JP2021191654A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】高速で連続走行させた際のビード部の耐久性が十分に改善された空気入りタイヤを提供する。【解決手段】ビード部の周辺部を形成するゴム部材として、同一組成のゴム組成物から成形されたゴムシートが複数積層されて構成されたゴム部材が使用されており、ゴム組成物が、2種類以上のゴム成分と、芳香族樹脂とを含有している空気入りタイヤ。ゴム組成物における芳香族樹脂が、スチレン系樹脂である空気入りタイヤ。ゴム組成物におけるゴム成分が、少なくとも、イソプレン系ゴムおよびブタジエン系ゴムを含む空気入りタイヤ。【選択図】図5

Description

本発明は、耐久性に優れた空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)は、トレッド、サイドウォール、ビード部などを備えており、ビード部はビードコアから半径方向に延びるビードエイペックスを備えている。このビードエイペックスはタイヤの外部からの入力に対する耐久性に寄与する部材であり、近年の輸送の効率化や長距離化に伴って、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性の改善についての要求は益々強くなっている。
このような要求に応えるために、タイヤのビードエイペックスのタイヤ軸方向外側にビード支持部材としてのビード補強層を配置し、さらに、サイドウォールやクリンチを隣接して外側に配置することにより、ビードエイペックスの変形を抑制して、ビード部の耐久性の改善を図る技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。また、ビードエイペックスやビード補強層などのゴム部材の複素弾性率(E)を増大させて、ビード部の耐久性の改善を図る技術も提案されている(例えば、特許文献4)。
特開2018−203882号公報 特開2019−26713号公報 特開2019−31630号公報 特開2015−137311号公報
しかしながら、これらの技術をもってしても、未だ、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性の改善は十分とは言えず、さらなる改善が求められている。
そこで、本発明は、従来に比べて、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性が十分に改善された空気入りタイヤを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題の解決について鋭意検討を行い、以下に記載する発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
請求項1に記載の発明は、
ビード部の周辺部を形成するゴム部材として、同一組成のゴム組成物から成形されたゴムシートが複数積層されて構成されたゴム部材が使用されており、
前記ゴム組成物が、2種類以上のゴム成分と、芳香族樹脂とを含有していることを特徴とする空気入りタイヤである。
請求項2に記載の発明は、
前記ゴム組成物における前記芳香族樹脂が、スチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤである。
請求項3に記載の発明は、
前記ゴム組成物における前記芳香族樹脂が、前記ゴム成分100質量部に対して、2〜10質量部含有されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤである。
請求項4に記載の発明は、
前記ゴム組成物における補強用充填剤が、前記ゴム成分100質量部に対して、35質量部以上、60質量部未満含有されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
請求項5に記載の発明は、
前記補強用充填剤が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤである。
請求項6に記載の発明は、
前記ゴム組成物において、前記芳香族樹脂の含有量Aと、前記補強用充填剤の含有量Bとの比A/B(質量比)が、0.02以上、0.20以下であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の空気入りタイヤである。
請求項7に記載の発明は、
前記ゴム組成物におけるゴム成分が、少なくとも、イソプレン系ゴムおよびブタジエン系ゴムを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
請求項8に記載の発明は、
前記ゴム組成物において、前記ブタジエン系ゴム100質量部に対する前記イソプレン系ゴムの含有量が、65質量部以上、100質量部以下であることを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤである。
請求項9に記載の発明は、
前記ゴム組成物の70℃における損失正接(70℃tanδ)が、0.02以上、0.12以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
請求項10に記載の発明は、
前記ゴム組成物の70℃における複素弾性率(70℃E*)が、6.5MPa以上、13.0MPa以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
請求項11に記載の発明は、
前記ゴム部材が、ビードワイヤーよりもタイヤ幅方向外側に設けられたクリンチエイペックス、および/または、前記クリンチエイペックスよりもタイヤ幅方向内側に設けられたチェーファーに用いられていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
請求項12に記載の発明は、
