以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素などの各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、異なる実施形態の類似する構成要素などの各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
[0.概要]
まず、本発明の実施形態の概要について説明する。
近年、センサによって検知対象物を検知する技術が知られている。例えば、音響センサ(マイクロフォン)によって得られた音響信号に基づいて検知対象物を検出する技術が知られている。例えば、海底突起物を検知するため、音響センサを海底からあらかじめ決められた高さに設置し、設置した音響センサによって海底突起物を検知する技術が知られている。海底突起物は自ら音を発しないため、海底突起物の検知にアクティブソーナーが用いられる。
まず、図13および図14を参照しながら、かかる検知対象物を検知する一般的な水中音響センサの例について説明する。なお、以下では、水中に位置する音響センサを含んだセンサ構造を「水中音響センサ」とも称する。また、以下に説明する、「水中音響センサ」は、海面に浮かぶ目印となる物体(すなわち、ブイ)としても機能し得る。
図13は、検知対象物を検知する一般的な水中音響センサの第1の例を説明するための図である。図13を参照すると、検知対象物を検知する一般的な水中音響センサの第1の例として、水中音響センサ81が示されている。水中音響センサ81は、アンテナ部810と、フロート821(浮力体)と、係留部881と、センシング部840(音響センサ)とを備える。
ここで、センシング部840は、係留部881によってフロート821につなぎ留められており、水中の音響信号を得る。かかる構成によれば、海の深さに変化がなければ、センシング部840が海底からあらかじめ決められた高さに設置され得ると考えられる。アンテナ部810は、フロート821に結合されており、センシング部840によって得られた音響信号を送信する。
図13に示されたような水中音響センサ81が用いられる場合には、水中音響センサ81が全体として、どこにもつなぎ留められていないため、水中音響センサ81が移動してしまう可能性がある。したがって、水中音響センサ81は、検知対象物の位置を高精度に検出することができないことが想定される。
さらに、水中音響センサ81が用いられる場合には、フロート821とセンシング部840とが連結されておらず、係留部881を介して接続されているため、係留部881が絡まってしまう可能性がある。また、水中音響センサ81が用いられる場合には、フロート821とセンシング部840とがあらかじめ係留部881を介して接続されてしまっているため、フロート821とセンシング部840とを別々に運送することが不可能であり、水中音響センサ81の運送に関する利便性が高くないことが考えられる。
なお、本発明の実施形態では、「運送」との文言を、単に「部品を運ぶこと」を意味する文言として用いる。そのため、運送によって部品が運ばれる距離も特定の距離に限定されないし、運送によって運ばれる部品の量も特定の量(例えば、部品の数、部品の重さなど)に限定されない。また、部品を運送する運送手段も特定の運送手段に限定されず、乗り物(例えば、車両、航空機、ドローン)であってもよいし、人であってもよいし、ロボットなどであってもよい。
図14は、検知対象物を検知する一般的な水中音響センサの第2の例を説明するための図である。図14を参照すると、検知対象物を検知する一般的な水中音響センサの第2の例として、水中音響センサ82が示されている。水中音響センサ82は、アンテナ部810と、フロート831(浮力体)と、係留部883と、フロート832(浮力体)と、係留部881と、センシング部840(音響センサ)と、係留部882と、錘890(アンカー)とを備える。
ここで、センシング部840は、係留部881によってフロート832につなぎ留められ、かつ、係留部882によって錘890につなぎ留められており、水中の音響信号を得る。かかる構成によれば、海の深さに変化がなければ、センシング部840が海底からあらかじめ決められた高さに設置され得ると考えられる。アンテナ部810は、(係留部883によって錘890につなぎ留められた)フロート831に結合されており、センシング部840によって得られた音響信号を送信する。
図14に示されたような水中音響センサ82が用いられる場合には、センシング部840が錘890およびフロート832につなぎ留められているため、センシング部840は移動しにくくなっている。
しかし、水中音響センサ82が用いられる場合には、(アンテナ部810と結合した)フロート831とセンシング部840とが連結されておらず、フロート831とセンシング部840との間に、係留部882および係留部883が存在する。そのため、係留部882および係留部883が絡まってしまう可能性がある。また、水中音響センサ82が用いられる場合には、フロート831とセンシング部840とがあらかじめ係留部882および係留部883を介して接続されてしまっているため、フロート831とセンシング部840とを別々に運送することが不可能であり、水中音響センサ82の運送に関する利便性が高くないことが考えられる。
そこで、本発明の実施形態では、利用者の利便性をさらに向上させることが可能な技術について主に提案する。
本発明の実施形態では、上記した一般的な技術と同様に、センサとして音響センサが用いられる場合を主に想定する。すなわち、本発明の実施形態では、音響センサによって得られたセンサデータ(音響信号)から検知対象物が発する音が検出されることによって、検知対象物が検知される場合を主に想定する。しかし、センサは、音響センサに限定されず、音響センサ以外のセンサ(例えば、イメージセンサおよび超音波センサなど)であってもよい。センサとして音響センサ以外のセンサが用いられる場合であっても、センサとして音響センサが用いられる場合と同様に、センサデータから検知対象物の特徴が検出されることによって、検知対象物が検知され得る。
検知対象物としては、様々な対象物が想定される。例えば、検知対象物が、密漁に用いられる各種対象物である場合が想定され得る。密漁に用いられる各種対象物の例としては、密漁船および密漁者などが挙げられる。これによって、密漁が監視者によって監視され得る。なお、密漁を監視することが重要であることは、近年の密漁による被害の大きさ、密漁の発見の困難性などに鑑みても明らかである。例えば、海上保安庁の年次報告「海上保安レポート2018」(http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/books/report2018/html/honpen/2_04_chap3.html)は、「我が国周辺海域の豊かな水産資源は決して無尽蔵ではなく、生態系のバランスを保ち水産資源を枯渇させないために漁獲量や操業方法・区域・期間に制限を設けるなどのルールが設定されています。しかしながら、ルールに従わない一部の漁業者による違法な操業や、資金確保を目論む暴力団等による水産資源の乱獲が後を絶ちません。・・・海上保安庁では、監視能力の更なる向上や採証資機材等の充実を図り、悪質・巧妙化する密漁事犯の厳格な監視・取締りに努めます。また、引き続き、関係機関や漁業関係団体等との緊密な連携を図ることで、地域の特性に応じた未然防止対策等の総合的な密漁対策を推進し、漁業秩序の維持に努めていきます。」と示す。したがって、密漁船または密漁者が検知対象物とされることによって、本発明の実施形態は社会課題を解決しようとするものとなり、本発明の実施形態がより好適に実施され得る。
ここで、密漁とは、一般に、「法を破ってひそかに漁をすること。」(大辞林)と解されており、免許または許可を得ずに漁業すること、禁漁や禁止漁法を定めた各種法令に違反すること、漁業権を侵害すること、などと解される。例えば、水産業に関わる業務を取り扱う京都府農林水産部の出先機関である京都府水産事務所は、「密漁とは、漁業権対象の生物を勝手にとること。」(https://www.pref.kyoto.jp/suiji/documents/mitsuryou.pdf)と示す。
例えば、密漁の発見が困難であることは、以下のような理由による。すなわち、密漁は、夜間に暗い環境の中で行われることが多い。そのため、警備員の目視またはカメラによって密漁船および密漁者を発見するのは困難である。さらに、気象状況が悪い場合などには(例えば、降雪、台風、海霧、うねり、高波など)、視界不良になるため、警備員の目視またはカメラによって密漁船および密漁者を発見するのは昼間であっても困難である。また、海底に存在する海産資源(例えば、ナマコ、ウニ、サザエ、アワビ、牡蠣、真珠など)の密漁は、密漁者が潜水することによって行われることが多いため、警備員の目視またはカメラによって海底に存在する資源の密漁を監視するのは困難である。
