JP2021171970A - 繊維強化樹脂成形品の製造方法及び繊維強化樹脂成形品 - Google Patents

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博紀 佐藤
Hiroki Sato
克典 高橋
Katsunori Takahashi
幹文 森脇
Mikifumi Moriwaki
絋次朗 山口
Kojiro Yamaguchi
浩一郎 市原
Koichiro Ichihara
正規 中井
Masanori Nakai
直樹 氏平
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Abstract

【課題】繊維強化樹脂成形品の製造に際し、表面平滑性と生産性を両立する。【解決手段】繊維基材11aに所定の樹脂組成物11bを組み合わせてなる布状体11と、その樹脂組成物11bとは異なる組成を有する樹脂シート12と、を積層してプレス成形を施す繊維強化樹脂成形品102の製造方法は、樹脂組成物11bとして、樹脂シート12に比して融点の低い樹脂組成物11bを用いてなる布状体11と、樹脂シート12と、を準備する準備工程と、布状体11の表層側に樹脂シート12を積層するとともに、樹脂組成物11bの融点(第1融点T1)と、樹脂シート12の融点(第2融点T2)と、の間の温度(プレス温度T3)に加熱した状態でプレス成形を行うプレス工程と、を備える。【選択図】図6

Description

本開示は、繊維強化樹脂成形品の製造方法及び繊維強化樹脂成形品に関する。
例えば特許文献1には、炭素繊維、ガラス繊維、又はこれらの複合繊維からなる繊維基材の成形体に、接着層を有する樹脂表皮材を貼着してなる樹脂成形品が開示されている。
具体的に、前記特許文献1に開示されている樹脂成形品は、繊維及び樹脂を混合した成形体と、接着層を有する樹脂表皮材と、を積層するとともに、その積層物を加圧することで製造されるようになっている。
特開2017−65230号公報
ところで、前記特許文献1に記載されているような繊維基材を含んだ樹脂からなる成形品(いわゆる、繊維強化樹脂成形品)は、繊維基材によって表面に凹凸が生じてしまうため、表面平滑性に改善の余地があった。
そこで、従来は、繊維強化樹脂成形品を成形した後に、その表面の凹凸を埋めるためのサーフェイサーを塗布する工程と、サーフェイサーの乾燥後に表面を研磨する工程と、を繰り返すことで、表面平滑性を確保するようになっていた。
しかしながら、サーフェイサーを用いた研磨補修は、表面平滑性こそ確保されるものの、成形品の生産性を確保するには不都合である。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、繊維強化樹脂成形品の製造に際し、表面平滑性と生産性を両立することにある。
本開示の第1の態様は、繊維基材に所定の樹脂組成物を組み合わせてなる布状体と、前記樹脂組成物とは異なる組成を有する樹脂シートと、を積層してプレス成形を施す繊維強化樹脂成形品の製造方法に係る。この製造方法は、前記樹脂組成物として、前記樹脂シートに比して融点の低い樹脂組成物を用いてなる前記布状体と、前記樹脂シートと、を準備する準備工程と、前記布状体の表層側に前記樹脂シートを積層するとともに、前記樹脂組成物の融点と、前記樹脂シートの融点と、の間の温度に加熱した状態でプレス成形を行うプレス工程と、を備える。
本願発明者らは、サーフェイサーを用いた研磨補修工程の代わりに、繊維機材と樹脂組成物とを含んだ布状体の上に樹脂シートを積層し、その積層体を加熱した状態でプレス成形することを検討した。この場合、樹脂組成物を中央層とした繊維強化樹脂が形成されて、樹脂シートは、その繊維強化樹脂に平滑性を付与する表面層となる。
しかしながら、そのように構成した場合、プレス工程において布状体中の繊維基材が互いに干渉することで、プレスによる圧縮方向とは逆方向に反発力が発生してしまい、その反発力によって繊維基材が樹脂シートを突き抜け得るという問題が新たに見出されることとなった。
