JP2021188212A - 水解性不織布、湿潤水解性不織布及び水解性不織布の製造方法 - Google Patents

水解性不織布、湿潤水解性不織布及び水解性不織布の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、優れた含浸引張強度と水解性を兼ね備えた水解性不織布を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、パルプ繊維と、再生セルロース繊維とが交絡した水解性不織布であって、再生セルロース繊維は、扁平レーヨン繊維と丸型レーヨン繊維とを含み、再生セルロース繊維の平均繊維長は、2mm以上20mm以下である、水解性不織布に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、水解性不織布、湿潤水解性不織布及び水解性不織布の製造方法に関する。
従来、トイレ用の掃除ワイパーやおしりふき等の清浄用品が使用されている。清浄用品の中には、使用後に水洗トイレに流すことができるものもあり、この場合、使用後の廃棄が容易となり、また衛生的に処理することが可能となる。このような清浄用品としては、水解紙に水分や薬剤を含浸させた清浄用品が上市されている。
水解紙には水洗時に容易に崩壊する性質が求められる一方で、清浄等の作業に耐え得る程度の強度が要求される。このため、水解紙の強度を向上させるために、紙力増強剤や樹脂成分を含有させることが検討されている。例えば、特許文献1には、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース及びカルボキシメチル化澱粉からなる群から選ばれるカルボキシル基を有する水溶性バインダーを含有する水解紙が記載されている。ここでは、水溶性バインダーのカルボキシル基が特定の多価金属と分子内混合塩を形成することで水解紙の強度を高めることが検討されている。また、特許文献2には、水解性不織布基材の少なくとも一方の表面層に部分的に水不溶性樹脂が設けられ、かつ水不溶性樹脂が設けられた表面層に切れ目が設けられた水解性不織布が記載されている。ここでは、水不溶性樹脂として熱可塑性樹脂が用いられており、これにより、不織布の強度を高めている。
また、合成繊維を混合した水解性不織布も開発されている。例えば、特許文献3には、天然の繊維及び/又は合成の繊維を含む繊維複合材料が開示されている。ここでは、合成繊維として再生セルロース繊維(ビスコース繊維)を用いることが検討されている。なお、特許文献3の実施例3では、繊維長が38mmの丸型ビスコース繊維と、長さ38mmのビスコース扁平繊維を用いてフリース構造体が作製されている。
特開平6−184984号公報 特開昭62−184193号公報 特表2008−546917号公報
近年、水解紙にはより優れた水解性が求められるようになってきており、従来よりも高いレベルで水解性が要求される場合がある。
また、水解紙に水分を含浸させて湿潤状態とする際には、水解紙を水分に含浸させた後に、水解紙を引き揚げ、余分な水分を除去するといった一連の含浸操作が行われる。このような操作を行う際には、含水状態の水解紙が十分な強度を有している必要があり、水解紙は十分な含浸引張強度を有していることが求められている。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、優れた含浸引張強度と水解性を兼ね備えた水解性不織布を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、パルプ繊維と再生セルロース繊維を含む水解性不織布において、再生セルロース繊維として扁平レーヨン繊維と丸型レーヨン繊維を併用し、さらに、再生セルロース繊維の平均繊維長を所定範囲内とすることにより、優れた含浸引張強度と水解性を兼ね備えた水解性不織布が得られることを見出した。
具体的に、本発明は以下の構成を有する。
[1] パルプ繊維と、再生セルロース繊維とが交絡した水解性不織布であって、
再生セルロース繊維は、扁平レーヨン繊維と丸型レーヨン繊維とを含み、
再生セルロース繊維の平均繊維長は、2mm以上20mm以下である、水解性不織布。
[2] 再生セルロース繊維の全質量に対する扁平レーヨン繊維の含有量をP(質量部)とし、再生セルロース繊維の全質量に対する丸型レーヨン繊維の含有量をQ(質量部)とした場合、P:Q=1:9〜9:1である、[1]に記載の水解性不織布。
[3] 水解性不織布の全質量に対して、パルプ繊維の含有量は、30〜90質量%であり、再生セルロース繊維の含有量は10〜50質量%である、[1]又は[2]に記載の水解性不織布。
[4] 扁平レーヨン繊維は、中空扁平レーヨン繊維である、[1]〜[3]のいずれかに記載の水解性不織布。
[5] 扁平レーヨン繊維の断面の外縁幅と外縁長さの比率は、1:2〜1:30である、[1]〜[4]のいずれかに記載の水解性不織布。
[6] パルプ繊維の平均繊維長は1.5mm以上である、[1]〜[5]のいずれかに記載の水解性不織布。
[7] パルプ繊維は針葉樹パルプ繊維を含み、パルプ繊維の全質量に対する広葉樹パルプ繊維の含有量は50質量%以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の水解性不織布。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の水解性不織布に水分を含浸させてなる湿潤水解性不織布。