かかる密漁の発見の困難性に鑑みれば、密漁船または密漁者が検知対象物とされる場合には、センサとして音響センサが用いられるのが望ましい。その理由としては、音響センサによるセンシングの精度は、環境の明るさ(時間帯)、および視界の良さ(気象状況)の影響をほとんど受けないことが挙げられる。また、音響センサが水中に位置していれば、音響センサは、海中に存在する資源を採ろうとする密漁者を容易に検知することができる。
以上、本発明の実施形態の概要について説明した。
[1.実施形態の詳細]
続いて、本発明の実施形態の詳細について説明する。
[1−1.水中音響センサの構成]
まず、本発明の実施形態に係る水中音響センサの構成例について説明する。図1は、水中音響センサの構成例を示す図である。図1を参照すると、本発明の実施形態に係る水中音響センサ11が示されている。例えば、水中音響センサ11は、水深が比較的浅い場所(例えば、水深の変化も1m以内に収まるような場所など)にて、密漁船または密漁者を検知するために用いられ得る。特に水深が深い場所においては、図1に示されるようなセンシング部140が1つの水中音響センサ11が用いられるとよい。
水中音響センサ11は、環境に対してセンシングを行うことによってセンサデータ(音響データ)を得る。また、水中音響センサ11は、自身の状態(例えば、正常、故障および状態不明など)を示す情報(センサ状態情報)を取得する。水中音響センサ11は、センサデータおよびセンサ状態情報を得ると、センシングデータおよびセンサ状態情報をサーバ20(図6)に送信する。サーバ20(図6)に送信されるセンシングデータおよびセンサ状態情報のデータ形式は限定されない。
ここで、「センシング」とは、音、振動(震動)、温度、湿度、傾きなどの推定量の検知(増減や発生の検知)、並びに、煙、化学物質、および静電気などの発生の検知(増減や推定量の検知)を表す語として用いる。また、「センシング」とは、検知に加え、検知内容を信号に変換する処理を表す語として用いる。また、「センシング」とは、検知に加え、検知内容を計測・判別することを表す語として用いる。
本発明の実施形態では、1つあたりのセンシング部140(音響センサ)が、複数のマイクロフォンを含む場合を想定する。これによって、複数のマイクロフォンそれぞれによる音の検出結果に基づいて、センシング部140(すなわち、水中音響センサ11)の設置位置を基準とした音源の方位が特定され得る。以下では、水中音響センサ11の構成例について説明する。
図1を参照すると、水中音響センサ11は、上から順に、アンテナ部110と、フロート130(浮力体)と、センシング部140(音響センサ)と、電子回路部150と、電源部160と、蓋170と、係留部180と、錘部190とを備える。
フロート130は、送信アンテナ111が海面よりも上方に位置する程度に水中にて浮力を受ける。また、フロート130が受ける浮力によって、海の深さに変化がなければ、センシング部140が海底からあらかじめ決められた高さに設置され得る。なお、フロート130は、複数の浮力体に分離可能であってもよい。これによって、分離後の複数の浮力体を別々に運送することが可能となるため、フロート130の運送に関する利便性が向上することが期待される。
センシング部140は、水中に位置しており、水中をセンシングする音響センサである。センシング部140は、かかるセンシングによって水中のセンサデータ(音響信号)を得る。なお、上記したように、本発明の実施形態では、1つあたりのセンシング部140(音響センサ)が、複数のマイクロフォンを含む場合を想定する。特に、1つあたりのセンシング部140が3つのマイクロフォンを含む場合を主に想定するが、1つあたりのセンシング部140に含まれるマイクロフォンの数は3つに限定されない。
電子回路部150は、センシング部140によって得られた水中のセンサデータ(音響信号)に対して所定の処理を行う。電子回路部150によって行われる所定の処理は、特に限定されない。例えば、電子回路部150は、所定の処理として、センシング部140によって得られた音響信号を、送信アンテナ111によって送信可能な形式に変換する処理(例えば、複数のマイクロフォンそれぞれによって得られた音響信号の多重化など)を行ってもよい。
アンテナ部110は、送信アンテナ111と、アンテナシャフト112と、サーチライト部121と、停泊灯部122と、太陽電池123とを備える。アンテナシャフト112は、フロート130から送信アンテナ111まで伸びるシャフトである。送信アンテナ111は、海面よりも上方に位置しており、センシング部140によって得られた音響信号に対して電子回路部150によって所定の処理が行われて得られた音響データを無線通信によってサーバ20(図6)に送信する。また、送信アンテナ111は、センサ状態情報を無線通信によってサーバ20(図6)に送信し得る。
アンテナ部110は、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品のうち、最上部に位置する部品(図1に示された例では、フロート130)に結合される。なお、後にも説明するように、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品のうち、最上部に位置する部品は、フロート130とは限らない。すなわち、アンテナ部110の直接の結合先は、フロート130とは限らない。サーチライト部121、停泊灯部122および太陽電池123は、アンテナシャフト112に設けられており、海面よりも上方に位置している。
サーチライト部121は、周囲に対して光を照射することによって周囲を明るくする。密漁は、暗い環境の中で行われやすいため、サーチライト部121によって周囲が明るくされることによって、密漁が抑制されることが期待される。ここで、サーチライト部121は、所定時刻に光を照射してもよいし、周期的に光を照射してもよいし、ランダム(無作為)に任意のタイミングで光を照射してもよいし、センシング部140がセンサデータ(音響信号)を得ると光を照射してもよいし、サーバ20(図6)からの指示に基づき光を照射してもよい。
停泊灯部122は、警告灯を点灯や点滅することで衝突防止注意喚起する。停泊灯部によって衝突防止注意喚起されることによって、水中音響センサ11に対する正規船や密漁船の衝突が抑制されることが期待される。なお、本発明の実施形態では、停泊灯部122は、太陽電池123から電力の供給を受ける場合を主に想定する。しかし、停泊灯部122は、電源部160などから電力の供給を受けてもよい。
電源部160は、アンテナ部110、センシング部140およびサーチライト部121に電力を供給する。例えば、電源部160は、タイマ機能によって操業時間中(例えば、漁が行われる9時00分00秒から15時00分00秒の間)は自動的に電力の提供を停止し、操業時間以外(例えば、漁が行われない15時00分01秒から8時59分59秒の間)は自動的に電力の提供を開始してもよい。これによって、正規の船および正規のダイバー(潜水士)などが検知対象物として誤検知されることが抑制され得る。
蓋170は、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品のうち、最下部に位置する部品(図1に示された例では、電源部160)に結合される。これによって、蓋170は、部品の内部に異物が入らないようにする機能を発揮することが可能となる。なお、後にも説明するように、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品のうち、最下部に位置する部品は、電源部160とは限らない。すなわち、蓋170の直接の結合先は、電源部160とは限らない。また、水中音響センサ11は、蓋170を備えていなくてもよい。
係留部180は、(錘部190を除く)水中音響センサ11を錘部190につなぎ留める。これによって、水中音響センサ11が海底まで沈み込む。錘部190は、海底に位置する程度の重さを有する物体であり、海底に沈み込み、係留部180を介し(錘部190を除く)水中音響センサ11を所定範囲内の位置に留めさせる程度の物体であればよい。
なお、後にも説明するように、水中音響センサ11が位置検出機能(例えば、GPS(Global Positioning System)による位置検出機能など)を有すれば、この位置検出機能によって得られた水中音響センサ11の位置が、水中音響センサ11からサーバ20(図6)に送信され得る。例えば、水中音響センサ11の位置は、所定の時間間隔で(例えば、1秒おきに)水中音響センサ11からサーバ20(図6)に送信されてもよい。また、水中音響センサ11の位置は、操業時間中であっても定期的に(例えば、1時間おきに)水中音響センサ11からサーバ20(図6)に送信されてもよい。このとき、GPSアンテナは、一例として送信アンテナ111の下部に設けられてもよいが、GPSアンテナが設けられる位置は限定されない。