この問題に対し、本願発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、布状体を構成する樹脂組成物と、その布状体に積層される樹脂シートと、の熱特性に鑑みた製造方法を新たに着想し、本開示に至った。
具体的に、前記第1の態様によれば、準備工程において、樹脂シートに比して低い融点を有する樹脂組成物からなる布状体を準備する。続いて、プレス工程において、樹脂組成物の融点と、樹脂シートの融点と、の間の温度に加熱した状態でプレス成形を実行する。
このように構成した場合、樹脂組成物は溶融している一方、樹脂シートは軟化すれども溶融まで至っていない状態でプレス成形されることになるため、布状体中での反発力に起因した、繊維基材の突き抜けを抑制することができる。これにより、繊維基材を表面から突き抜けさせることなく、繊維強化樹脂成形品を製造することができるため、表面平滑性に優れた成形品を実現することができる。また、前記第1の態様に係る製造方法は、サーフェイサーを用いた研磨補修工程を必要としないため、生産性にも優れる。
このように、本開示によれば、繊維強化樹脂成形品の製造に際し、表面平滑性と生産性を両立することができる。
また、本開示の第2の態様によれば、前記プレス工程は、前記樹脂組成物の融点と前記樹脂シートの融点との中間値に対して、前記樹脂シートの融点に比して、前記樹脂組成物の融点に近い温度に加熱した状態でプレス成形を行う、としてもよい。
前記第2の態様によれば、繊維基材を樹脂シートによって押さえ込んだ状態で、プレス成形を行うことができる。そのことで、繊維基材の突き抜けを抑制し、ひいては表面平滑性の向上に有利になる。
また、本開示の第3の態様によれば、前記プレス工程は、前記樹脂組成物の融点に比して、前記樹脂組成物の融点と前記樹脂シートの融点との中間値に近い温度に加熱した状態でプレス成形を行う、としてもよい。
前記第3の態様によれば、繊維基材を樹脂シートによって押さえ込んだ状態で、プレス成形を行うことができる。そのことで、繊維基材の突き抜けを抑制し、ひいては表面平滑性の向上に有利になる。さらに、前記中間値に近い温度に加熱した状態でプレス成形を行うことで、樹脂の軟化度合を促進して接合強度を向上させることができる。
また、本開示の第4の態様によれば、前記プレス工程は、前記布状体からなる樹脂層と、前記樹脂シートからなる樹脂層と、の境界部に前記繊維基材の一部を侵入させるようにプレス成形を行う、としてもよい。
前記第4の態様によれば、繊維基材の一部を意図的に境界部に侵入させることで、アンカー効果を発揮させ、布状体と樹脂シートとの間の接合強度を向上させることができる。また、樹脂シートの全域ではなく、境界部までの侵入に留めさせておくことで、繊維基材の突き抜けを抑制する上でも有利になる。
また、本開示の第5の態様は、繊維基材に所定の樹脂組成物を組み合わせてなる布状体と、前記樹脂組成物とは異なる組成を有する樹脂シートと、を積層してなる繊維強化樹脂成形品に係る。この繊維強化樹脂成形品において、前記樹脂組成物の融点は、前記樹脂シートに比して低く、前記布状体及び前記樹脂シートは、該樹脂シートが表層側に位置するように積層されるとともに、前記布状体からなる樹脂層と、前記樹脂シートからなる樹脂層と、の境界部に前記繊維基材の一部が侵入するように構成される。
本開示の第5の態様によれば、布状体を構成する樹脂組成物として、樹脂シートに比して低い融点を有する樹脂組成物が準備される。これにより、樹脂組成物の融点と、樹脂シートの融点と、の間の温度に加熱した状態でプレス成形を実行することで、繊維基材を表面から突き抜けさせることなく、繊維強化樹脂成形品を製造することができる。そのため、表面平滑性に優れた成形品を実現することができる。また、前記第6の態様に係る成形品は、サーフェイサーを用いた研磨補修工程を必要としないため、生産性にも優れる。
さらに、前記第5の態様によれば、繊維基材の一部を意図的に境界部に侵入させることで、アンカー効果を発揮させ、布状体と樹脂シートとの間の接合強度を向上させることができる。また、樹脂シートの全域ではなく、境界部までの侵入に留めさせておくことで、繊維基材の突き抜けを抑制することもできる。
