシ又はアリールオキシ部分又はトリメチルシロキシ
を含んでもよい。
(実施形態10)
実施形態1〜9のいずれか一の組成物であって、少なくとも1つのヒドロシランが(R
SiH又は(R)SiHであり、式中、Rはそれぞれ独立してC1−6アルキル
、フェニル、トリル、又はピリジニルである。本実施形態の特定の態様において、Rはそ
れぞれ独立してメチル、エチル、プロピル、ブチル、プロピル、フェニル、ビオフェニル
、ベンジル、又はピリジニルであり、例えば、EtMeSiH、PhMeSiH、B
nMeSiH、(n−Bu)SiH、EtSiH、MeSiH、EtSiH
、n−PrSiH、i−PrSiH、n−BuSiH、sec−BuSiH、t
ert−BuSiH、Me(ピリジニル)SiH、又はMeSi−SiMeHで
ある。本実施形態の特定の態様において、これらの置換基は任意で置換される。
(実施形態11)
実施形態10の組成物であって、該組成物は溶液であり、塩基は、カリウムtert−
ブトキシドを含む、組成物。
(実施形態12)
実施形態1〜11のいずれか一の組成物であって、組成物には、遷移金属又は遷移金属
種が添加されていない。本実施形態の特定の態様において、遷移金属又は遷移金属種は、
組成物の全重量に対し、1%未満、1000ppm、100ppm、50ppm、又は1
0ppmで存在する。
(実施形態13)
実施形態1〜11のいずれか一の組成物であって、当該組成物は、好ましくはエテール
系溶液であり、最も好ましくはテトラヒドロフラン又は2−メチル−テトラヒドロフラン
である。
(実施形態14)
実施形態13の組成物であって、テトラヒドロフラン中で、さらに、図3に示すような
実質的にg=2.0007を中心とするTHF中の電子常磁性共鳴(EPR)信号を示す
(実施形態15)
化合物又はその化合物自体を含む組成物であって、式(IV)で表される、任意溶媒和
水酸化ケイ素構造:
Figure 2021193104


又はその幾何異性体を有し、
式中、
は、カリウム、ルビジウム、セシウム、又はそれらの組み合わせを含むカチオンで
あるか、又はそれらを含み;
−ORは、水酸化物、アルコキシド、アルキルシラノレート、又はその組み合わせで
あるか、又はそれらを含み;及び
−Rは、H、−R、又は−Si(R)3−m、又はそれらの組み合わせを含み、
式中、m及びRは本明細書の他の箇所に記載した通りであり、又はその異性体である、
組成物。
(実施形態16)
(a)水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、カリウムシラノレート、水酸化ルビジ
ウム、ルビジウムアルコキシド、ルビジウムシラノレート、セシウムヒドロキシド、セシ
ウムアルコキシド、セシウムシラノレート、又はその組み合わせと、(b)式(I)又は
(II)で表される前駆体であるヒドロシラン、又は、本明細書の他の箇所に記載したよ
うな、前駆体としての個々のヒドロシランのいずれかとの付加生成物である化合物。
(実施形態17)
ヘテロ芳香族基質、オレフィン基質、又はアセチレン基質が添加されていない実施形態
1〜16のいずれか一の化合物又は組成物。本実施形態の特定の態様において、用語「な
い(free)」とは、添加された基質を含まないことを意味する。
(実施形態18)
C−H結合又はアルコールO−H結合を有する有機基質をシリル化することを含む方法
であって、当該有機基質を実施形態1〜17の組成物又は化合物と接触させることを含む
方法において、
接触させた結果、その前にC−H結合によって占有されていた位置にC−Si結合が形
成され、又は、その前にO−H結合によって占有されていた位置にO−Si結合が形成さ
れ、
C−H結合は、
(a)ヘテロ芳香族部分上に配置され;
(b)ヘテロアリール部分に対してアルファに位置するアルキル、アルコキシ、又はア
ルキレン部分上に配置され;
(c)アルキニルC−H結合であるか;又は
(d)末端オレフィン性結合であり、
前調整済み混合物は、30分、25分、20分、15分、10分、5分、又は1分未満
の誘導期間で、45℃(又は未満)の温度で1−メチルインドールの測定可能なシリル化
を開始することができる。各基質又は基質の種類は、それぞれ、独立した実施形態と考え
られる。本実施形態の特定の個々の態様において、前駆体としてのヒドロシランは、式(
I)又は(II)の化合物、又は本明細書に記載した任意の個々のヒドロシランである。
(実施形態19)
C−H結合又は−OH結合を含有する少なくとも1つの有機基質をシリル化することを
含む方法であって、当該方法は、
(a)前駆体としてのヒドロシラン;及び
(b)水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、KC、又はそれらの組み合わせを含むか
又は本質的にそれらからなる塩基;
と有機基質を接触させることを含み、
C−H結合は:
(a)ヘテロ芳香族部分上に配置され、
(b)アリール又はヘテロアリール部分に対してアルファに位置するアルキル、アルコ
キシ、又はアルキレン部分上に配置され、
(c)アルキニルC−H結合;又は
(d)末端オレフィン性C−H結合であり、
接触させた結果、その前にC−H結合によって占有されていた位置にC−Si結合が形
成され、又は、その前にO−H結合によって占有されていた位置にO−Si結合が形成さ
れる。各基質又は基質の種類は、それぞれ、独立した実施形態と考えられる。本実施形態
の特定の個々の態様において、前駆体としてのヒドロシランは、式(I)又は(II)の