ここで、フロート130、センシング部140および電子回路部150それぞれは、部品の例に該当する。すなわち、本発明の実施形態においては、アンテナ部110と蓋170との間に、複数の部品が存在する。そして、当該複数の部品には、フロート130、センシング部140、電子回路部150および電源部160が含まれ得る。
しかし、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品には、フロート130、センシング部140、電子回路部150および電源部160の全部が含まれていなくてもよい。例えば、当該複数の部品には、フロート130、センシング部140、電子回路部150および電源部160の一部のみが含まれていてもよい。例えば、電源部160は、電子回路部150の内部に組み込まれていてもよい。しかし、電源部160が他の部品と別に存在するほうが、バッテリ交換および充電が容易に行われ得る。また、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品には、フロート130、センシング部140、電子回路部150および電源部160以外の部品が含まれていてもよい。
なお、上記したように、水中音響センサ11は、蓋170を備えていなくてもよい。このとき、上記した複数の部品は、少なくともアンテナ部110と係留部180との間に存在し得る。また、図1には示されていないが、アンテナ部110から電源部160までは、電気が伝わるケーブルが伸びるため、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品(フロート130、センシング部140、電子回路部150および電源部160)それぞれには、ケーブルの通り道が確保されている。
本発明の実施形態では、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品(図1に示された例では、フロート130、センシング部140、電子回路部150および電源部160)が連結可能に構成されている。これによって、利用者の利便性をさらに向上させることが可能となる。例えば、複数の部品の間に(フロート130、センシング部140、電子回路部150および電源部160との間に)係留部が存在しないため、係留部が絡まってしまう可能性がなくなる。
さらに、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品(図1に示された例では、フロート130、センシング部140、電子回路部150および電源部160)が分離可能に構成されている。これによって、複数の部品(フロート130、センシング部140、電子回路部150および電源部160)を別々に運送することが可能となるため、水中音響センサ11の運送に関する利便性が向上することが期待される。
さらに、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品のうち、最上部に位置する部品(図1に示された例では、フロート130)とアンテナ部110との間も、分離可能に構成されている。これによって、(アンテナ部110は衝撃が加えられる可能性を低減する必要があるため、特定の運送手段で搬送する必要があるが)、水中音響センサ11のうちアンテナ部110以外の部品は、一般的な運送会社の運送手段で運送することが可能になるため、運送に掛かるコストが低減され得る。
なお、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品のうち、最下部に位置する部品(図1に示された例では、電源部160)と蓋170との間も分離可能に構成されている。これによって、水中音響センサ11の運送に関する利便性が向上することが期待される。
アンテナ部110は、結合部を有しており、蓋170も結合部を有している。さらに、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品(フロート130、センシング部140、電子回路部150および電源部160)それぞれも結合部を有しており、蓋170も結合部を有している。これによって、アンテナ部110と当該複数の部品の最上部の部品とは、結合部を介して結合され、当該複数の部品も結合部を介して連結され、当該複数の部品の最下部の部品と蓋170とも結合部を介して結合される。
図1には、アンテナ部110、蓋170、当該複数の部品それぞれが備える結合部がフランジ部によって構成される例が示されている。フランジ部は、各部品の本体からはみ出すように出っ張った部分である。これによって、各部品のフランジ部同士が所定の固定具によって固定されれば、部品同士を分離させて再結合させる場合に、部品間の相対的な軸周りの回転角度が変わってしまうことが防止され得る。部品間の相対的な軸周りの回転角度が変わらないことによって享受される効果については、後に説明する。
以下では、固定具として、ボルトとナットとの組み合わせが用いられる場合を主に想定する。しかし、固定具の種類は限定されない。例えば、固定具として、ナットなしのネジが用いられてもよい。
なお、図1に示されるように、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品(フロート130、センシング部140、電子回路部150および電源部160)それぞれは、複数の結合部(図1に示された例では、二つの結合部)を備えてよい。そして、当該複数の部品それぞれの複数の結合部は、結合先が変更可能に構成されてよい。これによって、当該複数の部品の連結順序を変更したり、当該複数の部品の間に新たな部品を追加したりすることが可能となるため、水中音響センサ11の構成を柔軟に変更することが可能となる。
図2を参照しながら、部品同士の結合の例について詳細に説明する。図2は、部品同士の結合の例を示す図である。図2には、結合される二つの部品の例として、フロート130とセンシング部140とが示されている。しかし、他の部品同士も、図2に示されたフロート130とセンシング部140との結合と同様に結合されてよい。
フロート130は、フロート本体131(部品本体)と、フロート130の上側の部品(図1に示された例では、アンテナ部110)と結合されるフランジ部132と、フロート130の下側の部品(センシング部140)と結合されるフランジ部133とを備える。フランジ部132は、孔134aおよび孔134bを備える。図2に示された例では、簡単のため、フランジ部132が二つの孔(孔134aおよび孔134b)を備えているが、フランジ部132が備える孔の数は限定されない。
同様に、図2に示された例では、簡単のため、フランジ部133が二つの孔(孔135aおよび孔135b)を備えているが、フランジ部133が備える孔の数は限定されない。また、フランジ部132には、oリング136が設けられており、フランジ部132は、oリング136を介して、フロート130の上側の部品(図1に示された例では、アンテナ部110)に結合される。なお、oリング136は、シール材の一例である。シール材は、その両側の部品の内部の密閉性を高めることによって、部品の内部に異物が入らないようにする機能を発揮する。すなわち、フランジ部132は、何らかのシール材を介してフロート130の上側の部品と結合されればよい。
センシング部140は、センシング部本体141(部品本体)と、センシング部140の上側の部材(フロート130)と結合されるフランジ部142と、センシング部140の下側の部品(図1に示された例では、電子回路部150)と結合されるフランジ部143とを備える。フランジ部142は、孔144aおよび孔144bを備える。図2に示された例では、簡単のため、フランジ部142が二つの孔(孔144aおよび孔144b)を備えているが、フランジ部142が備える孔の数は限定されない。
同様に、図2に示された例では、簡単のため、フランジ部143が二つの孔(孔145aおよび孔145b)を備えているが、フランジ部143が備える孔の数は限定されない。また、フランジ部142には、oリング146が設けられており、フランジ部142は、oリング146を介して、センシング部140の下側の部品(図1に示された例では、電子回路部150)に結合される。なお、oリング146は、シール材の一例である。すなわち、フランジ部142は、何らかのシール材を介してセンシング部140の下側の部品と結合されればよい。
図2に示された例では、oリング136が、上側のフランジ部132に備えられ、oリング146が、上側のフランジ部142に備えられている。しかし、oリング136は、下側のフランジ部133に備えられ、oリング146は、下側のフランジ部143に備えられていてもよい。図2には、フランジ部133とフランジ部142とを結合させるためのボルト51aおよびボルト51bと、ナット52aおよびナット52bとが代表して示されている。