ビードワイヤーよりもタイヤ幅方向外側に設けられたカーカスとチェーファーとの間に、前記ゴム部材とは異なるビード支持部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
本発明によれば、従来に比べて、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性が十分に改善された空気入りタイヤを提供することができる。
空気入りタイヤの一般的な構成を示す模式断面図である。 図1のビード部の拡大模式断面図である。 ビード部の他の構成を示す模式断面図である。 ビード部のさらに他の構成を示す模式断面図である。 本発明の空気入りタイヤのクリンチエイペックスの構成を示す模式断面図である。
[1]本発明の空気入りタイヤの特徴について
最初に、本発明に係る空気入りタイヤの特徴について説明する。
本発明に係る空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)は、ビード部の周辺部を形成するゴム部材として、同一組成のゴム組成物から成形されたゴムシートが複数積層されて構成されたゴム部材が使用されており、このゴム組成物が、2種類以上のゴム成分と、芳香族樹脂とを含有していることを特徴としている。
このような特徴を有することにより、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性の改善という本発明の効果が得られるが、そのメカニズムとしては、以下のように推測される。
即ち、前記ゴム組成物に2種類以上のゴム成分を含有させた場合、ゴム組成物においては、各ゴム成分の異なるゴム相によって、海島構造が形成される。そして、このような海島構造は、外部からの入力を分散させて小さくさせることができるため、ビード部の周辺におけるゴム部材の変形や発熱が抑制されて、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性を十分に改善させることができると考えられる。
そして、本発明においては、さらに、前記ゴム組成物に、均質化剤(ホモジナイザー)としての芳香族樹脂が含有されているため、ゴム成分同士の相溶性が高まり、より細かく分散された海島構造を形成させることができる。この結果、上記した外部からの入力を、より細かく分散させて、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性をさらに改善させることができると考えられる。
また、本発明においては、同一組成のゴム組成物から成形されたゴムシートが複数積層されて構成されたゴム部材であるため、各層のゴムシートにも外部からの入力が分散され、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性をさらに改善させることができると考えられる。
[2]具体的な実施の形態
以下、本発明を実施の形態に基づいて、具体的に説明する。
1.ゴム部材
はじめに、本実施の形態におけるゴム部材について説明する。図1は、空気入りタイヤの一般的な構成を示す模式断面図である。そして、図2は、図1のビード部の拡大模式断面図である。
図1、図2において、1はタイヤ、2はトレッド、3はサイドウォール、4はクリンチ、5はビード、6はカーカス、9はインナーライナー、10はチェーファーである。また、16はビードエイペックス、17はビードワイヤー(ビードコア)、18はクリンチエイペックス、19はカーカスプライ、20はカーカスプライ19の主部、21はカーカスプライ19の折り返し部である。そして、CLはタイヤ1の赤道面であり、40はリムフランジである。
一般的なタイヤの場合、図1および図2に示すように、タイヤ1のビード部は、ビードエイペックス16とビードワイヤー17を備えるビード5、カーカスプライ19の主部20と折り返し部21、インナーライナー9、チェーファー10およびクリンチエイペックス18とを備えるクリンチ4とで構成されている。
また、図3はビード部の図1とは異なる他の構成を示す模式断面図であり、図4はさらに異なる他の構成を示す模式断面図である。図3、図4において、31はビード部の外側に設けられたビード補強層(外貼りビード補強層)、32はビード部の内側に設けられたビード補強層(内貼りビード補強層)である。
クリンチ4には、適宜、クリンチエイペックス18のタイヤ幅方向の外側に外貼りビード補強層31(図3参照)、ビードエイペックス16の内側に内貼りビード補強層32(図4参照)が、ビード支持部材として設けられている。
本発明においては、これら、チェーファー10、クリンチエイペックス18、外貼りビード補強層31、内貼りビード補強層32などのビード部の周辺部を形成するゴム部材を対象としている。なお、必要に応じて、ビード部を構成するゴム部材、例えば、ビードエイペックスに使用されることもある。
2.ゴム組成物
次に、これらのゴム部材を構成するゴム組成物について説明する。
(1)ゴム組成物の特性
本実施の形態において、前記ゴム組成物の70℃における損失正接(70℃tanδ)は、0.02以上であることが好ましく、0.03以上であるとより好ましく、0.04以上であるとさらに好ましい。これにより、リムから伝わった衝撃をビード部で吸収することができ、耐久性能が良化する傾向にある。一方、前記ゴム組成物の70℃tanδは、0.12以下であることが好ましく、0.10以下であるとより好ましく、0.08以下、0.07以下、0.06以下となるにつれて、さらに好ましい。これにより、ビード部の発熱性を抑制することが可能となり、転動時の発熱により発生する積層界面での破壊強度の低下を防ぐことができ、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性が良化する傾向にある。