化合物であるか、又は本明細書に記載した任意の個々のヒドロシランである。本実施形態
の他の個々の態様において、前駆体としてのオルガノジシランは、式(III)で表され
る化合物であるか、又は本明細書に記載した任意の個々のヒドロシランである。
(実施形態20)
実施形態19に記載の方法であって、前駆体としてのヒドロシラン又はオルガノジシラ
ン及び塩基は、有機基質と接触させる前に前調整される。
前調整とは、前駆体としてのヒドロシラン及び塩基を約25℃〜約125℃の範囲内に
おける一以上の温度で約30分〜約24時間の範囲内の時間にわたって保持することを含
み、当該時間と温度の組み合わせは、30分、25分、20分、15分、10分、5分、
又は1分未満の誘導期間で、45℃(又は未満)の温度で1−メチルインドールの測定可
能なシリル化を開始可能な組成物を生成するのに十分なものとする。
(実施形態21)
実施形態18〜20のいずれか一の方法であって、有機基質はヘテロ芳香族部分であり
、例えば、任意に置換されたフラン、ピロール、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール
、トリアゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキ
サジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアゾン、ベンゾフラ
ン、ベンゾチオフェン、イソベンゾフラン、イソベンゾチオフェン、インドール、イソイ
ンドール、インドリジン、インダゾール、アザインドール、ベンジイソオキサゾール、ベ
ンゾオキサゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、ナフチリジン、
2,3−ジヒドロベンゾフラン、2,3−ジヒドロベンゾピロール、2,3−ジヒドロベ
ンゾチオフェン、ジベンゾフラン、キサンテン、ジベンゾピロール、又はジベンゾチオフ
ェン部分である。本実施形態の特定の態様において、有機基質は、2013年10月2日
に出願された米国特許第14/043,929号明細書(アルコキシドとヘテロ芳香族化
合物)、現在は米国特許第第9,000,167号(特許文献1)又は2015年8月5
日に出願された米国特許出願第14/818,417号明細書(水酸化物とヘテロ芳香族
化合物)(特許文献2)に記載されており、各文献は参照により少なくともその教示の内
容が本明細書において援用される
(実施形態22)
実施形態18〜20のいずれか一の方法において、有機基質は、以下の式を有するアル
キニルC−H結合を含み:
−C≡C−H、
式中、Rは、任意に置換されたC1−18アルキル、任意に置換されたC2−18アル
ケニル、任意に置換されたC2−18アルキニル、任意に置換されたC6−18アリール
、任意に置換されたC6−18アリールオキシ、任意に置換されたC7−18アラルキル
、任意に置換されたC7−18アラルキルオキシ、任意に置換されたC3−18ヘテロア
リール、任意に置換されたC3−18ヘテロアリールオキシ、任意に置換されたC4−1
ヘテロアリールアルキル、任意に置換されたC4−18ヘテロアラルキルオキシ、又は
任意に置換されたメタロセンを含む。本実施形態の特定の態様において、有機基質は、2
015年9月1日に出願された米国特許出願第14/841,964号明細書(アルキン
)、現在は米国特許第9,556,206号(特許文献3)に記載のアルキンであり、少
なくともその教示の内容を参照により本明細書に援用する。
(実施形態23)
実施形態18〜20のいずれか一の方法において、少なくとも一つの有機基質は式(V
)を有する末端オレフィンを含み:
Figure 2021193104
式中、pは0又は1であり;R及びRは、独立して、H、任意に置換されたC1−
18アルキル、任意に置換されたC2−18アルケニル、任意に置換されたC2−18
ルキニル、任意に置換されたC6−18アリール、任意に置換されたC1−18ヘテロア
ルキル、任意に置換された5〜6環員のヘテロアリール、任意に置換された5〜6環員の
アラルキル、任意に置換された5〜6環員のヘテロアラルキル、又は任意に置換されたメ
タロセンを含み、ただし、R及びRの両方ともHでないことを条件とする。本実施形
態の特定の態様において、有機基質は、2016年5月27日に出願された米国特許出願
第15/166,405号明細書(末端オレフィン)(特許文献5)に記載されているよ
うな末端オレフィンを有する任意のものであり、少なくともその教示の内容を参照により
本明細書に援用する。
(実施形態23)
実施形態18〜20のいずれか一の方法において、少なくとも1つの有機基質は、式(
VIA)又は式(VIB)の構造を有するアルコール性−OH基を含み:
−OH (VIA) HO−R−OH (VIB
)、
式中、Rは、任意に置換されたC1−24アルキル、任意に置換されたC2−24
ルケニル、任意に置換されたC2−24アルキニル、任意に置換されたC6−24アリー
ル、任意に置換されたC1−24ヘテロアルキル、任意に置換された5環員又は6環員の
ヘテロアリール、任意に置換されたC7−24アラルキル、任意に置換されたヘテロアラ
ルキル、又は任意に置換されたメタロセンを含み;式中、Rは、任意に置換されたC
−12アルキレン、任意に置換されたC2−12アルケニレン、任意に置換されたC6−
24アリレン、任意に置換されたC1−12ヘテロアルキレン、又は任意に置換された5
環員又は6環員のヘテロアリレンを含む。本実施形態のある態様において、少なくとも1
