JP2021172188A - 車両内装部材 - Google Patents

Abstract

【課題】触感の低下を抑制しつつ表皮を昇温させる。【解決手段】乗員の肘が乗せられるアームレスト１１は、車両のセンターコンソール１０の一部として設けられる。アームレスト１１は、基材１２と、基材１２上に積層され、かつ発泡体からなるクッション層１３と、クッション層１３上に積層されたヒータ層１６と、ヒータ層１６上に積層された表皮２７とを備える。クッション層１３は、基材１２上に積層された第１クッション層１４と、第１クッション層１４及びヒータ層１６の間に配置され、かつ同第１クッション層１４よりも低い密度を有する第２クッション層１５とを備える。ヒータ層１６は、複数の経糸及び複数の緯糸が用いられて織られた織布部を備える。織布部では、一部の緯糸が、通電されると発熱する導電糸により構成されている。【選択図】図３

Description

本発明は、アームレスト、パームレスト等の車両内装部材に関する。

車室内の車両用シートの周辺には、乗員が肘を乗せることで、肩が腕を支える負担を軽減するアームレスト、乗員が手首を乗せることで、腕が手を支える負担を軽減するパームレスト等といった車両内装部材が設けられている。車両内装部材は、基材と、基材上に積層され、かつ発泡体からなるクッション層と、クッション層上に積層された表皮とを備えている。

上記車両内装部材の一形態として、寒いときに表皮を昇温させるヒータ層をクッション層と表皮との間に配置したものが従来から考えられている。ヒータ層としては、通電により発熱する電熱線を不織布等の布帛に貼付けて配線したもの（例えば、特許文献１参照）が使用される。この車両内装部材によれば、寒いときに、電熱線を通電により発熱させ、表皮を昇温させることで、車両内装部材の上に肘を乗せたり、手首を乗せたりしても、冷たいと不快に感じないようにすることができる。

特開２０１１−１６０９０７号公報

ところが、上記従来の車両内装部材では、ヒータ層における電熱線が触感を低下させるおそれがある。すなわち、車両内装部材に肘、手首等を乗せて荷重をかけたときに、クッション層による柔らかい触感が、電熱線によって損なわれ、クッション層よりも硬いゴワゴワした電熱線の触感が、違和感として表皮を介して感じられてしまう。

なお、ヒータ層と表皮との間に新たにクッション層を設けることで、上記触感の低下を抑制することが可能である。しかし、表皮とヒータ層との間にクッション層が介在する分、電熱線で発生した熱が表皮に伝わりにくくなるといった新たな問題が生ずる。

本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、触感の低下を抑制しつつ表皮を昇温させることのできる車両内装部材を提供することにある。

上記課題を解決する車両内装部材は、基材と、前記基材上に積層され、かつ発泡体からなるクッション層と、前記クッション層上に積層されたヒータ層と、前記ヒータ層上に積層された表皮とを備える車両内装部材であり、前記ヒータ層は、複数の経糸及び複数の緯糸が構成糸として用いられて織られた織布部を備え、前記織布部における少なくとも一部の構成糸が、通電されると発熱する導電糸により構成されている。

ここで、不織布等の布帛上に電熱線を貼付けて配線した従来のヒータ層では、電熱線が布帛から厚み方向に突出する。また、布帛の外部に配置される電熱線の耐久性等を考慮すると、同電熱線として径の大きなものが用いられることになる。従って、上記ヒータ層が組込まれた従来の車両内装部材に肘、手首等を乗せて荷重をかけると、電熱線によるゴワゴワした触感が表皮を介して感じられる。

この点、上記の構成によれば、ヒータ層の一部が織布部によって構成されていて、その織布部は、複数の経糸及び複数の緯糸を構成糸として用いて織ることによって構成されている。この織布部における少なくとも一部の構成糸が、通電されると発熱する導電糸により構成されている。従って、導電糸は織布部から厚み方向に突出しない。また、導電糸は構成糸として織布部に織り込まれているため、外部に配線される場合よりも耐久性が高い。従って、導電糸としては、従来の電熱線よりも細いものを用いることが可能となる。その結果、上記構成のヒータ層が組込まれた車両内装部材に肘、手首等を乗せて荷重をかけても、導電糸によるゴワゴワした触感が表皮を介して感じられにくく、触感が向上する。触感向上のために、ヒータ層と表皮との間に新たにクッション層を設けなくてもすむ。