また、前記ゴム組成物の70℃における複素弾性率(70℃E*)は、6.5MPa以上であることが好ましく、7.0MPa以上であるとより好ましく、8.0MPa以上であるとさらに好ましい。これにより、ビード部の過剰な変形を抑制することができ、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性が向上する傾向にある。一方、前記ゴム組成物の70℃E*は、13.0MPa以下であることが好ましく、12.0MPa以下であるとより好ましく、10MPa以下であるとさらに好ましい。これにより、ビード部での追従性が生じ易くなり、積層界面での力の分散をさせやすくすることが可能となる。
このような70℃tanδ、70℃E*の物性を有することにより、タイヤに外部から入力が加わった場合でも、十分に耐えることができ、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性を改善させることができる。
なお、本実施の形態において、上記した70℃tanδ、および、70℃E*は、例えば、GABO社製「イプレクサー(登録商標)」粘弾性測定装置を用いて、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件の下、測定される。
(2)ゴム組成物の配合材料
本実施の形態におけるゴム組成物は、以下に記載するゴム成分、およびその他の配合材料から得ることができる。
(a)ゴム成分
前記ゴム組成物には、上記したように、2種類以上のゴム成分が含有される。ゴム成分としては、タイヤ工業において一般的なものを使用できるが、タイヤの強度の観点から、少なくとも、イソプレン系ゴムとブタジエン系ゴムとの2種類が含有されていることが好ましい。
なお、本実施の形態において、ブタジエンゴム100質量部に対するイソプレン系ゴムの含有量は、65質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であるとより好ましい。これにより、十分な破壊特性を得ることが出来る。一方、ブタジエンゴム100質量部に対するイソプレン系ゴムの含有量は、100質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であるとより好ましく、85質量部以下であるとさらに好ましい。これにより、十分な海島構造を形成することが可能となり、亀裂の発生および進展を防ぐことが可能となる。
(イ)イソプレン系ゴム
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。
NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ロ)ブタジエン系ゴム
ブタジエン系ゴム(BR)としては、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。具体的には、BRの重量平均分子量は、例えば、10万以上、200万以下である。BRのビニル結合量は、例えば、1質量%以上、30質量%以下である。BRのシス含量は、例えば、1質量%以上、98質量%以下である。BRのトランス含量は、例えば、1質量%以上、60質量%以下である。
BRとしては特に限定されず、高シス含量(シス含量が90%以上)のBR、低シス含量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。BRは、非変性BR、変性BRのいずれでもよく、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
上記において変性BRとは、充填剤と相互作用する官能基を主鎖や末端に有するように変性されたBRを言う。官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
(ハ)その他のゴム成分
本実施の形態においては、必要に応じて、その他のゴムを含有してもよい。具体的なゴムとしては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)、ニトリルゴム、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴムが挙げられ、ゴム部材に要求される特性に応じて、適宜、使用することができる。好ましい含有量は、例えば、5質量部以上、20質量部以下である。
(b)ゴム成分以外の配合材料
(イ)樹脂成分(芳香族樹脂)
本実施の形態において、ゴム組成物は、均質化剤として、芳香族樹脂を含有している。これにより、異なるゴム間の相溶性を改善して、ゴム組成部の混練を容易にするだけでなく、ゴム同士の分散状態を改善して、より細かく分散された海島構造を形成させることができる。なお、芳香族樹脂は、固体状であってもよく、液体状であってもよい。
芳香族樹脂を構成する芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体などが挙げられ、これらの内でも、スチレンが好ましい。
好ましい芳香族樹脂としては、テルペン芳香族樹脂(テルペン化合物と芳香族化合物とを共重合して得られる樹脂)、芳香族変性テルペン樹脂(テルペン樹脂を芳香族化合物で変性して得られる樹脂)やスチレンとエチレンあるいはプロピレンとの共重合体であるスチレン−エチレン−プロピレン樹脂、スチレン−エチレン樹脂、スチレン−プロピレン樹脂などが挙げられ、これらの内でも、スチレン−エチレン−プロピレン樹脂が好ましい。
このような芳香族樹脂としては、例えば、ストラクトール社、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記芳香族樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、2質量部以上であることが好ましく、4質量部以上であるとより好ましい。一方、前記芳香族樹脂の含有量は、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であるとより好ましく、6質量部以下であるとさらに好ましい。
(ロ)補強用充填剤