図3は、結合される二つのフランジ部(フランジ部133およびフランジ部142)の周辺の拡大断面図である。より詳細に、図3には、図2に示されたB−B断面図が示されている。図3を参照すると、フロート130のフランジ部133と、センシング部140のフランジ部142とが示されている。フランジ部142の溝147a、147bには、oリング146が設けられている。ボルト51aは、孔135aおよび孔144aの内部を通ってナット52aに到達する。同様に、ボルト51bは、孔135bおよび孔144bの内部を通ってナット52bに到達する。
そして、oリング146がフランジ部133に押しつぶされるように、フランジ部133とフランジ部142とが接近された状態において、ボルト51aとナット52aとによる締め付けが行われる。これによって、フロート130およびセンシング部140の内部の密閉性が高められる。
図2に戻って説明を続ける。図2を参照すると、水中音響センサ11の軸Aが示されている。さらに、フロート本体131の半径R3、センシング部本体141の半径R4が示されている。
ここで、図2に示されるように、フロート本体131の半径R3とセンシング部本体141の半径R4とは同一の長さを有するのがよい。さらに言うと、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品(フロート130、センシング部140、電子回路部150および電源部160)それぞれの径(直径)は、同一の長さを有するのがよい。これによって、部品間の径の違いを吸収するための機構(変換フランジなど)が不要となるため、水中音響センサ11の構成を簡略化し、水中音響センサ11の組み立てを容易にすることが可能となる。
なお、センシング部140は、マイクロフォンM1〜M3を含んでいる。そして、マイクロフォンM1〜M3それぞれの軸Aを基準とした回転角度は、等間隔(マイクロフォンが3つの場合には120度おき)である。これによって、水中の音響信号を効率よく得ることが可能である。しかし、上記したように、センシング部140が備えるマイクロフォンの数は3つに限定されない。センシング部140が備えるマイクロフォンの数が3つでない場合であっても、各マイクロフォンそれぞれの軸Aを基準とした回転角度は、等間隔であるのが望ましい。
[1−2.部品の追加]
上記したように、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品(フロート130、センシング部140、電子回路部150および電源部160)それぞれが、二つのフランジ部を備える。これによって、当該複数の部品の連結順序を変更したり、当該複数の部品の間に新たな部品を追加したりすることが可能となる。以下では、新たな部品が追加される例(特に、新たなセンシング部140が追加される例)について具体的に説明する。
図4は、1つのセンシング部140が新たに追加された例を示す図である。図4を参照すると、図1に示された水中音響センサ11と比較して、図1に示された水中音響センサ11が既に備えているセンシング部140(図4では、センシング部140−1(第1の音響センサ))の他に、電源部160と蓋170との間に、新たなセンシング部140−2(第2の音響センサ)が追加されている。なお、新たなセンシング部140−2が追加される位置は、電源部160と蓋170との間に限定されない。例えば、センシング部140−1とセンシング部140−2とが隣り合ってもよい。
図5は、2つのセンシング部140が新たに追加された例を示す図である。図5を参照すると、図4に示された水中音響センサ12と比較して、アンテナ部110とフロート130との間に、新たなセンシング部140−3(第3の音響センサ)が追加された水中音響センサ13が示されている。なお、新たなセンシング部140−3が追加される位置は、アンテナ部110とフロート130との間に限定されない。例えば、センシング部140−1とセンシング部140−3とが隣り合ってもよい。
図4および図5に示されたように、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品に、複数のセンシング部140が含まれてもよい。これによって、複数のセンシング部140が上下方向(すなわち、水深方向)に配列されることによって、(上下方向の音の収集量が小さくなるため)水中音響センサが収集可能な音響信号の指向特性が改善され得る。例えば、図5に示された水中音響センサ13が用いられる場合には、図1に示された水中音響センサ11が用いられる場合と比較して、収集される環境雑音が6dB低減されるため、ダイバーの呼吸音および船のエンジン音の検知距離は、約2倍となる。
さらに、複数のセンシング部140の相対的な軸周りの回転角度が分離および再結合の度に変わってしまっては、ダイバーまたは船の検知方向の整合性が複数のセンシング部140の間で維持されなくなってしまう。そのため、複数のセンシング部140の相対的な軸周りの回転角度は、分離および再結合の度に変わらないのが望ましい(すなわち、アンテナ部110と蓋170との間に存在する複数の部品の相対的な軸周りの回転角度は、分離および再結合の度に変わらないのが望ましい)。回転角度を不変にするためには、各フランジ部に軸周りの回転角度を複数の部品間で合わせるための何らかの目印が付されていてもよい。
[2−1.システムの構成]
続いて、本発明の実施形態に係るシステムの構成例について説明する。なお、以下では、本発明の実施形態に係るシステムが密漁対策に用いられる場合を想定し、本発明の実施形態に係るシステムを特に「密漁対策IoT(Internet of Things)システム」とも称する。しかし、本発明の実施形態に係るシステムは、密漁対策以外に用いられてもよい(すなわち、本発明の実施形態に係るシステムは、IoTシステムに限定されない)。
本発明の実施形態では、水中音響センサ11によって得られたセンサデータ(音響データ)に基づいて検知対象物の検知がなされた場合に、検知に関する情報に対応する識別情報が、監視者の端末に送信される。そして、監視者によって識別情報が指定された場合に、検知に関する情報が監視者の端末に送信される。これによって、監視者は、自身の都合の良いタイミングで検知に関する情報を、端末を用いて確認することができるため、監視者の利便性が向上することが期待される。
なお、水中音響センサ11は、以下の説明において登場する「水中音響センサ10」(図6)の一例に該当する。
図6は、本発明の実施形態に係る密漁対策IoTシステムの構成例を示す図である。図6に示されるように、密漁対策IoTシステム1は、水中音響センサ10−1〜10−N(Nは、1以上の整数)、サーバ20、および、監視者端末30−1〜30−M(Mは、1以上の整数)を備える。なお、以下では、水中音響センサ10−1〜10−Nそれぞれを区別する必要がない場合に、水中音響センサ10−1〜10−Nそれぞれを「水中音響センサ10」とも称する。同様に、監視者端末30−1〜30−Mそれぞれを区別する必要がない場合に、監視者端末30−1〜30−Mそれぞれを「監視者端末30」とも称する。
本発明の実施形態では、監視者端末30−1〜30−Mそれぞれが、別々の監視者によって用いられる場合を主に想定する。しかし、複数の監視者端末30が1人の監視者によって用いられる場合があってもよいし、複数の監視者によって1つの監視者端末30が用いられる場合があってもよい。
本発明の実施形態では、水中音響センサ10が、LTE(Long Term Evolution)網などのモバイル網を介して、インターネット上に存在するサーバ20と通信を行う場合を想定する。しかし、水中音響センサ10は、他の通信手段によってサーバ20と通信が可能であってもよい。
一方、サーバ20は、サーバ機能を有するコンピュータによって実現され得る。
また、本発明の実施形態では、監視者端末30が、スマートフォンによって構成される場合を主に想定する。しかし、監視者端末30は、タブレット端末、携帯電話、ビジネスフォン(キーテレホン)(ボタン電話機)、PDA(Personal Digital Assistant)(Personal Data Assistant)、オーディオプレーヤ、プリンター、ファクシミリ、スキャナー、コピー機、デジタルカメラ、自動化機器(不特定多数の人から利用され物(モノ)を自動的に取り扱うATM(cash matine)(automated teller matine)(automatic teller matine)や自動販売機や自動券売機やキオスク端末など)または現金処理機(現金の出し入れを管理する端末)、ウェアラブルコンピュータ、カーナビゲーションなどといった他の機器によって実現されてもよい。そして、監視者端末30は、LTE網などのモバイル網を介する無線通信やLAN(Local Area Network)などの有線網を介する有線通信でサーバ20と通信を行ってもよい。
[サーバ20]
続いて、本発明の実施形態に係るサーバ20の機能構成例について説明する。図7は、本発明の実施形態に係るサーバ20の機能構成例を示す図である。図7に示されるように、本発明の実施形態に係るサーバ20は、制御部220と、記憶部230と、通信部240とを備える。制御部220は、対象物検知部221、検知通知部222と、要求取得部223と、データ取得部224と、データ提供部225とを備える。