つの有機アルコール部分を有する有機基質は、任意に置換されたカテコール部分を含むか
、又は当該部分からなり、又は式(IV)を有する:
Figure 2021193104
式中、nは0〜6であり、好ましくは0又は1であり;
及びRは独立してH又はメチルであり、
、R、R、及びRは独立してH、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、
,任意に置換されたフェニル、任意に置換されたベンジル、又は任意に置換された5環員
又は6環員のヘテロアリールであり、任意の置換基は、C1−3アルキル、C1−3アル
コキシ、又はハロである。この属の中で、有機基質は、置換1,2−ジオール、1,3−
ジオール、1,4−ジオールを含み、これらは1つ以上のアルキル及び/又は任意に置換
されたアリール又はヘテロアリール置換基で置換されている。この属の中で、有機基質は
、置換1,2−ジオール、1,3−ジオール、1,4−ジオールを含み、これらは1つ以
上のアルキル及び/又は任意に置換されたアリール又はヘテロアリール置換基で置換され
ている。本実施形態の特定の態様において、有機基質は、2016年7月26日に出願さ
れた米国特許第15/219,710号明細書(水酸化物を有するアルコール)(特許文
献6)に記載されたような末端オレフィンを有する任意のものであり、全ての目的のため
又は少なくともその教示の内容を参照により本明細書に援用する。
以下の実施例は、本開示内に記載した概念のいくつかを例示するために提供する。各実
施例は、組成物、調製方法及び使用の特定の個々の実施形態を提供すると考えられるが、
実施例のいずれも、本明細書に記載のより一般的な実施形態を限定するとみなされるべき
ではない。
以下の各実施例では、使用する数値(例えば、量、温度等)に関して正確性を保証する
努力がなされたが、実験誤差及び偏差はある程度考慮すべきである。特に指示のない限り
、温度は℃(摂氏)であり、圧力は大気圧又はそれに近い圧力である。
(実施例1)一般情報
別段の記載がない限り、反応は、窒素充填グローブボックス内で、又はアルゴン又は窒
素雰囲気下において、乾燥脱酸素化溶媒を使用して火炎乾燥したガラス器具内で行った。
アルゴン下で活性アルミナカラムを通過させることにより溶媒を乾燥させた。反応の進行
は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、GC、又はアジレント社1290超高速液体クロマ
トグラフィー/質量分析法(Agilent1290UHPLC-MS)によってモニタした。E.Merc
kシリカゲル60F254プレコートガラスプレート(0.25mm)を用いてTLCを
行い、UV蛍光消光、p−アニスアルデヒド、又はKMnO染色により可視化した。Si
licycleSiliaFlash(登録商標)P60アカデミックシリカゲル(粒度40〜63nm)をフ
ラッシュクロマトグラフィーに使用した。H−NMRスペクトルをVarian社製I
nova500MHz又はBruker社製400MHz分光計で記録し、残留CHCl
(δ7.26ppm)、C(δ7.16ppm)、又はTHF(δ3.58、1
.72ppm)に対して記録した。13C−NMRスペクトルを、Varian社製In
ova500MHz分光計(125MHz)又はBruker社製400MHz分光計(
100MHz)で記録し、CHCl(δ77.16ppm)に対して記録した。13
−NMRについてのデータは、化学シフト(δppm)の観点から記録された。IRスペ
クトルは、パーキンエルマー社製SpectrumBXII分光計又はNicolet6
700FTIR分光計の使用により、NaClプレート上に堆積された薄膜を使用して取
得し、吸収の頻度(cm−1)で記録した。GC−FID分析は、HP−1100%ジメチル
ポリシロキサンキャピラリーカラム(アジレント社)を備えたアジレント社6850Nガ
スクロマトグラフで取得した。GC−MS分析は、HP−5(5%−フェニル)−メチル
ポリシロキサンキャピラリーカラム(アジレント社)を備えたアジレント社6850ガス
クロマトグラフで取得した。高分解能質量スペクトル(HRMS)は、エレクトロスプレ
ーイオン化(ESI+)、大気圧化学イオン化(APCI+)、又は混合イオン化モード
(MM:ESI−APCI+)においてアジレント社G1978Aマルチモードソースを
用いたアジレント社6200シリーズTOFから取得したか、又はカルテック質量分析研
究所から取得した。FT−ATR−IR測定は、iD5 ATRアクセサリを備えたThermo Scie
ntific Nicolet iS 5 FT-IR分光計で行った。ReactIR測定は、Sentinel
高圧プローブ及びSIComp窓を備えたK4導管を用いてMettler-Toledo ReactIR ic1
0上で実施した。電子常磁性共鳴(EPR)スペクトルは、XバンドのBruker社製
EMX分光計で取得した。Omyical SuperCRC又はInsight CPR 220反応熱量計を使用して
熱流量をモニタした。
トリエチルシラン(99%、Sure/Seal(商標))及びKOt−Bu(昇華グ
レード、99.99%微量金属ベース)をアルドリッチ社から購入し、そのまま使用した
。KOHを粉砕し、使用前に、デシケーター中のP上で24時間真空下において乾
燥させた。他の試薬は、シグマ−アルドリッチ社、アクロスオーガニック社、Strem