前記ゴム組成物は、補強用充填剤を含むことが好ましい。前記補強用充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、35質量部以上であることが好ましく、45質量部以上であるとより好ましい。これにより、海島の層構造となったゴム相を十分に補強することが可能となり、前記ゴム組成物の破壊特性が良化する傾向にある。一方、前記補強用充填剤の含有量は60質量部未満であることが好ましく、55質量部以下であるとより好ましい。これにより、ゴム相と前記補強用充填剤間における発熱を抑制することができ、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性を改善させることが可能となる。
なお、このとき、上記した芳香族樹脂の含有量Aと、前記補強用充填剤の含有量Bとの比A/B(質量比)は、0.02以上であることが好ましく、0.04以上であるとより好ましい。これにより、芳香環樹脂が補強用充填剤により吸着されることを防ぎ、ポリマーへ作用し、良好な海島構造を得ることができると考えられる。一方、前記芳香族樹脂の含有量Aと、前記補強用充填剤の含有量Bとの比A/Bは、0.20以下であることが好ましく、0.10以下であるとより好ましい。
具体的な補強用充填剤としては、特に限定されず、カーボンブラック、ホワイトカーボン(シリカ)、活性化炭酸カルシウム、超微粒子珪酸マグネシウム等の無機補強剤;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ハイスチレン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂等の有機補強剤などを用いることができるが、十分な耐候性や補強効果を考慮すると、これらの内でも、カーボンブラックが特に好ましい。
(i)カーボンブラック
カーボンブラックとしては特に限定されず、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCFおよびECFのようなファーネスブラック(ファーネスカーボンブラック);アセチレンブラック(アセチレンカーボンブラック);FTおよびMTのようなサーマルブラック(サーマルカーボンブラック);EPC、MPCおよびCCのようなチャンネルブラック(チャンネルカーボンブラック);グラファイトなどを挙げることができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、ゴムへの補強性の観点から、例えば、30m/g以上であることが好ましく、50m/g以上であるとより好ましく、60m/g以上であるとさらに好ましい。一方、発熱性の観点からは、250m/g以下であることが好ましく、150m/gであるとより好ましく、120m/g以下であるとさらに好ましい。カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、ゴムの剛性の観点から、例えば、50ml/100g以上であることが好ましく、100ml/100g以上であるとより好ましい。一方、ゴムの変形に対する追従性の観点からは、250ml/100g以下であることが好ましく、150ml/100g以下であるとより好ましい。なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、ASTM D4820−93に従って測定され、DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。
具体的なカーボンブラックとしては特に限定されず、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ii)シリカ
本発明のゴム組成物は、補強用充填剤として、上記カーボンブラック以外に、発熱性の観点からシリカを含んでもよい。シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、150m/g以上、300m/g以下であることが好ましい。また、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量としては、例えば、80質量部以上、200質量部以下であることが好ましい。なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
具体的なシリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
シリカを使用する場合、ゴム組成物は、シリカと共にシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT−Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の好ましい含有量は、シリカ100質量部に対して、例えば、4.5〜7.0質量部である。具体的なシランカップリング剤としては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
(ハ)可塑剤
本発明のゴム組成物は、前記樹脂成分に加えて、柔軟性や耐候性を改良することを目的とした添加剤として、例えば、オイル、液状ポリマー、エステル系可塑剤などの可塑剤を含んでもよい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、またはその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オイルとしては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。
オイルの含有量は、例えば、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上、15質量部以下が好ましい。なお、オイルの含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイルの量も含まれる。
そして、液状ポリマーとしては、例えば、液状ファルネセン系ポリマー、液状ジエン系重合体、アクリル系樹脂等が挙げられる。