[9] 湿式抄紙法により形成した、パルプ繊維と再生セルロース繊維とを含む不織布シートに高圧水ジェット流処理を施す工程を含む水解性不織布の製造方法であって、
再生セルロース繊維は、扁平レーヨン繊維と丸型レーヨン繊維とを含み、
再生セルロース繊維の平均繊維長は、2mm以上20mm以下である、水解性不織布の製造方法。
本発明によれば、優れた含浸引張強度と水解性を兼ね備えた水解性不織布を得ることができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(水解性不織布)
本発明は、パルプ繊維と、再生セルロース繊維とが交絡した水解性不織布に関する。ここで、再生セルロース繊維は、扁平レーヨン繊維と丸型レーヨン繊維とを含む。また、再生セルロース繊維の平均繊維長は、2mm以上20mm以下である。
本発明の水解性不織布は、上記構成を有するものであるため、優れた含浸引張強度と水解性を兼ね備えている。従来、水解性不織布において、含浸引張強度と水解性は相反する性質であり、これらを高いレベルで両立することは困難であった。しかしながら、本発明者らは、再生セルロース繊維として扁平レーヨン繊維と丸型レーヨン繊維を用い、かつ再生セルロース繊維の平均繊維長を所定範囲内とすることにより、含浸引張強度と水解性を両立することに成功した。
本発明の水解性不織布は、含浸引張強度に優れているため、水解性不織布に水や薬液を含浸させて湿潤水解性不織布を作製する際の製造効率を高めることができる。湿潤水解性不織布を製造する際には、水解性不織布を水や薬液に含浸させた後に、含水状態の水解性不織布を含浸液から引き揚げる操作が行われる。このような一連の操作は例えば含浸機等を用いて行われる場合もある。従来、十分な含浸引張強度が得られない場合、含浸作業中に水解性不織布が破断したり、破損することがあるため、湿潤水解性不織布の製造ができなかったり、その製造効率が低下することがあった。しかしながら、本発明の水解性不織布においては、含浸引張強度を高めることに成功したため、湿潤水解性不織布の製造効率を向上させ得る。
含浸引張強度とは、以下の条件で水解性不織布に薬液を含浸させた後、5秒後に測定した縦方向と横方向の引張強度の相乗平均である。具体的には、幅25mm、長さ114mmの大きさとした水解性不織布の中央部を薬液に3秒間含浸させる。その後、5秒後に測定が開始されるように引張試験機にセットし、スパン長100mmで上下エアチャックにセットして、引張速度300mm/分の条件引張強度を測定する。測定は、水解性不織布のウォータージェット痕と平行方向及び垂直方向の含浸引張強度を測定し、その後、相乗平均を算出して含浸引張強度とする。なお、水解性不織布を含浸させる薬液は、主成分を水として、全体の10質量%以下程度の割合で、各種の化粧品材料(水溶性溶剤、抗菌剤、防黴剤、香料、界面活性剤、保存料、湿潤剤、所望の薬効を有する薬剤等)が含まれているものであればよい。例えば、薬液としては、ジプロピレングリコール:ポリアミノプロピルビグアニド:リン酸2Na:安息香酸:セチルピリジニウムクロリド:水が質量比で1.00:0.20:0.15:0.15:0.05:98.45である薬液を用いることができる。水解性不織布の含浸引張強度は、35N/m以上であることが好ましく、37N/m以上であることがより好ましく、40N/m以上であることがさらに好ましい。なお、水解性不織布の含浸引張強度の上限値は特に限定されるものではないが、200N/m以下であることが好ましい。
また、本発明の水解性不織布は、水解性に優れているため、水流や多量の水によって容易に崩壊し、その崩壊状態が維持される。このため、本発明の水解性不織布を水洗トイレなどに流した場合、水洗トイレの排水口などに水解性不織布が詰まることがない。近年は節水型水洗トイレなどの需要も高まってきているが、本発明の水解性不織布は節水型水洗トイレにおいても容易に水解するため、あらゆる水洗トイレに流すことが可能である。ここで、水解性不織布の水解性は、絶乾状態の水解性不織布と水の質量比が1:2(不織布:水)となるように水解性不織布に純水を含浸させて湿潤状態の水解性不織布としたものを密封状態で常温環境で2日間放置した後、JIS P 4501:1993の「4.5 ほぐれやすさ」に準拠して測定する。なお、本明細書において、絶乾状態の水解性不織布は、水分含有量が水解性不織布の全質量に対して1質量%以下の不織布である。水解性不織布の水解性は100秒以下であることが好ましく、80秒以下であることがより好ましく、70秒以下であることがさらに好ましく、67秒以下であることが一層好ましく、65秒以下であることが特に好ましい。なお、水解性不織布の水解性の下限値は特に限定されるものではないが、15秒以上であることが好ましい。
また、水解性不織布の水解性は上記と同様に絶乾状態の水解性不織布と水の質量比が1:2(不織布:水)となるように水解性不織布に純水を含浸させて湿潤状態の水解性不織布としたものを密封状態で常温環境で2日間放置した後、世界下水道トイレに流せる製品問題検討会議(International Water Services Flushability Group 略称IWSFG)における水解性試験に準じて水解性(ふるい通過率)を測定した場合、該水解性(ふるい通過率)は95%以上であることが好ましく、99%以上であることがさらに好ましい。