[通信部240]
通信部240は、通信インタフェースによって構成され、水中音響センサ10と通信を行う。例えば、通信部240は、LTE網などのモバイル網を介して、水中音響センサ10と通信を行う。さらに、通信部240は、監視者端末30と通信を行う。例えば、通信部240は、LTE網などのモバイル網を介して、監視者端末30と通信を行う。あるいは、通信部240は、監視者端末30と有線によって通信を行ってもよい。
[記憶部230]
記憶部230は、制御部220を動作させるためのプログラムおよびデータを記憶することが可能な記憶装置である。また、記憶部230は、制御部220の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってよい。例えば、記憶部230は、各種データの例として、センサ情報231および通知先情報232を記憶し得る。以下、図8を参照しながら、センサ情報231について説明し、図9を参照しながら、通知先情報232について説明する。
[センサ情報231]
図8は、センサ情報231の例を示す図である。図8に示されるように、センサ情報231は、「センサID」と、「設置位置情報」と、「センサ状態情報」と、「センサデータ」と、「気象情報」と、「連絡先名」とが対応付けられて構成される。
「センサID」は、水中音響センサ10を一意に識別するための情報である。
「設置位置情報」は、水中音響センサ10が設置された位置を示す情報である。本発明の実施形態では、設置位置情報は、緯度経度によって表現される場合を主に想定する。しかし、設置位置情報の表現形式は限定されない。例えば、設置位置情報は、極座標形式によって表現されてもよい。例えば、設置位置情報は、人手によって入力されてもよいが、水中音響センサ10が自身の位置を検出する位置検出機能を有すれば、設置位置情報は、水中音響センサ10によって検出された設置位置に基づいて設定されてもよい。また、上記したように、水中音響センサ10の位置が所定の時間間隔で水中音響センサ10からサーバ20に送信される場合、サーバ20は、水中音響センサ10から受信される水中音響センサ10の位置に基づいて、所定の時間間隔で設置位置情報を更新してもよい。
「センサ状態情報」および「センサデータ」は、水中音響センサ10から受信された場合に、センサ情報231に登録される。水中音響センサ10から受信された「センサ状態情報」および「センサデータ」に「センサID」が付されていれば、水中音響センサ10から受信された「センサID」と同一の「センサID」に対応付けられた「センサ状態情報」および「センサデータ」がセンサ情報231に登録される。
「気象情報」は、水中音響センサ10の設置位置に応じた気象に関する情報である。気象情報はどのようにして取得されてもよい。例えば、水中音響センサ10の設置位置に応じた気象情報が所定のWebページから定期的に取得され、センサ情報231に登録されてもよい。水中音響センサ10の設置位置に応じた気象は、水中音響センサ10の設置位置そのものの気象であってもよいし、水中音響センサ10の設置位置から離れた場所(例えば、水中音響センサ10が設置された海域の管轄エリアなど)の気象であってもよい。なお、本発明の実施形態では、気象情報が、天候(例えば、風の強さ、天気など)、気温、湿度、降水量および風速などを含む場合を想定する。天気としては、晴れ、曇り、降雨および降雪、台風の接近などが想定される。例えば、天気が台風接近を示しているにも関わらず、密漁者または密漁船の検知が通知された場合などには、(台風接近中に密漁をするのは困難であると考えられることから)密漁者または密漁船の検知の通知が誤報であると判断され得る。しかし、気象情報が具体的にどのような情報を含むかは、特に限定されない。
「連絡先名」は、水中音響センサ10に対応する連絡先(連絡を受けるべき監視者)の名称に該当する。例えば、監視者が自身の監視したいエリア(区域)に設置されている水中音響センサ10を、監視者端末30を用いてあらかじめ選択すればよい。これによって、その監視者の名称が「連絡先名」として、監視者によって選択された水中音響センサ10の「センサID」に対応付けられる。
なお、図8に示された例において、センサ1とセンサ2とは、同じエリアに設置されており、センサ3は、センサ1およびセンサ2の設置されているエリアとは別のエリアに設置されている場合を想定する。このとき、「Aさん」と「Bさん」は、特定のエリアだけを監視しようとする者(例えば、特定の漁業協同組合など)に該当する。「Cさん」は、複数のエリアを監視しようとする者(例えば、全国漁業組合連合会など)に該当する。
[通知先情報232]
図9は、通知先情報232の例を示す図である。図9に示されるように、通知先情報232は、「連絡先名」と、「通知先アドレス」と、「連絡先電話番号」とが対応付けられて構成される。例えば、通知先情報232は、監視者端末30を用いて監視者によってあらかじめ設定されればよい。
「連絡先名」は、センサ情報231の「連絡先名」と同様に、水中音響センサ10に対応する連絡先(連絡を受けるべき監視者)の名称に該当する。
「通知先アドレス」は、水中音響センサ10によって検知対象物が検知された場合に、検知の通知先を示すアドレスである。本発明の実施形態では、検知の通知手段が電子メール(検知メール)である場合を想定する。すなわち、「通知先アドレス」として、電子メールのアドレスが用いられる場合を主に想定する。しかし、「通知先アドレス」は、電子メールのアドレスに限定されない。
例えば、後に説明するように、検知の通知には文字列が含まれる必要があるため、検知の通知手段は、文字列を送ることが可能な手段であればよい。例えば、検知の通知手段は、文字列を送信可能な所定のアプリケーションであってもよい。例えば、検知の通知手段がSNS(Social Networking Service)アプリケーションであれば、通知先アドレスはSNSのアカウントであってよい。あるいは、例えば、検知の通知手段がショートメールであれば、通知先アドレスは電話番号であってよい。
「連絡先電話番号」は、水中音響センサ10に対応する連絡先(連絡を受けるべき監視者)の電話番号に該当する。
[制御部220]
制御部220は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置を含み、ROM(Read Only Memory)により記憶されているプログラムが演算装置によりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、これらのブロックは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。演算装置による演算に必要なデータは、記憶部230によって適宜記憶される。
なお、対象物検知部221、検知通知部222と、要求取得部223と、データ取得部224と、データ提供部225については、後に詳細に説明する。
[監視者端末30]
図1に戻って説明を続ける。続いて、本発明の実施形態に係る監視者端末30の機能構成例について説明する。図10は、本発明の実施形態に係る監視者端末30の機能構成例を示す図である。図10に示されるように、本発明の実施形態に係る監視者端末30は、入力部310と、制御部320と、記憶部330と、通信部340と、表示部350とを備える。
[入力部310]
入力部310は、監視者による操作を受け付ける。本発明の実施形態では、入力部310がタッチパネルである場合を主に想定する。しかし、入力部310の種類は限定されない。例えば、入力部310は、キーボードを含んでもよいし、マウスを含んでもよいし、電子ペンを含んでもよいし、他の入力装置を含んでもよい。
[制御部320]
制御部320は、CPUなどを含み、記憶部330により記憶されているプログラムがCPUによりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、制御部320は、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。演算装置による演算に必要なデータは、記憶部330によって適宜記憶される。
[記憶部330]
記憶部330は、制御部320を動作させるためのプログラムおよびデータを記憶することが可能な記憶装置である。また、記憶部330は、制御部320の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってよい。
[通信部340]
通信部340は、通信インタフェースによって構成され、サーバ20と通信を行う。通信部340は、LTE網などのモバイル網を介して、サーバ20と通信を行う。あるいは、通信部340は、サーバ20と有線によって通信を行ってもよい。