社、又はアルファAesar社から購入し、特に明記しない限り、受領したままの状態で
使用した。
(実施例2)代表的条件
(実施例2.1)反応条件
一般的な反応手順:窒素充填グローブボックス内で、触媒(KOtBu、0.5当量)
をオーブン乾燥した2mLガラスバイアル中に測り入れた。次いで、オレフィン基質(1
.0当量)をバイアルに添加した。そして、溶媒(DME(ジメトキシエタン);DME
中のオレフィン濃度を1Mとするもの)及びシラン(3.0当量)を添加し、テフロン(
登録商標)攪拌棒をバイアルに入れ、反応物を密閉し、45℃〜150℃の範囲内の温度
で、24時間〜96時間撹拌する。ジエチルエーテルで希釈することによりこの反応を停
止した;溶液をシリカの短プラグを介して濾過し、次いで減圧下で濃縮した。カラムクロ
マトグラフィーによる精製により、以下に詳述する純粋な化合物を得た。収率は、内部標
準を使用して粗混合物のH−NMR又はGC−FID分析により求めた。シス/トラン
ス比は、NMR又はGC−FIDにより求めた。
(実施例2.2)塩基触媒のスクリーニングのための一般的な方法及び動力学的プロファ
イル:
窒素充填グローブボックス内で、1−メチルインドール(0.5ミリモル、1当量)、
トリエチルシラン(1.5ミリモル、3当量)、所定の(indicated)塩基(0.1ミリ
モル、20モル%)、及びTHF(5mL)を、磁気攪拌棒を備えた1ドラムバイアルに
添加した。指示された時間に、ガラス毛細管を用いてアリコートを除去し、EtOで希
釈し、GC−FIDを用いて分析して、位置選択性及び収率を求めた。GC変換は、生成
物(C2−及びC3−シリル化)を生成物及び出発物質で除したものとして記録される。
表1に結果を示す。
Figure 2021193104
(実施例2.3)インサイチュ(in situ)H−NMRによる時間経過反応モニタリン
グの手順
窒素充填グローブボックス内で、KOt−Bu(60.5mg、0.539mmol)
及び1,2,5−トリメトキシベンゼン(使用する場合、45.4mg、0.267mm
ol)を含むストック溶液をTHF−D8(2.7ml)中で調製する。次いで、グロー
ブボックス中で、J−Young気密NMR管に、1−メチルインドール(32.8mg
、0.25mmol、1当量)、EtSiH(0.75mmol、3当量)、及び0.
25mLのストック溶液を装填する。チューブは、対応するテフロン(登録商標)プラグ
でしっかりと蓋をし、グローブボックスから取り出して、NMRの内腔に載置し、45℃
に加熱する。H−NMRスペクトルは、「アレイ」モードで取得し、実験をする間スペ
クトルを約3分ごとに取得した。データはMestReNovaを用いて処理し、ピーク
積分を1,2,5−トリメトキシベンゼン(使用した場合)に正規化した。
1−メチルインドール[1]を0.25〜0.76ミリモル(0.5〜1.5当量)の
範囲で変化させながら、1H−NMR(内部標準を用いる)による時間経過反応モニタリ
ングの手順に従って検討を行った。誘導期間ののち生成物形成のバースト段階となった。
しかしながら、残念なことにこの誘導期間のせいでこの段階の初期速度を確定することは
困難であったが、全ての試験は、バースト期間中、同様の速度を有するようであった。バ
ースト段階の長さ(すなわち、生成物形成)は、基質の性質に関係するようである。興味
深いことに、バースト段階の後、全てのグラフ(プロット)の傾きは一致しているようで
あり、反応は基質の性質に依存しえないことを示している。図2〜図4を参照のこと。こ
の研究は、シリル化反応が以下の3つのレジーム中、すなわち誘導中、バースト中、及び
持続反応期間中に起こったことを実証するのに役立った。
(実施例2.4)反応アリコットのGC分析による時間経過反応モニタリングの手順
窒素充填グローブボックス内で、磁気攪拌棒を備えた1ドラムバイアルに、所定の塩基
(0.1mmol、20mol%、Strem社から未知の水和物として供給され、受領
したままの状態で使用した)、1−メチルインドール(65.6mg、0.5mmol、
1当量)、トリメチルシラン(174.4mg、1.5mmol、3当量)を装填し、そ
の後PTFEライナー付きのスクリューキャップで密封し、撹拌しながら45℃に加熱し
た。所定の時点で、清潔で乾燥したガラス細管を用いてアリコートを取り出し、Et
で希釈し、GC−FIDで分析した。転化率は、C2−及びC3−シリル化生成物の両方
の百分率を生成物及び出発物質で除したものとして記録される。各時点で、位置選択性(
すなわち、C2〜C3シリル化比、表2)も得ることができた。
Figure 2021193104
Figure 2021193104
(実施例2.5)ReactORを用いた反応時間経過の手順
ReactIR Sentinel高圧プローブと共に使用するためのガラス反応容器及び磁気攪拌棒を
オーブン乾燥し、PTFEアダプターを取り付け、窒素充填グローブボックスに入れ、又
はアルゴン流下で冷却し、全ての付加反応(addition)に対して標準的な空気排除技術(
air-free technique)を用いた。KOt−Bu(0.8mmol、20mol%)、1−
メチルインドール(1.05g、8mmol、1当量)、トリエチルシラン(13.89
mL、24mmol、3当量)、添加剤、及びTHF(8mL、1M)をReactIR
プローブに適合させた反応容器に添加し、アルゴン下で攪拌しながら45℃に加熱した。
スペクトルを反応の過程にわたって記録し、データはReactIRソフトウェアを用い