さらに、本発明の水解性不織布は、優れた湿潤引張強度を有している。このため、水解性不織布に水や薬液を含浸させて湿潤水解性不織布とした際に、清浄作業等に耐え得る十分な強度を発揮することができる。このため、清浄作業中に湿潤水解性不織布が意図せずに破断したり、使用中に湿潤水解性不織布の繊維が離脱したりすることがない。
水解性不織布の湿潤引張強度は、絶乾状態の水解性不織布と薬液の質量比が1:2(不織布:薬液)となるように水解性不織布に薬液を含浸させた状態で、引張試験機にて縦及び横方向の引張強度を測定し、縦方向の引張強度と横方向の引張強度の相乗平均値を算出したものである。具体的には、サンプル幅30mm、スパン長114mm、引張速度300mm/分の条件で、湿潤状態の水解性不織布の縦及び横方向の引張強度を測定する。湿潤引張強度の測定に用いられる引張試験機としては、例えば、エイ・アンド・デイ社製のTENSILON万能材料試験機を用いることができる。なお、水解性不織布を含浸させる薬液は、主成分を水として、全体の10質量%以下程度の割合で、各種の化粧品材料(水溶性溶剤、抗菌剤、防黴剤、香料、界面活性剤、保存料、湿潤剤、所望の薬効を有する薬剤等)が含まれているものであればよい。例えば、薬液としては、ジプロピレングリコール:ポリアミノプロピルビグアニド:リン酸2Na:安息香酸:セチルピリジニウムクロリド:水が質量比で1.00:0.20:0.15:0.15:0.05:98.45である薬液を用いることができる。水解性不織布の湿潤引張強度は30N/m以上であることが好ましく、40N/m以上であることがより好ましく、50N/m以上であることがさらに好ましい。また、水解性不織布の湿潤引張強度の上限値は特に限定されるものではないが、300N/m以下であることが好ましい。
水解性不織布は、パルプ繊維と再生セルロース繊維を含む。水解性不織布において、パルプ繊維と再生セルロース繊維は交絡しており、それによってパルプ繊維と再生セルロース繊維が一体化している。このような構造は、湿式抄紙法により形成した、パルプ繊維と再生セルロース繊維とを含む不織布シートに高圧水ジェット流処理を施すことで形成される。高圧水ジェット流処理を施すことによって、パルプ繊維と再生セルロース繊維はねじられ、曲げられ、回された状態となるため、繊維同士が交絡一体化する。すなわち、水解性不織布は、高圧水ジェット流処理によってパルプ繊維と再生セルロース繊維が交絡、一体化した不織布であると言える。
水解性不織布において、パルプ繊維と再生セルロース繊維が交絡、一体化した様子は、不織布表面を拡大観察し、各繊維がランダムに配向し絡みあっている様子から見てとれる。また、本発明の水解性不織布は、高圧水ジェット流処理によってパルプ繊維と再生セルロース繊維が交絡、一体化した不織布であるため、水解性不織布には不織布の流れ方向(MD方向)に筋状の噴流跡が連続して形成されている。すなわち、本発明においては、このような噴流跡があることをもって、パルプ繊維と再生セルロース繊維が交絡していると判定することもできる。なお、噴流跡は、高圧水ジェット流がかかった微細な跡であり、噴流跡においては、水解性不織布を構成する繊維の密度が高圧水ジェット流のかかっていない箇所よりも高くなっている。
本発明の水解性不織布の坪量は、15g/m以上であることが好ましく、20g/m以上であることがより好ましく、30g/m以上であることがさらに好ましい。また、水解性不織布の坪量は、100g/m以下であることが好ましく、80g/m以下であることがより好ましく、60g/m以下であることがさらに好ましい。水解性不織布の坪量を上記範囲内とすることにより、含浸引張強度と水解性をより効果的に高めることができる。なお、本明細書において、水解性不織布の坪量は、JIS P 8124に準拠して測定されるものである。
本発明の水解性不織布の厚みは、100μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましい。また、水解性不織布の厚みは、400μm以下であることが好ましく、350μm以下であることがより好ましい。
本明細書において、水解性不織布は、乾燥状態(絶乾状態)の不織布であり、水分や薬剤を含浸し得る不織布である。なお、本発明は、水解性不織布に水分や薬剤を含浸させてなる湿潤水解性不織布に関するものでもある。湿潤水解性不織布は、水分に加えて、さらにプロピレングリコール等の湿潤剤、アルコールやパラ安息香酸エステル類といって抗菌剤、防黴剤、香料、所望の薬効を有する薬剤等を含んでいてもよい。湿潤水解性不織布は、ウェットティシュ、おしりふき、ワイパー等のウェット製品として好ましく用いられる。
本発明の水解性不織布の湿潤時の厚み(湿潤水解性不織布の厚み)は、100μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましく、200μm以上であることがさらに好ましく、250μm以上であることが一層好ましく、270μm以上であることが特に好ましい。また、水解性不織布の湿潤時の厚み(湿潤水解性不織布の厚み)は、1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、600μm以下であることがさらに好ましい。水解性不織布の湿潤時の厚みを上記範囲内とすることにより、湿潤水解性不織布を使用する際の使用感をより高めることができる。具体的には、肌触りを高めたり、柔らかさを高めたりすることができる。また、湿潤水解性不織布の清浄効果を高めることもできる。