液状ファルネセン系ポリマーとは、常温(25℃)で液体のファルネセン系ポリマーであり、重量平均分子量(Mw)が3000〜30万程度のものを使用でき、例えば、(株)クラレ等の製品を挙げることができる。
液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)などが挙げられる。
液状ジエン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、例えば、1.0×10超、2.0×10未満である。なお、本明細書において、液状ジエン系重合体のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である。
液状ポリマーの含有量(液状ファルネセン系ポリマー、液状ジエン系重合体等の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1質量部超、100質量部未満である。
エステル系可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、トリス(2エチルヘキシル)ホスフェート(TOP)、ビス(2エチルヘキシル)セバケート(DOS)等の低温可塑剤が挙げられる。ゴム成分100質量部に対する含有量は、例えば、1質量部超、60質量部未満である。
(ニ)ワックス
ゴム組成物は、ワックスを含むことが好ましい。ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、3.0質量部以下である。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
(ホ)老化防止剤
ゴム組成物は、老化防止剤を含むことが好ましい。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、10質量部以下である。
老化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′−ビス(α,α′−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、老化防止剤としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
(ヘ)酸化亜鉛
ゴム組成物は、酸化亜鉛を含んでもよい。酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、10.0質量部以下である。酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
(ト)ステアリン酸
ゴム組成物は、ステアリン酸を含んでもよい。ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、10.0質量部以下である。ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム(株)、和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
(チ)架橋剤および加硫促進剤
ゴム組成物は、硫黄等の架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、10.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
硫黄以外の架橋剤としては、例えば、田岡化学工業(株)製のタッキロールV200、フレキシス社製のDURALINK HTS(1,6−ヘキサメチレン−ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物)、ランクセス社製のKA9188(1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)等の硫黄原子を含む加硫剤や、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。
ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.3質量部以上、10.0質量部以下である。
加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(リ)その他
ゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、有機過酸化物;炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ等の充填剤;等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、200質量部以下である。
3.ゴム部材の構成
本実施の形態において、ゴム部材は、同一組成のゴム組成物を複数層積層させた層状構造を有する。図5は、クリンチエイペックスの構成を示す模式断面図であり、クリンチエイペックス18は、厚さ方向に上記した組成で、同一組成のシート状のゴムが複数枚積層されている。また、チェーファー10、外貼りビード補強層31、内貼りビード補強層32についても同一組成のシート状のゴムが厚さ方向に複数枚積層されている。
4.ゴム組成物の作製
前記ゴム組成物は、一般的な方法、例えば、ゴム成分とカーボンブラック等のフィラーとを混練するベース練り工程と、前記ベース練り工程で得られた混練物と架橋剤とを混練する仕上げ練り工程とを含む製造方法により作製される。
混練は、例えば、噛合式インターミックスタイプミキサー(I/Mミキサー)、接線式バンバリータイプミキサー(B/Bミキサー)、加圧式ニーダー、オープンロールなどの公知の(密閉式)混練機を用いて行うことができるが、これらの内でも、混練中の混練物の冷却効率に優れており、温度上昇を抑制しながら、より強いせん断力で混練して、配合材料を十分に分散させることができるI/Mミキサーが好ましい。