通電により導電糸で発生した熱は表皮に伝わり、同表皮が昇温される。そのため、乗員が肘や手首を表皮に乗せると、表皮の熱が直接又は間接に肘や手首に伝わり、表皮が暖かく感じられる。

ここで、導電糸の熱は表皮に直接伝わる。そのため、導電糸の熱は、ヒータ層と表皮との間に新たにクッション層が配置される場合よりも表皮に伝わりやすく、表皮の昇温性能が向上する。

なお、ヒータ層としては、前記構成糸のうち少なくとも一部の経糸又は少なくとも一部の緯糸が前記導電糸により構成されている織布部を有するものを用いることが好ましい。
上記車両内装部材において、前記導電糸の全体は、通電されると発熱する材料により形成されていることが好ましい。

導電糸として、上記の構成を有するものが用いられることで、導電糸の全体が通電により発熱する。従って、導電糸の一部、例えば、外表面のみが、通電されると発熱する材料によって形成されている場合に比べ、導電糸を効率よく発熱させることが可能である。

上記車両内装部材において、前記導電糸は、０．１ｍｍ以下の直径を有していることが好ましい。
導電糸として、上記の条件を満たす直径を有するものが用いられることで、導電糸によるゴワゴワした触感が表皮を介して感じられにくく、触感が向上する。

上記車両内装部材において、前記クッション層は、前記基材上に積層された第１クッション層と、前記第１クッション層及び前記ヒータ層の間に配置され、かつ前記第１クッション層よりも密度の低い第２クッション層とを備えていることが好ましい。

上記の構成によれば、クッション層の密度と柔らかさとの間には相関関係がある。第１クッション層よりも密度の低い第２クッション層は、同第１クッション層よりも柔らかい。しかも、第２クッション層は第１クッション層上に積層されている。

従って、車両内装部材が例えばアームレストであって、これに肘が乗せられた場合、比較的小さな荷重がかけられているうちは、主として第２クッション層が弾性変形させられる。乗員は、アームレストから柔らかい触感を感ずる。乗員は、導電糸によるゴワゴワした触感を感じにくい。アームレストに大きな荷重がかけられた場合、第２クッション層に加え第１クッション層も弾性変形させられる。第１クッション層は、第２クッション層に比べると密度が高く、第２クッション層ほどは柔らかくない。そのため、クッション層は、その全体が第２クッション層のみによって構成された場合に比べて弾性変形しにくい。クッション層は、弾性変形代が無くなった状態、いわゆる底付き状態になりにくい。

上記車両内装部材において、前記クッション層は、０．０５ｋｇ／ｍ^3（「^ 」はべき乗を表わす）以下の密度を有していることが好ましい。
クッション層として、上記の条件を満たす密度を有するものが用いられた場合には、そのクッション層によって車両内装部材に、柔らかな触感が付与される。

従って、車両内装部材が例えばパームレストであって、これに手首が乗せられて、比較的小さな荷重がかけられた場合、クッション層が弾性変形させられる。乗員は、パームレストから柔らかい触感を感ずるが、導電糸によるゴワゴワした触感を感じにくい。

上記車両内装部材によれば、触感の低下を抑制しつつ表皮を昇温させることができる。

一実施形態におけるアームレスト及びパームレストを備えたセンターコンソールの部分斜視図。 一実施形態における織布層の正面図。 一実施形態におけるアームレストの部分断面図。 一実施形態におけるパームレストの部分断面図。

以下、車両内装部材の一実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方として説明し、車両の後進方向を後方として説明する。また、上下方向は車両の上下方向を意味し、左右方向は車幅方向であって車両の前進時の左右方向と一致するものとする。また、図３及び図４において、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる。