<パルプ繊維>
本発明の水解性不織布はパルプ繊維を含む。パルプ繊維としては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプからなる繊維を挙げることができる。木材パルプとしては例えば、広葉樹パルプ(広葉樹クラフトパルプ(LBKP))、針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NBKP))、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等を用いることもできる。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられる。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。パルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
中でも、パルプ繊維としては、広葉樹パルプ(広葉樹クラフトパルプ(LBKP))及び針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NBKP))から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NBKP))を用いることが特に好ましい。針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NBKP))を用いることにより、水解性不織布を製造する際、パルプ繊維の脱落を抑制しやすくなり、生産効率を高めることができる。また、パルプ繊維として針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NBKP))を用いることにより、湿潤時の水解性不織布の厚みを大きくすることができ、湿潤水解性不織布を使用する際の使用感や清浄効果を高めることができる。
本発明においては、パルプ繊維として、針葉樹パルプと広葉樹パルプを併用してもよいがこの場合、パルプ繊維の全質量に対する広葉樹パルプ繊維の含有量は50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であることが一層好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。なお、パルプ繊維は広葉樹パルプを含まなくてもよく、パルプ繊維の全質量に対する広葉樹パルプ繊維の含有量が0質量%であってもよい。
パルプ繊維の平均繊維長は、1.5mm以上であることが好ましく、1.8mm以上であることがより好ましく、2.0mm以上であることがさらに好ましい。また、パルプ繊維の平均繊維長は、20.0mm以下であることが好ましく、10.0mm以下であることがより好ましく、7.0mm以下であることがさらに好ましい。ここで、本明細書において、パルプ繊維の平均繊維長とは長さ加重平均繊維長を意味する。パルプ繊維の長さ加重平均繊維長は、以下の測定方法で算出された繊維長である。まず水解性不織布を水に離解させて得られた繊維分散スラリーを作製する。これをナイロンメッシュスクリーンで濾過し、残渣(レーヨン)、濾液(パルプ分散液)に分ける。パルプ分散液を4500rpmで離解機で処理し、十分に離解させ、繊維分散スラリーを得る。得られた繊維分散スラリーを0.01質量%以上0.02質量%以下になるように希釈し、希釈液を作製する。この希釈液10mlに含まれる繊維成分の投影長さを、繊維長測定装置(メッツォオートメーション社製、カヤーニファイバーラボVer4.0)を用いて測定し、離解繊維の長さ加重平均値を算出する。
パルプ繊維のフリーネスの上限、下限は特に限定されるものではないが、350ml以上であることが好ましく、400ml以上であることがより好ましく、450ml以上であることがさらに好ましい。また、フリーネスは700ml程度であることも好ましい。
フリーネスは、JIS P 8121に規定するカナダ標準ろ水度(C.S.F.)で示される値であり、繊維の叩解の度合いを示す値である。繊維の叩解は、繊維を分散させた紙料(スラリー)に対して、ビーダー、ディスクリファイナー等の公知の叩解機を用いて実施することができる。通常、繊維のフリーネスの値が小さいほど、叩解の度合いが強く、叩解による繊維の損傷が大きくてフィブリル化が進行している。繊維のフィブリル化が進行すると繊維間の結合点数が増加するため、強度が向上する。本発明においては湿潤強度と水解性を好ましい範囲とするために、フリーネスを適宜調節することも好ましい。
水解性不織布の全質量に対するパルプ繊維の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、水解性不織布の全質量に対するパルプ繊維の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。パルプ繊維の含有量を上記範囲内とすることにより、水解性不織布の含浸引張強度と水解性をより効果的に高めることができる。