また、本開示の第6の態様によれば、前記第5の態様に係る繊維強化樹脂成形品が、自動車の外板部品である、としてもよい。
一般に、自動車の外板部品は、その意匠性という観点からは表面平滑性が要求されるとともに、大量生産品という観点からは生産性が要求されることになる。本開示は、それらの要求に応えることができるという点で有用である。
以上説明したように、本開示によれば、繊維強化樹脂成形品の製造に際し、表面平滑性と生産性を両立することができる。
図1は、繊維強化樹脂成形品の製造装置を例示する図である。 図2は、繊維強化樹脂成形品の製造方法を例示するフローチャートである。 図3は、繊維強化樹脂成形品の製造方法を例示する概略図である。 図4は、繊維強化樹脂成形品の内部構造を例示する概略図である。 図5は、繊維強化樹脂成形品の実施例を示す断面図である。 図6は、繊維強化樹脂成形品を用いてなる外板部品を例示する図である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
図1は、繊維強化樹脂成形品102の製造装置1を例示する図である。図2は、繊維強化樹脂成形品102の製造方法を例示するフローチャートである。図3は、繊維強化樹脂成形品102の製造方法を例示する概略図である。図4は、繊維強化樹脂成形品102の内部構造を例示する概略図である。図5は、繊維強化樹脂成形品102の実施例を示す断面図である。そして、図6は、繊維強化樹脂成形品102を用いてなる外板部品を例示する図である。
本実施形態に係る製造方法は、繊維強化樹脂成形品102を製造するための方法である。この製造方法は、繊維基材11aと所定の樹脂組成物11bとを組み合わせてなる布状体11と、この樹脂組成物11bとは異なる組成を有する樹脂シート12と、を積層してなる積層体101にプレス成形を施すものである(図3〜図4等を参照)。
本実施形態に係る繊維強化樹脂成形品102は、自動車1000の外板部品である。この外板部品には、例えば、自動車1000を構成する部品のうち、ボンネット1001及びフェンダーパネル1002が含まれる(図6を参照)。この他、繊維強化樹脂成形品102を用いるのに適した外板部品には、自動車1000のドアパネル、リアエンドパネル、サイドフレームアウター、リアウイング等、平滑性と軽量高剛性が求められる部品が含まれる。
<繊維強化樹脂成形品の製造装置>
本実施形態に係る繊維強化樹脂成形品102の製造装置1は、プレス成形品としての繊維強化樹脂成形品102を得るため金型(成形型)、すなわち、プレス成形用の上型2及び下型3を備える。上型2は上型ホルダ4に固定される。上型ホルダ4には、プレス機械が昇降するスライダ(図示省略)が取り付けられる。下型3は下型ホルダ5に固定される。上型2及び下型3は、繊維強化樹脂成形品102に対応した成形面を備える。
また、上型2には、積層体101をプレス状態で冷却するための液状冷媒(例えば冷却水)が供給される冷媒通路8が設けられる。同様に、下型3には、積層体101をプレス状態で冷却するための液状冷媒(例えば冷却水)が供給される冷媒通路9が設けられる。
また、上型2には、該上型2を所定温度に予備加熱するためのヒータ6が設けられる。同様に、下型3には、該下型3を所定温度に予備加熱するためのヒータ7が設けられる。
<繊維強化樹脂成形品の製造方法>
図2に示すように、本実施形態に係る製造方法は、大別すると、準備工程としての第1工程S1と、プレス工程としての第2工程S2〜第5工程S5と、に2分される。
このうち、第1工程S1は、樹脂組成物11bとして、樹脂シート12に比して融点の低い樹脂組成物11bを用いてなる布状体11と、樹脂シート12と、を準備する工程である。
一方、第2工程S2〜第5工程S5は、布状体11の表層側に樹脂シート12を積層するとともに、布状体11に用いられる樹脂組成物11bの融点(第1融点T1)と、樹脂シート12の融点(第2融点T2)と、の間の温度(プレス温度T3)に加熱した状態でプレス成形を行う工程である。
以下、第1工程S1〜第5工程S5について、順番に説明する。
(第1工程)