図１は、車室内の床の前部であって、左右方向における中間部、すなわち、運転席と助手席との間に設けられたセンターコンソール１０の一部を示している。センターコンソール１０は、アームレスト１１及びパームレスト３１を車両内装部材として備えている。アームレスト１１は、乗員の肩が腕を支える負担を軽減するために、同乗員が肘を乗せる箇所である。パームレスト３１は、乗員の腕が手を支える負担を軽減するために、同乗員が手首を乗せる箇所である。

パームレスト３１は、アームレスト１１から前方へ離れた箇所に配置されている。さらに、センターコンソール１０において、パームレスト３１よりも前方には、操作部３５が設けられている。操作部３５は、押しボタンスイッチ等の各種スイッチ、タッチパネル等によって構成されており、パームレスト３１に手首が乗せられた手の指によって操作される。

図３に示すように、アームレスト１１の骨格部分は、基材１２によって構成されている。基材１２は、硬質の樹脂材料等によって形成されている。
アームレスト１１は、基材１２上に積層されたクッション層１３を備えている。クッション層１３は、ウレタン等の発泡体からなる。アームレスト１１では、クッション層１３が、基材１２上に積層された第１クッション層１４と、第１クッション層１４上に積層された第２クッション層１５とによって構成されている。第１クッション層１４は、０．１６ｋｇ／ｍ^3（「^ 」はべき乗を表わす）以下の密度を有している。これに対し、第２クッション層１５は、０．０５ｋｇ／ｍ^3以下であって、第１クッション層１４よりも低い密度を有している。第１クッション層１４と第２クッション層１５とで、密度を異ならせることは、発泡倍率を異ならせることで可能である。

アームレスト１１は、第２クッション層１５上に積層されたヒータ層１６を備えている。ヒータ層１６は、織布層１７と、同織布層１７を厚み方向（図３では上下方向）における両側から挟み込む一対の絶縁シート２６とを備え、柔軟性を有している。図２に示すように、織布層１７は、それぞれ長尺状をなす一対の電極２４，２５と、両電極２４，２５間に配置された織布部１８とを備えている。織布部１８は、互いに平行な状態で延びる複数の経糸２１と、互いに平行な状態で上記経糸２１に対し直交する方向（図２では左右方向）へ延びる複数の緯糸２２，２３とを構成糸として用いて平織りすることによって形成されている。

本実施形態では、各経糸２１が、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）等のポリエステルからなる糸によって構成されているが、他の材料からなる糸によって構成されてもよい。

織布部１８における一部の構成糸、本実施形態では、複数の緯糸２２，２３のうちの緯糸２２は、通電されると発熱する導電糸によって構成されている。本実施形態では、導電糸として、全体が、銅（Ｃｕ）、ニッケル（Ｎｉ）等、通電により発熱する金属材料からなる線材が用いられている。導電糸として銅線を使用することが特に有利である。銅には、導電糸の比抵抗値が全長にわたって一定であり、比抵抗値を正確に決定することができるという利点がある。各導電糸は、０．１ｍｍ以下の直径を有している。

また、複数の緯糸２２，２３のうち、上記導電糸からなる緯糸２２とは異なる緯糸２３は、上記経糸２１と同様、ＰＥＴ等のポリエステルからなる非導電糸によって構成されているが、他の材料からなる非導電糸によって構成されてもよい。

なお、経糸２１及び緯糸２３は、モノフィラメント糸によって構成されてもよいし、マルチフィラメント糸によって構成されてもよいし、紡績糸によって構成されてもよい。
本実施形態の織布部１８では、隣り合う一対の緯糸２２（導電糸）の間に２本の緯糸２３（非導電糸）が位置するように、緯糸２２，２３が配置されている。

各電極２４，２５は、上記経糸２１に沿う方向（図２では上下方向）に延びている。両電極２４，２５は、上記経糸２１の配列方向（図２では左右方向）へ互いに離間した状態で配置されている。各電極２４，２５は、例えば熱溶着によって、織布部１８、特に導電糸からなる緯糸２２に取付けられている。各緯糸２２は、その長さ方向における両端部において電極２４，２５に対し電気的に接続されている。