て分析した。図5及び図6を参照のこと。
超配位ケイ酸塩に起因する新たなピークが見えるまでインドール1は添加せずに、類似
の実験を行った。その後、シリンジを介してインドール1を添加し、反応は誘導期間なし
で直ちに進行する。
(実施例2.6)ATR−FTIR測定の一般的な手順
窒素充填グローブボックス内で、磁気攪拌棒を備えた1ドラムのシンチレーションバイ
アルに、塩基(0.1ミリモル)、EtSiH(80μL、0.5ミリモル、5当量)
、及びTHF(0.5mL)を添加した。バイアルを密閉し、混合物を表3に示す時間4
5℃で撹拌した。バイアルを、ATR−FTIRを有する別の窒素充填グローブボックス
に移し、ATR結晶上にこの混合物を数滴滴下した。5分間待ってすべての揮発性物質(
すなわち、THF及びシラン)を蒸発させた後、残留物のIRスペクトルを記録した。塩
基によるSi−H結合の新たな伸長は観察されず、これらは必要な超配位錯体を形成しな
かったため、シリル化反応(例えば、NaOt−Bu、Mg(Ot−Bu)、又はLi
Ot−Bu)に触媒作用を及ぼさなかった。表3及び図7A〜7O参照のこと。
Figure 2021193104
(実施例2.7)その他の具体的な代表な実施例
トリメチルシラン:関連する実験では、ガス状ヒドロシランの使用を検討することを目的
とし、トリメチルシラン(MeSiH、15mmol)、KO−tBu(0.076m
mol)、及びTHF(0.38mL)をシュレンクフラスコに添加し、テフロンストッ
パーで密封し、室温(〜23℃)で約3週間静置した。N充填グローブボックス中に、
1−メチルインドール(0.38mmol)を添加し、反応物を45℃に48時間加熱し
た。H−NMRは、1−メチル−2−トリメチルシリルインドールへの転化率が約73
%であることを示した。
ヘキサメチルジシラン:別の関連実験は、オルガノジシランの使用を検討することを目的
とし、窒素充填グローブボックス内の密閉バイアル内で、ヘキサメチルジシラン(2mm
ol)、KO−tBu(0.2mmol)、及びTHF(1mL)を混合し、45℃で2
4時間加熱した。次いで、溶液を放冷し、この混合物241mgを1−メチルインドール
(0.2mmol)を含有するバイアルに加えた。このバイアルを密封し45℃で24時
間加熱した。H−NMRは、1−メチル−2−トリメチルシリルインドールへの転化率
が約76%であることを示した。
ベンジルアルコール:N充填グローブボックス内で、ベンジルアルコール(0.2mm
ol、21.6mg、MgSO及び3ÅMSで乾燥)をバイアルに添加した。あらかじ
め混合したシリル化溶液(251mg、0.04mmolのKOtBu、0.6mmol
のEtSiH及び0.2mLのTHFを含有)を加え、溶液を45℃に加熱した。48
時間後、反応物を熱から外し、白色の沈殿物が観察された。沈殿物が溶液になったときに
混合物をEtOでクエンチし、バイアルに移し、真空中で濃縮した。H−NMRスペ
クトルは、生成物が(残留シラン及び全体で0.1未満の少量の未同定生成物とともに)
ベンジルオキシトリエチルシリルエーテルへ完全に転化したことを示した。
N−ベンゾイルインドールの脱保護:グローブボックス内で、1mLのTHFあたり3m
molのトリエチルシラン及び0.2mmolのKOtBuを含有する溶液を予め調製し
た。この溶液を45℃に24時間加熱した後、放冷し、グローブボックスに保存した。0
.2ミリモルのN−ベンゾイルインドールに、予め混合した251mgの溶液(0.6ミ
リモルのシラン、0.04ミリモルのKOtBu及び0.2mLのTHFを含む)を添加
した。バイアルを密封し、45℃で24時間加熱した。EtOで希釈した後、粗NMR
を採取したが、出発物質:脱保護されたインドール(すなわち、遊離インドール)の比は
1:1であることを示しているようであった。
(実施例3)検討
(実施例3.1)触媒アイデンティティの効果
バルキーな塩基性アニオンとカリウムカチオンとの組合せは、1−メチルインドール及
び他のヘテロ芳香族基質のC−Hシリル化に必須であると従来から報告されている。種々
のアルカリ、アルカリ土類金属、及び他の金属由来塩基の触媒能力の詳細な研究が行われ
ている。表1に示すように、K、Rb、及びCs等の半径の大きいカチオン(すな
わち半径≧K+)を有するアルカリ金属のアルコキシド及び水酸化物は、中〜良好な収率
でシリル化生成物を提供することができる(表1、項目1〜3、6、9、及び10)。
調査した全ての触媒の中で、KOt−Buは理想的な触媒であることが証明され、最高
の収率が得られた。しかしながら、KOAc又はKHを触媒として使用した場合、生成物
は検出されなかった(項目5及び7)。おそらく驚くべきことに、グラファイト(KC
)上のカリウムは、良好な収率で所望の生成物を得ることができた(項目8)。小カチオ
ン(例えば、LiOt−Bu及びNaOt−Bu)を有するアルカリ金属塩基は、反応性
を全く有さず、反応時間を延長しても生成物は観察されなかった(項目11及び12)。
アルカリ土類金属又はアルミニウムのアルコキシドもまた触媒として検討したが、何らの
生成物も得られなかった(項目13〜16)。
KOt−Bu触媒を用いたシリル化反応の動態挙動を、インサイチュ(in situ)
−NMR分光法を用いて検討した。従来は報告されていないが、図1及び図2に示すよう
に、シリル化反応は、誘導期間(図1)、生成物の急速な形成を伴う活性期間(「バース
ト」)、及び反応速度が有意に低下した最終期間の3段階で起こることがわかった。これ