第1工程S1は、第1融点T1に設定された樹脂組成物11bを用いてなる布状体11と、第2融点T2に設定された樹脂シート12と、を準備する工程である。
布状体11は、好ましくは不織布タイプの樹脂である。さらに好ましくは、布状体11は、繊維基材11aとしての炭素繊維と、樹脂組成物11bとしてのポリプロピレン繊維と、を抄紙法によって不織布にした樹脂である。この布状体11は、後述のプレス成形を施すことで、繊維基材11aを強化繊維とし、樹脂組成物11bをマトリックス樹脂とした繊維強化樹脂となる。
ここで、繊維基材11aとしては、炭素繊維の代わりに、ボロン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、麻の繊維、ポリエチレン繊維、ザイロン繊維、カーボンナノファイバー、セルロースナノファイバー等を用いることができる。
樹脂シート12は、布状体11に用いられる樹脂組成物11bよりも融点が高い樹脂からなるマット材である。すなわち、樹脂組成物11bの融点を第1融点T1とし、樹脂シート12の融点を第2融点T2とすると、
T1<T2 …(1)
の関係が満足されるように、樹脂組成物11b及び樹脂シート12を選択すればよい。
具体的に、樹脂組成物11bとしてポリプロピレン繊維が選択された場合、その第1融点T1は約170℃となる。この場合、樹脂シート12としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)からなる所謂PETシートを用いることができる。樹脂シート12としてPETシートを用いた場合、その第2融点T2は約260℃となり、前記(1)の関係が満足される。
この他、樹脂シート12としては、ポリプロピレン繊維以外の樹脂組成物11bを用いる場合も含めると、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート等を用いることもできる。
(第2工程)
第2工程S2は、布状体11と、樹脂シート12と、を積層する工程である。
布状体11と樹脂シート12とを積層してなる積層体101は、図3の左図に示すように、製造装置1の上型2と下型3との間に投入される。ここで、樹脂シート12は、繊維強化樹脂成形品102における表面層をなす。そのため、図4のG1に示すように、樹脂シート12は、布状体11の表層側に積層される。
(第3工程)
第3工程S3は、第1融点T1と、第2融点T2と、の間のプレス温度T3に加熱した状態で、積層体101をプレス成形する工程である。
プレス温度T3は、第1融点T1よりも高くかつ第2融点T2よりも低い温度であり、上型2及び下型3をそれぞれ予備加熱することで実現される。すなわち、製造装置1への積層体101の投入に先だって、
T1<T3<T2 …(2)
の関係が満足されるように、上型2及び下型3を予備的に加熱すればよい。
プレス温度T3は、好ましくは、樹脂シート12の融点である第2融点T2に比して、樹脂組成物11bの融点である第1融点T1に近い温度(第2融点T2と第1融点T1との中間値に対し、第2融点T2よりも第1融点T1側の温度)に設定される。すなわち、
|T3−T1|<|T3−T2| …(3)
の関係が満足されるように、上型2及び下型3を予備的に加熱することが好ましい。
プレス温度T3は、さらに好ましくは、第1融点T1に比して、第1融点T1及び第2融点T2の中間値に近い温度に設定される。すなわち、
|T3−T1|>|T3−(T1+T2)/2| …(4)
の関係が満足されるように、上型2及び下型3を予備加熱することがさらに好ましい。
具体的に、樹脂組成物11bとしてポリプロピレン繊維(第1融点:約170℃)を用いるとともに、樹脂シート12としてPETシート(第2融点:約260℃)を用いた場合、(2)〜(4)の関係が全て満足されるためには、プレス温度T3を例えば200℃に設定すればよい。
なお、プレス成形の際の面圧としては、3MPa以上4MPa以下に設定することが好ましい。その面圧に設定した上で、さらに前述のプレス温度T3に加熱した状態で積層体101をプレスすることで、図3の右図に示すように、上型2と下型3との間に繊維強化樹脂成形品102が成形される。