図３に示すように、各絶縁シート２６は、緯糸２２とは異なる部材に電流が流れるのを規制するためのものであり、電気絶縁性を有する材料によってシート状に形成されている。上記厚み方向（図３の上下方向）における織布層１７の各面の周囲には、図示しない両面テープが枠状をなすように配置されている。この両面テープにより各絶縁シート２６が織布層１７に貼付けられている。なお、両面テープに代えて接着剤が用いられて、各絶縁シート２６が織布層１７に接着されてもよい。この場合には、接着剤は、上記厚み方向における織布層１７の各面において、その全面に塗布されてもよいし、部分的に塗布されてもよい。

さらに、アームレスト１１は、ヒータ層１６上に積層されて、同ヒータ層１６を覆う表皮２７を備えている。表皮２７の外表面は、アームレスト１１の意匠面を構成している。表皮２７の主要部は、図示しない表皮基材によって構成されている。表皮基材としては、例えば、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂材料により形成された合成皮革や、ファブリック、皮革等が用いられる。

上記のように構成されたアームレスト１１では、ヒータ層１６によって昇温させた場合の表皮２７の表面の目標温度が３７℃〜４０℃に設定されている。
図４に示すように、パームレスト３１は、クッション層の構成の点でアームレスト１１と異なっている。すなわち、アームレスト１１におけるクッション層１３が、第１クッション層１４及び第２クッション層１５の２層構造を採っているのに対し、パームレスト３１におけるクッション層３２は、第２クッション層１５のみの１層構造を採っている。パームレスト３１の上記以外の構成は、アームレスト１１と同様である。そのため、パームレスト３１においてアームレスト１１と同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。

上記パームレスト３１では、ヒータ層１６によって昇温させた場合の表皮２７の表面の目標温度が３９℃以下に設定されている。
上記のように、アームレスト１１とパームレスト３１とで表皮２７の表面の目標温度に差を設定しているのは、アームレスト１１では表皮２７の熱が衣服を通じて間接的に肘に伝わるのに対し、パームレスト３１では表皮２７の熱が手首に直接伝わるからである。

次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
不織布等の布帛上に電熱線を貼付けて配線した従来のヒータ層では、電熱線が布帛から厚み方向に突出する。また、上記のように布帛の外部に配線される電熱線の耐久性等を考慮すると、同電熱線として径の大きなものが用いられることになる。従って、ヒータ層が組込まれた従来の車両内装部材（アームレスト、パームレスト等）に肘、手首等を乗せて荷重をかけると、電熱線によるゴワゴワした触感が表皮を介して感じられる。

この点、本実施形態では、ヒータ層１６の一部が織布部１８によって構成されていて、その織布部１８は、複数の経糸２１及び複数の緯糸２２，２３を構成糸として用いて平織りすることにより構成されている。この織布部１８における構成糸の一部である緯糸２２が、通電されると発熱する導電糸により構成されている。従って、導電糸（緯糸２２）は織布部１８から厚み方向に突出しない。また、緯糸２２は織布部１８に織り込まれているため、同織布部１８の外部に配線される場合よりも耐久性が高い。導電糸としては、従来の電熱線よりも細いもの、本実施形態では０．１ｍｍ以下の直径を有するものを用いることができる。

その結果、上記ヒータ層１６が組込まれた本実施形態のアームレスト１１の表皮２７上に肘を乗せて荷重をかけたり、パームレスト３１の表皮２７上に手首を乗せて荷重をかけたりしても、導電糸によるゴワゴワした触感が表皮２７を介して感じられにくく、触感が向上する。導電糸によるゴワゴワした触感による違和感が少ない。従来とは異なり、触感向上のために、ヒータ層１６と表皮２７との間に新たにクッション層を設けなくてもすむ。

ここで、クッション層１３，３２の密度と柔らかさとの間には相関関係がある。図４に示すパームレスト３１では、０．０５ｋｇ／ｍ^3以下の密度を有する第２クッション層１５がクッション層３２とされている。この場合には、第２クッション層１５によってパームレスト３１に対し、柔らかな触感が付与される。

従って、パームレスト３１の表皮２７上に手首が乗せられて、比較的小さな荷重がかけられた場合、第２クッション層１５のみからなるクッション層３２が弾性変形させられる。乗員は、パームレスト３１から柔らかくい触感を感ずる。乗員は、導電糸によるゴワゴワした触感を感じにくい。