<再生セルロース繊維>
本発明の水解性不織布は再生セルロース繊維を含む。再生セルロース繊維の平均繊維長は、2mm以上であればよく、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましい。また、再生セルロース繊維の平均繊維長は、20mm以下であればよく、15mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、6mm以下であることがさらに好ましい。なお、上記平均繊維長は、扁平レーヨン繊維と丸型レーヨン繊維を合わせた平均繊維長である。再生セルロース繊維の平均繊維長はJIS L−1015 8.4.1平均繊維長の測定方法に基づく。再生セルロース繊維の繊維長を上記の範囲内とすることにより、湿潤強度と水解性を両立することができる。特に再生セルロース繊維の繊維長を上記上限値以下とすることにより、湿潤状態でも嵩高な状態を保つことができる水解性不織布が得られ易くなり、上記下限値以上とすることにより、湿潤強度の高い水解性不織布が得られ易くなる。
再生セルロース繊維は、扁平レーヨン繊維と丸型レーヨン繊維を含むものである。再生セルロース繊維の全質量に対する扁平レーヨン繊維の含有量をP(質量部)とし、再生セルロース繊維の全質量に対する丸型レーヨン繊維の含有量をQ(質量部)とした場合、P:Q=1:9〜9:1であることが好ましく、3:7〜9:1であることがより好ましく、3:7〜8:2であることがさらに好ましく、3:7〜7:3であることが特に好ましい。
扁平レーヨン繊維は、繊維の断面形状が扁平形状である。なお、繊維の断面形状とは、レーヨン繊維の長さ方向に対し、垂直方向のカット面の形状のことをいう。本明細書において、扁平形状とは、繊維の断面形状が、中心点を通過する最大長で定義される長径と、中心点を通過する最小長で定義される短径を有する形状をいい、扁平レーヨン繊維の断面の外縁幅に対する外縁長さの比率(外縁長さ/外縁幅)が2以上のものを言う。なお、扁平レーヨン繊維の断面の外縁幅と外縁長さの比率は、1:2〜1:30であることが好ましく、1:2〜1:20であることがより好ましい。ここで、扁平レーヨン繊維の断面の外縁幅と外縁長さの比率は、10個の異なる扁平レーヨン繊維の扁平断面を垂直方向より顕微鏡観察し、マイクロスケールを基準として測定することができる。なお、扁平形状としては、例えば、まゆ型、長円型、楕円型等を例示することができる。
扁平レーヨン繊維としては、密実扁平レーヨン繊維や中空扁平レーヨン繊維を用いることができる。中でも、扁平レーヨン繊維は、中空扁平レーヨン繊維であることが好ましい。中空扁平レーヨン繊維としては、市販品を用いることができ、例えば、ダイワボウレーヨン社製のSBHを用いることができる。
扁平レーヨン繊維の繊度は、1.2dtex以上7.0dtex以下であることが好ましく、1.2dtex以上5.0dtex以下であることがより好ましく、1.2dtex以上2.0dtex以下であることがさらに好ましい。扁平レーヨン繊維の繊度を上記範囲内とすることにより、水解後に繊維成分が再凝集することを抑制することができ、これにより、水解性をより効果的に高めることができる。
丸型レーヨン繊維は、繊維の断面形状が丸型形状である。ここで、丸型とは、繊維の断面形状が長径と短径を実質的に有さない形状であり、レーヨン繊維の断面の外縁幅に対する外縁長さの比率(外縁長さ/外縁幅)が2未満であるものを言う。すなわち、丸型レーヨン繊維には、レーヨン繊維の断面の外縁幅に対する外縁長さの比率が小さい楕円形状の断面を有する繊維が包含される。また、菊型形状や多角形状の断面を有する繊維も丸型レーヨン繊維に包含される。なお、本発明においては丸型レーヨン繊維として菊型レーヨン繊維を用いることが好ましい。菊型レーヨン繊維としては、市販品を用いることができ、例えば、ダイワボウレーヨン社製のコロナSBを用いることができる。
水解性不織布の全質量に対する再生セルロース繊維の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また、水解性不織布の全質量に対する再生セルロース繊維の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。再生セルロース繊維の含有量を上記範囲内とすることにより、水解性不織布の湿潤強度と水解性をより効果的に高めることができる。
再生セルロース繊維としては、上述した扁平レーヨン繊維や丸型レーヨン繊維に加えて、例えば、キュプラ繊維やリヨセル繊維等を含んでいてもよい。
<任意成分>
本発明の水解性不織布は、他の任意成分を含むものであってもよい。任意成分としては、例えば、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、柔軟剤等を挙げることができる。乾燥紙力剤としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド(PAM)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドエピクロロヒドリン、尿素、メラミン、熱架橋性ポリアクリルアミド等を挙げることができる。柔軟剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等を挙げることができる。上記の任意成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