ここで、従来手法を用いてプレス成形を行った場合、プレス工程において布状体11中の繊維基材11aが互いに干渉することで、図4のG2に示すように、プレスによる圧縮方向とは逆方向に反発力A1が発生してしまい、その反発力A1によって繊維基材11aが樹脂シート12を突き抜け得るという問題が存在した。従来手法によって得られる繊維強化樹脂成形品102’は、図4のG3に示すように、樹脂シート12の表面から繊維基材11aが突き抜けたものとなり、表面平滑性という観点からは不都合であった。
一方、本実施形態に係る手法(本願手法)のように、少なくとも(2)の関係を満足した状態でプレス成形を行うことで、繊維基材11aの突き抜けが抑制された繊維強化樹脂成形品102を成形することができる。
具体的に、本願手法を用いてプレス成形を行った場合、布状体11中の樹脂組成物11bは、従来手法を用いた場合と同様に溶融・含浸する。これにより、布状体11は、樹脂組成物11bを中央層とした繊維強化樹脂を形成する。その際、樹脂シート12は、融点まで至らずとも軟化した状態で、布状体11中の繊維基材11aを押さえ込みながら上型2によってプレスされる。その結果、図4のG4に示すように、樹脂シート12は、繊維基材11aを表面から突き抜けさせることなく、繊維強化樹脂の表面層を形成する。こうして、布状体11によって形成された繊維強化樹脂と、樹脂シート12によって形成された表面層と、からなる繊維強化樹脂成形品102が成形される。
このように、繊維基材11aを表面から突き抜けさせることなく、繊維強化樹脂成形品102を製造することができるため、表面平滑性に優れた成形品を実現することができる。また、この製造方法は、サーフェイサーを用いた研磨補修工程を必要としないため、生産性にも優れる。
さらに、本実施形態に係る第3工程S3は、布状体11、特に樹脂組成物11bからなる樹脂層(以下、「第1樹脂層」という)L1と、樹脂シート12からなる樹脂層(以下、「第2樹脂層」という)L2と、の境界部に繊維基材11aの一部を侵入させるようにプレス成形を行う。この境界部への繊維基材11aの侵入は、(2)〜(4)の関係のうち、少なくとも(2)の関係、好ましくは(2)〜(3)の関係、さらに好ましくは(2)〜(4)の全てを満足することで実現される。
第1樹脂層L1と第2樹脂層L2との境界部に繊維基材11aの一部を侵入させることで、アンカー効果を発揮させ、第1樹脂層L1と第2樹脂層L2との間の接合強度を向上させることができる。また、樹脂シート12の全域ではなく、境界部までの侵入に留めさせておくことで、繊維基材11aの突き抜けを抑制する上でも有利になる。
(第4工程)
第4工程S4は、上型2と下型3によって繊維強化樹脂成形品102をプレスした状態を保持しつつ、その繊維強化樹脂成形品102を冷却する工程である。この第4工程S4は、上型2の冷媒通路8と、下型3の冷媒通路9とに液状冷媒を通すことで実行される。
(第5工程)
第5工程S5は、プレス型としての上型2及び下型3のうち、上型2を上昇させて、プレス成形された繊維強化樹脂成形品102を脱型する工程である。脱型された繊維強化樹脂成形品102は、下型3から搬出される。
<製造方法の実施例>
以下、図5を参照しつつ、具体的な実施例について説明する。
布状体11としては、繊維基材11aとしての炭素繊維と、樹脂組成物11bとしてのポリプロピレン繊維と、を抄紙法によって不織布にした樹脂を用いた。樹脂シート12としては、PETシートを用いた。この場合、第1温度T1は約170℃となり、第2温度T2は約260℃となる。また、プレス成形の際の加熱温度、すなわち第3温度T3は、200℃に設定された。この設定は、関係(2)〜(4)を全て満足する。また、プレス成形の際の面圧は、3〜4MPaの範囲内に設定された。
この場合、図5に示すように、布状体11及び樹脂シート12は、該樹脂シート12が表層側に位置するように積層される。そして、繊維強化樹脂成形品102は、布状体11からなる第1樹脂層L1と、樹脂シート12からなる第2樹脂層L2と、の境界部に繊維基材11aの一部が侵入するように構成される。