[表示部350]
表示部350は、制御部320による制御に従って表示を行う機能を有する。ここで、表示部350の形態は特に限定されない。例えば、表示部350は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置であってもよいし、液晶ディスプレイ(LCD)装置であってもよいし、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置であってもよいし、ランプなどの表示装置であってもよい。
[対象物検知部221]
図7に戻って説明を続ける。対象物検知部221は、水中音響センサ10によって得られたセンサデータ(音響データ)に基づいて検知対象物を検知する。上記したように、検体対象物は特に限定されないが、本発明の実施形態では、対象物検知部221が、検知対象物として、密漁船および密漁者の少なくともいずれか一方を検知する場合を想定する。
ここで、検知対象物はどのようにして検知されてもよい。例えば、検知対象物が発する音には、検知対象物ごとに音の特徴があることが想定される。例えば、音の特徴は音の周波数である場合が想定される。したがって、対象物検知部221は、所定の周波数を有した音を検出した場合に、当該音を検知対象物が発する音として検知してもよい。
例えば、船が発するエンジン回転による機械音、および、船が発するスクリュー回転による水切り音は、ある周波数(第1の周波数)よりも低い周波数を有し、所定の時間継続して発せられることが知られている。そこで、対象物検知部221は、第1の周波数よりも低い周波数を有した音を所定の時間よりも長時間継続して検出した場合に、当該音を密漁船が発する音として検知してもよい。
例えば、水中音響センサ10のセンシング部(例えば、図1に示されたセンシング部140)が、第1の周波数よりも低い周波数を有する音を検出可能な音響センサ(以下、「低周波用の音響センサ」とも言う。)を含んでいれば、低周波用の音響センサによって、第1の周波数よりも低い周波数を有する音がセンシングされ得る。
一方、ダイバーがボンベから空気を吸引する際に空気がレギュレータ(調整噐・調節器)を通過する音は、ある周波数(第2の周波数)よりも高い周波数を有することが知られている。そこで、対象物検知部221は、第2の周波数よりも高い周波数を有した音を検出した場合に、当該音を密漁者が発する音として検知してもよい。
例えば、水中音響センサ10のセンシング部(例えば、図1に示されたセンシング部140)が、第2の周波数よりも高い周波数を有する音を検出可能な音響センサ(以下、「高周波用の音響センサ」とも言う。)を含んでいれば、高周波用の音響センサによって、第2の周波数よりも高い周波数を有する音がセンシングされ得る。
なお、空気がレギュレータを通過する音と類似の水中音が単発的に存在する場合があり得る。かかる場合には、類似の水中音のセンシングに基づいて、密漁者が検知されたと誤検知されてしまう可能性がある。そこで、対象物検知部221は、第2の周波数よりも高い周波数を、指定時間内に複数回検出した場合に、当該音を密漁者が発する音として検知してもよい。
ここで、第1の周波数および第2の周波数は、おおよそ振動数20〜20kHz(可聴域)に含まれるものであってもよい。この場合、第1の周波数および第2の周波数は、可聴音(おおよそ振動数20〜20kHzの音波)となる。具体的には、例えば、第1の周波数は2kHzであってもよい。この場合、水中音響センサ10により例えば1kHz(第1の周波数よりも低い周波数)の音がセンシングされると、対象物検知部221が、密漁船が発する音として検知するようにしてもよい。具体的には、例えば、第2の周波数は9kHzであってもよい。この場合、水中音響センサ10により例えば10kHz(第2の周波数よりも高い周波数)の音がセンシングされると、対象物検知部221が、密漁者が発する音として検知するようにしてもよい。
なお、対象物検知部221は、上記のように、第1の周波数よりも低い周波数を有した音を所定の時間よりも長時間継続して検出した場合に当該音を密漁船が発する音として検知したり、第2の周波数よりも高い周波数を有した音を検出した場合に当該音を密漁者が発する音として検知したりする態様とは別に、所定の周波数または所定の周波数±100Hzの周波数を有した音を検出した場合に検知するようにしてもよい。例えば、対象物検知部221は、水中音響センサ10により1kHzまたは1kHz±100Hzの音がセンシングされると、密漁船が発する音として検知するようにしてもよい。例えば、対象物検知部221は、水中音響センサ10により10kHzまたは10kHz±100Hzの音がセンシングされると、密漁者が発する音として検知するようにしてもよい。
さらに、上記したように、対象物検知部221は、センサデータに基づいて水中音響センサ10の設置位置を基準とした音源(すなわち、検知対象物)の方位を特定し得る。対象物検知部221は、水中音響センサ10の設置位置を基準とした検知対象物の方位と、検知対象物の種別(すなわち、密漁船であるか密漁者であるか)と、検知対象物が検知された水中音響センサ10のセンサIDとを、検知通知部222に出力する。
なお、複数の水中音響センサ10によって同時に同一の検知対象物が検知される場合も想定される。かかる場合には、対象物検知部221は、複数の水中音響センサ10の設置位置それぞれを基準とした検知対象物の方位を特定し得る。このとき、対象物検知部221は、複数の水中音響センサ10の設置位置それぞれを基準とした検知対象物の方位と、複数の水中音響センサ10の設置位置とに基づいて、検知対象物の位置(緯度経度)を特定し得る。かかる場合には、対象物検知部221は、検知対象物の位置と、検知対象物の種別と、検知対象物が検知された複数の水中音響センサ10それぞれのセンサIDとを、検知通知部222に出力すればよい。
本発明の実施形態では、対象物検知部221がサーバ20に存在する場合を主に想定する。しかし、対象物検知部221は、水中音響センサ10とサーバ20との間に図示しない分析装置が存在する場合、当該分析装置に組み込まれていてもよい。かかる場合には、分析装置は、水中音響センサ10によって得られたセンサデータを受信する。そして、分析装置は、取得したセンサデータに基づいて検知対象物を検知した場合、水中音響センサ10の設置位置を基準とした検知対象物の方位と、検知対象物の種別と、検知対象物が検知された水中音響センサ10のセンサIDとを、サーバ20に送信すればよい。
[検知通知部222]
検知通知部222は、対象物検知部221によって検知対象物の検知がなされた場合に、検知に関する情報そのものに先んじて、検知に関する情報に対応する識別情報および検知対象物の種別が、水中音響センサ10にあらかじめ対応付けられた監視者端末30(より詳細には、センサ情報231において、水中音響センサ10の「センサID」に対応付けられた「通知先アドレス」が示す監視者端末30)に送信されるように通信部240を制御する。これによって、監視者端末30に検知対象物の検知が通知される。
以下では、識別情報が、検知に関する情報の所在を示すURL(Uniform Resource Locator)である場合を想定する。検知に関する情報の所在を示すURLは、インターネットに係る技術の標準を定める団体であるIETF(Internet Engineering Task Force)が発行する文書RFC(Request For Comment)(例えばRFC2396やRFC3986など)に基づき形成されてもよい。例えば、RFC3986は、一般的なURI(Uniform Resource Identifier)構文としてscheme、authority、path、queryおよびfragmentと呼ばれる構成要素の階層的なシーケンスから成ると示し、「URI=scheme”:”hier−part[”?”query][”#”fragment]」と示す。検知に関する情報の所在を示すURLは、例えば「https://sensor.server.jp/poaching/999」となる。検知に関する情報の所在を示すURL「https://sensor.server.jp/poaching/999」は、スキーム(scheme)を表す識別情報(スキーム名)「https」、HTTP(HyperText Transfer Protocol)サーバ(サーバ20)アドレスを表す識別情報(ホスト名)「sensor.server.jp」およびパスを表す識別情報「/poaching/999」(「999」は検知に関する情報を提供するプログラムやWebページを表す識別情報)により構成されている。しかし、識別情報は、検知に関する情報を識別可能な情報であれば、URLに限定されない。例えば、識別情報は、検知に関する情報の所在を示すURLに対応する文字や画像などであってもよい。この場合、検知に関する情報の所在を示すURLに対応する文字や画像などは、検知に関する情報の所在を示すURLと異なる文字や画像などであってもよい。