但し、本発明の水解性不織布における熱溶融性樹脂の含有量は、水解性不織布の全質量に対して、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。なお、本発明の水解性不織布は熱溶融性樹脂を実質的に含まないことが好ましく、樹脂成分の含有量は0質量%であることが特に好ましい。なお、本明細書において、熱溶融性樹脂とは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、熱可塑性ポリエステル及びエチレン−酢酸ビニル共重合体から選択される少なくとも1種である。
(水解性不織布の製造方法)
本発明の水解性不織布の製造方法は、湿式抄紙法により形成した、パルプ繊維と再生セルロース繊維とを含む不織布シートに高圧水ジェット流処理を施す工程を含む。ここで、再生セルロース繊維は、扁平レーヨン繊維と丸型レーヨン繊維とを含む。また、再生セルロース繊維の平均繊維長は、2mm以上20mm以下である。
水解性不織布の製造工程では、まず、パルプ繊維と再生セルロース繊維とを含むスラリーを得る。そして、該スラリーを円網抄紙機、短網抄紙機、傾斜ワイヤー抄紙機、長網抄紙機等の公知の抄紙機を用いて湿式抄紙し、不織布シート(湿式ウェブ)を形成する。なお、スラリーにポリエチレンオキサイド等の粘剤を添加したり、抄紙工程のワイヤーパートにおいて抄紙液速度とワイヤー速度の比を調整することで不織布シート(湿式ウェブ)の繊維配向をコントロールすることができる。
不織布シートに高圧水ジェット流処理を施す工程では、得られた不織布シート(湿式ウェブ)に高圧水ジェット流処理を施す。高圧水ジェット流処理は公知の方法により処理することができる。具体的には、不織布シート(湿式ウェブ)を多孔性の支持体上に戴置し、不織布シート(湿式ウェブ)の上面から、孔径が0.08〜0.30mm程度の細孔が多数配列したノズルを通して水圧15〜150kg/cmの水圧で高圧水を噴射し、不織布シート(湿式ウェブ)を構成する繊維の相互を交絡させる。高圧水ジェット流処理により不織布シート(湿式ウェブ)に付与されるエネルギーは、以下の式(iii)の高圧水ジェット流エネルギーで表される。高圧水ジェット流エネルギーは、0.01kWh/kg/m以上であることが好ましく0.015kWh/kg/m以上であることがより好ましく、0.02kWh/kg/m以上であることがさらに好ましい。また、高圧水ジェット流エネルギーは、0.50kWh/kg/m以下であることが好ましく0.40kWh/kg/m以下であることがより好ましく、0.30kWh/kg/m以下であることがさらに好ましい。高圧水ジェット流エネルギーを上記範囲内とすることにより水解性不織布の湿潤強度を高めつつ、水解性を高めることができる。
V=(2×g×(P―Ap)×10000/(ρ×1000))1/2×60・・・(i)
V:ノズルから吐出される水の流速(m/分)
g:重力加速度=9.8m/s
P:ノズル部での水圧(kgf/cm
A:ノズル1孔の面積(mm
p:大気圧(kgf/cm
ρ:水の密度(g/cm
F=(A/100)×V×100・・・(ii)
F:ノズル部の1孔から吐出される水の流量(cm/分)
A:ノズル1孔の面積(mm
V:ノズルから吐出される水の流速(m/分)
E=P×(F/100)×0.163・・・(iii)
E:高圧水ジェット流エネルギー(kWh/kg/m)
なお、高圧水ジェット流処理は、湿式抄紙してウェブを形成した直後にオンラインで行っても良いし、湿式抄紙したウェブを一旦乾燥した後、オンラインあるいはオフラインで高圧水ジェット流処理を行っても良い。
高圧水ジェット流処理が施された不織布シートは、その後の工程においてプレス及び乾燥される。
(用途)
本発明の水解性不織布は、水やプロピレングリコール等の湿潤剤、アルコールやパラ安息香酸エステル類といって抗菌剤、防黴剤、香料、所望の薬効を有する薬剤等を含浸させてウェットティシュ、おしりふき、ワイパー等のウェット製品として用いられる。また、本発明の水解性不織布を衛生材料の表面材として使用してもよい。この場合、所望に応じて不織布に親水性や撥水性を高めるような処理を施しても良い。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
繊度1.7dtex、平均繊維長7mmの中空扁平レーヨン繊維(商品名:コロナSBH、ダイワボウレーヨン株式会社製、外縁幅と外縁長さの比率(扁平率)、1:15)11質量%、繊度1.1dtex、平均繊維長7mmの菊型レーヨン繊維(商品名:コロナSB、ダイワボウレーヨン株式会社製)22質量%、未叩解の針葉樹クラフトパルプ(NBKP、JIS P 8121−2:2012に準拠して測定されたフリーネスが673ml、平均繊維長:2.33mm)67質量%となるように繊維原料を混合し、繊維原料を水に分散させて固形分濃度1.0質量%のパルプスラリーを得た。傾斜ワイヤー型長網抄紙機にて、ジェットワイヤー比1.04、抄速105m/分でパルプスラリーから不織布シートを作製した。次いで、ワイヤー上の後部に設置されたウォ−タージェット装置(高圧水ジェット流処理装置)を用いて、負荷エネルギーが0.022kWh/kg/mとなるように、不織布シートに高圧水ジェット流を噴射した。高圧水ジェット流処理が施された不織布シートを乾燥し、乾燥後の坪量が43.0g/mの水解性不織布を得た。