ら3つの段階の時間枠は、反応条件及び反応成分(ヒドロシラン、塩基、添加剤、酸素、
水分及び溶媒を含む)によって変化したが、誘導期間は、これらの成分を同時に又はほぼ
同時に添加した場合に常に観察された。
次に、調査範囲を拡大して、表1(図4)に提示した各活性触媒を含めた。誘導期間の
長さは、金属イオンと対イオンの両方の性質に依存することが分かった。アニオンの場合
、誘導期間はKC(最短)<KOEt<KOt−Bu<KOH(最長)の順に増加した
。カチオンの半径が減少すると、CsOH(最短)<RbOH<KOH(最長)で、誘導
期間の増加が観察された。触媒負荷、溶媒、及び反応温度に基づいて誘導期間が変化する
ことは注目に値する。添加物、酸素、及び水分もまた、誘導期間に大きな影響を及ぼし得
、一般に、その期間を延長し得る。それにもかかわらず、誘導期間は、異なる時間に設定
した同一の反応に対して良好な再現性を示した。KOt−Buによる誘導期間は試験した
全ての触媒の中で最短ではないが(図4参照)、この触媒は開始後の回転率の頻度及び生
成物の収率が最も高い。
(実施例3.2)FTIRの研究による配位シラン種の検討
ReactIRを用いてシリル化反応をモニタすることにより、新たなケイ酸塩種であ
って、超配位の可能性のあるものが存在する証拠が見つかった。図5及び図6のインサイ
チュ(in situ)IRスペクトルに示すように、EtSiH(2100cm−1)にお
けるSi−H伸縮帯域に隣接する2056cm−1において新たなピークを視認すること
ができる。この低振動ピーク(lower frequency peak)は、このような超配位錯体におい
て所期されるように、5配位ケイ酸塩中の伸長し弱化したSi−H軸方向結合と一致する
。N、N−ジメチルアミノプロピルシラン[HSi(CHNMe]における2
151〜2107cm−1のトランスSi−H伸縮についても同様のシフトが従前報告さ
れている。この場合、観察された赤方偏移は、X線分析によって確認されたような超配位
錯体を形成するN−Si相互作用が原因で発生するものと合意的に解釈した。この場合、
新たに形成されたIRピーク(図5)と生成物形成の開始(すなわち誘導期間終了)との
間の相関が観察された。新たなIRピークが定常状態に達すると、1−メチルインドール
1が消費され、また、シリル化生成物の生成が即座に生じた。さらに、反応の間中、新し
いIRピークが視認できた。これは、EtSiHとKOt−BuをTHF中において4
5℃で2時間予備混合した後に1−メチルインドール1を添加すると誘導期間がなくなっ
たという観察と一致する。これはまた、高配位ケイ酸塩の形成が観察された誘導期間の原
因であるという事実と一致する。
揮発性物質(すなわち、THF、EtSiH)を除去した後、窒素充填グローブボッ
クス内でATR−FTIRを利用して、表1に列挙したEtSiH及び金属アルコキシ
ドの混合物を用いてさらなる研究を行った。図7の(A)に示すように、有能なシリル化
触媒であったアルコキシド塩基はいずれも、低エネルギーのSi−H特徴(2016−2
051cm−1、高配位シリコン種のSi−H結合に相当)を現れた。これとは全く対照
的に、非反応性触媒[即ち、LiOt−Bu、NaOt−Bu(図7(M)及び7(N)
)、アルカリ土類金属又はアルミニウムアルコキシド]ではそのような種は検出されず、
このことは、この新しい任意溶媒和超配位錯体がシリル化反応にとって重要であるらしい
ことを実証している。KOt−Bu及びKOEtから形成される超配位ケイ酸塩について
は、Si−H吸収の頻度の減少は誘導期間の短縮と相関している(図7(D)及び図7(
E))。最後に、KOH、RbOH、及びCsOHでの誘導期間には大きなばらつきがあ
るが、それらの塩基から生じる超配位ケイ酸塩のSi−H振動に差異は観察されない。水
酸化物はシラノレートに変換され、続いてケイ酸塩に変換されて、活性触媒として機能す
る。
当業者には理解されるように、これらの教示に照らして本発明の多数の変更及び変形が
可能であり、本明細書はその全てを意図している。本明細書中に引用される全ての参考文
献は、少なくとも、それらの記載の文脈におけるその教示のために、参照により組み込ま
れる。

Claims (18)

  1. C−Hシリル化可能なヘテロ芳香族性基質、オレフィン性基質、又はアセチレン性基質
    の実質的な不存在下で、
    (a)前駆体としてのヒドロシラン又はオルガノジシランと、
    (b)水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、カリウムシラノレート(例えば、KO
    TMS)、水酸化ルビジウム、ルビジウムアルコキシド、ルビジウムシラノレート、水酸
    化セシウム、セシウムアルコキシド、セシウムシラノレート、又はそれらの組み合わせを
    含む塩基と、の混合物を
    前調整(preconditioning)することにより調製した組成物であって、
    前記前調整することは、45℃以下の温度で、誘導期間を30分未満、25分未満、1
    5分未満、10分未満、5分未満、又は1分未満として、1−メチルインドールの測定可
    能なシリル化を開始可能な組成物を生成するのに十分な条件下で、合成ヒドロシラン(co
    mbined hydrosilane)及び塩基の混合物を保持することを含む、組成物。
  2. C−Hシリル化可能なヘテロ芳香族性基質、オレフィン性基質、又はアセチレン性基質
    の実質的な不存在下において、