上記したように、検知の通知手段は限定されないが、検知メール(電子メール)によって検知が通知される場合、検知通知部222は、検知に関する情報の所在を示すURLの文字列を本文に含む検知メールが監視者端末30に送信されるように制御すればよい。また、検知メール(HTML電子メール)によって検知が通知される場合、検知通知部222は、検知に関する情報の所在を示すURLに対応する文字や画像などを本文に含む検知メールが監視者端末30に送信されるように制御すればよい。なお、検知に関する情報の具体的な例については、後に説明する。
[検知メール]
検知メールは、送信者、件名、(検知メールの)送信日時、(検知メールの)宛先、および、本文を含んでいる。本文には、検知対象物の種別の例として「密漁船」および「密漁者」が記述されている。また、検知に関する情報の所在を示すURLが記述されている。監視者端末30において、制御部320は、通信部340によって検知メールが受信されると、表示部350によって検知メールが表示されるように表示部350を制御する。なお、監視者端末30(制御部320)は、検知メールを受信すると、自動的に検知メールを表示するよう制御するものであってもよいし、監視者の操作に応じて検知メールを表示するよう制御するものであってもよい。
監視者は、検知に関する情報を確認したいと考えたタイミングで、URLの選択操作を入力部310に対して行う。例えば、入力部310がタッチパネルを含む場合には、選択操作は、タッチパネルへのタップ操作であってよい。あるいは、入力部310がマウスを含む場合には、選択操作は、マウスを用いたクリック操作であってよい。その他、選択操作は、入力部310の種類に応じて適宜に変更されてよい。なお、検知に関する情報の所在を示すURLが検知に関する情報の所在を示すURLに対応する文字や画像などであると、監視者は、検知に関する情報を確認したいと考えたタイミングで、検知に関する情報の所在を示すURLに対応する文字や画像などの選択操作を入力部310に対して行う。
入力部310によってURLの選択操作(URLに対応する文字や画像などの選択操作)が受け付けられると、制御部320は、URL(URLに対応する文字や画像など)に対応するデータ送信要求がサーバ20に送信されるように通信部340を制御する。
なお、監視者が選択操作を行ってから所定の時間以内に監視者端末30にて何らかの連絡機能(例えば、電話機能、メール機能など)によって他人に連絡を行った場合、監視者から連絡を受けた当該他人の名称(連絡先名)や当該他人の連絡先の情報(通知先アドレスおよびまたは連絡先電話番号)が監視者端末30からサーバ20に通知されてもよい。このとき、サーバ20は、監視者端末30から通知された当該他人の名称を「連絡先名」としてセンサ情報231(図8)に新たに登録し、監視者端末30から通知された当該他人の名称と当該他人の連絡先の情報とを「連絡先名」「通知先アドレス(およびまたは連絡先電話番号)」として通知先情報232(図9)に新たに登録してもよい。そして、サーバ20は監視者に加え、新たに登録された当該他人の連絡先の情報に基づき、当該他人に検知メールを送信してもよい。サーバ20は、通知先情報232(図9)に新たに登録することで、監視者端末30に送付済みの検知メールを当該他人の通知先アドレスに再送することができるようになり、監視者端末30に検知メール検知メールを新たに送付する際に当該他人の通知先アドレスを含めることができるようになる。
[要求取得部223]
図7に戻って説明を続ける。サーバ20において、通信部240によって、監視者端末30からURLに対応するデータ送信要求が受信されると、要求取得部223は、通信部240からURLに対応するデータ取得要求を取得する。
[データ取得部224]
データ取得部224は、要求取得部223によってURLに対応するデータ送信要求が取得された場合、URLに対応する検知に関する情報を取得する。本発明の実施形態では、検知に関する情報が、検知対象物が検知された水中音響センサ10の設置位置に応じた地図を含む場合を想定する。
なお、本発明の実施形態では、データ取得部224が、所定の地図提供API(Application Programming Interface)から地図を取得する場合を主に想定する。かかる場合には、データ取得部224は、取得したい地図の基準点と、基準点を中心とした地図の範囲(例えば、ズーム)とを地図提供APIに通知すれば、その基準点を中心とした範囲の地図を地図提供APIから得ることができる。
したがって、地図提供APIは、地図情報を管理すると共に提供する地図提供プログラムとデータ取得部224とが互いにやりとりするためのインタフェースの仕様であって、地図情報を提供する地図提供プログラムとデータ取得部224との間に介在するプログラムである。地図提供APIは、地図提供プログラム内に内在するものであってもよいし、地図提供プログラムとは別のプログラムとして存在するものであってもよい。
また、地図提供プログラムと地図提供APIとは、サーバ20に配されてもよいし、サーバ20以外の外部のサーバに配されてもよい。地図提供プログラムおよび地図提供APIがサーバ20に配される場合、記憶部230に地図情報が記憶されており、データ取得部224は地図提供APIを介して記憶部230から地図が取得できる。地図提供プログラムおよび地図提供APIがサーバ20以外の外部のサーバに配される場合、外部のサーバに地図情報が記憶されており、データ取得部224はネットワークと地図提供APIとを介して外部のサーバから地図が取得できる。
例えば、地図提供プログラムおよび地図提供APIがサーバ20以外の外部のHTTPサーバに配されており、データ取得部224が、所定の地図提供APIから地図を取得する場合、HTTPを利用することができる。この場合、外部のHTTPサーバは地図情報を管理すると共にHTTPの通信プロトコルに基づいてネットワーク越しで地図を提供する地図提供サーバであるから、地図提供APIを地図提供WebAPI(地図提供Webサービス)と換言してもよい。
ここで、基準点は、監視者端末30にあらかじめ対応付けられた水中音響センサ10の設置位置であってもよい。このとき、地図の範囲は、監視者端末30にあらかじめ対応付けられた水中音響センサ10の検知可能範囲が収まるように決められるのが望ましい。
あるいは、監視者端末30にあらかじめ対応付けられた水中音響センサ10が複数存在する場合、基準点は、複数の水中音響センサ10の設置位置に応じた位置(例えば、重心位置など)であってもよい。このとき、地図の範囲は、監視者端末30にあらかじめ対応付けられた複数の水中音響センサ10すべての検知可能範囲が収まるように決められるのが望ましい。
あるいは、基準点は、監視者端末30にあらかじめ対応付けられた1または複数の水中音響センサ10のうち、検知対象物が検知された水中音響センサ10の設置位置であってもよい。このとき、地図の範囲は、検知対象物が検知された水中音響センサ10の検知可能範囲が収まるように決められるのが望ましい。
さらに、本発明の実施形態では、検知に関する情報が、地図以外の付加情報を含む場合を想定する。しかし、検知に関する情報は、地図および付加情報の少なくともいずれか一方を含んでいればよい。
本発明の実施形態では、付加情報が、検知対象物が検知された水中音響センサ10にあらかじめ対応付けられた連絡先名および連絡先電話番号(図9)を含む場合を想定する。なお、連絡先名および連絡先電話番号は、通知先に関する情報の例であるため、通知先名および連絡先電話番号の代わりに、他の通知先に関する情報(例えば、通知先アドレスなど)が付加情報に含まれてもよい。
さらに、本発明の実施形態では、付加情報が、検知対象物が検知された水中音響センサ10のセンサ状態情報(図8)を含む場合を想定する。また、本発明の実施形態では、付加情報が、検知対象物が検知された水中音響センサ10の設置位置に応じた気象情報を含む場合を想定する。
さらに、本発明の実施形態では、付加情報が、監視者端末30への検知メール送信日時(検知メール送信日付および検知メール送信時刻)を含む場合を想定する。しかし、付加情報は、監視者端末30への検知メール送信日時の代わりに、または、監視者端末30への検知メール送信日時に追加して、検知対象物の検知日時(検知対象物の検知日付および検知対象物の検知時刻)を含んでもよい。
[データ提供部225]
データ提供部225は、検知に関する情報が監視者端末30に送信されるように通信部240を制御する。例えば、データ提供部225は、HTTPのGETリクエストに対する応答として、検知に関する情報を含むHTTPレスポンスが監視者端末30に返信されるように通信部240を制御する。
[検知画面]
監視者端末30においては、通信部340によって検知に関する情報が受信されると、制御部320によって検知に関する情報が取得される。制御部320は、検知に関する情報に基づいて、検知画面が表示部350によって表示されるように表示部350を制御する。監視者は、表示部350によって表示された検知画面を見ることによって、検知に関する情報を把握することができる。