(実施例2)
実施例1において、繊度1.7dtex、平均繊維長7mmの中空扁平レーヨン繊維(商品名:コロナSBH、ダイワボウレーヨン株式会社製)16.5質量%、繊度1.1dtex、平均繊維長7mmの菊型レーヨン繊維(商品名:コロナSB、ダイワボウレーヨン株式会社製)16.5質量%、未叩解の針葉樹クラフトパルプ(NBKP、JIS P 8121−2:2012に準拠して測定されたフリーネスが673ml)67質量%となるように繊維原料を混合した以外は実施例1と同じ方法で実施例2の水解性不織布を得た。
(実施例3)
実施例1において、繊度1.7dtex、平均繊維長7mmの中空扁平レーヨン繊維(商品名:コロナSBH、ダイワボウレーヨン株式会社製)の代わりに繊度2.4dtex、平均繊維長10mmの密実扁平レーヨン繊維(商品名:コロナHP、ダイワボウレーヨン株式会社製)を用いた以外は実施例1と同じ方法で実施例3の水解性不織布を得た。
(実施例4)
実施例1において、繊度1.7dtex、平均繊維長7mmの中空扁平レーヨン繊維(商品名:コロナSBH、ダイワボウレーヨン株式会社製)33.5質量%、繊度1.1dtex、平均繊維長7mmの菊型レーヨン繊維(商品名:コロナSB、ダイワボウレーヨン株式会社製)16.5質量%、未叩解の針葉樹クラフトパルプ(NBKP、JIS P 8121−2:2012に準拠して測定されたフリーネスが673ml)50質量%となるように繊維原料を混合した以外は実施例1と同じ方法で実施例4の水解性不織布を得た。
(実施例5)
実施例1において、繊度1.7dtex、平均繊維長7mmの中空扁平レーヨン繊維(商品名:コロナSBH、ダイワボウレーヨン株式会社製)16.5質量%、繊度1.1dtex、平均繊維長10mmの菊型レーヨン繊維(商品名:コロナSB、ダイワボウレーヨン株式会社製)10.0質量%、未叩解の針葉樹クラフトパルプ(NBKP、JIS P 8121−2:2012に準拠して測定されたフリーネスが673ml)73.5質量%となるように繊維原料を混合した以外は実施例1と同じ方法で実施例5の水解性不織布を得た。
(実施例6)
実施例1において、繊度1.7dtex、平均繊維長7mmの中空扁平レーヨン繊維(商品名:コロナSBH、ダイワボウレーヨン株式会社製)16.5質量%、繊度1.1dtex、平均繊維長10mmの菊型レーヨン繊維(商品名:コロナSB、ダイワボウレーヨン株式会社製)10.0質量%、未叩解の針葉樹クラフトパルプ(NBKP、JIS P 8121−2:2012に準拠して測定されたフリーネスが673ml)68.5質量%、未叩解の広葉樹クラフトパルプ(LBKP、JIS P 8121−2:2012に準拠して測定されたフリーネスが485ml)5.0質量%となるように繊維原料を混合した得た以外は実施例1と同じ方法で実施例6の水解性不織布を得た。
(実施例7)
実施例1において、繊度1.1dtex、平均繊維長7mmの菊型レーヨン繊維(商品名:コロナSB、ダイワボウレーヨン株式会社製)22質量%の代わりに繊度1.1dtex、平均繊維長5mmの菊型レーヨン繊維(商品名:コロナSB、ダイワボウレーヨン株式会社製)22質量%を使用した以外は実施例1と同じ方法で実施例7の水解性不織布を得た。
(比較例1)
実施例1において、繊度1.7dtex、平均繊維長7mmの中空扁平レーヨン繊維(商品名:コロナSBH、ダイワボウレーヨン株式会社製)の配合を33質量%に変更し、菊型レーヨン繊維を用いなかった以外は実施例1と同じ方法で比較例1の水解性不織布を得た。
(比較例2)
比較例1において、未叩解の針葉樹クラフトパルプ(NBKP、JIS P 8121−2:2012に準拠して測定されたフリーネスが673ml)の代わりに未叩解の広葉樹クラフトパルプ(LBKP、JIS P 8121−2:2012に準拠して測定されたフリーネスが485ml)を用いた以外は比較例1と同じ方法で比較例2の水解性不織布を得た。
(比較例3)
実施例1において、繊度1.7dtex、平均繊維長7mmの中空扁平レーヨン繊維(商品名:コロナSBH、ダイワボウレーヨン株式会社製)に代えて繊度2.4dtex、平均繊維長35mmの密実扁平レーヨン(商品名:コロナHP、ダイワボウレーヨン株式会社製、外縁幅と外縁長さの比率(扁平率)、1:6.3)を用い、かつ、繊度1.1dtex、平均繊維長7mmの菊型レーヨン繊維(商品名:コロナSB、ダイワボウレーヨン株式会社製)に代えて繊度2.2dtex、平均繊維長35mmの菊型レーヨン(商品名:コロナSB、ダイワボウレーヨン株式会社製)を用いた以外は実施例1と同じ方法で比較例3の水解性不織布を得た。
(評価)
(水解性1)
実施例及び比較例で得た水解性不織布を絶乾状態とし、絶乾状態の水解性不織布と水の質量比が1:2(不織布:水)となるように水解性不織布に純水を含浸させて湿潤状態の水解性不織布(湿潤水解性不織布)を密封し、2日間放置した。その後、湿潤状態の水解性不織布の水解性をJIS P 4501:1993の「4.5 ほぐれやすさ」に準拠して測定した。
(水解性2)