具体的に、布状体11中の繊維基材11aは、樹脂シート12からなる第2樹脂層L2に一部侵入するものの、その第2樹脂層L2から外部に露出することはない。繊維基材11aは、その少なくとも一部が、第1樹脂層L1と第2樹脂層L2との境界線(図6のBlを参照)に侵入することになる。
なお、ここでいう境界部とは、繊維強化樹脂成形品102において、第1樹脂層L1と第2樹脂層L2との境界線Blを含みかつ、所定の厚みを有する部位を指す。境界部の厚みは、少なくとも第2樹脂層L2の厚みよりも薄く、好ましくは第2樹脂層L2の厚みの50%以下、さらに好ましくは第2樹脂層L2の厚みの20%以下に設定される。
以上説明したように、本開示は、ボンネット、フェンダーパネル等、自動車の外板部品の製造に有用であり、産業上の利用可能性がある。
1 製造装置
11 布状体
11a 繊維基材
11b 樹脂組成物
12 樹脂シート
101 積層体
102 繊維強化樹脂成形品
L1 第1樹脂層(布状体からなる樹脂層)
L2 第2樹脂層(樹脂シートからなる樹脂層)
S1 第1工程(準備工程)
S2〜S5 第2工程〜第5工程(プレス工程)
T1 第1融点(樹脂組成物の融点)
T2 第2融点(樹脂シートの融点)

Claims (6)

  1. 繊維基材に所定の樹脂組成物を組み合わせてなる布状体と、前記樹脂組成物とは異なる組成を有する樹脂シートと、を積層してプレス成形を施す繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、
    前記樹脂組成物として、前記樹脂シートに比して融点の低い樹脂組成物を用いてなる前記布状体と、前記樹脂シートと、を準備する準備工程と、
    前記布状体の表層側に前記樹脂シートを積層するとともに、前記樹脂組成物の融点と、前記樹脂シートの融点と、の間の温度に加熱した状態でプレス成形を行うプレス工程と、を備える
    ことを特徴とする繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  2. 請求項1に記載された繊維強化樹脂成形品の製造方法において、
    前記プレス工程は、前記樹脂組成物の融点と前記樹脂シートの融点との中間値に対して、前記樹脂シートの融点に比して、前記樹脂組成物の融点に近い温度に加熱した状態でプレス成形を行う
    ことを特徴とする繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  3. 請求項2に記載された繊維強化樹脂成形品の製造方法において、
    前記プレス工程は、前記樹脂組成物の融点に比して、前記樹脂組成物の融点と前記樹脂シートの融点との中間値に近い温度に加熱した状態でプレス成形を行う
    ことを特徴とする繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載された繊維強化樹脂成形品の製造方法において、
    前記プレス工程は、前記布状体からなる樹脂層と、前記樹脂シートからなる樹脂層と、の境界部に前記繊維基材の一部を侵入させるようにプレス成形を行う
    ことを特徴とする繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  5. 繊維基材に所定の樹脂組成物を組み合わせてなる布状体と、前記樹脂組成物とは異なる組成を有する樹脂シートと、を積層してなる繊維強化樹脂成形品であって、
    前記樹脂組成物の融点は、前記樹脂シートに比して低く、
    前記布状体及び前記樹脂シートは、該樹脂シートが表層側に位置するように積層されるとともに、前記布状体からなる樹脂層と、前記樹脂シートからなる樹脂層と、の境界部に前記繊維基材の一部が侵入するように構成される
    ことを特徴とする繊維強化樹脂成形品。
  6. 請求項5に記載された繊維強化樹脂成形品が、自動車の外板部品である
    ことを特徴とする繊維強化樹脂成形品。
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