ベース練り工程の混練温度は、例えば、50〜200℃であり、混練時間は、例えば、30秒〜30分である。ベース練り工程では、上記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、オイル等の軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、加硫促進剤などを必要に応じて適宜添加、混練してもよい。
仕上げ練り工程では、前記ベース練り工程で得られた混練物と架橋剤とが混練される。仕上げ練り工程の混練温度は、例えば、室温〜80℃であり、混練時間は、例えば、1〜15分である。仕上げ練り工程では、上記成分以外にも、加硫促進剤、酸化亜鉛等を必要に応じて適宜添加、混練してもよい。
5.ゴム部材形成材料の成形
混練されたゴム組成物を、所定の厚みおよび幅で押し出し成型した後、所定の枚数、積層させて、一体化させることにより、各ゴム部材を得ることができる。
6.タイヤの製造
本発明の空気入りタイヤは、前記ゴム部材を用いて通常の方法で製造される。即ち、他のタイヤ部材と共に、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、まず、未加硫タイヤを作製する。
具体的には、例えば、成形ドラム上に、タイヤの気密保持性を確保するための部材としてのインナーライナー、リムとの摩擦に耐える部材としてのチェーファー、タイヤの受ける荷重、衝撃、充填空気圧に耐える部材としてのカーカス、カーカスを強く締付けトレッドの剛性を高める部材としてのベルト、前記ゴム部材などを巻回し、両側縁部にカーカスの両端を固定すると共に、タイヤをリムに固定させるための部材としてのビード部を配置して、トロイド状に成形した後、外周の中央部にトレッド、径方向外側にカーカスを保護して屈曲に耐える部材としてのサイドウォール部を貼り合せることにより、未加硫タイヤを作製する。なお、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性能の観点から、カーカスをビード部で折り返した後、タイヤの半径方向外側になる様にビード支持部材を貼り合わせることが好ましい。なお、これらの部材はストリップワインド工法によって未加硫タイヤを作製してもよく、本発明に係るゴム部材は成形ドラム上でシートを複数枚重ねることや、前記ストリップワインド工法等によって作ることが可能である。
その後、作製された未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。加硫工程は、公知の加硫手段を適用することで実施できる。加硫温度としては、例えば、120〜200℃であり、加硫時間は、例えば、5〜15分である。
以下、実施例により、本発明についてさらに具体的に説明する。
1.ゴム部材用ゴム組成物の製造
最初に、ゴム部材用ゴム組成物の製造を行った。
(1)配合材料
まず、以下に示す各配合材料を準備した。
(a)ゴム成分
(イ)天然ゴム(NR):TSR20
(ロ)ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のBR150B
(ハ)スチレン−ブタジエンゴム(SBR):JSR(株)製のSBR1723
(b)ゴム成分以外の配合材料
(イ)カーボンブラック(CB)−1:三菱化学(株)製のダイヤブラックN330
(ロ)カーボンブラック(CB)−2:三菱化学(株)製のダイヤブラックN550
(ハ)カーボンブラック(CB)−3:三菱化学(株)製のダイヤブラックN660
(ニ)ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
(ホ)老化防止剤:大内新興化学(株)製のノクラック6C
(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
(ヘ)酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
(ト)ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
(チ)オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
(リ)芳香族樹脂:ストラクトール社製、40MS
(スチレン−エチレン−プロピレン共重合体)
(ヌ)硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
(ル)加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(2)ゴム組成物の製造
表1に示す配合内容に従い、I/Mミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りして、配合No.1〜13の混練物を得た。なお、各配合量は、質量部である。
Figure 2021191654
2.タイヤの製造
(1)ゴム部材の製造
次に、得られたゴム組成物に、硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を用いて、ビードワイヤーよりもタイヤ幅方向外側に設けられるクリンチエイペックス、クリンチエイペックスよりもタイヤ幅方向内側に設けられるチェーファー、ビードワイヤーよりもタイヤ幅方向外側のカーカスとチェーファーとの間にビード支持部材として設けられる外貼りビード補強層、3種類のゴム部材を製造した。具体的には、厚さ1.0mmに押し出し加工されたゴム組成物を、各ゴム部材の幅にカットした後、所定の厚みとなるように複数枚積層して、各ゴム部材とした。
(2)タイヤの製造
得られた各ゴム部材を、他のタイヤ部材と共に貼り合わせて、ビード部が表2に示す実施例1〜11、表3に示す基準および比較例1〜6の構成の未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で10分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ:175/80R16 91S)を製造した。なお、表2、表3において、「チェーファー」の欄における「A」は「クリンチゴム組成物と同一のゴム組成物がチェーファーに使用されている」ことを示し、「B」は「キャンバスチェーファーがチェーファーに使用されている」ことを示している。