    (a)前駆体としてのヒドロシランと、
    (b)水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、カリウムシラノレート(例えば、KO
    TMS)、水酸化ルビジウム、ルビジウムアルコキシド、ルビジウムシラノレート、水酸
    化セシウム、セシウムアルコキシド、セシウムシラノレート、又はそれらの組み合わせを
    含む塩基と、の間の請求項1に記載の前記前調整反応から派生したSi−H系種を含む、
    請求項1に記載の組成物であって、
    比較可能な条件下で評価した場合に、前記前駆体としてのヒドロシランは赤外スペクト
    ルのSi−H伸縮領域において吸収ピークを呈し、前記Si−H系種は赤外スペクトルの
    Si−H伸縮領域において吸収ピークを呈し、該吸収ピークは前記前駆体としてのヒドロ
    シランの前記吸収ピークよりも低エネルギーである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記組成物は溶媒をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記溶媒はテトラヒドロフラン又は2−メチルテトラヒドロフランである、請求項3に
    記載の組成物。
  5. 前記塩基は、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、又は水酸化セシウムを含む、請求項
    1に記載の組成物。
  6. 前記塩基は水酸化カリウムを含む、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記塩基は、カリウムアルコキシド、ルビジウムアルコキシド、又はセシウムアルコキ
    シドを含む、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記塩基は、カリウムアルコキシドを含む、請求項1に記載の組成物。
  9. 前記塩基は、カリウムtert−ブトキシドを含む、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記前駆体としてのヒドロシランは、
    式(I)(R)3−mSi(H)m+1又は
    式(II)(R)3−m(H)Si−Si(R)2−m(H)m+1で表され、
    また
    前記前駆体としてのオルガノジシランは、
    式(III)(R’)Si−Si(R’)で表され、
    式中、mは独立して0、1、又は2であり、R及びR’はそれぞれ独立して、任意に置
    換されたC1−24アルキル又はヘテロアルキル、任意に置換されたC2−24アルケニ
    ル、任意に置換されたC2−24アルキニル、任意に置換されたC6−12アリール、C
    3−12ヘテロアリール、任意に置換されたC7−13アルカリール、任意に置換された
    4−12ヘテロアルカリール、任意に置換されたC7−13アラルキル、任意に置換さ
    れたC4−12ヘテロアラルキルであり、及び、置換している場合には、該置換基は、ホ
    スホナート、ホスホリル、ホスファニル、ホスフィノ、スルホナート、C1−20アル
    キルスルファニル、C5−20アリールスルファニル、C1−20アルキルスルホニ
    ル、C5−20アリールスルホニル、C1−20アルキルスルフィニル、5〜12環
    員のアリールスルフィニル、スルホンアミド、アミノ、イミノ、ニトロ、ニトロソ、ヒド
    ロキシル、C1−20アルコキシ、C5−20アリールオキシ、C2−20アルコ
    キシカルボニル、C5−20アリールオキシカルボニル、カルボキシル、カルボキシラ
    ート、メルカプト、ホルミル、C1−20チオエステル、シアノ、シアナート、チオシ
    アナート、イソシアネート、チオイソシアネート、カルバモイル、エポキシ、スチレニル
    、シリル、シリルオキシ、シラニル、シロキサザニル、ボロナート、ボリル、又はハロゲ
    ン、又は金属含有基又はメタロイド含有基とすることができ、この場合、メタロイドは、
    Sn又はGeであり、ここで、前記置換基は、任意選択で、アルミナ、シリカ、又は炭素
    を含む不溶性媒体又は難溶性支持媒体にテザーを提供し得る、請求項1に記載の組成物。
  11. 前記少なくとも1つのヒドロシランは、(R)SiH又は(R)SiHであり、
    式中Rは、それぞれ独立して、C1−6アルキル、フェニル、トリル、又はピリジニルで
    ある、請求項1に記載の組成物。
  12. 前記組成物は溶液であり、前記塩基は、カリウムtert−ブトキシドを含む、請求項
    11に記載の組成物。
  13. 化合物又は組成物であって、任意選択で、式(IV)で表される任意溶媒和水素化ケイ
    素構造を有する前記化合物:
    Figure 2021193104
    又はその幾何異性体を含み、
    式中、Mは、カリウム、ルビジウム、セシウム、又はそれらの組み合わせを含む陽イ
    オン(カチオン)であり、
    −ORは、水酸化物、アルコキシド、アルキルシラノレート、又はそれらの組み合わ
    せであり、
    −Rは、H、−R、又は−Si(R)3−m、又はそれらの組み合わせであり、
    式中、mは独立して0、1、又は2であり、Rは、それぞれ独立して、任意に置換され
    たC1−24アルキル又はヘテロアルキル、任意に置換されたC2−24アルケニル、任