また、図３に示すアームレスト１１では、上記第２クッション層１５と基材１２との間に、柔軟性を有してはいるが、同第２クッション層１５に比べると密度が高く、第２クッション層１５ほどは柔らかくない第１クッション層１４が介在されている。このように、アームレスト１１のクッション層１３は、下側の第１クッション層１４と、第１クッション層１４よりも上側で、第１クッション層１４よりも柔らかい第２クッション層１５とからなる２層構造を採る。

従って、アームレスト１１の表皮２７上に肘が乗せられた場合、比較的小さな荷重が加えられているうちは、主として第２クッション層１５が弾性変形させられる。乗員は、アームレスト１１から柔らかい触感を感ずる。乗員は、導電糸によるゴワゴワした触感を感じにくい。また、上記パームレスト３１に手首が乗せられる場合よりも大きな荷重が肘によってアームレスト１１に加えられることで、第２クッション層１５に加え第１クッション層１４も弾性変形させられる。ただし、第１クッション層１４は第２クッション層１５に比べると弾性変形しにくい。そのため、クッション層１３は、その全体が第２クッション層１５のみによって構成された場合に比べ弾性変形しにくい。クッション層１３は、弾性変形代が無くなった状態、いわゆる底付き状態を起こしにくい。

なお、冬期等、寒いときに、図２における電極２４，２５を介して織布部１８における各緯糸２２（導電糸）に通電されると、同緯糸２２が発熱する。図３及び図４に示すように、ヒータ層１６上には表皮２７が積層されているため、通電により緯糸２２（導電糸）で発生した熱は、表皮２７に直接伝わる。従って、ヒータ層１６と表皮２７との間にクッション層が介在される場合よりも、ヒータ層１６で発生した熱が表皮２７に伝わりやすい。その結果、表皮２７を効率よく昇温させ、同表皮２７の昇温性能を向上させることができる。より少ない電力であっても表皮２７を暖めることができる。

図３に示すアームレスト１１に乗せられた肘に対しては、表皮２７の熱が衣服を介して間接的に伝わる。また、図４に示すパームレスト３１に乗せられた手首に対しては、表皮２７の熱が直接伝わる。このように伝わった熱により、肘や手首が暖められる。暖められず冷たいままのアームレスト１１に肘を乗せたり、パームレスト３１に手首を乗せたりする場合に比べ、乗せ心地（使用感）が向上する。

また、本実施形態では、アームレスト１１における表皮２７の表面の目標温度を、パームレスト３１における表皮２７の表面の目標温度よりも高く設定している。そのため、肘が衣服を介してアームレスト１１から間接的に感ずる温度と、手首がパームレスト３１から直接感ずる温度とを近付け、感ずる温度を同程度にすることが可能である。

本実施形態によると、上記以外にも、次の効果が得られる。
・導電糸として、全体が、通電されると発熱する材料によって形成されたものが用いられている。そのため、導電糸の全体が通電により発熱する。従って、導電糸の一部、例えば、外表面のみが、通電されると発熱する材料によって形成されている場合に比べ、導電糸を効率よく発熱させることができる。

・ヒータ層１６の主要部が織布部１８によって構成されていることに加え、緯糸２２として従来の電熱線よりも細い導電糸が用いられているため、ヒータ層１６が可撓性を有し、形状追従性に優れる。そのため、クッション層１３，３２においてヒータ層１６が積層される面が、非平面、例えば湾曲面であっても、その形状に沿うようにヒータ層１６を変形させることが容易である。

また、肘や手首が乗せられて荷重が加わった場合には、クッション層１３，３２が弾性変形するが、その弾性変形に追従してヒータ層１６を容易に変形させることができる。
・ヒータ層１６は、主要部が織布部１８によって構成されているため、薄く嵩張りにくい。ヒータ層１６が、アームレスト１１やパームレスト３１において、同ヒータ層１６の厚み方向に占めるスペースが小さくてすむ。