(3)70℃tanδの測定
各試験用タイヤのクリンチエイペックス、チェーファー、外貼りビード補強層から切り出した試験片について、GABO社製「イプレクサー」粘弾性測定装置を用いて、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件の下、70℃でtanδを測定し、配合No.毎に平均値を求めた。結果を表1に示す。
3.耐久性能評価試験
タイヤを正規リムに組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を250kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、13.54kNの縦荷重をタイヤに負荷した。このタイヤを、120km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。ビード部に損傷が確認されるまでの走行距離を測定した。測定結果は、基準タイヤにおける走行距離を100として、各タイヤにおける走行距離を指数化し、相対評価した。数値が大きいほど高速で連続走行させた際のビード部の耐久性能が高いことを示す。評価結果を表2および表3に示す。
Figure 2021191654
Figure 2021191654
表3に示すように、ゴム成分が単成分のゴム組成物の場合や、芳香族樹脂を含有しないゴム組成物の場合には、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性能が劣っていることが分かる。
一方、表2に示すように、ゴム成分として、少なくとも、NRとBRの2成分を有し、さらに、芳香族樹脂を含有するゴム組成物の場合には、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性能が向上していることが分かる。
そして、ゴム部材を外側だけでなく内側にも配置し、さらに、外貼りした場合には、さらに、高速で連続走行させた際のビード部の耐久性能が向上していることが分かる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
1 タイヤ
2 トレッド
3 サイドウォール
4 クリンチ
5 ビード
6 カーカス
9 インナーライナー
10 チェーファー
16 ビードエイペックス
17 ビードワイヤー(ビードコア)
18 クリンチエイペックス
19 カーカスプライ
20 カーカスプライの主部
21 カーカスプライの折り返し部
31 外貼りビード補強層
32 内貼りビード補強層
40 リムフランジ
CL タイヤの赤道面

Claims (12)

  1. ビード部の周辺部を形成するゴム部材として、同一組成のゴム組成物から成形されたゴムシートが複数積層されて構成されたゴム部材が使用されており、
    前記ゴム組成物が、2種類以上のゴム成分と、芳香族樹脂とを含有していることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ゴム組成物における前記芳香族樹脂が、スチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ゴム組成物における前記芳香族樹脂が、前記ゴム成分100質量部に対して、2〜10質量部含有されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ゴム組成物における補強用充填剤が、前記ゴム成分100質量部に対して、35質量部以上、60質量部未満含有されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記補強用充填剤が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ゴム組成物において、前記芳香族樹脂の含有量Aと、前記補強用充填剤の含有量Bとの比A/B(質量比)が、0.02以上、0.20以下であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記ゴム組成物におけるゴム成分が、少なくとも、イソプレン系ゴムおよびブタジエン系ゴムを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記ゴム組成物において、前記ブタジエン系ゴム100質量部に対する前記イソプレン系ゴムの含有量が、65質量部以上、100質量部以下であることを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記ゴム組成物の70℃における損失正接(70℃tanδ)が、0.02以上、0.12以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記ゴム組成物の70℃における複素弾性率(70℃E*)が、6.5MPa以上、13.0MPa以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記ゴム部材が、ビードワイヤーよりもタイヤ幅方向外側に設けられたクリンチエイペックス、および/または、前記クリンチエイペックスよりもタイヤ幅方向内側に設けられたチェーファーに用いられていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  12. ビードワイヤーよりもタイヤ幅方向外側に設けられたカーカスとチェーファーとの間に、前記ゴム部材とは異なるビード支持部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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