    意に置換されたC2−24アルキニル、任意に置換されたC6−12アリール、C3−1
    ヘテロアリール、任意に置換されたC7−13アルカリール、任意に置換されたC4−
    12ヘテロアルカリール、任意に置換されたC7−13アラルキル、任意に置換されたC
    4−12ヘテロアラルキル、任意に置換された−O−C1−24アルキル、任意に置換さ
    れたC6−12アリールオキシ、任意に置換されたC3−12ヘテロアリールオキシ、任
    意に置換されたC7−13アルカリールオキシ、任意に置換されたC4−12ヘテロアル
    カリールオキシ、任意に置換されたC6−12アラルコキシ、又はC4−12ヘテロアラ
    ルコキシであり、及び、置換している場合には、該置換基は、ホスホナート、ホスホリル
    、ホスファニル、ホスフィノ、スルホナート、C1−20アルキルスルファニル、C
    20アリールスルファニル、C1−20アルキルスルホニル、C5−20アリー
    ルスルホニル、C1−20アルキルスルフィニル、5〜12環員のアリールスルフィニ
    ル、スルホンアミド、アミノ、アミド、イミノ、ニトロ、ニトロソ、ヒドロキシル、C
    20アルコキシ、C5−20アリールオキシ、C2−20アルコキシカルボニル
    、C5−20アリールオキシカルボニル、カルボキシル、カルボキシラート、メルカプ
    ト、ホルミル、C1−20チオエステル、シアノ、シアナート、チオシアナート、イソ
    シアネート、チオイソシアネート、カルバモイル、エポキシ、スチレニル、シリル、シリ
    ルオキシ、シラニル、シロキサザニル、ボロナート、ボリル、又はハロゲン、又は金属含
    有基又はメタロイド含有基とすることができ、この場合、メタロイドは、Sn又はGeで
    あり、ここで、前記置換基は、アルミナ、シリカ、又は炭素を含む不溶性媒体又は難溶性
    支持媒体へ任意選択でテザーを提供し得る、化合物又は組成物。
  14. (a)水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、カリウムシラノレート、水酸化ルビジ
    ウム、ルビジウムアルコキシド、ルビジウムシラノレート、水酸化セシウム、セシウムア
    ルコキシド、セシウムシラノレート、又はそれらの組み合わせと、(b)式(I)又は(
    II)で表される前駆体としてのヒドロシランとの付加生成物(addition product)であ
    る、化合物。
  15. ヘテロ芳香族基質、オレフィン系基質、又はアセチレン系基質が添加されていない、請
    求項1に記載の組成物。
  16. C−H結合又はO−H結合を有する有機基質をシリル化することを含む方法であって、
    該有機基質を請求項1の前調整した混合物に接触させることを含み、
    前記接触させることにより、それまでO−H結合により占有されていた位置において、
    それまでC−H結合又はO−Si結合により占有されていた位置にC−Si結合が形成さ
    れ、
    前記C−H結合は、
    (a)ヘテロ芳香族部分上に配置され;
    (b)アリール又はヘテロアリール部分に対しアルファに位置するアルキル、アルコキ
    シ、又はアルキレン部分上に配置され;
    (c)アルキニルC−H結合であり、又は
    (d)末端オレフィン系C−H結合であり、
    前記前調整した混合物は、45℃以下の温度で、誘導期間を30分未満、25分未満、
    20分未満、15分未満、10分未満、5分未満、又は1分未満として、1−メチルイン
    ドールの測定可能なシリル化を開始可能なものである、方法。
  17. C−H結合又は−OH結合を含有する少なくとも1つの有機基質をシリル化する方法で
    あって、前記有機基質を、
    (a)前駆体としてのヒドロシラン又はオルガノジシランと、及び
    (b)水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、KC、又はそれらの組み合わせを含む塩
    基と、に接触させることを含み、
    前記C−H結合は、
    (a)ヘテロ芳香族部分上に配置され;
    (b)アリール又はヘテロアリール部分に対しアルファに位置するアルキル、アルコキ
    シ、又はアルキレン部分上に配置され;
    (c)アルキニルC−H結合であるか、又は
    (d)末端オレフィン系C−H結合であり、
    前記接触させることにより、それまでC−H結合又はO−H結合により占有されていた
    位置においてC−Si結合又はO−Si結合がそれぞれ形成される、方法。
  18. 前記前駆体としてのヒドロシラン又はオルガノジシラン及び前記塩基は、前記有機基質
    に接触させる前に前調整され、
    前記前調整することは、前記前駆体としてのヒドロシラン及び塩基との混合物を約25
    ℃〜125℃の範囲内の少なくとも一以上の温度に約30分間〜約24時間の範囲内の時
    間にわたって保持することを含み、
    該時間と該温度の組み合わせは、45℃以下の温度で、誘導期間を30分未満、25分
    未満、20分、15分、10分、5分、又は1分未満として、1メチルインドールの測定
    可能なシリル化を開始可能な組成物を得るのに十分なものである、請求項17に記載の方
    法。
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