・布帛とは別の電熱線を、その布帛上に貼付けて配線する場合には、布帛に対する電熱線の位置決めに手間がかかる。また、アームレスト１１やパームレスト３１が、肘、手首等の荷重が加えられて変形した場合に電熱線が位置ずれを起こすおそれがある。この点、本実施形態では、導電糸が、織布部１８における構成糸の一部である緯糸２２として用いられて織り込まれているため、導電糸の位置決めがしやすく、また導電糸が位置ずれを起こしにくい。

・導電糸が一定間隔おきに配置されているため、偏ることなく表皮２７を均一に昇温させることができる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組合わせて実施することができる。

＜織布部１８について＞
・織布部１８における緯糸２２が導電糸によって構成され、緯糸２３が非導電糸によって構成される場合、隣り合う緯糸２２間に位置する緯糸２３の数が、上記実施形態（２本）とは異なる数に変更されてもよい。緯糸２３の数が多くなるに従い、織布部１８で発生される熱量が少なくなる。

・隣り合う緯糸２２間に位置する緯糸２３の数が、上記実施形態のように、織布部１８の部位に拘わらず同一であってもよいし、部位に応じて異なってもよい。
・織布部１８における全ての緯糸２２，２３が導電糸によって構成されてもよい。

・緯糸２２に代えて、又は加えて、経糸２１が導電糸によって構成されてもよい。
・織布部１８は、平織とは異なる織り方、例えば、斜文織（綾織）、朱子織等によって織られたものであってもよい。

＜導電糸について＞
・導電糸として、全体が、通電により発熱する材料であることを条件に、金属とは異なる材料によって形成された糸が用いられてもよい。

・導電糸として、ＰＥＴ等の樹脂材料によって形成された芯材と、芯材の外表面に対し、通電により発熱する材料がコーティングされることによって形成された発熱層とからなるものが用いられてもよい。

＜車両内装部材の適用対象について＞
・本発明における車両内装部材の適用対象は、アームレスト１１のみであってもよいし、パームレスト３１のみであってもよい。

・車両内装部材は、センターコンソール１０に加え、又は代えて、車両のサイドドアの車内側のドアトリムに設けられるアームレストにも適用可能である。
＜その他＞
・表皮２７における表面の目標温度が、アームレスト１１とパームレスト３１とで同一に設定されてもよい。

・パームレスト３１においても、アームレスト１１と同様に、クッション層３２が基材１２上に積層された第１クッション層１４と、同第１クッション層１４上に積層され、かつ同第１クッション層１４よりも密度の低い第２クッション層１５とによって構成されてもよい。

１１…アームレスト（車両内装部材）
１２…基材
１３，３２…クッション層
１４…第１クッション層
１５…第２クッション層
１６…ヒータ層
１８…織布部
２１…経糸
２２，２３…緯糸
２７…表皮
３１…パームレスト（車両内装部材）

Claims (6)

1. 基材と、
   前記基材上に積層され、かつ発泡体からなるクッション層と、
   前記クッション層上に積層されたヒータ層と、
   前記ヒータ層上に積層された表皮と
   を備える車両内装部材であり、
   前記ヒータ層は、複数の経糸及び複数の緯糸が構成糸として用いられて織られた織布部を備え、
   前記織布部における少なくとも一部の構成糸が、通電されると発熱する導電糸により構成されている車両内装部材。
2. 前記構成糸のうち少なくとも一部の経糸又は少なくとも一部の緯糸が前記導電糸により構成されている請求項１に記載の車両内装部材。
3. 前記導電糸の全体は、通電されると発熱する材料により形成されている請求項１又は２に記載の車両内装部材。
4. 前記導電糸は、０．１ｍｍ以下の直径を有している請求項１〜３のいずれか１項に記載の車両内装部材。
5. 前記クッション層は、前記基材上に積層された第１クッション層と、前記第１クッション層及び前記ヒータ層の間に配置され、かつ前記第１クッション層よりも密度の低い第２クッション層とを備えている請求項１〜４のいずれか１項に記載の車両内装部材。
6. 前記クッション層は、０．０５ｋｇ／ｍ^3（「^ 」はべき乗を表わす）以下の密度を有している請求項１〜４のいずれか１項に記載の車両内装部材。

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