[2−2.システムの動作]
続いて、本発明の実施形態に係る密漁対策IoTシステムの動作例について説明する。図11は、本発明の実施形態に係る密漁対策IoTシステムの動作例を示すフローチャートである。まず、図11に示されたように、水中音響センサ10は、水中に対してセンシングを行うことによってセンサデータを得る。水中音響センサ10は、センサデータをサーバ20に送信する(S11)。
サーバ20においては、通信部240によってセンサデータが受信される(S21)。対象物検知部221は、センサデータに基づいて検知対象物の検知を試みる。対象物検知部221によって、検知対象物が検知されない場合には(S22において「NO」)、S11に動作が移行される。一方、検知通知部222は、対象物検知部221によって、検知対象物が検知された場合(S22において「YES」)、地図表示用のURLを取得し(S23)、URLを含んだ検知メールが監視者端末30に送信されるように通信部240を制御する(S24)。
監視者端末30においては、通信部340によって検知メールが受信されると(S31)、表示部350によって検知メールが表示される。監視者によって、検知メールに含まれたURLに対するクリック操作が入力部310に入力されない場合(S32において「NO」)、S11に動作が移行される。一方、監視者によって、検知メールに含まれたURLに対するクリック操作が入力部310に入力された場合(S32において「YES」)、制御部320は、データ送信要求の例として地図表示要求がサーバ20に送信されるように通信部340を制御する(S33)。
サーバ20においては、通信部240によって地図表示要求が受信されると(S25)、要求取得部223は、地図表示要求を取得する。データ取得部224は、URLに対応する地図(および付加情報)を取得すると、取得した地図(および付加情報)が監視者端末30に送信されるように通信部240を制御する(S26)。監視者端末30においては、通信部340によって地図(および付加情報)が受信されると(S34)、表示部350によって地図(および付加情報)が表示される(S35)。S34およびS35は、所定時間ごとに繰り返し実行されてよい。これによって、表示部350によって表示される地図(および付加情報)が所定時間ごとに更新される。
以上、本発明の実施形態に係る密漁対策IoTシステムの動作例について説明した。
[3.ハードウェア構成例]
続いて、本発明の実施形態に係るサーバ20のハードウェア構成例について説明する。ただし、本発明の実施形態に係る監視者端末30のハードウェア構成例も同様に実現され得る。
以下では、本発明の実施形態に係るサーバ20のハードウェア構成例として、情報処理装置900のハードウェア構成例について説明する。なお、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成例は、サーバ20のハードウェア構成の一例に過ぎない。したがって、サーバ20のハードウェア構成は、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成から不要な構成が削除されてもよいし、新たな構成が追加されてもよい。
図12は、本発明の実施形態に係るサーバ20の例としての情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904と、ブリッジ905と、外部バス906と、インタフェース907と、入力装置908と、出力装置909と、ストレージ装置910と、通信装置911と、を備える。
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータなどを記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータなどを一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス904により相互に接続されている。
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理装置900を操作するユーザは、この入力装置908を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置909は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、ランプなどの表示装置およびスピーカなどの音声出力装置を含む。
ストレージ装置910は、データ格納用の装置である。ストレージ装置910は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置910は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置910は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
通信装置911は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイスなどで構成された通信インタフェースである。また、通信装置911は、無線通信または有線通信のどちらに対応してもよい。
以上、本発明の実施形態に係るサーバ20のハードウェア構成例について説明した。
[4.まとめ]
以上に説明したように、本発明の実施形態によれば、水中の音響信号を得る音響センサと、前記水中にて浮力を受ける浮力体と、前記音響信号に対して所定の処理を行う電子回路部と、を含んだ複数の部品を備え、前記複数の部品は、連結可能に構成されている、センサ構造が提供される。かかる構成によれば、利用者の利便性をさらに向上させることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記では、「法を破ってひそかに漁をすること」を意味する文言として「密漁」との文言を用いた。ここで、「密漁」との文言は、魚介類を採取することのみを意味する文言として狭く解されるべきではなく、魚介類以外の生物をも意味する文言として広く解されるべきである。例えば、「密漁」は、水中で生活する哺乳類(例えば、イルカ、あざらしなど)を採取することをも含み得る。すなわち、水中で生活する哺乳類を採取することを意味する文言として「密猟」との文言が一般に用いられることがあるが、本発明の実施形態にて用いられた「密漁」は、水中で生活する哺乳類を採取することを意味する「密猟」を除外するものではない。
[5.他の実施形態]
本発明の実施形態は、密輸、密航、不法投棄(例えば、油および廃棄などの投棄)、海底資源不法取得(例えば、原油、天然ガスおよびメタンハイドレードなどの不法取得)、海賊の検知にも適用し得る。
[5.1.テロ行為防止対策に適用した形態]
例えば、本発明の実施形態をテロ行為防止対策(例えば、沿岸重要施設(原子力発電所など)へのテロ行為防止対策)に適用する場合、本発明の実施形態に係るシステムは「テロ行為防止対策IoTシステム」となる。この場合、検知対象物が不審船または不審ダイバーであるか否かが判定され得る。
[5.2.他のセンサを適用した形態]
本発明の実施形態は、サーバ20が水中音響センサ10のセンシング結果に基づき密漁を検知するものであった。ここで、本発明の実施形態は、サーバ20が水中音響センサ10と異なるセンサのセンシング結果に基づき密漁を検知するものであってもよい。つまり、音以外の情報に基づいて検知対象物が検知されてもよい。この場合、センサとして水中音響センサ10が用いられる場合と同様に、センサデータから検知対象物の特徴が検出されることによって、検知対象物が検知され得る。例えば、サーバ20が、アクティブソーナーなどのセンシング結果に基づき密漁を検知してもよい。
[5.2.1.アクティブソーナーを適用した形態]
サーバ20が、アクティブソーナーのセンシング結果に基づき密漁を検知する場合、密漁対策IoTシステム1はアクティブソーナー(図示省略)を含み、アクティブソーナーの検出結果に基づき密漁を検知する。この場合、アクティブソーナーは、水中に音波を放射する音波送信部と、複数のマイクロフォンで検知対象物からの反射音を受信する音波反射波受信部を有し、かかるセンシングによって得るセンサデータ(音響データ、音波送信時間、音波反射波受信時間)とセンサ状態情報とを無線通信によってサーバ20に送信する。サーバ20は、受信した放射音と反射音との時間差や音響データから得られる反射音の検出方位から、検知対象物の位置や距離を検出する。そして、サーバ20は、検出結果を用いて上記の本実施形態同様に検知対象物を検知する。なお、水中に音波を放射して検知対象物からの反射音を捉えるアクティブソーナーに対し、上記の本実施形態は水中(水面含む)に存在する検知対象物(例えば船やダイバーなど)が発生する音波を捉えるパッシブソーナーである。