実施例及び比較例で得た水解性不織布を110mm×200mmの大きさに断裁したものを複数枚用意して、乾燥後の質量を測定した。その後、乾燥後の水解性不織布と水の質量比が1:2(不織布:水)となるように水解性不織布に純水を含浸させて湿潤状態の水解性不織布(湿潤水解性不織布)を密封し、2日間放置した。その後、湿潤状態の水解性不織布の水解性をIWSFGより公開されている公開仕様書「PAS 1:2018 トイレに流せる製品の認定基準」に記載された「IWSFG PAS 3:2018 スロッシュボックスによる水解性試験法」に準じて測定した。具体的には、湿潤状態の水解性不織布を30分間スロッシュボックス内で水解させた後、目開き25mmのふるいに水槽内の試験片と水を注ぎ、ふるいを1分間シャワーですすいだ後において、ふるいに残った試験片を採取した。そして、初期乾燥重量に対するふるいの通過率を算出した。
(湿潤引張強度)
実施例及び比較例で得た水解性不織布に、ジプロピレングリコール:ポリアミノプロピルビグアニド:リン酸2Na:安息香酸:セチルピリジニウムクロリド:水が質量比で1.00:0.20:0.15:0.15:0.05:98.45である薬液を質量比が1:2(不織布:薬液)となるように含浸させて湿潤状態の水解性不織布とした。次いで、サンプル幅30mm、サンプル長さ114mmに切り出し、試験片とした。引張試験機(エイ・アンド・デイ社製、TENSILON万能材料試験機)に試験片をセットし、スパン長100mm、引張速度300mm/分の条件で、水解性不織布のウォータージェット痕と平行方向及び垂直方向の湿潤引張強度を測定し、相乗平均を算出し湿潤引張強度とした。
(含浸引張強度)
実施例及び比較例で得た水解性不織布を絶乾状態とし、サンプル幅25mm、サンプル長さ114mmに切り出し、試験片とした。試験片の長さ方向の両端を持って、中央部をジプロピレングリコール:ポリアミノプロピルビグアニド:リン酸2Na:安息香酸:セチルピリジニウムクロリド:水が質量比で1.00:0.20:0.15:0.15:0.05:98.45である薬液に3秒間漬けたのち、5秒後に測定が開始されるように引張試験機(エイ・アンド・デイ社製、TENSILON万能材料試験機)にセットした。スパン長100mmで上下エアチャックにセットして、引張速度300mm/分の条件で、水解性不織布のウォータージェット痕と平行方向及び垂直方向の含浸引張強度を測定し、相乗平均を算出し含浸引張強度とした。
(湿潤時の厚み)
実施例及び比較例で得た水解性不織布と水の質量比が1:2(不織布:水)となるように水解性不織布に純水を含浸させて湿潤状態の水解性不織布とし、その厚みをJIS L 1913:2010 一般不織布試験方法 6−1−1A法に準拠して測定した。その際、精密厚み測定機(尾崎製作所製ピーコック、測定子直径58mm)で10点測定し、その平均値を湿潤時の厚みとした。
Figure 2021188212
実施例では、含浸引張強度が高くかつ、水解性に優れた水解性不織布が得られた。実施例においては、水解性不織布を製造する際の含浸工程における加工適性が向上した。

Claims (9)

  1. パルプ繊維と、再生セルロース繊維とが交絡した水解性不織布であって、
    前記再生セルロース繊維は、扁平レーヨン繊維と丸型レーヨン繊維とを含み、
    前記再生セルロース繊維の平均繊維長は、2mm以上20mm以下である、水解性不織布。
  2. 前記再生セルロース繊維の全質量に対する前記扁平レーヨン繊維の含有量をP(質量部)とし、前記再生セルロース繊維の全質量に対する前記丸型レーヨン繊維の含有量をQ(質量部)とした場合、P:Q=1:9〜9:1である、請求項1に記載の水解性不織布。
  3. 前記水解性不織布の全質量に対して、前記パルプ繊維の含有量は、30〜90質量%であり、前記再生セルロース繊維の含有量は10〜50質量%である、請求項1又は2に記載の水解性不織布。
  4. 前記扁平レーヨン繊維は、中空扁平レーヨン繊維である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水解性不織布。
  5. 前記扁平レーヨン繊維の断面の外縁幅と外縁長さの比率は、1:2〜1:30である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水解性不織布。
  6. 前記パルプ繊維の平均繊維長は1.5mm以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水解性不織布。
  7. 前記パルプ繊維は針葉樹パルプ繊維を含み、前記パルプ繊維の全質量に対する広葉樹パルプ繊維の含有量は50質量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水解性不織布。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水解性不織布に水分を含浸させてなる湿潤水解性不織布。
  9. 湿式抄紙法により形成した、パルプ繊維と再生セルロース繊維とを含む不織布シートに高圧水ジェット流処理を施す工程を含む水解性不織布の製造方法であって、
    前記再生セルロース繊維は、扁平レーヨン繊維と丸型レーヨン繊維とを含み、
    前記再生セルロース繊維の平均繊維長は、2mm以上20mm以下である、水解性不織布の製造方法。
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